説明

光ピックアップ装置の印刷配線基板

【課題】 光ディスクに設けられている信号記録層に記録されている信号の読み出し動作を行う光ピックアップ装置に組み込まれるレーザーダイオードの静電破壊を防止することが出来る印刷配線基板を提供する。
【解決手段】 レーザーダイオードのアノードに接続されているアノード用パターン8と前記レーザーダイオードのカソードに接続されているカソード用パターン10とを印刷配線基板6の端面6A近傍に近接して配置し、該印刷配線基板6を挟む導電性クリップ部材11にて前記アノード用パターン8とカソード用パターン10とを短絡させるとともに該導電性クリップ部材11を印刷配線基板6から離脱させることによって短絡状態を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されている信号の読み出し動作をレーザー光によって行う光ピックアップ装置に使用される印刷配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置から照射されるレーザー光を光ディスクの信号記録層に照射することによって信号の再生動作や信号の記録動作を行うことが出来る光ディスク装置が普及している。
【0003】
光ディスク装置としては、CDやDVDと呼ばれる光ディスクを使用するものが一般に普及しているが、最近では記録密度を向上させた光ディスク、即ちBlu−ray規格の光ディスクを使用するものが開発されている。
【0004】
光ピックアップ装置は、レーザーダイオードから放射されるレーザー光を対物レンズの集光動作によって光ディスクに設けられている信号記録層に集光させるとともに該信号記録層から反射されるレーザーである戻り光を光検出器に照射させるように構成されている。即ち、光検出器に組み込まれている4分割センサー等に照射されるレーザー光の光量変化や位置の変化に伴って得られる信号からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成し、これらの信号を利用して対物レンズの変位位置を制御することによって光ディスクに記録されている信号の読み出し動作等を行うように構成されている。
【0005】
また、最近では、前述したCD規格、DVD規格及びBlu−ray規格の光ディスクの全ての規格の光ディスクを使用することが出来る光ディスク装置が開発されている。斯かる光ディスク装置に組み込まれる光ピックアップ装置は、前述した異なる規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うことが出来るように構成されている。
【0006】
斯かる3つの異なる規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行う光ピックアップ装置は、3つの異なる波長のレーザー光によって信号の読み出し動作を行うように構成されている。そして、一般的な光ピックアップ装置は、Blu−ray規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うレーザー光を放射するレーザーダイオードと、CD規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うレーザー光とDVD規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うレーザー光の2つのレーザー光を放射する2つのレーザーダイオードが1つの筐体に組み込まれている2波長レーザーダイオードとによって光学系が構成されている。
【0007】
前述した光ピックアップ装置に組み込まれるレーザーダイオードは静電気によって破壊されるという問題がある。斯かるレーザーダイオードの静電破壊を防止するために光ピックアップ装置に組み込まれる印刷配線基板にレーザーダイオードの電源供給端子と接地端子とを短絡させる短絡用ランドを設け、光ディスク装置に光ピックアップ装置が組み込まれるまでの間前記電源供給端子と接地端子とを短絡させる方法が一般に行われている。斯かる技術としては、特許文献1に記載されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−193921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている従来技術について、図7を参照して説明する。図7の(a)は印刷配線基板の平面図であり、例えばレーザーダイオードの電源供給端子に接続されている電源用パターン2及びレーザーダイオードの接地端子に接続されている接地用パターン3が設けられている。また、斜線を付している4はレジスト膜である。
【0010】
図7の(b)は前記(a)に示した矢印A−Aから見た断面図である。同図において、5は前記電源用パターン2と接地用パターン3とを短絡するための短絡用半田である。即ち、前記電源用パターン2と接地用パターン3とは短絡用半田5によって短絡された状態にある。斯かる状態では、レーザーダイオードの電源供給端子と接地端子とが短絡された状態にあるため該レーザーダイオードの静電破壊を防止することが出来る状態にある。
