説明

光ファイバカップラ

【課題】2本の伝搬定数を同一とするとともに、結合効率の良い光ファイバカップラを提供する。
【解決手段】光ファイバカップラ1は、コア径が互いに異なる2本のフォトニックバンドギャップファイバを接合した光ファイバカップラ1であって、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21において、それぞれを構成するクラッドの格子間隔を、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21で相違させることで、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21のそれぞれの伝搬定数を同一とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバカップラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、光ファイバカップラは、2本の光ファイバを結合させることで、光の分配を可能とするものである(下記非特許文献1及び2参照)。ここで、2本の光ファイバの伝搬定数が相違すると、2本の光ファイバの結合効率が低くなり、光ファイバッカプラの特性を十分に生かすことができない。
【0003】
一般に、単一モードの通常の光ファイバカップラにおいて、コア径の異なる光ファイバを結合する場合には、それぞれのコア部の屈折率分布を調整することで、それぞれの光ファイバの伝搬定数を同一とすることが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“TATSUTA”、[online]、[平成23年5月18日検索]、インターネット、<URL:http://www.tatsuta.co.jp/products/electronics/optical_coupler.html>
【非特許文献2】“偏波保持カプラ(固定比)”、[online]、[平成23年5月18日検索]、インターネット、〈URL: http://www.hanamuraoptics.com/device/cir/cirfixedcoupler904p.htm〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、フォトニックギャップファイバを2本結合する場合には、コア部の屈折率を変化させることはできない。よって、上記の方法によりそれぞれのフォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数を同一とすることができない。
【0006】
また、断面構造を比例拡大することにより、コア部及びクラッド部を拡大した場合、動作波長がずれる。クラッド部の格子間隔によりフォトニックバンドギャップファイバの波長が決まるので、使用可能な波長も長い波長側にずれてしまうので、結果として伝搬定数も変化してしまう。
【0007】
よって、コア部の径を拡大するためには、コア部を構成する格子の数を増やす必要がある。しかし、この場合、格子数の増加に伴い、伝搬モードの伝搬定数が変化するために、単に格子の数を増やしただけでは、結合効率が低くなり、光ファイバッカプラの特性を生かすことができないという問題点があった。
【0008】
本発明は、前述の従来技術における問題を解決し、2本の伝搬定数を同一とするとともに、結合効率の良い光ファイバカップラを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明の一態様は光ファイバカップラであって、コア径が互いに異なる2本のフォトニックバンドギャップファイバを接合した光ファイバカップラであって、第一のフォトニックバンドギャップファイバと第二のフォトニックバンドギャップファイバにおいて、それぞれを構成するクラッドの格子間隔を、前記第一のフォトニックバンドギャップファイバと前記第二のフォトニックバンドギャップファイバで相違させることで、前記第一のフォトニックバンドギャップファイバと前記第二のフォトニックバンドギャップファイバのそれぞれの伝搬定数を同一とする。
【0010】
このような光ファイバカップラでは、コア径が互いに異なる2本のフォトニックバンドギャップファイバを接合した光ファイバカップラにおいて、それぞれのフォトニックバンドギャップファイバを構成するクラッドの格子間隔を相違させることで、2本のフォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数を同一とすることができる。よって、伝搬定数を同一とすることにより、結合効率の良い光ファイバカップラとすることができる。
【0011】
また、本発明の一態様は上記の光ファイバカップラであって、前記第一のフォトニックバンドギャップファイバ及び前記第二のフォトニックバンドギャップファイバのうち、前記コア径の小さい方の前記フォトニックバンドギャップファイバの前記格子間隔を、前記コア径の大きい方の前記フォトニックバンドギャップファイバの前記格子間隔より大きくした。
【0012】
このような光ファイバカップラでは、コア径の小さい方のフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔を、コア径の大きい方のフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔より大きくすることで、2本のフォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数を同一とすることができる。よって、伝搬定数を同一とすることにより、結合効率の良い光ファイバカップラとすることができる。
【0013】
また、本発明の一態様は上記の光ファイバカップラであって、前記第一のフォトニックバンドギャップファイバ及び前記第二のフォトニックバンドギャップファイバのうち、少なくとも一方の前記フォトニックバンドギャップファイバをテーパー形状とする。
【0014】
このような光ファイバカップラは、2本のフォトニックバンドギャップファイバのうち少なくとも一方のフォトニックバンドギャップファイバをテーパー形状にすることにより、格子間隔を徐々に小さくすることができる。よって、テーパー形状に形成されて方のフォトニックバンドギャップファイバでは格子間隔の変化に伴い伝搬定数が変化するので、もう一方のフォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数と一致させることが可能となる。したがって、伝搬定数を同一とすることにより、結合効率の良い光ファイバカップラとすることができる。
【0015】
また、本発明の一態様は上記の光ファイバカップラであって、前記第一のフォトニックバンドギャップファイバ及び前記第二のフォトニックバンドギャップファイバを構成するそれぞれの前記クラッドの材質を互いに異なるものとする。
【0016】
このような光ファイバカップラは、2本のフォトニックバンドギャップファイバを構成するクラッドの材質が異なるので、それに伴いそれぞれの格子間隔も異なることとなり、結果として2本のフォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数を同一とすることができる。よって、伝搬定数を同一とすることにより、結合効率の良い光ファイバカップラとすることができる。
【0017】
