説明

光モジュール及び光システム

【課題】特殊な部品を使用しなくても、同じ光配線形態で双方向の光送受信ラインを形成することができる光モジュール及び光システムを提供する。
【解決手段】光モジュール2Aは、複数の単心用光アダプタ7Aと、多心用光アダプタ8Aと、各単心用光アダプタ7Aと嵌合する複数の単心光コネクタ9Aと、多心用光アダプタ8Aと嵌合する多心光コネクタ10Aと、各単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aとを接続する複数本の光ファイバ11Aとを有している。光ファイバ11Aの配線形態としては、隣り合う単心用光アダプタ7Aに嵌入された2つの単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aにおける同じ列の上段及び下段のファイバ孔13とを接続するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタを用いて光接続を行う光モジュール及び光システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光システムとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の光システムは、多心コネクタと複数の単心コネクタとが光ファイバを介して接続されたモジュールと、多心コネクタと複数の単心コネクタとが光ファイバを介して接続されたハーネスと、モジュールとハーネスとを接続するトランク線(光ケーブル)とを備えている。このような光システムにおいて、モジュールの1番の単心コネクタは、トランク線内の下端(12番)の光ファイバを介してハーネスの2番の単心コネクタと接続され、モジュールの2番の単心コネクタは、トランク線内の上端(1番)の光ファイバを介してハーネスの1番の単心コネクタと接続される。これにより、モジュール側とハーネス側とで光配線形態を同じにしつつ、双方向の光送受信ラインを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−525845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、光ケーブルの光ファイバは、一方のコネクタ内には標準的な順序で挿入されているが、他方のコネクタ内には反転した状態で挿入されている。つまり、光ケーブルは、光ファイバがクロス結線された構造をなしている。しかし、そのようなクロス結線タイプの光ケーブルは、標準品ではなく特殊な部品であるため、使用しないことが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、特殊な部品を使用しなくても、同じ光配線形態で双方向の光送受信ラインを形成することができる光モジュール及び光システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光モジュールは、第1光アダプタ及び第2光アダプタと、第1光アダプタと嵌合する第1光コネクタと、第2光アダプタと嵌合する第2光コネクタと、第1光コネクタと第2光コネクタとを接続する複数本の光ファイバとを備え、第1光コネクタは、光ファイバの一端部が挿入される少なくとも1つの第1ファイバ孔を有し、第2光コネクタは、複数段に配列されるように設けられ、光ファイバの他端部が挿入される複数の第2ファイバ孔を有し、光ファイバは、ペアを構成する第1ファイバ孔と同じ列の上下対称となる段に位置する第2ファイバ孔とを接続するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明の光モジュールを用いて双方向の光送受信ラインを有する光システムを構築する場合は、本発明の光モジュールを2組用意し、これらの光モジュール同士を光ケーブルで接続する。光ケーブルとしては、第2光アダプタと嵌合する第3光コネクタが両端に設けられたキーアップ・キーダウン・ストレートケーブルを使用する。第3光コネクタは、第2光コネクタにおける複数段に配列された複数の第2ファイバ孔に対応する配列構造をもった複数の第3ファイバ孔を有している。キーアップ・トゥ・キーダウン・ストレートケーブルは、各第3光コネクタが上下反転したキーアップ・トゥ・キーダウン配向をなすように構成されたストレートケーブルである。このような光ケーブルの各第3光コネクタを2つの光モジュールの第2光アダプタに嵌合させた状態では、各第3光コネクタの第3ファイバ孔に対する光ケーブルの各光ファイバの結線が上下方向にクロスするようになる。つまり、光ケーブルの各光ファイバの一端部は一方の第3光コネクタにおける上段側の第3ファイバ孔に結線され、光ケーブルの各光ファイバの他端部は他方の第3光コネクタにおける下段側の第3ファイバ孔に結線されるようになる。また、各光モジュールでは、ペアを構成する第1ファイバ孔と同じ列の上下対称となる段に位置する第2ファイバ孔とがそれぞれ光ファイバにより接続されている。
