説明

光半導体素子

【課題】低照度から高照度まで様々な明るさの環境下に適した出力特性が得られる光半導体素子を提供する。
【解決手段】光半導体素子10は、受光量に応じた電流量の信号を出力する受光部11と、受光部11からの電流信号を入力電流信号として増幅する電流増幅部12と、電流増幅部12からの電流量に応じた電圧を出力端子Voから出力電圧として出力する出力電圧生成部13と、出力電圧生成部13の出力電圧を監視し、出力電圧が所定電圧以上となったときに作動する電圧監視部14と、電圧監視部14が作動することで照度に対する出力電圧の変化を小さくするように出力電圧生成部13を調整する出力電圧調整部15とを備えている。この光半導体素子10は、外部から電源を供給する電源端子と、外部回路へ出力電圧信号を出力する出力端子Voと、グランド端子とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光した光量に応じた電圧を出力する光半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式の携帯電話装置には、装置本体が折り畳まれたことを契機に、液晶表示パネルのバックライトのLED(Light Emitting Diode)や、テンキーを背面から照光するLEDを消灯させるために、外光を検知する照度センサが設けられていることで省電力が図られている。
【0003】
この照度センサには、一般的には、受光量に応じた電流を出力するフォトダイオード(PD)やフォトトランジスタ(PTr)、またはフォトIC(Integrated Circuit)などの光半導体素子が使用されている。このような照度センサについて、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0004】
特許文献1に記載の光半導体素子は、フォトダイオードにより構成された受光部と、受光部からの電流信号を入力電流信号として増幅する電流増幅部とを備え、外部端子として、電流増幅部に電源を外部から供給する電源端子と、出力電流信号を外部に出力する出力端子とを備え、電流増幅部の接地線が出力端子に接続されたものである。
【0005】
このような光半導体素子の出力特性を図9に示す。従来の光半導体素子の出力特性は、横軸が照度、縦軸が出力電圧である。出力特性によると照度と出力電圧とは飽和状態となるまで比例関係にあることがわかる(図9では、実線で示す。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−78433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光半導体素子が低照度の環境下で使用されるときに、照度の変化に対して敏感に反応させたい場合には、高いゲインで出力特性の傾きを大きくすると、照度に対する電圧の変化の度合いが大きくなるので、高感度とすることができる(図9では、破線で示す。)。しかし、出力特性の傾きを大きくし過ぎると、高照度に至る前に、ゲインが飽和状態となってしまうため、高照度の環境下では使用できない。
【0008】
反対に、高照度の環境下でも使用できるようにするには、低いゲインで増幅して出力特性の傾きを小さくする。出力特性の傾きを小さくすると、照度の変化に対して電圧の変化の度合いが小さくなるが、小さくし過ぎると、低照度での出力電圧の変化の度合いが小さくなるので、反応が鈍くなる(図9では一点鎖線で示す。)。
【0009】
そこで本発明は、低照度から高照度まで様々な明るさの環境下に適した出力特性が得られる光半導体素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光半導体素子は、受光量に応じた電流量の信号を出力する光電変換部と、前記光電変換部からの電流量に応じた電圧を出力端子から出力電圧として出力する出力電圧生成部と、前記出力電圧生成部の出力電圧を監視し、出力電圧が所定電圧以上であるときに作動する電圧監視部と、前記電圧監視部が作動することで照度に対する出力電圧の変化を小さくするように前記出力電圧生成部を調整する出力電圧調整部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、明るさの変化の度合いを大きく感じる低照度は感度を高く、明るさの変化の度合いを小さく感じる高照度は感度を低く設定することができるので、低照度から高照度まで様々な明るさの環境下に適した出力特性が得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る光半導体素子の構成を示すブロック図
