光学モジュールおよび電子機器
【課題】受光器に入射する光量の損失を低減する光学モジュールを提供する。
【解決手段】複数の波長を含む光が入射する可動基板50と、可動基板50に対向し選択された波長帯域の光を透過する固定基板60と、可動基板50の固定基板60と対向する面に配置され、光の光路上に形成された第1反射膜53と、固定基板60に設けられ、第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜63と、固定基板60の可動基板50と対向する面と反対の面に配置され、固定基板60を透過する光のうちの一部を透過させる開口部74が形成された遮光膜73と、遮光膜73の開口部を埋める透光性を有する中間膜75と、遮光膜73の開口部74に対向して配置され、固定基板60を透過した光を受光する受光面31aを有する受光器31と、を備え、受光器31の受光面31aが中間膜75に密着している。
【解決手段】複数の波長を含む光が入射する可動基板50と、可動基板50に対向し選択された波長帯域の光を透過する固定基板60と、可動基板50の固定基板60と対向する面に配置され、光の光路上に形成された第1反射膜53と、固定基板60に設けられ、第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜63と、固定基板60の可動基板50と対向する面と反対の面に配置され、固定基板60を透過する光のうちの一部を透過させる開口部74が形成された遮光膜73と、遮光膜73の開口部を埋める透光性を有する中間膜75と、遮光膜73の開口部74に対向して配置され、固定基板60を透過した光を受光する受光面31aを有する受光器31と、を備え、受光器31の受光面31aが中間膜75に密着している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の波長を有する光から特定の波長の光を取り出す光フィルターが知られている。
例えば、特許文献1には固定鏡と、この固定鏡に可変のギャップを有して配置される可動鏡を有し、ギャップに対応する特定の波長の光を選択して透過させるファブリペローフィルター(光フィルター)が開示されている。そして、光フィルターと、フィルターを透過した光の強度を検出する赤外検出器(受光器)とで光学モジュールが構成され、光学モジュールを用いて赤外分析装置などの電子機器を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−14641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、光学モジュールの受光器として、フォトダイオードなどの光電変換素子が用いられる。
このような受光器に入射する光量は、光フィルターから光が出射して受光器に到達するまでの間に光の反射などにより損失が生ずる。このため、受光器で受光する光量が小さい場合には、光を認識できないことや、光を電気エネルギーに変換する際にノイズレベルが拡大するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる光学モジュールは、複数の波長を含む第1光が入射する第1基板と、前記第1基板に対向し前記第1光から選択された波長帯域の第2光を透過する第2基板と、前記第1基板の前記第2基板と対向する面に配置され、前記第1光の光路上に形成された第1反射膜と、前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、前記第2基板の前記第1基板と対向する面と反対の面に配置され、前記第2基板を透過する前記第2光のうち、前記第2光の一部を透過させる開口部が形成された遮光膜と、前記遮光膜の前記開口部に埋められた透光性を有する中間膜と、前記遮光膜の前記開口部に対向して配置され、前記第2基板を透過した前記第2光を受光する受光面を有する受光器と、を備え、前記受光器の前記受光面が前記中間膜に密着していることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、選択された波長帯域の第2光が出射される第2基板に、開口部を有する遮光膜を有し、この開口部に中間膜が埋められ、中間膜と受光器の受光面が密着している。
このため、第2基板の光の出射面から受光器の受光面までの距離を短くすることができ、また、受光器を中間膜に密着させることで受光面を傾きなく配置することができる。よって、受光器に入射する光量の損失を低減することができ、測定に必要な光量を確保することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記第2基板の厚み方向の平面視で、前記受光器の前記受光面の大きさは、前記遮光膜の前記開口部の大きさより大きく形成され、前記受光面が前記開口部を覆うように配置されていることが望ましい。
【0009】
