説明

光ピックアップ装置

【課題】 読取り精度の高い光ピックアップ装置を提供することである。
【解決手段】対物レンズを基部6に対して変位駆動する駆動源7とを有するレンズユニット8の基部6の3カ所を、ハウジング4に対して近接および離反する方向およびハウジング4に対して近接および離反する方向と交差する方向に個別位置調整可能に連結する連結手段によって、ハウジング4に基部6の3カ所を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の光ピックアップ装置101の正面図である。光ピックアップ装置101は、ハウジング104と、対物レンズ105を有するレンズユニット102とを含んで構成される。レンズユニット102は、駆動源118と、基部103とを含んで構成される。基部103は、対物レンズ105を変位可能に保持する。駆動源118は、対物レンズ105を変位駆動する。光ピックアップ装置101は、対物レンズ105によって、光ビームをディスク117の記録面に集光する。また駆動源118が対物レンズ105を変位駆動させることによって、集光した光ビームを記録面のトラックに追従させる。光ピックアップ装置101は、集光した光ビームを記録面のトラックに追従することによって、ディスク117に記録された情報を読出し、またディスク117の記録面に情報を記録する。集光した光ビームをトラックに追従させて照射させるために、ハウジング104に対して予め定める基準の傾き角および予め定める基準位置に対物レンズ105を位置調整する必要がある。
【0003】
光ピックアップ装置101では、接着材106を用いてハウジング104にレンズユニット102を保持させる構成である。光ピックアップ装置101では、レンズユニット102の基部103のハウジング104に対する傾き角を調整(以下「姿勢調整」という)する。基部103をハウジング104に近接および離反する方向(以下「フォーカス方向」という場合がある)に位置調整する。基部103をハウジングに対してフォーカス方向に垂直な方向に位置調整する。姿勢調整および各方向における位置調整をした状態で接着材106を用いてハウジング104にレンズユニット102の基部103を定着させる。
【0004】
このように光ピックアップ装置101は、基部103の姿勢調整および位置調整をして、基部103に変位可能に保持される対物レンズ105の姿勢調整、フォーカス方向およびフォーカス方向に垂直な方向の位置調整が可能な構成である。したがって、ハウジング104に対して予め定める基準の傾き角および予め定める基準位置に対物レンズ105を位置調整をすることができる。
【0005】
光ピックアップ装置101の構成では、ハウジング104にレンズユニット102を接着材106のみで保持しているので、機械的衝撃に対してレンズユニット106の姿勢ずれが生じる場合がある。また光ピックアップ装置101周囲の温度および湿度の環境変化によって、硬化した接着材106が膨張または収縮し、レンズユニット106の姿勢ずれが生じる場合がある。レンズユニット106の姿勢ずれが生じると、対物レンズ105の姿勢がずれ、光軸に対して光ビームが斜めに入射し、コマ収差が大きくなるので、光ピックアップ装置101の読取り精度が低下するという問題がある。
【0006】
図7は、他の従来の光ピックアップ装置101Aを示す正面図である。光ピックアップ装置101Aは、前述の光ピックアップ装置101Aと類似する構成であって、同一の構成には、同一の符号を付して異なる構成について説明する。光ピックアップ装置101Aは、予め定める3カ所の位置に基部103とハウジング104とを連結する連結構造が設けられる。光ピックアップ装置101Aは、基部103が3カ所の連結部107〜109でハウジング104に連結され、ハウジング104にレンズユニット102が位置調整されて保持される。
【0007】
図8および図9は、光ピックアップ装置101Aの連結構造を示す断面図である。基部103の3カ所の連結部107〜109には、それぞれ、内ねじが刻設されたねじ孔110〜112が形成される。第1連結部107では、ハウジング104を厚み方向に貫通する第1挿通孔113に挿通される連結ピン114が第1ねじ孔110に螺着される。連結ピン114の頭部115は、第1挿通孔113に嵌り込む。ハウジング104と連結ピン114の頭部115との間には、第1コイルばね116が設けられ、連結ピン114の頭部115をハウジング104から離反する方向に付勢する。このことによって、第1連結部107がハウジング104に近接される方向に付勢された状態で、弾発的に固定される。
【0008】
第2連結部108では、ハウジング104に形成された第2挿通孔119に、軸部120に外ねじが刻設された第1調整ねじ部材121が挿通される。第1調整ねじ部材121は、第2ねじ孔111に螺着される。ハウジング104と基部103との間には、第2コイルばね123が設けられ、基部103の底部122をハウジング104から離反する方向に付勢する。
【0009】
第3連結部109では、ハウジング104に形成された第3挿通孔124に、軸部125に外ねじが刻設された第2調整ねじ部材126が挿通される。第2調整ねじ部材126は、第2ねじ孔112に螺着される。ハウジング104と基部103との間には、第3コイルばね127が設けられ、基部103の底部122をハウジングから離反する方向に付勢する。
【0010】
光ピックアップ装置101Aでは、基部103の第1連結部107は、ハウジング104に近接される方向に付勢された状態で、弾発的に固定される。第1調整ねじ部材120および第2調整ねじ部材125をそれぞれ回動させることによって、第1連結部107を支点として、ハウジング104に対して基部103を角変位させて、基部103の姿勢調整することができる。
【0011】
さらに他の従来の技術として、特許文献1にフォーカス方向下流側に凹む球面凹部が形成されたハウジングと、フォーカス方向下流側に突出する球面凸部が形成される基部を有する光ピックアップ装置が示されている。光ピックアップ装置は、基部の球面凸部のフォーカス方向下流側の球面と、ハウジングのフォーカス方向上流側の球面とが互いに接するようにして、ハウジングと基部とを連結するねじ部材を螺進および螺退させることによって、摺動させ対物レンズの姿勢調整をする。
【0012】
