光増幅器及びその製造方法。
【課題】希土類元素を添加したPLZT光導波路層を有する光増幅器であって、小型で高効率な光増幅器及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)を含んで構成される光導波路層であって、Yb(イットリビウム)がドープ量0.2モル%以上、11.0モル%以下でドープされ、且つエピタキシャル成長によって形成される単結晶膜からなる光導波路層を有することを特徴とする光増幅器である。
【解決手段】Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)を含んで構成される光導波路層であって、Yb(イットリビウム)がドープ量0.2モル%以上、11.0モル%以下でドープされ、且つエピタキシャル成長によって形成される単結晶膜からなる光導波路層を有することを特徴とする光増幅器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLZT導波路を用いた光機能デバイスにおいて、例えば、光ファイバー伝送光を電気へ変換することなく増幅する機能を有する導波路型の光増幅器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークは個別にノード間を結ぶポイント間の光通信から、ポイント間でADM(Add−Drop Multiplexing)を行う光通信、さらに複数のノード間を電気信号に変換することなく光信号のままで結ぶ光通信に発展しようとしている。また、光通信ネットワークは伝送容量の拡大及び機能向上のために、1本の光ファイバーの中に複数の波長の光信号を合波して伝送したり、逆に1本の光ファイバーを伝搬してきた複数の波長の光信号を波長ごとに分波したりする波長多重伝送技術(WDM:Wavelength Division Multiplexing)が実用化している。
【0003】
これらの方式では、1本の光ファイバーで複数の異なる波長の光信号を伝送し、伝送距離に応じて電気に変換せずに中継増幅する必要がある。そこで、光を電気に変換することなく長距離通信を行うための光増幅器が光通信ネットワークを支えている。
【0004】
光増幅器としては、コアに希土類元素を添加した光ファイバーを光増幅媒体とした光ファイバー増幅器、例えばEr(エルビウム)添加光ファイバー増幅器(EDFA:Erbiμm Doped optical Fiber Amplifier)の実用化され、光通信への応用が盛んに進められている。このEDFAは、シリカ系光ファイバーの損失が最低となる1.55μm帯で動作し、30dB以上の高利得、低雑音、広い利得帯域、利得が偏波無依存、高い飽和出力などの優れた特徴を有することが知られている。
【0005】
しかし、EDFAは光ファイバーが10m程度と長く、装置自体の小型化には難を有している。従って、将来的には、光増幅器の励起用レーザ光源を含め、光増幅器ユニットの小型化、ならびに、複数の光増幅器ユニットを集積又は一体化、変調器、スイッチ、分波器などを同一基板上に集積化したより小型で高機能なデバイスのモジュール化を図ることを念頭に入れ、従来のEDFAに代えて、光導波路に所望の波長域において増幅媒体として利用可能な希土類元素を添加した材料を利用する、導波路状の光増幅器の開発が進められている。
【0006】
一方、例えば光スイッチは複数の光ファイバー間を需要に応じて切り替えたり、ネットワークの故障の際の迂回路確保のための切り替えで用いられる部品として最も重要な部品の一つである。小型化に優れる光導波路型スイッチは、一般にLiNbO3、化合物半導体、石英、あるいはポリマーにチャンネル光導波路を形成し,各経路の交差部などに電気的に光の進行方向を制御するための光スイッチ、あるいは電気的に光の進行を開閉して制御する光ゲートを設けてある。
【0007】
石英、あるいはポリマーを用いた光導波路型光スイッチは、コア・サイズを光ファイバーのモード・フィールド径と同程度にでき、光ファイバーからの光結合効率が良好であるために挿入損失が小さいという特長があるが、光導波路表面に設けられたヒータに電流を流し、熱光学効果により屈折率を変化させて光の進行方向を切り替えるために、応答が遅いという問題がある。また、ヒータによる加熱方式をとるために、ひとつの電極だけで数百mWもの消費電力を必要とすることもあり、利用分野が限られてしまうという問題がある。
【0008】
このほかには、有機非線形光学材料を用いた光導波路型光スイッチがある。電場配向ポリマーなどの光導波路を上下電極でサンドイッチ状に挟んだ構造によって低電圧で駆動可能な光スイッチを構成できる可能性があるが、電場配向ポリマーは酸化物強誘電体材料と比較して温度安定性などの問題があり、実用化は容易でないのが現状である。
【0009】
化合物半導体又は量子井戸を用いた光導波路型光スイッチの場合には、高速化が可能であり、光導波路コアの上下から電圧を印加できるために駆動電圧の低下も期待できるが、コア・サイズが小さく、光ファイバーからの光結合効率が悪いために挿入損失が大きくなるという問題があり、各種の努力がなされている。その他にも、電場印加によるスイッチングと同時に光吸収が生じるためにスイッチング特性が劣化しまうという問題、ウエハサイズが限られているために大規模なマトリックス光スイッチを構成しにくいなどの問題があった。
【0010】
最も代表的な光スイッチ材料であり酸化物強誘電体の一つであるLiNbO3の場合には、光スイッチの電極に電圧を印加すると電気光学効果により屈析率が変化することによって高速に光の状態が変わり、どの状態を設定するかによって光の進行方向が変化する。これにより、各光スイッチでは二つの入力端からの光をそれぞれ二つの出力端へ選択的に出力することが可能である。LiNbO3を用いる光スイッチは、単結晶ウエハにTi拡散型光導波路やプロトン交換型光導波路を作製するが、コア・サイズが光ファイバーのモード・フィールド径と同程度にでき、光ファイバーからの光結合効率が良好であるために挿入損失が小さく、実用レベルの光スイッチとして知られている。
【0011】
しかし、光導波路表面にコプレーナ型の電極を配置して電圧を印加する構成であるために、電極間距離が大きくなるとともに電場プロファイルが理想的にならず、偏波無依存とするためには駆動電圧が40ボルトと高くなり、駆動電圧をそれ以上極端に高くしないためには通常は7mm以上の長い電極が必要である。また、単結晶ウエハにTi拡散やプロトン交換によって光導波路を作製するために、チャンネル光導波路の実効屈折率をそのまわりの実効屈折率より十分に高くできず、屈折率差を大きくできない。このため、S字型チャンネル光導波路の曲率を50mmと大きくする必要も生じ、8×8のマトリックス光スイッチのサイズの例では70mm程度と大きくなっている。
【0012】
以上の通り、LiNbO3、化合物半導体、石英、あるいはポリマーのいずれの材料を用いた場合においても、光スイッチ・サイズ、駆動電圧(あるいは駆動電流又は消費電力)、スイッチング速度、クロストーク、挿入損失、及び温度安定性の問題を同時に満たす光導波路型マトリクス光スイッチを得ることができなかった。
【0013】
これらを解決する材料として、PLZTすなわちPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)が光導波路として注目され、高速、低駆動電圧、低消費電力、小型の特性を有するスイッチが開発されつつある。
【0014】
しかし、PLZTセラミックスにおいてはJ. Ballatoらによる蛍光特性の検討の報告(J. Lμminescence, 86 (2000) p.p. 101−105)があるものの、PLZT導波路型の光増幅器は検討がなされて来なかった。従って、希土類元素ドープに関しては、適切なドープ量やドーピングの方法も知られておらず、光増幅器を構成することが困難であった。
【0015】
すなわち、増幅効率を高めて光増幅器の小型化を図る、あるいは増幅波長帯域幅を増す上では、単位体積当たりに添加されている希土類元素イオン、例えばEr3+イオンの濃度を増すことが必要となるが、一般に、濃度を増した際、添加されているEr3+イオン複数がクラスター状に存在する状況が生じると、増幅効率の向上が妨げられる。
【0016】
従って、PLZT導波路を媒体とした光増幅器を検討する上で、増幅効率を高めるとともに、増幅波長帯域幅を増すためには、PLZT導波路層(コア層)中に添加されている希土類元素イオン、例えばEr3+イオンの濃度を増した際、添加されるEr3+イオンのクラスター化を抑制できる最適濃度と、ErドープPLZT膜光導波路の形成方法を考案することが必要となる。石英やAl2O3導波路においては、化学的気相堆積(CVD)法,火炎堆積(FHD)法,スパッタ法、蒸着法などの成膜法を用いて原料ガス、スパッタターゲット、あるいは蒸着源に希土類を添加することより、光増幅部を形成することが可能である。
【0017】
しかし、希土類を一定濃度以上に添加すると、いずれの成膜方法においても、析出などの劣化が生じるので、希土類の添加量は1モル%程度となる。例えば、S. Musaらにより報告されているスパッタで形成したErドープAl2O3導波路型光増幅器(IEEE J. Quantμm Electronics, Vol. 36, No. 36 (2000) p.p. 1089−1097)では、Erを0.74モル%までドープを行い、1.0 dB/cmのネットゲインを報告している。しかし、このような濃度では、充分な光増幅効率が得られないので、光増幅用の光導波路は、長尺化せざるを得ない。
【0018】
また、PLZT導波路型光増幅器の検討に際しては、内部で増幅された光を光導波路層(コア層)内により多く閉じ込める状態を達成し、かつ全体的なロスを低減することも必要である。具体的には、コアとその周囲に取り巻くクラッドとの間に、所望の屈折率差を形成することで導波条件を達成する必要がある。
【0019】
【非特許文献1】J. Lμminescence, 86 (2000) p.p. 101−105
【非特許文献2】IEEE J. Quantμm Electronics, Vol. 36, No. 36 (2000) p.p. 1089−1097
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記従来の問題点を解決するため、希土類元素を添加したPLZT光導波路層を有する光増幅器であって、小型で高効率な光増幅器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の光増幅器は、Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)を含んで構成される光導波路層であって、Yb(イットリビウム)がドープ量0.2モル%以上、11.0モル%以下でドープされ、且つエピタキシャル成長によって形成される単結晶膜からなる光導波路層を有することを特徴としている。
【0022】
前記光導波路層には、Ybに加えてEr(エルビウム)をドープ量3.0モル%以下ドープすることもできる。
【0023】
本発明の光増幅器において、前記光導波路層と共に、バッファ層及びクラッド層を有し、当該光導波路層、前記バッファ層及び前記クラッド層は互いに異なる組成のPLZTを含んで構成することもできる。
【0024】
本発明の光増幅器において、前記光導波路層は、チャンネル状光導波路層を有することができる。
【0025】
一方、本発明の光増幅器の製造方法は、上記本発明の光増幅器を製造するための製造方法であり、
基板上に、光導波路層前駆体としてアモルファス膜を形成する工程と、
前記アモルファス膜を加熱し、エピタキャシャル成長によって光導波路層を形成する工程と、
を有することを特徴としている。
【0026】
本発明の光増幅器の製造方法において、前記アモルファス膜又は前記光導波路層の少なくとも1部に対し、エッチングを施し、チャンネル状光導波路層を形成する工程をさらに有することができる。
【0027】
本発明の光増幅器の製造方法において、前記アモルファス化工程は、前記基板上に光導波路層前駆体溶液を塗布して、加熱することによりアモルファス膜を形成するアモルファス化工程であることがよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、希土類元素を添加したPLZT光導波路層を有する光増幅器であって、小型で高効率な光増幅器及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0030】