【0011】
斯かる状態において、レーザーダイオードに駆動信号を供給して光ピックアップ装置の調整動作を行う場合や光ディスク装置への組み込み動作を完了させる場合には、レーザーダイオードの電源供給端子と接地端子との短絡状態を解除する必要がある。斯かる動作は半田ごて等によって前記短絡用半田5を溶解させ、図7の(c)に示すように短絡用半田5を5A及び5Bのように分離させることによって行われる。
【0012】
光ピックアップ装置においては、図7の(a)に示すようにレーザーダイオードの電源供給端子に接続される電源用パターン2と接地される接地用パターン3とが設けられた印刷配線基板1を設け、図7の(b)に示すように短絡用半田5にて前記電源用パターン2と接地用パターン3とを短絡させるとともに前記短絡用半田5を溶解させて図7の(c)に示すように短絡用半田5を5A及び5Bのように分離させることによって前記電源用パターン2と接地用パターン3との短絡状態を解除する作業が行われる。
【0013】
そして、前記電源用パターン2と接地用パターン3との短絡動作及び短絡解除動作は特許文献1に記載されているように光ピックアップ装置の組み立て時、光学調整時及び光ディスク装置への組み込み時の3回行われることになる。斯かる電源用パターン2と接地用パターン3との短絡動作及び短絡解除動作は半田ごてにて行われるので、作業性が悪いだけでなく、熱によって印刷配線基板1に設けられている配線パターンの剥がれやフラックスの飛び散り等の問題が発生するという問題がある。
【0014】
本発明は、斯かる問題を解決することが出来る光ピックアップ装置の印刷配線基板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、レーザーダイオードのアノードに接続されているアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されているカソード用パターンとを印刷配線基板の端面近傍に近接して配置し、該印刷配線基板を挟む導電性クリップ部材にて前記アノード用パターンとカソード用パターンとを短絡させるとともに該導電性クリップ部材を印刷配線基板から離脱させることによって短絡状態を解除するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明は、印刷配線基板にガイド用溝を形成し、クリップ部材に形成されたガイド用突部を前記ガイド用溝に係合させることによってクリップ部材の位置を規制するようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
そして、本発明は、ガイド用溝としてアノード用パターンが形成されたアノード用ガイド溝とカソード用パターンが形成されたカソード用ガイド溝を設けるとともにアノード用ガイド溝に係合するアノード用ガイド突部及びカソード用ガイド溝に係合するカソード用ガイド突部をクリップ部材に形成したことを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明は、単波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードのアノードに接続されているアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されているカソード用パターン及び2波長のレーザー光を放射する2波長レーザーダイオードに組み込まれている第1レーザーダイオードのアノードに接続されている第1アノード用パターンと2波長レーザーダイオードに組み込まれている第2レーザーダイオードのアノードに接続されている第2アノード用パターンと前記第1レーザーダイオードのカソード及び第2レーザーダイオードのカソードに接続されているカソード用パターンとを印刷配線基板の端面近傍に近接して配置し、該印刷配線基板を挟むクリップ部材にて前記アノード用パターン、第1アノード用パターン、第2アノード用パターンとカソード用パターンとを短絡させるとともに該クリップ部材を印刷配線基板から離脱させることによって短絡状態を解除するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
