説明

光学シート、光学部材、面光源装置及び液晶表示装置

【課題】プリズム面など光学要素面の反対側が凹凸塗膜面で粗面の光学シートを他の光学部材や自身と隣接配置時に、光学シート自体が傷付くのを防げる耐擦傷性に優れた光学シートと、それを用いた面光源装置及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】光学シート10は、本体部1の一方の面1pに単位光学要素2を配列し他方の面1qに表面が微小突起によって粗面を呈する凹凸塗膜3を設け、光学要素面Peの硬度Heと凹凸塗膜面Pmの硬度HmをJIS K5600−5−4(1999年)の鉛筆硬度(荷重1000g、速度1mm/s)で、硬度HmがF以上且つ硬度Hm≧硬度Heとする。更に、鉛筆硬度スケール上で1単位硬い硬度を+1として、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2とする良い。更に光学シートを表裏同じ向きで隣接して2枚重ね合わせても良い。この光学シートを面光源装置や液晶表示装置に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の進行方向を変化させる光学シートと、それを用いた光学部材、面光源装置、該面光源装置を用いた液晶表示装置に関する。
特に、柱状プリズム等による光学要素面の反対側を、最外面が粗面の凹凸塗膜や表面が平滑の平滑塗膜とした光学シートであって、しかも光学シートを2枚重ねで使用したり、ロールにして保管や運搬したりして光学シート同士で表裏が接触したり、或いは他の部材と接触したりしても、光学シート自体の表裏面が傷付き難く耐擦傷性に優れる光学シートに関する。また、本発明は、それを用いた光学部材、面光源装置、及び該面光源装置を用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型液晶表示装置に於いて、背面光源の出光面上に配置してその出射光を集光し輝度を向上させる光学シートが知られている。
例えば、特許文献1では、単位光学要素として三角柱単位プリズム等を配列したプリズム面の反対側の面を、高さが光源光の波長以上且つ100μm以下の空隙形成用の微小な突起を多数有する粗面にした光学シートが開示されている。プリズム面の反対側面を単なる平滑面とせずに、この様な粗面とすることで、光学シートのプリズム面の反対側面に導光板を隣接して配置したときに、導光板との光学密着を防止し、該光学密着による輝度の面内不均一化、干渉縞等を効果的に防止することができる。
【0003】
また、この様な微小突起を表面に多数有する粗面は、熱エンボス法、紫外線又は電子線硬化性樹脂液と成形型を用いた成形法(2P法:フォトポリマー法)、微粒子を樹脂液中に含有させた塗料の塗膜表面に微粒子による凹凸を現出させて粗面とする塗膜法などで形成できる。なかでも、塗膜法は、樹脂に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂も使用でき、微粒子も樹脂ビーズ等を使用でき、他の方法に比べて、簡便且つ安価に形成できる利点がある。
【0004】
ただ、粗面によって光学密着は防げるが、該粗面の微小突起や、或いは塗膜内部から脱落した微粒子等によって、光学シートの裏面側に隣接して配置された他の光学部材の表面が、傷付くことがあった。
そこで、特許文献2では、この様な隣接配置される他の光学部材の傷付を防止する為に、塗膜中に含有させる微粒子として粒子径分布の半値幅が1μm以下の単分散の球状ビーズを用いる技術を提案している。
【0005】
また、光学シートは、その存在によって輝度が低下しない様にすることも重要である。そこで、特許文献3では、片方をレンズ面とする光学シートにおいて、入光面となる他方の面に低屈折率層を設けて、入光面での無駄な光反射を防いで、正面方向の輝度を向上させた光学シートを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3518554号公報
【特許文献2】特許第3913870号公報
【特許文献3】特許平8−286005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、他の光学部材の傷付きが、特許文献2で提案された様な単分散の微粒子を用いて改善されたとしても、なお光学シート自身の傷付きも発生しており、その解消が望まれた。
即ち、光学シートが他の光学部材ではなく自分自身を傷付ける現象は、第1には、光学シートを面光源装置にアセンブリする前の段階で、製品として光学シートを出荷する際に発生する。光学シートは通常、生産性の点で帯状シートの形態で製造され、それをロール状に巻き取り保管、搬送し、必要なときに、用途に応じた形状及びサイズの枚葉シートに切断して出荷する。また、枚葉シートに切断した後の光学シートは、積み重ねて保管、搬送される。これらのロール状態、及び、積み重ね状態では、光学シートの表面(最外面)と、その上に重ねられた光学シートの裏面(対向する最外面)とが互いに接触している。この状態で、保管時や運搬時の振動等によって、互いに接触する表裏面が擦られ、これが原因となって、傷付きや脱落した微粒子による更なる傷付きが発生するのである。このような傷付きは、プリズム面およびプリズム面の反対側の塗膜面(表裏面)のいずれかにも発生する。
ところで、この様な、光学シート使用時までの表裏面の傷付きは、表裏面に保護フィルムを貼り付けておき、光学シートを面光源装置等にアセンブリするときに、該保護フィルムを剥離すれば、解決する。ただ、低コスト化及び省資源の観点から、最終的には不要となる保護フィルムは、なるべくならば省略できる様にするのが好ましい。
【0008】
次に、光学シートが他の光学部材ではなく自分自身を傷付ける現象は、第2には、光学シートを面光源装置等にアセンブリした後の段階で発生する。例えば、特公平1−37801号公報、特表平10−506500号公報等に記載の光学シートを2枚重ね合わせてアセンブリする場合に、この現象が生じる。なお、重ねられる二枚の光学シートの各々は、通常、配列方向に配列された単位光学要素として三角柱プリズムを一方の面に有し、且つ、この二枚の光学シートが、三角柱プリズムの配列方向が互いに直交するようにして、同じ向きで重ね合わされる。
この様に複数枚の光学シートを隣接して重ね合わせた構成を有する面光源装置、或いは該面光源装置を用いた液晶表示装置などの光学装置では、各光学シートがアセンブリされた後の状態でも、振動の影響で同様に光学シートの表裏面に傷付きが発生することがある。それは、光学装置に於いても、半製品、商品などとして保管、搬送するときに振動が加わることがあるからである。
また、光学シートを重ね合わせなくても、導光板や液晶パネル等の他の光学部材と光学シートとが隣接配置されると、他の光学部材との接触状態での保管、搬送等による振動によって、同様に光学シート自体の表裏面が傷付くことがある。
尚、プリズム等の単位光学要素の方は、比較的広い面積で外力を受けることが出来、又微粒子等の脱落し易い物を含まない。したがって、特開2009−37204号公報記載のような柔軟で復元性を有する樹脂で構成することによって、外力による傷付きを防止する設計も可能である。一方、凹凸塗膜の方は、比較的狭い面積に応力が集中することに加えて、脱落し易い微粒子も含有する為、塗膜に復元性を付与しても傷付き防止は、依然困難であった。
【0009】
また、光学密着を防止する為の接触面の粗面化は、光学シートの粗面化で対処する以外に、光学シートと接触する他の光学部材の粗面化で対処する策もあり、前記特許文献1の〔0015〕及び図4にもこの様な形態が記載されている。例えば、光学シートに接触する他の光学部材が、光拡散シートである場合に、その出光面(及び入光面)を粗面化するという対処法である。
この様な用途への光学シートの塗膜面を粗面化する必要はない。そして、平滑面化された塗膜面によれば、塗膜面に隣接するプリズム面や塗膜面に隣接する他の光学部材の傷付きを低減化することができる。又、塗膜面へ隣接するプリズム面や光学部材が傷付いた場合でも、傷付きが比較的に軽微となり、光学特性への影響も低減化する。
但し、塗膜面の方は、表面が平滑であるが故に、逆に傷が目立ち易くなる。光学特性に影響の無い程度の傷でも、外観検査で不良と判定されたり、商品価値を低く評価されることは不可避である。一方、プリズム面の方は、プリズム面の筋状外観や集光乃至光拡散特性に紛れて傷が視認され難い為、光学特性に影響の無い程度の傷であれば、傷が許容されることもある。
従って、プリズム面の反対側となる塗膜面が平滑面の場合であっても、光学シート表裏面同士の摩擦に起因した傷付の問題は残る。中でも特に、塗膜面の傷付き低減は重要な課題となり、保護フィルムレスを目指す場合、上記の様に、光学シート同士の接触による傷付きに対処する必要があった。
【0010】
また、輝度向上の観点から設けられる低屈折率層は、多くの場合、反射防止対象となる光の波長の1/4程度といった薄い厚みを有し、他の光学部材との接触によって容易に傷付きやすい。また、この様な低屈折率層それ自体は、光学密着の防止や、他の光学部材或いは光学シート自体の傷付きの防止は考慮されておらず、これらの傷付きを防ぐことができない。
【0011】
すなわち、本発明の課題は、プリズム等からなる光学要素面の反対側となる面を、光学密着を防ぐ為に粗面からなる塗膜面とするか、或いは、光学密着の防止は他の部材に任せて自身は平滑面からなる塗膜面とした構成の光学シートについて、光学シートを2枚重ねて使用したり、ロールにして保管や運搬したりして光学シート同士で表裏が接触しても、或いは他の部材と接触しても、光学シート自体の少なくとも塗膜面が傷付き難い耐擦傷性に優れ、しかも、輝度向上も可能となる光学シートを提供することである。
また、この様な光学シートを用いることで、該光学シート等の光学部材が傷付き難い、光学部材、面光源装置および液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による光学シートは、
対向する一対の表面を有する光学シートであって、
シート状の本体部と、
前記本体部の一方の面上に配列された単位光学要素と、
前記本体部の他方の面上に設けられた塗膜と、を備え、
前記一対の表面のうちの一方が、前記単位光学要素によって形成された光学要素面として構成され、
前記一対の表面のうちの他方が、前記塗膜の表面からなる塗膜面によって形成され、
JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して測定(荷重1000g、速度1mm/s)された鉛筆硬度を用いて前記光学要素面の硬度Heおよび前記塗膜面の硬度Hmを評価した場合、前記硬度HmがF以上であり(硬度Hm≧F)、且つ、前記硬度Hmが前記硬度He以上である(硬度Hm≧硬度He)。
【0013】
本発明による光学シートにおいて、鉛筆硬度スケール上で1単位硬い硬度を+1としたとき、
硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2
の関係を満たすようにしてもよい。
【0014】
本発明による光学シートにおいて、前記塗膜を成す樹脂の屈折率Nmが、前記本体部に於ける前記他方の面をなす部分の屈折率Nsよりも小さくなっていてもよい。
【0015】
本発明による光学シートにおいて、前記塗膜は、前記塗膜面が微小突起によって粗面を形成している凹凸塗膜であってもよいし、或いは、前記塗膜面が平滑な平滑塗膜であってもよい。
【0016】
本発明による光学部材は、上述した本発明による光学シートのいずれかを二枚備え、
二枚の光学シートが、表裏を同じ向きで2枚重ね合わせられている。
【0017】
本発明による面光源装置は、
光源と、
上述した本発明による光学シートのいずれかと、を備える。
【0018】
本発明による液晶表示装置は、
上述した本発明による面光源装置のいずれかと、
前記面光源装置に対向して配置された透過型液晶表示パネルと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、光学シートを示す斜視図である。
【図2】図2は、光学シートの表裏面の鉛筆硬度の好ましい関係を説明するためのグラフである。
【図3】図3は、光学シートの一変形例を示す断面図である。
【図4】図4は、光学シートの他の実施の形態(2枚重ね合わせ形態)を示す断面図である。
【図5】図5は、光学シートのさらに他の実施の形態(2枚重ね合わせ形態)を示す断面図である。
【図6】図6は、図1の光学シートを含んだ面光源装置および液晶表示装置を示す断面である。
【図7】図7は、図3の光学シートを含んだ面光源装置および液晶表示装置を示す断面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
【0021】
<〔A〕概要>
先ず、本発明による光学シートの一実施形態を、図1の斜視図で示す。同図に示す光学シート10は、シート状の本体部1の一方の面1p(図面では図面上方の面)に、単位光学要素2として断面三角形の単位柱状プリズムをその稜線方向を互い平行にして多数配列してなるプリズム群を有し、該本体部1の他方の面1qに、最外面が粗面をなす凹凸塗膜3を有する。この凹凸塗膜3は、一例としてバインダ樹脂中に微粒子を含有する塗料を本体部1に塗工することによって形成され、微粒子の存在によって最外面に微小突起が形成されることで最外面を粗面にしたものである。そして、この光学シート10は、単位光学要素2を有する側の最外面が光学要素面Peとなり、凹凸塗膜3を有する側の最外面が塗膜面Pmとなっている。
【0022】
なお、図1では、直交座標系のXYZの各軸を夫々、X軸は単位光学要素2(本実施形態では単位柱状プリズム)の配列方向と平行にとり、Y軸を単位光学要素2(単位柱状プリズム)の稜線方向と平行にとり、Z軸を本体部1の厚み方向及び凹凸塗膜3の厚み方向と平行にとってある。
【0023】
