説明

光ファイバ接続構造及び光ファイバ接続方法

【課題】光ファイバの外径によらず良好な接続品質を得ることができる光ファイバ接続構造及び光ファイバ接続方法を提供する。
【解決手段】 光ファイバ接続ユニット1は、ベース部材2と、ベース部材2の上に配置され、光ファイバコードFを撓ませないように保持するファイバホルダ4と、ベース部材2の上に配置され、ファイバホルダ4に保持された光ファイバコードFと接続される短尺ファイバを内蔵するファイバ接続器3と、を備えている。ベース部材2には、ファイバ接続器3を前後方向に挟持するバネ部材25及びバネ部材26が設けられている。バネ部材25は、光ファイバコードFがファイバ接続器3に挿入された状態において、ファイバ接続器3をファイバホルダ4側に付勢して、光ファイバと短尺ファイバとを所定の荷重をもって突き当てて接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ同士を接続する光ファイバ接続構造及び光ファイバ接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ファイバ接続構造としては、例えば特許文献1に記載されている光コネクタが知られている。特許文献1に記載の光コネクタは、ハウジングと、ハウジングの先端部に設けられ内蔵光ファイバを有するフェルールと、ハウジング後端部に装着される固定キャップと、を備えている。ハウジングの後端部には、外周面にネジ部が形成された固定部が設けられている。この光コネクタでは、光ファイバケーブルの光ファイバを内蔵光ファイバに突き合わせて接続した後に、光ファイバケーブルから引き出された抗張力体を、固定キャップによってハウジングの固定部にネジ止め固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−109978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような光コネクタにおいては、光ファイバの接続品質を良好に保つべく、光ファイバと内蔵光ファイバとを突き合わせた状態で、光ファイバを適当に撓ませ、その曲げ剛性により突き合わせ部に所定の荷重を加えている。
【0005】
近年では、光ファイバ(光ファイバ心線や光ファイバコード)の外径は多種にわたり、特に、外径の大きな光ファイバの需要が急増している。このような外径が大きい光ファイバの場合、わずかに撓ませただけで、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き合わせ部に大きな荷重が発生する。その結果、当該突き合わせ部が破損するなどして、接続品質の劣化を生じさせてしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、光ファイバの外径によらず良好な接続品質を得ることができる光ファイバ接続構造及び光ファイバ接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光ファイバ接続構造は、ベース部材と、ベース部材の上に配置され、光ファイバを保持するファイバホルダと、ベース部材の上に配置され、ファイバホルダに保持された光ファイバと接続される短尺ファイバを内蔵するファイバ接続器と、ファイバホルダ及びファイバ接続器の一方を他方の側に付勢することにより光ファイバと短尺ファイバとを突き当てる弾性部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
このように本発明の光ファイバ接続構造においては、光ファイバをファイバホルダに保持した状態で、弾性部材によりファイバホルダ及びファイバ接続器の一方を他方の側に付勢することで、光ファイバとファイバ接続器に内蔵された短尺ファイバとを突き当てる。このため、光ファイバを撓ませることなく、光ファイバと短尺ファイバとの突き当て部に所定の荷重を加えることができるので、光ファイバの外径によらず良好な接続品質を得ることができる。
【0009】
好ましくは、ベース部材に前後方向にスライド可能に取り付けられたスライド部材を更に備え、ファイバ接続器はベース部材に固定されており、ファイバホルダはスライド部材に前後方向にスライド可能に取り付けられており、弾性部材は、スライド部材に設けられ、ファイバホルダをファイバ接続器側に付勢することにより光ファイバと短尺ファイバとを突き当てる。この場合には、ファイバ接続器がベース部材に固定されているので、例えば、光ファイバと短尺ファイバとを突き当てた後にこれらをファイバ接続器に固定する作業等において、ファイバ接続器が不用意に動くことが防止される。また、ファイバホルダがスライド部材にスライド可能に取り付けられているので、光ファイバの先端部を容易にファイバ接続器に挿入できると共に、弾性部材により光ファイバと短尺ファイバとを所定の荷重をもって突き当てることができる。
