説明

光学フィルタ交換装置

【課題】接続される外部光学系装置に対して、フィルタ交換による振動を与えず、且つ、フィルタの交換が容易な光学フィルタ交換装置を実現する。
【解決手段】光学フィルタ交換装置において、前記外部光学系装置に取付固定され側面に光路外部光学系の光路が通過する外部光路窓を有しコの字状をなすアダプタと、ケースに収納されて前記アダプタの開口部分に一端部分が配置されて必要とするフィルタが前記外部光学系装置の光路に交換配置されるフィルタホイールと、前記アダプタと前記ケースとの間に設けられ組立時には互いに係合されて前記アダプタに対する前記ケースの相対位置を決定し装置の動作時には係合が解除される相対位置決定手段と、前記ケースに設けられ前記ケースを外部ベースに支持すると共に外部ベースからの鉛直方向の高さが調節される外部ベース支持手段と、を具備したことを特徴とする光学フィルタ交換装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタ交換装置に関するものである。
更に詳述すれば、顕微鏡や共焦点顕微鏡の画像取得において、光学系に挿入する光学フィルタを自動的に交換する光学フィルタ交換装置に関するものである。
接続される外部光学系装置に対して、フィルタ交換による振動を与えない、且つ、フィルタの着脱が容易な光学フィルタ交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
図において、光学フィルタ交換装置は、外部光学系装置に固定される固定部26と可動部28の2個の部分から構成され、その間は、ピン52と穴54によって位置決めされる。
固定部26には外部光学系装置の光路が通る穴58が設けられ、可動部28を固定部26に組み込む際に、ピン52によってフィルタの位置再現性が得られる。
【0003】
可動部28にはモータ60が取り付けられ、フィルタを装着したホイール22を回転させる。
フィルタの交換は固定用のカートリッジ30をホイール22にねじ込むことで行なう。
フィルタ交換は可動部28を固定部26から取り外すことで行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US 6,313,960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような装置においては、以下の問題点がある。
分光特性を測定する場合に、光学フィルタ交換装置では、高速にフィルタを切り替える必要があるが、フィルタが取り付けられているホイールの高速の回転運動によって、外部光学系装置全体に振動を与えてしまうという問題がある。
【0006】
図8従来例においては、モータおよびホイールの運動によって、可動部28に振動が生じる。
固定部26と可動部28とを結合しているのは、ポスト52しかないので、高い剛性が得られず、振動が大きくなってしまう。
【0007】
また、固定部26と可動部28の接合部分が広いのと、ウィンドウ58と前記接合部分が近いので、外界からの迷光が入りやすいという問題がある。
そのために、固定部に可動部を取り付けて安定させ、また、フィルタ交換用の接合部分を小さくする必要がある。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、接続される外部光学系装置に対して、フィルタ交換による振動を与えない光学フィルタ交換装置を提供すること。
また、フィルタの交換が容易な光学フィルタ交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の光学フィルタ交換装置においては、
板状のフィルタホイールの平面上に周状に配置された複数のフィルタと、前記フィルタホイールを回転することにより外部光学系装置の光路に前記複数のフィルタの内の必要とするフィルタを交換配置する光学フィルタ交換装置において、前記外部光学系装置に取付固定され側面に光路外部光学系の光路が通過する外部光路窓を有しコの字状をなすアダプタと、ケースに収納されて前記アダプタの開口部分に一端部分が配置されて必要とするフィルタが前記外部光学系装置の光路に交換配置されるフィルタホイールと、前記アダプタと前記ケースとの間に設けられ組立時には互いに係合されて前記アダプタに対する前記ケースの相対位置を決定し装置の動作時には係合が解除される相対位置決定手段と、前記ケースに設けられ前記ケースを外部ベースに支持すると共に外部ベースからの鉛直方向の高さが調節される外部ベース支持手段と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2の光学フィルタ交換装置においては、請求項1記載の光学フィルタ交換装置において、
前記ケースの上部を切欠いて着脱自在に設けられ脱時に前記フィルタホイールホイールの一部が露出し取り付けられているフィルタと新たな別のフィルタと交換できるフィルタ交換カバー手段を具備したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3の光学フィルタ交換装置においては、請求項1又は請求項2記載の光学フィルタ交換装置において、
