説明

光回路

【課題】小型で高信頼/低価格な偏光度モニター、OSNRモニターに適用可能な光回路を提供する。
【解決手段】入力された光信号を偏波により分離して、2本のアーム導波路にそれぞれ出力する偏波ビームスプリッタ(PBS)と、2本のアーム導波路の一方に挿入され、偏光光の偏波面を90°回転する偏波回転器と、2本のアーム導波路を結合する複数の光結合器により構成された多段ラティス型2光束干渉計であって、各段の2本のアーム導波路の少なくとも一方に、2光束間の相対位相を調整する光移相器が形成された多段ラティス型2光束干渉計と、入力された光信号のうち偏光光を、多段ラティス型2光束干渉計の2つの出力ポートのうちいずれか一方の出力ポートのみから出力されるように光移相器を制御する制御回路とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回路に関し、より詳細には、光通信システムにおいて偏光度モニター、光信号対雑音強度比(OSNR)モニターとして適用可能な光回路に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいては、異常時の予備系切り替え、故障箇所の同定のために、伝送路上の光信号を監視することが、システムの可用性向上に欠かせない重要な機能の一つとなっている。近年、低コストで柔軟な大容量伝送網を構築できる再構成可能光分岐挿入波長多重(ROADM)技術、波長クロスコネクト(WXC)技術等の光トランスペアレントノード技術が、光通信システムに適用されている。このような通信システムでは、波長チャンネル毎に光信号の経路が異なるので、各光ノードにおいて、各々のチャンネルの光信号を個別に監視する必要がある。
【0003】
多くの場合、光信号の個別の監視は、各チャンネルの光パワーレベルをモニターすることにより行っている。この光パワーレベルモニターによる監視は、基本的に信号の有無を監視するのみで、信号の品質を監視することができない。近年、光信号品質を監視するために、光パワーレベルだけでなく、光信号対雑音強度比(OSNR)もモニターすることへの要望が高まっている。OSNRは、ビット誤り率(BER)との相関が大きい指標値である。従って、OSNRをモニターすることにより、BERを直接測定しなくても、信号品質をある程度把握することが可能となる。なお、光ファイバアンプを用いた光中継伝送システムにおいては、雑音光強度は、光ファイバアンプで生じる非誘導放出(ASE)光強度で決まる。従って、光中継伝送システムにおいては、OSNRにおける雑音光強度とは、単位波長(0.1nm)当たりのASE光強度のことを指す。
【0004】
OSNRの計測方法としては、ASE補間法、偏光消光法等が知られている(例えば、非特許文献1参照)。図1に、従来のASE補間法によるOSNR計測の概略を示す。図1(a)に示すように、グレーティング、または、波長可変バンドパスフィルター等を用いた分光器で、測定対象となる光信号の光スペクトルを計測する。ASE補間法は、図1(b)に示すように、信号光の周辺波長におけるASE光強度から信号波長におけるASE光強度を補間推定し、OSNRを算出する方法である。ASE補間法によるOSNRモニターは、グレーティング、または波長可変バンドパスフィルター等を用いた分光器、すなわち既存技術である光スペクトルアナライザーだけで構成され、測定方法としても確立された標準的な技術であるので、実際の光通信システムでもしばしば用いられている。
【0005】
しかしながら、近年の通信技術の高度化に伴い、ASE補間法を用いたOSNRモニターでは、正確にOSNRを測定することが困難になってきている。第1に、伝送レートの上昇による光信号スペクトルの広帯域化、波長チャンネルの狭間隔化の問題がある。図2(a)に示すように、光信号スペクトル幅に対して相対的に各波長チャンネルの光信号スペクトル間の間隔が狭くなると、周辺ASE光強度をバックグランドレベルとして明確に観測することが難しくなる。この問題に対しては、分光器の分解能を向上させることである程度は対応できる。しかし、各信号チャンネルが隙間無く配置されるまで密度が向上すると、分解能を究極まで向上させても周辺ASE光を単独で測定スペクトルに見出すことはできなくなる。また、一般的に分解能の高い分光器は、装置が大型化するので、無闇に高分解能化をすることはできない。
【0006】
第2に、光トランスペアレントノード技術の導入により、光信号がノードを通過するたびに合分波器によるフィルタリングを受けるという問題がある。フィルタリングによって、図2(b)に示すように、光信号スペクトル周辺のASE光は減衰してしまうので、正確なASE光強度を測定することが難しくなる。実際には、これら第1と第2の両方の阻害状況が同時に発生しつつあり、ASE光強度の測定、OSNRの測定をいっそう困難にしている。
【0007】
図3に、従来の偏光消光法によるOSNR計測の概略を示す。偏光消光法は、信号光は偏光光であるのに対して、ASE光は無偏光光であることを利用して、ASE光を分離し、OSNRを評価する方法である。具体的には、図3(a)に示すように、測定対象となる信号光を偏波制御器と検光子とを用いて消光させることで、ASE光を分離する。
【0008】
