説明

光ピックアップ装置およびその調整方法、並びに光ピックアップ装置の調整機

【課題】1つの光検出器により複数の光ディスクを記録再生する光ピックアップにおいて、光ピックアップの調整時に光ディスクの記録面上で良好な集光スポットを形成し、安定したサーボ制御及び再生信号を検出し、調整精度の高い光ピックアップを実現する。
【解決手段】第1の光源11と第2の光源12と光結合素子13からなる光源モジュール10とホログラム素子21と光検出器22からなる検出モジュール20と光分離素子31とコリメータレンズ32と第1の対物レンズ41と第2の対物レンズ42と検出レンズ35からなるハウジング部30からなる光ピックアップにおいて、光源モジュール10から第1の光源11と第2の光源12の光軸が予め同軸になるように調整されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップおよびその調整方法、並びに光ピックアップ装置の調整機に関するものであり、より詳しくは、光ディスク等の光情報記録媒体に対し、光学的に情報を記録または再生する光ピックアップ装置およびその調整方法、並びに光ピックアップ装置の調整機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、多量の情報信号を高密度で記録することができるため、オーディオ、ビデオ、コンピュータ等の多くの分野において利用が進められている。最近は、BD(Blu-ray Disc)、DVD、CDなどの複数の光ディスクに対し、情報を記録再生する記録再生機器がある。
【0003】
このような記録再生機器がノートパソコン等の電子機器に組み込まれる場合には、薄型、小型の光ディスクドライブが必要であるため、BDに対応した光学系とDVD/CDに対応した光学系とが独立した配置が非常に困難であるという問題がある。この問題を解決するために、例えば特許文献1には、複数の光ディスクに対応した光ピックアップ装置において、1つの光検出器で複数の光ディスクの情報信号を検出することで、複数の光ディスクに対応させた光ピックアップ装置が開示されている。
【0004】
図15を用いて、特許文献1に開示された光ピックアップ装置について説明する。図15は、特許文献1に開示された光ピックアップ装置が搭載された情報記録再生装置の構成を示す概略図である。
【0005】
情報記録再生装置RPは、CD、DVD、更には、BDの各記録フォーマットに対応した光ディスクDKに対するデータの記録及び再生を行うコンパチブルレコーダに、従来の光ピックアップ装置PUを適用したものである。
【0006】
同図に示すように情報記録再生装置RPは、大別して信号処理部SPと、制御部Cと、駆動回路Dと、光ピックアップ装置PUと、アクチュエータサーボ回路ASと、ステップモータサーボ回路SSと、再生部Pと、により構成される。信号処理部SPは、入力端子を有しており、この端子を介して外部から入力されたデータに信号処理を施して制御部Cに出力する。制御部Cは、情報記録再生装置RPの各部を制御する。駆動回路Dは主として増幅回路により構成され、制御部Cから入力された駆動信号を増幅した後、光ピックアップ装置PUに供給する。
【0007】
以下、光ピックアップ装置PUを構成する各要素について説明する。
【0008】
まず、第1半導体レーザ111、第2半導体レーザ121a、及び第3半導体レーザ122は、共に駆動回路Dから供給される駆動信号に基づき各々異なる波長の光ビームを出力する。
【0009】
第1ダイクロイックミラー113は、第1半導体レーザ111及び光源ユニット112から出射された光ビームを略同一の光路に導くために設けられた素子である。PBS114は、所定方向の直線偏光である光ビームを透過する一方、当該光ビームとπ/2だけ異なる方向の直線偏光である光ビームを反射する。
【0010】
収差補正機構115は、PBS114側から入射される光ビーム及び光ディスクDKからの反射光に対して収差補正を行うために設けられ、PBS114を透過して入射される光ビームの一部を平行光に変換するためのコリメータレンズ151と、このコリメータレンズを固定するためのレンズホルダ152と、ステップモータ153と、を有している。
【0011】
λ/4板116は、直線偏光と円偏光との間の相互変換を行う。
【0012】
光路分離/合成部117は、λ/4板116から入射される光ビームを異なる2つの光路に分離してアクチュエータ部118に入射させる一方、アクチュエータ部118から異なる光路を介して入射される反射光の光路を合成して、λ/4板116に入射させる。
【0013】
次に、アクチュエータ部118は、第1対物レンズ181と、第2対物レンズ182と、両対物レンズ181及び182が固定される対物レンズホルダ183と、この対物レンズホルダ183を一体的に可動させる可動機構184と、を有する。アクチュエータ部118は、アクチュエータサーボ回路ASから供給される補正信号に基づいて対物レンズの位置を変更させ、トラッキングサーボ及びフォーカスサーボを実現する。
【0014】
位置合わせグレーティング119は、PBS114から射出される反射光の光路上に配置されたグレーティングであり、OEIC121上における集光スポット位置を調整するために設けられたものとなっている。
【0015】
エラー検出レンズ120は、PBS114により反射された光ディスクDKからの反射光をOEIC121に集光させる。OEIC121は、例えば、フォトダイオードにより構成され、エラー検出レンズ120から照射される光ビームを受光して、受光信号を制御部C、再生部P、アクチュエータサーボ回路AS及びステップモータサーボ回路SSに出力する。
【0016】
次に、再生部Pは、例えば、加算回路及び増幅回路を有し、OEIC121から供給される受光信号に基づいて再生RF信号を生成する。そして、再生部Pは、当該再生RF信号に対して所定の信号処理を施した後、出力端子OUTに出力する。
【0017】
アクチュエータサーボ回路ASは、演算回路により構成され、光ピックアップ装置PUのOEIC121から供給される受光信号に基づいて補正信号(具体的にはトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号)を生成してアクチュエータ部118に出力する。この結果、アクチュエータ部118においては、当該補正信号に基づいて対物レンズホルダ183の位置が変更されトラッキングサーボ及びフォーカスサーボがなされることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2008−146684号公報(平成20年(2008)6月26日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献1に開示された光ピックアップ装置では、製造時に第1半導体レーザ111及び第2半導体レーザ121a(或いは、第3半導体レーザ122)について光軸調整を行い、OEIC121上の集光スポットの位置合わせを行う。この製造方法を採用する場合、光源である第1半導体レーザ111及び第2半導体レーザ121aの出射光がともに、OEIC121上に集光するように、これら半導体レーザを光軸方向及び光軸と垂直な方向に位置調整する必要がある。この位置調整は、光ディスクDKからの反射光の検出しながら行う必要があるが、調整時に光源の位置調整を行った場合、コリメータレンズ151への入射光軸が変化し、さらに対物レンズ181で光ディスクの記録面上に集光した光に収差が発生することになる。その結果、フォーカスサーボ、トラッキングサーボが不安定となり、加えて再生信号の品質低下を招くことになる。サーボ不良、再生信号の品質低下は、調整精度を悪化させることになる。さらに、サーボ信号は、不安定になることにより、サーボを安定化させる調整工程を実施する必要があるため、調整工程が複雑になるといった課題がある。
【0020】
また、第1半導体レーザ111及び第2半導体レーザ121aそれぞれの調整に、それぞれの光源波長に対応した複数の光ディスクが必要となるため、調整工程が複雑になる。
【0021】
また、復路光学系に回折素子と光検出器とを採用した従来のピックアップ装置の位置調整方法においては、光検出器の信号を確認しながら、光記録媒体からの反射光のビームスポットと光検出器との位置調整およびビームスポットと回折素子との位置調整をそれぞれ別々に調整・接着を行っていた。このため、従来のピックアップ装置の位置調整方法では、組立調整に時間がかかっていた。
【0022】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、組立性が良く、かつ安定した再生信号、記録信号、およびサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置およびその調整方法、並びに光ピックアップ装置の調整機を提供することにある。さらなる目的は、1つの光検出器により複数の光ディスクを記録再生する光ピックアップ装置において、光ピックアップ装置の調整時に光ディスクの記録面上で良好な集光スポットを形成し、安定したサーボ制御及び再生信号を検出することができ、かつ調整精度が高い光ピックアップ装置およびその調整方法、並びに光ピックアップ装置の調整機を提供することにある。また、光ディスクを1種類のみ用いて調整を行うことができ、製造コストを低減することができる光ピックアップ装置およびその調整方法、並びに光ピックアップ装置の調整機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の光ピックアップ装置は、上記の課題を解決するために、光源モジュールと、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器とを備えた検出モジュールと、光源モジュールからの出射光を光記録媒体に導き、光記録媒体からの反射光を前記光源モジュールと異なる方向へ導く光分離手段と、光記録媒体に集光する集光手段と、光記録媒体からの反射光を検出モジュールへ導く検出レンズと、前記光分離手段、前記集光手段、及び前記検出レンズを収容するハウジングとを備えたメインモジュールと、で構成されたことを特徴としている。
【0024】
本発明の光ピックアップ装置では、前記光源モジュールは、第1の波長を有する光を出射する第1の光源と、第2の波長を有する光を出射する第2の光源と、第1の光源及び第2の光源からの出射光を同軸にして出射する光結合手段とを備えていてもよい。すなわち、本発明の光ピックアップ装置の第1の構成は、上記の課題を解決するために、第1の波長を有する光を出射する第1の光源と、第2の波長を有する光を出射する第2の光源と、第1の光源及び第2の光源からの出射光を同軸にして出射する光結合手段とを備えた光源モジュールと、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器とを備えた検出モジュールと、光源モジュールからの出射光を光記録媒体に導き、光記録媒体からの反射光を前記光源モジュールと異なる方向へ導く光分離手段と、光記録媒体に集光する集光手段と、光記録媒体からの反射光を検出モジュールへ導く検出レンズと、前記光分離手段、前記集光手段、及び前記検出レンズを収容するハウジングとを備えたメインモジュールと、で構成されたことを特徴としている。
【0025】
このように、光ピックアップ装置として、予め第1の光源及び第2の光源について、出射光の光軸を同軸に合わせる調整を実施した光源モジュールと、予め回折素子と光検出器の位置調整を行った検出モジュールと、光源モジュールと検出モジュール以外の光学部品から構成されるメインモジュールとからなる構成を採用することにより、光ピックアップ装置の調整時においても、良好なサーボ信号及び再生信号を得ることが可能である。このため、上記の構成によれば、調整精度が高い光ピックアップ装置を提供することができる。
【0026】
また、1種類の光記録媒体のみで調整を行うだけで、複数の光記録媒体の記録再生が可能な光ピックアップ装置の提供することが可能となる。それゆえ、複数の光記録媒体を用いた調整の必要がないため、製造工程数を削減することができ、製造コストを低減することが可能になる。
【0027】
本発明の光ピックアップ装置では、前記ハウジングにおける前記光源モジュール及び前記検出モジュールが配置される位置に貫通穴が設けられていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、前記ハウジングにおける前記光源モジュール及び前記検出モジュールが配置される位置に貫通穴が設けられているので、ハウジングの強度を増加させることが可能になるため、組立調整時や落下衝撃時のハウジングの変形を防止することが可能になる。
【0029】
本発明の光ピックアップ装置では、前記光源モジュールは、第1の光源を保持する第1の保持部材と、第2の光源を保持する第2の保持部材と、光結合素子を保持する第3の保持部材を有し、第1の保持部材と第3の保持部材との接する位置、及び第2の保持部材と第3の保持部材とが接する位置に、基準面が設けられていることが好ましい。
【0030】
これにより、光結合手段と第1の光源及び第2の光源との距離を管理するとともに、第3の保持部材と第1の保持部材または第2の保持部材が基準面を介して絶えず接しているため、接着固定後の位置変化を抑えることが可能となる。
【0031】
本発明の光ピックアップ装置では、前記ハウジングにおける前記光源モジュールが配置される位置に設けられた貫通穴と第3の保持部材とが接する位置に基準面が設けられていることが好ましい。これによりハウジングと第3の保持部材が、基準面を介して絶えず接しているため、接着固定後の位置変化を抑えることが可能となる。
【0032】
本発明の光ピックアップ装置では、前記ハウジングにおける前記検出モジュールが配置される位置に設けられた貫通穴と前記検出モジュールとが接する位置に基準面が設けられていることが好ましい。これによりハウジングと検出モジュールが、基準面を介して絶えず接しているため、接着固定後の位置変化を抑えることが可能となる。
【0033】
本発明の光ピックアップ装置では、前記基準面は、基準面以外の面に対して垂直であり、かつ突出する方向にオフセットした面であり、基準面以外の面よりも他の面と接触する面積が小さいことが好ましい。これにより調整時に、面同士の摩擦により発生する負荷を低減できるため、精度のよい調整が可能となる。
【0034】
本発明の光ピックアップ装置では、前記光源モジュールは、ただ1つの光源で構成されていてもよい。すなわち、本発明の光ピックアップ装置の第2の構成は、上記の課題を解決するために、ただ1つの光源で構成された光源モジュールと、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器とを備えた検出モジュールと、光源モジュールからの出射光を光記録媒体に導き、光記録媒体からの反射光を前記光源モジュールと異なる方向へ導く光分離手段と、光記録媒体に集光する集光手段と、光記録媒体からの反射光を検出モジュールへ導く検出レンズと、前記光分離手段、前記集光手段、及び前記検出レンズを収容するハウジングとを備えたメインモジュールと、で構成されたことを特徴としている。
【0035】
このように、光ピックアップ装置に、予め回折素子及び光検出器の位置調整を行った検出モジュールを採用することで、組立性が良く、かつ安定した再生信号、記録信号、およびサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置を実現することができる。
【0036】
本発明の光ピックアップ装置の調整方法は、上記の課題を解決するために、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器との位置を調整する検出モジュール調整工程と、コリメータレンズに対して、光源モジュールから出射した光の光軸調整を行う光軸調整工程と、光記録媒体からの反射光を検出して、検出モジュールの位置調整を行う検出モジュール位置調整工程とを含むことを特徴としている。
【0037】
