説明

光プローブ

【課題】光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測により光断層画像を生成する光断層画像化装置等に使用される光プローブにおいて、プローブ外筒(シース)の側壁面を測定対象に容易に押し当てることができ、また、測定光を出射する光出射手段の回転力の低下や回転ムラを生じさせることのない光プローブを提供する。
【解決手段】OCTプローブ装置10のプローブ挿入部70は反対方向に湾曲する第1湾曲部200と第2湾曲部202が設けられている。プローブ挿入部70は、円筒状のシース74内に測定光を導波する光ファイバとそれを覆うフレキシブルシャフトが挿置されており、第1湾曲部200と第2湾曲部202におけるシース74の内壁面にはフレキシブルシャフトとの摩擦を軽減するために長手軸方向に沿って凹凸が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光プローブに係り、特に光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測により光断層画像を生成する光断層画像化装置に使用される光プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体組織等の測定対象を切断せずに断層画像を取得する方法として例えば低コヒーレンス光による干渉を用いた光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測法を利用した光断層画像化装置の開発が進められている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
このOCT計測法によれば、光源から出射された低コヒーレンス光が光分割手段により測定光と参照光とに分割され、測定光が測定対象に照射される。そして、その測定対象からの戻り光が合波手段に導かれる。一方、参照光は、測定光の測定対象までの光路長に一致する参照光路を経由した後に合波手段に導かれる。合波手段に導かれた戻り光と参照光は、合波手段により合波されて干渉し、その干渉光が電気信号として検出されて演算処理部により測定対象の深さ方向の断層画像が生成されるようになっている。
【0004】
このようなOCT計測法を利用した光断層画像化装置において、被検体の所望の測定部位の測定対象に測定光を照射し、測定対象からの戻り光を取り込むために光プローブ(OCTプローブ)が使用される。
【0005】
OCTプローブは、例えば全体が可撓性を有する長筒状のプローブ外筒(シース)で覆われており、その内部にシースの軸に沿って挿置される光ファイバと、光ファイバの先端部に配置される光学系(光出射手段)を備えている。OCTプローブの光ファイバは、光断層画像化装置の装置本体となるOCTプロセッサに光学的に接続されており、OCTプロセッサから出射された測定光が、OCTプローブ内の光ファイバを伝送して光ファイバの先端からOCTプローブの長手軸方向に出射された後、その測定光が光学系の偏向作用及び集光作用によってOCTプローブの長手軸方向とは所定角度傾斜した方向(OCTプローブの長手軸に対して略直交方向)に集光されて照射されるようになっている(例えば、特許文献2〜5参照)。
【0006】
また、その光ファイバの先端部の光学系は、例えば光ファイバと連結されており、光ファイバをシース内で回転させることによって測定光の照射方向を周方向に回転させるラジアル走査が行われ、これによって、OCTプローブの長手軸に略直交する断面における測定対象の断層情報の取得が行われている。また、光ファイバをシース内で直進移動させることによって測定光の照射位置をOCTプローブの長手軸方向に移動させるリニア走査が行われ、これによって長手軸に沿った断面における測定対象の断層情報の取得が行われている。更に、これらのラジアル走査とリニア走査を並行して行うことによってOCTプローブの長手軸周りの3次元的な領域における測定対象の断層情報(3次元ボリュームデータ)の取得が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−165784号公報
【特許文献2】特開2010−43994号公報
【特許文献3】特開2010−46216号公報
【特許文献4】特開2010−14667号公報
【特許文献5】特開2006−95143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のようなOCTプローブを使用して測定対象の断層情報を取得する場合、シースの側壁面を測定対象に押し当てて測定を行う方が、離間させて行うよりも空気層が介在しない等の理由から良好な断層画像が得られることが知られている。
【0009】
しかしながら、シースの側壁面を測定対象に押し当てることが難しい場合がある。例えば、胆道や膵管の内腔にOCTプローブを挿入して胆道や膵管の内壁部の断層情報を取得するという場合、側視型の内視鏡の挿入部を十二指腸まで挿入した後、内視鏡の処置具挿通チャンネルを使用して、内視鏡挿入部の先端部において側方に向けて開口されている処置具導出口からOCTプローブを導出させ、ファーター乳頭から胆道や膵管の内腔にOCTプローブを挿入することが行われている。このとき、胆道や膵管の内腔にはOCTプローブのみが挿入されているため、シースの側壁面を胆道や膵管の内壁部に押し当てることが難しい。
【0010】
一方、OCTプローブのシースを能動的に湾曲させることができる湾曲部を設けることによってシースの側壁面を容易に測定対象に押し当てられるようにすることが考えられる。
【0011】