図3(b)は、検光子に対して信号光が透過するように偏波制御器を動作させた時、即ち、最も透過光量が多くなるように偏波制御した時のスペクトルである。信号光に片偏波分のASE光を加えたスペクトルが計測される。一方、図3(c)は、検光子に対して信号光が遮断されるように偏波制御器を動作させた時、即ち、最も透過光量が少なくなるように偏波制御した時のスペクトルである。片偏波分のASE光のみのスペクトルが計測される。この両者のスペクトル強度を比較することにより、OSNRを求めることができる。この方法は、偏光度(DOP)を計測することによりOSNRを求めていることと等価になる。
【0009】
ASE補間法は、信号帯域外のスペクトル情報を用いてOSNR評価を行うので、OutBandOSNR評価と呼ばれている。これに対して、偏波消光法は、信号帯域内のスペクトル情報のみでOSNR評価を行うことができるので、InBandOSNR評価と呼ばれている。このように、偏波消光法は、信号光スペクトル周辺のASE光スペクトル情報を必要としないので、上述のASE補間法のような問題が生じないことから、最近注目されつつある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】波平宣敬編、「DWDM光測定技術」、オプトロニクス社、p.94-99、平成13年3月10日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、偏波消光法を用いた上述の測定器は、バルク技術で作製された偏波制御器/検光子を用いているため、サイズが大型化し、価格が高価になるという問題があった。また、機械的に偏波制御器/検光子を駆動するため、信頼性上の問題もあった。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、集積光回路技術を用いて、小型で高信頼/低価格な偏光度モニター、OSNRモニターに適用可能な光回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施態様は、入力された光信号を偏波により分離して、2本のアーム導波路にそれぞれ出力する偏波ビームスプリッタ(PBS)と、前記2本のアーム導波路の一方に挿入され、偏光光の偏波面を90°回転する偏波回転器と、前記2本のアーム導波路を結合する複数の光結合器により構成された多段ラティス型2光束干渉計であって、各段の前記2本のアーム導波路の少なくとも一方に、2光束間の相対位相を調整する光移相器が形成された多段ラティス型2光束干渉計と、前記入力された光信号のうち偏光光を、前記多段ラティス型2光束干渉計の2つの出力ポートのうちいずれか一方の出力ポートのみから出力されるように前記光移相器を制御する第1の制御回路とを備えた光回路である。
【0014】
この光回路を、前記入力された光信号を、偏光光である信号光と無偏光光であるASE光とに分離して、偏光度(DOP)を測定する偏光度モニターとすることができる。
【0015】
この光回路と、光回路の入力に接続された光フィルターとを備えることによりOSNRモニターとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、集積光回路技術を用いた光回路により、小型で高信頼/低価格な偏光度モニター、OSNRモニターに適用可能な光回路を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来のASE補間法によるOSNRの計測方法を説明するための図である。
【図2】従来のASE補間法における課題を説明するための図である。
【図3】従来の偏光消光法によるOSNRの計測方法を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる偏光度モニターの構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態にかかる偏光度モニターの最大値化制御回路の第1の例を示す図である。
【図6】第1の実施形態にかかる偏光度モニターの最大値化制御回路の第2の例を示す図である。
【図7】第1の実施形態において測定値をハード的に算出する例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる偏光度モニターの構成を示す図である。
【図9】第2の実施形態にかかる偏光度モニターの最大値化制御回路と等値化制御回とを示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態にかかる偏光度モニターの構成を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施形態にかかる偏光度モニターの構成を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態にかかるOSNRモニターの構成を示す図である。
【図13】ステップ挿印型OSNRモニターの実施例を示す図である。
【図14】実施例にかかるOSNRモニターの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
(偏光度モニター・第1の実施形態)
