説明

光変調器および光変調方法

【課題】多少の波形歪みがある2値信号を用いて駆動された場合でも、高品質な光8相PSK信号を生成する。
【解決手段】第1のマッハツェンダ変調器、第2のマッハツェンダ変調器および第3のマッハツェンダ変調器は2値信号で駆動され、位相シフタには、第1のマッハツェンダ変調器の出力光と第2のマッハツェンダ変調器の出力光との位相差が(180×n(nは整数)+90)度になる電圧が印加され、第3のマッハツェンダ変調器のαパラメータが+0.25または−0.25である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量信号を光伝送するための多値変調変調光信号を生成する光変調器および光変調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信システムは、大容量の情報を効率的に通信することができる利点を有する重要な技術である。光ファイバ通信システムが効率的な情報伝送を行える主な理由は2つある。第1の理由は、伝送路となる光ファイバの低損失特性によって、伝送に伴う信号の減衰損失が少なくなることである。その結果、長距離伝送に必要な中継装置を削減できるという利点が生ずる。第2の理由は、時分割多重を行うことによって、光信号の送受信に必要とするハードウェアが削減できることである。その結果、同一容量を伝送するのに必要なコストを下げることができるという利点が生ずる。第2の理由による利点は、インターネットの普及による通信容量の増大に対して特に有効である。例えば、商用のシステムとして、1波長あたり10Gb/sを伝送するシステムが運用され、最近では1波長あたり40Gb/sを伝送するシステムの運用が開始されている。
【0003】
さらなる情報通信の大容量化に対応すするために、より多くの信号を多重することができる超高速光信号の伝送技術が求められている。その要求に対して、100Gbps級(100Gb/s程度)やそれ以上の速度の信号伝送に関する研究開発が盛んに進められている。
【0004】
1波長あたり10Gbpsまでの信号を伝送する光ファイバ通信システムでは、信号の生成と検出が容易なNRZ(Non-Return-to Zero)方式が広く用いられている。NRZ方式は、ディジタル値(2値)を、光のON(オン)とOFF(オフ)に符号化して伝送する方式である。
【0005】
NRZ方式によって超高速伝送を行う場合に、主として2つの課題がある。第1の課題は、光ファイバが有する分散によって波形劣化が生ずることである。光ファイバの波長分散や偏波分散の影響による波形歪は、信号速度が上昇するに従って、より深刻になる。波長分散や偏波分散によって伝送距離が制限される。具体的には、波長分散によって制限される伝送距離は、信号速度の増大の2乗に反比例して短くなる。また、偏波分散で制限される伝送可能距離は、信号速度に反比例して短くなる。
【0006】
第2の課題は、信号多重を行う電気回路の動作速度限界である。例えば、100Gbpsの信号伝送を行うために、帯域100GHz級の電子回路(正常に処理することが可能な信号の周波数が100GHz級である電子回路、すなわち、100GHz程度の信号を正常に処理できる電子回路)が必要になる。しかし、現状の技術では、経済性に優れるシリコンCMOSで、そのような回路を実現することは難しい。実現するには、InP系の材料を用いた電子デバイス技術が不可欠であるが、そのような技術を用いても、デバイスの動作速度限界に近いため、安定した運用を行うためにはさまざまな技術課題を克服する必要がある。
【0007】
そこで、光の多値変調技術が注目されている。多値位相変調は、光の3つ以上の状態に対して、複数ビットの情報を割り当てる変調技術である。例えば、40Gbps光伝送などにおいて、4相差動位相変調(Differential Quadrature Phase Shift Keying、以下、QPSKという。)が重要技術として注目されている。
【0008】
DQPSKでは、光の4つの位相である0°、90°、180°、270°の状態(以下、シンボルという。)に対して、ディジタルの2ビット(00,01,10,11)を割り当てる。この方式では、2ビットを1シンボルで伝送するので、シンボル速度がビットレートの半分になる。その結果、シンボルを処理する電子回路に必要な帯域は、ビットレートの半分程度でよくなる。例えば、100Gb/sの信号をDQPSKを用いて伝送する場合、シンボルレートが50Gシンボル/sになる。
【0009】
その結果、50Gシンボル/sの信号を処理する電子回路、例えば多重回路や変調器ドライバの帯域は50GHz程度まであればよいことになる。
【0010】
また、シンボルレートがビットレートに対して小さくなることによって、1シンボルの占めるタイムスロットの時間がビットスロット時間の2倍になる。この結果、分散による波形歪の影響を受けにくくなり、分散で制限される伝送距離がNRZなどの2値変調にくらべて長くできるという利点もある。以上の利点を活かし、DQPSK光信号の生成、伝送、検出に関する技術開発が進められている。
【0011】
さらに、光信号の多値数を増加させる変調方式として、8値変調方式が有効な方式である。特に、8相位相シフトキーイング変調方式(以下、8相PSKという。)は、差動検波による簡易な受信も可能な方式として、有効であると考えられる。
【0012】
