光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置
【課題】 所定の角度範囲内に広げられた光を出射可能な光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置を提供する。
【解決手段】 光制御板40は、主面40aから入射された複数の光源からの光を出射面40bから出射する。光制御板40の主面における隣接する2つの光源間に対応する対応領域41は第1〜第3の領域41A〜41Cを有し、第1及び第3の領域は、複数の平面部41k,mへの第1の入射光F1i(F2i)の入射時の屈折を利用して出射面から第1の入射光を所定の角度範囲内に広げて出射させる第1の光路制御部42を複数有し、第2の領域は、プリズム部46m内での全反射を利用して第2の入射光F1i,F2iを出射面から所定の角度範囲内で出射せしめる第2の光路制御部43を有し、第1の入射光は2つの光源のうち第1の光路制御部により近い方の光源からの光であり、第2の入射光は2つの光源からの光である。
【解決手段】 光制御板40は、主面40aから入射された複数の光源からの光を出射面40bから出射する。光制御板40の主面における隣接する2つの光源間に対応する対応領域41は第1〜第3の領域41A〜41Cを有し、第1及び第3の領域は、複数の平面部41k,mへの第1の入射光F1i(F2i)の入射時の屈折を利用して出射面から第1の入射光を所定の角度範囲内に広げて出射させる第1の光路制御部42を複数有し、第2の領域は、プリズム部46m内での全反射を利用して第2の入射光F1i,F2iを出射面から所定の角度範囲内で出射せしめる第2の光路制御部43を有し、第1の入射光は2つの光源のうち第1の光路制御部により近い方の光源からの光であり、第2の入射光は2つの光源からの光である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、液晶表示部のバックライトを出力する光源として面光源装置が使用されている。このような面光源装置としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。この面光源装置は、ランプボックス内に相互に離間して配置された複数の光源の前方に光拡散板が配置されて構成されている。この光拡散板には、複数の光源側から光拡散板に入射する入射光を光拡散板の表面に対して略垂直方向に向けて出射させ得る形状を備えた偏向構造部が設けられている。その結果、複数の光源から出力された光は、光拡散板を通過することによって、光拡散板の表面に対して前方に導かれつつ拡散されて均一な輝度分布の平行光をバックライトとして出力することが可能となっている。
【特許文献1】特開2006―351519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記面光源装置では、前述したように、均一な輝度分布の平行光として出力することが可能であるが、この面光源装置の適用用途によっては、例えば画面ムラが生じる場合や適当な視野角を確保したい場合もあり、面光源装置からの出射光が所定の出射角度範囲内で広げられているものも求められている。
【0004】
そこで、本発明は、所定の角度範囲内に広げられた光を出射可能な光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光制御板は、互いに間隔を空けて配列された複数の光源に対して離間して配置される光制御板であって、複数の光源側に位置する主面と、主面に対向配置されると共に、主面から入射された複数の光源からの光が出射される平坦な出射面と、を有し、主面において、隣接する2つの前記光源間に対応する対応領域は、第1の入射光を出射面から所定の角度範囲内に広げて出射せしめる第1の光路制御部が複数の光源の配列方向に複数形成されている第1及び第3の領域と、第1及び第3の領域の間に配置されており、第2の入射光を出射面から所定の角度範囲内で出射せしめる第2の光路制御部が少なくとも一つ形成されている第2の領域と、を有し、第1の入射光は、隣接する2つの光源のうち第1の光路制御部に近い方の光源から出力された光であり、第2の入射光は、隣接する2つの光源からそれぞれ出力された光であり、第1の光路制御部は、一方向に延びており第1の入射光が入射される複数の平面部を含んで構成されており、第1の光路制御部は、複数の平面部への第1の入射光の入射時の屈折を利用して出射面から所定の角度範囲内に広げて出射せしめ、第2の光路制御部は、上記一方向に延びており断面形状が略三角形状であって第2の入射光が入射されるプリズム部を複数有し、第2の光路制御部は、複数のプリズム部へ入射した第2の入射光のプリズム部内での全反射を利用して第2の入射光を出射面から所定の出射角度範囲内で出射せしめることを特徴とする。
【0006】
上記構成では、主面における各対応領域内の第1〜第3の領域は、一つの対応領域内で上記配列方向に第1〜第3の領域の順に配置されている。そのため、第1の領域は、隣接する2つの光源のうちの一方の光源側に位置し、第3の領域は、隣接する2つの光源の他方の光源側に位置することになる。この場合、第1及び第3の領域には、隣接する2つの光源のうち第1及び第3の領域により近い方の光源からの光が入射されるため、第1の光路制御部には、隣接する2つの光源のうちその第1の光路制御部により近い方の光源からの光が第1の入射光として入射される。一方、第1及び第3の領域の間に位置している第2の領域には隣接する2つの光源からの光が何れも入射するため、第2の光路制御部には、隣接する2つの光源から出力される光が何れも第2の入射光として入射される。
【0007】
本発明に係る光制御板の構成では、光源のより近くに位置する第1及び第3の領域には第1の光路制御部が複数形成されている。この第1の光路制御部に第1の入射光が入射されると、第1の入射光は、第1の光路制御部が有する複数の平面部による屈折によって出射面から所定の角度範囲内に広げられて出射される。また、第1及び第3の領域の間に位置する第2の領域には第2の光路制御部が複数形成されている。そして、この第2の光路制御部に第2の入射光が入射されると、第2の入射光は、第2の光路制御部が有する複数のプリズム部内の全反射により出射面から所定の角度範囲内に広げられて出射される。このように第1及び第2の光路制御部へ入射される光毎に所定の角度範囲に広げて出射せしめるため、結果として、出射面から所定の角度範囲に広げられた光を出射させることが可能である。
【0008】
また、本発明に係る光制御板では、各平面部を介して入射された第1の入射光が所定の角度範囲内の出射角で出射面から出射される方向に第1の入射光を屈折させるように、複数の平面部の各々の出射面に対する傾斜角が規定されており、複数のプリズム部の各々は第1及び第2の側面を有し、第1及び第2の側面の出射面に対する傾斜角は、第1の側面が、第2の側面を介して入射された第2の入射光を、その第2の入射光が出射面から所定の角度範囲内の出射角で出射される方向に全反射させると共に、第2の側面が、第1の側面を介して入射された第2の入射光を、その第2の入射光が所定の角度範囲内の出射角で出射面から出射される方向に全反射させるように、規定されており、第1の側面を介して入射される第2の入射光は、隣接する2つの光源のうち第1の側面側の光源から出力された光であり、第2の側面を介して入射される第2の入射光は、隣接する2つの光源のうち第2の側面側の光源から出力された光であることが好ましい。
【0009】
第1の光路制御部が有する複数の平面部が上記のように出射面に対して傾斜しているため、第1の入射光の各平面部への入射時の屈折を利用して出射面から所定の角度範囲内の出射角で第1の入射光を出射させることができる。そして、各平面部の出射面への傾斜角で決まる第1の入射光の出射面からの出射角を所定の角度範囲内で適宜割り当てることで、第1の光路制御部へ入射した第1の入射光を所定の角度範囲に広げることが可能である。また、第2の光路制御部の各プリズム部が第1及び第2の側面を有しており、第1及び第2の側面の出射面に対する傾斜角が上記のように規定されていることで、第1及び第2の側面を介して入射される上記第2の入射光をプリズム部内の全反射を利用して出射面から所定の角度範囲内の出射角で出射させることができる。そして、第1の光路制御部の場合と同様に、第1及び第2の側面の傾斜角で決まる第2の入射光の出射面からの出射角を所定の角度範囲内で適宜割り当てることで、第2の光路制御部へ入射した第2の入射光を所定の角度範囲に広げることが可能である。
【0010】
この場合、複数の平面部各々を介して入射された第1の入射光の出射角は互いに異なっており、複数のプリズム部の各々が有する第1の側面で全反射された第2の入射光の出射角は、所定の角度範囲内から一定の角度間隔で選択される角度が割り当てられており、複数のプリズム部の各々が有する第2の側面で全反射された第2の入射光の出射角は、所定の角度範囲内で一定の角度間隔で選択される角度が割り当てられていることが好ましい。この場合、第1及び第2の光路制御部にそれぞれ入射される第1及び第2の入射光を所定の角度範囲により広げやすい。
【0011】
また、本発明に係る光制御板では、上記第2の領域は、第2の光路制御部を複数有することが好ましい。第2の領域が複数の第2の光路制御部を有することにより、より確実に光を所定の角度範囲に広げることが可能である。
【0012】
また、本発明に係る光制御板では、各第1の光路制御部が有する複数の平面部の各々の大きさは、複数の平面部を介して入射され出射面から所定の角度範囲内で出射される光の所定の角度範囲における輝度角度分布が略均一になるように規定されていることが好ましい。第1の光路制御部は、第2の領域に比べて光源により近い第1及び第3の領域に形成されている。そのため、光源から出力される光の輝度分布の影響を受けやい。よって、上記のように第1の光路制御部が有する平面部の大きさを規定して、第1の光路制御部に入射された第1の入射光を、所定の角度範囲内で輝度角度分布が略一定になるようにすることで、出射面から出射される光の輝度角度分布が略一定になる傾向にある。
【0013】
また、本発明に係る光制御板では、第1及び第3の領域の各々は、光源の直上に位置する4の領域と、第4の領域と第2の領域との間に位置する第5の領域とを有し、第4の領域には、複数の第1の光路制御部のうち少なくとも一つの第1の光路制御部が形成されており、第4の領域内の第1の光路制御部は断面形状が凹状であり、その第1の光路制御部が有する複数の平面部が連続に配置されて第1の光路制御部の表面が構成されており、第5の領域には複数の第1の光路制御部が形成されており、第5の領域内の各第1の光路制御部が有する複数の平面部のうち第2の領域又は第4の領域側に位置する隣接する平面部間には段差が形成されていることが好ましい。
【0014】
第4の領域に形成される第1の光路制御部には、第1の入射光として光源からの光が、出射面の法線に略平行に入射されやすい。そのため、断面形状が凹状の第1の光路制御部が形成できると共に、第1の光路制御部の表面を複数の平面部から構成することが可能である。一方、第5の領域では、第1の入射光は、上記法線方向に対して斜め方向に進行して第1の光路制御領域に入射されやすい。この場合、第4の領域の第1の光路制御部と同様の第1の光路制御部を作製しようとすると、平面部の傾斜角等の影響により第1の光路制御部の両端の位置が上記法線方向でずれる場合がある。そのため、上記のように第5の領域の第1の光路制御部において第2又は第4の領域側に段差を設けた場合、段差の大きさで第1の光路制御部の両端の位置の上記法線方向の位置を一致させることができる。その結果、光制御板を所望の厚さを維持しつつ形成することが可能である。
【0015】
また、本発明に係る面光源装置は、互いに間隔を空けて配列された複数の光源と、複数の光源に対して離間して配置されている上記本発明に係る光制御板と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この場合、複数の光源各々から出力された光は、光制御板をとおって光制御板の出射面から出射される。その際、複数の光源のうちの隣接する2つの光源からの光が、その2つの光源に対応する光制御板の対応領域に入射すると、前述したように出射面から所定の角度範囲に広げられて出射されるため、上記面光源装置では、所定の角度範囲に広がった出射光を得ることができる。
【0017】
更に、本発明に係る透過型画像表示装置は、上記本発明に係る面光源装置と、面光源装置における複数の光源の配列方向に略直交する方向において面光源装置から離間して配置される透過型画像表示部と、を備えるこことを特徴とする。
【0018】
この透過型画像表示装置では、上記面光源装置から出力される所定の角度範囲に広がった出射光が透過型表示部に入射することになる。その結果、例えば、平行光が透過型画像表示部に入射される場合よりもより広い視野角を確保することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る光制御板によれば、複数の光源から出射された光を、光制御板の出射面から所定の角度範囲に広げて出射することができる。また、本発明に係る面光源装置によれば、複数の光源から出射された光が光制御板に入射されると、光制御板の出射面から所定の角度範囲に広げられた光が出射される。よって、面光源装置からは、出射光として所定の角度範囲に広げられた光を出力することができる。更に、本発明に係る透過型画像表示装置によれば、面光源装置に所定の角度範囲に広げられた光が透過型画像表示部に入射するため、より広い視野角を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置の実施形態について説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率等は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0021】
図1は、本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。透過型画像表示装置1は、液晶表示装置であり、液晶セル11の上下両面に偏光板12,13が積層されてなる透過型画像表示部10の背面側(下側)に面光源装置50が設けられて構成されている。なお、本実施形態では、面光源装置50に対して透過型画像表示部10が配置されている側を「上」側又は「前」側とする。
【0022】
液晶セル11、偏光板12,13は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置で用いられているものを用いることができる。液晶セル11としては、TFT型、STN型等の公知の液晶セルが例示される。また、上下一対の偏光板12,13は、互いにその透過軸を直交させる状態に配置され、これらの偏光板12,13の透過軸は、液晶セル11における液晶分子の配向方向と平行になるように配置されている。
【0023】
面光源装置50は、光源部20と、光源部20の前面側、すなわち、透過型画像表示部10側に光源部20に対して離間して配置された光制御板40とを有する。面光源装置50は、光源部20から出力される光Fiを光制御板40により集光しバックライトとして透過型画像表示部10に対して供給する。
【0024】
光源部20は、光Fiを出力する複数の光源30を有し、複数の光源30は各光源30の中心軸線が同一面内に位置するように等しい間隔Lで配置されている。隣接する光源30,30間の中心軸線間の間隔Lは例えば15mm〜150mmである。各光源30は、複数の光源30の配列方向に直交する方向に延在している棒状のものであり、蛍光ランプ(冷陰極線管)のような直管状のものが例示される。ここでは、光源30は棒状としたが、LEDのような点光源などを用いることも可能である。
【0025】
複数の光源30は、図1に示すように、ランプボックス35内に配置されていることが好ましく、ランプボックス35の内面35aは、光反射面として形成されていることが好ましい。これにより、各光源30から出力された光Fiが透過型画像表示部10側に確実に出力することができる。
【0026】
光制御板40は、略直方体形状を有しており、複数の光源30の全てを覆っている。光制御板40は、光源部20から例えば5mm〜50mm離して配置されている。光制御板40の厚みは0.1mm〜15mmが例示されるが、好ましくは0.5mm〜10mm、より好ましくは1mm〜5mmである。
【0027】
光制御板40は、透明材料、例えば透明樹脂、透明ガラスからなる。透明樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体樹脂)、メタクリル樹脂、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが例示される。なお、光制御板40には、少量の拡散剤が含まれていても良い。また、表面において僅かな拡散は許容可能である。
【0028】
光制御板40は、光源部20側に位置する裏面(主面)40a側から入射される光Fiを、裏面40aに対向配置された平坦な出射面40bから出射面40bの法線N方向に対して所定の角度範囲内に広げて出射する。すなわち、出射面40bの法線N方向に対する出射角をξとし、最大出射角をξmaxとした場合、光制御板40は、入射される光Fiを、−ξmax≦ξ≦ξmax内で広げて出射面40bから光F0として出射する。ξmaxとしては、例えば20°である。
【0029】
光制御板40の裏面40aにおいて、隣接する2つの光源30,30間の上方に位置している領域であって、2つの光源30,30間に対応する対応領域41毎には、光Fiを所定の角度範囲内で出射するための微細構造が複数形成されている。この対応領域41の構成について説明する。
【0030】
図2は、光制御板の一部を拡大した模式図である。図2では、一つの対応領域41を含む光制御板40の部分を拡大して示しており、対応領域41に対応した隣接する2つの光源30,30も便宜的に示している。
【0031】
