光化学プロセスのための方法および装置
本発明は、光化学プロセス、例えば光触媒プロセスおよび/または光合成プロセス、特に、好ましくは光合成微生物の培養および生産または水栽培のための方法および装置に関する。少なくとも1つの反応器要素(2)から成る反応器、特にバイオソーラー反応器(1)が設けられている。反応器要素(2)は、直立し下側で連結された2本の管(3)から構成される。さらに、インレット(4)もアウトレット(5)も反応器の上縁に設けられている。反応媒体(6)の蛇行状の誘導は、垂直にまたはある角度で傾斜して、少なくとも1回、上から下にまたは重力方向に、そして下から上にまたは反重力方向に行われる。反応媒体(6)の反応器内への導入または反応器からの排出も、好ましくは連続的に、圧力なしで、大気に開放して、上側の反応媒体表面の上方に行われ、その際、流体静力学的圧力および液面均衡に基づき、微生物にとってストレスのない反応媒体(6)の流れが生成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光化学プロセス、例えば光触媒プロセスおよび/または光合成プロセス、特に、好ましくは光合成微生物(phototrophen, Mikroorganismen)の培養および生産または水栽培のための方法に関し、その際、反応媒体、例えば水性の溶液または懸濁液が反応器内で蛇行状に誘導される。さらに本発明はこの方法を実施するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ国特許出願公開第4134813A1号(特許文献1)から、光合成微生物のための、ガラスまたはプラスチックから成るバイオ反応器が知られている。培地は、ポンプで搬送されてバイオ反応器を通されるか、または水平に配置したウェブプレートによって蛇行状に下へと導かれる。さらにウェブ材には渦流を生成する手段が取り付けられている。この方法に対応して二酸化炭素は上に導かれ、稼働には自然光または人工光が使用される。このバイオ反応器は、光源に対して直角に設置されるか、または光源をトラッキングする。
【0003】
さらに、英国特許出願公開第2235210A号(特許文献2)およびドイツ国特許第19644992C1号(特許文献3)からも、光合成微生物または光触媒プロセスのためのバイオ反応器が知られている。
【0004】
欧州特許出願公開第738686A1号(特許文献4)からは、処理すべき液体が、透明なプラスチックから成るウェブマルチプレートを通って誘導される、バイオ反応器内での光触媒による下水処理が知られている。温度調節のために、市販の半透明なマルチウェブプレートを使用することができる。
【0005】
さらに、国際公開第98/18903号(特許文献5)には、少なくとも3つのベルトを備えたマルチウェブプレートから成り、能動的または受動的に温度調節可能な、ソーラー素子が記載されている。反応器内の層は、光化学プロセスまたは光合成プロセスのために交互に利用される。その際、封止された端面および水平に配置されたウェブプレートを備えた閉じた反応器内で、培地は蛇行状に下へと導かれる。
【0006】
アルキメディアン・スクリューおよびダ・ヴィンチの螺旋も、当然ながら、例えばFlorian Manfred Graetz“Teilautomatische Generierung von Stromlauf− und Fluidplaenen fuer mechatronische Systeme (Diss. Muenchen Techn. Univ. 2006)ISBN 10 3−8316−0643−9(非特許文献1)から知られている。
【0007】
それだけでなく、ドイツ国特許第19507149C2号(特許文献6)からは、樋と、電流を得るための発電機とを備えた螺旋水車が知られている。ドイツ国特許第4139134C2(特許文献7)からは、エネルギー変換のための螺旋水車が知られている。
【0008】
もちろん流体静力学的な力の釣合いが、流体静力学のパラドックスとして知られており、パスカルのパラドックスとも言われる。この流体静力学的な力の釣合いとは、液体は液体の充填高さに応じて容器の底に静水圧を生じさせるが、容器の形状は何らの影響も及ぼさないという一見パラドックスのように思われる現象を表している。
【0009】
連通した容器または連通した管とは、上では開いており下では連結された複数の容器のことである。気圧および重力がそれらの容器に同じように作用するので、均質な流体は複数の容器内で同じ高さである。不均質な液体の場合、液カラムの高さは液体の比重と逆の挙動をとる。
【0010】
上に挙げた幾つかの方法においてもそうであるように、通常はソーラー反応器内での輸送は商用のポンプ方法によって実施される。この手段は、高圧によってであれ、負圧によってであれ、強い加速によってであれ、または圧潰によってであれ、反応媒体中の微生物にとってストレスの原因となる。このストレスに曝されると、たいていの光合成微生物はその潜在的な光合成能力を低下させる。細胞が破壊され、損傷され、かつ/または微生物が、割り当てられたプロセスを完全に再開できるようになる前に再生のための時間および/または代謝生成物を必要とする。同様に、このストレスに曝されると、たいていの光化学プロセスはその潜在的な光触媒能力を低下させる。なぜなら分子が破壊され、もしくは損傷され、かつ/または分子が、割り当てられたプロセスを完全に再開できるようになる前に時間および/またはさらなる酸化剤を必要とするからである。
【0011】
さらにドイツ国特許第2951700C2号(特許文献8)からは、腕木の軸に吊るして建物に取り付けるソーラー発電装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第4134813A1号
【特許文献2】英国特許出願公開第2235210A号
【特許文献3】ドイツ国特許第19644992C1号
【特許文献4】欧州特許出願公開第738686A1号
【特許文献5】国際公開第98/18903号
【特許文献6】ドイツ国特許第19507149C2号
【特許文献7】ドイツ国特許第4139134C2号
【特許文献8】ドイツ国特許第2951700C2号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Florian Manfred Graetz“Teilautomatische Generierung von Stromlauf− und Fluidplaenen fuer mechatronische Systeme (Diss. Muenchen Techn. Univ. 2006)ISBN 10 3−8316−0643−9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、一方では上述の欠点を回避し、他方では生産または収穫の質的および、とりわけ量的な向上を可能にする、冒頭に引用した種類の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による方法は、反応媒体の蛇行状の誘導が、垂直にまたはある角度で傾けて、少なくとも1回、上から下までまたは重力方向に、そして下から上までまたは反重力方向に行われること、そしてその反応媒体の反応器内への導入も、そしてその反応器からの排出も、好ましくは連続的に、加圧せずに、かつ大気に開放された状態で、反応媒体表面上より上で行い、その際、流体静力学的圧力−および液面均衡(Niveauausgleich)に基づき、微生物にとってストレスのない反応媒体の流れを生じさせることを特徴とする。本発明により、微生物にとって優しい輸送を達成することが初めて可能になり、したがって微生物の生産方法の過程での損傷が回避される。もちろん反応器要素が満たされていることを前提として、上の液面の領域内で反応媒体を制御して導入することにより、反応器要素を通る反応媒体の貫流速度を定めることができる。反応媒体は、直立し相互に結合された反応器要素を通って蛇行状に流れる。反応器要素は、インレットおよびアウトレットが上に配置されるように相互に結合されている。反応器要素は、上に向かって完全にまたは部分的に開いている。貫流は、流体静力学的な圧力の釣合いを利用して、反応器全体における最小限の高さ損失で達成される。バイオソーラー反応器内で反応媒体がほとんど加圧および圧迫されずに輸送されることにより、反応プロセスの損傷は可能な限り小さくなる。
【0016】
本発明による方法は、例えば下記の適用範囲に使用することができる。
・廃水の光化学処理および/または光合成処理
・光合成微生物によるCO2の酸素への光合成代謝(photosynthetische Verstoffwechslung)
・研究目的のための光合成微生物の培養および生産
・光化学プロセスおよび/または光合成プロセスに関する研究
・食品生産物および食品原料のための光合成微生物の培養および生産
・製薬産業の原料のための光合成微生物の培養および生産
・動力用燃料製造およびエネルギー生産用の原料および燃料のための光合成微生物の培養および生産
・化学産業の原料のための光合成微生物の培養および生産
・光合成プロセス中に利用可能なガス(例えば水素)を放出する光合成微生物の培養および生産
【0017】
反応媒体が反応器要素を貫流する際に流体静力学的な力の均衡を利用することで、場合によっては、一緒に運搬される微生物が、ほぼストレスなしに輸送される。さらに、エネルギーの最適化、所定の光輸送、スペースの最適化(Platzoptimierung)、添加剤の供給、所定の温度調節、合目的的な制御、並びにガス排出の改善を達成することができる。
【0018】
本発明のさらなる特別な特徴によれば、液状および/またはガス状の添加剤、例えば栄養素溶液および/または酸化剤および/または作用物質および/またはプロセスを促進する溶解物質の、好ましくはプロセス中での連続式またはバッチ式投入が、好ましくは下側で、反応媒体が方向転換する区域内で実施される。これにより、栄養溶液およびプロセス促進溶液の、制御かつ最適化された投入、並びに栄養ガスおよびプロセスガスの制御かつ最適化された投入を実現することができる。反応媒体中への全ての干渉は、反応器要素の下側で行うことが好ましい。
【0019】
本発明のさらなる一形態によれば、液カラムの下端で添加剤を投入することにより、反応媒体中での添加剤の混合および均一な分布が生じる。これにより、上昇するガスによる反応媒体の乱流が生じる。
【0020】
本発明の特別な一発展形態によれば、投入可能な添加剤が、所定の温度で投入される。これにより、流入するガスおよび/または栄養素溶液を介した熱調節が達成される。
【0021】
本発明の特別な特徴によれば、液状および/またはガス状物質および/または添加剤の投入は、下側で、反応媒体が方向転換する区域内で実施され、その際、下から上まで、あるいは反重力方向に流れる反応媒体の領域内では、上から下までまたは重力方向に流れる反応媒体の領域内における場合よりも多量の液状および/またはガス状物質および/または添加剤が投入される。これにより、マンモスポンプ(Mammutpumpe)の作動方式に応じて、下から上まで貫流される管またはチャンバ内の液面が、一種の“ガスリフト効果”で、上から下まで貫流される管またはチャンバと比較して、より上へと持ち上げられる。液面のこの差によって、そのようなユニットをいくつも相前後して接続し、そしてそれぞれの上昇管中により多くのガスを投入する場合に、液面を上昇させることができ、反応器の構造が液面の上昇を考慮に入れたものであれば、最後の管またはチャンバの終端において、最初の管またはチャンバと比較して液面を上昇させることができる。好ましくはガス状の添加剤のこの多量な投入にもかかわらず、微生物にとってストレスのない輸送が行われる。
【0022】
本発明のさらなる特別な特徴によれば、ガス状のプロセス生成物、例えば酸素の排出は、好ましくはプロセス中に、反応媒体表面より上方へ行われる。これにより、有害物質、制御かつ最適化された削減を達成することができ、その際、この最適化された排出は、ガス状のプロセス生成物の採集も可能にする。
【0023】
本発明の特別な発展形態の一つによれば、反応器は、地平線の太陽軌道の円弧全体にわたって、太陽光の照射に応じて回転可能に誘導または制御される。これにより、バイオソーラー反応器に対する太陽光照射の最適化が達成される。それによって、様々なバイオソーラー反応器における最も異なる使用のための光合成微生物が、光合成プロセスのための、種および所望の培養結果に相応しい、最適化された自然照明を見出す。さらに、これは、日中のおよび/または変化する光の割合に順応することができる。より良好な光の利用あるいは強い照射からの保護のいずれか一方のために、太陽光照射に対する微生物の露光を増やすことも減らすことも可能である。
【0024】
さらに、本発明の方法を実施するための装置を提供することも本発明の課題である。
【0025】
上記の方法を実施するための、管から成る反応器、特にバイオ反応器が設けられた、本発明による装置であって、その反応器が、少なくとも1つの反応器要素から成り、この反応器要素が、直立した、下方連結された2つの管から成り、そしてインレットもアウトレットもその反応器の上縁に設けられていることを特徴とする、上記装置である。
【0026】
上記の方法を実施するための、反応器、特にバイオ反応器がウェブプレートまたはウェブマルチプレート(Steg− bzw. Stegmehrfachplatten)から成る要素が設けられた、別の本発明による装置であって、その反応器が、少なくとも1つの該反応器要素から成り、その反応器要素が、好ましくは長方形で直立した、ウェブプレートまたはウェブマルチプレートから形成された2つのチャンバから形成され、該反応器は底部が開放された隔壁によって形成されており、そしてインレットもアウトレットも、前記反応器の上縁に設けられていることを特徴とする、上記装置。
【0027】
この反応器、特にバイオ反応器は、透明な、半透明な、コーティングされた、およびコーティングされていない材料から成ることができる。同様に、管またはウェブプレートは、ガラス、または光もしくはUV光を透過するプラスチック、例えばポリメチルメタクリレートから成るものでよい。反応器要素は、市場から入手可能な、場合によっては加工された部品だけでなく、上述の条件を満たす専用に製造された部品からも製造することができる。この反応器要素は、上から下までそして下から上までの連続的な蛇行状の貫流が保証されるように配置される。反応器への流入口および/または反応器からの流出口は上方の領域内に取り付けられる。