なお、本発明に於いて本体部1の他方の面1q上に形成する塗膜としては、図3の断面図で示される光学シート10の様に、該凹凸塗膜3に代えて表面が平滑な塗膜4とする形態もある。本発明においては、後述するように耐擦傷性の観点から、塗膜3,4が所定の硬度を有するようになっている。この観点から、塗膜3,4には耐擦傷性が付与されていると言え、このような平滑塗膜4は耐擦傷性塗膜とも呼ばれる。そこで本明細書では、平滑塗膜4を耐擦傷性塗膜とも呼ぶ。
【0024】
そして、これら凹凸塗膜3及び平滑塗膜(耐擦傷性塗膜)4を成す樹脂の屈折率Nmが、シート状の本体部1の塗膜に面する部分(本体部の他方の面1qをなす部分)の屈折率Nsよりも小さくしてある。この結果、凹凸塗膜3や平滑塗膜4を設けることによって輝度が低下することがなく、逆に、輝度を向上させることができる。
【0025】
図1の実施形態に戻って、更に本実施形態では、配列された単位光学要素2で形成される光学要素面Peの硬度Heと、凹凸塗膜3又は平滑塗膜4(両者を総称して、単に「塗膜」或いは「塗膜3、4」とも呼称する)の表面からなる塗膜面Pmの硬度Hmと、をJIS K5600−5−4(1999年)に準拠して荷重1000g、速度1mm/sの条件で測定された鉛筆硬度で評価した場合、硬度HmがF以上となり、且つ、硬度Hm≧硬度He、つまり硬度Hmが硬度He以上となる。
【0026】
図2は、光学要素面Peの硬度Heを横軸(X軸)にとり、塗膜面Pmの硬度Hmを縦軸(Y軸)にとり、硬度Heと硬度Hmの好ましい領域を示すグラフである。同図に示す様に、硬度HmがF以上で且つ硬度Hm≧硬度Heを満たす領域が、領域Eaである。この領域Ea内に硬度Heと硬度Hmを設定することで、光学シート1自身の耐擦傷性を向上させることができる。なお、硬度Heについては、例えば「B」の如く「F」に比べて軟らかくても、外力が加わると変形し外力から開放されたときは弾性復元力で元の形状に戻ることで、傷付きを効果的に防止することができるので、塗膜面Pmの硬度Hmの様に、特にF以上にする必要はない。通常は、光学要素面の硬度Heは4B以上に設定する。
【0027】
更に好ましくは、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2とする領域Ebとすることで、光学シートの耐擦傷性を顕著に向上させることができ、とりわけ光学シート同士を重ね合わせた際に、傷の発生を極めて効果的に防止することが可能となる。特に、2枚の光学シート10が図4、5の如く、光学要素面Peと裏側面Pmとが互いに接触し且つ相互に強く摩擦が加わった場合、硬度Hm−硬度He>3となる場合には塗膜面Pmと比較して光学要素面Peが軟らか過ぎて、光学要素面Peが傷付いてしまう可能性がある。逆に、硬度Hm−硬度He<1となる場合には塗膜面Pmに対して光学要素面Peが硬過ぎ(脆くなり)、光学要素面Peが傷付いてしまう可能性があり、また、硬い光学要素面Peによって塗膜面Pmが傷付けられてしまう可能性もある。
【0028】
<〔B〕用語の定義>
次に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
【0029】
本体部1の「一方の面1p」は、本体部1の単位光学要素2が配列される側の面である。また、光学シート10の「一方の面1p」の側を「光学要素側」と呼ぶ。「一方の面1p」は、単位光学要素2が隙間なく埋め尽くして配列されて光学要素群を構成するときは、本体部1自体には最外面乃至界面となる面としては実在しない仮想的な面となる。また、単位光学要素2が隙間を空けて配列され光学要素群を構成するときは、本体部の「一方の面1p」は、単位光学要素2の間に露出した実在の面を含む。
「光学要素面Pe」は、本体部1の一方の面1pが、隙間なく配列された単位光学要素2によって埋め尽くされる場合、隙間無く配列された単位光学要素2のみからなる面となる。また、単位光学要素2が本体部1の一方の面1pに隙間を空けて配列される場合、光学要素面Peは、隙間を空けて配列された単位光学要素2の表面と、単位光学要素2間に露出した本体部1の一方の面1pと、を含んで構成される。
「光学要素側」を「出光側」とする向きで光学シート10を使用する場合は、「光学要素側」は光学シート10をディスプレイに適用した時にディスプレイ画像を観察する「観察者側」となる。
「表裏面」とは、光学要素面Peと塗膜面Pmとの相互関係を問題とするときに、該両面を総括する呼称である。ここで、表(面)や裏(面)の語は、特に画像観察者や光源等を基準として表側や裏側の面を意味するものでは無い。
又、「光学シートを、表裏を同じ向きで2枚重ね合わせてなる」とは、2枚以上の光学シート10a、10b、・・を図4や図5の如く(2枚の場合を図示)、各光学要素面Pe、Pe、・・が全て同一方向(図4及び図5に於いては、上方)を向くようにして重ね合わせ、1つの光学シート10bの光学要素面Peが隣接する光学シート10aの塗膜面Pmと対面するようにすることを意味する。
【0030】
「主切断面」とは、単位光学要素2が単位柱状プリズムなど柱状形状である場合において、本体部1の「一方の面1p」に立てた法線nd(図1参照)に平行な断面のうち、単位光学要素2の配列方向にも平行な断面のことを言う。言い換えると、該法線ndに平行で且つ単位光学要素2(単位柱状プリズム)の稜線に直交する断面である。尚、図1に於いては、Z軸が該法線ndと平行方向となっている。
「平滑」とは、光学的な意味合いでの平滑を意味する。すなわち、或る程度の割合の可視光が、光学シート10を構成する面においてスネルの法則を満たしながら屈折するようになる程度を意味している。したがって、例えば、十点平均粗さRz(JISB0601:1994年版)が最短の可視光波長(0.38μm)未満となる面は、十分、平滑な面に該当する。
「粗面」とは、上記「平滑」の条件を満たさない凹凸面を意味する。即ち、或る表面(最外面)の十点平均粗さRz値が0.38μm以上であれば、一応粗面と言える。但し、光学密着防止効果、光拡散効果等の粗面の光学的効果を可視光波長の全帯域に亙って十分に奏する為には、表面の十点平均粗さRz値が、最長の可視光0.78μmを超過することが好ましい。通常は、粗面の十点平均粗さRz値は1〜10μm程度とする。
形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「三角形」、「円形」、「楕円形」、「平行」、「直交」、「折れ線」等の用語は、厳密な意味に縛られることなく、製造技術における限界や成型時の誤差も含めて、同様の機能を期待し得る程度の誤差、許容範囲、乃至は均等範囲を含めて解釈される用語である。
【0031】
<〔C〕光学シート>
以下、光学シートについて、各層について更に説明する。
【0032】
〔本体部〕
本体部1としては、ポリリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の透明樹脂材料、或いはガラス、セラミックス等の透明無機材料を用いることができる。
本体部1は「シート状」であるが、ここで「シート」とは、「フィルム」、「板」の概念も含むものであり、これらの用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。つまり、厚みや剛性によって区別されるものではない。例えば、本体部1の厚さは、25μm〜5mm等である。
但し、生産性に優れる点では、光学シートはロールに巻き取れる可撓性を有することが好ましく、この点では、剛直な所謂板乃至は基板と呼ばれるものではない方が好ましい。この点を考慮すると、本体部1の厚さは、25μ〜500μm程度が好ましい。
なお、本体部1の他方の面1qは、塗膜3、4が形成される面であり、通常は平滑面であるが、非平滑面とすることも可能である。
また、本体部1の一方の面1p及び他方の面1qは、共に通常は平面であり、本体部1は板のときは平板状となる。
【0033】
(本体部と単位光学要素の形成)
なお、本体部1及び単位光学要素2からなる光学シート10の部分は、従来公知の方法及び透明材料より形成することができる。例えば、単位光学要素2が配列されて形成される光学要素群と本体部1とを、溶融押出法、射出成形法、熱プレスによるエンボス法等の成形法で同一材料で一体的に成形して形成することができる。或いは、予め成膜乃至は成形した本体部1に対して、樹脂液を接触させ且つ該樹脂液を成形型と前記本体部1とで挟んだ状態で、硬化反応の化学反応或いは冷却によって固化させて、表面にプリズム形状など光学要素群を賦形する成形法によって、異なる層として形成することもできる。なお、樹脂液に紫外線や電子線等の電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を使用して電離放射線で硬化させる方法、所謂2P法(フォトポリマー法)によって、単位光学要素2を作製することもできる。この場合、本体部1として樹脂シート等の透明基材を用いると、透明基材上に樹脂層からなる光学要素群が形成される。つまり、隣接する光学要素2同士の間の谷部においても僅かな厚みの樹脂層が形成される。この様なときは、本体部1は、該谷部における樹脂の厚みを有した樹脂層であって、谷部及び谷部以外の部分に延び亘る樹脂層(ランド部)と、透明基材と、から構成され、透明基材上に形成した樹脂層の厚みの一部を含むことになる。
【0034】
〔単位光学要素〕
単位光学要素2は、代表的には単位柱状プリズムであるが、この他、マイクロレンズ(マイクロレンズを多数配列したものが、フライアイレンズ或いは蝿の目レンズなどと呼ばれている)など、従来公知の各種単位光学要素を適宜採用することができる。
以下、ここでは単位柱状プリズムについて、更に説明する。
【0035】
(単位柱状プリズム)
単位柱状プリズムは、代表的には主切断面の形状が、本体部1側を底辺とする三角形形状の単位プリズムである。この様な、単位柱状プリズムとしては、従来公知の各種プリズムを適宜採用することができる。また、主切断面形状は、三角形、四角形、五角形、六角形等の様な直線のみからなる形状の他、一部に曲線がある形状、曲線のみからなる形状(例えば、円、楕円、抛物線、双曲線、正弦曲線等の曲線の一部)も含み得る。
なお、主切断面形状が円、楕円等の曲線一部の場合は、単位柱状レンズと呼ぶこともでき、本発明に於ける単位柱状プリズムには単位柱状レンズも含み得る。
【0036】
また、単位柱状プリズムは、配列された各単位柱状プリズムが全て同一形状、同一寸法である必要は無く、形状及び寸法のうち1以上が異なるものでも良く、更に不規則に異なっていてもよい。また、単位柱状プリズムの配列は、全て同一配列周期での規則的配列以外に、配列周期が異なるものでも良く、更に不規則に異なっているものでも良い。
また、単位柱状プリズムとして、特許第3119471号公報、特表2002−504698号公報等に記載の稜線の高さが折れ線状に変化し一定でない形状は、プリズム面側での光滲潤や干渉縞等の光学密着に起因する諸問題を防げる点で、好ましい形状の一種である。なお、稜線の高さを折れ線状に変化させた単位柱状プリズムを配列したプリズム群を製造するには、例えば、従来からこの種のプリズム群の製造に利用されているシリンダ状(円筒状)成形型を、切削バイトで作製するときに、切削バイトの切削深さを折れ線状に変化させつつ切削していくことで、容易に製造できる。
【0037】
(寸法及び分布の具体例)
ここで、単位柱状プリズム及びそれからなる光学要素群(プリズム群)の寸法の具体例を示せば、単位柱状プリズムの底面の幅(プリズム配列方向での寸法)は10〜500μm、稜線を形成する頂部の高さは5〜250μm、主切断面形状は二等辺三角形状のとき稜線を形成する頂角は80〜110°好ましくは90°である。
【0038】
また、マイクロレンズも単位柱状プリズムと同様に、配列された各マイクロレンズが全て同一形状、同一寸法以外に、形状及び寸法のうち1以上が異なるものでも良く、更に不規則に異なっているものでも良い。また、マイクロレンズの配列は、全て同一配列周期での規則的配列以外に、配列周期が異なるものでも良く、更に不規則に異なっているものでも良い。なお、マイクロレンズとしては、球又は楕円体の一部で底面形状が円又は楕円となる形状が代表的であるが、この他の形状(例えば円錐、角錐など)でも良い。
【0039】
以上の様に単位光学要素2としては、代表的には単位柱状プリズムとマイクロレンズとがあるが、本光学シート10が備える単位光学要素2としては、単位柱状プリズム(単位柱状レンズを含み得る)のみでも良いし、マイクロレンズのみでも良いし、特開2010−44379号公報に開示されているような単位柱状プリズムとマイクロレンズとの両方を有するものとしても良い。
【0040】
〔凹凸塗膜〕
塗膜のうち凹凸塗膜3の形態は、少なくともバインダ樹脂を含み、外部(周囲の雰囲気等)に露出した最外面が粗面となった透明な層である。凹凸塗膜3は、微粒子を含まない構成であって、成形型によって塗膜表面に凹凸(粗面)を形成したものでも良いし、或はバインダ樹脂と微粒子とを含む構成とし、微粒子の塗膜表面への突出によって凹凸を形成しても良い。以下、特に、バインダ樹脂に微粒子を含む形態について詳述する。
この様な形態の場合、凹凸塗膜3は、バインダ樹脂と微粒子を必須成分とし、更に必要に応じて、各種添加剤、溶剤等を含む樹脂組成物(塗液、塗料)を塗布することによって形成される得る。樹脂組成物が溶剤を含むことによって、固化時に塗膜体積収縮による膜厚減少を引き起こすようにしてもよい。膜厚減少によって、微粒子が浮き上がる様に突出した微小突起が形成され、凹凸塗膜3の表面、つまり塗膜面Pmを粗面として形成することができる。又、バインダ樹脂を架橋反応、附加重合反応等によって硬化する樹脂を用い、硬化時の体積收縮を引き起こすようにしてもよい。この場合も、体積収縮によって、微粒子が凹凸塗膜面に突出して、粗面を形成することができる。
尚、上記微粒子を含む何れの形態に於いても、突出した微粒子表面は、バインダ樹脂で被覆される形態、或はバインダ樹脂で被覆されない形態の何れも可能である。但し、突出した微粒子の脱落防止、及び本発明が目指す光学シート自体の表裏面に対する傷付き防止効果の更なる向上の為には、突出した微粒子表面をバインダ樹脂が被覆する形態の方が好ましい。
