説明

光受信システム及びそのための切り替え器

【課題】光受信機の改造や信号の損失を伴うことなく、光受信機とテレビ受像機及び告知放送受信機とを接続する同軸ケーブルの単線化を図ることが可能になる、光受信システム及びそのための切り替え器を提供すること。
【解決手段】光伝送路を介して送信された光信号をRF信号又はFM信号に変換して出力する光受信機10と、この光受信機10にて変換されたRF信号又はFM信号を受信する告知放送受信機20と、この光受信機10にて変換されたRF信号を受信するテレビ受像機30と、を備えて構成された光受信システム1において、光受信機10と告知放送受信機20及びテレビ受像機30との相互間に配置される切り替え器40であって、RF信号の入力を受けるRF入力端子と、FM信号の入力を受けるFM入力端子と、RF信号又はFM信号を告知放送受信機20及びテレビ受像機30に対して出力する出力端子と、RF入力端子又はFM入力端子のいずれか一方を、選択的に切り替えて、出力端子に対して接続する切り替えスイッチを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムにおいて光信号を受信するための光受信システムと、この光受信システムに用いられる切り替え器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、光通信技術の進展に伴い、光ケーブルを用いた光伝送システムが普及している。この光伝送システムによれば、数10Km程度の無中継伝送が可能となるため、伝送システムを容易に広域化できる。この光伝送システムは、概略的には、送信者側に配置した光送信機と、受信者側に配置した光受信機(光終端端末装置、ONU:Optical Network Unit)とを、光ケーブルにて構成された長距離伝送路を介して接続して構成されている。このように構成された光伝送システムにおいて、送信側では、TV信号や告知放送信号が混合された電気信号を光送信機によって光信号に変換し、この光信号を光ケーブルを介して送信する。一方、受信側では、この光信号を光受信機を介して受信してRF信号やFM信号に変換し、RF信号をテレビ受像機に出力すると共に、RF信号やFM信号を告知放送受信機に出力する。
【0003】
図13は、従来の光受信システムの構成図である。光受信機200には、RF信号出力用のRF出力端子201とFM信号出力用のFM出力端子202が設けられており、RF出力端子201は同軸ケーブル203を介してテレビ受像機204に接続され、FM出力端子202は同軸ケーブル205を介して告知放送受信機206に接続されていた。このような接続形態では、2本の同軸ケーブル203、205を敷設する必要があるため、美観性や施工性を低下させるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するため、従来、光受信機の内部でRF信号とFM信号を混合することも提案されている(例えば、特許文献1、図5参照)。この光受信機によれば、混合した信号を1本の同軸ケーブルを介して伝送し、伝送された信号をテレビ受像機や告知放送受信機の近傍に配置した分波器でRF信号とFM信号に分波し、RF信号をテレビ受像機に出力すると共に、RF信号やFM信号を告知放送受信機に出力することができる。従って、光受信機から分波器に至る間では、同軸ケーブルを1本のみ配線すればよく、美観性や施工性を向上させることが可能になる。
【0005】
あるいは、光受信機の内部ではなく、光受信機の後段側でRF信号とFM信号の混合や分岐を行うことも考えられる。具体的には、図14の光受信システムの構成図に示すように、光受信機200の後段近傍に分配器207を配置すると共に、テレビ受像機204と告知放送受信機206の前段近傍に分岐器208を配置し、これら各機器を同軸ケーブル203を介して図示のように接続する。この構成によれば、分配器207で混合されたRF信号とFM信号を、1本の同軸ケーブル203を介して、テレビ受像機204と告知放送受信機206の前段近傍まで伝送することが可能になる。
【0006】
また、このようなRF信号とFM信号の混合を、分配器ではなく混合器で行うことも考えられる。具体的には、図15の構成図に示すように、図14の分配器に代えて混合器209を設置する。この構成によれば、混合器209で混合されたRF信号とFM信号を、1本の同軸ケーブル203を介して、テレビ受像機204と告知放送受信機206の前段近傍まで伝送することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−33405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来の光受信機のように、光受信機の内部でRF信号とFM信号を混合するためには、光受信機の内部に混合用回路を組み込む必要があり、光受信機が大型化したり、光受信機の製造コストが増大したりするという問題が生じていた。さらに、既存の光受信機に関してこの技術を適用するためには内部回路の改造が必要になるが、このような改造は現実には困難であるため、このような技術を適用すること自体が現実に無理であった。
【0009】
また、図14に記載の構成では、分配器には分配損失があるため、出力が小さい光受信機に適用することが困難であった。すなわち、光受信機としては、従来から、無給電式の光受信機も実用化されている。この無給電式の光受信機は、受信者側に電力が給電されている時には、外部からの電力供給を受けて動作し、停電等による無給電時には、内部のPD(Photo Diode)の起電力により動作して信号出力することができる光受信機であり、このような無給電式の光受信機を用いることで、停電時であっても告知放送受信機から非常用告知放送を行うこと等が可能となる。しかしながら、このような無給電式の光受信機は、無給電時の信号の出力レベルが小さいため、分配器での分配損失が生じることで、告知放送受信機に対して十分な出力の信号を伝送できない可能性があった。また、端子間結合損失が小さい分配器を使用した場合には、RF出力端子のRF出力がFM出力端子に戻ってしまい、光受信機の内部で異常発振を生じさせる可能性があった。
【0010】