【図2】図1に示す光半導体素子の回路構成の一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態に係る光半導体装置20を示す図、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は底面図
【図4】本発明の実施の形態に係る携帯電話機を示す外観斜視図
【図5】携帯電話機の構成を示す概略説明図
【図6】図1に示す光半導体素子の出力特性を示すグラフ
【図7】本発明の実施の形態に係る光半導体素子の変形例の回路構成の一例を示す図
【図8】図7に示す光半導体素子の出力特性を示すグラフ
【図9】従来の光半導体素子の出力特性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の第1の発明は、受光量に応じた電流量の信号を出力する光電変換部と、光電変換部からの電流量に応じた電圧を出力端子から出力電圧として出力する出力電圧生成部と、出力電圧生成部の出力電圧を監視し、出力電圧が所定電圧以上であるときに作動する電圧監視部と、電圧監視部が作動することで照度に対する出力電圧の変化を小さくするように出力電圧生成部を調整する出力電圧調整部とを備えたことを特徴としたものである。
【0014】
第1の発明によれば、光電変換部が受光量に応じた電流量を出力し、出力電圧生成部が、出力端子から電流量に応じた電圧を出力電圧する際に、電圧監視部が出力電圧生成部の出力電圧を監視し、出力電圧が所定電圧以上であるときに作動して、出力電圧調整部が照度に対する出力電圧の変化を小さくするように出力電圧生成部を調整することで、低照度における出力特性の傾きを大きくしても、高照度における傾きを小さくすることができるので、高照度で出力電圧が飽和状態となってしまうことが回避できる。従って、明るさの変化の度合いを大きく感じる低照度は感度を高く、明るさの変化の度合いを小さく感じる高照度は感度を低く設定することができる。
【0015】
本願の第2の発明は、第1の発明において、出力電圧生成部は、光電変換部からの電流による電圧降下を出力電圧とする第1の抵抗により形成され、出力電圧調整部は、電圧監視部が作動することで第1の抵抗に並列に接続する第2の抵抗により形成され、第2の抵抗は第1の抵抗より小さい抵抗値を有するものであることを特徴としたものである。
【0016】
第2の発明においては、電圧監視部が作動して、出力電圧生成部として機能する第1の抵抗に並列に接続する第1の抵抗より小さい抵抗値を有する第2の抵抗が接続することで、出力電圧を第1の抵抗の電圧降下から第1の抵抗と第2の抵抗の並列接続による合成抵抗とすることができるので、高照度における傾きを小さくすることができる回路を少ない部品点数で構成することができる。
【0017】
本願の第3の発明は、第2の発明において、電圧監視部は、出力電圧が所定電圧以上となったときに閉作動して、第2の抵抗を第1の抵抗に並列接続するスイッチング素子により形成されている特徴としたものである。
【0018】
第3の発明においては、電圧監視部を出力電圧が所定電圧以上となったときに閉作動するスイッチング素子することで、第1の抵抗に第2の抵抗を容易な回路構成で並列接続することができる。
【0019】
本願の第4の発明は、第3の発明において、スイッチング素子には、閉作動する所定電圧を調整する閾値電圧調整素子が設けられていることを特徴としたものである。
【0020】
第4の発明においては、スイッチング素子に閉作動する所定電圧を調整する閾値電圧調整素子が設けられていることで、出力特性における傾きの変化点を所望とする照度に設定することができる。
【0021】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る光半導体素子、光半導体装置および携帯電話機を図面に基づいて説明する。まずは、光半導体素子の構成を図1に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る光半導体素子の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示す光半導体素子の回路構成の一例を示す図である。
【0022】