以下の説明では、図2中の2つの光源30,30のうち一方の光源30(図2では左側の光源)を光源31とも称し、他方の光源30を光源32とも称す。これに対応して、光源31及び光源32から出力される光Fiをそれぞれ光F1i及び光F2iとも称す。更に、光F1i,F2iを、便宜的に複数の光線f1i,f2iの集まりとして説明する場合もあり、同様に、光Foも光線foの集まりとして説明する場合もある。また、図2(a)に示すように、光源31,32が配列されている方向(図2(a)中の左右方向)をz軸方向とし、z軸方向に直交する方向であって光源31に対して光制御板40が位置する方向をy軸方向とし、z軸方向及びy軸方向に直交する方向をx軸方向とする。
【0032】
図2(a)に示すように、対応領域41は、第1〜第3の領域41A,41B,41Cから構成されている。第1及び第3の領域41A,41Cは光源31,32の直上の領域を含んでおり、第2の領域41Bの両側に位置する。本実施形態では、対応領域41の構成は、2つの光源31,32間の中央位置、すなわち、光源31から光源32側へL/2の位置での出射面40bに直交する仮想的な平面Pに対して折り返し対称(図2では左右対称)となっている。よって、対応領域41における光源31側の半分の領域、すなわち、第1の領域41Aと、第2の領域41Bにおける第1の領域41A側の半分の領域の構成を中心にして説明する。
【0033】
図2(a)〜(d)に示すように、第1の領域41A及び第2の領域41Bは、x軸方向(一方向)に延びている微細構造としての光路制御部(第1の光路制御部)42及び光路制御部(第2の光路制御部)43を複数有し、複数の光路制御部42は第1の領域41A内においてz軸方向に密に形成されており、複数の光路制御部43は第2の領域41B内においてz軸方向に密に形成されている。各光路制御部42の幅(z軸方向の長さ)及び各光路制御部43の幅は、50μm〜10mmが例示されるが、好ましくは50μm〜5mm、より好ましくは50μm〜2mmである。
【0034】
図2(b),(c)に示すように、光路制御部42は、出射面40bに略平行な平面に対して異なる角度で傾斜した複数の平面部を含んで構成されている。光路制御部42は、2つの光源31,32のうち近い方向の光源31から出力され光路制御部42に入射される第1の入射光としての光F1iを、出射面40bの法線N方向に対して−ξmax以上ξmax以下の角度範囲内に広げて出射面40bから出力するためのものである。
【0035】
複数の光路制御部42は、図2(b)に示すように、光源31の直上に形成されており光線f1iがほぼ出射面40bの法線N方向に平行に入射される光路制御部420と、光線f1iが上記法線N方向に対して傾斜して入射される光路制御部42k(kは1以上の整数)とに分けることができる。換言すれば、第1の領域41Aにおいて、光線f1iがほぼ出射面40bの法線N方向に平行に入射される光源31の直上の領域を第4の領域41A1とし、第1の領域41Aのうち第4の領域41A1と第2の領域41Bとの間の領域を第5の領域41A2としたとき、第4の領域41A1には光路制御部420が形成されており、第5の領域41A2には光路制御部42kが形成されていることになる。
【0036】
なお、図2(a),(b)では、第4の領域41A1には1つの光路制御部420が構成されているとしているが、第4の領域41A1の大きさや光制御板40と光源31との間の距離等に応じて、第4の領域41A1が複数の光路制御部420を有していても良い。
【0037】
光路制御部43は、図2(d)に示すように複数のプリズム部を含んで構成されている。光路制御部43は、2つの光源31,32から出力され光路制御部43に入射される第2の入射光としての光F1i,F2iを、各プリズム部内での全反射を利用して出射面40bの法線N方向に対して所定の角度範囲(−ξmax以上ξmax以下)内で出射面40bから出力せしめるためのものである。光路制御部43は、各プリズム部に入射される光F1i,光F2iが、プリズム部内で全反射させることによって、出射面40bから上記出射角度範囲内に広げられて出射されるようになっている。
【0038】
前述したように、対応領域41は平面Pに対して対称である。よって、第3の領域41Cは、第1の領域41Aの場合と同様に、複数の光路制御部42を含んで構成されており、これらの複数の光路制御部42は、光路制御部420と、光路制御部42kとから構成することができる。更に、第3の領域41Cは、第1の領域41Aにおける第4の領域41A1及び第5の領域41A2に対応した第4の領域41C1及び第5の領域41C2から構成することができ、この場合、第4の領域41C1には光路制御部420が形成されており、第5の領域41C2には光路制御部42kが形成されていることになる。第4の領域41C1が複数の光路制御部420を有してもよいのは、第1の領域41Aの場合と同様である。
【0039】
次に、図3〜図17を利用して光路制御部42(420,42k)及び光路制御部43の構成について詳述する。
【0040】
図3は、本実施形態の説明に便宜的に使用する3次元座標系と光制御板との位置関係を示している。図3では、光制御板40と光源31,32との3次元座標系における位置関係も示すために光源31,32も示している。以下の説明では、図3に示すように、微細構造が形成されていないと仮定した場合の裏面40aにおける光源31の直上の位置(すなわち、光源31の中心の直上位置)を原点Oとして、x軸、y軸及びz軸からなる3次元座標系を仮定する。なお、図3に示したx軸、y軸、z軸の延びている方向は図2に示したx軸方向、y軸方向及びz軸方向に対応している。また、x軸と光源31,32との間の距離、言い換えれば、光制御板40と光源31,32との間の距離はHとする。距離Hとしては、例えば、5mm〜50mmである。
【0041】
先ず、光路制御部420の構成について説明する。図4及び図5は光制御板における光源の直上領域の一部拡大図である。図5には、光路制御部420に入射する第1の入射光を構成する複数の光線f1iの光路の一例を模式的に示している。
【0042】
図4及び図5に示すように、光路制御部420はx軸方向に延びており断面形状が略凹状の微細構造である。光路制御部420の表面はM個(Mは2以上の整数)の第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mから構成されている。図4及び図5では、一例としてM=9の場合を示している。
【0043】
第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mはそれぞれx軸方向に延在しており連続的に設けられている。第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mのうちm番目の平面部を平面部440,m(mは1以上M以下の整数)とすると、平面部440,mは、出射面40bに平行な平面に対して平行であるか又は傾斜している。平面部440,mの出射面40bに対する傾斜角α0,mは、平面部440,mへの入射光が出射面40bから出射角ξ0,mで出射するように規定されている。この出射角ξ0,mは所定の角度範囲(−ξmax以上ξmax以下)内の任意の角度であればよいが、出射角ξ0,1〜ξ0,Mにより上記角度範囲全体をカバーしていることが好ましく、各出射角ξ0,1〜ξ0,Mには上記所定の角度範囲内において一定間隔で選択された出射角が割り当てられていることが更に好ましい。なお、出射角ξ0,mは、y軸方向に対して図中右回り方向(時計回り)を正の方向とする。
【0044】
また、第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mの大きさは、各出射角ξ0,1〜ξ0,M方向へ出射される各光線foの輝度であるI(ξ0,1)〜I(ξ0,M)が同一になるように規定されている。このような平面部440,mの大きさは、平面部0,mに入射する光線f1iの光制御板40に対する透過率及びその光線f1iに対応する光線foの出射角ξ0,mに基づいて、図4に示すピッチ比L0,mを規定することで定めることができる。
【0045】
各傾斜角α0,1〜α0,M及びピッチ比L0,1〜L0,Mの規定方法の一例について説明する。以下の説明では、光制御板40の屈折率をnとし、光制御板40の裏面40aに接している媒質(例えば、空気)の屈折率をniとし、光制御板40の出射面40bに接している媒質(例えば、空気)の屈折率をnoとする。すなわち、光制御板40を中間層として含む3層構造を仮定する。
【0046】
平面部440,mの傾斜角α0,mは、
【数1】
により規定することができる。ただし、
【数2】
【数3】
である。式(2)から理解されるように、η0,mは、平面部440,mへの入射により屈折した光線f1iの出射面40bへの入射角である(図5参照)。
【0047】
また、ピッチ比L0,mは、
【数4】
により規定することができる。ただし、
【数5】
である。
【0048】
式(5)中のT0,mは平面部440,mに入射した光線f1iの光制御板40に対する透過率であり、平面部440,mに入射した光線f1iのS偏光成分及びP偏光成分に対する光制御板40の透過率をTs0,m及びTp0,mとすると、次式で表される。
【数6】
ただし、
【数7】
【数8】
である。
【0049】
式(7),(8)中のt1s0,m,t1p0,mは、光線f1iの平面部440,mへの入射位置におけるS偏光成分及びP偏光成分の透過率であり、t2s0,m、t2p0,mは、出射面40bにおける光線foの出射位置におけるS偏光成分及びP偏光成分の透過率であり、以下の式(9)〜式(12)で表される。
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
式(1)〜式(12)を利用して傾斜角α0,1〜α0,M及びピッチ比L0,1〜L0,Mを規定し平面部440,1〜440,Mを設計することで、各平面部440,1〜440,Mを通して入射した光線f1iを出射面40bから式(3)で規定される出射角ξ0,1〜ξ0,Mで出射させることができる。従って、光路制御部420が第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mを有することにより、光路制御部420は、入射される光F1iを所定の角度範囲内に広げて出射面40bから出射せしめることが可能である。また、ピッチ比L0,1〜L0,Mが式(4),(5)を利用して規定されているため、所定の角度範囲内での輝度角度分布を均一にすることが可能となっている。
【0050】
次に、光路制御部42kの構成について説明する。図6は、光制御部のうち第1の領域の一部を含む部分の拡大図である。図6では、光路制御部420からみてk番目の光路制御部42kを含む光制御板の構成を模式的に示している。本実施形態では、光路制御部42kは、M個の平面部、すなわち、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mを有する。図6では、一例としてM=9の場合を示している。
【0051】
第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mはそれぞれx軸方向に延在している。第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mのうちm番目の平面部を平面部44k,m(mは1以上M以下の整数)とすると、平面部44k,mは、出射面40bに平行な平面に対して平行であるか又は傾斜している。平面部44k,mの出射面40bに対する傾斜角αk,mは、平面部44k,mへの入射光が出射面40bから出射角ξk,mで出射するように規定されている。ここでも出射角ξk,mは図中右回り(時計回り)を正方向とする。この出射角ξk,mは所定の角度範囲(−ξmax以上ξmax以下)内の任意の角度であればよいが、出射角ξk,1〜ξk,Mにより上記角度範囲全体をカバーしていることが好ましく、各出射角ξk,1〜ξk,Mには上記所定の角度範囲内において一定間隔で選択された出射角が割り当てられていることが更に好ましい。
【0052】
また、平面部44k,mの大きさは、光源31からみた場合の平面部44k,mの立体角比で表すことができる。そして、この立体角比は、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mからそれぞれ入射された光線f1iに対応しており出射面40bから出射角ξk,1〜ξk,Mの方向へ出射された各光線foの輝度であるI(ξk,1)〜I(ξk,M)が同じとなるように、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mにそれぞれ入射する光線f1iの光制御板40に対する透過率及び出射角ξk,1〜ξk,Mを利用して規定することができる。
【0053】
第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mの傾斜角αk,1〜αk,M及び大きさの規定方法の一例を説明する。図7及び図8は、傾斜角αk,1〜αk,M及び大きさの規定方法の一例を説明するための光制御板モデルの一部拡大図である。
【0054】
平面部44k,mの傾斜角αk,mは、
【数13】
により規定することができる。式(13)中、θk,mは、平面部44k,mに入射する光線f1iのy軸方向に対する傾き角である。また、
【数14】
であり、更に、
【数15】
である。式(14)から理解されるように、βk,mは、平面部44k,mへの入射により屈折した光線f1iの出射面40bへの入射角である(図7参照)。
【0055】
また、光源31からみた平面部44k,mの立体角比ωk、mは、
【数16】
により規定することができる。
【0056】
式(16)中のTk,mは平面部44k,mに入射する光線f1iの光制御板40に対する透過率であり、平面部44k,mに入射する光線f1iにおけるS偏光成分及びP偏光成分の光制御板40に対する透過率をTsk,m及びTpk,mとすると、次式で表される。
【数17】
ただし、
【数18】
【数19】
である。
【0057】
式(18),(19)中のt1sk,m,t1pk,mは、光線f1iの平面部44k,mへの入射位置でのS偏光成分及びP偏光成分の透過率であり、t2sk,m、t2pk,mは、光線f1iの出射面40bにおける出射位置でのS偏光成分及びP偏光成分の透過率であり、以下の式(20)〜式(23)で表される。
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
平面部44k,mを設計する際には、式(13)〜式(15)及び式(16)〜式(23)を利用して算出される傾斜角αk,m、立体角比ωk,mを利用して平面部44k,mの両端の位置を決定していけばよい。この両端の位置の決定方法について説明する。
【0058】
図8に示すように、光路制御部42kの中央のz座標をZkとし、光路制御部42kの原点O側(すなわち、光源31の直上側)の端のz座標をzk,0とする。このときzk,0は、(Zk+Zk−1)/2と表される。そして、平面部44k,mの光源31側の端のz座標及びy座標をzk,m及びyk,mとすると、平面部44k,mの光源32側(z=L側)の端のz座標及びy座標であるzk,m+1及びyk,m+1は、
【数24】
【数25】
となる。
【0059】
式(24)及び式(25)中においてHは、光源31の中心と原点Oとの間の距離、すなわち光源31の中心から、光路制御部42k等の微細構造が形成されていないと仮定した場合の裏面40aまでの距離である。
【0060】
更に、式(25)中のηk,mは光源31の中心と平面部44k,mの原点O側の端とを結ぶ直線とz軸方向との為す角度である。
【0061】
また、Ωk、mは光源31からみた場合の平面部44k,mの立体角であり、
【数26】
と表される。
【0062】
式(26)中のYkは、k番目の光路制御部42kの原点O側の端、すなわち、z=zk,0に位置する端のy座標である。
【0063】
光路制御部42kを設計する際には、光路制御部42kにおけるm番目の平面部44k,mの傾斜角αk,m及び立体角比ωk,mを、式(13)〜式(26)に基づいてそれぞれ決定すればよい。
【0064】
ところで、このように決定した第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mを例えば光路制御部420の場合と同様に連続して配置すると、図9に示すように、光路制御部42kにおける両端42ak,42bkのy軸方向の位置がずれる場合がある。そのため、式(26)では、一般化してk番目の光路制御部42kの原点O側の端のy座標をYkとしている。このように両端42ak,42bkのy軸方向のずれが生じた光路制御部を複数繋げると各光路制御部の両端の段差が累積して光制御板が厚くなるため、扁平な板状を有する光制御板を作製することができない。
【0065】
そこで、図10に示すように、光路制御部42kの両端42ak,42bkのうちの一方の側(図10では左側)に、両端42ak,42bkのy座標が一致するように、隣接する2つの平面部(図10では、平面部44k,mと平面部44k,m+1)間に段差Sを設ける。図10では、平面部44k,1〜44k,5間の隣接する2つの平面部間にそれぞれ段差Sを設けている。このように段差Sを設けることで生じる斜面45は、段差Sを形成する2つの平面部のうちの一方で屈折された光の進行を斜面45が阻害しないように形成することが好ましい。図10に示した平面部44k,1と平面部44k,2の場合を例にして具体的に説明すると、平面部44k,1と平面部44k,2とを繋ぐ斜面45は、平面部44k,2で屈折された光線f1iの進行方向(屈折方向)と略平行になるように形成することが好ましい。これにより、段差Sによって光線f1iが更に屈折することが抑制され、式(15)で規定される所望の出射角で出射面40bから光線foを出射できる。ここでは、光路制御部42kの図10中の左側に段差Sを配置したが、段差Sは光路制御部42kの図10中の右側に配置してもよい。
【0066】
このように段差Sを設ける場合には、各光路制御部42kの設計において、各光路制御部42kの原点O側の端42akのy座標であるYkを予め0として平面部44k,mを設計することもできる。また、前述したように一度、端42akのy座標を一般的にYkとして設計して段差Sを設けた後に、各平面部44k,mの傾斜角αk,m及び大きさを、同様の手法で、すなわち、スネルの法則を利用して各平面部44k,mに入射した光f1iが所望の出射角で出射面40bから出射されるように再調整するようにしてもよい。
【0067】