本発明の光ピックアップ装置の調整方法は、第1の波長を有する光を出射する第1の光源と、第2の波長を有する光を出射する第2の光源とについて、これら光源から出射される光の光軸が同軸になるように調整する光源モジュール調整工程を含んでいてもよい。すなわち、本発明の光ピックアップ装置の調整方法の第1の構成は、上記の課題を解決するために、第1の波長を有する光を出射する第1の光源と、第2の波長を有する光を出射する第2の光源とについて、これら光源から出射される光の光軸が同軸になるように調整する光源モジュール調整工程と、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器との位置を調整する検出モジュール調整工程と、コリメータレンズに対して、光源モジュールから出射した光の光軸調整を行う光軸調整工程と、光記録媒体からの反射光を検出して、検出モジュールの位置調整を行う検出モジュール位置調整工程とからなることを特徴としている。
【0038】
これにより、光ピックアップ装置の調整時においても、良好なサーボ信号及び再生信号を得ることが可能である。このため、上記の構成によれば、調整精度が高い光ピックアップ装置の調整方法を提供することができる。
【0039】
また、1種類の光記録媒体のみで調整を行うだけで、複数の光記録媒体の記録再生が可能な光ピックアップ装置の調整方法の提供することが可能となる。それゆえ、複数の光記録媒体を用いた調整の必要がないため、製造工程数を削減することができ、製造コストを低減することが可能になる。
【0040】
本発明の光ピックアップ装置の調整方法は、前記光軸調整工程では、前記光源モジュールから出射した光の光軸に対して、垂直方向の位置調整と、回転方向の位置調整とを行うことが好ましい。これにより、光記録媒体の記録面において、良好なスポットを形成すうことが可能となり、かつ、トラック溝の所定の位置にサブビームを配置できることから、安定なトラッキング制御が可能となる。
【0041】
本発明の光ピックアップ装置の調整方法では、前記検出モジュール位置調整工程は、メインモジュールに備えられた検出レンズについて光軸方向の位置調整を行う段階と、検出モジュールについて、光軸と垂直な方向の位置調整を行う段階とからなることが好ましい。この調整方法により、フォーカスオフセットの発生を抑え、良好なトラッキング誤差信号の検出が可能な光ピックアップ装置の提供が可能となる。
【0042】
本発明の光ピックアップ装置の調整方法において、前記検出モジュール位置調整工程は、前記検出モジュールの受光面をXY平面とし、該XY平面に垂直な方向をZ軸方向としたとき、前記検出モジュールのX軸方向及びY軸方向の位置調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記光検出器の受光領域の中心とを一致させる第1の調整段階と、前記検出モジュールの、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記回折素子のパターン中心とを一致させる第2の調整段階とを含んでいてもよい。すなわち、本発明の光ピックアップ装置の調整方法の第2の構成は、上記の課題を解決するために、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器との位置を調整する検出モジュール調整工程と、コリメータレンズに対して、光源モジュールから出射した光の光軸調整を行う光軸調整工程と、光記録媒体からの反射光を検出して、検出モジュールの位置調整を行う検出モジュール位置調整工程とを含み、前記検出モジュール位置調整工程は、前記検出モジュールの受光面をXY平面とし、該XY平面に垂直な方向をZ軸方向としたとき、前記検出モジュールのX軸方向及びY軸方向の位置調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記光検出器の受光領域の中心とを一致させる第1の調整段階と、前記検出モジュールの、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記回折素子のパターン中心とを一致させる第2の調整段階とを含むことを特徴としている。
【0043】
復路光学系に回折素子と光検出器とを採用した従来のピックアップ装置の位置調整方法においては、光検出器の信号を確認しながら、光記録媒体からの反射光のビームスポットと光検出器との位置調整およびビームスポットと回折素子との位置調整をそれぞれ別々に調整・接着を行っていた。このため、従来のピックアップ装置の位置調整方法では、組立調整に時間がかかっていた。
【0044】
本発明の光ピックアップ装置であれば、回折素子及び光検出器が1つの検出モジュールとして備えられているので、検出モジュールについて1度位置調整を行えば、復路光学系の調整が可能である。ただし、前記位置調整を行うために、検出モジュールについて、回折素子と光検出器とを1ミクロン単位で精度良く貼り合わせる必要があり、組立時間や高額な組立装置が必要となるという課題が残る。
【0045】
上記の構成によれば、第1の調整段階にて、前記検出モジュールのX軸方向及びY軸方向の位置調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記光検出器の受光領域の中心とを一致させ、第2の調整段階にて、前記検出モジュールの、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記回折素子のパターン中心とを一致させている。それゆえ、回折素子と光検出器とが多少ずれていたとしても、前記第1及び第2の調整段階を行うことで、短時間で、安定した再生信号、およびサーボ信号を得ることができる。よって、上記の構成によれば、組立性がよく、かつ、安定した再生信号、記録信号、およびサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置を提供することができる。
【0046】
本発明の光ピックアップ装置の調整方法の第2の構成では、前記光検出器は、前記回折素子で分割された0次回折光を受光する少なくとも2つの受光領域からなる第1の受光部と、1次回折光を受光する少なくとも2つの受光領域からなる第2の受光部を備え、前記第1の調整段階では、前記回折素子で分割された0次回折光が前記第1の受光部における各受光領域に均等に検出されるように、検出モジュールを調整し、前記第2の調整段階では、前記回折素子で分割された1次回折光が前記第2の受光部における各受光領域に均等に検出されるように、検出モジュールを調整することが好ましい。
【0047】
上記の構成によれば、前記第1の調整段階では、前記回折素子で分割された0次回折光が前記第1の受光部における各受光領域に均等に検出されるように、検出モジュールを調整する、すなわち、0次回折光の信号バランスを収集しながら調整している。このため、光記録媒体からの反射光のビーム中心と光検出器の受光領域の中心とを精度良く一致させることができる。また、前記第2の調整段階では、前記回折素子で分割された1次回折光が前記第2の受光部における各受光領域に均等に検出されるように、検出モジュールを調整する、すなわち、1次回折光の信号バランスを収集しながら調整している。このため、光記録媒体からの反射光のビーム中心と回折素子のパターン中心とを精度良く調整することができる。よって、上記の構成によれば、光ピックアップ装置の位置調整精度を高くすることができる。
【0048】
また、本発明の光ピックアップ装置の調整方法の第2の構成では、検出モジュールをZ軸方向に移動させてフォーカスの調整を行う第3の調整段階と、検出モジュールについて、Z軸方向の軸を回転軸とした回転調整を行う第4の調整段階とを含むことが好ましい。
【0049】
上記の構成によれば、第3の調整段階にて検出モジュールをZ軸方向に移動させてフォーカスの調整を行っており、検出レンズ等の他の光学系を調整することなくフォーカス調整を行うことができる。このため、調整工程の簡略化が可能になる。また、第4の調整段階にて検出モジュールについて、Z軸方向の軸を回転軸とした回転調整を行うので、FES信号へプッシュプル信号の混入を低減することができ、安定なフォーカス制御が可能になる。さらに、第4の調整段階においても、検出レンズ等の他の光学系を調整することなく検出モジュールの回転のみで調整を行っているので、調整工程の簡略化が可能になる。
【0050】
本発明の光ピックアップ装置の調整機は、上記の課題を解決するために、前記第2の構成を備えた光ピックアップ装置について、光記録媒体からの反射光の検出信号に基づいて検出モジュールの位置調整を行う光ピックアップ装置の調整機であって、前記検出モジュールの受光面をXY平面とし、該XY平面に垂直な方向をZ軸方向としたとき、前記検出モジュールのX軸方向及びY軸方向の位置調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記光検出器の受光領域の中心とを一致させる第1の調整手段と、前記検出モジュールの、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記回折素子のパターン中心とを一致させる第2の調整手段とを備えたことを特徴としている。
【0051】
上記の構成によれば、回折素子と光検出器との組立の際に、多少のずれが発生したとしても、良好なサーボ信号及び再生信号を得ることが可能である。よって、上記の構成によれば、組立性がよく、かつ、安定した再生信号、記録信号、およびサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の光ピックアップ装置は、以上のように、光源モジュールと、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器とを備えた検出モジュールと、光源モジュールからの出射光を光記録媒体に導き、光記録媒体からの反射光を前記光源モジュールと異なる方向へ導く光分離手段と、光記録媒体に集光する集光手段と、光記録媒体からの反射光を検出モジュールへ導く検出レンズと、前記光分離手段、前記集光手段、及び前記検出レンズを収容するハウジングとを備えたメインモジュールと、で構成されている。
【0053】
本発明の光ピックアップ装置の、第1の構成は、第1の波長を有する光を出射する第1の光源と、第2の波長を有する光を出射する第2の光源と、第1の光源及び第2の光源からの出射光を同軸にして出射する光結合手段とを備えた光源モジュールと、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器とを備えた検出モジュールと、光源モジュールからの出射光を光記録媒体に導き、光記録媒体からの反射光を前記光源モジュールと異なる方向へ導く光分離手段と、光記録媒体に集光する集光手段と、光記録媒体からの反射光を検出モジュールへ導く検出レンズと、前記光分離手段、前記集光手段、及び前記検出レンズを収容するハウジングとを備えたメインモジュールと、で構成されている。
【0054】
本発明の光ピックアップ装置の第2の構成は、上記の課題を解決するために、ただ1つの光源で構成された光源モジュールと、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器とを備えた検出モジュールと、光源モジュールからの出射光を光記録媒体に導き、光記録媒体からの反射光を前記光源モジュールと異なる方向へ導く光分離手段と、光記録媒体に集光する集光手段と、光記録媒体からの反射光を検出モジュールへ導く検出レンズと、前記光分離手段、前記集光手段、及び前記検出レンズを収容するハウジングとを備えたメインモジュールと、で構成されている。
【0055】
また、本発明の光ピックアップ装置の調整方法は、以上のように、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器との位置を調整する検出モジュール調整工程と、コリメータレンズに対して、光源モジュールから出射した光の光軸調整を行う光軸調整工程と、光記録媒体からの反射光を検出して、検出モジュールの位置調整を行う検出モジュール位置調整工程とを含む構成である。
【0056】
本発明の光ピックアップ装置の調整方法の、第1の構成は、第1の波長を有する光を出射する第1の光源と、第2の波長を有する光を出射する第2の光源とについて、これら光源から出射される光の光軸が同軸になるように調整する光源モジュール調整工程と、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器との位置を調整する検出モジュール調整工程と、コリメータレンズに対して、光源モジュールから出射した光の光軸調整を行う光軸調整工程と、光記録媒体からの反射光を検出して、検出モジュールの位置調整を行う検出モジュール位置調整工程とからなる構成である。
【0057】
また、本発明の光ピックアップ装置の調整方法の、第2の構成は、光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器との位置を調整する検出モジュール調整工程と、コリメータレンズに対して、光源モジュールから出射した光の光軸調整を行う光軸調整工程と、光記録媒体からの反射光を検出して、検出モジュールの位置調整を行う検出モジュール位置調整工程とを含み、前記検出モジュール位置調整工程は、前記検出モジュールの受光面をXY平面とし、該XY平面に垂直な方向をZ軸方向としたとき、前記検出モジュールのX軸方向及びY軸方向の位置調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記光検出器の受光領域の中心とを一致させる第1の調整段階と、前記検出モジュールの、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記回折素子のパターン中心とを一致させる第2の調整段階とを含む構成である。
【0058】
また、本発明の光ピックアップ装置の調整機は、以上のように、前記第2の構成を備えた光ピックアップ装置について、光記録媒体からの反射光の検出信号に基づいて検出モジュールの位置調整を行う光ピックアップ装置の調整機であって、前記検出モジュールの受光面をXY平面とし、該XY平面に垂直な方向をZ軸方向としたとき、前記検出モジュールのX軸方向及びY軸方向の位置調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記光検出器の受光領域の中心とを一致させる第1の調整手段と、前記検出モジュールの、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記回折素子のパターン中心とを一致させる第2の調整手段とを備えた構成である。
【0059】
このように、光ピックアップ装置の第1の構成、および光ピックアップ装置の調整方法の第1の構成によれば、予め第1の光源及び第2の光源について、出射光の光軸を同軸に合わせる調整を実施した光源モジュールと、予め回折素子と光検出器の位置調整を行った検出モジュールと、光源モジュールと検出モジュール以外の光学部品から構成されるメインモジュールとからなる構成を採用することにより、光ピックアップ装置の調整時においても、良好なサーボ信号及び再生信号を得ることが可能である。このため、調整精度が高い光ピックアップ装置を提供することができる。
【0060】
また、光ピックアップ装置の第2の構成、および光ピックアップ装置の調整方法の第2の構成、並びに光ピックアップ装置の調整機によれば、回折素子と光検出器とが貼り付け誤差によりずれが生じていたとしても、良好なサーボ信号及び再生信号を短時間で得ることが可能である。このため、組立性がよく、かつ調整精度が高い光ピックアップ装置を提供することができる。
【0061】
また、1種類の光記録媒体のみで調整を行うだけで、複数の光記録媒体の記録再生が可能な光ピックアップ装置の提供することが可能となる。それゆえ、複数の光記録媒体を用いた調整の必要がないため、製造工程数を削減することができ、製造コストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施の形態1の光ピックアップ装置の光路を示す系統図である。
【図2】第1の光源11及び第2の光源12を同軸配置するための調整光学系を説明する図である。
【図3】実施の形態1の検出モジュール20の構成を説明する図である。