図4に、本発明の第1の実施形態にかかる偏光度モニターの構成を示す。偏光度モニターは、測定対象となる光信号を入力し、いずれか一方の偏光に変換して出力する干渉計光回路10aと、干渉計光回路10aから出力される光信号を電気信号に変換する光電変換器20a,20bと、干渉計光回路10aの2つの出力ポートからの出力の差を最大値化する最大値化制御回路30とを備える。干渉計光回路10aは、偏波ビームスプリッタ(PBS)11から分岐した2本のアーム導波路が、2箇所の3dBカプラー(光結合器)12,13で結合された2段ラティス型の2光束干渉計になっている。各段の2本のアーム導波路には光移相器が設置され、2本のアーム導波路のそれぞれを伝播する光信号(2光束)間の相対位相を調整する位相調整部14,15が備えられている。
【0019】
また、PBS11により分岐された一方のアーム導波路、すなわち前段の干渉計の一方のアーム導波路には、偏光光の偏波面を90°回転する偏波回転器16が備えられている。偏波回転器16は、位相調整部14と入れ替えた配置としても良い。ただし、位相調整部14が片方の偏光成分に対してのみ動作する場合には、偏波回転器16を位相調整部14の前に配置し、かつ、位相調整部14が動作する偏光と異なる偏光側のアーム導波路に配置する。光移相器は、両方のアーム導波路に配置し、プッシュプルで動作させる構成としている。位相調整部14、15は、2本のアーム導波路間の相対位相を調整できれば良いので、片方のアーム導波路にのみ、光移相器を配置する構成でも構わない。
【0020】
干渉計光回路10aの動作を説明する。入力された光信号は、PBS11によりTM偏光とTE偏光に分離され、それぞれ2本のアーム導波路に出力される。その後、一方の偏光が偏波回転器16で偏波変換され、もう一方の偏波と同じ向きの偏波となる(図4では、TE偏光をTM偏光に変換している)。これに続く位相調整部14,15および3dBカプラー12,13によって、2本のアーム導波路の光は干渉動作をする。ここで、1段目の位相調整部14の相対移相量を2φとし、2段目の位相調整部15の相対移相量を−2θとする。干渉計光回路10aの出力ポート1、2への出力光の電界E1、E2は、入力光の各偏波成分の電界ETM、ETEを用いて式1のように表せる。
【0021】
【数1】

【0022】
ここで、C、Sはそれぞれ、3dBカプラー12,13、位相調整部14,15の伝達行列であり、次式の様になる。
【0023】
【数2】

【0024】
これを整理すると、
【0025】
【数3】

【0026】
となる。式2の(ETE,ETM)を入力光のジョーンズベクトル、(E1,E2)を出力光のジョーンズベクトルと見立てると、式2の右辺の1番目および2番目の伝達行列
【0027】
【数4】

【0028】
は、ポアンカレ球上でRL軸(南極北極軸)を軸中心とする回転操作、XY軸(赤道中のTE偏波/TM偏波軸)を軸中心とする回転操作に該当する。従って、如何なる偏光状態での入力、すなわち如何なるETM、ETEの組であっても、適切な回転操作φ、θにより、ポアンカレ球上で必ずTE偏光又はTM偏光、即ちE1のみ又はE2のみに変換でき、E1又はE2のいずれか一方をゼロにすることができる。言い換えると、如何なる偏光状態で入力されても、干渉計光回路10aにより、入力光をいずれか一方の出力ポートのみに、出力し、他方の出力ポートの出力をゼロにすることができる。
【0029】
偏光光の場合は、このように2段ラティス回路での干渉動作により、一方の出力ポートに集中させて光を取り出し、他方の出力ポートは消光させることができる。しかしながら、無偏光光の場合は、偏光状態がランダムに高速変動する。別の言い方をすると、入力光スペクトル内で偏光状態がランダムに異なっている。このため、一方の出力ポートに集中させて光を出すことができず、如何なる回転操作φ、θを行っても両方の出力ポートから均等に出力される。さらに、別の言い方をすると、無偏光光は、TE/TM偏波成分の位相に相関関係が無い為、干渉動作せず、結果として両方の出力ポートから均等に出力される。このことは、ポアンカレ球上で考えると、無偏光光は、ポアンカレ球の中心に位置する偏光状態(偏光度=0)であるため、如何なる回転操作φ、θを施しても、偏光状態をポアンカレ球の表面に位置(偏光度=1)するTE偏光またはTM偏光に変換することができないことに該当する。
【0030】
偏光度(DOP)は、全光の内の偏光光の占める割合のことであり、偏光光強度をIP、無偏光光度をIDとすると、DOPは次式で表される。
【0031】
【数5】

【0032】
従って、上述のように適切な回転操作φ、θにより、偏光光IPを出力ポート1へ出力した場合、出力ポート1、2への出力光強度をそれぞれI1(=|E1|2)、I2(=|E2|2)とすると、
【0033】
【数6】

【0034】
であるから、DOPは、
【0035】
【数7】

【0036】
で得ることができる。
【0037】
次に、回転操作φ、θの制御方法について説明する。上述のようにφ、θの値は、偏光光が片方の出力ポート、例えば出力ポート1のみに出力されるように設定する。従って、(1)出力ポート1の偏光光の出力光強度I1が最大となるように、または(2)出力ポート2の無偏光光の出力光強度I2が最小になるように、または、(3)出力ポート1と出力ポート2の出力光強度の差D=I1−I2が最大になるように、φ並びにθの制御を行えば良い。以下では、(3)の出力ポート間の出力の差Dを最大にする制御方法を中心に具体例を説明する。(1)、(2)の方法でも本質的な動作に差が無いことを付記しておく。
【0038】
