説明

光加入者線終端装置及び光ネットワーク終端装置

【課題】特定のトラヒックの通信品質を劣化させることなく通信装置の省電力化を図ることができる光加入者線終端装置及び光ネットワーク終端装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、1つの光加入者線終端装置(OLT)が1つ又は複数の光ネットワーク終端装置(ONU)と光ファイバ伝送路を介してポイントツーポイント又はポイントツーマルチポイントの通信を行う光ネットワークにて、前記光ネットワークの省電力化を図るOLTであって、該OLTに接続されるONUに対するトラヒックごとに、第1の所定時間内におけるトラヒックの量、及び前記第1の所定時間内における1種類以上の特定の種類のトラヒックの有無を観測する観測手段と、前記観測手段が観測したトラヒックの量及び特定の種類のトラヒックの有無に基づき、前記ONUの一部の機能を休止するか否かを判定する休止判定手段と、を備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイントツーポイントまたはポイントツーマルチポイントの通信を行う光ネットワークにおいて、一部の機能を一定期間休止させることによって装置の省電力化を図る機能を有する光加入者線終端装置および光ネットワーク終端装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、光ネットワークは、1つの光加入者線終端装置(OLT:Optical Line Terminal)が1つの光ネットワーク終端装置(ONU:Optical Network Unit)と光ファイバ伝送路を介してポイントツーポイントの通信を行うネットワークである。
また、図2に示すように、受動光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)は、1つの光加入者線終端装置(OLT)が複数の光ネットワーク終端装置(ONU)と光ファイバ伝送路および1対nの光スプリッタ(nは自然数)を介してポイントツーマルチポイントの通信を行うネットワークである。ギガビットクラスのPONの代表的な規格として、IEEE802.3にて標準化されたEPON(Ethernet(登録商標)PON)がある。また、IEEE802.3av検討グループでは10ギガビットクラスのPONとして10G−EPONの検討がなされている。
【0003】
図3にEPONにおける従来のOLTの機能ブロック図を示す。下り主信号は、SNI(Service Node Interface)ポート104、キュー管理手段103、PON信号処理手段102を介してPON−IF(PON Interface)ポート101へと流れる。一方、上り主信号は、PON−IFポート101、PON信号処理手段102、キュー管理手段103を介してSNIポート104へと流れる。OLT100は、PON信号処理手段102として、ONUに対してONUに備えられたキュー内のデータ量を報告メッセージを用いて報告させるMPCP(Multi−Point Control Protocol)手段、ONUから受信した報告メッセージをもとにONU内のキューのデータ量を監視し、各ONUへ使用帯域を割り当てる帯域割当手段、ONUと保守監視用の制御フレームをやり取りするOAM(Operations, Administration and Maintenance)手段を有している。
【0004】
図4にEPONにおける従来のONUの機能ブロック図を示す。上り主信号は、UNI(User Network Interface)ポート201、キュー管理手段202、PON信号処理手段203を介してPON−IFポート204へと流れる。一方、下り主信号は、PON−1Fポート204、PON信号処理手段203、キュー管理手段202を介してUNIポート201へと流れる。また、ONU200は、PON信号処理手段203として、OLTに対してキュー内のデータ量を報告するMPCP手段、OLTと保守監視用の制御フレームをやり取りするOAM手段を有している。
【0005】
なお、通信端末の省電力化に関する従来技術として、特許文献1には、送信端末が受信端末からのフロー制御信号を監視して省電力制御を行う方法が記載されている。
【0006】
図15に、ポイントツーポイント型の光ネットワークシステムの構成図を示す。ポイントツーポイント型の光ネットワークは、1つの光加入者線終端装置OLT(Optical Line Terminal)73が1つの光ネットワーク終端装置ONU(Optical Network Unit)71と光ファイバ伝送路72を介して1対1の通信を行うネットワークである。
【0007】
図16に、ポイントツーマルチポイント型の受動光ネットワークPON(Passive Optical Network)システムの構成図を示す。PONは、1つの光加入者線終端装置OLT830が、複数の光ネットワーク終端装置ONU81〜8nと、光ファイバ伝送路820及び1対n(nは自然数)の光スプリッタ810を介して1対nの通信を行うネットワークである。ギガビットクラスのPONの代表的な規格として、IEEE802.3にて標準化されたEPON(Ethernet(登録商標)PON)がある。
【0008】
図17に、EPONにおける従来のOLTの構成図を示す。OLT90は、PON−IF(PON Interface)91と、PON信号処理部92と、キュー管理部93と、SNI(Service Node Interface)94とを備える。
【0009】
PON−IF91は、OLTと光ネットワークとを接続するためのインターフェースである。
【0010】
PON信号処理部92は、MPCP(Multi−Point Control Protocol)基95と、帯域割当基96と、OAM(Operations,Administration,and Maintenance)基97と、MAC(Media Access Control)基98と、PHY(Physical Layer)基99とを備える。
【0011】
MPCP基95は、ONUに対してONUに備えられたキュー内のデータ量を、レポートメッセージを用いて報告させる。帯域割当基96は、ONUから受信したレポートメッセージをもとにONU内のキューのデータ量を監視し、各ONUへ使用帯域を割り当る。
OAM基97は、ONUと保守監視用の制御フレームをやり取りする。MAC基98は、MACフレームの送受信動作を制御する。PHY基99は、物理層であり、MACフレーム形式の信号と光ネットワークを伝送する信号との間の信号変換を行う。
【0012】
キュー管理部93は、サービス網と送受信するデータをキューイングし管理する。
【0013】
SNI94は、OLTとサービス網とを接続するためのインターフェースである。
【0014】
下り主信号は、SNI94、キュー管理部93、PON信号処理部92を介してPON−IF91へと流れる。一方、上り主信号はPON−IF91、PON信号処理部92、キュー管理部93を介してSNI94へと流れる。
【0015】
図18に、EPONにおける従来のONUの構成図を示す。ONU100は、UNI(User Network Interface)101、キュー管理部102、PON信号処理部103と、PON−IF104とを備える。
【0016】
UNI101は、ONUとPCやルータ等の端末とを接続するためのインターフェースである。
【0017】
キュー管理部102は、端末と送受信するデータをキューイングし管理する。
【0018】
PON信号処理部103は、MPCP基105と、OAM基106と、MAC基107と、PHY基108とを備える。
【0019】
MPCP基105は、OLTに対してキュー内のデータ量を、レポートメッセージを用いて報告する。OAM基106は、OLTと保守監視用の制御フレームをやり取りする。
MAC基107は、MACフレームの送受信動作を制御する。PHY基108は、物理層であり、MACフレーム形式の信号と光ネットワークを伝送する信号との間の信号変換を行う。
【0020】
PON−IF104は、ONUと光ネットワークとを接続するためのインターフェースである。
【0021】
上り主信号は、UNI101、キュー管理部102、PON信号処理部103を介してPON−IF104へと流れる。一方、下り主信号はPON−IF104、PON信号処理部103、キュー管理部102を介してUNI101へと流れる。
【0022】
IEEE802.3avタスクフォースでは、10ギガビットクラスのPONとして10G−EPONの検討がなされている。一方、通信装置の省電力化に関する取り組みとして、無通信状態(アイドル状態)である場合に未使用の機能を休止させるスリープ方式や、通信量に応じてリンクレートを変化させる適応リンクレート方式などの実装が検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0023】
また、IEEE802.3azタスクフォースでは、省電力イーサネット(登録商標)の標準化が進んでいる。さらに、通信端末の省電力化に関する従来技術として、送信端末が受信端末からのフロー制御信号を監視して省電力制御を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0024】
図19は、対向した2つの通信装置におけるスリープ方式の一例として、自律型間欠起動方式について説明する図である。
【0025】
第2の通信装置112は、第1の通信装置111から第2の通信装置112へ、又は第2の通信装置112から第1の通信装置111へ転送されるトラヒックの監視を行う。また、転送フレームの到着間隔や使用帯域、バッファ内のキュー長に対して閾値を設け、閾値を超えた場合に無通信状態であると判断する。無通信状態であると判断した場合には、第1の通信装置111へスリープ要求メッセージを送信し、第2の通信装置112の一部の機能を休止させる。
【0026】
第2の通信装置112が起動している時は(S1101)、第1の通信装置111と通信を行う(S1102)。第1の通信装置111は、第2の通信装置112からスリープ要求を受信すると(S1103)、確認応答(ACKメッセージ)を第2の通信装置112に送信する(S1104)。第2の通信装置112は、確認応答を受け取ると、一部の機能を一定期間休止させる(S1105)。
【0027】
第2の通信装置112は、一定時間後に再起動し(S1106)、通信装置1101に対してトラヒックの有無を確認し(トラヒック確認メッセージ)(S1107)、無通信状態である(NOメッセージ)場合には(S1108)、一部の機能を一定期間休止させる(S1109)。また、一定時間後に再起動し(S1110)、通信装置1101に対してトラヒックの有無を確認し(S1111)、フレーム到着がある(YESメッセージ)場合には(S1112)、第1の通信装置111との通信を再開する(S1113)。
以下、S1114からS1124について、同様の動作を行う。
【0028】
このような自律型間欠起動方式は、ポイントツーポイント型トポロジ及びポイントツーマルチポイント型トポロジのネットワークに対して適用することができる。例えばEPONの場合、第1の通信装置111をOLT、第2の通信装置112をONUに対応させることで、ONUの省電力化を図ることが可能となる。
【0029】
図28に、ポイントツーポイント型の光ネットワークシステムの構成図を示す。ポイントツーポイント型の光ネットワークは、1つの光加入者線終端装置OLT(Optical Line Terminal)93が1つの光ネットワーク終端装置ONU(Optical Network Unit)91と光ファイバ伝送路92を介して1対1の通信を行うネットワークである。
【0030】
図29に、ポイントツーマルチポイント型の受動光ネットワークPON(Passive Optical Network)システムの構成図を示す。PONは、1つの光加入者線終端装置OLT1030が、複数の光ネットワーク終端装置ONU101〜10nと、光ファイバ伝送路1020及び1対n(nは自然数)の光スプリッタ1010を介して1対nの通信を行うネットワークである。ギガビットクラスのPONの代表的な規格として、IEEE802.3にて標準化されたEPON(Ethernet(登録商標)PON)がある。
【0031】
図30に、EPONにおける従来のOLTの構成図を示す。OLT110は、PON−IF(PON Interface)111と、PON信号処理部112と、キュー管理部113と、SNI(Service Node Interface)114とを備える。
【0032】
PON−IF111は、OLT110と光ネットワークとを接続するためのインターフェースである。
【0033】
PON信号処理部112は、MPCP(Multi−Point Control Protocol)基115と、帯域割当基116と、OAM(Operations,Administration,and Maintenance)基117と、MAC(Media Access Control)基118と、PHY(Physical Layer)基119とを備える。
【0034】
MPCP基115は、ONUに対してONUに備えられたキュー内のデータ量を、レポートメッセージを用いて報告させる。帯域割当基116は、ONUから受信したレポートメッセージをもとにONU内のキューのデータ量を監視し、各ONUへ使用帯域を割り当る。OAM基117は、ONUと保守監視用の制御フレームをやり取りする。MAC基118は、MACフレームの送受信動作を制御する。PHY基119は、物理層であり、MACフレーム形式の信号と光ネットワークを伝送する信号との間の信号変換を行う。
【0035】
キュー管理部113は、サービス網と送受信するデータをキューイングし管理する。
【0036】
SNI114は、OLTとサービス網とを接続するためのインターフェースである。
【0037】
下り主信号は、SNI114、キュー管理部113、PON信号処理部112を介してPON−IF111へと流れる。一方、上り主信号はPON−IF111、PON信号処理部112、キュー管理部113を介してSNI114へと流れる。
【0038】
図31に、EPONにおける従来のONUの構成図を示す。ONU120は、UNI(User Network Interface)121、キュー管理部122、PON信号処理部123と、PON−IF124とを備える。
【0039】
UNI121は、ONU120とPCやルータ等の端末とを接続するためのインターフェースである。
【0040】
キュー管理部122は、端末と送受信するデータをキューイングし管理する。
【0041】
PON信号処理部123は、MPCP基125と、OAM基126と、MAC基127と、PHY基128とを備える。
