説明

光学フィルタ、光学ローパスフィルタ及び撮像装置

【課題】人種に応じて容易に設計することを可能とする人間の目に近い透過率特性を有する光学フィルタを得る。
【解決手段】透明基板と、当該透明基板上に形成した多層膜とからなる光学フィルタであって、所望の波長範囲において波長が長くなるに従って透過率が次第に低下する透過率特性を有するよう、前記多層膜が、低屈折率材料からなる第1薄膜と、高屈折率材料からなる第2薄膜とを交互に複数積層することにより構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近紫外線カットフィルタ(以下、UVカットフィルタと称す)、赤外線カットフィルタ(以下、IRカットフィルタと称す)、近紫外線及び赤外線カットフィルタ(以下、UVIRカットフィルタと称す)等の光学フィルタに関し、所定の波長帯域において透過率が急峻に変異するのを防止した透過率特性を有する光学フィルタと、これを用いた光学ローパスフィルタ(OLPF)と、該光学ローパスフィルタを用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラやデジタルカメラが小型化、高性能化されるにつれ、これらに用いられる光学デバイスも、小型・高性能化が要求されるようになった。ビデオカメラやデジタルカメラに用いられる固体撮像素子(例えば、CCD:Charge Coupled DeviceやCMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor、CPD:Charge Priming Device、等がある)は、光の強さに応じて蓄電容量が変化するシリコンフォトダイオードからなる光電素子(画素)を、マトリクス状に配列して構成されている。このような固体撮像素子を用いて、対象物を撮影すると、規則的に配列された画素上の蓄電容量が変化し、これを空間的にサンプリングすることにより、観察した対象物に対応する電気信号を生成し、それを変換して像を構成する。前記固体撮像素子は空間サンプリング素子であり、画素の周期(画素のピッチ)より短い波長(高い空間周波数)の光が入ると、エイリアシングを生じ、干渉縞が生じる。所謂モアレ現象が生じる。このため、固体撮像素子を用いた機器では、撮影像に含まれる空間的な高周波成分を抑制すべく、光学ローパスフィルタを用いている。
また、前記固体撮像素子は、人間の目で視認可能な波長帯域(可視光領域)の光よりも広い波長帯域の光に応答する感度特性を有しているので、上記可視光領域に加えて、赤外域や紫外域の光にも応答してしまう。
従って、観察した対象物からの光線を前記固体撮像素子に入射させる前に、赤外線や近紫外線を除去して視感度補正を行う光学フィルタを光学ローパスフィルタと共に用いるのが一般的である。
【0003】
光学ローパスフィルタは空間周波数の高い成分を除去するためのフィルタであり、複屈折性を有する、例えば水晶などを用いて構成され、入射光を光学的に分離し、空間周波数の高い成分の像をぼかすようにする。また、赤外線を除去する光学フィルタは、光学ガラスに添加する成分により透過率を変え、赤外線を吸収するようにした赤外線吸収ガラス(以下、IRガラスと称す)や、光学ガラスの面に誘電体多層膜を形成し、その層数と各層の膜厚とを精度よく制御することにより、光の透過特性を変化させるコーティングタイプとがある。
【0004】
前者のIRガラスを用いた光学ローパスフィルタ(OLPF)が特許文献1に開示されている。図14はその分解斜視図を示すが、光学ローパスフィルタ59は、光学軸が水晶の板面に対し所定の角度をなし、所定の厚さに形成した複屈折板60(図では0°複屈折板)と、赤外線を吸収するIRガラス61と、直線偏光を円あるいは楕円偏光に変換する機能を有する1/4波長板62と、光学軸が水晶の板面に対し所定角度をなし、所定の厚さに形成した複屈折板63(図では90°の複屈折板)と、を光学用接着剤にて貼り合わせて構成される。
【0005】
光学ローパスフィルタ59の光学作用を、図14に示した分解斜視図を用いて説明する。入射光64は0°複屈折板60を通過するとき、その複屈折性により常光線65と、異常光線66とに分離される。常光線65は0°複屈折板60を直進するが、異常光線66はY軸方向に屈折され、図14に示すように2本の偏光光に分離されて、IRガラス61に入射する。入射した常光線65と、異常光線66とは、IRガラス61により赤外線が除去され、1/4波長板62に入射する。入射した常光線65と、異常光線66とは、1/4波長板62によりそれぞれ位相が90°変化されることにより、互いに回転方向を異にする円偏光67、68に変換されて、90°複屈折板63に入射する。入射した円偏光67は90°複屈折板63により常光線69と、異常光線70とに分離され、常光線69は90°複屈折板63を直進するが、異常光線70はX軸方向に屈折し、常光線69と、異常光線70との2本の偏光光に変換されて出射する。また、円偏光68は90°複屈折板63により常光線71と、異常光線72とに分離され、常光線71は90°複屈折板63を直進し、異常光線72はX軸方向に屈折し、常光線71と、異常光線72の2本の偏光光として出射する。このように、2枚の複屈折板を用いた光学ローパスフィルタ59は、入射光64を4本の直線偏光に変換する機能を有している。