図5に、偏光度モニターの最大値化制御回路の第1の例を示す。最大値化制御であるので、基本的には、擾乱、すなわちディザ信号を加え、それによる出力変化を見ながら出力差が最大化するようにφ、θを制御する。ディザ信号発生回路31は、位相調整部14,15を制御するための信号φ、θを与える駆動出力にディザ信号を重担し、ロックイン検出回路32a,32bに遅延回路35a,35bを介してディザ信号を供給する。ここで、電気移相器34により、φの制御に対して、θの制御に対してはディザ信号の位相を90°ずらしている。これにより、同一のディザ信号周波数でφ、θの制御を独立に行っている。
【0039】
ロックイン検出回路32a,32bは、光電変換器20a,20bから対数アンプ36a,36bを介して、2つの出力ポートの出力光の光強度差に応じた電気信号を入力し、ディザ信号による出力変化を、乗算回路及び低域フィルタ(LPF)からなる回路によりロックイン検出する。このようにして、ロックイン検出量を誤差信号として、積分回路33a,33bにより積分して、いわゆる積分フィードバック制御を行う。ここでは積分フィードバック制御としているが、必要に応じて積分器を置き換えて、いわゆる比例積分制御(PI制御)、比例積分微分制御(PID制御)にしても良い。
【0040】
図6に、偏光度モニターの最大値化制御回路の第2の例を示す。同じ構成要素には、同じ符号を付してある。第2の例では、2つのディザ信号発生回路31a,31bにより、φとθの制御に、異なるディザ信号周波数を用いている。第1の例の構成は、ディザ信号周波数が一つで良いのがメリットである反面、φ、θを独立動作とするために、φ、θへのディザ信号の位相をきちんと90°ずらし、かつ、ロックイン検出への参照信号もそれぞれきちんと位相を合わせる必要がある点がデメリットである。一方、第2の例の構成は、この逆でディザ信号周波数を2つ用意しなければならない点がデメリットである反面、参照信号の位相合わせは、第1の例に比べると厳密でない点がメリットである。
【0041】
なお、最大値化制御回路30の入力に対数アンプ36a,36bを用いているのは、フィードバック動作を安定にするためである。対数アンプが無い場合は、I1、I2の比率α=I1/I2が同じ場合でも入力光レベルによって、差分値I1−I2の大きさが異なる。従って、見かけ上、フィードバック係数が入力光レベルによって大きくなったり小さくなったりする。一般に、フィードバック係数を大きくすると、早く目的状態に収束するが、度が過ぎると自励発振を起こして動作が不安定になるため、適切なフィードバック係数が存在する。
【0042】
対数アンプを使用すると、差分値はlog(I1)−log(I2)となるため、比率αが同じであれば、差分値も同じ値になる。従って、入力光レベルが変動しても、フィードバック係数が変動しないため、適切なフィードバック状態を保つことができるので、安定した動作を得ることができる。しかしながら、入力レベルがある範囲に納まっている場合は、上述のような変動があまり大きな問題にならないので、必ずしも対数アンプを用いなくても良い。
【0043】
また、最大値化制御回路30において、出力光強度I2の入力を省略すれば、上述の(1)の出力ポート1の出力光強度I1を最大化する制御回路となり、出力光強度I1の入力を省略すれば、上述の(2)の出力ポート2の出力光強度I2を最小化する制御回路となる。後述の最大値化制御回路50でも同様である。
【0044】
図7に、第1の実施形態において測定値をハード的に算出する例を示す。出力光強度から偏光度(DOP)、OSNR値をハード的に算出する回路の例を示す。式5で示した偏光度の演算は、図7(a)に示すように、光電変換器20a,20bからの出力を、加算器と対数アンプ36a,36bとを組み合わせてハード的に求めることができる。また、OSNR値は、図7(b)に示すように、光電変換器20a,20bからの出力を、加算器、増幅率2の増幅器37、対数アンプ36a,36bを組み合わせてハード的に求めることができる。本回路は、後述の式8をハード的に実現したものである。もちろん、偏光度、OSNRは、2つの出力ポートの出力光の光強度から、式5、式8を用いてソフト的に算出しても良い。
【0045】
また、図4に示したように、最大値化制御回路30から位相調整部14,15の光移相器を駆動するにあたり、駆動力の不足により移相器を直接駆動できない場合、位相変化が駆動量に対して線形で無い場合には、これを線形に補正する回路を含む適切な駆動回路40a,40bを挿入する。図5,6では図示していないが、必要に応じて、位相調整部14,15の保護回路として、最大値化制御回路30の駆動範囲を制限する回路を付加しても良い。
【0046】
第1の実施形態において、一方の出力ポートのみに偏光光を出力した時、即ち他方の出力ポートを消光した時、そのときのφ、θの値は入力された偏光光の偏波状態をそのまま表している。従って、第1の実施形態の構成は、偏光度モニターとして機能するだけではなく、偏波状態(SOP)モニターとしても機能することができる。以下の実施形態において同様である。
【0047】
