説明

光天井照明シェ−ド及び、非常灯機能を有する光天井照明システム及び、その非常灯照明方法

【課題】 各種模建造物の天井、エレベータかご内の天井、鉄道車両内の天井に用いる光天井照明シェ−ドにおいて、停電時に非常灯照明機能を有し、蓄光発光を利用しながら、それでいて白色蛍光灯に近い照明光を放ち、かつ長時間持続可能な光天井照明シェ−ド、その照明システム、及びその照明方法の提供。
【解決手段】 本発明の光天井照明シェ−ド(1)、及び光天井照明シェ−ドシステム(10)は、繊維布帛(3)を基材として、その片面以上に、光伝搬性透光樹脂層(4)を設け、かつ、繊維布帛(3)と光伝搬性透光樹脂層(4)との間に、蛍光増白化合物を含む蓄光発光層(5)を設けてなる光拡散性積層体(2)を用い、この光拡散性積層体(2)の端部断面に対向して近紫外線発光ダイオード(6)を配列した照明システムとすることにより、停電時に発光ダイオード(6)をバッテリー発光させて、光伝搬性透光樹脂層(4)の端部断面から照射することによって、蓄光発光層(5)全面を白色蛍光発光させ、これを非常灯照明とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井材と照明シェードの機能を兼備する光天井照明シェ−ドと、その照明方法に関するものであり、更に詳しくは、ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設など、大規模施設の光天井照明シェ−ドに用いる積層体、及び、これら大規模施設に設備されるエレベータかご内の光天井照明シェ−ドに用いる積層体、更には鉄道車両内の光天井照明シェ−ドに用いる積層体に関するものであり、さらに、これらの用途にける停電時の非常灯機能システムと、その非常灯照明方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設などの大規模施設では膨大な数の照明を必要とする。例えば高級ホテルのエントランス・パーテイ会場、冠婚葬祭式場などの絢爛性や荘厳性を備えた室内装飾では、シャンデリアや間接照明等を使用している。またオフィス天井における照明は、蛍光灯ユニットが1〜1.5m間隔で縦横に過密配置されるものが一般的であり、これは室内照度の均一性と蛍光灯交換の容易性を重視したデザインである。また、ステーションビル・空港内、地下街通路、大型商業施設などの施設においては、より洗練された快適空間を演出するために天井照明設備自体を露出させない空間デザインを取り入れたりするなど、施設の目的や機能に応じてその照明設備のデザインは様々である。
【0003】
天井照明設備自体を露出させない空間設計の一般例としては、光拡散性を有するアクリル樹脂板等を大型照明シェードとするものであり、これにより蛍光灯の裸発光を照明シェードにより柔らかな発光に置き換えているが、それでも照明部分と非照明部分とが混在した煩雑な外観のままであった。最近、天井に従来のように蛍光灯を多数配置し、天井のほぼ全面を照明シェード化した光天井の導入が進んでいる。光天井は例えば、長尺のガラスクロスを基材とすることで大型天井の不燃施工に融通し、またガラスクロスは、それ自体の持つ光拡散性と蛍光灯隠蔽性が照明シェードとして最適な材料である。この光天井照明によって、明るく、瀟洒な照明空間を演出するのみならず、ガラスクロスの不燃性による火災対策の信頼性をより高いものとしている。一方、高層ホテル、中・高層ビル、大型商業施設などのエレベータかご内においても天井照明をより明るくし、尚且つ火災対策を配慮した設計が望まれている。照明効果や火災対策については新幹線車両や地下鉄車両においても同様の要求がある。
【0004】
ところで、建築物や施設では停電に備えて非常灯、避難誘導灯、誘導表示板などを設置している。しかし、非常灯や誘導灯は点在的設置であり、その効果は薄暗い中で近辺の視界が効く程度である。そうであるから災害時の停電の際には、群衆が冷静な避難行為を実行するための充分な安全環境が必ずしも確保されていないのである。であるから特にパニック誘発の心配の大きいエレベータの停電においては非常照明灯が重要であるが、長時間点灯の持続性を重視するため、元の照明よりも薄暗いのが現状である。また新幹線車両の夜間運行時の停電、トンネル内での停電、地下鉄車両の停電においても、非常灯による照明は元の照明に較べて薄暗く、このような停電環境での長時間拘束はエレベータ内や鉄道車両内に足止めされた人々に精神的苦痛を強いるものである。
【0005】
そのため、例えば、特開平10−087202号公報(特許文献1)では、エレベータかご内での停電時の非常照明として、室内照明装置における照明光を透過する照明カバーまたは照明光を反射する反射体の内部または表面部に蓄光材を設けたり、乗りかごの天井、側板、幕板、ドア内側面、床面や操作盤などに蓄光材を設け、非常電源を用いることなく蓄光発光による照度を得るという提案がされている。しかし蓄光材は経時的に発光輝度が減衰するため、停電により長時間エレベータかご内に閉じ込められるような事例には不適切である。この問題を解決する手段として、特開2008−150124号公報(特許文献2)では、かご内にバッテリー内蔵の停電灯と蓄光樹脂とを併用し、停電灯と蓄光樹脂とを互いに補完発光させることによって、停電時のかご内照度を長時間確保する方法が提案されている。確かに特許文献2の方法によると停電時のかご内の長時間照明が可能であるが、蓄光輝度の低下時に停電灯を点灯すると同時に蓄光樹脂に光エネルギーを蓄えた後、停電灯を消灯して蓄光照明を繰り返すような照明環境の繰り返しでは、エレベータかご内に閉じ込められた人々に長時間の精神的ストレスを与える恐れがある。
【0006】
また停電時にも表示可能な内照式看板として、特開2008−180989号公報(特許文献3)では、表示部の背後に蓄光性プレートを有する面発光体を設けた内照式サインが提案されているなど、その他、住居空間や日用雑貨の至るところの分野において蓄光物質の燐光発光性を利用しての、災害時・停電時の非常灯、避難誘導板、道標、目印などの危機管理商品としての発明が多数提案されている。しかし、そのほとんどが蓄光物質の青や緑の燐光発光色をそのまま商品に利用しただけであるため、家電のリモコンや蛍光灯のスイッチにおける目印表示であれば存在が気になるものではない。しかし、蓄光発光を照明代わりに意図しての大型化において、例えば、屋外内照式大型看板や、建築物の天井材・壁材・床材など、大型面積で蓄光発光物質を使用した場合、青や緑の冷ややかな燐光発光色では、暗闇の中に長時間残された人々の不安感を増長する恐れがある。例えば特許文献3の内照式看板では、蓄光物質特有の青や緑の燐光発光色を緩和する方法として、看板の表示部と、裏面に設置する蓄光性プレートとの設置間隔を設けることが提案されているが、この方法では看板表示部から観察する蓄光発光輝度の低下は免れない。従って蓄光物質を用いた停電時発光システムにおいては、蓄光発光色自体が明るい白色光(蛍光灯の色)で得られれば、ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設など、大規模施設、及びエレベータかご内、さらには鉄道車両内の天井材、光天井照明シェードなどの非常照明灯機能として飛躍的に用途拡充が期待される。しかしながら蓄光物質の青や緑の燐光発光色を白色に変換し、尚且つ長時間の発光持続可能である光天井照明シェ−ド用の積層体は未だ提案されていなかった。
【0007】