【0041】
上記バインダ樹脂としては、第1には、微粒子をバインダ樹脂マトリック中に強固に固定し、凹凸塗膜3自体の本体部1からの剥離を防ぐ観点から、本体部1及び微粒子との密着性が強い透明な樹脂を適宜採用すると良い。
この様なバインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂、或いは、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂などの透明な樹脂を使用できる。例えば、熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等であり、熱硬化性樹脂は熱硬化性アクリル系樹脂、熱硬化性ポリエステル系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂等であり、電離放射線硬化性樹脂は紫外線や電子線等の電離放射線の照射で硬化する、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等である。なお、硬化性樹脂の場合は、硬化剤、重合開示剤などが該樹脂成分の一部として含み得る。
上記各種バインダ樹脂のなかでも、特に電離放射線硬化性樹脂は、硬化が迅速で生産性に優れる上、形成される凹凸塗膜3の塗膜強度を強くでき耐擦傷性を優れたものに出来る点で好ましい。
【0042】
該電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
上記モノマー(単量体)としては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
【0043】
また、上記プレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。
この他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
【0044】
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
【0045】
((屈折率))
更に、上記バインダ樹脂としては、第2には、輝度を向上させる観点から、該樹脂の屈折率Nmを、本体部1に於ける塗膜面に面する部分(他方の面1qに面する部分)を成す樹脂の屈折率Nsに比べて小さいものを採用する。この結果、光学シート10の入光面側に設けた凹凸塗膜3の塗膜面で生じ得る拡散や反射等による光の損失を抑制できる結果、その分、輝度を向上できることになる。また、空気層との界面での屈折率差は、屈折率Nsの本体部1の面が露出している場合よりも、該屈折率Nsよりも小さい屈折率Nmの凹凸塗膜3の面が露出している場合の方が、小さい。従って、この点でも、空気との屈折率差が小さい凹凸塗膜3の存在によって、その分、輝度を向上できることになる。
【0046】
なお、屈折率Nm及び屈折率Nsは、屈折率Nm<屈折率Ns、となるように設定する。そして、光学の反射防止膜の設計理論に於いて知られているように、入射光の反射損失を最小化し、輝度向上効果を最大化する為には、更に、Nm=(Ns)1/2とする(( )1/2は( )の平方根を意味する)現実に使用可能な材料でこの関係を厳密に満たすことは、一般的には、難しいことが多いが、可能な範囲内で極力この関係に近付く設計とするのが良い。
凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmを、本体部1の屈折率Nsよりも小さくするには、本体部1が例えばポリエチレンテレフタレートからなる場合、屈折率Nsを1.65とすれば、凹凸塗膜3を成す樹脂は、屈折率Nm<1.65、である樹脂を使用すれば良く、特に、Nm=(1.65)1/2=1.29が最適である。
【0047】
また、バインダ樹脂は、各種物性を調整する為に2種以上を併用しても良いが、そのなかでも屈折率を調整し低下させる為の好ましい樹脂の一種として、公知の低屈折率樹脂を併用しても良く、或いは、低屈折率樹脂を単独使用しても良い。低屈折率樹脂としては、例えば、フッ素原子含有ポリマーを用いることができる。フッ素原子含有ポリマーは単独使用でも良いが、密着性などの物性調整の為に、フッ素原子は含有していないフッ素原子非含有ポリマーを併用することもできる。また、フッ素原子含有ポリマー自体は、フッ素原子含有モノマー以外にフッ素原子非含有モノマーを併用したポリマー(共重合体)でも良く、フッ素原子非含有モノマーの併用により、ポリマー自体で屈折率、密着性などの物性調整を行ってもよい。
フッ素原子含有ポリマーとしては、塗膜強度や硬化が迅速な点で電離放射線硬化性のものを好ましく用いることができる。例えば、フッ素原子含有アクリレート系電離放射線硬化性樹脂である。フッ素原子含有ポリマーによれば、屈折率Nmを1.45以下にすることが可能である。また、フッ素原子含有アクリレート系電離放射線硬化性樹脂は、フッ素原子を含有していないフッ素原子非含有アクリレート系電離放射線硬化性樹脂を併用しても良い。例えば、多官能アクリレート系モノマーの併用などである。
【0048】
また、フッ素原子含有ポリマーとしては、市販品を用いることもできる。例えば、JSR社製のオプスターTU2181−6、オプスターTU2181−7、オプスターTU2202、オプスターJN35、ダイキン工業社製のオプツールAR110、オプツールAR100等が挙げられる。
【0049】
また、凹凸塗膜3は、バインダ樹脂以外に、塗膜の屈折率を低下させる為に、低屈折率剤を含有させても良い。低屈折率剤としては公知のものを用いることができる。例えば、それ自体が低屈折率で中実の無機微粒子、内部に空洞や空隙がある中空状微粒子などを用いることができる。ここで、中空状微粒子とは、内部に空洞を有する中空構造、或いは内部に隙間を有する多孔質構造、を有する微粒子のことを意味する。
中実の無機微粒子としては、シリカ(屈折率1.45)、弗化マグネシウム(屈折率1.38)、Na3AlF6(屈折率1.33)等があり、平均粒子径は例えば10nm〜100nmである。また、中空状微粒子としては、内部に空洞を有する中空シリカが代表的であり、平均粒子径を例えば10nm〜100nmとすることができる。
なお、低屈折率剤は、その屈折率低下効果の点で、バインダ樹脂に対して通常50〜200wt%の範囲で使用される。
【0050】
凹凸塗膜3を、前記した様に、バインダ樹脂と共に表面凹凸形成の為に微粒子を必須成分とし構成する場合、該微粒子としては、光学シートとしての基本性能である光透過性を損なわない様に透明性を有する微粒子を用いることができる。なかでも、粒子形状が球状の球状粒子が微粒子として好ましい。なお、球状とは粒子形状が球状乃至はそれに近い略球状の粒子である。粒子形状を球状とすることで、微粒子によって凹凸塗膜3の表面に生成される微小突起の頂上部及びその周辺の形状を、角ばった形状ではなく、丸みを帯びた形状にして生成できる。しかも、更に、微小突起部分で微粒子が露出せず、球状粒子の微粒子をバインダ樹脂で被覆する形態とした場合は、微粒子が脱落し難くなる上、バインダ樹脂自体が隣接する部材と接触する部分となる。その結果、微小突起を形状的に滑り易い形状にできるので、光学シートに接触する光学部材、或いは該光学シート自体(それも微小突起の先端など微小突起自体)を摩擦等によって傷付き難くして、接触部の欠け等の防止に効果的となる。
この様な球状の微粒子、つまり球状粒子としては、アクリル樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、ポリウレタン樹脂ビーズ等の樹脂ビーズの他、ガラスビーズ、シリカビーズ等の無機質ビーズを用いることができる。
【0051】
なお、この微粒子の屈折率は、通常は、低屈折率材料と兼用はさせない為、バインダ樹脂の屈折率になるべく近い屈折率のものを用いることが、微粒子とバインダ樹脂との界面で光を拡散させない点で好ましい。但し、光拡散機能を意識的に光学シートに付与したい場合には、この限りではない。
ところで、この表面凹凸形成用の微粒子を、前記した低屈折率剤と兼用させることも出来る。但しその為には、低屈折率化効果の点で、バインダ樹脂に対して50〜200wt%程度などと、同レベルで含有させる必要がある。しかし、こうすると、表面凹凸形成用の微粒子の方はバインダ樹脂に対して通常最大でも5wt%以下で含有させるのが好ましいので、該微粒子によって、表面凹凸を意図した様に形成することが難しくなり、且つ光拡散性が必要以上に強くなり過ぎる。従って、表面凹凸形成用の微粒子は、光学密着防止用の可視光線波長以上(Rz≧0.78μm)の微小突起を形成するのに足る1〜10μm程度の粒径で、且つバインダ樹脂と極力屈折率が近い物とし、一方、低屈折率剤としての無機微粒子や中空状微粒は、不要な光拡散発現を回避する為に、可視光線の最小波長未満である0.01〜0.2μm程度の粒径で、且つ屈折率もNm=(Ns)1/2の関係を極力満たす物とし、各々にその機能を分担させ併用するのが好ましい。
【0052】
球状粒子の粒子径は、例えば、(平均しない個々の粒子の1次)粒子径で1〜10μm程度である。また、粒子径分布は広いと微小突起の夫々の突出高さ(微小突起の存在しない部分の凹凸塗膜3の表面からの個々の微小突起部分の標高)の分布が広くなる。従って、粒子径の大きい球状粒子は突出高さが高い微小突起を生成し空隙形成に積極的に作用するが、光学部材との接触頻度が大きく且つ接触による外力も大きくなるので、その分、塗膜面Pmが傷付き易くなる。この為、粒子径分布は狭い方が好ましい。従って、粒子径分布が狭い、つまり単分散乃至は単分散に近い粒子径分布を有するものが、より好ましい。例えば、先の特許文献2で開示されている様な、粒子径分布が粒子径分布曲線に於ける半値幅を1μm以下としたものが好ましい。この様に半値幅が1μm以下の単分散の球状粒子を微粒子として用いることによって、微粒子によって生成される微小突起の突出高さの均一性が向上し、突出高さの相対的に高い微小突起への荷重集中の度合いを低下させることができる。なお、半値幅とは粒子径分布に於いては、粒子径分布曲線のピーク高さの1/2の高さに該当する部分での粒子径(値の分布)幅である。この為、球状粒子の側からも耐擦傷性を向上させることができる。
【0053】
なお、粒子径分布及び平均粒子径は、個数基準もあるが、一般には体積基準(乃至は重量)が使われており、本発明でもこれと同様に体積基準の体積平均粒子径であり、半値幅も同様である。この様な、体積基準の粒子径分布乃至は平均粒子径は、レーザ光線を利用した動的光散乱法等によって測定できる。また、顕微鏡観察で個々の球状粒子の粒子径を測定しこれから算出しても良い。
【0054】
また、球状粒子の(個々の粒子の)最大径が10μmを超えると光の進路変更作用が増加する。この為、光学シート10を輝度向上シートとして使用するときに、光学シート10の光学要素面Peで機能させる集光作用が低下しその光学機能が損なわれ始める。従って、極力10μm超の粒子は避けるのが好ましい。
もっとも、あえて、粒子径の大きいものを採用して、適度に拡散させる機能を付与する形態を排除するものではない。一方、球状粒子の(個々の粒子の)最小径が1μm未満となると、凹凸塗膜3を形成する塗料組成物での球状粒子の分散に高度の技術が必要になるとともに、粗面の凹凸の突起高さ(十点平均粗さRzで評価)を必要とされる0.78μm以上確保することが難しくなり、また材料自体が高価となる等の点で好ましくない。
なお、球状粒子など微粒子の含有量は、バインダ樹脂に対して、例えば2〜15質量%とする。微粒子の含有量を調整することで、微小突起の面密度を調整することができる。
【0055】
なお、凹凸塗膜3に、光を拡散させる光拡散機能を積極的に付与してもよい。例えば、凹凸塗膜3が含有する微粒子を光拡散剤として機能させることによって、光拡散機能が付与され得る。微粒子を光拡散剤として機能させるには、微粒子とバインダ樹脂との屈折率差の大きい材料を用いると良い。この場合、微粒子とバインダ樹脂との屈折率の差は0.1以上とすることができ、好ましくは0.15以上とすることができる。
【0056】
(添加剤)
なお、凹凸塗膜3中には、滑剤、分散剤、安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤など、公知の各種添加剤を含み得る。これらは、前記凹凸塗膜3を形成する為の樹脂組成物中に添加して使用する。
【0057】
例えば、滑剤は、凹凸塗膜3の粗面となった最外面(表面)の滑り性を向上させて、光学シート自身を傷付き難くでき耐擦傷性を向上させることができる。
滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックスなどの炭化水素系滑剤、ラウリン酸などの脂肪酸系滑剤、ステアリルアルコールなどの高級アルコール系滑剤、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪族アミド系滑剤、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等のアルキレン脂肪酸アミド系滑剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸金属塩からなる金属石鹸系滑剤、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、硬化油等の脂肪酸エステル系滑剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等のシリコーン系滑剤、を挙げることができる。
また、変性シリコーンオイルとしては、上記以外にも、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、オレフィン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル等を挙げることができる。
【0058】
