説明

光変調器

【課題】温度ドリフトが小さく、かつ、電界の印加効率が良い光変調器を提供する。
【解決手段】光変調器は、電気光学効果を有する基板と、前記基板内に形成された光導波路と、前記光導波路の上方に設けられたバッファ層と、前記バッファ層の上方に設けられ、前記光導波路の上部に開口を有する半導電性膜と、前記バッファ層の上方に設けられ、前記半導電性膜と電気的に接触する電極と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、光通信で用いられる光変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
LiNbO3(LN)やLiTaO2基板などの電気光学結晶を用いた光変調器は、結晶基板上の一部にTiなどの金属膜を形成し熱拡散させる、あるいは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換するなどして光導波路を形成した後、光導波路近傍に電極を設けることで形成される。
【0003】
図1は、従来技術によるマッハツェンダ光変調器を示す図である。
図1(A)は、マッハツェンダ光変調器の平面図であり、図1(B)は、図1(A)におけるA−A’断面図である。
【0004】
光導波路は、入射導波路10、平行導波路11−1、11−2、出射導波路12からなり、平行導波路11−1、11−2上に信号電極13、接地電極14が設けられてコプレーナ電極を形成する。
【0005】
LN基板15としてZカット基板を用いる場合は、Z方向の電界による屈折率変化を利用するため、光導波路11の真上に電極13、14を配置する。平行導波路11−1、11−2の上にそれぞれ信号電極13、接地電極14をパターニングするが、平行導波路11−1、11−2中を伝搬する光が信号電極13、接地電極14によって吸収されるのを防ぐために、LN基板15と信号電極13、接地電極14の間にバッファ層16を介する。バッファ層16としては、厚さ0.2〜2μm程度のSiO,TiO,あるいは、これらを混合したものを含む膜等を用いる。
【0006】
バッファ層16と電極13、14の間にSi膜17などの半導電性膜を設け、温度変化時の焦電効果により動作点が変動する現象(温度ドリフト)を抑制する。すなわち、焦電効果によりLN基板15内に自発分極が発生した場合、自発分極によって発生する電荷が作る電界が導波路10、11−1、11−2、12に印加されるため、電極によって印加される電界以外の光への影響が発生し、光変調器の動作点が変動する。そこで、半導電性膜を設けて、自発分極によって生じる電荷の分布を均一にし、この電荷によって発生する電界の影響を低減する。このように、自発分極によって発生する電界の影響を低減することにより、温度ドリフトを抑制することができる。
【0007】
マッハツェンダ光変調器を高速で駆動する場合は、信号電極13と接地電極14の終端を抵抗で接続して進行波電極とし、入力側からマイクロ波信号を印加する。電極13、14の終端に抵抗を接続すると、電極13、14を伝搬するマイクロ波信号は、抵抗で熱に変換され、反射せずに抵抗に吸収される。したがって、電極13、14を伝搬するマイクロ波は、終端で反射されて定在波を形成することなく進行する波として伝搬する。
【0008】
このとき、電界によって平行導波路11−1、11−2の屈折率がそれぞれ+Δna、-Δnbのように変化し、平行導波路11−1、11−2間の位相差が変化するため、マッハツェンダ干渉によって、出射導波路から強度変調された信号光が出力される。電極の断面形状を変化させることでマイクロ波の実効屈折率を制御し、光とマイクロ波の速度を整合させることによって高速の光応答特性を得ることができる。電極の断面形状を変化させると、信号電極13から出て、LN基板15を通って接地電極14にいたる電界と、信号電極13から、空気中を通って接地電極14にいたる電界の比率が変わり、トータルとしてみたマイクロ波の実効屈折率が変化する。
【0009】
また、マイクロ波の進行速度が光の進行速度と大きく違う場合には、信号が伝搬するにつれてマイクロ波と光の間に強弱のずれが大きくなり、マイクロ波が与える変調作用が光の広い部分(進行方向に向かって長い部分)に影響を与える。本来、光を変調する場合には光の”0”と”1”を示す変調部分が狭い範囲に限定されるようにしたいのであるが、その場合には、進行する光の一定の箇所に同じ変調作用が影響を与えるようになるのが好ましい。しかし、光とマイクロ波との進行速度が違うと、マイクロ波の変調作用が光の広い範囲(進行方向に向かって長い部分)にわたって影響を与えてしまい、シンボル間が狭い高速の光信号を生成することが出来なくなる。したがって、光を高速の応答性能を持つ、高速の変調信号とするには、光とマイクロ波の進行速度が近い値となることが好ましい。