前記ケースと前記アダプタの側面とのいずれか一方に設けられ他方とは非接触で前記ケースと前記アダプタとの間を遮光する遮光手段を具備したことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4の光学フィルタ交換装置においては、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光学フィルタ交換装置において、
遮光手段は、スポンジが使用されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5の光学フィルタ交換装置においては、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光学フィルタ交換装置において、
遮光手段は、ベローズが使用されたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項6の光学フィルタ交換装置においては、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光学フィルタ交換装置において、
前記相対位置決定手段は、前記ケースの前記アダプタ挿入端側に設けられた位置決め穴と、前記アダプタの底面にねじ合わされ先端に前記位置決め穴と係合する位置決めピンを有する位置決めねじと、を具備したことを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項7の光学フィルタ交換装置においては、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の光学フィルタ交換装置において、
外部ベース支持手段は、前記ケースに設けられ水平方向に突出する突出部と、この突出部に鉛直方向に穿設された支持穴と、この支持穴に貫設された高さ調節スタンドと、前記突出部に設けられた止めねじ穴と、この止めねじ穴にねじ合わされて前記高さ調節スタンドを前記突出部に固定する止めねじと、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
アダプタと振動発生源であるモータとフィルタホイールを有するケースとを、別個独立に外部に支持されるようにしたので、振動発生源であるモータとフィルタホイールを外部の光学系装置から機械的に分離でき、振動が外部の光学系装置に伝わることがなく、精度の高い光学測定や撮影をすることが出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
モータやフィルタホイールを含むケースを剛性が高い外部ベース支持手段で外部に固定することが出来るので共振の発生を抑えることが出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
【0017】
外部の光学系装置の光路が通るアダプタと、フィルタホイールを有するケースとを、別個独立に外部に支持されるようにしたので、一体型の場合のように、組立のための機械的な精度は必要とせず、機構を簡単にすることができ、安価な光学フィルタ交換装置が得られる。
【0018】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
ケースの上部を切欠いて着脱自在に設けられ、脱時にフィルタホイールホイールの一部が露出し、取り付けられているフィルタと新たな別のフィルタと交換できるフィルタ交換カバー手段が設けられた。
従って、フィルタ交換カバー手段が小さくできるので、外部からの迷光に対する遮光を容易にすることができる光学フィルタ交換装置が得られる。
【0019】
フィルタホイールホイールの裏表が露出する上部領域としたことで、フィルタを交換する際に、容易にフィルタホイールホイールの両面を手で摘んで保持できるので、フィルタホイールが動かず、安定してフィルタ交換が出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
フィルタ交換カバー手段を外して、容易にフィルタの番号を確認できるので、手動で回すことで、フィルタホイールホイールを移動でき、モータによって、所定のフィルタを移動させる必要が無く、便利な光学フィルタ交換装置が得られる。
【0020】
本発明の請求項3によれば、次のような効果がある。
ケースとアダプタの側面とのいずれか一方に設けられ、他方とは非接触で、ケースとアダプタとの間を遮光する遮光手段が設けられたので、ケースとアダプタの振動絶縁が確保できて、容易に遮光できる光学フィルタ交換装置が得られる。
【0021】
本発明の請求項4によれば、次のような効果がある。
遮光手段は、スポンジが使用されたので、スポンジは柔軟性があり、振動絶縁と遮光の両者を容易に確保できると共に、市場性があり安価に入手可能であり安価な光学フィルタ交換装置が得られる。
【0022】
本発明の請求項5によれば、次のような効果がある。
遮光手段は、ベローズが使用されたので、ベローズは金属で作ることが出来るので、スポンジよりも高い耐久性を得ることが出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
また、外部光学系装置に、強力なレーザが使用される場合には、燃焼の危険性が無い光学フィルタ交換装置が得られる。
【0023】