【特許文献1】特開平10−087202号公報
【特許文献2】特開2008−150124号公報
【特許文献3】特開2008−180989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、通常は大規模建造物、一般建築物、及び各種施設などの天井、またエレベータかご内の天井、及び鉄道車両内の天井に適して用いる光天井照明シェ−ドにおいて、停電時には、蓄光発光性物質による天井照明機能を有し、しかも蓄光発光性物質を使用しながら、それでいて白色蛍光灯に近い眩い照明光を放ち、かつ長時間持続可能な光天井照明シェ−ド、その照明システム、及びその照明方法の提供をしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の光天井照明シェ−ドは、1).無着色の繊維布帛を基材として、その片面以上に、光伝搬性透光樹脂層を設け、かつ、繊維布帛と光伝搬性透光樹脂層との間に、蛍光増白化合物を含む蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体とすること、2). 1)に記載の光拡散性積層体の端部断面に対向して発光ダイオードを配列した照明システムとすること、3).1)に記載の光拡散性積層体の端部断面に対向して配列した近紫外線発光ダイオードをバッテリー発光させて光伝搬性透光樹脂層の端部断面を照射することによって、光伝搬性透光樹脂層の全面から近紫外線を面放射させ、これを蓄光発光層全面に照射することによって、白色蛍光発光可能な非常灯機能を備えた光天井照明用に適した積層体が得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明の光天井照明シェ−ドは無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体であって、前記光伝搬性透光樹脂層が、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、さらに前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含むことが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドは前記蛍光増白化合物が、オキサゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベンジスルホン酸誘導体、スチリルビフェニレン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、クマリン誘導体、ナフタル酸誘導体、ヒドロキノリノン誘導体、イミダゾロン誘導体、スピロ化合物誘導体、複素環式化合物置換ピレン誘導体から選ばれた1種以上であることが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドは前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含むことが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドは前記光拡散性積層体が、エレベータかご内天井用であることが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドは前記光拡散性積層体が、鉄道車両内天井用であることが好ましい。本発明の非常灯機能を有する光天井照明シェ−ドシステムは無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、前記光伝搬性透光樹脂層が、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、さらに前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含み、さらに前記光拡散性積層体の端部断面に対向して発光ダイオードが配列されていることが好ましい。本発明の非常灯機能を有する光天井照明シェ−ドシステムは前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含むことが好ましい。本発明の非常灯機能を有する光天井照明シェ−ドシステムは前記光拡散性積層体が、エレベータかご内天井用であることが好ましい。本発明の非常灯機能を有する光天井照明シェ−ドシステムは前記光拡散性積層体が、鉄道車両内天井用であることが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法は無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有する光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用し、さらに前記光拡散性積層体の端部断面に対向して配列した近紫外線発光ダイオードをバッテリー発光させ、前記光伝搬性透光樹脂層の端部断面を照射することによって、前記光伝搬性透光樹脂層全面から近紫外線を面放射し、これによって前記蓄光発光層全面を白色蛍光発光させることが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法は前記蓄光発光層が前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含むことが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法は前記光拡散性積層体がエレベータかご内天井用であることが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法は前記光拡散性積層体が、鉄道車両内天井用であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光天井照明シェ−ド(システム)によれば、通常は天井材と照明シェ−ドの機能を兼備する光天井として、天井全面を均一発光させる外観ムラのない優れた照明効果を発揮し、停電時にはバッテリーによる発光ダイオードの補助併用によって、蓄光発光性物質の燐光発光による照明機能が速やかに起動し、白色蛍光灯に近い眩い照明光を省電力にて長時間放つことを可能とする光天井照明シェ−ドと、そのシステムを提供することができる。従って、本発明の光天井照明シェ−ド(システム)をホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設の天井部をはじめ、エレベータかご内の天井部、更には鉄道車両内の天井部の照明シェードに適用することによって、光天井照明シェード自体を非常灯として作用させるので停電対策として極めて有用、かつ効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の光天井照明シェ−ドは、無色の繊維布帛を基材として、その片面以上に、光伝搬性透光樹脂層を設け、かつ、繊維布帛と光伝搬性透光樹脂層との間に、蛍光増白化合物を含む蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体であり、この端部に発光ダイオードを配列した照明システムである。本発明に用いる光伝搬性透光樹脂層は、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂(PET・PBT)、ビニルエステル樹脂、半〜硬質ポリ塩化ビニル樹脂などからなる厚さ1〜15mm、特に厚さ4〜10mmの透明、または乳濁半透明の熱可塑性樹脂板、あるいは上記熱可塑性樹脂に光拡散性微粒子を配合した樹脂板、白色充填剤(難燃性粉体を含む)を含む光拡散性の樹脂板などであってもよい。本発明においてはアクリル樹脂(メタクリレート樹脂)板、及びポリカーボネート樹脂、半〜硬質ポリ塩化ビニル樹脂からなる合成樹脂板が最も好ましい。