【0010】
従来技術においては、電気光学効果を有する基板に光導波路を設けた光変調器において、電極が存在しない部位に導電性膜を形成するものや、SiOのバッファ層を介してSiで形成する半導電性膜を設けるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−54589号公報
【特許文献2】特開平3−202810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図1の従来技術では、Si膜17がバッファ層16の表面全体に形成される。この構成では、光導波路11と電極13、14の間にSi膜17が設けられるので、Si膜17が無い場合と比べて電界の印加効率が悪くなり、駆動電圧が大きくなる。また、Siの屈折率が高いために光の一部がSi膜17に漏れこみ、光の伝搬損失が発生する。
【0013】
図2は、従来技術において、図1の光変調器が持つ問題を回避しようとする試みを説明する図である。
図2(A)は、光変調器の平面図であり、図2(B)〜図2(D)は、図2(A)におけるB−B’断面図を示す。図2において、図1と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0014】
図2(A)、(B)では、電極13、14間のSi膜17を一部のみを残して、他の箇所のSi膜を除去している。これによれば、Si膜17によって印加電圧の印加効率が悪化するのを避けると共に、光がSi膜17に漏れこむことも軽減することができる。また、図2(C)(D)のようにSi膜17と電極13、14を接触させることも行なわれる。Si膜17と電極13、14を接触させることにより、接触させない場合よりも、一部しかSi膜17が無くても、光変調器の表面の広い範囲にわたって、温度ドリフトを抑制する効果が得られる。
【0015】
しかしながら、図2(B)の構成では、温度変化時に発生した電荷がSi膜17で除かれにくくなるため温度ドリフトが大きくなる。更に、図2(C),(D)のように、Si膜17と電極13、14を接触させるようにする場合には、製造工程において、Si膜17を形成するためのマスクと、電極13、14を形成するためのマスクの位置決めを非常に精度よく行なわなくてはならず、マスクの製造が難しいという問題がある。また、マスクが精度良く作れたとしても、これらのマスクを使って実際のSi膜17と電極13、14を形成する場合にも、Si膜17と電極13、14がずれてしまう場合も発生し、製造歩留まりが悪くなるという問題もある。
【0016】
以下の実施形態では、温度ドリフトが小さく、かつ、電界の印加効率が良い光変調器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下の実施形態の一側面における光変調器は、電気光学効果を有する基板と、前記基板内に形成された光導波路と、前記光導波路の上方に設けられたバッファ層と、前記バッファ層の上方に設けられ、前記光導波路の上部に開口を有する半導電性膜と、前記バッファ層の上方に設けられ、前記半導電性膜と電気的に接触する電極とを備える。
【0018】
以下の実施形態の別の側面における光変調器は、電気光学効果を有する基板と、前記基板内に形成された光導波路と、前記光導波路の上方に設けられたバッファ層と、前記バッファ層の上方に設けられ、第1の半導電性膜と、前記光導波路の上部に設けられ、前記第1の半導電性膜よりも厚さが薄い第2半導電性膜と、前記バッファ層の上方に設けられ、前記第1および第2の半導電性膜と電気的に接触する電極とを備える。
【発明の効果】
【0019】
以下の実施形態によれば、温度ドリフトが小さく、かつ、電界の印加効率が良い光変調器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来技術によるマッハツェンダ光変調器を示す図である。
【図2】従来技術において、図1の光変調器が持つ問題を回避しようとする試みを説明する図である。
【図3】本実施形態の第1の構成例を説明する図(その1)である。
【図4】本実施形態の第1の構成例を説明する図(その2)である。
【図5】本実施形態の第2の構成例である、分極反転を用いた低チャープ変調器を示す図である。
【図6】本実施形態の第3及び第4の構成例を示す図である。
【図7】本実施形態をマッハツェンダ変調器以外の光変調器に適用した構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図3及び図4は、本実施形態の第1の構成例を説明する図である。