また、上記各種滑剤の中でも、変性シリコーンオイルは好ましく、特にポリエーテル変性シリコーンオイルは好ましい滑剤である。ポリエーテル変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのシロキサン骨格をポリエーテル骨格で修飾した化合物であり、シロキサン骨格の片末端、両末端及び側鎖のいずれか1以上の部位に、ポリエーテル骨格が結合したブロック共重合体である。この様なポリエーテル変性シリコーンオイルの好ましい化合物例として、例えば、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンを挙げることができる。ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンは、シロキサン骨格がジメチルポリシロキサンであり、これにポリエーテル骨格が結合した化合物である。
【0059】
〔平滑塗膜(耐擦傷性塗膜)〕
また、本発明による光学シートは、図3の断面図で例示する実施形態の様に、即ち上記した凹凸塗膜3に代えて、表面が平滑な平滑塗膜4を有するものでも良い。この場合、塗膜面Pmは、平滑塗膜4によって平滑面となる。
【0060】
平滑塗膜4は、少なくとも樹脂を含み表面が平滑面となった透明な層であって、樹脂組成物の塗工によって形成される。平滑塗膜4は、保護フィルム無しで光学シート10同士がその表裏で接触するとき、或いは、光学密着防止の為に接触面を粗面化した他の光学部材と接触するときに、光学シートの傷付きを防止する為の層である。
この様な平滑塗膜4は、上記した凹凸塗膜の形成に用いる樹脂組成物から、該凹凸形成用の微粒子を除いた樹脂組成物によって、形成することができる。よって、樹脂成分は同様なものを適宜採用すれば良く、また、前記微粒子以外の例えば、低屈折率樹脂、低屈折率剤、滑剤などの各種添加剤は同様に添加することができ、また、屈折率の大小関係の設定も同様であるので、ここでは更なる説明は省略する。
【0061】
〔表裏面の硬度〕
本発明では、光学シート10の表面側、即ち、単位光学要素2側の最外面である光学要素面Peの硬度Heと、光学シート10の裏側面、即ち、凹凸塗膜3側の粗面を成す最外面、或いは平滑塗膜4側の平滑面を成す最外面、であるところの塗膜面Pmの硬度Hmは、鉛筆硬度で特定された硬度とする。
【0062】
(鉛筆硬度)
ここで、硬度He及び硬度Hmに関する鉛筆硬度とは、JIS K5600−5−4(1999年版)に準拠して荷重1000g、速度1mm/sの条件で測定された鉛筆硬度のことを意味する。そして、凹凸塗膜3又は平滑塗膜4の塗膜面Pmの硬度Hmを鉛筆硬度でF以上とし、且つ、該硬度Hmが、反対側の面の光学要素面Peの鉛筆硬度による硬度He以上(Hm≧He)となっていることが好ましい。図2のグラフで示せば、光学シート10について測定された硬度Hm及び硬度Heは、領域Ea内に位置していることが好ましい。
【0063】
なお、硬度Hmを硬度He以上とするのは、塗膜面Pmの硬度Hmを光学要素面Peの方の硬度He以上にしないと、塗膜面Pmが、傷付き易いからである。一方、光学要素面Peは外力が加えられた時は変形し外力から開放された時は元に戻る様に軟らかくすることによって、光学要素面Peの傷付きを防ぐことができる。この点について、塗膜面Pmは、特に、粗面を有する凹凸塗膜3の場合は、逆に、外力が加えられた時でも光学密着を防止する為に相応に変形せずに耐えて形状を維持させる必要がある。加えて、凹凸塗膜3における凹凸の点状突出部には、光学要素面Peに比べて、応力が集中し、これに耐える必要も有る。その為、硬度Hmは硬度He以上とするのが好ましい。
【0064】
また、塗膜面Pmが、平滑面を有する平滑塗膜4の場合には、前記凹凸塗膜3の様に、外力に対する粗面を成す凹凸形状の維持を考慮する必要はない。しかしながら、塗膜面Pmが平滑塗膜4の平滑面からなる場合、粗面が塗膜面Pmに接触すると、例えば、光拡散シート等の光学部材や光学シート10の光学要素面Peが塗膜面Pmに接触すると、平滑面に凹みが生じそれが回復せず残ると光学欠陥につながり、且つ、平滑面であるが故に逆に光学欠陥が目立つので、外力に対する変形に耐える必要も有る。
そもそも、光学要素面Peは元々凹凸を有することから、多少の傷が光学要素面Peに付いていたとしても、当該傷は比較的目立ち難く、当該傷は比較的に問題となりにくい。その一方で、平滑塗膜4の塗膜面Pmの方は表面が平滑の為、少しでも傷が付くと目立ち易い為でもある。
したがって、平滑塗膜4が採用される場にも、硬度Hmが硬度He以上となっていることが好ましい。
【0065】
この様な硬度及び硬度関係にすることによって、光学シートの表裏面同士の(光学要素面Peと塗膜面Pmとの間の)接触、或いは光学シートと接触面が粗面の他の光学部材との接触が生じても、光学シートの光学要素面Peや塗膜面Pmが削られる様な傷付きを効果的に防ぐことができる。
【0066】
更に、好ましくは、硬度Heと硬度Hmとの関係は、鉛筆硬度のスケール上で1単位硬い硬度を+1としたときに、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2とするのが良い。すなわち、塗膜面Pmの硬度Hmは、光学要素面Peの硬度Heの硬度よりも、最低限、鉛筆硬度のスケール上で+2単位以上硬くすることが好ましい。但し、最大でも、塗膜面Pmの硬度Hmは、光学要素面Peの硬度Heに対して、鉛筆硬度のスケール上で+3単位までは硬くして良いが、3単位を超過して硬くないことが好ましい。単純に考えれば鉛筆硬度は硬くするほど傷付き難くなると考えられるが、実際には硬過ぎても光学シート10の表裏面を重ね合わせた際に、逆に、光学要素面Peの方が傷付くため、上記の様な範囲関係とするのが良い事が判明した。
又、塗膜面の硬度Hm及び光学要素面Heを上記の如く規定すること、特に塗膜面の硬度に上限He+3を設けることは、塗膜3、4による光学シート10と隣接して配置される他の光学部材に対する傷付きを解消する上でも有效である。
なお、鉛筆硬度のスケールとは、軟らかい方から硬い方に向かって順に、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H等のことである。また、この鉛筆硬度のスケールで、例えば、「HB」に対して「+1単位」とは1つ上の硬度単位である「F」を意味し、「+2単位」とは2つ上の硬度単位である「H」を意味する。従って、例えば、HeがHBならば、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2とは、2H≧硬度Hm≧Hを意味する。
【0067】
この様な硬度及び硬度関係にすることによって、光学シート同士の表裏面の接触、或いは光学シートと他の部材との接触(とりわけ、平滑塗膜4の場合は接触面が粗面を成す部材との接触)が生じても、光学シートの光学要素面Peや塗膜面Pmが削られる様なことをより確実に防ぐことができる(表1、表3および表4参照)。
【0068】
(マルテンス硬さ試験に於ける回復率とマルテンス硬度)
また、光学要素面Peの硬度Heと、凹凸塗膜3の凹凸塗膜面Pmの硬度Hmとについては、更にマルテンス硬さ試験による回復率も規定するのが好ましい。マルテンス硬さ(硬度)とは、硬度指標の一種であり、例えば、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の微小硬さ試験機(PICODENTOR(登録商標) HM500、ISO14577−1)を用いて測定することができる。
ここでは、マルテンス硬さ試験に於ける回復率とマルテンス硬度は、上記HM500の微小硬さ試験機を用いて測定した特性値である。具体的には、該微小硬さ試験機を用いた硬さ試験で、一定の押し込み荷重のときの押し込み深さ(μm)から、算出された硬度を意味する。押し込み荷重は、光学シート10に対する法線方向の荷重を意味し、押し込み深さは押し込まれる前の測定面の界面を0とし、荷重を加えたとき(荷重時)の前記界面の深を表す。そして、回復率(%)とは、下記〔式1〕で算出される。
【0069】
【数1】

【0070】
鉛筆硬度による前記した硬度の規定の他に、単位光学要素2と凹凸塗膜3の何れか一方又は両方について、この回復率が50%以上であると、光学シート自体の耐擦傷性を向上できる(表2参照)。回復率が高いと、外力が加わっても形状復帰が行われる度合いが増して、一部が欠損したり永久変形して凹んだままになったりせずに、傷が付き難くなると思われる。
【0071】
なお、硬度He及び硬度Hmを、鉛筆硬度、或いは更にマルテンス硬さ試験に於ける回復率を、上記の様にするには、単位光学要素2及び凹凸塗膜3を樹脂で構成し、且つその樹脂に電離放射線硬化性樹脂等を使用し樹脂組成を調整することによって実現できる。また、単位光学要素2及び凹凸塗膜3の樹脂に電離放射線硬化性樹脂等の同じ硬化性樹脂を使用することで、硬化収縮などによる光学シートの反りの防止に対しても効果がある。
【0072】
また、マルテンス硬度については、光学シート自体の耐擦傷性の点で、例えば表2の様の様に、凹凸塗膜面Pmに対して、第1桁を四捨五入した数値で、100〜180N/mm2では好ましい結果が得られているが、220N/mm2では好ましい結果が得られていない。また、上記した回復率が50%以上でも、マルテンス硬度が例えば220N/mm2と高いと、最高レベルの耐擦傷性は得られない(表2の比較例A3)。
一方、光学要素面Peの回復率も、凹凸塗膜面Pmと同様に、50%以上が外力により凹んだままとなり難い点で好ましいが、マルテンス硬度は、凹凸塗膜Pmよりも軟らかくても良い結果が得られている(表2では約2〜4N/mm2である)。
【0073】
〔2枚重ね形態〕
本発明による光学シート10は、図4及び図5の断面図で概念的に示す様に、2枚重ね合わせた状態の光学シート(光学部材)10Aとしても良い。この2枚重ね合わせた状態とは、上下の光学シート10a,10b同士が間に空間を空けて配置されることではなく、互いに接触しており隣接配置されることを意味する。図4及び図5に示された形態では、下側の光学シート10bの光学要素面Peと、上側の光学シート10aの塗膜面Pmとが互いに接触するようにして、二枚の光学シートが重ねられている。
なお、図4に示された形態では、各光学シート10a,10bが凹凸塗膜3を塗膜として有しており、各光学シート10a,10bの塗膜面Pmは凹凸塗膜3によって粗面として形成されている。一方、図5に示された形態では、各光学シート10a,10bが平滑塗膜4を塗膜として有しており、各光学シート10a,10bの塗膜面Pmは平滑塗膜4によって平滑面として形成されている。また、図示は省略するが、二枚の光学シートのいずれか一方の塗膜が凹凸塗膜3によって形成され、二枚の光学シートの他方の塗膜が平滑塗膜4として形成されてもよい。
また、複数の光学シートから構成される光学部材10Aが、上述してきた光学シートを三枚以上含んで構成されてもよい。
【0074】
なお、図4及び図5に示された光学部材10Aでは、上下の光学シート10a,10bは、光学要素面Peが同じ側を向くようにして重ねられた形態であるが、互いに異なる側を向くようにして重ねられる形態を本発明は排除しない。また、上下の光学シート10a,10bは、共に単位光学要素2として断面三角形の単位柱状プリズムで、しかも、その稜線の延在方向は作図の便宜上、共に紙面に垂直方向として描いているが、通常は、この様な柱状の単位光学要素を配列するときは、その稜線の延在方向は、光学シート10aと光学シート10bとの間で互いに直交させる等、交差させる。
また、光学シートを2枚重ねするとき、重ね合わせる光学シート同士は、単位光学要素2の内容、及び、塗膜面Pmを形成する凹凸塗膜3同士や平滑塗膜4同士が同様に構成されてもよいし、異なるように構成されてもよい。
【0075】
そして、このような光学シート(光学部材)10Aが面光源装置等に組み込まれた場合、互いの接触に起因した光学シート10a,10bの塗膜面Pm及び光学要素面Peの削れ等が生じ難い耐擦傷性が得られる。また、屈折率Nm,Nmが調節された光学シート(光学部材)10Aによれば、輝度を向上させることもできる。
【0076】
〔その他〕
なお、本発明の光学シート10は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、上記した層以外のその他の層を含んでいても良い。
例えば、光学シート10に帯電防止層を更に設けても良い。帯電防止層によって、埃等の異物付着を低減し、付着した異物による傷付きを防止できる。なお、帯電防止層を別途の層として設けず、本体部1、単位光学要素2、塗膜3、4(凹凸塗膜3或いは平滑塗膜4)のいずれか一以上に、帯電防止剤を添加して帯電防止機能を付与しても良い。
また、光学シート10の入光面となる面が、反射を効果的に防止する機能を有した反射防止層として形成されてもよい。例えば、光学シート10の入光面をなす層が、当該層に隣接する層よりも低い屈折率を有する場合、当該層が反射防止層として機能することができる。
【0077】
なお、塗膜面Pmが粗面となっている凹凸塗膜3を有した光学シート10において、単位光学要素2が存在しない本体部1と塗膜3,4との状態で、90%以上の全光線透過率を呈するようにすることができる。また同様の状態で、ヘーズを10%以下とすることができる。また同様の状態で、0.125mm及び0.5mmの光学櫛を用いた透過鮮明度を、50%以上とすることができる。
なお、全光線透過率はJIS K−7361に準拠して測定され、ヘーズはJIS K−7136に準拠して測定される。全光線透過率およびヘーズは、例えばヘーズ・透過率計HM−15(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定され得る。透過鮮明度は、JIS K−7105規定の像鮮明度に準拠して測定される。なお、透過鮮明度は、例えば写像性測定器(スガ試験機株式会社、ICM−1DP)を用いて、測定され得る。
【0078】
<〔D〕面光源装置>
