説明

光受信器

【課題】待機時の消費電力を抑えるとともに、比較的広いダイナミックレンジを確保することができる光受信器を提供する。
【解決手段】受光素子31のカソードに、カレントミラー回路33の入力側トランジスタ51とバイパスコンデンサ34とを接続し、受光素子31のアノードに、TIA42の入力端子を接続する。カレントミラー回路33の出力側トランジスタ52に、第1抵抗35とパッシブフィルタ回路36とを接続し、パッシブフィルタ回路36に比較器37の反転入力端子を接続する。比較器37の非反転入力端子に基準電源44を接続し、出力端子に第2抵抗38を介して第1FET41のゲートを接続する。第1FET41のドレインに、TIA42の電源端子と第2FET41のゲートとを接続する。LIA43の電源端子に第2FET41のドレインを接続し、入力端子にTIA42の出力端子を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光によってデータを伝送する光伝送システムなどに用いられる光受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の光受信器としては、たとえば特許文献1に開示される光受信回路がある。特許文献1に開示される光受信回路では、受光素子が受光したときに、電源と受光素子のカソードとの間にある抵抗に電流が流れ、電源と受光素子のカソードとの間に電位差が発生する。この電位差を用いてFETがオンして、前置増幅器および後段増幅器に電源電圧を供給している。
【0003】
このように特許文献1に開示される光受信回路では、光入力の有無でFETのオンとオフとを切り替えて、増幅器への電源電圧の供給を切り替えることによって、待機時の消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−78091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される光受信回路において、受光素子には、たとえば−30dBmの光が入力される。受光素子の光電変換効率が約1A/Wである場合、受光素子に流れる電流は約1μAである。抵抗にも約1μAの電流が流れるので、抵抗の両端の電圧、すなわち電源と受光素子のカソードとの間の電位差は、約1μA×(抵抗の抵抗値)となる。
【0006】
受光素子に入力される光が−10dBmになると、受光素子に流れる電流は100倍になる。特許文献1に開示される光受信回路では、抵抗の抵抗値が一意に決まっているので、受光素子に流れる電流が100倍になっても、抵抗の両端の電圧は100倍にはならず、電源と受光素子のカソードとの電位差は飽和電圧に到達する。これによって、アイ開口に歪みが発生し、伝送品質が劣化してしまうという問題がある。
【0007】
このように特許文献1の光受信回路などの従来技術の光受信器は、受光素子に入力可能な光量の範囲が狭い。したがって、受光素子に入力可能な光量の範囲が広く、受信感度が、たとえば20dB以上という比較的広いダイナミックレンジを確保することができる光受信器が求められる。
【0008】
本発明の目的は、待機時の消費電力を抑えるとともに、比較的広いダイナミックレンジを確保することができる光受信器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光受信器は、光信号を受信して、受信した光信号に対応する電流信号を生成する受光素子と、前記受光素子によって生成される電流信号を電圧信号に変換し、増幅する増幅器と、前記受光素子と第1電源との間に設けられ、前記受光素子に接続される入力側トランジスタと前記入力側トランジスタに接続される出力側トランジスタとで構成されるカレントミラー回路と、前記受光素子と前記カレントミラー回路の入力側トランジスタとの接続点に一端が接続され、他端がグランドに接続されるコンデンサと、前記カレントミラー回路の出力側トランジスタに一端が接続され、他端がグランドに接続される第1抵抗と、前記抵抗と前記カレントミラー回路の出力側トランジスタとの接続点に接続され、入力された信号の高周波成分を除去するフィルタ回路と、前記フィルタ回路の出力端子が反転入力端子に接続され、非反転入力端子に基準電位が与えられる比較器と、前記比較器の出力端子に一端が接続される第2抵抗と、前第2抵抗の他端に接続されて、前記増幅器と第2電源との間に設けられ、前記比較器から出力される出力信号に応じて、前記増幅器への前記第2電源からの電圧の供給と遮断とを切換えるスイッチング素子とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光受信器によれば、受光素子で生成される電流信号に応じた電流がカレントミラー回路で生成され、フィルタ回路を介して比較器に入力される。比較器の出力信号に応じて、スイッチング素子によって、増幅器への第2電源からの電圧の供給と遮断とが切換えられる。これによって、受光素子に光信号の入力がない待機時には、増幅器に流れる消費電流を削減することができるので、待機時の光受信器の消費電力を低減することができる。
【0011】
また、受光素子に入力される光入力電力が比較的低い場合および比較的高い場合のいずれの場合でも、受光素子への光入力電力の大きさに応じた大きさの電流信号を電圧信号に変換後、増幅器に入力して電圧を一定振幅にすることができる。したがって、待機時の光受信器の消費電力を抑えるとともに、比較的広いダイナミックレンジを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態における光受信器1を備える局側装置10を含むPONシステム100の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における光受信器1の構成を示す電気回路図である。