最も簡単には、光位相変調器に8値の電圧信号を加えることによって、8相PSK信号を生成することができる。光位相変調器は、印加された電圧に比例した位相シフトを光に与えるので、8つの電圧レベルを持ちレベル間の電圧差が等しい駆動信号を光位相変調器に印加すればよい。この生成方法は、単一の変調器で実現できる簡便な方法である。しかし、8値の電圧信号という複雑な駆動信号を生成しなければならないこと、生成信号のレベル間電圧差が波形歪みなどでばらついた場合に、光位相もばらついて品質が劣化するなどの課題があり、数10Gbpsを超える超高速領域では用いることが難しいとされている。
【0013】
この問題を解決するための8相PSK信号の生成方法が、非特許文献1に開示されている。図10は、非特許文献1に示されている8相PSK信号の生成方法を示す説明図である。図10は、非特許文献1におけるFig.1に相当する。入射端1010から入射した光は、等しい光量で2つに分岐される。分岐されたうちの一方には、第1の位相変調器1011で、位相0またはπの2相PSK変調が施される。他方には、第2の位相変調器1012で、やはり位相0またはπの2値変調が施された後、位相シフタ1013で3π/2の位相シフトが与えられる。位相変調が与えられた2つの光は合波されて、出射端1014から出力される。出射端1014では、光の位相が0,π/2,π,3π/2の4状態となる信号が生成される。さらに、位相変調器1015によって、入力電気信号に従って、光の位相を0またはπ/4だけシフトするように変調する。この結果、出力端1016において、光の位相が0,π/4,π/2,3π/4,π,5π/4,3π/2,7π/4の8状態を持つPSK信号を生成することができる。
【0014】
図11は、上記の方式によって生成されたPSK信号のコンスタレーション表示(複素光電界の実部を横軸、虚部を縦軸にとった表示方法)を示す説明図である。図10に示す第1の位相変調器1011で与えられる位相変調は、光電界の複素数平面表示である図11では、位相変調(具体的には、光信号状態)1111のように示される。図10に示す第2の位相変調器1012で与えられる位相変調は、後段の位相シフタ1013で与えられる3π/2の位相シフトを考慮すると、図11では、位相変調1112のように示される。これらを合波すると、4つの信号状態(位相状態)1113が生成される。さらに、位相変調器1015によるPSK変調が加わることによって、4つの位相状態1114が加えられ、変調器の出力端1016において、光8相PSK信号が生成される。なお、例えば特許文献1に示されるように、図10に示す2つの位相変調器1011,1012としてマッハツェンダ変調器を用いることによって、2相PSKをより簡易かつ精度よく施せることが知られている。
【0015】
上記の光8相PSK信号の生成のための変調方式とは異なる方式が、特許文献2に開示されている。特許文献2に開示された方式では、バイナリデータ信号をD−A変換し、m系列およびn系列(m,n≧2)の2組の並列バイナリデータ信号として出力する。そして、m系列およびn系列の並列バイナリデータ信号からそれぞれ2mレベルおよび2nレベルのアナログ信号を生成する。さらに、生成したアナログ信号を、光信号に振幅変調の同相成分を重畳するマッハツェンダ型振幅変調部と光信号に振幅変調の直交成分を重畳するマッハツェンダ型振幅変調部とに、駆動信号として供給する。このとき、生成するアナログ信号を、適切な2mレベルおよび2nレベルのアナログ信号にすることによって、任意の光信号を生成することが可能である。すなわち、8相PSK信号の生成も可能になる。そのような方式によれば、8相PSK信号を生成するのに必要な変調器が1台ですむため、光損失が小さくなる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第2760856号公報
【特許文献2】特開2007−288591号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Ly-Gagnon, D.-S.; Katoh, K.; Kikuchi, K.;,“Coherent demodulation of differential 8-phase-shift keying with optical phase diversity and digital signal processing ”,Lasers and Electro-Optics Society, 2004.LEOS 2004. The 17th Annual Meeting of the IEEE, Volume 2, 7-11 Nov. 2004 Page(s):607 - 608 Vol.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、上記の背景技術では、以下に示す課題がある。第1の課題は、変調器を駆動する信号の振幅歪みによって、生成される光信号の品質がたやすく劣化してしまうことである。例えば、特許文献2に示された光8相PSK信号の生成方法では、同相成分および直交成分への印加信号が2mレベルおよび2nレベルのアナログ信号であることが必要である。アナログ信号の波形が歪んだ場合、光信号の同相成分および直交成分にその歪みがそのまま現れてしまう。その結果、多値信号間の距離が狭まり、品質が劣化してしまう。一般的に、光変調器を駆動する電圧は数V以上と高く、10Gbps級のシンボル速度を持つアナログ信号をこの振幅まで、歪なく増幅することは難しいことが知られている。したがって、振幅歪みによる光信号品質劣化を抑えることが困難になる。