しかしながら、この場合において、湾曲部を湾曲させると、シースの内壁面に光ファイバ(光ファイバを覆うフレキシブルシャフト)が接触し、ラジアル走査を行う際に、それらの間に摩擦が生じ、測定光を出射する光学系(光出射手段)の回転力の低下や、回転ムラが生じてしまい、精度の高い良好な断層情報が得られないという問題が生じるおそれがある。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、プローブ外筒(シース)の側壁面を測定対象に容易に押し当てることができ、また、測定光を出射する光出射手段の回転力の低下や回転ムラを生じさせることのない光プローブを提供することを目的とする。
する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、円筒状のプローブ外筒と、前記プローブ外筒内に挿置され、測定光を導光する導光手段と、前記導光手段に連結された状態で前記プローブ外筒内に挿置され、前記導光手段により導光された測定光を前記プローブ外筒の側壁部を透過させて測定対象に照射する光出射手段と、前記プローブ外筒に設けられ、所定の第1方向に湾曲する第1湾曲部と、前記プローブ外筒の前記第1湾曲部よりも基端側に設けられ、前記第1方向に反対となる第2方向に湾曲する第2湾曲部と、前記第1湾曲部における前記プローブ外筒の内壁面の少なくとも前記第1方向側に、長手軸方向に沿って凹凸を形成する第1凹凸部と、前記第2湾曲部における前記プローブ外筒の内壁面の少なくとも前記第2方向側に、長手軸方向に沿って凹凸を形成する第2凹凸部と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、第1湾曲部及び第2湾曲部を湾曲させることにより、プローブ外筒の側壁部の外周面を測定対象に容易に押し当てることができ、測定精度の向上を図ることができる。また、ラジアル走査のために導光手段を回転させて光出射手段をプローブ外筒の長手軸周りに回転させた場合に、導光手段又は導光手段の外周に外装されるフレキシブルシャフト等の回転体と、湾曲させた第1湾曲部及び第2湾曲部におけるプローブ外筒の内壁面との間で摩擦が生じるが第1湾曲部と第2湾曲部の内壁面には長手軸方向に沿って凹凸が形成されているため、回転体との接触面積が低減されており、摩擦による光出射手段の回転力の低下や回転ムラの発生が軽減されている。
【0015】
本発明は、前記第1湾曲部は、前記プローブ外筒の前記第1方向側の外壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成る第1長溝部を有し、前記第2湾曲部は、前記プローブ外筒の前記第2方向側の外壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成る第2長溝部を有し、前記プローブ外筒は、前記第2湾曲部を湾曲させるために牽引操作される牽引部材が前記第2長溝部の位置を前記プローブ外筒の長手軸方向に挿通して配置される管腔を備えたことが好ましい。これによれば、第1長溝部及び第2長溝部により第1湾曲部及び第2湾曲部が他の部分よりも湾曲し易い構成となっており、牽引部材を牽引することで、第2湾曲部が湾曲するようになっている。第1湾曲部は牽引部材で能動的に湾曲させる場合に限らず、第2湾曲部の湾曲によって第2湾曲部よりも先端側が生体に押し当てられた際に受動的に湾曲する構成とすることができる。
【0016】
本発明は、前記第1湾曲部は、前記プローブ外筒の前記第1方向側の外壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成る第1長溝部を有し、前記第2湾曲部は、前記プローブ外筒の前記第2方向側の外壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成る第2長溝部を有し、前記プローブ外筒は、前記第1湾曲部を湾曲させるために牽引操作される第1の牽引部材が前記第1長溝部の位置を前記プローブ外筒の長手軸方向に挿通して配置される第1の管腔と、前記第2湾曲部を湾曲させるために牽引操作される第2の牽引部材が前記第2長溝部の位置を前記プローブ外筒の長手軸方向に挿通して配置される第2の管腔とを備えたことが好ましい。これによれば、第1長溝部及び第2長溝部により第1湾曲部及び第2湾曲部が他の部分よりも湾曲し易い構成となっており、牽引部材を牽引することで、第1湾曲部及び第2湾曲部が湾曲するようになっている。
【0017】
本発明は、前記第1凹凸部及び前記第2凹凸部は、前記プローブ外筒の内壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成ることが好ましい。これによれば、第1湾曲部及び第2湾曲部におけるプローブ外筒の内壁面に摩擦低減のための凹凸が形成される。
【0018】
本発明は、前記第1凹凸部及び前記第2凹凸部は、前記プローブ外筒の内壁面に固定されたコイルにより形成されていることが好ましい。これによれば、第1湾曲部及び第2湾曲部におけるプローブ外筒の内壁面にコイルの凹凸が形成され、摩擦低減のための凹凸が形成される。
【0019】
本発明は、前記導光手段は、光ファイバであり、該光ファイバの外周面に回転力を伝達するフレキシブルシャフトが外装されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プローブ外筒(シース)の側壁面を測定対象に容易に押し当てることができ、また、測定光を出射する光出射手段の回転力の低下や回転ムラを生じさることのない光プローブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る光プローブが使用される光断層画像化装置の一実施の形態の全体構成を示すブロック図
【図2】OCTプローブ装置の全体の外観を示した側面図
【図3】OCTプローブ装置を長手軸に沿って切断した側方断面図
【図4】プローブ挿入部の湾曲部を湾曲させた状態を示した側面図
【図5】プローブ挿入部の第1湾曲部及び第2湾曲部の構成を示した側方断面図
【図6】図5の6−6矢視断面図
【図7】図5の7−7矢視断面図