さらに他の従来の技術として、特許文献2にトラッキング方向に移動可能なスライダ部材を含んで構成される光ピックアップ装置が示されている。光ピックアップ装置は、スライダ部材に傾斜可能に支持されたレンズユニットと、レンズユニットをスライダ部材に対して傾斜調整可能に連結する3本のねじ部材と、レンズユニットとスライダ部材とを押圧付勢して密接固定させるばね部材とで構成される。スライダ部材とレンズユニットとを連結するねじ部材を螺進および螺退させることによって、レンズユニットをスライダ部材と密接固定する面で摺動させ、対物レンズの姿勢調整をする。
【0013】
さらに他の従来の技術として、特許文献3に基部とハウジングとを連結するねじを滑らかに回す目的で、頭部を略半球形状に形成したねじを用いてハウジングと基部とを連結する構成の光ピックアップ装置が示されている。またハウジングと基部とを連結するねじの頭部とハウジングとの間に略半球形状のワッシャを介在させる構成の光ピックアップ装置が示されている。
【0014】
【特許文献1】特開平8−263870号公報
【特許文献2】特開平5−159311号公報
【特許文献3】実開平5−50525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
光ピックアップ装置101Aでは、基部103の第1連結部107を支点にして基部103が姿勢調整されるので、第1連結部107は、ハウジング104に対してフォーカス方向およびフォーカス方向に垂直な方向に変位することができない。したがって、基部103に保持される対物レンズ105の位置調整をすることができない。
【0016】
対物レンズ105の位置調整ができないと、ハウジング104に対する予め定める基準位置に対物レンズ105の位置を調整することができないので、駆動源118によって、変位駆動される対物レンズ105によってディスク117の記録面に照射される光ビームを好適に集光させることができない場合がある。したがってディスク117の情報記録面の信号を安定して読出すことができず、光ピックアップ装置101Aの読取り精度が低下するという問題がある。
【0017】
特許文献1および特許文献2に記載の光ピックアップ装置の構成では、レンズユニットがハウジングまたはスライダ部材の球面座に密接しているので、アクチュエーター姿勢調整のみを目的とした構成となっておりフォーカス方向における中立位置調整が可能な構成ではない。したがって光ピックアップ101と同様に読取り精度が低下するという問題がある。
【0018】
特許文献3に記載の光ピックアップ装置の構成では、略半球形状のワッシャを使用して、ネジを回す時の摩擦を軽減している構成であって、レンズユニットのフォーカス方向の中立位置およびX−Y平面の位置調整が可能な構成ではない。
【0019】
本発明の目的は、読取り精度の高い光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ハウジングと、
対物レンズ、対物レンズを変位可能に保持する基部および対物レンズを基部に対して変位駆動する駆動源とを有するレンズユニットと、
レンズユニットの基部の3カ所を、ハウジングに対して近接および離反する方向へ、個別位置調整可能に、ハウジングにそれぞれ連結する連結手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0021】
本発明に従えば、基部の3カ所が、ハウジングに対して近接および離反する方向へ、個別位置調整可能に、ハウジングにそれぞれ連結される。したがって基部の連結される3ヵ所全てをハウジングに対して近接および離反する方向に位置調整をすると、ハウジングに対して近接および離反する方向に基部を位置調整することができる。また基部の連結される3カ所を選択的に個別にハウジングに対して近接および離反する方向に位置調整をすると、基部のハウジングに対する傾きを調整することができる。
【0022】
このように基部を、ハウジングに対して近接および離反する方向に位置調整し、かつハウジングに対する傾きを調整することができるので、基部に保持される対物レンズをハウジングに対して近接および離反する方向に位置調整し、かつハウジングに対する傾きを調整することができる。したがって変位駆動する対物レンズによって照射される光ビームを記録媒体に好適に集光させることができるので、光ピックアップ装置の読取り精度を高くすることができる。
【0023】
また本発明は、前記連結手段は、前記レンズユニットの基部の3カ所を、ハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ、個別に位置調整可能に連結することを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、基部の3カ所が、ハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向に個別に位置調整可能に連結される。したがって、ハウジングと連結される基部の3カ所全てを同時に、ハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向に位置調整することによって、基部をハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向に位置調整することができる。したがって基部に保持される対物レンズをハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向に位置調整することができる。したがって変位駆動する対物レンズによって照射される光ビームを記録媒体に好適に集光させることができるので、光ピックアップ装置の読取り精度を高くすることができる。
【0025】
また本発明は、ハウジングおよびレンズユニットの基部のいずれか一方は、挿通孔がそれぞれ形成される3つの係止部を有し、
ハウジングおよびレンズユニットの基部のいずれか他方は、内ねじが刻設されるねじ孔がそれぞれ形成される3つのねじ孔部を有し、
連結手段は、
外ねじが刻設される軸部と、軸部の軸線方向一端部に設けられ軸部よりも外径の大きい頭部とを有する3つのねじ部材と、
ハウジングおよびレンズユニットの基部に、互いに離反する方向のばね力を与えるばね部材とを備え、