【0042】
MPCP基125は、OLTに対してキュー内のデータ量を、レポートメッセージを用いて報告する。OAM基126は、OLTと保守監視用の制御フレームをやり取りする。
MAC基127は、MACフレームの送受信動作を制御する。PHY基128は、物理層であり、MACフレーム形式の信号と光ネットワークを伝送する信号との間の信号変換を行う。
【0043】
PON−IF124は、ONUと光ネットワークとを接続するためのインターフェースである。
【0044】
上り主信号は、UNI121、キュー管理部122、PON信号処理部123を介してPON−IF124へと流れる。一方、下り主信号はPON−IF124、PON信号処理部123、キュー管理部122を介してUNI121へと流れる。
【0045】
IEEE802.3avタスクフォースでは、10ギガビットクラスのPONとして10G−EPONの検討がなされている。一方、通信装置の省電力化に関する取り組みとして、無通信状態(アイドル状態)である場合に未使用の機能を休止させるスリープ方式や、通信量に応じてリンクレートを変化させる適応リンクレート方式などの実装が検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0046】
また、IEEE802.3azタスクフォースでは、省電力イーサネット(登録商標)の標準化が進んでいる。さらに、通信端末の省電力化に関する従来技術として、送信端末が受信端末からのフロー制御信号を監視して省電力制御を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0047】
図32は、対向した2つの通信装置におけるスリープ方式の一例として、マスタ・スレーブ型間欠起動方式について説明する図である。
【0048】
第1の通信装置131は、第1の通信装置131から第2の通信装置132へ、又は第2の通信装置132から第1の通信装置131へ転送されるトラヒックの監視を行う。また、転送フレームの到着間隔や使用帯域、バッファ内のキュー長に対して閾値を設け、閾値を超えた場合に無通信状態であると判断する。無通信状態であると判断した場合には、第2の通信装置132へスリープ指令メッセージを送信し、第2の通信装置132の一部の機能を休止させる。
【0049】
第2の通信装置132が起動している時は(S1301)、第1の通信装置131と通信を行う(S1302)。第2の通信装置132は、第1の通信装置131からスリープ指令を受信すると(S1303)、確認応答(ACKメッセージ)を第1の通信装置131に送信する(S1304)。そして、第2の通信装置132は一部の機能を一定期間休止させる(S1305)。
【0050】
第2の通信装置132は、一定時間後に再起動し(S1306)、第1の通信装置131に対してトラヒックの有無を確認し(トラヒック確認メッセージ)(S1307)、無通信状態である(NOメッセージ)場合には(S1308)、一部の機能を一定期間休止させる(S1309)。また、一定時間後に再起動し(S1310)、第1の通信装置131に対してトラヒックの有無を確認し(S1311)、フレーム到着がある(YESメッセージ)場合には(S1312)、第1の通信装置131との通信を再開する(S1313)。以下、S1314からS1324について、同様の動作を行う。
【0051】
このようなマスタ・スレーブ型間欠起動方式は、ポイントツーポイント型トポロジ及びポイントツーマルチポイント型トポロジのネットワークに対して適用することができる。
例えばEPONの場合、第1の通信装置131をOLT、第2の通信装置132をONUに対応させることで、ONUの省電力化を図ることが可能となる。
【0052】
図33に、ポイントツーポイント型の光ネットワークシステムの構成図を示す。ポイントツーポイント型の光ネットワークは、1つの光加入者線終端装置OLT(Optical Line Terminal)13が1つの光ネットワーク終端装置ONU(Optical Network Unit)11と光ファイバ伝送路12を介して1対1の通信を行うネットワークである。
【0053】
図34に、ポイントツーマルチポイント型の受動光ネットワークPON(Passive Optical Network)システムの構成図を示す。PONは、1つの光加入者線終端装置OLT230が、複数の光ネットワーク終端装置ONU21〜2nと、光ファイバ伝送路220及び1対n(nは自然数)の光スプリッタ210を介して1対nの通信を行うネットワークである。ギガビットクラスのPONの代表的な規格として、IEEE802.3にて標準化されたEPON(Ethernet(登録商標)PON)がある。
【0054】
図35に、EPONにおける従来のOLTの構成図を示す。OLT30は、PON−IF(PON Interface)91と、PON信号処理部32と、キュー管理部33と、SNI(Service Node Interface)34とを備える。PON−IF31は、OLTと光ネットワークとを接続するためのインターフェースである。
【0055】
PON信号処理部32は、MPCP(Multi−Point Control Protocol)基35と、帯域割当基36と、OAM(Operations,Administration,and Maintenance)基37と、MAC(Media Access Control)基38と、PHY(Physical Layer)基39とを備える。
【0056】
MPCP基35は、ONUに対してONUに備えられたキュー内のデータ量を、レポートメッセージを用いて報告させる。帯域割当基36は、ONUから受信したレポートメッセージをもとにONU内のキューのデータ量を監視し、各ONUへ使用帯域を割り当る。OAM基37は、ONUと保守監視用の制御フレームをやり取りする。MAC基38は、MACフレームの送受信動作を制御する。PHY基39は、物理層であり、MACフレーム形式の信号と光ネットワークを伝送する信号との間の信号変換を行う。
【0057】
キュー管理部33は、サービス網と送受信するデータをキューイングし管理する。SNI34は、OLTとサービス網とを接続するためのインターフェースである。下り主信号は、SNI34、キュー管理部33、PON信号処理部32を介してPON−IF31へと流れる。一方、上り主信号はPON−IF31、PON信号処理部32、キュー管理部33を介してSNI34へと流れる。
【0058】
図36に、EPONにおける従来のONUの構成図を示す。ONU40は、UNI(User Network Interface)41、キュー管理部42、PON信号処理部43と、PON−IF44とを備える。
【0059】
UNI41は、ONUとPCやルータ等の端末とを接続するためのインターフェースである。キュー管理部42は、端末と送受信するデータをキューイングし管理する。PON信号処理部43は、MPCP基45と、OAM基46と、MAC基47と、PHY基48とを備える。
【0060】
MPCP基45は、OLTに対してキュー内のデータ量を、レポートメッセージを用いて報告する。OAM基46は、OLTと保守監視用の制御フレームをやり取りする。MAC基47は、MACフレームの送受信動作を制御する。PHY基48は、物理層であり、MACフレーム形式の信号と光ネットワークを伝送する信号との間の信号変換を行う。PON−IF44は、ONUと光ネットワークとを接続するためのインターフェースである。
【0061】
上り主信号は、UNI41、キュー管理部42、PON信号処理部43を介してPON−IF44へと流れる。一方、下り主信号はPON−IF44、PON信号処理部43、キュー管理部42を介してUNI41へと流れる。
【0062】
IEEE802.3avタスクフォースでは、10ギガビットクラスのPONとして10G−EPONの検討がなされている。一方、通信装置の省電力化に関する取り組みとして、無通信状態(アイドル状態)である場合に未使用の機能を休止させるスリープ方式や、通信量に応じてリンクレートを変化させる適応リンクレート方式などの実装が検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0063】
また、IEEE802.3azタスクフォースでは、省電力イーサネット(登録商標)の標準化が進んでいる。さらに、通信端末の省電力化に関する従来技術として、送信端末が受信端末からのフロー制御信号を監視して省電力制御を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0064】
図37は、対向した2つの通信装置におけるスリープ方式の一例として、自律型間欠起動方式について説明する図である。
【0065】
第2の通信装置52は、第1の通信装置51から第2の通信装置52へ、又は第2の通信装置52から第1の通信装置51へ転送されるトラヒックの監視を行う。また、転送フレームの到着間隔や使用帯域、バッファ内のキュー長に対して閾値を設け、閾値を超えた場合に無通信状態であると判断する。無通信状態であると判断した場合には、第1の通信装置51へスリープ要求メッセージを送信し、第2の通信装置52の一部の機能を休止させる。
【0066】
第2の通信装置52が起動している時は(S501)、第1の通信装置51と通信を行う(S502)。第1の通信装置51は、第2の通信装置52からスリープ要求を受信すると(S503)、確認応答(ACKメッセージ)を第2の通信装置52に送信する(S504)。第2の通信装置52は、確認応答を受け取ると、一部の機能を一定期間休止させる(S505)。
【0067】
第2の通信装置52は、一定時間後に再起動し(S506)、通信装置501に対してトラヒックの有無を確認し(トラヒック確認メッセージ)(S507)、無通信状態である(NOメッセージ)場合には(S508)、一部の機能を一定期間休止させる(S509)。また、一定時間後に再起動し(S510)、通信装置501に対してトラヒックの有無を確認し(S511)、フレーム到着がある(YESメッセージ)場合には(S512)、第1の通信装置51との通信を再開する(S513)。以下、S514からS524について、同様の動作を行う。
【0068】
このような自律型間欠起動方式は、ポイントツーポイント型トポロジ及びポイントツーマルチポイント型トポロジのネットワークに対して適用することができる。例えばEPONの場合、第1の通信装置51をOLT、第2の通信装置52をONUに対応させることで、ONUの省電力化を図ることが可能となる。
【0069】
図38は、対向した2つの通信装置におけるスリープ方式の一例として、マスタ・スレーブ型間欠起動方式について説明する図である。
【0070】
第3の通信装置61は、第3の通信装置61から第4の通信装置62へ、又は第4の通信装置62から第3の通信装置61へ転送されるトラヒックの監視を行う。また、転送フレームの到着間隔や使用帯域、バッファ内のキュー長に対して閾値を設け、閾値を超えた場合に無通信状態であると判断する。無通信状態であると判断した場合には、第4の通信装置62へスリープ指令メッセージを送信し、第4の通信装置62の一部の機能を休止させる。
【0071】
第4の通信装置62が起動している時は(S601)、第3の通信装置61と通信を行う(S602)。第4の通信装置62は、第3の通信装置61からスリープ指令を受信すると(S603)、確認応答(ACKメッセージ)を第3の通信装置61に送信する(S604)。そして、第4の通信装置62は一部の機能を一定期間休止させる(S605)。
【0072】
第4の通信装置62は、一定時間後に再起動し(S606)、第3の通信装置61に対してトラヒックの有無を確認し(トラヒック確認メッセージ)(S607)、無通信状態である(NOメッセージ)場合には(S608)、一部の機能を一定期間休止させる(S609)。また、一定時間後に再起動し(S610)、第3の通信装置61に対してトラヒックの有無を確認し(S611)、フレーム到着がある(YESメッセージ)場合には(S612)、第3の通信装置61との通信を再開する(S613)。以下、S614からS624について、同様の動作を行う。
【0073】
このようなマスタ・スレーブ型間欠起動方式は、ポイントツーポイント型トポロジ及びポイントツーマルチポイント型トポロジのネットワークに対して適用することができる。例えばEPONの場合、第3の通信装置61をOLT、第4の通信装置62をONUに対応させることで、ONUの省電力化を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2008−263281号公報
【非特許文献】
【0075】
【非特許文献1】Tsutomu Tatsuta, Noriyuki Oota, Noriki Miki, and Kiyomi Kumozaki, “Design philosophy and performance of a GE−PON system for mass deployment”, JOURNAL OF OPTICAL NETWORKING,Vol.6,No.6,June 2007
【0076】
【非特許文献2】Sergiu Nedevschi, Lucian Popa, Gianluca Iannaccone, Sylvia Ratnasamy, David Wetherall, “Reducing network energy consumption via sleeping and rate−adaptation,” Proceedings of the 5th USENIX Symposium on Networked Systems Design and Implementation, pp. 323−336, 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0077】
従来の通信装置においては、フレーム到着間隔や使用帯域などのトラヒック特性があらかじめ把握されているトラヒックに対しても、未知のトラヒックと同様にフレーム到着間隔や使用帯域、バッファ内のキュー長のみを用いて通信状態を判断するため、不用意にコネクションの切断やフレーム転送遅延の増大を引き起こしてしまうという課題があった。
【0078】
本発明の目的は、上記課題を解決するため、特定のトラヒックの通信品質を劣化させることなく通信装置の省電力化を図ることができる光加入者線終端装置及び光ネットワーク終端装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0079】