そして、本発明は、クリップ部材の前記アノード用パターン、第1アノード用パターン、第2アノード用パターン及びカソード用パターンに接触する面に導電性部材を設け、該導電性部材によって全てのパターン間を短絡させるようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明は、クリップ部材の接触面に設けられる導電性部材として導電性ゴムを使用したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の印刷配線基板は、レーザーダイオードのアノードに接続されているアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されているカソード用パターンとを印刷配線基板の端面近傍に近接して配置し、該印刷配線基板を挟む導電性クリップ部材にて前記アノード用パターンとカソード用パターンとを短絡させるとともに該導電性クリップ部材を印刷配線基板から離脱させることによって短絡状態を解除するようにしたので、アノード用パターンとカソード用パターンとの短絡動作及び短絡解除動作を容易に行うことが出来る。
【0022】
また、本発明の印刷配線基板は、アノード用パターンとカソード用パターンとの短絡動作及び短絡解除動作をクリップ部材の印刷配線基板への着脱動作によって行うようにしたので、即ち半田ごてを使用することなく行うことが出来るので、配線パターンが剥がれるというような問題が発生することはない。
【0023】
そして、本発明の印刷配線基板は、単波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードと2波長のレーザー光を放射する2波長レーザーダイオードの短絡動作及び短絡解除動作を1つのクリップ部材の印刷配線基板への着脱動作によって行うようにしたので、作業性を向上させる効果が非常に大である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る印刷配線基板の短絡状態を示す平面図である。
【図2】本発明に係る印刷配線基板の短絡解除状態を示す平面図である。
【図3】本発明に係るクリップ部材を示す平面図及び側面図である。
【図4】本発明に係る印刷配線基板の短絡解除状態を示す平面図である。
【図5】本発明に係るクリップ部材を示す平面図及び側面図である。
【図6】本発明に係る印刷配線基板の短絡状態を示す平面図である。
【図7】従来の印刷配線基板を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
レーザー光を放射するレーザーダイオードの静電破壊を防止するために印刷配線基板に設けられているアノード用パターンとカソード用パターンとの間の短絡動作及び短絡解除動作を行う短絡用部品を着脱可能にした印刷配線基板に関する。
【実施例1】
【0026】
図2は本発明の光ピックアップ装置に組み込まれる印刷配線基板の短絡解除状態を示す平面図であり、6はレーザーダイオードの駆動回路等が組み込まれている印刷配線基板である。7は前記印刷配線基板6の端面6Aに形成されている第1ガイド溝であり、その縁には、光ディスクの信号記録層に集光されるレーザー光を放射するレーザーダイオードの電源供給端子であるアノードに接続されるとともに駆動用の信号が供給されるアノード用パターン8が形成されている。9は前記印刷配線基板6の端面6Aに形成されている第2ガイド溝であり、その縁には、光ディスクの信号記録層に集光されるレーザー光を放射するレーザーダイオードの接地端子であるカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターン10が形成されている。
【0027】
前述したアノード用パターン8とカソード用パターン10とは、前記印刷配線基板6の端面6Aに形成されているが、両者は近接して配置されているとともに印刷配線基板において一般的に知られているスルーホール技術によって形成されている。
【0028】
図3は本発明に係るクリップ部材を示す平面図及び側面図である。同図において、11は導電性の金属にて製造されている導電性クリップ部材であり、2つの押圧片11A、11Bが形成されているとともに図3(B)に示すように両押圧片11A、11Bが互いに圧接する方向への弾性力が作用するように構成されている。12は前記導電性クリップ部材11に固定されている操作部であり、該操作部を内側、即ち矢印方向へ押圧することによって前記押圧片11A及び11Bを離間させることが出来る。
【0029】
13は前記導電性クリップ部材11を構成する押圧片11Bに一体形成されている第1ガイド用突部であり、前記印刷配線基板6に形成されている第1ガイド溝7に係合されるように構成されている。14は前記導電性クリップ部材11を構成する押圧片11Bに一体形成されている第2ガイド用突部であり、前記印刷配線基板6に形成されている第2ガイド溝9に係合されるように構成されている。
【0030】
前述したように本発明に係る印刷配線基板6及び導電性クリップ部材11は構成されているが、次にアノード用パターン8とカソード用パターン10との短絡動作及び短絡解除動作について説明する。
【0031】
図2に示した状態は、導電性クリップ部材11が印刷配線基板6に固定されていないので、アノード用パターン8とカソード用パターン10とは非短絡状態、即ち短絡解除状態にある。斯かる状態において、前記導電性クリップ部材11に形成されている操作部12を図3(B)に示す矢印方向へ指先等で押圧すると、押圧片11Aと11Bとが弾性力に抗して離間せしめられる。