【図4】実施の形態1のホログラム素子21の回折素子の平面図であり、(a)は第1の回折素子24の分割パターンと回折素子面上のプッシュプルパターンを示し、(b)は第2回折素子25の分割パターンと回折素子面上のプッシュプルパターンを示す。
【図5】実施の形態1の光ピックアップ装置においてホログラム素子21を採用した場合の受光素子26の受光部パターンを示し、(a)は第1の回折素子24の分割パターンと受光部パターンを示す平面図であり、(b)第2回折素子25の分割パターンと受光部パターンを示す平面図である。
【図6】検出モジュール20の調整前後の出力波形と受光素子上の集光スポットに位置関係を示す説明図であり、(a)は調整前の出力波形と受光位置を示し、(b)は調整後の出力波形と受光位置を示す。
【図7】実施の形態2の光ピックアップ装置における第1の回折素子24と受光部パターンとを示す平面図である。
【図8】実施の形態3の光ピックアップ装置における検出モジュール20の構成を説明する図である。
【図9】実施の形態2の光ピックアップ装置におけるホログラム素子21の回折素子面29の分割パターンと回折素子面上のプッシュプルパターンとを示す平面図である。
【図10】実施の形態3の光ピックアップ装置における回折素子面29の分割パターンと受光部パターンとを示す平面図である。
【図11】実施の形態4の光ピックアップ装置の光路を示す系統図である。
【図12】実施の形態4の光ピックアップ装置においてホログラム素子21を採用した場合の受光素子26の受光部パターンを示す平面図であり、(a)第1の回折素子24の分割パターンと受光部パターンとを示し、(b)第2回折素子25の分割パターンと受光部パターンとを示す。
【図13】実施の形態5の光ピックアップ装置の光路を示す系統図である。
【図14】実施の形態5の光ピックアップ装置においてホログラム素子21を採用した場合の受光素子26の受光部パターンを示す平面図であり、(a)第1の回折素子24の分割パターンと受光部パターンを示し、(b)第2回折素子25の分割パターンと受光部パターンを示し、(c)第3の光源波長に対応する受光部パターンを示す。
【図15】従来の情報記録再生装置の構成を示す概略図である。
【図16】実施の形態6の光ピックアップ装置の光路を示す系統図である。
【図17】実施の形態6の光ピックアップ装置における、回折素子面29の分割パターンと受光部パターンとを示す平面図である。
【図18】実施の形態6の光ピックアップ装置における検出モジュールを位置調整する検出モジュール調整機の概略構成を示す図である。
【図19】実施の形態6の光ピックアップ装置における検出モジュールの位置調整方法の概略を示す説明図であり、(a)はホログラム素子21が組立誤差等により光検出器22に対する貼り付け位置からずれた状態を示し、(b)は反射光のビーム中心とホログラム素子21のパターン中心とを一致させた状態を示す。
【図20】実施の形態6の光ピックアップ装置における検出モジュールの位置調整手順(シーケンス)を示すフローチャートであり、(a)は検出モジュールのX軸回転及びY軸回転による回転調整を示し、(b)は検出モジュールのZ軸回転による回転調整を示し、(c)は検出モジュールのZ軸方向の位置調整を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
〔実施の形態1〕
本発明の光ピックアップは、BD、DVD、CDなどの複数の光ディスク(光記録媒体)に対し、ビームを照射することにより、情報を書き込んだり、読み出したりすることができる光情報記録再生装置に組み込まれるものである。
【0064】
本発明の実施の一形態について、図1〜図6に基づいて説明すると、以下の通りである。図1は、本実施形態の光ピックアップ装置の光路を示す系統図である。
【0065】
図1に示されるように、光ピックアップ装置1は、複数の波長の光源を集積化した光源モジュール10と光ディスクからの反射光を受光する検出モジュール20と光源モジュール10と検出モジュール20以外の光学部品が搭載されたメインモジュールで構成されている。メインモジュールを構成する光学部品は、ハウジング30内に収容されている。以下に、それぞれについて以下に詳細を示す。
【0066】
光源モジュール10は、第1の光源11、第2の光源12、及び光結合素子13により構成されている。第1の光源11は、405nm帯(400〜415nm)の光を放射する半導体レーザである。また、第2の光源12は、660nm帯(650〜670nm)の光を放射する半導体レーザである。なお、光源波長は、この波長によるものではなく、再生する光ディスクに対応する波長の光源を適宜選択することが可能である。
【0067】
光結合素子13は、第1の光源11から放射される光の波長帯の直線偏光を反射し、第2の光源12から放射される波長帯の直線偏光を透過する素子である。例えば、光学結合素子13としては、ダイクロイックプリズム等があげられる。
【0068】
また、光結合素子13について、第1の光源11からの直線偏光を反射させるだけでなく、一定の比率で透過させる構成を採用することができる。この場合、第1の光源11の透過光が光結合素子13から出射する位置にAPC(Auto Power Control)用の受光素子14を配置することにより、第1の光源11の光出力の制御が可能となる。また、第2の光源12からの直線偏光を一定の比率で反射させ、APC用受光素子14に入射させることにより、第1の光源11と同様に第2の光源12の光出力を制御することが可能である。光結合素子13で分離する比率としては、第1の光源11、第2の光源12ともに、(光源モジュール10からの出射光量):(APC用受光素子14への入射光量) = 90〜95%:5〜10%程度に設定される。
【0069】
また、本実施形態では、第1の光源11または第2の光源12と、光結合素子13との間に1/2波長板(図示せず)を配置してもよい。これにより、光源から出射される直線偏光の偏光方向を回転させることができるため、光分離素子31へ入射する偏光方向を制御することが可能となる。
【0070】
ここで、第1の光源11及び第2の光源12の配置は、図1に示す構成に限定されず、互いに入れ替えて配置した構成であってもよい。
【0071】
また、第1の光源11及び第2の光源12の出射光は、光源モジュール10から光軸が同軸になるように出射するように調整される。具体的な調整方法については、後述する。
【0072】
光源モジュール10における第1の光源11から出射した光は、光分離素子31により、光ディスクの方向へ反射される。光分離素子31は、光源モジュール10からの出射される直線偏光(例えば、S偏光)を反射し、光ディスクで反射した直線偏光(例えばP偏光)を透過するように設計がなされている。例えば、光分離素子31としては、偏光ビームスプリッタがあげられる。
【0073】
光分離素子31で反射した光は、コリメータレンズ32で平行光になる。コリメータレンズ32は、ステッピングモータや圧電素子等で構成される駆動部33でZ軸方向に移動可能な構成となっている。
【0074】
そして、1/4波長板34により直線偏光から円偏光に変換される。そして、立上げミラー(図示せず)によって反射し、第1の対物レンズ41を介して第1の光ディスクに集光される。
【0075】
ここで、アクチュエータ40の対物レンズホルダ43には、第1の対物レンズ41と第2の対物レンズ42とが取り付けられている。第1の対物レンズ41は、第1の光ディスクに集光するためのレンズである。第2の対物レンズ42は、第2の光ディスクに集光するためのレンズである。なお、第1の光ディスク及び第2の光ディスクは、カバー層が互いに異なる光ディスクである。また、第1の対物レンズ42、及び第2の対物レンズ42は、Y軸方向から見て、Z方向にオフセットされた(はずれた)位置になるように配置されている。また、第1の対物レンズ41及び第2の対物レンズ42は、同一のXZ平面内に取り付けられている。
【0076】
ここで、第1の対物レンズ及び第2の対物レンズがZ軸方向に並んで配置されているが、これに限定されるものではない。第1の対物レンズ41及び第2の対物レンズ42がX軸方向に並んで配置されてもよい。
【0077】
第1の光ディスクにて反射した反射光は、再び第1の対物レンズ41を介して、1/4波長板34で円偏光から直線偏光に変換される。そして、コリメータレンズ32を介して、光分離素子31を透過し、光源モジュール10とは異なる方向に導かれる。光分離素子31を透過した光は、検出レンズ35を介して、検出モジュール20に入射する。検出レンズ35は、凹面と円筒面とから構成されるレンズである。円筒面は、光に非点収差を発生させるための面である。検出レンズ35のレンズ面形状は、後述するサーボ検出方法や、光検出器の受光面サイズ等に基づいて適宜設計されるので、本実施形態に限定されず、凸面や平面の採用も可能である。また、検出レンズ35は、複数のレンズから構成されてもよい。また、検出レンズ35は、Z軸方向に調整可能な構造となっており、レンズコバ部が調整用ガイドの機能を有する構成であってよい。
【0078】
検出モジュール20は、ホログラム素子21と光検出器22とから構成されている。ホログラム素子21は、トラッキング誤差信号検出のために、光を分割するための素子である。光検出器22は、第1の光ディスクにて反射される反射光、及び第2の光ディスクにて反射される反射光を検出する。そして、この検出結果に基づいて、第1の光ディスク、及び第2の光ディスクの記録再生時におけるフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、及び再生信号を得る。
【0079】
ここで、第1の光源11として波長405nm程度のビームを出射する短波長光源を採用し、第1の対物レンズ41としてNA0.85程度の高NA対物レンズを採用している。これにより、第1の光ディスクのトラック上の情報を、高密度で記録再生することが可能になっている。しかしながら、第1の光源11、及び第1の対物レンズ41は、この構成に限定されるものではない。
【0080】
また、このように第1の光源11として短波長光源を採用し、第1の対物レンズ41として高NA対物レンズを採用した場合、第1の光ディスクのカバー層の厚み誤差により大きな球面収差が発生することになる。そこで、光ピックアップ装置1では、このカバー層の厚み誤差で生じる球面収差を補正するために、コリメータレンズ32を光軸方向に位置調整する駆動部33が設けられている。また、光ピックアップ装置1は、コリメートレンズ32と第1の対物レンズ41との間に、2枚のレンズ群で構成されるビームエキスパンダ(図示せず)が配置された構成であってもよい。ビームエキスパンダが配置された構成では、2枚のレンズ群の間隔を調整するビームエキスパンダ駆動機構(図示せず)により、カバー層の厚み誤差で生じる球面収差を補正するようになっている。
【0081】
次に、第2の光源12から出射した光について説明する。
【0082】
光源モジュール10における第2の光源12から出射した光は、光分離素子31により、光ディスクの方向へ反射される。光分離素子31で反射した光は、コリメータレンズ32で平行光にされ、1/4波長板34により直線偏光から円偏光に変換される。そして、立上げミラー(図示せず)によって反射し、第2の対物レンズ42を介して第2の光ディスクに集光される。
【0083】
第2の光ディスクにて反射した反射光は、再び第2の対物レンズ42を介して、1/4波長板34で円偏光から直線偏光に変換される。そして、コリメータレンズ32を介して、光分離素子31を透過し、光源モジュール10とは異なる方向に導かれる。光分離素子31を透過した光は、検出レンズ35を介して、検出モジュール20に入射する。検出モジュール20は、第2の光ディスクの記録再生時におけるフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、及び再生信号を検出する。
【0084】
続いて、光源モジュール10の構造及び組立方法について図1及び図2を用いて説明する。
【0085】
図1に示されるように、光源モジュール10は、第1の光源11、第2の光源12、光結合素子13、APC用受光素子14、第1の光源11を調整するための第1の保持部材15、第2の光源12を調整するための第2の保持部材16、及び光結合素子13を保持する第3の保持部材17から構成されている。
【0086】
ここで、第1の保持部材15における第3の保持部材17と接する位置には、光結合素子13と第1の光源11との距離を管理するための基準面が設けられている。また、第2の保持部材16と第3の保持部材17とが接する位置には、光結合素子13と第2の光源12との距離を管理するための基準面が設けられている。これら基準面は、第1の光源11のXY方向の位置調整、または第2の光源12のXZ方向の位置調整が可能な面である。本実施形態では、基準面について位置調整が可能な2方向を規定しているが、この2方向に係わらず、別の方向の組合せであってもよい。例えば、1方向のみの調整であってもよい。
また、光源にレーザを用いた場合、光源の放射角にバラツキがあるので、バラツキを補正するために、光源の出射光の方向に対して傾斜可能な構成が追加されていてもよい。
【0087】
第3の保持部材17は、ハウジング30と接する位置に基準面が設けられていることが望ましい。この基準面を設けることにより、後述するピックアップの調整を精度良く行うことが可能となる。
【0088】
第1の光源11及び第2の光源12を同軸配置するための調整光学系を図2に示す。
【0089】
調整用光学系は、基準レンズ50と光軸検査装置51とから構成されている。基準レンズ50としては、光ピックアップ装置のコリメータレンズや汎用のレンズが用いられる。光軸検査装置101として、オートコリメータ、シャックハルトマンセンサー、CCDカメラ、CMOSカメラ等を用いることにより、光源モジュール10の出射光軸の観測が可能となる。
【0090】
次に、図2に示される調整光学系を用いた、具体的な調整方法について、さらに詳細に述べる。
【0091】
基準レンズ50と光軸検査装置51との位置関係は、予め調整されている。
【0092】
また、光源モジュール10における、第3の保持部材17、第1の光源11を保持する第1の保持部材15、及び第2の光源12を保持する第2の保持部材16はそれぞれ、独立に治具(図示せず)により保持されている。
【0093】
まず、第1の光源11について、出射光が、基準レンズ50を介して光軸検査装置51に入射するように、XY方向に位置調整する。続いて、光軸検査装置51に平行光が入射するように、第1の保持部材15、第2の保持部材16、第3の保持部材17を同時にX方向に位置調整する。そして、再度、第1の保持部材15のみをXY方向に位置調整し、第1の光源11の位置調整が完了する。
【0094】
次に、第2の光源12について、出射光が、基準レンズ50を介して、光軸検査装置51に入射するようにYZ方向に位置調整する。その後、光軸検査装置51に入射する光が平行光となるように、第2の保持部材16をX方向に位置調整する。再度、第2の保持部材16をYZ方向に調整し、第2の光源12の位置調整が完了する。
【0095】
第1の光源11及び第2の光源12の位置調整は、1回のみではなく複数回繰り返し行ってもよい。複数回実施することにより光軸調整の精度を向上させることが可能となる。
【0096】
その後、第1の保持部材16、第2の保持部材17、及び第3の保持部材17の接着固定を行う。接着には、UV接着剤や熱硬化接着剤が用いられる。
【0097】
次に、光ピックアップ装置1における検出モジュール20の構成について、図3を用いて説明する。
【0098】
検出モジュール20は、ホログラム素子21と、光検出器22とホログラム素子21と、光検出器22との間隔を調整し保持する保持部材23とからなる。
【0099】
ホログラム素子21は、第1の光源11から放射された波長の光を回折する第1の回折素子24と第2の光源12から放射された第2の波長の光を回折する第2の回折素子25で構成されている。
【0100】