【0008】
従って、上記の光システムでは、一方の光モジュールにおいて対応するペアの一方(例えば送信側)に相当する第1ファイバ孔は、光ファイバ、第2光コネクタにおける上段側の第2ファイバ孔、第3光コネクタにおける上段側の第3ファイバ孔、光ケーブルの光ファイバ、第3光コネクタにおける下段側の第3ファイバ孔、第2光コネクタにおける下段側の第2ファイバ孔、光ファイバを介して、他方の光モジュールにおいて対応するペアの一方(例えば受信側)に相当する第1ファイバ孔と接続される。また、一方の光モジュールにおいて対応するペアの他方(例えば受信側)に相当する第1ファイバ孔は、光ファイバ、第2光コネクタにおける下段側の第2ファイバ孔、第3光コネクタにおける下段側の第3ファイバ孔、光ケーブルの光ファイバ、第3光コネクタにおける上段側の第3ファイバ孔、第2光コネクタにおける上段側の第2ファイバ孔、光ファイバを介して、他方の光モジュールにおいて対応するペアの他方(例えば送信側)となる第1ファイバ孔と接続される。このように全く同じ構造を有する2つの光モジュールを用いると共に、光ケーブルとして標準品であるキーアップ・キーダウン・ストレートケーブルを使用することにより、特に特殊な部品を使用しなくても、各光モジュール側で同じ光配線形態としつつ、双方向の光送受信ラインを形成することができる。
【0009】
好ましくは、第1光アダプタ及び第1光コネクタは、複数ずつ存在しており、第1光コネクタは、第1ファイバ孔を1つ有し、複数の第2ファイバ孔は、上下2段に配列されるように設けられており、光ファイバは、ペアを構成する第1光コネクタの第1ファイバ孔と同じ列の上段及び下段に位置する第2ファイバ孔とを接続するように構成されている。この場合、第1光コネクタとしては、1つの第1ファイバ孔を有する単心コネクタが使用される。また、第2光コネクタとしては、各第2ファイバ孔が上下2段の配列構造となっている多心コネクタが使用される。従って、光モジュールを必要最小限の簡単な構成で安価に作製することができる。
【0010】
また、好ましくは、第2光コネクタは、1対のガイドピンを更に有する。例えば光モジュールがケースに収納される場合には、光モジュールが開けにくくなるため、光モジュール内に配置される第2光コネクタを損傷させないようにする必要がある。そこで、第2光コネクタに1対のガイドピンを設けることにより、上述した第3光コネクタに、ガイドピンと嵌合する1対のガイド孔が設けられることとなる。このため、第2光アダプタを介して第2光コネクタと第3光コネクタとをコネクタ接続するときに、第3光コネクタはガイドピンによって損傷しやすくなるが、第2光コネクタはガイドピンを有しているので、第2光コネクタの損傷が生じにくくなる。
【0011】
本発明の光システムは、上記の2つの光モジュールと、2つの光モジュール同士を接続する光ケーブルとを備え、光ケーブルの両端には、第2光アダプタと嵌合し、各第2ファイバ孔に対応する配列構造をもった複数の第3ファイバ孔を有する第3光コネクタがそれぞれ設けられており、光ケーブルは、各第3光コネクタがキーアップ・トゥ・キーダウン配向をなすように構成されている。
【0012】
このように本発明の光システムにおいては、上記2つの光モジュールと、上記の第3光コネクタが両端に設けられた光ケーブルとを有し、光ケーブルの各第3光コネクタがキーアップ・トゥ・キーダウン配向をなしているので、上述したように、特に特殊な部品を使用しなくても、各光モジュール側で同じ光配線形態としつつ、双方向の光送受信ラインを形成することができる。
【0013】
好ましくは、第3光コネクタは、各ガイドピンと嵌合する1対のガイド孔を更に有する。この場合には、上述したように第2光コネクタはガイドピンを有することになるので、第2光アダプタを介して第2光コネクタと第3光コネクタとをコネクタ接続するときに、第2光コネクタの損傷が生じにくくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特殊な部品を使用しなくても、同じ光配線形態で双方向の光送受信ラインを形成することができる。これにより、光ケーブルや光モジュールの複雑な管理が不要となり、光システムが使いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係わる光モジュールの一実施形態を備えた光システムを示す概略構成図である。
【図2】図1に示した多心光コネクタ及び多心用光アダプタの外観を示す斜視図である。
【図3】図1に示したコネクタ付き光ケーブルの平面図である。
【図4】図3に示した多心光コネクタの要部正面図及び断面図である。