各ねじ部材は、各挿通孔に個別にそれぞれ挿通されて、頭部が係止部にそれぞれ係止され、軸部がねじ孔部に個別に螺着されることを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、ハウジングおよびレンズユニットの基部のいずれか一方は、挿通孔がそれぞれ形成される3つの係止部を有し、ハウジングおよびレンズユニットの基部のいずれか他方は、内ねじが刻設されるねじ孔がそれぞれ形成される3つのねじ孔部を有し、連結手段は、外ねじが刻設される軸部と、軸部の軸線方向一端部に設けられ軸部よりも外径の大きい頭部とを有する3つのねじ部材と、ハウジングおよびレンズユニットの基部に、互いに離反する方向のばね力を与えるばね部材とを備え、各ねじ部材は、各挿通孔に個別にそれぞれ挿通されて、頭部が係止部にそれぞれ係止され、軸部がねじ孔部に個別に螺着される。したがって対物レンズをハウジングに対して近接および離反する方向に位置調整し、かつハウジングに対する傾きを調整することができるので、対物レンズによって照射される光ビームを記録媒体に好適に集光させることができる。読取り精度が高い光ピックアップ装置を具体的に実現することができる。
【0027】
また本発明は、前記各挿通孔の内径は、各ねじ部材の山径よりも大きく、各ねじ部材は、各挿通孔に範囲方向へ変位可能に緩やかに挿通されることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、ハウジングおよびレンズユニットの基部のいずれか一方に形成される各挿通孔の内径は、各ねじ部材の山径よりも大きく、各ねじ部材は、各挿通孔に範囲方向へ変位可能に緩やかに挿通される。このように、基部に保持される対物レンズをハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向に位置合せすることができるので、対物レンズによって照射される光ビームを記録媒体に好適に集光させることができる。このように読取り精度が高い光ピックアップ装置を具体的に実現することができる。
【0029】
また本発明は、各ねじ部材の頭部と各係止部との間に介在されるワッシャを、さらに含み、
前記ワッシャには、各ねじ部材の頭部および各係止部のいずれか一方に対向する表面部に、外表面が曲面状の凸部が形成されることを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、各ねじ部材の頭部または各係止部は、曲面と接触する。したがって各ねじ部材の頭部または各係止部は、小さい接触面積でワッシャに接触し、かつ滑らかな面で接触する。基部をハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ変位させるときの、各ねじ部材の頭部とワッシャまたは各係止部とワッシャとの摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって基部のハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向への位置調整が容易になる。
【0031】
また本発明は、前記各ねじ部材は、少なくとも頭部が、合成樹脂によって形成されることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、前記各ねじ部材は、少なくとも頭部が、合成樹脂によって形成される。各ねじ部材の頭部が金属で形成される場合と比較して、頭部が合成樹脂によって形成されると、基部をハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ変位させるときのワッシャとの間の摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって基部のハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向への位置調整が容易になる。
【0033】
また本発明は、レンズユニットの基部がハウジングに対して位置決めされた状態で、レンズユニットの基部とハウジングとの相対変位を阻止する変位阻止手段を、さらに含むことを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、変位阻止手段が、レンズユニットの基部がハウジングに対して位置決めされた状態で、レンズユニットの基部とハウジングとの相対変位を阻止する。したがって位置決めされたレンズユニットが不所望に変位することを防ぐことができる。
【0035】
また本発明は、前記変位阻止手段は、接着材を固化させて構成されることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、接着材を固化させてレンズユニットの基部がハウジングに対して位置決めされた状態で、レンズユニットの基部とハウジングとの相対変位を阻止する。したがって、レンズユニットの位置決め後にボルトを用いてさらに相対変位を阻止する構成と比較して、レンズユニットの不所望な変位を容易に防ぐことができる。
【0037】
また本発明は、前記光ピックアップ装置を搭載することを特徴とする情報記録再生装置である。
【0038】
本発明に従えば、情報記録再生装置に、読取り精度の高い光ピックアップ装置が搭載されるので、情報記録再生装置の情報の記録および再生の精度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、基部を、ハウジングに対して近接および離反する方向に基部を位置調整し、かつハウジングに対する傾きを調整することができるので、基部に保持される対物レンズをハウジングに対して近接および離反する方向に位置調整し、かつハウジングに対する傾きを調整することができる。したがって、対物レンズによって照射される光ビームを記録媒体に好適に集光させることができるので、光ピックアップ装置の読取り精度を高くすることができる。
【0040】
また本発明によれば、基部をハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向に位置調整することができる。したがって、基部に保持される対物レンズをハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向に位置合せすることができる。したがって、対物レンズによって照射される光ビームを記録媒体に好適に集光させることができるので、光ピックアップ装置の読取り精度を高くすることができる。
