説明

光ブロック

中空エンクロージャー、光学照明フィルム、反射内面及び部分視準光源を含む照明要素について説明する。照明要素は、ライトボックス、サインボックス又は照明器具を照明する光ブロックとして使用できる。照明要素は、矩形で、薄型で、明るく、均一で、エネルギー効率がよく、かつ軽量であることができ、一方または反対側の面から光を発するように構成できる。様々な用途において、照明要素の出力面に隣接して拡散フィルム、図形のフィルム及び情報の表示などの追加の光管理要素を配置することができる。いくつかの照明要素を共にタイリングして、より大きな面積及びより大きなサインを照明することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
図形の表示に使用されるライトボックス及びサインボックス、又はその他の情報伝達装置は、典型的には、反射内面及び透明な又は半透明な上部を有する中空の箱から構成されている。表示図形の均一な照明を提供するために、これらの箱に使用される照明方法は、従来から1又は複数の蛍光灯を使用している。蛍光灯は本質的に光の輝線なので、これらをサインボックス内に使用する場合には、ホットスポットを低減するための処置が必要となる。これらの処置には、重い拡散器、拡散器のより大きなオフセット距離、電球間のより狭い間隔、及びより厚い箱のうちの1又はいくつかが含まれる。これらは全てエネルギー代及び材料費の増額に転換される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
必要とされているのは、従来の蛍光灯ボックスよりも優れた輝度、均一性、エネルギー効率、寸法形状及び重量を有する照明装置である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様において、本開示は、照明要素、照明器具、グラフィックディスプレイ、並びに中空エンクロージャー、部分視準光源、光学照明フィルム(OLF)、及びOLFに近接して配置された複数の光抽出素子を含むライトボックスを提供する。中空エンクロージャーは、基底部、出力領域、及び基底部を出力領域に接続する側部を備え、基底部及び側部の各々は、中空エンクロージャーの内部に反射面を有する。部分視準光源は基底部の縁部に隣接して配置され、中空エンクロージャー内に、基底部と平行な横断面に対して40度の角度内で光を注入できる。OLFは出力領域に隣接しており、基底部に面し、縁部に垂直な方向に延在する複数の平行なV字溝を備えている。
【0004】
別の態様において、本開示は、照明要素、照明器具、グラフィックディスプレイ、並びに中空エンクロージャー、部分視準光源、第1の光学照明フィルム(OLF)、第2のOLF、及び第1のOLFに近接して配置された複数の光抽出素子を含むライトボックスを提供する。中空エンクロージャーは、第1の出力領域、第2の出力領域、及び第1の出力領域と第2の出力領域とを接続する側部を備え、側部は、中空エンクロージャーの内部に反射面を有する。部分視準光源は第2の出力領域の縁部に隣接して配置されており、中空エンクロージャー内に、第2の出力領域に平行な横断面に対して40度の角度内で光を注入できる。第1の光学照明フィルム(OLF)は第1の出力領域に隣接しており、この第1のOLFは、第2の出力領域に面し、縁部に垂直な方向に延在する複数の平行なV字溝を備える。第2のOLFは第2の出力領域に隣接しており、この第2のOLFは、第1のOLFに面し、縁部に垂直な方向に延在する複数の平行なV字溝を備える。
【0005】
本願のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかし、決して、上記要約は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書を通して、添付の図面を参照し、ここで、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図1】照明要素の斜視図。
【図2】照明要素の断面図。
【図3】照明要素の断面図。
【図4】照明要素の断面図。
【図5】1対の照明要素の断面図。
【図6】ライトボックスの断面図。
【0007】
図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図中で用いられる類似の数字は、類似の構成要素を示す。しかし、所与の図中の構成要素を意味する数字の使用は、同一数字を付した別の図中の構成要素を制約するものではないことは理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