【図8】プローブ挿入部を胆管に挿置した状態を示した図
【図9】プローブ挿入部の第1湾曲部及び第2湾曲部を湾曲させた状態での回転側光ファイバ等の様子を示した側方断面図
【図10】プローブ挿入部の内壁面に形成された凹凸の第1の形態を示す側方断面図
【図11】プローブ挿入部の内壁面に形成された凹凸の第2の形態を示す側方断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る光プローブを実施するための最良の形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る光プローブが使用される光断層画像化装置の一実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【0024】
同図に示す光断層画像化装置は、光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測法により測定対象Sの光断層画像を取得する装置であり、被検体の体腔内に挿入されて、測定部位(測定対象S)に測定光L1を照射し、測定対象Sからの戻り光L3(後方散乱光)を取り込むOCTプローブ装置10と、測定光L3を生成してOCTプローブ装置10に射出し、また、OCTプローブ装置10から戻り光L3を受入して測定対象Sの断層情報を取得して断層画像を生成するOCTプロセッサ12と、OCTプロセッサ12の断層画像の表示等を行うモニタ装置14等から構成されている。
【0025】
OCTプロセッサ12は、主として、光源ユニット20、光ファイバカプラ22、28、サーキュレータ24、26、干渉光検出部50、処理部54、制御操作部56等を備えている。
【0026】
光源ユニット20は、OCTの測定のための光(例えば、波長1.3μmのレーザ光あるいは低コヒーレンス光)を発生させるものであり、レーザ光あるいは低コヒーレンス光Laを生成する光源20aと、光源20aから射出された光Laを集光するレンズ20bとを備えている。この光源ユニット20から射出された光Laは、光ファイバFB4によって光ファイバカプラ22に導波される。
【0027】
光ファイバカプラ22は、光ファイバFB3、FB4、FB5に光学的に接続されており、光源ユニット20から光ファイバカプラ22に導波された光Laは、この光ファイバカプラ22により測定光L1と参照光L2に分割され、測定光L1は光ファイバFB3に入射してサーキュレータ24に導波され、参照光L2は光ファイバFB5に入射してサーキュレータ26に導波される。
【0028】
サーキュレータ24は、光ファイバFB3、固定側光ファイバFB2、光ファイバFB3、FB10に光学的に接続されており、光ファイバカプラ22からサーキュレータ24に導波された測定光L1は、固定側光ファイバFB2に入射してOCTプローブ装置10の光ロータリージョイント60に導波される。
【0029】
光ロータリージョイント60は、固定側光ファイバFB2とOCTプローブ装置10の回転側光ファイバFB1に光学的に接続されており、この光ロータリージョイント60により固定側光ファイバFB2に対して回転側光ファイバFB1が回動可能に光学的に接続されている。
【0030】
サーキュレータ24から光ロータリージョイント60に導波された測定光L1は、回転側光ファイバFB1に入射し、光ファイバFB1の先端に具備されている光出射部62(後述の光学レンズ82)に導波される。光出射部62に導波された測定光L1は、光出射部62から出射されて測定対象Sに照射される。なお、光出射部62からの測定光L1の出射方向は、OCTプローブ装置10の長手軸(回転側光ファイバFB1の光軸)に対して所定角度傾斜した方向(本実施の形態では略直交する方向)となっている。
【0031】
また、光出射部62から測定対象Sに照射された測定光L1が後方散乱(反射)により測定対象Sから戻された戻り光L3が光出射部62から回転側光ファイバFB1に入射し、光ロータリージョイント60に導波される。光ロータリージョイント60に導波された戻り光L3は、固定側光ファイバFB2に入射し、サーキュレータ24に導波される。そして、光ロータリージョイント60からサーキュレータ24に導波された戻り光L3は、光ファイバFB10に入射し、光ファイバカプラ28に導波される。
【0032】
一方、光ファイバカプラ22により分割されてサーキュレータ26に導波された参照光L2は、光ファイバFB6に入射し、光路長調整部30に導波される。
【0033】
光路長調整部30は、サーキュレータ26から導波された参照光L2の光路長を調整するもので、第1光学レンズ32a、第2光学レンズ32b、反射ミラー32c、基台34、ミラー移動機構36を有している。
【0034】
第1光学レンズ32aは、その焦点位置に光ファイバFB6の端部が配置されており、光ファイバFB6の端部から出射された参照光L2は第1光学レンズ32aにより平行光にされた後、第2光学レンズ32bにより集光されて第2光学レンズ32bの焦点位置に配置された反射ミラー32cに入射する。反射ミラー32cに入射した参照光L2は、反射ミラー32cで反射して、第2光学レンズ32bで平行光にされた後、第1光学レンズ32aにより集光されて光ファイバFB6の端部から光ファイバFB6に入射し、サーキュレータ26に導波される。
【0035】
また、第2光学レンズ32b及び反射ミラー32cは、基台34に固定されており、基台34はミラー移動機構36により第1光学レンズ32a及び第2光学レンズ32bの光軸方向(矢印A方向)に移動するようになっている。これにより、第1光学レンズ32aと第2光学レンズ32bとの間隔を変更して参照光L2の光路長を変更することができるようになっている。
【0036】
光路長調整部30を通過してサーキュレータ26に戻された参照光L2は、光ファイバFB7に入射し、光ファイバカプラ28に導波される。
【0037】
