説明

光反射部材およびそれを用いた直下型面発光装置

【課題】直下型面発光装置に使用される光反射部材であって、光源の数を増やしたり、光源ひとつあたりの消費エネルギーを大きくしたりすることなく、直下型面発光装置の正面輝度を向上させることが可能な光反射部材およびそれを用いた直下型面発光装置を提供する。
【解決手段】光反射部材として、入射角60°に対する受光角60°の光沢度が51%以上であり、かつ450nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が90%以上である反射板により形成されたものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、照明装置、電飾看板などに用いられる光反射部材およびそれを用いた直下型面発光装置に関し、さらに詳しくは、光沢度および反射率が高く、上記液晶表示装置、照明装置、電飾看板などの正面輝度を向上させることができる光反射部材およびそれを用いた直下型面発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般に光源と液晶表示部とから構成され、光源としては一般に面発光光源が使用される。面発光光源は、線状光源、反射板および拡散板を備えたユニットであることが多い。また、照明装置や電飾看板においても、同様の構成によって面発光を行っている。
【0003】
面発光光源において、正面輝度は重要な特性のひとつである。液晶表示装置や電飾看板では、正面輝度が上がることは視認性が高くなることにつながり、映像情報の価値が高くなり、宣伝効果も大きくなる。照明装置においても、快適性の向上、安全の確保などの観点から、やはり高い正面輝度の要求は強い。
【0004】
大型化した面発光装置のように特に強い正面輝度が求められる場合、装置内の光源は光取り出し面の直下に配置されることが多く、また光源の光取り出し面側と反対方向に向かう光を有効に利用する目的で、光源のさらに直下に反射板を配置する構成が一般的である。以下、このような構成の面発光装置を直下型面発光装置という。
【0005】
面発光装置において、反射板と拡散板の構成で高い正面輝度を達成することができると、光源の消費エネルギーを相対的に低くすることが可能となり、省エネルギーにつながる。
【0006】
面発光装置における反射板に関する提案としては、例えば特許文献1、2に記載されたものがある。特許文献1には、光沢度が50%以下であるような低い光沢度の反射板を用いた面発光装置が開示されている。特許文献2には、光沢度が45%以下であるような低い光沢度の液晶バックライト用反射板が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特許第3018539号公報
【特許文献2】特開平8−309847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、面発光装置にはますます高い正面輝度が求められている。しかし、近年の地球温暖化やエネルギー資源枯渇の懸念を考慮すると、消費エネルギーは可能な限り低く抑えなければならない。よって、光源の数を増やしたり、光源ひとつあたりの消費エネルギーを大きくしたりすることは避ける必要がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、直下型面発光装置に使用される光反射部材であって、光源の数を増やしたり、光源ひとつあたりの消費エネルギーを大きくしたりすることなく、直下型面発光装置の正面輝度を向上させることが可能な光反射部材およびそれを用いた直下型面発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した目的を達成するため、直下型面発光装置に使用される光反射部材であって、入射角60°に対する受光角60°の光沢度が51%以上であり、かつ450nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が90%以上である反射板により形成されていることを特徴とする光反射部材を提供する。
【0011】
本発明により直下型面発光装置の正面輝度を向上させことができる理由は完全には解明できていないが、次のように推測できる。すなわち、直下型面発光装置の場合、反射板の光沢度が低いと、反射板で反射した光は面発光装置の光取り出し面でない側面方向に向かいやすくなると予想される。面発光装置内では、光源から直接出た光と反射板で反射された光がさまざまな方向に向かい、何度も反射を繰り返している。多くの場合、面発光装置の側面方向は反射板とは異なる反射率の低い材質でできているため、側面へ向かう光が多いとそれだけ光の損失が大きくなる。結果的に光取り出し面へ向かう光が少なくなり、正面輝度が低下してしまうと予想される。これに対し、本発明では、光沢度および反射率が高い反射板によって光反射部材を形成したので、面発光装置の側面方向へ向かう光が少なくなり、その結果正面輝度が向上すると考えられる。
【0012】
本発明に用いる光反射板は、入射角60°に対する受光角60°の光沢度(以下、単に光沢度という)が51%以上であることが必要である。より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。これは、前記理由によって光沢度が高いほど光の利用効率が高まると考えられるからである。
【0013】
また、本発明に用いる反射板は、波長域450nm〜700nmの光の平均反射率が90%以上であることが必要である。特に、波長域500nm〜700nmの光の平均反射率が90%以上であることがより好ましく、さらには波長550nmの光の反射率が90%以上であることが最も好ましい。これは、前記理由によって反射率が高いほど光の利用効率が高まると考えられるからである。また、輝度は人間の視感効率を基に定義されていることから、550nmの波長をもつ光が輝度への影響が最も大きいためである。
【0014】
なお、前述した特許文献1の光沢度が50%以下であるような低い光沢度の反射板を用いた面発光装置は、面発光装置の側面方向に光源が配置されている構成(サイドライト方式)を想定しているため、直下型面発光装置では前記理由によって正面輝度が低下してしまうことが懸念される。また、前述した特許文献2の光沢度が45%以下であるような低い光沢度の液晶バックライト用反射板であると、直下型の面発光装置では前記理由により正面輝度が低下してしまうことが懸念される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光反射部材によれば、直下型面発光装置全体の消費エネルギーを増やすことなく、直下型面発光装置の正面輝度を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明において用いられる反射板を主に構成する材料は特に限定されず、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂等の樹脂や、アルミニウム、銀等の金属を用いることができる。これらの中では、ポリエステルが特に好ましい。なお、樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
