説明

光学シート、その製造方法、および当該光学シートを用いた液晶表示装置

【課題】光学シートの数を減らすべく単一のシートからなる光学シートを提供する。
【解決手段】基材110、第1の光透過媒質120、第2の光透過媒質130および反射偏光膜を含む光学シート100を提供する。第1の光透過媒質120は基材110の正面に形成され、複数の凸状マイクロレンズを含む。第2の光透過媒質130は基材110の背面に形成され、複数のV字形プリズムを含む。反射偏光膜は第1の光透過媒質120の正面に設置される。基材110、第1の光透過媒質120および第2の光透過媒質130は互いに結合して単一のシート100となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特に単一の光学シートを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device)は各種電子製品、例えば液晶テレビおよびコンピュータなどに広く用いられている。その長所は、消費電力が低いこと、低電圧で駆動すること、ならびに軽量化および薄型化を可能とすることにある。しかしながら、液晶表示装置内の液晶表示パネルは自発光しないため、バックライトユニットを設置して、その背面からスクリーン全体を均一に照射する必要がある。
【0003】
図1を参照されたい。図1は、エッジライト方式(Edge-light type)のバックライトユニットを採用した従来技術の液晶表示装置1の側面図を示している。液晶パネルモジュール40がバックライトユニット10の前方に設置されている。バックライトユニット10は発光ユニット11、導光部材12、下側拡散シート13、プリズムシート14、および上側拡散シート15を含む。
【0004】
導光部材12は発光ユニット11が提供する光線を下側拡散シート13へ導く。下側拡散シート13は導光部材12からの光線を散乱させ、輝度の分布を均一にするものである。しかし、下側拡散シート13は有効視野角内の輝度を大幅に低下させてしまう。
【0005】
この問題を解決するために、プリズムシート14が下側拡散シート13を通過した光線を受けて、入射光線の角度を収束し、有効視野角内の輝度が高まるようにされている。プリズムシート14は一般に市販されている輝度向上フィルムであり、その頂角は90度である。プリズムシート14のプリズムは、液晶パネルモジュール40の方へ突き出ている。
【0006】
最後に上側拡散シート15により光線が再度散乱され、均一度の高い光線が前方の液晶パネルモジュール40に提供されることとなる。
【0007】
しかしながら、上述したバックライトユニットは少なくとも3枚の光学シートを使用する必要がある。各光学シートは別々に製造され、かつ各々にベース材料を用いる必要があるため、生産コストが嵩む。
【0008】
また、上側拡散シートとプリズムシートとの間に形成される空気層によって、光線の一部がプリズムシート内で全反射を起こして上側拡散シートに入射できなくなり、その光線の強度は経路が長くなるために減衰し、バックライトモジュール全体の発光輝度が低下してしまう。これに対し、従来技術においてはバックライトモジュールの輝度を高めるために発光素子の光源出力を大きくする必要があるが、同時にエネルギーの消耗も加速されてしまう。
【0009】
上記より、単一の光学シートを用いる液晶表示装置へのニーズは極めて高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術による多層式の光学シートにより生ずる問題を改善するため、本発明は光学シートの数を減らすことを目的とし、以下に説明する光学シートおよび当該光学シートを用いた液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基材、第1の光透過媒質、第2の光透過媒質および反射偏光膜を含む光学シートを提供する。第1の光透過媒質は基材の正面に形成され、複数の凸状マイクロレンズを含む。第2の光透過媒質は基材の背面に形成され、複数のV字形プリズムを含む。反射偏光膜は第1の光透過媒質の正面に設置される。基材、第1の光透過媒質および第2の光透過媒質は互いに結合して単一のシートとなっている。
【0012】
また本発明は、液晶パネルモジュール、導光部材、発光素子、および上述の光学シートを含む液晶表示装置を提供する。導光部材は、液晶パネルモジュールの背面に隣り合わせて配置され、入光面と該入光面に隣接する出光面とを有する。発光素子は導光部材の入光面に対向している。光学シートは導光部材の出光面または液晶パネルモジュールの背面に設置される。
【0013】