【0028】
反応媒体は、反応器内に入った後、流体静力学的な力の均衡によって、反応器全体を垂直に蛇行状に流れる。最後の反応器要素中に到達すると、反応媒体は流体静力学的バイオ反応器を出て、圧力なしにおよび/または非加圧で、熟成槽または回収容器または別の反応器へと導かれる。回収容器から、反応媒体を最終処理するか、またはストレスなしでの中間貯蔵またはさらなる処理へと送ることができる。
【0029】
本発明の特別な特徴によれば、2つまたはより多くの反応器要素を結合して1つの反応器パネルにする場合、反応器要素間の隔壁は、反応器要素の管またはチャンバの間の隔壁より低く形成されており、これにより、反応器要素中の液位がその反応器要素間の隔壁より高い場合に、オーバーフロー口および/または連通口が生じる。反応器要素は、連通した容器のように形成されている。このように反応器要素を直列に接続して反応器パネルにすることによって、所定の貫流区間を作り出すことができる。
【0030】
それぞれの光光合成生物または光化学的要求に適合し、プロセス結果に対応する、全反応器中での最適な滞留期間は、次のパラメータによる影響を受ける場合がある。
・貫流速度
・反応器要素の断面積
・反応器要素の高さ
・投入されるガス状でない物質の数および性質
吹き込まれたガスの性質、数、密度、および圧力
・蛇行状の誘導部へと結合された反応器要素の数
・プロセス排ガスを排出する手段
・プロセス温度
・滞留期間および光に対する位置
・熟成槽および/または暗槽(Dunkeltank)中での滞在期間
【0031】
プロセス全体について、場合によっては、理想的には、そして、相当する構造上の実情の場合、インレットからアウトレットまで1回で連続的に媒体を輸送することが可能である。
【0032】
本発明の特別な形態の一つによれば、好ましくは直列に相互接続された反応器パネルが、枠状の収容機構中で互いに平行に、好ましくは固定して組み立てられて1つの反応器に構成され、この反応器は、少なくとも1つの、好ましくは垂直な軸にわたって、回転機構を用いて光が照射するように調節可能であり、その際、反応器はとりわけ起立させて、懸架されて、あるいは浮揚体上に浮遊させて設けられる。このような収容機構および支承部によって、太陽光照射に対して任意の角度を取ることができる。太陽軌道または太陽追従に対応する制御により、光の最適化が達成される。規定の使用例のために、回避させるかまたは陰にすることによって、例えば正午における照射を減らすことができる。
【0033】
光合成微生物は、表面付近の区域中でだけ、最適な光合成プロセスを経て、UV放射が多すぎると栄養摂取および分裂が妨害妨されるため、反応器要素中では外側区域だけでなく内側へも導くのが有利である。
【0034】
過度に強烈な直射UV光は、微生物の成長を害するかまたは妨げ、そして反応媒体の温度を理想的な程度より上昇させるため、この反応媒体を再び冷却しなければならない。反応媒体の混合によって、全ての光合成微生物が、その反応器要素の外壁付近の光領域に十分に達する。
【0035】
光触媒による酸化の場合、反応器要素内部全ての分子が、その反応器要素の外壁付近の光領域に導かれるのが有利である。
【0036】
反応器の光源に対するほぼ平行な配置および/または反応器の太陽光照射に対する平行な追従は大部分十分であり、そのため非常により良好なスペース利用が可能になる。
【0037】
さらに、ほぼ平行に入射した光は、反応器表面から部分的に反射して、そして対向する反応器がその反射光を利用できるようになる。
【0038】
太陽光照射が弱い場合、地理的状況が悪い場合、あるいは光をとりわけ必要とする光合成微生物もしくは光触媒プロセスの場合、任意の角度で光源に向けて置かれた反応器を選択できる。
【0039】
バイオソーラー反応器の太陽追従を可能にする好ましい変形において、バイオソーラー反応器は、ソーラー部品の上および場合によっては下に固定して取り付けられ、したがって、ソーラー部品が太陽放射に追従するとき、反応器パネルがそれらの位置を互いに変化させるのではなく、ソーラー部品全体が回転する。平坦な、または1つの管に統合された、透明、半透明、コーティングされる、そしてコーティングされることができる反応器パネルが、静止している培地中でバッチ式におよび/または流れている培地中で連続式に微生物を培養するのに適するように配置される。
【0040】
本発明の発展形の一つによれば、太陽軌道を捕捉するためにセンサが設けられ、このセンサを介して反応器に対する光照射のために回転運動の制御が行われる。太陽軌道は適切なセンサによって検出され、そして同期した、または任意に所定の回転運動として反応器に伝達される。もちろん経緯度、時刻、および日付に関するデータも制御のために利用できる。
【0041】
本発明の特別な発展形の一つによれば、反応器に対する光照射が人工照明によって行われる。反応器にエネルギーを供給でき、そして光合成微生物に有利な照明媒体を取り付けることも可能であるように、反応器をあるやり方および方法で組み立てることができる。
【0042】
本発明の特別な一形態によれば、複数の反応器から成る設備において、光照射のための回転運動が、好ましくは全ての反応器について同期されている。複数の反応器から成る設備において、反応器パネルを太陽光照射に対してほぼ平行に置くことによって、基本構成に応じて、さらに背後にある反応器が影にならないように、設備全体の全ての反応器の回転を同期させることができる。これにより、理想的な太陽光の取り入れを保証することができる。
【0043】
本発明の一発形に応じて、反応器パネルおよび/または反応器の少なくとも一部、特に外面を光反射性に仕上げる。これにより、自然照明または人工照明の効率を高めることができる。
【0044】
本発明のさらなる特別な特徴によれば、連続式またはバッチ式に導入するために、添加剤、例えば栄養素の溶液および/または栄養素のガス、および/または酸化剤、および/または作用物質、および/またはプロセスを促進する溶解物質および/または溶解ガスを、好ましくはプロセス中に、反応器の下側で、反応媒体が方向転換する区域中に、少なくとも1つの導入口を設ける。
【0045】
反応媒体は、反応器中へ進入する前に、選択的に、微生物の要求またはプロセスの要求に応じて、液体に溶解された物質と混合することができ、および/または反応器中を通過中に、流動性の栄養素または酸化剤を供給することができる。
【0046】
光合成プロセス中での、微生物の成長により低下された反応媒体中の栄養素含有量は、栄養素溶液の連続式および/またはバッチ式導入によって補償することができる。
【0047】
光化学プロセス中に連続反応により低下していく反応媒体中の効率も同様に、さらなる作用物質の連続式および/またはバッチ式の導入によって調整することができる。
【0048】
流動性の栄養素または酸化剤を導入するには、反応器要素の下側で、制御可能な弁を介して供給することができる。反応媒体の蛇行状の誘導および/または流動性の作用物質の上昇により、反応器全体内における優れた混合および分布が生じる。
【0049】
もちろんこのようにして、ガス状の栄養素、酸化剤、または作用物質を導入することもできる。
【0050】
導入されたガスは、ガス小泡の上昇による反応器内面のセルフクリーニングを生じさせる。プロセスの進捗を検査するための試料の採取位置も同様に、反応器要素の下部に設けられている。
【0051】
本発明の特別な特徴によれば、反応器要素および/または反応器パネル内の方向転換区域中で添加剤を導入するために、好ましくは貫通した管、特に微小な穿孔を有するガス管を配置するための穿孔が設けられている。このガス管は、反応器パネルのそれぞれの反応器要素中のガス処理および反応媒体の混合が確保されるように、穿孔の配置を有する。
【0052】
本発明の特別な一形態によれば、ガス管は、下から上にまたは反重力向に流れる反応媒体の範囲中では、上から下にまたは重力方向に流れる反応媒体の範囲内よりも多数のおよび/またはより大径の微細孔を備えている。これにより、上述の“ガスリフト効果”が設備技術的に達成される。
【0053】
本発明の発展した一形態によれば、ガス管は両端に雄ねじ山および/または雌ねじ山を備えている。ガス管は、例えば、接ぎナット(Ueberwurfmutter)によって構造ユニットに対して気密に密閉できるように製造されている。この接ぎナットの少なくとも1つは、ガス導管のための接続部を備えている。
【0054】
さらに、ガス管はその雌ねじ山を介して結合部材を備えることができ、この結合部材はさらなるガス管にねじで取り付けることができる。
【0055】
交換のためには、一方の側で接ぎナットを外し、結合部材を取り付け、新しいガス管を結合部材の他方の端部に取り付ける。新しいガス管により、交換すべきガス管は構造ユニットを通って押し出され、その際に同時に、交換すべきガス管があった位置に新しいガス管が来る。こうして、最小限のガス損失または液体損失で、交換すべきガス管が新しいガス管により、構造ユニットを通って確実に押し出される。この実施形態は、稼働を中断せずに、またはプロセスを最小限しか妨げずに、ガス注入装置を保守または変更することを可能にする。
【0056】
本発明のさらなる特別な特徴によれば、ガス状のプロセス生成物、例えば酸素を好ましくはプロセス中に排出するために排出口が設けられており、この排出口は、反応媒体表面または反応器要素の上面より上に設けられている。ガス状のプロセス生成物、例えば光合成プロセスまたは光化学プロセス中に生じる代謝生成物は、反応器要素中で加圧されることがないため、反応媒体中を自由に上昇することができる。
【0057】
反応器要素が、上に向かって完全にまたは部分的に開いている構造であることにより、ガス状のプロセス生成物の排出および/または吸引が可能である。
【0058】
プロセス排ガスの排出は、プロセス中に発生して上昇する気泡によって促進され、および/または、場合によっては、補足的に吹き込まれたガスによって制御される。
【0059】
本発明の一形態によれば、ガス状のプロセス生成物を排出するために、反応媒体表面または反応器要素の上面より上に設けられた採集機構が排出口を備えている。これにより、ガス状のプロセス生成物を採集することができ、場合によっては、そのプロセス生成物をさらなる利用または廃棄処理に送ることができる。蒸発および/または噴霧損失による反応媒体の損失ならびに制御されたガスの放出、ならびに採集もまた、閉鎖的な構造方式によって可能である。
【0060】
本発明の有利な発展した一形態によれば、インレットの上流および/またはアウトレットの下流にサイフォンが設けられている。反応器への導入口は上の範囲内に取り付けられている。反応媒体をサイフォンにより、加圧されずまたは圧力なしで、場合によっては気密に最初の反応器要素に送ることができ、反応器の下流の別のサイフォンにより、圧力なしで、場合によっては気密に排出することができる。
【0061】
本発明の特別な特徴によれば、反応器内および反応器間で反応媒体を輸送するために、アルキメディアン・スクリューまたはダ・ヴィンチの螺旋が設けられている。このような機構では、1つまたは複数のチューブまたはウェブが、軸上に一重または多重に支承され、螺旋状に巻き付けられており、任意の技術、例えばねじ留め、接着などで安定に固定されている。それぞれのチューブまたはウェブは両端で開いている。この輸送要素は、チューブまたはウェブの下端が反応媒体を容器から汲み取るように位置合わせされ、支承される。ただしチューブまたはウェブは、回転のたびにチューブ端部またはウェブが、反応媒体の外で表面より上に達する程度にしか反応媒体中に潜り込んでいない。
【0062】
遠心力を実質的に生じさせない螺旋方向での遅い回転により、反応媒体は、流体静力学的圧力の均衡を利用して、チューブまたはウェブのそれぞれ下半分において、スクリューの上端へ輸送される。回転のたびに、一番上にある半巻き部内に存在する液体が解放され、出発容器に比べてより高いところにある容器内に落下する。輸送装置を選択的に完全にまたは部分的に密閉することにより、霧散損失および/またはガス排出を回避することができる。
【0063】
図面に示した例示的実施形態に基づき、本発明をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、管から成るバイオ反応器を示す図である。
【図2】図2は、図1に応じた平面図である。
【図3】図3は、図1に応じた側面図である。
【図4】図4は、ウェブプレートから成るバイオ反応器を示す図である。
【図5】図5は、図4に応じた平面図である。
【図6】図5は、図4に応じた側面図である。
【図7】図7は、管の概略図である。
【図8】図8は、“ガスリフト”効果に関する原理を示す図である。
【図9】図9は、“ガスリフト”効果の使用に関する原理を示す図である。
【図10】図10は、“ガスリフト”効果の使用に関する原理を示す図である。
【図11】図11は、アルキメデスの螺旋を備えたバイオ反応器を示す図である。
【図12】図12は、バイオソーラー反応器を示す図である。
【図13】図13は、バイオ反応器への太陽光照射の概略図である。
【図14】図14は、バイオ反応器への太陽光照射の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1〜図3によれば、反応器、特にバイオソーラー反応器1は、少なくとも1つの反応器要素2から成り、この反応器要素は、直立した、下方連結された2つの管3から構成されている。インレット4もアウトレット5も、反応器の上縁に設けられている。バイオソーラー反応器1の構造について、多数の反応器要素2が直列に接続されて、その際、常に1つのアウトレット5が1つのインレット4につながっている。
【0066】