【0010】
或いは、弾性部材は、ファイバ接続器を前後方向に挟持するようにベース部材に複数設けられており、ファイバ接続器をファイバホルダ側に付勢することにより光ファイバと短尺ファイバとを突き当てる構成であってもよい。この場合には、ファイバ接続器は、複数の弾性部材により前後方向に挟持されているので、ベース部材上で前後方向に可動となっている。このため、ファイバホルダをベース部材に固定した場合であっても、弾性部材によりファイバ接続器をファイバホルダ側に付勢することで、光ファイバと短尺ファイバとの突き当て荷重を一定に保つことができる。
【0011】
また、ファイバ接続器はベース部材に固定されており、弾性部材は、ベース部材に設けられ、ファイバホルダをファイバ接続器側に付勢することにより光ファイバと短尺ファイバとを突き当てる構成であってもよい。この場合には、ファイバ接続器がベース部材に固定されているので、例えば、光ファイバと短尺ファイバとを突き当てた後にこれらをファイバ接続器に固定する作業等において、ファイバ接続器が不用意に動くことが防止される。また、部品点数を削減し、構造を簡素化することができる。
【0012】
また、ベース部材に前後方向にスライド可能に取り付けられたスライド部材を更に備え、ファイバ接続器はスライド部材に固定されており、弾性部材は、ベース部材に設けられ、スライド部材をファイバホルダ側に付勢することにより光ファイバと短尺ファイバとを突き当てる構成であってもよい。この場合には、ファイバ接続器がスライド部材によりベース部材上でスライド可能となっているので、ファイバホルダをベース部材に固定した場合でも、弾性部材によりファイバ接続器(スライド部材)をファイバホルダ側に付勢することで、光ファイバと短尺ファイバとの突き当て荷重を一定に保つことができる。
【0013】
さらに、弾性部材は、光ファイバと短尺ファイバとの突き当て荷重が5g以上30g以下となるように、ファイバホルダ及びファイバ接続器の一方を他方の側に付勢することが好ましい。このように、光ファイバと短尺ファイバとの突き当て荷重を5g〜30gとすることにより、光ファイバのガラスファイバが曲がることなく、光ファイバを短尺ファイバに突き当てることができる。
【0014】
本発明の光ファイバ接続方法は、上述した光ファイバ接続構造を備えた装置を用意する工程と、光ファイバをファイバホルダに保持する工程と、光ファイバの先端部をファイバ接続器に挿入する工程と、弾性部材によりファイバホルダ及びファイバ接続器の一方を他方側に付勢することによって、光ファイバと短尺ファイバとを突き当てる工程と、を有することを特徴とするものである。
【0015】
このように本発明の光ファイバ接続方法においては、上述したように、光ファイバを撓ませることなく、光ファイバと短尺ファイバとの突き当て部に所定の荷重を加えることができるので、光ファイバの外径によらず良好な接続品質を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光ファイバの外径によらず良好な接続品質を得ることができる光ファイバ接続構造及び光ファイバ接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係わる光ファイバ接続構造の第1実施形態を有する光ファイバ接続ユニットを示す斜視図である。
【図2】図1に示されたベース部材を示す斜視図である。
【図3】図1に示された光ファイバ接続ユニットにおいて、ファイバホルダが光ファイバ接続器側にスライドされた状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示された光ファイバ接続ユニットを模式的に示す側面図である。
【図5】本発明に係わる光ファイバ接続構造の第2実施形態を有する光ファイバ接続ユニットを模式的に示す側面図である。
【図6】本発明に係わる光ファイバ接続構造の第3実施形態を有する光ファイバ接続ユニットを模式的に示す側面図である。
【図7】本発明に係わる光ファイバ接続構造の第4実施形態を有する光ファイバ接続ユニットを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係わる光ファイバ接続構造及び光ファイバ接続方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係わる光ファイバ接続構造の一実施形態を有する光ファイバ接続ユニットを示す斜視図である。同図において、光ファイバ接続ユニット1は、光ファイバ同士を接続するためのものである。光ファイバ接続ユニット1は、ベース部材2と、ベース部材2の上に配置されたファイバ接続器3及びファイバホルダ4と、を備えている。