【0032】
導電性クリップ部材11を斯かる状態に保持したまま図2の矢印の方向から印刷配線基板6を前記押圧片11Aと11Bとによって挟むように変位させ、操作部12への押圧力を断つと図1に示す短絡動作状態になる。
【0033】
前述した作業を行うと、図1に示すように押圧片11Aと11Bが有する弾性力によって導電性クリップ部材11が印刷配線基板6に固定されることになる。また、導電性クリップ部材11に形成されている第1ガイド用突部13及び第2ガイド用突部14が印刷配線基板6に形成されている第1ガイド溝7及び第2ガイド溝9に係合した状態になる。その結果、第1ガイド用突部13及び第2ガイド用突部14が、各々第1ガイド溝7及び第2ガイド溝9の縁に形成されているアノード用パターン8とカソード用パターン10と接触した状態になる。即ち、斯かる状態にあるとき、アノード用パターン8とカソード用パターン10とは、前記第1ガイド用突部13及び第2ガイド用突部14が形成されている導電性クリップ部材11によって短絡された状態になる。
【0034】
前述したように導電性クリップ部材11を印刷配線基板6に固定した状態、即ち図1に示した状態にあるとき、アノード用パターン8とカソード用パターン10とは、短絡された状態にある。従って、レーザーダイオードのアノードとカソードとが短絡された状態にあるので、静電破壊を防止することが出来る。
【0035】
このように前記導電性クリップ部材11を図1に示すように印刷配線基板6に固定させることによって前記アノード用パターン8とカソード用パターン10との短絡動作を行うことが出来るのでレーザーダイオードの静電破壊を防止することが出来る。斯かる状態より光ピックアップ装置における光学特性の調整動作等を行うために前記アノード用パターン8とカソード用パターン10との短絡動作を解除するためには前記導電性クリップ部材11に形成されている操作部12を押圧させながら図1の矢印方向へ変位させれば良い。即ち、斯かる作業を行うと前記導電性クリップ部材11が印刷配線基板6から離脱されることなる。
【0036】
前述した動作によって導電性クリップ部材11が印刷配線基板6から離脱せしめられると、図2に示すようにアノード用パターン8とカソード用パターン10とが離間した状態になるので、短絡状態が解除されることになる。従って、レーザーダイオードへ駆動信号を供給させることによってレーザー光を放射させて光学特性の調整動作等を行うことが出来る。
【0037】
尚、導電性クリップ部材11の導電性材料としては、銅、銅合金、ステンレス及びアルミニューム等を使用することが出来る。また、操作部12は、導電性クリップ部材11に一体成形することも出来るが、別体にすることも出来る。
【実施例2】
【0038】
実施例1では、単波長のレーザーダイオードの静電破壊を防止する印刷配線基板について説明したが、単波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードと2波長のレーザー光を放射する2波長レーザーダイオードが組み込まれた印刷配線基板の実施例について、図4、図5及び図6を参照して説明する。
【0039】
図4は単波長のレーザー光を放射するレーザーダイオード及び2波長レーザーダイオードに対する駆動回路が組み込まれている印刷配線基板を示す平面図であり、短絡解除状態である。
【0040】
16は単波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードの電源供給端子であるアノードに接続されるとともに駆動用の信号が供給されるアノード用パターン、17は前記レーザーダイオードの接地端子であるカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンである。18は2波長のレーザー光を放射する2波長レーザーダイオードに組み込まれている第1レーザーダイオードの電源供給端子であるアノードに接続されるとともに駆動用の信号が供給される第1アノード用パターン、19は前記2波長レーザーダイオードに組み込まれている第2レーザーダイオードの電源供給端子であるアノードに接続されるとともに駆動用の信号が供給される第2アノード用パターン、20は第1レーザーダイオードの接地端子であるカソード及び第2レーザーダイオードの接地端子であるカソードに接続されるとともに接地されるカソード用パターンである。
【0041】
前述したアノード用パターン16とカソード用パターン17とは、印刷配線基板15の端面15Aの近傍に互いに近接して配置されている。また、前述した第1アノード用パターン18、第2アノード用パターン19及びカソード用パターン20は、印刷配線基板15の端面15Aの近傍に互いに近接して配置されている。そして、前記アノード用パターン16、カソード用パターン17、第1アノード用パターン18、第2アノード用パターン19及びカソード用パターン20は、図示したように直線上に配置されている。
【0042】