ポリエステルとは、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などのジカルボン酸単位と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール(プロピレングリコール)、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン類などの芳香族ジオール類などのジオール単位とから形成される樹脂である。ポリエステルとして、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができる。これらのうちでは、非晶性のシートが得られ易く成形性が優れ、結晶化度の高いポリエチレンテレフタレートが重量、コスト面で特に好適である。
【0018】
本発明において反射板に樹脂を用いる場合、特性に影響を及ぼさない範囲で、結晶化核剤、結晶化促進剤、気泡化核剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤、強化剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤などの各種添加剤を樹脂に配合してもよい。また、反射板に上記添加剤を含有する樹脂を積層してもよいし、上記添加剤を含有する層を付与してもよい。中でも、紫外線吸収剤を含む層を付与することは、紫外線劣化を起こしやすい樹脂を反射板に用いた場合でも十分な紫外線劣化耐性を持たせることができるので好ましい。
【0019】
また、本発明において用いられる反射板の特に好ましい材質として、熱可塑性樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(A)と親和性を持つ官能基を有する熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂シートであって、内部に平均気泡径10μm以下の複数の孔を有する熱可塑性樹脂発泡体が挙げられる。
【0020】
上記熱可塑性樹脂発泡体は、熱可塑性樹脂に特定の熱可塑性樹脂を添加して発泡させることにより、内部に孔径10μm以下の微細な孔を形成したものである。すなわち、熱可塑性樹脂(A)に対して何らかの相互作用(極性を有する、水素結合する、反応するなどといった親和性)がある官能基を熱可塑性樹脂(B)に付与させたものを、熱可塑性樹脂(A)に添加することで、熱可塑性樹脂(B)が熱可塑性樹脂(A)中に微分散し、結晶核生成の起点となったり、気泡核生成の起点となったりして、気泡微細化に大きな効果を与えるものである。
【0021】
熱可塑性樹脂(A)の種類は特に限定されず、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂などが用いられる。また、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等を適宜選択でき、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、ポリエステル系樹脂が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが発泡性、耐熱性の面で好適である。
【0022】
熱可塑性樹脂(B)が有する官能基としては、例えば、アミノ基、グリシジル基、カルボキシル基(酸無水物、金属塩となっているカルボキシル基も含む)、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、スルホ基、ニトロ基、ハロゲン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基等が挙げられ、中でも熱可塑性樹脂(A)がポリエステルの場合はアミノ基、グリシジル基、カルボキシル基がポリエステルとの反応性が良好であるため好ましい。
【0023】
熱可塑性樹脂(B)の種類は特に限定されず、熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビフェニル、ポリビニルアルコールなどの汎用樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、超高分子量ポリエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、フッ素樹脂などのエンジニアリングプラスチック、またはこれらの共重合体もしくは混合物などが挙げられる。これらのベース樹脂に、例えばグラフト、多官能基の導入などにより官能基を付与させたものを熱可塑性樹脂(B)として使用することができる。これらのベース樹脂の中では、熱可塑性エラストマー、ポリオレフィンが気泡をより微細化できるため好ましい。
【0024】
熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、ポリスチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられるが、ポリスチレン系エラストマーがより好ましい。ポリスチレン系エラストマーとしては、スチレンを含有するエラストマー、例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー)、SEP(スチレン−エチレン/プロピレンコポリマー)、SEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレンブロック共重合体)、HSBR(水添スチレン/ブタジエンゴム)などが挙げられ、中でもSEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー)、SEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレンブロック共重合体)がより好ましい。
【0025】