本発明による面光源装置は、少なくとも、光源と、該光源からの光が透過する光学シート10と、を備え、面状に光を放射する光源装置である。光学シート10以外の構成要素である、光源やその他必要に応じて配置される光学部材の構成や配置などは、従来公知の面光源装置の各種光学部材の構成及び配置を、適宜採用することができる。
【0079】
例えば、図6で例示の面光源装置30では、光源31と、該光源31を側面に備えた導光板32と、該導光板32の出光面上に隣接配置された光学シート10と、を備えている。光源31、導光板32、或いは、必要に応じて設けられるその他光学部材(図示せず)は、公知のものを適宜採用することができる。なお、図6に示された面光源装置30に於いては、光学シート10は、その光学要素面Peを図面上方の出光面側とする向きで配置されている。
一方、光学シート10の塗膜面Pmは導光板32側であり、塗膜面Pmは、光学シート10と接触する他の光学部材である導光板32の出光面に接触している。しかし、同図の形態では、光学シート10の塗膜面Pmは凹凸塗膜3によって粗面として形成されている。したがって、凹凸塗膜3によって導光板32との光学密着が防止され、該光学密着による輝度の面内不均一化、干渉縞等を効果的に防げる構成となっている。更に、塗膜面Pmの耐擦傷性が向上しているので、光学シート自身の傷付き、図示された面光源装置内における導光板32の出光面との接触による傷付きを、効果的に防止することができる。
【0080】
なお、図6の形態では、面光源装置30に組み込まれた光学シート10が塗膜として凹凸塗膜3を有しているが、図7に示すように、面光源装置30に組み込まれる光学シート10が、該凹凸塗膜3に代えて、平滑塗膜4を有するようにしてもよい。図7に示された面光源装置では、該平滑塗膜4に接する他の光学部材の面を粗面として、光学密着を防止している。該平滑塗膜4に接する光学部材は、導光板32でも良いが、図示された例では、導光板32と光学シート10との間に、光学シートに対面する面が粗面として形成された部材、例えば光拡散シート35が配置されている。図7に示された面光源装置30においても、光学シート10の平滑な塗膜面Pmと、光学シートに隣接配置された部材の粗面(例えば、光拡散シート35の出光面をなす粗面)と、が接触したとしても、光学シート10の平滑な塗膜面Pmの傷付きや、光学密着による不具合を、効果的に回避することができる。
【0081】
なお、図6および図7の形態では、一枚の光学シート10のみが面光源装置に組み込まれている例を示したが、図4や図5に示された複数枚、例えば二枚の光学シートを、面光源装置に組み込んでもよい。
また、図6および図7に示された面光源装置はエッジライト型として構成されているが、光学シートが組み込まれる面光源装置が直下型として構成されていてもよい。また、光源31は、線状の冷陰極管等の蛍光灯の他、点状のLED(発光ダイオード)、或いは面状のEL(電場発光体)等が使用される。導光板32には、例えば、透明なアクリル樹脂等が使用され、その出光面に対峙する面には印刷等により光拡散部が設けられる。
また、光源31に対して、光源31からの光を導光板32や光学シート10側へ向ける為に反射板等の反射部材を通常は備える。反射部材は金属等の高反射率の材料で構成される。その他、必要に応じて、光拡散板、偏光分離フィルム、位相差板などの光学部材が更に配置される。
【0082】
<〔E〕液晶表示装置>
本発明による液晶表示装置は、少なくとも、バックライトとして用いられる本発明による面光源装置と、該面光源装置の出光面上に配置される透過表示可能な液晶パネルと、を備える表示装置である。該面光源装置内には、本発明による光学シート10が設けられている。この表示装置において、液晶パネルや、図示しない他の部材、例えば、防眩フィルム等の光学部材、パネル駆動回路などは、従来公知の液晶表示装置の構成部材を、適宜採用することができる。
例えば、図6および図7に示された液晶表示装置40では、上記した面光源装置30をバックライトとして、その出光面上に、透過型の液晶パネル41を隣接配置してある。従って、該面光源装置30の出光面は、同図に示す様に、光学シート10の光学要素面Peであったから、該光学要素面Peが、光学シート10と接触する他の光学部材としての液晶パネル41の背面と接触している。なお、接触する液晶パネル41の背面は通常は偏光板が積層されている。そして、液晶パネル41の画像は、面光源装置30からの光によって、図面上方の観察者Vによって観察される。
このような構成の液晶表示装置として、光学シート10と液晶パネルとが隣接配置されていても、光学要素面Peの耐擦傷性が向上しているので、光学シート自身の傷付きを防げる構成となっている。また、光学シート10が含まれた面光源装置30を用いているため、輝度を向上させることもできる。
【0083】
なお、図6および図7に例示の液晶表示装置40では、それが備える面光源装置30はエッジライト型として構成されているが、既に説明したように、直下型として構成されても良い。
【0084】
<〔F〕作用効果>
(1)上述した光学シートでは、最外面が粗面の凹凸塗膜又は最外面平滑な平滑塗膜を設けてあるにも係わらず、光学シートの表裏面の各々の鉛筆硬度及び両者の関係を特定したことで、2枚重ね合わせたときの自身を含めて光学部材に隣接配置して使用したときの、光学シート自体の表裏面の耐擦傷性が向上し、傷付きを効果的に防止することができる。
とりわけ、光学シートがロール状態での保管、運搬等で振動を受けても表裏面の傷付きを防げ、外観不良等で品質が低下しない。その結果、光学シートの表裏両面に通常は使用時まで一時的に貼り付けておく保護フィルムが不要とすることも可能となるので、省資源および低コスト化を図ることができる。
さらに、塗膜と本体部との屈折率関係を規定したことで、耐擦傷性向上の為の塗膜を設ける一方、輝度がその分低下することもなく、塗膜を設けたことによって層数が増えても輝度が低下することがない。すなわち、耐擦傷性を確保した上で輝度も向上できる。
(2)また、上述した面光源装置及び液晶表示装置では、上述した効果の様に光学シートの表裏面の耐擦傷性が向上しているので、装置が、保管や運搬等で振動を受けても組み込まれた光学シートの表裏面の傷付きを効果的に防止することができる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例及び比較例によって、本発明を更に説明する。
【0086】
<調査1>
まず、調査1として、図1の構成を有する光学シートにについて調査を行った。すなわち、調査1で対象とした光学シートは、凹凸塗膜からなる塗膜を有し、塗膜面が粗面として形成されているようにした。
【0087】
〔凹凸塗膜形成用塗料の準備〕
各種鉛筆硬度の凹凸塗膜を形成するために、次の各組成の塗料を準備した。
【0088】
(組成A1:鉛筆硬度HB用)
フッ素原子含有ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂 99質量部
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0089】
(組成A2:鉛筆硬度F用)
フッ素原子含有ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂 49.5質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 49.5質量部
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0090】
(組成A3:鉛筆硬度H用)
ペンタエリスリトールトリアクリレート 99質量部
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0091】
(組成A4:鉛筆硬度2H用)
ペンタエリスリトールトリアクリレート 49.5質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 49.5質量部
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0092】
(組成A5:鉛筆硬度3H用)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 99質量部
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0093】
〔実施例A1〕
単位光学要素2として単位柱状プリズムを採用した図1に示された光学シート10を作製した。
先ず、成形型として単位柱状プリズムからなるプリズム群とは逆凹凸形状の型面を有する金属製のシリンダ状の成形型を用意した。そして、この成形型に、下記単位光学要素形成用の樹脂組成の透明なアクリル系の紫外線硬化性樹脂液を塗布し、更にその上に、厚み188μmの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を重ねた状態で、高圧水銀灯からの紫外線照射によって該樹脂液を硬化させた。そして、単位光学要素2として単位柱状プリズムがその稜線を互いに平行に、シート状の本体部1の一方の面1pに配列して成るプリズム群を有する、プリズムシート部材を作製した。
【0094】
[単位光学要素形成用の樹脂組成]
プレポリマー(カプロラクトン変性ウレタンアクリレート) 11質量部
プレポリマー(トリレンジイソシアネート系ウレタンアクリレート) 8質量部
2官能モノマー(ビスフェノールAジアクリレート) 47質量部
3官能モノマー(グリセリンエポキシトリアクリレート) 30質量部
開始剤 2.5質量部
(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)
滑剤(リン酸エステル系滑剤) 1質量部
【0095】
なお、本体部1は上記PETフィルムと、該PETフィルムと成形型面上の凸部と間の上記紫外線硬化性樹脂液の硬化物層の厚みに該当する該硬化物層の一部から構成される。また、該硬化物層の残りの厚み部分が、多数の単位柱状プリズムを単位光学要素2とするプリズム群を構成する。また、単位柱状プリズムの形状は、主切断面形状が、頂角90°の直角二等辺三角形で底辺が50μm、高さは一定で25μm、配列周期は50μmである。また、この単位柱状プリズムからなる単位光学要素2は本体部1の一方の面1pを完全に被覆して、同一形状同一寸法同一周期で、単位光学要素を配列したプリズム構造が形成され、この最外面が光学要素面Peとなっている。
【0096】
次に、上記プリズムシート部材の裏面側である本体部1の他方の面1qに、前記組成A2の凹凸塗膜形成用塗料を塗布し加熱乾燥後、高圧水銀灯から紫外線照射して硬化させて厚み3μmの凹凸塗膜3を形成し、目的とする光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeがB、凹凸塗膜面Pmの硬度HmがFを示した。
【0097】
〔実施例A2〕
実施例A1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A3に変更した他は、実施例A1と同様にして実施例A2の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。
【0098】
〔実施例A3〕
実施例A1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A4に変更した他は、実施例A1と同様にして実施例A3の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、凹凸塗膜面Pmの硬度Hmは2Hを示した。
【0099】
〔実施例A4〕
実施例A1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A5に変更した他は、実施例A1と同様にして実施例A4の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、凹凸塗膜面Pmの硬度Hmは3Hを示した。
【0100】
〔実施例A5〕
実施例A2に於ける凹凸塗膜形成用塗料は組成A3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物を次の組成に変更した他は、実施例A2と同様にして実施例A5の光学シートを作製した。
光学要素形成用の樹脂組成物は、プレポリマーとしてカプロラクトン変性ウレタンアクリレートとエチレンオキサイド変性ビフェニロキシエチルアクリレートとを用い、これに更に2官能モノマーとしてネオペンチルグリコールメタクリレートとビスフェノールAジアクリレートとを用い、3官能モノマーとしてグリセリンエポキシトリアクリレートを用いたもので、更に開始剤としてビスアシルフォスフィンオキサイド系開始剤及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(登録商標)184)を添加し、リン酸エステル系滑剤を添加した樹脂組成物である。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。
【0101】
〔実施例A6〕
実施例A5に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A4に変更した他は、実施例A5と同様にして実施例A6の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、凹凸塗膜面Pmの硬度Hmは2Hを示した。
【0102】
〔実施例A7〕
実施例A5に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A5に変更した他は、実施例A5と同様にして実施例A7の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、凹凸塗膜面Pmの硬度Hmは3Hを示した。
【0103】
〔実施例A8〕
