説明

光半導体素子収納用パッケージ

【目的】内部に収容する光半導体素子を正確、且つ確実に作動させることができる光半導体素子収納用パッケージを提供することにある。
【構成】光半導体素子6 がペルチェ素子8 を介して載置される載置部1aを有する金属基体1 と、前記金属基体1 の上面に前記載置部1aを囲繞するようにして接合され、各その側壁に切り欠き部2aを有する金属枠体2 と、前記金属枠体2 の切り欠き部2aにロウ材を介して嵌着接合され、その側面に金属枠体2 の内側に突出する平板状の突出部3aを有するとともに該突出部3a上面に前記ペルチェ素子8 の電極がリード線13を介して電気的に接続されるメタライズ配線層11が被着形成されたセラミック端子部材3 と、前記金属枠体2 の上面に接合される蓋体5 とから成る光半導体素子収納用パッケージであって、前記セラミック端子部材3 のペルチェ素子8 の電極がリード線13を介して電気的に接続されるメタライズ配線層11の領域に前記リード線13が挿通可能な貫通孔3d若しくは切り欠き部3eを設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光半導体素子を収容するための光半導体素子収納用パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光半導体素子を収容するための光半導体素子収納用パッケージは、図5、図6に示すように例えば銅−タングステン合金等の金属から成り、上面中央部に光半導体素子30が載置される載置部21a を有する金属基体21と、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成り、前記金属基体21の上面に載置部21a を囲繞するようにして接合され、側壁に光ファイバー22を固定するための光ファイバー固定部材23及び切り欠き部24a を有する金属枠体24と、アルミナセラミックス等の電気絶縁材料から成り、前記金属枠体24の切り欠き部24a にロウ材を介して嵌着接合され、その側面に金属枠体24の内外に突出する平板状の突出部25a 、25b を有し、該突出部25a 上面から25b 上面にかけて導出する多数のメタライズ配線層26が被着形成されたセラミック端子部材25と、鉄−ニッケル合金等の金属から成り、前記セラミック端子部材25のメタライズ配線層26に銀ロウ等のロウ材を介して取着された外部リード端子27と、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成り、前記金属枠体24の上面及びセラミック端子部材25上面に接合された封止リング28と、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成り、前記封止リング28の上面に接合される金属蓋体29とから構成されており、前記金属基体21の載置部21aに光半導体素子30を間にペルチェ素子31を挟んで載置固定するとともに前記光半導体素30の各電極をボンディングワイヤー32を介してセラミック端子部材25のメタライズ配線層26に電気的に接続し、次に前記封止リング28の上面に蓋体29を溶接等により接合させ、金属基体21、金属枠体24、セラミック端子部材25、封止リング28、金属蓋体29とから成る容器内部に光半導体素子30を収容し、最後に前記金属枠体24に設けた光ファイバー固定部材23に光ファイバー22をレーザー溶接や接着剤を用いて接合させ、光ファイバー22を金属枠体24に固定することによって製品としての光半導体装置となる。
【0003】かかる光半導体装置は外部電気回路から供給される駆動信号によって光半導体素子30に光を励起させ、該励起させた光を光ファイバー22を介して外部に伝達することによって高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0004】尚、前記光半導体装置は光半導体素子30が作動中に発生する熱を外部に良好に放熱するために半導体素子30と金属基体21との間にペルチェ素子31が配置されており、該ペルチェ素子31の電極に接続されたリード線33を前記セラミック端子部材25のメタライズ配線層26上に載置するとともに該リード線33を半田を介して前記メタライズ配線層26に電気的に接続し、外部リード端子27、メタライズ配線26及びリード線33を介して外部よりペルチェ素子31に電力を供給してペルチェ素子31を光半導体素子30から金属基体21に熱を移動させる熱ポンプとして作動させ、光半導体素子30が作動時に発生する熱をペルチェ素子31を介して金属基体21に強制的に伝達し、該熱を金属基体21より大気中に放散除去することにより光半導体素子30の温度を常に定温として光半導体素子30が常に安定して作動するようになしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来の光半導体素子収納用パッケージによれば、セラミック端子部材の突出部は平板状であり、メタライズ配線層はその上面が平坦であることから、ペルチェ素子の電極に接続されたリード線をメタライズ配線層に半田付けする際、前記リード線をメタライズ配線層上に正確に位置決めすることができず、リード線とメタライズ配線層がずれて接続され、その結果、リード線と隣接するメタライズ配線層とが電気的に短絡し、ペルチェ素子を正常に作動させることができなくなって内部に収容する光半導体素子を正確、且つ確実に作動させることができないという欠点を有していた。