また、第1の実施形態において、いかなる偏波状態の入力光であっても、一方の出力ポートのみに偏光光を出力することができるということは、いわゆる偏波トラッキングができていることを意味する。従って、第1の実施形態の構成を、偏波トラッキング回路としても用いることができる。偏波トラッキング回路は、いかなる偏波状態の偏光光でも、TM偏光またはTE偏光に変換したい場合に用いる。例えば、偏光依存性の強いデバイスの前段に挿入して、偏波を常に一定にする必要がある場合などに用いることができる。
【0048】
偏波トラッキング回路として用いる場合には、偏光光を出力させる出力ポートの手前に分岐タップを設けて別の出力ポートを設ければ良い。別の出力ポートからの光は、常に偏波状態が一定の出力となる。また、分岐タップを設けなくても、上述した(2)の制御方法(出力ポート2の出力を最小値化)を適用して、出力ポート2を消光させ、出力ポート1をトラッキング回路の出力としても良い。
【0049】
上記の干渉計光回路10a中の3dBカプラー12,13は、結合率が50%からずれると入力光の偏光状態によっては偏光光であっても、一方の出力ポートのみに出力することができなくなるため、測定誤差になる。要求される測定精度が厳しくなければ、ある程度のずれは許容されるが、測定精度を確保するためには可能な限り50%に近い結合率であることが望ましい。
【0050】
一般に、単純な方向性結合器は、結合率に波長依存性を有している。従って、動作波長範囲の仕様によっては、比較的、波長依存性の小さいマルチモード干渉計(MMI)型結合器を用いる。また、波長無依存結合器(WINC)と呼ばれるマッハツェンダー干渉計の一種であって、僅かな光路長差を設けることにより結合率の波長依存性を小さくした結合器を用いることもできる。さらに、アーム導波路に移相器を備えたマッハツェンダー干渉計を結合率可変カプラーとして用いて、波長依存性による結合率変動分を打ち消すように動作させることもできる。このようにして、所望の波長範囲で結合率50%となる3dBカプラーを実現することができる。
【0051】
(偏光度モニター・第2の実施形態)
図8に、本発明の第2の実施形態にかかる偏光度モニターの構成を示す。第2の実施形態の干渉計光回路10bは、第1の実施形態の干渉計光回路10aに加えて、2段ラティス型2光束干渉計の2段目の干渉計のアーム導波路の光を分岐する分岐タップ17a,17bを備えている。分岐された光信号を、光電変換器20c,20dにより電気信号に変換し、等値化制御回60に出力する。
【0052】
第1の実施形態と同様に、φ、θを制御し偏光光を一方の出力ポートのみに出力させることが動作の基本となる。逆算して考えると、一方の出力ポートに偏光光を出力している時、2段目のアーム導波路には同じ強度で偏光光が伝搬している必要があることが分かる。別の言い方をすると、一方の出力ポートからの光は逆伝搬させると3dBカプラーで2段目のアーム導波路には等分岐される。従って、1段目の位相調整部14は、2の分岐ポート3,4からの出力光強度I3、I4が等出力になるように動作させれば良い。2段目の位相調整部15は、第1の実施形態と同様に、出力ポート1,2からの出力光強度I1、I2の出力差が最大値になるように動作させれば良い。
【0053】
図9に、第2の実施形態にかかる偏光度モニターの最大値化制御回路と等値化制御回とを示す。図9(a)は、θを制御するための最大値制御回路50であり、基本的な動作は、第1の実施形態で説明した最大値制御回路30と同じである。
【0054】
図9(b)は、φを制御するための等値制御回路60である。等値制御回路60は、光電変換器20c,20dから対数アンプ62a,62bを介して、2つの分岐ポートの出力光の光強度に応じた電気信号を入力し、加算器とPID制御器61とにより等値制御を行う。等値制御では、2つの分岐ポートからの出力光強度の差分がゼロになれば良い。従って、差分値がゼロになるようになるようにいわゆる定値制御を行う。本実施形態では、差分値をそのまま誤差信号としてフィードバックするのではなく、差分値に対して定値制御を行うことで、2つのポート間の感度誤差、タップ分岐誤差などを補正することができる。すなわち、差分値がゼロになるように制御するのではなく、2つのポート間の感度差に相当する値(目標値)になるように定値制御を行う。
【0055】
第2の実施形態は、最大値制御回路が1つで済む点が第1の実施形態と比較したメリットとなる。最大値制御回路は、上述したように、ディザ信号を用いた制御方式なので、定値制御と比べると制御回路が複雑になり、制御回路の調整作業も複雑になる。また、収束速度もディザ信号の周期に律速されるといった、制限事項がある。従って、ディザ信号を用いた制御よりも、定値制御の方が望ましい。一方、第2の実施形態は、分岐タップおよび光電変換器が余分に必要になり、光回路側の構成が複雑になる点が、第1の実施形態と比べたデメリットである。
【0056】
(偏光度モニター・第3の実施形態)
図10に、本発明の第3の実施形態にかかる偏光度モニターの構成を示す。第3の実施形態の干渉計光回路10cは、第1の実施形態の干渉計光回路10aに、干渉計が1段加わって3段ラティス型2光束干渉計になっている。入力光の偏波状態は、時間の経過に伴ってゆっくりと変動することが多い。上述の最大値化制御回路30でφ、θを連続的に制御した場合、制御値が−π〜+πの範囲を超えて、遥かに大きな値になることも有りうる。一方、位相調整部14,15の位相調整量は有限の値となる。従って、第1の実施形態の構成で連続制御を行った場合、位相調整部14,15の調整量の範囲制限のため、変動に追随することができなくなる。