なお、段差Sを設けることにより、平面部44k,mの大きさが一部小さくなるが、光路制御部42kは、通常、光源31と光制御板40との間の距離Hに比べると微細な構造であるため、輝度角度分布に殆ど影響を与えない。このような段差Sを設けることにより、光路制御部42kは、平面部44k,mが連続して繋げられた多角形型レンズ部と、平面部44k,mと斜面45とを側面として有するプリズム部を少なくとも一つ有するプリズム領域部とから構成されていることになる。
【0068】
上記のように式(13)〜式(26)を利用して傾斜角αk,1〜αk,Mを規定すると共に、その大きさを規定することで、図10に示すように、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mに入射する光線f1iをそれぞれ出射面40bから式(15)で規定される出射角で出射させることができる。その結果、光路制御部42kに入射される光F1iを所定の角度範囲内に広げて出射することが可能となっている。また、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mの大きさ(立体角比)を式(16)〜式(26)を利用して規定しているため、光路制御部42kに入射された光F1iを所定の角度範囲内で均一な輝度角度分布を有する光として出射することが可能である。
【0069】
なお、光路制御部42kの一部に、図10に示しているように段差Sを設け斜面45を形成した場合、斜面45を形成することにより平面部44k,mの大きさが設計時の場合より小さくなることから、出射効率が減少する場合がある。そのため、出射効率が最大になるように、言い換えれば、斜面45の大きさがより小さくなるように、式(13)〜式(26)を利用して設計した第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mの一部を図11に示すように並べ変えてもよい。
【0070】
次に、第2の領域41Bが有する光路制御部43について説明する。図12は、第2の領域が有する光路制御部の一例の模式図である。図12では、光制御板40のうち光路制御部43を含む部分を一部拡大して示している。
【0071】
光路制御部43は、x軸方向に延びており断面形状が略三角形状である第1〜第Mのプリズム部461〜46Mを有している。図12に示すように、第1〜第Mのプリズム部461〜46Mは、下側に凸となっており、それらのプリズム頂部46a1〜46aMが同一平面上に位置するように形成されている。第1〜第Mのプリズム部461〜46Mのうちm番目のプリズム部46m(mは1以上M以下の整数)の構成について説明する。
【0072】
プリズム部46mは交差している2つの側面(傾斜面)46bm,46cmを有する。側面(傾斜面)46bm,46cmには、2つの光源31,32のうち側面46bm,46cmに近い方の光源からの光が入射される。
【0073】
プリズム部46mは、側面46bm側の光源31からの光線f1iを側面46bmで側面46cm側に屈折させ側面46cmで全反射させた後、出射面40bから出射角ξβmで出射せしめると共に、側面46bm側の光源32からの光線f2iを側面46cmで側面46bm側に屈折させ側面46bmで全反射させた後、出射面40bから出射角ξαmで出射せしめるように構成されている。なお、出射角ξαm,ξβmは図中右回り(時計回り)を正の方向とする。
【0074】
出射角ξαm,ξβmは、所定の角度範囲(−ξmax以上ξmax以下)の値であり、所定の角度範囲全体をカバーしていることが好ましく、更に、出射角ξα1〜ξαMは上記所定の角度範囲内から一定の間隔で選択された出射角がそれぞれ割り当てられていることが好ましく、出射角ξβ1〜ξβMも同様に、上記所定の角度範囲内から一定の間隔で選択された出射角がそれぞれ割り当てられていることが好ましい。
【0075】
プリズム部46mに入射した光の出射角ξαm,ξβmは、側面46bm,46cmの出射面40bに平行な平面に対する傾斜角αm,βmを規定することで規定され、この傾斜角αm,βmを規定することでプリズム部46mの形状が決められている。
【0076】
図13〜図15を利用して傾斜角αm,βmの規定方法の一例を説明する。
【0077】
図13は、傾斜角αm,βmの規定方法を説明するための光制御板モデルを示す図面である。図13に示している3次元座標系は、図3に示した3次元座標系と同様のものである。ここでは、図13に示すように、傾斜角αmは右回りの方向を正の方向とし、傾斜角βmは左回りの方向を正の方向とする。
【0078】
また、光源31,32からの光線f1i,f2iが全反射される位置は、プリズム部46mの傾斜面46bm,46cmの中点p1m,p2mであるとする。点p1mの座標を(z1m,y1m)とし、点p2mの座標を(z2m,y2m)とすると、点p1m,p2mは以下の式(27),(28)で表される。
【数27】
【数28】
図14及び図15は、プリズム部の2つの側面の傾斜角α,βの規定方法を説明するための図面である。図14及び図15では、プリズム部46mを模式的に示しており、説明のために、出射面40b及び光源31,32を示している。
【0079】
図14に示すように、側面46bmから入射された光線f1iを側面46cmで全反射させた後に、出射面40bから出射角ξβmで出射する場合、傾斜角αm,βmは、以下の式(29)及び式(30)を満たす。
【数29】
【数30】
式(30)中のθβmは光源31から出力され、図14に示すように側面46bmに入射される光線f1iのy軸方向とのなす角度であり、θβmは式(31)の関係を満たす。
【数31】
ただし、
【数32】
【数33】
である。
【0080】
式(32),式(33)で表されるΔHβm、Δzβmは、図14に示したように、光線f1iを点p2mの位置で全反射させることによる光線f1iのプリズム部46mへの入射位置とプリズム頂部46amの位置とのズレをz軸方向及びy軸方向に対して補正するための補正項である。
【0081】
また、式(30)中のηβmは、図14に示すように、側面46cmで全反射した光の出射面40bへの入射角であり、図14の入射方向において、ηβm≧0とする。
【0082】
また、図15に示すように、側面46cmから入射された光線f2iを側面46bmの点p1mの位置で全反射させた後に、出射面40bから出射角で出射させる場合、傾斜角αm,βmは、以下の式(34)及び式(35)を満たす。
【数34】
【数35】
式(35)中のθαmは光源32から出力され、図15に示すように側面46amに入射される光線f2iのy軸方向とのなす角度であり、θαmは式(36)の関係を満たす。
【数36】
ただし、
【数37】
【数38】
式(37),式(38)で表されるΔzαm、ΔHαmは、図15に示したように、光線f2iの向きを点p1mの位置で全反射させることによる光線f2iのプリズム部46mへの入射位置とプリズム頂部46amの位置とのズレをz軸方向及びy軸方向に対して補正するための補正項である。
【0083】
また、図12に示したように、光路制御部43が有するプリズム部46mによる光線f1i,f2iの光路の変更は図14と図15の場合の組み合わせで実現できることから、プリズム部46mに対する傾斜角αm及び傾斜角βmは、式(29)〜(33)及び式(34)〜(38)を同時に満たすように規定すればよい。
【0084】
このように傾斜角α1〜αM,β1〜βMで形状が規定されるプリズム部461〜46Mに光線f1i,f2iが入射することで、M=9の場合の図16に示すように、出射面40bから入射された光線f1i,f2iに対応した光線foが出射角ξα1〜ξαM,ξβ1〜ξβMで出射されることになる。よって、光路制御部43によって、入射される光F1,F2を所定の角度範囲内に広げて出射することが可能である。
【0085】
前述したように、図2に示した対応領域41において平面Pから光源32側の構成、すなわち、第2の領域41Bのうち平面Pの位置から第3の領域41Cまでの構成及び第3の領域41Cの構成は、第1の領域41Aと第2の領域41Bのうち第1の領域41Aから平面P迄の領域の構成を平面Pに対して反転させたものに対応する。よって、第1の領域41Aと第2の領域41Bのうち第1の領域41Aから平面P迄の構成を設計することで、光制御板40の裏面40aの構成を設計できることなる。なお、第1及び第2の領域41A,41Bの境界位置又は第2及び第3の領域41B,41Cの境界位置は、出射面40bから出射される光のローカルな輝度角度分布ができるかぎり滑らかに接続されるように決定することが好ましい。
【0086】
光制御板40を作製する場合には、先ず、式(1)〜式(12)、式(13)〜式(26)及び式(27)〜式(38)を利用して対応領域41に形成すべき光路制御部420,42k,43の構造を前述したようにして設計する。なお、光路制御部42kの構造を設計する際には、適宜段差Sを設ける。そして、表裏面が共に平坦な透明材料からなる板状体を用意し、その裏面の所定位置を例えば微細加工技術により切削加工することによって、上記のようにして設計した光路制御部420,42k,43を形成して光制御板40とすればよい。光路制御部420,42k,43を形成する際には、上記板状体の裏面が図3に示したxz平面に対応するように光路制御部420,42k,43を形成すればよい。これにより、光路制御部420,42kの両端及び光路制御部43のプリズム部461〜46Mのプリズム頂部46a1〜46aMが同一平面上に形成されることになる。
【0087】
上述した構成を有する光制御板40を用いた面光源装置50では、複数の光源30のうち隣接した2つの光源31,32から出力された光F1,F2は、光制御板40の裏面40a側から光制御板40に入射される。この光制御板40の裏面40aにおける各対応領域41の第1〜第3の領域41A〜41Cには光路制御部420,42k,43が形成されている。
【0088】
そして、第1の領域41Aに形成された光路制御部420,42kは、2つの光源31,32のうち第1の領域41Aに近い光源31から出力され光F1のうち光路制御部420,42kに入射される光を、出射面40bから所定の角度範囲内に広げて出射せしめる。また、第2の領域41Bに形成された光路制御部43は、2つの光源31,32から出力された光F1i,F2iのうち光路制御部43に入射される光を、出射面40bから所定の角度範囲内に広げて出射せしめる。更に、第3の領域41Cに形成された光路制御部420,42kは、2つの光源31,32のうち第3の領域41Cに近い光源32から出力され光F2iのうち光路制御部420,42kに入射される光を、出射面40bから所定の角度範囲内に広げて出射せしめる。
【0089】
よって、出射面40bにおいて各光路制御部420,42k,43を介して入射された光が出射される出射領域毎に所定の角度範囲内に広げられた光が出射されることになる。その結果、出射面40bから所定の角度範囲内に広げられた出射光Foが出射されることになる。
【0090】
また、光制御板40では、第1及び第3の領域41A,41Cに光路制御部420,42kを形成し、第1及び第3の領域41A,41Cに挟まれた第2の領域41Bに光路制御部43を形成している点も重要である。
【0091】
光制御板40の裏面40aにおける第1及び第3の領域41A,41Cには、前述したようにそれらに近い光源30からの光が主に入射される。この場合、y軸方向に対する入射光の傾きは小さいため、第1〜第Mの平面部440,1〜440,M,44k,1〜44k,Mへの光の入射時の屈折を利用することによって光を所定の角度範囲に広げて出射することが可能である。一方、第2の領域41Bに入射する光は、y軸方向に対する傾きが大きくなる傾向にある。そのため、例えば第1及び第3の領域41A,41Cのように平面部による一回の屈折で出射角を制御することは困難であるが、プリズム部461〜46M内での全反射を利用することでより確実に所定の角度範囲に光を広げることが可能となっている。従って、光制御板40のように第1及び第3の領域41A,41Cに光路制御部420,42kを形成し、第2の領域41Bに光路制御部43を形成することで、前述したように光制御板40に入射される光F1i,F2iを所定の角度範囲に広げて出射することが可能である。
【0092】
また、図1に示したように、面光源装置50からの光F0が透過型画像表示部10に入射するように構成された透過型画像表示装置1では、所定の角度範囲に広げられた光F0が透過型画像表示部10に入射されることになる。よって、所定の角度範囲に応じた視野角を確保することができる。
【0093】
また、複数の光源30からは種々の方向に光が出射されるが、上記光制御板40を利用することで、複数の光源30からの光を所定の角度範囲に集光できていることになる。その結果、光制御板40から出射される光F0の輝度を所定の角度範囲内でより高くすることが可能である。更に、光路制御部420,42kでは、所定の角度範囲内での輝度角度分布が一定になるように入射光の屈折方向を調整しているため、出射光F0において輝度角度分布も均一に成りやすい。よって、面光源装置50を透過型画像表示装置1に採用することで、画面ムラなどが低減されることになると共に、透過型画像表示装置1の大型化などへの対応も容易である。
【0094】
次に、光制御板40の設計例及びその設計例を利用したシミュレーション結果を実施例として説明する。
【0095】
図17は、光制御板を含むシミュレーションモデルの模式図である。シミュレーションモデルは、z軸方向に一定間隔Lで並んでいる複数の光源30と、光源30から距離Hだけ離して配置された光制御板40と、図1に示したライトボックスの内面35aに対応する光反射面35aとから構成される。光源30は半径1mmの棒状のものを仮定しており、隣接する光源30間の距離(中心間の距離)Lは30mmである。また、光源30と光制御板40との間の距離Hは20mmである。距離Hは光源30の中心と、光制御板40における光路制御部42,43が形成されていない場合の主面40aとの間の距離に対応し、具体的には、複数の光源30の中心を含む平面と複数のプリズム頂部46amを含む平面との間の距離である。また、光制御板40の厚さは2mmである。また、光制御板40は空気中に配置されおり、光制御板40の屈折率は1.57277である。更に、光反射面35aと光源30の中心との間の距離hは5mmである。
【0096】
本シミュレーションでは、光制御板40における光源30の直上位置(図中の原点位置)を中心としてz軸方向に対する幅W1の領域を一つのユニット(以下、光制御ユニットと称す)40Aとし、光制御板40は、各光源30に対応する光制御ユニット40Aがz軸方向に繋げられて構成されているものとした。光制御ユニット40Aは、光制御板40における隣接する対応領域41のz軸方向の中心位置を含み図17に示したxy平面に平行な平面P間の領域に対応する。本シミュレーションでは幅W1は30mmである。光制御ユニット40Aの裏面40aには、式(1)〜式(38)を利用して設計されたz軸方向の幅が1.0mmである光路制御部420,42k,43が形成されている。
【0097】
光制御ユニット40Aにおける光路制御部420,42k,43の設計において式(1)〜式(38)を利用する場合、Mの数は何れの光路制御部420,42k,43に対しても9とし、最大出射角ξmaxは20°とし、光路制御部420,42k,43のz軸方向の幅は何れも1.0mmとした。更に、前述した光制御板40の光源30に対する配置関係などから、H=20mm、ni=no=1,n=1.57277である。更にまた、式(1)〜式(26)を利用して光路制御部420,42kの構造を規定する際に使用する輝度I(ξ)は−ξmax≦ξ≦ξmaxにおいて1とした。なお、一つの光制御ユニット40Aは一つの光源30が対応することになるが、光制御ユニット40Aにおける裏面40aの構成を設計する際には、式(1)〜式(38)についての説明から理解されるように、当該設計対象の光制御ユニット40Aに隣接する光制御ユニット40Aに対応した光源30からの光も仮定して設計している。以下、光制御ユニット40Aにおける裏面40aの構成について具体的に説明する。
【0098】
図18は、光制御ユニットにおける―0.5≦z≦0.5の領域を示す図面であり、光路制御部420が示されている。この光路制御部420は式(1)〜式(12)を利用して設計されている。式(1)〜式(12)を利用して規定された傾斜角α0,1〜α0,9及びピッチ比L0,1〜L0,9は表1のとおりである。なお、光路制御部420の幅が1.0mmであるため、ピッチ比が各平面部のz軸方向の長さに対応する。そのため、表1では、ピッチ比L0,mの単位として(mm)を示している。
【表1】
【0099】
図19は、光制御ユニットにおける0.5≦z≦1.5の領域を示す図面であり、光路制御部421を示している。光路制御部421を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α1,1〜α1,9及び各平面部441,1〜441,9の端の位置座標を決定した。次いで、光路制御部421の両端のy軸方向の高さを一致させるため、平面部441,1〜平面部441,3間にそれぞれ段差Sを設けて図20に示す構造を得た。図19では、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図19に示した傾斜角α1,1〜α1,9及びw1〜w9は表2のとおりである。
【表2】
また、図19に示した、段差Sを構成している斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2は、それぞれ80.528°,83.661°である。
【0100】
図20は、光制御ユニットにおける1.5≦z≦2.5を示す図面であり、光路制御部422を示している。光路制御部422を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α2,1〜α2,9及び各平面部442,1〜442,9の端の位置座標を決定した。光路制御部422では、光路制御部422の両端のy軸方向の高さを一致させるために段差Sを設けており、段差Sを設けることにより、式(13)〜式(26)を利用して設計された平面部442,2と平面部442,3との並び換えを実施している。図20では、図19の場合と同様に、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図20に示した傾斜角α2,1〜α2,9及びw1〜w9は表3のとおりである。