光検出器22は、受光素子26、パッケージ部材27、及び封止用ガラス28で構成されている。受光素子26は、複数の光ディスクからの反射光を検出するための素子である。パッケージ部材27は、受光素子26を固定する部材である。パッケージ部材27には、その外部に信号を出力するための電気配線が設けられている。受光素子26とパッケージ部材27とは、パッケージ部材27内でワイヤーボンディング等により結線されている。封止用ガラス28は、受光素子26面上に埃が付着することを防ぐための部材である。ここで受光素子26面上に埃が付着しないよう封止用ガラス28を用いているが、封止用ガラス28を用いず、ホログラム素子21と保持部材23により、受光素子26面上への埃の付着を防いでもよい。この構成により、検出モジュール20のコストを低減することが可能となる。
【0101】
続いて、検出モジュール20の組立及び調整方法について、説明する。
【0102】
保持部材23は、光検出器22のパッケージ部材27上であり、かつパッケージ部材22の開口部に干渉しない位置に、予め接着固定されている。この接着固定には、UV接着剤や熱硬化接着剤が用いられる。
【0103】
その後、保持部材23上にホログラム素子21を配置し、位置調整を行う。この位置調整は、受光素子26に設けられた受光パターン中心上にホログラム中心が配置されるように行う必要がある。
【0104】
具体的には、ホログラム素子21における光ディスクからの反射光が入射しない位置に調整用マーカーを設ける。また、光検出器22内の受光素子26に位置決めマーカーを設ける。そして、調整用マーカー及び位置決めマーカーそれぞれを観測しながら、ホログラム素子の位置決めを行う。観測には、顕微鏡を用いて行えばよい。位置決めマーカー以外に、第1の回折素子24に設けたホログラムパターンと受光素子26の分割パターンを用いて調整を行ってもよい。
【0105】
このようなXY方向の位置調整及び回転方向の調整を行うことにより、光ピックアップ装置1に対物レンズシフトが発生した場合でも良好なトラッキング誤差信号を検出することが可能となる。
【0106】
また、XY方向の位置調整に加え、受光素子26と第1の回折素子24との面間距離(Z軸方向)の調整を行ってもよい。このような面間距離の調整を行うことにより、部材の製造公差を吸収することができる。このため、公差の発生を考慮する必要なく、公差の発生を前提にした設計マージンを小さくできる。それゆえ、受光部パターンを縮小することができ、受光素子26のサイズを小さくなるため、コストを低減することが可能となる。
【0107】
また、ホログラム素子21と光検出器22との間に、レンズ等の光学部品が配置されないため、検出モジュール20を容易に作製することが可能となる。
【0108】
図4は、第1の回折素子24及び第2の回折素子25の分割パターンとそれぞれの回折素子面上のプッシュプルパターンとを示している。
【0109】
図4(a)は、検出モジュール20における第1の回折素子24の分割パターンとその回折素子面上のプッシュプルパターン60を示している。第1の回折素子24は、トラッキング誤差信号を検出するために6つの領域に分割された分割パターンを有している。第1の回折素子24では、プッシュプル信号を検出するために、24a及び24bの2つ領域に分割されている。また、対物レンズシフト信号を検出するために24c〜24fの4つの領域に分割されている。第1の回折素子24の格子ピッチは、受光素子26までの距離と受光部パターンとの位置から決定される。
【0110】
図4(b)は、第2の回折素子25の分割パターンとその回折素子面上のプッシュプルパターンを示している。図4(b)に示されるように、第2の回折素子25は、トラッキング誤差信号を検出するために6つの領域に分割され、第1の回折素子24と同様の分割パターンを有する。すなわち、第2の回折素子25では、プッシュプル信号を検出するために、25aと25bの2つ領域に分割されている。また、対物レンズシフト信号を検出するために25c〜25fの4つの領域に分割されている。
【0111】
なお、図4(a)及び図4(b)に示された例では、第1の回折素子24及び第2の回折素子25は、同様の分割パターンを有しているが、この構成に限定されるものではない。第1の回折素子24及び第2の回折素子25の分割パターンが互いに異なっている構成であってもよい。
【0112】
また、第1の回折素子24及び第2の回折素子25の分割パターンは、それぞれのパターン中心が互いに同じ位置になるように、位置決めされ製造される。
【0113】
図5は、光ピックアップ装置1においてホログラム素子21を採用した場合の、受光素子26の受光部パターンを示している。光ピックアップ装置1では、受光素子26が、第1の光源11と第2の光源12それぞれの光源から出射した光を同じ受光部パターンで受光する構成になっている。
【0114】
図5(a)は、第1の回折素子24と受光素子26との関係を説明する図である。
【0115】
受光素子26の受光部パターンは、第1の回折素子24による非回折光(0次回折光)を受光する4つの受光部26a、26b、26c、及び26dと、第1の回折素子24による1次回折光を受光する4つの受光部26i、26j、26k、及び26lとから構成されている。
【0116】
第1の回折素子24は、その分割パターンの中心が受光部26a〜26dの中心と一致し、かつZ軸方向にある間隔で離間して配置されている。図5(a)では、受光部パターンを明確にするため、第1の回折素子24は、受光素子26に対してY方向にオフセットした位置に配置し記載している。
【0117】
図5(b)は、第2の回折素子25と受光素子26との関係を説明する図である。
【0118】
図5(b)に示されるように、4つの受光部26a、26b、26c、及び26dは、第2の回折素子25による非回折光(0次回折光)を受光するようになっている。また、4つの受光部26i、26j、26k、及び26lは、第2の回折素子25による1次回折光を受光するようになっている。
【0119】
受光素子26における1次回折光を受光する4つの受光部26i、26j、26k、及び26lはそれぞれ、その受光部形状が、ホログラム素子21により回折される回折方向に長い形状(矩形形状)であることが望ましい。これにより、製造公差、部品公差、光源の波長変動等の誤差要因が発生した場合でも、受光部から集光スポットがはみ出ることを防ぐことができ、安定なサーボ制御が可能になる。
【0120】
次に、図5(a)及び図5(b)を用いて、サーボ信号生成の動作について説明する。ここで、受光部26a〜26d,26i〜26lの出力信号を、Sa〜Sd,Si〜Slと表す。
【0121】
まず、RF信号(RF)は、非回折光を受光する受光部26a〜26dからの出力信号を用いて、下記式(1)に基づいて検出される。
RF=Sa+Sb+Sc+Sd (1)
DPD法によりトラッキング誤差信号を検出する場合、トラッキング誤差信号(TES1)は、Sa〜Sdの位相比較を行うことにより検出される。
【0122】
また、トラッキング誤差信号は、1ビームDPP法により検出される。トラッキング誤差信号(TES2)は、下記式(2)に基づいて検出される。
TES2=(Si−Sj)−α(Sk−Sl) (2)
ここで、αは、対物レンズシフトや光ディスクチルトによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
【0123】
フォーカス誤差信号(FES)は、非点収差法を用いて、下記式(3)に基づいて検出する。
FES=(Sa+Sc)−(Sb+Sd) (3)
光ピックアップ装置1では、第1の光源11及び第2の光源12から出射される光について、受光素子26が、同一の受光部パターンで受光する。このため、同じ演算によりサーボ信号を検出している。
【0124】
続いて、光源モジュール10と検出モジュール20とを用いた光ピックアップ装置1の組立方法について、図1及び図6を用いて説明する。
【0125】
なお、光ピックアップ装置1には、予め、光分離素子31、1/4波長板34、及び立上げミラーが接着固定されている。
【0126】
次に、コリメータレンズ32及び駆動部33が一体となった収差補正ユニットが調整固定される。収差補正ユニットの位置調整は、ハウジング30及び収差補正ユニットに設けられた位置決め部材(図示せず)を用いて位置決めがなされる。この位置決め部材を用いた位置調整の他に、コリメータレンズ32のレンズ外形、レンズ中心、レンズコバ面等を用いて、収差補正ユニットのXY方向における位置調整やチルト調整を行ってもよい。このような調整を行うことにより、安定したサーボ信号を検出できるとともに、再生信号の信号品質を向上させることが可能となる。
【0127】
収差補正ユニットが調整固定された後、光源モジュール10がハウジング30に取り付けられる。ハウジング30には、光源モジュール10を配置するための貫通穴が設けられていることが望ましい。この構造により、光源モジュール10をXY方向に位置調整することが可能になる。ここで、光源モジュール10とハウジング30とは、基準面を介して接することが望ましい。基準面の構造としては、ハウジング30と光源モジュール10との接触面積を小さくするため、円柱形状の突起部を設けた構造が考えられる。突起部のサイズ及び突起量については、調整時の負荷等を考慮に決定される。また、ハウジング30に設けられた貫通穴と光源モジュール10とのクリアランス部分に、接着剤を均一(例えば、周囲4カ所)に塗布することにより、ハウジング30に光源モジュール10を精度良く固定することが可能になる。
【0128】
光源モジュール10の位置調整は、光源モジュール10における第1の光源11及び第2の光源12のいずれかを点灯させて行う。ここでは、第1の光源11を用いた調整方法について説明する。第1の光源11から出射された光は、光源モジュール10から発散光として出射される。この光は、光分離素子31の反射面で反射され、コリメータレンズ32に入射し平行光にされた後、1/4波長板34、立上ミラーを介して、ハウジング30から出射される(この段階では、アクチュエータ40は取り付けられていない)。この出射光は、光軸観測装置により観測される。観測した出射光軸について、立上ミラーにより90度方向に曲げられた光軸が、ハウジングの上面(図1X−Z平面)に対して、垂直となるように、光源モジュール10についてYZ方向の位置調整を行う。出射光軸が平行光でない時は、コリメータレンズ32をZ軸方向に移動させ平行光にする。出射光軸が垂直に出射されたことを確認した後、光源モジュール10とハウジング30とを接着固定する。
【0129】
ここで、第2の光源12を点灯させ、出射光軸を確認してもよい。確認することにより、光源モジュール10単体の調整誤差等に起因する不良を未然に防ぐことができ、後工程への不良品の流入を防ぐことができる。
【0130】
続いて、アクチュエータ40の調整方法について説明する。アクチュエータ40は、出射光軸が、アクチュエータ40に取り付けられた第1の対物レンズ41に対し垂直に入射するように調整される。具体的には、第1の対物レンズ41の出射光を直接観測し、チルトが発生しない位置に調整される。また、チルトセンサーを用いて、第1の対物レンズ41のコバ部におけるチルトを観測し、調整を行ってもよい。
【0131】
アクチュエータ40の調整固定が完了した後、検出レンズ35と検出モジュール20との調整が行われる。
【0132】
検出モジュール20の調整には、調整用光ディスクを用いる。調整用光ディスクは、調整時に用いる光源波長に対応したものを用いればよい。次に具体的な調整方法を説明する。
【0133】
検出レンズ35は、ハウジング30に搭載されている。そして、検出モジュール20は、ハウジング30に設けられた凹部、または貫通穴(図示せず)に配置され、調整用治具(図示せず)により保持されている。貫通穴の構造を採用した場合、凹部構造に対して、ハウジング30の強度を増加させることが可能になるため、組立調整時や落下衝撃時のハウジングの変形を防止することが可能になる。また、ハウジング30と検出モジュール20とが接する位置に基準面が設けてあることが望ましい。基準面の構造としては、ハウジングと検出モジュールとの接触面積を小さくするため、円柱形状の突起部を設けた構造が考えられる。突起部のサイズ、突起量については、調整時の負荷等を考慮して決定する。
【0134】
調整用光ディスクからの反射光は、第1の対物レンズ41、立上ミラー、1/4波長板34、コリメータレンズ32を介して、光分離素子31に入射する。そして、この反射光は、光分離素子31で、光源モジュール10と異なる方向に導かれ、検出レンズ35に入射する。そして、検出レンズ35の円筒面で非点収差が付与され、検出モジュール20に入射する。検出モジュール20では、第1の回折素子24により、非回折光と1次回折光に分離され、光検出器22内の受光素子26で受光される。
【0135】
検出モジュール20の調整は、受光素子26からの出力信号を用いて行われる。
【0136】
まず、フォーカス制御を行っていない状態で粗調整を行う。図6は、検出モジュール20の調整前後の出力波形及び受光素子と集光スポットに位置関係を示している。図6(a)は、受光素子26における非回折光を受光する受光部26a〜26d上の、調整前の入射ビームの位置(受光位置)とその時の出力波形(出力信号)を示している。また、図6(b)は、受光素子26における非回折光を受光する受光部26a〜26d上の調整後の入射ビームの位置(受光位置)とその時の出力波形(出力信号)を示している。図6(a)に示される波形から分かるように、受光素子26における受光部26a〜26dの中心と入射ビームの光軸(中心)とが一致していない場合、受光部26a〜26dからの出力信号は、揃っていない。一方、図6(b)に示される波形から分かるように、受光位置が受光部26a〜26dの中心に調整された場合、受光部26a〜26dからの出力信号が均等になる。このように調整は、各受光部からの出力信号が均等になるように行うとよい。
【0137】
さらに、フォーカス制御を行って、プッシュプル信号を検出し、各受光部における出力信号の振幅、及びDC出力レベルを用いて、調整を行ってもよい。この調整により、さらに、入射ビームが受光部26a〜26dの中心で受光されるように、検出モジュール20を精度よく配置することが可能となる。また、観測する出力信号に、非回折光からの出力信号に加え、1次回折光からの出力信号も用いることで、さらに精度のよい調整が可能となる。この場合、調整は受光部26a〜26dからの出力信号が均等になるのに加えて、1次回折光を受光する受光部26k、26lからの出力信号が等しくなるように行う。この調整により、対物レンズシフト方向(図中X方向)への精度をより向上させることができ、対物レンズシフト発生のトラッキング誤差信号の品質を向上させることが可能となる。
加えて、プッシュプル信号の振幅が、均等になるように検出レンズ35の回転調整を行ってもよい。この調整により、FES信号へプッシュプル信号の混入を低減できるため、安定なフォーカス制御が可能となる。ここで検出レンズ35ではなく、検出モジュール20を回転させてもよい。
【0138】
次に、検出レンズ35の位置調整方法について説明する。
【0139】
検出レンズ35の光軸方向(Z方向)の調整は、フォーカス制御に加え、トラッキング制御を行い、光ディスクの情報再生信号の信号品質を計測し行う。最適な調整位置は、ジッターボトム値や、情報再生信号の信号振幅の最大値が観測される位置である。
【0140】
上述の検出モジュール20と検出レンズ35との調整工程は、1回のみ行うのではなく、複数回実施することにより、より調整精度を向上させることができ、良好なサーボ信号及び情報再生信号を得ることが可能となる。
【0141】
本実施形態では、検出レンズ35をZ軸方向に調整し、検出モジュール20をXY方向に調整する工程について説明を行ったが、検出レンズ35のZ軸方向を固定し検出モジュールをXYZ方向に調整してもよい。この調整方法により、検出レンズ35の調整を行う必要がないため、調整用治具が不要となり、ピックアップの組立コストを低減することが可能となる。
【0142】