さらに、図15に記載の構成では、一部の周波数の信号が失われるという問題があった。すなわち、一般的には、FM信号の帯域(告知放送帯域)は70〜90MHzであり、RF信号の帯域(テレビ周波数帯域)は90MHz以上であって、これら両信号の周波数が連続しているため、この連続領域の90MHz付近の周波数の信号が、混合と分岐を行うことで失われてしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光受信機の改造や信号の損失を伴うことなく、光受信機とテレビ受像機及び告知放送受信機とを接続する同軸ケーブルの単線化を図ることが可能になる、光受信システム及びそのための切り替え器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の光受信システム用の切り替え器は、光伝送路を介して送信された光信号をRF信号又はFM信号に変換して出力する光受信機と、この光受信機にて変換されたRF信号を受信するテレビ受像機と、この光受信機にて変換されたRF信号又はFM信号を受信する告知放送受信機と、を備えて構成された光受信システムにおいて、前記光受信機と前記テレビ受像機及び前記告知放送受信機との相互間に配置される切り替え器であって、前記光受信機から出力されたRF信号の入力を受けるRF入力端子と、前記光受信機から出力されたFM信号の入力を受けるFM入力端子と、前記RF入力端子にて入力を受けたRF信号又は前記FM入力端子にて入力を受けたFM信号を、前記テレビ受像機及び前記告知放送受信機に対して出力する出力端子と、前記RF入力端子又は前記FM入力端子のいずれか一方を、選択的に切り替えて、前記出力端子に対して接続する切り替え手段とを備える。
【0013】
また、請求項2に記載の光受信システム用の切り替え器は、請求項1に記載の光受信システム用の切り替え器において、前記出力端子に入力された電源を、前記切り替え手段を介することなく、前記RF入力端子に給電する第1給電路を備える。
【0014】
また、請求項3に記載の光受信システム用の切り替え器は、請求項1又は2に記載の光受信システム用の切り替え器において、前記切り替え手段は、当該切り替え器の下流側に配置された電源供給器から供給され前記出力端子に入力された電源によって駆動され、前記電源供給器から給電が行われている場合には、前記RF入力端子を前記出力端子に接続し、前記電源供給器から給電が行われていない場合には、前記FM入力端子を前記出力端子に接続する。
【0015】
また、請求項4に記載の光受信システム用の切り替え器は、請求項1から3のいずれか一項に記載の光受信システム用の切り替え器において、外部電源から供給された電源の入力を受ける電源入力端子と、前記電源入力端子に入力された電源を、前記切り替え手段を介することなく、前記RF入力端子に給電する第2給電路を備える。
【0016】
また、請求項5に記載の光受信システム用の切り替え器は、請求項4に記載の光受信システム用の切り替え器において、前記切り替え手段は、前記電源入力端子に入力された電源によって駆動され、前記外部電源から給電が行われている場合には、前記RF入力端子を前記出力端子に接続し、前記外部電源から給電が行われていない場合には、前記FM入力端子を前記出力端子に接続する。
【0017】
また、請求項6に記載の光受信システムは、光伝送路を介して送信された光信号をRF信号又はFM信号に変換して出力する光受信機と、前記光受信機にて変換されたRF信号を受信するテレビ受像機と、前記光受信機にて変換されたRF信号又はFM信号を受信する告知放送受信機と、前記光受信機と前記テレビ受像機及び前記告知放送受信機との相互間に配置される切り替え器と、前記光受信機にて変換され前記切り替え器を介して送信されたRF信号とFM信号を分岐し、当該分岐されたRF信号を前記テレビ受像機に送信すると共に、当該分岐されたRF信号とFM信号を前記告知放送受信機に送信する分岐器とを備えた光受信システムであって、前記切り替え器を、前記請求項1から5のいずれか一項に記載の光受信システム用の切り替え器として構成した。
【0018】
また、請求項7に記載の光受信システムは、請求項6に記載の光受信システムにおいて、前記分岐器は、幹線側出力端子と分岐側出力端子とを備え、前記幹線側出力端子に前記告知放送受信機を接続し、前記分岐側出力端子に前記テレビ受像機を接続した。
【0019】
また、請求項8に記載の光受信システムは、請求項7に記載の光受信システムにおいて、前記幹線側出力端子と前記告知放送受信機との相互間に、前記切り替え器を介して前記光受信機に対して電源を供給するための電源供給器を配置した。
【発明の効果】
【0020】
このように、請求項1に記載の光受信システム用の切り替え器によれば、この切り替え器を光受信機とテレビ受像機及び告知放送受信機との相互間に配置すると共に、切り替え器の出力端子からの出力を分岐器で分岐してテレビ受像機や告知放送受信機に送信することで、切り替え器から分岐器に至る間の伝送路を1本の同軸ケーブルで構成することができ、同軸ケーブルの単線化を図ることができるため、従来のように複数の同軸ケーブルを使用していた場合に比べて、美観性や施工性を向上させることができる。また、この構成では、光受信機の改造が不要であるため、既設の光受信機をそのまま使用して光受信システムを構成することができる。さらに、この構成では、信号の混合や分波を行う必要がないために、信号の損失を生じさせることがない。さらにまた、光受信機を2端子出力とすることで、使用ニーズによっては、切り替え器を用いることなく、従来と同様に2本の同軸ケーブルを介してRF信号とFM信号を別々に出力することもできる等、光受信機の内部で信号の混合等を行って1つの出力端子から出力を行う場合に比べて、光受信システムを構成する上での自由度を高めることができる。
【0021】
また、請求項2に記載の光受信システム用の切り替え器によれば、切り替え手段の切り替え状態に関わらず、電源供給器からの電源がRF入力端子に入力されるので、切り替え手段にサージが発生することを防止でき、サージによって切り替え手段にストレスが生じることを防止できる。また、電源供給器からの電源を常に光受信機に給電することで、光受信機を自己発熱させて耐湿度性を高めておくことができ、光受信機が湿度によりダメージを受けることを防止できる。
【0022】
また、請求項3に記載の光受信システム用の切り替え器によれば、電源供給器からの給電の有無に応じて切り替え手段を自動的に動作させることが可能になるので、切り替え手段を手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0023】
また、請求項4に記載の光受信システム用の切り替え器によれば、電源供給器を省略することができるので、光受信システムを一層簡易かつ安価に構成することができる。また、サージによって切り替え手段にストレスが生じることを防止できると共に、光受信機が湿度によりダメージを受けることを防止できる。
【0024】
また、請求項5に記載の光受信システム用の切り替え器によれば、外部電源からの給電の有無に応じて切り替え手段を自動的に動作させることが可能になるので、切り替え手段を手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0025】