【0006】
上記のIRガラスの代わりに、光学ガラス、あるいは複屈折板に誘電体多層膜を形成することにより赤外線をカットする光学素子が、特許文献2や特許文献3等に開示されている。図15に示すように、水晶等からなる基板75の一方の面に総膜厚が2.4μm程度の多層膜76を形成し、基板75の他方の面に総膜厚が2.0μm程度の多層膜77を形成する。多層膜76は、高屈折率膜の五酸化ニオブ(Nb25)78と、低屈折率膜の二酸化ケイ素(SiO2)79とが、所定の厚さで、交互に20層積層された多層膜からなる。一方、多層膜77は同様にSiO2膜とNb25膜とが所定の厚さで、交互に19層積層された多層膜からなる。このように、高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層して形成した多層膜は、IRカットフィルタとして機能し、可視光は透過するが、680nm以上の赤外線の透過率を十分に小さくすると開示されている。なお、基板の両面にほぼ均等な厚さの多層膜を設けることで、多層膜の応力が釣り合うように構成できたと開示されている。
【0007】
しかし、ビデオカメラやデジタルカメラの性能向上には、赤外線を防止するだけでは不十分であり、レンズ系の近紫外線領域の色収差により、撮影された画像に紫色の輪郭ぼけが発生することが知られている。これは光学系を構成する媒質の屈折率が光の波長に依存する性質があり、同一媒質であっても可視光に対する屈折率と、近紫外線に対する屈折率とが異なることに起因している。そこで、ガラスにTiO2を混入してなるUVカットフィルタを用いることにより、可視光は透過するが近紫外線以下の波長をほぼ吸収することができるので、レンズ系で発生する色収差を除去して映像信号の偽色を低減することが可能になると、特許文献4に開示されている。
【0008】
また、特許文献5には図16に示すような光学フィルタユニット80が開示されている。光学フィルタユニット80はCCDの受光面に重ねて設けられ、IRカットフィルタ81と、光学ローパスフィルタ82と、IRカットフィルタ83と、光学ローパスフィルタ84、85とからなる。光学ローパスフィルタ82、84、85は被写体光の空間周波数の中から、CCDの画素間隔で決まる標本化空間周波数に近い空間周波数成分を低減させるように作用する。この光学ローパスフィルタ82、84、85を設けたことにより、偽色(モアレ)が生じるのを防止する。IRカットフィルタ83を設けることにより、CCDが人間の目には見えない赤外光を受光するのを防止する。また、UVカットフィルタ81は、人間の目には見えない紫外光をCCDで受光したときの画像に青色や紫色の色にじみが生じるのを防止することができると開示されている。
【0009】
ところで、近年、可視域の高波長側から赤外域に亘って、人間の目の感度特性に近づけるために、所望の波長帯域において急峻に変移することなく緩やかに透過率が低下する透過率特性を有するIRカットフィルタが要求されるようになってきた。
図17(a)に示すように、特許文献6には、水晶基板91の片側主面上に高屈折率材料(TiO2)92と低屈折率膜(SiO2)93とを交互に複数積層してなる誘電体多層膜94を形成して構成したIRカットフィルタ95において、所定の波長帯域内の透過率に緩やかな傾斜特性をもたせることが提案されている。
【0010】
即ち、図17(b)に示すように、誘電体多層膜94には、予め設定した波長帯域内において透過率が急峻に変移するのを防止する急峻防止手段が備えられている。この急峻防止手段により、図18 に示すような透過率が急峻に変移する変移波長帯域の波長に変極点X が形成される。尚、予め設定した波長帯域とは、可視域(400nm〜700nm)のことを示している。
【0011】
図17(b)に示すように、前記急峻防止手段は、第1層94a(前半層)、第2層94b(中間層)、第3層94c(後半層)のうちいずれか2つの層において積層された高屈折率材料(TiO2)92と低屈折率膜(SiO2)93との光学膜厚を略同一とするとともに、その他の層においては積層された高屈折率材料(TiO2)92と低屈折率膜(SiO2)93との光学膜厚を水晶基板91側から漸次増加するように、第1層94a(前半層)、第2層94b(中間層)、第3層94c(後半層)それぞれにおける各薄膜92、93の光学膜厚を設定している。
【0012】