ここで、第2の光源12からの出射光は、光源モジュール10の調整により、第1の光源11からの出射光と同軸になるように調整されているため、コリメータレンズ32には、光軸ずれ無く入射させることが可能である。また、第2の対物レンズ42により、光ディスクの記録面上に、収差の小さい集光スポットを形成することができる。結果として、第2の光源12からの出射光に対しても、良好なサーボ信号と情報再生信号を検出することが可能となるため、第2の光源12の波長に対応した調整用光ディスクを用いた調整を行うことなく、第1の光源11からの出射光のみで調整を行えばよい。
【0143】
以上のように、予め複数の光源の光軸を同軸に合わせる調整を実施した光源モジュール10と予めホログラム素子21と光検出器22の位置調整を行った検出モジュール20と、光源モジュール10と検出モジュール20以外の光学部品から構成されるハウジング30からなる光ピックアップ装置1の構成を採用する。これにより、調整時においても、良好なサーボ信号及び再生信号を得ることが可能であるため、調整精度の高い光ピックアップ装置を提供することができる。
【0144】
また、1種類の光ディスクのみで調整を行うだけで、複数の光ディスクの記録再生可能な光ピックアップ装置の提供することが可能となり、複数の光ディスクを用いた調整が必要ないため、製造工程数を削減することができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0145】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態の光ピックアップ装置における第1の回折素子24と受光素子26との関係を示している。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0146】
本実施形態においては、受光素子26の受光部のパターンが実施の形態1と異なる。
【0147】
本実施形態の光ピックアップ装置における受光素子26の受光部パターンは、第1の回折素子24による非回折光(0次回折光)を受光する4つ受光部26a、26b、26c、及び26dと、第1の回折素子24による1次回折光を受光する6つの受光部26i、26j、26k1、26k2、26l1、26l2とから構成されている。
【0148】
第1の回折素子24は、その分割パターンの中心が受光部26a〜26dの中心と一致し、かつZ軸方向にある間隔を持って離間して配置されている。図7では、受光部パターンを明確にするため、第1の回折素子24は、受光素子26に対してY方向にオフセットした位置に配置し記載している。
【0149】
図7に示された受光部パターンを用いた場合、検出モジュール20の位置調整時に、受光部26a〜26dを用いた調整に加え、X方向の位置調整のために、受光部26k1及び26k2からの出力信号、または受光部26l1及び26l2からの出力信号が均等になるように調整する。また、Y方向の位置調整のために、受光部26k1からの出力信号+受光部26l1からの出力信号と、受光部26k2からの出力信号+受光部26l2からの出力信号とが均等になるように調整を行う。別の方法として、受光部26k1、26k2、26l1、及び26l2それぞれからの出力信号が均等になるように調整を行ってもよい。この調整により、対物レンズシフト方向への精度をより向上させることができ、対物レンズシフト発生時のトラッキング誤差信号の品質を向上させることが可能となる。
本実施形態では、第1の回折素子24についてのみ説明を行ったが、第2の回折素子25についても適用可能である。
【0150】
また、図6に示される受光部パターンを採用した場合、トラッキング誤差信号(TES3)は、下記式(4)に基づき検出される。なお、式(4)では、受光部26i〜26l2の出力信号を、Si〜Sl2と表す。
TES3=(Si−Sj)−α{(Sk1+Sk2)−(Sl1+Sl2)} (4)
ここで、αは対物レンズシフトや光ディスクチルトによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
【0151】
〔実施の形態3〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図8〜図10に基づいて説明する。図8は、本実施形態の光ピックアップ装置における検出モジュール20の構成を示している。図9は、本実施形態の光ピックアップ装置における検出モジュール20の回折素子面29の分割パターンとプッシュプルパターンとを示している。図10は、本実施形態の光ピックアップ装置における受光素子26の受光部パターンを示している。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0152】
本実施の形態においては、検出モジュール20に備えられたホログラム素子21及び受光素子26の受光部のパターンが、実施の形態1と異なる。
【0153】
図8に示されるように、検出モジュール20は、ホログラム素子21と、光検出器22と、ホログラム素子21と光検出器22との間隔を調整し保持する保持部材23とからなる。
【0154】
ホログラム素子21は、その表面に回折素子面29が形成されている。
【0155】
光検出器22は、受光素子26、パッケージ部材27、及び封止用ガラス28で構成されている。受光素子26は、複数の光ディスクからの反射光を検出するための素子である。パッケージ部材27は、受光素子26を固定する部材である。パッケージ部材27には、その外部に信号を出力するための電気配線が設けられている。受光素子26とパッケージ部材27とは、ワイヤーボンディング等により結線されている。封止用ガラス28は、受光素子26面上に埃が付着することを防ぐための部材である。ここで受光素子26面上に埃が付着しないよう封止用ガラス28を用いているが、封止用ガラス28を用いず、ホログラム素子21と保持部材23により、受光素子26面上への埃の付着を防いでも良い。この構成により、検出モジュール20のコストを低減することが可能となる。
【0156】
図9は、回折素子面29の分割パターンと回折素子面29上のプッシュプルパターン60とを示している。回折素子面29は、トラッキング誤差信号を検出するために、6つの領域に分割された分割パターンを有している。回折素子面29では、プッシュプル信号を検出するために29a及び29bの2つ領域に分割されている。また、対物レンズシフト信号を検出するために、29c〜29fの4つの領域に分割されている。回折素子面29の格子ピッチは、受光素子26までの距離と受光部パターンとの位置から決定される。
【0157】
図10は、図8に示すホログラム素子21を採用した場合の、受光素子26の受光部パターンを示している。受光素子26の受光部パターンは、4つの受光部26a、26b、26c、26dと、4つの受光部26i、26j、26k、26lと、4つの受光部26i’、26f’、26g’、26h’とから構成されている。4つの受光部26a、26b、26c、26dは、第1の光源11及び第2の光源12それぞれの出射光について回折素子面29にて回折しない非回折光(0次回折光)を受光する。また、4つの受光部26i、26j、26k、26lは、第1の光源11の波長帯を有する1次回折光を受光する。4つの受光部26i’、26f’、26g’、26h’は、第2の光源12の波長帯を有する1次回折光を受光する。
【0158】
詳細には、ホログラム素子21の回折素子面29は、第1の光源11の波長帯の光が受光部パターン26i〜26lに回折するように、格子ピッチ及びパターンが設計されている。また、回折素子面29に第2の光源12の波長帯の光を入射させる場合、第2の光源12の波長帯の光の回折角は、第1の光源11の波長帯の光の回折角と異なる。受光部26i’〜26l’は、第2の光源12の波長帯の光の回折角で受光できる位置に配置されている。本実施形態では、(第1の光源11の波長帯)<(第2の光源12の波長帯)の関係である。
【0159】
図10を用いて、サーボ信号生成の動作を説明する。受光部26a〜26d,26i〜26l、26i’〜26l’の出力信号をSa〜Sd,Si〜Sl、Si’〜Sl’と表す。
【0160】
RF信号(RF)は、非回折光を受光する受光部26a〜26dからの出力信号を用いて、下記式(1)に基づいて検出される。
RF=Sa+Sb+Sc+Sd (1)
DPD法によりトラッキング誤差信号を検出する場合、トラッキング誤差信号(TES1)は、Sa〜Sdの位相比較を行うことにより検出される。
【0161】
第1の光源11から出射される光について、トラッキング誤差信号(TES2)は、1ビームDPP法により、以下の式(2)で検出される。
TES2=(Si−Sj)−α(Sk−Sl) (2)
第2の光源12から出射される光について、トラッキング誤差信号(TES4)は、1ビームDPP法により、以下の式(5)で検出される。
TES4=(Si’−Sj’)−α(Sk’−Sl’) (5)
ここで、αは、対物レンズシフトや光ディスクチルトによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
【0162】
フォーカス誤差信号(FES)は、非点収差法を用いて、式(3)に基づいて検出する。
FES=(Sa+Sc)−(Sb+Sd) (3)
本実施形態では、トラッキング誤差信号のみ、第1の光源11と第2の光源12とで異なるサーボ信号生成を行っている。
【0163】
〔実施の形態4〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図11及び図12に基づいて説明すると、以下の通りである。図11は、本実施形態の光ピックアップ装置1の構成を示している。図12は、本実施形態における受光素子26の受光部パターンを示している。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0164】
本実施形態においては、光ピックアップ装置1の光源モジュール10にグレーティング18が追加されている点が、実施の形態1と異なる。
【0165】
光源モジュール10は、第1の光源11、第2の光源12、光結合素子13、及びグレーティング18により構成されている。第1の光源11は、405nm帯(400〜415nm)の光を放射する半導体レーザである。また、第2の光源12は、660nm(650〜670nm)の光を放射する半導体レーザである。光源波長は、この波長によるものではなく、再生する光記録媒体に対応する波長の光源を適宜選択することが可能である。
【0166】
光結合素子13は、第1の光源11から放射される光の波長帯の直線偏光を反射し、第2の光源12から放射される波長帯の直線偏光を透過する素子である。光結合素子13としては、例えばダイクロイックプリズム等が挙げられる。
【0167】
また、光結合素子13について、第1の光源11からの直線偏光を反射させるだけでなく、一定に比率で透過させる構成を採用することができる。この場合、第1の光源11の透過光が光結合素子13から出射する位置にAPC用の受光素子14を配置することにより、第1の光源11の光出力の制御が可能となる。また、第2の光源12からの直線偏光を一定の比率で反射させ、APC用受光素子14に入射させることにより、第1の光源11と同様に第2の光源12の光出力を制御することが可能である。光結合素子13で分離する比率としては、第1の光源11、第2の光源12とも、(光源モジュール10からの出射光量):(APC用受光素子14への入射光量) = 90〜95%:5〜10%程度に設定される。
【0168】
ここで、第1の光源11及び第2の光源12の配置は、図11に示す構成に限定されず、互いに入れ替えて配置した構成であってもよい。
【0169】
グレーティング18は、光ディスクの記録面上で複数のスポット(例えば3ビーム)を形成するために用いられる。グレーティング18のパターンは、3ビーム法やDPP法に用いるための構成や、位相シフトDPP法、インラインDPP法のように、光の一部に位相変化を持たせる領域を有する構成であってもよく、トラッキング制御方式に合わせて適宜選択される。さらに、実施の形態1に記載した1/2波長板にグレーティング18を一体となるように形成した素子を用いてもよい。これにより、部品点数を削減することができ、調整工程を簡略化することが可能となる。また、グレーティング18は、光結合素子13と一体となるように接着剤で固定されていてもよい。この構成により、グレーティング18の回転調整に必要な保持部材を削減することが可能となり、コストの低減が可能となる。
【0170】
さらに、光源11と光結合素子13との間に1/2波長板を配置してもよい。この構成により、ビームスプリッタの設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0171】
また、第1の光源11及び第2の光源12の出射光は、上述した調整方法により、光源モジュール10から光軸が同軸になるように出射するように調整される。
【0172】
本実施形態における光ピックアップ装置の組立方法について説明する。本実施形態では、第2の光源12の光路中にグレーティング18が追加されているため、光源モジュール10の位置調整のみ異なる。ここでは、光源モジュール10の位置調整についてのみ説明する。その他の調整方法は、実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0173】
光源モジュール10の位置調整は、光源モジュール10における第1の光源11及び第2の光源12にいずれかを点灯させて行う。ここでは、グレーティング18を透過する第2の光源12を用いた調整方法について説明する。第2の光12から出射された光は、グレーティング18によりメインビーム(0次光)とサブビーム(±1次光)とに分けられ、光源モジュール10から出射される。この光は、光分離素子31の反射面で反射され、コリメータレンズ32に入射し平行光にされた後、1/4波長板34、立上ミラーを介して、ハウジング30から出射される(この段階では、アクチュエータ40は取り付けられていない)。この出射光は、光軸観測装置により観測される。観測した出射光軸について、立上ミラーにより90度方向に曲げられた光軸が、ハウジングの上面(図1X−Z平面)に対して、垂直となるように、光源モジュール10についてYZ方向の位置調整を行う。出射光軸が平行光でない時は、コリメータレンズ32をZ軸方向に移動させ平行光にする。
【0174】
さらに、グレーティング18で分割された光は、光ディスクのトラックに対して、所定の位置に配置する必要がある。トラッキング制御方式として、DPP法を採用した場合を考えると、メインビームである0次光に対して、サブビーム(±1次光)は、隣接するトラックに配置するように調整が必要となる。この調整は、光源モジュールを回転させることにより行い、光軸調整装置に入射した±1次光を観測し、予め設定した角度に回転調整を行うことにより、光ディスク上における所定の位置に光を照射することが可能となる。出射光軸が垂直に出射され、所定の角度に光が出射していることを確認した後、光源モジュール10とハウジング30とを接着固定する。
【0175】
ここで、第1の光源11を点灯させ、出射光軸を確認してもよい。確認することにより、光源モジュール事態の調整誤差等に起因する不良を未然に防ぐことができ、後工程への不良品の流入を防ぐことができる。
【0176】
本実施形態では、第2の光源12を用いて調整を行っているが、第1の光源11を用いて光軸調整を行い、第2の光源12を用いて光源モジュール10の回転調整のみ行ってもよい。
【0177】
図12(a)及び(b)は、本実施形態における受光素子26の受光部パターンを示している。本実施形態では、ホログラム素子21として実施の形態1のホログラム素子を用いた場合について説明する。
【0178】
本実施形態における受光素子26の受光部パターンは、4つの受光部26a、26b、26c、26dと、4つの受光部26i、26j、26k、26lと、8つの受光部26e、26f、26g、26h、26e’、26f’、26g’、26h’とから構成されている。4つの受光部26a、26b、26c、26dは、第1の光源11の出射光の第1の回折素子24による非回折光、及び第2の光源12の出射光の第2の回折素子25による非回折光を受光する。また、4つの受光部26i、26j、26k、26lは、第1の光源11の波長帯を有する1次回折光、及び第2の光源12の波長帯を有する1次回折光を受光する。8つの受光部26e、26f、26g、26h、26e’、26f’、26g’、26h’は、第2の光源12の出射光について、グレーティング18のより分割されたサブビームを受光する。