また、請求項6に記載の光受信システムによれば、切り替え器から分岐器に至る間の伝送路を1本の同軸ケーブルで構成することができ、同軸ケーブルの単線化を図ることができるので、従来のように複数の同軸ケーブルを使用していた場合に比べて、美観性や施工性を向上させることができる。また、この構成では、光受信機の改造が不要であるため、既設の光受信機をそのまま使用して光受信システムを構成することができる。さらに、この構成では、信号の混合や分波を行う必要がないために、信号の損失を生じさせることがない。さらにまた、光受信機は2端子出力とすることで、使用ニーズによっては、切り替え器を用いることなく、従来と同様に2本の同軸ケーブルを介してRF信号とFM信号を別々に出力することもできる等、光受信機の内部で信号の混合等を行って1つの出力端子から出力を行う場合に比べて、光受信システムを構成する上での自由度を高めることができる。
【0026】
また、請求項7に記載の光受信システムによれば、信号ロスが分岐系統に比べて少ない幹線系統に告知放送受信機を接続することにより、分岐器によるFM信号の信号ロスを最小限に抑えることが可能になる。
【0027】
また、請求項8に記載の光受信システムによれば、切り替え器を配置した場合においても、切り替え器を使用していない従来の光受信システムと同様に、電源供給器の電源により光受信機を動作させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光受信システムの構成図である。
【図2】実施の形態1に係る切り替え器の回路図である。
【図3】実施の形態1に係る分岐器の回路図である。
【図4】実施の形態2に係る切り替え器の回路図である。
【図5】実施の形態3に係る切り替え器の回路図である。
【図6】実施の形態4に係る切り替え器の回路図である。
【図7】実施の形態5に係る切り替え器の回路図である。
【図8】実施の形態6に係る切り替え器の回路図である。
【図9】実施の形態7に係る切り替え器の回路図である。
【図10】実施の形態8に係る切り替え器の回路図である。
【図11】実施の形態9に係る切り替え器の回路図である。
【図12】実施の形態10に係る切り替え器の回路図である。
【図13】従来の光受信システムの構成図である。
【図14】従来の他の光受信システムの構成図である。
【図15】従来の他の光受信システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る光受信システム及びそのための切り替え器の各実施の形態を詳細に説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、最も簡易に構成された切り替え器に係る形態である。
【0031】
(構成)
図1は、実施の形態1に係る光受信システムの構成図である。この図1に示すように、光受信システム1は、光受信機10と、告知放送受信機20及びテレビ受像機30とを、切り替え器40及び分岐器50を介して、図示のように接続して構成されている。また、この光受信システム1には、パワーインサータ60(図示では「PI」と示す)が配置されている。なお、告知放送受信機20及びテレビ受像機30については、従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。また、光受信機10、分岐器50、及びパワーインサータ60についても、基本的には従来と同様に構成することができるので、以下では、特に本実施の形態に関連する構成のみを説明し、その他の詳細な説明は省略する。
【0032】
(構成−光受信機)
光受信機10は、機器の駆動用電源の供給が無くても信号出力が可能な無給電式の光受信機であって、PD、アンプ、RF出力端子11、及びFM出力端子12を備えて構成されている(PD及びアンプの図示は省略する)。この光受信機10は、当該光受信機10に対するパワーインサータ60からの給電が行われている場合には、当該パワーインサータ60から供給された電力をRF出力端子11を介して受電し、この電力を用いて、PDにて光信号を電気信号(以下、RF信号)に変換し、このRF信号をアンプにて増幅してRF出力端子11を介して外部に出力すると共に、RF信号から取得されたFM信号をFM出力端子12を介して外部に出力する。また、光受信機10は、当該光受信機10に対するパワーインサータ60からの給電が行われていない場合には、PDを無バイアスモードで駆動することにより起電力を発生させ、この電力を用いてRF信号を生成し、このRF信号から取得されたFM信号をFM出力端子12を介して外部に出力する。このような無給電式の光受信機10の具体的な回路構成としては、上述の特許文献1の他にも、例えば、特開2010−068195号公報や特開2010−093778号公報に開示されている構成を適用することができる。なお、当該光受信機10に対するパワーインサータ60からの給電が行われている場合とは、通常は非停電時を意味し、当該光受信機10に対するパワーインサータ60からの給電が行われていない場合とは、通常は停電時を意味するが、後者の場合としては、非停電時であっても、パワーインサータ60が故障した時や、パワーインサータ60の電源が誤って抜かれた時等を含み得る。以下では、対象機器に対して電源が供給されている状態を「給電時」と称し、対象機器に対して電源が供給されていない状態をその原因に関わらず「無給電時」と称する。
【0033】
(構成−切り替え器)
切り替え器40は、光受信機10から出力されたRF信号とFM信号とのいずれか一方を選択的に切り替えて後段側に出力するものである。図2には、切り替え器40の回路図を示す。この図2に示すように、切り替え器40は、RF入力端子41、FM入力端子42、出力端子43、及び切り替えスイッチ44を備えて構成されている。図1、2に示すように、RF入力端子41は、光受信機10から出力されたRF信号の入力を受ける入力端子であり、光受信機10のRF出力端子11と同軸ケーブル70で接続されている。FM入力端子42は、光受信機10から出力されたFM信号の入力を受ける入力端子であり、光受信機10のFM出力端子12と同軸ケーブル71で接続されている。出力端子43は、RF入力端子41にて入力を受けたRF信号又はFM入力端子42にて入力を受けたFM信号を、告知放送受信機20及びテレビ受像機30に対して出力する出力端子であり、具体的には、分岐器50の後述する幹線側入力端子53と同軸ケーブル72で接続されている。切り替えスイッチ44は、RF入力端子41又はFM入力端子42のいずれか一方を、選択的に出力端子43に切り替えて接続する切り替え手段であり、手動の機械式スイッチとして構成されている。この切り替えスイッチ44の切り替えは、ユーザやメンテナンス者が任意のタイミングにおいて手動で行うことができる。