光ブロックとして使用可能な照明要素について説明する。照明要素は、軽量の剛性構造体、光管理フィルム及び光源を備えている。照明要素又は光ブロックは、従来の蛍光灯に取って代わって、現存のライトボックス、サインボックス及び照明器具内に定置するように構成することができる。光ブロックは、矩形で、薄く、明るく、均一で、エネルギー効率がよく、かつ軽量であることができ、一方または反対側の面から光を発するように構成できる。様々な用途において、光ブロックの出力面に隣接して拡散フィルム、図形のフィルム及び情報の表示などの追加の光管理要素を配置することができる。複数の照明要素を共にタイリングして、より大きな面積及びより大きなサインを照明することができる。
【0009】
一般的に、照明要素の構造体は、照明要素の側部を形成するアルミニウム製のフレームによって提供される。アルミニウム製のフレームは、「C字状」の断面を有することができ、アルミニウム製の底部及び透明な出力面に固定することで、両者間に中空エンクロージャーを形成することができる。代替の実施形態において、アルミニウム製のシートを折り曲げて上部の開いた箱の側部及び底部を形成することができ、上面を囲うように透明な外面を固定して、中空エンクロージャーを作ることができる。更に別の実施形態において、第1の透明な出力面をアルミニウム製のフレームに固定して上部の開いた箱を形成することができ、第2の透明な出力面を固定して上面を囲うことで、中空エンクロージャーを形成することができる。更に別の実施形態において、その代わりに、アルミニウム製のフレーム、アルミニウム製の底部又はその両方を、他の金属、熱可塑性樹脂、又はプラスチック複合材などの任意の軽量の硬質材料で形成することができる。
【0010】
照明要素の透明な出力面として、3M Companyから入手可能なVikuiti(商標)OLFなどのOLF(Optical Lighting Film)を使用できる。OLFプリズムが内側を向いた構造を有する照明要素は、脆弱な溝状面を保護し、アスペクト比の大きな、換言すれば非常に薄い空洞のエンクロージャー内においては特に、輝度対均一性のバランスを改善する。アスペクト比とは、エンクロージャーの長さをその厚さ(又は高さ)で除したものである。アスペクト比は、光線の跳ね返り回数に影響を与えることがあり、したがって光伝搬効率に影響することがある。例えば、厚さ1インチ(2.5cm)及び長さ48インチ(121.9cm)の中空の光ガイド内に半頂角20度で注入された光は、約19回跳ね返る。同じ長さの3/8インチ(0.95cm)の中実光ガイドは、約50回跳ね返りを起こす。一般に、跳ね返りが多いほど効率が低下する。いくつかの実施形態において、単独のサインとして機能することを可能とするために、図形のシートを照明要素に直接固定することができる。OLF又はOLFの上に配置されたプレートに図形を直接付着させることができ、ドットの封止及び保護の補助をすると共にOLFのUV保護を提供することができる。
【0011】
中空エンクロージャーのその他の内面は全て、研磨された金属面、表面蒸着金属鏡(surface deposited metal mirror)、金属化高分子フィルム、又は高分子多層光学フィルムのような多層誘電体反射器などの高反射面である。好ましい高反射面は、3M Companyから入手可能なVikuiti(商標)Enhanced Specular Reflector(ESR)フィルムであってよい。
【0012】
照明要素の底部、側部及び上部は、OPTICALLY TRANSMISSIVE COMPOSITE FILM FRAM(登録商標)Eと題されたPCT出願第US2008/068739号に記載されているものを含む、任意の既知の技術を使用して取り付けることができる。3M Companyから入手可能なVery High Bond(VHB)テープを使用した接着取り付けは、好ましい取付け技術である。
【0013】
中空エンクロージャーの1つの縁部に隣接して定置された光源が、中空エンクロージャー内に光を注入する。注入された光は、透明な外面から漏出する前にエンクロージャーの内面から数回反射できる。透明な外面を出る光の均一性は、複数回の反射に起因する混光によって改善される。光は1つの縁部に沿って注入でき、又は2つの対向する縁部に沿って注入できる。OLFが一般的に臨界角未満の浅い角度でのみ反射し、その他全ての角度では光を透過するのに対して、エンクロージャーの側部及び底部上に配置されたESRは、反射によってエンクロージャーの長さの更に先まで光を移送することができる。
【0014】