そのようなバイオソーラー反応器1は、光化学プロセス、例えば、光触媒プロセスおよび/または光合成プロセス、特に、好ましくは光合成微生物の培養および生産または水栽培のための方法に使用される。バイオソーラー反応器1は、その運転のために反応媒体6、例えば、水溶液または懸濁液で満たされる。運転中、バイオソーラー反応器1はその最初のインレット4を介してしか供給がなされない。反応媒体6の誘導および/または流れの方向は、直立に、好ましくは垂直に、反応器要素2中で上から下までそして下から上まで1回で行われる。相互に結合された複数の反応器要素2が相前後した配置の場合、反応媒体6は蛇行状に反応器を通って流れる。反応媒体6のバイオソーラー反応器1中への導入または供給、および/またはバイオソーラー反応器1から排出も、好ましくは連続的に、加圧されずに、大気に開放されて、反応媒体表面上より上で、または液面上の僅かに上方で、または液面上の範囲内で行われる。
【0067】
したがって、反応器要素2は、連通した管3として蛇行状に相互に連結されており、その際、インレット4およびアウトレット5は上方にある。反応器要素2は、完全にまたは部分的に、必要に応じて上方に向かって開いている。流体静力学的圧力−および液面均衡に基づいて、インレット4における反応媒体6の供給によって反応媒体6の流れが生じる。このことは、本発明の方法において、微生物にとってストレスのない反応媒体6の流れが生じることを意味している。これにより、さらなるエネルギーを供給する必要なく、個々の反応器要素2の間の自由な流れが可能になる。反応媒体6は、インレット4とアウトレット5の間の高さの差を補償しようとする液体の傾向において、最小限の高さ損失でもって蛇行状に反応器を通って移動する。
【0068】
図4〜図6に従って、バイオソーラー反応器1の代替的な構造様式を示す。このバイオソーラー反応器1は、ウェブプレートまたはウェブマルチプレート7から成る。この構造様式では、反応器要素2が、長方形で直立した、ウェブプレートまたはウェブマルチプレート7から形成された2つのチャンバ8から形成され、この反応器は、底部が開放された隔壁9によって形成されている。導入または供給のためのインレット4も、アウトレット5も、反応器の上縁に設けられている。図4に従って説明した例示的な実施形態では、2つの反応器要素2が既に結合されている。
【0069】
2つまたはより多くの反応器要素2を結合する場合、反応器要素の隔壁10は、反応器要素2の管3またはチャンバ8の間の隔壁9より低く形成される。これにより、反応器要素2内の液位が反応器要素2の間の隔壁10より高い場合に、溢流口および/または連通口が生じる。これにより、プロセスステップ間でのポンピングを最も先まで(weitestgehend)必要とすることがないために、エネルギー消費が最小化され、そして任意に多数の、同一または異なるプロセスステップを、同じ貫流高さで相互に連結することができる。
【0070】
個々の反応器要素2は、透明または半透明、または必要であれば遮光性にも仕上げることができる。材料としては、ガラスまたはUV透過性プラスチック、例えば、ポリメチルメタクリレートを使用することができる。
【0071】
このバイオソーラー反応器1の充填ならびに運転は、図1〜図3での実施形態と同様に行われる。
【0072】
後にもより詳細に取り上げるが、反応器要素2への光照射のために、図6によれば、傾斜した反応器が示されている。この反応器はある角度で傾斜しているが、反応媒体6は上から下にまたは重力方向に、そして下から上にまたは反重力方向に1回で流れる。
【0073】
図1および図4によれば、添加剤12、例えば、栄養素の溶液もしくはガスおよび/または酸化剤および/または作用物質および/またはプロセスを促進する溶解物質もしくはガスを、好ましくはプロセス中に、連続式またはバッチ式で導入するために、反応器の下側で、反応媒体6が方向転換する区域中に、導入口11、例えば制御可能な弁が、が少なくとも1つ設けられている。
【0074】
上記の方法に対応して、反応媒体6は、選択的に、反応器内に進入する前に、CO2または別のガスで飽和される。その飽和度はプロセスの要求に応じて濃縮され、および/または反応器中での滞留の間に、CO2または別のガスを供給される。光合成プロセス中の微生物の絶え間ない成長により低下していく、反応媒体6中のCO2含有量は、CO2の連続式またはバッチ式の導入によって補うことができる。
【0075】
光化学プロセス中の絶え間ない反応により低下していく反応媒体中での効率は、さらなる作用ガスの連続式および/またはバッチ式の導入によって補うことができる。
【0076】
図7に従って、導入口11を介して液カラムの下端で添加剤を導入することにより、反応媒体6中での添加剤の混合および均一な分布が生じる。
【0077】
添加剤12、例えば、流体およびガスの導入は、さらに光の供給を最適化する。というのも、反応媒体6中に発生する乱流のために、全ての分子または光合成微生物が、反応器要素2のうち光で満たされた外壁付近の光ゾーン(符号13で示す)に十分に導かれるからである。
【0078】
流体およびガスの導入は、反応媒体6中に乱流を生じさせて、それによりさらなる有利な効果が発揮される。つまりガス気泡の上昇によって反応器内面の連続的なクリーニングが行われる。
【0079】
さらに、導入される所定の流体およびガスにより、反応媒体6の加熱または冷却を行うこともできる。したがって導入される添加剤12を、反応媒体6の制御された温度調節のために利用することができる。
【0080】
図8によれば、液状および/またはガス状の物質または添加剤12の導入は、下側で、反応媒体6が方向転換する区域中で実施される。反応器の特別な一実施形態では、下から上までまたは反重力方向に流れる反応媒体6の範囲中では、上から下までまたは重力方向に流れる反応媒体6の範囲中よりも多量の液状および/またはガス状の物質または添加剤12が導入される。これにより、既に論じたように、マンモスポンプ(Mammutpumpe)の作動方式に応じて、下から上まで貫流される管3またはチャンバ内の液面が、一種の“ガスリフト効果”で、上から下まで貫流される管3またはチャンバに比べて、上昇する。液面のこの差aは、反応器要素2がいくつも相前後して接続されている場合、反応器の構造が液面の上昇を考慮に入れたものであるならば、それぞれの昇りの管3内により多くのガスを導入することで、最後の管3またはチャンバの終端での液面を、最初の管3またはチャンバの液面と比べて、より上昇させることができる。好ましくはガス状の、添加剤12を、増大して導入するにもかかわらず、微生物の輸送がストレスフリーで行われる。
【0081】
図9によれば、相前後して接続されている反応器要素2が同一の構造で製造されている場合、この反応器の構造は、例えば反応器の基本底面が同じ程度に上昇しているときに、この上昇を考慮に入れたものである。
【0082】
反応器パネル18がパネル軸に沿ってある角度で立っていると、“ガスリフト効果”を利用する際に下記の利点が生じる。
【0083】
媒体は、インレット4において反応器パネル18中へ導入され、この反応器パネルは、パネル軸に沿ってある角度で傾斜しており、これによりインレット4はアウトレット5より低くなっている。反応器パネル18のそれぞれの管の2つ目中で作用する“ガスリフト効果”により比較的高い水柱が形成され、より高い高さにもかかわらず、媒体は次の管中へ溢出することができ、そのように上昇して、連通している容器(Gefaesse)を形成できる。
【0084】
この傾斜は、最大でも、反応器要素2内の2つの液カラムを隔てるウェブ9を越えて逆流しない角度に設計されている。
【0085】
最大限可能な角度を超えると、反重力方向に流れる管3を通過した後に、媒体は、その前に媒体がウェブ9を越えて出て来た管中へ逆流してしまい、そのためガスリフト循環による閉じた循環運動が生じることになってしまう。
【0086】
反応器パネル18の傾斜およびガス圧またはガス量を変えることにより、“ガスリフト効果”の所望の強さを調節することができ、これにより、液の上縁の高さの上昇によって流速が制御される。
【0087】
さらなる応用例(図10)において、ガス注入が行われない、またはほとんど行われないため“ガスリフト効果”が生じない場合には、ある角度で傾斜させることによって流速を同様に制御することができる。
【0088】
反応媒体6は、インレット4から、パネル軸に沿ってある角度で傾斜した反応器パネル18中へ導入される。したがってこのインレット4はアウトレット5より高位にある。
【0089】
確かに、個々の反応器要素2の間では流体静力学的な液面均衡が常に作用しているが、反応器パネル18の個々の反応器要素2の内部では、それぞれに小さな勾配が生じており、この勾配が、反応器パネル18を通る流速に対して加速度的に影響を及ぼす。
【0090】
この傾斜は、反応器要素2内部の液カラムを隔てるウェブ9を越えてインレット4からアウトレット5への方向 に溢出しない最大角度で設計することができる。なぜなら、その場合には、管3中への流れが生じないばかりでなく、媒体がウェブ9の上の方だけを越えて流れてしまい、媒体が反応器要素2中に停滞してしまうことになるからである。
【0091】
反応器パネル18の傾斜およびガス圧/ガス量を変えることにより、所望の勾配を調節することができ、これにより、減少された液の上縁の高さによって流速が制御される。
【0092】
したがって“ガスリフト効果”は、下記の例において利用され得る。
【0093】
水の上縁の上昇の利用
・沈殿槽のための追加の高さ
・反応器相互間またはプロセスステップ間の流れ区間の乗り越えるべき追加の高さ
・下へ流れる水によるハイドロサイクロンの運転
・フィルタの通過
・反応媒体からの生成物の分離
・媒体を再利用するための浄化設備を、設備全体内でポンプのための追加のエネルギーを消費せずに通過
【0094】
水の上縁が一定であることの利用
・プロセスのその段階で超えるべき高さの損失がない
・流速の優れた制御
・そのプロセスでのガスの需要が少ない場合には、適度な乱流(光供給およびフィルム造形)および経済的な運転
【0095】
水の上縁が僅かに低下することの利用
・プロセスのその段階中で、乗り越えるべき高さの大きな損失がない(後に接続されたガスリフト)
・流速の優れた制御
・そのプロセスでのガスの需要がほとんどない場合には、乱流のために必要な最低限のガス注入(光供給およびフィルム造形)、およびそれによる経済的な運転
【0096】
経済的に意味のある場におけるガスリフト以外には、設備全体内において媒体を流動させるための追加のエネルギーを消費しなくてもいいように、設備全体を制御することが課題とされる。
【0097】
反応器要素2および/または反応器パネル18内の方向転換区域中に添加剤12を導入するために、好ましくは貫通した管、特に微細な穿孔22を備えたガス管21を配置するための穿孔20が設けられている。ガス状の添加剤12をより多く導入するために、ガス管21は、下から上までまたは反重力方向に流れる反応媒体6の範囲内には、上から下までまたは重力方向に流れる反応媒体6の範囲内よりも、多数のおよび/またはより大径の微細な穿孔22が存在する。
【0098】
ガス管21(図8)を迅速に交換するために、ガス管は両端に雄ねじ山および/または雌ねじ山23を備えている。ガス管21は例えば、接ぎナットを用いて構造ユニットに対して気密に密閉できるように製造されている。少なくとも、この接ぎナットの1つは、ガス導管のための接続部を備えている。
【0099】
さらにガス管にはその雌ねじ山を介して結合部材24を設けることができ、この結合部材はさらなるガス管21にねじで取り付けることができる。
【0100】
交換のためには、一方の側で接ぎナットを外し、結合部材24を取り付け、新しいガス管21を結合部材24のもう一方の端部に取り付ける。新しいガス管21により、取り替えるべきガス管21は構造ユニットを通って押し出され、その際に同時に、取り替えるべき管があった位置に新しいガス管が来る。こうして、最小限のガス損失または液体損失でもって、交換すべきガス管21が新しいガス管21により、構造ユニットを通って確実に押し出される。この実施形態は、運転を中断せずに、またはプロセスを最小限しか妨げずに、ガス注入装置を保守または変更することを可能にする。
【0101】
上記において指摘した“ガスリフト”に対する代替のまたは追加の手段として、図11によれば、バイオソーラー反応器1はアルキメディアン・スクリュー14を備えることができる。アルキメディアン・スクリュー14またはダ・ヴィンチの螺旋は、反応器内、および反応器部分間もしくは反応器間で反応媒体6を輸送するために用いられる。インレット4の前およびアウトレット5の後ろに1つずつサイフォン15が設けられている。
【0102】
もちろんサイフォン15は、アルキメディアン・スクリュー14とは関係なくインレット4の前または反応器からのアウトレット5の後ろに配置してもよい。サイフォン15により、反応媒体6を加圧せずにまたは圧力なしで最初の反応器要素2に送ることができる。
【0103】
アルキメディアン・スクリュー14またはダ・ヴィンチの螺旋は、連続的な光触媒プロセスおよび光合成プロセスならびにバイオソーラー反応器1内の輸送のための方法に使用することが好ましい。反応媒体6の輸送が、高さの差を乗り越えることを要する場合は特にそうである。アルキメディアン・スクリュー14またはダ・ヴィンチの螺旋を使用することにより、1回またはさらに複数回のストレスのない輸送が達成される。この機構は、下記の応用例に使用できる。
・反応媒体6が同じ反応器を複数回通過するための輸送
・1回または複数回通過する一連の、場合によっては異なる反応器間および/または熟成槽間の輸送
・反応媒体6を槽と任意のバイオ反応器との間における交互の1回または複数回の輸送
・反応媒体を槽間での1回または複数回の輸送
【0104】
既に簡単に述べたように、特に連続的な光化学プロセスまたは光合成プロセスには、バイオソーラー反応器1の後ろおよび/または前に、図示されていない熟成槽を設けることができる。この流体静力学的な熟成槽は、流体静力学的なバイオ反応器と類似の構造様式で、垂直方向の貫流を可能にする蛇行状の反応器要素2を備えている。休眠段階の光合成微生物は、適切な温度、栄養素、および物質代謝老廃物を放出する機会だけを必要とすることができるため、熟成槽は光不透過性の材料から製造できる。さらに、休眠時間を調整するため、およびスペースを節約するため、反応器要素2の断面積を、バイオ反応器に比べてより大きくすることができる。
【0105】
反応媒体6の所望のほぼ加圧されないまたは圧力なしの輸送は下記のように達成される。
【0106】