【0013】
また、本発明に用いる光伝搬性透光樹脂層は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、フッ素系共重合樹脂などの熱可塑性樹脂から得られた厚さ、0.1〜0.5mmのフィルム、または0.5〜2.0mmのシートであり、必要に応じて有機系顔料や無機系顔料を少量含んで乳濁半透明化したフィルムまたはシート、あるいは上記熱可塑性樹脂に光拡散性微粒子を配合したフィルムまたはシート、白色充填剤(難燃性粉体を含む)を含む光拡散性のフィルムまたはシートなどであってもよい。
【0014】
本発明の光天井照明シェ−ド用基材として用いる繊維布帛は、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維・ポリブチレンテレフタレート繊維・ポリエチレンナフタレート繊維)、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ガラス繊維などのモノフィラメント糸条、もしくはマルチフィラメント糸条を用いることができ、これらの糸条は100〜1000デニールであり、これら糸条の交絡によって得られる、粗目、目抜け、非目抜け組織の織布、または編布である。これらの繊維布帛を構成するモノフィラメント糸条、及びマルチフィラメント糸条は、光透過性を損なわないように無着色(染料・顔料で着色していない糸条)であることが好ましい。本発明の光天井照明シェ−ドに用いる光拡散性積層体は不燃性付与の観点から、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ガラス繊維などの無機系繊維による空隙率5%以下、目付質量150〜500g/mの非目抜け平織織布を繊維布帛に用いることが好ましい。特に光透過性に優れているガラス繊維織布(目付質量200〜300g/m 、空隙率1%以下の非目抜け平織)を基材として、この1面以上に蓄光発光層を設け、この蓄光発光層上に0.1〜0.5mmの軟質ポリ塩化ビニル樹脂、軟質フッ素樹脂、またはシリコーン樹脂などによる光伝搬性透光樹脂層を、接着剤、または熱ラミネートの手段によって積層して、厚さ0.5〜2.0mm、目付質量400〜2000g/mの光拡散性積層体とすることが不燃性能に関して好ましい。特に軟質ポリ塩化ビニル樹脂層においては、可塑剤、顔料、安定剤、充填剤、難燃剤、耐候安定剤等、公知のPVC用配合剤を任意で添加することができるが、特に酸化アンチモン、酸化モリブデン、水酸化アルミニウム、ハロゲン化有機化合物、縮合リン酸エステル化合物などの難燃剤を含み、得られる光拡散性積層体(光天井照明シェ−ド)が建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合する不燃性を有することが好ましい。また光拡散性積層体(光天井照明シェ−ド)の光透過度はJIS規格 Z8722試験法にて25〜90%、好ましくは50〜90%である。光透過度が25%未満だと暗闇環境で非常照明灯機能が不満足となることがある。
【0015】
また、本発明の光天井照明シェ−ドに用いる光拡散性積層体は、上述の繊維布帛の1面以上に、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂(PET・PBT)、ビニルエステル樹脂、半〜硬質ポリ塩化ビニル樹脂による厚さ1〜15mm、特に厚さ4〜10mmの光伝搬性透光樹脂層を接着して積層して得られる積層体を用いることもでる。特にアルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ガラス繊維などの無機系繊維による空隙率5%以下、目付質量150〜500g/mの非目抜け平織織布を繊維布帛に用い、この1面以上に蓄光発光層を設け、この蓄光発光層上に半〜硬質ポリ塩化ビニル樹脂による光伝搬性透光樹脂層を設けることにより、耐炎性と耐炎貫通性に優れた光天井照明シェ−ドを得ることができる。
【0016】
本発明の光天井照明シェ−ドにおいて、蓄光発光層は、1).繊維布帛/蓄光発光層/光伝 搬性透光樹脂層、2).光伝搬性透光樹脂層/繊維布帛/蓄光発光層/光伝搬性透光樹脂層、3).光伝搬性透光樹脂層/蓄光発光層/繊維布帛/蓄光発光層/光伝搬性透光樹脂層のいずれかの態様として設けることができる。これら1)〜3)の蓄光発光層は、蓄光発光性材料を含有する熱可塑樹脂からなる厚さ、0.01〜2.0mm、好ましくは0.05〜0.5mmの、フィルム、シート、または熱可塑樹脂溶液からなるコーティング組成物による塗工膜(固化物・硬化物)である。熱可塑性樹脂としては、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、フッ素系共重合樹脂などである。蓄光発光層に含む蓄光発光性材料は20〜60質量%であり、蓄光発光層の厚さ設定に応じて、単位面積中に含む蓄光発光性材料の濃度を、薄い膜に対しては高濃度に、厚い膜に対してはやや低い濃度として発光輝度を適宜設定可能である。
【0017】
蓄光発光性粒子としては公知の蓄光性夜光体(蓄光顔料・夜光顔料)粒子で、緑系の燐光発光色タイプ、青系の燐光発光色タイプの粒子が使用できる。青系の燐光発光色タイプとしては、二価金属アルミン酸塩(例えば、アルミン酸ストロンチウム)の母体結晶に、希土類元素を賦活剤として二価の金属に対し、0.001〜10モル%加えた粒子である。二価の金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などであり、希土類元素としてはセリウム、プラセオジム、ネオジム、サマルウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどであり、具体的には、SrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dy、CaAl:Eu,Nd、SrAl141425:Eu,Dy等を例示できるが、特に酸化アルミナストロンチウム(SrAl:Eu,Dy)系の蓄光性夜光体粒子が好ましい。また、硫化カルシウム/ビスマス系[CaS:Bi(紫青色発光)]、硫化カルシウム・ストロンチウム/ビスマス系[CaSrS:Bi(青色発光)]、硫化亜鉛/銅系[ZnS:Cu(緑色発光)]、硫化亜鉛・カドミウム/銅系[ZnCdS:Cu(黄色〜橙色発光)]等の硫化物系蓄光性蛍光体も使用することができる。
【0018】