この構成によれば、遮光膜の開口部を覆うように受光器の受光面が配置されることから、開口部から出射された光を逃すことなく受光器の受光面で受けることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記中間膜の屈折率をn1、前記第2基板の屈折率をn2、としたときに、
【数1】
の条件を満たすことが望ましい。
【0011】
この構成によれば、上式の条件を満たすことで中間膜を設けずに空気層に出射する場合よりも、界面での反射を低下させることができ、受光器に入射する光量の損失を低減することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記第2基板がガラスで形成され、前記中間膜がSiO2膜であることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、中間膜がSiO2膜であることから、第2基板の材質であるガラスと同等の屈折率を有し、ガラスと中間膜との界面での光の反射を防止することができる。よって、受光器に入射する光量の損失を低減することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記第2基板がシリコンで形成され、前記中間膜がTiO2膜であることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、第2基板の材質がシリコンで形成され、中間膜がTiO2膜である。
光が赤外光の場合、シリコンの基板およびTiO2膜の中間膜を赤外線が透過することができる。そして、シリコンとTiO2膜の屈折率が近いため、基板と中間膜の界面での反射が小さくなり、受光器に入射する光量の損失を低減することが可能である。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記第1基板に設けられ、前記第1反射膜が設けられた可動部と、前記第1基板に設けられ、前記可動部よりも厚みが薄く形成された薄肉部と、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、前記第2基板に設けられ、前記第1電極とギャップを介して対向する第2電極と、を備えたことが望ましい。
【0017】
この構成によれば、第1基板に可動部と薄肉部を備えたダイヤフラムを備え、第1基板と第2基板にそれぞれ第1電極と第2電極が設けられている。
このように、第1基板はダイヤフラムを有し、第1電極と第2電極の間に電圧を印加することで静電力が働き、薄肉部が撓み、可動部が変位できるように構成され、反射膜間のギャップ寸法を変更することができる。そして、このギャップ寸法に応じた波長の光を分光することができ、数種類の分光を可能とする光学モジュールを提供できる。
【0018】
[適用例7]本適用例にかかる電子機器は、複数の波長を含む第1光が入射する第1基板と、前記第1基板に対向し前記第1光から選択された波長帯域の第2光を透過する第2基板と、前記第1基板の前記第2基板と対向する面に配置され、前記第1光の光路上に形成された第1反射膜と、前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、前記第2基板の前記第1基板と対向する面と反対の面に配置され、前記第2基板を透過する前記第2光のうち、前記第2光の一部を透過させる開口部が形成された遮光膜と、前記遮光膜の前記開口部を埋める透光性を有する中間膜と、前記遮光膜の前記開口部に対向して配置され、前記第2基板を透過した前記第2光を受光する受光面を有する受光器と、前記受光器から得られる信号に基づき前記光の光特性を分析する分析処理部と、を備え、前記受光器の前記受光面が前記中間膜に密着していることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、受光器に入射する光量の損失を低減することができるため、測定に必要な光量を確保することができる。このため、大容量の光源を用いることなく少ない光量においても分析が可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の光学モジュールの構成を示す平面図。
【図2】第1実施形態の光学モジュールの構成を示す断面図。
【図3】第1実施形態にかかるエタロンの可動基板の構成を示す平面図。
【図4】第1実施形態にかかるエタロンの固定基板の構成を示す平面図。
【図5】第1実施形態にかかるエタロンの固定基板の構成を示す平面図。
【図6】第1実施形態にかかるガラスで形成された固定基板から出射する光において、中間層(中間膜)の屈折率と反射率との関係を示すグラフ。
【図7】中間膜の屈折率と固定基板の屈折率との関係を示すグラフ。
【図8】第1実施形態における固定基板に中間膜を設ける工程を示す部分断面図。
【図9】第2実施形態の光学モジュールの構成を示す断面図。
【図10】第2実施形態にかかるシリコンとTiO2の屈折率と波長との関係を示すグラフ。
【図11】第2実施形態にかかるシリコンで形成された固定基板から出射する光において、中間層(中間膜)の屈折率と反射率との関係を示すグラフ。