実施例A5に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A2に変更した他は、実施例A5と同様にして実施例A8の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはFを示した。
【0104】
〔実施例A9〕
実施例A5に於ける凹凸塗膜形成用塗料は組成A3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物として、上述した凹凸塗膜形成用塗料の組成A3から微粒子を除いた組成物を用いた他は、実施例A5と同様にして実施例A9の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。
【0105】
〔比較例A1〕
実施例A1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A1に変更した他は、実施例A1と同様にして比較例A1の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHBを示した。
【0106】
〔比較例A2〕
実施例A5に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A1に変更した他は、実施例A5と同様にして比較例A2の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHBを示した。
【0107】
〔比較例A3〕
実施例A9に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成A2に変更した他は、実施例A9と同様にして比較例A3の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはFを示した。
【0108】
〔比較例A4〕
実施例A5に於ける凹凸塗膜形成用塗料は組成A3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物として、上述した凹凸塗膜形成用塗料の組成A4から微粒子を除いた組成物を用いた他は、実施例A5と同様にして比較例A4の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは2Hで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。
【0109】
〔性能評価〕
上記の実施例A1〜A9及び比較例A1〜A4の光学シートについて、鉛筆硬度と耐擦傷性を評価した。また、各実施例のマルテンス硬度と回復率を測定した。尚、光学要素面Peの鉛筆硬度試験は、鉛筆をプリズム稜線方向に移動させて行った。
【0110】
(1)鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して、荷重1000g、速度1mm/sの条件で測定した。
(2)耐擦傷性は、次のようにして評価した。まず、透明なアクリル樹脂板上に、1辺の長さが5cmの正方形に裁断した10枚の光学シートを、重ねて配置した。10枚の光学シートは、各光学要素面を下側に向けて且つ各単位光学要素つまり単位柱状プリズムの配列方向を互いに平行にして、重ねた。重ねられた10枚の光学シートの上に、更に、前記と同じ透明なアクリル樹脂板を重ね、四辺周囲を粘着テープで固定した。10枚の光学シートを間に挟んだ一対のアクリル樹脂板を、振動試験機(アイデッスク株式会社製、BF−50UL)の水平な加振台の上に固定し、更にその上から荷重10gの重りを載せて固定した状態で、上下及び左右の3軸同時振動を加えた。振動は、加速度7.3G、周波数67Hzとした。
振動を加えた後の光学シートについて、その表面具合を倍率500倍の顕微鏡による目視観察で確認した。光学要素面Peについては単位柱状プリズムの稜線部分の長さ3mmに亘った領域を観察し、塗膜面Pmについては面積9mm2の正方形の領域を観察して、傷の有無を確認した。
塗膜面(調査1においては、凹凸塗膜面)の耐擦傷性を評価するため、各実施例乃至比較例とも試験後の光学シート5枚について傷の有無の確認を行った。そして、5枚全部の光学シートの塗膜面に傷が発生していなかった場合、塗膜面の耐擦傷性を「優」と評価し、5枚全部の光学シートの塗膜面に傷が発生していた場合、塗膜面の耐擦傷性を「不良」と評価し、一部の光学シートの光学要素面に傷が発生していたが残りの光学シートの塗膜面面に傷が発生していなかった場合、塗膜面の耐擦傷性を「良」と評価した。
光学要素面についての耐擦傷性を評価するため、各実施例乃至比較例とも試験後の光学シート5枚について傷の有無の確認を行った。そして、5枚全部の光学シートの光学要素面に傷が発生していなかった場合、光学要素面の耐擦傷性を「優」と評価し、5枚全部の光学シートの光学要素面に傷が発生していた場合、光学要素面の耐擦傷性を「不良」と評価し、一部の光学シートの光学要素面に傷が発生していたが残りの光学シートの光学要素面に傷が発生していなかった場合、光学要素面の耐擦傷性を「良」と評価した。
(3)マルテンス硬度と回復率は、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の微小硬さ試験機(PICODENTOR(登録商標) HM500、ISO14577−1)を用いて測定した。
【0111】
〔性能比較〕
そして、実施例A1〜A9及び比較例A1〜A4の鉛筆硬度での硬度He及び硬度Hmと、耐擦傷性を表1および図2に示す。図2および表1において、総合評価として、塗膜面Pmおよび光学要素面Peの耐擦傷性の評価が「優」であった場合を○印を示し、塗膜面Pmの耐擦傷性の評価が「優」であり且つ光学要素面Peの耐擦傷性の評価が「良」であった場合を△印で示し、塗膜面Pmの耐擦傷性の評価が「良」または「不良」となり或いは光学要素面Peの耐擦傷性の評価が「不良」となった場合を×印で示している。また、これら○印、△印、及び×印の脇に沿えてあるアルファベットA〜Hが、表1における「グラフ上の位置」に対応する記号である。例えば、点AのHe=BでHm=HBの座標(B,HB)は比較例A1に対応する。
【0112】
【表1】

【0113】
表1及び図2に示すように、塗膜面Pmの硬度Hmが光学要素面Peの硬度Heよりも低くなった比較例A3及び比較例A4では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「不良」となった。また、塗膜面Pmの硬度Hmが光学要素面Peの硬度He以上となっていても、塗膜面Pmの硬度Hmが「F」より低くなった比較例A1及び比較例A2では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「優」にはならなかった。そして、硬度Hmが硬度He以上(硬度Hm≧硬度He)且つ硬度Hmが「F」以上(硬度Hm≧F)を満たす各実施例では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「優」となり且つ光学要素面Peの耐擦傷性が「良」以上となり、塗膜面Pmでの耐擦傷性を重視した総合評価が良好な「○」又は「△」となった。
【0114】
ただし、「硬度Hm−硬度He>3」となった実施例A3、実施例A4、実施例A7では、実用上は問題無いとされる程度の傷が、1枚または2枚の光学シートの光学要素面Peに生じていた。また、「硬度Hm−硬度He」が「1」または「0」となった実施例A8、実施例A9においても、実用上は問題無いとされる程度の傷が、1枚または2枚の光学シートの光学要素面Peに生じていた。一方、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2を満たす実施例A1、実施例A2、実施例A5、実施例A6では、光学要素面Peおよび塗膜面Pmの耐擦傷性が共に「優」となり、総合評価が「○」となった。
【0115】
次に、表2に、上記各実施例及び各比較例のうちの数例について、マルテンス硬さ試験に於ける回復率を、鉛筆硬度と共に示す。表2に示す様に、回復率が50%以上であると耐擦傷性が良いことが判り、41.6%(比較例A1)と50%未満であると耐擦傷性が悪いことが判る。
また、マルテンス硬度は、凹凸塗膜面Pmについては、大きすぎても小さすぎても耐擦傷性が悪くなり、100〜180N/mm2の範囲では良いことが判る。一方、光学要素面Peについては、マルテンス硬度は凹凸塗膜面Pmよりも約2桁小さく2〜4N/mm2であるが、それでも耐擦傷性は良いことが判る。光学要素面Peについては、柳の様に外力に対してあまり抵抗せず変形して外力から開放されたときに元の形状に戻る様にすることが良い方向に作用していると考えられる。
【0116】
【表2】

【0117】
<調査2>
調査2として、図1の構成を有する光学シートについて調査を行った。すなわち、調査2で対象とした光学シートは、凹凸塗膜からなる塗膜を有し、塗膜面が粗面として形成されているようにした。
【0118】
〔凹凸塗膜形成用塗料の準備〕
各種鉛筆硬度の凹凸塗膜を形成するために、次の各組成の塗料を準備した。
【0119】
(組成B1:鉛筆硬度HB用)
紫外線硬化型フッ素原子含有ポリマー(屈折率1.41) 99質量部
(オプスター(登録商標)JN35、JSR(株)製、固形分15wt%、溶媒メチルイソブチルケトン)
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0120】
(組成B2:鉛筆硬度F用)
紫外線硬化型フッ素原子含有ポリマー(屈折率1.41) 80質量部
(オプスター(登録商標)JN35、JSR(株)製、固形分15wt%、溶媒メチルイソブチルケトン)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(屈折率1.51) 19質量部
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0121】
(組成B3:鉛筆硬度H用)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(屈折率1.51) 80質量部
紫外線硬化型硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー(屈折率1.52)19質量部
(紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学工業(株)製)
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0122】
(組成B4:鉛筆硬度2H用)
ジペンタエリスリトールへキサアクリレート(屈折率1.51) 29質量部
(KAYARAD(登録商標)DPHA、日本化薬(株)製)
紫外線硬化型硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー(屈折率1.52)70質量部
(紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学工業(株)製)
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0123】
(組成B5:鉛筆硬度3H用)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(屈折率1.51) 80質量部
(KAYARAD(登録商標)DPHA、日本化薬(株)製)
紫外線硬化型硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー(屈折率1.52)19質量部
(紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学工業(株)製)
微粒子(平均粒子径5μmで単分散の球形状の架橋アクリル系樹脂ビーズ)1質量部
(綜研化学株式会社製、MX−500H)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0124】
〔実施例B1〕
単位光学要素2として単位柱状プリズムを採用した図1に示された光学シート10を作製した。単位柱状プリズムの形状は、実施例A1と同様にした。実施例B1に於いて、凹凸塗膜形成用塗料を組成B2に変更した他は、実施例A1と同様にして光学シートを作製した。したがって、実施例B1において、単位光学要素形成用の樹脂組成物は、実施例A1と同様の単位光学要素形成用樹脂組成物を用いて、実施例A1と同様の形状を有した単位柱状プリズムを作製した。なお、単位光学要素形成用の樹脂組成物は、実施例A1と同様に、厚み188μmの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)とし、このPETフィルムの屈折率は1.65であった。
【0125】
塗膜面Pmの最外面のRz(JIS B0601(1994年版)規定)は3.26μmであった。得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeがB、塗膜面Pmの硬度HmがFを示した。また、本体部1の塗膜に対面する部分の屈折率Nsは1.65であり、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.47であった。
【0126】
〔実施例B2〕
実施例B1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B3に変更した他は、実施例B1と同様にして実施例B2の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。また、本体部1の塗膜に対面する部分の屈折率Ns1.65に対して、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0127】
〔実施例B3〕