図1および図2に示すように、光半導体素子10は、受光量に応じた電流量の信号を出力する受光部11と、受光部11からの電流信号を入力電流信号として増幅する電流増幅部12と、電流増幅部12からの電流量に応じた電圧を出力端子Voから出力電圧として出力する出力電圧生成部13と、出力電圧生成部13の出力電圧を監視し、出力電圧が所定電圧以上となったときに作動する電圧監視部14と、電圧監視部14が作動することで照度に対する出力電圧の変化を小さくするように出力電圧生成部13を調整する出力電圧調整部15とを備えている。この光半導体素子10は、外部から電源を供給する電源端子Vccと、外部回路へ出力電圧信号を出力する出力端子Voと、グランド端子GNDとを備えている。
【0023】
受光部11は、半導体基板上に接合深さを異ならせることで、可視光から赤外光まで感度を有するフォトダイオードPD1と、赤外光について感度を有するフォトダイオードPD2とが形成されている。
【0024】
フォトダイオードPD1は、カソードが電源端子Vccに接続され、アノードがフォトダイオードPD2のカソードに接続されている。フォトダイオードPD2のアノードは、接地線Cに接続されている。
【0025】
電流増幅部12は、第1カレントミラー回路121と、第2カレントミラー回路122とから形成されている。
【0026】
第1カレントミラー回路121は、NPN型のトランジスタQ1,Q2を備えている。トランジスタQ1のコレクタは、フォトダイオードPD1のカソードとフォトダイオードPD2のアノードと接続されていると共に、トランジスタQ1,Q2のそれぞれのベースに接続されている。そして、トランジスタQ1,Q2のエミッタは、接地線Cに接続されている。第1カレントミラー回路121は、トランジスタQ2の増幅率を、トランジスタQ1の増幅率のN倍としており、受光部11からの電流信号をN倍に増幅する。
【0027】
第2カレントミラー回路122は、PNP型のトランジスタQ3,Q4を備えている。トランジスタQ3,Q4のエミッタは、電源端子Vccに接続されている。また、トランジスタQ2のコレクタは、トランジスタQ3のコレクタが接続されると共に、トランジスタQ3,Q4のそれぞれのベースに接続されている。そして、トランジスタQ4のコレクタは、出力電圧生成部13に接続されている。第2カレントミラー回路122は、トランジスタQ4の増幅率を、トランジスタQ3の増幅率のM倍としており、第1カレントミラー回路121からの電流信号をM倍に増幅する。
【0028】
受光部11と電流増幅部12とにより光電変換部16が構成される。
【0029】
出力電圧生成部13は、トランジスタQ4のコレクタとの接続点Pが電流増幅部12からの電流に応じた電圧降下が発生する抵抗R1(第1の抵抗)とすることができる。本実施の形態では抵抗R1を100kΩとしている。
【0030】
電圧監視部14は、出力電圧生成部13からの電圧が所定電圧以上であるときに閉作動するスイッチング素子として機能するNMOSトランジスタTrと、閉作動する所定電圧を調整するための閾値電圧調整素子として機能するダイオードD1とで形成されている。NMOSトランジスタTrは、ゲートがトランジスタQ4のコレクタと抵抗R1との接続点Pに接続され、ソースがダイオードD1のアノードに接続されている。ダイオードD1のカソードは、接地線Cに接続されている。
【0031】
出力電圧調整部15は、出力端子VoとNMOSトランジスタTrのドレインとに接続された抵抗R2(第2の抵抗)とで形成されている。本実施の形態では抵抗R2を5kΩとしている。
【0032】
次に、光半導体素子10を用いた本発明の実施の形態に係る光半導体装置20の構成を、図3に基づいて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る光半導体装置20を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は底面図である。
【0033】
光半導体装置20は、光半導体素子10を搭載する基板21と、光半導体素子10を封止する樹脂封止部22とを備えている。
【0034】
基板21は、平面視して矩形状で、縦1.6mm、横1.6mmに形成されている。基板21には、光半導体素子10の端子とワイヤ23を介して導通接続する配線パターン24が形成されている。またこの光半導体装置20を実装する実装基板と接続する電極25が、基板21の両側部に垂直断面コ字状となるように形成されている。
【0035】
電極25は、光半導体素子10の電源端子Vccに電源を供給する電源電極251と、グランド端子GNDと接続するグランド電極252と、光半導体素子10の出力端子Voからの出力電流信号が出力される出力電極253とが形成されている。