【0057】
干渉計の動作は、2πの周期で同じ動作を繰り返し、制御値−πとπは光の干渉条件としては同じ条件となる。連続制御ではなく、間欠的に制御動作させるのであれば、制御値は0から再スタートして動作することになる。従って、概ね−π〜+πの範囲で最適動作点が見つかる。すなわち、−π〜+πを越えたある時点でモニター動作をストップさせ、調整動作点をリセットすれば問題なく動作する。この瞬断時間は、位相調整部14,15の動作速度等に依存するが、通常ミリ秒オーダーであり、問題になるケースは少ない。
【0058】
第3の実施形態は、干渉計の段数を1段増やすことによって、動作の自由度を一つ増やし、上記のような瞬断を伴うリセット動作をすることなく、制御値を−πから+πに離散的に動かすことができる。すなわち、自由度が増えたことにより、ある伝達関数を実現するのに、制御値(ξ、ψ、ζ)の組が無限に存在する。これを利用して、無限追随変換回路70により、制御値(φ、θ)を制御値(ξ、ψ、ζ)に変換し、ラティス回路全体の伝達関数は変えずに、制御値(ξ、ψ、ζ)を変化させることにより無限追随動作を行うことができる。つまり、制御値(ξ、ψ、ζ)を−π〜+πの範囲で連続的に動かすことにより、実質的にφやθの値を−πから+πに離散的に動かすことができるので、φやθを無限の範囲で連続的に動かすことができる。
【0059】
(偏光度モニター・第4の実施形態)
図11に、本発明の第4の実施形態にかかる偏光度モニターの構成を示す。第3の実施形態のラティス回路の段数を1段増やすことによって、4段構成にする。制御値φに対して制御値(ξ、ψ)、制御値θに対して制御値(ζ、υ)という具合に、φ、θそれぞれに対して独立に自由度が一つ多くなる。φ、θそれぞれ独立に無限追随動作を行うことができ、更に制御性が良くなる。
【0060】
第4の実施形態では、第2の実施形態と同様に、制御値φについては、分岐タップ17a,17bからの出力光強度I3、I4に対して定値化制御を行う。制御値θについては、出力ポートからの出力光強度I1、I2に対して最大化制御を行う。それぞれ、無限追随変換回路90は制御値φを制御値(ξ、ψ)に変換し、無限追随変換回路80は制御値θを制御値(ζ、υ)に変換する。なお、第1の実施形態と同様に、出力ポートからの出力光強度I1、I2から最大値制御を行ってφ、θを制御しても良い。
【0061】
なお、ラティス回路の段数を5段以上にした場合でも、自由度が更に増し、動作させることができる。
【0062】
(OSNRモニター)
図12に、本発明の一実施形態にかかるOSNRモニターの構成を示す。上述した偏光度モニターを適用したOSNRモニターについて説明する。OSNRモニターでは、波長多重信号から該当波長チャンネルを抜き出すため、また、信号周辺のASE雑音光強度をモニターするために、光フィルターと偏光度モニターとを組み合せる構成が基本となる。
【0063】
図12(a)は、単波長チャンネル型のOSNRモニターの構成である。光フィルター102で抜き出された信号光および信号光周辺のASE雑音光は、上述の偏光度モニター101にて信号光およびASE雑音光が分離され、分析される。信号光は偏光光、ASE雑音光は無偏光光であるので、信号光ISは出力ポート1へ、ASE雑音光INは出力ポート1及び2へ二分される。従って出力ポート1、2への出力光強度I1、I2は、式4と同様に、
【0064】
【数8】

【0065】
となる。OSNRは、上述したように、信号光強度と雑音評価帯域幅(W=0.1nm)当たりの雑音強度の比であるので、光フィルターの透過域幅がB[nm]とすると、
【0066】
【数9】

【0067】
となる。従って、OSNRは、
【0068】
【数10】

【0069】
で求めることができる。ここでは、信号光のスペクトル幅は、Bに比べて十分狭いと仮定している。もし、この仮定が成り立たない場合は、信号光強度が光フィルターによって過剰に減衰されることになる。この減衰率をAとすると、1/Aを式8に乗じることにより、この減衰効果を補正することができる。
【0070】
図12(b)は、アレイ型の多波長チャンネル型OSNRモニターの構成である。本構成は、光フィルターとして1入力多出力の多出力光フィルター103を用いる。多出力光フィルター103の出力側に、波長ごとに偏光度モニター101をアレイ上に接続することにより、多波長チャンネルのOSNRモニターを実現する。1入力多出力のフィルター103の例としては、例えば、アレイ導波路格子型合分波器などがある。
【0071】
図12(c)は、ステップ挿引型OSNRモニターの構成である。本構成は、多出力光フィルター103と偏光度モニター101の間に、多入力1出力の選択光スイッチ104を挿入する。時分割測定ではあるが、多チャンネルのOSNRを1つの偏光度モニター101で実現することができ、ハード量を削減することができる。
【0072】
図12(d)は、連続挿引型OSNRモニターの構成である。本構成は、波長可変フィルター105と偏光度モニター101とを組み合わせる。時分割測定により、多チャンネルのOSNRモニターを、少ないハード量で実現することができる。ステップ挿引型では、測定波長チャンネルがフィルターの設計で決められた波長に固定となるが、本構成では任意の波長チャンネルを選ぶことができる。
【0073】