【0034】
(構成−分岐器)
図1において、分岐器50は、光受信機10にて変換され切り替え器40を介して送信されたRF信号やFM信号を分岐し、分岐したこれらのRF信号やFM信号を告知放送受信機20とテレビ受像機30に送信するものである。図3には、分岐器50の回路図を示す。この分岐器50は、公知の分岐器と同様に、幹線51と分岐線52を備え、幹線51には幹線側入力端子(入力端子)53と幹線側出力端子(出力端子)54が接続され、分岐線52の端部には分岐側出力端子(分岐端子)55が接続されている。そして、図1、3に示すように、切り替え器40の出力端子43と分岐器50の幹線側入力端子53とが同軸ケーブル72で接続され、分岐器50の幹線側出力端子54とパワーインサータ60とが同軸ケーブル73で接続され、分岐器50の分岐側出力端子55とテレビ受像機30とが同軸ケーブル75で接続されている。すなわち、概略的には、幹線側入力端子53、幹線51、及び幹線側出力端子54によって構成される幹線系統には、パワーインサータ60を介して告知放送受信機20が接続され、幹線側入力端子53、分岐線52、及び分岐側出力端子55によって構成される分岐系統には、テレビ受像機30が接続されている。このように、分岐器50の分岐系統ではなく幹線系統に告知放送受信機20を接続する理由は、無給電式の光受信機10によるFM信号の出力レベルが非常に小さいことに鑑みて、分岐系統に比べて信号ロスが少ない幹線系統に告知放送受信機20を接続することにより、分岐器50によるFM信号の信号ロスを最小限に抑えることが可能になるからである。なお、幹線系統は、直流電圧の通過が可能な、いわゆる電通となっている。
【0035】
(構成−パワーインサータ)
図1において、パワーインサータ60は、光受信機10に対してDC電源(電圧)を給電するための電源供給器である。このパワーインサータ60は、分岐器50の幹線側出力端子54と告知放送受信機20との相互間に同軸ケーブル73、74を介して接続されている。このように、テレビ受像機30ではなく告知放送受信機20の前段にパワーインサータ60を配置する理由は、本実施の形態では、上述のように、分岐器50の幹線系統に告知放送受信機20を接続していること、及び分岐器50の幹線系統が電通となっていることから、告知放送受信機20の前段にパワーインサータ60を配置することで、分岐器50の幹線系統を介して電源を光受信機10に供給することが可能になるからである。なお、パワーインサータ60については、従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0036】
(動作)
次に、このように構成された光受信システム1の動作について説明する。まず、給電時には、切り替え器40の切り替えスイッチ44を図2の点線の状態に切り替えることにより、RF入力端子41を出力端子43に接続する。この状態においては、パワーインサータ60から供給された電力が、分岐器50の幹線系統を介して切り替え器40の出力端子43に入力し、RF入力端子41を介して光受信機10のRF出力端子11に入力されることで、光受信機10に電力が供給される。そして、光受信機10のRF出力端子11から出力されたRF信号が、切り替え器40のRF入力端子41に入力され、出力端子43から出力され、分岐器50の幹線系統を介して告知放送受信機20に入力されると共に、分岐器50の分岐系統を介してテレビ受像機30に入力される。この結果、告知放送受信機20による告知放送と、テレビ受像機30によるTV受像が可能になる。
【0037】
一方、無給電時には、切り替え器40の切り替えスイッチ44を手動で図2の実線の状態に切り替えることにより、FM入力端子42を出力端子43に接続する。この状態においては、光受信機10は無給電時の所定の機能に従って、FM出力端子12からFM信号を出力する。そして、このFM信号が、切り替え器40のFM入力端子42に入力され、出力端子43から出力され、分岐器50の幹線系統を介して告知放送受信機20に入力されると共に、分岐器50の分岐系統を介してテレビ受像機30に入力される。この結果、無給電時であっても、告知放送受信機20による告知放送が可能になる。
【0038】
なお、このような切り替えスイッチ44の手動切り替えの操作忘れ等を防止するため、告知放送受信機20からユーザに対して、当該告知放送受信機20に対する外部電源からの電源の供給状態に応じて、ユーザに対する注意喚起を音声や表示により出力してもよい。例えば、告知放送受信機20の図示しない制御部は、当該告知放送受信機20に対する外部電源からの電源の供給状態を監視しており、電源が所定時間以上遮断された場合であって、かつ、自己に対して上流側から所定レベル以上の信号が入力されなくなった場合には、停電等が発生したものの、ユーザが切り替えスイッチ44の手動切り替えを忘れているために信号の入力がない可能性が高いとし、「切り替えスイッチ44を無給電側に切り替えて下さい」のような音声メッセージを出力したり、同様の文字メッセージを図示しない液晶パネル等に表示したり、図示しない切り替えスイッチ確認要求灯の如き所定の表示灯を点灯又は点滅させたりすることで、ユーザに対する注意喚起を行ってもよい。また、その後、電源が所定時間以上継続して供給された場合であって、かつ、自己に対して上流側から所定レベル以上の信号が入力されなくなった場合には、停電等が復旧したものの、ユーザが切り替えスイッチ44の手動切り替えを忘れているために信号の入力がない可能性が高いとし、「切り替えスイッチ44を給電側に切り替えて下さい」のような音声メッセージを出力したり、同様の文字メッセージを液晶パネル等に表示したり、切り替えスイッチ確認要求灯の如き所定の表示灯を点灯又は点滅させたりすることで、ユーザに対する注意喚起を行ってもよい。
【0039】
(効果)
このように実施の形態1によれば、切り替え器40から分岐器50に至る間の伝送路を1本の同軸ケーブル72で構成することができ、従来のように複数の同軸ケーブルを使用していた場合に比べて、同軸ケーブルの単線化を図ることができ、美観性や施工性を向上させることができる。また、この構成では、光受信機10の改造が不要であるため、既設の光受信機10をそのまま使用して光受信システム1を構成することができる。さらに、この構成では、信号の混合や分波を行う必要がないために、信号の損失を生じさせることがない。