更に、前記急峻防止手段は、図17(b)に示すように、第1層94aと第2層94bと第3層94cとの間と、その両端に調整層94dが積層されてなる。この調整層3dにより、第1層94aと第2層94bと第3層94cとの各層間に起因した急峻な透過率変移量を制御することができる。
【0013】
尚、図17(c)に示すように、高屈折率材料(TiO2)92と低屈折率膜(SiO2)93の光学膜厚を略同一としている層は、第2層94bと第3層94cであり、高屈折率材料(TiO2)92と低屈折率膜(SiO2)93の光学膜厚が同一ではない層を第1層94aとしている。
【0014】
更に、IRカットフィルタ95の波長特性を微調整するために、高屈折率材料(TiO2)92と低屈折率膜(SiO2)93の光学膜厚を略同一としている第2層94b及び第3層94cにおいて、高屈折率材料(TiO2)92と低屈折率膜(SiO2)93との光学膜厚が、微量に変化するよう設定されている。
このようにIRカットフィルタを設計することにより、図18に示すように波長550nm〜700nmの波長帯域において、透過率が徐々に減少することを実現している。
【0015】
【特許文献1】特開2003−248198号公報
【特許文献2】特開2003−279726号公報
【特許文献3】特許第3679268号公報
【特許文献4】特開2003−46821号公報
【特許文献5】特開2005−121723号公報
【特許文献6】特開2004−354735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ここで、人間のくろ目の有する性質について詳細に説明する。図19に示すように、くろ目の範囲内には瞳孔及び虹彩が存在する。瞳孔は透明であるので瞳孔の色(反射光)は網膜などの内部器官の色(反射光)を呈することとなる。一方、虹彩の色(反射光)はメラニン色素の量で決まり、人種等によって異なる。例えば、アフリカ系やアジア系の虹彩は濃いブラウン(黒色)、中部ヨーロッパ及びスラブ系の虹彩はヘーゼル、北欧系や非スパニック系の虹彩はブルー、等の色をしている。つまり、瞳孔は不要な光を遮断する絞りの機能を有しているが、観察する対象物からの光線を人間の目で観察したとき、前述のように人種の違いによってくろ目の有する性質に違いがあることから、人間の目が視認する光線の感度特性において、人種によって違いが生ずることとなる。
故に、IRカットフィルタの透過率特性も人種にあわせて適宜設計し直さなければならないという新たな課題に直面した。
【0017】
しかしながら、特許文献6においては、人間の目が有する感度特性に近い透過率特性を得た図17(c)に示すような40層からなる誘電体多層膜の各膜厚を、人種に応じて適宜、新規に設計し直さなければならないという煩雑性の問題があった。
本発明は、上記の如き問題に鑑みてなされたものであり、人種に応じて容易に設計することを可能とする人間の目に近い透過率特性を有する光学フィルタと、これを用いた光学ローパスフィルタ及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の光学フィルタは、透明基板と、当該透明基板上に形成した多層膜とからなる光学フィルタであって、所望の波長範囲において波長が長くなるに従って透過率が次第に低下する透過率特性を有するよう、前記多層膜が、低屈折率材料からなる第1薄膜と、高屈折率材料からなる第2薄膜とを交互に複数積層することにより構成されていることを特徴とする。
このように構成した光学フィルタは、人間の目が有する感度特性とほぼ同等な透過率特性が得られるので、最近の高級なビデオカメラやデジタルカメラに要求されている仕様を満足するという効果がある。
更に、人種の違いに起因した人間の目が有する感度特性の違いに応じて、適宜多層膜を容易に設計できるので、人種に応じた感度特性とほぼ同等の透過率特性を有する光学フィルタを得ることができる。
【0019】
また本発明の光学フィルタは、透明基板と、当該透明基板上に形成した多層膜とからなる光学フィルタであって、赤外域の光線を遮断可能であると共に、波長が500nm〜700nmの範囲において波長が長くなるに従って透過率が次第に低下する透過率特性を有するよう、前記多層膜が、低屈折率材料からなる第1薄膜と、高屈折率材料からなる第2薄膜とを交互に複数積層することにより構成されていることを特徴とする。
このように構成した光学フィルタは、人間の目が有する、特に可視光領域から赤外域に亘る波長帯域の感度特性において、ほぼ同等な透過率特性が得られるので、最近の高級なビデオカメラやデジタルカメラに要求されている仕様を満足するという効果がある。
更に、人種の違いに起因した人間の目が有する感度特性の違いに応じて、適宜多層膜を容易に設計できるので、人種に応じた、特に波長500nm〜700nmの範囲の感度特性とほぼ同等の透過率特性を有する光学フィルタを得ることができる。