本発明の請求項6によれば、次のような効果がある。
相対位置決定手段は、ケースのアダプタ挿入端側に設けられた位置決め穴と、アダプタの底面にねじ合わされ、先端に位置決め穴と係合する位置決めピンを有する位置決めねじと、が設けられたので、ケースとアダプタとの相対位置決定が容易に出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
【0024】
本発明の請求項7によれば、次のような効果がある。
外部ベース支持手段は、ケースに設けられ水平方向に突出する突出部と、この突出部に鉛直方向に穿設された支持穴と、この支持穴に貫設された高さ調節スタンドと、突出部に設けられた止めねじ穴と、この止めねじ穴にねじ合わされて、高さ調節スタンドを突出部に固定する止めねじとが設けられたので、簡潔な構成で確実に外部支持が確保できる光学フィルタ交換装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の要部構成説明図である。
【図3】図1の動作説明図である。
【図4】本発明の部品説明図である。
【図5】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図6】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図7】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図8】従来より一般に使用されている他の従来例の要部構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図、図2は図1の要部構成説明図、図3は図2の動作説明図、図4は図1の部品説明図である。
図において、図8と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図8との相違部分のみ説明する。
【0027】
図1において、1はフィルタホイールであり、円板状の形状をしている。
2はフィルタ3を装着するソケットで、フィルタホイール1の周上に等間隔に配置されている。
ソケット2は、フィルタホイール1に円筒状の凸部を設け、光の通過する穴とフィルタ3を落とし込むザグリ部、ザグリ部の側面には、ナット4を固定するためのメネジが切られている。
【0028】
各ソケット2の付近には、個別のソケットを示す番号が刻印されている。
ソケット2の穴の法線は、フィルタホイール1の法線に対して垂直から5°の範囲の特定の角度で傾いている。傾きの向きはフィルタホイール1の中心軸に対して対称である。
フィルタ3は光学フィルタで、ソケット2の中に装着される。
【0029】
ナット4は、ドーナツ状の形状をし、外周にはソケット2に切られたメネジに対するオネジが切られ、中央には光が通過する穴が設けられている。
ナット4の材質は、ソケット2の材質よりも軟らかいか、同等で、ナット4の複数回の使用によって、ソケット2は磨耗せず、ナット4が磨耗するので、磨耗したらナット4を交換する。
【0030】
5はフィルタ3の交換時に外すカバーで、交換時以外はケース6に固定され、外部からの光が内部に入らないような密閉状態となる構造になっている。
ケース6は、内部にフィルタホイール1を入れるために、2分割出来る構造になっている。
【0031】
7は、ステッピングモータまたはサーボモータで、ケース6内で、フィルタホイール1と結合され、外部からの電気的な制御で所定の角度で止めることができる。
8,9は外部光学系装置の光路が通るウィンドウで、ケース6の両面にあけられた穴である。フィルタホイール1のソケット2が存在する円周上に開けられている。
【0032】
モータ7は、ソケット2がウィンドウ8,9と一致する角度で、フィルタホイール1を停止させることが出来る。
10はフィルタ交換用の切欠部で、カバー5を外すことによって現れる。
【0033】
11Aは、外部ベース支持手段で、外部光学系装置の光軸が、ウィンドウ8,9と一致する高さで、外部ベースにケース6を固定する。
外部ベース支持手段11Aは、突出部6aと支持穴12と高さ調節スタンド11と止めねじ穴23と止めねじ24とを有する。
【0034】
突出部6aは、ケース6に設けられ水平方向に突出している。
支持穴12は、突出部6aに鉛直方向に穿設されている。
高さ調節スタンド11は、支持穴12に貫設されている。
高さ調節スタンド11の下端の足部111には、長穴29が設けられている。
【0035】
止めねじ穴23は、突出部6aに設けられている。
止めねじ24は、止めねじ穴23にねじ合わされて、高さ調節スタンド11を突出部6aに固定する。
【0036】
13は、光学フィルタ交換装置を外部光学系装置に対して位置決めをするアダプタでコの字状をしている。
14,15は外部光学系装置で、14と15との間で光が行き来する。
16,17は、アダプタ13の側面にあけられた穴で、この穴を外部光学系装置の光が通過する。
【0037】
図2に示す如く、遮光手段18Aは、ケース6とアダプタ13の側面とのいずれか一方に設けられ他方とは非接触で、ケース6とアダプタ13との間を遮光する。