光源は、中空エンクロージャー内に、中空エンクロージャー内の横断面からの狭い角度の範囲内で光を注入することができる、部分視準光源である。横断面は、中空エンクロージャーの底部又は基底部に本質的に平行であり、狭い範囲の角度は、横断面に対して40、30、20又は10度以内でさえある。部分視準光源は、例えばRECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMISPECULAR COMPONENTSと題されたPCT特許出願第US2008/064115号、及びCOLLIMATING LIGHT INJECTORS FOR EDGE−LIT BACKLIGHTSと題されたPCT特許出願第US2008/064125号に記載されたものを含む、くさび形の反射器を含むことができる。くさび形の反射器は、発光ダイオード(LED)などの光源からの光を視準し、それを浅い角度で中空エンクロージャー内に送り出す。部分視準光源はまた、レンズなどの、所望の視準を提供するその他の光学素子を含むことができる。
【0015】
部分視準光源は、例えば、表面から半球状に白色光を放射する下方変換蛍光体を有する、青色又は紫外発光LEDなどの面発光LED、赤色/緑色/青色(RGB)LEDの配列などの、個別の色のLED、及びBACKLIGHT AND DISPLAY SYSTEM USING SAMEと題されたPCT特許出願第US2008/064133号に記載される他のものなどを含む、任意の好適な光源を含んでもよい。中空エンクロージャーの縁部に沿って複数のLED及びそれに関連づけられる視準装置を配置して、所望の光の強度及び均一性を提供することができる。
【0016】
注入された光は、OLFを通過するように臨界角の外側の角度に向け直されることによってエンクロージャーを出ることができる。これは、OLFの平坦な側の上に印刷された拡散反射性の白色抽出ドットなどの光抽出素子の使用によって達成できる。光抽出素子は、屈折、反射、拡散、又は類似のプロセスによって光を抽出するように精密に配置された光抽出パターンを含むことができる。一実施形態では、光抽出素子は、屈折性又は拡散性ビーズ、拡散微粒子などの微粒子、蛍光体などの下方変換材料、微細構造、テクスチャーなどを含むことができる。光抽出素子の例は、例えば米国特許第6,845,212号(Gardinerら)及び同第7,223,005号(Lambら)、並びに米国特許出願第11/421,241号及び第61/108,606号にも見出すことができる。
【0017】
光抽出素子は、中空エンクロージャーの内側、ESRの面上、OLFのいずれかの面上、又はこれらの組み合わせに配置することができる。抽出素子は、部分視準光源からの距離が大きくなるほど被覆面積が大きくなるように階調的にOLFの面全域にわたってパターン化されたドットであってよい。ドットを透過する光(light transmitted through the dots)は、中空エンクロージャーを出る代わりにその中に向け直されるので、ESR上に位置するドットはOLF上のドットとは僅かに異なるふるまいをしてもよい。一般に、中空エンクロージャーの中を通る光の正反射の流れを中断させるような好適なパターンでドットが配置されている限り、どこにドットが位置しているかは問題ではない。
【0018】
ドットは光の経路のどこに位置していてもよく、例えば、中空エンクロージャー内に浮かせて配置された光抽出フィルム上にさえ位置していてもよい。一実施形態において、光抽出フィルムは、中空エンクロージャー内に傾斜して、OLFに対して非平面的なドットを有するESRフィルムを含むことができる。この実施形態では、OLFに対するドットの近接度が諧調的なドットに非常に類似した効果をもたらすので、一定の(非階調の)ドットパターンを使用することができる。あるいは、OLFに対して非平面的なESRフィルムを使用するとき、一定のドットパターンをOLF上に配置することができる。いくつかの実施形態において、かつアスペクト比によっては、抽出素子は不要である。
【0019】
図1は、本開示の一態様による照明要素100の斜視図を示している。照明要素100は、出力領域110、出力領域110の反対側の基底部120、及び基底部120を出力領域110に接続する側部130を含む。照明要素100は、長さ「L」、幅「W」及び奥行「D」を有する、図1に示す矩形状の出力領域を有することができる。別のところで開示するように、幅「W」に沿った照明要素100の第1の縁部140は、別のところで述べる照明要素100内に含まれる光源(図示せず)などの他の構成要素の配向及び配置を決定する。第2の縁部140’は幅「W」に沿って位置し、第1の縁部140に略平行であるが、長さ「L」だけ転置されている。照明要素100は、電力が印加されると出力領域110から実質的に均一に光が発せられるように、外部電気的接続を有する内蔵型光ブロックであることができる。
【0020】
図2は、照明要素100の一実施形態である照明要素200の、図1に示す断面A−A’を通る断面図を示している。照明要素200は、出力領域210、基底部220、及び基底部220を出力領域210に接続し、両者間に中空空洞215を形成する側部230を含んでいる。照明要素200は、基底部220の第1の縁部240に隣接して配置された部分視準光源260を更に含んでいる。