【0020】
本発明の光学フィルタは、前記透明基板が複屈折性を有する基板であることを特徴とする。
このように構成した光学フィルタは、人間の目が有する、特に可視光領域から赤外域に亘る波長帯域の感度特性において、ほぼ同等な透過率特性が得られるので、最近のビデオ、高級デジタルカメラに要求される、人間の目が有する感度特性とほぼ同等な透過率特性を備えた光学ローパスフィルタを構成することができるという利点がある。さらに例えば波打つ海面からの反射光があるような厳しい条件での撮影等も可能になる。
【0021】
また、本発明の光学ローパスフィルタは、入力光をその進行方向に直交する第1の方向に2分割して2つの光に分離する第1複屈折板と、該第1の複屈折板から出射した2つの光をそれぞれ1/4波長遅延させる1/4波長板と、該1/4波長板から出射した2つの光を前記第1の方向と直交する第2の方向にそれぞれ2分割して計4つの光に分離する第2複屈折板と、を積層してなる光学ローパスフィルタであって、前記第1複屈折板、前記1/4波長板、前記第2複屈折板のうちのいずれかの入射面に赤外域の光線を遮断可能であると共に、波長が500nm〜700nmの範囲において波長が長くなるに従って透過率が次第に低下する透過率特性を有するよう、低屈折率材料からなる第1薄膜と、高屈折率材料からなる第2薄膜とを交互に複数積層してなる多層膜を形成していることを特徴とする。
このように構成した光学ローパスフィルタは、人間の目が有する、特に可視光領域から赤外域に亘る波長帯域の感度特性において、ほぼ同等な透過率特性が得られるので、最近の高級なビデオカメラやデジタルカメラに要求されている仕様を満足するという効果がある。
更に、人種の違いに起因した人間の目が有する感度特性の違いに応じて、適宜多層膜を容易に設計できるので、人種に応じた、特に波長500nm〜700nmの範囲の感度特性とほぼ同等の透過率特性を有する光学ローパスフィルタを得ることができる。
【0022】
また、本発明の撮像装置は、前記光学フィルタを備えることを特徴とする。
このように構成した撮像装置は、可視光領域外の光線による視感度の問題を解消するという効果がある。
【0023】
また、本発明の撮像装置は、前記光学ローパスフィルタを備えることを特徴とする。
このように構成した撮像装置は、人種に応じた、特に波長500nm〜700nmの範囲の感度特性とほぼ同等の透過率特性を有する光学ローパスフィルタを備えているので、可視光領域外の光線による視感度の問題を解消するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るUVIRカットフィルタ1の構成を示す斜視図であって、光透過部材からなる基板2と、この基板2の一方の主面に可視光を透過すると共に近紫外線及び赤外線の透過を防止するための、低屈折率材料からなる薄膜(以下、膜と称す)と高屈折率材料からなる膜とを交互に複数積層した第1の多層膜2aと、基板2の他方の主面に可視光を透過すると共に可視域の高波長側から赤外域に亘る所定の波長帯域において透過率が緩やかに減少して所定の波長にて透過率が50%になるように設定した、低屈折率材料と高屈折率材料とを交互に複数積層した第2の多層膜2b(以下、傾斜膜と称す)と、を備えている。
【0025】
高屈折率材料としては二酸化チタン(TiO2)、五酸化ニオブ(Nb25)、五酸化タンタル(Ta25)等があり、低屈折率材料としては二酸化ケイ素(SiO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)等が知られている。本実施例においては、一例として、高屈折率材料に二酸化チタン(TiO2)を、低屈折率材料に二酸化ケイ素(SiO2)を用いた。
各波長における光の透過率は、交互に積層する各層の屈折率材料の光学膜厚で決定され、該光学膜厚は、下記の数式(1)により求められる。
Nd=d×N×4/λo (1)
但し、Nd:光学膜厚、d:物理膜厚、N:屈折率、λo:設計波長(中心波長)である。
【0026】
まず、図2に示すように、光透過部材である基板2の一方の主面に、多層膜2aによる基本UVIRカットフィルタを形成する。基板2の一方の主面に交互に積層する二酸化ケイ素膜と二酸化チタン膜の、それぞれの層数及び膜厚を種々変え、周知の光学フィルタ理論を用いて基本UVIRカットフィルタのシミュレーションを行った。
【0027】
【表1】

【0028】
表1は、設計波長(中心波長)λを695nmとしシミュレーションにより得られた多層膜の構成の一例であって、基板2に接する側から光学膜厚が2.87の二酸化ケイ素膜、次に0.13の二酸化チタン膜という順に、二酸化ケイ素膜と二酸化チタン膜とを交互に積層して、総層数が39層の基本UVIRカットフィルタを構成した。
