説明

光制御多層膜構造体および調光構造体

【課題】 紫外光領域から可視光、赤外光領域までの広範囲波長域における反射・透過・吸収の制御可能な光制御多層膜構造体を提供すること。
【解決手段】 光制御多層膜構造体10は、一対の透明基板1、1の対向面の一方に紫外線吸収層3と透明電極層2とが積層配置し、もう一方の対向面に透明電極層2のみを配置した構造を有し、これらの間にエレクトロクロミック層6が設けられている。エレクトロクロミック層6は、可逆的に発色または消色することができる発色層4と、電解質層5との積層構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御多層膜構造体および調光構造体に係り、特に紫外〜赤外光の広範囲波長域にわたって、任意に反射・透過・吸収の制御が可能な、光制御多層膜構造体および調光構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調光技術としては、二酸化バナジウムを利用したサーモクロミック薄膜技術、液晶分子を用いた調光技術(ブラインド機能)、また、マグネシウム-ニッケル合金を用いた反射調光ミラー技術がある。このうちサーモクロミック薄膜技術は、赤外光の反射・透過を制御するものであり、太陽光熱による結晶相変化を利用したものである(特許文献1、2、3)。
【0003】
また、液晶分子を用いた調光技術は、電圧印加により液晶配向を制御し、光の反射・透過を任意に変えるものであり(特許文献4)、反射調光ミラーはマグネシウム-ニッケル合金からなっていて、水素および酸素導入により透明状態から鏡状態に変化するというものである。(特許文献5)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−331430号公報「サーモクロミック材料の製造法」
【特許文献2】特開平8−3546号公報「サーモクロミック材料の製造方法」
【特許文献3】特開2007−22837号公報「調光ガラスおよびその製造方法」
【特許文献4】特開平8−286162号公報「液晶調光体」
【特許文献5】特開2005−351933号公報「反射調光エレクトロクロミック素子、当該素子の製造方法、および当該素子を用いた反射調光ガラス」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2および3のようにサーモクロミック特性を用いた調光技術は、赤外光の反射・透過制御が太陽熱に依存するため、任意に制御することができない。その上、透明時に若干の着色(黄色)が見られ、充分な透明性が得られないという問題もある。
【0006】
また、特許文献4のように液晶分子を用いた調光技術は、ブラインド機能のみであって、赤外光の熱入射抑制効果を持つものではない。さらに、透明を維持したい場合には液晶分子の配列を揃えるために電圧印加を保持する必要があり、ランニングコスト上問題がある。
【0007】
また、特許文献5のように水素化金属を用いた調光技術は、高価な貴金属触媒を利用する必要があること、構造の複雑化を避けられないこと、さらには透明時における着色などの問題がある。以上のことから、紫外〜赤外光の広範囲波長域にわたって任意に反射・透過・吸収の制御が可能な調光技術の確立が求められている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を踏まえ、紫外光領域から可視光、赤外光領域までの広範囲波長域における反射・透過・吸収の制御可能な光制御多層膜構造体および調光構造体ならびにその応用品を提供することである。
【0009】
また、建物内の冷暖房エネルギーの損失のうち、窓からの熱流入・流出によるものが全体の約50%を占めるが、この窓ガラスあるいは貼付用のフィルムに、調光機能として日射遮蔽効果や断熱効果等を付与できれば、大きな省エネルギー効果が期待できる。つまり本発明の課題は、かかる効果を得ることのできる調光技術を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は上記課題について検討した結果、紫外線吸収層とエレクトロクロミック層の両方を用いた膜構造を構成することにより上記課題が解決可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
【0011】
(1) 一対の透明基板の対向面の一方に紫外線吸収層と透明電極層とが積層配置され、もう一方の対向面には透明電極層が配置された構造を有し、これらの間にエレクトロクロミック層が設けられていることを特徴とする、光制御多層膜構造体。
(2) 前記紫外線吸収層が無機酸化物からなることを特徴とする、(1)に記載の光制御多層膜構造体。