【図5】図3のA−A線図及びB−B線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係わる光モジュール及び光システムの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係わる光モジュールの一実施形態を備えた光システムを示す概略構成図である。同図において、本実施形態の光システム1は、光モジュール2A,2Bと、これらの光モジュール2A,2B同士を接続するコネクタ付き光ケーブル3と、光送信部Tx及び光受信部Rxを有する複数の光トランシーバ4Aと、これらの光トランシーバ4Aと光モジュール2Aとを接続する複数のコネクタ付き光ケーブル5Aと、光送信部Tx及び光受信部Rxを有する複数の光トランシーバ4Bと、これらの光トランシーバ4Bと光モジュール2Bとを接続する複数のコネクタ付き光ケーブル5Bとを備えている。
【0018】
光モジュール2Aは、ケース6Aの一端部に取り付けられた複数列(ここでは24列)の単心用光アダプタ(第1光アダプタ)7Aと、ケース6Aの他端部に取り付けられた多心用光アダプタ(第2光アダプタ)8Aと、各単心用光アダプタ7Aと嵌合する複数個(ここでは24個)の単心光コネクタ(第1光コネクタ)9Aと、多心用光アダプタ8Aと嵌合する多心光コネクタ(第2光コネクタ)10Aと、各単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aとを接続する複数本(ここでは24本)の光ファイバ11Aとを有している。
【0019】
単心光コネクタ9Aとしては、例えばSCコネクタやLCコネクタが用いられる。単心光コネクタ9Aは、特に図示はしないが、光ファイバ11Aの一端部が挿入される1つのファイバ孔(第1ファイバ孔)を有している。
【0020】
多心光コネクタ10Aとしては、図2に示すようなMPOコネクタが用いられる。多心光コネクタ10Aは、1対のガイドピン12と、各ガイドピン12間の領域に形成され、光ファイバ11Aの他端部が挿入される複数(ここでは24個)のファイバ孔(第2ファイバ孔)13を有している。これらのファイバ孔13は、12列ずつ上下2段に配列されている。多心光コネクタ10Aの上下いずれか一面には、突起状のキー14(図1参照)が設けられている。
【0021】
多心光コネクタ10Aは、多心用光アダプタ8Aの一側に嵌入されている。多心用光アダプタ8Aの内壁面には、多心光コネクタ10Aのキー14及び多心光コネクタ17Aのキー21(後述)と係合する1対のキー受け溝15(図1では、1つのみ簡略化して図示)が設けられている。これらのキー受け溝15は、多心用光アダプタ8Aの両側において上下逆に形成されている。つまり、多心用光アダプタ8Aは、キーアップ/キーダウン型ストレートアダプタである。多心用光アダプタ8Aは、ケース6Aの外側のキー受け溝15が上側に位置すると共にケース6Aの内側のキー受け溝15(不図示)が下側に位置するようにケース6Aに取り付けられている。このため、多心光コネクタ10Aは、キー14が設けられた面が下側となるように多心用光アダプタ8Aの一側に嵌入される。
【0022】
光ファイバ11Aの配線形態としては、隣り合う単心用光アダプタ7Aに嵌入された2つの単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aにおける同じ列の上段及び下段のファイバ孔13とを接続するように構成されている。
【0023】
具体的には、一番左端の単心用光アダプタ7Aに嵌入された単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aにおける一番左端の列(第1列)の上段のファイバ孔13とが光ファイバ11Aによって接続され、一番左端から2番目の単心用光アダプタ7Aに嵌入された単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aにおける第1列の下段のファイバ孔13とが光ファイバ11Aによって接続されている。また、一番左端から3番目の単心用光アダプタ7Aに嵌入された単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aにおける一番左端から2番目の列(第2列)の上段のファイバ孔13とが光ファイバ11Aによって接続され、一番左端から4番目の単心用光アダプタ7Aに嵌入された単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aにおける第2列の下段のファイバ孔13とが光ファイバ11Aによって接続されている。
【0024】