【0019】
第2の課題は、光位相変調器を用いて、2値のディジタル信号で変調を施した場合でも、ディジタル信号の振幅歪みによって、生成される光信号の品質がたやすく劣化してしまうことである。上述したように、第1の課題として、多値の駆動信号を歪みなく増幅することが難しいことから品質が劣化する可能性がある。品質劣化を回避するには、2値のディジタル信号により駆動される光変調部を複数配置すればよい。図10に示された非特許文献1に開示された構成では、複数の光変調部が配置されている。そして、位相変調器1015によって位相振れ幅π/4のPSK変調を施している。しかし、非特許文献1に開示された光変調機では、変調は印加電圧に比例した位相シフトを与える光位相変調器を用いて実現されている。印加電圧に比例した位相シフトを与えるように構成された変調器では、位相シフトを与える電圧からのずれが、そのまま位相シフト量のずれになって現れる。位相シフト量のずれは、生成される光8相PSK信号の品質劣化の直接的な要因になる。品質の高い信号を生成するためには、オーバーシュートやアンダーシュートのない高品質な2値ディジタル信号を用いなくてはならないが、10Gbpsを超えるシンボルレートでそのような歪みがない駆動信号を生成することは容易ではない。
【0020】
そこで、本発明は、多少の波形歪みがある2値信号を用いて駆動された場合でも、高品質な光8相PSK信号を生成することができる光変調器および光変調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明による光変調器は、入射した光を2つに分岐する分岐部と、分岐部で分岐された第1の光を変調するための第1のマッハツェンダ変調器と、分岐部で分岐された第2の光を変調するための第2のマッハツェンダ変調器と、第2のマッハツェンダ変調器に接続され光の位相をシフトする位相シフタと、第1のマッハツェンダ変調器の出力光と位相シフタの出力光とを合波して出力する合波部と、合波部に接続され出力光の位相を変調するための第3のマッハツェンダ変調器とを備え、第1のマッハツェンダ変調器、第2のマッハツェンダ変調器および第3のマッハツェンダ変調器は2値信号で駆動され、位相シフタには、第1のマッハツェンダ変調器の出力光と第2のマッハツェンダ変調器の出力光との位相差が(180×n(nは整数)+90)度になる電圧が印加され、第3のマッハツェンダ変調器のαパラメータが+0.25または−0.25であることを特徴とする。
【0022】
本発明による光変調方法は、入射した光を2つに分岐させる分岐処理と、分岐処理によって分岐された第1の光を第1のマッハツェンダ変調器によって変調する第1変調処理と、分岐処理によって分岐された第2の光を第2のマッハツェンダ変調器によって変調する第2変調処理と、第2変調処理後の光の位相をシフトする移相処理と、第1変調処理による出力光と移相処理による出力光とを合波して出力する合波処理と、合波処理による出力光の位相を第3のマッハツェンダ変調器によって変調する第3変調処理とを実行し、第3のマッハツェンダ変調器のαパラメータを、+0.25または−0.25に設定し、第1のマッハツェンダ変調器、第2のマッハツェンダ変調器および第3のマッハツェンダ変調器を2値信号で駆動し、第1のマッハツェンダ変調器の出力光と第2のマッハツェンダ変調器の出力光との位相差を(180×n(nは整数)+90)度にするための電圧を用いて移相処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数の2値信号で駆動することによって8相PSK信号を発生させる装置において、2値信号に歪みが含まれていても高品質な8相PSK信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】8相PSK信号を生成する本発明による光変調器の基本構成を示すブロック図である。
【図2】光電界の複素平面表示を示す説明図である。
【図3】本発明による光変調器の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図4】本発明による光変調器の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明による光変調器の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図6】光電界の複素平面表示を示す説明図である。
【図7】本発明による光変調器の第4の実施形態を示すブロック図である。
【図8】光電界の複素平面表示を示す説明図である。
【図9】光電界の複素平面表示を示す説明図である。
【図10】背景技術による8相PSK信号の生成方法を示す説明図である。
【図11】光電界の複素平面表示を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、8相PSK信号を生成する本発明による光変調器の基本構成を示すブロック図である。本発明では、特許文献1にも示されているように、マッハツェンダ変調器を2値信号で駆動することによって、2値信号に振幅歪みが生じても精度よい位相0またはπの2相PSK信号を生成させることができる特徴を利用して、3台のマッハツェンダ変調器を用いることを特徴とする。入射端100に入射した光は、第1の分岐部108で等しい強度に2分岐される。そして、一方が第2の分岐部106によってさらに等しい強度に分岐され、それぞれ第1のマッハツェンダ変調器112、第2のマッハツェンダ変調器113によってPSK変調される。