光ファイバカプラ28は、光ファイバFB7、FB8、FB9、FB10に光学的に接続されており、サーキュレータ26から光ファイバカプラ28に導波された参照光L2と、サーキュレータ24から光ファイバカプラ28に導波された戻り光L3とが合波されて干渉光が生成される。そして、光ファイバカプラ28で生成された干渉光は、2つの干渉光L4、L5に分割され、干渉光L4は、光ファイバFB8に入射して検出器30aに導波され、干渉光L5は、光ファイバFB9に入射して検出器30bに導波される。
【0038】
検出器30a、30bに導波された干渉光L4、L5は、各々、検出器30a、30bによりそれらの光強度に応じた電気信号に変換され、干渉光検出部50に伝送される。
【0039】
干渉光検出部50は、検出器30a及び検出器30bから伝送された信号に基づいて、干渉光L4と干渉光L5の強度のバランスを調整し、例えばヘテロダイン検波により干渉光L4の光強度を干渉信号として検出する。そして、検出した干渉信号を処理部54に出力する。
【0040】
処理部54は、干渉光検出部50により検出された干渉信号から断層情報を取得する。詳細は省略するが、測定光L1の全光路長と戻り光L3の全光路長との合計が参照光L2の全光路長と等しいときに、参照光L2と戻り光L3との差周波数で強弱を繰り返すビート信号が干渉信号で発生する。一方、光路長調整部30におけるミラー移動機構36により基台34の位置を動かし、参照光L2の光路長を変更していくことにより、測定対象Sの深さ方向(OCTプローブ装置10の光出射部62からの測定光L1の出射方向)に対する測定位置が変わっていき、各測定位置における複数のビート信号が検出される。従って、光路長調整部30の基台34の位置と、干渉光検出部50により検出された干渉信号(ビート信号)とに基づいて、測定対象Sの深さ方向に対する各測定位置からの戻り光L3の強度が断層情報として取得される。
【0041】
なお、光出射部62をOCTプローブ装置10(プローブ挿入部70)の長手軸周りに回転させて測定光L1をラジアル走査させながら断層情報を取得することにより、長手軸に対して略直交する断面における測定対象Sの全周方向の断層情報を取得することができ、光出射部62を長手軸方向に移動させて測定光L1をリニア走査させながら断層情報を取得することにより、長手軸に沿った断面における測定対象Sの断層情報を取得することができる。また、ラジアル走査とリニア走査を並行して行う(例えば、スパイラル走査と呼ばれる走査を行う)ことによって長手軸周りの3次元的な領域における測定対象Sの断層情報(3次元ボリュームデータ)を取得することができる。
【0042】
処理部54は、このようにして取得した断層情報を可視化して断層画像等を生成し、モニタ装置14に出力表示し、又は、データとして記憶保存する。
【0043】
制御操作部56は、キーボード、マウス等の入力手段と、入力された情報に基づいて各種情報を管理する制御手段とを有し、処理部54に接続されている。制御操作部56は、入力手段から入力されたオペレータの指示に基づいて、処理部54における各種処理条件等の入力、設定、変更等を行う。なお、制御操作部56において指示入力を行うための操作画面は、モニタ装置14に表示させるようにしてもよいし、モニタ装置14以外の表示部を設けてその表示部に表示させるようにしてもよい。
【0044】
次に、OCTプローブ装置10の詳細について説明する。図2は、OCTプローブ装置10の全体の外観を示した側面図であり、図3は、OCTプローブ装置10を長手軸に沿って切断した側方断面図である。
【0045】
図2、図3に示すように、OCTプローブ装置10は、体腔内に挿入されるプローブ挿入部70と、プローブ挿入部70の基端側に取り付けられ、OCTプロセッサ12に固定側光ファイバFB2により光学的に接続されるプローブ操作部72とを有している。
【0046】
プローブ挿入部70は、プローブ外筒(シース)74、キャップ76、回転側光ファイバFB1、バネ(フレキシブルシャフト)78、固定部材80、光学レンズ82等を有している。
【0047】
シース74は、プローブ挿入部70の全体を覆う可撓性を有する長筒状部材であり、測定光L1及び戻り光L3が透過する材料で形成されている。シース74には、回転側光ファイバFB1等を挿置するために長手軸方向に貫通する管腔(主ルーメン84)が形成されており、主ルーメン84の先端開口は、キャップ76により閉塞されている。また、シース74には主ルーメン84の他に、後述の操作ワイヤ214、224が挿置される不図示の管腔(図5のワイヤ用第1ルーメン212、ワイヤ用第2ルーメン222)が長手軸方向に貫通して形成されている。
【0048】
主ルーメン84内には、固定側光ファイバFB2に光ロータリージョイント60を介して接続された回転側光ファイバFB1がシース74の基端側から挿入されて配備されている。
【0049】
回転側光ファイバFB1は、外周部がバネ(フレキシブルシャフト)78により被覆されており、先端部に上記光出射部62を構成する光学レンズ82が固定部材80により固定されている。
【0050】
この回転側光ファイバFB1により、固定側光ファイバFB2から光ロータリージョイント60を介して回転側光ファイバFB1に入射した測定光L1が、光学レンズ82まで導波される。一方、光学レンズ82から取り込まれた測定対象Sからの戻り光L3が回転側光ファイバFB1により光ロータリージョイント60まで導波され、光ロータリージョイント60を介して固定側光ファイバFB2に入射する。
【0051】
光学レンズ82は、先端部が略半球状の形状で形成されており、回転側光ファイバFB1の先端から出射された測定光L1を偏向すると共に集光させる。この光学レンズ82により、回転側光ファイバFB1の先端部から出射された測定光L1が、プローブ挿入部70の長手軸(回転側光ファイバFB1の光軸)に対して略直交する方向に出射されると共に集光され、シース74を透過して測定対象Sに照射される。また、その測定光L1が照射された測定対象Sからの後方散乱光が戻り光L3としてシース74を透過して光学レンズ82から取り込まれて集光され、回転側光ファイバFB1にその先端部から入射する。