【0020】
ベース部材2は、図2に示されるように、ファイバ接続器3が配置される接続器配置部21と、ファイバホルダ4が配置されるホルダ配置部22と、からなる。接続器配置部21の中央部には、一対の側壁部23が設けられている。接続器配置部21における側壁部23の後方には、ホルダ配置部22側に向かって延びる一対のアーム状の係止片24が設けられている。接続器配置部21の前端部にはバネ部材25が設けられ、接続器配置部21における側壁部23と係止片24との間には一対のバネ部材26が設けられている。バネ部材25,26は、後述するように、ファイバ接続器3をファイバホルダ4側に付勢するためのものである。
【0021】
ファイバ接続器3は、短尺状の光ファイバ(短尺ファイバ)を内蔵するフェルール31と、短尺ファイバとファイバホルダ4に保持された光ファイバとを機械的に接続するメカニカルスプライス部(図示せず)と、メカニカルスプライス部を収容するハウジング32と、ハウジング32の上に取り付けられるくさび部材33と、を有している。ファイバ接続器3は、短尺ファイバを内蔵してなるメカニカルスプライス型コネクタである。このようなファイバ接続器3は、各側壁部23によってベース部材2の接続器配置部21に位置決めされると共に、バネ部材25とバネ部材26とにより前後方向に挟持されている。このため、ファイバ接続器3は、バネ部材25及びバネ部材26の弾性力に抗して前後方向に可動とされている。
【0022】
ファイバホルダ4は、光ファイバコードFが配置されるホルダベース41と、ホルダベース41に配置された光ファイバコードFのコード外皮をホルダベース41に固定するファイバ固定蓋部42と、を有する。ファイバホルダ4は、ベース部材2のホルダ配置部22に前後方向にスライド可能に取り付けられている。このため、ファイバホルダ4が光ファイバコードFを保持した状態で、ファイバホルダ4をファイバ接続器3側にスライドすることにより、図3に示されるように、光ファイバコードFの先端部のコード外皮を除去して露出された光ファイバ心線Aを、ファイバ接続器3のメカニカルスプライス部に挿入することができる。そして、ファイバホルダ4は、光ファイバ心線Aをメカニカルスプライス部内に挿入した状態で、各係止片24によりベース部材2に係止される。
【0023】
次に、図4を参照して、ファイバ接続器に内蔵された短尺ファイバ(図示せず)と光ファイバコードFとを突き当てて接続する方法について説明する。図4は、光ファイバ接続ユニット1を模式的に示す側面図である。図4(a)は短尺ファイバと光ファイバコードFとを突き当てる前の状態を示しており、図4(b)は短尺ファイバと光ファイバコードFとを突き当てた後の状態を示している。
【0024】
まず、上記の光ファイバ接続ユニット1を用意する。光ファイバ接続ユニット1においては、上述したように、ファイバ接続器3が、バネ部材25とバネ部材26とによって前後方向に挟持されている。このとき、バネ部材25がファイバ接続器3に与える弾性力をF1とし、バネ部材26がファイバ接続器3に与える弾性力をF2とする。
【0025】
続いて、光ファイバコードFを撓ませないようにファイバホルダ4に保持する。このとき、光ファイバコードの先端部がファイバホルダ4から突き出るように、光ファイバコードFをファイバホルダ4に保持する。ファイバホルダ4に保持される光ファイバコードFの先端部は、光ファイバ心線Aが露出しており、光ファイバ心線Aの先端部はガラスファイバGが露出している。
【0026】
続いて、ファイバホルダ4を、一対の係止片24により係止される位置までファイバ接続器3側にスライドさせて、光ファイバコードFの先端部をファイバ接続器3のメカニカルスプライス部内に挿入する。
【0027】
このとき、ファイバ接続器3がバネ部材25側に押し込まれ、バネ部材25の縮みが大きくなる。このため、バネ部材25による新たな弾性力が発生し、バネ部材25によってファイバ接続器3がファイバホルダ4側に付勢されることとなる。その結果、ファイバ接続器3に内蔵された短尺ファイバと、ファイバホルダ4に保持された光ファイバコードFのガラスファイバGとが、所定の荷重をもって突き当てられて接続される。このとき、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て部分に生じる荷重F3は、下式のようになる。ただし、kはバネ部材25のバネ定数であり、△xはバネ部材25の縮み量である。