【0021】
部分視準光源260は、少なくとも1つの光要素265及び視準光学素子267を含んでいる。この少なくとも1つの光要素265は、好ましくは発光ダイオード(LED)光源などの複数の光源を含むものの、任意の光源を使用することができる。LEDは、照明要素200の幅「W」の全域に沿って、隣接するLED間に任意の所望の間隔を開けて配置することができる。LEDの数量及び相対的な配置は、出力面210を通って照明要素を出る光の所望の輝度及び均一性にしたがって異なってもよい。図2に示すように、視準光学素子267は、当業者にとって既知のように、くさび形の反射器であってもよく、又はレンズ(図示せず)を含んでもよい。部分視準光源260は、複数の光線266を中空空洞215内に、基底部220に平行な横断面270から角度θの範囲内のような狭い角度の範囲内で注入することができる。ここでも、出力面210を通って照明要素を出る光の所望の輝度及び均一性にしたがって、複数の光線266を、横断面に対して40、30、20、更には10度の角度θの範囲内で、中空空洞215内に注入することができる。別の実施形態では、隣接した基底部220の第1の縁部240の反対側にある第2の縁部240’に隣接して第2の部分視準光源(図示せず)を配置することができる。
【0022】
側部230及び基底部220の各々は、中空空洞215の内部に反射面225を有する。反射面225は、研磨された金属面、表面蒸着金属鏡、金属化高分子フィルム、又は高分子多層光学フィルムのような多層誘電体反射器などの任意の既知の反射器を含むことができる。好ましい反射器は、3M Companyから入手可能なVikuiti(商標)Enhanced Specular Reflector(ESR)フィルムであってよい。ESRは特に高い正反射率を有し、照明要素200の輝度及び均一性を向上させる。
【0023】
出力面210に隣接して、光学照明フィルム(OLF)250が配置されている。3M Companyから入手可能なVikuiti(商標)OLFなどのOLF 250は、別のところで述べるように、略平面の外面257、及び複数の平行なV字溝から構成される内面255を有する。一実施形態において、OLF 250はまた、図2に示す外面257の上に配置された複数の抽出素子280を含むこともできる。その他の実施形態(図示せず)では、複数の抽出素子280は、別のところで述べるように、OLF 250の内面255上、基底部220の内面225上、又は中空空洞215の内部のように、照明要素200内のいくつかの場所に配置することができる。抽出素子280は、当業者にとっては既知のように、印刷するか、非平滑化するか、又は微細構造化することができる。抽出素子280は、部分視準光源260からの距離が増加するにしたがって抽出素子280の面密度が増加するように、階調配列に配置された、印刷された抽出素子であることが好ましい。
【0024】
図2に示すように、OLF 250は、接着層239を使用して、側部230から延在するフランジ237に接着することができる。接着層239は、3M Companyから入手可能なVery High Bond(VHB)接着テープを含む任意の接着剤であってよい。いくつかの実施形態において、接着層239はまた、光線266がフランジ237とOLF 250との間を伝搬でき、出力面210の外側の領域を照明するような、透明な接着剤であってもよい。基底部220はアルミニウム製のシートなどの硬質材料から形成でき、図1に示すように、接着層239を使用して側部230に基底部220を接着することができる。別の実施形態(図示せず)では、側部230は基底部220と一体であってもよく、アルミニウム製シートの基底部を曲げることによって形成してもよい。
【0025】
ここで図2を参照して、本開示の一態様による照明要素200の動作を説明する。部分視準光源260からの光線266が、横断面270に対する角度θの範囲内で中空空洞215内に注入される。光線266は、反射面225並びにOLF 250の内面255から複数回の正反射を受けることができる。OLF 250の内面255を遮断する一部の光が、中空空洞215から方向を向け直され、出力面210を出る。
【0026】
いくつかの実施形態(図示せず)において、基底部220は、その代わりに、OLF 250と同様の方法で空洞215の内部を向くV字溝のある面を配置した第2のOLFであってよい。抽出素子は、上述のOLF 250と同様の方法で第2のOLFに近接して配置することができる。この実施形態では、出力面210及び基底部220の双方から光が出ることができ、両面照明要素となる。
【0027】