【0179】
図12(a)及び(b)を用いて、サーボ信号生成の動作を説明する。受光部26a〜26l、26e’〜26h’の出力信号をSa〜Sl、Se’〜Sh’と表す。
【0180】
RF信号(RF)は、非回折光を受光する受光部26a〜26dからの出力信号を用いて、下記式(1)に基づいて検出される。
RF=Sa+Sb+Sc+Sd (1)
DPD法によりトラッキング誤差信号を検出する場合、トラッキング誤差信号(TES1)は、Sa〜Sdの位相比較を行うことにより検出される。
【0181】
また、トラッキング誤差信号は、1ビームDPP法により検出される。トラッキング誤差信号(TES2)は、下記式(2)に基づいて検出される。
TES2=(Si−Sj)−α(Sk−Sl) (2)
また、第2の光源12の出射光について、3ビームDPP法によりトラッキングサーボを行うことが可能である。この場合、トラッキング誤差信号(TES5)は、3ビームDPP法を用いて、以下の式(6)で検出される。
TES5={(Sa+Sd)−(Sb+Sc)}−α{(Se+Se’+Sh+Sh’)−(Sf+Sf’+Sg+Sg’)} (6)
ここで、αは対物レンズシフトや光ディスクチルトによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
【0182】
フォーカス誤差信号(FES)は、非点収差法を用いて、下記式(3)に基づいて検出する。
FES=(Sa+Sc)−(Sb+Sd) (3)
また、グレーティング18により3ビームを生成した場合、フォーカス誤差信号(FES2)は、差動非点収差法を用いて検出することが可能である。この場合、フォーカス誤差信号(FES2)は、差動非点収差法により、以下の式(7)に基づいて検出される。
FES2={(Sa+Sc)−(Sb+Sd)}+{(Se+Se’+Sg+Sg’)−(Sf+Sf’+Sh+Sh’)} (7)
本実施形態においては、第2の光源12を用いた光学系において、DVD−RAMの記録再生時に、3ビームDPP法及び差動非点収差法を採用してサーボ検出を行っている。これは、DVDではトラックピッチの異なるディスク規格が存在するため、すべてのディスクに対して、3ビームの最適配置を行うことができない。そのため、3ビームのビーム配置をDVD−RAMで最適となるように光源モジュール10の回転調整を行い、DVD−RAM以外のディスクについては、1ビームDPP法により検出を行う。このサーボ検出により、DVDの複数に規格に対して安定なフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことが可能になる。加えて、モジュールの回転調整もDVD-RAMのみに合うように回転調整を行うのみでよく、検出モジュール20の調整時に複数の光ディスクを再生することなく、第1の光源波長に対応した光ディスクのみでの調整が可能である。
【0183】
また、本実施形態では、第2の光源のみにグレーティングを追加しているが、第1の光源にグレーティングを追加してもよい。その場合でも、グレーティングの格子ピッチを調整することにより、26e〜26hと26e’〜26h’に受光することは可能である。サーボ方式としては、差動非点収差法を採用することにより、良好なフォーカスサーボを実現することが可能となる。
【0184】
〔実施の形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、図13及び図14に基づいて説明すると、以下の通りである。図14は、本実施形態の光ピックアップ装置の構成を示している。図14は、本実施形態における受光部パターンを示している。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0185】
本実施形態は、第1の光源11及び第2の光源12に加えて、第3の光源19が追加されている点が、実施の形態1と異なる。
【0186】
図13は、本実施形態の光ピックアップ装置の光路を示す系統図である。
【0187】
光源モジュール10は、第1の光源11、第2の光源12及び光結合素子13により構成されている。第1の光源11は、405nm帯(400〜415nm)の光を放射し、第2の光源12は、660nm帯(650〜670nm)の光を放射し、第3の光源19は、785nm帯(770〜800nm)の光を放射する半導体レーザである。ここで、第2の光源12及び第3の光源19は、2つの光源が1つのパッケージで構成される2波長半導体レーザを構成する。第2の光源12及び第3の光源19は、100μm程度離れた位置に発光点位置が配置されている。
【0188】
光源波長は、この波長によるものではなく、再生する光記録媒体に対応する波長の光源を適宜選択することが可能である。
【0189】
光結合素子13は、第1の光源11から放射される光の波長帯の直線偏光を反射し、第2の光源12、第3の光源19から放射される波長帯の直線偏光を透過する素子である。例えば、ダイクロイックプリズム等があげられる。
【0190】
また、第1の光源11からの直線偏光を反射させるだけでなく、一定に比率透過させる構成を採用することにより、第1の光源11の透過光が光結合素子13から出射する位置にAPC用の受光素子14を配置することにより、第1の光源11の光出力の制御が可能となる。また、第2の光源12及び第3の光源19からの直線偏光を一定の比率で反射させ、APC用受光素子14に入射させることにより、第1の光源11と同様に第2の光源12、第3の光源19の光出力を制御することが可能である。光結合素子13で分離する比率としては、第1の光源11、第2の光源12、第3の光源19とも、(光源モジュール10からの出射光量):(APC用受光素子14への入射光量) = 90〜95%:5〜10%程度に設定される。
【0191】
ここで、第1の光源11、第2の光源12、及び第3の光源19の配置は、図13に示す構成に限定されず、互いに入れ替えて配置した構成であってもよい。
【0192】
また、第1の光源11及び第2の光源12の出射光は、光源モジュール10から光軸が同軸になるように出射するように調整される。具体的な調整方法については、後述する。また、第3の光源19については、第2の光源12に対して、100μm程度Z方向にオフセットして配置しているため、第2の光源12及び第3の光源19は、同軸配置になっていない。
【0193】
光源モジュールの調整、及び光ピックアップ装置の調整方法は、実施の形態1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0194】
図14(a)〜(c)は、本実施形態における受光素子26の受光部パターンを示している。本実施形態では、ホログラム素子21として実施の形態1のホログラム素子を用いた場合について説明する。
【0195】
本実施形態における受光素子26の受光部パターンは、4つの受光部26a、26b、26c、26dと、4つの受光部26i、26j、26k、26lと、8つの受光部26e、26f、26g、26h、26e’、26f’、26g’、26h’と、4つの受光部260a、260b、260c、260dと、4つの受光部260e、260f、260e’、260f’とから構成されている。4つの受光部26a、26b、26c、26dは、第1の光源11の出射光の第1の回折素子24による非回折光、及び第2の光源12の出射光の第2の回折素子25による非回折光を受光する。また、4つの受光部26i、26j、26k、26lは、第1の光源11の波長帯を有する1次回折光、及び第2の光源12の波長帯を有する1次回折光を受光する。また、8つの受光部26e、26f、26g、26h、26e’、26f’、26g’、26h’は、第2の光源12の出射光について、グレーティング18のより分割されたサブビームを受光する。また、4つの受光部260e、260f、260e’、260f’は、第3の光源19の出射光について、グレーティング18のより分割されたサブビームを受光する。
【0196】
図14(a)は、第1の回折素子24と受光素子26との関係を説明する図である。
【0197】
本実施形態における受光素子26の受光部パターンは、4つの受光部26a、26b、26c、26dにて、第1の回折素子24による非回折光(0次回折光)を受光する。また、4つの受光部26i、26j、26k、26lにて、第1の回折素子24による1次回折光を受光する。
【0198】
第1の回折素子24は、その分割パターンの中心が受光部26a〜26dの中心と一致し、かつZ軸方向にある間隔で離間して配置されている。図14(a)では、受光部パターンを明確にするため、第1の回折素子24は、受光素子26に対してY方向にオフセットした位置に配置し記載している。
【0199】
図14(b)は、第2の回折素子25と受光素子26との関係を説明する図である。
【0200】
同図に示されるように、4つの受光部26a、26b、26c、26dにて、2の回折素子25の非回折光(0次回折光)を受光する。また、4つの受光部25e、25f、25g、25hにて、第2の回折素子25による1次回折光を受光する。
【0201】
図14(c)は、第3の光源19の波長帯の光を受光するときの受光素子26の受光部パターンを説明する図である。
【0202】
ここで、ホログラム素子21は、第3の光源19の波長に対しては、回折しない構成となっている。4分割された受光部260a、260b、260c、260dが第3の光源19のメインビームを受光する。また、4つの受光部260e、260f、260e’、260f’が第3の光源19のサブビームを受光する。
【0203】
図14を用いて、サーボ信号生成の動作を説明する。受光部26a〜26l、26e’〜26h’の出力信号をSa〜Sl、Se’〜Sh’、S’a〜S’e、S’e’〜S’f’と表す。
【0204】
RF信号(RF)は、非回折光を受光する受光部26a〜26dからの出力信号を用いて、下記式(1)に基づいて検出される。
RF=Sa+Sb+Sc+Sd (1)
DPD法によりトラッキング誤差信号を検出する場合、トラッキング誤差信号(TES1)は、Sa〜Sdの位相比較を行うことにより検出される。
【0205】
また、トラッキング誤差信号は、1ビームDPP法により検出される。トラッキング誤差信号(TES2)は、下記式(2)に基づいて検出される。
TES2=(Si−Sj)−α(Sk−Sl) (2)
また、第2の光源12の出射光について、3ビームDPP法によりトラッキングサーボを行うことが可能である。この場合、トラッキング誤差信号(TES5)は、3ビームDPP法を用いて、以下の式(6)で検出される。
TES5={(Sa+Sd)−(Sb+Sc)}−α{(Se+Se’+Sh+Sh’)−(Sf+Sf’+Sg+Sg’)} (6)
また、第3の光源19の出射光において、3ビームDPP法によるトラッキングサーボを行うことが可能である。トラッキング誤差信号(TES6)は、3ビームDPP法を用いて、以下の式(8)で検出される。
TES6={(S’a+S’d)−(S’b+S’c)}−α{(S’e+Se’)−(S’f+S’f’)} (8)
ここで、αは対物レンズシフトや光ディスクチルトによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
【0206】
フォーカス誤差信号(FES)は、非点収差法を用いて検出することができる。第1の光源11及び第2の光源12によるフォーカス誤差信号(FES)は、下記式(3)に基づいて検出される。第3の光源19によるフォーカス誤差信号(FES3)は、下記式(9)に基づいて検出される。
FES=(Sa+Sc)−(Sb+Sd) (3)
FES3=(S’a+S’c)−(S’b+S’d) (9)
また、グレーティング18により3ビームを生成した場合、フォーカス誤差信号(FES2)は、差動非点収差法を用いて検出することが可能である。この場合、フォーカス誤差信号(FES2)は、差動非点収差法により、以下の式(7)に基づいて検出される。
FES2={(Sa+Sc)−(Sb+Sd)}+{(Se+Se’+Sg+Sg’)−(Sf+Sf’+Sh+Sh’)} (7)
本実施形態においても、実施の形態4と同様DVD−RAMの記録再生時について、3ビームDPP法及び差動非点収差法を採用しサーボ検出を行っている。これは、DVDではトラックピッチに異なるディスク規格が存在するため、すべてのディスクに対して、3ビームの最適配置を行うことができない。そのため、3ビームのビーム配置をDVD−RAMで最適となるように光源モジュール10の回転調整を行い、DVD−RAM以外のディスクについては、1ビームDPP法により検出を行う。このサーボ検出により、DVDの複数に規格に対して安定なフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことが可能となる。加えて、モジュールの回転調整もDVD-RAMのみに合うように回転調整を行うのみでよく、検出モジュール20の調整時に複数の光ディスクを再生することなく、第1の光源波長に対応した光ディスクのみでの調整が可能である。
【0207】
また、CDの記録再生についても、3ビームDPP法を採用しサーボ検出を行っている。
グレーティングの構成は本実施形態に限らず、第2の光源及び第3の光源それぞれ独立に回折可能な2波長グレーティングを採用してもよい。2波長グレーティングを採用した場合は、それぞれ異なるグレーティングのパターンにしてもよい。
【0208】
〔実施の形態6〕
本発明のさらに他の実施形態について、図16に基づいて説明すると以下の通りである。図16は、本実施形態の光ピックアップ装置の光路を示す系統図である。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0209】
光ピックアップ装置1は、第1の光源11と、光ディスクからの反射光を受光する検出モジュール20と、第1の光源11及び検出モジュール20以外の光学部品が搭載されたメインモジュールとで構成されている。メインモジュールを構成する光学部品は、ハウジング30内に収容されている。ここで、本実施形態では、1つの光源(第1の光源11)を用いた光ピックアップ装置に関して説明しているが、本発明はこれに限られるものではなく、複数の波長の光源を用いた光ピックアップ装置および複数の波長の光源を集積化した光源モジュールを用いた光ピックアップ装置にも適用可能である。本実施形態の光ピックアップ装置の詳細な構成について、図16に示す。
【0210】
第1の光源11は、特定の波長の光を放射する半導体レーザである。第1の光源11としては、たとえば、405nm帯(400〜415nm)の光を放射する半導体レーザや、660nm帯(650〜670nm)の光を放射する半導体レーザが用いられる。しかしながら、第1の光源11の波長は、この波長に限定されず、再生する光ディスクに対応する波長に応じて適宜選択することが可能である。
【0211】
また、第1の光源11に続いて(第1の光源11の光出射側に)1/2波長板(図示せず)が配置されていてもよい。これにより、第1の光源11から出射される直線偏光について偏光方向を回転させることができるため、光分離素子31へ入射する光の偏光方向を制御することが可能となる。
【0212】
第1の光源11から出射した光は、光分離素子31により、光ディスクの方向へ反射される。光分離素子31は、第1の光源11からの出射される直線偏光(例えば、S偏光)を反射し、光ディスクで反射した直線偏光(例えばP偏光)を透過するように設計がなされている。例えば、光分離素子31としては、偏光ビームスプリッタがあげられる。
【0213】
光分離素子31で反射した光は、コリメータレンズ32で平行光になる。コリメータレンズ32は、ステッピングモータや圧電素子等で構成される駆動部33により、Z軸方向に移動可能な構成になっている。
【0214】
そして、1/4波長板34により直線偏光から円偏光に変換される。そして、立上げミラー(図示せず)によって反射し、第1の対物レンズ41を介して第1の光ディスクに集光される。
【0215】