さらにまた本発明は、上記光学シートを製造する方法も提供する。当該方法は、基材を準備し、基材の上および下両表面に光硬化樹脂を塗布する工程を含む。そして、2つのパターン化ローラーを準備し、基材を2つのパターン化ローラーの間に配置して、2つのパターン化ローラーに光硬化樹脂を同時に押圧させることにより、光硬化樹脂の表面に特定のパターンを形成する。最後に、光線を照射して光硬化樹脂を硬化させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学シートは単一のシートからなるため、生産コストを低減できる他、従来技術による多層式の光学シートの輝度不足という欠点を改善することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は従来技術による液晶表示装置の断面図を示している。
【図2A】図2Aは本発明の第1の実施形態による液晶表示装置の要素分解図を示している。
【図2B】図2Bは本発明の第1の実施形態による液晶表示装置の一部要素分解図を示している。
【図3A】図3Aは本発明の一実施例による光学シートの断面図を示している。
【図3B】図3Bは本発明の別の実施例による光学シートの断面図を示している。
【図3C】図3Cは本発明の別の実施例による光学シートの断面図を示している。
【図3D】図3Dは本発明の別の実施例による光学シートの断面図を示している。
【図3E】図3Eは本発明の別の実施例による光学シートの断面図を示している。
【図3F】図3Fは本発明の別の実施例による光学シートの断面図を示している。
【図3G】図3Gは本発明の別の実施例による光学シートの断面図を示している。
【図3H】図3Hは本発明の別の実施例による光学シートの断面図を示している。
【図4】図4は本発明の光学シートの製造方法の説明図を示している。
【図5】図5は本発明の第2の実施形態による液晶表示装置の要素分解図を示している。
【図6】図6は本発明の第3の実施形態による液晶表示装置の断面図を示している。
【図7】図7は本発明の第3の実施形態による一部要素の説明図を示している。
【図8】図8は本発明の第4の実施形態による液晶表示装置の断面図を示している。
【図9】図9は本発明の第4の実施形態による一部要素の説明図を示している。
【図10】図10は本発明の第4の実施形態による一部要素の説明図を示している。
【図11】図11は本発明の第4の実施形態による一部要素の説明図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面と対応させながら本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0017】
図2Aを参照されたい。図2Aは本発明の第1の実施形態による液晶表示装置5の断面図である。本発明の液晶表示装置5は、フレーム20、バックライトユニット30、液晶パネルモジュール40および光学シート100を含む。本明細書においては、「正面」は図面の上方、つまり液晶表示装置5が映像を映し出す側として定義され、「背面」は図面の下方として定義されることを先に述べておく。
【0018】
フレーム20は長方形の殻体で、1実施形態ではそのアスペクト比は16:9であり、短辺21はY方向の辺、長辺22はX方向の辺として定義される。通常の場合、本発明の液晶表示装置5は、直立に置いたときに短辺21がユーザーから見て左右両側に、長辺22がユーザーから見て上下両側に来るようになり、かつ長辺22は水平面に平行となる。
【0019】
図2Aおよび2Bを参照されたい。図2Bはバックライトユニット30の要素分解図を示している。バックライトユニット30はフレーム20内に設置され、2本のライトバー31、導光部材32、反射板33および複数の発光素子34を含んでいる。ライトバー31はフレーム20の短辺21の内側の面に設置される。発光素子34はライトバー31上に設けられ、所定の方向(X軸)に光線を発するようになっている。この所定の方向(X軸)は実質的にフレーム20の長辺22に平行である。反射板33はフレーム20の内側底面に設置される。1実施形態において、ライトバー31は回路板であり、発光素子34は発光ダイオードであり、反射板33はアルミニウムなどの材料から作製されたものであるが、限定はされない。
【0020】
導光部材32は反射板33の正面に設置され、2つの入光面32a、出光面32b、底面32eおよび網点インク32cを含む。入光面32aはそれぞれ発光素子34に対向しており、発光素子34からの光線を受けるようになっている。出光面32bは2つの入光面32aに隣接し、かつパターン化表面32dを備えている。底面32eは出光面32bの反対側にあり、かつ反射板33と隣接する。網点インク32cは底面32eの表面にランダムに分布されている。
【0021】
この実施形態では、2本のライトバー31がフレーム20の短辺21の内側の面にそれぞれ設置され、ライトバー31上に設けられた発光素子34に導光部材32の両側から入光させるようになっているが、この構成に限定されることはない。当業者であれば、より輝度の高い発光素子34を採用し、単一のライトバー31を設置して導光部材32の片側から入光させるようにもでき、この構成でも同様の効果が得られる。