上述した熱可塑性樹脂発泡体において、比重が大きくなる、つまり発泡倍率が小さくなると、結果として気泡率の低下による反射率の低下や成形性の低下、軽量化効果の減少につながるので、熱可塑性樹脂発泡体の比重は0.7以下であることが好ましい。より好ましくは、0.65以下、さらに好ましくは0.5以下である。なお、熱可塑性樹脂発泡体の比重は0.05以上であることが好ましい。
【0026】
上述した熱可塑性樹脂発泡体において、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対する熱可塑性樹脂(B)の添加量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂(B)が官能基を有するポリスチレン系エラストマーの場合、0.1〜10質量部であることが好ましい。より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜3質量部である。官能基を有するポリスチレン系エラストマー(B)の添加量が0.1質量部より少ないと、得られる発泡体の気泡径が大きくなる傾向があり、分散も不均一となる傾向がある。一方、官能基を有するポリスチレン系エラストマー(B)の添加量が10質量部を超えると、コストの面で不利である。
【0027】
上述した熱可塑性樹脂発泡体において、特性に影響を及ぼさない範囲で、発泡前の熱可塑性樹脂に、結晶化核剤、結晶化促進剤、気泡化核剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、相溶化剤、滑剤、強化剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤などの各種添加剤を配合してもよい。また、得られた熱可塑性樹脂発泡体に上記添加剤を含有する樹脂を積層してもよいし、上記添加剤を含有する塗料をコーティングしてもよい。紫外線防止剤などを含む層を熱可塑性樹脂発泡体の少なくとも一方の表面に付与することは、熱可塑性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)に紫外線劣化しやすいものを用いた場合でも、十分な耐紫外線劣化防止能を付与できるので、特に好ましい。
【0028】
上述した熱可塑性樹脂発泡体を製造する方法は特に限定されないが、量産性を考慮すると、例えば以下のような方法を用いることが好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂のシートを作製し、該樹脂シートとセパレータとを重ねて巻くことによりロールを形成し、このロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して該樹脂シートに不活性ガスを含有させ、さらに不活性ガスを含有させた該樹脂シートを常圧下で熱可塑性樹脂(A)の軟化温度以上に加熱して発泡させる、という方法である。
【0029】
上記不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどが挙げられる。樹脂シートが飽和状態になるまでの不活性ガス浸透時間および不活性ガス浸透量は、発泡させる樹脂の種類、不活性ガスの種類、浸透圧力およびシートの厚さによって異なる。樹脂へのガス浸透性(速度、溶解度)を考慮すると、二酸化炭素がより好ましい。
【0030】
また、上述した方法では、樹脂シートとセパレータとからなるロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して該樹脂シートに不活性ガスを含有させる前に、該樹脂シートに有機溶剤を含有させてもよい。有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、アセトン、酢酸、ジオキサン、m−クレゾール、アニリン、アクリロニトリル、フタル酸ジメチル、ニトロエタン、ニトロメタン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。これらのうち、取り扱い性および経済性の観点からアセトンがより好ましい。
【0031】
上述した熱可塑性樹脂発泡体においては、熱可塑性樹脂(B)が熱可塑性樹脂(A)と何らかの相互作用を持つ官能基を有していることにより、熱可塑性樹脂(B)が熱可塑性樹脂(A)中に均一に微分散する。特に熱可塑性樹脂(A)がポリエステル系樹脂の場合、ポリエステル系樹脂はガス浸透過程で不活性ガスに誘起されて結晶化するが、微分散した熱可塑性樹脂(B)が結晶核生成の起点となって微結晶が生成されたり、熱可塑性樹脂(B)が発泡過程で気泡核生成の起点となったり、熱可塑性樹脂(B)が微細発泡化したりするなどのいずれかの効果が生じるため、この樹脂を発泡させると、内部に平均気泡径10μm以下の微細な孔が均一に存在し、高い光沢度、反射率を有する発泡体が得られると考えられる。他の樹脂に関しても、同様の機構により微細な孔が生成すると考えられる。
【0032】
本発明に係る光反射部材の形状、構造に限定はなく、単なる平板状としてもよいが、前記光反射板からなる平板状の底板上に、断面形状が山形で平面視略長方形状の前記光反射板からなる複数の山板が配置された構造とすることができる。この場合、上記山板の断面形状としては、例えば三角形、半多角形、半円形、半楕円形等の山形を挙げることができる。上記構造の光反射部材は、複数の山板を平行に形成し、隣り合う山板同士の間に蛍光灯や冷陰極管等の直管状光源を配置することが好ましい。
【0033】
また、本発明においては、上述したような光反射板を設置することによって、正面輝度が向上した直下型面発光装置を提供することができる。
【実施例】
【0034】
以下に、本発明を実施例によって説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。本実施例において、反射板の光沢度および反射率ならびに直下型面発光装置の正面輝度の測定は以下の通りとした。
【0035】
(反射板の光沢度)
本発明における光沢度とは、反射板面に対して入射角60°、受光角60°における標準光沢度物質に対する受光強度の相対値である。本実施例における光沢度の測定には、光沢度計(HORIBA社製グロスチェッカIG320)を用いた。標準光沢度物質としては光沢度91%の物質を用いた。
【0036】
(反射板の反射率)
分光光度計(島津製作所社製UV−3101PC)を用いて反射率を測定した。なお、表1において、硫酸バリウムの微粉末を固めた白板の拡散反射率を100%として、各々の熱可塑性樹脂発泡体の拡散反射率を相対値で示している。
【0037】
(直下型面発光装置の正面輝度)