本発明の光増幅器は、Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)を含んで構成される光導波路層であって、Ybがドープ量0.2モル%以上11.0モル%以下(好ましくは0.2モル%以上5モル%以下)でドープされ、且つエピタキシャル成長によって形成される単結晶膜からなる光導波路層を有することを特徴している。これにより、本発明の光増幅器は、小型で高効率な光増幅器となる。
【0031】
また、本発明の光増幅器は、Ybに加えてEr(エルビウム)をドープされていることが好ましく、そのErはドープ量5.0モル%以下、特に3.0モル%以下でドープすることが好適である。これにより、本発明の光増幅器は、小型でより高効率な光増幅器となる。
【0032】
これらは、以下の知見に基づいたものである。
【0033】
本発明者らは、PLZTへの希土類元素(例えばEr、Yb等)のドーピングに関し、スパッタリング、MOCVD、及び溶液法を鋭意検討し、そのうち、例えば金属有機化合物溶液中で金属イオンを分子レベルの均一性で分散し、その状態を保ちつつ結晶化することに優れる溶液法を用いて合成したPLZTのエピタキシャル成長に依る単結晶膜を比較検討し、ドーピング量に関して新たな知見を見出し、さらにPLZT光導波路型の増幅器の試作によって本発明に至った。
【0034】
すなわち、次のようにして溶液法によりPLZT固相エピタキシャル単結晶膜を作製し、その差異、ドーピング量について調べたところ、以下の知見を見出した。
【0035】
まず、例えば、Pb(CH3COO)2に2−メトキシエタノール(CH3OCH2CH2OH:MOE)を加え、加熱還流によりアルコール交換反応を行った。続いて減圧蒸留を行い、副生成物である酢酸2−メトキシエチルの除去を促した。次に、Zr(O−i−C3H7)4,Ti(O−i−C3H7)4,Yb(O−i−C3H7)3,Er(O−i−C3H7)3のMOE溶液を加え、加熱還流してアルコール交換反応を行った。続いて減圧蒸留を行い、副生成物である酢酸2−メトキシエチルの除去を促した。得られた生成物を溶媒除去し、再度MOEを加え前駆体濃度を調整したものを前駆溶液とした。
【0036】
得られた前駆体溶液をSrTiO3(100)基板上にスピンコーティングした後、RTA(Rapid Thermal Annealing)炉でアモルファス化させた後、固相エピタキシャル成長い、Yb及びErを適量ドープしたPLZT固相エピタキシャル単結晶膜を得た。
【0037】
YbドープPLZT固相エピタキシャル単結晶膜では、Ybのドープ量(添加量)が10モル%を超えるまでYbドープによる析出相やパイロクロア相が発生ぜず、従来の成膜方法よりも飛躍的に高濃度のYbドーピングが可能であることがわかった。また、YbドープPLZT固相エピタキシャル単結晶膜の蛍光測定を行ったところ、図1に示す蛍光スペクトルのように、例えばErが1モル%ドープされたPLZTへYbをドープすることにより、蛍光強度(PL Intensity)が大幅に増加することが分かった。また、図1に示す蛍光スペクトルの例では、Yb3モル%とYbモル5%の場合、通信波長帯でCバンドと呼ばれる1.53μm〜1.56μm、Lバンドと呼ばれる1.56μm〜1.62μmに渡ってフラットな増幅効果が期待できることが分かった。さらに、Ybドープ量対蛍光強度の関係は図2に示すYbドープ量対蛍光強度が示すように、Ybドープ量が11モル%以下、特に5モル%以下にて顕著な蛍光強度増感効果があることが分かった。
【0038】
また、上述したように得たYb及びErをドープしたPLZT固相エピタキシャル単結晶膜の表面を原子間力顕微鏡像によって観察すると、図3に示すようにYbドープ量が10モル%まではErドープ量が5モル%程度となっても表面粗さ(rms)が1.5nm以下と、顕著な増加がみられず、光導波路層を形成しても表面粗さによる散乱損失が大きくはならないことが推定できた。従って、PLZT光導波路型の光増幅器の実現には、Ybのドープ量の上限は11モル%以下、特に5モル%以下が好ましことがよいことがわかった。また、Erのドープ量の上限は5モル%以下、特に3モル%以下が好ましことがよいことがわかった。
【0039】
また、図4及び図5に示すようなリブ型チャンネル導波路層を持つ光増幅器を次のようにして作製した。まず、SrTiO3基板10上へ2.3μmの膜厚のエピタキシャルPLZTバッファ層12、続いて2.3μmの膜厚のエピタキシャルEr1モル%−YbドープPZTスラブ型光導波路層14を上記と同様に固相エピタキシャル成長し、続いてEr1モル%−YbドープPZTスラブ型光導波路層14に対し深さ1.0μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成した。このチャンネル状光導波路層16へシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定した。各種Ybドープ量に対する結果を図6に示す。図6に示すように、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のグロスゲインはErドープ量とともに増加し、Yb1.0モル%では13.0dB/cmと極めて高効率であった。導波路損失もYbドープ量とともに若干増加し、グロスゲインから導波路損失を差し引いたネットゲインはYbドープ量1モル%程度で最大の8.5dB/cmとなった。また、この結果より、Yb0.2モル%未満ではネットゲインが得られないが、0.2モル%以上とすることによってネットゲインが得られることが分かった。
【0040】
以上の知見から、本発明の光増幅器は、小型で高効率な光増幅器となる。
【0041】
以下、本発明の光増幅器、及びその製造方法について詳細に説明する。
【0042】
本発明の光増幅器は、例えば、基板上に、バッファ層、光導波路層、クラッド層を順次形成して構成される。但し、基板との組み合わせなどによって、バッファ層と光導波路層、光導波路層とクラッド層、あるいは光導波路層のみにて構成することも可能である。
【0043】
まず、基板について説明する。基板としては、例えば、導電性又は半導電性の単結晶基板、あるいはエピタキシャル又は単一配向性の導電性又は半導電性の薄膜を絶縁基板表面に設けた基板が好適に適用することができる。
【0044】
導電性又は半導電性の基板材料としては、NbやLaなどをドープしたSrTiO3、AlドープZnO、In2O3、RuO2、BaPbO3、SrRuO3、YBa2Cu3O7−x、SrVO3、LaNiO3、La0.5Sr0.5CoO3、ZnGa2O4、CdGa2O4、CdGa2O4、Mg2TiO4、MgTi2O4などの酸化物、Si,Ge,ダイアモンドなどの単体半導体、AlAs,AlSb,AlP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSb,AlGaP,AlLnP,AlGaAs,AlInAs,AlAsSb,GaInAs,GaInSb,GaAsSb,InAsSbなどのIII−V系の化合物半導体、ZnS,ZnSe,ZnTe,CaSe,CdTe,HgSe,HgTe,CdSなどのII−VI系の化合物半導体、Pd、Pt、Al、Au、Agなどの金属などを用いることができる。
【0045】
エピタキシャル又は単一配向性の導電性又は半導電性の薄膜を絶縁基板表面に設ける場合、絶縁基板材料としては、絶縁性基板として用いることが可能な材料は、SrTiO3、BaTiO3、BaZrO3、LaAlO3、ZrO2、Y2O38%−ZrO2、MgO、MgAl2O4、LiNbO3、LiTaO3、Al2O3、ZnOなどの酸化物を用いることができる。なお、導電性又は半導電性の薄膜材料としては、上記導電性又は半導電性の基板材料と同様なものが挙げられ、当該材料を用いてエピタキシャル又は単一配向性の導電性又は半導電性の薄膜を形成する。
【0046】
次に、光導波路について説明する。光導波路層は、上述のように固相エピタキシャル成長によって形成される希土類元素ドープPLZT単結晶膜を適用する。ここで、Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(0<x<0.3、0<y<1.0)において、x及びyの値によりPT、PZT、PLT、PLZTと略称される全てを、「PLZT」と総称する。
【0047】
また、ドープする希土類元素としては、Ybであり、これに加えて、Erを併用してもよい。また、その他、Nd、Tm、Ho、Prなどの希土類元素を併用してもよい。これらは、1種単独で用いてもよし、2種以上併用してもよい。
【0048】
光導波路層の膜厚は、例えば0.1μmから10μmの間に設定されるが、これは目的によって適当に選択することができる。
【0049】
光導波路層には、一般的に適用される埋め込み型、リッジ型、リブ型のいずれかの方式、即ち所望の形状にパターニングされたチャンネル状光導波路層を有する光導波路層(以下、チャンネル光導波路構造という)を用いることができる。このチャンネル光導波路構造は、スラブ型光導波路層とチャンネル状光導波路層とからなる構造であってもよし、チャンネル状光導波路層のみからなる構造であってもよい。
【0050】
チャンネル光導波路構造は、具体的には例えば、光導波路層に凸を設けたチャンネル光導波路構造、光導波路層に凸を設けた後にクラッド層を設けるチャンネル光導波路構造、あるいはバッファ層に凹を設けた後に光導波路層を設けたチャンネル光導波路構造が好適に挙げられる。これら構造は、例えば、エピタキシャル又は単一配向性のバッファ層を設け、その上にバッファ層よりも大きい屈折率を持つエピタキシャルを有する光導波路層を設ける薄膜の積層によって容易に得ることができる。
【0051】
次に、バッファ層について説明する。バッファ層は、光導波路層材料よりも小さい屈折率を有する材料により形成されることがよい。また、バッファ層は基板材料と光導波路層材料とのエピタキシ関係を保持できることが好適である。このエピタキシ関係を保持できる条件としては、バッファ層材料が基板材料と光導波路層材料の結晶構造に類似で、格子定数の差が10%以下であることが望ましいが、必ずしもこの関係に従わなくともエピタキシ関係を保持できれば良い。具体的には、バッファ層材料としては、例えばPLZTの他、SrTiO3、BaTiO3、(Sr1−xBax)TiO3(0<x<1.0)、KNbO3などより選択することができる。
【0052】
次にクラッド層について説明する。クラッド層は、光導波路層材料よりも小さい屈折率を有する材料により形成されることがよい。クラッド層は光導波路層に対してエピタキシ関係を保持できることは必ずしも必要ではなく多結晶膜や非晶質でも良い。具体的には、クラッド層材料としては、例えばPLZTの他、例えばSrTiO3、BaTiO3、(Sr1−xBax)TiO3、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、KNbO3、SiO2、Al2O2、TaO2、ポリマーなどより選ばれる。
【0053】
ここで、バッファ層、及びクラッド層は、PLZTを含んで構成する場合、希土類元素を含ませることもできる。また、光導波路層、バッファ層、及びクラッド層は、互いに異なる組成のPLZTを含んで構成することがよい。PLZTの組成、即ち、Pb,La,Zr,及びTiに加え、希土類元素の比を変化させるだけで屈折率を大きく変化可能であり、各々層材料としてPLZTを用いることができる。
【0054】
次に、本発明の光増幅器の製造方法について説明する。本発明の光増幅器は、基板上に、光導波路層用前駆体としてアモルファス膜を形成するアモルファス化工程と、前記アモルファス膜を加熱して結晶化し、固相エピタキャシャル成長によって光導波路層を形成する結晶化工程と、を少なくとも経ることで得ることができる。
【0055】