【図3】図2に示す光受信器1の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図2に示す光受信器1の他の例の構成を示す電気回路図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における光受信器3の構成を示す電気回路図である。
【図6】図5に示す光受信器3の他の例の構成を示す電気回路図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における光受信器5の構成を示す電気回路図である。
【図8】図7に示す光受信器5の他の例の構成を示す電気回路図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態における光受信器7の構成を示す電気回路図である。
【図10】図9に示す光受信器7の他の例の構成を示す電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態における光受信器1を備える局側装置10を含むPONシステム100の構成を示すブロック図である。PON(Passive Optical Network)システム100は、光によってデータを伝送する光伝送システムの一種である。PONシステム100では、時分割多重方式によって、1台の局側装置10で、複数台の加入者側装置20との通信を行う。
【0014】
PONシステム100は、本実施の形態では、1台の局側装置10と、複数台の加入者側装置20と、光カプラ21と、光ファイバ22,23とを備えて構成される。局側装置10は、PONシステム100における親局装置に相当し、たとえば電話局などに設置される。加入者側装置20は、PONシステム100における子局装置に相当し、たとえば加入者宅などに設置される。
【0015】
PONシステム100では、局側装置10はOLT(Optical Line Terminal)とも称され、加入者側装置20はONU(Optical Network Unit)とも称される。以下の説明では、局側装置10を「OLT10」といい、加入者側装置20を「ONU20」という場合がある。光ファイバ22,23のうち、OLT10に接続される光ファイバ22を「OLT側光ファイバ22」といい、ONU20に接続される光ファイバ23を「ONU側光ファイバ23」という場合がある。
【0016】
OLT10は、不図示の上位ネットワーク、たとえばインターネットに接続されている。OLT10は、OLT側光ファイバ22を介して、光カプラ21に接続されている。光カプラ21は、複数のONU側光ファイバ23と接続されており、OLT側光ファイバ22とONU側光ファイバ23との間を伝送する光信号の分岐および結合を行う光受動素子である。各ONU側光ファイバ23には、ONU20がそれぞれ接続されている。
【0017】
各ONU20には、不図示の端末装置が接続されている。端末装置は、通信機能を有する装置、たとえばパーソナルコンピュータ(Personal Computer;略称:PC)である。以上のように、OLT10と複数のONU20とは、光カプラ21および光ファイバ22,23を介して光通信可能に接続されている。
【0018】
本実施の形態では、図1に示すように、PONシステム100は、1台のOLT10を備えるが、OLT10の台数は1台に限定されない。本発明の他の実施の形態では、PONシステム100は、複数台のOLT10を備えてもよい。この場合、各OLT10に対して、複数台のONU20が接続される。
【0019】
OLT10は、インタフェース部11と、データ処理部12と、光送受信器13とを備えて構成される。データ処理部12は、送信処理部14と、受信処理部15とを備える。光送受信器13は、光送信器16と、光受信器1とを備える。
【0020】
光送受信器13の光受信器1は、ONU20から到来する光信号を受信する。光受信器1は、受信した光信号を電気信号に変換して、データ処理部12の受信処理部15に与える。
【0021】
受信処理部15は、光受信器1から与えられた電気信号に対して、所定の処理を施す。前記所定の処理は、たとえば、光受信器1から与えられた電気信号を解析して、その電気信号を送信すべき送信先を決定する処理、および前記電気信号を送信先に送信するために送信先のフォーマットに適合した送信フレームを作成する処理である。受信処理部15は、所定の処理を施した信号をインタフェース部11に与える。インタフェース部11は、受信処理部15から与えられた信号を上位ネットワークへ送信する。
【0022】
またインタフェース部11は、上位ネットワークから到来する電気信号を受信し、データ処理部12の送信処理部14に与える。送信処理部14は、インタフェース部11から与えられた電気信号に対して、所定の処理を施す。前記所定の処理は、たとえば、インタフェース部11から与えられた電気信号を解析して、その電気信号を送信すべき送信先を決定する処理、および前記電気信号を送信先に送信するために送信先のフォーマットに適合した送信フレームを作成する処理である。
【0023】
送信処理部14は、所定の処理を施した電気信号を光送受信器13の光送信器16に与える。光送信器16は、送信処理部14から与えられた電気信号を光信号に変換し、光カプラ21および光ファイバ22,23を介して、ONU20へ送信する。
【0024】
ONU20は、OLT10から送信された光信号を受信すると、受信した光信号を電気信号に変換して端末装置に送信する。またONU20は、端末装置から送信された電気信号を受信すると、受信した電気信号を光信号に変換してOLT10に向けて送信する。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施の形態における光受信器1の構成を示す電気回路図である。光受信器1は、受光素子31、第1電源32、カレントミラー回路33、バイパスコンデンサ34、第1抵抗35、パッシブフィルタ回路36、比較器37、第2抵抗38、第2電源39、第1電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;略称:FET)40、第2FET41、トランスインピーダンスアンプ(Transimpedance Amplifier;略称:TIA)42、リミッティングアンプ(Limiting Amplifier;略称:LIA)43および基準電源44を備えて構成される。