つまり、一番左端から奇数番目の単心用光アダプタ7Aに嵌入された単心光コネクタ9Aは、多心光コネクタ10Aにおける上段のファイバ孔13に順番に接続され、一番左端から偶数番目の単心用光アダプタ7Aに嵌入された単心光コネクタ9Aは、多心光コネクタ10Aにおける同じ列の下段のファイバ孔13に順番に接続されている。
【0025】
光モジュール2Bは、ケース6Bの一端部に取り付けられた複数列の単心用光アダプタ(第1光アダプタ)7Bと、ケース6Bの他端部に取り付けられた多心用光アダプタ(第2光アダプタ)8Bと、各単心用光アダプタ7Bと嵌合する複数個の単心光コネクタ(第1光コネクタ)9Bと、多心用光アダプタ8Bと嵌合する多心光コネクタ(第2光コネクタ)10Bと、各単心光コネクタ9Bと多心光コネクタ10Bとを接続する複数本の光ファイバ11Bとを有している。
【0026】
単心用光アダプタ7B、多心用光アダプタ8B、単心光コネクタ9B及び多心光コネクタ10Bの構造は、それぞれ上記の単心用光アダプタ7A、多心用光アダプタ8A、単心光コネクタ9A及び多心光コネクタ10Aの構造と同様である。また、光ファイバ11Bの配線形態は、上記の光ファイバ11Aの配線形態と同様である。従って、光モジュール2Bの構造は、上記の光モジュール2Aと全く同じ構造となっている。
【0027】
コネクタ付き光ケーブル3は、図1〜図3に示すように、多心光ファイバコード16と、この多心光ファイバコード16の両端部にそれぞれ組み付けられた多心光コネクタ(第3光コネクタ)17A,17Bとを有している。多心光ファイバコード16は、複数本(ここでは24本)の光ファイバを有している。
【0028】
多心光コネクタ17Aは、上記の多心光コネクタ10Aとコネクタ接続されるように多心用光アダプタ8Aと嵌合する。多心光コネクタ17Aとしては、多心光コネクタ10Aと同様にMPOコネクタが用いられる(図2参照)。多心光コネクタ17Aは、多心光コネクタ10Aの各ガイドピン12と嵌合する1対のガイド孔19と、各ガイド孔19間の領域に形成され、多心光ファイバコード16の各光ファイバの一端部が挿入される複数(ここでは24個)のファイバ孔(第3ファイバ孔)20を有している。これらのファイバ孔20は、多心光コネクタ10Aのファイバ孔13と同様に12列ずつ上下2段に配列されている。多心光コネクタ10Aの上下一面には、突起状のキー21が設けられている。
【0029】
多心光コネクタ17Aにおけるガイド孔19の開口部には、図4に示すように、面取り19aが形成されている。これにより、多心光コネクタ10Aのガイドピン12がガイド孔19に挿入されるときに、多心光コネクタ17Aにおけるガイド孔19の入口部分が損傷しにくくなる。
【0030】
多心光コネクタ17Bは、上記の多心光コネクタ10Bとコネクタ接続されるように多心用光アダプタ8Bと嵌合する。多心光コネクタ17Bは、多心光コネクタ17Aと同様に、1対のガイド孔19、複数のファイバ孔20及びキー21を有している。
【0031】
このようなコネクタ付き光ケーブル3を真っ直ぐ伸ばした状態では、図3及び図5に示すように、多心光コネクタ17A,17Bの各キー21の位置が上下逆になるように、多心光コネクタ17A,17Bが多心光ファイバコード16に組み付けられている。つまり、コネクタ付き光ケーブル3は、多心光コネクタ17A,17Bの向きを上下反転させたキーアップ・トゥ・キーダウン配向をなすと共に、多心光コネクタ17A,17B同士が多心光ファイバコード16によりストレートに接続されたキーアップ/キーダウン型ストレートケーブルを構成している。
【0032】
コネクタ付き光ケーブル3の多心光コネクタ17A,17Bをそれぞれ光モジュール2A,2Bの多心用光アダプタ8A,8Bの他側に嵌入するときは、コネクタ付き光ケーブル3を真っ直ぐ伸ばした状態から、多心光コネクタ17A,17Bの各キー21の上下の向きが合うように多心光ファイバコード16を略U字状に曲げるようにする。つまり、多心用光アダプタ8A,8Bはいずれも外側のキー受け溝15が上側に位置しているため、多心光コネクタ17A,17Bのいずれもキー21がある面を上側となるようにする。
【0033】
このとき、多心光ファイバコード16を略U字状に曲げて多心光コネクタ17A,17Bをそれぞれ多心用光アダプタ8A,8Bに差し込むと、多心光コネクタ17Aと多心光コネクタ17Bとで、多心光ファイバコード16の各光ファイバの上下位置が逆になる。具体的には、多心光ファイバコード16の半分の光ファイバは、多心光コネクタ17Aにおける上段の各ファイバ孔20と多心光コネクタ17Bにおける下段の各ファイバ孔20とを接続した状態となり、多心光ファイバコード16の残り半分の光ファイバは、多心光コネクタ17Aにおける下段の各ファイバ孔20と多心光コネクタ17Bにおける上段の各ファイバ孔20とを接続した状態となる。
【0034】