具体的には、光導波路層は、電子ビーム蒸着、フラッシュ蒸着、イオン・プレーティング、Rf−マグネトロン・スパッタリング、イオン・ビーム・スパッタリング、レーザ・アブレーション、分子線エピタキシャル法(MBE)、気相成長法(CVD)、プラズマCVD、有機金属気相成長法(MOCVD)などより選ばれる気相成長法を用いた気相エピタキシャル成長、又はゾルゲル法、金属有機化学塗布法(MOD法)などのウエット・プロセスを利用し、光導波路層としてのアモルファス膜を形成した後(アモルファス化工程)、当該アモルファス膜を加熱して結晶化する固相成長法を用いた固相エピタキシャル成長により形成する(結晶化工程)ことができる。光導波路層を固相エピタキシャル成長によって形成することが、上述のように希土類元素を高濃度でドープすることができることに加え、導波路品質及び導波路パターンニングの点より望ましい。なお、バッファ層、及びクラッド層も同様に形成することができる。
【0056】
このうちゾルゲル法やMOD法などのウエット・プロセスにより金属アルコキシドや有機金属塩などの金属有機化合物の光導波路層前駆体溶液を基板に塗布し、加熱によるアモルファス化工程と、加熱による結晶化工程より構成される固相エピタキシャル成長は、各種気相成長法と比較して設備コストが低く、基板面内での均一性が良いだけでなく、バッファ層、光導波路層、及びクラッド層の構造制御にとって重要な屈折率の制御が、バッファ層、光導波路層、及びクラッド層に必用な屈折率を有する薄膜組成に応じて金属有機化合物前駆体の組成を配合するだけで容易に、再現性良く実現でき、光伝搬損失も低いバッファ層、光導波路層、及びクラッド層の成長が可能であり、さらに希土類元素をクラスターの形成なしに原子レベルで均一にドープできるために非常に有効である。
【0057】
ここで、上記ウエット・プロセスで用いる金属有機化合物としては、各種の金属(希土類元素含む)と有機化合物(望ましくは常圧での沸点が80℃以上である有機化合物)との反応生成物である、金属アルコキシド又は金属塩より選択されるが、これに限定されるわけではない。金属アルコキシド化合物の有機配位子は、R1O−又はR2OR3O−より選択される(式中、R1及びR2は脂肪族炭化水素基を表し、R3はエーテル結合を有してもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す)。
【0058】
原料となる金属や有機化合物は、所定の組成にて、アルコール類、ジケトン類、ケトン酸類、アルキルエステル類、オキシ酸類、オキシケトン類、及び酢酸などより選択された溶媒(望ましくは常圧での沸点が80℃以上である溶媒)と反応され、又は溶媒中に溶解された後、単結晶基板に塗布される。金属有機化合物は、加水分解した後に塗布をすることも可能であるが、良好な特性の固相エピタキシャル膜を得るためには、加水分解しない方が好ましい。また、得られる薄膜の品質の点より、これらの反応は、乾燥した窒素やアルゴン雰囲気中で行うことが好ましい。
【0059】
金属アルコキシド化合物は、金属を含む、R1OH又はR2OR3OHで表される有機溶媒中で蒸留や還流を行うことにより合成することができる。R1及びR2は脂肪族炭化水素基を表し、R1及びR2としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、R3は、炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルキレン基がエーテル結合によって結合している全炭素数4〜8の2価の基が好ましい。
【0060】
沸点が80℃以上である溶媒としては、具体的には、金属アルコキシドのアルコール交換反応が容易な、例えば、(CH3)2CHOH(沸点82.3℃)、CH3(C2H5)CHOH(沸点99.5℃)、(CH3)2CHCH2OH(沸点108℃)、C4H9OH(沸点117.7℃)、(CH3)2CHC2H4OH(沸点130.5℃)、CH3OCH2CH2OH(沸点124.5℃)、C2H5OCH2CH2OH(沸点135℃)、C4H9OCH2CH2OH(沸点171℃)などのアルコール類が最も望ましいが、これらに限定されるものではなくC2H5OH(沸点78.3℃)なども使用可能である。
【0061】
この金属有機化合物を含む溶液を、基板上にスピンコート法、ディッピング法、スプレー法、スクリーン印刷法、インクジェット法より選ばれた方法にて塗布する。得られる薄膜の品質の点より、乾燥した窒素やアルゴン雰囲気中にて塗布することが好ましい。
【0062】
金属有機化合物を含む溶液を、塗布した後、必要に応じて、前処理として酸素を含む雰囲気中(望ましくは酸素中)にて、0.1〜1000℃/秒の昇温速度(望ましくは1〜100℃/秒の昇温速度)で昇温し、100℃〜500℃(望ましくは200℃〜400℃)の結晶化の起こらない温度範囲で基板を加熱することにより、塗布層を熱分解してアモルファス膜を形成する。
【0063】
さらに、酸素を含む雰囲気中(望ましくは酸素中)にて、1〜500℃/秒の昇温速度(望ましくは10〜100℃/秒の昇温速度)で昇温し、500℃〜1200℃(望ましくは600℃〜900℃)の温度範囲で加熱して、アモルファス膜を基板表面より固相エピタキシャル成長させる。この結晶化工程においては、上記の温度範囲において1秒間から24時間、望ましくは10秒間から12時間の加熱を行う。また、酸素雰囲気としては、得られる薄膜の品質の点より一定時間乾燥した酸素雰囲気を用いることが好ましいが、必要に応じて加湿してもよい。
【0064】
また、1回の固相エピタキシャル成長により形成される薄膜の厚さは、10nmから1000nm、望ましくは厚さ10nmから200nmであり、上記固相エピタキシャル成長を繰り返し行い、所望の厚さの薄膜を得ることができる。なお、固相エピタキシャル成長を繰り返し行う場合には、それぞれのエピタキシャル成長の後に0.01〜100℃/秒の冷却速度で冷却を行なうことが望ましい。
【0065】
本発明の光増幅器の製造方法において、光導波路層がチャンネル状光導波路層を有する場合、アモルファス膜又は光導波路層の少なくとも1部に対し、エッチングを施し、チャンネル状光導波路層を形成することがよい。
【0066】
アモルファス膜の状態でエッチングを施し、結晶化して固相エピタキャシャル成長させてチャンネル状光導波路層を形成する場合、散乱による光損失が小さい極めて平滑なエッジ、側壁、表面を得ることができる。また、この固相エピタキシャル成長方法には、各種気相成長法と比較して設備コストが低く、基板面内での均一性が良いことに加え、金属有機化合物前駆体の配合組成により膜の屈折率を容易に且つ再現性良く制御することができるという利点もある。
【0067】
一方、アモルファス膜を結晶化して固相エピタキャシャル成長させてチャンネル状光導波路層を形成する場合、優れた結晶性を有する光導波路層を得ることができる。また、光導波路層を所定チャンネル・パターンにパターンニングしてチャンネル光導波路を形成した後に、クラッド層をエッチングする場合には、クラッド層をエッチングする際に光導波路層までエッチングされてチャンネル状光導波路層の作製精度が低下する虞があるが、この方法では、クラッド層をエッチングした後に、光導波路層を所定チャンネル・パターンにパターンニングしてチャンネル状光導波路層を形成するので、チャンネル状光導波路層を精度良く形成することができる。
【0068】
ここで、アモルファス膜又は光導波路層のエッチングは、エッチング速度が速く、エッチストップも容易であり制御性が良い。具体的には、アモルファス膜の表面に、フォトレジスト、あるいは電子線レジストを塗布した後、露光、現像、エッチング、レジスト剥離を順に行うことにより、アモルファス膜をパターンニングする。
【0069】
エッチング方法は、HCl、HNO3、HF、H2SO4、H3PO4、C2H2O2、NH4Fなどの水溶液やその混合水溶液によるウエット・エッチング、CCl4、CCl2F2、CHClFCF3や、それらのO2との混合ガスによるリアクティブ・イオン・エッチング、又はイオンビーム・エッチングなどのドライ・エッチングのいずれでもよいが、短時間で、容易に、精度良く加工することが可能である点で、ウエット・エッチングが好ましい。
【0070】
以上のようにして、本発明の光増幅器を製造することができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0072】
(実施例1)
本実施例では、以下に示すようにして、図7及び図8に示すリブ型光導波路層を用いた光増幅器を作製した。図7及び図8に示す光増幅器100は、基板10の上にバッファ層12、スラブ型光導波路層14、チャンネル状光導波路層16を順次設け、さらに、スラブ型光導波路層14及びチャンネル状光導波路層16を覆うようにクラッド層18を設けたものである。
【0073】
まず、Pb(CH3COO)2に2−メトキシエタノール(CH3OCH2CH2OH: MOE)を加え、加熱還流によりアルコール交換反応を行った。続いて減圧蒸留を行い、副生成物である酢酸2−メトキシエチルの除去を促した。次に、La(O−i−C3H7)3、Zr(O−i−C3H7)4,Ti(O−i−C3H7)4のMOE溶液を加え、加熱還流してアルコール交換反応を行った。続いて減圧蒸留を行い、副生成物である酢酸2−メトキシエチルの除去を促した。得られた生成物を溶媒除去し、再度MOEを加え前駆体濃度を調整したものを前駆溶液とした。
【0074】
得られた前駆溶液をNbドープSrTiO3(100)ウエハ(基板10)上にスピンコーティングしてアモルファス化した後、RTA(Rapid Thermal Annealing)炉で結晶化して固相エピタキシャル成長を行うことを繰り返し、膜厚2.3μmのエピタキシャルPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)バッファ層12を形成した。
【0075】
次に、同様にPb(CH3COO)2、Zr(O−i−C3H7)4,Ti(O−i−C3H7)4,Er(O−i−C3H7)3,Yb(O−i−C3H7)3から合成したMOE前駆溶液を上記バッファ層12にスピンコーティングしてアモルファス化した後、RTA炉で結晶化して固相エピタキシャル成長し、膜厚2.4μmのエピタキシャルEr1.0モル%、Yb3.0モル%:Pb(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0、y=0.52)スラブ型光導波路層14を形成した。続いてスラブ型光導波路層14(ErドープPZT光導波路層)を深さ1.2μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成した。
【0076】
さらにスラブ型光導波路層14及び直線状チャンネル状光導波路層16を覆うように、膜厚1.0μmのSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0077】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。
【0078】
このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定した。ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは11dB又は5.5dB/cmが得られた。また、このドープ組成の場合、Cバンド及びLバンドに渡って平坦な増幅効果が得られた。これは、図1に示すように蛍光スペクトルが平坦な特性を有しているためと考えられる。
【0079】
(比較例1)
本比較例として、以下のように変更した以外は実施例1と同様にして光増幅器を得た。
【0080】
まず、NbドープSrTiO3(100)ウエハ(基板10)上へ膜厚2.3μmのPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次に膜厚2.3μmのEr1.0モル%、Yb0.15%:Pb(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0、y=0.52)スラブ型光導波路層14を固相エピタキシャル成長した。続いてスラブ型光導波路層14(Er、YbドープPZT光導波路層)を深さ1.2μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成し、さらに膜厚1.0μmのSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0081】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、導波路損失を補償するに満たない増幅効果のため、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは得られなかった。