【0022】
1実施形態では、入光面32aに平行な断面において、パターン化表面32dは複数のレンズ状凸体を備えている。詳細には、Y方向の断面上において、パターン化表面32dは複数の微小な曲面から構成され、微小な曲面は互いに隣接して並んでおり、その頂部は発光素子34の光線が射出される所定の方向(X軸方向)に平行に延伸している。
【0023】
パターン化表面32dは出光面32bから射出される光線の出射角度を制限し、光線を集中させることができる。網点インク32cは、光線が導光部材32中を進む角度を変えて、光線の全反射の現象を妨げることにより、光線を出光面32bへと導くことができる。網点インク32cの材料は光線の出光の形状に影響を及ぼす。1実施形態において、網点インク32cは一般的な白色インクまたは透明インクとすることができる。透明インクは光の形状をより集中したものにさせ得るため、網点インク32cが透明インクであるとより好ましい。
【0024】
再び図2Aを参照されたい。液晶パネルモジュール40が導光部材30の出光面32に隣り合わせて配置される。液晶パネルモジュール40は液晶ユニット41、上側偏光板42および下側偏光板43を含む。上側偏光板42は液晶ユニット41の正面に配置され、下側偏光板43は液晶ユニット41の背面に配置される。なお、本発明における液晶パネルモジュール40は当該分野における周知の要素であり、また本発明が強調するところの内容でもないため、特に説明はしない。
【0025】
光学シート100は導光部材32の出光面32bに設置され、基材110、第1の光透過媒質120および第2の光透過媒質130を含む。第1の光透過媒質120は基材110の正面に形成され、第2の光透過媒質130は基材110の背面に形成される。1実施形態において、基材110はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる光透過薄膜であり、第1の光透過媒質120および第2の光透過媒質130は光硬化樹脂からなるが、これらに限定されることはない。
【0026】
本発明の光学シート100の構造的特徴はユーザーのニーズに応じて変えることができる。以下に例として光学シート100a〜100fの可能な実施態様を挙げる。
【0027】
図3Aを参照されたい。図3Aは光学シート100aの断面図を示している。光学シート100aの第1の光透過媒質120はベース層121および複数の凸状マイクロレンズ(Micro-Lens)122を含む。ベース層121は基材110に連結しており、ベース層121の基材110と接する部分から離れた表面121a上に複数の凸状マイクロレンズ122が間隔を開けて形成されている。凸状マイクロレンズ122の幾何学形状によって、バックライトユニット30からの光線はより好ましい出射角で光学シート100aから出て行くことができる。具体的に説明すると、凸状マイクロレンズ122は、比較的大きな角度で入射して来る光線を集中させることができるだけでなく、ほぼ垂直な角度(図2AのZ軸方向)で入射して来る光線を散乱させることもできる。これにより、液晶表示装置5はより広い視野角を備え得ることになる。
【0028】
1実施形態において、凸状マイクロレンズ122がベース層121表面121aの面積に占める割合は、各単位面積あたり約40%から80%である。各凸状マイクロレンズ122は、底面の直径が20μmから100μm、高さは底面の直径の0.1から1倍であり、外観は半球形を呈し、かつ断面は半円形を呈する。ただし、これらに限定されることはなく、当業者であれば、所望の視野角および輝度に応じて自由に設計することが可能である。
【0029】
光学シート100aの第2の光透過媒質130は、ベース131および複数のV字形プリズム132を含む(Turning Film)。ベース層131は基材110に連結しており、ベース層131の基材110と接する部分から離れた表面131a上に複数のV字形プリズム132が互いに連接した形で設けられている。各V字形プリズム132はそれぞれ頂点を有し、かつY軸(図2A)方向に延伸している。さらにX−Z平面において、各V字形プリズム132は三角形の断面を有している。
【0030】
1実施形態において、V字形プリズム132の頂角Aは約60°〜80°であり、幅Lは約10μm〜100μmである。設計者は、光線に最適な集中効果を持たせるよう、必要に応じてサイズを調整することができる。
【0031】