【0041】
また本発明によれば、対物レンズをハウジングに対して近接および離反する方向に位置調整し、かつハウジングに対する傾きを調整することができる。このように対物レンズによって照射される光ビームを記録媒体に好適に集光させることができるので、読取り精度の高い光ピックアップ装置を具体的に実現することができる。
【0042】
また本発明によれば、対物レンズをハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向に位置合せすることができる。このように対物レンズによって照射される光ビームを記録媒体に好適に集光させることができるので、読取り精度の高い光ピックアップ装置を具体的に実現することができる。
【0043】
また本発明によれば、基部をハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ変位させるときの、各ねじ部材の頭部とワッシャまたは各係止部とワッシャとの摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって基部のハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向への位置調整が容易になる。
【0044】
また本発明によれば、基部をハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ変位させるときのワッシャとの間の摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって基部のハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向への位置調整が容易になる。
【0045】
また本発明によれば、位置決めされたレンズユニットが不所望に変位することを防ぐことができる。
【0046】
また本発明によれば、位置決めされたレンズユニットの不所望な変位を容易に防ぐことができる。
【0047】
また本発明によれば、情報記録再生装置の情報の記録および再生の精度を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
図1は、本発明の実施の一形態の光ピックアップ装置1の断面図である。図2は、光ピックアップ装置1の正面図である。なお図1は、図2の切断面線I−Iから見て示す断面図である。光ピックアップ1は、情報記録媒体2に記録される情報を出力する光学ディスク装置などの情報記録再生装置に搭載される。光ピックアップ装置1は、情報記録媒体2の記録面3に記録される符号化された情報を光学的に読取り、また記録面3に符号化された情報を光学的に書込む装置である。情報記録媒体2は、たとえば円盤状であり、光ディスクおよび光磁気ディスクを含む。
【0049】
光ピックアップ装置1は、ハウジング4と、対物レンズ5、対物レンズ5を変位可能に保持する基部6および対物レンズ5を基部6に対して変位駆動する駆動源7とを有するレンズユニット8とを含む。対物レンズ5は、発光素子から射出される光ビームを情報記録媒体2の記録面3に集光する。
【0050】
対物レンズ5は、駆動源7によって、たとえば情報記録媒体2の半径方向に略平行な方向であるトラッキング方向Xに変位駆動される。トラッキング方向Xは、情報記録媒体2の半径方向外方に向かう方向に略平行な第1トラッキング方向X1と、情報記録媒体2の半径方向内方に向かう方向に略平行な第2トラッキング方向X2とを含む。また対物レンズ5は、駆動源7によって、たとえばフォーカス方向Zに変位駆動される。フォーカス方向Zは、トラッキング方向Xに略垂直な方向であり、情報記録媒体2の記録面3に近接する方向である第1フォーカス方向Z1と、情報記録媒体2の記録面3に離反する方向である第2フォーカス方向Z2とを含む。タンジェンシャル方向Yは、フォーカス方向Zおよびトラッキング方向Xに略垂直な方向であって、回転する情報記録媒体2の速度方向と同じ向きの第1タンジェンシャル方向Y1と、第1タンジェンシャル方向Y1とは逆向きの第2タンジェンシャル方向Y2とを含む。
【0051】
レンズユニット8は、たとえば2軸アクチュエータであって、具体的にはたとえば4ワイヤ形2軸アクチュエータによって実現される。レンズユニット8は、対物レンズ5と、フォーカス方向Zを厚み方向とする平板状の基部6と、基部6の厚み方向一方の表面部(以下「基部表面部」という場合がある)13に載置される駆動源7とを含む。駆動源7は、対物レンズ5が取付けられるボビン9と4本のワイヤ10とスペーサ11とを含む。基部6はたとえば金属から成る。スペーサ11は、基部6の第1タンジェンシャル方向Y1下流側の基部表面部13に載置される。スペーサ11は、第2タンジェンシャル方向G2に開放する、フォーカス方向Zに垂直な断面形状が凹字状である。スペーサ11は、第2トラッキング方向X2下流側かつ第2タンジェンシャル方向Y2下流側において、タンジェンシャル方向Yに互いに平行にして延びる2本のワイヤ10の一端部12を支持する。またスペーサ11は、第1トラッキング方向X1下流側かつ第2タンジェンシャル方向Y2下流側において、タンジェンシャル方向Yに互いに平行にして延びる2本のワイヤ10の一端部12を支持する。
【0052】
ボビン9は、ヨークとマグネットとフォーカスコイルとトラッキングコイルとを含んで構成される。ボビン9は、フォーカス方向Zに垂直な断面が略四角形状であって、中央部に対物レンズ取付け部36が形成される。ボビン9の対物レンズ取付け部36には、対物レンズ5が設けられる。ボビン9には、スペーサ11からタンジェンシャル方向Yに互いに平行に延びる4本のワイヤ10の他端部36が機械的に接続される。ボビン9は、スペーサ11および4本のワイヤ10を介して基部表面部13とは離間した状態で、トラッキング方向Xおよびフォーカス方向Zに変位可能に支持される。
【0053】
駆動源7に電力を供給することによって対物レンズ5は、基部6に対して変位駆動される。具体的には、トラッキングコイルに電流を流すことによってトラッキング方向Xに対物レンズ5が変位駆動される。このときトラッキングコイルに流れる電流の向きによって変位方向を第1トラッキング方向X1および第2トラッキング方向X2との間で切換えることができる。またトラッキングコイルに印加される電圧が大きくなるとトラッキング方向Xにおける対物レンズ5の中立位置からの変位量が大きくなる。