【0052】
また、シース74には、詳細を後述するように操作ワイヤ214、224の牽引操作によって能動的に湾曲する2つの湾曲部(図2の第1湾曲部200、第2湾曲部202)が設けられている。
【0053】
プローブ操作部72は、ケース100により全体が覆われており、ケース100内に固定された固定部材101(又はケース100自体)にプローブ挿入部70のシース74の基端部が固定されている。
【0054】
プローブ操作部72のケース100の内部には、上記の光ロータリージョイント60が収容されており、光ロータリージョイント60は、固定筒104と回転筒106とから構成されている。
【0055】
固定筒104は、ケース100に対して回動不能に支持されたフレーム102に固定されており、固定筒104の基端側には固定側光ファイバFB2が取り付けられている。
【0056】
回転筒106は、固定筒104に回動可能に支持されており、その回転筒106の先端側には、回転側光ファイバFB1及びフレキシブルシャフト78が取り付けられている。
【0057】
詳細は省略するが、固定筒104と回転筒106とは、内部の中空部が連通しており、固定側光ファイバFB2と回転側光ファイバFB1とが、その中空部を通じて光学的に接続されている。これにより、固定筒104に対して回転筒106が回転することで、固定側光ファイバFB2に対して回転側光ファイバFB1が光学的に接続された状態でシース74内で回転するようになっている。
【0058】
回転筒106には、ギア(ギア列)108を介してフレーム102に固定されたモータ110の回転軸が連結されており、モータ110を駆動することにより回転筒106が回転するようになっている。これにより、モータ110により回転側光ファイバFB1及びフレキシブルシャフト78が回転し、これに連動して光学レンズ82がシース74内部で回転してラジアル走査が行われるようになっている。
【0059】
また、フレーム102には、支持部材112が突設されており、支持部材112には、図示しないネジ孔が形成されている。ネジ孔には進退移動用ボールネジ114が螺合されており、進退移動用ボールネジ114にはケース100に対して固定されたモータ116の回転軸が連結されている。
【0060】
従って、モータ116を駆動させることにより、ケース100に対してフレーム102が進退移動し、光ロータリージョイント60がその光軸方向に進退移動する。そして、ケース100に対して光ロータリージョイント60が進退移動することにより、シース74に対して回転側光ファイバFB1及びフレキシブルシャフト78が回転側光ファイバFB1の光軸方向(プローブ挿入部70の長手軸方向)に進退移動し、回転側光ファイバFB1の先端に取り付けられた光学レンズ82がシース74内部で進退移動してリニア走査が行われるようになっている。
【0061】
次に、プローブ挿入部70の2箇所に設けられる図2に示した第1湾曲部200、202について説明する。プローブ挿入部70に設けられた第1湾曲部200、202は、プローブ操作部72に設けられたレバー150を所定の基準位置から前方に動かすことにより、図4のように互いに反対となる方向に湾曲するようになっている。即ち、シース74の先端側に設けられた第1湾曲部200は、上方向(図中上方向)に湾曲し、第1湾曲部200よりも基端側に設けられた第2湾曲部202は下方向(図中下方向)に湾曲する。これによって、プローブ挿入部70の第1湾曲部200よりも先端側の長手軸が、第2湾曲部202よりも基端側の長手軸に対して下方向(図中上方向)に略平行にずれた状態となる。
【0062】
第1湾曲部200よりも先端側には、所定長さ分の測定用の領域(測定領域204)が確保されており、少なくともこの測定領域204の範囲でのシース74は、光出射部64(光学レンズ82)から出射されて測定対象Sを照射する測定光L1、及び、測定対象Sからの光出射部64に取り込まれる戻り光L3を透過する特性を有している。
【0063】
これによれば、図4のようにシース74を湾曲させることによって、測定領域204の範囲内であれば、シース74の外壁面(シース74の側壁部の外周面)を測定対象Sに押し当てることが容易となる。そして、光出射部64を測定領域204の範囲内で回転させて、プローブ挿入部70の長手軸周りに測定対象Sをラジアル走査することによって、長手軸周りの全周方向に位置する測定対象Sの断層情報(長手軸に直交する断面での測定対象Sの断層情報)を取得することができる。また、光出射部64を測定領域204の範囲内で直進移動させて、プローブ挿入部70の長手軸方向に測定対象Sをリニア走査することよって、長手軸方向に沿った位置の測定対象Sの断層情報(長手軸を含む長手軸に平行な断面での測定対象Sの断層情報)を取得することができる。これらのラジアル走査及びリニア走査を並行して行うことによって、プローブ挿入部70の長手軸方周りの3次元領域での測定対象Sの断層情報(ボリュームデータ)を取得することができる。このようなラジアル走査、リニア走査、又は、これらの両方の走査(例えばスパイラル走査)を行う場合において、シース74を測定対象Sに押し当てた方が測定対象Sの断層情報を良好に取得することができる。そのため、シース74を湾曲させて測定領域204の範囲を測定対象Sに容易に押し当てることができるようにしたことによって、プローブ挿入部70の長手軸方向の広範囲に渡って良好な断層情報を取得することも容易となる。
【0064】