【0082】
(比較例2)
本比較例として、以下のように変更した以外は実施例1と同様にして光増幅器を得た。
【0083】
まず、NbドープSrTiO3(100)ウエハ(基板10)上へ膜厚2.3μmのPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次に膜厚2.3μmのEr3.5モル%、Yb12.0モル%:Pb(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0、y=0.52)スラブ型光導波路層14を固相エピタキシャル成長した。続いてスラブ型光導波路層14(ErドープPZT光導波路層)を深さ1.2μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成し、さらに膜厚1.0μmのSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0084】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長3cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、Erによる1.55μm付近の吸収による導波路損失の増加と不十分な増幅効果とによって、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは得られなかった。
【0085】
(実施例2)
本実施例として、以下のように変更した以外は実施例1と同様にして光増幅器を得た。
【0086】
まず、NbドープSrTiO3(100)ウエア(基板10)上へ膜厚2.4μmのPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.09、y=0.65)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次に膜厚2.8μmのEr1.0モル%、Yb5.0モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.03、y=0.52)スラブ型光導波路層14を固相エピタキシャル成長した。続いてスラブ型光導波路層14(ErドープPZT光導波路層14)を深さ1.0μm、幅3.0μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成し、さらに膜厚1.0μmのSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0087】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは9dB又は4.5dB/cmが得られた。また、このドープ組成の場合、Cバンド及びLバンドに渡って平坦な増幅効果が得られた。
【0088】
(実施例3)
本実施例では、以下に示すようにして、図9及び図10に示すリブ型光導波路層を用いた光増幅器を作製した。図9及び図10に示す光増幅器100は、基板10の上にバッファ層12、スラブ型光導波路層14、チャンネル状光導波路層16を順次設け、チャンネル状光導波路層16上にクラッド層18を設けたものである。
【0089】
組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、NbドープSrTiO3(100)ウエハ(基板10)上へ膜厚2.0μmのPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次に膜厚2.0μmのYb6.0モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.06、y=0.61)スラブ型光導波路層14を固相エピタキシャル成長した。
【0090】
さらに、膜厚1.0μmのPb1−x Lax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のクラッド層18を固相エピタキシャル成長し、スラブ型光導波路層14に対し、深さ1.7μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成した。なお、この際、クラッド層18もエッチングを施し、パターニングした。
【0091】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは4dB又は2.0dB/cmが得られた。このように、YbがErよりも導波路損失に対する影響が少ないのは、Ybによる吸収が1.0μm付近にあるためと考えられる。
【0092】
(実施例4)
本実施例では、以下に示すようにして、図11及び図12に示すリブ型光導波路層を用いた光増幅器を作製した。図11及び図12に示す光増幅器100は、基板10の上に第一のバッファ層12A(スラブ型バッファ層)、第二のバッファ層12B(スラブ型バッファ層上にチャネル型バッファ層が設けられた凸状バッファ層)、チャンネル状光導波路層16を順次設け、チャンネル状光導波路層16上にクラッド層18を設けたものである。
【0093】
Siウエハ(基板10)上へ第一のバッファ層12AとしてMgOをイオンビームスパッタリング法によってエピタキシャル成長を行った。その後、組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、第二のバッファ層12BとしてEr0.5モル%、Yb0.2モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)を固相エピタキシャル成長し、次にEr0.5モル%、Yb0.2モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.06、y=0.61)スラブ型光導波路層を固相エピタキシャル成長した。さらに、Er0.5モル%、Yb0.2モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のクラッド層18を固相エピタキシャル成長した。
【0094】
そして、スラブ型光導波路層に対し、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成した。なお、この際、第二のバッファ層12及びクラッド層18もエッチングを施し、パターニングした。
【0095】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として0.98μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、効率的なネットゲインが得られた。また、このドープ組成の場合、Cバンド又はLバンドにおいて平坦な増幅効果が得られた。
【0096】
(実施例5)
本実施例では、以下に示すようにして、図13及び図14に示すリブ型光導波路層を用いた光増幅器を作製した。図13及び図14に示す光増幅器100は、基板10の上にバッファ層12、チャンネル状光導波路層16を順次設け、バッファ層12及びチャンネル状光導波路層16を覆うようにクラッド層18を設けたものである。図13及び図14に示す光増幅器100では、バッファ層12上でチャンネル状光導波路層16を湾曲させて巻き回して配設している。
【0097】
組成を変更した以外は実施例1と同様にして、サファイアウエハ(基板10)上へPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.28、y=0)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次にYb11.0モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.03、y=0.52)スラブ型光導波路層を固相エピタキシャル成長した。
【0098】
続いてスラブ型光導波路層(YbドープPZT光導波路層)に対し、ICPエッチングを行い、全長約10cmとなる曲線状に配置された埋め込み型チャンネル状光導波路層16を形成し、さらにSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0099】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、実施例1及び2と比べると劣るものの、効率的なネットゲインが得られた。また、このドープ組成の場合、Cバンド及びLバンドに渡って平坦な増幅効果が得られた。
【0100】
以上から、上記各実施例では、高速、低駆動電圧、低消費電力、小型の特性を有するPLZT光導波路デバイスとの集積化をはじめ、光増幅器ユニットの小型化、ならびに、複数の光増幅器ユニットを集積又は一体化、各種の変調器、スイッチ、分波器などを集積化したより小型で高機能なデバイスのモジュール化に必要な、PLZTへ希土類元素を添加した導波路状の小型で高効率な光増幅器が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】Er及びYbドープPLZTエピタキシャル膜における蛍光パターンを示す図である。
【図2】Er及びYbドープPLZTエピタキシャル膜におけるYbドープ量に対する蛍光強度を示す図である。
【図3】Er及びYbドープPLZTエピタキシャル膜におけるErドープ量に対するrms表面粗さを示す図である。
【図4】本発明の光増幅器の一例を示す概略斜視図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】Er、YbドープPLZTエピタキシャル膜におけるYbドープ量に対する光損失及び光ゲイン(グロスゲイン、ネットゲイン)を示す図である。
【図7】実施例1で得た光増幅器を示す概略斜視図である。
【図8】図7のB−B断面図である。
【図9】実施例3で得た光増幅器を示す概略斜視図である。
【図10】図9のC−C断面図である。
【図11】実施例4で得た光増幅器を示す概略斜視図である。
【図12】図11のD−D断面図である。
【図13】実施例5で得た光増幅器を示す概略平面図である。
【図14】図13のE−E断面図である。
【符号の説明】
【0102】
10 基板
12 バッファ層
14 スラブ型光導波路層
16 チャンネル状光導波路層
18 クラッド層
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLZT導波路を用いた光機能デバイスにおいて、例えば、光ファイバー伝送光を電気へ変換することなく増幅する機能を有する導波路型の光増幅器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークは個別にノード間を結ぶポイント間の光通信から、ポイント間でADM(Add−Drop Multiplexing)を行う光通信、さらに複数のノード間を電気信号に変換することなく光信号のままで結ぶ光通信に発展しようとしている。また、光通信ネットワークは伝送容量の拡大及び機能向上のために、1本の光ファイバーの中に複数の波長の光信号を合波して伝送したり、逆に1本の光ファイバーを伝搬してきた複数の波長の光信号を波長ごとに分波したりする波長多重伝送技術(WDM:Wavelength Division Multiplexing)が実用化している。
【0003】
これらの方式では、1本の光ファイバーで複数の異なる波長の光信号を伝送し、伝送距離に応じて電気に変換せずに中継増幅する必要がある。そこで、光を電気に変換することなく長距離通信を行うための光増幅器が光通信ネットワークを支えている。
【0004】
光増幅器としては、コアに希土類元素を添加した光ファイバーを光増幅媒体とした光ファイバー増幅器、例えばEr(エルビウム)添加光ファイバー増幅器(EDFA:Erbiμm Doped optical Fiber Amplifier)の実用化され、光通信への応用が盛んに進められている。このEDFAは、シリカ系光ファイバーの損失が最低となる1.55μm帯で動作し、30dB以上の高利得、低雑音、広い利得帯域、利得が偏波無依存、高い飽和出力などの優れた特徴を有することが知られている。
【0005】