また、本発明の光天井照明シェ−ドにおいて、蓄光発光層の発光輝度をより高くするために、蓄光発光層には蓄光発光性粒子と併用して蛍光増白化合物を含むことが好ましい。蓄光発光層に蛍光増白化合物を含むことによって相乗的に発光輝度が高くなると同時に、蓄光発光性粒子そのものの燐光発光色が緑や青であるにもかかわらず、近紫外線の補助照射条件によって蓄光発光層を白色蛍光に発光させることを可能とする。蛍光増白化合物は、近紫外側(波長:400〜450nm)に最大吸収を持ち、紫青〜青色の蛍光を発する無色〜淡黄色の有機化合物であり、これらは例えば、2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン、4,4’−ビス(ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン等のベンズオキサゾール誘導体、1,3−ジアリル−ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸等のスチルベンジスルホン酸誘導体、スチリルビフェニレン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、クマリン誘導体、ナフタル酸誘導体、ヒドロキノリノン誘導体、イミダゾロン誘導体、スピロ化合物誘導体、複素環式化合物置換ピレン誘導体等であるが、特にベンズオキサゾール誘導体が蓄光発光の相乗効果に優れ好ましい。蓄光発光層には、蓄光発光性粒子と蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含むことが好ましく、蓄光発光層中に含む蛍光増白化合物量は0.01〜1質量%、特に0.05〜0.3質量%である。0.01質量%を下回ると非常灯照明として十分な発光輝度が得られないだけでなく、蓄光発光色が青または緑の燐光発光のままであることがある。また1重量%を超えると、蛍光増白化合物がブリードして光天井照明シェ−ドの表面外観を曇らせてしまうことがある。
【0019】
本発明の光天井照明シェ−ドにおいて、光伝搬性透光樹脂層に光乱反射パターンまたは光乱反射粒子を有するか、あるいは光乱反射パターンと光乱反射粒子とを有することが、蓄光発光層の発光輝度向上の観点において好ましい。光伝搬性透光樹脂層端部断面から侵入した光は、光乱反射パターンまたは光乱反射粒子の存在によって光伝搬性透光樹脂層の面方向に散乱されることによって光拡散性積層体が面発光する。光乱反射パターンは、蓄光発光層と光伝搬性透光樹脂層との間の位置に設けられ、光伝搬性透光樹脂層面側に形成されたドット状パターンで、このドット状パターンは光反射性と光透過性を有する塗料(インク)によりスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法により形成するか、エンボスにより立体凹凸賦型することにより形成することができる。光反射性と光透過性を有する塗料は光伝搬性透光樹脂層に用いる樹脂と屈折率差0.1以上を有する熱可塑性樹脂をバインダーとして含むクリア塗料、クリア塗料にシリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、合成雲母などの無機顔料粒子を含む半透明塗料である。またドットは円、楕円、四角、六角形、星型、アメーバ、及びこれらの混用等、特に形状の制限はない。例えば円形ドットの場合、全てのドットを同一サイズ(同一面積)としてもよく、あるいはドットサイズ(面積)を段階的に大きくして用いてもよい。本発明の光天井照明シェ−ドにおいて光乱反射パターンを構成するドットは光伝搬性透光樹脂層の端部から中央部に向かって、ドットサイズが段階的に大きくなるように配置することが光伝搬性と面発光性の観点において好ましい。また同一サイズ(面積)のドットを配置する場合は、光伝搬性透光樹脂層の端部から中央部に向かって、ドット配置の密度を大きくすることによっても良好な光伝搬性と面発光性を得ることができる。光伝搬性透光樹脂層に占める光乱反射パターン面積(全ドットの総和面積)の占有率は、蓄光発光層の発光の透過率を30%以上減衰させないことを条件に、25〜75%、特に40〜60%とすることが好ましい。
【0020】
また、光伝搬性透光樹脂層には、ドット状パターンを配置せずに光伝搬性透光樹脂層全体に光乱反射粒子を分散して含んでいてもよい。光乱反射粒子はシリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの粒子径0.01〜3μmの無機顔料、及び粒子径0.1〜30μmのモンモリロナイト、スメクタイト、及びフッ素雲母などの鉱物系化合物、及びシリコーン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの粒子径10〜50μの樹脂ビーズ、及び(中空)ガラスビーズなどから選ばれた1種以上を、蓄光発光層の発光の透過率を30%以上減衰させないことを条件に、光伝搬性透光樹脂層に対して1〜50質量%、好ましくは3〜25質量%の含有量で用いることが好ましい。
【0021】
本発明の光天井照明シェ−ドにおいて、光伝搬性透光樹脂層の表面に、防汚層が設けられていることが美観持続性の観点において好ましい。防汚層は光天井照明シェ−ドの煤塵汚れ固着を抑制する効果を附帯させるものであり、この防汚層は透明塗膜、もしくは透明フィルムの積層によって形成される。防汚層は具体的に、アクリル樹脂、アクリル−シリコン共重合体樹脂、アクリル−フッ素共重合体樹脂、フッ素系共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、架橋型ウレタン樹脂の1種以上を溶解して含む溶液の塗布・乾燥によって得られる、0.001〜0.1mm厚さの透明な塗膜、もしくはこれらの樹脂の1種以上を熱溶融して成型した厚さ0.01〜0.5mmの単層透明フィルム、もしくは複層化透明フィルムである。さらにこれらの防汚層表面に微粒子シリカ(特にコロイダルシリカ)、光触媒物質(特に二酸化チタン)、有機シリケート化合物(特にメチル、またはエチルシリケートの加水分解縮合物)から選ばれた1種以上による薄膜防汚層を形成することによっても本発明の光天井照明シェ−ドの美観を長期間持続することができる。
【0022】
本発明の光天井照明シェ−ドは消防法、または建築基準法に規定される難燃性、または不燃性を有することが好ましく、このため光天井照明シェ−ドシステムに用いる光拡散性積層体は、輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないことを満足する不燃性を有することが好ましい。このような不燃性の光拡散性積層体は、ガラス繊維織布(目付質量200〜300g/m 、空隙率1%以下の非目抜け平織)を基材として、この1面以上に蓄光発光層を設け、この蓄光発光層上に0.1〜0.5mmの、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層、または軟質フッ素樹脂層、またはシリコーン樹脂層、またはこれらの併用による光伝搬性透光樹脂層を積層して得ることができる。
【0023】
本発明の光天井照明シェ−ドシステムは、無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、繊維布帛と光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体の端部断面に対向して発光ダイオードが配列されており、光伝搬性透光樹脂層が光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含んでいる。発光ダイオード(LED)は300〜400nmの近紫外線を放射可するブラックライトLEDが特に好ましく、光拡散性積層体の端部断面に放射された近紫外線は光伝搬性透光樹脂層内部を伝って蓄光発光層面方向に導光散乱し、面放射することによって蓄光発光層全面の燐光発光を励起する。この励起と同時に蓄光発光層に含む蛍光増白化合物に対しても蛍光発光を励起する作用によって、本発明の光天井照明シェ−ドシステムは眩い白色蛍光を持続して放つことを可能とする。