表1により構成した多層膜2aにより得られる基本UVIRカットフィルタの波長(nm)−透過率(%)特性を図3に示す。図3に示すように、400nm〜450nmの帯域及び650nm〜700nmの帯域で透過率が急峻に減少していることが確認できる。
【0029】
次に、図2に示すように、基板2の他方の主面に、波長−透過率特性を可視域の高波長側から赤外域に亘る所定の波長帯域において透過率が緩やかに減少すると共に所定の波長、例えば675μmにて透過率が50%となるように設定した傾斜膜2bを形成することを検討した。基板2の他方の主面に交互に積層する二酸化ケイ素膜と二酸化チタン膜の層数、及びそれぞれの膜厚を種々変え、周知の光学フィルタ理論を用いて二酸化ケイ素傾斜膜2bのシミュレーションを行った。
【0030】
【表2】

【0031】
表2は、設計波長(中心波長)λを695nmとしシミュレーションにより得られた傾斜膜2bの構成の一例であって、基板2に接する側から光学膜厚が2.25の二酸化ケイ素膜、次に0.11の二酸化チタン膜という順に、二酸化ケイ素膜と二酸化チタン膜とを、交互に積層して総層数が13層の傾斜膜2bを構成した。表2により構成した傾斜膜2bにより得られる光学フィルタの波長(nm)−透過率(%)特性を図4に示す。図4に示すように、500nm〜800nmに亘る波長帯域において波長の低域側から高域側へ向かって透過率が緩やかに減少すると共に、波長675μmで透過率がほぼ50%(半値)となっていることが確認できる。
【0032】
図5は、図3に示す基本UVIRカットフィルタの波長(nm)−透過率(%)特性と、図4に示す傾斜膜2bによる光学フィルタの波長(nm)−透過率(%)特性との積によって得られたUVIRカットフィルタの波長(nm)−透過率(%)特性を示す図である。
図5から明らかなように、波長500nmから700nmに亘る波長帯域において透過率が急峻に変移することなく緩やかに減少すると共に、波長675μmにおいて透過率がほぼ50%(半値)となるUVIRカットフィルタを実現することができた。
【0033】
人間の目が有する感度特性は人種等により違いがあることは前述の通りである。そこで、本願発明者は、図3に示すような基板2の一方の主面に形成した多層膜2aによる基本UVIRカットフィルタを基本の透過率特性と設定した上で、人種に応じて、所定の波長帯域において透過率が急峻に変移することなく緩やかに減少すると共に、所定の波長において透過率がほぼ50%となるように基板2の他方の主面に形成した傾斜膜2bだけを適宜設計しさえすれば所望のUVIRカットフィルタを実現することができることに思い至った。
【0034】
即ち、人種に応じたUVIRカットフィルタを実現するためには、表2に示すように、傾斜膜2bを13層からなる多層膜で構成すると共に、各層の光学膜厚も設計したので、人種に応じた半値波長(透過率が50%となる波長を半値波長と呼ぶ)λ1を適宜設定して、該半値波長λ1から設計波長λo(=λ1+20nm)を適宜設定して、数式1に光学膜厚Nd、屈折率N、設計波長λoを代入して傾斜膜2bの各層の物理膜厚dを算出すれば良い。
【0035】
例えば、波長520nmから700nmに亘る波長帯域において透過率が急峻に変移することなく緩やかに減少すると共に、半値波長λ1=630μmにおいて透過率がほぼ50%(半値)となるUVIRカットフィルタの傾斜膜2bの多層膜は、下記の表3に示すように、設計波長λoを650nm(=630nm+20nm)として、各層の物理膜厚dを算出する。
【0036】
【表3】

【0037】
波長530nmから700nmに亘る波長帯域において透過率が急峻に変移することなく緩やかに減少すると共に、半値波長λ1=650μmにおいて透過率がほぼ50%(半値)となるUVIRカットフィルタの傾斜膜2bの多層膜は、下記の表4に示すように、設計波長λoを670nm(=650nm+20nm)として、各層の物理膜厚dを算出する。
【0038】
【表4】

【0039】
波長540nmから700nmに亘る波長帯域において透過率が急峻に変移することなく緩やかに減少すると共に、半値波長λ1=670μmにおいて透過率がほぼ50%(半値)となるUVIRカットフィルタの傾斜膜2bの多層膜は、下記の表5に示すように、設計波長λoを690nm(=670nm+20nm)として、各層の物理膜厚dを算出する。
【0040】
【表5】

【0041】
表3〜表5のように設計した各傾斜膜2bにより得られる透過率特性と前記基本UVIRカットフィルタの有する透過率特性とを掛け合わせてなるUVIRカットフィルタの透過率特性を図6に示す。