【0040】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、実施の形態1と同様の切り替え器に対して、さらに、切り替え器の出力端子に入力された電源を、切り替え手段を介することなく、RF入力端子に給電する第1給電路を設けた形態である。ただし、実施の形態2の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態1の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0041】
(構成)
図4は、実施の形態2に係る切り替え器80の回路図である。この図4に示すように、切り替え器80において、RF入力端子41と出力端子43は、チョークコイル81を介して直流的に接続されている。このチョークコイル81は、RF入力端子41と出力端子43とを、切り替えスイッチ44を介することなく、相互に接続するように設けられた第1給電路を構成する。この構成では、切り替えスイッチ44が図4の点線側(給電時)と実線側(無給電時)のいずれに切り替えられている場合であっても、この切り替え状態に関わらず、RF入力端子41と出力端子43とがチョークコイル81を介して接続される。このため、パワーインサータ60から出力端子43に入力された電源が、チョークコイル81を介してRF入力端子41に入力され、その上流の光受信機10に供給される。従って、切り替えスイッチ44が点線側に切り替えられている場合であって、パワーインサータ60から出力端子43に入力された電源がRF入力端子41に入力されている場合において、間違えてまたは故意に切り替えスイッチ44が実線側に切り替えられた場合であっても、切り替えスイッチ44にサージが発生しなくなり、サージによって切り替えスイッチ44にストレスが生じることを防止できる。また、一般に光受信機10は屋外に設置されることが多く、光受信機10を電源OFF状態としたままで長期間放置しておくと、光受信機10が湿度によりダメージを受けることがあるが、パワーインサータ60からの電源を切り替え器80を介して常に光受信機10に給電することで、光受信機10を自己発熱させて耐湿度性を高めておくことができ、光受信機10が湿度によりダメージを受けることを防止できる。
【0042】
(効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、切り替えスイッチ44の切り替え状態に関わらず、パワーインサータ60からの電源がRF入力端子41に入力されるので、切り替えスイッチ44にサージが発生することを防止でき、サージによって切り替えスイッチ44にストレスが生じることを防止できる。また、パワーインサータ60からの電源を切り替え器80を介して常に光受信機10に給電することで、光受信機10を自己発熱させて耐湿度性を高めておくことができ、光受信機10が湿度によりダメージを受けることを防止できる。
【0043】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、実施の形態1と同様の切り替え器を、当該切り替え器の下流側に配置された電源供給器から供給され出力端子に入力された電源によって駆動されるように構成した形態である。ただし、実施の形態3の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態1の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0044】
(構成)
図5は、実施の形態3に係る切り替え器90の回路図である。この図5に示すように、切り替え器90には、リレー91とチョークコイル92が設けられている。リレー91は、出力端子43に接続されており、切り替え器90の下流側に配置されたパワーインサータ60から供給され出力端子43に入力された電源によって駆動され、給電時には、RF入力端子41を出力端子43に接続し、無給電時には、FM入力端子42を出力端子43に接続する。従って、パワーインサータ60からの給電の有無に応じて切り替えスイッチ44を自動的に動作させることが可能になる。また、チョークコイル92は、リレー91のコイルラインに対する交流成分をカットをするコイルであり、出力端子43とリレー91の相互間に接続されている。ただし、リレー91の駆動電流が小さい場合には、チョークコイル92に代えて、単なるコイルを使用してもよい。また、リレー91のコイルで交流成分をカットできる場合には、チョークコイル92を省略してもよい。
【0045】
(効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、パワーインサータ60からの給電の有無に応じて切り替えスイッチ44を自動的に動作させることが可能になるので、切り替えスイッチ44を手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0046】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について説明する。この実施の形態4は、実施の形態2と同様の切り替え器の切り替え手段を、電気式スイッチとして構成した形態である。ただし、実施の形態4の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態2と同様であるものとし、実施の形態2と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態2の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0047】
(構成)
図6は、実施の形態4に係る切り替え器100の回路図である。この図6に示すように、切り替え器100には、切り替えスイッチ101及び直流カットコンデンサ102、103が設けられている。切り替えスイッチ101は、RF入力端子41又はFM入力端子42のいずれか一方を、選択的に出力端子43に切り替えて接続する切り替え手段であり、電気式スイッチとして構成されている。具体的には、切り替えスイッチ101は、第1回路ブロック104と第2回路ブロック105を備えて構成されている。概略的には、第1回路ブロック104は、給電時に、RF入力端子41を出力端子43に接続させ、第2回路ブロック105は、無給電時に、FM入力端子42を出力端子43に接続させる。具体的には、第1回路ブロック104は、RF入力端子41と出力端子43を接続する主線路106に配置されたピンダイオード104aと、この主線路106に接続された分岐線路107に配置された交流カットコイル104b及び電流制限抵抗104cを備えて構成されている。一方、第2回路ブロック105は、主線路106に接続された分岐線路108に配置されたFET105aと、このFET105aに対してバイアス電圧をかけるための抵抗105b、105cとを備えて構成されている。直流カットコンデンサ102は、RF入力端子41への直流成分の流入をカットするコンデンサであり、直流カットコンデンサ103は、FM入力端子42への直流成分の流入をカットするコンデンサである。