上述の課題を解決するために、ある特定のトラヒックが存在している場合、第1の通信装置が、第2の通信装置の一部の機能の休止を実行、又は取消す機能を備えることで、通信品質を保持しながら第2の通信装置の省電力化を図る。すなわち、本発明に係る光加入者線終端装置は、1つの光加入者線終端装置(OLT)が1つ又は複数の光ネットワーク終端装置(ONU)と光ファイバ伝送路を介してポイントツーポイント又はポイントツーマルチポイントの通信を行う光ネットワークにて、前記光ネットワークの省電力化を図るOLTであって、該OLTに接続されるONUに対するトラヒックごとに、第1の所定時間内におけるトラヒックの量、及び前記第1の所定時間内における1種類以上の特定の種類のトラヒックの有無を観測する観測手段と、前記観測手段が観測したトラヒックの量及び特定の種類のトラヒックの有無に基づき、前記ONUの一部の機能を休止するか否かを判定する休止判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0080】
また、本発明に係る光加入者線終端装置において、前記休止判定手段は、前記観測手段が観測したトラヒックの量が閾値以下であっても、前記特定の種類のトラヒックが有る場合には休止しないと判定する機能を有することを特徴とする。
【0081】
また、本発明に係る光加入者線終端装置において、前記休止判定手段は、前記観測手段が観測したトラヒックの量が閾値以上であっても、前記トラヒックが一定周期で転送される特定の種類のトラヒックのみである場合には一部の機能を休止すると判定する機能を有することを特徴とする。
【0082】
また、本発明に係る光加入者線終端装置において、前記休止判定手段は、前記観測手段が前記第1の所定時間内に前記特定の種類のトラヒックに対応するフレームを1つ以上観測したこと、又は前記第1の所定時間内に前記特定の種類のトラヒックのセッションが継続していることを観測した場合に、前記特定の種類のトラヒックが有ると判断することを特徴とする。
【0083】
また、本発明に係る光加入者線終端装置において、前記観測手段は、前記特定の種類のフレームの観測に、ToS(Type of Service)の値若しくはCoS(Class of Service)の値、及び/又はONUから受信されるレポートメッセージを用いることを特徴とする。
【0084】
また、本発明に係る光加入者線終端装置において、前記観測手段は、前記ONU内で破棄されるフレームについては観測しないことを特徴とする。
【0085】
また、本発明に係る光加入者線終端装置において、前記特定の種類のトラヒックは、VoIP(Voice over Internet Protocol)トラヒック、RTP(Realtime Transport Protocol)トラヒック、及び特定の優先度を有するトラヒックのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0086】
また、本発明に係る光加入者線終端装置において、前記ONUが休止状態であるときに当該ONU宛のトラヒックが発生した場合、到着したフレームを一時的に格納する手段を更に備えることを特徴とする。
【0087】
さらに、本発明に係る光ネットワーク終端装置は、上記に記載の光加入者線終端装置に接続されるONUであって、前記OLTの休止判定手段が休止すると判定した場合には、該ONUの一部の機能を第2の所定時間休止させる休止手段を備えることを特徴とする。
【0088】
また、本発明に係る光ネットワーク終端装において、前記休止手段は、一部の機能を休止させている間に該ONUに接続された端末からフレームを受信した場合には、休止している一部の機能を即座に起動させる機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0089】
本発明は、通信を行っていない状態のONUが多数接続されることにより、光ネットワーク全体の消費電力が増大するという課題を解決する光加入者線終端装置および光ネットワーク終端装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】光ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】PONシステムの構成を示す図である。
【図3】EPONにおける従来のOLTの機能ブロック図である。
【図4】EPONにおける従来のONUの機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るOLTの機能ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るOLTの機能ブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態および第2の実施形態に係るONUの機能ブロック図である。
【図8】OLTとONUのメッセージ交換の手順を示す図である。
【図9】本発明によるONUの構成図である。
【図10】本発明によるONUの機能を説明する図である。
【図11】本発明によるONUの動作を説明する図である。
【図12】本発明による第2−2の実施形態のONUの構成図である。
【図13】レポートメッセージのフレームフォーマットを示す図である。
【図14】本発明による実施例3のONUの休止判定方法を説明する図である。
【図15】ポイントツーポイント型の光ネットワークシステムの構成図である。
【図16】PONシステムの構成図である。
【図17】従来のOLTの構成図である。
【図18】従来のONUの構成図である。
【図19】自律型間欠起動方式について説明する図である。
【図20】本発明によるOLTの構成図である。
【図21】本発明によるONUの構成図である。
【図22】本発明によるOLTの機能を説明する図である。
【図23】本発明によるOLTの動作を説明する図である。
【図24】本発明によるONUの動作を説明する図である。
【図25】本発明による第3−2の実施形態のOLTの構成図である。
【図26】レポートメッセージのフレームフォーマットを示す図である。
【図27】本発明による第3−3の実施形態のOLTの休止判定方法を説明する図である。
【図28】ポイントツーポイント型の光ネットワークシステムの構成図である。
【図29】PONシステムの構成図である。
【図30】従来のOLTの構成図である。
【図31】従来のONUの構成図である。
【図32】マスタ・スレーブ型間欠起動方式について説明する図である。
【図33】光ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図34】PONシステムの構成を示す図である。
【図35】EPONにおける従来のOLTの機能ブロック図である。
【図36】EPONにおける従来のONUの機能ブロック図である。
【図37】自律型間欠起動方式について説明する図である。
【図38】マスタ・スレーブ型間欠起動方式について説明する図である。
【図39】本発明によるONUの構成図である。
【図40】本発明によるOLTの構成図である。
【図41】本発明によるONUの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0092】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1−1の実施形態)
以下、本発明による光加入者線終端装置(OLT)を用いた第1の実施形態について図面を参照して説明する。図5は、第1の実施形態に係るOLTの機能ブロック図である。図5に示すOLT10は、PON−IF(PON Interface)ポート1と、PON信号処理手段2と、キュー管理手段3と、SNI(Service Node Interface)ポート4と、観測手段5と、計算手段6を備える。
【0093】
OLT10は、観測手段5を備えており、観測手段5は、ONUへ送信するおよび/またはONUから受信したフレームの到着間隔p、ONUへ送信するおよび/またはONUから受信したフローの使用帯域B、ONUへ送信するおよび/またはONUから受信したフレームを一時的に格納するキューのキュー長qのうちのいずれか、または全ての情報(以下、トラヒック情報という)を観測する。ここで、観測手段5は、観測対象のONUにおいて破棄されないフレームのみを観測しても良い。つまり、観測対象のONUにおいてフィルタリングされて破棄されることが予めOLT側で認識されているフレームについては観測対象に含めなくてもよい。例えば、PONにおいてマルチキャスト通信を実現する方法として、OLTからブロードキャストフレームを全てのONUへ送信し、ONU側でフレームの識別子を用いてフィルタリングする方法が考えられる。このような場合でも、OLTは、マルチキャスト通信を行う対象のONUとフレーム識別子の対応テーブルを保持しているため、OLT側で送信先ONUを特定することができる。また、特定のプロトコルをフィルタリングするプロトコルフィルタがONUに実装されている場合にも、フィルタ情報をOLTが保持していれば、同様に適用できる。
【0094】
また、OLT10は、計算手段6を備えており、計算手段6は、観測手段5によって得られたトラヒック情報をもとに、ONUの未使用の機能を休止させた状態を維持する期間(スリープ時間)T1を算出する。さらに、OLT10は、特定のONUに対して未使用の機能を休止させた状態(スリープ状態)へ移行させる要求と、計算手段6によって算出されたスリープ時間T1とを例えばMPCP手段を用いてONUへ送信する機能を有している。ここで、スリープ状態への移行を要求するメッセージを、スリープ状態移行要求メッセージと定義する。また、計算手段6は、ONUがスリープ状態移行要求メッセージを受信した後スリープ状態へ移行するまでの時間T2を算出してもよい。スリープ状態移行要求メッセージには、スリープ時間T1の情報を含めてもよいし、スリープ状態移行要求メッセージを受信後スリープ状態へ移行するまでの時間T2の情報を含めてもよい。スリープ状態移行要求メッセージ(制御信号)をONUへ送信するタイミングについては、対象ONUへのフレームの送信が終了した直後でもよいし、対象ONUへのフレームの送信が終了した後の一定時間経過後でもよいし、対象ONUへのフレームの送信が終了した後の、トラヒック情報に基づいて決定された時間T3の経過後でもよい。この場合、OLT10は、転送フレームの到着により、スリープ状態移行要求メッセージの送信を中止する機能を具備してもよいし、ONUに対してスリープ移行要求解除メッセージを送信する機能を具備してもよい。
なお、対象ONUへのフレーム送信の終了は、例えば、フレーム到着間隔pが一定時間Tp以上になったこと、または、使用帯域Bが一定時間TBの期間0になったこと、または、キュー長qが一定時間Tqの期間0になったことによって判断する。Tp、TB、Tqの値は、VoIPトラヒックや映像系トラヒックのフレーム間隔などを考慮して決定することが好ましい。
【0095】
OLT10は、ONUが通常状態であればOLTに到着したフレームを該ONUへ転送し、ONUがスリープ状態であればOLTに到着したフレームをOLT内のキューに一時的に格納する機能を有している。ONUがスリープ状態であるか通常状態であるかはONUからのメッセージによって判定してもよいし、OLT内のタイマによって推定してもよい。また、OLT10は、OLT10に接続されている全てのONUがスリープ状態である場合、OLT10の未使用の機能を休止してスリープ状態へ移行してもよい。さらに、OLT10は、SNIポート4および/またはPON−IFポート1からフレームを受信した場合には、即座に通常状態へ復帰する機能を具備してもよい。
【0096】
次に、観測手段5によって得られたONUへ送信するおよび/またはONUから受信したフレームの到着間隔pを基に計算手段6においてスリープ時間T1を動的に決定する手順について説明する。
OLT側でスリープ時間T1に上限値Tmaxと下限値Tminを設け、観測手段5によって得られたフレームの到着間隔pがしきい値Th1未満の場合には、ONUに通常状態を維持させ、観測手段5によって得られたフレームの到着間隔pがしきい値Th1以上の場合には、ONUをスリープ状態に移行させ、さらにスリープ時間T1を前記上限値Tmaxと下限値Tminの間の値に設定する。例えば、スリープ時間T1は、特定の関数f(p)を用いて、
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×f(p)
として計算される。f(p)の例としては、
f(p)=(1−(Th1/p))
が考えられ、この場合、
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×(1−(Th1/p))
として計算される。
【0097】
さらに、線形的に変化させる場合は、
f(p)=(p−Th1)/(Th1’−Th1)
とすることも考えられ、この場合、Th1’はフレーム到着間隔の上限しきい値であり、p<Th1ではT1=0、p≧Th1’ではT1=Tmaxとなる。
【0098】
次に、観測手段5によって得られたONUへ送信するおよび/またはONUから受信したフローの使用帯域Bを基に計算手段6においてスリープ時間T1を動的に決定する手順について説明する。
OLT側でスリープ時間T1に上限値Tmaxと下限値Tminを設け、観測手段5によって得られた使用帯域Bがしきい値Th2より大きい場合には、ONUに通常状態を維持させ、観測手段5によって得られた使用帯域Bがしきい値Th2以下の場合には、ONUをスリープ状態に移行させ、さらにスリープ時間T1を前記上限値Tmaxと下限値Tminの間の値に設定する。例えば、スリープ時間T1は、特定の関数f(B)を用いて、
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×f(B)
として計算される。f(B)の例としては、
f(B)=(1−(B/Th2))
が考えられ、この場合、
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×(1−(B/Th2))
として計算される。
【0099】
さらに、線形的に変化させる場合は、
f(B)=(Th2−B)/(Th2−Th2’)
とすることも考えられ、この場合、Th2’は使用帯域の下限しきい値であり、B>Th2ではT1=0、B≦Th2’ではT1=Tmaxとなる。
【0100】
次に、観測手段5によって得られたONUへ送信するおよび/またはONUから受信したフレームを一時的に格納するキューのキュー長qを基に計算手段6においてスリープ時間T1を動的に決定する手順について説明する。
OLT側でスリープ時間T1に上限値Tmaxと下限値Tminを設け、観測手段5によって得られたキュー長qがしきい値Th3より大きい場合には、ONUに通常状態を維持させ、観測手段5によって得られたキュー長qがしきい値Th3以下の場合には、ONUをスリープ状態に移行させ、さらにスリープ時間T1を前記上限値Tmaxと下限値Tminの間の値に設定する。例えば、スリープ時間T1は、特定の関数f(q)を用いて、