【0026】
カレントミラー回路33は、受光素子31と、受光素子用電源である第1電源32との間に設けられる。カレントミラー回路33は、直流電流増幅率が同値である一対のPNP形バイポーラトランジスタ51,52で構成される。一対のPNP形バイポーラトランジスタ51,52は、コレクタとベースとの間(以下「コレクタ−ベース間」という場合がある)を短絡したPNP形バイポーラトランジスタである入力側トランジスタ51と、入力側トランジスタ51と実質的に特性の等しいPNP形バイポーラトランジスタである出力側トランジスタ52とを備える。パッシブフィルタ回路36は、フィルタ用抵抗53およびフィルタ用コンデンサ54を備えて構成されるRC型ローパスフィルタである。第1FET40および第2FET41は、Pチャンネル形FETである。
【0027】
受光素子31は、フォトダイオード(Photodiode;略称:PD)などによって実現される。受光素子31のアノードは、TIA42の入力端子に接続されている。TIA42の出力端子は、LIA43の入力端子に接続されている。受光素子31のカソードは、接続点N1を介して、カレントミラー回路33を構成する入力側トランジスタ51のコレクタ、およびバイパスコンデンサ34の正極端子にそれぞれ接続されている。バイパスコンデンサ34の負極端子は、グランドに接続されている。
【0028】
バイパスコンデンサ34は、伝送データとして受光素子31に光で入力される電力の交流成分の電圧を受光素子31のカソードに供給するために、受光素子31のカソードの近傍に設けられる。
【0029】
カレントミラー回路33を構成する入力側トランジスタ51および出力側トランジスタ52のベースは、共通に接続され、入力側トランジスタ51のコレクタに接続されている。入力側トランジスタ51および出力側トランジスタ52のエミッタは、いずれも第1電源32に接続されている。入力側トランジスタ51および出力側トランジスタ52は、動作環境が等しくなるように、近接して配置される。
【0030】
入力側トランジスタ51のエミッタとコレクタとの間(以下「エミッタ−コレクタ間」という場合がある)に電流Iが流れると、出力側トランジスタ52のベースとエミッタとの間(以下「ベース−エミッタ間」という場合がある)の電圧、および入力側トランジスタ51のベース−エミッタ間の電圧が等しくなる。これによって、出力側トランジスタ52のエミッタ−コレクタ間に、入力側トランジスタ51のエミッタ−コレクタ間に流れる電流Iの大きさと同じ大きさの電流が流れる。
【0031】
入力側トランジスタ51のコレクタには、接続点N1を介して、受光素子31のカソードおよびバイパスコンデンサ34の正極端子が接続されている。出力側トランジスタ52のコレクタには、接続点N2を介して、第1抵抗35の一端が接続されている。第1抵抗35の他端は、グランドに接続されている。
【0032】
出力側トランジスタ52のコレクタと第1抵抗35の一端との接続点N2は、パッシブフィルタ回路36を構成するフィルタ用抵抗53の一端に接続されている。フィルタ用抵抗53の他端は、接続点N3を介して、パッシブフィルタ回路36を構成するフィルタ用コンデンサ54の正極端子に接続されている。フィルタ用コンデンサ54の負極端子は、グランドに接続されている。
【0033】
フィルタ用抵抗53の他端とフィルタ用コンデンサ54の正極端子との接続点N3は、比較器37の反転入力端子に接続されている。比較器37の非反転入力端子は、基準電位を与える基準電源44に接続されている。比較器37の非反転入力端子には、基準電源44から基準電位が与えられる。これによって、比較器37に基準電圧が入力される。比較器37の出力端子は、第2抵抗38の一端に接続されている。第2抵抗38の他端は、第1FET40のゲートに接続されている。
【0034】
第1FET40および第2FET41は、スイッチング素子に相当する。第1FET40および第2FET41は、増幅器であるTIA42およびLIA43と、増幅器用電源である第2電源39との間に設けられる。第1FET40および第2FET41は、TIA42およびLIA43への第2電源39からの電圧の供給と遮断とを切換える。
【0035】
具体的には、第1FET40は、第1スイッチング素子に相当する。第1FET40は、TIA42への第2電源39からの電圧の供給と遮断とを切換える。第1FET40のソースは、第2電源39に接続されている。第1FET40のドレインは、接続点N4を介して、TIA42の電源端子、および第2FET41のゲートにそれぞれ接続されている。
【0036】
第2FET41は、第2スイッチング素子に相当する。第2FET41は、LIA43への第2電源39からの電圧の供給と遮断とを切換える。第2FET41のソースは、第1FET40のソースと共通に接続され、第2電源39に接続されている。第2FET41のドレインは、LIA43の電源端子に接続されている。本実施の形態では、第2FET41のゲートには、前述のように第1FET40のドレインが接続されている。したがって第2FET41は、第1FET40の動作状態に応じて、LIA43への第2電源39からの電圧の供給と遮断とを切換える。
【0037】
TIA42は、第1増幅器に相当する。TIA42は、受光素子31によって生成される電流信号を電圧信号に変換する。LIA43は、第2増幅器に相当する。LIA43は、TIA42から出力される電圧信号を、予め定める振幅になるように増幅する。TIA42およびLIA43は、集積回路(Integrated Circuit;略称:IC)によって実現される。