【0048】
(動作)
このように構成された切り替え器100において、給電時には、パワーインサータ60から出力端子43に電圧が印加されると、交流カットコイル104bと電流制限抵抗104cを介して、ピンダイオード104aに電流が流れることで、RF入力端子41と出力端子43の間のインピーダンスが小さくなり、RF入力端子41と出力端子43が実質的に接続状態になる。また、この給電時には、パワーインサータ60から出力端子43に電圧が印加されると、FET105aのゲート−ソース間に負電圧(ソース電圧に対してゲート電圧が低い)が印加され、FET105aのインピーダンスが大きくなるので、FM入力端子42と出力端子43が実質的に非接続状態になる。
【0049】
一方、無給電時には、パワーインサータ60から出力端子43に電圧が印加されないことから、ピンダイオード104aに電流が流れないため、RF入力端子41と出力端子43の間のインピーダンスが大きくなり、RF入力端子41と出力端子43が実質的に非接続状態になる。また、この無給電時には、パワーインサータ60から出力端子43に電圧が印加されないことから、FET105aのゲート−ソース間電圧が0Vになり、FET105aのインピーダンスが小さくなるので、FM入力端子42と出力端子43が実質的に接続状態になる。
【0050】
(効果)
このように実施の形態4によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、切り替えスイッチ101を電気式のスイッチとして構成することで、その信頼性を一層向上させることができる。さらに、実施の形態3と同様に、給電の有無に応じて切り替えスイッチ101を自動的に動作させることが可能になるので、切り替えスイッチ101を手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0051】
〔実施の形態5〕
次に、実施の形態5について説明する。この実施の形態5は、実施の形態1と同様の切り替え器に対して、さらに、電源の入力を受ける電源入力端子と、この電源入力端子に入力された電源を、切り替え手段を介することなく、RF入力端子に給電する第2給電路を設けた形態である。ただし、実施の形態5の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態1の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0052】
(構成)
図7は、実施の形態5に係る切り替え器110の回路図である。この図7に示すように、切り替え器110には、電源入力端子111、チョークコイル112、及び直流カットコンデンサ113が設けられている。電源入力端子111は、図示しないACアダプタ(外部電源)から給電されたDC電源の入力を受ける端子である。チョークコイル112は、電源入力端子111に入力された電源を、切り替えスイッチ44を介することなく、RF入力端子41に給電する第2給電路である。直流カットコンデンサ113は、出力端子43への直流成分の流入をカットするコンデンサである。この構成によれば、図1のパワーインサータ60の機能を切り替え器110に持たせることができ、パワーインサータ60を省略することができる。
【0053】
(効果)
このように実施の形態5によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、パワーインサータ60を省略することができるので、光受信システム1を一層簡易かつ安価に構成することができる。また、実施の形態2と同様に、サージによって切り替えスイッチ44にストレスが生じることを防止できると共に、光受信機10が湿度によりダメージを受けることを防止できる。
【0054】
〔実施の形態6〕
次に、実施の形態6について説明する。この実施の形態6は、実施の形態5と同様の切り替え器の切り替え手段を、切り替え器の外部の電源から供給され電源入力端子に入力された電源によって駆動されるように構成した形態である。ただし、実施の形態6の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態5と同様であるものとし、実施の形態5と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態5の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0055】
(構成)
図8は、実施の形態6に係る切り替え器120の回路図である。この図8に示すように、切り替え器120には、リレー121とチョークコイル122が設けられている。リレー121は、チョークコイル112、122を介して電源入力端子111に接続されており、図示しないACアダプタ(外部電源)から電源入力端子111に入力された電源により駆動されて、給電時には、切り替えスイッチ44を点線側に動作させることで、RF入力端子41を出力端子43に接続させ、無給電時には、切り替えスイッチ44を実線側に動作させることで、FM入力端子42を出力端子43に接続させる。従って、給電の有無に応じて切り替えスイッチ44を自動的に動作させることが可能になる。また、チョークコイル122は、リレー121のコイルラインに対する交流成分をカットをするコイルであり、電源入力端子111とリレー121の相互間に接続されている。ただし、リレー121の駆動電流が小さい場合には、チョークコイル122に代えて、単なるコイルを使用してもよい。また、リレー121のコイルで交流成分をカットできる場合には、チョークコイル122を省略してもよい。
【0056】
(効果)
このように実施の形態6によれば、実施の形態5と同様の効果に加えて、給電の有無に応じて切り替えスイッチ44を自動的に動作させることが可能になるので、切り替えスイッチ44を手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0057】
〔実施の形態7〕