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×f(q)
として計算される。f(q)の例としては、
f(q)=(1−(q/Th3))
が考えられ、この場合、
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×(1−(q/Th3))
として計算される。
【0101】
さらに、線形的に変化させる場合は、
f(q)=(Th3−q)/(Th3−Th3’)
とすることも考えられ、この場合、Th3’はキュー長の下限しきい値であり、q>Th3ではT1=0、q≦Th3’ではT1=Tmaxとなる。
【0102】
なお、フレームの到着間隔p、使用帯域B、キュー長qの情報のいずれか、または全てに瞬時値を用いてもよいし、過去の一定期間に得られた情報の平均値を用いてもよい。平均値は、単純移動平均、加重移動平均、指数平滑平均の値を含む。
また、フレームの到着間隔p、使用帯域B、キュー長qの情報のうちの2つ以上を観測してそれぞれスリープ時間を算出した場合、算出されたそれぞれスリープ時間の平均値を最終的なスリープ時間としてもよいし、最小値あるいは最大値を最終的なスリープ時間としてもよい。
また、上述した実施形態では、スリープ時間T1の算出方法について示したが、上述した時間T2、T3についても同様の方法で算出できる。
また、上述の上限値Tmaxと下限値Tminに関しては、シミュレーションを行い、最大遅延時間や平均遅延時間などのQoSパラメータを考慮して決定することが好ましい。
また、しきい値に関しても、遅延時間などのQoSパラメータを考慮して決定することが好ましい。具体的には、pに関しては最小スリープ時間Tminと同じ値かそれ以上の値を用い、B、qに関しては0を用いることが考えられる。また、いずれの場合も過去の数サンプルの平均値としきい値を比較することが考えられる。
さらに、実装上、連続的ではなく、多値に近似して時間T1、T2、T3を設定する場合も考えられる。
【0103】
(第1−2の実施形態)
以下、本発明による光加入者線終端装置(OLT)を用いた第2の実施形態について図面を参照して説明する。図6は、第2の実施形態に係るOLTの機能ブロック図である。図6に示すOLT20は、PON−IF(PON Interface)ポート1と、PON信号処理手段2と、キュー管理手段3と、SNI(Service Node Interface)ポート4と、観測手段7と、テーブル対応手段8を備える。
【0104】
OLT20は、観測手段7を備えており、観測手段7は、ONUへ送信するフレームおよび/またはONUから受信したフレームの優先度情報および/またはプロトコル情報を観測する。さらに、OLT20は、優先度情報および/またはプロトコル情報と、ONUのスリープ時間とを対応させたテーブル(図示せず)を有している。ここで、観測手段7においては、観測対象のONUにおいて破棄されないフレームのみを観測しても良い。つまり、観測対象のONUにおいてフィルタリングされて破棄されることが予めOLT側で認識されているフレームについては観測対象に含めなくてもよい。例えば、PONにおいてマルチキャスト通信を実現する方法として、OLTからブロードキャストフレームを全てのONUへ送信し、ONU側でフレームの識別子を用いてフィルタリングする方法が考えられる。このような場合でも、OLTはマルチキャスト通信を行う対象のONUとフレーム識別子の対応テーブルを保持しているため、OLT側で送信先ONUを特定することができる。また、特定のプロトコルをフィルタリングするプロトコルフィルタがONUに実装されている場合にもフィルタ情報をOLTが保持していれば、同様に適用できる。
【0105】
また、OLT20は、テーブル対応手段8を備えており、テーブル対応手段8は、観測手段7によって得られた優先度情報および/またはプロトコル情報に基づいてテーブルを参照してONUのスリープ時間T4を動的に決定する。さらに、OLT20は、特定のONUに対して未使用の機能を休止させた状態(スリープ状態)へ移行させる要求と、テーブル対応手段8によって算出されたスリープ時間T4とを例えばMPCP手段を用いてONUへ送信する機能を有している。ここで、スリープ状態への移行を要求するメッセージをスリープ状態移行要求メッセージと定義する。ONUがスリープ状態移行要求メッセージを受信後、スリープ状態へ移行するまでの時間T5もテーブル対応手段8によって算出してもよい。スリープ状態移行要求メッセージにはスリープ時間T4の情報を含めてもよいし、スリープ状態移行要求メッセージを受信後、スリープ状態へ移行するまでの時間T5の情報を含めてもよい。スリープ状態移行要求メッセージ(制御信号)をONUへ送信するタイミングについては、対象ONUへのフレームの送信が終了した直後でもよいし、対象ONUへのフレームの送信が終了した後の一定時間経過後でもよいし、対象ONUへのフレームの送信が終了した後の、優先度情報および/またはプロトコル情報に基づいて決定された時間T6の経過後でもよい。この場合、OLT20は、転送フレームの到着により、スリープ状態移行要求メッセージの送信を中止する機能を具備してもよいし、ONUに対してスリープ移行要求解除メッセージを送信する機能を具備してもよい。
なお、対象ONUへのフレーム送信の終了は、例えば、フレーム到着間隔pが一定時間Tp以上になったこと、または、使用帯域Bが一定時間TBの期間0になったこと、または、キュー長qが一定時間Tqの期間0になったことによって判断する。Tp、TB、Tqの値は、VoIPトラヒックや映像系トラヒックのフレーム間隔などを考慮して決定することが好ましい。
【0106】
OLT20は、ONUが通常状態であればOLTに到着したフレームを該ONUへ転送し、ONUがスリープ状態であればOLTに到着したフレームをOLT内のキューに一時的に格納する機能を有している。ONUがスリープ状態であるか通常状態であるかはONUからのメッセージによって判定してもよいし、OLT内のタイマによって推定してもよい。また、OLT20は、OLT20に接続されている全てのONUがスリープ状態である場合、OLT20の未使用の機能を休止してスリープ状態へ移行してもよい。さらに、OLT20は、SNIポートおよび/またはPON−IFポートからフレームを受信した場合には、即座に通常状態へ復帰する機能を具備してもよい。
【0107】
次に、観測手段7によって得られたONUへ送信するおよび/またはONUから受信したフレームの優先度情報および/またはプロトコル情報をもとにテーブル対応手段8においてスリープ時間T4を動的に決定する手順について説明する。
OLT側のテーブルにおいて優先度0、1、2、3のトラヒックに対してスリープ時間T4をそれぞれ50ms、30ms、10ms、5msに設定するように予め指定しておく。フレームを転送する際にテーブルを参照し、優先度3のフレームであれば、T4=5msに設定する。プロトコル情報としては、SIP(Session Initiation Protocol)、
UDP(User Datagram Protocol)、RTP(Real−time Transport Protocol)、TCP(Transmission Control Protocol)、IP(Internet Protocol)、Ethernet(登録商標)などのヘッダ情報を用いてもよい。例えば、SIPセッションが継続している場合またはRTPトラヒック流通時には、スリープ時間T4を0msに設定し、それ以外の場合には、IPヘッダのToS(Type of Service)値またはVLANタグのCoS(Class of Service)値に応じてスリープ時間T4を設定することが考えられる。
なお、ここでは、スリープ時間T4の決定方法について示したが、上述した時間T5、T6についても同様の方法で決定できる。
【0108】
次に、本発明による光ネットワーク終端装置(ONU)について図面を参照して説明する。図7は、第1の実施形態および第2の実施形態に係るONUの機能ブロック図である。図7に示すONU30は、UNI(User Network Interface)ポート11と、キュー管理手段12と、PON信号処理手段13と、PON−IF(PON Interface)ポート14と、スリープ手段15を備える。
【0109】
ONU30は、OLTからスリープ状態移行要求メッセージ(制御信号)を受信した場合、未使用の機能を休止し、スリープ手段15によってスリープ状態へ移行する機能を有している。また、指定されたスリープ時間T1またはスリープ時間T4だけスリープ状態を維持する機能を有している。さらに、ONU30は、スリープ時間T1またはスリープ時間T4の経過後には通常状態へ復帰する。なお、スリープ状態移行要求メッセージを受信してすぐにスリープ状態へ移行してもよいし、スリープ状態移行要求メッセージを受信した後の一定時間経過後にスリープ状態へ移行してもよいし、スリープ状態移行要求メッセージを受信した後の、OLTによって決定された時間T2または時間T5の経過後にスリープ状態へ移行してもよい。この場合、転送フレームの到着により、スリープ状態への移行を中止する機能を具備してもよい。また、ONU30は、通常状態へ復帰したことを例えばMPCP手段を用いてOLTへ通知する機能を有してもよい。ここで、OLTに対して通常状態へ復帰したことを通知するメッセージを通常状態復帰メッセージと定義する。ONU30は、UNIポートからフレームを受信した場合には、即座に通常状態へ復帰する機能を具備してもよい。なお、ONUで休止させる機能は予め定めておいてもよい。
【0110】
図8にOLTとONUのメッセージ交換の手順を示す。OLTは、ONUの送信する通常状態復帰メッセージに対して確認応答をONUへ送信してもよい。また、ONUは、OLTの送信するスリープ状態移行要求メッセージに対して確認応答をOLTへ送信してもよい。
第1の実施形態および第2の実施形態におけるOLTおよびONUの機能またはスリープ時間の算出方法を任意に組み合わせて用いてもよい。例えば、ある優先度のフレームまたはあるプロトコル情報を持つフレームのみのフレーム間隔を観測して、スリープ時間を算出してもよい。また、第2の実施形態のテーブル対応手段8において、テーブル情報は、第1の実施形態の観測手段5を用いて観測されたトラヒック情報に応じて随時変更してもよい。テーブル情報を変更することで、一定期間、ある優先度のフレームまたはあるプロトコル情報を持つフレームが転送されなかった場合にスリープ時間を増大させて消費電力を大幅に削減することができる。
【0111】
上述した実施形態ではEPONおよび10G−EPONの場合について記述したが、他のPON、例えばITU−T勧告準拠のB−PONおよびG−PON、さらにはWDM−PONやCDM−PONにおいても本発明を適用できることは明らかである。また、図1に示したポイントツーポイントの通信を行う光ネットワークシステムにも本発明を適用できることは明らかである。
【0112】
(第2−1の実施形態)
まず、本発明によるONUの構成について、図9を用いて説明する。図9は、本発明によるONUの構成図である。
【0113】
[ONUの構成]
ONU10は、UNI101と、キュー管理部11と、PON信号処理部12と、PON−IF104と、観測部13と、休止判定部14と、休止部15とを備える。
【0114】
キュー管理部11は、後述するように、フレームごとにToSの値又はCoSの値の観測等を行う。
【0115】
PON信号処理部12は、MPCP基16と、OAM基17と、MAC基107と、PHY基108とを有し、後述するように、休止判定部14からスリープ要求メッセージを受けとる。該メッセージはOLTに送信される。
【0116】
観測部13は、トラヒックの監視を行う。例えば、フレームの到着間隔、使用帯域、バッファ内のキュー長の監視を一定時間t1の期間行う。また、通信トラヒックを監視し、特定の種類のトラヒックの有無を観測する。
【0117】
休止判定部14は、フレームの到着間隔や使用帯域、バッファ内のキュー長に対して閾値を設け、閾値以上であるか閾値以下であるかを判定することにより、無通信状態であるかを判断する。例えば、フレーム到着間隔の場合には閾値以上、使用帯域やキュー長の場合には閾値以下であることを無通信状態であることの判断基準とする。一定時間t1の期間無通信状態であると判断した場合には、データフレームの転送が終了した後にOLTへスリープ要求メッセージを送信する。OLTは、ONU10からスリープ要求メッセージを受信すると、確認応答(ACKメッセージ)をONU10に送信する。
【0118】
一定時間t1を、一定時間t2と同じか、または、一定時間t2より長く設定することで、フレームが平均フレーム間隔Tint周期で到着する場合に、平均キューイング遅延を小さく抑えることができる。例えば、Tintが5msの場合に、一定時間t1に5ms、一定時間t2に6msが設定されていたとすると、休止中に平均で1つ以上のフレームが到着する。一方、Tintが5msの場合に、一定時間t1に5ms、一定時間t2に4msが設定されていたとすると、休止中に平均で1つ以下のフレームしか到着しないので、前者に比べて平均キューイング遅延は小さくなる。平均キューイング遅延を小さく抑えつつ、最大限の省電力効果を得るためには一定時間t1及び一定時間t2をTintと同じ値に設定することが望ましい。
【0119】
また、休止判定部14は、特定の種類のトラヒックが存在する場合には、当該指定された種類のトラヒックを含むONU10の通信が一定時間t1の期間無通信状態になったかどうかに関わらず、ONU10の一部の機能を休止させない機能、又はONU10の一部の機能を一定時間t2の期間休止させて一定周期ごとに起動させる機能を有している。この場合、ONU10の一部の機能を休止させない場合にはスリープ中止要求メッセージを、ONU10の一部の機能を休止させる場合にはスリープ要求メッセージを、OLTへ送信してもよい。スリープ中止要求メッセージの送受信には、例えばMPCP基16やOAM基17を用いることができる。
【0120】
なお、ONU10がOLTに対してスリープ要求メッセージ又はスリープ中止要求メッセージを送信する代わりに、OLTが自律的にONU10の休止状態を判断してONU10が休止状態であることを推定するようにすることもできる。この場合、ONU10に実装されている観測部13及び休止判定部14をOLTにも実装し、ONU10ごとに特定のトラヒックを監視する。
【0121】