【0038】
図3は、図2に示す光受信器1の動作を示すタイミングチャートである。図3では、ONU20から送信されてOLT10で受信されたデータである受信データ、受光素子31への光入力、パッシブフィルタ回路36の出力、比較器37の出力、およびTIA42およびLIA43を流れる電流のタイミングチャートを示している。
【0039】
ONU20から送信された光信号は、光カプラ21および光ファイバ22,23を介してOLT10に伝送される。ONU20から伝送された光信号に含まれる伝送データがOLT10で受信されると、OLT10で受信された受信データに相当する光信号が、受光素子31に入力される。
【0040】
受光素子31に光信号が入力されると、入力された光信号は、受光素子31によって、入力された光信号に比例した電流信号に変換される。受光素子31には、光信号として電力が入力される。受光素子31は、光信号として入力された電力(以下「光入力電力」という場合がある)の大きさに応じた大きさの電流を、電流信号として生成する。この電流信号の直流成分は、第1電源32からカレントミラー回路33を介して受光素子31に流れ込み、前記電流信号の交流成分は、バイパスコンデンサ34から受光素子31に流れ込む。
【0041】
カレントミラー回路33は、受光素子31によって生成される電流のモニタ電流を生成する。モニタ電流は、カレントミラー回路33を構成する出力側トランジスタ52のコレクタに接続されている第1抵抗35によって電圧に変換される。
【0042】
受光素子31の光電変換効率は約1A/Wであるので、受光素子31に光信号として入力される光入力電力が比較的低い場合、たとえば−30dBmすなわち1μWである場合、約1μAの電流が受光素子31に流れる。
【0043】
カレントミラー回路33を構成する出力側トランジスタ52のコレクタに接続されている第1抵抗35の抵抗値を500kΩとすると、パッシブフィルタ回路36に電気信号として入力される電圧は、約0.5Vになる。
【0044】
また、受光素子31に光信号として入力される光入力電力が比較的高い場合、たとえば−10dBmすなわち100μWである場合、カレントミラー回路33を構成する出力側トランジスタ52が飽和するので、モニタ電流は小さくなる。したがって、パッシブフィルタ回路36に電気信号として入力される電圧は、第1電源32による電源電圧から出力側トランジスタ52の飽和電圧を差し引いた電圧となる。
【0045】
パッシブフィルタ回路36に入力された信号は、パッシブフィルタ回路36によって高周波成分が除去されて、比較器37に入力される。パッシブフィルタ回路36は、伝送データを追従させずに、低速応答のみ反応させる機能を有している。図3において参照符号60で示されるパッシブフィルタ回路36の出力の立ち上がりは、フィルタ用抵抗53およびフィルタ用コンデンサ54のRC時定数によって遅くなる。
【0046】
パッシブフィルタ回路36の出力の立ち下がりは、フィルタ用コンデンサ54の放電時間tの分、受光素子31に入力される光入力電力の立ち下がりよりも遅延させることが好ましい。これによって、伝送データの最後尾まで識別することができる。
【0047】
比較器37に基準電源44から入力される基準電圧を、たとえば0.4Vと設定する。受光素子31に入力される光入力電力が−30dBmである場合、パッシブフィルタ回路36に入力される電圧は約0.5Vであるので、比較器37の入力電圧は、基準電圧の値である0.4Vよりも高くなる。したがって、比較器37から出力信号として出力される電圧は、ロー(Lo)レベル、具体的にはグランド電位になる。
【0048】
同様に、受光素子31に入力される光入力電力が−10dBmの場合、比較器37の入力電圧は、基準電圧の値である0.4Vよりも高くなるので、比較器37から出力信号として出力される電圧は、ロー(Lo)レベルになる。
【0049】
比較器37の出力信号が第1FET40のゲートに入力されるので、第1FET40がオン(ON)状態となる。これによって、第1FET40のドレインに電圧が供給され、TIA42の電源端子および第2FET41のゲートに電圧が供給される。TIA42の電源端子に電圧が供給されることによって、TIA42の電源がONになる。第2FET41のゲートに電圧が供給されることによって、第2FET41がONとなる。これによって、第2FET41のドレインに電圧が供給され、LIA43の電源端子に電圧が供給されるので、LIA43の電源がONとなる。
【0050】
このとき、受光素子31のアノードから流れる電流は、TIA41によって電圧に変換される。この電圧は、電圧信号として次段のLIA43に与えられる。LIA43は、TIA42から与えられた電圧信号を一定の振幅値になるように制御する。TIA42およびLIA43に電圧を供給する第2電源39は、第1FET40のソースとドレインとの間(以下「ソース−ドレイン間」という場合がある)の電圧ドロップ分だけ上昇させる必要がある。
【0051】
受光素子31に光信号の入力がないとき、カレントミラー回路33にはモニタ電流が流れず、比較器37の入力電圧は、基準電圧よりも低くなる。このとき、比較器37から出力信号として出力される電圧は、ハイ(Hi)レベル、具体的には比較器37の電源電圧になる。したがって、第1FET40はオフ(OFF)状態となり、TIA42およびLIA43の電源端子には電圧が供給されない。
【0052】
以上のように本実施の形態によれば、受光素子31に光信号の入力がない待機時には、使用者が操作することなく、TIA42およびLIA43などのICに流れる消費電流を削減することができる。したがって、待機時の光受信器1の消費電力を低減することができる。
【0053】