反応媒体6は、全輸送の間、輸送要素中で反応媒体6の自重によって生じる圧力以外の圧力に曝されない。減少された回転数によって、反応媒体6は、言うに値するほど、遠心力に曝されない。微生物の発育またはプロセスの進行が、輸送によって中断または妨げられない。“アルキメディアン・スクリュー”内またはダ・ヴィンチの螺旋内で流体静力学的圧力の均衡を利用することにより、加圧されない状態が維持される。プロセスは、ストレス、加速、および圧力を受けずに進行させることができる。
【0107】
反応媒体6は、全輸送の間、輸送要素中で反応媒体の自由な流れによって生じる抑圧(Appression)以外の高い抑圧に曝されない。微生物の発育またはプロセスの進行が、輸送によって中断または妨げられない。ポンプによるような、微生物の細胞壁または分子の摩擦傷および損傷が生じない。アルキメディアン・スクリュー内またはダ・ヴィンチの螺旋内で流体静力学的圧力の均衡を利用することにより、抑圧されない状態が維持される。
【0108】
ガス状のプロセス生成物、例えば酸素を好ましくはプロセス中に排出させるために、排出口16が設けられており、この排出口は、反応媒体表面または反応器要素の上面より上方に設けられている。このガス状のプロセス生成物を排出させるために、反応媒体6の液面または反応器要素の上面より上方に設けられた採集機構17は排出口16を備えることができる。
【0109】
図12によれば、バイオソーラー反応器1は、光照射のために変位可能に製造することができる。太陽光照射が弱い場合、地理的状況が悪い場合、または光が特に必要とされる光合成微生物もしくは光触媒プロセスの場合、バイオソーラー反応器1は、地平線の太陽軌道の円弧全体にわたり太陽光照射に対応して回転可能に誘導または制御される。
【0110】
好ましくは直列に相互に結合された反応器パネル18が、枠状の収容機構25中で互いにほぼ平行に、好ましくは固定して組み立てられて1つの反応器に構成されている。バイオソーラー反応器1は、少なくとも1つの好ましくは垂直な軸26を介して、回転機構によって光が照射するように変位可能であり、その際、反応器は特に起立させて、懸架されて、あるいは浮揚体上に浮遊させて設けることができる。
【0111】
太陽軌道を捉えるためにセンサを設けることができ、または経緯度、時刻、および日付に関するデータを利用することができ、このセンサを介して、反応器に光が照射するように回転運動の制御が行われる。
【0112】
種類(Ordnung)のために、反応器に対する光照射が人工照明によっても行えることに留意しなければならない。
【0113】
複数の反応器から成る設備では、光照射のための回転運動を、好ましくは全ての反応器について同期させることができる。
【0114】
光線をより良好に利用するために、反応器パネル18および/または反応器の少なくとも一部分、特に外面を光反射性に仕上げることもできる。
【0115】
図13によれば、反応器要素2から構成された反応器パネル18は、概略的に示した光線または太陽光線19がパネル軸に対してほぼ直角に当たるように配置されている。
【0116】
図14によれば、複数の好ましくは相互に結合された反応器パネル18が設けられており、この反応器パネルは、光線または太陽光線19がソーラーパネル軸に対してほぼ平行に延在するように配置されている。
【0117】
特殊な変形例の一つでは、反応器パネル18は垂直に懸架され、および/または上および/または下の保持具内で起立させ、または収容機構25内に取り付けられている。
【0118】
この保持具または収容機構25は、下記の機能を満たすことができる。
・太陽光照射に追従するための回転要素としての機能
・反応器を設備全体の別の部分に対して持ち上げるまたは下げる
・太陽に向けて反応器を傾けるための傾斜機能
・反応器パネル18を支える
・反応器パネル18を蛇行状に相互に結合させる
・個々の反応器要素を気密に密閉できる
・少なくとも1つの反応器パネル18を、パネル軸に沿ってある角度で傾ける
【0119】
上記の保持具は、少なくとも2つから任意に多数の反応器パネル18を1つの反応器として収容することができる。
【0120】
これは、反応器の狭い設置および/または相前後した配置を可能とし、そのため最大限のスペース利用が可能になる。
【0121】
本方法は、光の下での反応段階と暗闇での休眠段階の最適な組合せならびにストレスのない輸送を可能にする。
【0122】
こうして、連続的な1回通過のプロセス構造、またはモジュール式に制御された、個々の部分の複数回通過が可能になる。
【0123】
反応媒体6には、蓄積槽中で、本来の反応の前に生物反応に最初から有利に働く栄養素および栄養ガスを基礎供給することができる。下水処理または有害物質除去の場合、反応媒体中におけるそれぞれの有害物質の、最大限無理のない、最初の濃縮化を光合成微生物により行うことができる。
【0124】
反応媒体6は、理想的に温度調節可能であり、反応の目的に応じた光合成微生物または化学物質を所定量導入することができる。
【0125】
理想的な反応条件を維持するために、反応媒体6において、温度、プロセス流体含有量、プロセスガス含有量、循環、混合、光供給、および代謝生成物の排出を管理し制御することができる。
【0126】
上に示した方法は、下記の問題を有利なやり方で解決する。
・ソーラー反応器内での連続的な光触媒および光合成プロセスおよび輸送
・プロセス中の、制御され最適化されたエネルギー消費
・栄養溶液およびプロセス促進溶液の、制御され最適化された導入
・栄養ガスおよびプロセスガスの、制御され最適化された導入
・有害物質の、制御され最適化された低減
・ガス状のプロセス生成物の最適化された排出および採集
・制御され最適化された光の供給
・光誘導によるスペース使用の最小化
・制御され最適化されたプロセス温度
・反応媒体6中における微生物にとってストレスのない輸送
・流速の制御
【技術分野】
【0001】
本発明は、光化学プロセス、例えば光触媒プロセスおよび/または光合成プロセス、特に、好ましくは光合成微生物(phototrophen, Mikroorganismen)の培養および生産または水栽培のための方法に関し、その際、反応媒体、例えば水性の溶液または懸濁液が反応器内で蛇行状に誘導される。さらに本発明はこの方法を実施するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ国特許出願公開第4134813A1号(特許文献1)から、光合成微生物のための、ガラスまたはプラスチックから成るバイオ反応器が知られている。培地は、ポンプで搬送されてバイオ反応器を通されるか、または水平に配置したウェブプレートによって蛇行状に下へと導かれる。さらにウェブ材には渦流を生成する手段が取り付けられている。この方法に対応して二酸化炭素は上に導かれ、稼働には自然光または人工光が使用される。このバイオ反応器は、光源に対して直角に設置されるか、または光源をトラッキングする。
【0003】
さらに、英国特許出願公開第2235210A号(特許文献2)およびドイツ国特許第19644992C1号(特許文献3)からも、光合成微生物または光触媒プロセスのためのバイオ反応器が知られている。
【0004】
欧州特許出願公開第738686A1号(特許文献4)からは、処理すべき液体が、透明なプラスチックから成るウェブマルチプレートを通って誘導される、バイオ反応器内での光触媒による下水処理が知られている。温度調節のために、市販の半透明なマルチウェブプレートを使用することができる。
【0005】
さらに、国際公開第98/18903号(特許文献5)には、少なくとも3つのベルトを備えたマルチウェブプレートから成り、能動的または受動的に温度調節可能な、ソーラー素子が記載されている。反応器内の層は、光化学プロセスまたは光合成プロセスのために交互に利用される。その際、封止された端面および水平に配置されたウェブプレートを備えた閉じた反応器内で、培地は蛇行状に下へと導かれる。
【0006】
アルキメディアン・スクリューおよびダ・ヴィンチの螺旋も、当然ながら、例えばFlorian Manfred Graetz“Teilautomatische Generierung von Stromlauf− und Fluidplaenen fuer mechatronische Systeme (Diss. Muenchen Techn. Univ. 2006)ISBN 10 3−8316−0643−9(非特許文献1)から知られている。
【0007】
それだけでなく、ドイツ国特許第19507149C2号(特許文献6)からは、樋と、電流を得るための発電機とを備えた螺旋水車が知られている。ドイツ国特許第4139134C2(特許文献7)からは、エネルギー変換のための螺旋水車が知られている。
【0008】
もちろん流体静力学的な力の釣合いが、流体静力学のパラドックスとして知られており、パスカルのパラドックスとも言われる。この流体静力学的な力の釣合いとは、液体は液体の充填高さに応じて容器の底に静水圧を生じさせるが、容器の形状は何らの影響も及ぼさないという一見パラドックスのように思われる現象を表している。
【0009】
連通した容器または連通した管とは、上では開いており下では連結された複数の容器のことである。気圧および重力がそれらの容器に同じように作用するので、均質な流体は複数の容器内で同じ高さである。不均質な液体の場合、液カラムの高さは液体の比重と逆の挙動をとる。
【0010】
上に挙げた幾つかの方法においてもそうであるように、通常はソーラー反応器内での輸送は商用のポンプ方法によって実施される。この手段は、高圧によってであれ、負圧によってであれ、強い加速によってであれ、または圧潰によってであれ、反応媒体中の微生物にとってストレスの原因となる。このストレスに曝されると、たいていの光合成微生物はその潜在的な光合成能力を低下させる。細胞が破壊され、損傷され、かつ/または微生物が、割り当てられたプロセスを完全に再開できるようになる前に再生のための時間および/または代謝生成物を必要とする。同様に、このストレスに曝されると、たいていの光化学プロセスはその潜在的な光触媒能力を低下させる。なぜなら分子が破壊され、もしくは損傷され、かつ/または分子が、割り当てられたプロセスを完全に再開できるようになる前に時間および/またはさらなる酸化剤を必要とするからである。
【0011】
さらにドイツ国特許第2951700C2号(特許文献8)からは、腕木の軸に吊るして建物に取り付けるソーラー発電装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第4134813A1号
【特許文献2】英国特許出願公開第2235210A号
【特許文献3】ドイツ国特許第19644992C1号
【特許文献4】欧州特許出願公開第738686A1号
【特許文献5】国際公開第98/18903号
【特許文献6】ドイツ国特許第19507149C2号
【特許文献7】ドイツ国特許第4139134C2号
【特許文献8】ドイツ国特許第2951700C2号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Florian Manfred Graetz“Teilautomatische Generierung von Stromlauf− und Fluidplaenen fuer mechatronische Systeme (Diss. Muenchen Techn. Univ. 2006)ISBN 10 3−8316−0643−9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、一方では上述の欠点を回避し、他方では生産または収穫の質的および、とりわけ量的な向上を可能にする、冒頭に引用した種類の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による方法は、反応媒体の蛇行状の誘導が、垂直にまたはある角度で傾けて、少なくとも1回、上から下までまたは重力方向に、そして下から上までまたは反重力方向に行われること、そしてその反応媒体の反応器内への導入も、そしてその反応器からの排出も、好ましくは連続的に、加圧せずに、かつ大気に開放された状態で、反応媒体表面上より上で行い、その際、流体静力学的圧力−および液面均衡(Niveauausgleich)に基づき、微生物にとってストレスのない反応媒体の流れを生じさせることを特徴とする。本発明により、微生物にとって優しい輸送を達成することが初めて可能になり、したがって微生物の生産方法の過程での損傷が回避される。もちろん反応器要素が満たされていることを前提として、上の液面の領域内で反応媒体を制御して導入することにより、反応器要素を通る反応媒体の貫流速度を定めることができる。反応媒体は、直立し相互に結合された反応器要素を通って蛇行状に流れる。反応器要素は、インレットおよびアウトレットが上に配置されるように相互に結合されている。反応器要素は、上に向かって完全にまたは部分的に開いている。貫流は、流体静力学的な圧力の釣合いを利用して、反応器全体における最小限の高さ損失で達成される。バイオソーラー反応器内で反応媒体がほとんど加圧および圧迫されずに輸送されることにより、反応プロセスの損傷は可能な限り小さくなる。
【0016】
本発明による方法は、例えば下記の適用範囲に使用することができる。
・廃水の光化学処理および/または光合成処理
・光合成微生物によるCO2の酸素への光合成代謝(photosynthetische Verstoffwechslung)
・研究目的のための光合成微生物の培養および生産
・光化学プロセスおよび/または光合成プロセスに関する研究
・食品生産物および食品原料のための光合成微生物の培養および生産
・製薬産業の原料のための光合成微生物の培養および生産
・動力用燃料製造およびエネルギー生産用の原料および燃料のための光合成微生物の培養および生産
・化学産業の原料のための光合成微生物の培養および生産
・光合成プロセス中に利用可能なガス(例えば水素)を放出する光合成微生物の培養および生産
【0017】
反応媒体が反応器要素を貫流する際に流体静力学的な力の均衡を利用することで、場合によっては、一緒に運搬される微生物が、ほぼストレスなしに輸送される。さらに、エネルギーの最適化、所定の光輸送、スペースの最適化(Platzoptimierung)、添加剤の供給、所定の温度調節、合目的的な制御、並びにガス排出の改善を達成することができる。
【0018】