しかし、EDFAは光ファイバーが10m程度と長く、装置自体の小型化には難を有している。従って、将来的には、光増幅器の励起用レーザ光源を含め、光増幅器ユニットの小型化、ならびに、複数の光増幅器ユニットを集積又は一体化、変調器、スイッチ、分波器などを同一基板上に集積化したより小型で高機能なデバイスのモジュール化を図ることを念頭に入れ、従来のEDFAに代えて、光導波路に所望の波長域において増幅媒体として利用可能な希土類元素を添加した材料を利用する、導波路状の光増幅器の開発が進められている。
【0006】
一方、例えば光スイッチは複数の光ファイバー間を需要に応じて切り替えたり、ネットワークの故障の際の迂回路確保のための切り替えで用いられる部品として最も重要な部品の一つである。小型化に優れる光導波路型スイッチは、一般にLiNbO3、化合物半導体、石英、あるいはポリマーにチャンネル光導波路を形成し,各経路の交差部などに電気的に光の進行方向を制御するための光スイッチ、あるいは電気的に光の進行を開閉して制御する光ゲートを設けてある。
【0007】
石英、あるいはポリマーを用いた光導波路型光スイッチは、コア・サイズを光ファイバーのモード・フィールド径と同程度にでき、光ファイバーからの光結合効率が良好であるために挿入損失が小さいという特長があるが、光導波路表面に設けられたヒータに電流を流し、熱光学効果により屈折率を変化させて光の進行方向を切り替えるために、応答が遅いという問題がある。また、ヒータによる加熱方式をとるために、ひとつの電極だけで数百mWもの消費電力を必要とすることもあり、利用分野が限られてしまうという問題がある。
【0008】
このほかには、有機非線形光学材料を用いた光導波路型光スイッチがある。電場配向ポリマーなどの光導波路を上下電極でサンドイッチ状に挟んだ構造によって低電圧で駆動可能な光スイッチを構成できる可能性があるが、電場配向ポリマーは酸化物強誘電体材料と比較して温度安定性などの問題があり、実用化は容易でないのが現状である。
【0009】
化合物半導体又は量子井戸を用いた光導波路型光スイッチの場合には、高速化が可能であり、光導波路コアの上下から電圧を印加できるために駆動電圧の低下も期待できるが、コア・サイズが小さく、光ファイバーからの光結合効率が悪いために挿入損失が大きくなるという問題があり、各種の努力がなされている。その他にも、電場印加によるスイッチングと同時に光吸収が生じるためにスイッチング特性が劣化しまうという問題、ウエハサイズが限られているために大規模なマトリックス光スイッチを構成しにくいなどの問題があった。
【0010】
最も代表的な光スイッチ材料であり酸化物強誘電体の一つであるLiNbO3の場合には、光スイッチの電極に電圧を印加すると電気光学効果により屈析率が変化することによって高速に光の状態が変わり、どの状態を設定するかによって光の進行方向が変化する。これにより、各光スイッチでは二つの入力端からの光をそれぞれ二つの出力端へ選択的に出力することが可能である。LiNbO3を用いる光スイッチは、単結晶ウエハにTi拡散型光導波路やプロトン交換型光導波路を作製するが、コア・サイズが光ファイバーのモード・フィールド径と同程度にでき、光ファイバーからの光結合効率が良好であるために挿入損失が小さく、実用レベルの光スイッチとして知られている。
【0011】
しかし、光導波路表面にコプレーナ型の電極を配置して電圧を印加する構成であるために、電極間距離が大きくなるとともに電場プロファイルが理想的にならず、偏波無依存とするためには駆動電圧が40ボルトと高くなり、駆動電圧をそれ以上極端に高くしないためには通常は7mm以上の長い電極が必要である。また、単結晶ウエハにTi拡散やプロトン交換によって光導波路を作製するために、チャンネル光導波路の実効屈折率をそのまわりの実効屈折率より十分に高くできず、屈折率差を大きくできない。このため、S字型チャンネル光導波路の曲率を50mmと大きくする必要も生じ、8×8のマトリックス光スイッチのサイズの例では70mm程度と大きくなっている。
【0012】
以上の通り、LiNbO3、化合物半導体、石英、あるいはポリマーのいずれの材料を用いた場合においても、光スイッチ・サイズ、駆動電圧(あるいは駆動電流又は消費電力)、スイッチング速度、クロストーク、挿入損失、及び温度安定性の問題を同時に満たす光導波路型マトリクス光スイッチを得ることができなかった。
【0013】
これらを解決する材料として、PLZTすなわちPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)が光導波路として注目され、高速、低駆動電圧、低消費電力、小型の特性を有するスイッチが開発されつつある。
【0014】
しかし、PLZTセラミックスにおいてはJ. Ballatoらによる蛍光特性の検討の報告(J. Lμminescence, 86 (2000) p.p. 101−105)があるものの、PLZT導波路型の光増幅器は検討がなされて来なかった。従って、希土類元素ドープに関しては、適切なドープ量やドーピングの方法も知られておらず、光増幅器を構成することが困難であった。
【0015】
すなわち、増幅効率を高めて光増幅器の小型化を図る、あるいは増幅波長帯域幅を増す上では、単位体積当たりに添加されている希土類元素イオン、例えばEr3+イオンの濃度を増すことが必要となるが、一般に、濃度を増した際、添加されているEr3+イオン複数がクラスター状に存在する状況が生じると、増幅効率の向上が妨げられる。
【0016】
従って、PLZT導波路を媒体とした光増幅器を検討する上で、増幅効率を高めるとともに、増幅波長帯域幅を増すためには、PLZT導波路層(コア層)中に添加されている希土類元素イオン、例えばEr3+イオンの濃度を増した際、添加されるEr3+イオンのクラスター化を抑制できる最適濃度と、ErドープPLZT膜光導波路の形成方法を考案することが必要となる。石英やAl2O3導波路においては、化学的気相堆積(CVD)法,火炎堆積(FHD)法,スパッタ法、蒸着法などの成膜法を用いて原料ガス、スパッタターゲット、あるいは蒸着源に希土類を添加することより、光増幅部を形成することが可能である。
【0017】
しかし、希土類を一定濃度以上に添加すると、いずれの成膜方法においても、析出などの劣化が生じるので、希土類の添加量は1モル%程度となる。例えば、S. Musaらにより報告されているスパッタで形成したErドープAl2O3導波路型光増幅器(IEEE J. Quantμm Electronics, Vol. 36, No. 36 (2000) p.p. 1089−1097)では、Erを0.74モル%までドープを行い、1.0 dB/cmのネットゲインを報告している。しかし、このような濃度では、充分な光増幅効率が得られないので、光増幅用の光導波路は、長尺化せざるを得ない。
【0018】
また、PLZT導波路型光増幅器の検討に際しては、内部で増幅された光を光導波路層(コア層)内により多く閉じ込める状態を達成し、かつ全体的なロスを低減することも必要である。具体的には、コアとその周囲に取り巻くクラッドとの間に、所望の屈折率差を形成することで導波条件を達成する必要がある。
【0019】
【非特許文献1】J. Lμminescence, 86 (2000) p.p. 101−105
【非特許文献2】IEEE J. Quantμm Electronics, Vol. 36, No. 36 (2000) p.p. 1089−1097
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記従来の問題点を解決するため、希土類元素を添加したPLZT光導波路層を有する光増幅器であって、小型で高効率な光増幅器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の光増幅器は、Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)を含んで構成される光導波路層であって、Yb(イットリビウム)がドープ量0.2モル%以上、11.0モル%以下でドープされ、且つエピタキシャル成長によって形成される単結晶膜からなる光導波路層を有することを特徴としている。
【0022】
前記光導波路層には、Ybに加えてEr(エルビウム)をドープ量3.0モル%以下ドープすることもできる。
【0023】
本発明の光増幅器において、前記光導波路層と共に、バッファ層及びクラッド層を有し、当該光導波路層、前記バッファ層及び前記クラッド層は互いに異なる組成のPLZTを含んで構成することもできる。
【0024】
本発明の光増幅器において、前記光導波路層は、チャンネル状光導波路層を有することができる。
【0025】
一方、本発明の光増幅器の製造方法は、上記本発明の光増幅器を製造するための製造方法であり、
基板上に、光導波路層前駆体としてアモルファス膜を形成する工程と、
前記アモルファス膜を加熱し、エピタキャシャル成長によって光導波路層を形成する工程と、
を有することを特徴としている。
【0026】
本発明の光増幅器の製造方法において、前記アモルファス膜又は前記光導波路層の少なくとも1部に対し、エッチングを施し、チャンネル状光導波路層を形成する工程をさらに有することができる。
【0027】
本発明の光増幅器の製造方法において、前記アモルファス化工程は、前記基板上に光導波路層前駆体溶液を塗布して、加熱することによりアモルファス膜を形成するアモルファス化工程であることがよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、希土類元素を添加したPLZT光導波路層を有する光増幅器であって、小型で高効率な光増幅器及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0030】
本発明の光増幅器は、Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)を含んで構成される光導波路層であって、Ybがドープ量0.2モル%以上11.0モル%以下(好ましくは0.2モル%以上5モル%以下)でドープされ、且つエピタキシャル成長によって形成される単結晶膜からなる光導波路層を有することを特徴している。これにより、本発明の光増幅器は、小型で高効率な光増幅器となる。
【0031】
また、本発明の光増幅器は、Ybに加えてEr(エルビウム)をドープされていることが好ましく、そのErはドープ量5.0モル%以下、特に3.0モル%以下でドープすることが好適である。これにより、本発明の光増幅器は、小型でより高効率な光増幅器となる。
【0032】
これらは、以下の知見に基づいたものである。
【0033】
本発明者らは、PLZTへの希土類元素(例えばEr、Yb等)のドーピングに関し、スパッタリング、MOCVD、及び溶液法を鋭意検討し、そのうち、例えば金属有機化合物溶液中で金属イオンを分子レベルの均一性で分散し、その状態を保ちつつ結晶化することに優れる溶液法を用いて合成したPLZTのエピタキシャル成長に依る単結晶膜を比較検討し、ドーピング量に関して新たな知見を見出し、さらにPLZT光導波路型の増幅器の試作によって本発明に至った。
【0034】
すなわち、次のようにして溶液法によりPLZT固相エピタキシャル単結晶膜を作製し、その差異、ドーピング量について調べたところ、以下の知見を見出した。
【0035】
まず、例えば、Pb(CH3COO)2に2−メトキシエタノール(CH3OCH2CH2OH:MOE)を加え、加熱還流によりアルコール交換反応を行った。続いて減圧蒸留を行い、副生成物である酢酸2−メトキシエチルの除去を促した。次に、Zr(O−i−C3H7)4,Ti(O−i−C3H7)4,Yb(O−i−C3H7)3,Er(O−i−C3H7)3のMOE溶液を加え、加熱還流してアルコール交換反応を行った。続いて減圧蒸留を行い、副生成物である酢酸2−メトキシエチルの除去を促した。得られた生成物を溶媒除去し、再度MOEを加え前駆体濃度を調整したものを前駆溶液とした。
【0036】
得られた前駆体溶液をSrTiO3(100)基板上にスピンコーティングした後、RTA(Rapid Thermal Annealing)炉でアモルファス化させた後、固相エピタキシャル成長い、Yb及びErを適量ドープしたPLZT固相エピタキシャル単結晶膜を得た。
【0037】