【図12】第3実施形態における電子機器としての測色装置の構成を示すブロック図。
【図13】第4実施形態における電子機器としてのガス検出装置の構成を示す断面図。
【図14】第4実施形態におけるガス検出装置の回路ブロック図。
【図15】第5実施形態における電子機器としての食物分析装置の構成を示すブロック図。
【図16】第6実施形態における電子機器としての分光カメラの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の寸法の割合を適宜変更している。
[第1実施形態]
【0022】
以下、第1実施形態の光学モジュールを図面に基づいて説明する。本実施形態では可視光の分光を行う光学モジュールについて説明する。
図1は本実施形態の光学モジュールの構成を示す平面図である。図2は図1のA−A断線に沿う断面図である。図3は可動基板の構成を示す平面図であり、固定基板と対向する面を表している。図4は固定基板の構成を示す平面図であり、可動基板と対向する面を表している。図5は固定基板の可動基板と対向する面とは反対の面を表す平面図である。
【0023】
(光学モジュールの構成)
図1、図2に示すように、光学モジュール90Aは波長可変干渉フィルター(以下、エタロンと呼ぶことがある)5と、遮光膜73と、中間膜75と、受光器31とを備えている。
エタロン5は、平面視で正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。このエタロン5は、図2に示すように、可動基板(第1基板)50および固定基板(第2基板)60を備えている。
これらの可動基板50および固定基板60は、それぞれ例えば、石英ガラスなどの基材からなり、板状の基材をエッチングすることにより形成されている。なお、可動基板50および固定基板60の材料として、他に、ソーダガラス、結晶性ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスを用いることができる。
そして、エタロン5は、可動基板50および固定基板60が接合されて一体に構成される。この接合には、可動基板50および固定基板60に設けられた接合膜71が結合することにより行われ、接合膜71として、ポリオルガノシロキサンを主材料としたプラズマ重合膜が採用されている。
【0024】
可動基板50は、図2、図3に示すように、正方形状の板状基材を用い、例えば、厚みが200μmの基材の一面をエッチングにより加工することで形成される。
この可動基板50は、正方形状の四隅を切り欠いた切り欠き部57が形成されている。この切り欠き部57は、後述する固定基板60の電極パッド65,67が露出するように設けられている。そして、可動基板50には、基板中央を中心とする円柱状の可動部51と、その周りに可動部51を保持する薄肉部52と、が形成されている。
薄肉部52は、固定基板60と対向する面とは反対の面に円環状の凹部が形成され、可動部51の厚みより薄くなるように形成されている。
【0025】
このように、可動基板50はダイヤフラム構造を持ち、可動部51が可動基板50の厚み方向に移動しやすいように構成されている。
そして、可動基板50の固定基板60に対向する面は基材の平面を利用し、エッチング加工された面を有していない。
【0026】
可動基板50の固定基板60と対向する面には、第1反射膜53、第1電極54、引き出し電極56および電極パッド55が形成されている。
第1反射膜53は光の反射特性と透過特性とを有し、可動部51に円形状に設けられている。第1反射膜53の材料として、AgまたはAg合金が用いられる。なお、第1反射膜53は50nmの厚みに形成されている。
【0027】
第1電極54は可動部51に設けられ、第1反射膜53を取りまくように円環状に形成されている。
そして、第1電極54は引き出し電極56を介して、可動基板50の四隅のうちの一つの隅部に形成された電極パッド55に接続されている。
第1電極54、引き出し電極56および電極パッド55は導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
【0028】
そして、可動基板50には、後述する固定基板60に形成された支持部69と対応する位置に接合膜71が設けられている。
【0029】
固定基板60は、厚みが例えば500μmの基材をエッチング加工して形成される。この固定基板60には、図2、図4に示すように、エッチングにより固定基板60の中央を中心とする円形の凹部が設けられ、中央部に反射膜形成部62、その周りに同心円状に電極形成部61が形成されている。電極形成部61は反射膜形成部62より深くエッチングされ、円柱状の反射膜形成部62が突出した形状となっている。
また、電極形成部61の外縁には、可動基板50との接合において可動基板50を支持する支持部69が形成されている。支持部69は凹部を形成するエッチング加工が施されずに残った部分であり、基材の厚みを有している。そして、支持部69の可動基板50と対向する面には接合膜71が設けられている。
【0030】