(3) 前記無機酸化物が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、または酸化鉄のいずれかであることを特徴とする、(2)に記載の光制御多層膜構造体。
(4) 前記エレクトロクロミック層は、可逆的に発色または消色することができる発色層と電解質層とが積層構造をなすものであることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
【0012】
(5) 前記エレクトロクロミック層は、前記発色層と前記電解質層とが混合された構造をなすことを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
(6) 前記発色層が、無機酸化物か、または該無機酸化物の多孔質体に有機エレクトロクロミック色素を吸着させた構造体からなることを特徴とする、(4)または(5)に記載の光制御多層膜構造体。
(7) 前記発色層に係る無機酸化物が、酸化タングステン、プルシアンブルー、酸化ニッケル、または酸化イリジウムのいずれかであることを特徴とする、(6)に記載の光制御多層膜構造体。
(8) 前記電解質層が電解質溶液、ゲル状電解質、または固体電解質のいずれかであることを特徴とする、(1)ないし(7)のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
【0013】
(9) 前記透明電極層が酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化亜鉛、または導電性高分子材料のいずれかであることを特徴とする、(1)ないし(8)のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
(10) 前記透明電極層、紫外線吸収層、発色層または電解質層はいずれも、化学的成膜手法もしくは物理的成膜手法のいずれか一つの手法、または各手法を組み合わせることにより形成されることを特徴とする、(1)ないし(9)のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
(11) 前記透明基板がガラス、樹脂フィルム、または樹脂シートであることを特徴とする、(1)ないし(10)のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
(12) (1)ないし(11)のいずれか1項に記載の光制御多層膜構造体を用いた、調光構造体。
(13) 一対の透明基板の対向面の一方に紫外線吸収層と透明電極層とが積層配置され、もう一方の対向面には透明電極層が配置された構造を有し、これらの間にエレクトロクロミック層が設けられている光制御多層膜構造体を製造する方法であって、該方法は、一の透明基板の一面上に透明電極層と、および少なくともエレクトロクロミック層を構成するための発色層とが形成されてなる第一構造部と、他の透明基板の一面上に紫外線吸収層および透明電極層が形成されてなる第二構造部とを、双方の層形成面を対向させて接着することによって貼り合わせる工程を備えることを特徴とする、光制御多層膜構造体製造方法。
(14) 一方の透明基板上に透明電極層を形成し、その上に発色層および電解質層からなるエレクトロクロミック層を形成して第一構造部とし、他の透明基板上に紫外線吸収層を形成し、その上に透明電極層を形成して第二構造部とし、該第一構造部と該第二構造部を、該エレクトロクロミック層および該紫外線吸収層を対向させて接着することによって貼り合わせて光制御多層膜構造体とすることを特徴とする、(13)に記載の光制御多層膜構造体製造方法。
(15) 一方の透明基板上に透明電極層を形成し、その上に発色層を形成して第一構造部とし、他の透明基板上に紫外線吸収層を形成し、その上に透明電極層を形成して第二構造部とし、該第一構造部と該第二構造部を貼り合わせ、該第一構造部の発色層と該第二構造部との間に電解液を注入することによってエレクトロクロミック層を形成することを特徴とする、(13)に記載の光制御多層膜構造体製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光制御多層膜構造体および調光構造体は上述のように構成されるため、これによれば、紫外光領域から可視光、赤外光領域までの広範囲波長域における反射・透過・吸収の制御が可能となる。たとえば、建物の窓ガラスや貼付用フィルムに本発明を適用した場合には、調光機能として日射遮蔽効果や断熱効果を奏することができ、建物内の冷暖房エネルギーの損失の約50%を占めるとされている窓からの熱流入・流出を効果的に防止ないしは相当程度軽減することができ、省エネルギー効果が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の光制御多層膜構造体の断面構成を示す概念図である。また、