また本実施の形態では、受光素子31には、カレントミラー回路33が接続されるので、TIA42には、受光素子31によって生成された電流信号が入力される。これによって、受光素子31に入力される光入力電力が比較的低い場合、たとえば−30dBmである場合でも、比較的高い場合、たとえば−10dBmである場合でも、受光素子31への光入力電力の大きさに応じた大きさの電流信号をTIA42に入力することができる。
【0054】
したがって、受光素子31に入力される光入力電力が比較的低い場合でも高い場合でも、TIA42に入力される信号のアイ開口に歪みが発生することを防ぎ、伝送品質が劣化してしまうことを防ぐことができる。つまり、本実施の形態の光受信器1では、受光素子31に入力可能な光量の範囲が広く、受信感度が、たとえば20dB以上という比較的広いダイナミックレンジを確保することができる。
【0055】
このように本実施の形態の光受信器1では、待機時の消費電力を抑えるとともに、比較的広いダイナミックレンジを確保することができる。
【0056】
また本実施の形態では、TIA42およびLIA43に、別々のFET40,41で電源電圧を供給している。これによって、TIA42の立ち上がりタイミングとLIA43の立ち上がりタイミングとのずれによってTIA42から不所望な信号が出力されることを防ぐことができる。
【0057】
また本実施の形態では、比較器37と第1FET40との間には、第2抵抗38が設けられている。これによって、スイッチング素子である第1FET40および第2FET41に印加される電圧を、可能な限り小さくすることができる。したがって、第1FET40および第2FET41に過大な電圧が印加されることを防ぎ、第1FET40および第2FET41が破壊されることを防ぐことができる。
【0058】
図4は、図2に示す光受信器1の他の例の構成を示す電気回路図である。前述の図2に示す光受信器1は、TIA42に電源電圧を供給する第1FET40と、LIA43に電源電圧を供給する第2FET41とを備えて構成されている。図4に示す光受信器2は、図2に示す光受信器1の構成から第2FET41を除いた残余の部分によって構成される。図4に示す光受信器2は、第1FET40が、TIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成される。
【0059】
図4に示す光受信器2では、第1FET40のドレインは、接続点N4を介して、TIA42の電源端子、およびLIA43の電源端子にそれぞれ接続されている。したがって、図4に示す光受信器2では、第1FET40がオン状態になると、第1FET40のドレインに電圧が供給され、TIA42およびLIA43の電源端子に電圧が供給されるので、TIA42およびLIA43の電源がオンになる。
【0060】
図4に示す光受信器2のように1つのFETでTIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成される場合でも、前述の図2に示す光受信器1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
また図4に示す光受信器2のように、1つのFETでTIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成することによって、TIA42およびLIA43に別々のFETで電源電圧を供給する場合に比べて、TIA42およびLIA43を速く立ち上げることができる。
【0062】
図4に示す光受信器2を備えるOLTおよびそれを含むPONシステムは、前述の図1に示すOLT10およびPONシステム100において、第1の実施の形態の光受信器1を、図4に示す光受信器2に置き換えることによって実現することができる。
【0063】
<第2の実施の形態>
図5は、本発明の第2の実施の形態における光受信器3の構成を示す電気回路図である。図5に示す光受信器3の構成および機能は、前述の図2に示す第1の実施の形態の光受信器1の構成および機能と類似しているので、異なる部分についてのみ説明し、対応する部分には同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
【0064】
本実施の形態の光受信器3は、前述の図2に示す第1の実施の形態の光受信器1において、第1FET40および第2FET41に代えて、第1バイポーラトランジスタ71および第2バイポーラトランジスタ72を備える構成である。
【0065】
具体的には、本実施の形態の光受信器3は、受光素子31、第1電源32、カレントミラー回路33、バイパスコンデンサ34、第1抵抗35、パッシブフィルタ回路36、比較器37、第2抵抗38、第2電源39、TIA42、LIA43、基準電源44、第1バイポーラトランジスタ71および第2バイポーラトランジスタ72を備えて構成される。
【0066】
第1バイポーラトランジスタ71および第2バイポーラトランジスタ72は、PNP形バイポーラトランジスタである。第1バイポーラトランジスタ71および第2バイポーラトランジスタ72は、スイッチング素子に相当する。
【0067】
本実施の形態では、第2抵抗38の他端は、第1バイポーラトランジスタ71のベースに接続されている。第1バイポーラトランジスタ71のエミッタは、第2電源39に接続されている。第1バイポーラトランジスタ71のコレクタは、接続点N4を介して、TIA42の電源端子、および第2バイポーラトランジスタ72のベースにそれぞれ接続されている。
【0068】
第2バイポーラトランジスタ72のエミッタは、第1バイポーラトランジスタ71のエミッタと共通に接続され、第2電源39に接続されている。第2バイポーラトランジスタ72のコレクタは、LIA43の電源端子に接続されている。
【0069】