反射膜形成部62の上には第1反射膜53に対向する第2反射膜63が形成されている。この第2反射膜63は光の反射特性と透過特性とを有し、AgやAg合金などの金属膜により50nmの厚みで形成されている。
【0031】
電極形成部61には、第1電極54に対向する第2電極64が形成されている。第2電極64は平面視で第2反射膜63を取り巻くように円環状に形成されている。そして、電極形成部61と同じ深さにエッチッグされた溝部68が、固定基板60の対角となる2つの角部に向かって形成されている。一方の溝部68には第2電極64に接続された引き出し電極66と、引き出し電極66に接続された電極パッド65が形成されている。この電極パッド65は、可動基板50の電極パッド55と対角となるように配置されている。また、他方の溝部68には、電極パッド65と対角となる位置に電極パッド67のみが形成されている。
第2電極64、引き出し電極66および電極パッド65は導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
【0032】
可動基板50と固定基板60とが接合された状態では、第1反射膜53と第2反射膜63、および第1電極54と第2電極64とがギャップを介して対向配置されている。そして、第1電極54と第2電極64とにより静電アクチュエーター70が構成され、この静電アクチュエーター70を用いて第1反射膜53と第2反射膜63との間のギャップ寸法の調整が行われる。
また、可動基板50の電極パッド55は、固定基板60の電極パッド67とAgペーストなどの導電性部材にて接続され、固定基板60側から第1電極54および第2電極64への電気的接続を可能としている。
【0033】
なお、エタロン5は、第1電極54と第2電極64との距離が第1反射膜53と第2反射膜63との距離より大きく形成されている。例えば、第1電極54と第2電極64の間に電圧を印加しない初期状態において、第1電極54と第2電極64との距離が1μm、第1反射膜53と第2反射膜63との距離(ギャップ寸法)が0.5μmに設定されている。このため、第1電極54と第2電極64との間のギャップ寸法が微小となったときに急激に引っ張る力が増加するプルイン現象を抑制する構成となっている。
【0034】
また、図2に示すように、固定基板60の可動基板50と対向する面とは反対の面に、遮光膜73が形成されている。
遮光膜73はCr膜、Cr/Au膜などの金属膜で形成され、第2反射膜63と対向する位置に膜が形成されていない開口部74が設けられている。このため、開口部74は、遮光膜73から凹んだ形状となっている。
開口部74は、図2、図5に示すように円形に形成され、開口部74の大きさは、第2反射膜63を透過する光のうち有効な光を透過するように、第2反射膜63よりも少し小さく形成されている。
そして、Cr膜、Cr/Au膜などの金属膜が形成された部分では、エタロン5の可動基板50側から入射する光は透過することがなく、開口部74からのみ、光が透過される。
【0035】
そして、遮光膜73の開口部74の凹みを埋め、遮光膜73の表面を覆う中間膜75が形成されている。中間膜75としては、透光性を有するSiO2膜が用いられている。
さらに、この中間膜75に密着して光を受光する受光器31が設けられている。受光器31は遮光膜73の開口部74に対向して、受光器31の受光面31aが中間膜75に密着して配置されている。このように、中間膜75はエタロン5と受光器31との間に設けられている。
受光器31の受光面31aは平面で形成され、開口部74よりも大きく、開口部74より出射された光を逃すことなく受光できるように配置される。受光器31はフォトダイオード、CCD(Charge Coupled Device)などの光電変換素子により構成されている。
【0036】
(光学モジュールの動作)
次に、上記の構成の光学モジュール90Aの動作について説明する(図2参照)。
エタロン5は、第1反射膜53と第2反射膜63との間のギャップを変更することができる。静電アクチュエーター70において、第1電極54と第2電極64の間に電圧を印加すると、両者間に静電力が働く。可動基板50はダイヤフラム構造を有しているため、静電力が働くと薄肉部52が撓んで可動部51が固定基板60に近づくように変位する。このようにして、第1電極54と第2電極64の間に印加する電圧を変えることで反射膜間のギャップを調整して、所望の反射膜間ギャップを得ることができる。
そして、所望の反射膜間のギャップを保持した状態において、第1光(可視光)L1が可動基板50の中央部に入射すると、可動基板50および第1反射膜53を透過する。透過した第1光L1は第1反射膜53と第2反射膜63の間で反射を繰り返し、反射膜間ギャップに対応した波長帯域の第2光L2が第2反射膜63を透過する。第2反射膜63を透過した第2光L2は固定基板60を透過し、遮光膜73の開口部74から特定波長帯域の光がエタロン5から出射される。
エタロン5から出射された第2光L2は、中間膜75を透過して受光器31の受光面31aに入射する。