【0024】
通常のアクリル樹脂看板のLED照明システムは、透明なアクリル樹脂板を導光板として、導光板の一辺に過密配置した白色、または有色のLEDの蛍光をアクリル樹脂板の中を拡散・乱反射させることによって得られる面発光体である。このような看板のLED照明システムに対して、本発明の光天井照明シェ−ドシステムに装備する近紫外線発光ダイオードによる近紫外線放射は輝度を有さないので、光伝搬性透光樹脂層内を放射・拡散して光伝搬性透光樹脂層の表面に面反射されたとしても照明作用を有さないものである。本発明の光天井照明シェ−ドシステムでは、この面反射した輝度を有さない近紫外線を光伝搬性透光樹脂層に隣接する蓄光発光層に作用させることによって、蓄光発光層に含有する蓄光発光性粒子を光励起して燐光発光させる作用機能であり、特に蓄光発光層に400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含むことによって、蓄光発光性粒子の燐光発光の輝度を劇的に向上させる効果を得るものである。近紫外線発光ダイオードの装備位置は、本発明の光天井照明シェ−ドシステムユニットの少なくとも1辺以上、好ましくは左右対向、もしくは上下対向、さらにはシステムユニットの大型化に応じて左右対向と上下対向の併用で、いずれも近紫外線発光ダイオードの発光照射方向は、光伝搬性透光樹脂層断面である。近紫外線発光ダイオードの配列と配置数は、光天井照明シェ−ドシステム1ユニット当たりのサイズ及び、非常灯機能として必要な照度レベルに応じて任意設定とすることができる。また近紫外線発光ダイオードは非常灯機能に補助作用するためにバッテリーを電源とし、バッテリー及びバッテリー切替装置とを装備する。また、本発明の光天井照明シェ−ドシステムは上記システムユニットを複数、任意に組み合わせて光天井を構成するものである。
【0025】
本発明の光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法は、近紫外線発光ダイオード、及びバッテリーを装備してなる上述の光天井照明シェ−ドシステムにおいて、停電と同時に近紫外線発光ダイオードによる近紫外線を、光伝搬性透光樹脂層内を放射・拡散させて光伝搬性透光樹脂層の表面に面反射させて、この面反射した近紫外線を光伝搬性透光樹脂層に隣接する蓄光発光層に作用させることによって、蓄光発光層に含有する蓄光発光性粒子を光励起して燐光発光させる方法であり、特に蓄光発光層が400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物を併用して含むことによって、蓄光発光性粒子による燐光発光輝度を飛躍的に向上させると同時に、蓄光発光性粒子では従来、得られなかった白色発光を光源とする非常灯照明を得ることを可能とするものである。
【0026】
本発明の光天井照明シェ−ドには、絵画、写真、文字、記号、模様などを付与することによる天井照明デザインを任意とすることができる。これらは光拡散性積層体を構成する蓄光発光層、または光伝搬性透光樹脂層上に形成された、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、転写印刷、カッティングシート貼付、筆書き、のいずれか1種以上の手段によるものであるが、本発明の光天井照明シェ−ドにおいては特にコンピューターで処理された画像データの出力によるインクジェット印刷が光透過性を損なわないので好適である。
【0027】
以下、本願発明の光天井照明シェ−ドを具体的に説明する。図1〜4は、本願発明の光天井照明シェ−ド(1)に用いる光拡散性積層体(2)例の断面を表すもので、図1の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光伝搬性透光樹脂層(4)を設け、かつ、繊維布帛(3)と光伝搬性透光樹脂層(4)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。図2の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光伝搬性透光樹脂層(4a)を、もう一方の繊維布帛面側に光伝搬性透光樹脂層(4b)を設け、かつ、繊維布帛(3)との光伝搬性透光樹脂層(4a)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。図3の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光伝搬性透光樹脂層(4a)を、もう一方の繊維布帛面側に光伝搬性透光樹脂層(4b)を設け、かつ、繊維布帛(3)との光伝搬性透光樹脂層(4b)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。図4の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光伝搬性透光樹脂層(4a)を、もう一方の繊維布帛面側に光伝搬性透光樹脂層(4b)を設け、かつ、繊維布帛(3)との光伝搬性透光樹脂層(4a)との間に蓄光発光層(5a)を設け、さらに繊維布帛(3)との光伝搬性透光樹脂層(4b)との間に蓄光発光層(5b)を設けてなる。
【0028】
図5、及び図6の光拡散性積層体(2)は、光伝搬性透光樹脂層(4)に附帯する光乱反射パターン(6)、及び光乱反射粒子(7)の用例を図1の態様を例に説明するが、この光乱反射パターン(6)と光乱反射粒子(7)の用例は、図2、図3、図4、図7、及び図8の態様においても同様に適用されるものである。図5の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光乱反射パターン(6)を最外層に有する光伝搬性透光樹脂層(4c)を設け、かつ繊維布帛(3)と、この光伝搬性透光樹脂層(4c)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。図6の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光乱反射粒子(7)を有する光伝搬性透光樹脂層(4d)を設け、かつ繊維布帛(3)と、この光伝搬性透光樹脂層(4d)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。
【0029】