また、本発明の一態様は上記の光ファイバカップラであって、前記第一のフォトニックバンドギャップファイバ及び前記第二のフォトニックバンドギャップファイバのうち、少なくとも一方の前記コアを中空とする。
【0018】
このような光ファイバカップラは、少なくとも一方のコアを中空として、2本のフォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数を同一とすることができる。よって、伝搬定数を同一とすることにより、結合効率の良い光ファイバカップラとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る光ファイバカップラは、2本の伝搬定数を同一とするとともに、結合効率の良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態の光ファイバカップラの模式断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態を構成するフォトニックバンドギャップファイバを示す模式断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態を構成するフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔と伝搬定数の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第一実施形態の光ファイバカップラの形成方法の研磨工程の一例を示す図である。
【図5】本発明の第一実施形態の光ファイバカップラの形成方法の接合工程の一例を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態の光ファイバカップラの構成を示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態を構成するフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔と伝搬定数の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第三実施形態を構成するフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔と伝搬定数の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態に係る光ファイバカップラ1について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光ファイバカップラ1は、図1に示すように、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21とを備える。そして、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21とは接合されている。
【0022】
第一のフォトニックバンドギャップファイバ11は、図2(a)に示すように、断面視して、7個の空孔14から構成される第一のコア12と、第一のコア12の周囲を包囲するとともに規則的に配列した複数の空孔14から構成される第一のクラッド13とを備えるとともに、図2の紙面に直交する向きである長手方向に延在している。
第二のフォトニックバンドギャップファイバ21は、図2(b)に示すように、断面視して、3個の空孔24から構成される第二のコア22と、第二のコア22の周囲を包囲するとともに規則的に配列した複数の空孔24から構成される第二のクラッド23とを備えるとともに、図2の紙面に直交する向きである長手方向に延在している。
【0023】
第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21を比較すると、図1に示すように、第一のコア12の径L1と第二のコア22の径L2は互いに相違し、第一のコア12の径L1の方が、第二のコア22の径L2より大きく設けられている。
また、第一のクラッド13を構成する空孔14の間隔である第一の格子間隔M1は、第二のクラッド23を構成する空孔24の間隔である第二の格子間隔M2より小さく設けられている。
【0024】
ここで、図3は、1.55μmの波長における第一のフォトニックバンドギャップファイバ11、及び第二のフォトニックバンドギャップファイバ21のクラッドの格子間隔と伝搬モードの伝搬定数の関係を示すグラフである。横軸にクラッドの格子間隔、縦軸に伝搬定数を表し、伝搬定数は等価屈折率に換算しているため無名数で表している(以下同じ)。
本グラフより、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21においては、同一の格子間隔では伝搬係数が異なることが分かる。例えば、格子間隔が3.4μmの場合、第一フォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数は0.992であり、第二フォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数は0.985である。すなわち、コア径の大きい第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の方が、コア径の小さい第二のフォトニックバンドギャップファイバ21より伝搬係数が大きい。
また、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11及び第二のフォトニックバンドギャップファイバ21では、格子間隔が大きくなるにしたがって、伝搬定数も大きくなることが分かる。
そして、一致線が示す伝搬定数近傍にて、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21の伝搬定数は同一となることが分かる。例えば、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の格子間隔(第一の格子間隔M1)が3.3μm、及び第二のフォトニックバンドギャップファイバ21の格子間隔(第二の格子間隔M2)が3.9μmの場合に、伝搬定数はともに0.991である。
すなわち、コア径の大きいフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔を、コア径の小さいフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔より小さくすることにより、2本のフォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数を一致させることができる。言い換えれば、コア径の小さいフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔を、コア径の大きいフォトニックバンドギャップファイバの格子間隔より大きくすることにより、2本のフォトニックバンドギャップファイバの伝搬定数を一致させることができる。
【0025】
このように構成された光ファイバカップラ1では、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21で伝搬定数を同一とすることでできるので、結合効率の良い光ファイバカップラ1とすることができる。
【0026】
また、第一のコア12及び第二のコア22が中空であるので、ガラスを材料とする場合と比較して、光の吸収、散乱等の不都合を低減させることが可能となる。