この場合は、穴16、17の周囲に取り付けられた2個のスポンジが使用され、その間にケース6が装着される。但し、ケース6に対して、スポンジ18は接触するだけで固定はされていない。また、ケース6が装着された状態では、外界からの光は、スポンジ18を通過して穴16,17に到達することは無い。
【0038】
相対位置決定手段19Aは、アダプタ13とケース6との間に設けられ、組立時には互いに係合されて、アダプタ13に対するケース6の相対位置を決定し、装置の動作時には係合が解除される。
相対位置決定手段19Aは、位置決め穴19と位置決めねじ27とを有する。
この場合は、相対位置決定手段19Aは、2個使用されている。
【0039】
位置決め穴19は、ケース6のアダプタ13の挿入端側に設けられている。
位置決めねじ27は、ノブ28を有し、アダプタ13の底面にねじ合わされ、先端に、位置決め穴19と係合する位置決めピン20を有する。
位置決めピン20は、アダプタ13との間はネジになっているので、回転させることでアダプタ13から一定の高さ位置で、固定することが出来る。
【0040】
位置決めピン20は、2箇所の位置決め穴19に同時に所定の深さまで入れることが出来る。
また、ケース6を位置決めした状態で、位置決めピン20を逆に回転させると、位置決めピン20ンはケース6から完全に離れる。
図2は光学フィルタ交換装置の断面図である。
21は、フィルタホイール1の1箇所に設けられた突起である。
【0041】
22は、突起21を機械的、光学的または磁気的に検出するセンサである。
突起21とセンサ22とにより、モータ7の回転による、穴16,17へのフィルタ3の配置位置が検出出来る。
アダプタ13に固定されたスポンジ18がケース6と接触するケース6の部分には、ザグリ25,26が設けられている。
【0042】
図4は、フィルタ3をソケット2に装着する装置である。
31はシリンジで、内部にバネ32が入っている。
33は吸盤である。外形が、フィルタ3と同じで、フィルタ3の光学的に重要な汚染を嫌う部分には吸盤が機械的に接触しない大きさになっている。
【0043】
以上の構成において、ケース6からカバー5を外すことでフィルタホイール1が露出する。
ソケット2に、フィルタ3をナット4を使用して固定する。
フィルタ3は、吸盤33を介して、シリンジ31をバネ32で引くことによって吸着し、ソケット2内にフィルタ3を入れた後は、シリンジ31を押して吸着を解くことで、フィルタ3をソケット2内に落す。
外部光学系装置の使用時には、カバー5を装着する。
【0044】
外部光学系装置に対して、アダプタ13を取付け固定する。
この場合は、アダプタ13は、小ねじ(図示せず)が使用され、外部光学系装置に取付け固定される。
アダプタ13に対してリング状のスポンジ18は接着等の手段で固定されている。
【0045】
アダプタ13とケース6との相対位置を決定するには、ねじ27を回転させて位置決めピン20を延ばし、ケース6をスポンジ18の間に挿入する。
位置決めピン20が位置決め穴19に当たった位置で、ケース6は、アダプタ13に対して位置を決めることが出来る。
【0046】
アダプタ13に対して、ケース6を含む光学フィルタ交換装置全体を位置決めおよび設置をする。
図3に示す如く、位置決めねじ27を回転させて、2本の位置決めピン20をアダプタ13のコの字の内側に完全に押し込む。
この状態でアダプタ13に対して、図の上から下方向にケース6を挿入する。
【0047】
ケース6の両側面の突出部6aには、支持穴12が設けられ、高さ調節スタンド11が貫通されており、突出部6aの水平方向から、支持穴12にまで切られたネジ穴23に押しネジ24をねじ込んで高さ調節スタンド11を固定できるようになっている。
【0048】
ケース6の底面に設けられた2箇所の位置決め穴に位置決めピン20の2本が入った状態で、ケース6の両側面の突出部6aの止めねじ23を緩めて、高さ調節スタンド11を外部のベーステーブルまで延ばし、高さ調節スタンド11に設けられた長穴29にねじ(図示せず)を通して外部のベーステーブルに固定する。
ベーステーブルにあいているねじ穴との位置誤差は、高さ調節スタンド11を回動させることと、長穴29を用いることで、吸収することができる。
【0049】
図3に示す如く、位置決めピン20が、完全にアダプタ13のコの字の内部に完全に押し込まれた状態で、アダプタの穴16,17とケース6にあけられたウィンドウ8,9が一致するように位置決めピン20の長さは決められている。
【0050】
2箇所の位置決め穴19と2本の位置決めピン20で位置決めすることで、アダプタ13に対して、ケース6の図3における、紙面の奥行き方向、左右方向、上下方向、および角度が決定される。
アダプタ13にケース6を挿入中は、スポンジ18がケース6に対して接触した状態で変形しながらケース6を通す。
【0051】
位置決め穴19と位置決めピン20によって位置決めされた状態では、スポンジ18はザグリ25,26の内部に入って、ケース6とは接触せず、振動は伝達せず、またザグリ部25,26とスポンジ18の迷路構造で外部の光をさえぎることが出来る。
【0052】
また、ザグリ25,26の深さを、スポンジ18が変形してケース6を通すことが出来、なおかつ、位置決めされた状態ではスポンジ18がザグリ25,26の内部まで自由な状態で伸び、ケース6に接触しないようにすることで、寸法精度の出しにくいスポンジ18を用いても振動絶縁と遮光を実現することが出来る。