多心光コネクタ17A,17Bがそれぞれ多心用光アダプタ8A,8Bに差し込まれると、多心光コネクタ17A,17Bの各ガイド孔19に多心光コネクタ10A,10Bの各ガイドピン12がそれぞれ挿入される。ここで、光モジュール2A,2Bはケース6A,6Bに収容されており、多心光コネクタ10A,10Bが取り出しづらいため、多心光コネクタ10A,10Bを損傷させないようにする必要がある。ここでは、多心光コネクタ10A,10Bにガイドピン12が設けられ、多心光コネクタ17A,17Bにガイド孔19が形成されているため、ガイドピン挿入による多心光コネクタ10A,10Bの損傷を防止することができる。
【0035】
コネクタ付き光ケーブル5Aは、2本の光ファイバ22Aと、各光ファイバ22Aの一端部に組み付けられた2つの単心光コネクタ23Aと、各光ファイバ22Aの他端部に組み付けられた2つの単心光コネクタ24Aとを有している。各単心光コネクタ23Aは、上記の単心光コネクタ9Aとコネクタ接続されるように上記の単心用光アダプタ7Aと嵌合する。各単心光コネクタ24Aは、光トランシーバ4Aの光送信部Tx及び光受信部Rxと接続される。このようなコネクタ付き光ケーブル5Aは、標準のストレートケーブルである。
【0036】
光トランシーバ4Bは、光トランシーバ4Aと同じ構造を有している。コネクタ付き光ケーブル5Bは、上記のコネクタ付き光ケーブル5Aと同様に、2本の光ファイバ22B、2つの単心光コネクタ23B及び2つの単心光コネクタ24Bを有する標準のストレートケーブルである。
【0037】
以上のように構成された光システム1において、コネクタ付き光ケーブル5Aの単心光コネクタ23Aを差し込む単心用光アダプタ7Aとコネクタ付き光ケーブル5Bの単心光コネクタ23Bを差し込む単心用光アダプタ7Bとは、同じ位置(列)とする。
【0038】
例えば、各コネクタ付き光ケーブル5Aの単心光コネクタ23Aをそれぞれ一番左端(1番)及び一番左端から2列目(2番)の単心用光アダプタ7Aに差し込み、同様に各コネクタ付き光ケーブル5Bの単心光コネクタ23Bをそれぞれ1番及び2番の単心用光アダプタ7Bに差し込む。この場合には、光トランシーバ4Aの光受信部Rxは、コネクタ付き光ケーブル5A、1番の単心光コネクタ9A、光ファイバ11A、多心光コネクタ10Aにおける上段の一番左端(1番)のファイバ孔13、多心光コネクタ17Aにおける1番のファイバ孔20、多心光ファイバコード16、多心光コネクタ17Bにおける下段の一番左端(1番)のファイバ孔20、多心光コネクタ10Bにおける1番のファイバ孔13、光ファイバ11B、2番の単心光コネクタ9B及びコネクタ付き光ケーブル5Bを介して光トランシーバ4Bの光送信部Txと接続される。一方、光トランシーバ4Aの光送信部Txは、コネクタ付き光ケーブル5A、2番の単心光コネクタ9A、光ファイバ11A、多心光コネクタ10Aにおける下段の一番左端(13番)のファイバ孔13、多心光コネクタ17Aにおける13番のファイバ孔20、多心光ファイバコード16、多心光コネクタ17Bにおける上段の一番左端(13番)のファイバ孔20、多心光コネクタ10Bにおける13番のファイバ孔13、光ファイバ11B、1番の単心光コネクタ9B及びコネクタ付き光ケーブル5Bを介して光トランシーバ4Bの光受信信部Rxと接続される。従って、1対の双方向の送受信ラインが形成されることとなる。
【0039】
以上のように本実施形態にあっては、互いに隣り合う単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aにおける同じ列の上段及び下段のファイバ孔13とを光ファイバ11Aで接続してなる光モジュール2Aと、この光モジュール2Aと全く同じ構造を有する光モジュール2Bと、多心光ファイバコード16の両端部に多心光コネクタ17A,17Bを組み付けてなるコネクタ付き光ケーブル3を準備する。そして、コネクタ付き光ケーブル3の多心光コネクタ17A,17Bをそれぞれ光モジュール2A,2Bの多心用光アダプタ8A,8Bを介して多心光コネクタ10A,10Bにコネクタ接続する。これにより、ユーザはコネクタ付き光ケーブル5A,5Bを光モジュール2A,2Bに対してそれぞれ同じように配線するだけで、複数組の双方向の送受信ラインを有する光システム1を構築することができる。
【0040】
このとき、コネクタ付き光ケーブル5A,5Bはいずれも同じ標準のストレートケーブルであるため、光トランシーバ4A,4Bと光モジュール2A,2Bとを接続するコネクタ付き光ケーブルとしては1種類あれば足りる。また、光モジュール2Aを構成する各部品、各単心光コネクタ9Aと多心光コネクタ10Aとの光配線形態は、光モジュール2Bを構成する各部品、各単心光コネクタ9Bと多心光コネクタ10Bとの光配線形態と全く同じであるため、光モジュールとしても1種類あれば足りる。従って、使用する部品の種類を必要以上に増やさずに済む。