図7、及び図8は本願発明の光天井照明シェ−ドシステムと、及びその非常灯照明方法を示すものである。図7、及び図8の光拡散性積層体(2)は、図1の態様を例に説明するが、本願発明の光天井照明シェ−ドシステムの用例は、図2、図3、図4の態様においても同様に適用されるものである。図7は図1の光拡散性積層体(2)を照明シェ−ドに用いた態様を表し、図1の光拡散性積層体(2)において光伝搬性透光樹脂層(4)側面を蛍光灯(9)に向け、光天井照明シェ−ドシステムの内側となるように構成し、繊維布帛(3)側面は光天井照明シェ−ドシステムの外側面とする。また、図1の光拡散性積層体(2)の対向する端部には、端部断面に向けて発光ダイオード(8)が図10のように配列されている。図7の光天井照明シェ−ドシステムでは、点灯蛍光灯(9a)が光拡散性積層体(2)を透過・拡散して光拡散性積層体(2)自体が均一かつ鮮明に発光する状態を示した図で、発光ダイオードはOFFの状態である。(8a) 図8は、図7の光天井照明シェ−ドシステムにおいて、蛍光灯OFF(9b)とした停電状態を示す図である。この時、光拡散性積層体(2)の蓄光発光層(5)は無電力で燐光発光しているが、本願発明の光天井照明シェ−ドシステム(10)においては、光拡散性積層体(2)の端部に設けた発光ダイオードの点灯(8b)により、発光ダイオード(8b)から放射されて、光伝搬性透光樹脂層(4)内を反射・拡散する近紫外線を蓄光発光層(5)全面に照射することによって蓄光発光層(5)を発光させ、これにより光拡散性積層体(2)が発光して非常灯照明機能する状態を示した図である。
【実施例1】
【0030】
1).厚さ5mmの透明アクリル平板(1.5m×1.5m正方形サイズ)を光伝搬性透光樹脂層(4)として、この片面にセイコーアドバンス社製の紫外線硬化型スクリーンインキHUG(エポキシアクリレート系)の標準色クリアーをベースにイージーブライト社製の蓄光発光性粒子:品番EZCB−50E(SrAl1425:EU,Dy)を、インキ固形分に対し40質量%配合し、さらに蛍光増白化合物(商標:Uvitex OB:チバ・スペシャルティケミカルズ社製 2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン]をインキ固形分に対し、0.2質量%配合した組成物を用いてスクリーン印刷にて厚さ0.5mmの蓄光発光層(5)を形成した。(蓄光発光性粒子:蛍光増白化合物の併用は100:0.5の質量比である。)
2).この蓄光発光層(5)を形成した光伝搬性透光樹脂層(4)の反対面側に、シリカ微粒子含有インキにて光乱反射パターン(6)を全面形成した。光乱反射パターン(6)は、φ3.5mmの円形ドットで、横方向のドット間隔3.5mm、縦方向のドット間隔3.5mmである。光伝搬性透光樹脂層に占める光乱反射パターン面積(全ドットの総和面積)の占有率は64%とした。
3).675dtexの無着色ガラス繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度45本/インチ、675dtexのガラス繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度35本/インチで平織した質量205g/m、目抜度合1%以下であるガラス繊維布帛(3)を基材として使用した。ガラス繊維布帛(3)全体にはアクリル酸パーフルオロアルキルエステル共重合樹脂とγ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン処理を1g/m施して撥水性を付与した。このガラス繊維布帛(3)の片面に、上記1)2)により得た光伝搬性透光樹脂層(4)における蓄光発光層(5)面側を接着面として積層一体化し、図1に示す光拡散性積層体(2)を得た。
4).上記3)で得た光拡散性積層体(2)の側端部と、その側端部に対向する側端部に、近紫外線発光ダイオード(8)(日亜化学工業(株)製 NSPU510CS:直径φ5mm:ピーク波長375nm)を7mm間隔で、光拡散性積層体(2)の側端部の1辺当たり125個配置し、非常用バッテリーと接続したものを光天井照明シェ−ドシステム1ユニットとして、1ユニットにつき4本の蛍光灯(9)(36W・40型)を実装した。この光天井照明シェ−ドシステム(10)は、ガラス繊維布帛(3)を外装とし、内装の蛍光灯点灯により、外観観察において光拡散性積層体(2)全面が均一に発光することにより、光天井照明シェード(1)として満足な照明効果を発揮した。蛍光灯照明を1時間継続した後、蛍光灯照明をOFFにして停電状態とした瞬間に、蓄光発光層(5)が燐光発光すると同時に、バッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線補助光が、光伝搬性透光樹脂層(4)を乱反射しながら導光して蓄光発光層(5)を面照射し、これによって蓄光発光層(5)に含有する蓄光発光性粒子を光励起させると同時に、蛍光増白化合物も光励起させることによって蓄光発光層は相乗的に発光輝度を増し、しかも省エネルギーにて長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有していた。停電直後の発光輝度は830mcd/mであり、30分後発光輝度は810mcd/mであった。
【実施例2】
【0031】
実施例1の光伝搬性透光樹脂層(4)を、10〜50μのスチレン系樹脂ビーズを光乱反射粒子(7)として20wt%含有する、5mm厚の透明アクリル平板(1.5m×1.5m正方形サイズ)に変更した代わりに光乱反射パターン(6)の形成を省略した。それ以外は全て実施例1と同一として光天井照明シェード(1)を得、これを実施例1と同一の光天井照明シェ−ドシステムに供した結果、停電直後の発光輝度は808mcd/mであり、30分後発光輝度は784mcd/mのごとく、長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有していた。
【実施例3】
【0032】
1).実施例1と同じ撥水性を付与した無着色のガラス繊維布帛(3)を基材として使用した。このガラス繊維布帛の片面に、0.15mm厚のポリ塩化ビニル樹脂組成物層(PVC100質量部、フタル酸系可塑剤45質量部、芳香族リン酸エステル20質量部、バリウム系複合金属安定剤2質量部)を設け、光伝搬性透光樹脂層(4)を形成した。この光伝搬性透光樹脂層上に実施例1と同じ光乱反射パターン(6)を全面形成した。
2).次にガラス繊維布帛(3)のもう一方の面に、0.1mm厚のポリ塩化ビニル樹脂組成物層(PVC100質量部、フタル酸系可塑剤45質量部、芳香族リン酸エステル20質量部、バリウム系複合金属安定剤2質量部、イージーブライト社製の蓄光発光性粒子:品番EZCB−50E(SrAl1425:EU,Dy)40質量部、蛍光増白化合物(商標:Uvitex OB:チバ・スペシャルティケミカルズ社製 2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン]0.2質量部)を設け蓄光発光層(5)を形成した。(蓄光発光性粒子:蛍光増白化合物の併用は100:0.5の質量比である。)
3).次に蓄光発光層(5)上に、0.1mm厚のポリ塩化ビニル樹脂組成物層(PVC100質量部、フタル酸系可塑剤45質量部、芳香族リン酸エステル20質量部、バリウム系複合金属安定剤2質量部)を設け、光伝搬性透光樹脂層(4)をさらに形成し、図2、または図3に示す光拡散性積層体(2)を得た。