本実施の形態の光受信器3の動作は、前述の第1の実施の形態における光受信器1の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
TIA42およびLIA43などのICに供給する電流が比較的大きく、比較器37からの出力電流が比較的小さい場合には、TIA42およびLIA43の電源をオン、オフするためのスイッチング回路として、バイポーラトランジスタ71,72を多段にしたダーリントン回路を用いてもよい。
【0071】
本実施の形態の光受信器3を備えるOLTおよびそれを含むPONシステムは、前述の図1に示すOLT10およびPONシステム100において、第1の実施の形態の光受信器1を、本実施の形態の光受信器3に置き換えることによって実現することができる。
【0072】
図6は、図5に示す光受信器3の他の例の構成を示す電気回路図である。前述の図5に示す光受信器3は、TIA42に電源電圧を供給する第1バイポーラトランジスタ71と、LIA43に電源電圧を供給する第2バイポーラトランジスタ72とを備えて構成されている。図6に示す光受信器4は、図5に示す光受信器3の構成から第2バイポーラトランジスタ72を除いた残余の部分によって構成される。図6に示す光受信器4は、第1バイポーラトランジスタ71が、TIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成される。
【0073】
図6に示す光受信器4では、第1バイポーラトランジスタ71のコレクタは、接続点N4を介して、TIA42の電源端子、およびLIA43の電源端子にそれぞれ接続されている。したがって、第1バイポーラトランジスタ71がオン状態になると、第1バイポーラトランジスタ71のコレクタに電圧が供給され、TIA42およびLIA43の電源端子に電圧が供給されるので、TIA42およびLIA43の電源がオンになる。
【0074】
図6に示す光受信器4のように1つのバイポーラトランジスタでTIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成される場合でも、前述の図5に示す光受信器3と同様の効果を得ることができる。図6に示す光受信器4を備えるOLTおよびそれを含むPONシステムは、前述の図1に示すOLT10およびPONシステム100において、第1の実施の形態の光受信器1を、図6に示す光受信器4に置き換えることによって実現することができる。
【0075】
<第3の実施の形態>
図7は、本発明の第3の実施の形態における光受信器5の構成を示す電気回路図である。図7に示す光受信器5の構成および機能は、前述の図2に示す第1の実施の形態の光受信器1の構成および機能と類似しているので、異なる部分についてのみ説明し、対応する部分には同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
【0076】
本実施の形態の光受信器5を備えるOLTおよびそれを含むPONシステムは、前述の図1に示すOLT10およびPONシステム100において、第1の実施の形態の光受信器1を、本実施の形態の光受信器5に置き換えることによって実現することができる。
【0077】
本実施の形態の光受信器5は、前述の図2に示す第1の実施の形態の光受信器1の構成に加えて、セレクタ80をさらに備える構成である。具体的には、本実施の形態の光受信器5は、受光素子31、第1電源32、カレントミラー回路33、バイパスコンデンサ34、第1抵抗35、パッシブフィルタ回路36、比較器37、第2抵抗38、第2電源39、第1FET40、第2FET41、TIA42、LIA43、基準電源44およびセレクタ80を備えて構成される。
【0078】
セレクタ80は、比較器37と第2抵抗38との間に設けられる。本実施の形態では、比較器37の出力端子は、セレクタ80の第1入力端子に接続される。これによって、セレクタ80の第1入力端子に、比較器37の出力信号である出力電圧が入力される。セレクタ80の第2入力端子には、制御信号CNTが入力される。セレクタ80の第3入力端子には、スリープ信号SLPが入力される。セレクタ80の出力端子は、第2抵抗38に接続される。これによって、セレクタ80の出力電圧が、第2抵抗38を介して、第1FET40のゲートに入力される。
【0079】
制御信号CNTは、GE−PON(Giga bit Ethernet(登録商標)−Passive Optical Network)のPONシステム100で使用され、ONU20からの上りの間欠的な光信号であるバースト信号がOLT10に入力されるタイミングを通知する信号である。制御信号CNTは、上位ネットワークからOLT10に与えられる。制御信号CNTは、スイッチング素子である第1FET40および第2FET41を、オン状態にする信号として機能する。
【0080】
スリープ信号SLPは、ONU20が、待機時の消費電力(以下「待機電力」という場合がある)を低減する省電力モードの状態であるときに、PONシステム100において上位ネットワークから通知される信号である。スリープ信号SLPは、セレクタ80による選択の基準信号として用いられる。
【0081】
セレクタ80は、スリープ信号SLPの有無に基づいて、比較器37の出力電圧を出力するか、または制御信号CNTを出力するかを選択する。換言すれば、セレクタ80は、スリープ信号SLPの有無に基づいて、比較器37の出力電圧と、制御信号CNTとのいずれを出力信号として出力するかを選択する。
【0082】
本実施の形態の光受信器5は、以下のように動作する。ONU20とOLT10との通信時に、より速い応答速度が要求された場合は、パッシブフィルタ回路36の遅延によって応答できないことがあるので、事前にセレクタ80によって制御信号CNTを選択する。OLT10は、ONU20との通信時には制御信号CNTをロー(Lo)レベル、具体的にはグランド(GND)とする。これによって、OLT10とONU20との通信時には、セレクタ80の出力電圧はロー(Lo)レベル、具体的にはグランド(GND)となる。このとき、第1FET40のゲートに電圧が供給され、TIA42およびLIA43などのICにも電源電圧が供給される。