【表3】
図20に示した、段差Sを構成する斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2,β3は、それぞれ83.661°,80.528°,86.823°である。
【0101】
図21は、光制御ユニットにおける2.5≦z≦3.5の領域を示す図面であり、光路制御部423を示している。光路制御部423を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α3,1〜α3,9及び各平面部443,1〜443,9の端の位置座標を決定した。光路制御部423では、光路制御部423の両端のy軸方向の高さを一致させるため、段差Sを設けている。また、光路制御部423では、式(13)〜式(26)を利用して規定された平面部443,2〜443,4の間で並び換えを実施している。更に、図21では、図19の場合と同様に、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図21に示した傾斜角α3,1〜α3,9及びw1〜w9は表4のとおりである。
【表4】
図21に示した、段差Sを構成する斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2,β3,β4は、それぞれ86.823°,80.528°,83.661°,90.000°である。
【0102】
図22は、光制御ユニットにおける3.5≦z≦4.5の領域を示す図であり、光路制御部424を示している。光路制御部424を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α4,1〜α4,9及び各平面部444,1〜444,9の端の位置座標を決定した。光路制御部424では、光路制御部424の両端のy軸方向の高さを一致させるため、段差Sを設けており、この段差Sを設けることにより、式(13)〜式(26)を利用して規定された平面部444,2〜444,5の間で並び換えを実施している。更に、図22では、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図22に示した傾斜角α4,1〜α4,9及びw1〜w9は表5のとおりである。
【表5】
図22に示した、段差Sを構成する斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2,β3,β4,β5は、それぞれ90.000°,80.528°,86.823°,83.661°,90.000°である。
【0103】
図23は、光制御ユニットにおける4.5≦z≦5.5の領域を示す図面であり、光路制御部425を示している。光路制御部425を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α5,1〜α5,9及び各平面部445,1〜445,9の端の位置座標を決定した。光路制御部425では、光路制御部425の両端のy軸方向の高さを一致させるため、段差Sを設けており、この段差Sを設けることにより、式(13)〜式(26)を利用して規定された平面部445,2〜445,6の間で並び換えを実施している。更に、図23では、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図23に示した傾斜角α5,1〜α5,9及びw1〜w9は表6のとおりである。
【表6】
図23に示した、段差Sを構成する斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2,β3,β4,β5,β6は、それぞれ90.000°,80.528°,90.000°,83.661°,86.823°,90.000°である。
【0104】
また、前述したように5.5≦z≦15の領域は、複数の光路制御部43を有する。本実施例では、各光路制御部43は、9個のプリズム部を有するものとして光制御ユニット40Aを設計している。この場合、光路制御部43において、ξαm、ξβmを表7のように割り当てた。
【表7】
上記条件で各光路制御部43が有するプリズム部の側面46bm,46cmの傾斜角αm,βmの計算結果を表8〜表17に示す。表8〜表17はそれぞれ1つの光路制御部43が有するプリズム部の側面46bm,46cmの傾斜角αm,βmを示している。
【0105】
なお、表8においてz=5.5の場合のαmを示しておらず、側面46cmの傾斜角βmのみ示しているのは、第1の領域41Aと第2の領域41Bとの境界に対応することによる。このz=5.5の場合の傾斜角βmは、次のようにして算出している。すなわち、z=5.5にプリズム頂部が位置するプリズム部を仮定する。そして、光源32からの光f2iが側面46cmにおいて一度屈折した後に、出射面40bから20°の出射角で出射されるように側面46cmの傾斜角βmを算出する。
【0106】
また、表17においてm=5〜9が示されていないことは、1つの光制御ユニット40Aにおいて、z=15の位置が図2及び図17に示した平面Pの位置、すなわち、対応領域41における中央位置に相当するからである。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
光制御ユニット40Aにおいて−0.5≦z≦−15.0の領域の構成は、0.5≦z≦15.0の領域の構成を図に示したxy平面に対して鏡面対称とした。
【0107】
次に、上記光制御ユニット40Aに対する輝度角度分布のシミュレーション結果について説明する。シミュレーションは、図17に示した2つの平面P間の領域に対して実施した。具体的には、z軸方向に対しては平面Pの位置において周期的境界条件を仮定し、x軸方向においても所定の領域(本実施例ではx軸方向に対して幅が112mmの領域)の両端で周期的境界条件を仮定してシミュレーションを実施した。シミュレーション手法としては光線追跡を採用した。
【0108】
図24は、輝度角度分布のシミュレーション結果を示す図面である。図24中の横軸は出射角を示しており、縦軸は輝度を示している。図24中では、光制御ユニット40Aにおけるシミュレーション結果としての輝度角度分布を実施例として実線で示している。また、図24中には、光制御板40の代わりに従来と同様の拡散板と頂角90°のプリズム部が複数形成されたプリズムシートを組み合わせた場合の輝度角度分布を比較例として破線で示している。比較例での照明方法及び境界条件は実施例と同様とした。
【0109】
図24に示しているように、本実施例の光制御板40では、−20°〜20°で高い輝度を実現できており、−20°〜20°の間に光を主に集光して出力できている。また、比較例に比べて出射角を制御できており、且つ、−20°〜20°の範囲での輝度角度分布をより均一にすることが可能となっている。
【0110】
なお、上記実施例で示した数値例などは光制御板40における一例であって、本発明は上記数値例に限定されない。
【0111】
以上、本発明の光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置の実施形態及び実施例を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されない。例えば、プリズム部46mの傾斜角αm,βmを決定する際には、補正項Δzαm、ΔHαm、Δzβm、ΔHβmを含んだ式を利用しているが、例えば、隣接する2つのプリズム部46m,46m+1間のピッチ幅(プリズム頂部46am,46am+1間の長さ)が、HとLに対して十分小さい場合、例えば1/10以下程度である場合には、上記補正項を使用しなくてもよい。
【0112】
また、これまでの説明では、対応領域41はその中央位置に対して対称の構成を有するとし、対応領域41の半分の構成を規定することで、残りの半分の構成の規定を省略できるとした。しかしながら、残りの半分の構成に対しても同様の方法で構成を改めて規定してもよい。
【0113】
更に、第4の領域41A1,41C1に位置する光路制御部420は、法線N方向に対して光が平行に入射することを仮定して、その構成を規定している。しかしながら、光路制御部42kの場合と同様の式を利用してその構成を決定してもよい。
【0114】
第1の光路制御部42、より具体的には、第1の光路制御部420,42kの構造を規定する際、第1の光路制御部420,42kに入射される光が所定の角度範囲内で輝度角度分布が一定になるように第1〜第Mの平面部440,1〜440,M,44k,1〜44k,Mの大きさを規定したが、所定の角度範囲内に光を広げて出射するためには、第1〜第Mの平面部440,1〜440,M,44k,1〜44k,Mの傾斜角が少なくとも規定されていればよい。そのため必ずしも第1〜第Mの平面部440,1〜440,M,44k,1〜44k,Mのピッチ比L0,1〜L0,Mや立体角比ωk,1〜k,Mを規定せずに光路制御部420,42kの構造を決定することもできる。このように第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mの立体角比ωk,1〜k,Mを規定しない場合には、段差Sを有しない光路制御部42kを設計することも可能である。
【0115】
また、光制御板40は、シミュレーション結果を説明する際に述べたように、一つの光源30に対応した一つの光制御ユニット40Aを複数作製し、複数の光制御ユニット40Aを並列させて一つの光制御板40とすることも可能である。すなわち、本発明は、複数の並列配置された光源30に対して離間して配置された光制御板であって、各光源30に対応する光制御ユニット40Aを有し、当該光制御ユニット40Aの裏面(主面)40aは、光源30の直上領域を含む第1の領域41Aと、第1の領域41Aの両側に設けられた第2の領域41Bとから構成されており、複数の光制御ユニット40Aが光源30の配列方向に配置されてなる光制御板に係るものとすることもできる。
【0116】
図25は、3つの光制御ユニット40Aから構成された光制御板の一例の模式図である。図25に示した光制御板100は、一方向に延在する光制御ユニット40Aを延在方向に略直交する方向に3つ繋げて構成されている。図25に示した光制御ユニット40Aの延在方向の長さW2は例えば90mmであり、光制御ユニット40Aの幅W1はシミュレーションの場合と同様に例えば30mmである。このように光制御ユニット40Aを一つ設計し、当該設計に基づいて光制御ユニット40Aを複数作製した後、それらを繋げて一つの光制御板100とする場合には、光路制御部42,43を一つの光制御ユニット40Aの略半分の領域に対して設計すればよいため、設計工程に要する時間の短縮を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】光制御板の一部を拡大した模式図である。
【図3】光路制御部を説明するための光制御板の模式図である。
【図4】光制御板における光源の直上領域の一部拡大図である。
【図5】光制御板における光源の直上領域の一部拡大図である。
【図6】光制御板のうち第1の領域の一部を含む部分の拡大図である。
【図7】第1の光路制御部における平面部の傾斜角及び大きさの規定方法の一例を説明するための図面である。
【図8】第1の光路制御部における平面部の傾斜角及び大きさの規定方法の一例を説明するための図面である。
【図9】第1の光路制御部の設計方法を説明するための図であり、段差を設ける前の第1の光路制御部の状態を示す図面である。
【図10】段差を設けた場合の第1の光路制御部の模式図である。
【図11】複数の平面部の一部を並び変えた場合の第1の光路制御部の模式図である。
【図12】第2の領域が有する第2の光路制御部の一例の模式図である。
【図13】プリズム部の2つの側面の傾斜角の規定方法を説明するための光制御板モデルを示す図面である。
【図14】プリズム部の2つの側面の傾斜角の規定方法を説明するための図面である。
【図15】プリズム部の2つの側面の傾斜角の規定方法を説明するための図面である。
【図16】第2の光路制御部の一例の模式図である。
【図17】シミュレーションのためのシミュレーションモデルの模式図である。
【図18】光制御ユニットにおける―0.5≦z≦0.5の領域を示す図面である。
【図19】光制御ユニットにおける0.5≦z≦1.5の領域を示す図面である。
【図20】光制御ユニットにおける1.5≦z≦2.5の領域を示す図面である。
【図21】光制御ユニットにおける2.5≦z≦3.5の領域を示す図面である。
【図22】光制御ユニットにおける3.5≦z≦4.5の領域を示す図面である。
【図23】光制御ユニットにおける4.5≦z≦5.5の領域を示す図面である。
【図24】輝度角度分布のシミュレーション結果を示す図面である。
【図25】光制御板の実施形態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0118】
1…透過型画像表示装置,2…光制御板、10…透過型画像表示部、30,31,32…光源,40…光制御板、40a…裏面(主面)、40b…出射面、41…対応領域、41A…第1の領域、41B…第2の領域、41C…第3の領域、41A1,41C1…第4の領域、41A2,41C2…第5の領域、50…面光源装置、42,420,42k・・・光路制御部(第1の光路制御部)、43…光路制御部(第2の光路制御部)、440,1〜440,M,44k,1〜44k,M…第1〜第Mの平面部、461〜46M…プリズム部、46b1〜46bM…プリズム部の側面、46c1〜46cM…プリズム部の側面、N…出射面の法線、F1i,F2i…光(第1の入射光,第2の入射光)、出射光…Fo、α0,1〜α0,M,αk,1〜αk,M…第1〜第Mの平面部の傾斜角、αm,βm…プリズム部の2つの側面の傾斜角。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、液晶表示部のバックライトを出力する光源として面光源装置が使用されている。このような面光源装置としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。この面光源装置は、ランプボックス内に相互に離間して配置された複数の光源の前方に光拡散板が配置されて構成されている。この光拡散板には、複数の光源側から光拡散板に入射する入射光を光拡散板の表面に対して略垂直方向に向けて出射させ得る形状を備えた偏向構造部が設けられている。その結果、複数の光源から出力された光は、光拡散板を通過することによって、光拡散板の表面に対して前方に導かれつつ拡散されて均一な輝度分布の平行光をバックライトとして出力することが可能となっている。
【特許文献1】特開2006―351519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記面光源装置では、前述したように、均一な輝度分布の平行光として出力することが可能であるが、この面光源装置の適用用途によっては、例えば画面ムラが生じる場合や適当な視野角を確保したい場合もあり、面光源装置からの出射光が所定の出射角度範囲内で広げられているものも求められている。
【0004】
そこで、本発明は、所定の角度範囲内に広げられた光を出射可能な光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光制御板は、互いに間隔を空けて配列された複数の光源に対して離間して配置される光制御板であって、複数の光源側に位置する主面と、主面に対向配置されると共に、主面から入射された複数の光源からの光が出射される平坦な出射面と、を有し、主面において、隣接する2つの前記光源間に対応する対応領域は、第1の入射光を出射面から所定の角度範囲内に広げて出射せしめる第1の光路制御部が複数の光源の配列方向に複数形成されている第1及び第3の領域と、第1及び第3の領域の間に配置されており、第2の入射光を出射面から所定の角度範囲内で出射せしめる第2の光路制御部が少なくとも一つ形成されている第2の領域と、を有し、第1の入射光は、隣接する2つの光源のうち第1の光路制御部に近い方の光源から出力された光であり、第2の入射光は、隣接する2つの光源からそれぞれ出力された光であり、第1の光路制御部は、一方向に延びており第1の入射光が入射される複数の平面部を含んで構成されており、第1の光路制御部は、複数の平面部への第1の入射光の入射時の屈折を利用して出射面から所定の角度範囲内に広げて出射せしめ、第2の光路制御部は、上記一方向に延びており断面形状が略三角形状であって第2の入射光が入射されるプリズム部を複数有し、第2の光路制御部は、複数のプリズム部へ入射した第2の入射光のプリズム部内での全反射を利用して第2の入射光を出射面から所定の出射角度範囲内で出射せしめることを特徴とする。
【0006】
上記構成では、主面における各対応領域内の第1〜第3の領域は、一つの対応領域内で上記配列方向に第1〜第3の領域の順に配置されている。そのため、第1の領域は、隣接する2つの光源のうちの一方の光源側に位置し、第3の領域は、隣接する2つの光源の他方の光源側に位置することになる。この場合、第1及び第3の領域には、隣接する2つの光源のうち第1及び第3の領域により近い方の光源からの光が入射されるため、第1の光路制御部には、隣接する2つの光源のうちその第1の光路制御部により近い方の光源からの光が第1の入射光として入射される。一方、第1及び第3の領域の間に位置している第2の領域には隣接する2つの光源からの光が何れも入射するため、第2の光路制御部には、隣接する2つの光源から出力される光が何れも第2の入射光として入射される。
【0007】
本発明に係る光制御板の構成では、光源のより近くに位置する第1及び第3の領域には第1の光路制御部が複数形成されている。この第1の光路制御部に第1の入射光が入射されると、第1の入射光は、第1の光路制御部が有する複数の平面部による屈折によって出射面から所定の角度範囲内に広げられて出射される。また、第1及び第3の領域の間に位置する第2の領域には第2の光路制御部が複数形成されている。そして、この第2の光路制御部に第2の入射光が入射されると、第2の入射光は、第2の光路制御部が有する複数のプリズム部内の全反射により出射面から所定の角度範囲内に広げられて出射される。このように第1及び第2の光路制御部へ入射される光毎に所定の角度範囲に広げて出射せしめるため、結果として、出射面から所定の角度範囲に広げられた光を出射させることが可能である。