【0054】
フォーカスコイルに電流を流すことによってフォーカス方向Zに対物レンズ5が変位駆動される。このときフォーカスコイルに流れる電流の向きによって変位方向を第1フォーカス方向Z1および第2フォーカス方向Z2との間で切換えることができる。またフォーカスコイルに印加される電圧が大きくなるとフォーカス方向Zにおける対物レンズ5の中立位置からの変位量が大きくなる。
【0055】
基部6は、3つのねじ孔部14を有する。3つのねじ孔部14には、それぞれ内ねじが刻設されるねじ孔15が形成される。ねじ孔15は、基部6を厚み方向に貫通する。第1ねじ孔部14aは、たとえば基部6の第2トラッキング方向X2の下流側であって、第1タンジェンシャル方向Y1の下流側に形成される。具体的には、スペーサ11の第2トラッキング方向X2の下流側の近傍に形成される。
【0056】
第2ねじ孔部14bは、たとえば基部6の第1トラッキング方向X1の下流側であって、第1タンジェンシャル方向Y1の下流側に形成される。具体的にはスペーサ11の第1トラッキング方向X1の下流側の近傍に形成される。このように第1ねじ孔部14aと第2ねじ孔部14bは、スペーサ11を挟んで基部6に形成される。第3ねじ孔部14cは、基部6の第2タンジェンシャル方向Y2の下流側であって、基部6の第2トラッキング方向X2の下流側に形成される。
【0057】
ハウジング4は、フォーカス方向Zを厚み方向とする金属から成る略平板状である。ハウジング4の中央部には、ハウジング4の厚み方向に垂直な断面が略矩形状の空間が形成される。ハウジング4に形成された略矩形状の空間にレンズユニット8が収容される。レンズユニット8は、基部6の駆動源7が載置される基部表面部13とは反対側の裏面部(以下「基部裏面部」ということがある)16を第2フォーカス方向Z2に向けてハウジング4に収容される。ハウジング4は、3つの係止部17を有する。各係止部17にはそれぞれフォーカス方向Zに貫通する挿通孔27が形成される。各係止部17は、具体的にはハウジング4のレンズユニット8に臨む3つの各側面部18に形成される。
【0058】
ハウジング4の各側面部18は、レンズユニット8の第2トラッキング方向X2の下流側に配設される18aと、第1トラッキング方向X1の下流側に配設される第2側面部18bと、第2タンジェンシャル方向Y2の下流側に配設される側面部18cとを含んで構成される。各係止部17は、第1フォーカス方向Z1上流側の各側面部18の一端部(以下「側面部一端部」ということがある)19から、レンズユニット8に向けて突出する。第1係止部17aは、第1側面部18aに形成され、第2係止部17bは、第2側面部18bに形成され、第3係止部17cは、第3側面部18cに形成される。
【0059】
各係止部17には、各係止部17をハウジング4の厚み方向に貫通する挿通孔27がそれぞれ形成される。各係止部17には、第2フォーカス方向下流側に、挿通孔27の半径方向内方に全周にわたって突出する段差部20が形成される。このように挿通孔27は、挿通孔27の軸線に平行な断面が略凸字状の形状となっている。具体的には、段差部20は、挿通孔27の第2フォーカス方向Z2下流側の開口の近傍に形成される。
【0060】
基部6のねじ孔部14は、連結手段によってハウジング4に連結される。連結手段は、たとえば3つのねじ部材21と、3つのばね部材22とを含む。各ねじ部材21は、外ねじが刻設される軸部23と、軸部23の軸線方向一端部(以下「ねじ一端部」ということがある)24に設けられる軸部23の山径d1よりも外径d2の大きい頭部25を有する。各ねじ部材21は、各挿通孔27に個別にそれぞれ挿通され、軸部23がねじ孔部14に個別に螺着される。
【0061】
第1ねじ部材21aは、第1係止部17aの挿通孔27に挿通され第1ねじ孔部14aのねじ孔15に螺着される。第2ねじ部材21bは、第2係止部17bの挿通孔27に挿通され第2ねじ孔部14bのねじ孔15に螺着される。第3ねじ部材21cは、第3係止部17cの挿通孔27に挿通され第3ねじ孔部14cのねじ孔15に螺着される。
【0062】
各ねじ部材21は、軸部23の他端部(以下「ねじ他端部」ということがある)26が各挿通孔27の第2フォーカス方向Z2の下流側の開口からそれぞれ挿通される。各挿通孔27の内径d3は、各ねじ部材21の山径d1よりも大きく、各ねじ部材21は、各挿通孔27に範囲方向に変位可能に緩やかに挿通される。
【0063】
各ねじ部材の頭部25は、ワッシャ29を介して段差部20の第1フォーカス方向Z2下流側側の表面部(以下「段差部表面部」ということがある)28に当接する。ワッシャ29には、各ねじ部材21の頭部25に対向する表面部(以下「ワッシャ表面部」ということがある)32に外表面が曲面上の凸部31が形成される。ワッシャ29は、係止部17の段差部20に嵌り込むように係止部17に設けられる。各ねじ部材21は、少なくとも頭部25が合成樹脂によって形成される。具体的には各ねじ部材は、合成樹脂によって形成される。またワッシャ29は、たとえば合成樹脂によって形成される。
【0064】
各ばね部材22は、ハウジング4およびレンズユニット8の基部6に互いに離反する方向のばね力を与える。ばね部材22は、たとえば圧縮コイルばねによって実現される。各ばね部材22は、一端部(以下「ばね一端部」ということがある)30が段差部20の第1フォーカス方向X1の下流側の表面部(以下「段差部裏面部」ということがある)33に係止されるように各挿通孔27に設けられる。各ばね部材22の他端部(以下「ばね他端部」ということがある)34は、基部6の基部裏面部16に当接する。ばね部材22は、各ねじ部材21が各ねじ孔部のねじ孔15に螺進して、基部6と各係止部17の段差部20との間で圧縮されることによって、ハウジング4および基部6に互いに離反する方向のばね力を付勢する。
【0065】