【0037】
(固定基板の界面にける光の反射)
ここで、光の特性として、2つの物質の間を光が通過する際に、その物質の屈折率の違いからその界面にて光が反射する性質がある。
このことから、本実施形態の場合、エタロン5から出射する光は、その界面において光が反射することになる。
固定基板から出射する光が通過する物質の屈折率をn1、固定基板の屈折率をn2、とすると、界面での反射率Rは、式(1)で表される。
R=(n1−n2)2/(n1+n2)2 ・・・(1)
【0038】
従来の光学モジュールでは、エタロンから出射する光は空気層を通って受光器に入射する構造である。このため、ガラスで形成された固定基板から空気層に光が通過する場合、空気の屈折率n1=1.0、ガラスの屈折率n2=1.5、とすると、式(1)から、界面での反射率R=0.04となる。つまり、固定基板から空気層へ出射する光の4%が界面で反射して、通過する光量が減少することになる。
【0039】
図6はガラスで形成された固定基板から出射する光において、中間膜の屈折率と反射率との関係を示すグラフである。
本実施形態における中間膜75はSiO2膜で形成されていることから、SiO2膜の屈折率n1=1.5であり、固定基板におけるガラスと屈折率に違いがないため、界面の反射率はほぼ0である。このため、固定基板から出射する光は損失なく受光器の受光面に入射することができる。
また、ガラスで形成された固定基板と空気との界面では、上述のように反射率R=0.04であり、ガラスで形成された固定基板と接する中間膜の屈折率n1が、1.00<n1<2.25、の範囲内にあれば、空気よりも小さな反射率が得られる。つまり、この範囲内の屈折率の材料を中間膜に選ぶことで、固定基板から出射する光は空気の場合に比べて、少ない損失で受光器の受光面に入射させることができる。
【0040】
さらに、(1)式より、下記の(2)式の条件を満たすときに、中間膜がないときと比べて界面の反射を低減することができる。
【0041】
【数2】
この式(2)の関係をグラフ化したのが図7であり、斜線の部分が条件を満たす領域である。このグラフから、中間膜の屈折率n1と固定基板の屈折率n2が、この斜線の領域にあれば、中間膜がない場合よりも界面の反射を低下させることが可能である。
【0042】
(中間膜の形成方法)
次に、中間膜の形成方法について説明する。
図8は本実施形態における固定基板に中間膜を設ける工程の一例を示す部分断面図である。
固定基板60の製造工程において、第2反射膜63を形成した後に、第2反射膜63を形成した面とは反対の面に遮光膜73を成膜する。図8(a)に示すように、遮光膜73はCr膜、Cr/Au膜などを蒸着、スパッタリングなどにより成膜し、開口部74を形成する部分の膜をエッチングして除去する。
次に、図8(b)に示すように、遮光膜73の開口部74を埋める中間膜75aを成膜する。中間膜75aとしてはSiO2膜が用いられ、メタルマスクを用いて蒸着、スパッタリングなどにより遮光膜73と同じ膜厚に形成する。
さらに、図8(c)に示すように、遮光膜73および中間膜75aの上に中間膜75bを成膜する。中間膜75bとしては中間膜75aと同じ材料が用いられ、SiO2膜を蒸着、スパッタリングなどにより形成する。
【0043】
このように、中間膜75を2段階で形成することで、中間膜の平坦性を確保することができ、図8(d)に示すように、後工程における受光器31の配置において、受光器31と中間膜75との密着性を向上させることができる。
【0044】
なお、図8(b)に示す状態で、中間膜75bを設けずに、受光器を中間膜75aに密着して配置しても良い。
また、中間膜75と受光器31の受光面は密着していれば良く、治具などを用いて受光器31を保持して中間膜75に密着させても良い。さらに、中間膜75に受光器31を接着してもよい。接着には、例えば受光器31の受光面にSiO2膜を形成して、この面と中間膜75とを熱などを加えて結合させてもよい。
また、本実施形態では反射膜間のギャップを変更できる波長可変干渉フィルターを用いた光学モジュールを例示したが、反射膜間のギャップを固定とする干渉フィルターを用いても実施が可能である。
【0045】
(第1実施形態の作用効果)
以上、本実施形態によれば以下の効果を有する。
本実施形態の光学モジュールは、光が出射される固定基板60に開口部74を有する遮光膜73を有し、この開口部74に中間膜75が充填され、中間膜75と受光器31の受光面31aが密着している。
このため、固定基板60の光の出射面から受光器31の受光面31aまでの距離を短くすることができ、また、受光器31を中間膜75に密着させることで受光器31の受光面31aを傾きなく配置することができる。よって、受光器31に入射する光量の損失を低減することができ、測定に必要な光量を確保することができる。
【0046】
また、遮光膜73の開口部74より大きな受光面31aを有する受光器31が配置されることから、開口部74から出射された光を逃すことなく受光器31の受光面31aで受けることができる。