【0008】
また、本発明に係る光制御板では、各平面部を介して入射された第1の入射光が所定の角度範囲内の出射角で出射面から出射される方向に第1の入射光を屈折させるように、複数の平面部の各々の出射面に対する傾斜角が規定されており、複数のプリズム部の各々は第1及び第2の側面を有し、第1及び第2の側面の出射面に対する傾斜角は、第1の側面が、第2の側面を介して入射された第2の入射光を、その第2の入射光が出射面から所定の角度範囲内の出射角で出射される方向に全反射させると共に、第2の側面が、第1の側面を介して入射された第2の入射光を、その第2の入射光が所定の角度範囲内の出射角で出射面から出射される方向に全反射させるように、規定されており、第1の側面を介して入射される第2の入射光は、隣接する2つの光源のうち第1の側面側の光源から出力された光であり、第2の側面を介して入射される第2の入射光は、隣接する2つの光源のうち第2の側面側の光源から出力された光であることが好ましい。
【0009】
第1の光路制御部が有する複数の平面部が上記のように出射面に対して傾斜しているため、第1の入射光の各平面部への入射時の屈折を利用して出射面から所定の角度範囲内の出射角で第1の入射光を出射させることができる。そして、各平面部の出射面への傾斜角で決まる第1の入射光の出射面からの出射角を所定の角度範囲内で適宜割り当てることで、第1の光路制御部へ入射した第1の入射光を所定の角度範囲に広げることが可能である。また、第2の光路制御部の各プリズム部が第1及び第2の側面を有しており、第1及び第2の側面の出射面に対する傾斜角が上記のように規定されていることで、第1及び第2の側面を介して入射される上記第2の入射光をプリズム部内の全反射を利用して出射面から所定の角度範囲内の出射角で出射させることができる。そして、第1の光路制御部の場合と同様に、第1及び第2の側面の傾斜角で決まる第2の入射光の出射面からの出射角を所定の角度範囲内で適宜割り当てることで、第2の光路制御部へ入射した第2の入射光を所定の角度範囲に広げることが可能である。
【0010】
この場合、複数の平面部各々を介して入射された第1の入射光の出射角は互いに異なっており、複数のプリズム部の各々が有する第1の側面で全反射された第2の入射光の出射角は、所定の角度範囲内から一定の角度間隔で選択される角度が割り当てられており、複数のプリズム部の各々が有する第2の側面で全反射された第2の入射光の出射角は、所定の角度範囲内で一定の角度間隔で選択される角度が割り当てられていることが好ましい。この場合、第1及び第2の光路制御部にそれぞれ入射される第1及び第2の入射光を所定の角度範囲により広げやすい。
【0011】
また、本発明に係る光制御板では、上記第2の領域は、第2の光路制御部を複数有することが好ましい。第2の領域が複数の第2の光路制御部を有することにより、より確実に光を所定の角度範囲に広げることが可能である。
【0012】
また、本発明に係る光制御板では、各第1の光路制御部が有する複数の平面部の各々の大きさは、複数の平面部を介して入射され出射面から所定の角度範囲内で出射される光の所定の角度範囲における輝度角度分布が略均一になるように規定されていることが好ましい。第1の光路制御部は、第2の領域に比べて光源により近い第1及び第3の領域に形成されている。そのため、光源から出力される光の輝度分布の影響を受けやい。よって、上記のように第1の光路制御部が有する平面部の大きさを規定して、第1の光路制御部に入射された第1の入射光を、所定の角度範囲内で輝度角度分布が略一定になるようにすることで、出射面から出射される光の輝度角度分布が略一定になる傾向にある。
【0013】
また、本発明に係る光制御板では、第1及び第3の領域の各々は、光源の直上に位置する4の領域と、第4の領域と第2の領域との間に位置する第5の領域とを有し、第4の領域には、複数の第1の光路制御部のうち少なくとも一つの第1の光路制御部が形成されており、第4の領域内の第1の光路制御部は断面形状が凹状であり、その第1の光路制御部が有する複数の平面部が連続に配置されて第1の光路制御部の表面が構成されており、第5の領域には複数の第1の光路制御部が形成されており、第5の領域内の各第1の光路制御部が有する複数の平面部のうち第2の領域又は第4の領域側に位置する隣接する平面部間には段差が形成されていることが好ましい。
【0014】
第4の領域に形成される第1の光路制御部には、第1の入射光として光源からの光が、出射面の法線に略平行に入射されやすい。そのため、断面形状が凹状の第1の光路制御部が形成できると共に、第1の光路制御部の表面を複数の平面部から構成することが可能である。一方、第5の領域では、第1の入射光は、上記法線方向に対して斜め方向に進行して第1の光路制御領域に入射されやすい。この場合、第4の領域の第1の光路制御部と同様の第1の光路制御部を作製しようとすると、平面部の傾斜角等の影響により第1の光路制御部の両端の位置が上記法線方向でずれる場合がある。そのため、上記のように第5の領域の第1の光路制御部において第2又は第4の領域側に段差を設けた場合、段差の大きさで第1の光路制御部の両端の位置の上記法線方向の位置を一致させることができる。その結果、光制御板を所望の厚さを維持しつつ形成することが可能である。
【0015】
また、本発明に係る面光源装置は、互いに間隔を空けて配列された複数の光源と、複数の光源に対して離間して配置されている上記本発明に係る光制御板と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この場合、複数の光源各々から出力された光は、光制御板をとおって光制御板の出射面から出射される。その際、複数の光源のうちの隣接する2つの光源からの光が、その2つの光源に対応する光制御板の対応領域に入射すると、前述したように出射面から所定の角度範囲に広げられて出射されるため、上記面光源装置では、所定の角度範囲に広がった出射光を得ることができる。
【0017】
更に、本発明に係る透過型画像表示装置は、上記本発明に係る面光源装置と、面光源装置における複数の光源の配列方向に略直交する方向において面光源装置から離間して配置される透過型画像表示部と、を備えるこことを特徴とする。
【0018】
この透過型画像表示装置では、上記面光源装置から出力される所定の角度範囲に広がった出射光が透過型表示部に入射することになる。その結果、例えば、平行光が透過型画像表示部に入射される場合よりもより広い視野角を確保することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る光制御板によれば、複数の光源から出射された光を、光制御板の出射面から所定の角度範囲に広げて出射することができる。また、本発明に係る面光源装置によれば、複数の光源から出射された光が光制御板に入射されると、光制御板の出射面から所定の角度範囲に広げられた光が出射される。よって、面光源装置からは、出射光として所定の角度範囲に広げられた光を出力することができる。更に、本発明に係る透過型画像表示装置によれば、面光源装置に所定の角度範囲に広げられた光が透過型画像表示部に入射するため、より広い視野角を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置の実施形態について説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率等は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0021】
図1は、本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。透過型画像表示装置1は、液晶表示装置であり、液晶セル11の上下両面に偏光板12,13が積層されてなる透過型画像表示部10の背面側(下側)に面光源装置50が設けられて構成されている。なお、本実施形態では、面光源装置50に対して透過型画像表示部10が配置されている側を「上」側又は「前」側とする。
【0022】
液晶セル11、偏光板12,13は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置で用いられているものを用いることができる。液晶セル11としては、TFT型、STN型等の公知の液晶セルが例示される。また、上下一対の偏光板12,13は、互いにその透過軸を直交させる状態に配置され、これらの偏光板12,13の透過軸は、液晶セル11における液晶分子の配向方向と平行になるように配置されている。
【0023】
面光源装置50は、光源部20と、光源部20の前面側、すなわち、透過型画像表示部10側に光源部20に対して離間して配置された光制御板40とを有する。面光源装置50は、光源部20から出力される光Fiを光制御板40により集光しバックライトとして透過型画像表示部10に対して供給する。
【0024】
光源部20は、光Fiを出力する複数の光源30を有し、複数の光源30は各光源30の中心軸線が同一面内に位置するように等しい間隔Lで配置されている。隣接する光源30,30間の中心軸線間の間隔Lは例えば15mm〜150mmである。各光源30は、複数の光源30の配列方向に直交する方向に延在している棒状のものであり、蛍光ランプ(冷陰極線管)のような直管状のものが例示される。ここでは、光源30は棒状としたが、LEDのような点光源などを用いることも可能である。
【0025】
複数の光源30は、図1に示すように、ランプボックス35内に配置されていることが好ましく、ランプボックス35の内面35aは、光反射面として形成されていることが好ましい。これにより、各光源30から出力された光Fiが透過型画像表示部10側に確実に出力することができる。
【0026】
光制御板40は、略直方体形状を有しており、複数の光源30の全てを覆っている。光制御板40は、光源部20から例えば5mm〜50mm離して配置されている。光制御板40の厚みは0.1mm〜15mmが例示されるが、好ましくは0.5mm〜10mm、より好ましくは1mm〜5mmである。
【0027】
光制御板40は、透明材料、例えば透明樹脂、透明ガラスからなる。透明樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体樹脂)、メタクリル樹脂、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが例示される。なお、光制御板40には、少量の拡散剤が含まれていても良い。また、表面において僅かな拡散は許容可能である。
【0028】
光制御板40は、光源部20側に位置する裏面(主面)40a側から入射される光Fiを、裏面40aに対向配置された平坦な出射面40bから出射面40bの法線N方向に対して所定の角度範囲内に広げて出射する。すなわち、出射面40bの法線N方向に対する出射角をξとし、最大出射角をξmaxとした場合、光制御板40は、入射される光Fiを、−ξmax≦ξ≦ξmax内で広げて出射面40bから光F0として出射する。ξmaxとしては、例えば20°である。
【0029】
光制御板40の裏面40aにおいて、隣接する2つの光源30,30間の上方に位置している領域であって、2つの光源30,30間に対応する対応領域41毎には、光Fiを所定の角度範囲内で出射するための微細構造が複数形成されている。この対応領域41の構成について説明する。
【0030】
図2は、光制御板の一部を拡大した模式図である。図2では、一つの対応領域41を含む光制御板40の部分を拡大して示しており、対応領域41に対応した隣接する2つの光源30,30も便宜的に示している。
【0031】
以下の説明では、図2中の2つの光源30,30のうち一方の光源30(図2では左側の光源)を光源31とも称し、他方の光源30を光源32とも称す。これに対応して、光源31及び光源32から出力される光Fiをそれぞれ光F1i及び光F2iとも称す。更に、光F1i,F2iを、便宜的に複数の光線f1i,f2iの集まりとして説明する場合もあり、同様に、光Foも光線foの集まりとして説明する場合もある。また、図2(a)に示すように、光源31,32が配列されている方向(図2(a)中の左右方向)をz軸方向とし、z軸方向に直交する方向であって光源31に対して光制御板40が位置する方向をy軸方向とし、z軸方向及びy軸方向に直交する方向をx軸方向とする。
【0032】
図2(a)に示すように、対応領域41は、第1〜第3の領域41A,41B,41Cから構成されている。第1及び第3の領域41A,41Cは光源31,32の直上の領域を含んでおり、第2の領域41Bの両側に位置する。本実施形態では、対応領域41の構成は、2つの光源31,32間の中央位置、すなわち、光源31から光源32側へL/2の位置での出射面40bに直交する仮想的な平面Pに対して折り返し対称(図2では左右対称)となっている。よって、対応領域41における光源31側の半分の領域、すなわち、第1の領域41Aと、第2の領域41Bにおける第1の領域41A側の半分の領域の構成を中心にして説明する。
【0033】
図2(a)〜(d)に示すように、第1の領域41A及び第2の領域41Bは、x軸方向(一方向)に延びている微細構造としての光路制御部(第1の光路制御部)42及び光路制御部(第2の光路制御部)43を複数有し、複数の光路制御部42は第1の領域41A内においてz軸方向に密に形成されており、複数の光路制御部43は第2の領域41B内においてz軸方向に密に形成されている。各光路制御部42の幅(z軸方向の長さ)及び各光路制御部43の幅は、50μm〜10mmが例示されるが、好ましくは50μm〜5mm、より好ましくは50μm〜2mmである。
【0034】
図2(b),(c)に示すように、光路制御部42は、出射面40bに略平行な平面に対して異なる角度で傾斜した複数の平面部を含んで構成されている。光路制御部42は、2つの光源31,32のうち近い方向の光源31から出力され光路制御部42に入射される第1の入射光としての光F1iを、出射面40bの法線N方向に対して−ξmax以上ξmax以下の角度範囲内に広げて出射面40bから出力するためのものである。
【0035】
複数の光路制御部42は、図2(b)に示すように、光源31の直上に形成されており光線f1iがほぼ出射面40bの法線N方向に平行に入射される光路制御部420と、光線f1iが上記法線N方向に対して傾斜して入射される光路制御部42k(kは1以上の整数)とに分けることができる。換言すれば、第1の領域41Aにおいて、光線f1iがほぼ出射面40bの法線N方向に平行に入射される光源31の直上の領域を第4の領域41A1とし、第1の領域41Aのうち第4の領域41A1と第2の領域41Bとの間の領域を第5の領域41A2としたとき、第4の領域41A1には光路制御部420が形成されており、第5の領域41A2には光路制御部42kが形成されていることになる。
【0036】
なお、図2(a),(b)では、第4の領域41A1には1つの光路制御部420が構成されているとしているが、第4の領域41A1の大きさや光制御板40と光源31との間の距離等に応じて、第4の領域41A1が複数の光路制御部420を有していても良い。
【0037】
光路制御部43は、図2(d)に示すように複数のプリズム部を含んで構成されている。光路制御部43は、2つの光源31,32から出力され光路制御部43に入射される第2の入射光としての光F1i,F2iを、各プリズム部内での全反射を利用して出射面40bの法線N方向に対して所定の角度範囲(−ξmax以上ξmax以下)内で出射面40bから出力せしめるためのものである。光路制御部43は、各プリズム部に入射される光F1i,光F2iが、プリズム部内で全反射させることによって、出射面40bから上記出射角度範囲内に広げられて出射されるようになっている。
【0038】
前述したように、対応領域41は平面Pに対して対称である。よって、第3の領域41Cは、第1の領域41Aの場合と同様に、複数の光路制御部42を含んで構成されており、これらの複数の光路制御部42は、光路制御部420と、光路制御部42kとから構成することができる。更に、第3の領域41Cは、第1の領域41Aにおける第4の領域41A1及び第5の領域41A2に対応した第4の領域41C1及び第5の領域41C2から構成することができ、この場合、第4の領域41C1には光路制御部420が形成されており、第5の領域41C2には光路制御部42kが形成されていることになる。第4の領域41C1が複数の光路制御部420を有してもよいのは、第1の領域41Aの場合と同様である。
【0039】
次に、図3〜図17を利用して光路制御部42(420,42k)及び光路制御部43の構成について詳述する。
【0040】
図3は、本実施形態の説明に便宜的に使用する3次元座標系と光制御板との位置関係を示している。図3では、光制御板40と光源31,32との3次元座標系における位置関係も示すために光源31,32も示している。以下の説明では、図3に示すように、微細構造が形成されていないと仮定した場合の裏面40aにおける光源31の直上の位置(すなわち、光源31の中心の直上位置)を原点Oとして、x軸、y軸及びz軸からなる3次元座標系を仮定する。なお、図3に示したx軸、y軸、z軸の延びている方向は図2に示したx軸方向、y軸方向及びz軸方向に対応している。また、x軸と光源31,32との間の距離、言い換えれば、光制御板40と光源31,32との間の距離はHとする。距離Hとしては、例えば、5mm〜50mmである。
【0041】
先ず、光路制御部420の構成について説明する。図4及び図5は光制御板における光源の直上領域の一部拡大図である。図5には、光路制御部420に入射する第1の入射光を構成する複数の光線f1iの光路の一例を模式的に示している。
【0042】
図4及び図5に示すように、光路制御部420はx軸方向に延びており断面形状が略凹状の微細構造である。光路制御部420の表面はM個(Mは2以上の整数)の第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mから構成されている。図4及び図5では、一例としてM=9の場合を示している。
【0043】