YbドープPLZT固相エピタキシャル単結晶膜では、Ybのドープ量(添加量)が10モル%を超えるまでYbドープによる析出相やパイロクロア相が発生ぜず、従来の成膜方法よりも飛躍的に高濃度のYbドーピングが可能であることがわかった。また、YbドープPLZT固相エピタキシャル単結晶膜の蛍光測定を行ったところ、図1に示す蛍光スペクトルのように、例えばErが1モル%ドープされたPLZTへYbをドープすることにより、蛍光強度(PL Intensity)が大幅に増加することが分かった。また、図1に示す蛍光スペクトルの例では、Yb3モル%とYbモル5%の場合、通信波長帯でCバンドと呼ばれる1.53μm〜1.56μm、Lバンドと呼ばれる1.56μm〜1.62μmに渡ってフラットな増幅効果が期待できることが分かった。さらに、Ybドープ量対蛍光強度の関係は図2に示すYbドープ量対蛍光強度が示すように、Ybドープ量が11モル%以下、特に5モル%以下にて顕著な蛍光強度増感効果があることが分かった。
【0038】
また、上述したように得たYb及びErをドープしたPLZT固相エピタキシャル単結晶膜の表面を原子間力顕微鏡像によって観察すると、図3に示すようにYbドープ量が10モル%まではErドープ量が5モル%程度となっても表面粗さ(rms)が1.5nm以下と、顕著な増加がみられず、光導波路層を形成しても表面粗さによる散乱損失が大きくはならないことが推定できた。従って、PLZT光導波路型の光増幅器の実現には、Ybのドープ量の上限は11モル%以下、特に5モル%以下が好ましことがよいことがわかった。また、Erのドープ量の上限は5モル%以下、特に3モル%以下が好ましことがよいことがわかった。
【0039】
また、図4及び図5に示すようなリブ型チャンネル導波路層を持つ光増幅器を次のようにして作製した。まず、SrTiO3基板10上へ2.3μmの膜厚のエピタキシャルPLZTバッファ層12、続いて2.3μmの膜厚のエピタキシャルEr1モル%−YbドープPZTスラブ型光導波路層14を上記と同様に固相エピタキシャル成長し、続いてEr1モル%−YbドープPZTスラブ型光導波路層14に対し深さ1.0μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成した。このチャンネル状光導波路層16へシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定した。各種Ybドープ量に対する結果を図6に示す。図6に示すように、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のグロスゲインはErドープ量とともに増加し、Yb1.0モル%では13.0dB/cmと極めて高効率であった。導波路損失もYbドープ量とともに若干増加し、グロスゲインから導波路損失を差し引いたネットゲインはYbドープ量1モル%程度で最大の8.5dB/cmとなった。また、この結果より、Yb0.2モル%未満ではネットゲインが得られないが、0.2モル%以上とすることによってネットゲインが得られることが分かった。
【0040】
以上の知見から、本発明の光増幅器は、小型で高効率な光増幅器となる。
【0041】
以下、本発明の光増幅器、及びその製造方法について詳細に説明する。
【0042】
本発明の光増幅器は、例えば、基板上に、バッファ層、光導波路層、クラッド層を順次形成して構成される。但し、基板との組み合わせなどによって、バッファ層と光導波路層、光導波路層とクラッド層、あるいは光導波路層のみにて構成することも可能である。
【0043】
まず、基板について説明する。基板としては、例えば、導電性又は半導電性の単結晶基板、あるいはエピタキシャル又は単一配向性の導電性又は半導電性の薄膜を絶縁基板表面に設けた基板が好適に適用することができる。
【0044】
導電性又は半導電性の基板材料としては、NbやLaなどをドープしたSrTiO3、AlドープZnO、In2O3、RuO2、BaPbO3、SrRuO3、YBa2Cu3O7−x、SrVO3、LaNiO3、La0.5Sr0.5CoO3、ZnGa2O4、CdGa2O4、CdGa2O4、Mg2TiO4、MgTi2O4などの酸化物、Si,Ge,ダイアモンドなどの単体半導体、AlAs,AlSb,AlP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSb,AlGaP,AlLnP,AlGaAs,AlInAs,AlAsSb,GaInAs,GaInSb,GaAsSb,InAsSbなどのIII−V系の化合物半導体、ZnS,ZnSe,ZnTe,CaSe,CdTe,HgSe,HgTe,CdSなどのII−VI系の化合物半導体、Pd、Pt、Al、Au、Agなどの金属などを用いることができる。
【0045】
エピタキシャル又は単一配向性の導電性又は半導電性の薄膜を絶縁基板表面に設ける場合、絶縁基板材料としては、絶縁性基板として用いることが可能な材料は、SrTiO3、BaTiO3、BaZrO3、LaAlO3、ZrO2、Y2O38%−ZrO2、MgO、MgAl2O4、LiNbO3、LiTaO3、Al2O3、ZnOなどの酸化物を用いることができる。なお、導電性又は半導電性の薄膜材料としては、上記導電性又は半導電性の基板材料と同様なものが挙げられ、当該材料を用いてエピタキシャル又は単一配向性の導電性又は半導電性の薄膜を形成する。
【0046】
次に、光導波路について説明する。光導波路層は、上述のように固相エピタキシャル成長によって形成される希土類元素ドープPLZT単結晶膜を適用する。ここで、Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(0<x<0.3、0<y<1.0)において、x及びyの値によりPT、PZT、PLT、PLZTと略称される全てを、「PLZT」と総称する。
【0047】
また、ドープする希土類元素としては、Ybであり、これに加えて、Erを併用してもよい。また、その他、Nd、Tm、Ho、Prなどの希土類元素を併用してもよい。これらは、1種単独で用いてもよし、2種以上併用してもよい。
【0048】
光導波路層の膜厚は、例えば0.1μmから10μmの間に設定されるが、これは目的によって適当に選択することができる。
【0049】
光導波路層には、一般的に適用される埋め込み型、リッジ型、リブ型のいずれかの方式、即ち所望の形状にパターニングされたチャンネル状光導波路層を有する光導波路層(以下、チャンネル光導波路構造という)を用いることができる。このチャンネル光導波路構造は、スラブ型光導波路層とチャンネル状光導波路層とからなる構造であってもよし、チャンネル状光導波路層のみからなる構造であってもよい。
【0050】
チャンネル光導波路構造は、具体的には例えば、光導波路層に凸を設けたチャンネル光導波路構造、光導波路層に凸を設けた後にクラッド層を設けるチャンネル光導波路構造、あるいはバッファ層に凹を設けた後に光導波路層を設けたチャンネル光導波路構造が好適に挙げられる。これら構造は、例えば、エピタキシャル又は単一配向性のバッファ層を設け、その上にバッファ層よりも大きい屈折率を持つエピタキシャルを有する光導波路層を設ける薄膜の積層によって容易に得ることができる。
【0051】
次に、バッファ層について説明する。バッファ層は、光導波路層材料よりも小さい屈折率を有する材料により形成されることがよい。また、バッファ層は基板材料と光導波路層材料とのエピタキシ関係を保持できることが好適である。このエピタキシ関係を保持できる条件としては、バッファ層材料が基板材料と光導波路層材料の結晶構造に類似で、格子定数の差が10%以下であることが望ましいが、必ずしもこの関係に従わなくともエピタキシ関係を保持できれば良い。具体的には、バッファ層材料としては、例えばPLZTの他、SrTiO3、BaTiO3、(Sr1−xBax)TiO3(0<x<1.0)、KNbO3などより選択することができる。
【0052】
次にクラッド層について説明する。クラッド層は、光導波路層材料よりも小さい屈折率を有する材料により形成されることがよい。クラッド層は光導波路層に対してエピタキシ関係を保持できることは必ずしも必要ではなく多結晶膜や非晶質でも良い。具体的には、クラッド層材料としては、例えばPLZTの他、例えばSrTiO3、BaTiO3、(Sr1−xBax)TiO3、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、KNbO3、SiO2、Al2O2、TaO2、ポリマーなどより選ばれる。
【0053】
ここで、バッファ層、及びクラッド層は、PLZTを含んで構成する場合、希土類元素を含ませることもできる。また、光導波路層、バッファ層、及びクラッド層は、互いに異なる組成のPLZTを含んで構成することがよい。PLZTの組成、即ち、Pb,La,Zr,及びTiに加え、希土類元素の比を変化させるだけで屈折率を大きく変化可能であり、各々層材料としてPLZTを用いることができる。
【0054】
次に、本発明の光増幅器の製造方法について説明する。本発明の光増幅器は、基板上に、光導波路層用前駆体としてアモルファス膜を形成するアモルファス化工程と、前記アモルファス膜を加熱して結晶化し、固相エピタキャシャル成長によって光導波路層を形成する結晶化工程と、を少なくとも経ることで得ることができる。
【0055】
具体的には、光導波路層は、電子ビーム蒸着、フラッシュ蒸着、イオン・プレーティング、Rf−マグネトロン・スパッタリング、イオン・ビーム・スパッタリング、レーザ・アブレーション、分子線エピタキシャル法(MBE)、気相成長法(CVD)、プラズマCVD、有機金属気相成長法(MOCVD)などより選ばれる気相成長法を用いた気相エピタキシャル成長、又はゾルゲル法、金属有機化学塗布法(MOD法)などのウエット・プロセスを利用し、光導波路層としてのアモルファス膜を形成した後(アモルファス化工程)、当該アモルファス膜を加熱して結晶化する固相成長法を用いた固相エピタキシャル成長により形成する(結晶化工程)ことができる。光導波路層を固相エピタキシャル成長によって形成することが、上述のように希土類元素を高濃度でドープすることができることに加え、導波路品質及び導波路パターンニングの点より望ましい。なお、バッファ層、及びクラッド層も同様に形成することができる。
【0056】
このうちゾルゲル法やMOD法などのウエット・プロセスにより金属アルコキシドや有機金属塩などの金属有機化合物の光導波路層前駆体溶液を基板に塗布し、加熱によるアモルファス化工程と、加熱による結晶化工程より構成される固相エピタキシャル成長は、各種気相成長法と比較して設備コストが低く、基板面内での均一性が良いだけでなく、バッファ層、光導波路層、及びクラッド層の構造制御にとって重要な屈折率の制御が、バッファ層、光導波路層、及びクラッド層に必用な屈折率を有する薄膜組成に応じて金属有機化合物前駆体の組成を配合するだけで容易に、再現性良く実現でき、光伝搬損失も低いバッファ層、光導波路層、及びクラッド層の成長が可能であり、さらに希土類元素をクラスターの形成なしに原子レベルで均一にドープできるために非常に有効である。
【0057】
ここで、上記ウエット・プロセスで用いる金属有機化合物としては、各種の金属(希土類元素含む)と有機化合物(望ましくは常圧での沸点が80℃以上である有機化合物)との反応生成物である、金属アルコキシド又は金属塩より選択されるが、これに限定されるわけではない。金属アルコキシド化合物の有機配位子は、R1O−又はR2OR3O−より選択される(式中、R1及びR2は脂肪族炭化水素基を表し、R3はエーテル結合を有してもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す)。
【0058】
原料となる金属や有機化合物は、所定の組成にて、アルコール類、ジケトン類、ケトン酸類、アルキルエステル類、オキシ酸類、オキシケトン類、及び酢酸などより選択された溶媒(望ましくは常圧での沸点が80℃以上である溶媒)と反応され、又は溶媒中に溶解された後、単結晶基板に塗布される。金属有機化合物は、加水分解した後に塗布をすることも可能であるが、良好な特性の固相エピタキシャル膜を得るためには、加水分解しない方が好ましい。また、得られる薄膜の品質の点より、これらの反応は、乾燥した窒素やアルゴン雰囲気中で行うことが好ましい。
【0059】