高さ調節スタンド11を外部のベーステーブルに固定して、止めねじ24を用いて、高さ調節スタンド11をケース6に固定する。
【0053】
位置決めピン20を捩じって図2のように、下まで下ろして、アダプタ13の底面に接するように配置して、位置決めピン20を、ケース6の位置決め穴19から切り離す。
このことによって、アダプタ13に対する、ケース6の相対位置決め時以外の状態では、位置決めピン20を通して、ケース6の振動が外部光学系装置14,15に伝わることを防ぐことが出来る。
【0054】
この結果、
アダプタ13と振動発生源であるモータ7とフィルタホイール1を有するケース6とを、別個独立に外部に支持されるようにしたので、振動発生源であるモータ7とフィルタホイール1を外部の光学系装置14,15から機械的に分離でき、振動が外部の光学系装置14,15に伝わることがなく、精度の高い光学測定や撮影をすることが出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
【0055】
モータやフィルタホイールを含むケースを剛性が高い外部ベース支持手段で外部に固定することが出来るので共振の発生を抑えることが出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
外部の光学系装置14,15の光路が通るアダプタ13と、フィルタホイール1を有するケース6とを、別個独立に外部に支持されるようにしたので、一体型の場合のように、相互の組立のための機械的な精度は必要とせず、機構を簡単にすることができ、安価な光学フィルタ交換装置が得られる。
【0056】
ケース6の上部を切欠いて着脱自在に設けられ、脱時にフィルタホイールホイール1の一部が露出し、取り付けられているフィルタ3と、新たな別のフィルタ3と交換できるフィルタ交換カバー手段5が設けられた。
従って、フィルタ交換カバー手段5が小さくできるので、外部からの迷光に対する遮光を容易にすることができる光学フィルタ交換装置が得られる。
【0057】
フィルタホイールホイール1の裏表が露出する上部領域としたことで、フィルタ3を交換する際に、容易にフィルタホイールホイール1の両面を手で摘んで保持できるので、フィルタホイール1が動かず、安定してフィルタ交換が出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
フィルタ交換カバー手段5を外して、容易にフィルタ3の番号を確認できるので、手動で回すことで、フィルタホイールホイール1を移動でき、モータ7によって、所定のフィルタ3を移動させる必要が無く、便利な光学フィルタ交換装置が得られる。
【0058】
ケース6とアダプタ13の側面とのいずれか一方に設けられ、他方とは非接触で、ケース6とアダプタ13との間を遮光する遮光手段が設けられたので、ケース6とアダプタ13の振動絶縁が確保できて、容易に遮光できる光学フィルタ交換装置が得られる。
【0059】
遮光手段18は、スポンジが使用されたので、スポンジは柔軟性があり、振動絶縁と遮光の両者を容易に確保できると共に、市場性があり安価に入手可能であり安価な光学フィルタ交換装置が得られる。
【0060】
相対位置決定19Aは、ケース6のアダプタ挿入端側に設けられた位置決め穴19と、アダプタ13の底面にねじ合わされ、先端に、位置決め穴19と係合する位置決めピン20を有する位置決めねじ27と、が設けられたので、ケース6とアダプタ13との相対位置決定が容易に出来る光学フィルタ交換装置が得られる。
【0061】
外部ベース支持手段11Aは、ケース6に設けられ水平方向に突出する突出部6aと、この突出部6aに鉛直方向に穿設された支持穴12と、この支持穴12に貫設された高さ調節スタンド11と、突出部6aに設けられた止めねじ穴23と、この止めねじ穴23にねじ合わされて、高さ調節スタンド11を突出部6aに固定する止めねじ24とが設けられたので、簡潔な構成で確実に外部支持が確保できる光学フィルタ交換装置が得られる。
【0062】
図5は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図5において、スポンジ41には溝411が設けられ、ケース6のウィンドウ8,9の周上には凸部42が設けられた光学フィルタ交換装置である。
外部からの浅い入射角での光の進入を防ぐことが出来る。
【0063】
図6は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図6はスポンジ18の代わりにベローズ51が、用いられた実施例である。
ベローズ51の自由状態での長さは、ケース6に接触せず、また、縮んだ状態では、ケース6を通すことが出来る。
【0064】
ベローズ51は金属で作ることが出来るので、スポンジ18よりも高い耐久性を得ることが出来る。外部光学系装置に、レーザを通す場合には燃焼の危険性が無い光学フィルタ交換装置が得られる。
【0065】
図7は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図7はスポンジ18の代わりにダイアフラム61が使用された実施例である。