【0026】
第1の位相シフタ118は、第1のマッハツェンダ変調器112の出力と第2のマッハツェンダ変調器113の出力(具体的には、第1の位相シフタ118の出力)との位相差が第1の光合波器107において90°になるように、第2のマッハツェンダ変調器113の出力の位相をシフトする。第1のマッハツェンダ変調器112の出力と第1の位相シフタ118の出力とは、第1の光合波器107によって合波され、出力される。この結果、第1の光合波器107の出力において、4つの位相状態を取る4相PSK変調された信号が生成される。このときの出力光信号の各ビットにおける光電界を、図2に示す光電界の複素平面表示で表すと、4相PSK信号状態は、4つの信号状態201,202,203,204のいずれかになる。
【0027】
また、第1の分岐部108で分岐された他方の光は、第3のマッハツェンダ変調器114によって2相PSK変調される。なお、第2の位相シフタ119は、第3のマッハツェンダ変調器114の出力(具体的には、第2の位相シフタ119の出力)と、第1の光合波器107の出力との位相差が45°になるように、第3のマッハツェンダ変調器114の出力の位相をシフトする。
【0028】
以上のようにして生成された4相PSK信号および2相PSK信号が、第2の光合波器109で合波され、出射端105から出射される。上記のように、4相PSK信号および2相PSK信号の光位相の関係を、図2に示すように45°の相対角度になるようにする。図2において、信号状態201〜204は、4相PSK信号状態を示し、信号状態211,212は、2相PSK信号状態を示す。2つの信号の合波によって、図2に示す8つの光位相状態221,222,223,224,225,226,227,228が生成される。具体的には、各光位相状態は、以下のような組み合わせで生成される。
【0029】
光位相0° (光位相状態221): 4相PSK信号状態201と2相PSK信号状態211の合成
光位相45° (光位相状態222): 4相PSK信号状態202と2相PSK信号状態211の合成
光位相90° (光位相状態223): 4相PSK信号状態201と2相PSK信号状態212の合成
光位相135°(光位相状態224): 4相PSK信号状態202と2相PSK信号状態212の合成
光位相180°(光位相状態225): 4相PSK信号状態203と2相PSK信号状態212の合成
光位相225°(光位相状態226): 4相PSK信号状態204と2相PSK信号状態212の合成
光位相270°(光位相状態227): 4相PSK信号状態203と2相PSK信号状態211の合成
光位相315°(光位相状態228): 4相PSK信号状態204と2相PSK信号状態211の合成
【0030】
なお、合成後の光位相を、光位相状態221を表すベクトルを基準とした場合の、光位相状態221〜228を表すベクトルの位相角の角度表示とした。具体的には、図2に示された各ベクトルの位相から22.5°を引いた値になっている。
【0031】
以上のような処理で、8相PSK信号が生成される。生成される位相の精度は、各マッハツェンダ変調器で生成されるPSK信号の品質、それらを合波する際の相対強度、および位相によって決まる。合波する際の相対強度と位相とを、光分岐部および光合波器の分岐比精度、および位相シフタを適切に制御することによって、高精度に決定することができる、その結果、駆動信号に歪みが生じた場合でも、マッハツェンダ変調器で生成される2相PSK信号の位相精度が影響を受けないようにすることができる。ただし、歪みの程度が大きくなると、出力信号の強度変化歪みが生ずる可能性がある。しかし、マッハツェンダ変調器の非線形な強度変調特性の効果によって、強度変化量の発生量は小さく、強度変化によって発生する位相誤差は、背景技術による位相変調器を用いた場合に比べて大幅に小さい。すなわち、本発明によれば、駆動信号に波形歪みが含まれる場合でも、高品質な8相PSK信号が得られる。
【0032】
実施形態1.
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図3は、本発明による光変調器の第1の実施形態を示すブロック図である。光変調器は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶基板(ニオブ酸リチウム基板)300上に形成される。入射ファイバ301(以下、入射端301という。)から入射された光はニオブ酸リチウム基板300の導波路に結合され、第1のY分岐部回路302で2つに分岐される。分岐比を1:1にする。
【0033】
第1のY分岐部回路302の第1の出力は、さらに第2のY分岐部回路303で2つに分岐される。分岐比を1:1にする。第2のY分岐部回路303の第1の出力は、第1のマッハツェンダ変調器304の入力に接続される。第1のマッハツェンダ変調器304は、入力光を変調する。また、第2のY分岐部回路303の第2の出力は、第2のマッハツェンダ変調器305の入力に接続される。第2のマッハツェンダ変調器305は、入力光を変調する。第2のマッハツェンダ変調器305の出力は、位相シフタ(第1の位相シフタ)308に接続される。