特定の種類のトラヒックの存在は、一定時間t3の期間、特定の種類のフレームを1つ以上観測したことを基準として判断することもできる。例えば、VoIPパケット(を載せたフレーム)は、20ms間隔で送信され、各々が最大±20msの到着時間差を有する。このため、一定時間t3を60〜220msとし、高優先のVoIP通信を特定のToS値又はCoS値で行うこととすれば、一定時間t3の間に少なくとも1個から10個のVoIPパケット(を載せたフレーム)観測できるので、高優先のVoIP通信が行われているかどうかを判断することができる。
【0122】
また、特定の種類のトラヒックの存在は、特定の種類のトラヒックのセッションが継続していることを基準として判断することもできる。例えば、VoIP通信を行う場合は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いて端末間のセッションの確立及び開放を行う。したがって、セッション開始時のINVITEメッセージ、セッション開放時のBYEメッセージをスヌーピングすることでセッションの継続を判断することができる。
【0123】
休止部15は、ONU10が確認応答(ACKメッセージ)を受信すると、ONU10の一部(例えば、キュー管理部11、PON信号処理部12、観測部13及び休止判定部14)の機能を一定時間t2の期間休止させる。そして、一定時間t2経過後に、休止していた一部の機能を起動させ、OLTに対してトラヒックの有無を確認する(トラヒック確認メッセージ)。無通信状態であれば(NOメッセージ)、一部の機能を一定時間t2の期間休止させ、フレーム到着があれば(YESメッセージ)、OLTとの通信を開始させる。
【0124】
また、休止部15は、UNI101からトラヒックが流入してきた場合、フレームの転送遅延を防止するため、休止している一部の機能を即座に起動させ、OLTへフレームを転送する機能を備えるのが好適である。また、上述した各メッセージ(スリープ要求メッセージ、ACKメッセージ、トラヒック確認メッセージ、NOメッセージ、及びYESメッセージ)の送受信には、例えばMPCP基16やOAM基17を用いることができる。
【0125】
以下では、例えば、無通信状態を使用帯域(トラヒック量)によって判定する場合について説明する。
【0126】
例えば、RTPやSIPを利用したVoIP通信などの高優先トラヒックのコネクションが存在する場合には、高優先トラヒックに対する通信品質を保持するために、いかなる場合でもONUの機能を休止させないことにする。
【0127】
このために、キュー管理部11は、IP(Internet Protocol)パケットのヘッダに格納されたToS値をフレームごとに観測する機能を具備し、VoIPトラヒックの有無を確認する。または、IPパケットのToS値をVLAN(Virtual LAN)タグ付きMACフレームに格納されるCoS値と一対一に対応するように運用し、CoS値をフレームごとに観測する機能を具備する。
【0128】
次に、ONU10の機能について図10を用いて説明する。図10は、ONU10機能ブロック図である。
【0129】
[ONUの機能]
図10では、キュー管理部11が、IPパケットのToS値をVLANタグ付きMACフレームのCoS値と一対一に対応するように運用し、CoS値をフレームごとに観測する場合について示している。キュー管理部11は、VLANタグの付与及び削除、ToS値とCoS値との対応付けを行う機能を有している。
【0130】
また、キュー管理部11は、VLANタグ内で指定されるVLAN−IDと、OLTから付与されたPONのLLID(Logical Link ID)とを対応させて通信を行うことを前提としている。LLIDとは、各ロジカルリンクに割り当てられる識別子である。
【0131】
観測部・休止判定部21は、観測部13及び休止判定部14の機能をまとめて1つのブロックで表したものである。観測部・休止判定部21は、トラヒック量及びトラヒックの優先度を観測し、それらに基づいて休止判定を行う。
【0132】
観測部・休止判定部21は、一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以下であり、かつ特定の優先度(ToS値又はCoS値)のトラヒックを観測しなかった場合は、休止するとの判定をし、スリープ要求メッセージを送信する(211)。なお、スリープ要求メッセージは、MPCPフレーム又はOAMフレームの1つとして定義される。
【0133】
一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度のトラヒックを観測した場合には、一部の機能を休止しないとの判定をし、一定時間t3の期間、スリープ要求メッセージを送信することなく、トラヒックの観測を継続する(212)。
【0134】
一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以上であった場合には、特定の優先度のトラヒックを観測したか否かにかかわらず、一部の機能を休止しないとの判定をする(213、214)。
【0135】
PON信号処理部12が有するMPCP/OAM基22は、MPCP基16又はOAM基17を表している。MPCP/OAM基22は、上り信号の場合には、VLAN−IDにLLIDを対応付け、下り信号の場合には、LLIDにVLAN−IDを対応付ける。また、観測部・休止判定部21からスリープ要求メッセージを受信した場合には、MPCPフレーム又はOAMフレームの1つとして送信する。
【0136】
また、観測部13は、休止判定部14における判断を向上させるために、ONU10において破棄されるフレームについて、通信トラヒックを監視する対象に含めないようにするのが好適である。
【0137】
あるいは、休止判定部14は、特定の種類のトラヒックが流通している場合であっても、特定の種類のトラヒックがONU10において破棄されるフレームの場合には、OLTに対してスリープ要求メッセージを送信することもできる。例えば、PONにおいてマルチキャスト通信を実現する方法として、OLTからブロードキャストフレームをすべてのONU10へ送信し、ONU10側でフレームの識別子を用いてフィルタリングする方法が考えられる。また、特定のプロトコルをフィルタリングするプロトコルフィルタがONUに実装されている場合にも同様に適用することができる。このように、マルチキャストフレームがPONを流通している場合であっても、無通信状態のONU10の一部の機能を休止させることができる。
【0138】
ここで、ONU10に接続されるOLTは、ONU10が休止状態であるときに該ONU10宛てのトラヒックが発生した場合、損失フレーム数をゼロに抑えるために、到着したフレームを一時的に格納するバッファ(バッファ容量は休止時間に転送可能な最大転送量とする)を備えるのが好適である。
【0139】
次に、ONU10の動作について、図11を用いて説明する。
【0140】
[ONUの動作]
図11は、ONU10の動作の一例を示したフローチャートである。まず、ステップS301では、観測部13により、計測時間Twが一定時間t1に設定される。そして、処理をステップS302に進める。
【0141】
ステップS302では、観測部13により、タイマーをリセットした後にタイマーを起動させる。そして、処理をステップS303に進める。
【0142】
ステップS303では、観測部13により、タイマー値が計測時間Tw以上であるか否かを判定する。タイマー値が計測時間Tw以上でない場合には(ステップS303−No)、処理をステップS304に進め、タイマー値が計測時間Tw以上になった場合には(ステップS303−Yes)、処理をステップS305に進める。
【0143】
ステップS304では、休止判定部14により、トラヒックの有無を判定する。トラヒックが有る場合には(ステップS304−Yes)、処理をステップS307に進め、トラヒックが無い場合には(ステップS304−No)、処理をステップS303に戻す。
【0144】
ステップS305では、計測時間Twの間トラヒックがないため、休止判定部14により、無通信状態であると判断し、スリープ要求メッセージをOLTに送信する。そして、処理をステップS306に進める。
【0145】
ステップS306では、休止部105により、一定時間t2の期間、ONUの一部の機能を休止し、一定時間t2の期間経過後に停止していた一部の機能を起動する。
【0146】
ステップS307では、休止判定部14により、トラヒックが特定の優先度のトラヒックであるか否かを判定する。トラヒックが特定の優先度のトラヒックである場合には(ステップS307−Yes)、処理をステップS308に進め、トラヒックが特定の優先度のトラヒックでない場合には(ステップS307−No)、処理をステップS309に進める。
【0147】
ステップS308では、観測部13により、計測時間Twを一定時間t3に設定する。そして、処理をステップS309に進める。計測時間Twを一定時間t3に設定するのは、トラヒックが特定の優先度のトラヒックである場合には、ステップS303においてt1の期間ではなくt3の期間トラヒックが無い場合に、処理をステップS305に進めるようにするためである。このようにすることで、トラヒックの種類によって計測時間Twを変え、一部の機能を休止させる条件を変更することができる。例えば、特定の種類のトラヒックが高優先のトラヒックの場合、t1>t3と設定することができる。また、特定の種類のトラヒックが低優先のトラヒックの場合、t3>t1と設定することができる。
【0148】
ステップS309では、ONU10はOLTと通信し、データを送受信する。そして、処理をステップS310に進める。
【0149】
ステップS310では、ONU10の電源がOFFにされたか否かを判定する。電源がOFFにされた場合には(ステップS310−Yes)、処理は終了し、電源がONの場合には(ステップS310−No)、処理をステップS302に戻す。
【0150】
本フローチャートは、一例として、特定の優先度のトラヒックを観測した後は、一定時間t3の期間、いずれのトラヒックも観測されなかった場合にスリープ要求メッセージを送信する動作例を示した。
【0151】
特定の優先度のトラヒックを観測後、一定時間t3の期間、特定の優先度のトラヒックが観測されなかった場合には、さらに一定時間t1の期間、いずれのトラヒックも観測されなければスリープ要求メッセージを送信する動作とすることもできる。この場合は、第2の時間計測手段(タイマー)を用い、特定の優先度のトラヒックを観測した際にこの第2の時間計測手段の値を0に設定(リセット)して起動し、第2の時間計測手段の値が一定時間t3以上となった時点で、計測時間Twを一定時間t1に設定し直すようにすればよい。
【0152】
第2−1の実施形態によれば、特定の種類のトラヒックの通信品質を劣化させることなく、ONU10の省電力化を図ることができるようになる。
【0153】
(第2−2の実施形態)
次に、ONU10の観測部13の観測方法を変形した例について、第2−2の実施形態として説明する。第2−1の実施形態と同じ部分については、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0154】
図12に、第2−2の実施形態のONU40の機能ブロック図を示す。第2−2の実施形態のONU40は、PON信号処理部12のMPCP基16で作成してOLTに送信されるレポートメッセージを用いて、上りトラヒックの有無を判断する。レポートメッセージは、ONU40に複数供えられたキューごとに送信待ちトラヒック量をOLTに報告するためのメッセージであり、各キューが各優先度(ToS値又はCoS値)に対応するように利用される。
【0155】
図13に、IEEE standard 802.3における、レポートメッセージのフレームフォーマットを示す。フォーマット中に示される「Queue #0 Report」〜「Queue #7 Report」の、0〜7を優先度の値として利用する。
【0156】
観測部・休止判定部21は、一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度(ToS値又はCoS値)のトラヒックを観測しなかった場合には、休止するとの判定をし、OLTへスリープ要求メッセージを送信する(411)。
【0157】
トラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度の下りトラヒック又は特定の優先度の上り送信待ちトラヒックを観測した場合には、一部の機能を休止しないとの判定をし、一定時間t3の期間、スリープ要求メッセージを送信することなく、下りトラヒックの観測、及び上り送信待ちトラヒックのレポートメッセージの判定を継続する(412)。
【0158】
一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以上であった場合には、特定の優先度のトラヒックを観測したか否かにかかわらず、一部の機能を休止しないとの判定をする(413、414)。
【0159】
なお、指定された種類のトラヒックを判別する際には、RTPやSIPなどのプロトコル情報を用いることができ、ToS値やCoS値などの優先度情報を任意に組み合わせて用いることもできる。
【0160】
第2−2の実施形態によれば、第2−1の実施形態と同様に、特定の種類のトラヒックの通信品質を劣化させることなく、ONU40の省電力化を図ることができるようになる。
【0161】
(第2−3の実施形態)
次に、第2−1の実施形態のONU10又は第2−2の実施形態のONU40において、休止判定部14の判定方法を変形した例について、第2−3の実施形態として説明する。本実施例では、例えばVoIPのように一定周期で転送されるフレームだけが存在する場合に、そのフレーム周期に同期した周期で間欠起動動作を行い、フレーム周期よりも小さい休止時間を設定することで、効率的にONUの省電力化を図るようにしたものである。トラヒックが全くない場合でも同じ周期で間欠起動動作を行う。
【0162】
図14に、本実施例の休止判定部14における判定方法を示す。
【0163】
本実施例の休止判定部14は、一定時間t1の期間トラヒックが無い場合には、一部の機能を休止するとの判定をする(61)。
【0164】
一方、一定時間t1の期間内にトラヒックが有る場合には、一定時間t3の期間、トラヒックの種類を判別する。トラヒックが特定の種類(例えば、VoIP)のトラヒックのみである場合には、一部の機能を休止するとの判定をし、スリープ要求メッセージを送信する(62)。トラヒックが特定の種類のトラヒック以外のトラヒックも含む場合には、一部の機能を休止しないとの判定をする(63,64)。
【0165】
休止判定部14は、ある特定の種類のトラヒックを観測した場合には第2−1の実施形態及び4に示した方法で休止判定を行い、別の特定の種類のトラヒックを観測した場合には第2−3の実施形態に示した方法で休止判定を行うようにすることもできる。