注目すべきは、上述した第2の光透過媒質130は従来技術の輝度向上フィルムとは異なるという点である。V字形プリズム132の頂角が直角でないのに対し、従来技術の輝度向上フィルムのプリズムの頂角は直角であるという点において両者異なっている。V字形プリズム132の集光特性は従来技術の輝度向上フィルムに比べ優れている。また、使用において、V字形プリズム132の頂角はバックライトユニット30(図2A)に向かって突出しているが、従来技術の輝度向上フィルムのプリズム頂角はバックライトユニットとは反対の方に向いている。
【0032】
上述の光学シート100aによれば、光線は導光部材32の出光面32bから射出した後、先ず第2の光透過媒質130のV字形プリズム132表面で屈折・収束し、これによって可視領域内の輝度が増すことになる。そしてベース層131、基材110およびベース層121を順次通り、最後に第1の光透過媒質120の凸状マイクロレンズ122の表面で散乱および偏向し、これによって可視領域の視野角が広がり、輝度の均一性が高まることになる。このように、従来の多層式の光学シートの代わりに単一のシートで構成される光学シート100aを用いて、光線を液晶パネルモジュール40(図2A)に均一に伝搬することができるようになる。
【0033】
図3Bを参照されたい。図3Bは別の光学シート100bの断面図を示している。光学シート100aと相違するのは、第2の光透過媒質130’の表面131aが複数の平凸プリズム133をさらに含む点であり、これらは互いに間隔を開け、かつV字形プリズム132の間に隣接して設置されている。V字形プリズム132の頂部構造が損傷を受けないよう保護すべく、平凸プリズム133の頂部は平面となっている。なお、平凸プリズム133を設置する位置および数に限定はない。
【0034】
図3Cを参照されたい。図3Cは別の光学シート100cの断面図を示している。光学シート100aと相違するのは、第2の光透過媒質130’’の表面131aが、高さの比較的高い複数のV字形プリズム134をさらに含む点である。V字形プリズム134頂部の高さHはV字形プリズム132頂部の高さHよりも大きく、これによってV字形プリズム132と導光部材32(図2A)との間に距離が保たれるようになり、V字形プリズム132の頂部と導光部材32との間に静電気が生じて互いに吸引し合い、各領域間で輝度が不均一になる(mura)という現象が回避される。
【0035】
1実施形態において、高さHと高さHの差は、高さHの2%〜10%であるが、これに限定はされない。当業者は、それぞれの目的を達成させるために、本発明が提供するデータに基づいてより適した高さの差を選択することができる。
【0036】
図3Dを参照されたい。図3Dは別の光学シート100dの断面図を示している。光学シート100aとの相違は、第1の光透過媒質120’の表面121aが比較的高さの高い複数の凸状マイクロレンズ123をさらに含むことにより、光学シート100dから射出される光線の均一度が高められる点である。この実施形態では、凸状マイクロレンズ123は、凸状マイクロレンズ122の間に間隔を開けかつ隣どうしに設置されるが、設置位置に限定はない。
【0037】
図3Eを参照されたい。この実施形態において、光学シート100eは、第1の光透過媒質120と第2の光透過媒質130との間に設置される第3の光透過媒質140をさらに含む。より詳細には、第3の光透過媒質140は基材110と第1の光透過媒質120との間に設置される。
【0038】
第3の光透過媒質140は屈折率の低い材料、例えば二酸化ケイ素樹脂または同様に低屈折率特性を備える樹脂からなる。なお、ここに言う低屈折率特性とは、第2の光透過媒質130の屈折率に対して低いという意味であることに注意すべきである。これにより、過度に入射角の大きい光線が第2の光透過媒質130と第3光透過媒質140との間で全反射を起こすため、過度に視野角の大きい光線が再び戻ってリサイクルされる機会を得、不要なエネルギーの消費が低減されることとなる。
【0039】
図3Fを参照されたい。光学シート100aと比較して、光学シート100fは、第1の光透過媒質120および第2の光透過媒質130中に不規則に混ぜられた複数の拡散粒子150をさらに含んでいる。拡散粒子150は光線に散乱を起こさせ、延いては光学シート100fの出光輝度の均一性をより高めることができる。
【0040】
図3Gを参照されたい。光学シート100aと比較して、光学シート100gの第1の光透過媒質120’’の凸状マイクロレンズ122’は複数のプリズム構造(prism)を有している。これら凸状マイクロレンズ122’は、ベース層121の基材110と接する部分から離れた表面121a上に、間隔を開け、かつV字形プリズム132の延伸方向に垂直な方向に延伸するよう形成されている。凸状マイクロレンズ122’どうしの間をつなげるか否かは、設計者が選択することができる。また、隣り合う凸状マイクロレンズ122’のプリズム構造の最も高い点の間の距離は約10μm〜100μmである。
【0041】