図3は、照明要素100の一実施形態である照明要素300の、図1の断面B−B’を通る断面図を示している。断面B−B’は断面A−A’に垂直であり、OLF 250のV字溝のある面255を示している。断面B−B’はまた、図2に示す照明要素200の一実施形態としても示されている。図3における同様の番号を有する要素は、図2における同様の番号を有する要素に対応する。照明要素300は、出力領域210、基底部220、及び基底部220を出力領域210に接続し、両者間に中空空洞215を形成する側部230を含んでいる。
【0028】
側部230及び基底部220の各々は、中空空洞215の内部に内面327及び反射面325を有する。図3に示す反射面325は、3M Companyから入手可能なVicuiti Enhanced Specular Reflector(ESR)フィルムであってよい。光学照明フィルム(OLF)250は、略平面の外面257、及び複数の平行なV溝から構成される内面255を有する。この平行なV字溝の各々は、図3に示す夾角φを有する。この夾角φは、約90度、又は約70度〜約110度若しくは約85度〜約95度であってよい。一実施形態において、OLF 250はまた、図3に示す外面257の上に配置された複数の抽出素子280を含むこともできる。光抽出素子280は、別のところで述べるように、階調配列に配置できる。その他の実施形態では、複数の抽出素子280は、図4に示すように、OLF 250の内面255上、基底部220に隣接した反射器の内面225上、又は中空空洞215の内部のように、照明要素300内のいくつかの場所に配置することができる。
【0029】
図4は、照明要素100の一実施形態である照明要素400の断面図を示している。図4における同様の番号の要素は、図2における同様の番号の要素に対応する。図4において、光抽出素子480は、空洞215内の任意の場所に位置させることができる光抽出フィルム490上に配置されている図4に示した一実施形態において、光抽出フィルム490は、空洞215内に、横断面270に対して傾斜して位置させることができる。一実施形態において、光抽出フィルム490は、抽出素子480を支持する機能を果たす透明なフィルムであってよい。別の実施形態において、光抽出フィルム490は、OLF 250と部分視準光源260との間にくさび形反射性空洞を形成するESRフィルムであってよい。
【0030】
図5は、本開示の一態様による、相互に隣接する1対の照明要素500の断面図を示している。この1対の照明要素500は、各々が基底部520、520’、側部230、230’及びOLF 550、550’をそれぞれ有する第1の照明要素100及び第2の照明要素100’を含んでいる。側部230、230’は、図に示すように、基底部520、520’とそれぞれ一体的に形成することができる。別のところで述べるように、基底部520、520’及び側部230、230’の内面上にESRフィルムなどの反射フィルム325、325’を配置することができる。別のところで述べるように、それぞれ接着剤239,239’を使用して、側部230、230’にOLF 550,550’を取り付けることができる。
【0031】
図6は、本開示の一態様によるライトボックス600の断面図を示している。図6において、照明要素100は、エンクロージャー620及び透明なプレート610によって形成された中空空洞615内に定置されている。透明なプレート610は、広告のサインなどの情報を伝える図形を配置することのできる出力面630を含んでいる。エンクロージャー620及び透明なプレート610は、市販のライトボックスから蛍光灯などのような従来の光源を取り除いた構成要素であってよい。
【実施例】
【0032】
VHBテープを使用して相互に固定したアルミニウム製シートで、図1〜3に示した設計に類似したいくつかの試験用照明要素を製作した。照明要素の全ての内面(出力領域を除いて)をESRフィルムで被覆した。試験用照明要素は、出力領域の幅「W」12インチ(30.48cm)及び長さ「L」22インチ(55.9cm)を有していた。異なるアスペクト比(L/D)を評価するために、奥行「D」を表1に示すように変化させた。
【0033】
光源は、350mAの電流で駆動され、7mm×50mmの設置面積を有するCitizen製CL−L102−C7NのLEDアレイであった。光源は、視準光学素子の基底部に定置された。視準光学素子は、図2に示すように、約1.08インチ(2.74cm)の奥行(即ち横断面に対して平行)及び約0.88インチ(2.23cm)の開口部(即ち横断面に対して垂直)を有するくさび形であった。この部分視準光源は、横断面に対してθ=20度以内の角度の視準範囲をもたらした。試験用照明要素の幅「W」にわたって4つの部分視準光源を定置した。
【0034】