図6(a)は、多層膜2aによる基本UVIRカットフィルタの透過率特性並びに傾斜膜2bによる光学フィルタの透過率特性を示すグラフであって、曲線61は基本UVIRカットフィルタの透過率特性、曲線62は表3により構成された傾斜膜2bによる光学フィルタの透過率特性、曲線63は表4により構成された傾斜膜2bによる光学フィルタの透過率特性、曲線64は表5により構成された傾斜膜2bによる光学フィルタの透過率特性である。透過率特性62〜64は、互いにほぼ同等の傾斜を維持したまま、グラフの横軸(波長)に沿ってシフトしているのが確認できる。
【0042】
図6(b)は、図6(a)に示した傾斜膜2bの透過率特性62〜64をそれぞれ基本UVIRカットフィルタの透過率特性61に掛け合わせて(積)得られる各々のUVIRカットフィルタの透過率特性65〜67を示すグラフである。
図6(b)に示すように、透過率特性65では波長630nmにおいて、透過率特性66では650nmにおいて、透過率特性67では670nmにおいて、それぞれ透過率が50%となっていることが確認できる。
従って、各人種が有する感度特性に応じてほぼ同等の透過率特性を容易に設計可能なUVIRカットフィルタを実現することを可能とした。
【0043】
尚、本実施例では、可視域の高波長側から赤外域に亘る所定の波長帯域の透過率を緩やかに低下させる多層膜2bを形成しているが、これに限定されるものではなく、紫外域から可視域の低波長側に亘る波長帯域の透過率を波長が低くなるに従って緩やかに低下させる多層膜2bを形成してもよい。この場合、紫外域から可視域に亘る帯域において人の目に近い透過率特性を得ることができる。
【0044】
図7は本発明に係る第2の実施例である光学ローパスフィルタの一例の構成を示す斜視図であって、光学ローパスフィルタ3は、複屈折性を有する水晶基板5と、この水晶基板5の一方の主面に可視光を透過し、近紫外線及び赤外線をカットするための、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に重ねて積層した第1の多層膜5aと、水晶基板5の他方の主面に波長−透過率特性を所定の波長にて50%になるように設定した、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に重ねて積層した第2の多層膜5b(傾斜膜)と、1/4波長板6と、水晶板7と、を備えている。本実施例のように、水晶基板5の両面にそれぞれUVIRカット膜5aと、傾斜膜5bを形成することにより、最近のビデオカメラ、デジタルカメラ等に要求されるフィルタ特性を満たすことができる。
【0045】
図8は、図7に示した光学ローパスフィルタの分解斜視図である。
この図8に示す互いに直交する光学軸を有する2枚の水晶複屈折板4、7のうち、水晶複屈折板4を構成する水晶基板5の一方の面にUVIRカット膜5aが、他方の面に傾斜膜5bが夫々形成されている。なお、以下水晶複屈折板4のことをUVIR/傾斜膜コート0°複屈折板4ということにする。
入射光(ランダム光)9がUVIR/傾斜膜コート0°複屈折板4(光学軸の方位角0°)を通過する際に、UVIR/傾斜膜コート0°複屈折板4の一方の面に形成されたUVIRカット膜5aにより、近紫外線と赤外線の成分がカットされ、他方の面に形成された傾斜膜5bにより所定の波長(例えば675μm)にて透過率が50%になった可視光のみが透過する。そして、UVIR/傾斜膜コート0°複屈折板4の複屈折性により常光線10と、異常光線11とに分離される。
【0046】
常光線10はUVIR/傾斜膜コート0°複屈折板4を直進し、異常光線11はY軸方向に屈折し、2本の偏光光に分離され、1/4波長板6に入射する。入射した常光線10と異常光線11とは、1/4波長板6によりそれぞれ位相が90°変換されることにより、互いに回転方向が異なる円偏光12、13に変換されて、90°複屈折板7に入射する。入射した円偏光12は、90°複屈折板7により常光線14と、異常光線15とに分離され、常光線14は90°複屈折板7を直線し、異常光線15はX軸方向に屈折し、常光線14と、異常光線15との2本の偏光光に分離される。また、円偏光13は、90°複屈折板7により常光線16と、異常光線17とに分離され、常光線16は90°複屈折板7を直進し、異常光線17は90°複屈折板7によりX軸方向に屈折し、常光線16と、異常光線17の2本の偏光光に分離される。このように、2枚の複屈折板5、7を備えた光学ローパスフィルタは入射光を4本の光線に分離する作用を有している。
【0047】
本発明の光学ローパスフィルタ3は、各人種が有する感度特性に応じてほぼ同等の透過率特性を有するUVIRカット膜を備えているので、赤外線による視感度の問題も解消し、光学系に起因する近紫外線の色収差、つまり、青色や紫色の色にじみの問題も解決され、また最近の高級なビデオカメラやデジタルカメラ等に要求される、人種に応じた所定の波長にて透過率を50%に設定した光学ローパスフィルタの規格を十分に満たすことができる。
【0048】