ハウジング4の各側面部18とレンズユニット8の基部6の間には、基部6がハウジング4に対して位置決めされた状態で定着させる接着材35が設けられる。接着材35は、たとえば基部6の四隅近傍とハウジング4の各側面部18との間に設けられる。基部6のハウジン4に対する位置決めは、具体的には各ねじ部材21を個別に各ねじ孔部14の各ねじ孔15に螺進または螺退させることによって、基部6のハウジング4に対する傾き角を調整する。また各ねじ部材21を同量だけ各ねじ孔部14の各ねじ孔15に螺進または螺退させることによって、基部6のハウジング4に対するフォーカス方向Zの位置を調整する。また各ねじ部材21を同時にハウジング4の厚み方向に垂直な平面内で変位させることによって、基部6をハウジング4対してフォーカス方向Zに垂直な平面内で変位させる。
【0066】
このように、レンズユニット8の基部6がハウジング4に対して位置決めされた状態で、ハウジング4の各側面部18とレンズユニット8の基部の間に、接着材35を充填して接着材35を固化させる。接着材35は、エポキシ系接着材または紫外線硬化接着材を用いることができる。
【0067】
図3は、ワッシャ29を詳細に示す図である。図3(a)は、ワッシャ29をの正面図である。図3(b)は、ワッシャ29の側面図である。ワッシャ29は、環状であって、厚み方向に貫通する透孔が形成される。ワッシャ29には、ワッシャ表面部32から突出する外表面が曲面状の凸部31が形成される。具体的には、ワッシャ29の周方向に等間隔に4つの凸部31が形成される。また凸部31は、具体的には半球形状に形成される。
【0068】
ワッシャ29の外径d4は、たとえば各ねじ部材21の頭部25の外径d2よりも小さく形成される。ワッシャ29の内径d5は、たとえば各ねじ部材21の山径d1よりも大きく形成される。
【0069】
図4は、図2の切断面線I−Iから見た光ピックアップ装置1を分解して示す断面図である。図5は、図2の切断面線V−Vから見た光ピックアップ装置1を分解して示す断面図である。ハウジング4の各係止部17に形成された挿通孔27にばね部材22のばね一端部30が段差部20の段差部裏面部33に係止されるように、挿通孔27の第2フォーカス方向Z1の下流側の開口から挿入される。ばね部材22のコイル外径d6は、たとえば挿通孔27の内径d3と略同一に形成される。ばね部材22のコイル内径d7は、挿通孔27の段差部20における内径d8よりも大きくまたは略同一に形成される。ばね部材22の無荷重状態の両端部間の長さt1は、段差部20の段差部裏面部33から挿通孔27のフォース方向Z1下流側の開口までの距離t2よりも大きく形成される。
【0070】
レンズユニット8は、基部6の基部裏面部16が各係止部17の挿通孔27の第1フォーカス方向Z1の下流側の開口に対向するようにハウジング4の矩形状の空間に収容される。このとき基部6の各ねじ孔部14に形成されたねじ孔15が各係止部17に形成された挿通孔27に対向するようにする。具体的には、第1ねじ孔部14aのねじ孔15が第1係止部17aの挿通孔27と対向し、第2ねじ孔部14bのねじ孔15が第2係止部17bの挿通孔27と対向し、第3ねじ孔部14cのねじ孔15が第3係止部17cの挿通孔27と対向するように、レンズユニット8をハウジング4に収容する。
【0071】
ワッシャ29を各係止部17の挿通孔27の第2フォーカス方向Z2の下流側の開口から、ワッシャ29のワッシャ裏面部38が段差部20の段差部表面部28に係止されるように設ける。ワッシャ29の内径d5は、段差部20における挿通孔27の内径d8と略同一に形成される。ワッシャ29の凸部31の頂点からワッシャ裏面部38までの長さt3は、挿通孔27の第2フォーカス方向Z2下流側の開口から段差部20の表面部28までの長さt4より長い。
【0072】
挿通孔27の第2フォーカス方向Z2下流側の開口から段差部表面部28までの間の挿通孔27の内径d9は、段差部20から見て第1フォーカス方向下流側の挿通孔27の内径d3よりも大きい。またワッシャ29の外径d4は、挿通孔27の第2フォーカス方向Z2下流側の開口から段差部表面部28までの間の挿通孔27の内径d9とは略同一である。
【0073】
各ねじ部材21は、軸部23のねじ他端部26が挿通孔27の第1フォーカス方向Z1上流側の開口からワッシャ29の透孔、各係止部17の挿通孔27およびばね部材22に挿通されて、軸部23が基部6の各ねじ孔部14のねじ孔15に螺着される。各ねじ部材21の山径d1は、ばね部材22のコイル内径d7よりも小さく形成される。各ねじ部材21の山径d1は、挿通孔27の段差部20における内径d8よりも小さく形成される。ねじ部材21の頭部25の外径d2は、挿通孔27の内径d3よりも大きくかつワッシャ29の外径d4よりも大きく形成される。
【0074】
ばね部材22の無荷重状態の両端部間の長さt1は、段差部20の段差部裏面部33から挿通孔27のフォース方向Z1下流側の開口までの距離t2よりも大きく形成されるので、ハウジング4および基部6を互いにフォーカス方向Zに離反するようにばね力を与える。このばね力が与えられた状態で各ねじ部材21が基部6の各ねじ孔部14に螺着される。各ねじ部材21を螺進させることによって、ハウジング4に基部6のねじ孔部14をフォーカス方向Zにおいて近接させる方向に個別に位置調整させることができる。また各ねじ部材21を螺退させることによって、ハウジング4に基部6のねじ孔部14をフォーカス方向Zにおいて離反させる方向に個別に位置調整させることができる。このように基部6の3つの各ねじ孔部14が個別に位置調整されることによって、基部6のハウジング4に対する傾きを調整することができる。
【0075】
また各ねじ部材21を同量螺進させることによって、基部6の3つのねじ孔部14がフォーカス方向Zにおいて同じ距離だけハウジング4に近接する方向に位置調整される。各ねじ部材21を同量螺退させることによって、基部6の3つのねじ孔部14がフォーカス方向Zにおいて同じ距離だけハウジング4から離反する方向に位置調整される。このように3つのねじ孔部14が同じ距離だけハウジング4に近接または離反する方向に位置調整されることによって、ハウジング4での基部6のフォーカス方向Zの位置調整することができる。
【0076】