図2は、本発明の光制御多層膜構造体の断面構成および作用を示す概念図である。これらに図示するように本光制御多層膜構造体10は、一対の透明基板1、1の対向面の一方に紫外線吸収層3(以下、「紫外光吸収層」ともいう。)と透明電極層2とが積層配置し、もう一方の対向面に透明電極層2のみを配置した構造を有し、これらの間に、可視〜赤外光の反射・透過を制御して可逆的な発色または消色の可能なエレクトロクロミック層6が設けられていることを、主たる構成とする。
【0016】
図示するように本光制御多層膜構造体10のエレクトロクロミック層6は、可逆的に発色または消色することができる発色層4と、電解質層5との積層構造とすることができる。しかしながらエレクトロクロミック層は、発色層と前記電解質層とが混合された構造としてもよい(図示せず)。
【0017】
本発明の光制御多層膜構造体10はかかる構成を備えるため、その紫外光吸収層3が外側つまり光入射側となるように配置することにより、紫外光吸収層3においてまず人体に有害な紫外光が吸収・遮断され、ついで、可逆的に発色または消色することが可能なエレクトロクロミック層6において可視光および赤外光の反射・透過が制御される。これにより、有害な紫外光が内部に取り込まれることを抑制することができる。
【0018】
また、本発明の光制御多層膜構造体10は、エレクトロクロミック層6による可視光の反射・透過制御により、明るさ、暗さを任意に制御できる電子ブラインドとしての機能を発揮することができる。さらには、エレクトロクロミック層6により赤外光すなわち熱エネルギーの反射・透過を制御することもできる。
【0019】
また、本発明の光制御多層膜構造体10は、太陽光の熱入射を制御する一方で、外部の視界を確保できるブラインドの役目も果たす。エレクトロクロミック層6により、可視光領域における反射・透過も制御制御可能だからである。すなわち本発明によれば、紫外−可視−赤外の広範囲波長域にわたる、多機能的な調光特性を提供することができる。
【0020】
本発明光制御多層膜構造体10の紫外線吸収層3としては、紫外線吸収特性を有する金属酸化物を用いるものとすることができ、特に無機酸化物、たとえば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、あるいは酸化鉄などを好適に用いることができる。
【0021】
また、エレクトロクロミック層6を構成する発色層4としては、無機酸化物かまたは該無機酸化物の多孔質体に有機エレクトロクロミック色素を吸着させた構造体を用いるものとすることができる。この無機酸化物としてはたとえば、酸化タングステン、プルシアンブルー、酸化ニッケル、または酸化イリジウムを好適に用いることができる。
【0022】
また、エレクトロクロミック層6を構成する電解質層5としては、電解質溶液、ゲル状電解質、または固体電解質のいずれかを、好適に用いることができる。
【0023】
また、透明電極層2としては、透明性と導電性を有する金属酸化物、または透明導電性高分子材料から選択するものとすることができる。金属酸化物としてはたとえば、酸化インジウムスズ、酸化スズ、または酸化亜鉛を好適に用いることができる。
【0024】
本発明光制御多層膜構造体10の透明電極層2、紫外線吸収層3、発色層4、電解質層5はいずれも、化学的成膜手法もしくは物理的成膜手法のいずれか一つの手法、または各手法を組み合わせることによって形成することができる。
【0025】
また、透明基板1としては、ガラス、樹脂フィルム、または樹脂シートを好適に用いることができる。以上説明した光制御多層膜構造体を用いて、調光ガラス、あるいは調光フィルムといった調光構造体を構成することができる。
【実施例】
【0026】
本発明光制御多層膜構造体および調光構造体の作製は、様々な製膜方法、たとえば物理的方法、化学的方法などによって、またこれらの適宜の組合せによって行うことができるが、一実施例について説明する。
図3は、本発明光制御多層膜構造体の作製方法の一例を示すフロー図である。図にしたがい、光制御多層膜構造体の作製方法例を説明する。
<1 エレクトロクロミック層(基板A)>
1−1 透明電極層の形成(工程P1)
厚さ0.7mmのガラス基板(A)1上にスパッタリング法により厚さ1μm以下のITO薄膜を形成し、透明電極層2とする。なお透明電極層2は、スパッタリング法のみならず、ゾルゲル法、CVD法等の化学的成膜法を用いて形成することもできる。
【0027】
1−2 発色層の形成(工程P2)
前工程P1で形成した透明電極層2上に、発色層4となる酸化タングステン薄膜を形成する。酸化タングステン薄膜の形成方法は次の通りである。まず、金属タングステン粉末0.2gと過酸化水素水2gを混合し、その後、加熱攪拌、濃縮する。濃縮した溶液をIPAと混合し、原料溶液とする。この原料溶液を透明電極層(以下、「透明導電膜」ともいう。)2上にスピンコーターにて塗布し、250℃で5分間乾燥し、成膜する。なお、発色層4は、スパッタリング等の物理的成膜法を用いて作製することもできる。