本発明のさらなる特別な特徴によれば、液状および/またはガス状の添加剤、例えば栄養素溶液および/または酸化剤および/または作用物質および/またはプロセスを促進する溶解物質の、好ましくはプロセス中での連続式またはバッチ式投入が、好ましくは下側で、反応媒体が方向転換する区域内で実施される。これにより、栄養溶液およびプロセス促進溶液の、制御かつ最適化された投入、並びに栄養ガスおよびプロセスガスの制御かつ最適化された投入を実現することができる。反応媒体中への全ての干渉は、反応器要素の下側で行うことが好ましい。
【0019】
本発明のさらなる一形態によれば、液カラムの下端で添加剤を投入することにより、反応媒体中での添加剤の混合および均一な分布が生じる。これにより、上昇するガスによる反応媒体の乱流が生じる。
【0020】
本発明の特別な一発展形態によれば、投入可能な添加剤が、所定の温度で投入される。これにより、流入するガスおよび/または栄養素溶液を介した熱調節が達成される。
【0021】
本発明の特別な特徴によれば、液状および/またはガス状物質および/または添加剤の投入は、下側で、反応媒体が方向転換する区域内で実施され、その際、下から上まで、あるいは反重力方向に流れる反応媒体の領域内では、上から下までまたは重力方向に流れる反応媒体の領域内における場合よりも多量の液状および/またはガス状物質および/または添加剤が投入される。これにより、マンモスポンプ(Mammutpumpe)の作動方式に応じて、下から上まで貫流される管またはチャンバ内の液面が、一種の“ガスリフト効果”で、上から下まで貫流される管またはチャンバと比較して、より上へと持ち上げられる。液面のこの差によって、そのようなユニットをいくつも相前後して接続し、そしてそれぞれの上昇管中により多くのガスを投入する場合に、液面を上昇させることができ、反応器の構造が液面の上昇を考慮に入れたものであれば、最後の管またはチャンバの終端において、最初の管またはチャンバと比較して液面を上昇させることができる。好ましくはガス状の添加剤のこの多量な投入にもかかわらず、微生物にとってストレスのない輸送が行われる。
【0022】
本発明のさらなる特別な特徴によれば、ガス状のプロセス生成物、例えば酸素の排出は、好ましくはプロセス中に、反応媒体表面より上方へ行われる。これにより、有害物質、制御かつ最適化された削減を達成することができ、その際、この最適化された排出は、ガス状のプロセス生成物の採集も可能にする。
【0023】
本発明の特別な発展形態の一つによれば、反応器は、地平線の太陽軌道の円弧全体にわたって、太陽光の照射に応じて回転可能に誘導または制御される。これにより、バイオソーラー反応器に対する太陽光照射の最適化が達成される。それによって、様々なバイオソーラー反応器における最も異なる使用のための光合成微生物が、光合成プロセスのための、種および所望の培養結果に相応しい、最適化された自然照明を見出す。さらに、これは、日中のおよび/または変化する光の割合に順応することができる。より良好な光の利用あるいは強い照射からの保護のいずれか一方のために、太陽光照射に対する微生物の露光を増やすことも減らすことも可能である。
【0024】
さらに、本発明の方法を実施するための装置を提供することも本発明の課題である。
【0025】
上記の方法を実施するための、管から成る反応器、特にバイオ反応器が設けられた、本発明による装置であって、その反応器が、少なくとも1つの反応器要素から成り、この反応器要素が、直立した、下方連結された2つの管から成り、そしてインレットもアウトレットもその反応器の上縁に設けられていることを特徴とする、上記装置である。
【0026】
上記の方法を実施するための、反応器、特にバイオ反応器がウェブプレートまたはウェブマルチプレート(Steg− bzw. Stegmehrfachplatten)から成る要素が設けられた、別の本発明による装置であって、その反応器が、少なくとも1つの該反応器要素から成り、その反応器要素が、好ましくは長方形で直立した、ウェブプレートまたはウェブマルチプレートから形成された2つのチャンバから形成され、該反応器は底部が開放された隔壁によって形成されており、そしてインレットもアウトレットも、前記反応器の上縁に設けられていることを特徴とする、上記装置。
【0027】
この反応器、特にバイオ反応器は、透明な、半透明な、コーティングされた、およびコーティングされていない材料から成ることができる。同様に、管またはウェブプレートは、ガラス、または光もしくはUV光を透過するプラスチック、例えばポリメチルメタクリレートから成るものでよい。反応器要素は、市場から入手可能な、場合によっては加工された部品だけでなく、上述の条件を満たす専用に製造された部品からも製造することができる。この反応器要素は、上から下までそして下から上までの連続的な蛇行状の貫流が保証されるように配置される。反応器への流入口および/または反応器からの流出口は上方の領域内に取り付けられる。
【0028】
反応媒体は、反応器内に入った後、流体静力学的な力の均衡によって、反応器全体を垂直に蛇行状に流れる。最後の反応器要素中に到達すると、反応媒体は流体静力学的バイオ反応器を出て、圧力なしにおよび/または非加圧で、熟成槽または回収容器または別の反応器へと導かれる。回収容器から、反応媒体を最終処理するか、またはストレスなしでの中間貯蔵またはさらなる処理へと送ることができる。
【0029】
本発明の特別な特徴によれば、2つまたはより多くの反応器要素を結合して1つの反応器パネルにする場合、反応器要素間の隔壁は、反応器要素の管またはチャンバの間の隔壁より低く形成されており、これにより、反応器要素中の液位がその反応器要素間の隔壁より高い場合に、オーバーフロー口および/または連通口が生じる。反応器要素は、連通した容器のように形成されている。このように反応器要素を直列に接続して反応器パネルにすることによって、所定の貫流区間を作り出すことができる。
【0030】
それぞれの光光合成生物または光化学的要求に適合し、プロセス結果に対応する、全反応器中での最適な滞留期間は、次のパラメータによる影響を受ける場合がある。
・貫流速度
・反応器要素の断面積
・反応器要素の高さ
・投入されるガス状でない物質の数および性質
吹き込まれたガスの性質、数、密度、および圧力
・蛇行状の誘導部へと結合された反応器要素の数
・プロセス排ガスを排出する手段
・プロセス温度
・滞留期間および光に対する位置
・熟成槽および/または暗槽(Dunkeltank)中での滞在期間
【0031】
プロセス全体について、場合によっては、理想的には、そして、相当する構造上の実情の場合、インレットからアウトレットまで1回で連続的に媒体を輸送することが可能である。
【0032】
本発明の特別な形態の一つによれば、好ましくは直列に相互接続された反応器パネルが、枠状の収容機構中で互いに平行に、好ましくは固定して組み立てられて1つの反応器に構成され、この反応器は、少なくとも1つの、好ましくは垂直な軸にわたって、回転機構を用いて光が照射するように調節可能であり、その際、反応器はとりわけ起立させて、懸架されて、あるいは浮揚体上に浮遊させて設けられる。このような収容機構および支承部によって、太陽光照射に対して任意の角度を取ることができる。太陽軌道または太陽追従に対応する制御により、光の最適化が達成される。規定の使用例のために、回避させるかまたは陰にすることによって、例えば正午における照射を減らすことができる。
【0033】
光合成微生物は、表面付近の区域中でだけ、最適な光合成プロセスを経て、UV放射が多すぎると栄養摂取および分裂が妨害妨されるため、反応器要素中では外側区域だけでなく内側へも導くのが有利である。
【0034】
過度に強烈な直射UV光は、微生物の成長を害するかまたは妨げ、そして反応媒体の温度を理想的な程度より上昇させるため、この反応媒体を再び冷却しなければならない。反応媒体の混合によって、全ての光合成微生物が、その反応器要素の外壁付近の光領域に十分に達する。
【0035】
光触媒による酸化の場合、反応器要素内部全ての分子が、その反応器要素の外壁付近の光領域に導かれるのが有利である。
【0036】
反応器の光源に対するほぼ平行な配置および/または反応器の太陽光照射に対する平行な追従は大部分十分であり、そのため非常により良好なスペース利用が可能になる。
【0037】
さらに、ほぼ平行に入射した光は、反応器表面から部分的に反射して、そして対向する反応器がその反射光を利用できるようになる。
【0038】
太陽光照射が弱い場合、地理的状況が悪い場合、あるいは光をとりわけ必要とする光合成微生物もしくは光触媒プロセスの場合、任意の角度で光源に向けて置かれた反応器を選択できる。
【0039】
バイオソーラー反応器の太陽追従を可能にする好ましい変形において、バイオソーラー反応器は、ソーラー部品の上および場合によっては下に固定して取り付けられ、したがって、ソーラー部品が太陽放射に追従するとき、反応器パネルがそれらの位置を互いに変化させるのではなく、ソーラー部品全体が回転する。平坦な、または1つの管に統合された、透明、半透明、コーティングされる、そしてコーティングされることができる反応器パネルが、静止している培地中でバッチ式におよび/または流れている培地中で連続式に微生物を培養するのに適するように配置される。
【0040】
本発明の発展形の一つによれば、太陽軌道を捕捉するためにセンサが設けられ、このセンサを介して反応器に対する光照射のために回転運動の制御が行われる。太陽軌道は適切なセンサによって検出され、そして同期した、または任意に所定の回転運動として反応器に伝達される。もちろん経緯度、時刻、および日付に関するデータも制御のために利用できる。
【0041】
本発明の特別な発展形の一つによれば、反応器に対する光照射が人工照明によって行われる。反応器にエネルギーを供給でき、そして光合成微生物に有利な照明媒体を取り付けることも可能であるように、反応器をあるやり方および方法で組み立てることができる。
【0042】
本発明の特別な一形態によれば、複数の反応器から成る設備において、光照射のための回転運動が、好ましくは全ての反応器について同期されている。複数の反応器から成る設備において、反応器パネルを太陽光照射に対してほぼ平行に置くことによって、基本構成に応じて、さらに背後にある反応器が影にならないように、設備全体の全ての反応器の回転を同期させることができる。これにより、理想的な太陽光の取り入れを保証することができる。
【0043】
本発明の一発形に応じて、反応器パネルおよび/または反応器の少なくとも一部、特に外面を光反射性に仕上げる。これにより、自然照明または人工照明の効率を高めることができる。
【0044】
本発明のさらなる特別な特徴によれば、連続式またはバッチ式に導入するために、添加剤、例えば栄養素の溶液および/または栄養素のガス、および/または酸化剤、および/または作用物質、および/またはプロセスを促進する溶解物質および/または溶解ガスを、好ましくはプロセス中に、反応器の下側で、反応媒体が方向転換する区域中に、少なくとも1つの導入口を設ける。
【0045】
反応媒体は、反応器中へ進入する前に、選択的に、微生物の要求またはプロセスの要求に応じて、液体に溶解された物質と混合することができ、および/または反応器中を通過中に、流動性の栄養素または酸化剤を供給することができる。
【0046】
光合成プロセス中での、微生物の成長により低下された反応媒体中の栄養素含有量は、栄養素溶液の連続式および/またはバッチ式導入によって補償することができる。
【0047】
光化学プロセス中に連続反応により低下していく反応媒体中の効率も同様に、さらなる作用物質の連続式および/またはバッチ式の導入によって調整することができる。
【0048】
流動性の栄養素または酸化剤を導入するには、反応器要素の下側で、制御可能な弁を介して供給することができる。反応媒体の蛇行状の誘導および/または流動性の作用物質の上昇により、反応器全体内における優れた混合および分布が生じる。
【0049】
もちろんこのようにして、ガス状の栄養素、酸化剤、または作用物質を導入することもできる。
【0050】
導入されたガスは、ガス小泡の上昇による反応器内面のセルフクリーニングを生じさせる。プロセスの進捗を検査するための試料の採取位置も同様に、反応器要素の下部に設けられている。
【0051】
本発明の特別な特徴によれば、反応器要素および/または反応器パネル内の方向転換区域中で添加剤を導入するために、好ましくは貫通した管、特に微小な穿孔を有するガス管を配置するための穿孔が設けられている。このガス管は、反応器パネルのそれぞれの反応器要素中のガス処理および反応媒体の混合が確保されるように、穿孔の配置を有する。
【0052】
本発明の特別な一形態によれば、ガス管は、下から上にまたは反重力向に流れる反応媒体の範囲中では、上から下にまたは重力方向に流れる反応媒体の範囲内よりも多数のおよび/またはより大径の微細孔を備えている。これにより、上述の“ガスリフト効果”が設備技術的に達成される。
【0053】
本発明の発展した一形態によれば、ガス管は両端に雄ねじ山および/または雌ねじ山を備えている。ガス管は、例えば、接ぎナット(Ueberwurfmutter)によって構造ユニットに対して気密に密閉できるように製造されている。この接ぎナットの少なくとも1つは、ガス導管のための接続部を備えている。
【0054】
さらに、ガス管はその雌ねじ山を介して結合部材を備えることができ、この結合部材はさらなるガス管にねじで取り付けることができる。
【0055】
交換のためには、一方の側で接ぎナットを外し、結合部材を取り付け、新しいガス管を結合部材の他方の端部に取り付ける。新しいガス管により、交換すべきガス管は構造ユニットを通って押し出され、その際に同時に、交換すべきガス管があった位置に新しいガス管が来る。こうして、最小限のガス損失または液体損失で、交換すべきガス管が新しいガス管により、構造ユニットを通って確実に押し出される。この実施形態は、稼働を中断せずに、またはプロセスを最小限しか妨げずに、ガス注入装置を保守または変更することを可能にする。
【0056】
本発明のさらなる特別な特徴によれば、ガス状のプロセス生成物、例えば酸素を好ましくはプロセス中に排出するために排出口が設けられており、この排出口は、反応媒体表面または反応器要素の上面より上に設けられている。ガス状のプロセス生成物、例えば光合成プロセスまたは光化学プロセス中に生じる代謝生成物は、反応器要素中で加圧されることがないため、反応媒体中を自由に上昇することができる。