【0041】
また、コネクタ付き光ケーブル5A,5Bがストレートケーブルであることに加え、光モジュール2A,2B同士を接続するコネクタ付き光ケーブル3がキーアップ/キーダウン型ストレートケーブルである。さらに、光モジュール2A,2Bの一構成部品である多心用光アダプタ8A,8Bは、標準のストレートタイプである。これにより、コネクタ付き光ケーブル3、コネクタ付き光ケーブル5A,5B及び多心用光アダプタ8A,8Bとして特殊なものを使用しなく済むため、使い勝手が良くなる。
【0042】
以上により、光モジュール2A,2B、コネクタ付き光ケーブル3及びコネクタ付き光ケーブル5A,5Bの管理を容易に行うことが可能となる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、奇数番の単心光コネクタ9A,9B(以下、単心光コネクタ9)と多心光コネクタ10A,10B(以下、多心光コネクタ10)における上段のファイバ孔13とを光ファイバ11A,11B(以下、光ファイバ11)で1列目から順番に接続し、偶数番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における下段のファイバ孔13とを光ファイバ11で1列目から順番に接続するようにしたが、光ファイバ11の接続形態としては、特にそれには限定されない。
【0044】
例えば、奇数番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における下段のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続し、偶数番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における上段のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続しても良い。また、1番及び2番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における2列目の上下段のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続し、3番及び4番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における1列目の上下段のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続するというように、隣り合う単心光コネクタ9と、多心光コネクタ10における同じ列の上段及び下段のファイバ孔部13とを光ファイバ11で接続すれば良い。
【0045】
また、上記実施形態では、上下2段に配列された複数のファイバ孔13を有する多心光コネクタ10を使用したが、使用する多心光コネクタ10としては、特にそのような2段構造のものには限られず、3段以上に配列された複数のファイバ孔13を有するものでも良い。この場合、コネクタ付き光ケーブル3の多心光コネクタ17A,17Bとしては、ファイバ孔13と同じ配列構造をもったファイバ孔20を有するものを使用することは言うまでもない。
【0046】
具体的には、4段に配列された複数のファイバ孔13を有する多心光コネクタ10を使用する場合は、例えば1番及び2番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における同じ列の最上段(1段目)及び最下段(4段目)のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続し、3番及び4番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における同じ列の2段目及び3段目のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続する。また、6段に配列された複数のファイバ孔13を有する多心光コネクタ10を使用する場合は、1番及び2番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における同じ列の最上段(1段目)及び最下段(6段目)のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続し、3番及び4番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における同じ列の2段目及び5段目のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続し、5番及び6番の単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における同じ列の3段目及び4段目のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続する。要は、隣り合う2つの単心光コネクタ9と、多心光コネクタ10における同じ列の上下対称となる段に位置する2つのファイバ孔13とを光ファイバ11で接続する。