3M Companyから入手可能なVikuiti(商標)OLFの平坦な外面の上に白色の光抽出ドットの階調配列を印刷することによって印刷OLF(POLF)を作製した。表2に示すように、光源(位置=0)から測定した距離と共にドットの面密度を変化させた。図2及び3に示すように、VHBテープを使用して出力領域の上にPOLFを固定した。POLFは、図3に示すように、V字溝が中空空洞の内側にあるように配向した(「下向きプリズム」として識別)。比較のために、拡散器のみを有する従来の照明要素、並びにPOLFのV字溝が中空空洞の外側にあるように配向した(「上向きプリズム」として識別)照明要素の結果もまた測定した。
【0035】
試作品の出力領域から約1.5m離して定置されたPrometric Camera(Radiant Imaging PM Series Imaging Colorimeter PM−9913E−1)を使用して、出力領域から出る光の輝度及び均一性を測定した。いくつかの照明要素の奥行(D)及び出力領域のフィルムについて、輝度(カンデラ/m)及び均一性(最低輝度/最高輝度)の測定値を下記の表1に記載する。データは、光注入縁部及び反対側の縁部のデータの約10%を削除することによってエッジ効果を除外した。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
この照明要素は、看板市場において、蛍光灯に取って代わる薄型で、軽量で、均一で、明るく、エネルギー効率がよく、環境に優しい照明システムの必要性を満たすために使用することができる。また、これにより、サイン製造者が、3M製光管理フィルムなどの光管理フィルムをどのように配置し、支持するかを理解するために難渋する代わりに、フィルムをプラグアンドプレイ・モードで使用することが可能となる。その輝度、均一性、エネルギー効率、寸法形状及び重量を考慮すれば、これはサインボックス業界にとって優れた照明ソリューションであり得る。
【0039】
指示がない限り、本明細書及び請求項で使用される特性となる大きさ、量、及び物理特性を示す全ての数字は、「約」と言う用語によって修飾されることを理解されたい。それ故に、別の指示がない限りは、本明細書及び添付の請求項に説明される数字のパラメータは近似値であり、本明細書に開示された教示を使用して当業者が獲得しようとする所望の特性に応じて変化し得る。
【0040】
本願で引用した全ての参照文献及び刊行物は、本開示と完全には矛盾することのない程度まで、その全てが引用によって本開示に明白に組み込まれる。本明細書において特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、多様な代替及び/又は同等の実施が、本開示の範囲から逸脱することなく、図示され説明された特定の実施形態と置き換えられ得ることは、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書で説明された特定の実施形態のいかなる翻案又は変形をも包含すべく意図されている。したがって、本開示が「特許請求の範囲」及びその同等物によってのみ限定されることを、意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基底部、出力領域、及び前記基底部を前記出力領域に接続する側部を備える中空エンクロージャーであって、前記基底部及び前記側部の各々は、前記中空エンクロージャーの内部に反射面を有する、中空エンクロージャーと、
前記基底部の縁部に隣接して配置され、前記中空エンクロージャー内に、前記基底部と平行な横断面に対して40度の角度内で光を注入できる、部分視準光源と、
前記基底部に面し、前記縁部に垂直な方向に延在する複数の平行なV字溝を備える、前記出力領域に隣接する光学照明フィルム(OLF)と、
前記OLFに近接して配置された複数の光抽出素子と、
を備える、照明要素。
【請求項2】
前記反射面が、高分子多層干渉反射器を備える、請求項1に記載の照明要素。
【請求項3】
前記部分視準光源が、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を備える、請求項1に記載の照明要素。
【請求項4】
前記少なくとも1つのLEDが、視準光学素子を更に備える、請求項3に記載の照明要素。
【請求項5】
前記OLFが、70度〜110度の夾角を有するV字溝を備える、請求項1に記載の照明要素。
【請求項6】
前記OLFが、85度〜95度の夾角を有するV字溝を備える、請求項1に記載の照明要素。
【請求項7】
前記複数の光抽出素子が、前記中空エンクロージャー内に配置される、請求項1に記載の照明要素。
【請求項8】
前記複数の光抽出素子が、前記OLFに隣接して前記V字溝の反対側に配置される、請求項1に記載の照明要素。
【請求項9】
前記複数の光抽出素子が、階調光抽出フィルムを備える、請求項1に記載の照明要素。
【請求項10】
前記部分視準光源から前記中空エンクロージャー内に注入された光が、前記出力領域全面にわたって20%未満で変化する輝度で、前記出力領域を通って前記中空エンクロージャーから出る、請求項1に記載の照明要素。