【0057】
反応器要素が、上に向かって完全にまたは部分的に開いている構造であることにより、ガス状のプロセス生成物の排出および/または吸引が可能である。
【0058】
プロセス排ガスの排出は、プロセス中に発生して上昇する気泡によって促進され、および/または、場合によっては、補足的に吹き込まれたガスによって制御される。
【0059】
本発明の一形態によれば、ガス状のプロセス生成物を排出するために、反応媒体表面または反応器要素の上面より上に設けられた採集機構が排出口を備えている。これにより、ガス状のプロセス生成物を採集することができ、場合によっては、そのプロセス生成物をさらなる利用または廃棄処理に送ることができる。蒸発および/または噴霧損失による反応媒体の損失ならびに制御されたガスの放出、ならびに採集もまた、閉鎖的な構造方式によって可能である。
【0060】
本発明の有利な発展した一形態によれば、インレットの上流および/またはアウトレットの下流にサイフォンが設けられている。反応器への導入口は上の範囲内に取り付けられている。反応媒体をサイフォンにより、加圧されずまたは圧力なしで、場合によっては気密に最初の反応器要素に送ることができ、反応器の下流の別のサイフォンにより、圧力なしで、場合によっては気密に排出することができる。
【0061】
本発明の特別な特徴によれば、反応器内および反応器間で反応媒体を輸送するために、アルキメディアン・スクリューまたはダ・ヴィンチの螺旋が設けられている。このような機構では、1つまたは複数のチューブまたはウェブが、軸上に一重または多重に支承され、螺旋状に巻き付けられており、任意の技術、例えばねじ留め、接着などで安定に固定されている。それぞれのチューブまたはウェブは両端で開いている。この輸送要素は、チューブまたはウェブの下端が反応媒体を容器から汲み取るように位置合わせされ、支承される。ただしチューブまたはウェブは、回転のたびにチューブ端部またはウェブが、反応媒体の外で表面より上に達する程度にしか反応媒体中に潜り込んでいない。
【0062】
遠心力を実質的に生じさせない螺旋方向での遅い回転により、反応媒体は、流体静力学的圧力の均衡を利用して、チューブまたはウェブのそれぞれ下半分において、スクリューの上端へ輸送される。回転のたびに、一番上にある半巻き部内に存在する液体が解放され、出発容器に比べてより高いところにある容器内に落下する。輸送装置を選択的に完全にまたは部分的に密閉することにより、霧散損失および/またはガス排出を回避することができる。
【0063】
図面に示した例示的実施形態に基づき、本発明をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、管から成るバイオ反応器を示す図である。
【図2】図2は、図1に応じた平面図である。
【図3】図3は、図1に応じた側面図である。
【図4】図4は、ウェブプレートから成るバイオ反応器を示す図である。
【図5】図5は、図4に応じた平面図である。
【図6】図5は、図4に応じた側面図である。
【図7】図7は、管の概略図である。
【図8】図8は、“ガスリフト”効果に関する原理を示す図である。
【図9】図9は、“ガスリフト”効果の使用に関する原理を示す図である。
【図10】図10は、“ガスリフト”効果の使用に関する原理を示す図である。
【図11】図11は、アルキメデスの螺旋を備えたバイオ反応器を示す図である。
【図12】図12は、バイオソーラー反応器を示す図である。
【図13】図13は、バイオ反応器への太陽光照射の概略図である。
【図14】図14は、バイオ反応器への太陽光照射の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1〜図3によれば、反応器、特にバイオソーラー反応器1は、少なくとも1つの反応器要素2から成り、この反応器要素は、直立した、下方連結された2つの管3から構成されている。インレット4もアウトレット5も、反応器の上縁に設けられている。バイオソーラー反応器1の構造について、多数の反応器要素2が直列に接続されて、その際、常に1つのアウトレット5が1つのインレット4につながっている。
【0066】
そのようなバイオソーラー反応器1は、光化学プロセス、例えば、光触媒プロセスおよび/または光合成プロセス、特に、好ましくは光合成微生物の培養および生産または水栽培のための方法に使用される。バイオソーラー反応器1は、その運転のために反応媒体6、例えば、水溶液または懸濁液で満たされる。運転中、バイオソーラー反応器1はその最初のインレット4を介してしか供給がなされない。反応媒体6の誘導および/または流れの方向は、直立に、好ましくは垂直に、反応器要素2中で上から下までそして下から上まで1回で行われる。相互に結合された複数の反応器要素2が相前後した配置の場合、反応媒体6は蛇行状に反応器を通って流れる。反応媒体6のバイオソーラー反応器1中への導入または供給、および/またはバイオソーラー反応器1から排出も、好ましくは連続的に、加圧されずに、大気に開放されて、反応媒体表面上より上で、または液面上の僅かに上方で、または液面上の範囲内で行われる。
【0067】
したがって、反応器要素2は、連通した管3として蛇行状に相互に連結されており、その際、インレット4およびアウトレット5は上方にある。反応器要素2は、完全にまたは部分的に、必要に応じて上方に向かって開いている。流体静力学的圧力−および液面均衡に基づいて、インレット4における反応媒体6の供給によって反応媒体6の流れが生じる。このことは、本発明の方法において、微生物にとってストレスのない反応媒体6の流れが生じることを意味している。これにより、さらなるエネルギーを供給する必要なく、個々の反応器要素2の間の自由な流れが可能になる。反応媒体6は、インレット4とアウトレット5の間の高さの差を補償しようとする液体の傾向において、最小限の高さ損失でもって蛇行状に反応器を通って移動する。
【0068】
図4〜図6に従って、バイオソーラー反応器1の代替的な構造様式を示す。このバイオソーラー反応器1は、ウェブプレートまたはウェブマルチプレート7から成る。この構造様式では、反応器要素2が、長方形で直立した、ウェブプレートまたはウェブマルチプレート7から形成された2つのチャンバ8から形成され、この反応器は、底部が開放された隔壁9によって形成されている。導入または供給のためのインレット4も、アウトレット5も、反応器の上縁に設けられている。図4に従って説明した例示的な実施形態では、2つの反応器要素2が既に結合されている。
【0069】
2つまたはより多くの反応器要素2を結合する場合、反応器要素の隔壁10は、反応器要素2の管3またはチャンバ8の間の隔壁9より低く形成される。これにより、反応器要素2内の液位が反応器要素2の間の隔壁10より高い場合に、溢流口および/または連通口が生じる。これにより、プロセスステップ間でのポンピングを最も先まで(weitestgehend)必要とすることがないために、エネルギー消費が最小化され、そして任意に多数の、同一または異なるプロセスステップを、同じ貫流高さで相互に連結することができる。
【0070】
個々の反応器要素2は、透明または半透明、または必要であれば遮光性にも仕上げることができる。材料としては、ガラスまたはUV透過性プラスチック、例えば、ポリメチルメタクリレートを使用することができる。
【0071】
このバイオソーラー反応器1の充填ならびに運転は、図1〜図3での実施形態と同様に行われる。
【0072】
後にもより詳細に取り上げるが、反応器要素2への光照射のために、図6によれば、傾斜した反応器が示されている。この反応器はある角度で傾斜しているが、反応媒体6は上から下にまたは重力方向に、そして下から上にまたは反重力方向に1回で流れる。
【0073】
図1および図4によれば、添加剤12、例えば、栄養素の溶液もしくはガスおよび/または酸化剤および/または作用物質および/またはプロセスを促進する溶解物質もしくはガスを、好ましくはプロセス中に、連続式またはバッチ式で導入するために、反応器の下側で、反応媒体6が方向転換する区域中に、導入口11、例えば制御可能な弁が、が少なくとも1つ設けられている。
【0074】
上記の方法に対応して、反応媒体6は、選択的に、反応器内に進入する前に、CO2または別のガスで飽和される。その飽和度はプロセスの要求に応じて濃縮され、および/または反応器中での滞留の間に、CO2または別のガスを供給される。光合成プロセス中の微生物の絶え間ない成長により低下していく、反応媒体6中のCO2含有量は、CO2の連続式またはバッチ式の導入によって補うことができる。
【0075】
光化学プロセス中の絶え間ない反応により低下していく反応媒体中での効率は、さらなる作用ガスの連続式および/またはバッチ式の導入によって補うことができる。
【0076】
図7に従って、導入口11を介して液カラムの下端で添加剤を導入することにより、反応媒体6中での添加剤の混合および均一な分布が生じる。
【0077】
添加剤12、例えば、流体およびガスの導入は、さらに光の供給を最適化する。というのも、反応媒体6中に発生する乱流のために、全ての分子または光合成微生物が、反応器要素2のうち光で満たされた外壁付近の光ゾーン(符号13で示す)に十分に導かれるからである。
【0078】
流体およびガスの導入は、反応媒体6中に乱流を生じさせて、それによりさらなる有利な効果が発揮される。つまりガス気泡の上昇によって反応器内面の連続的なクリーニングが行われる。
【0079】
さらに、導入される所定の流体およびガスにより、反応媒体6の加熱または冷却を行うこともできる。したがって導入される添加剤12を、反応媒体6の制御された温度調節のために利用することができる。
【0080】
図8によれば、液状および/またはガス状の物質または添加剤12の導入は、下側で、反応媒体6が方向転換する区域中で実施される。反応器の特別な一実施形態では、下から上までまたは反重力方向に流れる反応媒体6の範囲中では、上から下までまたは重力方向に流れる反応媒体6の範囲中よりも多量の液状および/またはガス状の物質または添加剤12が導入される。これにより、既に論じたように、マンモスポンプ(Mammutpumpe)の作動方式に応じて、下から上まで貫流される管3またはチャンバ内の液面が、一種の“ガスリフト効果”で、上から下まで貫流される管3またはチャンバに比べて、上昇する。液面のこの差aは、反応器要素2がいくつも相前後して接続されている場合、反応器の構造が液面の上昇を考慮に入れたものであるならば、それぞれの昇りの管3内により多くのガスを導入することで、最後の管3またはチャンバの終端での液面を、最初の管3またはチャンバの液面と比べて、より上昇させることができる。好ましくはガス状の、添加剤12を、増大して導入するにもかかわらず、微生物の輸送がストレスフリーで行われる。
【0081】
図9によれば、相前後して接続されている反応器要素2が同一の構造で製造されている場合、この反応器の構造は、例えば反応器の基本底面が同じ程度に上昇しているときに、この上昇を考慮に入れたものである。
【0082】
反応器パネル18がパネル軸に沿ってある角度で立っていると、“ガスリフト効果”を利用する際に下記の利点が生じる。
【0083】
媒体は、インレット4において反応器パネル18中へ導入され、この反応器パネルは、パネル軸に沿ってある角度で傾斜しており、これによりインレット4はアウトレット5より低くなっている。反応器パネル18のそれぞれの管の2つ目中で作用する“ガスリフト効果”により比較的高い水柱が形成され、より高い高さにもかかわらず、媒体は次の管中へ溢出することができ、そのように上昇して、連通している容器(Gefaesse)を形成できる。
【0084】
この傾斜は、最大でも、反応器要素2内の2つの液カラムを隔てるウェブ9を越えて逆流しない角度に設計されている。
【0085】
最大限可能な角度を超えると、反重力方向に流れる管3を通過した後に、媒体は、その前に媒体がウェブ9を越えて出て来た管中へ逆流してしまい、そのためガスリフト循環による閉じた循環運動が生じることになってしまう。
【0086】
反応器パネル18の傾斜およびガス圧またはガス量を変えることにより、“ガスリフト効果”の所望の強さを調節することができ、これにより、液の上縁の高さの上昇によって流速が制御される。
【0087】
さらなる応用例(図10)において、ガス注入が行われない、またはほとんど行われないため“ガスリフト効果”が生じない場合には、ある角度で傾斜させることによって流速を同様に制御することができる。
【0088】
反応媒体6は、インレット4から、パネル軸に沿ってある角度で傾斜した反応器パネル18中へ導入される。したがってこのインレット4はアウトレット5より高位にある。
【0089】
確かに、個々の反応器要素2の間では流体静力学的な液面均衡が常に作用しているが、反応器パネル18の個々の反応器要素2の内部では、それぞれに小さな勾配が生じており、この勾配が、反応器パネル18を通る流速に対して加速度的に影響を及ぼす。
【0090】
この傾斜は、反応器要素2内部の液カラムを隔てるウェブ9を越えてインレット4からアウトレット5への方向 に溢出しない最大角度で設計することができる。なぜなら、その場合には、管3中への流れが生じないばかりでなく、媒体がウェブ9の上の方だけを越えて流れてしまい、媒体が反応器要素2中に停滞してしまうことになるからである。
【0091】
反応器パネル18の傾斜およびガス圧/ガス量を変えることにより、所望の勾配を調節することができ、これにより、減少された液の上縁の高さによって流速が制御される。
【0092】
したがって“ガスリフト効果”は、下記の例において利用され得る。
【0093】
水の上縁の上昇の利用
・沈殿槽のための追加の高さ
・反応器相互間またはプロセスステップ間の流れ区間の乗り越えるべき追加の高さ
・下へ流れる水によるハイドロサイクロンの運転
・フィルタの通過
・反応媒体からの生成物の分離
・媒体を再利用するための浄化設備を、設備全体内でポンプのための追加のエネルギーを消費せずに通過
【0094】
水の上縁が一定であることの利用
・プロセスのその段階で超えるべき高さの損失がない
・流速の優れた制御
・そのプロセスでのガスの需要が少ない場合には、適度な乱流(光供給およびフィルム造形)および経済的な運転
【0095】
水の上縁が僅かに低下することの利用