さらに各ねじ部材21の山径d1は、挿通孔27の段差部20における内径d8よりも小さく、各ねじ部材21の頭部25の外径d2は、ワッシャ29の外径d4よりも大きい。したがって、ねじ部材21は、各挿通孔27の段差部20の内径d8の範囲内で、ハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ、すなわちトラッキング方向Xおよびタンジェンシャル方向Yを含む平面内(以下「X−Y平面内」ということがある)で変位可能である。各ねじ部材21を基部6の各ねじ孔部14のねじ孔15に螺着させた状態でX−Y平面内で変位させることによって、基部6をハウジング4に対してX−Y平面内で位置調整することができる。
【0077】
本実施形態の光ピックアップ装置1によれば、基部6のハウジング4に対する傾きを調整することができる。したがって基部6に保持される対物レンズ5の情報記録媒体2の記録面3に対する傾きを調整(以下「姿勢調整」ということがある)することができる。またハウジング4での基部6のフォーカス方向Zの位置調整することができる。したがって基部6に保持される対物レンズ5のフォーカス方向Zにおける位置調整をすることができる。具体的には、情報記録媒体2の記録面3に近接および離反する方向に位置調整することができる。さらに基部6をハウジング4に対してX−Y平面内で位置調整することができる。したがって基部6に保持される対物レンズ5のX−Y平面内での位置調整をすることができる。
【0078】
このように対物レンズ5の姿勢調整およびフォーカス方向およびX−Y平面内での位置調整をすることができるので、ハウジング4に対する予め定める基準位置に対物レンズ5の位置を調整することができる。したがって駆動源118によって、変位駆動される対物レンズ5によって光ビームを情報記録媒体2の記録面3に好適に集光させることができ、光ピックアップ装置1の読取り精度を高くすることができる。
【0079】
具体的にはX−Y平面内での対物レンズ5の位置調整によって、対物レンズ5の光軸を位置調整することによって、対物レンズによって集光される光ビームの対物出射の収差を小さくすることによって、読取り精度を高くすることができる。
【0080】
また対物レンズ5のフォーカス方向Zにおける位置調整をすることができるので、情報記録媒体2の記録面3に対して対物レンズ5をフォーカス方向に変位駆動するときの変位量を小さくして好適に記録面3に光ビームを集光させることができる。したがってフォーカスコイルに印加される電圧を小さくすることができるので、光ピックアップ装置1を省電力化することができる。
【0081】
本実施形態の光ピックアップ装置1によれば、各ねじ部材21の頭部25は、曲面と接触する。したがって各ねじ部材21の頭部25は、小さい接触面積でワッシャ29に接触し、かつ滑らかな面で接触する。基部6をハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ変位させるときの、各ねじ部材21の頭部25とワッシャ29との摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって基部6のハウジング4に対するX−Y平面内での位置調整が容易になる。
【0082】
本実施形態の光ピックアップ装置1によれば、各ねじ部材21は、少なくとも頭部25が、合成樹脂によって形成される。各ねじ部材21の頭部25が金属で形成される場合と比較して、頭部25が合成樹脂によって形成されると、基部6をハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ変位させるときのワッシャ29との間の摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって基部6のハウジング4に対するX−Y平面内での位置調整が容易になる。
【0083】
さらにワッシャ29が樹脂によって形成されるので、ワッシャ29が金属によって形成される場合と比較して、基部6のハウジング4に対するX−Y平面内での位置調整するときのねじ部材21とワッシャ29との間の摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって基部6のハウジング4に対するX−Y平面内での位置調整が容易になる。
【0084】
本実施形態の光ピックアップ装置1によれば、基部6を連結手段によってハウジング4に連結し、接着材35を固化させてレンズユニット8の基部6がハウジング4に対して位置決めされた状態で、レンズユニット8の基部6とハウジング4との相対変位を阻止する。したがって対物レンズ5の姿勢が不所望にずれることを防ぐことができ、光ピックアップ装置1の信頼性を向上させることができる。またレンズユニット8の位置決め後にボルトなどを用いてさらに相対変位を阻止する構成と比較して、レンズユニット8の不所望な変位を容易に防ぐことができる。
【0085】
またワッシャ29の凸部31がワッシャ29の周方向に均等に間隔をあけて4つ形成されるので、基部6のハウジング4に対するX−Y平面内での位置調整するときに、ねじ部材の頭部25がワッシャ29の少なくとも3つの凸部31と当接する。したがってねじ部材21の頭部25がハウジング4に対して傾くことを防ぐことができるので、基部6のハウジング4に対する傾きおよびハウジング4に対するX−Y平面内での位置調整の作業時に不所望に基部6がハウジング4に対して傾くことを防ぐことができる。したがって対物レンズ5の姿勢およびフォーカス方向の位置を正確に調整することができるとともに、容易に調整することができる。
【0086】
また挿通孔27の第2フォーカス方向Z2下流側の開口から段差部表面部28までの間の挿通孔27の内径d9は、段差部20から見て第1フォーカス方向下流側の挿通孔27の内径d2よりも大きい。またワッシャ29の外径d4は、挿通孔27の第2フォーカス方向Z2下流側の開口から段差部表面部28までの間の挿通孔27の内径d9と略同一である。したがって各ねじ部材21を螺進させるときに段差部20に加えられる力は、段差部20の係止部17から突出している部分よりも半径方向外方の係止部17に付勢される。したがって作業者がねじ部材21を螺進させたときに不所望に段差部20がフォーカス方向下流側に折れ曲がるように変形することを防ぐことができる。
【0087】
またワッシャ29の凸部31の頂点からワッシャ裏面部38までの長さt3は、挿通孔27の第2フォーカス方向Z2下流側の開口から段差部20の表面部28までの長さt4より長い。したがって、各ねじ部材21をX−Y平面内で変位させた場合に、各ねじ部材21の頭部がハウジング4と直接当接することを防ぐことができる。