また、前記印刷配線基板15の端面15Aには、図示したようなガイド溝15Bが形成されているが、その位置は、前記パターンの中央部になるように設定されている。
【0043】
図5は本発明に係るクリップ部材を示す平面図及び側面図である。同図において、21は例えば導電性の金属にて製造されているクリップ部材であり、2つの押圧片21A、21Bが形成されているとともに図5(B)に示す状態に示すように両押圧片が互いに圧接する方向への弾性力が作用するように構成されている。22は前記導電性クリップ部材21に固定されている操作部であり、該操作部を内側、即ち矢印方向へ押圧することによって前記押圧片21A及び21Bを離間させることが出来る。
【0044】
23は前記クリップ部材21を構成する押圧片21Bに一体形成されているガイド用突部であり、前記印刷配線基板15に形成されているガイド溝15Bに係合されるように構成されている。24は前記押圧片21Aの先端部の下面に設けられている導電体であり、図5(A)にハッチングにて示した位置に設けられている。即ち、後述する短絡状態にあるとき、前記印刷配線基板15に配置されているアノード用パターン16、カソード用パターン17、第1アノード用パターン18、第2アノード用パターン19及びカソード用パターン20間を電気的に接続するように設けられている。
【0045】
前述したように本発明に係る印刷配線基板15及びクリップ部材21は構成されているが、次にアノード用パターン16、カソード用パターン17、第1アノード用パターン18、第2アノード用パターン19及びカソード用パターン20の短絡動作及び短絡解除動作について説明する。
【0046】
図4に示した状態は、クリップ部材21が印刷配線基板15に固定されていないので、アノード用パターン16とカソード用パターン17とは非短絡状態、即ち短絡解除状態にある。また、第1アノード用パターン18、第2アノード用パターン19とカソード用パターン20とは非短絡状態、即ち短絡解除状態にある。斯かる状態において、前記クリップ部材21に形成されている操作部22を図5(B)に示す矢印方向へ指先等で押圧すると、押圧片21Aと21Bとが弾性力に抗して離間せしめられる。
【0047】
クリップ部材21を斯かる状態に保持したまま図4の矢印の方向から印刷配線基板15を前記押圧片21Aと21Bとによって挟むように変位させ、操作部22への押圧力を断つと図6に示す短絡動作状態になる。
【0048】
前述した作業を行うと、図6に示すように押圧片21Aと21Bが有する弾性力によってクリップ部材21が印刷配線基板15に固定されることになる。また、クリップ部材21に形成されているガイド用突部23が印刷配線基板15に形成されているガイド溝15Bに係合した状態になる。また、斯かる状態では、図示したようにクリップ部材21に形成されている押圧片21Aの下面に設けられている導電体24がアノード用パターン16、カソード用パターン17、第1アノード用パターン18、第2アノード用パターン19及びカソード用パターン20の全てのパターン上に位置する状態になる。
【0049】
従って、斯かる状態にあるとき、アノード用パターン16、カソード用パターン17、第1アノード用パターン18、第2アノード用パターン19及びカソード用パターン20の全てが電気的に接続された状態、即ち短絡された状態になる。
【0050】
前述したようにクリップ部材21を印刷配線基板15に固定した状態、即ち図6に示した状態にあるとき、アノード用パターン16とカソード用パターン17、そして、第1アノード用パターン18及び第2アノード用パターン19とカソード用パターン20とは、短絡された状態にある。従って、レーザーダイオード及び2波長レーザーダイオードのアノードとカソードとが短絡された状態にあるので、静電破壊を防止することが出来る。
【0051】
このように前記クリップ部材21を図6に示すように印刷配線基板15に固定させることによって前記アノード用パターン16とカソード用パターン17との短絡動作、第1アノード用パターン18及び第2アノード用パターン19とカソード用パターン20との短絡動作を行うことが出来るのでレーザーダイオードの静電破壊を防止することが出来る。斯かる状態より光ピックアップ装置における光学特性の調整動作等を行うために前記アノード用パターン16とカソード用パターン17との短絡動作、第1アノード用パターン18及び第2アノード用パターン19とカソード用パターン20との短絡状態を解除するためには前記クリップ部材21に形成されている操作部22を押圧させながら図6の矢印方向へ変位させれば良い。即ち、斯かる作業を行うと前記クリップ部材21が印刷配線基板15から離脱されることなる。
【0052】
前述した動作によって導電性クリップ部材21が印刷配線基板15から離脱せしめられると、図4に示すようにアノード用パターン16とカソード用パターン17とが離間した状態に、また第1アノード用パターン18及び第2アノード用パターン19とカソード用パターン20とが離間した状態になるので、短絡状態が解除されることになる。従って、レーザーダイオード、2波長レーザーダイオードへ駆動信号を供給させることによってレーザー光を放射させて光学特性の調整動作等を行うことが出来る。