【0027】
なお、本実施形態では、第一のコア12は7個の空孔14から構成され、第二のコア22は3個と空孔24から構成されるものとしているが、本個数に限定されるものではない。第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の伝搬係数と、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21の伝搬定数を同一とすることができれば、任意の数でよい。
【0028】
ここで、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21が互いに接合されて構成される光ファイバカップラ1の形成方法について説明する。
【0029】
まず、研磨工程を実施する。
すなわち、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21のそれぞれについて研磨工程を実施する。ここでは、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11を例に挙げて説明する。
図4に示すように、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の一方の端面に、光源101より発射された参照光を入力し、他方の端面より出力した光のパワーをパワーメータ102で測定する。
【0030】
この状態で、モールドした接着剤からなる固定部材106の一面を研磨板103で研磨し、固定部材106及び第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の側面の一部を取り除いていく。このとき、研磨板103の上には、紙ヤスリのように研磨材104の研磨粉が塗布されていてよい。研磨が進んでいくと第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の側面が削られて、第一のコア12近くの第一のクラッド13が研磨されるようになる。そうすると、第一のコア12を伝搬する光の一部が漏れ出して、パワーメータ102の出力が低下する。この研磨の深さとパワーメータ102の出力低下の間には一定の関係があり、パワーメータ102の出力の低下をモニタすることにより、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の側面の研磨深さを正確に知ることができる。そして、パワーメータ102で測定される参照光に対応する出力光の光強度が、所定の値の強度まで低下したときに研磨を終了する。
【0031】
上記研磨工程を、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21に対しても行うことにより、正確な研磨深さで側面が除去され、所定の光パワーを有する2本のフォトニックバンドギャップファイバを用意することができる。2本のフォトニックバンドギャップファイバが、所定の光パワーを有するので、これらから所定の結合比を有する光ファイバカップラ1を形成することが可能となる。
【0032】
また、上記の研磨工程により、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11及び第二のフォトニックバンドギャップファイバ21には、それぞれ側面の一部が除去されて形成された図5に示す除去面111が形成される。
【0033】
次に、接合工程を実施する。
すなわち、図5に示すように、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11及び第二のフォトニックバンドギャップファイバ21を、それぞれの除去面111を対向させて結合させる。これにより、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11及び第二のフォトニックバンドギャップファイバ21の結合した箇所では結合部112が形成される。
ここで、第一のクラッド13、第二のクラッド23における除去面111は、それぞれ第一のコア12、第二のコア22付近まで除去されている。よって、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11及び第二のフォトニックバンドギャップファイバ21の除去面111同士を接合することにより第一のコア12と第二のコア22が接近する構造となるので、2本のフォトニックバンドギャップファイバが有効に結合された光ファイバカップラ1を形成することが可能となる。
【0034】
ここで、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21の接合固定は、例えば、固定部材106同士を接合することにより行うようにしてもよい。第一のコア12付近の第一のクラッド13及び第二のコア22付近の第二のクラッド23は、必ずしも強い接合力を有する訳ではない。よって、このような場合には、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21をそれぞれ固定している固定部材106同士を接合することにより、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21を接合固定することができる。
なお、固定部材106同士は、接着剤を用いて接合するようにしてもよいし、その他の手法や手段によってもよい。例えば、固定部材106が、加熱することにより複数回接着力を発揮する性質を有する接着剤であれば、該性質を有する接着剤を用いて、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21を接合固定するようにしてもよい。また、ガラス基板等の基板を固定部材106とし、基板で両側から対向する第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21を挟み、基板同士を固定又は接合する構成としてもよい。
【0035】
上記の研磨工程及び接合工程を行うことにより、同一の伝搬定数からなる第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21を結合して、結合効率の良い光ファイバカップラ1を形成することが可能となる。
【0036】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態に係る光ファイバカップラ1Xは、図6に示すように、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xは、光の入射側51から出射側52に向かうに従って、先細りとなるテーパー形状を形成している。よって、出射側52に向かうに従って、第二の格子間隔MX2は徐々に狭くなる構成となっている。
【0037】
ここで、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11又は第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xをテーパー形状にするには、テーパー線引き方法により可能である。または、作成済みの第一のフォトニックバンドギャップファイバ11又は第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xを再度加熱延伸することでも可能である。