強く明るさが求められる液晶表示装置である液晶テレビに用いられるものと同じ構成による実験用直下型面発光装置を1時間以上静置して出力を安定させる。その後、発光面から0.35m離れたところで光源中央部とその上部、下部をそれぞれ0.5cm間隔で全16点の輝度を輝度計(トプコン社製BM−9)により測定し、これらの平均値を正面輝度値とした。直下型面発光装置としてはシャープ社製LC−20B3を標準状態で用い、光反射部材のみを交換して評価を行った。評価基準は以下のとおりとした。
○:正面輝度が高い。
△:正面輝度がやや高い。
×:正面輝度が低い。
【0038】
(実施例1)
光反射部材として、入射角60°に対する受光角60°の光沢度が100.3%であり、かつ450nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が100.1%である平板状の白色樹脂反射板(MCPET(登録商標)1:古河電気工業社製)を用いて正面輝度を測定したところ、307cd/m2であった。
【0039】
(実施例2)
光反射部材として、入射角60°に対する受光角60°の光沢度が72.3%であり、かつ450nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が100.2%である平板状の白色樹脂反射板(MCPET2:古河電気工業社製)を用いて正面輝度を測定したところ、302cd/m2であった。
【0040】
(比較例1)
光反射部材として、入射角60°に対する受光角60°の光沢度が38.5%であり、かつ450nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が97.5%である平板状の白色樹脂反射板(E60L:東レ社製)を用いて正面輝度を測定したところ、292cd/m2であった。
【0041】
(比較例2)
光反射部材として、入射角60°に対する受光角60°の光沢度が19.3%であり、かつ450nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が98.3%である平板状の白色樹脂反射板(UX188:帝人デュポン社製)を用いて正面輝度を測定したところ、294cd/m2であった。
【0042】
上記実施例、比較例における反射板の光沢度および反射率、直下型面発光装置の正面輝度およびその評価を表1に示す。表1より、所定値以上の光沢度、反射率を有する反射板を用いた場合、直下型面発光装置の正面輝度が向上することが確認された。
【0043】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直下型面発光装置に使用される光反射部材であって、入射角60°に対する受光角60°の光沢度が51%以上であり、かつ450nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が90%以上である反射板により形成されていることを特徴とする光反射部材。
【請求項2】
前記光反射板は、熱可塑性樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(A)と親和性を持つ官能基を有する熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂シートであって、内部に平均気泡径10μm以下の複数の孔を有する熱可塑性樹脂発泡体であることを特徴とする請求項1に記載の光反射部材。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂(B)が前記官能基を有する熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項2に記載の光反射部材。
【請求項4】
前記熱可塑性エラストマーがポリスチレン系エラストマーであることを特徴とする請求項3に記載の光反射部材。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂(A)がポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光反射部材。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂発泡体の比重が0.7以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の光反射部材。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂発泡体は、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、前記熱可塑性樹脂(B)0.1〜10質量部が添加されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の光反射部材。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂発泡体は、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂シートを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して前記樹脂シートに不活性ガスを含有させる工程と、前記不活性ガスを含有させた樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程とからなる製造方法により製造されたことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の光反射部材。
【請求項9】
前記光反射板からなる平板状の底板上に、断面形状が山形で平面視略長方形状の前記光反射板からなる複数の山板が配置された構造を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光反射部材。
【請求項10】
線状光源と、該線状光源の光を反射する光反射板とを備えた直下型面発光装置において、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光反射部材が設置されていることを特徴とする直下型面発光装置。

【公開番号】特開2007−199363(P2007−199363A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17562(P2006−17562)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】