F3=(F1−F2)+k・△x
【0028】
ここで、荷重F3は、5g以上であることが好ましい。この値は、ガラスファイバGが、メカニカルスプライス部のファイバ挿通路に塗布されたグリス等による抵抗に抗して、ファイバ挿通路を進行し短尺ファイバと突き当たるために必要な下限の値である。また、荷重F3は、30g以下であることが好ましい。この値は、ガラスファイバGが0.125mm径のものである場合に、ガラスファイバGと短尺ファイバとが突き当てられたときにガラスファイバGが曲がってしまわないための上限の値である。つまり、バネ部材25は、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て荷重F3が、5g以上30g以下となるように設計されることが好ましい。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係わる光ファイバ接続ユニット1によれば、光ファイバコードFをファイバホルダ4に保持した状態で、バネ部材25によりファイバ接続器3をファイバホルダ4の側に付勢することにより、ガラスファイバGと短尺ファイバとを突き当てる。このため、光ファイバコードFを撓ませることなく、ガラスファイバGと短尺ファイバとを荷重F3をもって突き当てることができるので、光ファイバ心線AやガラスファイバGが曲がって折れてしまうという現象を防止することができる。これにより、光ファイバコードFの外径によらず良好な接続品質を得ることができる。
【0030】
また、ファイバ接続器3は、バネ部材25とバネ部材26とにより前後方向に挟持されているので、ベース部材2上で前後方向に可動となっている。このため、一対の係止片24によりファイバホルダ4がベース部材2に係止されていても、バネ部材25によりファイバ接続器3をファイバホルダ4側に付勢することで、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て荷重を一定に保つことができる。さらに、ファイバホルダ4がベース部材2に係止されているので、光ファイバコードFを後側に引っ張っても、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て荷重が損なわれない。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明に係わる光ファイバ接続構造の他の実施形態を有する光ファイバ接続ユニットと、この光ファイバ接続ユニットを用いて光ファイバ同士を接続する方法について説明する。
【0032】
図5は、本実施形態に係わる光ファイバ接続ユニットを模式的に示す側面図である。図5(a)は光ファイバ同士を接続する前の状態を示しており、図5(b)は光ファイバ同士を接続した後の状態を示している。
【0033】
図5に示されるように、本実施形態の光ファイバ接続ユニット1Aは、上記第1実施形態の光ファイバ接続ユニット1に対して、ベース部材2に換えてベース部材2Aを備える点で異なる。ベース部材2Aは、ファイバ接続器3が配置される接続器配置部21Aと、ファイバホルダ4が配置されるホルダ配置部22Aとからなる。ホルダ配置部22Aには、バネ部材27が設けられている。バネ部材27は、後述するように、ファイバホルダ4をファイバ接続器3側に付勢するためのものである。なお、本実施形態においては、ファイバ接続器3は、接続器配置部21Aにリジッドに固定されている。
【0034】
本実施形態における光ファイバコードFと短尺ファイバとを突き当てて接続する方法においては、まず、上記の光ファイバ接続ユニット1Aを用意する。続いて、第1実施形態と同様に、光ファイバコードFを撓ませないようにファイバホルダ4に保持する。
【0035】
続いて、バネ部材27をファイバ接続器3の反対の側に押し込みながら、ファイバホルダ4をホルダ配置部22A上に配置し、光ファイバコードFの先端部をファイバ接続器3のメカニカルスプライス部内に挿入する。
【0036】