続いて第1湾曲部200及び第2湾曲部202の構成について説明する。図5に示すように第1湾曲部200のシース74の上側(図中上側)の外壁面には、周方向に長溝状に切り欠いた複数の切欠部210、210、・・・がプローブ挿入部70の長手軸方向に連続して形成されている。本実施の形態では、切欠部210、210、・・・はV字状の断面形状を有しているが、U字状やその他の断面形状であっても良く、溝としての空隙を形成するものであればよい。
【0065】
また、図5における6−6矢視断面図である図6に示すように、各切欠部210は、プローブ挿入部70の長手軸(中心軸)に対して所定の中心角θを有する円弧範囲に形成されている。中心角θは180度未満でも良いが、180度以上で360度以下の値であっても良い。
【0066】
このような切欠部210、210、・・・によって第1湾曲部200がシース74が他の部分よりも上方に湾曲し易いようになっている。
【0067】
一方、シース74の上側の周壁部には、操作ワイヤ挿通用の管腔(ワイヤ用第1ルーメン212)が形成されており、ワイヤ用第1ルーメン212は、シース74の基端から先端まで長手軸方向に貫通すると共に、第1湾曲部200の各切欠部210、210、・・・の略中央を貫通する位置に形成されている。
【0068】
また、ワイヤ用第1ルーメン212は、内径が小さい基端側の細径部212Aとこれよりも内径が大きい先端側の太径部212Bとから形成されており、これらの細径部212Aと太径部212Bとが、第1湾曲部200よりも先端側において連結され、その連結部分に段差部212Cが形成されている。
【0069】
このようなワイヤ用第1ルーメン212内には、操作ワイヤ214が挿通配備されている。操作ワイヤ214の先端には、ワイヤ用第1ルーメン212の細径部212Aを挿通不能な大きさの係止部214Aが設けられており、操作ワイヤ214は、シース74の先端にキャップ76(図3参照)を装着する前に、シース74の先端のワイヤ用第1ルーメン212の開口から挿入していくことによって、操作ワイヤ214の係止部214Aがワイヤ用第1ルーメン212の段差部212Cで係止された状態で配備されている。
【0070】
操作ワイヤ214の基端側は図3のように牽引機構250に連結されており、この牽引機構250によりレバー150の操作に連動して操作ワイヤ214の牽引及び弛緩が行われるようになっている。これによれば、図2のようにレバー150が所定の基準位置に設定されている場合には、操作ワイヤ214が弛緩されている状態であり、第1湾曲部200が操作ワイヤ214の作用を受けず、第1湾曲部200が直線状のときでも操作ワイヤ214の先端がワイヤ用第1ルーメン212の段差部212Cに係合する位置又はそれよりも先端側の位置に配置されている状態となる。一方、図4のようにレバー150を基準位置から前側に動かすと、操作ワイヤ214が牽引されて、第1湾曲部200が上方に湾曲する。
【0071】
第2湾曲部202も略第1湾曲部200と同様の構成を有している。詳細な説明は省略するが、図5に示すように第2湾曲部202のシース74の下側(図中下側)の外壁面には、周方向に長溝状に切り欠いた複数の切欠部220、220、・・・がプローブ挿入部70の長手軸方向に連続して形成されている。切欠部220も切欠部210と同様にV字状の断面形状を有しているが、U字状やその他の断面形状であっても良く、溝としての空隙を形成するものであればよい。
【0072】
また、図5における7−7矢視断面図である図7に示すように、各切欠部220は、プローブ挿入部70の長手軸(中心軸)に対して所定の中心角θを有する円弧範囲に形成されている。中心角θは180度未満でも良いが、180度以上で360度以下の値であっても良い。
【0073】
このような切欠部220、220、・・・によって第2湾曲部202がシース74が他の部分よりも下方に湾曲し易いようになっている。
【0074】
一方、シース74の下側の外壁面には、操作ワイヤ挿通用の管腔(ワイヤ用第2ルーメン222)が形成されており、ワイヤ用第2ルーメン222は、シース74の基端から先端まで長手軸方向に貫通すると共に、第2湾曲部202の各切欠部220、220、・・・の略中央を貫通する位置に形成されている。
【0075】
また、ワイヤ用第2ルーメン222は、内径が小さい基端側の細径部222Aとこれよりも内径が大きい先端側の太径部222Bとから形成されており、これらの細径部222Aと太径部222Bとが、第2湾曲部202よりも先端側において連結され、その連結部分に段差部222Cが形成されている。
【0076】
ワイヤ用第2ルーメン222内には、操作ワイヤ224が挿通配備されている。操作ワイヤ224の先端には、操作ワイヤ214と同様にワイヤ用第2ルーメン222の細径部222Aを挿通不能な大きさの係止部224Aが設けられており、操作ワイヤ224は、操作ワイヤ224の係止部224Aがワイヤ用第2ルーメン222の段差部222Cで係止された状態で配備されている。
【0077】
操作ワイヤ224の基端側は操作ワイヤ214と同様に図3の牽引機構250に連結されており、この牽引機構250によりレバー150の操作に連動して操作ワイヤ214と共に操作ワイヤ224の牽引及び弛緩が行われるようになっている。これによれば、図2のようにレバー150が所定の基準位置に設定されている場合には、操作ワイヤ224が弛緩されている状態であり、第2湾曲部202が操作ワイヤ224の作用を受けず、第2湾曲部202が直線状のときでも操作ワイヤ224の先端がワイヤ用第2ルーメン222の段差部222Cに係合する置又はそれよりも先端側の位置に配置されている状態となる。一方、図4のようにレバー150を基準位置から前側に動かすと、操作ワイヤ224が牽引されて、図4のように第2湾曲部202が下方に湾曲する。
【0078】
なお、第1湾曲部200を湾曲させるための操作ワイヤ214と第2湾曲部202を湾曲させるための操作ワイヤ224は、1つのレバー150の操作によって牽引機構250により同時に牽引又は弛緩され、第1湾曲部200と第2湾曲部202とが連動して湾曲するようになっているが、操作ワイヤ214と操作ワイヤ224とを個別に設けたレバー等の操作部材の操作により牽引及び弛緩させる構成とし、第1湾曲部200と第2湾曲部202とを個別に湾曲操作できるようにしてもよい。