ダイアフラム61は中央に穴611があけられ、外部光学系装置14、15の光を通すようになっている。
【0066】
また、中央の穴の周囲612はダイアフラム部よりも厚くなっており、ケース6がダイアフラム61を通るときは、厚い部分612はケース6に接触し、ダイアフラムが変形するが、位置決め状態では、ダイアフラムの厚い部分612はザグリ25,26内部に入って、ケース6とは接触しない。
【0067】
ダイアフラム61は金属で作ることが出来るので、スポンジ18よりも高い耐久性を得ることが出来る。
また、ベローズ51よりも外部光学系の軸方向での長さを縮めることが出来る。
また、ベローズ51では厚さのバラツキがあり、ケース6に接触する可能性があるが、ダイアフラム61では精度が出せるので、ケース6に接触する可能性が少なくなる。
【0068】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【符号の説明】
【0069】
1 フィルタホイール
2 ソケット
3 フィルタ
4 ナット
5 カバー
6 ケース
6a 突出部
7 モータ
8 ウィンドウ
9 ウィンドウ
10 フィルタ交換用の切欠部
11A 外部ベース支持手段
11 高さ調節スタンド
111 足部
12 支持穴
13 アダプタ
14 外部光学系装置
15 外部光学系装置
16 穴
17 穴
18A 遮光手段
18 スポンジ
19A 相対位置決定手段
19 位置決め穴
20 位置決めピン
21 突起
22 センサ
23 止めねじ穴
24 止めねじ
25 ザグリ部
26 ザグリ部
27 位置決めねじ
28 ノブ
29 長穴
31 シリンジ
32 バネ
33 吸盤
41 スポンジ
411 溝
42 凸部
51 ベローズ
61 ダイアフラム
611 穴
612 厚い部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のフィルタホイールの平面上に周状に配置された複数のフィルタと、
前記フィルタホイールを回転することにより外部光学系装置の光路に前記複数のフィルタの内の必要とするフィルタを交換配置する光学フィルタ交換装置において、
前記外部光学系装置に取付固定され側面に光路外部光学系の光路が通過する外部光路窓を有しコの字状をなすアダプタと、
ケースに収納されて前記アダプタの開口部分に一端部分が配置されて必要とするフィルタが前記外部光学系装置の光路に交換配置されるフィルタホイールと、
前記アダプタと前記ケースとの間に設けられ組立時には互いに係合されて前記アダプタに対する前記ケースの相対位置を決定し装置の動作時には係合が解除される相対位置決定手段と、
前記ケースに設けられ前記ケースを外部ベースに支持すると共に外部ベースからの鉛直方向の高さが調節される外部ベース支持手段と、
を具備したことを特徴とする光学フィルタ交換装置。
【請求項2】
前記ケースの上部を切欠いて着脱自在に設けられ脱時に前記フィルタホイールホイールの一部が露出し取り付けられているフィルタと新たな別のフィルタと交換できるフィルタ交換カバー手段
を具備したことを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ交換装置。
【請求項3】
前記ケースと前記アダプタの側面とのいずれか一方に設けられ他方とは非接触で前記ケースと前記アダプタとの間を遮光する遮光手段
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光学フィルタ交換装置。
【請求項4】
前記遮光手段は、スポンジが使用されたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光学フィルタ交換装置。
【請求項5】
前記遮光手段は、ベローズが使用されたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光学フィルタ交換装置。
【請求項6】
前記相対位置決定手段は、前記ケースの前記アダプタ挿入端側に設けられた位置決め穴と、
前記アダプタの底面にねじ合わされ先端に前記位置決め穴と係合する位置決めピンを有する位置決めねじと、
を具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光学フィルタ交換装置。
【請求項7】
外部ベース支持手段は、前記ケースに設けられ水平方向に突出する突出部と、
この突出部に鉛直方向に穿設された支持穴と、
この支持穴に貫設された高さ調節スタンドと、
前記突出部に設けられた止めねじ穴と、
この止めねじ穴にねじ合わされて前記高さ調節スタンドを前記突出部に固定する止めねじと、
を具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の光学フィルタ交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−209339(P2011−209339A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74070(P2010−74070)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】