【0036】
樹脂封止部22は、赤外光から可視光までを透過する樹脂を用いてトランスファー成型法で形成されている。
【0037】
樹脂封止部22をトラスファー成型法で形成する際に、型締めした金型の隙間から樹脂が漏れ出ないように、電極25にはレジスト膜26が設けられている。
【0038】
また、基板21の底面の中央部には、レジスト膜27が形成されている。このレジスト膜27は、金型に対してのクッションの役割をすると共に、三角形状の切り欠きを施すことで極性表示として機能する。
【0039】
次に、この光半導体装置20を用いた本発明の実施の形態に係る携帯電話機の構成を図4および図5に基づいて説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る携帯電話機を示す外観斜視図である。図5は、携帯電話機の構成を示す概略説明図である。
【0040】
図4に示すように、携帯電話機30は、折りたたみ式で、内側面の一方に表示部である液晶表示パネル(以下、LCDと称す。)31が、他方に数字キーや機能キーなどの操作部32が設けられている。光半導体装置20は、LCD31側の下部に光半導体素子10の受光部11が露出するように設けられている。
【0041】
図5に示すように、光半導体素子10の出力端子Voには、A/Dコンバータ33が接続されている。A/Dコンバータ33の出力は、それぞれLCD輝度調整部34と、テンキーLEDオン/オフ部35とに接続されている。電源端子Vccには3Vが供給される。
【0042】
以上に構成される本発明の実施の形態に係る光半導体素子10の動作と、携帯電話機30の動作を図1から図5に基づいて説明する。
【0043】
使用者が、図4に示す携帯電話機30を、例えばカバンやポケットから取り出して、折り畳んでいる状態から開くことで、光半導体素子10に光が照射される。
【0044】
光が照射されると、図2に示すフォトダイオードPD1,PD2に、その受光特性に応じて電流信号として電流I1および電流I2が流れる。電流I1および電流I2が流れることで、差電流I1−I2がトランジスタQ1のコレクタに入力電流信号として流れる。従って、赤外光を受光したときには、フォトダイオードPD1による電流I1とフォトダイオードPD2による電流I2とがほぼ等しくなるので、入力電流信号である差電流I1−I2は、ほとんど流れず、可視光を受光したときには、フォトダイオードPD1による電流I1が入力電流信号となる。つまり、フォトダイオードPD1,PD2を電源と接地線Cとの間に直列に接続することで、受光感度として人間の目に近いヒューマンズアイを実現している。
【0045】
第1カレントミラー回路121では、入力電流信号によってトランジスタQ1のコレクタからエミッタに電流が流れると共にトランジスタQ2をオンする。トランジスタQ2がオンすると、トランジスタQ2のコレクタに接続された第2カレントミラー回路122のトランジスタQ3のベース電圧が下がりトランジスタQ3がオンとなる。
【0046】
トランジスタQ3がオンすることで、トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間に、トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間のN倍の電流が電源端子Vccから流れる。
【0047】
そして、第2カレントミラー回路122のトランジスタQ3がオンすると共に、トランジスタQ4がオンとなるので、トランジスタQ4のコレクタ−エミッタ間には、トランジスタQ3のコレクタ−エミッタ間に流れるM倍の電流が電源端子Vccから流れる。従って、トランジスタQ4のコレクタ−エミッタ間には、トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間に流れる電流のN倍×M倍の電流が流れることになる。
【0048】
従って、抵抗R1には、第2カレントミラー回路122による増幅されたN×M倍の電流が出力電流信号I3として流れることになる。
【0049】
この抵抗R1に出力電流信号I3が流れることで、接続点Pに出力電流信号I3に応じた電圧降下が発生し、出力端子Voから出力電圧として出力されると共に、電圧監視部14のNMOSトランジスタTrのゲートへ入力される。
【0050】
ここで、照度と出力電圧との出力特性について、図6に基づいて説明する。図6は、図1に示す光半導体素子の出力特性を示すグラフである。