【0038】
このように構成された光ファイバカップラ1Xでは、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xを光の入射側51から出射側52に向けてテーパー形状とすることで、第二の格子間隔MX2が徐々に小さくなる。そして、図7から分かるように、第二の格子間隔MX2の減少にともない、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xの伝搬定数も減少する。よって、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xの伝搬定数が徐々に減少する間において、必ず第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の伝搬定数と一致する位置が存在する。例えば、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xの入射側51の格子間隔が3.95μm、出射側52の格子間隔が3.75μmの場合に、格子間隔が変化するにしたがって、第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xの伝搬定数と第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の伝搬定数が一致する位置が存在するのが分かる。
よって、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の伝搬定数と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xの伝搬定数を、確実に一致させることが可能となるので、結合効率の良い光ファイバカップラ1Xとすることができる。
【0039】
なお、本実施形態では第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xをテーパー形状としたが、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11をテーパー形状としてもよく、又第一のフォトニックバンドギャップファイバ11及び第二のフォトニックバンドギャップファイバ21Xの両方をテーパー形状としてもよい。
また、出射側52、入射側51の格子間隔を逆転させて、出射側52から入射側51に向けて先細りのテーパー形状であってもよい。
【0040】
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態について説明する。
本実施形態は、第一実施形態と材質が異なるものであるので、図1を用いて説明する。
また、本実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態に係る光ファイバカップラ1は、屈折率2.1の高屈折率ガラスからなる第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と、屈折率1.45の石英ガラスからなる第二のフォトニックバンドギャップファイバ21とを備える。
【0041】
ここで、図8(a)は屈折率1.45の石英ガラスからなるフォトニックバンドギャップファイバ、(b)は屈折率2.1の高屈折率ガラスからなるフォトニックバンドギャップファイバにおいて、それぞれクラッドの格子間隔と伝搬定数の関係を示すグラフである。
本グラフより、高屈折率ガラスからなる第一のフォトニックバンドギャップファイバ11の伝搬定数と、石英ガラスからなる第二のフォトニックバンドギャップファイバ21の伝搬定数が一致線近傍において一致していることが分かる。
【0042】
このように構成された光ファイバカップラ1では、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21の材質又は屈折率を互いに異なるものとすることにより、第一の格子間隔M1と第二の格子間隔M2が異なることとなる。よって、結果として、第一のフォトニックバンドギャップファイバ11と第二のフォトニックバンドギャップファイバ21で伝搬定数を同一とすることでできるので、結合効率の良い光ファイバカップラ1とすることができる。
【0043】
また、フォトニックバンドギャップファイバにおいては、バンドギャップの波長等は電磁界解析により求める。よって、電磁界解析により光ファイバカップラを形成するのに必要なクラッドの格子間隔を求めることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…光ファイバカップラ
11…第一のフォトニックバンドギャップファイバ
21…第二のフォトニックバンドギャップファイバ
L1、L2…第一のコアの径、第二のコアの径
M1、M2…第一の格子間隔、第二の格子間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア径が互いに異なる2本のフォトニックバンドギャップファイバを接合した光ファイバカップラであって、
第一のフォトニックバンドギャップファイバと第二のフォトニックバンドギャップファイバにおいて、それぞれを構成するクラッドの格子間隔を、前記第一のフォトニックバンドギャップファイバと前記第二のフォトニックバンドギャップファイバで相違させることで、前記第一のフォトニックバンドギャップファイバと前記第二のフォトニックバンドギャップファイバのそれぞれの伝搬定数を同一とする光ファイバカップラ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバカップラにおいて、
前記第一のフォトニックバンドギャップファイバ及び前記第二のフォトニックバンドギャップファイバのうち、前記コア径の小さい方の前記フォトニックバンドギャップファイバの前記格子間隔を、前記コア径の大きい方の前記フォトニックバンドギャップファイバの前記格子間隔より大きくした光ファイバカップラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光ファイバカップラにおいて、
前記第一のフォトニックバンドギャップファイバ及び前記第二のフォトニックバンドギャップファイバのうち、少なくとも一方の前記フォトニックバンドギャップファイバをテーパー形状とする光ファイバカップラ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の光ファイバカップラにおいて、
前記第一のフォトニックバンドギャップファイバ及び前記第二のフォトニックバンドギャップファイバを構成するそれぞれの前記クラッドの材質を互いに異なるものとする光ファイバカップラ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の光ファイバカップラにおいて、
前記第一のフォトニックバンドギャップファイバ及び前記第二のフォトニックバンドギャップファイバのうち、少なくとも一方の前記コアを中空とする光ファイバカップラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−7908(P2013−7908A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140842(P2011−140842)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】