【0166】
第2−3の実施形態によれば、一定周期で転送されるフレームだけが存在する場合に、効率的にONUの省電力化を図ることができるようになる。
【0167】
上述の実施例は、個々に代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができ、更に、各実施例を組み合わせて別の実施例を実現することができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、各実施例に記載の観測部13及び休止判定部14を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0168】
なお、スリープ時に休止させる一部の機能の範囲については、特に制限はなく、回路の立ち上がり時間との兼ね合いで決定すればよいが、各実施例では、スリープ時に観測部13及び休止判定部14の各機能も休止させることを想定している。
【0169】
また、各実施例では、EPON及び10G−EPONの場合について記述したが、他のPON、例えばITU−T勧告準拠のB−PON及びG−PON、さらにはWDM−PONやCDM−PONにおいても本発明を適用できることは明らかである。また、図15に示したポイントツーポイント型の光ネットワークにも本発明を適用できることは明らかである。
【0170】
さらに、EPON又は10G−EPONにおける各実施例について、図面を参照して説明する。また、以下に述べる特定の種類のトラヒックとは、VoIPトラヒック、RTPトラヒック、及び特定の優先度を有するトラヒックのうちの少なくとも1つを含むものとする。
【0171】
(第3−1の実施形態)
まず、本発明によるOLTの構成について、図20を用いて説明する。図20は、本発明によるOLTの構成図である。
【0172】
[OLTの構成及]
OLT10は、PON−IF111と、PON信号処理部11と、キュー管理部12と、SNI114と、休止判定部13と、観測部14とを備える。
【0173】
PON信号処理部11は、MPCP基15と、帯域割当基116と、OAM基16と、MAC基118とPHY基119とを有し、後述するように、休止判定部13からスリープ指令メッセージを受けとる。該メッセージはONUに送信される。
【0174】
キュー管理部12は、後述するように、フレームごとにToS(Type of Service)の値又はCoS(Class of Service)の値の観測等を行う。
【0175】
観測部14は、トラヒックの監視をOLT10に接続されるONUごとに行う。例えば、フレームの到着間隔、使用帯域、バッファ内のキュー長の監視を一定時間t1の期間行う。また、OLT10に接続されるONUごとに通信トラヒックを監視し、特定の種類のトラヒックの有無を観測する。
【0176】
休止判定部13は、フレームの到着間隔や使用帯域、バッファ内のキュー長に対して閾値を設け、閾値以上であるか閾値以下であるかを判定することにより、無通信状態であるかを判断する。例えば、フレーム到着間隔の場合には閾値以上、使用帯域やキュー長の場合には閾値以下であることを無通信状態であることの判断基準とする。一定時間t1の期間無通信状態であると判断した場合には、データフレームの転送が終了した後にONUへスリープ指令メッセージを送信し、ONUの一部の機能を停止させる。
【0177】
また、休止判定部13は、特定の種類のトラヒックが存在する場合には、当該指定された種類のトラヒックを含むONUに対する通信が一定時間t1の期間無通信状態になったかどうかに関わらず、ONUの一部の機能を休止させない機能、又はONUの一部の機能を一定時間t2の期間休止させて一定周期ごとに起動させる機能を有している。この場合、ONUの一部の機能を休止させない場合にはスリープ中止メッセージを、ONUの一部の機能を休止させる場合にはスリープ指令メッセージをONUへ送信する。スリープ指令メッセージ及びスリープ中止メッセージの送受信には、例えばMPCP基15やOAM基16を用いることができる。
【0178】
一定時間t1を、一定時間t2と同じか、または、一定時間t2より長く設定することで、フレームが平均フレーム間隔Tint周期で到着する場合に、平均キューイング遅延を小さく抑えることができる。例えば、Tintが5msの場合に、一定時間t1に5ms、一定時間t2に6msが設定されていたとすると、休止中に平均で1つ以上のフレームが到着する。一方、Tintが5msの場合に、一定時間t1に5ms、一定時間t2に4msが設定されていたとすると、休止中に平均で1つ以下のフレームしか到着しないので、前者に比べて平均キューイング遅延は小さくなる。平均キューイング遅延を小さく抑えつつ、最大限の省電力効果を得るためには一定時間t1及び一定時間t2をTintと同じ値に設定することが望ましい。
【0179】
特定の種類のトラヒックの存在は、一定時間t3の期間、特定の種類のフレームを1つ以上観測したことを基準として判断することもできる。例えば、VoIPパケット(を載せたフレーム)は、20ms間隔で送信され、各々が最大±20msの到着時間差を有する。このため、一定時間t3を60〜220msとし、高優先のVoIP通信を特定のToS値又はCoS値で行うこととすれば、一定時間t3の間に少なくとも1個から10個のVoIPパケット(を載せたフレーム)観測できるので、高優先のVoIP通信が行われているかどうかを判断することができる。例えば、特定の種類のトラヒックが高優先のトラヒックの場合、t1>t3と設定することができる。また、特定の種類のトラヒックが低優先のトラヒックの場合、t3>t1と設定することができる。
【0180】
また、特定の種類のトラヒックの存在は、特定の種類のトラヒックのセッションが継続していることを基準として判断することもできる。例えば、VoIP通信を行う場合は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いて端末間のセッションの確立及び開放を行う。したがって、セッション開始時のINVITEメッセージ、セッション開放時のBYEメッセージをスヌーピングすることでセッションの継続を判断することができる。
【0181】
次に、本発明によるONUの構成について、図21を用いて説明する。図21は、本発明によるONUの構成図である。
【0182】
[ONUの構成]
ONU20は、UNI121と、キュー管理部122と、PON信号処理部21と、PON−IF124と、休止部22とを備える。
【0183】
PON信号処理部21は、MPCP基23と、OAM基24と、MAC基127と、PHY基128とを有し、後述するように、休止部22とメッセージのやりとりをする。
【0184】
休止部22は、OLT10からスリープ指令メッセージを受信すると、確認応答(ACKメッセージ)をOLT10に送信し、ONU20の一部(例えば、キュー管理部122及びPON信号処理部21)の機能を一定時間t2の期間休止させる。そして、一定時間t2経過後に、休止していた一部の機能を起動させ、OLT10に対してトラヒックの有無を確認する(トラヒック確認メッセージ)。無通信状態であれば(NOメッセージ)、一部の機能を一定時間t2の期間休止させ、フレーム到着があれば(YESメッセージ)、OLT10との通信を開始させる。
【0185】
また、休止部22は、UNI121からトラヒックが流入してきた場合、フレームの転送遅延を防止するため、休止している一部の機能を即座に起動させ、OLT10へフレームを転送する機能を備えるのが好適である。また、UNI121からのトラヒック流入が存在する場合、OLT10からのスリープ指令に対して拒否応答(NACKメッセージ)を返し、一部の機能の休止を中止するようにすることもできる。なお、上述した各メッセージ(ACKメッセージ、NACKメッセージ、トラヒック確認メッセージ、NOメッセージ、及びYESメッセージ)の送受信には、例えばMPCP基23やOAM基24を用いることができる。
【0186】
以下では、例えば、無通信状態を使用帯域(トラヒック量)によって判定する場合について説明する。
【0187】
例えば、RTPやSIPを利用したVoIP通信などの高優先トラヒックのコネクションが存在する場合には、高優先トラヒックに対する通信品質を保持するために、いかなる場合でもONU20の機能を休止させないことにする。
【0188】
このために、OLT10のキュー管理部12は、IP(Internet Protocol)パケットのヘッダに格納されたToS値をフレームごとに観測する機能を具備し、VoIPトラヒックの有無を確認する。または、IPパケットのToS値をVLAN(Virtual LAN)タグ付きMACフレームに格納されるCoS値と一対一に対応するように運用し、CoS値をフレームごとに観測する機能を具備する。
【0189】
次に、OLT10の機能について図22を用いて説明する。図22は、OLT10の機能ブロック図である。
【0190】
[OLTの機能]
図22では、キュー管理部12が、IPパケットのToS値をVLANタグ付きMACフレームに格納されるCoS値と一対一に対応するように運用し、CoS値をフレームごとに観測する場合について示している。
【0191】
また、キュー管理部12は、VLANタグ内で指定されるVLAN−IDと、PONのLLID(Logical Link ID)とを対応させて通信を行うことを前提としている。LLIDとは、各ロジカルリンクに割り当てられる識別子である。
【0192】
観測部・休止判定部31は、観測部14及び休止判定部13の機能をまとめて1つのブロックで表したものである。観測部・休止判定部31は、キュー管理部12で処理されるフレームのVLAN−IDごとに、トラヒック量及びトラヒックの優先度を観測し、それらに基づいて休止判定を行う。
【0193】
観測部・休止判定部31は、あるVLAN−IDに対し、一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度(ToS値又はCoS値)のトラヒックを観測しなかった場合には、一部の機能を休止するとの判定をし、対応するLLIDに対してスリープ指令メッセージを送信する(311)。スリープ指令メッセージは、MPCPフレーム又はOAMフレームの1つとして定義される。なお、311〜314中に示したkは、OLTに登録されている各ONUに対応する値であり、例えば、OLTにn台のONUが登録されている場合には、1≦k≦nの範囲の値となる。
【0194】
トラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度のトラヒックを観測した場合には、一部の機能を休止しないとの判定をし、一定時間t3の期間、スリープ指令メッセージを送信することなく、トラヒックの観測を継続する(312)。
【0195】
一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以上であった場合には、特定の優先度のトラヒックを観測したか否かにかかわらず、一部の機能を休止しないとの判定をする(313、314)。
【0196】
PON信号処理部11が有するMPCP/OAM基32は、MPCP基15又はOAM基16を表している。MPCP/OAM基32は、下り信号の場合には、VLAN−IDにLLIDを対応付け、上り信号の場合には、LLIDにVLAN−IDを対応付ける。また、観測部・休止判定部31からスリープ指令メッセージを受信した場合には、MPCPフレーム又はOAMフレームの1つとして送信する。
【0197】
ここで、OLT10は、ONU20が休止状態であるときに該ONU20宛てのトラヒックが発生した場合、損失フレーム数をゼロに抑えるために、到着したフレームを一時的に格納するバッファ(バッファ容量は休止時間に転送可能な最大転送量とする)を備えるのが好適である。
【0198】
また、観測部14は、休止判定部13の判断を向上させるために、ONU20において破棄されるフレームについて、通信トラヒックの種類を監視する対象に含めないようにするのが好適である。
【0199】
さらに、特定の種類のトラヒックが流通している場合であっても、特定の種類のトラヒックが当該ONU20において破棄されるフレームの場合には当該ONU20に対してスリープ指令メッセージを送信することもできる。例えば、PONにおいてマルチキャスト通信を実現する方法として、OLT10からブロードキャストフレームをすべてのONU20へ送信し、ONU20側でフレームの識別子を用いてフィルタリングする方法が考えられる。このような場合でも、OLT10はマルチキャスト通信を行う対象のONU20とフレーム識別子の対応テーブルを保持しているため、OLT10側で送信先ONU20を特定することができる。
【0200】
また、特定のプロトコルをフィルタリングするプロトコルフィルタがONU20に実装されている場合にもフィルタ情報をOLT10が保持していれば、同様に適用することができる。このように、マルチキャストフレームがPONを流通している場合であっても、無通信状態のONU20だけを選択し、該ONU20の一部の機能を休止させることができる。
【0201】
次に、OLT10及びONU20の動作ついて、図23及び図24を用いて説明する。
【0202】
[OLT及びONUの動作]
図23は、OLT10の動作の一例を示したフローチャートである。OLT10では各VLAN−IDごとに図23の処理が実行される。
【0203】
ステップS401では、観測部14により、計測時間Twが一定時間t1に設定される。そして、処理をステップS402に進める。
【0204】
ステップS402では、観測部14により、タイマーをリセットした後にタイマーを起動させる。そして、処理をステップS403に進める。
【0205】
ステップS403では、観測部14により、タイマー値が計測時間Tw以上であるか否かを判定する。タイマー値が計測時間Tw以上でない場合には(ステップS403−No)、処理をステップS404に進め、タイマー値が計測時間Tw以上になった場合には(ステップS403−Yes)、処理をステップS405に進める。
【0206】
ステップS404では、休止判定部13により、トラヒックの有無を判定する。トラヒックが有る場合には(ステップS404−Yes)、処理をステップS407に進め、トラヒックが無い場合には(ステップS404−No)、処理をステップS403に戻す。
【0207】
ステップS405では、計測時間Twの間トラヒックがないため、休止判定部13により、無通信状態であると判断し、スリープ指令メッセージをONU20に送信する。そして、処理をステップS406に進める。
【0208】