さらに、固定基板60の材質をガラス、中間膜75の材質をSiO2とすることで、中間膜75と固定基板60とが同等の屈折率とすることができ、固定基板60と中間膜75との界面での光の反射を防止することができる。よって、受光器31に入射する光量の損失を低減することができる。
[第2実施形態]
【0047】
次に、第2実施形態として、赤外光を分光する光学モジュールについて説明する。本実施形態は、第1実施形態と同じ構成要素を有し、可動基板と固定基板の材質がシリコンであること、および中間膜の材質がTiO2であることが異なる。
【0048】
(光学モジュールの構成)
図9は光学モジュールの構成を示す断面図である。
光学モジュール91Aは、エタロン6と、遮光膜73と、中間膜88と、受光器89とを備えている。
エタロン6は、可動基板(第1基板)80および固定基板(第2基板)85を備えている。これらの可動基板80および固定基板85は、それぞれシリコンの基材からなり、板状の基材をエッチングすることにより形成されている。
そして、エタロン6は、可動基板80および固定基板85が接合されて一体に構成される。この接合には、可動基板80および固定基板85に設けられたプラズマ重合膜である接合膜71による結合、または陽極接合などの手法により接合される。
【0049】
可動基板80は、基材の一面をエッチングにより加工することで形成される。
この可動基板80には、基板中央を中心とする円柱状の可動部81と、その周りに可動部81を保持する薄肉部82と、が形成されている。
薄肉部82は、固定基板85と対向する面とは反対の面に円環状の凹部が形成され、可動部81の厚みより薄くなるように形成されている。
このように、可動基板80はダイヤフラム構造を持ち、可動部81が可動基板80の厚み方向に移動しやすいように構成されている。
【0050】
可動基板80の固定基板85と対向する面には、第1反射膜83、第1電極84が形成されている。
第1反射膜83は光の反射特性と透過特性とを有し、第2反射膜86と対向する可動部81に円形状に設けられている。第1反射膜83として誘電体多層膜が用いられる。
【0051】
第1電極84は可動部81に設けられている。この第1電極84は第1反射膜83を取りまくように、円環状に形成されている。
第1電極84は導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
【0052】
固定基板85は、基材をエッチング加工して形成される。この固定基板85には、第1反射膜83に対向する第2反射膜86が形成されている。この第2反射膜86は光の反射特性と透過特性とを有し、誘電体多層膜で形成されている。
また、固定基板85には、第1電極84に対向する第2電極87が形成されている。
第2電極87は導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
【0053】
可動基板80と固定基板85とが接合された状態では、第1反射膜83と第2反射膜86、および第1電極84と第2電極87とがギャップを介して対向配置されている。そして、第1電極84と第2電極87とにより静電アクチュエーター70が構成され、第1反射膜83と第2反射膜86との間のギャップ寸法の調整が行われる。
【0054】
また、固定基板85の可動基板80と対向する面とは反対の面に、遮光膜73が形成されている。
遮光膜73はCr膜、Cr/Au膜などの金属膜で形成され、第2反射膜86と対向する位置にCr膜、Cr/Au膜などの膜が形成されていない開口部74が設けられている。このため、Cr膜、Cr/Au膜などの金属膜が形成された部分では光は透過することがなく、開口部74から光が透過される。
開口部74は円形に形成され、開口部74の大きさは、第2反射膜86を透過する光のうち有効な光を透過するように、第2反射膜86よりも少し小さく形成されている。
【0055】
そして、遮光膜73の開口部74を埋め、遮光膜73を覆う中間膜88が形成されている。中間膜88としては、透光性を有するTiO2膜が用いられている。
さらに、この中間膜88に密着して光を受光する受光器89が設けられている。受光器89は遮光膜73の開口部74に対向して、受光器89の受光面89aが中間膜88に密着して配置されている。受光器89の受光面89aは平面で形成され、開口部74よりも大きく、開口部74より出射された光を逃すことなく受光できるように配置される。受光器89はフォトダイオード、CCDなどの光電変換素子を備えて構成されている。
【0056】
(光学モジュールの動作)
第1実施形態と同様に、第1電極84と第2電極87の間に印加する電圧を変えることで反射膜間のギャップ寸法を調整して、所望の反射膜間ギャップを得ることができる。
そして、所望の反射膜間のギャップを保持した状態において、第1光(赤外光)L3が可動基板80の中央部に入射すると、可動基板80および第1反射膜83を透過する。透過した第1光L3は第1反射膜83と第2反射膜86の間で反射を繰り返し、反射膜間ギャップ寸法に対応した波長帯域の第2光L4が第2反射膜86を透過する。第2反射膜86を透過した第2光L4は固定基板85を透過し、遮光膜73の開口部74から特定波長の光がエタロン6から出射される。