図3(A)は、本実施形態に従ったマッハツェンダ光変調器の平面図であり、図3(B)は、B−B’断面図であり、図3(C)は、A−A’断面図であり、図3(D)は、C−C’断面図である。また、図4は、Si膜の存在する部分と取り除いた部分の比率の決定手法を説明する図である。
【0022】
本実施形態では、例えば図3(A)にあるように、Si膜22の複数個所に開口部21を設けて、Si膜22が複数の部分で電極20(電極20は、3つに分かれた電極の総称である)とバッファ層23に挟まれる、すなわち、Si膜22と電極20が複数の部分で接触するようにする。Si膜22を部分的に開口させる(例えば、導波路上のSi膜を複数の部分で取り除く)ことにより、Si膜22による電界の印加効率の悪化を軽減する。また、Si膜22を複数の部分で電極20と接触するようにすることにより、Si膜22が図3の光変調器の表面の全面に渡って導通するようにする。これにより、Si膜22は、LN基板24内で焦電効果により発生する自発分極の影響を光変調器の表面の全面に渡って平均化することができる。焦電効果により発生する自発分極は、場所により異なる発生の仕方をする場合に、変調動作が不均一になるという悪影響を与える。したがって、本実施形態によれば、自発分極の影響を光変調器の全面に渡って平均化されるため、変調動作への悪影響を軽減し、よって、温度ドリフトの発生を小さくすることができる。
【0023】
図3(C)の断面A−A’では、Si膜22が電極20とバッファ層23に挟まれ、図3(B)の断面B-B’では、導波路上方のSi膜22が除かれる。温度変化時に焦電効果により発生した電荷は、Si膜22が電極20と接触している断面A−A’の部分(図3(C))で除かれ、温度ドリフトは抑制される。また、断面B-B’の部分(図3(B))があることによって、電極20の電界がSi膜22によって邪魔されないため、駆動電圧が下がるとともに光の損失も低減する。すなわち、温度特性の改善と駆動電圧の低減および光の損失低減を同時に行うことができる。
【0024】
以上の図3(A)にあるように、電気光学効果を有するLN基板24に光導波路25が設けられ、LN基板24上方にバッファ層23を介してSiなどの半導電性膜22が設けられ、その上に電極20が設けられる。半導電性膜22が光導波路25上方に開口部21を有し、半導電性膜22が複数の箇所で電極20とバッファ層23に挟まれて、電極20と接触する。図3(A)では、半導電性膜(Si膜22)が光導波路25上方にある部分とない部分が、光導波路25の伝搬方向で交互に配置されている。
【0025】
この構成によって、温度ドリフトが小さく、かつ、電界の印加効率が良い光変調器を提供することができる。また、この構成は製造性についても利点を有する。なお、図3(A)では、半導電性膜22の上に電極20が設けられた構成について示したが、電極20は、半導電性膜22上でなくバッファ層23上に形成された状態で、半導電性膜22と電気的に接触させる構成としても良い。
【0026】
図2の従来構成では、製造の際にはSi膜と電極のマスクを厳密に合わせる必要があり、マスクがずれてSi膜と電極が離れてしまうと温度ドリフトは劇的に劣化する。すなわち、製造歩留まりが悪化する。
【0027】
一方で、本実施形態のB-B’断面は、図3(B)のようになる。図3(B)に示すように、光導波路25の幅方向におけるSi膜22の開口幅を、光導波路25の幅よりも大きくなるようにする。製造時の位置あわせ精度に応じて、光導波路25上にSi膜22がかからないようにSi膜22の開口幅を設定することが好ましい。C-C’断面は図3(D)のようになる。Si膜22のパターンに対し、電極20のパターンが図3(D)の左右方向にずれても、電極20とSi膜22の接触面積は大きくは変化しないため、パターンずれによる温度特性の劣化は起こらない。
【0028】
図4は、開口部の大きさの比率の決定の仕方について説明する図である。
図4(1)は、横軸に開口部の面積の比率、縦軸に駆動電圧をとって、電極へ印加する駆動電圧の開口部の面積比率に対する変化の様子を示した図である。図4(2)は、横軸に開口部の面積の比率、縦軸にSi膜の抵抗値をとって、抵抗値の開口部の面積比率に対する変化の様子を示した図である。
【0029】
図4(1)、図4(2)から分かるように、開口部の大きさの面積比率を大きくすると、駆動電圧は下がり、抵抗値は上昇する。駆動電圧を下げるためには、開口部の比率を大きくしたほうがよく、温度特性を安定化させるためには、半導電性膜(Si膜)の抵抗値を下げたほうが良いので、両者の間にトレードオフが存在する。