次に、実施の形態7について説明する。この実施の形態7は、実施の形態5と同様の切り替え器の切り替え手段を、実施の形態4と同様に電気式スイッチとして構成した形態である。ただし、実施の形態7の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態4、5と同様であるものとし、実施の形態4、5と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態4、5の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0058】
(構成)
図9は、実施の形態7に係る切り替え器130の回路図である。この図9に示すように、切り替え器130には、切り替えスイッチ101に加えて、チョークコイル131、及び直流カットコンデンサ132が設けられている。チョークコイル131は、電源入力端子111に入力された電源を、第1回路ブロック104と第2回路ブロック105に供給するコイルである。ただし、第1回路ブロック104と第2回路ブロック105の駆動電流が小さい場合には、チョークコイル131に代えて、単なるコイルを使用してもよい。直流カットコンデンサ132は、出力端子43への直流成分の流入をカットするコンデンサである。
【0059】
(効果)
このように実施の形態7によれば、実施の形態5と同様の効果に加えて、実施の形態4と同様に、切り替えスイッチ101を電気式のスイッチとして構成することで、その信頼性を一層向上させることができる。さらに、実施の形態6と同様に、給電の有無に応じて切り替えスイッチ101を自動的に動作させることが可能になるので、切り替えスイッチ101を手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0060】
〔実施の形態8〕
次に、実施の形態8について説明する。この実施の形態8は、実施の形態5と同様の切り替え器に対して、さらに、実施の形態2と同様に第1給電路を設けた形態である。ただし、実施の形態8の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態2、5と同様であるものとし、実施の形態2、5と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態2、5の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0061】
(構成)
図10は、実施の形態8に係る切り替え器140の回路図である。この図10に示すように、切り替え器140には、ダイオード141、142及びチョークコイル143が設けられている。チョークコイル143は、チョークコイル112と共に、RF入力端子41と出力端子43とを、切り替えスイッチ44を介することなく、相互に接続するように設けられた第1給電路を構成する。ダイオード141は、電源入力端子111への電源の逆流を防止するものであり、ダイオード142は、出力端子43への電源の逆流を防止するものである。この構成では、電源入力端子111と出力端子43の両方から電圧が印加された場合、電圧源同士の接続になるために電源が故障する可能性があるが、ダイオード141、142を入れているため、電源同士の接続を防止することができる。
【0062】
このように、チョークコイル112による第2給電路を設けた上で、さらにチョークコイル143による第1給電路を設けるのは、以下の理由による。すなわち、切り替え器140から分岐器50に至る同軸ケーブル72を1本とする本願発明の目的からすれば、切り替え器140を光受信機10の下流側の近傍位置に配置することが好ましい。しかしながら、光受信機10の近傍に必ずしも電源コンセントがあるとは限らないため、パワーインサータ60を別途設ける必要が生じることも考えられる。そこで、本実施の形態8の如き構成を採用することで、光受信機10の近傍に電源コンセントがある場合には、当該電源コンセントから電源入力端子111及びチョークコイル112を介して電源を光受信機10に給電し、光受信機10の近傍に電源コンセントがない場合には、切り替え器140の下流側に配置したパワーインサータ60からチョークコイル143、112を介して電源を光受信機10に給電することで、電源状態に応じた形態で光受信機10への給電を行うことが可能になる。
【0063】
(効果)
このように実施の形態8によれば、実施の形態5と同様の効果に加えて、電源状態に応じた形態で光受信機10への給電を行うことが可能になるので、光受信システム1の汎用性や構成上の柔軟性を向上させることができる。
【0064】
〔実施の形態9〕
次に、実施の形態9について説明する。この実施の形態9は、実施の形態8と同様の切り替え器に対して、さらに、切り替え器の切り替え手段を、切り替え器の外部の電源から供給された電源によって駆動されるように構成した形態である。ただし、実施の形態9の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態8と同様であるものとし、実施の形態8と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態8の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0065】
(構成)
図11は、実施の形態9に係る切り替え器150の回路図である。この図11に示すように、切り替え器150には、リレー151とチョークコイル152が設けられている。リレー151は、出力端子43又は電源入力端子111を介した給電時には、切り替えスイッチ44を点線側に動作させることで、RF入力端子41を出力端子43に接続させ、無給電時には、切り替えスイッチ44を実線側に動作させることで、FM入力端子42を出力端子43に接続させる。また、チョークコイル152は、リレー151のコイルラインに対する交流成分をカットするコイルである。
【0066】
(効果)
このように実施の形態9によれば、実施の形態5と同様の効果に加えて、給電の有無に応じて切り替えスイッチ44を自動的に動作させることが可能になるので、切り替えスイッチ44を手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0067】
〔実施の形態10〕
次に、実施の形態10について説明する。この実施の形態10は、実施の形態8と同様の切り替え器の切り替えスイッチを、実施の形態7と同様に電気式スイッチとして構成した形態である。ただし、実施の形態10の構成及び動作に関して、特に説明なき場合には実施の形態7、8と同様であるものとし、実施の形態7、8と同様の構成に対しては、必要に応じて、実施の形態7、8の説明で使用したものと同じ符号を付す。
【0068】
(構成)
図12は、実施の形態10に係る切り替え器160の回路図である。この図12に示すように、切り替え器160には、切り替えスイッチ101、チョークコイル131、及び直流カットコンデンサ102、103が設けられている。