このとき、バネ部材27が、ファイバ接続器3の反対の側に押し込まれているので、バネ部材27には縮みが生じている。このため、バネ部材27による弾性力が発生し、バネ部材27によってファイバホルダ4がファイバ接続器3側に付勢されることとなる。その結果、ファイバ接続器3に内蔵された短尺ファイバと、ファイバホルダ4に保持された光ファイバコードFのガラスファイバGとが、所定の荷重をもって突き当てられて接続される。このとき、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て部分に生じる荷重F4は、k・△xとなる。ただし、kはバネ部材27のバネ定数であり、△xはバネ部材27の縮み量である。この荷重F4は、第1実施形態と同様に、5g以上30g以下であることが好ましい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係わる光ファイバ接続ユニット1Aによれば、光ファイバコードFをファイバホルダ4に保持した状態で、バネ部材27によりファイバホルダ4をファイバ接続器3の側に付勢することにより、ガラスファイバGと短尺ファイバとを突き当てる。このため、光ファイバコードFを撓ませることなく、ガラスファイバGと短尺ファイバとを荷重F4をもって突き当てることができるので、第1実施形態と同様に、光ファイバコードFの外径によらず良好な接続品質を得ることができる。
【0038】
また、ファイバ接続器3がベース部材2に固定されているので、例えば、ガラスファイバGと短尺ファイバとを突き当てた後に、くさび部材33を除去して両ファイバをメカニカルスプライス部に固定する作業等において、ファイバ接続器3が不用意に動くことが防止される。
【0039】
(第3実施形態)
次に、本発明に係わる光ファイバ接続構造の更に他の実施形態を有する光ファイバ接続ユニットと、この光ファイバ接続ユニットを用いて光ファイバ同士を接続する方法について説明する。
【0040】
図6は、本実施形態に係わる光ファイバ接続ユニットを模式的に示す側面図である。図6(a)は光ファイバ同士を接続する前の状態を示しており、図6(b)は光ファイバ同士を接続した後の状態を示している。
【0041】
図6に示されるように、本実施形態の光ファイバ接続ユニット1Bは、上記第1実施形態の光ファイバ接続ユニット1に対して、ベース部材2に換えてベース部材2Bを備えている点、及び、スライド部材5を更に備えている点で異なる。
【0042】
ベース部材2Bは、ファイバ接続器3が配置される接続器配置部21Bと、ファイバホルダ4が配置されるホルダ配置部22Bと、からなる。接続器配置部21Bの前端部にはバネ部材28が設けられ、接続器配置部21Bの後端部には係止具29が設けられている。スライド部材5は、接続器配置部21Bに前後方向にスライド可能に取り付けられている。バネ部材28は、スライド部材5の前端部に接するように接続器配置部21Bに設けられている。バネ部材28は、後述するように、スライド部材5をファイバホルダ4側に付勢するためのものであり、係止具29はファイバホルダ4をベース部材2に係止するためのものである。
【0043】
なお、本実施形態においては、ファイバ接続器3はスライド部材5にリジッドに固定されており、ファイバホルダ4はホルダ配置部22Bに前後方向にスライド可能に取り付けられている。
【0044】
本実施形態における光ファイバコードFと短尺ファイバとを突き当てて接続する方法においては、まず、光ファイバ接続ユニット1Bを用意する。続いて、第1実施形態と同様に、光ファイバコードFを撓ませないようにファイバホルダ4に保持する。
【0045】
続いて、ファイバホルダ4を、係止具29により係止される位置まで、ファイバ接続器3側にスライドさせて、光ファイバコードFの先端部をファイバ接続器3のメカニカルスプラス部内に挿入する。
【0046】
このとき、ファイバ接続器3がバネ部材28側に押し込まれる。つまり、ファイバ接続器3を固定するスライド部材5が、バネ部材28側にスライドされる。これにより、スライド部材5の前端部に接するバネ部材28の縮みが大きくなり、バネ部材28による新たな弾性力が発生する。このため、バネ部材28によってスライド部材5(ファイバ接続器3)がファイバホルダ4側に付勢されることとなる。その結果、ファイバ接続器3に内蔵された短尺ファイバと、ファイバホルダ4に保持された光ファイバコードFのガラスファイバGとが、所定の荷重をもって突き当てられて接続される。このとき、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て部分に生じる荷重F5は、k・△xとなる。ただし、kはバネ部材28のバネ定数であり、△xはバネ部材28の縮み量である。この荷重F5は、第1実施形態と同様に、5g以上30g以下であることが好ましい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係わる光ファイバ接続ユニット1Bによれば、光ファイバコードFをファイバホルダ4に保持した状態で、バネ部材28によりスライド部材5をファイバホルダ4の側に付勢することにより、ガラスファイバGと短尺ファイバとを突き当てる。このため、光ファイバコードFを撓ませることなく、ガラスファイバGと短尺ファイバとを荷重F5をもって突き当てることができるので、第1実施形態と同様に、光ファイバコードFの外径によらず良好な接続品質を得ることができる。