【0079】
ここで、上記のプローブ挿入部70を胆道又は膵管に挿置して胆道又は膵管の内壁部の断層情報を取得する際の第1湾曲部200及び第2湾曲部202の効果について説明する。図8は、プローブ挿入部70を胆管に挿置した状態を示した図である。同図に示すように、例えば側視型の内視鏡の挿入部260を患者の口から挿入し、十二指腸のファーター乳頭が側方の観察窓から観察される位置まで挿入する。そして、内視鏡の挿入部260内を挿通する処置具挿通チャンネルにプローブ挿入部70を挿通させ、挿入部260の側方に向けて開口されている処置具導出口からプローブ挿入部70を導出させてファーター乳頭から胆道(胆管)又は膵管の内部に挿入する。図6では胆管内にプローブ挿入部70を挿入した例を示している。このようにしてプローブ挿入部70の測定領域204が胆道又は膵管の所望の測定部位となる箇所に挿置される。続いて、プローブ操作部72のレバー150を操作して第1湾曲部200及び第2湾曲部202を湾曲させる。これによって図6のようにプローブ挿入部70の測定領域204の外壁面が測定部位に押し当てられ、測定部位の良好な断層情報が得られる状態にプローブ挿入部70が挿置される。
【0080】
ところで、図4のように第1湾曲部200及び第2湾曲部202を湾曲させた場合に、シース74内のフレキシブルシャフト78は、図9のように第1湾曲部200及び第2湾曲部202のシース74(主ルーメン84)の内壁面(側壁部の内周面)に面で接触する。すなわち、フレキシブルシャフト78の周方向の所定範囲と軸方向の所定範囲とに渡る連続的な面領域がシース4の内壁面に接触する。このとき、ラジアル走査(リニア走査を並行して行う場合も含む)を行うためにフレキシブルシャフト78を回転させて光出射部62(光学レンズ82)を回転させると、シース74とフレキシブルシャフト78との間の摩擦力が大きくなり、光出射部62の回転力が低下し、また、回転ムラが発生する。回転力の低下や回転ムラの発生は、取得した断層情報の精度の低下を招く。
【0081】
そこで、第1湾曲部200及び第2湾曲部202におけるシース74の内壁面には、以下のような態様によってプローブ挿入部70の長手軸方向に沿って凹凸が形成され、摩擦の低減が図られている。なお、第1湾曲部200におけるシース74の内壁面の構成を例に説明するが、第2湾曲部202においても同様に構成されているものとする。
【0082】
図10は、第1の形態を示しており、第1湾曲部200のシース74の内壁面において、外壁面に形成されている上記の切欠部210、210、・・・に対して長手軸方向に関してそれらの間隔の半分の長さ分だけ位置をずらして周方向に延びる長溝状の切欠部300、300、・・・が長手軸方向に連続して形成されている。切欠部300も切欠部210と同様にV字状の断面形状を有している。また、切欠部300が形成される周方向の範囲は、同図のように全周に渡る範囲であってもよいし、切欠部210が形成される範囲のみであってもよい。この第1の形態によれば、第1湾曲部200におけるシース74の内壁面に切欠部300、300、・・・による凹凸が形成されるため、フレキシブルシャフト78が第1湾曲部200のシース74の内壁面に接触している場合であっても接触面積が小さく、回転力の低下や回転むらの発生が抑制される。
【0083】
なお、図10のような断面形状の切欠部300、300、・・・ではなく、他の断面形状によって内壁面に凹凸を形成し、フレキシブルシャフト78との接触面積を低減するものであればよい。
【0084】
図11は、第2の形態を示しており、第1湾曲部200のシース74の内壁面において、コイル310が埋設され、コイル310の内側の面の一部が内壁面よりも内側に突出するように配置されている。例えば、シース74の成形時に第1湾曲部200となる位置にコイル310を埋め込むようにしてもよいし、第1湾曲部200におけるシース74の内径を他の部分よりも拡径し、その拡径部分にコイル310を収容配備してもよい。この第2の形態によれば、第1湾曲部200におけるシース74の内壁面にコイル310による凹凸が形成されるため、フレキシブルシャフト78が第1湾曲部200のシース74の内壁面に接触している場合であっても接触面積が小さく、回転力の低下や回転むらの発生が抑制される。
【0085】
なお、コイル310を金属で成形した場合に、フレキシブルシャフト78がコイル310と摺動すると、フレキシブルシャフト78及びコイル310が損傷する恐れがあるため、コイル310を薄い皮膜で覆い、フレキシブルシャフト78及びコイル310を保護するようにしてもよい。
【0086】
以上のような第1湾曲部200における内壁面の構成は、第2湾曲部202における内壁面にも適用されている。また、第1湾曲部200、第2湾曲部202だけでなく、シース74の先端の測定領域204よりも基端側の全範囲において、上記のような内壁面の構成を適用してもよい。
【0087】
また、第1湾曲部200及び第2湾曲部202のシース74は、他の部分と接着等によって連結されるものであっても良く、シース74全体が一体形成されるものである必要はない。このとき、測定領域204(第1湾曲部200よりも先端側)は光学性能に優れた光透過性を有する材質とし、第2湾曲部202よりも基端側、及び、第1湾曲部200と第2湾曲部202との間は、押し付けなどで捩れや折れ曲がり等が生じないような剛性の高い材質とすることも可能である。
【0088】