【0083】
ONU20が、速い応答速度は要求されないスリープモードである場合、セレクタ80によって比較器37からの出力が選択される。このとき、第1の実施の形態と同様にして、第1FET40のゲートに電圧が供給され、TIA42およびLIA43などのICにも電源電圧が供給される。
【0084】
以上のように本実施の形態によれば、セレクタ80によって、スリープ信号SLPに基づいて、比較器37の出力信号または制御信号CNTが選択されて、第2抵抗38を介して第1FET40のゲートに与えられる。これによって、比較的速い制御が必要な場合には制御信号CNTを第1FET40のゲートに与えて、第1FET40および第2FET41のスイッチングを比較的速く制御することが可能である。また比較的速い制御が必要でない場合には、比較器37の出力信号を第1FET40のゲートに与えて、受光素子31の光入力電力に応じて、第1FET40および第2FET41をスイッチングすることができる。したがって、比較的速い制御が必要でない場合の光受信器7の消費電力を低減することができる。
【0085】
図8は、図7に示す光受信器5の他の例の構成を示す電気回路図である。前述の図7に示す光受信器5は、TIA42に電源電圧を供給する第1FET40と、LIA43に電源電圧を供給する第2FET41とを備えて構成されている。図8に示す光受信器6は、図7に示す光受信器5の構成から第2FET41を除いた残余の部分によって構成される。図8に示す光受信器6は、前述の図4に光受信器2の構成に加えて、セレクタ80をさらに備える構成に相当する。図8に示す光受信器5は、第1FET40が、TIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成される。
【0086】
図8に示す光受信器6では、第1FET40のドレインは、TIA42の電源端子、およびLIA43の電源端子にそれぞれ接続されている。図8に示す光受信器6では、第1FET40がオン状態になると、第1FET40のドレインに電圧が供給され、TIA42およびLIA43の電源がオンになる。
【0087】
図8に示す光受信器6のように、1つのFETでTIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成される場合でも、前述の図7に示す光受信器5と同様の効果を得ることができる。図8に示す光受信器6を備えるOLTおよびそれを含むPONシステムは、前述の図1に示すOLT10およびPONシステム100において、第1の実施の形態の光受信器1を、図8に示す光受信器6に置き換えることによって実現することができる。
【0088】
<第4の実施の形態>
図9は、本発明の第4の実施の形態における光受信器7の構成を示す電気回路図である。図9に示す光受信器7の構成および機能は、前述の図5に示す第2の実施の形態の光受信器3および図7に示す第3の実施の形態の光受信器5の構成および機能と類似しているので、異なる部分についてのみ説明し、対応する部分には同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
【0089】
本実施の形態の光受信器7は、前述の図7に示す第3の実施の形態の光受信器5において、第1FET40および第2FET41に代えて、第1バイポーラトランジスタ71および第2バイポーラトランジスタ72を備える構成である。図9に示す第3の実施の形態の光受信器7は、前述の図5に示す第1の実施の形態の光受信器3の構成に加えて、セレクタ80をさらに備える構成に相当する。
【0090】
具体的には、本実施の形態の光受信器7は、受光素子31、第1電源32、カレントミラー回路33、バイパスコンデンサ34、第1抵抗35、パッシブフィルタ回路36、比較器37、第2抵抗38、第2電源39、TIA42、LIA43、基準電源44、第1バイポーラトランジスタ71、第2バイポーラトランジスタ72およびセレクタ80を備えて構成される。
【0091】
本実施の形態の光受信器7の動作は、前述の第3の実施の形態の光受信器5と同様であるので、説明を省略する。本実施の形態の光受信器7を備えるOLTおよびそれを含むPONシステムは、前述の図1に示すOLT10およびPONシステム100において、第1の実施の形態の光受信器1を、本実施の形態の光受信器8に置き換えることによって実現することができる。
【0092】
図10は、図9に示す光受信器7の他の例の構成を示す電気回路図である。前述の図9に示す光受信器7は、TIA42に電源電圧を供給する第1バイポーラトランジスタ71と、LIA43に電源電圧を供給する第2バイポーラトランジスタ72とを備えて構成されている。図10に示す光受信器8は、図9に示す光受信器7の構成から第2バイポーラトランジスタ72を除いた残余の部分によって構成される。図10に示す光受信器8は、第1バイポーラトランジスタ71が、TIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成される。
【0093】
図10に示す光受信器8では、第1バイポーラトランジスタ71のコレクタは、接続点N4を介して、TIA42の電源端子、およびLIA43の電源端子にそれぞれ接続されている。したがって、第1バイポーラトランジスタ71がオン状態になると、第1バイポーラトランジスタ71のコレクタに電圧が供給され、TIA42およびLIA43の電源端子に電圧が供給されるので、TIA42およびLIA43の電源がオンになる。
【0094】