図9は本発明に係る第3の実施例である光学ローパスフィルタの一例の構成を示す斜視図であって、光学ローパスフィルタ18は、1/4波長板19と、UVIR/傾斜膜コート複屈折板20とを備えている。UVIR/傾斜膜コート複屈折板20は、複屈折性を有する水晶基板21(光学軸方位角45°)と、この水晶基板21の一方の主面に近紫外線及び赤外線をカットするための、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に重ねて積層した第1の多層膜21aと、水晶基板21の他方の主面に波長−透過率特性を所定の波長にて50%になるように設定した、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に重ねて積層した第2の多層膜21bとからなる。
【0049】
図10は、図9に示した光学ローパスフィルタ18の分解斜視図であって、その作用について説明する。入射光9が1/4波長板19に入射すると、1/4波長板19により円偏光19'に変換されて出射し、UVIR/傾斜膜コート45°複屈折板20に入射する。UVIR/傾斜膜コート45°複屈折板20を透過する際に、その一方の面に形成されたUVIRカット膜21aにより、近紫外線と赤外線とがカットされ、他方の面に形成された傾斜膜21bにより所定の波長にて透過率が50%になった可視光のみが透過することになる。さらに、45°複屈折板20により、常光線22と異常光線23の2点に分離される。つまり、入射光9は光学ローパスフィルタ18により、モアレ等を引き起こす疑似色信号を除去し、2点に分離された出射光となる。その上、出射光は複屈折板21の両面に形成されたUVIR膜と傾斜膜とにより、可視光のみとなる。
【0050】
図11は、本発明に係る第4の実施例である光学ローパスフィルタ25の一例の構成を示す斜視図、図12はその分解斜視図である。図7に示した光学ローパスフィルタ3と異なる点は、光学ローパスフィルタ3の入射面に1/4波長板26が付加された点である。
1/4波長板26の作用は、90度位相をずらすことにより、直線偏光を円偏光に、また逆に円偏光を直線偏光に変換することである。それ以下の光学作用は図8で説明した通りである。
【0051】
図9、図11に示すように光学系の入射側に1/4波長板を設ける理由を説明する。波打つ海面に自然光(ランダム光)が入射すると、その反射光には直線偏光光が含まれており、該反射光が入射側に1/4波長板を備えていない光学ローパスフィルタへ入射すると、前記直線偏光と複屈折板の光学軸の方向が同一の場合、前記直線偏光が複屈折板で分離されることなく次の光学素子へ入射することになるので、画像の色再現等に悪影響を及ぼすこととなる。そこで、水面から反射してきた自然光が光学ローパスフィルタに入射する際に、自然光が複屈折板に入射する前に、全ての光成分を確実にランダム光(円偏光)とした上で複屈折板に入射させ、入射光全てを常光、異常光に分割せしめて撮像素子へ導くことにより画像の色再現性等を高めるという手法(図9、図11の構造)が好適なのである。
【0052】
以上の光学ローパスフィルタについての説明では複屈折板に水晶板を用いて説明したが、ニオブ酸リチウム、ルチル、四酸化バナジウム(YVO4)、光学異方性高分子成形体等の複屈折性を有する材料を用いてよい。また、水晶複屈折板の光学軸が0度、90度、45度のものを用いて説明したが、光学軸が他の角度のものを用いて構成してもよいことは説明するまでもない。1/4波長板としては水晶波長板、樹脂波長板、構造複屈折の波長板等がある。また、光透過材、例えば光学ガラスの両面にそれぞれIRカット膜、UVカット膜を形成したUV/IRカットフィルタと、1/4波長板、複屈折板を用いて前記の光学ローパスフィルタを形成してもよい。
【0053】
図13は、本発明に係る第5の実施例の撮像装置50の構造を示す断面図であって、凹陥型のセラミックパッケージ51と、個体撮像素子(CCD等)52と、上記で説明した光学ローパスフィルタ53と、から構成される。撮像装置50は、セラミックパッケージ51の凹部底面に個体撮像素子(CCD等)52を埋め込み、個体撮像素子(CCD等)52の端子(図示しない)と、セラミックパッケージ51の端子(図示しない)とを電気的に接続する。そして、セラミックパッケージ51の上部周縁に形成された段差部に、本発明に係る光学ローパスフィルタ53をはめ込み、接着剤等で密閉する。光学ローパスフィルタ53は、図7、図9、図11で説明した光学ローパスフィルタのいずれかを用いる。
本発明の撮像装置は各人種が有する感度特性に応じてほぼ同等の透過率特性を有する近紫外線及び赤外線を防止する機能を有しているので、赤外線による視感度の問題も解消し、光学系に起因する近紫外線の色収差、つまり、青色や紫色の色にじみの問題も解決されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るUVIR膜と傾斜膜と備えた光学フィルタの概略斜視図。