【0030】
開口部の大きさの面積比率を決定するには、こうしたトレードオフを考慮して行なう必要がある。開口部の大きさの面積比率を変えた場合に駆動電圧及び抵抗値がどのように変化するかを把握し、目標とする駆動電圧、抵抗値を定めた上で、開口部の面積比率を決定する。
【0031】
光強度変調器ではマッハツェンダ光変調器の構成がとられ、マッハツェンダ光変調器を構成する2つの光導波路間に発生する電荷を効率良く除去することが重要である。そこで、光導波路がマッハツェンダ変調器を形成し、マッハツェンダ変調器を構成する2つの導波路間の半導電性膜(Si膜)が複数の箇所で電極とバッファ層に挟まれるようにする。
【0032】
図5は、本実施形態の第2の構成例である、分極反転を用いた低チャープ変調器を示す図である。
図5において、点線で囲まれた部分が分極反転領域である。図5のように、光導波路25間を電極20(電極20は、3つの部分からなる電極の総称である)が横切る場合は、半導電性膜(Si膜)22が電極20と接触する部分と接触しない部分(開口部)が、光導波路25の伝搬方向で交互に配置されるようにすれば、光導波路25上にSi膜がなくてもSi膜と電極を接触させることができるので、電界の印加効率を向上できると共に、光エネルギーの漏れ出しによる損失を低減できる。
【0033】
焦電効果により発生した電荷は、Si膜22を通って電極20から電極20へと移動するので、電極20間をつなぐSi膜22から離れた部分があると、その付近で局所的に強い電界が生じ、温度特性を劣化させてしまう。そこで、開口部21が複数の部分に分かれているようにして、光導波路25付近に電荷が残らないように注意する。電界の印加効率の向上と、光エネルギーの漏れ出しによる損失の低減のためには光導波路25上方のSi膜22が少ないほど良いが、少なすぎると温度ドリフトが劣化するので、半導電性膜(Si膜)22の抵抗値がバッファ層の抵抗値よりも小さい範囲でSi膜22を設ける領域の形状や面積を調整する。光の損失と駆動電圧はトレードオフの関係にあり、バッファ層を薄くすれば駆動電圧が、厚くすれば光の損失が低減する。図2の従来構成ではバッファ層の役割として損失低減が重視されたが、本実施形態による損失低減効果により、損失低減のためのバッファ層の役割が軽減されるので、バッファ層の厚みを1μm以下であるようにして、駆動電圧の低減効果を得ることが望ましい。
【0034】
本実施形態では、従来よりもSi膜の幅が狭くなるので、Si膜の剥離が懸念される。また、バッファ層と電極の密着度も重要となる。そこで、電極を、Tiを含む層とAuを含む層とを備える構成とし、例えばTiとAuとの2層構成とする。Auは、抵抗値が小さいので、駆動電圧を印加するのに都合が良いが、Auは、バッファ層との密着が悪く、はがれやすい。そこで、バッファ層との密着度の良いTiを、電極とバッファ層との直接接着面に用いることで、Si膜からの電極の剥離を抑える。
【0035】
本実施形態では、従来よりもSi膜の面積が狭いため、電極間の抵抗が上がって温度特性が劣化する可能性がある。そこで、取り除かれていない部分のSi膜の厚みを0.1μm以上であるようにすることが望ましい。
【0036】
図6は、本実施形態の第3及び第4の構成例を示す図である。
図6(A)の第3の構成例においては、LN基板24、バッファ層23、及び光導波路25を含むチップの側面と裏面(底面)に半導電性膜(Si膜22a)が設けられる。そして、半導電性膜(Si膜)22と22aを導通させるようにする。このように、自発分極が発生するLN基板24を取り囲むように、Si膜22aを設けると、Si膜22aがSi膜22と共に、チップ表面の電荷分布を均一化しようとする。このように、電荷分布を均一化しようとする作用のあるSi膜を、チップの表面のみではなく、側面や裏面(底面)に設けることにより、より強力に電荷分布の均一化作用を発生させることにより、自発分極による悪影響をより強力に抑制することができる。また、Si膜22、22aをこのように広い面積で設けることにより、電極間の抵抗の上昇を抑えることもでき、駆動電圧の上昇を抑えることができる。
【0037】
また、図3(D)では、光導波路上にSi膜がある部分と無い部分があり、Si膜の屈折率の影響で、Si膜のある部分とない部分において光のモードフィールドが変化するため、光の散乱損失が発生する可能性がある。そこで、図6(B)の第4の構成例のように、半導電性膜(Si膜)を部分的であっても完全に除去してしまうのではなく、半導電性膜(Si膜)が薄い部分と厚い部分が、導波路の伝搬方向で交互に配置されるようにする。半導電性膜の厚い部分の厚みは、第1の構成例で述べた厚み程度とし、薄い部分は、光のモードフィールドの変化を許容範囲内に抑える程度にする。具体的な半導電性膜の厚さについては、実験等で決定する。Si膜が薄い部分があるので、駆動電圧の上昇を抑える効果があり、厚い部分もあるので、自発分極の発生による動作点の変動(温度ドリフト)を抑えることができる。