【0051】
フォトダイオードPD1,PD2を照射する光が徐々に明るくなると、この照度に応じて出力電圧も高くなる。本実施の形態では電源端子Vccに3Vが供給され、抵抗R1は100kΩと抵抗値が充分高い高抵抗としているので、光電変換部16(受光部11,電流増幅部12)からの出力電流を100Lxの照度で10mA出力すると設定した時、照度が0Lxから100Lxまで、わずかな照度の変化でも、0Vから1Vへ敏感に電圧が反応して変化する。従って、光半導体素子10を、低照度の環境下で、照度の変化に対して敏感に反応させることができる(図6では照度E1の範囲)。
【0052】
徐々に照度が上がり、トランジスタQ4からの出力電流信号I3による抵抗R1の電圧降下が所定電圧V1以上となると、電圧監視部14のNMOSトランジスタTrが閉作動する。本実施の形態では、NMOSトランジスタTrのソースと接地線Cとの間にダイオードD1は順方向に接続されているので、ダイオードD1分の電圧降下分と、NMOSトランジスタTrのVGSとの和となるため、ダイオードD1の電圧降下(順方向電圧)を約0.75V、NMOSトランジスタTrのVGSを0.7Vとすると、I3×R3が約1.45V付近となると、この電圧を閾値電圧としてNMOSトランジスタTrが閉作動する。
【0053】
NMOSトランジスタTrが閉作動した後は、出力端子Voの出力電圧は、抵抗R1と抵抗R2との並列接続による合成抵抗の電圧降下となる。本実施の形態では抵抗R1が100kΩ、抵抗R2が抵抗R1より充分低い5kΩなので、合成抵抗は約4.8kΩとなり、大幅に抵抗値が減少するので、合成抵抗による電圧降下も低下する。
【0054】
つまり、高照度の環境下では、出力電流信号I3の増加分に対する出力電圧の増加は傾きが小さくなり鈍くなる(図6では照度E2の範囲)。従って、光半導体素子10を照度の変化に対して出力電圧の変化が小さくなるゆっくりとした反応とすることができる。
【0055】
図5に示すように、光半導体素子10の出力端子Voから出力された出力電圧信号は、A/Dコンバータ33により電圧に応じたデジタル信号に変換され、LCD輝度調整部34とテンキーLEDオン/オフ部35とへ出力される。
【0056】
LCD輝度調整部34では、A/Dコンバータ33から入力したデジタル信号に応じてLCD31のバックライトの輝度を調整する。これにより、低照度の範囲では少しの照度の変化でもバックライトの輝度の変化が大きくなり、高照度の範囲では大きく照度が変化してもバックライトの輝度が余り変化しないようにすることができるので、観察しやすいLCD31とすることができる。
【0057】
また、テンキーLEDオン/オフ部35では、入力したデジタル信号が所定値より小さい場合には操作部32のバックライトをオンとし、大きい場合にはオフとする。これにより明るいときには操作部32のバックライトがオンすることを防止できるので、無駄な電力を節約することができる。
【0058】
このように、光半導体素子10は、低照度における出力特性の傾きを大きくしても、高照度における傾きを小さくすることができることで、高照度で出力電圧が飽和状態となってしまうことが回避できる。従って、低照度の環境下では出力電圧が敏感に反応し、高照度の環境下でも出力電圧が飽和することなく照度の変化を出力電圧の変化として出力することができるので、明るさの変化の度合いを大きく感じる低照度は感度を高く、明るさの変化の度合いを小さく感じる高照度は感度を低く設定することができる。よって、光半導体素子10は、低照度から高照度まで様々な明るさの環境下に適した出力特性を得ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では電圧監視部14のスイッチング素子としてNMOSトランジスタTrを使用しているが、NMOSトランジスタTrはバイポーラトランジスタでもよい。しかし、スイッチング素子をバイポーラトランジスタとすると、トランジスタQ4からの出力電流信号I3がIBCとなってバイポーラトランジスタに流れ、抵抗R1への流れ込み量が減少してしまう。スイッチング素子をNMOSトランジスタTrとすることで、IGSとなって流れる電流が殆どないので、スイッチング素子はNMOSトランジスタTrとするのが望ましい。
【0060】
次に、本発明の実施の形態に係る光半導体素子の変形例について、図7および図8に基づいて説明する。図7は、本発明の実施の形態に係る光半導体素子の変形例の回路構成の一例を示す図である。図8は、図7に示す光半導体素子の出力特性を示すグラフである。なお、図7においては、図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0061】