【0028】
1−3 電解質層の形成(工程P3)
前工程P2で形成した発色層4上に、電解液としてLiClO溶液を滴下し、塗布して、電解質層5とする。これにより、エレクトロクロミック層6が形成される。なお電解質層は、ゲル状からなる半固体電解質や固体電解質でも代替可能である。
【0029】
<2 紫外線吸収層(基板B)>
2−1 紫外線吸収層(工程P4)
厚さ0.7mmのガラス基板(B)1上に、紫外線吸収層となる酸化チタン薄膜を形成する。まず酸化チタンスラリー溶液の調製は、95〜100℃の温水500gに、チタンテトライソプロポキシド100gを滴下し、30min加熱攪拌することにより行う。調製した酸化チタンスラリーをガラス基板(B)1上に塗布し、150℃で30分間乾燥し、成膜して、紫外線吸収層3とする。なお紫外線吸収層は、スパッタリング等の物理的成膜法を用いて作製することもできる。また紫外線吸収層の材料は、酸化亜鉛、酸化鉄等で代替可能である。
【0030】
2−2 透明電極層(工程P5)
前工程P4で形成した紫外線吸収層3上に、スパッタリング法により厚さ1μm以下のITO薄膜を形成して、透明電極層2とする。透明電極層は、スパッタリング法のみならず、ゾルゲル法、CVD法等の化学的成膜法を用いても作製することができる。
【0031】
<3 エレクトロクロミック層部と紫外線吸収層部の貼り合せ工程>(工程P6)
上記方法により作製したエレクトロクロミック層6の形成されたエレクトロクロミック層部、および紫外線吸収層3の形成された紫外線吸収層部とを、エレクトロクロミック層6と紫外線吸収層3を対向させて接着することによって互いに貼り合わせ、多層膜構造体10とする。
【0032】
以上実施例にて説明したように、本発明の光制御多層膜構造体の作製・製造は、一の透明基板の一面上に透明電極層と少なくともエレクトロクロミック層を構成するための発色層とが形成されてなる第一構造部を準備し、これとは別に、他の透明基板の一面上に紫外線吸収層および透明電極層が形成されてなる第二構造部を準備し、双方の層形成面を対向させて接着することによって貼り合わせる工程を備えた作製・製造フローを経ることによって、行うものとすることができる。実施例の場合は、該第一構造部には電解質層が予め形成されている状態すなわちエレクトロクロミック層が形成されている状態であり、これと該第二構造部とが張り合わされるものである。
【0033】
実施例に示した方法の他には、たとえば、第一構造部としては発色層までを形成して電解質層は予め設けてはおかない構成とし、これと第二構造部を貼り合わせた後で、第一構造部の発色層と第二構造部との間に電解液を注入することによってエレクトロクロミック層を形成する方法によっても、本発明の光制御多層膜構造体を作製・製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の光制御多層膜構造体によれば、紫外線遮断、ブラインド効果、熱入射制御が可能となることから、建物窓ガラスへの応用、さらに自動車、電車、飛行機等の乗物窓ガラスへの広範な応用展開が可能である。また、本発明を用いた調光ガラスや調光フィルム等は、冷暖房および照明のエネルギー消費を減らすことができるため、建物や乗物内のエネルギー消費を削減することができる。
【0035】
本発明における多機能性は、従来技術に対して大きな優位性を有するものであり、既存のウインドウトリートメント製品(ブラインド、カーテン、ロールスクリーン等)に置き換わる省エネルギー機能性部材としての普及が大きく期待できる。したがって、産業上利用価値が高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の光制御多層膜構造体の断面構成を示す概念図である。
【図2】本発明の光制御多層膜構造体の断面構成および作用を示す概念図である。
【図3】本発明の光制御多層膜構造体の作製方法の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0037】
1…透明基板
2…透明電極層
3…紫外線吸収層
4…発色層
5…電解質層
6…エレクトロクロミック層
10…光制御多層膜構造体
P1…透明電極層形成工程
P2…発色層形成工程
P3…電解質層形成工程
P4…紫外線吸収層形成工程
P5…透明電極層形成工程
P6…貼り合せ工程


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の透明基板の対向面の一方に紫外線吸収層と透明電極層とが積層配置され、もう一方の対向面には透明電極層が配置された構造を有し、これらの間にエレクトロクロミック層が設けられていることを特徴とする、光制御多層膜構造体。