4).上記3)で得た光拡散性積層体(2)の側端部と、その側端部に対向する側端部に、近紫外線発光ダイオード(8)(日亜化学工業(株)製 NSPU510CS:直径φ5mm:ピーク波長375nm)を7mm間隔で、光拡散性積層体(2)の側端部の1辺当たり125個配置し、非常用バッテリーと接続したものを光天井照明シェ−ドシステム1ユニットとして、1ユニットにつき4本の蛍光灯(9)(36W・40型)を実装した。この光天井照明シェ−ドシステム(10)は、図2または図3の向きで用い、内装の蛍光灯点灯により、外観観察において光拡散性積層体(2)全面が均一に発光することにより、光天井照明シェード(1)として満足な照明効果を発揮した。蛍光灯照明を1時間継続した後、蛍光灯照明をOFFにして停電状態とした瞬間に、蓄光発光層(5)が燐光発光すると同時に、バッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線補助光が、光伝搬性透光樹脂層(4)を乱反射しながら導光して蓄光発光層(5)を面照射し、これによって蓄光発光層に含有する蓄光発光性粒子を光励起させると同時に、蛍光増白化合物も光励起させることによって蓄光発光層は相乗的に発光輝度を増し、停電直後の発光輝度は841mcd/mであり、30分後発光輝度は823mcd/mであり、省エネルギーにて長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有し、更にASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法に適合する不燃性を有していた。
【実施例4】
【0033】
実施例3における0.15mm厚の光伝搬性透光樹脂層(4)の配合を、(PVC100質量部、フタル酸系可塑剤45質量部、芳香族リン酸エステル20質量部、バリウム系複合金属安定剤2質量部、光乱反射粒子(7)として10〜50μのスチレン系樹脂ビーズ20質量部)に変更した代わりに光乱反射パターン(6)の形成を省略した。それ以外は全て実施例3と同一として光天井照明シェード(1)を得、これを実施例3と同一の光天井照明シェ−ドシステムに供した結果、停電直後の発光輝度は840mcd/mであり、30分後発光輝度は816mcd/mのごとく、長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有し、更にASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法に適合する不燃性を有していた。
【実施例5】
【0034】
1).実施例1と同じ撥水性を付与した無着色のガラス繊維布帛(3)を基材として使用した。このガラス繊維布帛の片面に、0.15mm厚のフッ化ビニリデン樹脂層(PVDFフィルム)を設け、光伝搬性透光樹脂層(4)を形成した。この光伝搬性透光樹脂層上に実施例1と同じ光乱反射パターン(6)を全面形成した。
2).次にガラス繊維布帛(3)のもう一方の面に、0.1mm厚のフッ素系樹脂組成物層(PVDF100質量部、イージーブライト社製の蓄光発光性粒子:品番EZCB−50E(Sr4Al14O25:EU,Dy)40質量部、蛍光増白化合物(商標:Uvitex OB:チバ・スペシャルティケミカルズ社製 2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン]0.2質量部)を設け蓄光発光層(5)を形成した。(蓄光発光性粒子:蛍光増白化合物の併用は100:0.5の質量比である。)
3).次に蓄光発光層(5)上に、0.1mm厚のフッ化ビニリデン樹脂組成物層(PVDFフィルム)を設け、光伝搬性透光樹脂層(4)をさらに形成し、図2、または図3に示す光拡散性積層体(2)を得た。
4).上記3)で得た光拡散性積層体(2)の側端部と、その側端部に対向する側端部に、近紫外線発光ダイオード(8)(日亜化学工業(株)製 NSPU510CS:直径φ5mm:ピーク波長375nm)を7mm間隔で、光拡散性積層体(2)の側端部の1辺当たり125個配置し、非常用バッテリーと接続したものを光天井照明シェ−ドシステム1ユニットとして、1ユニットにつき4本の蛍光灯(9)(36W・40型)を実装した。この光天井照明シェ−ドシステム(10)は、図2または図3の向きで用い、内装の蛍光灯点灯により、外観観察において光拡散性積層体(2)全面が均一に発光することにより、光天井照明シェード(1)として満足な照明効果を発揮した。蛍光灯照明を1時間継続した後、蛍光灯照明をOFFにして停電状態とした瞬間に、蓄光発光層(5)が燐光発光すると同時に、バッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線補助光が、光伝搬性透光樹脂層(4)を乱反射しながら導光して蓄光発光層(5)を面照射し、これによって蓄光発光層(5)に含有する蓄光発光性粒子を光励起させると同時に、蛍光増白化合物も光励起させることによって蓄光発光層は相乗的に発光輝度を増し、停電直後の発光輝度は833mcd/mであり、30分後発光輝度は818mcd/mであり、省エネルギーにて長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有し、更にASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法に適合する不燃性を有していた。
【実施例6】
【0035】
実施例5における0.15mm厚の光伝搬性透光樹脂層(4)の配合を、(フッ化ビニリデン樹脂100質量部、光乱反射粒子(7)としてフッ素雲母20質量部)に変更した代わりに光乱反射パターン(6)の形成を省略した。それ以外は全て実施例5と同一として光天井照明シェード(1)を得、これを実施例5と同一の光天井照明シェ−ドシステムに供した結果、停電直後の発光輝度は842mcd/mであり、30分後発光輝度は833mcd/mのごとく、長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有し、更にASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法に適合する不燃性を有していた。
【比較例1】
【0036】
実施例1の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例1と同様とした。蛍光増白化合物の配合を省略したことによって得られた光天井照明シェード(1)は、蛍光灯消灯時に、バッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線補助光によって蓄光発光層の発光輝度を増すものの、照明距離の短い青緑の燐光発光であり、停電直後の発光輝度は464mcd/mであり、30分後発光輝度は293mcd/mに減衰し、暗闇と発光体との格差が大きくなるため非常灯光源としては不適切なものであった。
【比較例2】
【0037】
実施例2の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例2と同様とした。
【比較例3】
【0038】
実施例3の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例3と同様とした。
【比較例4】
【0039】
実施例4の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例4と同様とした。
【比較例5】
【0040】
実施例5の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例5と同様とした。
【比較例6】
【0041】
実施例6の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例6と同様とした。
【0042】