【0034】
位相シフタ308には、2つのマッハツェンダ変調器304,305の出力の位相の第1の合波回路309における位相差が90°になるように、適切な静的電圧が印加される。第1のマッハツェンダ変調器304の出力と位相シフタ308の出力とは、ニオブ酸リチウム基板300上の第1の合波回路309の2つの入力にそれぞれ接続される。第1の合波回路309は、2つの入力光を合波し、出力する。
【0035】
第1のY分岐部回路302の第2の出力は、第3のマッハツェンダ変調器311の入力に接続される。第3のマッハツェンダ変調器311は、入力光を変調する。第3のマッハツェンダ変調器311の出力は、位相シフタ(第2の位相シフタ)313に接続される。位相シフタ313には、第3のマッハツェンダ変調器311の出力(具体的には、位相シフタ313の出力)と第1の合波回路309の出力との位相差が45°になるように、適切な静的電圧が印加される。第1の合波回路309の出力、および位相シフタ313の出力は、ニオブ酸リチウム基板300上の第2の合波回路315の2つの入力にそれぞれ接続される。第2の合波回路315は、2つの入力光を合波し、出力ファイバ(出力端)316から出力する。
【0036】
エンコーダ350は、3ビットの入力のバイナリ信号を適切に分離し、3系統の2値信号を出力する。エンコーダ350の3つの出力が、第1の増幅器3511、第2の増幅器3512および第3の増幅器3513に接続されている。第1の増幅器3511、第2の増幅器3512および第3の増幅器3513は、エンコーダ350の出力を増幅する。そして、増幅器3511,3512,3513の出力信号は、第1のマッハツェンダ変調器304、第2のマッハツェンダ変調器305および第3のマッハツェンダ変調器311を駆動する。
【0037】
第1のマッハツェンダ変調器304、第2のマッハツェンダ変調器305および第3のマッハツェンダ変調器311は、DCバイアスポート306,307,312を備えている。DCバイアスポート306,307,312には、第1の増幅器3511、第2の増幅器3512および第3の増幅器3513からの入力電圧が0のときに消光状態になるような電圧が印加される。
【0038】
次に、図3に示された光変調器の動作を説明する。入射端301から入力された光は、第1のY分岐部回路302で等量の2つの光に分割される。第1のY分岐部回路302からの一方の光は、さらに第2のY分岐部回路303で分岐される。第1のマッハツェンダ変調器304は、第2のY分岐部回路303からの一方の光を変調する。第2のマッハツェンダ変調器305は、第2のY分岐部回路303からの他方の光を変調する。位相シフタ308は、第1のマッハツェンダ変調器304の出力光と第2のマッハツェンダ変調器305の出力光(具体的には、位相シフタ308の出力光)とのうちの一方の位相に対する他方の相対位相が第2の合波回路315において90°になるように、第2のマッハツェンダ変調器305の出力光の位相を調整する。このとき、第1のマッハツェンダ変調器304には、増幅器3511がエンコーダ350からの第1信号をピーク間振幅2Vπに増幅した駆動信号が入力される。また、第2のマッハツェンダ変調器305には、増幅器3512がエンコーダ350からの第2信号をピーク間振幅2Vπに増幅した駆動信号が入力される。また、DCバイアスポート306,307には、増幅器3511,3512からの駆動信号が0のときに消光状態になる電圧が印加される。この結果、第1のマッハツェンダ変調器304および第2のマッハツェンダ変調器305の出力として、それぞれの駆動信号に対応した2相PSK信号が得られる。よって、第1の合波回路309の出力において、4相PSK信号が得られる。
【0039】
また、第1のY分岐部回路302からの他方の光は、第3のマッハツェンダ変調器311で変調される。このとき、第3のマッハツェンダ変調器311には、増幅器3513がエンコーダ350からの第3信号をピーク間振幅2Vπに増幅した駆動信号が入力される。DCバイアスポート312には、増幅器3513からの駆動信号が0のときに消光状態になる電圧が印加される。この結果、第3のマッハツェンダ変調器311の出力として、駆動信号に対応した2相PSK信号が得られる。この2相PSK信号と、第1の合波回路309からの4相PSK信号とが、第2の合波回路515で合波される。このとき、第2の合波回路515において2つの入力光の間の位相差が45°になるように、位相シフタ(第2の位相シフタ)313に印加する電圧を調整する。この結果、第2の合波回路515で合波された光は8つの位相状態を持つ4相PSK信号になる。
【0040】
なお、位相シフタ(第1の位相シフタ)308に印加される電圧は、第1の合波回路309において位相差を90°にするような電圧に限られない。第1の合波回路309において位相差を(180×n(nは0以外の整数)+90)°のいずれかする電圧であっても、位相差を90°にするような電圧を印加した場合と同じ効果が得られる。また、位相シフタ313は、第2の合波回路315において2つの光の位相差を45°にするものに限られない。第2の合波回路315において2つの光の位相差を(90×m(mは0以外の整数)+45)°のいずれかの位相差にするものであっても、位相差を45°にする場合と同じ効果が得られる。
【0041】
実施形態2.