【0088】
また各ねじ部材21は、合成樹脂によって形成されので、ねじ部材が金属によって形成される場合と比較して可撓性を有する。したがって基部6のハウジング4に対する傾きを調整するときに軸部23が撓むので、容易に傾き調整することができ、かつ各ねじ孔部14のねじ孔15の内ねじがつぶるれことを防ぐことができる。
【0089】
本発明の実施の他の形態として、基部6に挿通孔27がそれぞれ形成される3つの係止部17が形成され、ハウジング4に、内ねじが刻設されるねじ孔15がそれぞれ形成される3つのねじ孔部14を形成され、各ねじ部材21が、各挿通孔27に個別にそれぞれ挿通されて、頭部25が係止部17にそれぞれ係止され、軸部23がねじ孔部14に個別に螺着される構成であってもよい。このように光ピックアップ装置1を構成しても前述の光ピックアップ装置1と同様に、光ピックアップ装置1の読取り精度を高くすることができる。
【0090】
本発明の実施のさらに他の形態として、ワッシャ29に、係止部17に対向する表面部に、外表面が曲面状の凸部31が形成される構成であってもよい。このように光ピックアップ装置1を構成しても前述の光ピックアップ装置1と同様に、基部6のハウジング4に対するX−Y平面内での位置調整が容易になる。
【0091】
本発明の実施のさらに他の形態として、係止部17とねじ部材21の頭部25との間にワッシャを設けるかわりに、係止部17およびねじ部材21の互いに対向する表面部のいずれか一方に外表面が曲面の凸部31を形成する構成であってもよい。また係止部17のねじ部材の頭部25と対向する表面部をたとえば合成樹脂で形成してもよい。このように光ピックアップ装置1を構成しても前述の光ピックアップ装置1と同様に、基部6のハウジング4に対するX−Y平面内での位置調整が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の一形態の光ピックアップ装置1の断面図である。
【図2】光ピックアップ装置1の正面図である。
【図3】ワッシャ29を詳細に示す図である。
【図4】図2の切断面線I−Iから見た光ピックアップ装置1を分解して示す断面図である。
【図5】図2の切断面線V−Vから見た光ピックアップ装置1を分解して示す断面図である。
【図6】従来の光ピックアップ装置101の正面図である。
【図7】他の従来の光ピックアップ装置101Aを示す正面図である。
【図8】光ピックアップ装置101Aの連結構造を示す断面図である。
【図9】光ピックアップ装置101Aの連結構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 光ピックアップ装置
4 ハウジング
5 対物レンズ
6 基部
7 駆動源
8 レンズユニット
14 ねじ孔部
15 ねじ孔
17 係止部
21 ねじ部材
22 ばね部材
23 軸部
25 頭部
27 挿通孔
29 ワッシャ
31 凸部
35 接着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
対物レンズ、対物レンズを変位可能に保持する基部および対物レンズを基部に対して変位駆動する駆動源とを有するレンズユニットと、
レンズユニットの基部の3カ所を、ハウジングに対して近接および離反する方向へ、個別位置調整可能に、ハウジングにそれぞれ連結する連結手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記連結手段は、前記レンズユニットの基部の3カ所を、ハウジングに対して近接および離反する方向と交差する方向へ、個別に位置調整可能に連結することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
ハウジングおよびレンズユニットの基部のいずれか一方は、挿通孔がそれぞれ形成される3つの係止部を有し、
ハウジングおよびレンズユニットの基部のいずれか他方は、内ねじが刻設されるねじ孔がそれぞれ形成される3つのねじ孔部を有し、
連結手段は、
外ねじが刻設される軸部と、軸部の軸線方向一端部に設けられ軸部よりも外径の大きい頭部とを有する3つのねじ部材と、
ハウジングおよびレンズユニットの基部に、互いに離反する方向のばね力を与えるばね部材とを備え、
各ねじ部材は、各挿通孔に個別にそれぞれ挿通されて、頭部が係止部にそれぞれ係止され、軸部がねじ孔部に個別に螺着されることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記各挿通孔の内径は、各ねじ部材の山径よりも大きく、各ねじ部材は、各挿通孔に範囲方向へ変位可能に緩やかに挿通されることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
各ねじ部材の頭部と各係止部との間に介在されるワッシャを、さらに含み、
前記ワッシャには、各ねじ部材の頭部および各係止部のいずれか一方に対向する表面部に、外表面が曲面状の凸部が形成されることを特徴とする請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記各ねじ部材は、少なくとも頭部が、合成樹脂によって形成されることを特徴とする請求項4または5に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
レンズユニットの基部がハウジングに対して位置決めされた状態で、レンズユニットの基部とハウジングとの相対変位を阻止する変位阻止手段を、さらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記変位阻止手段は、接着材を固化させて構成されることを特徴とする請求項7記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置を搭載することを特徴とする情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−4848(P2007−4848A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180862(P2005−180862)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】