ステップS406では、観測部14により、ONU20からトラヒック確認メッセージを受信したか否かを判定する。ONU20からトラヒック確認メッセージを受信した場合には(ステップS406−Yes)、処理をステップS401に戻し、トラヒック確認メッセージを受信していない場合には(ステップS406−No)、処理をステップS406に戻す。すなわち、ONU20からトラヒック確認メッセージを受信するまでの間、処理を停止する。
【0209】
ステップS407では、休止判定部13により、トラヒックが特定の優先度のトラヒックであるか否かを判定する。トラヒックが特定の優先度のトラヒックである場合には(ステップS407−Yes)、処理をステップS408に進め、トラヒックが特定の優先度のトラヒックでない場合には(ステップS407−No)、処理をステップS409に進める。
【0210】
ステップS408では、観測部14により、計測時間Twを一定時間t3に設定する。そして、処理をステップS409に進める。計測時間Twを一定時間t3に設定するのは、トラヒックが特定の優先度のトラヒックである場合には、ステップS403においてt1の期間ではなくt3の期間トラヒックが無い場合に、処理をステップS405に進めるようにするためである。このようにすることで、トラヒックの種類によって計測時間Twを変え、ONUの一部の機能を休止させる条件を変更することができる。
【0211】
ステップS409では、OLT10はONU20と通信し、データを送受信する。そして、処理をステップS410に進める。
【0212】
ステップS410では、OLT10がONU20と接続されているか否かを判定する。ONU20と接続されている場合には(ステップS410−Yes)、処理をステップS402に戻す。ONU20と接続されていない場合には(ステップS410−No)、処理は終了する。
【0213】
本フローチャートは、一例として、特定の優先度のトラヒックを観測した後は、一定時間t3の期間、いずれのトラヒックも観測されなかった場合にスリープ指令メッセージを送信する動作例を示した。
【0214】
特定の優先度のトラヒックを観測後、一定時間t3の期間、特定の優先度のトラヒックが観測されなかった場合には、さらに一定時間t1の期間、いずれのトラヒックも観測されなければスリープ指令メッセージを送信する動作とすることもできる。この場合は、第2の時間計測手段(タイマー)を用い、特定の優先度のトラヒックを観測した際にこの第2の時間計測手段の値を0に設定(リセット)して起動し、第2の時間計測手段の値が一定時間t3以上となった時点で、計測時間Twを一定時間t1に設定し直すようにすればよい。
【0215】
図24は、ONU20の動作の一例を示したフローチャートである。まず、ステップS501では、休止部22により、トラヒックの有無を判定する。トラヒックが有る場合には(ステップS501−Yes)、処理をステップS502に進め、トラヒックが無い場合には(ステップS501−No)、処理をステップS503に進める。
【0216】
ステップS502では、ONU20はOLT10と通信し、データを送受信する。そして、処理をステップS505に進める。
【0217】
ステップS503では、休止部22により、OLT10からスリープ指令メッセージを受信したか否かを判定する。スリープ指令メッセージを受信した場合には(ステップS503−Yes)、処理をステップS504に進め、スリープ指令メッセージを受信していない場合には(ステップS503−No)、処理をステップS505に進める。
【0218】
ステップS504では、休止部22により、一定時間t2の期間、ONU20の一部の機能を休止し、一定時間t2の期間経過後に停止していた一部の機能を起動する。そして、処理をステップS505に進める。
【0219】
ステップS505では、ONU20の電源がOFFにされたか否かを判定する。電源がOFFにされた場合には(ステップS505−Yes)、処理は終了し、電源がONの場合には(ステップS505−No)、処理をステップS501に戻す。
【0220】
第3−1の実施形態によれば、特定の種類のトラヒックの通信品質を劣化させることなく、ONU20の省電力化を図ることができるようになる。
【0221】
(第3−2の実施形態)
次に、OLT10の観測部14の観測方法を変形した例について、第3−2の実施形態として説明する。第3−1の実施形態と同じ部分については、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0222】
図25に、第3−2の実施形態のOLT60の機能ブロック図を示す。第3−2の実施形態のOLT60は、上りトラヒックの有無を、各ONU20から受信するレポートメッセージを用いて判断する。レポートメッセージは、ONU20に複数供えられたキューごとに送信待ちトラヒック量をOLT60に報告するためのメッセージで、各キューが各優先度(ToS値又はCoS値)に対応するように利用される。
【0223】
図26に、IEEE standard 802.3における、レポートメッセージのフレームフォーマットを示す。フォーマット中に示される「Queue #0 Report」〜「Queue #7 Report」の、0〜7を優先度の値として利用する。
【0224】
観測部・休止判定部31は、LLIDの値ごとにトラヒック量及びトラヒックの優先度を観測し、それらに基づいて休止判定を行う。
【0225】
観測部・休止判定部31は、あるLLIDに対し、一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度(ToS値又はCoS値)のトラヒックを観測しなかった場合には、一部の機能を休止するとの判定をし、対応するLLIDに対してスリープ指令メッセージを送信する(611)。なお、611〜614中に示したkは、OLT60に登録されている各ONU20に対応する値であり、例えば、OLT60にn台のONU20が登録されている場合には、1≦k≦nの範囲の値となる。
【0226】
トラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度の下りトラヒック又は特定の優先度の上り送信待ちトラヒックを観測した場合には、一部の機能を休止しないとの判定をし、一定時間t3の期間、スリープ指令メッセージを送信することなく、下りトラヒックの観測、及び上り送信待ちトラヒックのレポートメッセージの判定を継続する(612)。
特定の優先度の上り送信待ちトラヒックは、レポートメッセージから判断される。
【0227】
一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以上であった場合には、特定の優先度のトラヒックを観測したか否かにかかわらず、一部の機能を休止しないとの判定をする(613、614)。
【0228】
なお、指定された種類のトラヒックを判別する際には、RTPやSIPなどのプロトコル情報を用いることができ、Tos値やCoS値などの優先度情報を任意に組み合わせて用いることもできる。
【0229】
第3−2の実施形態によれば、特定の種類のトラヒックの通信品質を劣化させることなく、ONU20の省電力化を図ることができるようになる。
【0230】
(第3−3の実施形態)
次に、第3−1の実施形態のOLT10又は第3−2の実施形態のOLT60において、休止判定部13の判定方法を変形した例について、第3−3の実施形態として説明する。本実施例では、例えばVoIPのように一定周期で転送されるフレームだけが存在する場合に、そのフレーム周期に同期した周期で間欠起動動作を行い、フレーム周期よりも小さい休止時間を設定することで、効率的にONU20の省電力化を図るようにしたものである。トラヒックが全くない場合でも同じ周期で間欠起動動作を行う。
【0231】
図27に、本実施例の休止判定部13における判定方法を示す。81〜84中に示されるkは、OLT10又は60に登録されている各ONU20に対応する値であり、例えば、OLTにn台のONUが登録されている場合には、1≦k≦nの範囲の値となる。
【0232】
本実施例の休止判定部13は、あるVLAN−ID(又はLLID)に対して、一定時間t1の期間トラヒックが無い場合には、一部の機能を休止するとの判定をする(81)。
【0233】
一方、一定時間t1の期間内にトラヒックが有る場合には、一定時間t3の期間、トラヒックの種類を判別する。トラヒックが特定の種類(例えば、VoIP)のトラヒックのみである場合には、一部の機能を休止するとの判定をし、スリープ指令メッセージを送信する(82)。トラヒックが特定の種類のトラヒック以外のトラヒックも含む場合には、休止しないとの判定をする(83、84)。
【0234】
休止判定部13は、ある特定の種類のトラヒックを観測した場合には第3−1及び第3−2の実施形態に示した方法で休止判定を行い、別の特定の種類のトラヒックを観測した場合には第3−3の実施形態に示した方法で休止判定を行うようにすることもできる。
【0235】
第3−3の実施形態によれば、一定周期で転送されるフレームだけが存在する場合に、効率的にONUの省電力化を図ることができるようになる。
【0236】
上述の実施例は、個々に代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができ、更に、各実施例を組み合わせて別の実施例を実現することができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、各実施例に記載の観測部14及び休止判定部13を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0237】
なお、スリープ時に休止させる一部の機能の範囲については、特に制限はなく、回路の立ち上がり時間との兼ね合いで決定すればよい。
【0238】
また、各実施例では、EPON及び10G−EPONの場合について記述したが、他のPON、例えばITU−T勧告準拠のB−PON及びG−PON、さらにはWDM−PONやCDM−PONにおいても本発明を適用できることは明らかである。また、図26に示したポイントツーポイント型の光ネットワークにも本発明を適用できることは明らかである。
【0239】
(第4の実施形態)
本実施形態の光ネットワークは、1つの光加入者線終端装置(OLT)が1つ又は複数の光ネットワーク終端装置(ONU)と光ファイバ伝送路を介してポイントツーポイント又はポイントツーマルチポイントの通信を行う光ネットワークであって、フレームの到着間隔、フローの使用帯域、フレームを一時的に格納するキューのキュー長、トラヒック種別のうちのいずれか、または全ての情報を観測する観測手段と、前記観測手段によって得られた情報に基づいて、前記ONUの一部の機能を休止させたスリープ状態を維持する期間であるスリープ時間を動的に決定する休止判定手段を備え、通信が終了した直後、あるいは通信が終了した後の一定の待機時間経過後、あるいは通信が終了した後の前記情報に基づいて決定された待機時間の経過後に前記ONUをスリープ状態へ移行させることを特徴とする。
【0240】
図37に示した自律型間欠起動方式を用いる場合の本発明によるONUの構成を図39に示す。
【0241】
ONU70は、UNI701と、キュー管理部71と、PON信号処理部72と、PON−IF704と、観測部73と、休止判定部74と、休止部75とを備える。
【0242】
キュー管理部71は、OLTへ送信するフレーム(上りフレーム)およびOLTから受信したフレーム(下りフレーム)を一時的に格納する。
【0243】
PON信号処理部72は、MPCP基76と、OAM基77と、MAC基707と、PHY基708とを有する。
【0244】
観測部73は、トラヒックの監視を行う。例えば、下りフレームの到着間隔、使用帯域、バッファ内のキュー長、トラヒック種別の監視を一定時間t1の期間行う。
【0245】
休止判定部74は、前記フレームの到着間隔、使用帯域、バッファ内のキュー長、トラヒック種別に基づいて前記スリープ時間および前記待機時間を決定し、一定時間t1の期間無通信状態であると判断した場合には、データフレームの転送が終了した後にOLTへスリープ要求メッセージを送信する。OLTは、ONU70からスリープ要求メッセージを受信すると、確認応答(ACKメッセージ)をONU70に送信する。
【0246】
休止部75は、ONU70が確認応答(ACKメッセージ)を受信すると、ONU70の一部(例えば、キュー管理部71、PON信号処理部72、観測部73及び休止判定部74)の機能をスリープ時間の期間休止させる。そして、スリープ時間経過後に、休止していた一部の機能を起動させ、OLTに対してトラヒックの有無を確認する(トラヒック確認メッセージ)。無通信状態であれば(NOメッセージ)、一部の機能をスリープ時間の期間休止させ、フレーム到着があれば(YESメッセージ)、OLTとの通信を開始させる。
【0247】
また、休止部75は、UNI701からトラヒックが流入してきた場合、フレームの転送遅延を防止するため、休止している一部の機能を即座に起動させ、OLTへフレームを転送する機能を備えるのが好適である。また、上述した各メッセージ(スリープ要求メッセージ、ACKメッセージ、トラヒック確認メッセージ、NOメッセージ、及びYESメッセージ)の送受信には、例えばMPCP基76やOAM基77を用いることができる。
【0248】
図38に示したマスタ・スレーブ型間欠起動方式を用いる場合の本発明によるOLTの構成を図40に示す。
【0249】
OLT80は、PON−IF811と、PON信号処理部81と、キュー管理部82と、SNI814と、休止判定部83と、観測部84とを備える。
【0250】
PON信号処理部81は、MPCP基85と、帯域割当基816と、OAM基86と、MAC基818とPHY基819とを有し、後述するように、休止判定部83からスリープ指令メッセージを受けとる。該メッセージはONUに送信される。
【0251】
キュー管理部82は、ONUへ送信するフレームおよびONUから受信したフレームを一時的に格納する。
【0252】
観測部84は、トラヒックの監視をOLT80に接続されるONUごとに行う。例えば、下りフレームの到着間隔、使用帯域、バッファ内のキュー長、トラヒック種別の監視を一定時間t1の期間行う。
【0253】
休止判定部83は、フレームの到着間隔、使用帯域、バッファ内のキュー長、トラヒック種別に基づいて前記スリープ時間および前記待機時間を決定し、一定時間t1の期間無通信状態であると判断した場合には、データフレームの転送が終了した後にONUへスリープ指令メッセージを送信し、ONUの一部の機能を停止させる。なお、スリープ指令メッセージ中に、前記スリープ時間および/または前記待機時間の情報を含めることが好ましい。
【0254】