実施例B1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B4に変更した他は、実施例B1と同様にして実施例B3の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度Hmは2Hを示した。また、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.52であった。
【0128】
〔実施例B4〕
実施例B1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B5に変更した他は、実施例B1と同様にして実施例B4の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度Hmは3Hを示した。また、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0129】
〔実施例B5〕
実施例B2に於ける凹凸塗膜形成用塗料は組成B3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物を次の組成に変更した他は、実施例B2と同様にして実施例B5の光学シートを作製した。
光学要素形成用の樹脂組成物は、プレポリマーとしてカプロラクトン変性ウレタンアクリレートとエチレンオキサイド変性ビフェニロキシエチルアクリレートとを用い、これに更に2官能モノマーとしてネオペンチルグリコールメタクリレートとビスフェノールAジアクリレートとを用い、3官能モノマーとしてグリセリンエポキシトリアクリレートを用いたもので、更に開始剤としてビスアシルフォスフィンオキサイド系開始剤及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(登録商標)184)を添加し、リン酸エステル系滑剤を添加した樹脂組成物である。得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。なお、本体部1の塗膜に対面する部分の屈折率Ns1.65に対して、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0130】
〔実施例B6〕
実施例B5に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B4に変更した他は、実施例B5と同様にして実施例B6の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、塗膜面Pmの硬度Hmは2Hを示した。なお、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.52であった。
【0131】
〔実施例B7〕
実施例B5に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B5に変更した他は、実施例B3と同様にして実施例B7の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、塗膜面Pmの硬度Hmは3Hを示した。なお、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0132】
〔実施例B8〕
実施例B5に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B2に変更した他は、実施例B5と同様にして実施例B8の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはFを示した。なお、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.47であった。
【0133】
〔実施例B9〕
実施例B5に於ける凹凸塗膜形成用塗料は組成B3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物として、上述した凹凸塗膜形成用塗料の組成B3から微粒子を除いた組成物を用いた他は、実施例B5と同様にして実施例B9の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。なお、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0134】
〔比較例B1〕
実施例B1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B1に変更した他は、実施例B1と同様にして比較例B1の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度HmはHBを示した。また、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.41であった。
【0135】
〔比較例B2〕
実施例B5に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B1に変更した他は、実施例B5と同様にして比較例B2の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHBを示した。また、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.41であった。
【0136】
〔比較例B3〕
実施例B9に於ける凹凸塗膜形成用塗料を組成B2に変更した他は、実施例B9と同様にして比較例B3の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはFを示した。また、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.47であった。
【0137】
〔比較例B4〕
実施例B5に於ける凹凸塗膜形成用塗料は組成B3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物として、上述した凹凸塗膜形成用塗料の組成B4から微粒子を除いた組成物を用いた他は、実施例B5と同様にして比較例B4の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは2Hで、凹凸塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。また、凹凸塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0138】
〔比較例D1〕
実施例B1に於ける凹凸塗膜3の形成を省略した他は、実施例B1と同様にして光学シートを作製した。この光学シートは、本体部1と単位光学要素2とからなり、光学シートの光学要素面とは反対側となる裏側面は、本体部1の他方の面(単位光学要素2が形成されていない側の面)からなっている。
【0139】
〔比較例D2〕
実施例B5に於ける凹凸塗膜3の形成を省略した他は、実施例B5と同様にして光学シートを作製した。この光学シートは、本体部1と単位光学要素2とからなり、光学シートの光学要素面とは反対側となる裏側面は、本体部1の他方の面(単位光学要素2が形成されていない側の面)からなっている。
【0140】
〔性能評価〕
上記の実施例B1〜B9及び比較例B1〜B4の光学シートについて、鉛筆硬度と耐擦傷性を評価した。また、実施例B1〜B7及び比較例B1,B2,D1,D2の光学シートについて、輝度を評価した。尚、光学要素面Peの鉛筆硬度試験は、鉛筆をプリズム稜線方向に移動させて行った。
【0141】
(1)鉛筆硬度は、上述した実施例A1〜A9及び比較例A1〜A4と同様に評価した。
(2)耐擦傷性は、上述した実施例A1〜A9及び比較例A1〜A4と同様に評価した。
(3)輝度は、三星電子社製の液晶テレビジョン受像装置(品番:UN40B6000VF)の画面側から液晶表示板および各種光学部材を除去して、エッジライト型面光源装置(最表面が導光板)を取り出し、該面光源装置の出光面上(導光板上)に実施例B1〜B7及び比較例B1,B2,D1,D2の光学シートを、その塗膜面Pm側を導光板側に向けて載置して、該導光板の法線方向に於ける輝度を測定し、評価した。輝度は、輝度計(株式会社トプコン製、BM−7)を用いて計測した。評価の方法は、比較例B1及び実施例B1〜B4は、塗膜を設けず単位光学要素2がこれらと同一樹脂の比較例D1の輝度を100%とした時の百分率で評価し、比較例B2及び実施例B5〜B8は、塗膜を設けず単位光学要素2がこれらと同一樹脂の比較例D2の輝度を100%とした時の百分率で評価した。
【0142】
〔性能比較〕
そして、実施例B1〜B9及び比較例B1〜B4,D1,D2の鉛筆硬度での硬度He及び硬度Hmと、耐擦傷性と、塗膜屈折率と、正面方向の輝度を、表3に示す。
【0143】
【表3】

【0144】
実施例B1〜B9及び比較例B1〜B4について、塗膜面Pmの硬度Hmおよび光学要素面Heの硬度Peと耐擦傷性との関係は、図2に示された実施例A1〜A9及び比較例A1〜A4と同様になった。
【0145】
具体的には、表3及び図2に示すように、塗膜面Pmの硬度Hmが光学要素面Peの硬度Heよりも低くなった比較例B3及び比較例B4では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「不良」となった。また、塗膜面Pmの硬度Hmが光学要素面Peの硬度He以上となっていても、塗膜面Pmの硬度Hmが「F」より低くなった比較例B1及び比較例B2では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「優」にはならなかった。そして、硬度Hmが硬度He以上(硬度Hm≧硬度He)且つ硬度Hmが「F」以上(硬度Hm≧F)を満たす実施例B1〜B9では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「優」となり且つ光学要素面Peの耐擦傷性が「良」以上となり、塗膜面Pmでの耐擦傷性を重視した総合評価が良好な「○」又は「△」となった。
【0146】
ただし、「硬度Hm−硬度He>3」となった実施例B3、実施例B4、実施例B7では、実用上は問題無いとされる程度の傷が、1枚または2枚の光学シートの光学要素面Peに生じていた。また、「硬度Hm−硬度He」が「1」または「0」となった実施例B8、実施例B9においても、実用上は問題無いとされる程度の傷が、1枚または2枚の光学シートの光学要素面Peに生じていた。一方、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2を満たす実施例B1、実施例B2、実施例B5、実施例B6では、光学要素面Peおよび塗膜面Pmの耐擦傷性が共に「優」となり、総合評価が「○」となった。
【0147】
(輝度の評価)
表3に示す様に、本体部1の塗膜3に面する部分(PETフィルム)の屈折率1.65よりも低い屈折率の樹脂からなる塗膜を形成した実施例B1〜B8及び比較例B1,B2は、何れも100%を超過し、入光面にこの様な塗膜が未形成の比較例D1,D2の輝度(100%)よりも高輝度となった。
【0148】
<調査3>
調査3として、図3の構成を有する光学シートについて調査を行った。すなわち、調査3で対象とした光学シートは、平滑塗膜(耐擦傷性塗膜)からなる塗膜を有し、塗膜面が平滑面として形成されているようにした。
【0149】
〔平滑塗膜形成用塗料の準備〕
各種鉛筆硬度の平滑塗膜を形成するために、次の各組成の塗料を準備した。
【0150】
(組成C1:鉛筆硬度HB用)
紫外線硬化型フッ素原子含有ポリマー(屈折率1.41) 100質量部
(オプスター(登録商標)JN35、JSR(株)製、固形分15wt%、溶媒メチルイソブチルケトン)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0151】
(組成C2:鉛筆硬度F用)
紫外線硬化型フッ素原子含有ポリマー(屈折率1.41) 80質量部
(オプスター(登録商標)JN35、JSR(株)製、固形分15%、溶媒メチルイソブチルケトン)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(屈折率1.51) 20質量部
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0152】
(組成C3:鉛筆硬度H用)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(屈折率1.51) 80質量部
紫外線硬化型硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー(屈折率1.52)20質量部
(紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学工業(株)製)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0153】
(組成C4:鉛筆硬度2H用)
ジペンタエリスリトールへキサアクリレート(屈折率1.51) 30質量部
(KAYARAD(登録商標)DPHA、日本化薬(株)製)
紫外線硬化型硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー(屈折率1.52)70質量部
(紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学工業(株)製)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0154】
(組成C5:鉛筆硬度3H用)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(屈折率1.51) 80質量部
(KAYARAD(登録商標)DPHA、日本化薬(株)製)
紫外線硬化型硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー(屈折率1.52)20質量部
(紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学工業(株)製)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 1質量部
(Irgacure(登録商標)184)
溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1質量比) 適量
【0155】
〔実施例C1〕
実施例B1に於ける凹凸塗膜形成用塗料を、組成C2の平滑塗膜形成用塗料に変更して平滑塗膜4を形成した他は、実施例B1と同様にして実施例C1の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度HmはFを示した。また、本体部1の塗膜に対面する部分の屈折率Ns1.65に対して、平滑な平滑塗膜4を成す樹脂の屈折率Nmは1.47であった。
又、塗膜面Pmの最外面のRz(JIS B0601(1994年版)規定)は0.16μmであった。
【0156】
〔実施例C2〕
実施例C1に於ける平滑塗膜形成用塗料を、組成C3に変更した他は、実施例C1と同様にして実施例C2の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。また、本体部1の塗膜に対面する部分の屈折率Ns1.65に対して、平滑な平滑塗膜4を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0157】
〔実施例C3〕
実施例C1に於ける平滑塗膜形成用塗料を組成C4に変更した他は、実施例C1と同様にして実施例C3の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度Hmは2Hを示した。また、平滑塗膜4を成す樹脂の屈折率Nmは1.52であった。
【0158】
〔実施例C4〕
実施例C1に於ける平滑塗膜形成用塗料を組成C5に変更した他は、実施例C1と同様にして実施例C4の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度Hmは3Hを示した。また、平滑塗膜4を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0159】
〔実施例C5〕
実施例C2に於ける平滑塗膜形成用塗料は組成C3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物を次の組成に変更した他は、実施例C2と同様にして実施例C5の光学シートを作製した。
光学要素形成用の樹脂組成物は、プレポリマーとしてカプロラクトン変性ウレタンアクリレートとエチレンオキサイド変性ビフェニロキシエチルアクリレートとを用い、これに更に2官能モノマーとしてネオペンチルグリコールメタクリレートとビスフェノールAジアクリレートとを用い、3官能モノマーとしてグリセリンエポキシトリアクリレートを用いたもので、更に開始剤としてビスアシルフォスフィンオキサイド系開始剤及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(登録商標)184)を添加し、リン酸エステル系滑剤を添加した樹脂組成物である。得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。なお、本体部1の塗膜に対面する部分の屈折率Ns1.65に対して、平滑塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0160】
〔実施例C6〕
実施例C5に於ける平滑塗膜形成用塗料を組成C4に変更した他は、実施例C5と同様にして実施例C6の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、塗膜面Pmの硬度Hmは2Hを示した。また、平滑塗膜4を成す樹脂の屈折率Nmは1.52であった。
【0161】
〔実施例C7〕
実施例C5に於ける平滑塗膜形成用塗料を組成C5に変更した他は、実施例C5と同様にして実施例C7の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、塗膜面Pmの硬度Hmは3Hを示した。また、平滑塗膜4を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0162】
〔実施例C8〕
実施例C5に於ける平滑塗膜形成用塗料を組成C2に変更した他は、実施例C5と同様にして実施例C8の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、塗膜面Pmの硬度HmはFを示した。なお、平滑塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.47であった。
【0163】
〔実施例C9〕
実施例C5に於ける平滑塗膜形成用塗料は組成C3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物として、上述した平滑塗膜形成用塗料の組成C3を用いた他は、実施例C5と同様にして実施例C9の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHで、塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。なお、平滑塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0164】
〔比較例C1〕
実施例C1に於ける平滑塗膜形成用塗料を、組成C1に変更した他は、実施例C1と同様にして比較例C1の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはBで、塗膜面Pmの硬度HmはHBを示した。また、平滑塗膜4を成す樹脂の屈折率Nmは1.41であった。
【0165】
〔比較例C2〕
実施例C5に於ける平滑塗膜形成用塗料を組成C1に変更した他は、実施例C5と同様にして比較例C2の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHBで、塗膜面Pmの硬度HmはHBを示した。また、平滑塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.41であった。
【0166】
〔比較例C3〕
実施例C9に於ける平滑塗膜形成用塗料を組成C2に変更した他は、実施例C9と同様にして比較例C3の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度HeはHで、塗膜面Pmの硬度HmはFを示した。また、平滑塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.47であった。
【0167】
〔比較例C4〕
実施例C5に於ける平滑塗膜形成用塗料は組成C3のままとして、単位光学要素形成用の樹脂組成物として、上述した平滑塗膜形成用塗料の組成C4を用いた他は、実施例C5と同様にして比較例C4の光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは2Hで、塗膜面Pmの硬度HmはHを示した。また、平滑塗膜3を成す樹脂の屈折率Nmは1.51であった。
【0168】
〔性能評価〕
上記の実施例C1〜C9及び比較例C1〜C4の光学シートについて、鉛筆硬度と耐擦傷性を評価した。また、実施例C1〜C7及び比較例C1,C2の光学シートについて、輝度も測定した。尚、光学要素面Peの鉛筆硬度試験は、鉛筆をプリズム稜線方向に移動させて行った。
【0169】
(1)鉛筆硬度は、上述した実施例A1〜A9及び比較例A1〜A4と同様に評価した。
(2)耐擦傷性は、上述した実施例A1〜A9及び比較例A1〜A4と同様に評価した。
(3)輝度は、上述した実施例B1〜B7及び比較例B1,B2と同様に評価した。評価の方法は、比較例C1及び実施例C1〜C4は、塗膜を設けず単位光学要素2がこれらと実質的に同一樹脂の比較例D1(調査2)の輝度を100%とした時の百分率で評価し、比較例C2及び実施例C5〜C8は、塗膜を設けず単位光学要素2がこれらと実質的に同一樹脂の比較例D2(調査2)の輝度を100%とした時の百分率で評価した。
【0170】
〔性能比較〕
そして、実施例C1〜C9及び比較例C1〜C4の鉛筆硬度での硬度He及び硬度Hmと、耐擦傷性と、塗膜屈折率と、正面方向の輝度を、表4に示す。
【0171】
【表4】

【0172】
〔性能比較〕
実施例C1〜C9及び比較例C1〜C4について、塗膜面Pmの硬度Hmおよび光学要素面Heの硬度Peと耐擦傷性との関係は、図2に示された実施例A1〜A9及び比較例A1〜A4と同様になった。
【0173】
具体的には、表4及び図2に示すように、塗膜面Pmの硬度Hmが光学要素面Peの硬度Heよりも低くなった比較例C3及び比較例C4では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「不良」となった。また、塗膜面Pmの硬度Hmが光学要素面Peの硬度He以上となっていても、塗膜面Pmの硬度Hmが「F」より低くなった比較例C1及び比較例C2では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「優」にはならなかった。そして、硬度Hmが硬度He以上(硬度Hm≧硬度He)且つ硬度Hmが「F」以上(硬度Hm≧F)を満たす実施例C1〜C9では、塗膜面Pmの耐擦傷性が「優」となり且つ光学要素面Peの耐擦傷性が「良」以上となり、塗膜面Pmでの耐擦傷性を重視した総合評価が良好な「○」又は「△」となった。
【0174】
ただし、「硬度Hm−硬度He>3」となった実施例C3、実施例C4、実施例C7では、実用上は問題無いとされる程度の傷が、1枚または2枚の光学シートの光学要素面Peに生じていた。また、「硬度Hm−硬度He」が「1」または「0」となった実施例C8、実施例C9においても、実用上は問題無いとされる程度の傷が、1枚または2枚の光学シートの光学要素面Peに生じていた。一方、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2を満たす実施例C1、実施例C2、実施例C5、実施例C6では、光学要素面Peおよび塗膜面Pmの耐擦傷性が共に「優」となり、総合評価が「○」となった。
【0175】
(輝度の評価)
表4に示す様に、本体部1の塗膜3に面する部分(PETフィルム)の屈折率1.65よりも低い屈折率の樹脂からなる塗膜を形成した実施例C1〜C7及び比較例C1,C2は、何れも100%を超過し、入光面にこの様な塗膜が未形成の比較例D1,D2の輝度(100%)よりも高輝度となった。
【符号の説明】
【0176】
1 本体部
1p 一方の面
1q 他方の面
2 単位光学要素
3 凹凸塗膜、塗膜
4 平滑塗膜、塗膜
10,10a,10b 光学シート
10A 2枚重ねの光学シート
20 接触する他の光学部材(導光板、液晶パネルなど)
30 (エッジライト型の)面光源装置
31 光源
32 導光板
40 液晶表示装置
41 液晶パネル
He 光学要素面の鉛筆硬度
Hm 凹凸塗膜面の鉛筆硬度
nd 法線
Pe 光学要素面
Pm 凹凸塗膜面
V 観察者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の表面を有する光学シートであって、
シート状の本体部と、
前記本体部の一方の面上に配列された単位光学要素と、
前記本体部の他方の面上に設けられた塗膜と、を備え、
前記一対の表面のうちの一方が、前記単位光学要素によって形成された光学要素面として構成され、
前記一対の表面のうちの他方が、前記塗膜の表面からなる塗膜面によって形成され、
JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して測定(荷重1000g、速度1mm/s)された鉛筆硬度を用いて前記光学要素面の硬度Heおよび前記塗膜面の硬度Hmを評価した場合、前記硬度HmがF以上であり(硬度Hm≧F)、且つ、前記硬度Hmが前記硬度He以上である(硬度Hm≧硬度He)、光学シート。
【請求項2】
鉛筆硬度スケール上で1単位硬い硬度を+1としたとき、
硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2
である、請求項1記載の光学シート。
【請求項3】
前記塗膜を成す樹脂の屈折率Nmが、前記本体部に於ける前記他方の面をなす部分の屈折率Nsよりも小さい、請求項1または2に記載の、光学シート。
【請求項4】
前記塗膜は、前記塗膜面が微小突起によって粗面を形成している凹凸塗膜である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項5】
前記塗膜は、前記塗膜面が平滑な平滑塗膜である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学シートを二枚備え、
二枚の光学シートが、表裏を同じ向きで2枚重ね合わせられている、光学部材。
【請求項7】
光源と、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学シートまたは請求項6の光学部材と、を備える面光源装置。
【請求項8】
請求項7に記載の面光源装置と、
前記面光源装置に対向して配置された透過型液晶表示パネルと、を備える液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−83740(P2012−83740A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201914(P2011−201914)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】