金属アルコキシド化合物は、金属を含む、R1OH又はR2OR3OHで表される有機溶媒中で蒸留や還流を行うことにより合成することができる。R1及びR2は脂肪族炭化水素基を表し、R1及びR2としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、R3は、炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルキレン基がエーテル結合によって結合している全炭素数4〜8の2価の基が好ましい。
【0060】
沸点が80℃以上である溶媒としては、具体的には、金属アルコキシドのアルコール交換反応が容易な、例えば、(CH3)2CHOH(沸点82.3℃)、CH3(C2H5)CHOH(沸点99.5℃)、(CH3)2CHCH2OH(沸点108℃)、C4H9OH(沸点117.7℃)、(CH3)2CHC2H4OH(沸点130.5℃)、CH3OCH2CH2OH(沸点124.5℃)、C2H5OCH2CH2OH(沸点135℃)、C4H9OCH2CH2OH(沸点171℃)などのアルコール類が最も望ましいが、これらに限定されるものではなくC2H5OH(沸点78.3℃)なども使用可能である。
【0061】
この金属有機化合物を含む溶液を、基板上にスピンコート法、ディッピング法、スプレー法、スクリーン印刷法、インクジェット法より選ばれた方法にて塗布する。得られる薄膜の品質の点より、乾燥した窒素やアルゴン雰囲気中にて塗布することが好ましい。
【0062】
金属有機化合物を含む溶液を、塗布した後、必要に応じて、前処理として酸素を含む雰囲気中(望ましくは酸素中)にて、0.1〜1000℃/秒の昇温速度(望ましくは1〜100℃/秒の昇温速度)で昇温し、100℃〜500℃(望ましくは200℃〜400℃)の結晶化の起こらない温度範囲で基板を加熱することにより、塗布層を熱分解してアモルファス膜を形成する。
【0063】
さらに、酸素を含む雰囲気中(望ましくは酸素中)にて、1〜500℃/秒の昇温速度(望ましくは10〜100℃/秒の昇温速度)で昇温し、500℃〜1200℃(望ましくは600℃〜900℃)の温度範囲で加熱して、アモルファス膜を基板表面より固相エピタキシャル成長させる。この結晶化工程においては、上記の温度範囲において1秒間から24時間、望ましくは10秒間から12時間の加熱を行う。また、酸素雰囲気としては、得られる薄膜の品質の点より一定時間乾燥した酸素雰囲気を用いることが好ましいが、必要に応じて加湿してもよい。
【0064】
また、1回の固相エピタキシャル成長により形成される薄膜の厚さは、10nmから1000nm、望ましくは厚さ10nmから200nmであり、上記固相エピタキシャル成長を繰り返し行い、所望の厚さの薄膜を得ることができる。なお、固相エピタキシャル成長を繰り返し行う場合には、それぞれのエピタキシャル成長の後に0.01〜100℃/秒の冷却速度で冷却を行なうことが望ましい。
【0065】
本発明の光増幅器の製造方法において、光導波路層がチャンネル状光導波路層を有する場合、アモルファス膜又は光導波路層の少なくとも1部に対し、エッチングを施し、チャンネル状光導波路層を形成することがよい。
【0066】
アモルファス膜の状態でエッチングを施し、結晶化して固相エピタキャシャル成長させてチャンネル状光導波路層を形成する場合、散乱による光損失が小さい極めて平滑なエッジ、側壁、表面を得ることができる。また、この固相エピタキシャル成長方法には、各種気相成長法と比較して設備コストが低く、基板面内での均一性が良いことに加え、金属有機化合物前駆体の配合組成により膜の屈折率を容易に且つ再現性良く制御することができるという利点もある。
【0067】
一方、アモルファス膜を結晶化して固相エピタキャシャル成長させてチャンネル状光導波路層を形成する場合、優れた結晶性を有する光導波路層を得ることができる。また、光導波路層を所定チャンネル・パターンにパターンニングしてチャンネル光導波路を形成した後に、クラッド層をエッチングする場合には、クラッド層をエッチングする際に光導波路層までエッチングされてチャンネル状光導波路層の作製精度が低下する虞があるが、この方法では、クラッド層をエッチングした後に、光導波路層を所定チャンネル・パターンにパターンニングしてチャンネル状光導波路層を形成するので、チャンネル状光導波路層を精度良く形成することができる。
【0068】
ここで、アモルファス膜又は光導波路層のエッチングは、エッチング速度が速く、エッチストップも容易であり制御性が良い。具体的には、アモルファス膜の表面に、フォトレジスト、あるいは電子線レジストを塗布した後、露光、現像、エッチング、レジスト剥離を順に行うことにより、アモルファス膜をパターンニングする。
【0069】
エッチング方法は、HCl、HNO3、HF、H2SO4、H3PO4、C2H2O2、NH4Fなどの水溶液やその混合水溶液によるウエット・エッチング、CCl4、CCl2F2、CHClFCF3や、それらのO2との混合ガスによるリアクティブ・イオン・エッチング、又はイオンビーム・エッチングなどのドライ・エッチングのいずれでもよいが、短時間で、容易に、精度良く加工することが可能である点で、ウエット・エッチングが好ましい。
【0070】
以上のようにして、本発明の光増幅器を製造することができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0072】
(実施例1)
本実施例では、以下に示すようにして、図7及び図8に示すリブ型光導波路層を用いた光増幅器を作製した。図7及び図8に示す光増幅器100は、基板10の上にバッファ層12、スラブ型光導波路層14、チャンネル状光導波路層16を順次設け、さらに、スラブ型光導波路層14及びチャンネル状光導波路層16を覆うようにクラッド層18を設けたものである。
【0073】
まず、Pb(CH3COO)2に2−メトキシエタノール(CH3OCH2CH2OH: MOE)を加え、加熱還流によりアルコール交換反応を行った。続いて減圧蒸留を行い、副生成物である酢酸2−メトキシエチルの除去を促した。次に、La(O−i−C3H7)3、Zr(O−i−C3H7)4,Ti(O−i−C3H7)4のMOE溶液を加え、加熱還流してアルコール交換反応を行った。続いて減圧蒸留を行い、副生成物である酢酸2−メトキシエチルの除去を促した。得られた生成物を溶媒除去し、再度MOEを加え前駆体濃度を調整したものを前駆溶液とした。
【0074】
得られた前駆溶液をNbドープSrTiO3(100)ウエハ(基板10)上にスピンコーティングしてアモルファス化した後、RTA(Rapid Thermal Annealing)炉で結晶化して固相エピタキシャル成長を行うことを繰り返し、膜厚2.3μmのエピタキシャルPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)バッファ層12を形成した。
【0075】
次に、同様にPb(CH3COO)2、Zr(O−i−C3H7)4,Ti(O−i−C3H7)4,Er(O−i−C3H7)3,Yb(O−i−C3H7)3から合成したMOE前駆溶液を上記バッファ層12にスピンコーティングしてアモルファス化した後、RTA炉で結晶化して固相エピタキシャル成長し、膜厚2.4μmのエピタキシャルEr1.0モル%、Yb3.0モル%:Pb(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0、y=0.52)スラブ型光導波路層14を形成した。続いてスラブ型光導波路層14(ErドープPZT光導波路層)を深さ1.2μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成した。
【0076】
さらにスラブ型光導波路層14及び直線状チャンネル状光導波路層16を覆うように、膜厚1.0μmのSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0077】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。
【0078】
このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定した。ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは11dB又は5.5dB/cmが得られた。また、このドープ組成の場合、Cバンド及びLバンドに渡って平坦な増幅効果が得られた。これは、図1に示すように蛍光スペクトルが平坦な特性を有しているためと考えられる。
【0079】
(比較例1)
本比較例として、以下のように変更した以外は実施例1と同様にして光増幅器を得た。
【0080】
まず、NbドープSrTiO3(100)ウエハ(基板10)上へ膜厚2.3μmのPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次に膜厚2.3μmのEr1.0モル%、Yb0.15%:Pb(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0、y=0.52)スラブ型光導波路層14を固相エピタキシャル成長した。続いてスラブ型光導波路層14(Er、YbドープPZT光導波路層)を深さ1.2μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成し、さらに膜厚1.0μmのSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0081】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、導波路損失を補償するに満たない増幅効果のため、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは得られなかった。
【0082】
(比較例2)
本比較例として、以下のように変更した以外は実施例1と同様にして光増幅器を得た。
【0083】
まず、NbドープSrTiO3(100)ウエハ(基板10)上へ膜厚2.3μmのPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次に膜厚2.3μmのEr3.5モル%、Yb12.0モル%:Pb(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0、y=0.52)スラブ型光導波路層14を固相エピタキシャル成長した。続いてスラブ型光導波路層14(ErドープPZT光導波路層)を深さ1.2μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成し、さらに膜厚1.0μmのSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0084】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長3cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、Erによる1.55μm付近の吸収による導波路損失の増加と不十分な増幅効果とによって、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは得られなかった。
【0085】
(実施例2)
本実施例として、以下のように変更した以外は実施例1と同様にして光増幅器を得た。
【0086】
まず、NbドープSrTiO3(100)ウエア(基板10)上へ膜厚2.4μmのPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.09、y=0.65)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次に膜厚2.8μmのEr1.0モル%、Yb5.0モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.03、y=0.52)スラブ型光導波路層14を固相エピタキシャル成長した。続いてスラブ型光導波路層14(ErドープPZT光導波路層14)を深さ1.0μm、幅3.0μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成し、さらに膜厚1.0μmのSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0087】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは9dB又は4.5dB/cmが得られた。また、このドープ組成の場合、Cバンド及びLバンドに渡って平坦な増幅効果が得られた。