図3に示された第1の実施形態の光変調器では、8相PSK信号が、3台のマッハツェンダ変調器のみで生成する方法が用いられた。しかし、その方法で生成された8相PSK信号は、図2に示された光位相状態221,222,223,224,225,226,227,228からわかるように、光位相状態が異なると、出力強度が異なる。このようなシンボル間の強度差が、シンボル間の違いよる受信感度のばらつきや、光伝送の最中における波形歪みなどの劣化を引き起こすことも考えられる。
【0042】
そこで、第2の実施形態では、シンボル間での強度差を抑える構成が追加される。図4は、本発明による光変調器の第2の実施形態を示すブロック図である。図4に示す第2の実施形態は、図3に示す第1の実施形態に対して、エンコーダ400に第4の出力が設けられている。第4の出力である2値信号は、増幅器3515を介して、強度変調器(光強度変調器)401を駆動する。強度変調器401は、第2の合波回路315からの出力光の強度を変調する。具体的には、シンボル状態が図2に示された光位相状態221,224,225,228である場合には透過強度を小さする。また、光位相状態222,223,226,227である場合には透過強度を大きくする。そのような強度変調器401の動作によって、シンボル間の強度差を極力小さくできる。第2の実施の形態では、第1の実施形態に対して、光変調器の駆動系に強度変調器401等が追加され構成が複雑化するが、シンボル間の強度が揃って、特性を向上させることができる。
【0043】
なお、第2の実施形態では、強度のばらつきを抑えるために強度変調器401が用いられたが、光の強度を制御できるのであれば強度変調器401以外の手段を用いてもよく、例えば、2値の電気信号によって増幅率が可変の光増幅器を用いることもできる。
【0044】
実施形態3.
図5は、本発明による光変調器の第3の実施形態を示すブロック図である。第3の実施形態も、第2の実施形態の場合と同様に、シンボル間での強度差を抑えるための構成を有する。第3の実施形態では、図3に示された第1の実施形態における第3のマッハツェンダ変調器311に代えて、第3のマッハツェンダ変調器502および第4のマッハツェンダ変調器503を用いる。
【0045】
第1のY分岐部回路302で等量の2つの光に分割された第2の出力光は、さらに第3のY分岐部回路501で分岐される。第3のマッハツェンダ変調器502は、第3のY分岐部回路501からの一方の光を変調する。第4のマッハツェンダ変調器403は、第3のY分岐部回路501からの他方の光を変調する。位相シフタ(第2の位相シフタ)506は、第3のマッハツェンダ変調器502の出力光と第4のマッハツェンダ変調器503の出力光(具体的には、位相シフタ506の出力光)とのうちの一方の位相に対する他方の相対位相が第3の合波回路507(第3のマッハツェンダ変調器の出力光と第2の位相シフタの出力光とを合波して出力する第2の合波部に相当)において90°になるように、第4のマッハツェンダ変調器503の出力光の位相を調整する。すなわち、位相シフタ506には、第3のマッハツェンダ変調器502の出力光と第4のマッハツェンダ変調器503の出力光との位相差が90°になるように、適切な電圧が印加される。
【0046】
また、第3のマッハツェンダ変調器502には、エンコーダ500からの第3信号が増幅器3513でピーク間振幅2Vπに増幅された駆動信号が入力される。第4のマッハツェンダ変調器503には、エンコーダ500からの第4信号が増幅器3514でピーク間振幅2Vπに増幅された駆動信号が入力される。DCバイアスポート504,505には、増幅器3513,3514からの駆動信号が0のときに消光状態になる電圧が印加される。この結果、第3のマッハツェンダ変調器502および第4のマッハツェンダ変調器503の出力として、それぞれ駆動信号に対応した2相PSK信号が得られる。よって、第3の合波回路507の出力として、4相PSK信号が得られる。
【0047】
第1の合波回路309からの4相PSK信号および第3の合波回路507からの2相PSK信号は、第2の合波回路315(第1の合波部の出力光と第3の位相シフタの出力光とを合波して出力する第3の合波部に相当)によって合波される。このとき、第2の合波回路315に入力される4相PSK信号および2相PSK信号の光位相の相対関係が45°になるようにする。そのために、第3の合波回路507の出力に接続された第3の位相シフタ508に適切な電圧(光位相の相対関係が45°にするための電圧)が印加される。具体的には、第1の合波回路309からの信号と第3の合波回路507からの信号とが、図6に示すように、45°の角度差を持って合波されるように、第3の位相シフタ508の移相量を調節する。すなわち、第3の位相シフタ50には、第2の合波回路315において第1の合波回路309の出力光と第3の合波回路507の出力光との位相差が45°になるように、適切な電圧が印加される。
【0048】
図6に示す光電界の複素平面表示において、信号状態601〜604は、第1の合波回路309からの4相PSK信号の4相PSK信号状態を示す。信号状態611〜614は、第3の合波回路507からの4相PSK信号の4相PSK信号状態を示す。
【0049】
第3の位相シフタ508の移相量が調整され、第2の合波回路315によって合波がなされると、図6に示す8つの光位相状態221,222,223,224,225,226,227,228が生成される。具体的には、各光位相状態は、以下のような組み合わせで生成される。すなわち、8相PSK信号が、以下の組み合わせにより得られる。
【0050】
光位相0°(光位相状態621): 4相PSK信号状態601と4相PSK信号611の合成
光位相45° (光位相状態622): 4相PSK信号状態601と4相PSK信号612の合成
光位相90° (光位相状態623): 4相PSK信号状態602と4相PSK信号612の合成
光位相135°(光位相状態624): 4相PSK信号状態602と4相PSK信号613の合成
光位相180°(光位相状態625): 4相PSK信号状態603と4相PSK信号613の合成
光位相225°(光位相状態626): 4相PSK信号状態603と4相PSK信号614の合成
光位相270°(光位相状態627): 4相PSK信号状態604と4相PSK信号614の合成
光位相315°(光位相状態628): 4相PSK信号状態604と4相PSK信号611の合成
【0051】
なお、位相シフタ506に印加される電圧は、第3の合波回路507において位相差を90°にするような電圧に限られない。第3の合波回路507において位相差を(180×m(mは0以外の整数)+90)°のいずれかする電圧であっても、位相差を45°にするような電圧を印加した場合と同じ効果が得られる。また、第3の位相シフタ508に印加される電圧は、第2の合波回路315において位相差を45°にするような電圧に限られない。第2の合波回路315において位相差を(90×k(kは0以外の整数)+45)°のいずれかする電圧であっても、位相差を45°にするような電圧を印加した場合と同じ効果が得られる。
【0052】
また、4系統の出力を持つエンコーダ500は、各マッハツェンダ変調器304,305,502,503に対して、上記組み合わせが実現される2値の信号を生成する機能を備えている。また、第1の実施の形態では3台のマッハツェンダ変調器を用いたのに対して、第3の実施形態では、計4台のマッハツェンダ変調器を用いることによって、シンボル間での強度のばらつきを小さくしている。
【0053】
実施形態4.