比較例2〜6で得られた光天井照明シェード(1)は、蛍光灯消灯時にバッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線によって蓄光発光層の発光輝度を増すものの、照明距離の短い青緑の燐光発光であり、停電直後の発光輝度は400mcd/mレベルが、30分後発光輝度は300mcd/mレベルに減衰し、暗闇と発光体との格差が大きくなるため非常灯光源としては不適切なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上記実施例1〜6、及び比較例1〜6によって明らかなように、本願発明の光天井照明シェード、及び光天井照明シェードシステムは、停電時には、特別な蓄光発光層による天井照明機能を速やかに起動し、しかも蓄光発光性物質を使用しながら、従来に例の無い白色蛍光灯に近い眩い照明光を放ち、かつ省エネルギーにて長時間持続可能であるので、ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設など、大規模施設の光天井照明シェ−ド、及び、これら大規模施設に設備されるエレベータかご内の光天井照明シェ−ド、更には鉄道車両内の光天井照明シェ−ドに適している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】光天井照明シェ−ド用の光拡散性積層体の構成例を示す図
【図2】光天井照明シェ−ド用の光拡散性積層体の構成例を示す図
【図3】光天井照明シェ−ド用の光拡散性積層体の構成例を示す図
【図4】光天井照明シェ−ド用の光拡散性積層体の構成例を示す図
【図5】光拡散性積層体において、光伝搬性透光樹脂層に付与する光乱反射作用部の形成例を示す図
【図6】光拡散性積層体において、光伝搬性透光樹脂層に付与する光乱反射作用部の形成例を示す図
【図7】本発明の光天井照明シェ−ドシステムにおいて、蛍光灯ONの通常使用状態を示す図
【図8】本発明の光天井照明シェ−ドシステムにおいて、停電時の非常灯機能を示す図
【図9】光拡散性積層体において、光伝搬性透光樹脂層に付与する光乱反射作用部の形成例を示す図
【図10】本発明の光天井照明シェ−ドシステムにおいて、発光ダイオードの配置を示す図
【符号の説明】
【0045】
1 光天井照明シェード
2 光拡散性積層体
3 繊維布帛(基材)
4 光伝搬性透光樹脂層
4a 蓄光発光層と積層する光伝搬性透光樹脂層
4b 繊維布帛と積層する光伝搬性透光樹脂層
4c 光乱反射作用部を設けた光伝搬性透光樹脂層
4d 光乱反射作用部を設けた光伝搬性透光樹脂層
5 蓄光発光層
6 光乱反射パターン
7 光乱反射性粒子
8 発光ダイオード
8a OFF状態
8b ON状態
9 蛍光灯(またはその他の照明)
9a ON状態
9b 停電状態
10 光天井照明シェ−ドシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体であって、前記光伝搬性透光樹脂層が、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、さらに前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含む、ことを特徴とする光天井照明シェ−ド。
【請求項2】
前記蛍光増白化合物が、オキサゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベンジスルホン酸誘導体、スチリルビフェニレン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、クマリン誘導体、ナフタル酸誘導体、ヒドロキノリノン誘導体、イミダゾロン誘導体、スピロ化合物誘導体、複素環式化合物置換ピレン誘導体から選ばれた1種以上である、請求項1に記載の光天井照明シェ−ド。
【請求項3】
前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含む、請求項1または2に記載の光天井照明シェ−ド。
【請求項4】
前記光拡散性積層体が、エレベータかご内天井用である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光天井照明シェ−ド。
【請求項5】
前記光拡散性積層体が、鉄道車両内天井用である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光天井照明シェ−ド。
【請求項6】
無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、前記光伝搬性透光樹脂層が、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、さらに前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含み、さらに前記光拡散性積層体の端部断面に対向して発光ダイオードが配列されていることを特徴とする、非常灯機能を有する光天井照明シェ−ドシステム。
【請求項7】
前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含む、請求項6に記載の非常灯機能を有する光天井照明シェ−ドシステム。
【請求項8】
前記光拡散性積層体が、エレベータかご内天井用である、請求項6または7に記載の非常灯機能を有する光天井照明シェ−ドシステム。
【請求項9】
前記光拡散性積層体が、鉄道車両内天井用である、請求項6または7に記載の非常灯機能を有する光天井照明シェ−ドシステム。
【請求項10】
無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有する光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用し、さらに前記光拡散性積層体の端部断面に対向して配列した近紫外線発光ダイオードをバッテリー発光させ、前記光伝搬性透光樹脂層の端部断面を照射することによって、前記光伝搬性透光樹脂層全面から近紫外線を面放射し、これによって前記蓄光発光層全面を白色蛍光発光させることを特徴とする、光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法。
【請求項11】
前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含む、請求項10に記載の光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法。
【請求項12】
前記光拡散性積層体が、エレベータかご内天井用である、請求項10または11に記載の光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法。
【請求項13】
前記光拡散性積層体が、鉄道車両内天井用である、請求項10または11に記載の光天井照明シェ−ドの非常灯照明方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−146833(P2010−146833A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321955(P2008−321955)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000239862)平岡織染株式会社 (81)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】