【0048】
また、ファイバ接続器3がスライド部材5によりベース部材2B上でスライド可能となっているので、係止具29によりファイバホルダ4がベース部材2Bに係止されていても、バネ部材28によりファイバ接続器3をファイバホルダ側4に付勢することで、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て荷重を一定に保つことができる。さらに、ファイバホルダ4がベース部材2Bに係止されているので、光ファイバコードFを後側に引っ張っても、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て荷重が損なわれない。
【0049】
(第4実施形態)
次に、本発明に係わる光ファイバ接続構造の更に他の実施形態を有する光ファイバ接続ユニットと、この光ファイバ接続ユニットを用いて光ファイバ同士を接続する方法について説明する。
【0050】
図7は、本実施形態に係わる光ファイバ接続ユニットを模式的に示す側面図である。図7(a)は光ファイバ同士を接続する前の状態を示しており、図7(b)は光ファイバ同士を接続した後の状態を示している。
【0051】
図7に示されるように、本実施形態の光ファイバ接続ユニット1Cは、上記第1実施形態の光ファイバ接続ユニット1に対して、ベース部材2に換えてベース部材2Cを備えている点、及び、スライド部材6とバネ部材7とを更に備えている点で異なる。
【0052】
ベース部材2Cは、ファイバ接続器3が配置される接続器配置部21Cと、ファイバホルダ4が配置されるホルダ配置部22Cとからなる。接続器配置部21Cには、スライド部材6を係止するための係止具71が設けられている。スライド部材6は、ホルダ配置部22Cに前後方向にスライド可能に取り付けられている。そして、バネ部材7は、スライド部材6の後端部に設けられている。なお、本実施形態においては、ファイバ接続器3は接続器配置部21Cにリジッドに固定されており、ファイバホルダ4はスライド部材6に前後方向にスライド可能に取り付けられている。
【0053】
本実施形態における光ファイバコードFと短尺ファイバとを突き当てて接続する方法においては、まず、光ファイバ接続ユニット1Cを用意する。続いて、第1実施形態と同様に、光ファイバコードFを撓ませないようにファイバホルダ4に保持する。
【0054】
続いて、スライド部材6を、係止具71により係止される位置まで、ファイバ接続器3側にスライドさせて、光ファイバコードFの先端部をファイバ接続器3のメカニカルスプライス部内に挿入する。
【0055】
このとき、ファイバホルダ4がスライド部材6上でスライド可能となっているので、ファイバホルダ4がバネ部材7側に押し込まれる。これにより、バネ部材7に縮みが生じて、バネ部材7による弾性力が発生する。このため、バネ部材7によってファイバホルダ4がファイバ接続器3側に付勢されることとなる。その結果、ファイバ接続器3に内蔵された短尺ファイバと、ファイバホルダ4に保持された光ファイバコードFのガラスファイバGとが、所定の荷重をもって突き当てられて接続される。このとき、ガラスファイバGと短尺ファイバとの突き当て部分に生じる荷重F6は、k・△xとなる。ただし、kはバネ部材7のバネ定数であり、△xはバネ部材7の縮み量である。この荷重F6は、第1実施形態と同様に、5g以上30g以下であることが好ましい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係わる光ファイバ接続ユニット1Cによれば、光ファイバコードFをファイバホルダ4に保持した状態で、バネ部材7によりファイバホルダ4をファイバ接続器3の側に付勢することにより、ガラスファイバGと短尺ファイバとを突き当てる。このため、光ファイバコードFを撓ませることなく、ガラスファイバGと短尺ファイバとを荷重F6をもって突き当てることができるので、第1実施形態と同様に、光ファイバコードFの外径によらず良好な接続品質を得ることができる。
【0057】
また、ファイバ接続器3がベース部材2Cに固定されているので、例えば、ガラスファイバGと短尺ファイバとを突き当てた後に、両ファイバをメカニカルスプライス部に固定する作業等において、ファイバ接続器3が不用意に動くことが防止される。また、ファイバホルダ4がベース部材2Cに対してスライド可能に取り付けられているので、ガラスファイバGを容易にファイバ接続器3のメカニカルスプライス部内に挿入できる。
【0058】