【0088】
(実施例3)
本実施例では、以下に示すようにして、図9及び図10に示すリブ型光導波路層を用いた光増幅器を作製した。図9及び図10に示す光増幅器100は、基板10の上にバッファ層12、スラブ型光導波路層14、チャンネル状光導波路層16を順次設け、チャンネル状光導波路層16上にクラッド層18を設けたものである。
【0089】
組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、NbドープSrTiO3(100)ウエハ(基板10)上へ膜厚2.0μmのPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次に膜厚2.0μmのYb6.0モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.06、y=0.61)スラブ型光導波路層14を固相エピタキシャル成長した。
【0090】
さらに、膜厚1.0μmのPb1−x Lax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のクラッド層18を固相エピタキシャル成長し、スラブ型光導波路層14に対し、深さ1.7μm、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成した。なお、この際、クラッド層18もエッチングを施し、パターニングした。
【0091】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、ポンプ光60mWにおける1.55μmシグナル光のネットゲインは4dB又は2.0dB/cmが得られた。このように、YbがErよりも導波路損失に対する影響が少ないのは、Ybによる吸収が1.0μm付近にあるためと考えられる。
【0092】
(実施例4)
本実施例では、以下に示すようにして、図11及び図12に示すリブ型光導波路層を用いた光増幅器を作製した。図11及び図12に示す光増幅器100は、基板10の上に第一のバッファ層12A(スラブ型バッファ層)、第二のバッファ層12B(スラブ型バッファ層上にチャネル型バッファ層が設けられた凸状バッファ層)、チャンネル状光導波路層16を順次設け、チャンネル状光導波路層16上にクラッド層18を設けたものである。
【0093】
Siウエハ(基板10)上へ第一のバッファ層12AとしてMgOをイオンビームスパッタリング法によってエピタキシャル成長を行った。その後、組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、第二のバッファ層12BとしてEr0.5モル%、Yb0.2モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)を固相エピタキシャル成長し、次にEr0.5モル%、Yb0.2モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.06、y=0.61)スラブ型光導波路層を固相エピタキシャル成長した。さらに、Er0.5モル%、Yb0.2モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.04、y=0.78)のクラッド層18を固相エピタキシャル成長した。
【0094】
そして、スラブ型光導波路層に対し、幅2.8μmにICPエッチングを行い、直線状リブ型チャンネル状光導波路層16を形成した。なお、この際、第二のバッファ層12及びクラッド層18もエッチングを施し、パターニングした。
【0095】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として0.98μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、効率的なネットゲインが得られた。また、このドープ組成の場合、Cバンド又はLバンドにおいて平坦な増幅効果が得られた。
【0096】
(実施例5)
本実施例では、以下に示すようにして、図13及び図14に示すリブ型光導波路層を用いた光増幅器を作製した。図13及び図14に示す光増幅器100は、基板10の上にバッファ層12、チャンネル状光導波路層16を順次設け、バッファ層12及びチャンネル状光導波路層16を覆うようにクラッド層18を設けたものである。図13及び図14に示す光増幅器100では、バッファ層12上でチャンネル状光導波路層16を湾曲させて巻き回して配設している。
【0097】
組成を変更した以外は実施例1と同様にして、サファイアウエハ(基板10)上へPb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.28、y=0)のバッファ層12を固相エピタキシャル成長し、次にYb11.0モル%:Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(x=0.03、y=0.52)スラブ型光導波路層を固相エピタキシャル成長した。
【0098】
続いてスラブ型光導波路層(YbドープPZT光導波路層)に対し、ICPエッチングを行い、全長約10cmとなる曲線状に配置された埋め込み型チャンネル状光導波路層16を形成し、さらにSiO2クラッド層18をスパッタリングにて形成した。
【0099】
この後、ウエハを切断後、光の入出射端面を研磨し、チップ長2cmの光増幅器として完成した。このチップのコアへシグナル光として1.55μm、ポンプ光として1.48μmのレーザを導入し、ポンプ光出力対に対する1.55μmシグナル光強度を測定したところ、実施例1及び2と比べると劣るものの、効率的なネットゲインが得られた。また、このドープ組成の場合、Cバンド及びLバンドに渡って平坦な増幅効果が得られた。
【0100】
以上から、上記各実施例では、高速、低駆動電圧、低消費電力、小型の特性を有するPLZT光導波路デバイスとの集積化をはじめ、光増幅器ユニットの小型化、ならびに、複数の光増幅器ユニットを集積又は一体化、各種の変調器、スイッチ、分波器などを集積化したより小型で高機能なデバイスのモジュール化に必要な、PLZTへ希土類元素を添加した導波路状の小型で高効率な光増幅器が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】Er及びYbドープPLZTエピタキシャル膜における蛍光パターンを示す図である。
【図2】Er及びYbドープPLZTエピタキシャル膜におけるYbドープ量に対する蛍光強度を示す図である。
【図3】Er及びYbドープPLZTエピタキシャル膜におけるErドープ量に対するrms表面粗さを示す図である。
【図4】本発明の光増幅器の一例を示す概略斜視図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】Er、YbドープPLZTエピタキシャル膜におけるYbドープ量に対する光損失及び光ゲイン(グロスゲイン、ネットゲイン)を示す図である。
【図7】実施例1で得た光増幅器を示す概略斜視図である。
【図8】図7のB−B断面図である。
【図9】実施例3で得た光増幅器を示す概略斜視図である。
【図10】図9のC−C断面図である。
【図11】実施例4で得た光増幅器を示す概略斜視図である。
【図12】図11のD−D断面図である。
【図13】実施例5で得た光増幅器を示す概略平面図である。
【図14】図13のE−E断面図である。
【符号の説明】
【0102】
10 基板
12 バッファ層
14 スラブ型光導波路層
16 チャンネル状光導波路層
18 クラッド層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)を含んで構成される光導波路層であって、Yb(イットリビウム)がドープ量0.2モル%以上、11.0モル%以下でドープされ、且つエピタキシャル成長によって形成される単結晶膜からなる光導波路層を有することを特徴とする光増幅器。
【請求項2】
前記光導波路層には、Er(エルビウム)がドープ量3.0モル%以下ドープされていることを特徴とする請求項1に記載の光増幅器。
【請求項3】
前記光導波路層と共に、バッファ層及びクラッド層を有し、
当該光導波路層、前記バッファ層及び前記クラッド層は、互いに異なる組成のPLZTを含んで構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の光増幅器。
【請求項4】
前記光導波路層は、チャンネル状光導波路層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光増幅器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光増幅器を製造する光増幅器の製造方法であって、
基板上に、光導波路層前駆体としてアモルファス膜を形成するアモルファス化工程と、
前記アモルファス膜を加熱して結晶化し、エピタキャシャル成長によって光導波路層を形成する結晶化工程と、
を有することを特徴とする光増幅器の製造方法。
【請求項6】
前記アモルファス膜又は前記光導波路層の少なくとも1部に対し、エッチングを施し、チャンネル状光導波路層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の光増幅器の製造方法。
【請求項7】
前記アモルファス化工程は、前記基板上に光導波路層前駆体溶液を塗布して、加熱することによりアモルファス膜を形成するアモルファス化工程であることを特徴とする請求項5に記載の光増幅器の製造方法。
【請求項1】
Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(PLZT:0<x<0.3、0<y<1.0)を含んで構成される光導波路層であって、Yb(イットリビウム)がドープ量0.2モル%以上、11.0モル%以下でドープされ、且つエピタキシャル成長によって形成される単結晶膜からなる光導波路層を有することを特徴とする光増幅器。
【請求項2】
前記光導波路層には、Er(エルビウム)がドープ量3.0モル%以下ドープされていることを特徴とする請求項1に記載の光増幅器。
【請求項3】
前記光導波路層と共に、バッファ層及びクラッド層を有し、
当該光導波路層、前記バッファ層及び前記クラッド層は、互いに異なる組成のPLZTを含んで構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の光増幅器。
【請求項4】
前記光導波路層は、チャンネル状光導波路層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光増幅器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光増幅器を製造する光増幅器の製造方法であって、
基板上に、光導波路層前駆体としてアモルファス膜を形成するアモルファス化工程と、
前記アモルファス膜を加熱して結晶化し、エピタキャシャル成長によって光導波路層を形成する結晶化工程と、
を有することを特徴とする光増幅器の製造方法。
【請求項6】
前記アモルファス膜又は前記光導波路層の少なくとも1部に対し、エッチングを施し、チャンネル状光導波路層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の光増幅器の製造方法。
【請求項7】
前記アモルファス化工程は、前記基板上に光導波路層前駆体溶液を塗布して、加熱することによりアモルファス膜を形成するアモルファス化工程であることを特徴とする請求項5に記載の光増幅器の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−192829(P2008−192829A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25691(P2007−25691)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【Fターム(参考)】
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