図13に、ステップ挿印型OSNRモニターの実施例を示す。光フィルターとしてアレイ導波路格子(AWG)フィルター202を用いる。AWGへの入出力ポート位置を巧みに選ぶことにより、選択スイッチ201の規模と偏光度モニター203の数とのバランスを取り、OSNRモニター全体の構成要素の規模を抑える。例えば、48波長チャンネルのOSNRモニターの場合は、選択スイッチ201は1×8の規模、偏光度モニター203の数は6個とする。波長チャンネル間隔が100GHzであると仮定すると、AWGの入力ポートは、100GHz間隔になるようにして8ポート配置する。AWGの出力ポートは、600GHz間隔になるようにして6ポート配置する。AWGでは、入力ポート/出力ポートの位置が共に同じ方向にずれても、基本的には透過特性が変わらない。従って、上記のように入出力ポートを配置することにより、100GHz間隔48チャンネル分を全てカバーすることができる。
【0074】
偏光度モニター203として、上述した第2の実施形態の偏光度モニターを使用する。光電変換器として、24チャンネル分を1チップ上に修正記した光電変換器204を使用する。最大値化制御回路と等値制御回路とは図示を省略した。
【0075】
ここでは、入出力ポートを8ポート/6ポートの組合せとしたが、同様にして、他の組み合わせ、例えば4ポート(1200GHz間隔配置)/12ポート(100GHz間隔配置)、とすることもできる。
【実施例】
【0076】
次に、実際に作製した単波長チャンネル型のOSNRモニターについて説明する。偏光度モニターは、上述した第2の実施形態の偏光度モニターを用いる。シリコン基板上の石英系光導波路を用いて、干渉計光回路10bを作製する。光導波路のコアとクラッドの比屈折率差は1.5%である。偏波ビームスプリッタ(PBS)11は、アーム導波路の一方に応力解放溝が形成されたマッハツェンダー干渉計型のPBSを適用する。応力解放溝により、光導波路に複屈折を生じさせ、アーム導波路間の光路長差がTE偏光に対しては等長に、TM偏光に対しては半波長になるように設計する。公知の干渉原理により、TE偏光はクロス経路に、TM偏光はバー経路に伝搬し、偏波分離動作が実現される。
【0077】
偏波回転器16には、半波長板を用いる。波長板の主軸をシリコン基板に対して45度傾けて挿入することにより、TE/TMの偏波変換を行っている。石英系導波路を用いているので、位相調整部14,15の移相器には、熱光学効果を利用する。具体的には、導波路クラッド直上に形成した薄膜ヒータを用いて、局所的に導波路の温度を制御することで移相器を実現する。石英系導波路の熱光学定数はプラスであるので、温度が上がると屈折率が大きく、すなわち位相は遅れる。従って、プラス方向に位相差を設ける場合は、TE偏光側のアーム導波路を加熱し、マイナス方向に位相差を設ける場合は、TM偏光側のアーム導波路を加熱する。また、消費電力低減のため微細加工技術により、薄膜ヒータの周辺のクラッドを削除して、断熱溝を形成しておく。駆動回路40には、位相差の正負により、駆動する薄膜ヒータを切り替える機構を内蔵した駆動回路を用いる。
【0078】
3dBカプラー12,13には、波長無依存カプラー(WINC)を用いる。WI N Cは、2つの結合率の異なるカプラーと波長オーダー以下の遅延線との組合せにより実現される。
【0079】
図13のOSNRモニターにも適用できるように、シリコン基板上には、干渉計光回路10bを6回路集積する。このときのチップサイズは38×11mmであり、非常にコンパクトに集積することができる。光電変換器20は、気密封止した半導体光検出器を、シリコン基板の端面に貼り付けて、干渉計光回路10bの出力ポートおよび分岐ポートからの光導波路と結合させている。なお、光電変換器20の後段にはインピーダンス変換のため、トランスインピーダンスアンプを挿入する。これらの電気回路は、最大値化制御回路30、及び上述の駆動回路40と一緒に電子回路基板上に実装する。
【0080】
偏光度モニターの入力側には、1入力1出力のAWGを光フィルターとして挿入し、単波長チャンネル型のOSNRモニターを構成する。
【0081】
入力光信号として、波長可変レーザ光源の出力と、光アンプからのASE雑音とを光カプラーで合波した光を用いる。OSNRは、光アンプの出力を光減衰器で減衰させることにより調整する。また、入力光信号の偏波状態は、偏波制御器により制御し、任意の偏波状態によりOSNRモニターの性能を評価する。入力光信号の一部を光タップにより分岐し、光スペクトルアナライザーに入力する。この光スペクトルアナライザーを用いて、従来のASE補間法にてOSNRを計測して、レファレンス値として用いる。
【0082】
図14に、実施例にかかるOSNRモニターの測定結果を示す。横軸は従来のASE補間法にて計測したレファレンスのOSNR値であり、縦軸は実施例にかかるOSNRモニターで計測したOSNR値である。設定した各OSNR値に対して、ポアンカレ球上で一様に30ポイント以上の異なる偏波状態にて計測を行っている。実施例にかかるOSNRモニターの測定誤差は、10〜25dBの計測範囲で、0.6dB以下である。入力光信号を連続光から10GbpsのNRZ変調光信号に変更して測定した結果も同様である。以上のことから、実施例にかかるOSNRモニターは、InBandのOSNRモニターとして十分な特性を有している。
【0083】