図7に示す光半導体素子10xは、電圧監視部14xが作動開始する電圧を高く設定するために、閾値電圧調整素子として機能するダイオードを直列接続している。図7に示す回路例では、ダイオードD1,D2を直列接続している。そうすることで、ダイオード1個分の電圧降下が0.75Vなので、2個直列接続することで1.5Vとなり、NMOSトランジスタTrのVGSを0.7Vとの合計で、NMOSトランジスタTrが閉作動する閾値電圧が2.2Vとなる。このようにダイオードD1にダイオードD2を直列接続することで、閾値電圧を高く設定することができる。
【0062】
図8に示すように、閾値電圧を高く設定することで、照度が高くなることに対しての出力電圧の傾きの変化点が遅くなることで、ダイオードD1が1個の場合(一点鎖線で示す。)と比較して分解能が高い低照度の範囲を広く確保することができる。
【0063】
しかし、図9に示す従来の光半導体素子の出力特性と比較すると、図8に示す変形例に係る出力特性は、低照度(ELの範囲)と中照度(EMの範囲)では出力特性が改善されているものの、閾値電圧を高く設定したため、高照度(EHの範囲)における出力電圧の飽和が早くなってしまい、高照度では使用できない。
【0064】
そこで電源端子Vccに印加する電源電圧を高くする。例えば、図1に示す光半導体素子10では電源電圧を3Vとしていたので、5Vとする。そうすることで、図9に示すように出力電圧の飽和状態の発生を、更に高い照度まで遅らせることができる(二点鎖線で示す。)。
【0065】
このように閾値電圧調整素子として機能するダイオードD1,D2を直列接続することで、所望とする照度の範囲を設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、低照度から高照度まで様々な明るさの環境下に適した出力特性が得られるので、受光した光量に応じた電圧を出力する光半導体素子に好適である。
【符号の説明】
【0067】
10,10x 光半導体素子
11 受光部
12 電流増幅部
13 出力電圧生成部
14,14x 電圧監視部
15 出力電圧調整部
16 光電変換部
20 光半導体装置
21 基板
22 樹脂封止部
23 ワイヤ
24 配線パターン
25 電極
26,27 レジスト膜
30 携帯電話機
31 液晶表示パネル(LCD)
32 操作部
33 A/Dコンバータ
34 LCD輝度調整部
35 テンキーLEDオン/オフ部
121 第1カレントミラー回路
122 第2カレントミラー回路
251 電源電極
252 グランド電極
253 出力電極
C 接地線
D1,D2 ダイオード
GND グランド端子
PD1,PD2 フォトダイオード
Q1〜Q4 トランジスタ
R1,R2 抵抗
Tr NMOSトランジスタ
Vcc 電源端子
Vo 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光量に応じた電流量の信号を出力する光電変換部と、
前記光電変換部からの電流量に応じた電圧を出力端子から出力電圧として出力する出力電圧生成部と、
前記出力電圧生成部の出力電圧を監視し、出力電圧が所定電圧以上であるときに作動する電圧監視部と、
前記電圧監視部が作動することで照度に対する出力電圧の変化を小さくするように前記出力電圧生成部を調整する出力電圧調整部とを備えたことを特徴とする光半導体素子。
【請求項2】
前記出力電圧生成部は、前記光電変換部からの電流による電圧降下を出力電圧とする第1の抵抗により形成され、
前記出力電圧調整部は、前記電圧監視部が作動することで前記第1の抵抗に並列に接続する第2の抵抗により形成され、
前記第2の抵抗は前記第1の抵抗より小さい抵抗値を有するものである請求項1記載の光半導体素子。
【請求項3】
前記電圧監視部は、出力電圧が所定電圧以上となったときに閉作動して、前記第2の抵抗を前記第1の抵抗に並列接続するスイッチング素子により形成されている請求項2記載の光半導体素子。
【請求項4】
前記スイッチング素子には、閉作動する所定電圧を調整する閾値電圧調整素子が設けられている請求項3記載の光半導体素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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