【図2】図1の膜構成要素の詳細を示す図。
【図3】基本UVIRカット膜の波長(nm)−透過率(%)特性を示す図。
【図4】傾斜膜の波長(nm)−透過率(%)特性を示す図。
【図5】UVIRカット膜と傾斜膜とを備えた光学フィルタの波長(nm)−透過率(%)特性を示す図。
【図6】(a)は各多層膜の透過率特性を示す図、(b)各傾斜膜の有する透過率特性をそれぞれ基本UVIRカットフィルタの透過率特性に掛け合わせた後の各UVIRカットフィルタの透過率特性を示す図。
【図7】UVIRカット膜及び傾斜膜付き光学ローパスフィルタの斜視図。
【図8】図7の分解斜視図。
【図9】UVIRカット膜及び傾斜膜付き光学ローパスフィルタの斜視図。
【図10】図9の分解斜視図。
【図11】UVIRカット膜及び傾斜膜付き光学ローパスフィルタの斜視図。
【図12】図11の分解斜視図。
【図13】UVIRカット膜及び傾斜膜付き光学ローパスフィルタを用いた撮像装置の構造を示した断面図。
【図14】従来の光学ローパスフィルタの構成を示す図。
【図15】従来のIRカットフィルタの構成を示す図。
【図16】従来の光学フィルタユニットの構成を示す断面図。
【図17】(a)は従来のIRカットフィルタの構成を示す図、(b)は従来のIRカットフィルタの概略構成図、(c)は従来のIRカットフィルタの多層膜の組成を示す図。
【図18】従来のIRカットフィルタの透過率特性を示す図。
【図19】人間の目の構造を示す説明図。
【符号の説明】
【0055】
1…近紫外線及び赤外線カットフィルタ、2…光透過部材、2a,5a,21a,28a…近紫外線及び赤外線カット膜、2b,5b,21b,28b…傾斜膜、L1…酸化シリコン膜、L2…酸化チタン膜、3,18,25,53…光学ローパスフィルタ、4,20,27…UVIRカット膜及び傾斜膜付き複屈折板、5,7,21,28,30…複屈折板、6,19,26,29…1/4波長板、9…光軸、10,14,16,22,32,36,38…常光線、11,15,17,23,33,37,39…異常光線、12,13,19',21,31,34,35…円偏光、4x,4z,7y,7z,20x,20y,20z,27x,27z,30y,30z…光軸、50…撮像装置、51…セラミックパッケージ、52…CCD。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、当該透明基板上に形成した多層膜とからなる光学フィルタであって、所望の波長範囲において波長が長くなるに従って透過率が次第に低下する透過率特性を有するよう、前記多層膜が、低屈折率材料からなる第1薄膜と、高屈折率材料からなる第2薄膜とを交互に複数積層することにより構成されていることを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
透明基板と、当該透明基板上に形成した多層膜とからなる光学フィルタであって、赤外域の光線を遮断可能であると共に、波長が500nm〜700nmの範囲において波長が長くなるに従って透過率が次第に低下する透過率特性を有するよう、前記多層膜が、低屈折率材料からなる第1薄膜と、高屈折率材料からなる第2薄膜とを交互に複数積層することにより構成されていることを特徴とする光学フィルタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学フィルタにおいて、前記透明基板が複屈折性を有する基板であることを特徴とする光学フィにルタ。
【請求項4】
入力光をその進行方向に直交する第1の方向に2分割して2つの光に分離する第1複屈折板と、該第1の複屈折板から出射した2つの光をそれぞれ1/4波長遅延させる1/4波長板と、該1/4波長板から出射した2つの光を前記第1の方向と直交する第2の方向にそれぞれ2分割して計4つの光に分離する第2複屈折板と、を積層してなる光学ローパスフィルタであって、前記第1複屈折板、前記1/4波長板、前記第2複屈折板のうちのいずれかの入射面に赤外域の光線を遮断可能であると共に、波長が500nm〜700nmの範囲において波長が長くなるに従って透過率が次第に低下する透過率特性を有するよう、低屈折率材料からなる第1薄膜と、高屈折率材料からなる第2薄膜とを交互に複数積層してなる多層膜を形成していることを特徴とする光学ローパスフィルタ。
【請求項5】
請求項3に記載の光学フィルタを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項4に記載の光学ローパスフィルタを備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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