第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mはそれぞれx軸方向に延在しており連続的に設けられている。第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mのうちm番目の平面部を平面部440,m(mは1以上M以下の整数)とすると、平面部440,mは、出射面40bに平行な平面に対して平行であるか又は傾斜している。平面部440,mの出射面40bに対する傾斜角α0,mは、平面部440,mへの入射光が出射面40bから出射角ξ0,mで出射するように規定されている。この出射角ξ0,mは所定の角度範囲(−ξmax以上ξmax以下)内の任意の角度であればよいが、出射角ξ0,1〜ξ0,Mにより上記角度範囲全体をカバーしていることが好ましく、各出射角ξ0,1〜ξ0,Mには上記所定の角度範囲内において一定間隔で選択された出射角が割り当てられていることが更に好ましい。なお、出射角ξ0,mは、y軸方向に対して図中右回り方向(時計回り)を正の方向とする。
【0044】
また、第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mの大きさは、各出射角ξ0,1〜ξ0,M方向へ出射される各光線foの輝度であるI(ξ0,1)〜I(ξ0,M)が同一になるように規定されている。このような平面部440,mの大きさは、平面部0,mに入射する光線f1iの光制御板40に対する透過率及びその光線f1iに対応する光線foの出射角ξ0,mに基づいて、図4に示すピッチ比L0,mを規定することで定めることができる。
【0045】
各傾斜角α0,1〜α0,M及びピッチ比L0,1〜L0,Mの規定方法の一例について説明する。以下の説明では、光制御板40の屈折率をnとし、光制御板40の裏面40aに接している媒質(例えば、空気)の屈折率をniとし、光制御板40の出射面40bに接している媒質(例えば、空気)の屈折率をnoとする。すなわち、光制御板40を中間層として含む3層構造を仮定する。
【0046】
平面部440,mの傾斜角α0,mは、
【数1】
により規定することができる。ただし、
【数2】
【数3】
である。式(2)から理解されるように、η0,mは、平面部440,mへの入射により屈折した光線f1iの出射面40bへの入射角である(図5参照)。
【0047】
また、ピッチ比L0,mは、
【数4】
により規定することができる。ただし、
【数5】
である。
【0048】
式(5)中のT0,mは平面部440,mに入射した光線f1iの光制御板40に対する透過率であり、平面部440,mに入射した光線f1iのS偏光成分及びP偏光成分に対する光制御板40の透過率をTs0,m及びTp0,mとすると、次式で表される。
【数6】
ただし、
【数7】
【数8】
である。
【0049】
式(7),(8)中のt1s0,m,t1p0,mは、光線f1iの平面部440,mへの入射位置におけるS偏光成分及びP偏光成分の透過率であり、t2s0,m、t2p0,mは、出射面40bにおける光線foの出射位置におけるS偏光成分及びP偏光成分の透過率であり、以下の式(9)〜式(12)で表される。
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
式(1)〜式(12)を利用して傾斜角α0,1〜α0,M及びピッチ比L0,1〜L0,Mを規定し平面部440,1〜440,Mを設計することで、各平面部440,1〜440,Mを通して入射した光線f1iを出射面40bから式(3)で規定される出射角ξ0,1〜ξ0,Mで出射させることができる。従って、光路制御部420が第1〜第Mの平面部440,1〜440,Mを有することにより、光路制御部420は、入射される光F1iを所定の角度範囲内に広げて出射面40bから出射せしめることが可能である。また、ピッチ比L0,1〜L0,Mが式(4),(5)を利用して規定されているため、所定の角度範囲内での輝度角度分布を均一にすることが可能となっている。
【0050】
次に、光路制御部42kの構成について説明する。図6は、光制御部のうち第1の領域の一部を含む部分の拡大図である。図6では、光路制御部420からみてk番目の光路制御部42kを含む光制御板の構成を模式的に示している。本実施形態では、光路制御部42kは、M個の平面部、すなわち、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mを有する。図6では、一例としてM=9の場合を示している。
【0051】
第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mはそれぞれx軸方向に延在している。第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mのうちm番目の平面部を平面部44k,m(mは1以上M以下の整数)とすると、平面部44k,mは、出射面40bに平行な平面に対して平行であるか又は傾斜している。平面部44k,mの出射面40bに対する傾斜角αk,mは、平面部44k,mへの入射光が出射面40bから出射角ξk,mで出射するように規定されている。ここでも出射角ξk,mは図中右回り(時計回り)を正方向とする。この出射角ξk,mは所定の角度範囲(−ξmax以上ξmax以下)内の任意の角度であればよいが、出射角ξk,1〜ξk,Mにより上記角度範囲全体をカバーしていることが好ましく、各出射角ξk,1〜ξk,Mには上記所定の角度範囲内において一定間隔で選択された出射角が割り当てられていることが更に好ましい。
【0052】
また、平面部44k,mの大きさは、光源31からみた場合の平面部44k,mの立体角比で表すことができる。そして、この立体角比は、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mからそれぞれ入射された光線f1iに対応しており出射面40bから出射角ξk,1〜ξk,Mの方向へ出射された各光線foの輝度であるI(ξk,1)〜I(ξk,M)が同じとなるように、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mにそれぞれ入射する光線f1iの光制御板40に対する透過率及び出射角ξk,1〜ξk,Mを利用して規定することができる。
【0053】
第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mの傾斜角αk,1〜αk,M及び大きさの規定方法の一例を説明する。図7及び図8は、傾斜角αk,1〜αk,M及び大きさの規定方法の一例を説明するための光制御板モデルの一部拡大図である。
【0054】
平面部44k,mの傾斜角αk,mは、
【数13】
により規定することができる。式(13)中、θk,mは、平面部44k,mに入射する光線f1iのy軸方向に対する傾き角である。また、
【数14】
であり、更に、
【数15】
である。式(14)から理解されるように、βk,mは、平面部44k,mへの入射により屈折した光線f1iの出射面40bへの入射角である(図7参照)。
【0055】
また、光源31からみた平面部44k,mの立体角比ωk、mは、
【数16】
により規定することができる。
【0056】
式(16)中のTk,mは平面部44k,mに入射する光線f1iの光制御板40に対する透過率であり、平面部44k,mに入射する光線f1iにおけるS偏光成分及びP偏光成分の光制御板40に対する透過率をTsk,m及びTpk,mとすると、次式で表される。
【数17】
ただし、
【数18】
【数19】
である。
【0057】
式(18),(19)中のt1sk,m,t1pk,mは、光線f1iの平面部44k,mへの入射位置でのS偏光成分及びP偏光成分の透過率であり、t2sk,m、t2pk,mは、光線f1iの出射面40bにおける出射位置でのS偏光成分及びP偏光成分の透過率であり、以下の式(20)〜式(23)で表される。
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
平面部44k,mを設計する際には、式(13)〜式(15)及び式(16)〜式(23)を利用して算出される傾斜角αk,m、立体角比ωk,mを利用して平面部44k,mの両端の位置を決定していけばよい。この両端の位置の決定方法について説明する。
【0058】
図8に示すように、光路制御部42kの中央のz座標をZkとし、光路制御部42kの原点O側(すなわち、光源31の直上側)の端のz座標をzk,0とする。このときzk,0は、(Zk+Zk−1)/2と表される。そして、平面部44k,mの光源31側の端のz座標及びy座標をzk,m及びyk,mとすると、平面部44k,mの光源32側(z=L側)の端のz座標及びy座標であるzk,m+1及びyk,m+1は、
【数24】
【数25】
となる。
【0059】
式(24)及び式(25)中においてHは、光源31の中心と原点Oとの間の距離、すなわち光源31の中心から、光路制御部42k等の微細構造が形成されていないと仮定した場合の裏面40aまでの距離である。
【0060】
更に、式(25)中のηk,mは光源31の中心と平面部44k,mの原点O側の端とを結ぶ直線とz軸方向との為す角度である。
【0061】
また、Ωk、mは光源31からみた場合の平面部44k,mの立体角であり、
【数26】
と表される。
【0062】
式(26)中のYkは、k番目の光路制御部42kの原点O側の端、すなわち、z=zk,0に位置する端のy座標である。
【0063】
光路制御部42kを設計する際には、光路制御部42kにおけるm番目の平面部44k,mの傾斜角αk,m及び立体角比ωk,mを、式(13)〜式(26)に基づいてそれぞれ決定すればよい。
【0064】
ところで、このように決定した第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mを例えば光路制御部420の場合と同様に連続して配置すると、図9に示すように、光路制御部42kにおける両端42ak,42bkのy軸方向の位置がずれる場合がある。そのため、式(26)では、一般化してk番目の光路制御部42kの原点O側の端のy座標をYkとしている。このように両端42ak,42bkのy軸方向のずれが生じた光路制御部を複数繋げると各光路制御部の両端の段差が累積して光制御板が厚くなるため、扁平な板状を有する光制御板を作製することができない。
【0065】
そこで、図10に示すように、光路制御部42kの両端42ak,42bkのうちの一方の側(図10では左側)に、両端42ak,42bkのy座標が一致するように、隣接する2つの平面部(図10では、平面部44k,mと平面部44k,m+1)間に段差Sを設ける。図10では、平面部44k,1〜44k,5間の隣接する2つの平面部間にそれぞれ段差Sを設けている。このように段差Sを設けることで生じる斜面45は、段差Sを形成する2つの平面部のうちの一方で屈折された光の進行を斜面45が阻害しないように形成することが好ましい。図10に示した平面部44k,1と平面部44k,2の場合を例にして具体的に説明すると、平面部44k,1と平面部44k,2とを繋ぐ斜面45は、平面部44k,2で屈折された光線f1iの進行方向(屈折方向)と略平行になるように形成することが好ましい。これにより、段差Sによって光線f1iが更に屈折することが抑制され、式(15)で規定される所望の出射角で出射面40bから光線foを出射できる。ここでは、光路制御部42kの図10中の左側に段差Sを配置したが、段差Sは光路制御部42kの図10中の右側に配置してもよい。
【0066】
このように段差Sを設ける場合には、各光路制御部42kの設計において、各光路制御部42kの原点O側の端42akのy座標であるYkを予め0として平面部44k,mを設計することもできる。また、前述したように一度、端42akのy座標を一般的にYkとして設計して段差Sを設けた後に、各平面部44k,mの傾斜角αk,m及び大きさを、同様の手法で、すなわち、スネルの法則を利用して各平面部44k,mに入射した光f1iが所望の出射角で出射面40bから出射されるように再調整するようにしてもよい。
【0067】
なお、段差Sを設けることにより、平面部44k,mの大きさが一部小さくなるが、光路制御部42kは、通常、光源31と光制御板40との間の距離Hに比べると微細な構造であるため、輝度角度分布に殆ど影響を与えない。このような段差Sを設けることにより、光路制御部42kは、平面部44k,mが連続して繋げられた多角形型レンズ部と、平面部44k,mと斜面45とを側面として有するプリズム部を少なくとも一つ有するプリズム領域部とから構成されていることになる。
【0068】
上記のように式(13)〜式(26)を利用して傾斜角αk,1〜αk,Mを規定すると共に、その大きさを規定することで、図10に示すように、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mに入射する光線f1iをそれぞれ出射面40bから式(15)で規定される出射角で出射させることができる。その結果、光路制御部42kに入射される光F1iを所定の角度範囲内に広げて出射することが可能となっている。また、第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mの大きさ(立体角比)を式(16)〜式(26)を利用して規定しているため、光路制御部42kに入射された光F1iを所定の角度範囲内で均一な輝度角度分布を有する光として出射することが可能である。
【0069】
なお、光路制御部42kの一部に、図10に示しているように段差Sを設け斜面45を形成した場合、斜面45を形成することにより平面部44k,mの大きさが設計時の場合より小さくなることから、出射効率が減少する場合がある。そのため、出射効率が最大になるように、言い換えれば、斜面45の大きさがより小さくなるように、式(13)〜式(26)を利用して設計した第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mの一部を図11に示すように並べ変えてもよい。
【0070】
次に、第2の領域41Bが有する光路制御部43について説明する。図12は、第2の領域が有する光路制御部の一例の模式図である。図12では、光制御板40のうち光路制御部43を含む部分を一部拡大して示している。
【0071】
光路制御部43は、x軸方向に延びており断面形状が略三角形状である第1〜第Mのプリズム部461〜46Mを有している。図12に示すように、第1〜第Mのプリズム部461〜46Mは、下側に凸となっており、それらのプリズム頂部46a1〜46aMが同一平面上に位置するように形成されている。第1〜第Mのプリズム部461〜46Mのうちm番目のプリズム部46m(mは1以上M以下の整数)の構成について説明する。
【0072】
プリズム部46mは交差している2つの側面(傾斜面)46bm,46cmを有する。側面(傾斜面)46bm,46cmには、2つの光源31,32のうち側面46bm,46cmに近い方の光源からの光が入射される。
【0073】
プリズム部46mは、側面46bm側の光源31からの光線f1iを側面46bmで側面46cm側に屈折させ側面46cmで全反射させた後、出射面40bから出射角ξβmで出射せしめると共に、側面46bm側の光源32からの光線f2iを側面46cmで側面46bm側に屈折させ側面46bmで全反射させた後、出射面40bから出射角ξαmで出射せしめるように構成されている。なお、出射角ξαm,ξβmは図中右回り(時計回り)を正の方向とする。
【0074】
出射角ξαm,ξβmは、所定の角度範囲(−ξmax以上ξmax以下)の値であり、所定の角度範囲全体をカバーしていることが好ましく、更に、出射角ξα1〜ξαMは上記所定の角度範囲内から一定の間隔で選択された出射角がそれぞれ割り当てられていることが好ましく、出射角ξβ1〜ξβMも同様に、上記所定の角度範囲内から一定の間隔で選択された出射角がそれぞれ割り当てられていることが好ましい。
【0075】
プリズム部46mに入射した光の出射角ξαm,ξβmは、側面46bm,46cmの出射面40bに平行な平面に対する傾斜角αm,βmを規定することで規定され、この傾斜角αm,βmを規定することでプリズム部46mの形状が決められている。
【0076】
図13〜図15を利用して傾斜角αm,βmの規定方法の一例を説明する。
【0077】
図13は、傾斜角αm,βmの規定方法を説明するための光制御板モデルを示す図面である。図13に示している3次元座標系は、図3に示した3次元座標系と同様のものである。ここでは、図13に示すように、傾斜角αmは右回りの方向を正の方向とし、傾斜角βmは左回りの方向を正の方向とする。
【0078】
また、光源31,32からの光線f1i,f2iが全反射される位置は、プリズム部46mの傾斜面46bm,46cmの中点p1m,p2mであるとする。点p1mの座標を(z1m,y1m)とし、点p2mの座標を(z2m,y2m)とすると、点p1m,p2mは以下の式(27),(28)で表される。
【数27】
【数28】
図14及び図15は、プリズム部の2つの側面の傾斜角α,βの規定方法を説明するための図面である。図14及び図15では、プリズム部46mを模式的に示しており、説明のために、出射面40b及び光源31,32を示している。
【0079】
図14に示すように、側面46bmから入射された光線f1iを側面46cmで全反射させた後に、出射面40bから出射角ξβmで出射する場合、傾斜角αm,βmは、以下の式(29)及び式(30)を満たす。
【数29】
【数30】
式(30)中のθβmは光源31から出力され、図14に示すように側面46bmに入射される光線f1iのy軸方向とのなす角度であり、θβmは式(31)の関係を満たす。
【数31】
ただし、
【数32】
【数33】
である。
【0080】
式(32),式(33)で表されるΔHβm、Δzβmは、図14に示したように、光線f1iを点p2mの位置で全反射させることによる光線f1iのプリズム部46mへの入射位置とプリズム頂部46amの位置とのズレをz軸方向及びy軸方向に対して補正するための補正項である。
【0081】
また、式(30)中のηβmは、図14に示すように、側面46cmで全反射した光の出射面40bへの入射角であり、図14の入射方向において、ηβm≧0とする。
【0082】
また、図15に示すように、側面46cmから入射された光線f2iを側面46bmの点p1mの位置で全反射させた後に、出射面40bから出射角で出射させる場合、傾斜角αm,βmは、以下の式(34)及び式(35)を満たす。
【数34】
【数35】