【0038】
図7は、本実施形態をマッハツェンダ変調器以外の光変調器に適用した構成例を示す図である。
図7(A)は、平面図であり、図7(B)は、A−A’断面図であり、図7(C)は、B−B’断面図である。
【0039】
図7(A)にあるように、この光変調器は、マッハツェンダ変調器とは異なり、光導波路25が一本のみ設けられている。図7(B)にあるように、LN基板24には、光導波路25が形成され、その上方にバッファ層23が設けられる。更に、バッファ層23の上方に、Si膜(半導電性膜)22が設けられ、その上に電極20が設けられる。そして、図7(C)にあるように、光導波路25に沿って、部分的にSi膜が除去された開口部21が設けられる。開口部21は、複数の部分に分かれており、電極20と半導電性膜(Si膜)22が複数の箇所で接触(導通)するようになっている。開口部21の面積比率は、図4を使って説明したものと同様にして決定する。
【0040】
図7のような光変調器としては、光位相変調器などがある。
【符号の説明】
【0041】
10 入射導波路
11、11−1、11−2 平行導波路
12 出射導波路
13 信号電極
14 接地電極
15、24 LN基板
16、23 バッファ層
17、22、22a Si膜(半導電性膜)
20 電極
21 Si膜(半導電性膜)の開口部
25 光導波路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、
前記基板内に形成された光導波路と、
前記光導波路の上方に設けられたバッファ層と、
前記バッファ層の上方に設けられ、前記光導波路の上部に開口を有する半導電性膜と、
前記バッファ層の上方に設けられ、前記半導電性膜と電気的に接触する電極と、
を備えることを特徴とする光変調器。
【請求項2】
前記半導電性膜と前記開口とが、前記光導波路に沿って交互に設けられることを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記光導波路の幅方向における前記開口の幅は、前記光導波路の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項4】
前記半導電性膜の抵抗値は、前記バッファ層の抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項5】
前記バッファ層の厚みは、1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項6】
前記電極は、Tiを含む層とAuを含む層とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項7】
前記半導電性膜の取り除かれていない部分の厚さは、0.1μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項8】
前記半導電性膜は、前記基板の側面と裏面にも設けられることを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項9】
前記光導波路は、入射導波路と、平行導波路と、出射導波路とを含み、マッハツェンダ変調器を構成することを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項10】
電気光学効果を有する基板と、
前記基板内に形成された光導波路と、
前記光導波路の上方に設けられたバッファ層と、
前記バッファ層の上方に設けられ、第1の半導電性膜と、
前記光導波路の上部に設けられ、前記第1の半導電性膜よりも厚さが薄い第2半導電性膜と、
前記バッファ層の上方に設けられ、前記第1および第2の半導電性膜と電気的に接触する電極と、
を備えることを特徴とする光変調器。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−37243(P2013−37243A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174304(P2011−174304)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】