【0053】
尚、クリップ部材21に形成されている押圧片21Aの下面に設けられている導電体24は、該押圧片21Aに接着することによって固定することが出来るが、その材料としては、ポリマー等の導電性高分子材料、導電性のカーボン材料である導電性樹脂、導電性プラスチック、導電性ゴム等を使用することが出来る。
【0054】
また、クリップ部材21として導電性の金属を使用したが、プラスチック等の合成樹脂にて製造することも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のクリップ部材の形状としては種々変更することは出来る。また、印刷配線基板上に形成される各パターンの配置、形状等も種々変更することは可能である。
【符号の説明】
【0056】
6 印刷配線基板
8 アノード用パターン
10 カソード用パターン
11 導電性クリップ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーダイオードから放射されるレーザー光を対物レンズの集光動作にて光ディスクの信号記録層に集光させることによって該光ディスクに記録されている信号の読み出し動作行うように構成された光ピックアップ装置の印刷配線基板であり、レーザーダイオードのアノードに接続されているアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されているカソード用パターンとを印刷配線基板の端面近傍に近接して配置し、該印刷配線基板を挟む導電性クリップ部材にて前記アノード用パターンとカソード用パターンとを短絡させるとともに該導電性クリップ部材を印刷配線基板から離脱させることによって短絡状態を解除するようにしたことを特徴とする光ピックアップ装置の印刷配線基板。
【請求項2】
印刷配線基板にガイド用溝を形成し、クリップ部材に形成されたガイド用突部を前記ガイド用溝に係合させることによってクリップ部材の位置を規制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の印刷配線基板。
【請求項3】
ガイド用溝としてアノード用パターンが形成されたアノード用ガイド溝とカソード用パターンが形成されたカソード用ガイド溝を設けるとともにアノード用ガイド溝に係合するアノード用ガイド突部及びカソード用ガイド溝に係合するカソード用ガイド突部をクリップ部材に形成したことを特徴とする請求項2に記載の印刷配線基板。
【請求項4】
レーザーダイオードから放射されるレーザー光を対物レンズの集光動作にて光ディスクの信号記録層に集光させることによって該光ディスクに記録されている信号の読み出し動作行うように構成された光ピックアップ装置の印刷配線基板であり、単波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードのアノードに接続されているアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されているカソード用パターン及び2波長のレーザー光を放射する2波長レーザーダイオードに組み込まれている第1レーザーダイオードのアノードに接続されている第1アノード用パターンと2波長レーザーダイオードに組み込まれている第2レーザーダイオードのアノードに接続されている第2アノード用パターンと前記第1レーザーダイオードのカソード及び第2レーザーダイオードのカソードに接続されているカソード用パターンとを印刷配線基板の端面近傍に近接して配置し、該印刷配線基板を挟むクリップ部材にて前記アノード用パターン、第1アノード用パターン、第2アノード用パターンとカソード用パターンとを短絡させるとともに該クリップ部材を印刷配線基板から離脱させることによって短絡状態を解除するようにしたことを特徴とする光ピックアップ装置の印刷配線基板。
【請求項5】
クリップ部材の前記アノード用パターン、第1アノード用パターン、第2アノード用パターン及びカソード用パターンに接触する面に導電性部材を設け、該導電性部材によって全てのパターン間を短絡させるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の印刷配線基板。
【請求項6】
導電性部材として導電性ゴムを使用したことを特徴とする請求項5に記載の印刷配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−123852(P2012−123852A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271003(P2010−271003)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】