図3Hを参照されたい。光学シート100aと比較して、光学シート100hの第1の光透過媒質120’’’の、凸状マイクロレンズ122’’は複数のカマボコ状構造を含む(レンチキュラー、lenticular)。これら凸状マイクロレンズ122’’は、ベース層121の基材110と接する部分から離れた表面121a上に、間隔を開け、かつV字形プリズム132の延伸方向に垂直な方向に延伸するよう形成されている。各凸状マイクロレンズ122’’どうしの間をつなげるか否かは、設計者が選択することができる。また、隣り合う凸状マイクロレンズ122’’のカマボコ状構造の最も高い点の間の距離は約10μm〜100μmである。
【0042】
上述の光学シート100a〜100hの第1の光透過媒質と第2の光透過媒質は、異なるニーズに応じて互いに置換したり、組み合わせたりすることができる。また、第1の光透過媒質120、120’、120’’、120’’’および第2の光透過媒質130、130’、130’’の製造時において、凸状マイクロレンズ122とV字形プリズム132間の相互の位置を、特に位置決めする必要はない。詳細に言えば、垂直軸線上において、凸状マイクロレンズ122をV字形プリズム132に揃えるまたは交差する形で設置することができる。
【0043】
特に注目すべきは、本発明の光学シート100は単一のシートである、すなわち、基材110、第1の光透過媒質120および第2の光透過媒質130が互いに結合して単一のシートとなっている点である。この特徴を強調するため、本発明の光学シート100の製造方式について以下説明する。
【0044】
図4を参照されたい。図4は光学シート100の製造プロセスを示す説明図である。先ず、ローラー510から基材110を供給し、2つのノズル520を用いて光硬化樹脂を基材110の上下両表面に塗布する。第1のパターン化ローラー531および第2のパターン化ローラー532を準備し、光硬化樹脂が塗布された基材110をその間に配置する。このとき、第1のパターン化ローラー531および第2のパターン化ローラー532が基材110の上下両表面に塗布された光硬化樹脂を同時に押圧し、光硬化樹脂の表面に特定のパターンが形成される。最後に、機械装置540が発する紫外光線541(UV)により光硬化樹脂を硬化させることで、基材110、第1の光透過媒質120および第2の光透過媒質130が結合されて単一のシートとなる。なお、機械装置540が発する光線は、用いる光硬化樹脂に応じて赤外光(IR)またはその他の種類の光線とすることも可能である。
【0045】
上述の第1のパターン化ローラー531および第2のパターン化ローラー532の表面は、物理的エッチング、化学的エッチングまたは彫刻などの方式により作製されたモールド533、534でそれぞれ覆われている。モールド533は第1の光透過媒質120の表面121aの形状に対応した複数の凹溝(図示せず)を含んでいる。同じように、モールド534は第2の光透過媒質130の表面131aの形状に対応した複数の凹溝(図示せず)を含んでいる。
【0046】
再び図2Aを参照されたい。本発明の液晶表示装置5を全体的に見ると、液晶パネルモジュール40が均一性の高い光線を受けるようにするため、発光素子34が光線を射出する所定の方向(X軸)はフレーム20の長辺22に平行となり、かつ導光部材32のパターン化表面32dのレンズ状凸体も発光素子34が光線を射出する所定の方向(X軸)に延伸するよう構成されている。一方、光学シート100のV字形プリズム132の頂点132aは発光素子34が光線を射出する所定の方向(X軸)に垂直に延伸するよう構成されている。
【0047】
図5を参照されたい。図5は本発明の第2の実施形態による液晶表示装置5’を示している。この液晶表示装置5’は、バックライトモジュール30のライトバー31と発光素子34がフレーム20の長辺22の内側の面に配置されるという特徴において、液晶表示装置5と異なっている。液晶表示装置5と同じような画面の均一性を達成させるため、発光素子34が光線を射出する所定の方向(Y軸)がフレーム20の短辺21に平行となり、かつ導光部材32のパターン化表面32dのレンズ状凸体が、発光素子34が光線を射出する所定の方向(Y軸)と平行に延伸するよう構成されている。さらに、光学シート100のV字形プリズム132の頂点132aが、発光素子34が光線を射出する所定の方向(Y軸)と垂直に延伸するよう構成されている。
【0048】
上述したように、光学シート100の凸状マイクロレンズ122は、比較的大きな角度で入射して来る光線を集中させるのに用いられ、なおかつ、ほぼ垂直な角度で入射して来る光線を散乱させることもできる。しかし、液晶表示装置5’の上下両側は、通常は視野角がそれほど広くなくてもよいので、製造コスト削減のため、設計者は凸状マイクロレンズ122を光学シート100の正面に選択的に設置することができる。
【0049】