さらに、図10、図11の形態では、第1湾曲部200及び第2湾曲部202におけるシース74の内壁面に凹凸を形成することによって内壁面とフレキシブルシャフト78との間の摩擦を低減したが、凹凸を形成する形態は図10、図11の形態に限らず、どのような形態でもよく、また、凹凸を形成する場合に限らず、第1湾曲部200及び第2湾曲部202におけるシース74の内壁面(最も内側の層)を剛性の高い材質で形成し、第1湾曲部200及び第2湾曲部202における内壁面とフレキシブルシャフト78との接触面積を低減するようにしてもよい。
【0089】
以上、上記実施の形態では、プローブ挿入部70の第1湾曲部200と第2湾曲部202の両方の各々を操作ワイヤ214と操作ワイヤ224の牽引によって能動的に湾曲可能な構成としたが、第2湾曲部202のみを操作ワイヤ224の牽引によって能動的に湾曲可能にし、第1湾曲部200は、操作ワイヤ214や操作ワイヤ214を挿置するためのワイヤ用第1ルーメン212を設けることなく、受動的に湾曲する構成としてもよい。この構成においても、第2湾曲部202の湾曲によって第2湾曲部202よりも先端側が生体に押し当てられると第1湾曲部200が上記実施の形態と同様の状態(図4、図8)に湾曲し、測定領域204の範囲のシース74の外壁面(シース74の側壁部の外周面)が測定対象に押し当てられる。
【0090】
また、上記実施の形態において、プローブ挿入部70の測定領域204の先端及び基端の位置や、第1湾曲部200及び第2湾曲部202の位置等に、内視鏡の観察窓から観察される画像や、X線透視下において観察される画像に写るマーカ(X線透過率の低いマーカ等)を設けてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10…OCTプローブ装置、12…OCTプロセッサ、14…モニタ装置、20…光源ユニット、50…干渉光検出部、54…処理部、56…制御操作部、60…光ロータリージョイント、62…光出射部、70…プローブ挿入部、72…プローブ操作部、74…プローブ外筒(シース)、78…バネ(フレキシブルシャフト)、82…光学レンズ、84…主ルーメン、150…レバー、200…第1湾曲部、202…第2湾曲部、210、220…切欠部、212…ワイヤ用第1ルーメン、214、224…操作ワイヤ、222…ワイヤ用第2ルーメン、250…牽引機構、300…切欠部、310…コイル、FB1…回転側光ファイバ、FB2…固定側光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のプローブ外筒と、
前記プローブ外筒内に挿置され、測定光を導光する導光手段と、
前記導光手段に連結された状態で前記プローブ外筒内に挿置され、前記導光手段により導光された測定光を前記プローブ外筒の側壁部を透過させて測定対象に照射する光出射手段と、
前記プローブ外筒に設けられ、所定の第1方向に湾曲する第1湾曲部と、
前記プローブ外筒の前記第1湾曲部よりも基端側に設けられ、前記第1方向に反対となる第2方向に湾曲する第2湾曲部と、
前記第1湾曲部における前記プローブ外筒の内壁面の少なくとも前記第1方向側に、長手軸方向に沿って凹凸を形成する第1凹凸部と、
前記第2湾曲部における前記プローブ外筒の内壁面の少なくとも前記第2方向側に、長手軸方向に沿って凹凸を形成する第2凹凸部と、
を備えたことを特徴とする光プローブ。
【請求項2】
前記第1湾曲部は、前記プローブ外筒の前記第1方向側の外壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成る第1長溝部を有し、
前記第2湾曲部は、前記プローブ外筒の前記第2方向側の外壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成る第2長溝部を有し、
前記プローブ外筒は、前記第2湾曲部を湾曲させるために牽引操作される牽引部材が前記第2長溝部の位置を前記プローブ外筒の長手軸方向に挿通して配置される管腔を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光プローブ。
【請求項3】
前記第1湾曲部は、前記プローブ外筒の前記第1方向側の外壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成る第1長溝部を有し、
前記第2湾曲部は、前記プローブ外筒の前記第2方向側の外壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成る第2長溝部を有し、
前記プローブ外筒は、前記第1湾曲部を湾曲させるために牽引操作される第1の牽引部材が前記第1長溝部の位置を前記プローブ外筒の長手軸方向に挿通して配置される第1の管腔と、前記第2湾曲部を湾曲させるために牽引操作される第2の牽引部材が前記第2長溝部の位置を前記プローブ外筒の長手軸方向に挿通して配置される第2の管腔とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光プローブ。
【請求項4】
前記第1凹凸部及び前記第2凹凸部は、前記プローブ外筒の内壁面に対して形成された長手軸方向に並ぶ複数の長溝であって周方向に伸びる複数の長溝から成ることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の光プローブ。
【請求項5】
前記第1凹凸部及び前記第2凹凸部は、前記プローブ外筒の内壁面に固定されたコイルにより形成されていることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の光プローブ。
【請求項6】
前記導光手段は、光ファイバであり、該光ファイバの外周面に回転力を伝達するフレキシブルシャフトが外装されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の光プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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