なお、上記第1〜4実施形態の光ファイバ接続ユニット1,1A,1B,1Cにおけるバネ部材25〜28,7は、ファイバ接続器3及びファイバホルダ4の一方を他方の側に付勢するための弾性部材であればよく、例えば、板状のバネや、スプリングコイル状のバネ等とすることができる。
【0059】
このとき、バネ部材25〜28,7をプラスチック製のバネとした場合にはベース部材2,2A,2B,2Cと一体形成することができ、ばね部材25〜28,7を金属製のバネとした場合にはクリープの発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
1,1A,1B,1C…光ファイバ接続ユニット、2,2A,2B,2C…ベース部材、3…ファイバ接続器、4…ファイバホルダ、5,6…スライド部材、25,26,27,28,7…バネ部材(弾性部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材の上に配置され、光ファイバを保持するファイバホルダと、
前記ベース部材の上に配置され、前記ファイバホルダに保持された光ファイバと接続される短尺ファイバを内蔵するファイバ接続器と、
前記ファイバホルダ及び前記ファイバ接続器の一方を他方の側に付勢することにより前記光ファイバと前記短尺ファイバとを突き当てる弾性部材と、を備えることを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項2】
前記ベース部材に前後方向にスライド可能に取り付けられたスライド部材を更に備え、
前記ファイバ接続器は前記ベース部材に固定されており、
前記ファイバホルダは前記スライド部材に前後方向にスライド可能に取り付けられており、
前記弾性部材は、前記スライド部材に設けられ、前記ファイバホルダを前記ファイバ接続器側に付勢することにより前記光ファイバと前記短尺ファイバとを突き当てる、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ接続構造。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記ファイバ接続器を前後方向に挟持するように前記ベース部材に複数設けられており、前記ファイバ接続器を前記ファイバホルダ側に付勢することにより前記光ファイバと前記短尺ファイバとを突き当てる、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ接続構造。
【請求項4】
前記ファイバ接続器は前記ベース部材に固定されており、
前記弾性部材は、前記ベース部材に設けられ、前記ファイバホルダを前記ファイバ接続器側に付勢することにより前記光ファイバと前記短尺ファイバとを突き当てる、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ接続構造。
【請求項5】
前記ベース部材に前後方向にスライド可能に取り付けられたスライド部材を更に備え、
前記ファイバ接続器は前記スライド部材に固定されており、
前記弾性部材は、前記ベース部材に設けられ、前記スライド部材を前記ファイバホルダ側に付勢することにより前記光ファイバと前記短尺ファイバとを突き当てる、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ接続構造。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記光ファイバと前記短尺ファイバとの突き当て荷重が5g以上30g以下となるように、前記ファイバホルダ及び前記ファイバ接続器の一方を他方の側に付勢する、ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の光ファイバ接続構造。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の光ファイバ接続構造を備えた装置を用意する工程と、
前記光ファイバを前記ファイバホルダに保持する工程と、
前記光ファイバの先端部を前記ファイバ接続器に挿入する工程と、
前記弾性部材により前記ファイバホルダ及び前記ファイバ接続器の一方を他方側に付勢することによって、前記光ファイバと前記短尺ファイバとを突き当てる工程と、を有することを特徴とする光ファイバ接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−154103(P2011−154103A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14425(P2010−14425)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】