以上の実施形態では、具体的な実装技術として、石英系光導波路を用いた。これは石英系光導波路が受動導波路としては最も低損失な導波路であり、良好な特性が得られるからである。しかしながら、他の材料系の導波路、例えば、シリコン導波路、高分子導波路、多元系酸化物や半導体等を用いた導波路を用いた場合でも、本実施形態で示した効果が同様に得られることに変わりは無いことを付記しておく。
【符号の説明】
【0084】
10 干渉計光回路
11 偏波ビームスプリッタ(PBS)
12,13 3dBカプラー
14,15 位相調整部
16 偏波回転器
17 分岐タップ
20 光電変換器
30,50 最大値化制御回路
31 ディザ信号発生回路
32 ロックイン検出回路
33 積分回路
34 電気移相器
35 遅延回路
36,62 対数アンプ
37 増幅器
40,41,42 駆動回路
60 等値制御回路
61 PID制御器
70,80,90無限追随変換回路
101 偏光度モニター
102 光フィルター
103 多出力光フィルター
104 選択光スイッチ
105 波長可変フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された光信号を偏波により分離して、2本のアーム導波路にそれぞれ出力する偏波ビームスプリッタ(PBS)と、
前記2本のアーム導波路の一方に挿入され、偏光光の偏波面を90°回転する偏波回転器と、
前記2本のアーム導波路を結合する複数の光結合器により構成された多段ラティス型2光束干渉計であって、各段の前記2本のアーム導波路の少なくとも一方に、2光束間の相対位相を調整する光移相器が形成された多段ラティス型2光束干渉計と、
前記入力された光信号のうち偏光光を、前記多段ラティス型2光束干渉計の2つの出力ポートのうちいずれか一方の出力ポートのみから出力されるように前記光移相器を制御する第1の制御回路と
を備えたことを特徴とする光回路。
【請求項2】
前記第1の制御回路は、前記多段ラティス型2光束干渉計の2つの出力ポートから出力される光信号の光強度の差が最大となるように前記光移相器を制御することを特徴とする請求項1に記載の光回路。
【請求項3】
前記第1の制御回路は、前記多段ラティス型2光束干渉計の2つの出力ポートのうち、偏光光が出力される出力ポートからの光信号の光強度が最大となるように前記光移相器を制御することを特徴とする請求項1に記載の光回路。
【請求項4】
前記第1の制御回路は、前記多段ラティス型2光束干渉計の2つの出力ポートのうち、偏光光が出力される出力ポートとは異なる出力ポートからの光信号の光強度が最小となるように前記光移相器を制御することを特徴とする請求項1に記載の光回路。
【請求項5】
前記多段ラティス型2光束干渉計は、2個の光結合器により構成された2段ラティス型2光束干渉計であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光回路。
【請求項6】
前記偏波回転器は、1段目の干渉計の2本のアーム導波路の一方に挿入され、
2段目の干渉計の2本のアーム導波路から光を分岐する2つの分岐タップ、および、
該2つの分岐タップからの2つの分岐ポートから出力される光信号の光強度が等しくなるように1段目の干渉計の光移相器を制御する第2の制御回路をさらに備え、
前記第1の制御回路は、2段目の干渉計の光移相器を制御することを特徴とする請求項5に記載の光回路。
【請求項7】
前記偏波回転器および前記多段ラティス型2光束干渉計は、基板上に形成された光導波路で構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の光回路。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の光回路において、前記入力された光信号を、偏光光である信号光と無偏光光であるASE光とに分離して、偏光度(DOP)を測定することを特徴とする偏光度モニター。
【請求項9】
前記2つの出力ポートから出力される光信号の光強度をそれぞれI1、I2としたとき、
【数1】

により偏光度が算出されることを特徴とする請求項8に記載の偏光度モニター。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれかに記載の光回路と、
該光回路の入力に接続された光フィルターと
を備えたことを特徴とするOSNRモニター。
【請求項11】
前記2つの出力ポートから出力される光信号の光強度をそれぞれI1、I2、前記光フィルターの帯域をB、雑音評価帯域幅をWとしたとき、
【数2】

によりOSNRが算出されることを特徴とする請求項10に記載のOSNRモニター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−64657(P2011−64657A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218174(P2009−218174)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年9月1日 社団法人電子情報通信学会発行の「EiC電子情報通信学会 2009年エレクトロニクスソサイエティ大会 講演論文集1」に発表
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】