【0006】
【発明の目的】本発明は上記欠点に鑑み案出されたものであり、その目的は、ペルチェ素子の電極に接続されたリード線をセラミック端子部材のメタライズ配線層に正確に半田付けすることができ、その結果、内部に収容する光半導体素子を正確、且つ確実に作動させることができる光半導体素子収納用パッケージを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、光半導体素子がペルチェ素子を介して載置される載置部を有する金属基体と、前記金属基体の上面に前記載置部を囲繞するようにして接合され、且つ側壁に切り欠き部を有する金属枠体と、前記金属枠体の切り欠き部にロウ材を介して嵌着接合され、その側面に金属枠体の内側に突出する平板状の突出部を有するとともに該突出部上面に前記ペルチェ素子の電極がリード線を介して電気的に接続されるメタライズ配線層が被着形成されたセラミック端子部材と、前記金属枠体の上面に接合される蓋体とから成る光半導体素子収納用パッケージであって、前記セラミック端子部材のペルチェ素子の電極がリード線を介して電気的に接続されるメタライズ配線層の領域に前記リード線が挿通可能な貫通孔若しくは切り欠き部を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
【作用】本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、セラミック端子部材のリード線が電気的に接続されるメタライズ配線層の領域にリード線を挿通可能な貫通孔若しくは切り欠き部を設けたことから、該貫通孔或いは切り欠き部にリード線の一端を挿通することによってリード線を正確、且つ容易に所定の位置に位置決めすることができ、その結果、リード線をメタライズ配線層に正確、且つ容易に電気的に接続させることができる。
【0009】
【実施例】次に本発明を添付の図面に基づき詳細に説明する。
【0010】図1及び図2はそれぞれ本発明の光半導体素子収納用パッケージの一実施例を示す斜視図及び断面図であり、1 は金属基体、2 は金属枠体、3 はセラミック端子部材、4 は封止リング、5 は金属蓋体である。この金属基体1 と金属枠体2 とセラミック端子部材3 と封止リング4 と金属蓋体5 とで光半導体素子6 を収容する容器7 が構成される。
【0011】前記金属基体1 は、例えば銅−タングステン合金等の金属から成る略矩形状の平板であり、その上面中央部に光半導体素子6 を載置するための載置部1aが形成されており、該載置部1aには光半導体素子6 が間にペルチェ素子8 を挟んで金−シリコンロウ材等の接着剤により接着固定される。
【0012】前記絶縁基体1 は例えば、タングステン粉末(粒径約10μm)を1000Kg/cm2の圧力で加圧形成するとともにこれを還元雰囲気中、約2300℃の温度で焼成して多孔質のタングステン焼結体を得、次に1100℃の温度で加熱溶融させた銅を前記タングステン焼結体の多孔部分に毛管現象を利用して含浸させることによって製作される。
【0013】また前記金属基体1 の上面には、載置部1aを囲繞するようにして金属枠体2 が銀ロウ等のロウ材を介して接合されており、これにより内部に光半導体素子5 を収容するための空所が形成される。
【0014】前記金属枠体2 は、例えば鉄−ニッケル−コバルト合金、鉄−ニッケル合金等の金属から成る矩形枠状体であり、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属を従来周知の押し出し成形法や射出成形法、圧延加工法、絞り加工法等の金属加工法を採用して所定の枠状となすことによって製作される。
【0015】前記金属枠体2 にはまた内部に収容する光半導体素子6 との間で光信号を授受するための光ファイバー9 が挿通固定される光ファイバー固定部材10が該金属枠体2 を貫通して銀ロウ等のロウ材を介して接合されている。
【0016】前記光ファイバー固定部材10は、例えば鉄−ニッケル−コバルト合金、鉄−ニッケル合金等の金属から成り、光ファイバー9 を挿通可能な孔10a を有する円筒体であり、該孔10a に光ファイバー9 の一端を挿通させるとともにこれを半田等の接着剤やレーザー溶接により固定し、これにより該光ファイバー9 を介して内部に収容する光半導体素子6 と外部との光信号の授受が可能となる。