図6および7を参照されたい。図6は本発明の第3の実施形態による液晶表示装置5’’を示している。この液晶表示装置5’’は、凸状マイクロレンズ122の間に設置される粘着性物質50をさらに含み、粘着性物質50の基材110から離れた側に粘着面51が形成されることにより、光学シート100が下側偏光板43に連結されるという特徴において液晶表示装置5とは異なっている。粘着性物質50の屈折率は第1の光透過媒質120よりも小さくなければならない。光学シート100が液晶パネル40に直接結合されるため、液晶表示装置5’の生産工程がより簡便化される。
【0050】
図8を参照されたい。図8は本発明の第4の実施形態による液晶表示装置5’’’を示している。液晶表示装置5’’’は、第1の光透過媒質120の正面に設置される反射偏光膜200をさらに含むという特徴において、液晶表示装置5とは異なっている。つまり、反射偏光膜200は下側偏光板43と第1の光透過媒質120との間に設置される。反射偏光膜120は屈折率の異なる2つの光透過層を少なくとも含み、これらを交互に重ねて構成されたもので、単一の方向の偏光光を通過させ、その他の偏光光を反射させる効果を有する。
【0051】
図9に示されるように、反射偏光膜200は粘着性物質50により光学シート100と液晶パネルモジュール40に連結される。光学シート100と反射偏光膜200との間に位置する粘着性物質50中には、粘着性物質50に不規則な方式で混ぜられた複数の拡散粒子60が含まれている。拡散粒子60は光線に散乱を起こさせ、さらには光学シート100から反射偏光膜200へ伝わる光線の輝度の均一性を高めることができる。なお、粘着性物質50の光線の屈折率は第1の光透過媒質120よりも小さければならないことに注意すべきである。
【0052】
図10および11を参照されたい。反射偏光膜200が下側偏光板43と第1の光透過媒質120に連結される形式は、図9で示した実施形態には限られない。図10に示す実施形態では、粘着性物質50が第1の光透過媒質120の凸状マイクロレンズ122の頂点にのみ設置され、反射偏光膜200はこれら非連続的に塗布された粘着性物質50によって第1の光透過媒質120に連結される。あるいは、図11に示される実施形態では、粘着性物質50は反射偏光膜200の光学シート100に対向する側に設けられるが、第1の光透過媒質120の凸状マイクロレンズ122の間には設けられない。
【0053】
本発明の光学シートは、光線の均一度を犠牲とすることなく、光学シートの数を減らすことができ、多層の光学シートを用いることで生じる従来技術中の欠点を改善することができる。
【0054】
以上、本発明を好ましい実施形態により開示したが、それらは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱しない限りにおいて、いくらかの変更および修飾を加えることができる。よって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲の記載を基準とするべきである。
【符号の説明】
【0055】
1,5,5’,5”,5’’’…液晶表示装置
10…バックライトモジュール
11…発光素子
12…導光部材
13…下側拡散シート
14…プリズムシート
15…上側拡散シート
20…フレーム
21…短辺
22…長辺
30…バックライトユニット
31…ライトバー
32…導光部材
32a…入光面
32b…出光面
32c…網点インク
32d…パターン化表面
32e…底面
33…反射板
34…発光素子
40…液晶パネルモジュール
41…液晶ユニット
42…上側偏光板
43…下側偏光板
50…粘着性物質
51…粘着面
60…拡散粒子
100,100a〜100h…光学シート
110…基材
120,120’,120’’,120’’’…第1の光透過媒質
121…ベース層
121a…表面
122,122’,122’’,123…凸状マイクロレンズ
130,130’,130”…第2の光透過媒質
131…ベース層
131a…表面
132,134…V字形プリズム
132a…頂点
133…平凸プリズム
140…第3の光透過媒質
150…拡散粒子
200…反射偏光膜
510…ローラー
520…ノズル
531…第1のパターン化ローラー
532…第2のパターン化ローラー
533,534…モールド
540…機械装置
541…紫外光線
A…頂角
L…幅
,H…高さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、
前記基材の正面に形成され、複数の凸状マイクロレンズを含む第1の光透過媒質、
前記基材の背面に形成され、複数のV字形プリズムを含む第2の光透過媒質、および
前記第1の光透過媒質の正面に設置される反射偏光膜、
を含み、
前記基材、前記第1の光透過媒質および前記第2の光透過媒質が互いに結合して単一のシートとなっている光学シート。
【請求項2】