【請求項2】
前記紫外線吸収層が無機酸化物からなることを特徴とする、請求項1に記載の光制御多層膜構造体。
【請求項3】
前記無機酸化物が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、または酸化鉄のいずれかであることを特徴とする、請求項2に記載の光制御多層膜構造体。
【請求項4】
前記エレクトロクロミック層は、可逆的に発色または消色することができる発色層と電解質層とが積層構造をなすものであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
【請求項5】
前記エレクトロクロミック層は、前記発色層と前記電解質層とが混合された構造をなすことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
【請求項6】
前記発色層が、無機酸化物か、または該無機酸化物の多孔質体に有機エレクトロクロミック色素を吸着させた構造体からなることを特徴とする、請求項4または5に記載の光制御多層膜構造体。
【請求項7】
前記発色層に係る無機酸化物が、酸化タングステン、プルシアンブルー、酸化ニッケル、または酸化イリジウムのいずれかであることを特徴とする、請求項6に記載の光制御多層膜構造体。
【請求項8】
前記電解質層が電解質溶液、ゲル状電解質、または固体電解質のいずれかであることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
【請求項9】
前記透明電極層が酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化亜鉛、または導電性高分子材料のいずれかであることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
【請求項10】
前記透明電極層、紫外線吸収層、発色層または電解質層はいずれも、化学的成膜手法もしくは物理的成膜手法のいずれか一つの手法、または各手法を組み合わせることにより形成されることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
【請求項11】
前記透明基板がガラス、樹脂フィルム、または樹脂シートであることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれかに記載の光制御多層膜構造体。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の光制御多層膜構造体を用いた、調光構造体。
【請求項13】
一対の透明基板の対向面の一方に紫外線吸収層と透明電極層とが積層配置され、もう一方の対向面には透明電極層が配置された構造を有し、これらの間にエレクトロクロミック層が設けられている光制御多層膜構造体を製造する方法であって、該方法は、一の透明基板の一面上に透明電極層と、および少なくともエレクトロクロミック層を構成するための発色層とが形成されてなる第一構造部と、他の透明基板の一面上に紫外線吸収層および透明電極層が形成されてなる第二構造部とを、双方の層形成面を対向させて接着することによって貼り合わせる工程を備えることを特徴とする、光制御多層膜構造体製造方法。
【請求項14】
一方の透明基板上に透明電極層を形成し、その上に発色層および電解質層からなるエレクトロクロミック層を形成して第一構造部とし、他の透明基板上に紫外線吸収層を形成し、その上に透明電極層を形成して第二構造部とし、該第一構造部と該第二構造部を、該エレクトロクロミック層および該紫外線吸収層を対向させて接着することによって貼り合わせて光制御多層膜構造体とすることを特徴とする、請求項13に記載の光制御多層膜構造体製造方法。
【請求項15】
一方の透明基板上に透明電極層を形成し、その上に発色層を形成して第一構造部とし、他の透明基板上に紫外線吸収層を形成し、その上に透明電極層を形成して第二構造部とし、該第一構造部と該第二構造部を貼り合わせ、該第一構造部の発色層と該第二構造部との間に電解液を注入することによってエレクトロクロミック層を形成することを特徴とする、請求項13に記載の光制御多層膜構造体製造方法。


【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−42578(P2009−42578A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208679(P2007−208679)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(591269712)アンデス電気株式会社 (33)
【Fターム(参考)】