ここで、アクチュエータ40の対物レンズホルダ43には、第1の対物レンズ41が取り付けられている。
【0216】
光ディスクにて反射した反射光は、再び第1の対物レンズ41を介して、1/4波長板34で円偏光から直線偏光に変換される。そして、コリメータレンズ32を介して、光分離素子31を透過し、第1の光源11とは異なる方向に導かれる。光分離素子31を透過した光は、検出レンズ35を介して、検出モジュール20に入射する。検出レンズ35は、凹面と円筒面とから構成されるレンズである。円筒面は、光に非点収差を発生させるための面である。検出レンズ35のレンズ面形状は、後述するサーボ検出方法や、光検出器の受光面サイズ等に基づいて適宜設計されるので、本実施形態に限定されず、凸面や平面の採用も可能である。また、検出レンズ35は、複数のレンズから構成されてもよい。また、検出レンズ35は、Z軸方向に調整可能な構造であってもよく、レンズコバ部が調整用ガイドの機能を有する構成であってよい。
【0217】
検出モジュール20は、ホログラム素子21と光検出器22とから構成されている。ホログラム素子21は、トラッキング誤差信号検出のために、光を分割するための素子である。光検出器22は、光ディスクにて反射される反射光を検出する。そして、この検出結果に基づいて、光ディスクの記録再生時におけるフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、及び再生信号を得る。
【0218】
ここで、第1の光源11として波長405nm程度のビームを出射する短波長光源を採用し、第1の対物レンズ41としてNA0.85程度の高NA対物レンズを採用している。これにより、光ディスクのトラック上の情報を、高密度で記録再生することが可能になっている。しかしながら、第1の光源11、及び第1の対物レンズ41は、この構成に限定されるものではない。
【0219】
また、このように第1の光源11として短波長光源を採用し、第1の対物レンズ41として高NA対物レンズを採用した場合、光ディスクのカバー層の厚み誤差により大きな球面収差が発生することになる。そこで、光ピックアップ装置1では、このカバー層の厚み誤差で生じる球面収差を補正するために、コリメータレンズ32を光軸方向に位置調整する駆動部33が設けられている。また、光ピックアップ装置1は、コリメートレンズ32と第1の対物レンズ41との間に、2枚のレンズ群で構成されるビームエキスパンダ(図示せず)が配置された構成であってもよい。ビームエキスパンダが配置された構成では、2枚のレンズ群の間隔を調整するビームエキスパンダ駆動機構(図示せず)により、カバー層の厚み誤差で生じる球面収差を補正するようになっている。
【0220】
本実施形態の光ピックアップ装置1における検出モジュール20の構成は、前記実施の形態3の図8に示された構成と同様である。
【0221】
すなわち、検出モジュール20は、ホログラム素子21、光検出器22、及びホログラム素子21と光検出器22との間隔を調整し保持する保持部材23からなる。ホログラム素子21は、その表面に回折素子面29が形成されている。
【0222】
光検出器22は、受光素子26、パッケージ部材27、及び封止用ガラス28で構成されている。受光素子26は、光ディスクからの反射光を検出するための素子である。パッケージ部材27は、受光素子26を固定する部材である。パッケージ部材27には、その外部に信号を出力するための電気配線が設けられている。受光素子26とパッケージ部材27とは、ワイヤーボンディング等により結線されている。封止用ガラス28は、受光素子26面上に埃が付着することを防ぐための部材である。ここで受光素子26面上に埃が付着しないよう封止用ガラス28を用いているが、封止用ガラス28を用いず、ホログラム素子21と保持部材23により、受光素子26面上への埃の付着を防いでも良い。この構成により、検出モジュール20のコストを低減することが可能となる。
【0223】
続いて、検出モジュール20の組立及び調整方法について、説明する。
【0224】
保持部材23は、光検出器22のパッケージ部材27上であり、かつパッケージ部材22の開口部に干渉しない位置に、予め接着固定されている。この接着固定には、UV接着剤や熱硬化接着剤が用いられる。
【0225】
その後、保持部材23上にホログラム素子21を配置し、位置調整を行う。この位置調整は、受光素子26に設けられた受光パターン中心上にホログラム中心が配置されるように行う必要がある(XY方向の位置調整)。
【0226】
具体的には、ホログラム素子21における光ディスクからの反射光が入射しない位置に調整用マーカーを設ける。また、光検出器22内の受光素子26に位置決めマーカーを設ける。そして、調整用マーカー及び位置決めマーカーそれぞれを観測しながら、ホログラム素子21の位置決めを行う。調整用マーカー及び位置決めマーカーそれぞれの観測には、顕微鏡やCCDカメラを用いて行えばよい。また、位置決めマーカー以外に、回折素子面29に設けられたホログラムパターンと受光素子26の分割パターンとを用いて調整を行ってもよい。
【0227】
また、XY方向の位置調整に加え、受光素子26と回折素子面29との面間距離(Z軸方向)の調整を行ってもよい。このような面間距離の調整を行うことにより、部材の製造公差を吸収することができる。このため、公差の発生を考慮する必要なく、公差の発生を前提にした設計マージンを小さくできる。それゆえ、受光部パターンを縮小することができ、受光素子26のサイズを小さくなるため、コストを低減することが可能となる。
【0228】
図9は、回折素子面29の分割パターンと回折素子面29上のプッシュプルパターン60とを示している。回折素子面29は、トラッキング誤差信号を検出するために、6つの領域に分割された分割パターンを有している。回折素子面29では、プッシュプル信号を検出するために29a及び29bの2つ領域に分割されている。また、対物レンズシフト信号を検出するために、29c〜29fの4つの領域に分割されている。回折素子面29の格子ピッチは、受光素子26までの距離と受光部パターンとの位置から決定される。
【0229】
図17は、本実施形態の光ピックアップ装置1において図8に示すホログラム素子21を採用した場合の、受光素子26の受光部パターンを示している。受光素子26の受光部パターンは、4つの受光部26a、26b、26c、26dと、4つの受光部26i、26j、26k、26lとから構成されている。4つの受光部26a、26b、26c、26dは、第1の光源11の出射光について回折素子面29にて回折しない0次回折光を受光する。また、4つの受光部26i、26j、26k、26lは、第1の光源11の出射光について回折素子面29で回折された1次回折光を受光する。
【0230】
詳細には、ホログラム素子21の回折素子面29は、第1の光源11の波長帯の光が受光部パターン26i〜26lで回折するように、格子ピッチ及びパターンが設計されている。
【0231】
次に、図17を用いて、サーボ信号生成の動作について説明する。ここで、受光部26a〜26d,26i〜26lの出力信号を、Sa〜Sd,Si〜Slと表す。
【0232】
まず、RF信号(RF)は、非回折光を受光する受光部26a〜26dからの出力信号を用いて、下記式(1)に基づいて検出される。
RF=Sa+Sb+Sc+Sd (1)
トラッキング誤差信号は、DPD法により検出される。この場合、トラッキング誤差信号(TES1)は、Sa〜Sdの位相比較を行うことにより検出される。
【0233】
また、1ビームDPP法によりトラッキング誤差信号を検出する場合、トラッキング誤差信号(TES2)は、下記式(2)に基づいて検出される。
TES2=(Si−Sj)−α(Sk−Sl) (2)
ここで、αは、対物レンズシフトや光ディスクチルトによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
【0234】
フォーカス誤差信号(FES)は、非点収差法を用いて、式(3)に基づいて検出する。
FES=(Sa+Sc)−(Sb+Sd) (3)
続いて、検出モジュール20を用いた光ピックアップ装置1の組立方法について、図16を用いて説明する。
【0235】
光ピックアップ装置1には、予め、光分離素子31、1/4波長板34、及び立上げミラーが接着固定されている。
【0236】
次に、コリメータレンズ32及び駆動部33が一体となった収差補正ユニットが調整固定される。収差補正ユニットの位置調整は、ハウジング30及び収差補正ユニットに設けられた位置決め部材(図示せず)を用いて位置決めがなされる。この位置決め部材を用いた位置調整の他に、コリメータレンズ32のレンズ外形、レンズ中心、レンズコバ面等を用いて、収差補正ユニットのXY方向における位置調整やチルト調整を行ってもよい。このような調整を行うことにより、安定したサーボ信号を検出できるとともに、再生信号の信号品質を向上させることが可能となる。
【0237】
収差補正ユニットが調整固定された後、第1の光源11がハウジング30に取り付けられる。ハウジング30には、第1の光源11を配置するための貫通穴が設けられていることが望ましい。この構造により、第1の光源11をXY方向に位置調整することが可能になる。ここで、第1の光源11とハウジング30とは、基準面を介して接することが望ましい。基準面の構造としては、ハウジング30と第1の光源11との接触面積を小さくするため、円柱形状の突起部を設けた構造が考えられる。突起部のサイズ及び突起量については、調整時の負荷等を考慮に決定される。また、ハウジング30に設けられた貫通穴と第1の光源11とのクリアランス部分に、接着剤を均一(例えば、周囲4カ所)に塗布することにより、ハウジング30に第1の光源11精度良く固定することが可能になる。
【0238】
第1の光源11の位置調整は、第1の光源11を点灯させて行う。第1の光源11から出射された光は、光分離素子31の反射面で反射され、コリメータレンズ32に入射し平行光にされた後、1/4波長板34、立上ミラーを介して、ハウジング30から出射される(この段階では、アクチュエータ40は取り付けられていない)。この出射光は、光軸観測装置により観測される。観測した出射光軸について、立上ミラーにより90度方向に曲げられた光軸が、ハウジングの上面(図16のX−Z平面)に対して、垂直となるように、第1の光源11についてYZ方向の位置調整を行う。出射光軸が平行光でない時は、コリメータレンズ32をZ軸方向に移動させ平行光にする。出射光軸が垂直に出射されたことを確認した後、第1の光源11とハウジング30とを接着固定する。
【0239】
続いて、アクチュエータ40の調整方法について説明する。アクチュエータ40は、出射光軸が、アクチュエータ40に取り付けられた第1の対物レンズ41に対し垂直に入射するように調整される。具体的には、第1の対物レンズ41の出射光を直接観測し、チルトが発生しない位置に調整される。また、チルトセンサーを用いて、第1の対物レンズ41のコバ部におけるチルトを観測し、調整を行ってもよい。
【0240】
アクチュエータ40の調整固定が完了した後、検出レンズ35が、ハウジング30に接着固定され、検出モジュール20の調整が行われる。検出モジュール20の調整方法および調整装置について、図18および図19を用いて説明する。図18は、検出モジュール20の調整機(以下、検出モジュール調整機と記す)の概略構成を示す断面図である。図19は、図18に示された調整機を用いた検出モジュール20の調整方法を説明するための説明図である。
【0241】
図18及び図19に示されるように、検出モジュール調整機(光ピックアップ装置の調整機)70は、調整用光ディスク71と、スピンドルモータ72と、光ピックアップハウジング固定冶具73と、検出モジュール調整用冶具74と、X軸ステージ75と、Y軸ステージ76と、Z軸ステージ77と、X軸回転ステージ78と、Y軸回転ステージ79と、Z軸回転ステージ80とを備えている。また、図18及び19に示されていないが、検出モジュール調整機70は、スピンドルモータ駆動回路と、光源ドライブ回路と、アクチュエータ駆動回路と、コリメータレンズ駆動回路と、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボ制御回路と、誤差信号生成回路とを備えている。なお、調整用光ディスク71は、調整時に用いる光源波長に対応したものを用いればよい。
【0242】
検出モジュール調整機は、第1の調整手段と第2の調整手段とを備えている。第1の調整手段は、検出モジュール20のX軸方向及びY軸方向の位置調整により、光ディスクからの反射光のビーム中心と、光検出器22の受光領域の中心とを一致させる。この第1の調整手段は、X軸ステージ75とY軸ステージ76とを備えている。また、第2の調整手段は、検出モジュール20の、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、光ディスクからの反射光のビーム中心と、回折素子21のパターン中心とを一致させる。この第2の調整手段は、X軸回転ステージ78とY軸回転ステージ79とを備えている。
【0243】
検出モジュール20は、ハウジング30に設けられた凹部、または貫通穴(図示せず)に配置され、検出モジュール調整用冶具54により保持されている。貫通穴の構造を採用した場合、凹部の構造を採用した場合と比較して、ハウジング30の強度を増加させることが可能になる。このため、組立調整時や落下衝撃時のハウジング30の変形を防止することが可能になる。
【0244】
調整用光ディスク71からの反射光は、第1の対物レンズ41、立上ミラー、1/4波長板34、コリメータレンズ32を介して、光分離素子31に入射する。そして、この反射光は、光分離素子31で、第1の光源11と異なる方向に導かれ、検出レンズ35に入射する。そして、検出レンズ35の円筒面で非点収差が付与され、検出モジュール20に入射する。検出モジュール20では、回折素子面29により、非回折光と1次回折光に分離され、光検出器22内の受光素子26で受光される。
【0245】
ここで、検出モジュール20の調整の概略について、図19を用いて説明する。
【0246】
検出モジュール20の位置調整では、調整用光ディスク71からの反射光のビーム中心及び光検出器22の受光領域の中心、並びに反射光のビーム中心及びホログラム素子21のパターン中心が互いに一致するように調整が行われる。まず、反射光のビーム中心と光検出器22の受光領域の中心とが一致するように、検出モジュール調整機70のX軸ステージ75、及びY軸ステージ76を用いて調整を行う。
【0247】
このとき、反射光のビーム中心と光検出器の受光領域の中心とが一致した状態となる一方、ホログラム素子21は、組立誤差等により光検出器22に対する貼り付け位置からずれる場合がある。この場合、図19(a)に示されるように反射光のスポット中心とホログラム素子21のパターン中心とがずれてしまう。
【0248】
そこで、次に、X軸回転ステージ78、およびY軸回転ステージ79により検出モジュール20を回転調整する。これにより、図19(b)に示されるように、反射光のビーム中心とホログラム素子21のパターン中心とを一致させることが可能である。このとき、光検出器22の受光面上に回転ステージによる回転中心(回転軸)がのるように設計することにより、検出モジュール20を回転調整した後でも、反射光のビーム中心と光検出器22の受光領域の中心とが一致した状態が維持される。ただし、すべての回転ステージの回転中心について光検出器の受光領域の中心に一致するように設計することは難しい。さらに検出モジュール20の固定冶具への取り付け誤差があることも考えられる。このため、検出モジュールの回転調整後に反射光のビーム中心と光検出器22の受光領域の中心とがずれている可能性が考えられる。従って、上記調整を2回以上繰り返すことで、より精密な位置調整が可能となる。
【0249】
検出モジュール20の調整手順(シーケンス)について、図20および図6を用いて説明する。検出モジュール20の調整は、受光素子26からの出力信号を用いて行われる。
【0250】
まず、調整工程S1では、調整のための準備工程として、調整用ディスク71をスピンドルモータ72により回転し、第1の光源11の出力をONにする。そして、検出モジュール20の受光部で調整用光ディスク71からの反射光の検出を開始する。