前記第1の光透過媒質と前記第2の光透過媒質との間に設置される第3の光透過媒質をさらに含み、前記第3の光透過媒質の材料が前記第1の光透過媒質および前記第2の光透過媒質の材料とは異なり、かつ前記第3の光透過媒質の屈折率が前記第2の光透過媒質の屈折率よりも小さい請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記第1の光透過媒質および前記第2の光透過媒質中に位置する複数の拡散粒子をさらに含む請求項1に記載の光学シート。
【請求項4】
前記複数の凸状マイクロレンズが、前記第1の光透過媒質の表面にて延伸する複数のプリズム構造を含む請求項1に記載の光学シート。
【請求項5】
前記複数の凸状マイクロレンズが、前記第1の光透過媒質の表面にて延伸する複数のカマボコ状構造を含む請求項1に記載の光学シート。
【請求項6】
液晶パネルモジュール、
前記液晶パネルモジュールの背面に隣り合わせて配置され、入光面および該入光面に隣接する出光面を備える導光部材、
前記導光部材の前記入光面に対向している発光素子、ならびに、
前記導光部材の出光面または前記液晶パネルモジュールの背面に設置される光学シートであって、基材、前記基材の正面に形成され、複数の凸状マイクロレンズを含む第1の光透過媒質、前記基材の背面に形成され、複数のV字形プリズムを含む第2の光透過媒質、および前記液晶パネルモジュールと前記第1の光透過媒質との間に設置される反射偏光膜を含み、前記基材、前記第1の光透過媒質および前記第2の光透過媒質が互いに結合して単一のシートとなっている光学シート、
を含む液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1の光透過媒質と前記第2の光透過媒質との間に設置される第3の光透過媒質をさらに含み、前記第3の光透過媒質の材料が前記第1の光透過媒質および前記第2の光透過媒質の材料とは異なり、かつ前記第3の光透過媒質の屈折率が前記第2の光透過媒質の屈折率よりも小さい請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1の光透過媒質および前記第2の光透過媒質中に位置する複数の拡散粒子をさらに含む請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記V字形プリズムの頂部が前記導光部材の出光面に対向している請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記出光面が複数のレンズ状凸体からなるパターン化表面を含み、かつ前記発光素子が所定の方向に光線を射出するようになっており、前記複数のレンズ状凸体が前記所定の方向に平行に延伸している請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記複数のV字形プリズムが前記所定の方向に垂直に延伸している請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
2つの長辺および該2つの長辺につながる2つの短辺を有するフレームをさらに含み、前記発光素子が少なくとも1つの前記短辺に設置され、前記所定の方向が前記長辺に平行である請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記複数の凸状マイクロレンズが、前記第1の光透過媒質の表面にて延伸する複数のプリズム構造を含む請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記複数の凸状マイクロレンズが、前記第1の光透過媒質の表面にて延伸する複数のカマボコ状構造を含む請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記反射偏光膜が粘着性物質により前記液晶パネルモジュールと前記第1の光透過媒質に連結される請求項6に記載の液晶表示装置。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−252340(P2012−252340A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126015(P2012−126015)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(505227076)群康科技(深▲セン▼)有限公司 (27)
【出願人】(510134581)奇美電子股▲ふん▼有限公司 (28)
【氏名又は名称原語表記】Chimei Innolux Corporation
【住所又は居所原語表記】No.160 Kesyue Rd.,Chu−Nan Site,Hsinchu Science Park,Chu−Nan 350,Miao−Li County,Taiwan,
【Fターム(参考)】