図10に示す光受信器8のように1つのバイポーラトランジスタでTIA42およびLIA43の両方に電源電圧を供給するように構成される場合でも、前述の図9に示す光受信器7と同様の効果を得ることができる。図10に示す光受信器8を備えるOLTおよびそれを含むPONシステムは、前述の図1に示すOLT10およびPONシステム100において、第1の実施の形態の光受信器1を、図10に示す光受信器8に置き換えることによって実現することができる。
【0095】
以上に述べた各実施の形態では、ローパスフィルタであるパッシブフィルタ回路36は、フィルタ用抵抗53とフィルタ用コンデンサ54とで構成されるRC型ローパスフィルタである。パッシブフィルタ回路36は、RC型ローパスフィルタに限定されるものではなく、他の構成のローパスフィルタであってもよい。パッシブフィルタ回路36は、たとえば、オペアンプを備えて構成されるアクティブローパスフィルタであってもよく、コイルとコンデンサとで構成されるLCローパスフィルタであってもよい。
【0096】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形または省略することが可能である。たとえば、前述の図9に示す第4の実施の形態の光受信器7は、前述の図5に示す第2の実施の形態の光受信器3の構成と、前述の図7に示す第3の実施の形態の光受信器5の構成とを組合せたものである。
【符号の説明】
【0097】
1 光受信器、10 局側装置(OLT)、20 加入者側装置(ONU)、21 光カプラ、22,23 光ファイバ、31 受光素子、32 第1電源、33 カレントミラー回路、34 バイパスコンデンサ、35 第1抵抗、36 パッシブフィルタ回路、37 比較器、38 第2抵抗、39 第2電源、40 第1FET、41 第2FET、42 トランスインピーダンスアンプ(TIA)、43 リミッティングアンプ(LIA)、44 基準電源、71 第1バイポーラトランジスタ、72 第2バイポーラトランジスタ、80 セレクタ、100 PONシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を受信して、受信した光信号に対応する電流信号を生成する受光素子と、
前記受光素子によって生成される電流信号を電圧信号に変換し、増幅する増幅器と、
前記受光素子と第1電源との間に設けられ、前記受光素子に接続される入力側トランジスタと前記入力側トランジスタに接続される出力側トランジスタとで構成されるカレントミラー回路と、
前記受光素子と前記カレントミラー回路の入力側トランジスタとの接続点に一端が接続され、他端がグランドに接続されるコンデンサと、
前記カレントミラー回路の出力側トランジスタに一端が接続され、他端がグランドに接続される第1抵抗と、
前記抵抗と前記カレントミラー回路の出力側トランジスタとの接続点に接続され、入力された信号の高周波成分を除去するフィルタ回路と、
前記フィルタ回路の出力端子が反転入力端子に接続され、非反転入力端子に基準電位が与えられる比較器と、
前記比較器の出力端子に一端が接続される第2抵抗と、
前第2抵抗の他端に接続されて、前記増幅器と第2電源との間に設けられ、前記比較器から出力される出力信号に応じて、前記増幅器への前記第2電源からの電圧の供給と遮断とを切換えるスイッチング素子とを備えることを特徴とする光受信器。
【請求項2】
前記増幅器は、前記受光素子によって生成される電流信号を電圧信号に変換する第1増幅器と、前記第1増幅器から出力される出力信号を増幅する第2増幅器とを含み、
前記スイッチング素子は、前記第1増幅器の電源端子に接続される第1スイッチング素子と、前記第2増幅器の電源端子に接続される第2スイッチング素子とを含み、
前記第1スイッチング素子は、前記他の抵抗の他端に接続され、前記比較器から出力される出力信号に応じて、前記第1増幅器の電源端子への前記第2電源からの電圧の供給と遮断とを切換え、
前記第2スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子に接続され、前記第1スイッチング素子の動作状態に応じて、前記第2増幅器への前記第2電源からの電圧の供給と遮断とを切換えることを特徴とする請求項1に記載の光受信器。
【請求項3】
前記増幅器は、前記受光素子によって生成される電流信号を電圧信号に変換する第1増幅器と、前記第1増幅器から出力される出力信号を増幅する第2増幅器とを含み、
前記スイッチング素子は、前記第1増幅器の電源端子および前記第2増幅器の電源端子に接続され、前記比較器から出力される出力信号に応じて、前記第1増幅器の電源端子への前記第2電源からの電圧の供給と遮断とを切換えるとともに、前記第2増幅器への前記第2電源からの電圧の供給と遮断とを切換えることを特徴とする請求項1または2に記載の光受信器。
【請求項4】
前記第1増幅器は、前記受光素子によって生成される電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプであり、
前記第2増幅器は、前記第1増幅器から出力される電圧信号を、予め定める振幅になるように増幅するリミッティングアンプであることを特徴とする請求項2または3に記載の光受信器。
【請求項5】
前記比較器と前記第2抵抗との間に設けられ、前記比較器から出力される出力信号を出力するか、または前記スイッチング素子をオン状態にする制御信号を出力するかを選択するセレクタを備え、
前記スイッチング素子は、前記セレクタから出力される出力信号に応じて、前記増幅器への前記第2電源からの電圧の供給と遮断とを切換えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−81064(P2013−81064A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219861(P2011−219861)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】