式(35)中のθαmは光源32から出力され、図15に示すように側面46amに入射される光線f2iのy軸方向とのなす角度であり、θαmは式(36)の関係を満たす。
【数36】
ただし、
【数37】
【数38】
式(37),式(38)で表されるΔzαm、ΔHαmは、図15に示したように、光線f2iの向きを点p1mの位置で全反射させることによる光線f2iのプリズム部46mへの入射位置とプリズム頂部46amの位置とのズレをz軸方向及びy軸方向に対して補正するための補正項である。
【0083】
また、図12に示したように、光路制御部43が有するプリズム部46mによる光線f1i,f2iの光路の変更は図14と図15の場合の組み合わせで実現できることから、プリズム部46mに対する傾斜角αm及び傾斜角βmは、式(29)〜(33)及び式(34)〜(38)を同時に満たすように規定すればよい。
【0084】
このように傾斜角α1〜αM,β1〜βMで形状が規定されるプリズム部461〜46Mに光線f1i,f2iが入射することで、M=9の場合の図16に示すように、出射面40bから入射された光線f1i,f2iに対応した光線foが出射角ξα1〜ξαM,ξβ1〜ξβMで出射されることになる。よって、光路制御部43によって、入射される光F1,F2を所定の角度範囲内に広げて出射することが可能である。
【0085】
前述したように、図2に示した対応領域41において平面Pから光源32側の構成、すなわち、第2の領域41Bのうち平面Pの位置から第3の領域41Cまでの構成及び第3の領域41Cの構成は、第1の領域41Aと第2の領域41Bのうち第1の領域41Aから平面P迄の領域の構成を平面Pに対して反転させたものに対応する。よって、第1の領域41Aと第2の領域41Bのうち第1の領域41Aから平面P迄の構成を設計することで、光制御板40の裏面40aの構成を設計できることなる。なお、第1及び第2の領域41A,41Bの境界位置又は第2及び第3の領域41B,41Cの境界位置は、出射面40bから出射される光のローカルな輝度角度分布ができるかぎり滑らかに接続されるように決定することが好ましい。
【0086】
光制御板40を作製する場合には、先ず、式(1)〜式(12)、式(13)〜式(26)及び式(27)〜式(38)を利用して対応領域41に形成すべき光路制御部420,42k,43の構造を前述したようにして設計する。なお、光路制御部42kの構造を設計する際には、適宜段差Sを設ける。そして、表裏面が共に平坦な透明材料からなる板状体を用意し、その裏面の所定位置を例えば微細加工技術により切削加工することによって、上記のようにして設計した光路制御部420,42k,43を形成して光制御板40とすればよい。光路制御部420,42k,43を形成する際には、上記板状体の裏面が図3に示したxz平面に対応するように光路制御部420,42k,43を形成すればよい。これにより、光路制御部420,42kの両端及び光路制御部43のプリズム部461〜46Mのプリズム頂部46a1〜46aMが同一平面上に形成されることになる。
【0087】
上述した構成を有する光制御板40を用いた面光源装置50では、複数の光源30のうち隣接した2つの光源31,32から出力された光F1,F2は、光制御板40の裏面40a側から光制御板40に入射される。この光制御板40の裏面40aにおける各対応領域41の第1〜第3の領域41A〜41Cには光路制御部420,42k,43が形成されている。
【0088】
そして、第1の領域41Aに形成された光路制御部420,42kは、2つの光源31,32のうち第1の領域41Aに近い光源31から出力され光F1のうち光路制御部420,42kに入射される光を、出射面40bから所定の角度範囲内に広げて出射せしめる。また、第2の領域41Bに形成された光路制御部43は、2つの光源31,32から出力された光F1i,F2iのうち光路制御部43に入射される光を、出射面40bから所定の角度範囲内に広げて出射せしめる。更に、第3の領域41Cに形成された光路制御部420,42kは、2つの光源31,32のうち第3の領域41Cに近い光源32から出力され光F2iのうち光路制御部420,42kに入射される光を、出射面40bから所定の角度範囲内に広げて出射せしめる。
【0089】
よって、出射面40bにおいて各光路制御部420,42k,43を介して入射された光が出射される出射領域毎に所定の角度範囲内に広げられた光が出射されることになる。その結果、出射面40bから所定の角度範囲内に広げられた出射光Foが出射されることになる。
【0090】
また、光制御板40では、第1及び第3の領域41A,41Cに光路制御部420,42kを形成し、第1及び第3の領域41A,41Cに挟まれた第2の領域41Bに光路制御部43を形成している点も重要である。
【0091】
光制御板40の裏面40aにおける第1及び第3の領域41A,41Cには、前述したようにそれらに近い光源30からの光が主に入射される。この場合、y軸方向に対する入射光の傾きは小さいため、第1〜第Mの平面部440,1〜440,M,44k,1〜44k,Mへの光の入射時の屈折を利用することによって光を所定の角度範囲に広げて出射することが可能である。一方、第2の領域41Bに入射する光は、y軸方向に対する傾きが大きくなる傾向にある。そのため、例えば第1及び第3の領域41A,41Cのように平面部による一回の屈折で出射角を制御することは困難であるが、プリズム部461〜46M内での全反射を利用することでより確実に所定の角度範囲に光を広げることが可能となっている。従って、光制御板40のように第1及び第3の領域41A,41Cに光路制御部420,42kを形成し、第2の領域41Bに光路制御部43を形成することで、前述したように光制御板40に入射される光F1i,F2iを所定の角度範囲に広げて出射することが可能である。
【0092】
また、図1に示したように、面光源装置50からの光F0が透過型画像表示部10に入射するように構成された透過型画像表示装置1では、所定の角度範囲に広げられた光F0が透過型画像表示部10に入射されることになる。よって、所定の角度範囲に応じた視野角を確保することができる。
【0093】
また、複数の光源30からは種々の方向に光が出射されるが、上記光制御板40を利用することで、複数の光源30からの光を所定の角度範囲に集光できていることになる。その結果、光制御板40から出射される光F0の輝度を所定の角度範囲内でより高くすることが可能である。更に、光路制御部420,42kでは、所定の角度範囲内での輝度角度分布が一定になるように入射光の屈折方向を調整しているため、出射光F0において輝度角度分布も均一に成りやすい。よって、面光源装置50を透過型画像表示装置1に採用することで、画面ムラなどが低減されることになると共に、透過型画像表示装置1の大型化などへの対応も容易である。
【0094】
次に、光制御板40の設計例及びその設計例を利用したシミュレーション結果を実施例として説明する。
【0095】
図17は、光制御板を含むシミュレーションモデルの模式図である。シミュレーションモデルは、z軸方向に一定間隔Lで並んでいる複数の光源30と、光源30から距離Hだけ離して配置された光制御板40と、図1に示したライトボックスの内面35aに対応する光反射面35aとから構成される。光源30は半径1mmの棒状のものを仮定しており、隣接する光源30間の距離(中心間の距離)Lは30mmである。また、光源30と光制御板40との間の距離Hは20mmである。距離Hは光源30の中心と、光制御板40における光路制御部42,43が形成されていない場合の主面40aとの間の距離に対応し、具体的には、複数の光源30の中心を含む平面と複数のプリズム頂部46amを含む平面との間の距離である。また、光制御板40の厚さは2mmである。また、光制御板40は空気中に配置されおり、光制御板40の屈折率は1.57277である。更に、光反射面35aと光源30の中心との間の距離hは5mmである。
【0096】
本シミュレーションでは、光制御板40における光源30の直上位置(図中の原点位置)を中心としてz軸方向に対する幅W1の領域を一つのユニット(以下、光制御ユニットと称す)40Aとし、光制御板40は、各光源30に対応する光制御ユニット40Aがz軸方向に繋げられて構成されているものとした。光制御ユニット40Aは、光制御板40における隣接する対応領域41のz軸方向の中心位置を含み図17に示したxy平面に平行な平面P間の領域に対応する。本シミュレーションでは幅W1は30mmである。光制御ユニット40Aの裏面40aには、式(1)〜式(38)を利用して設計されたz軸方向の幅が1.0mmである光路制御部420,42k,43が形成されている。
【0097】
光制御ユニット40Aにおける光路制御部420,42k,43の設計において式(1)〜式(38)を利用する場合、Mの数は何れの光路制御部420,42k,43に対しても9とし、最大出射角ξmaxは20°とし、光路制御部420,42k,43のz軸方向の幅は何れも1.0mmとした。更に、前述した光制御板40の光源30に対する配置関係などから、H=20mm、ni=no=1,n=1.57277である。更にまた、式(1)〜式(26)を利用して光路制御部420,42kの構造を規定する際に使用する輝度I(ξ)は−ξmax≦ξ≦ξmaxにおいて1とした。なお、一つの光制御ユニット40Aは一つの光源30が対応することになるが、光制御ユニット40Aにおける裏面40aの構成を設計する際には、式(1)〜式(38)についての説明から理解されるように、当該設計対象の光制御ユニット40Aに隣接する光制御ユニット40Aに対応した光源30からの光も仮定して設計している。以下、光制御ユニット40Aにおける裏面40aの構成について具体的に説明する。
【0098】
図18は、光制御ユニットにおける―0.5≦z≦0.5の領域を示す図面であり、光路制御部420が示されている。この光路制御部420は式(1)〜式(12)を利用して設計されている。式(1)〜式(12)を利用して規定された傾斜角α0,1〜α0,9及びピッチ比L0,1〜L0,9は表1のとおりである。なお、光路制御部420の幅が1.0mmであるため、ピッチ比が各平面部のz軸方向の長さに対応する。そのため、表1では、ピッチ比L0,mの単位として(mm)を示している。
【表1】
【0099】
図19は、光制御ユニットにおける0.5≦z≦1.5の領域を示す図面であり、光路制御部421を示している。光路制御部421を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α1,1〜α1,9及び各平面部441,1〜441,9の端の位置座標を決定した。次いで、光路制御部421の両端のy軸方向の高さを一致させるため、平面部441,1〜平面部441,3間にそれぞれ段差Sを設けて図20に示す構造を得た。図19では、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図19に示した傾斜角α1,1〜α1,9及びw1〜w9は表2のとおりである。
【表2】
また、図19に示した、段差Sを構成している斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2は、それぞれ80.528°,83.661°である。
【0100】
図20は、光制御ユニットにおける1.5≦z≦2.5を示す図面であり、光路制御部422を示している。光路制御部422を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α2,1〜α2,9及び各平面部442,1〜442,9の端の位置座標を決定した。光路制御部422では、光路制御部422の両端のy軸方向の高さを一致させるために段差Sを設けており、段差Sを設けることにより、式(13)〜式(26)を利用して設計された平面部442,2と平面部442,3との並び換えを実施している。図20では、図19の場合と同様に、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図20に示した傾斜角α2,1〜α2,9及びw1〜w9は表3のとおりである。
【表3】
図20に示した、段差Sを構成する斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2,β3は、それぞれ83.661°,80.528°,86.823°である。
【0101】
図21は、光制御ユニットにおける2.5≦z≦3.5の領域を示す図面であり、光路制御部423を示している。光路制御部423を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α3,1〜α3,9及び各平面部443,1〜443,9の端の位置座標を決定した。光路制御部423では、光路制御部423の両端のy軸方向の高さを一致させるため、段差Sを設けている。また、光路制御部423では、式(13)〜式(26)を利用して規定された平面部443,2〜443,4の間で並び換えを実施している。更に、図21では、図19の場合と同様に、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図21に示した傾斜角α3,1〜α3,9及びw1〜w9は表4のとおりである。
【表4】
図21に示した、段差Sを構成する斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2,β3,β4は、それぞれ86.823°,80.528°,83.661°,90.000°である。
【0102】
図22は、光制御ユニットにおける3.5≦z≦4.5の領域を示す図であり、光路制御部424を示している。光路制御部424を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α4,1〜α4,9及び各平面部444,1〜444,9の端の位置座標を決定した。光路制御部424では、光路制御部424の両端のy軸方向の高さを一致させるため、段差Sを設けており、この段差Sを設けることにより、式(13)〜式(26)を利用して規定された平面部444,2〜444,5の間で並び換えを実施している。更に、図22では、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図22に示した傾斜角α4,1〜α4,9及びw1〜w9は表5のとおりである。
【表5】
図22に示した、段差Sを構成する斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2,β3,β4,β5は、それぞれ90.000°,80.528°,86.823°,83.661°,90.000°である。
【0103】
図23は、光制御ユニットにおける4.5≦z≦5.5の領域を示す図面であり、光路制御部425を示している。光路制御部425を設計する際には、先ず、式(13)〜式(26)を利用して傾斜角α5,1〜α5,9及び各平面部445,1〜445,9の端の位置座標を決定した。光路制御部425では、光路制御部425の両端のy軸方向の高さを一致させるため、段差Sを設けており、この段差Sを設けることにより、式(13)〜式(26)を利用して規定された平面部445,2〜445,6の間で並び換えを実施している。更に、図23では、隣接する平面部間において、原点O側の端の間の距離をw1〜w9として示している。図23に示した傾斜角α5,1〜α5,9及びw1〜w9は表6のとおりである。
【表6】
図23に示した、段差Sを構成する斜面の出射面40bに平行な平面に対する傾斜角であるβ1,β2,β3,β4,β5,β6は、それぞれ90.000°,80.528°,90.000°,83.661°,86.823°,90.000°である。
【0104】
また、前述したように5.5≦z≦15の領域は、複数の光路制御部43を有する。本実施例では、各光路制御部43は、9個のプリズム部を有するものとして光制御ユニット40Aを設計している。この場合、光路制御部43において、ξαm、ξβmを表7のように割り当てた。
【表7】
上記条件で各光路制御部43が有するプリズム部の側面46bm,46cmの傾斜角αm,βmの計算結果を表8〜表17に示す。表8〜表17はそれぞれ1つの光路制御部43が有するプリズム部の側面46bm,46cmの傾斜角αm,βmを示している。
【0105】
なお、表8においてz=5.5の場合のαmを示しておらず、側面46cmの傾斜角βmのみ示しているのは、第1の領域41Aと第2の領域41Bとの境界に対応することによる。このz=5.5の場合の傾斜角βmは、次のようにして算出している。すなわち、z=5.5にプリズム頂部が位置するプリズム部を仮定する。そして、光源32からの光f2iが側面46cmにおいて一度屈折した後に、出射面40bから20°の出射角で出射されるように側面46cmの傾斜角βmを算出する。
【0106】
また、表17においてm=5〜9が示されていないことは、1つの光制御ユニット40Aにおいて、z=15の位置が図2及び図17に示した平面Pの位置、すなわち、対応領域41における中央位置に相当するからである。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
光制御ユニット40Aにおいて−0.5≦z≦−15.0の領域の構成は、0.5≦z≦15.0の領域の構成を図に示したxy平面に対して鏡面対称とした。
【0107】
次に、上記光制御ユニット40Aに対する輝度角度分布のシミュレーション結果について説明する。シミュレーションは、図17に示した2つの平面P間の領域に対して実施した。具体的には、z軸方向に対しては平面Pの位置において周期的境界条件を仮定し、x軸方向においても所定の領域(本実施例ではx軸方向に対して幅が112mmの領域)の両端で周期的境界条件を仮定してシミュレーションを実施した。シミュレーション手法としては光線追跡を採用した。
【0108】
図24は、輝度角度分布のシミュレーション結果を示す図面である。図24中の横軸は出射角を示しており、縦軸は輝度を示している。図24中では、光制御ユニット40Aにおけるシミュレーション結果としての輝度角度分布を実施例として実線で示している。また、図24中には、光制御板40の代わりに従来と同様の拡散板と頂角90°のプリズム部が複数形成されたプリズムシートを組み合わせた場合の輝度角度分布を比較例として破線で示している。比較例での照明方法及び境界条件は実施例と同様とした。
【0109】