【請求項11】
前記部分視準光源が、前記基底部に平行な横断面に対して30度の角度以内で光を注入することができる、請求項1に記載の照明要素。
【請求項12】
前記部分視準光源が、前記基底部に平行な横断面に対して20度の角度以内で光を注入することができる、請求項1に記載の照明要素。
【請求項13】
前記基底部の第2の縁部に隣接して配置された第2の部分視準光源を更に備え、該第2の部分視準光源が、前記中空エンクロージャー内に、前記基底部に平行な横断面に対して40度の角度以内で、かつ前記部分視準光源の方向に光を注入することができる、請求項1に記載の照明要素。
【請求項14】
第1の出力領域、第2の出力領域、及び前記第1の出力領域と前記第2の出力領域とを接続する側部を備える中空エンクロージャーであって、前記側部が、前記中空エンクロージャーの内部に反射面を有する、中空エンクロージャーと、
前記第2の出力領域の縁部に隣接して配置され、前記中空エンクロージャー内に、前記第2の出力領域に平行な横断面に対して40度の角度内で光を注入できる、部分視準光源と、
前記第2の出力領域に面し、前記縁部に垂直な方向に延在する複数の平行なV字溝を備える、前記第1の出力領域に隣接する第1の光学照明フィルム(OLF)と、
前記第1のOLFに面し、前記縁部に垂直な方向に延在する複数の平行なV字溝を備える、前記第2の出力領域に隣接する第2のOLFと、
前記第1のOLFに近接して配置された複数の光抽出素子と、
を備える、照明要素。
【請求項15】
前記反射面が、高分子多層干渉反射器を備える、請求項14に記載の照明要素。
【請求項16】
前記部分視準光源が、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を備える、請求項14に記載の照明要素。
【請求項17】
前記少なくとも1つのLEDが、視準光学素子を更に備える、請求項16に記載の照明要素。
【請求項18】
前記OLFが、70度〜110度の夾角を有するV字溝を備える、請求項14に記載の照明要素。
【請求項19】
前記OLFが、85度〜95度の夾角を有するV字溝を備える、請求項14に記載の照明要素。
【請求項20】
前記複数の光抽出素子が、前記中空エンクロージャー内に配置される、請求項14に記載の照明要素。
【請求項21】
前記複数の光抽出素子が、前記第1のOLFに隣接して前記V字溝の反対側に配置される、請求項14に記載の照明要素。
【請求項22】
前記第2のOLFに隣接して前記V字溝の反対側に配置された第2の複数の光抽出素子を更に備える、請求項21に記載の照明要素。
【請求項23】
前記複数の光抽出素子が、第1の階調光抽出フィルムを備える、請求項14に記載の照明要素。
【請求項24】
前記第2の複数の光抽出素子が、第2の階調光抽出フィルムを備える、請求項22に記載の照明要素。
【請求項25】
前記部分視準光源から前記中空エンクロージャー内に注入される光が、前記第1の出力領域の表面全面にわたって20%未満で変化する輝度で、前記第1の出力領域を通って前記中空エンクロージャーを出、また、前記第2の出力領域の表面全面にわたって20%未満で変化する輝度で前記第2の出力領域を通って出る、請求項14に記載の照明要素。
【請求項26】
前記部分視準光源が、前記第2の出力領域に平行な横断面に対して30度の角度以内で光を注入することができる、請求項14に記載の照明要素。
【請求項27】
前記部分視準光源が、前記第2の出力領域に平行な横断面に対して20度の角度以内で光を注入することができる、請求項14に記載の照明要素。
【請求項28】
前記第2の出力領域の第2の縁部に隣接して配置された第2の部分視準光源を更に備え、該第2の部分視準光源が、前記中空エンクロージャー内に、前記第2の出力領域に平行な横断面に対して40度の角度以内で、かつ前記部分視準光源の方向に光を注入することができる、請求項14に記載の照明要素。
【請求項29】
請求項1又は請求項14の照明要素を備える、照明器具。
【請求項30】
請求項1又は請求項14の照明要素を備える、グラフィックディスプレイ。
【請求項31】
請求項1又は請求項14の照明要素を備える、ライトボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−515425(P2012−515425A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546277(P2011−546277)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/020178
【国際公開番号】WO2010/083074
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】