【0069】
(効果)
このように実施の形態10によれば、実施の形態8と同様の効果に加えて、実施の形態7と同様に、切り替えスイッチ101を電気式のスイッチとして構成することで、その信頼性を一層向上させることができる。さらに、実施の形態9と同様に、給電の有無に応じて切り替えスイッチ101を自動的に動作させることが可能になるので、切り替えスイッチ101を手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0070】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0071】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0072】
(具体的な回路構成について)
光受信機10、切り替え器40、80、90、100、110、120、130、140、150、160、及び分岐器50の具体的な回路構成としては、上記説明したこれらの機能を奏することができる限りにおいて、各実施の形態で例示した回路構成以外にも、公知の回路構成を適用することができる。
【0073】
(各実施の形態の相互の関係について)
各実施の形態は、相互に組み合わせることもできる。例えば、図4に示した切り替え器80のチョークコイル81を、図5に示した切り替え器90に同様に適用してもよい。この場合でも、商用電源の瞬断や無給電時(直流電流が突然カットされた時)に起きるサージを抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0074】
1 光受信システム
10、200 光受信機
11、201 RF出力端子
12、202 FM出力端子
20、206 告知放送受信機
30、204 テレビ受像機
40、80、90、100、110、120、130、140、150、160 切り替え器
41 RF入力端子
42 FM入力端子
43 出力端子
44、101 切り替えスイッチ
50、208 分岐器
51 幹線
52 分岐線
53 幹線側入力端子
54 幹線側出力端子
55 分岐側出力端子
60 パワーインサータ
70〜75、203、205 同軸ケーブル
81、92、112、122、131、143、152 チョークコイル
91、121、151 リレー
102、103、113、132 直流カットコンデンサ
104 第1回路ブロック
104a ピンダイオード
104b 交流カットコイル
104c 電流制限抵抗
105 第2回路ブロック
105a FET
105b、105c 抵抗
106 主線路
107、108 分岐線路
111 電源入力端子
141、142 ダイオード
207 分配器
209 混合器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路を介して送信された光信号をRF信号又はFM信号に変換して出力する光受信機と、この光受信機にて変換されたRF信号を受信するテレビ受像機と、この光受信機にて変換されたRF信号又はFM信号を受信する告知放送受信機と、を備えて構成された光受信システムにおいて、前記光受信機と前記テレビ受像機及び前記告知放送受信機との相互間に配置される切り替え器であって、
前記光受信機から出力されたRF信号の入力を受けるRF入力端子と、
前記光受信機から出力されたFM信号の入力を受けるFM入力端子と、
前記RF入力端子にて入力を受けたRF信号又は前記FM入力端子にて入力を受けたFM信号を、前記テレビ受像機及び前記告知放送受信機に対して出力する出力端子と、
前記RF入力端子又は前記FM入力端子のいずれか一方を、選択的に切り替えて、前記出力端子に対して接続する切り替え手段と、
を備える光受信システム用の切り替え器。
【請求項2】
前記出力端子に入力された電源を、前記切り替え手段を介することなく、前記RF入力端子に給電する第1給電路、
を備える請求項1に記載の光受信システム用の切り替え器。
【請求項3】
前記切り替え手段は、
当該切り替え器の下流側に配置された電源供給器から供給され前記出力端子に入力された電源によって駆動され、
前記電源供給器から給電が行われている場合には、前記RF入力端子を前記出力端子に接続し、
前記電源供給器から給電が行われていない場合には、前記FM入力端子を前記出力端子に接続する、
請求項1又は2に記載の光受信システム用の切り替え器。
【請求項4】
外部電源から供給された電源の入力を受ける電源入力端子と、
前記電源入力端子に入力された電源を、前記切り替え手段を介することなく、前記RF入力端子に給電する第2給電路、
を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の光受信システム用の切り替え器。
【請求項5】
前記切り替え手段は、
前記電源入力端子に入力された電源によって駆動され、
前記外部電源から給電が行われている場合には、前記RF入力端子を前記出力端子に接続し、
前記外部電源から給電が行われていない場合には、前記FM入力端子を前記出力端子に接続する、
請求項4に記載の光受信システム用の切り替え器。
【請求項6】
光伝送路を介して送信された光信号をRF信号又はFM信号に変換して出力する光受信機と、
前記光受信機にて変換されたRF信号を受信するテレビ受像機と、
前記光受信機にて変換されたRF信号又はFM信号を受信する告知放送受信機と、
前記光受信機と前記テレビ受像機及び前記告知放送受信機との相互間に配置される切り替え器と、
前記光受信機にて変換され前記切り替え器を介して送信されたRF信号とFM信号を分岐し、当該分岐されたRF信号を前記テレビ受像機に送信すると共に、当該分岐されたRF信号とFM信号を前記告知放送受信機に送信する分岐器と、
を備えた光受信システムであって、
前記切り替え器を、前記請求項1から5のいずれか一項に記載の光受信システム用の切り替え器として構成した、
光受信システム。
【請求項7】
前記分岐器は、幹線側出力端子と分岐側出力端子とを備え、
前記幹線側出力端子に前記告知放送受信機を接続し、
前記分岐側出力端子に前記テレビ受像機を接続した、
請求項6に記載の光受信システム。
【請求項8】
前記幹線側出力端子と前記告知放送受信機との相互間に、前記切り替え器を介して前記光受信機に対して電源を供給するための電源供給器を配置した、
請求項7に記載の光受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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