図38に示したマスタ・スレーブ型間欠起動方式を用いる場合の本発明によるONUの構成を図41に示す。
【0255】
ONU90は、UNI921と、キュー管理部922と、PON信号処理部91と、PON−IF924と、休止部92とを備える。
【0256】
PON信号処理部91は、MPCP基93と、OAM基94と、MAC基927と、PHY基928とを有し、後述するように、休止部92とメッセージのやりとりをする。
【0257】
休止部92は、OLT80からスリープ指令メッセージを受信すると、確認応答(ACKメッセージ)をOLT80に送信し、ONU90の一部(例えば、キュー管理部922及びPON信号処理部91)の機能をスリープ時間の期間休止させる。そして、スリープ時間経過後に、休止していた一部の機能を起動させ、OLT80に対してトラヒックの有無を確認する(トラヒック確認メッセージ)。無通信状態であれば(NOメッセージ)、一部の機能をスリープ時間の期間休止させ、フレーム到着があれば(YESメッセージ)、OLT80との通信を開始させる。
【0258】
また、休止部92は、UNI921からトラヒックが流入してきた場合、フレームの転送遅延を防止するため、休止している一部の機能を即座に起動させ、OLT80へフレームを転送する機能を備えるのが好適である。また、UNI921からのトラヒック流入が存在する場合、OLT80からのスリープ指令に対して拒否応答(NACKメッセージ)を返し、一部の機能の休止を中止するようにすることもできる。なお、上述した各メッセージ(ACKメッセージ、NACKメッセージ、トラヒック確認メッセージ、NOメッセージ、及びYESメッセージ)の送受信には、例えばMPCP基93やOAM基94を用いることができる。
【0259】
以上のように、本実施形態の光ネットワークは、フレーム到着間隔、使用帯域、バッファ内のキュー長、トラヒック種別などのトラヒック特性に応じてONUの一部の機能を休止させたスリープ状態を維持する期間であるスリープ時間を動的に決定することで光ネットワークの効率的な省電力化を図る。
【0260】
休止判定部83は、前記スリープ時間に上限値と下限値を設ける。そして、休止判定部83は、観測部84によって得られたフレームの到着間隔がフレーム到着間隔のしきい値未満の場合、前記使用帯域が使用帯域のしきい値より大きい場合、及び前記キュー長がキュー長のしきい値より大きい場合の少なくとも一つの場合にはONUに通常状態を維持させる。一方、休止判定部83は、観測部84によって得られたフレーム到着間隔のしきい値以上の場合、前記使用帯域が使用帯域のしきい値以下の場合、及び前記キュー長がキュー長のしきい値以下の場合の少なくとも一つの場合にはONUをスリープ状態に移行させ、さらにスリープ時間を前記上限値と下限値の間の値に設定する。
【0261】
休止判定部83は、観測部84によって得られたフレームの到着間隔がフレーム到着間隔のしきい値以上の場合に、前記スリープ時間を次式を用いて算出する。
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×f(p)
f(p)=(1−(Th1/p))
または
f(p)=(p−Th1)/(Th1’−Th1)
(ここで、T1はスリープ時間、Tminはスリープ時間の下限値、Tmaxはスリープ時間の上限値、Th1はフレーム到着間隔のしきい値、pはフレーム到着間隔、Th1’はフレーム到着間隔の上限しきい値を表す)
【0262】
休止判定部83は、観測部84によって得られたフレームの使用帯域が使用帯域のしきい値以下の場合に、前記スリープ時間を次式を用いて算出する。
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×f(B)
f(B)=(1−(B/Th2))
または
f(B)=(Th2−B)/(Th2−Th2’)
(ここで、T1はスリープ時間、Tminはスリープ時間の下限値、Tmaxはスリープ時間の上限値、Th2は使用帯域のしきい値、Bは使用帯域、Th2’は使用帯域の下限しきい値を表す)
【0263】
休止判定部83は、観測部84によって得られたキュー長がキュー長のしきい値以下の場合に、前記スリープ時間を次式を用いて算出する。
T1=Tmin+(Tmax−Tmin)×f(q)
f(q)=(1−(q/Th3))
または
f(q)=(Th3−q)/(Th3−Th3’)
(ここで、T1はスリープ時間、Tminはスリープ時間の下限値、Tmaxはスリープ時間の上限値、Th3はキュー長のしきい値、qはキュー長、Th3’はキュー長の下限しきい値を表す)
【0264】
また、 休止判定部83は、フレームの到着間隔、使用帯域、キュー長の少なくとも一つに、過去の一定期間に得られた情報の平均値を用いることが好ましい。
【0265】
また、マスタ・スレーブ型間欠起動方式の場合のOLT又は自律型間欠起動方式の場合のONUにおいて、観測部84によって特定の種別のトラヒックが観測された場合には休止判定部83はONUの一部の機能を休止させないと判定する機能を有する。
【0266】
また、OLTやONUにおいて、観測部84は、前記特定の種別のフレームの観測に、ToS(Type of Service)の値若しくはCoS(Class of Service)の値、および/またはOLTに送信されるレポートメッセージを用いることを特徴とする。
【0267】
また、観測部84は、ONU内で破棄されるフレームについては観測しないことを特徴とする。
【0268】
前記特定の種別のトラヒックは、VoIP(Voice over Internet Protocol)トラヒック、RTP(Realtime Transport Protocol)トラヒック、及び特定の優先度を有するトラヒックのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0269】
また、ONUは、一部の機能を休止させること、又は一部の機能を休止させないことを、OLTへ通知する機能を有することを特徴とする。
【0270】
また、休止部92は、一部の機能を休止させている間に該ONUに接続された端末からフレームを受信した場合には、休止している一部の機能を即座に起動させる機能を有することを特徴とする。
【0271】
さらに、OLTは、ONUが一部の機能を休止させている間に、該ONU宛のトラヒックが発生した場合、到着したフレームを一時的に格納する手段を備えることを特徴とする。
【0272】
尚、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成を削除してもよい。さらに、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0273】
(図1〜8において)
1,14 PON−IFポート
2,13 PON信号処理手段
3,12 キュー管理手段
4 SNIポート
5,7 観測手段
6 計算手段
8 テーブル対応手段
10,20 OLT
11 UNIポート
15 スリープ手段
30 ONU
101,204 PON−IFポート
102,203 PON信号処理手段
103,202 キュー管理手段
104 SNIポート
100 OLT
201 UNIポート
200 ONU
(図9〜19において)
10 ONU
11 キュー管理部
12 PON信号処理部
13 観測部
14 休止判定部
15 休止部
21 観測部・休止判定部
22 MPCP/OAM基
40 ONU
41 観測部・休止判定部
71 ONU
72 光ファイバ伝送路
73 OLT
81〜8n ONU
810 スプリッタ
820 光ファイバ伝送路
830 OLT
90 OLT
91 PON−IF
92 PON信号処理部
93 キュー管理部
94 SNI
95 MPCP基
96 帯域割当基
97 OAM基
98 MAC基
99 PHY基
100 ONU
101 UNI
102 キュー管理部
103 PON信号処理部
104 PON−IF
105 MPCP基
106 OAM基
107 MAC基
108 PHY基
(図20〜32において)
10 OLT
11 PON信号処理部
12 キュー管理部
13 休止判定部
14 観測部
15 MPCP基
16 OAM基
20 ONU
21 PON信号処理部
22 休止部
23 MPCP基
24 OAM基
31 観測部・休止判定部
32 MPCP/OAM基
60 OLT
61 観測部・休止判定部
91 ONU
92 光ファイバ伝送路
93 OLT
101〜10n ONU
1010 スプリッタ
1020 光ファイバ伝送路
1030 OLT
110 OLT
111 PON−IF
112 PON信号処理部
113 キュー管理部
114 SNI
115 MPCP基
116 帯域割当基
117 OAM基
118 MAC基
119 PHY基
120 ONU
121 UNI
122 キュー管理部
123 PON信号処理部
124 PON−IF
125 MPCP基
126 OAM基
127 MAC基
128 PHY基
(図33〜41において)
11 ONU
12 光ファイバ伝送路
13 OLT
21、22、・・・、2n(nは任意の自然数) ONU
210 スプリッタ
220 光ファイバ伝送路
230 OLT
30 OLT
31 PON−IF
32 PON信号処理部
33 キュー管理部
34 SNI
35 MPCP基
36 帯域割当基
37 OAM基
38 MAC基
39 PHY基
40 ONU
41 UNI
42 キュー管理部
43 PON信号処理部
44 PON−IF
45 MPCP基
46 OAM基
47 MAC基
48 PHY基
51 第1の通信装置
52 第2の通信装置
61 第3の通信装置
62 第4の通信装置
70 ONU
71 キュー管理部
72 PON信号処理部
73 観測部
74 休止判定部
75 休止部
76 MPCP基
77 OAM基
701 UNI
704 PON−IF
707 MAC基
708 PHY基
80 OLT
81 PON信号処理部
82 キュー管理部
83 休止判定部
84 観測部
85 MPCP基
86 OAM基
811 PON−IF
814 SNI
818 MAC基
819 PHY基
90 ONU
91 PON信号処理部
92 休止部
93 MPCP基
94 OAM基
921 UNI
922 キュー管理部
924 PON−IF
927 MAC基
928 PHY基

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの光加入者線終端装置(OLT)が1つ又は複数の光ネットワーク終端装置(ONU)と光ファイバ伝送路を介してポイントツーポイント又はポイントツーマルチポイントの通信を行う光ネットワークにて、前記光ネットワークの省電力化を図るOLTであって、
該OLTに接続されるONUに対するトラヒックごとに、第1の所定時間内におけるトラヒックの量、及び前記第1の所定時間内における1種類以上の特定の種類のトラヒックの有無を観測する観測手段と、
前記観測手段が観測したトラヒックの量及び特定の種類のトラヒックの有無に基づき、
前記ONUの一部の機能を休止するか否かを判定する休止判定手段と、
を備えることを特徴とする光加入者線終端装置。
【請求項2】
前記休止判定手段は、前記観測手段が観測したトラヒックの量が閾値以下であっても、
前記特定の種類のトラヒックが有る場合には休止しないと判定する機能を有することを特徴とする、請求項1に記載の光加入者線終端装置。
【請求項3】
前記休止判定手段は、前記観測手段が観測したトラヒックの量が閾値以上であっても、
前記トラヒックが一定周期で転送される特定の種類のトラヒックのみである場合には休止すると判定する機能を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光加入者線終端装置。
【請求項4】
前記休止判定手段は、前記観測手段が前記第1の所定時間内に前記特定の種類のトラヒックに対応するフレームを1つ以上観測したこと、又は前記第1の所定時間内に前記特定の種類のトラヒックのセッションが継続していることを観測した場合に、前記特定の種類のトラヒックが有ると判断することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の光加入者線終端装置。
【請求項5】
前記観測手段は、前記特定の種類のフレームの観測に、ToS(Type of Service)の値若しくはCoS(Class of Service)の値、及び/又はONUから受信されるレポートメッセージを用いることを特徴とする、請求項4に記載の光加入者線終端装置。
【請求項6】
前記観測手段は、前記ONU内で破棄されるフレームについては観測しないことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の光加入者線終端装置。
【請求項7】
前記特定の種類のトラヒックは、VoIP(Voice over Internet Protocol)トラヒック、RTP(Realtime Transport Protocol)トラヒック、及び特定の優先度を有するトラヒックのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の光加入者線終端装置。
【請求項8】
前記ONUが休止状態であるときに当該ONU宛のトラヒックが発生した場合、到着したフレームを一時的に格納する手段を更に備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の光加入者線終端装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の光加入者線終端装置に接続されるONUであって、
前記OLTの休止判定手段が休止すると判定した場合には、該ONUの一部の機能を第2の所定時間休止させる休止手段を備えることを特徴とする光ネットワーク終端装置。
【請求項10】
前記休止手段は、一部の機能を休止させている間に該ONUに接続された端末からフレームを受信した場合には、休止している一部の機能を即座に起動させる機能を有することを特徴とする、請求項9に記載の光ネットワーク終端装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−51740(P2013−51740A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−269140(P2012−269140)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2011−501569(P2011−501569)の分割
【原出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】