第3の実施の形態では、4台のマッハツェンダ変調器を用いてシンボル間での強度のばらつきを小さくするようにしたが、4台のマッハツェンダ変調器を用いた場合には、光変調器の小型化や性能安定化の点で課題が生ずる可能性がある。
【0054】
そこで、第4の実施の形態では、3台のマッハツェンダ変調器を用いて、シンボル間での強度ばらつきが少ない8相PSK信号を生成する構成を採用する。図7は、本発明による光変調器の第4の実施形態を示すブロック図である。
【0055】
第4の実施の形態では、PSK変調に用いられるチャープ(強度変調に伴って発生する位相変調成分)が生じないマッハツェンダ変調器に代えて、所定のチャープを生ずるマッハツェンダ変調器701を用いる。具体的には、αパラメータが0.25であるマッハツェンダ変調器701を用いる。なお、マッハツェンダ変調器701よりも入射端301側の構成は、図3に示された第1のY分岐部回路303から第1の合波回路309までの構成と同じになる。マッハツェンダ変調器701を、2値信号によって振幅2Vπで駆動すると、図8に示す光電界の複素平面表示に示されるように、位相が0°の信号状態800と、位相が135°の信号状態801の2状態をとるPSK信号が生成される。この特性を利用するために、図10に示された位相変調器1015をマッハツェンダ変調器701に置き換える。
【0056】
入射端301から入力された光は、第1のY分岐部回路303で等量の2つの光に分割される。一方の光は第1のマッハツェンダ変調器304で変調される。他方の光は第2のマッハツェンダ変調器305で変調される。そして、位相シフタ308は、第1のマッハツェンダ変調器304の出力光と第2のマッハツェンダ変調器305の出力光(具体的には、位相シフタ308の出力光)とのうちの一方の位相に対する他方の相対位相が第1の合波回路309において90°になるように、第2のマッハツェンダ変調器305の出力光の位相を調整する。
【0057】
このとき、第1のマッハツェンダ変調器304には、エンコーダ700からの第1信号を増幅器3511がピーク間振幅2Vπに増幅した駆動信号が入力される。また、第2のマッハツェンダ変調器305には、エンコーダ700からの第2信号を増幅器3512がピーク間振幅2Vπに増幅した駆動信号が入力される。また、DCバイアスポート306,307には、増幅器3511,3512からの駆動信号が0のときに消光状態になる電圧が印加される。この結果、第1マッハツェンダ変調器304および第2のマッハツェンダ変調器305の出力として、それぞれ駆動信号に対応した2相PSK信号が得られる。そして、第1の合波回路309の出力として、4相PSK信号が得られる。
【0058】
図9は、第1の合波回路309の出力の信号状態901,902,903,904を表す光電界の複素平面表示を示す説明図である。
【0059】
第1の合波回路309の出力を、エンコーダ700の出力を増幅した2値信号で駆動されるα=0.25のマッハツェンダ変調器701で変調すると、図9に示すように、信号状態901の信号は入力に応じ信号状態911に変調される。なお、マッハツェンダ変調器701には、エンコーダ700からの第3信号を増幅器3513がピーク間振幅2Vπに増幅した駆動信号が入力される。また、DCバイアスポート702には、増幅器3513からの駆動信号が0のときに消光状態になる電圧が印加される。同様の変調方式で信号状態902,903,904から生成される信号状態912,913,914と合わせて4位相状態が生成され、計8つの信号状態の8相PSK信号が生成される。
【0060】
第4の実施の形態の変調方式では、図8および図9から把握されるように、マッハツェンダ変調器701での2相PSK変調において、位相変化の軌跡が直線的にならず、強度変化に対して、0°または135°からずれた位相状態(信号状態)を生成する。この結果、変調器の駆動波形に含まれる歪に対して生成信号の位相品質が第1〜第3の実施形態の場合よりも劣化しやすい。しかし、光変調器は、3つのマッハツェンダ変調器304,305,701しか含まないので、歪みがない2値信号で変調されれば、シンボル間で強度のばらつきがない信号が生成されるという利点がある。
【0061】
なお、第4の実施形態では、αパラメータが0.25であるマッハツェンダ変調器701を用いて0°と135°の2相PSK変調を得る場合を示したが、αパラメータが−0.25であるマッハツェンダ変調器を用いても、0°と−135°の2相PSK変調が得られ、同等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0062】
100 入射端
105 出射端
106 第2の分岐部
107 第1の光合波器
108 第1の分岐部
109 第2の光合波器