【0047】
さらに、上記実施形態では、隣り合う2つの単心光コネクタ9と多心光コネクタ10における上段及び下段のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続したが、そのような単心光コネクタ9の代わりに多心光コネクタを使用しても良い。この時の多心光コネクタとしては、1列に配置された複数のファイバ孔を有するものでも良いし、複数段に配列された複数のファイバ孔を有するものでも良い。この場合には、多心光コネクタにおけるペアを構成する2つのファイバ孔と多心光コネクタ10における上段及び下段のファイバ孔13とを光ファイバ11で接続する。
【0048】
また、上記実施形態では、光モジュール2A,2Bの多心光コネクタ10A,10Bにガイドピン12を設け、コネクタ付き光ケーブル3の多心光コネクタ17A,17Bにガイド孔19を形成したが、例えば多心光コネクタ10A,10Bが取り出しやすい構造となっている場合には、コネクタ付き光ケーブル3の多心光コネクタにガイドピンを設け、光モジュール2A,2Bの多心光コネクタにガイド孔を形成しても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…光システム、2A,2B…光モジュール、3…コネクタ付き光ケーブル、7A,7B…単心用光アダプタ(第1光アダプタ)、8A,8B…多心用光アダプタ(第2光アダプタ)、9A,9B…単心光コネクタ(第1光コネクタ)、10A,10B…多心光コネクタ(第2光コネクタ)、11A,11B…光ファイバ、12…ガイドピン、13…ファイバ孔(第2ファイバ孔)、17A,17B…多心光コネクタ(第3光コネクタ)、19…ガイド孔、20…ファイバ孔(第3ファイバ孔)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光アダプタ及び第2光アダプタと、
前記第1光アダプタと嵌合する第1光コネクタと、
前記第2光アダプタと嵌合する第2光コネクタと、
前記第1光コネクタと前記第2光コネクタとを接続する複数本の光ファイバとを備え、
前記第1光コネクタは、前記光ファイバの一端部が挿入される少なくとも1つの第1ファイバ孔を有し、
前記第2光コネクタは、複数段に配列されるように設けられ、前記光ファイバの他端部が挿入される複数の第2ファイバ孔を有し、
前記光ファイバは、ペアを構成する前記第1ファイバ孔と同じ列の上下対称となる段に位置する前記第2ファイバ孔とを接続するように構成されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記第1光アダプタ及び前記第1光コネクタは、複数ずつ存在しており、
前記第1光コネクタは、前記第1ファイバ孔を1つ有し、
前記複数の第2ファイバ孔は、上下2段に配列されるように設けられており、
前記光ファイバは、前記ペアを構成する前記第1光コネクタの前記第1ファイバ孔と前記同じ列の上段及び下段に位置する前記第2ファイバ孔とを接続するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第2光コネクタは、1対のガイドピンを更に有することを特徴とする請求項1または2記載の光モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の2つの光モジュールと、
前記2つの光モジュール同士を接続する光ケーブルとを備え、
前記光ケーブルの両端には、前記第2光アダプタと嵌合し、前記各第2ファイバ孔に対応する配列構造をもった複数の第3ファイバ孔を有する第3光コネクタがそれぞれ設けられており、
前記光ケーブルは、前記各第3光コネクタがキーアップ・トゥ・キーダウン配向をなすように構成されていることを特徴とする光システム。
【請求項5】
前記第3光コネクタは、前記各ガイドピンと嵌合する1対のガイド孔を更に有することを特徴とする請求項4記載の光システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−120095(P2012−120095A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270369(P2010−270369)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】