・プロセスのその段階中で、乗り越えるべき高さの大きな損失がない(後に接続されたガスリフト)
・流速の優れた制御
・そのプロセスでのガスの需要がほとんどない場合には、乱流のために必要な最低限のガス注入(光供給およびフィルム造形)、およびそれによる経済的な運転
【0096】
経済的に意味のある場におけるガスリフト以外には、設備全体内において媒体を流動させるための追加のエネルギーを消費しなくてもいいように、設備全体を制御することが課題とされる。
【0097】
反応器要素2および/または反応器パネル18内の方向転換区域中に添加剤12を導入するために、好ましくは貫通した管、特に微細な穿孔22を備えたガス管21を配置するための穿孔20が設けられている。ガス状の添加剤12をより多く導入するために、ガス管21は、下から上までまたは反重力方向に流れる反応媒体6の範囲内には、上から下までまたは重力方向に流れる反応媒体6の範囲内よりも、多数のおよび/またはより大径の微細な穿孔22が存在する。
【0098】
ガス管21(図8)を迅速に交換するために、ガス管は両端に雄ねじ山および/または雌ねじ山23を備えている。ガス管21は例えば、接ぎナットを用いて構造ユニットに対して気密に密閉できるように製造されている。少なくとも、この接ぎナットの1つは、ガス導管のための接続部を備えている。
【0099】
さらにガス管にはその雌ねじ山を介して結合部材24を設けることができ、この結合部材はさらなるガス管21にねじで取り付けることができる。
【0100】
交換のためには、一方の側で接ぎナットを外し、結合部材24を取り付け、新しいガス管21を結合部材24のもう一方の端部に取り付ける。新しいガス管21により、取り替えるべきガス管21は構造ユニットを通って押し出され、その際に同時に、取り替えるべき管があった位置に新しいガス管が来る。こうして、最小限のガス損失または液体損失でもって、交換すべきガス管21が新しいガス管21により、構造ユニットを通って確実に押し出される。この実施形態は、運転を中断せずに、またはプロセスを最小限しか妨げずに、ガス注入装置を保守または変更することを可能にする。
【0101】
上記において指摘した“ガスリフト”に対する代替のまたは追加の手段として、図11によれば、バイオソーラー反応器1はアルキメディアン・スクリュー14を備えることができる。アルキメディアン・スクリュー14またはダ・ヴィンチの螺旋は、反応器内、および反応器部分間もしくは反応器間で反応媒体6を輸送するために用いられる。インレット4の前およびアウトレット5の後ろに1つずつサイフォン15が設けられている。
【0102】
もちろんサイフォン15は、アルキメディアン・スクリュー14とは関係なくインレット4の前または反応器からのアウトレット5の後ろに配置してもよい。サイフォン15により、反応媒体6を加圧せずにまたは圧力なしで最初の反応器要素2に送ることができる。
【0103】
アルキメディアン・スクリュー14またはダ・ヴィンチの螺旋は、連続的な光触媒プロセスおよび光合成プロセスならびにバイオソーラー反応器1内の輸送のための方法に使用することが好ましい。反応媒体6の輸送が、高さの差を乗り越えることを要する場合は特にそうである。アルキメディアン・スクリュー14またはダ・ヴィンチの螺旋を使用することにより、1回またはさらに複数回のストレスのない輸送が達成される。この機構は、下記の応用例に使用できる。
・反応媒体6が同じ反応器を複数回通過するための輸送
・1回または複数回通過する一連の、場合によっては異なる反応器間および/または熟成槽間の輸送
・反応媒体6を槽と任意のバイオ反応器との間における交互の1回または複数回の輸送
・反応媒体を槽間での1回または複数回の輸送
【0104】
既に簡単に述べたように、特に連続的な光化学プロセスまたは光合成プロセスには、バイオソーラー反応器1の後ろおよび/または前に、図示されていない熟成槽を設けることができる。この流体静力学的な熟成槽は、流体静力学的なバイオ反応器と類似の構造様式で、垂直方向の貫流を可能にする蛇行状の反応器要素2を備えている。休眠段階の光合成微生物は、適切な温度、栄養素、および物質代謝老廃物を放出する機会だけを必要とすることができるため、熟成槽は光不透過性の材料から製造できる。さらに、休眠時間を調整するため、およびスペースを節約するため、反応器要素2の断面積を、バイオ反応器に比べてより大きくすることができる。
【0105】
反応媒体6の所望のほぼ加圧されないまたは圧力なしの輸送は下記のように達成される。
【0106】
反応媒体6は、全輸送の間、輸送要素中で反応媒体6の自重によって生じる圧力以外の圧力に曝されない。減少された回転数によって、反応媒体6は、言うに値するほど、遠心力に曝されない。微生物の発育またはプロセスの進行が、輸送によって中断または妨げられない。“アルキメディアン・スクリュー”内またはダ・ヴィンチの螺旋内で流体静力学的圧力の均衡を利用することにより、加圧されない状態が維持される。プロセスは、ストレス、加速、および圧力を受けずに進行させることができる。
【0107】
反応媒体6は、全輸送の間、輸送要素中で反応媒体の自由な流れによって生じる抑圧(Appression)以外の高い抑圧に曝されない。微生物の発育またはプロセスの進行が、輸送によって中断または妨げられない。ポンプによるような、微生物の細胞壁または分子の摩擦傷および損傷が生じない。アルキメディアン・スクリュー内またはダ・ヴィンチの螺旋内で流体静力学的圧力の均衡を利用することにより、抑圧されない状態が維持される。
【0108】
ガス状のプロセス生成物、例えば酸素を好ましくはプロセス中に排出させるために、排出口16が設けられており、この排出口は、反応媒体表面または反応器要素の上面より上方に設けられている。このガス状のプロセス生成物を排出させるために、反応媒体6の液面または反応器要素の上面より上方に設けられた採集機構17は排出口16を備えることができる。
【0109】
図12によれば、バイオソーラー反応器1は、光照射のために変位可能に製造することができる。太陽光照射が弱い場合、地理的状況が悪い場合、または光が特に必要とされる光合成微生物もしくは光触媒プロセスの場合、バイオソーラー反応器1は、地平線の太陽軌道の円弧全体にわたり太陽光照射に対応して回転可能に誘導または制御される。
【0110】
好ましくは直列に相互に結合された反応器パネル18が、枠状の収容機構25中で互いにほぼ平行に、好ましくは固定して組み立てられて1つの反応器に構成されている。バイオソーラー反応器1は、少なくとも1つの好ましくは垂直な軸26を介して、回転機構によって光が照射するように変位可能であり、その際、反応器は特に起立させて、懸架されて、あるいは浮揚体上に浮遊させて設けることができる。
【0111】
太陽軌道を捉えるためにセンサを設けることができ、または経緯度、時刻、および日付に関するデータを利用することができ、このセンサを介して、反応器に光が照射するように回転運動の制御が行われる。
【0112】
種類(Ordnung)のために、反応器に対する光照射が人工照明によっても行えることに留意しなければならない。
【0113】
複数の反応器から成る設備では、光照射のための回転運動を、好ましくは全ての反応器について同期させることができる。
【0114】
光線をより良好に利用するために、反応器パネル18および/または反応器の少なくとも一部分、特に外面を光反射性に仕上げることもできる。
【0115】
図13によれば、反応器要素2から構成された反応器パネル18は、概略的に示した光線または太陽光線19がパネル軸に対してほぼ直角に当たるように配置されている。
【0116】
図14によれば、複数の好ましくは相互に結合された反応器パネル18が設けられており、この反応器パネルは、光線または太陽光線19がソーラーパネル軸に対してほぼ平行に延在するように配置されている。
【0117】
特殊な変形例の一つでは、反応器パネル18は垂直に懸架され、および/または上および/または下の保持具内で起立させ、または収容機構25内に取り付けられている。
【0118】
この保持具または収容機構25は、下記の機能を満たすことができる。
・太陽光照射に追従するための回転要素としての機能
・反応器を設備全体の別の部分に対して持ち上げるまたは下げる
・太陽に向けて反応器を傾けるための傾斜機能
・反応器パネル18を支える
・反応器パネル18を蛇行状に相互に結合させる
・個々の反応器要素を気密に密閉できる
・少なくとも1つの反応器パネル18を、パネル軸に沿ってある角度で傾ける
【0119】
上記の保持具は、少なくとも2つから任意に多数の反応器パネル18を1つの反応器として収容することができる。
【0120】
これは、反応器の狭い設置および/または相前後した配置を可能とし、そのため最大限のスペース利用が可能になる。
【0121】
本方法は、光の下での反応段階と暗闇での休眠段階の最適な組合せならびにストレスのない輸送を可能にする。
【0122】
こうして、連続的な1回通過のプロセス構造、またはモジュール式に制御された、個々の部分の複数回通過が可能になる。
【0123】
反応媒体6には、蓄積槽中で、本来の反応の前に生物反応に最初から有利に働く栄養素および栄養ガスを基礎供給することができる。下水処理または有害物質除去の場合、反応媒体中におけるそれぞれの有害物質の、最大限無理のない、最初の濃縮化を光合成微生物により行うことができる。
【0124】
反応媒体6は、理想的に温度調節可能であり、反応の目的に応じた光合成微生物または化学物質を所定量導入することができる。
【0125】
理想的な反応条件を維持するために、反応媒体6において、温度、プロセス流体含有量、プロセスガス含有量、循環、混合、光供給、および代謝生成物の排出を管理し制御することができる。
【0126】
上に示した方法は、下記の問題を有利なやり方で解決する。
・ソーラー反応器内での連続的な光触媒および光合成プロセスおよび輸送
・プロセス中の、制御され最適化されたエネルギー消費
・栄養溶液およびプロセス促進溶液の、制御され最適化された導入
・栄養ガスおよびプロセスガスの、制御され最適化された導入
・有害物質の、制御され最適化された低減
・ガス状のプロセス生成物の最適化された排出および採集
・制御され最適化された光の供給
・光誘導によるスペース使用の最小化
・制御され最適化されたプロセス温度
・反応媒体6中における微生物にとってストレスのない輸送
・流速の制御
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光化学プロセス、例えば光触媒プロセスおよび/または光合成プロセス、特に、好ましくは光合成微生物(phototrophen, Mikroorganismen)の培養および生産または水栽培のための方法であり、その際、反応媒体、例えば水性の溶液または懸濁液が反応器内で蛇行状に誘導される方法であって、前記反応媒体(6)の蛇行状の誘導が、垂直にまたはある角度で傾けて、少なくとも1回、上から下までまたは重力方向に、そして下から上までまたは反重力方向に行われ、そして前記反応媒体(6)の反応器内への導入も、そしてその反応器からの排出も、好ましくは連続的に、加圧せずに、かつ大気に開放された状態で、反応媒体表面上より上で行い、その際、流体静力学的圧力−および液面均衡(Niveauausgleich)に基づき、微生物にとってストレスのない反応媒体(6)の流れを生じさせることを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
液状および/またはガス状の添加剤(12)、例えば、栄養素溶液および/または酸化剤および/または作用物質および/またはプロセスを促進する溶解物質の、好ましくはプロセス中における、連続式またはバッチ式の導入を、好ましくは下側で、前記反応媒体(6)が方向転換する区域内で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体カラムの下端で添加剤(12)を導入することにより、前記反応媒体(6)中での添加剤(12)の混合および均一な分布を生じさせることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
導入可能な添加剤(12)を、所定温度で導入することを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
液状および/またはガス状の物質および/または添加剤(12)の導入を、前記反応媒体(6)が方向転換する区域内の下側で行い、その際、上から下までおよび/または重力方向で流れる前記反応媒体(6)の領域内におけるよりも、多量の液状および/またはガス状の物質および/または添加剤(12)を下から上までまたは反重力方向で流れる前記反応媒体(6)の領域内において導入することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
ガス状のプロセス生成物、例えば、酸素の排出を、好ましくはプロセス中に、前記反応媒体表面より上で行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記反応器が、地平線の太陽軌道の円弧全体にわたり、太陽放射に対応して回転式に誘導または制御されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法を実施するための装置であり、その際、管から成る反応器、特にバイオ反応器が設けられた上記装置であって、前記反応器が、少なくとも1つの反応器要素(2)から成り、該反応器要素が、直立した、下方で連結された2つの管(3)から成り、そしてインレット(4)もアウトレット(5)も、前記反応器の上縁に設けられていることを特徴とする、上記装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法を実施するための装置であり、その際、ウェブプレートまたはウェブマルチプレートから成る要素を備える、反応器、特にバイオ反応器が設けられた上記装置であって、前記反応器が、少なくとも1つの反応器要素(2)から成り、該反応器要素が、好ましくは長方形で直立した、ウェブプレートまたはウェブマルチプレート(7)から形成された2つのチャンバ(8)から形成され、該反応器は底部が開放された隔壁(9)によって形成されており、そしてインレット(4)もアウトレット(5)も、前記反応器の上縁に設けられていることを特徴とする、上記装置。