【0251】
次に、調整工程S2で、フォーカスサーボ制御を行っていない状態で粗調整を行う。この粗調整は、前記実施の形態1の図6にて説明した方法と同様の方法で行われる。図6は、検出モジュール20の調整前後の出力波形及び受光素子と集光スポットとの位置関係を示している。図6(a)は、受光素子26における0次回折光を受光する受光部26a〜26d上の、調整前の入射ビームの位置(受光位置)とその時の出力波形(出力信号)を示している。また、図6(b)は、受光素子26における0次回折光を受光する受光部26a〜26d上の調整後の入射ビームの位置(受光位置)とその時の出力波形(出力信号)を示している。図6(a)に示される波形から分かるように、受光素子26における受光部26a〜26dの中心と入射ビームの光軸(中心)とが一致していない場合、受光部26a〜26dからの出力信号は、揃っていない。一方、図6(b)に示される波形から分かるように、受光位置が受光部26a〜26dの中心に調整された場合、受光部26a〜26dからの出力信号が均等になる。このように、調整工程S3では、各受光部間で出力信号のバランスが最良かどうか、すなわち各受光部からの出力信号が均等かどうかの判定が行われる。調整工程S3において、出力信号のバランスが最良であれば次の工程(調整工程S4)へ進み、最良でなければ調整工程S2へ戻り、再び調整を行う。各受光部からの出力信号が均等かどうかの判定は、データ取り込み装置で出力信号を取り込み、たとえば各受光部からの出力信号の最小値が最大値の80%以内で合格というように判定基準を設けておけばよい。
【0252】
調整工程S2,S3で粗調整が完了後、調整工程S4からS6で示された第1の調整工程が行われる。ここでは、調整工程S4にてフォーカスサーボ制御を行って、プッシュプル信号の検出を開始し、各受光部における出力信号の振幅、及びDC出力レベルを用いて、微調整を行う。調整工程S5では、入射ビームが受光部26a〜26dの中心で受光されるように、X軸ステージ77およびY軸ステージ78を操作して検出モジュール20を移動させる。そして、調整工程S6にて、0次回折光のプッシュプル信号バランスが最良であるか判定する。この判定は、信号の光量で判定し、たとえば振幅の最小値が最大値の80%以内であればOKというように判定基準を設けておけばよい。判定の結果、最良であると判定されれば、調整工程S7へ移行し、最良でないと判定されればS5に戻って再び調整が行われる。
【0253】
第1の調整工程で0次回折光による調整が完了後、調整工程S7、S8で示された第2の調整工程において、1次回折光からの出力信号に基づく調整を行う。調整工程S7では、X軸回転ステージ78およびY軸回転ステージ79を操作し、検出モジュール20をX軸およびY軸を回転軸として回転調整を行う。ここで、X軸回転ステージ78およびY軸回転ステージ79による検出モジュール20の回転中心(回転軸)が、検出モジュール20における0次回折光の受光部26a〜26dの中心を通過するように、各回転ステージを構成しておくとよい。そうすることで、調整工程S7で回転調整を行っても、0次回折光の信号バランスがずれることがない。その結果、第1の調整工程及び第2の調整工程について、各1度の工程で調整を完了することができる。
【0254】
また、調整工程S7を行うことで、検出モジュール20が光ピックアップ装置1の光軸に対してチルトが発生することになる。しかしながら、検出モジュール20について、光検出器22とホログラム素子21との貼り付け誤差が±10μm程度であり、光検出器22とホログラム素子21との距離が3mm程度に設計された場合、調整工程S7の回転により±10μmの誤差を補正するための角度は、±10分程度であり、検出信号に影響を与えるレベルではないため、問題とならない角度である。
【0255】
調整工程S8では、1次回折光を受光する受光部26k、26lからの出力信号バランスが最良かどうかの判定を行う。判定は、信号の光量で判定し、たとえば振幅の最小値が最大値の80%以内であればOKというように判定基準を設けておけばよい。判定の結果、最良であると判定されれば、調整工程S9へ移行し、最良でないと判定されれば調整工程S7に戻って再び調整が行われる。
【0256】
次に、調整工程S9では、再び0次回折光のプッシュプル信号のバランスチェックを行う。そして、プッシュプル信号のバランスチェックの結果、最良であると判定されれば、調整工程S10へと移行し、調整が完了する。また、最良でないと判定されれば、再び調整工程S5から再調整が行われる。
【0257】
ここで、上述したように、X軸回転ステージ78およびY軸回転ステージ79の回転中心を、検出モジュール20の0次回折光の受光部26a〜26dの中心となるようにステージを構成しておく。これにより、調整工程S7で回転調整を行っても、0次回折光の信号バランスがずれることがなく、第1の調整工程及び第2の調整工程について、各1度の調整で、調整を完了することができる。このため、調整工程S9を省略することが可能である。さらに、調整工程S9を省略することで、調整手順を簡略化することが可能である。
【0258】
ただし、検出モジュール20の固定冶具への取り付け誤差等により、調整工程S8後に、0次回折光のプッシュプル信号バランスにずれが生じていることが考えられる。このため、より精度良く調整を行うためには、調整工程S9による判定を行って、第1の調整工程、第2の調整工程を繰り返し行うことが望ましい。
【0259】
図20(a)の調整に加えて、Z軸回転ステージ80にて検出モジュール20の回転調整を行ってもよい。図20(b)は、Z軸回転ステージ80による検出モジュール20の回転調整を示すフローチャートである。
【0260】
図20(b)に示すように、まず、調整工程S11にてフォーカスサーボ制御を行って、プッシュプル信号の検出を開始する。そして、調整工程S12にて、プッシュプル信号の振幅が均等になるように、検出モジュール20をZ軸回転させて調整する。この調整により、FES信号へプッシュプル信号の混入を低減できるため、安定なフォーカス制御が可能となる。なお、調整工程S12においては、検出モジュール20の代わりに、検出レンズ35をZ軸回転させてもよい。
【0261】
次に、検出モジュール20の光軸方向(Z方向)の調整方法について、図20(c)を用いて説明する。図20(c)は、検出モジュール20の光軸方向の調整方法の手順を示すフローチャートである。
【0262】
図20(c)に示すように、ここでは、まず、調整工程S21でフォーカスサーボ制御を行う。そして、さらにフォーカスサーボ制御に加え、調整工程S22にてトラッキングサーボ制御も行う。調整工程S23でZ軸ステージ77を操作し、検出モジュール20をZ軸方向に移動させ位置調整を行う。そして、調整工程S24にて、光ディスクの情報再生信号の信号品質の善し悪しの判定する。なお、最適な調整位置は、ジッターボトム値や、情報再生信号の信号振幅の最大値が観測される位置である。
【0263】
図20(c)に示された、上述の検出モジュール20の調整方法は、1回のみ行うのではなく、複数回実施することにより、より調整精度を向上させることができる。その結果、良好なサーボ信号及び情報再生信号を得ることが可能となる。
【0264】
また、図20(c)では、検出モジュール20をZ軸方向に移動させて位置調整する方法について説明した。しかしながら、検出モジュール20のZ軸方向の位置方法においては、検出モジュール20の代わりに、検出レンズ35をZ軸方向に移動させて位置調整してもよい。
【0265】
以上のような、位置調整方法を採用することで、ホログラム素子21と光検出器の貼付誤差があったとしても、良好なサーボ信号及び再生信号を得ることが可能である。このため、組立性がよく、かつ、安定した再生信号、サーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置を提供することができる。
【0266】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0267】
本発明は、光ピックアップ装置の調整時においても、良好なサーボ信号及び再生信号を得ることが可能である。また、1種類の光記録媒体のみで調整を行うだけで、複数の光記録媒体の記録再生が可能になる。それゆえ、本発明は、記録再生装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0268】
1 光ピックアップ装置
10 光源モジュール
11 第1の光源
12 第2の光源
13 光結合素子(光結合手段)
14 APC用受光素子
20 検出モジュール
21 ホログラム素子(回折素子)
22 光検出器
30 ハウジング
31 光分離素子(光分離手段)
32 コリメータレンズ
33 駆動部
34 1/4波長板
35 検出レンズ
40 アクチュエータ
41 第1の対物レンズ(集光手段)
42 第2の対物レンズ(集光手段)
43 レンズホルダ
70 検出モジュール調整機(光ピックアップ装置の調整機)
71 調整用光ディスク
72 スピンドルモータ
73 ハウジング保持部材
74 検出モジュール保持部材
75 X軸ステージ
76 Y軸ステージ
77 Z軸ステージ
78 X軸回転ステージ
79 Y軸回転ステージ
80 Z軸回転ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源モジュールと、
光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器とを備えた検出モジュールと、
光源モジュールからの出射光を光記録媒体に導き、光記録媒体からの反射光を前記光源モジュールと異なる方向へ導く光分離手段と、光記録媒体に集光する集光手段と、光記録媒体からの反射光を検出モジュールへ導く検出レンズと、前記光分離手段、前記集光手段、及び前記検出レンズを収容するハウジングとを備えたメインモジュールと、で構成されたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記光源モジュールは、第1の波長を有する光を出射する第1の光源と、第2の波長を有する光を出射する第2の光源と、第1の光源及び第2の光源からの出射光を同軸にして出射する光結合手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記ハウジングにおける前記光源モジュール及び前記検出モジュールが配置される位置に貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記光源モジュールは、第1の光源を保持する第1の保持部材と、第2の光源を保持する第2の保持部材と、光結合素子を保持する第3の保持部材を有し、
第1の保持部材と第3の保持部材との接する位置、及び第2の保持部材と第3の保持部材とが接する位置に、基準面が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記ハウジングにおける前記光源モジュールが配置される位置に設けられた貫通穴と第3の保持部材とが接する位置に基準面が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記ハウジングにおける前記検出モジュールが配置される位置に設けられた貫通穴と前記検出モジュールとが接する位置に基準面が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記基準面は、基準面以外の面に対して垂直であり、かつ突出する方向にオフセットした面であり、基準面以外の面よりも他の面と接触する面積が小さいことを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記光源モジュールは、ただ1つの光源で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
光記録媒体からの反射光を分割する回折素子と、分割された光を受光する光検出器との位置を調整する検出モジュール調整工程と、
コリメータレンズに対して、光源モジュールから出射した光の光軸調整を行う光軸調整工程と、
光記録媒体からの反射光を検出して、検出モジュールの位置調整を行う検出モジュール位置調整工程とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置の調整方法。
【請求項10】
第1の波長を有する光を出射する第1の光源と、第2の波長を有する光を出射する第2の光源とについて、これら光源から出射される光の光軸が同軸になるように調整する光源モジュール調整工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置の調整方法。
【請求項11】
前記光軸調整工程では、前記光源モジュールから出射した光の光軸に対して、垂直方向の位置調整と、回転方向の位置調整を行うことを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置の調整方法。
【請求項12】
前記検出モジュール位置調整工程は、
メインモジュールに備えられた検出レンズについて光軸方向の位置調整を行う段階と、
検出モジュールについて、光軸と垂直な方向の位置調整を行う段階とからなることを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置の調整方法。
【請求項13】
前記検出モジュール位置調整工程は、前記検出モジュールの受光面をXY平面とし、該XY平面に垂直な方向をZ軸方向としたとき、
前記検出モジュールのX軸方向及びY軸方向の位置調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記光検出器の受光領域の中心とを一致させる第1の調整段階と、
前記検出モジュールの、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記回折素子のパターン中心とを一致させる第2の調整段階とを含むことを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置の調整方法。
【請求項14】
前記光検出器は、前記回折素子で分割された0次回折光を受光する少なくとも2つの受光領域からなる第1の受光部と、1次回折光を受光する少なくとも2つの受光領域からなる第2の受光部を備え、
前記第1の調整段階では、前記回折素子で分割された0次回折光が前記第1の受光部における各受光領域に均等に検出されるように、検出モジュールを調整し、
前記第2の調整段階では、前記回折素子で分割された1次回折光が前記第2の受光部における各受光領域に均等に検出されるように、検出モジュールを調整することを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置の調整方法。
【請求項15】
検出モジュールをZ軸方向に移動させてフォーカスの調整を行う第3の調整段階と、
検出モジュールについて、Z軸方向の軸を回転軸とした回転調整を行う第4の調整段階とを含む請求項13に記載の光ピックアップ装置の調整方法。
【請求項16】
請求項8に記載の光ピックアップ装置について、光記録媒体からの反射光の検出信号に基づいて検出モジュールの位置調整を行う光ピックアップ装置の調整機であって、
前記検出モジュールの受光面をXY平面とし、該XY平面に垂直な方向をZ軸方向としたとき、
前記検出モジュールのX軸方向及びY軸方向の位置調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記光検出器の受光領域の中心とを一致させる第1の調整手段と、
前記検出モジュールの、X軸方向の軸及びY軸方向の軸を回転軸とした回転調整により、前記光記録媒体からの反射光のビーム中心と、前記回折素子のパターン中心とを一致させる第2の調整手段とを備えたことを特徴とする光ピックアップ装置の調整機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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