112 第1のマッハツェンダ変調器
113 第2のマッハツェンダ変調器
114 第3のマッハツェンダ変調器
118 第1の位相シフタ
119 第2の位相シフタ
201,202,203,204 信号状態(4相PSK信号状態)
211,212 信号状態(2相PSK信号状態)
221,222,223,224,225,226,227,228 光位相状態
300 ニオブ酸リチウム基板
301 入射ファイバ(入射端)
302 第1のY分岐部回路
303 第2のY分岐部回路
304 第1のマッハツェンダ変調器
305 第2のマッハツェンダ変調器
306 DCバイアスポート
307 DCバイアスポート
308 位相シフタ(第1の位相シフタ)
309 第1の合波回路
311 第3のマッハツェンダ変調器
312 DCバイアスポート
313 位相シフタ(第2の位相シフタ)
315 第2の合波回路
316 出力ファイバ(出力端)
350,400,500,700 エンコーダ
3511,3512,3513,3514,3515 増幅器
401 強度変調器
501 第3のY分岐部回路
502 第3のマッハツェンダ変調器
503 第4のマッハツェンダ変調器
504 DCバイアスポート
505 DCバイアスポート
506 位相シフタ
507 第3の合波回路
508 第3の位相シフタ
601〜604 信号状態(4相PSK信号状態)
611〜614 信号状態(4相PSK信号状態)
621,622,623,624,625,626,627,628 光位相状態
701 マッハツェンダ変調器(チャープを生ずるマッハツェンダ変調器)
702 DCバイアスポート
800,801 信号状態
901,902,903,904,911,912,913,914 信号状態
1010 入射端
1011 第1の位相変調器
1012 第2の位相変調器
1013 位相シフタ
1014 出射端
1015 位相変調器
1111,1112 位相変調(光信号状態)
1113,1114 信号状態(位相状態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を2つに分岐する分岐部と、
前記分岐部で分岐された第1の光を変調するための第1のマッハツェンダ変調器と、
前記分岐部で分岐された第2の光を変調するための第2のマッハツェンダ変調器と、
前記第2のマッハツェンダ変調器に接続され光の位相をシフトする位相シフタと、
前記第1のマッハツェンダ変調器の出力光と前記位相シフタの出力光とを合波して出力する合波部と、
前記合波部に接続され出力光の位相を変調するための第3のマッハツェンダ変調器とを備え、
前記第1のマッハツェンダ変調器、前記第2のマッハツェンダ変調器および前記第3のマッハツェンダ変調器は2値信号で駆動され、
前記位相シフタには、前記第1のマッハツェンダ変調器の出力光と前記第2のマッハツェンダ変調器の出力光との位相差が(180×n(nは整数)+90)度になる電圧が印加され、
前記第3のマッハツェンダ変調器のαパラメータが+0.25または−0.25である
ことを特徴とする光変調器。
【請求項2】
入射した光を2つに分岐させる分岐処理と、
前記分岐処理によって分岐された第1の光を第1のマッハツェンダ変調器によって変調する第1変調処理と、
前記分岐処理によって分岐された第2の光を第2のマッハツェンダ変調器によって変調する第2変調処理と、
前記第2変調処理後の光の位相をシフトする移相処理と、
前記第1変調処理による出力光と前記移相処理による出力光とを合波して出力する合波処理と、
前記合波処理による出力光の位相を第3のマッハツェンダ変調器によって変調する第3変調処理とを実行し、
前記第3のマッハツェンダ変調器のαパラメータを、+0.25または−0.25に設定し、
前記第1のマッハツェンダ変調器、前記第2のマッハツェンダ変調器および前記第3のマッハツェンダ変調器を2値信号で駆動し、
前記第1のマッハツェンダ変調器の出力光と前記第2のマッハツェンダ変調器の出力光との位相差を(180×n(nは整数)+90)度にするための電圧を用いて前記移相処理を実行する
ことを特徴とする光変調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−41291(P2013−41291A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219344(P2012−219344)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2008−30089(P2008−30089)の分割
【原出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】