【請求項10】
2つまたはより多くの反応器要素(2)が1つの反応器パネル(18)へと結合された場合において、反応器要素間の隔壁(10)が、前記反応器要素(2)の管(3)またはチャンバ(8)の間の隔壁(9)より低く形成されており、それにより、前記反応器要素(2)内の液位が、その反応器要素(2)間の前記隔壁(10)より高い場合に、溢流口および/または連通口が生じることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
好ましくは直列に相互に結合された反応器パネル(18)が、枠状の収容装置(25)内で互いに平行に、好ましくは固定して組み立てられて、1つの反応器へと配置されており、前記反応器が、少なくとも1つの、好ましくは垂直な軸(26)を介した回転機構によって光が照射するように調節可能であり、その際、前記反応器が、特に起立させて、懸架されて、あるいは浮揚体上に浮遊させて設けられることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
太陽軌道を捉えるためにセンサが設けられ、前記反応器に対する光の照射のために、前記センサを介して回転運動の制御を行うことを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記反応器のための光の照射を、人工光照明によって行うことを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
複数の反応器から成る設備において、光照射のための回転運動が、好ましくは全ての反応器に関して同期されていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
反応器パネル(18)および/または反応器の、少なくとも一部、特に外面が光を反射して機能することを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
前記装置のために、連続的なまたはバッチ式による添加剤(12)、例えば、栄養素溶液および/またはガスおよび/または酸化剤および/または作用物質および/またはプロセスを促進する溶解物質、および/またはガス、の導入のために、好ましくはプロセス中に、前記反応器の下側で、前記反応媒体が方向転換する区域内に、少なくとも1つの導入口(11)を設けることを特徴とする、請求項8〜15のいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
前記反応器要素(2)および/または前記反応器パネル(18)内の方向転換の区域内で添加剤を導入するために、好ましくは貫通した管、特に微細孔(22)を有するガス管(21)の配置のための孔(20)を設けることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ガス管(21)が、下から上までおよび/または逆重力方向に流れる反応媒体(6)の領域内では、上から下までまたは重力方向に流れる反応媒体(6)の領域内において有する場合よりも、多数のおよび/または大きい径の微細孔を有することを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
ガス管(21)が、両端に雄ねじ山および/または雌ねじ山(23)を有することを特徴とする、請求項16または17に記載の装置。
【請求項20】
ガス状のプロセス生成物、例えば酸素を、好ましくはプロセス中に排出するために、排出口(16)が設けられ、この排出口が、前記反応媒体表面または前記反応器要素(2)の上面より上に設けられていることを特徴とする、請求項8〜19のいずれか一つに記載の装置。
【請求項21】
ガス状のプロセス生成物を排出するために、前記反応媒体表面または前記反応器要素の上面より上に設けられた採集装置(17)が、排出口(16)を設けられていることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
インレット(4)の前および/またはアウトレット(5)の後ろに、サイフォン(15)が設けられていることを特徴とする、請求項8〜21のいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
前記の反応器内にも、反応器間にも、前記反応媒体(6)を輸送するために、アルキメディアン・スクリュー(14)またはダ・ヴィンチの螺旋が設けられていることを特徴とする、請求項8〜22のいずれか一つに記載の装置。
【請求項1】
光化学プロセス、例えば光触媒プロセスおよび/または光合成プロセス、特に、好ましくは光合成微生物(phototrophen, Mikroorganismen)の培養および生産または水栽培のための方法であり、その際、反応媒体、例えば水性の溶液または懸濁液が反応器内で蛇行状に誘導される方法であって、前記反応媒体(6)の蛇行状の誘導が、垂直にまたはある角度で傾けて、少なくとも1回、上から下までまたは重力方向に、そして下から上までまたは反重力方向に行われ、そして前記反応媒体(6)の反応器内への導入も、そしてその反応器からの排出も、好ましくは連続的に、加圧せずに、かつ大気に開放された状態で、反応媒体表面上より上で行い、その際、流体静力学的圧力−および液面均衡(Niveauausgleich)に基づき、微生物にとってストレスのない反応媒体(6)の流れを生じさせることを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
液状および/またはガス状の添加剤(12)、例えば、栄養素溶液および/または酸化剤および/または作用物質および/またはプロセスを促進する溶解物質の、好ましくはプロセス中における、連続式またはバッチ式の導入を、好ましくは下側で、前記反応媒体(6)が方向転換する区域内で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体カラムの下端で添加剤(12)を導入することにより、前記反応媒体(6)中での添加剤(12)の混合および均一な分布を生じさせることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
導入可能な添加剤(12)を、所定温度で導入することを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
液状および/またはガス状の物質および/または添加剤(12)の導入を、前記反応媒体(6)が方向転換する区域内の下側で行い、その際、上から下までおよび/または重力方向で流れる前記反応媒体(6)の領域内におけるよりも、多量の液状および/またはガス状の物質および/または添加剤(12)を下から上までまたは反重力方向で流れる前記反応媒体(6)の領域内において導入することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
ガス状のプロセス生成物、例えば、酸素の排出を、好ましくはプロセス中に、前記反応媒体表面より上で行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記反応器が、地平線の太陽軌道の円弧全体にわたり、太陽放射に対応して回転式に誘導または制御されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法を実施するための装置であり、その際、管から成る反応器、特にバイオ反応器が設けられた上記装置であって、前記反応器が、少なくとも1つの反応器要素(2)から成り、該反応器要素が、直立した、下方で連結された2つの管(3)から成り、そしてインレット(4)もアウトレット(5)も、前記反応器の上縁に設けられていることを特徴とする、上記装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法を実施するための装置であり、その際、ウェブプレートまたはウェブマルチプレートから成る要素を備える、反応器、特にバイオ反応器が設けられた上記装置であって、前記反応器が、少なくとも1つの反応器要素(2)から成り、該反応器要素が、好ましくは長方形で直立した、ウェブプレートまたはウェブマルチプレート(7)から形成された2つのチャンバ(8)から形成され、該反応器は底部が開放された隔壁(9)によって形成されており、そしてインレット(4)もアウトレット(5)も、前記反応器の上縁に設けられていることを特徴とする、上記装置。
【請求項10】
2つまたはより多くの反応器要素(2)が1つの反応器パネル(18)へと結合された場合において、反応器要素間の隔壁(10)が、前記反応器要素(2)の管(3)またはチャンバ(8)の間の隔壁(9)より低く形成されており、それにより、前記反応器要素(2)内の液位が、その反応器要素(2)間の前記隔壁(10)より高い場合に、溢流口および/または連通口が生じることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
好ましくは直列に相互に結合された反応器パネル(18)が、枠状の収容装置(25)内で互いに平行に、好ましくは固定して組み立てられて、1つの反応器へと配置されており、前記反応器が、少なくとも1つの、好ましくは垂直な軸(26)を介した回転機構によって光が照射するように調節可能であり、その際、前記反応器が、特に起立させて、懸架されて、あるいは浮揚体上に浮遊させて設けられることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
太陽軌道を捉えるためにセンサが設けられ、前記反応器に対する光の照射のために、前記センサを介して回転運動の制御を行うことを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記反応器のための光の照射を、人工光照明によって行うことを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
複数の反応器から成る設備において、光照射のための回転運動が、好ましくは全ての反応器に関して同期されていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
反応器パネル(18)および/または反応器の、少なくとも一部、特に外面が光を反射して機能することを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
前記装置のために、連続的なまたはバッチ式による添加剤(12)、例えば、栄養素溶液および/またはガスおよび/または酸化剤および/または作用物質および/またはプロセスを促進する溶解物質、および/またはガス、の導入のために、好ましくはプロセス中に、前記反応器の下側で、前記反応媒体が方向転換する区域内に、少なくとも1つの導入口(11)を設けることを特徴とする、請求項8〜15のいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
前記反応器要素(2)および/または前記反応器パネル(18)内の方向転換の区域内で添加剤を導入するために、好ましくは貫通した管、特に微細孔(22)を有するガス管(21)の配置のための孔(20)を設けることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ガス管(21)が、下から上までおよび/または逆重力方向に流れる反応媒体(6)の領域内では、上から下までまたは重力方向に流れる反応媒体(6)の領域内において有する場合よりも、多数のおよび/または大きい径の微細孔を有することを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
ガス管(21)が、両端に雄ねじ山および/または雌ねじ山(23)を有することを特徴とする、請求項16または17に記載の装置。
【請求項20】
ガス状のプロセス生成物、例えば酸素を、好ましくはプロセス中に排出するために、排出口(16)が設けられ、この排出口が、前記反応媒体表面または前記反応器要素(2)の上面より上に設けられていることを特徴とする、請求項8〜19のいずれか一つに記載の装置。
【請求項21】
ガス状のプロセス生成物を排出するために、前記反応媒体表面または前記反応器要素の上面より上に設けられた採集装置(17)が、排出口(16)を設けられていることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
インレット(4)の前および/またはアウトレット(5)の後ろに、サイフォン(15)が設けられていることを特徴とする、請求項8〜21のいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
前記の反応器内にも、反応器間にも、前記反応媒体(6)を輸送するために、アルキメディアン・スクリュー(14)またはダ・ヴィンチの螺旋が設けられていることを特徴とする、請求項8〜22のいずれか一つに記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−510635(P2011−510635A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544528(P2010−544528)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/AT2009/000026
【国際公開番号】WO2009/094680
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510208664)エコドゥナ・オッフェネ・ゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/AT2009/000026
【国際公開番号】WO2009/094680
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510208664)エコドゥナ・オッフェネ・ゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】
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