【0017】尚、前記光ファイバー固定部材10は、鉄−ニッケル−コバルト合金等のインゴットを従来周知の圧延加工や打ち抜き加工等の金属加工法を採用することによって所定の円筒状に製作される。
【0018】また、前記金属枠体2 には切り欠き部2aが設けられており、該切れ欠き部2a内にはセラミック端子部材3 が銀ろう等のロウ材を介して嵌着接合されている。
【0019】前記セラミック端子部材3 は、図3に示すようにアルミナセラミックス等の電気絶縁材料から成り、金属枠体2 の内外に突出する平板状の突出部3a、3bと金属枠体2 に嵌着される立壁部3cとを有しており、金属枠体2 の内外を気密に封止するとともに金属枠体2 の内外を電気的に接続するための導電路を提供する作用を為す。
【0020】前記セラミック端子部材3 は例えばアルミナセラミックスから成る場合、アルミナ、シリカ、カルシア、マグネシア等の原料粉末に適当なバインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状となすとともにこれを従来周知のドクターブレード法等のシート成形技術を採用してシート状のセラミックグリーンシートとなし、しかる後、前記セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに複数枚を上下に積層してセラミックグリーンシート積層体を得、最後に前記セラミックグリーンシート積層体を還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0021】前記セラミック端子部材3 はまたその突出部3a、3bの上面に金属枠体2 の内側から外側に延出する複数のメタライズ配線層11が被着されており、該メタライズ配線層11の金属枠体2 内側部位には、光半導体素子6 の各電極がボンディングワイヤー12を介して電気的に接続されるとともにペルチェ素子8 の電極に接続されたリード線13が半田を介して電気的に接続され、またメタライズ配線層11の金属枠体2 外側部位には外部電気回路と接続される外部リード端子14が銀ロウ等のロウ材を介して接続される。
【0022】前記メタライズ配線層11はタングステン、モリブデン等の高融点金属粉末焼結体から、タングステン等の高融点粉末に適当なバインダー、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを従来周知のスクリーン印刷法等の厚膜手法を採用してセラミック端子部材3 となるセラミックグリーンシートに予め所定パターンに印刷塗布しておくことによってセラミック端子部材3 の突出部3a上面から3b上面にかけて導出するように被着形成される。
【0023】更に前記セラミック端子部材3 にはその突出部3aでペルチェ素子8 の電極と接続されたリード線13が半田付けされる領域に貫通孔3dが形成されている。
【0024】前記貫通孔3dは、該貫通孔3d内にペルチェ素子8 の電極と接続されたリード線13の一端が挿通されることによりリード線13を所定位置に位置決めする作用を為し、該貫通孔3d内にペルチェ素子8 の電極と接続されたリード線13の一端を挿通させることによりリード線13を所定のメタライズ配線層11に正確に位置決めすることが可能であり、その結果、リード線13がずれて隣接するメタライズ配線層11と電気的に短絡することは一切無く、これによって内部に収容する光半導体素子6 を正確、且つ確実に作動させることができる。
【0025】尚、前記貫通孔3dは、セラミック端子部材3 となるセラミックグリーンシートに予め所定形状に打ち抜き加工を施しておくことによってセラミック端子部材3のペルチェ素子8 の電極と接続されたリード線13が半田付けされる部位に形成される。
【0026】また、前記セラミック部材3 のメタライズ配線層11に銀ロウ等のロウ材を介して接続される外部リード端子14は、内部に収容する光半導体素子6 及びペルチェ素子8 を外部電気回路に接続する作用を為し、該外部リード端子14を外部電気回路の配線導体に電気的に接続することにより内部に収容する光半導体素子6 及びペルチェ素子8 がボンディングワイヤー12及びリード線13、メタライズ配線層11、外部リード端子14を介して外部電気回路に接続されることとなる。
【0027】前記外部リード端子14は、例えば鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属から成り、該鉄−ニッケル−コバルト合金等のインゴットを従来周知の圧延加工法や打ち抜き加工法、エッチング加工法等の金属加工法を採用することによって所定の棒状となすことによって製作される。
【0028】また更に前記金属枠体2 の上面及びセラミック端子部材3 の上面には例えば鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属から成る枠状の封止リング4 が銀ロウ等のロウ材を介して接合されている。