図24に示しているように、本実施例の光制御板40では、−20°〜20°で高い輝度を実現できており、−20°〜20°の間に光を主に集光して出力できている。また、比較例に比べて出射角を制御できており、且つ、−20°〜20°の範囲での輝度角度分布をより均一にすることが可能となっている。
【0110】
なお、上記実施例で示した数値例などは光制御板40における一例であって、本発明は上記数値例に限定されない。
【0111】
以上、本発明の光制御板、面光源装置及び透過型画像表示装置の実施形態及び実施例を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されない。例えば、プリズム部46mの傾斜角αm,βmを決定する際には、補正項Δzαm、ΔHαm、Δzβm、ΔHβmを含んだ式を利用しているが、例えば、隣接する2つのプリズム部46m,46m+1間のピッチ幅(プリズム頂部46am,46am+1間の長さ)が、HとLに対して十分小さい場合、例えば1/10以下程度である場合には、上記補正項を使用しなくてもよい。
【0112】
また、これまでの説明では、対応領域41はその中央位置に対して対称の構成を有するとし、対応領域41の半分の構成を規定することで、残りの半分の構成の規定を省略できるとした。しかしながら、残りの半分の構成に対しても同様の方法で構成を改めて規定してもよい。
【0113】
更に、第4の領域41A1,41C1に位置する光路制御部420は、法線N方向に対して光が平行に入射することを仮定して、その構成を規定している。しかしながら、光路制御部42kの場合と同様の式を利用してその構成を決定してもよい。
【0114】
第1の光路制御部42、より具体的には、第1の光路制御部420,42kの構造を規定する際、第1の光路制御部420,42kに入射される光が所定の角度範囲内で輝度角度分布が一定になるように第1〜第Mの平面部440,1〜440,M,44k,1〜44k,Mの大きさを規定したが、所定の角度範囲内に光を広げて出射するためには、第1〜第Mの平面部440,1〜440,M,44k,1〜44k,Mの傾斜角が少なくとも規定されていればよい。そのため必ずしも第1〜第Mの平面部440,1〜440,M,44k,1〜44k,Mのピッチ比L0,1〜L0,Mや立体角比ωk,1〜k,Mを規定せずに光路制御部420,42kの構造を決定することもできる。このように第1〜第Mの平面部44k,1〜44k,Mの立体角比ωk,1〜k,Mを規定しない場合には、段差Sを有しない光路制御部42kを設計することも可能である。
【0115】
また、光制御板40は、シミュレーション結果を説明する際に述べたように、一つの光源30に対応した一つの光制御ユニット40Aを複数作製し、複数の光制御ユニット40Aを並列させて一つの光制御板40とすることも可能である。すなわち、本発明は、複数の並列配置された光源30に対して離間して配置された光制御板であって、各光源30に対応する光制御ユニット40Aを有し、当該光制御ユニット40Aの裏面(主面)40aは、光源30の直上領域を含む第1の領域41Aと、第1の領域41Aの両側に設けられた第2の領域41Bとから構成されており、複数の光制御ユニット40Aが光源30の配列方向に配置されてなる光制御板に係るものとすることもできる。
【0116】
図25は、3つの光制御ユニット40Aから構成された光制御板の一例の模式図である。図25に示した光制御板100は、一方向に延在する光制御ユニット40Aを延在方向に略直交する方向に3つ繋げて構成されている。図25に示した光制御ユニット40Aの延在方向の長さW2は例えば90mmであり、光制御ユニット40Aの幅W1はシミュレーションの場合と同様に例えば30mmである。このように光制御ユニット40Aを一つ設計し、当該設計に基づいて光制御ユニット40Aを複数作製した後、それらを繋げて一つの光制御板100とする場合には、光路制御部42,43を一つの光制御ユニット40Aの略半分の領域に対して設計すればよいため、設計工程に要する時間の短縮を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】光制御板の一部を拡大した模式図である。
【図3】光路制御部を説明するための光制御板の模式図である。
【図4】光制御板における光源の直上領域の一部拡大図である。
【図5】光制御板における光源の直上領域の一部拡大図である。
【図6】光制御板のうち第1の領域の一部を含む部分の拡大図である。
【図7】第1の光路制御部における平面部の傾斜角及び大きさの規定方法の一例を説明するための図面である。
【図8】第1の光路制御部における平面部の傾斜角及び大きさの規定方法の一例を説明するための図面である。
【図9】第1の光路制御部の設計方法を説明するための図であり、段差を設ける前の第1の光路制御部の状態を示す図面である。
【図10】段差を設けた場合の第1の光路制御部の模式図である。
【図11】複数の平面部の一部を並び変えた場合の第1の光路制御部の模式図である。
【図12】第2の領域が有する第2の光路制御部の一例の模式図である。
【図13】プリズム部の2つの側面の傾斜角の規定方法を説明するための光制御板モデルを示す図面である。
【図14】プリズム部の2つの側面の傾斜角の規定方法を説明するための図面である。
【図15】プリズム部の2つの側面の傾斜角の規定方法を説明するための図面である。
【図16】第2の光路制御部の一例の模式図である。
【図17】シミュレーションのためのシミュレーションモデルの模式図である。
【図18】光制御ユニットにおける―0.5≦z≦0.5の領域を示す図面である。
【図19】光制御ユニットにおける0.5≦z≦1.5の領域を示す図面である。
【図20】光制御ユニットにおける1.5≦z≦2.5の領域を示す図面である。
【図21】光制御ユニットにおける2.5≦z≦3.5の領域を示す図面である。
【図22】光制御ユニットにおける3.5≦z≦4.5の領域を示す図面である。
【図23】光制御ユニットにおける4.5≦z≦5.5の領域を示す図面である。
【図24】輝度角度分布のシミュレーション結果を示す図面である。
【図25】光制御板の実施形態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0118】
1…透過型画像表示装置,2…光制御板、10…透過型画像表示部、30,31,32…光源,40…光制御板、40a…裏面(主面)、40b…出射面、41…対応領域、41A…第1の領域、41B…第2の領域、41C…第3の領域、41A1,41C1…第4の領域、41A2,41C2…第5の領域、50…面光源装置、42,420,42k・・・光路制御部(第1の光路制御部)、43…光路制御部(第2の光路制御部)、440,1〜440,M,44k,1〜44k,M…第1〜第Mの平面部、461〜46M…プリズム部、46b1〜46bM…プリズム部の側面、46c1〜46cM…プリズム部の側面、N…出射面の法線、F1i,F2i…光(第1の入射光,第2の入射光)、出射光…Fo、α0,1〜α0,M,αk,1〜αk,M…第1〜第Mの平面部の傾斜角、αm,βm…プリズム部の2つの側面の傾斜角。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を空けて配列された複数の光源に対して離間して配置される光制御板であって、
前記複数の光源側に位置する主面と、
前記主面に対向配置されると共に、前記主面から入射された前記複数の光源からの光が出射される平坦な出射面と、
を有し、
前記主面において、隣接する2つの前記光源間に対応する対応領域は、
第1の入射光を前記出射面から前記出射面の法線方向を基準にした所定の角度範囲内に広げて出射せしめる第1の光路制御部が複数の前記光源の配列方向に複数形成されている第1及び第3の領域と、
前記第1及び第3の領域の間に配置されており、第2の入射光を前記出射面から前記所定の角度範囲内で出射せしめる第2の光路制御部が少なくとも一つ形成されている第2の領域と、
を有し、
前記第1の入射光は、隣接する2つの前記光源のうち前記第1の光路制御部に近い方の光源から出力された光であり、
前記第2の入射光は、隣接する2つの前記光源からそれぞれ出力された光であり、
前記第1の光路制御部は、一方向に延びており前記第1の入射光が入射される複数の平面部を含んで構成されており、
前記第1の光路制御部は、複数の前記平面部への前記第1の入射光の入射時の屈折を利用して前記出射面から前記所定の角度範囲内に広げて出射せしめ、
前記第2の光路制御部は、前記一方向に延びており断面形状が略三角形状であって前記第2の入射光が入射されるプリズム部を複数有し、
前記第2の光路制御部は、複数の前記プリズム部へ入射した前記第2の入射光の前記プリズム部内での全反射を利用して前記第2の入射光を前記出射面から前記所定の角度範囲内で出射せしめることを特徴とする光制御板。
【請求項2】
各前記平面部を介して入射された前記第1の入射光が前記所定の角度範囲内の出射角で前記出射面から出射される方向に前記第1の入射光を屈折させるように、複数の前記平面部の各々の前記出射面に対する傾斜角が規定されており、
複数の前記プリズム部の各々は第1及び第2の側面を有し、
前記第1及び第2の側面の前記出射面に対する傾斜角は、
前記第1の側面が、前記第2の側面を介して入射された前記第2の入射光を、当該第2の入射光が前記出射面から前記所定の角度範囲内の出射角で出射される方向に全反射させると共に、前記第2の側面が、前記第1の側面を介して入射された前記第2の入射光を、当該第2の入射光が前記所定の角度範囲内の出射角で前記出射面から出射される方向に全反射させるように、規定されており、
前記第1の側面を介して入射される前記第2の入射光は、隣接する2つの前記光源のうち前記第1の側面側の光源から出力された光であり、
前記第2の側面を介して入射される前記第2の入射光は、隣接する2つの前記光源のうち前記第2の側面側の光源から出力された光であることを特徴とする請求項1に記載の光制御板。
【請求項3】
複数の前記平面部各々を介して入射された前記第1の入射光の出射角は互いに異なっており、
複数の前記プリズム部の各々が有する前記第1の側面で全反射された前記第2の入射光の前記出射角は、前記所定の角度範囲内で一定の角度間隔で選択される角度が割り当てられており、
複数の前記プリズム部の各々が有する前記第2の側面で全反射された前記第2の入射光の前記出射角は、前記所定の角度範囲内から一定の角度間隔で選択される角度が割り当てられていることを特徴とする請求項2に記載の光制御板。
【請求項4】
前記第2の領域は、前記第2の光路制御部を複数有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光制御板。
【請求項5】
各前記第1の光路制御部が有する複数の前記平面部の各々の大きさは、前記複数の平面部を介して入射され前記出射面から前記所定の角度範囲内で出射される光の前記所定の角度範囲における輝度角度分布が略均一になるように規定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光制御板。
【請求項6】
前記第1及び第3の領域の各々は、前記光源の直上に位置する第4の領域と、前記第4の領域と前記第2の領域との間に位置する第5の領域とを有し、
前記第4の領域には、複数の前記第1の光路制御部のうち少なくとも一つの前記第1の光路制御部が形成されており、
前記第4の領域内の前記第1の光路制御部は断面形状が凹状であり、当該第1の光路制御部が有する複数の前記平面部が連続に配置されて当該第1の光路制御部の表面が構成されており、
前記第5の領域には複数の前記第1の光路制御部が形成されており、
前記第5の領域内の各前記第1の光路制御部が有する複数の前記平面部のうち前記第2の領域又は第4の領域側に位置する隣接する平面部間には段差が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の光制御板。
【請求項7】
互いに間隔を空けて配列された複数の光源と、
前記複数の光源に対して離間して配置されている請求項1〜6の何れか一項に記載の光制御板と、
を備えることを特徴とする面光源装置。
【請求項8】
請求項7に記載の面光源装置と、
前記面光源装置における複数の光源の配列方向に略直交する方向において前記面光源装置から離間して配置される透過型画像表示部と、
を備えることを特徴とする透過型画像表示装置。
【請求項1】
互いに間隔を空けて配列された複数の光源に対して離間して配置される光制御板であって、
前記複数の光源側に位置する主面と、
前記主面に対向配置されると共に、前記主面から入射された前記複数の光源からの光が出射される平坦な出射面と、
を有し、
前記主面において、隣接する2つの前記光源間に対応する対応領域は、
第1の入射光を前記出射面から前記出射面の法線方向を基準にした所定の角度範囲内に広げて出射せしめる第1の光路制御部が複数の前記光源の配列方向に複数形成されている第1及び第3の領域と、
前記第1及び第3の領域の間に配置されており、第2の入射光を前記出射面から前記所定の角度範囲内で出射せしめる第2の光路制御部が少なくとも一つ形成されている第2の領域と、
を有し、
前記第1の入射光は、隣接する2つの前記光源のうち前記第1の光路制御部に近い方の光源から出力された光であり、
前記第2の入射光は、隣接する2つの前記光源からそれぞれ出力された光であり、
前記第1の光路制御部は、一方向に延びており前記第1の入射光が入射される複数の平面部を含んで構成されており、
前記第1の光路制御部は、複数の前記平面部への前記第1の入射光の入射時の屈折を利用して前記出射面から前記所定の角度範囲内に広げて出射せしめ、
前記第2の光路制御部は、前記一方向に延びており断面形状が略三角形状であって前記第2の入射光が入射されるプリズム部を複数有し、
前記第2の光路制御部は、複数の前記プリズム部へ入射した前記第2の入射光の前記プリズム部内での全反射を利用して前記第2の入射光を前記出射面から前記所定の角度範囲内で出射せしめることを特徴とする光制御板。
【請求項2】
各前記平面部を介して入射された前記第1の入射光が前記所定の角度範囲内の出射角で前記出射面から出射される方向に前記第1の入射光を屈折させるように、複数の前記平面部の各々の前記出射面に対する傾斜角が規定されており、
複数の前記プリズム部の各々は第1及び第2の側面を有し、
前記第1及び第2の側面の前記出射面に対する傾斜角は、
前記第1の側面が、前記第2の側面を介して入射された前記第2の入射光を、当該第2の入射光が前記出射面から前記所定の角度範囲内の出射角で出射される方向に全反射させると共に、前記第2の側面が、前記第1の側面を介して入射された前記第2の入射光を、当該第2の入射光が前記所定の角度範囲内の出射角で前記出射面から出射される方向に全反射させるように、規定されており、
前記第1の側面を介して入射される前記第2の入射光は、隣接する2つの前記光源のうち前記第1の側面側の光源から出力された光であり、
前記第2の側面を介して入射される前記第2の入射光は、隣接する2つの前記光源のうち前記第2の側面側の光源から出力された光であることを特徴とする請求項1に記載の光制御板。
【請求項3】
複数の前記平面部各々を介して入射された前記第1の入射光の出射角は互いに異なっており、
複数の前記プリズム部の各々が有する前記第1の側面で全反射された前記第2の入射光の前記出射角は、前記所定の角度範囲内で一定の角度間隔で選択される角度が割り当てられており、
複数の前記プリズム部の各々が有する前記第2の側面で全反射された前記第2の入射光の前記出射角は、前記所定の角度範囲内から一定の角度間隔で選択される角度が割り当てられていることを特徴とする請求項2に記載の光制御板。
【請求項4】
前記第2の領域は、前記第2の光路制御部を複数有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光制御板。
【請求項5】
各前記第1の光路制御部が有する複数の前記平面部の各々の大きさは、前記複数の平面部を介して入射され前記出射面から前記所定の角度範囲内で出射される光の前記所定の角度範囲における輝度角度分布が略均一になるように規定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光制御板。
【請求項6】
前記第1及び第3の領域の各々は、前記光源の直上に位置する第4の領域と、前記第4の領域と前記第2の領域との間に位置する第5の領域とを有し、
前記第4の領域には、複数の前記第1の光路制御部のうち少なくとも一つの前記第1の光路制御部が形成されており、
前記第4の領域内の前記第1の光路制御部は断面形状が凹状であり、当該第1の光路制御部が有する複数の前記平面部が連続に配置されて当該第1の光路制御部の表面が構成されており、
前記第5の領域には複数の前記第1の光路制御部が形成されており、
前記第5の領域内の各前記第1の光路制御部が有する複数の前記平面部のうち前記第2の領域又は第4の領域側に位置する隣接する平面部間には段差が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の光制御板。
【請求項7】
互いに間隔を空けて配列された複数の光源と、
前記複数の光源に対して離間して配置されている請求項1〜6の何れか一項に記載の光制御板と、
を備えることを特徴とする面光源装置。
【請求項8】
請求項7に記載の面光源装置と、
前記面光源装置における複数の光源の配列方向に略直交する方向において前記面光源装置から離間して配置される透過型画像表示部と、
を備えることを特徴とする透過型画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
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【図8】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−104073(P2009−104073A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277958(P2007−277958)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
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