【0029】前記封止リング4 は、後述する金属蓋体5 を溶接するための下地金属として作用し、該封止リング4 の上面には金属蓋体5 がシーム溶接等の溶接法により接合される。
【0030】尚、前記封止リング4 は、鉄−ニッケル−コバルト合金等のインゴットを従来周知の圧延加工法や打ち抜き加工法等の金属加工法を採用することによって所定の枠状となすことによって製作される。
【0031】また前記封止リング4 の上面には、例えば鉄−ニッケル−コバルト合金、鉄−ニッケル合金等の金属から成る略矩形平板状の金属蓋体5 が接合され、これにより金属基体1 と金属枠体2 とセラミック端子部材3 と封止リング4 金属蓋体5 とから成る容器7 の内部に光半導体素子6 が気密に封止されることとなる。
【0032】かくして本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば金属基体1 の載置部1aに光半導体素子6 を間にペルチェ素子8 を挟んで接着固定させ、光半導体素子6 の各電極をボンディングワイヤー12を介してメタライズ配線層11に接続させるとともにペルチェ素子8 の電極に接続されたリード線13をメタライズ配線層11に半田を介して電気的に接続し、次に金属枠体2 の上面に金属蓋体5 を接合させ、金属基体1 と金属枠体2 とセラミック端子部材3 と封止リング4 と金属蓋体5 とから成る容器7 内部に光半導体素子6 及びペルチェ素子8 を気密に収容し、最後に金属枠体2 の光ファイバー固定部材10に光ファイバー9 の一端を挿通させるとともにこれを半田等の接着剤やレーザー溶接によって接合させ、光ファイバー9を金属枠体2 に固定することによって最終製品としての光半導体装置として機能し、光ファイバー9 を介して内部に収容する光半導体素子6 と外部との光信号の授受が可能となる。
【0033】尚、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えばの実施例では、セラミック端子部材3 の突出部3aに貫通孔3dを形成したが、図4に示すように貫通孔3dに代えて切り欠き3eを形成しても良い。
【0034】
【発明の効果】本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、セラミック端子部材のリード線が電気的に接続される部位にリード線を挿通可能な貫通孔若しくは切り欠き部が形成されていることから、該貫通孔或いは切り欠き部にリード線の一端を挿通することによってリード線を正確、且つ容易に所定の位置に位置決めすることができ、その結果、リード線をメタライズ配線層に正確、且つ容易に電気的に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体素子収納用パッケージの一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子を収容した場合を示す断面図である。
【図3】本発明の光半導体素子収納用パッケージの要部拡大斜視図である。
【図4】本発明の光半導体素子収納用パッケージの別の実施例を示す斜視図てある。
【図5】従来の光半導体素子収納用パッケージの斜視図である。
【図6】図5に示した光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子を収容した場合を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・金属基体
2・・・金属枠体
3・・・セラミック端子部材
3d・・貫通孔
3e・・切り欠き部
5・・・金属蓋体
6・・・光半導体素子
8・・・ペルチェ素子
11・・・メタライズ配線層
13・・・リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】光半導体素子がペルチェ素子を介して載置される載置部を有する金属基体と、前記金属基体の上面に前記載置部を囲繞するようにして接合され、且つ側壁に切り欠き部を有する金属枠体と、前記金属枠体の切り欠き部にロウ材を介して嵌着接合され、その側面に金属枠体の内側に突出する平板状の突出部を有するとともに該突出部上面に前記ペルチェ素子の電極がリード線を介して電気的に接続されるメタライズ配線層が被着形成されたセラミック端子部材と、前記金属枠体の上面に接合される蓋体とから成る光半導体素子収納用パッケージであって、前記セラミック端子部材のペルチェ素子の電極がリード線を介して電気的に接続されるメタライズ配線層の領域に前記リード線が挿通可能な貫通孔若しくは切り欠き部を設けたことを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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