エタロン6から出射された第2光L4は、中間膜88を透過して受光器89の受光面89aに入射する。
【0057】
(固定基板の界面にける光の反射)
上記で説明した本実施形態にかかるエタロン6においても、エタロン6から出射する光は、屈折率の違いから、その界面において光が反射する。
図10は、シリコン(Si)とTiO2の屈折率と波長との関係を示すグラフである。グラフからわかるように、シリコン(Si)およびTiO2の屈折率は進行する光の波長により変化し、波長が長くなるに従い徐々に屈折率が低くなる傾向にある。
【0058】
ここでは、赤外光として波長が900nmの場合について考察する。
例えば、シリコンで形成された固定基板から空気層に赤外光が通過する場合、空気の屈折率n1=1.0、シリコンの屈折率n2=3.7、とすると、前述の式(1)から、界面での反射率R=0.33となる。つまり、固定基板から出射する光の33%が界面で反射して、通過する光量が減少することになる。
本実施形態における中間膜88はTiO2膜で形成されていることから、光の波長が900nmのときTiO2膜の屈折率n1=2.77であり、式(1)から反射率を求めると、R=0.021、となる。つまり、固定基板85から出射する光の2.1%が界面で反射する。
このように、中間膜88としてTiO2膜を設けることで、固定基板85から出射する光は空気の場合に比べて、大きく光の反射を低減させることができ、光の損失を減らして受光器89の受光面89aに入射させることができる。
【0059】
図11はシリコンで形成された固定基板から出射する光において、中間膜の屈折率と反射率との関係を示すグラフである。ここでは、赤外光として波長が900nm、シリコンの屈折率n2=3.7とした場合のデータである。
シリコンで形成された固定基板と空気との界面では、上述のように反射率R=0.33であり、シリコンで形成された固定基板と接する中間膜の屈折率n1が、1.00<n1<13.7、の範囲内にあれば、空気よりも小さな反射率が得られる。つまり、この範囲内の屈折率の材料を中間膜に選ぶことで、固定基板から出射する光は空気の場合に比べて、少ない損失で受光器の受光面に入射させることができる。
[第3実施形態]
【0060】
次に、上記第1実施形態で説明した光学モジュールを使用した、電子機器としての測色装置を例にとって説明する。
図12は測色装置の構成を示すブロック図である。
測色装置1は、検査対象Aに光を照射する光源装置2と、測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備える。
この測色装置1は、検査対象Aに光源装置2から光を照射し、検査対象Aから反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度を分析して測定する装置である。
【0061】
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図12には1つのみ図示)を備え、検査対象Aに対して白色光を出射する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から出射された光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって出射する。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Aが発光部材である場合、光源装置2を設けずに測色装置を構成してもよい。
【0062】
測色センサー3は、エタロン(波長可変干渉フィルター)5と、静電アクチュエーターに印加する電圧を制御し、エタロン5で透過させる光の波長を変える電圧制御部32と、エタロン5を透過した光を受光する受光器31と、を備える。受光器31は第1実施形態で説明したように、エタロン5に中間膜を介して密着して配置されている。このように、エタロン5と受光器31とで光学モジュール90Aを構成している。
また、測色センサー3は、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、エタロン5に導光する光学レンズ(図示せず)を備えている。そして、この測色センサー3は、光学レンズに入射した検査対象光をエタロン5で所定波長帯域の光に分光し、分光した光が受光器31にて受光される。
受光器31は、フォトダイオードなどの光電変換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光器31は制御装置4に接続され、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0063】
電圧制御部32は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、静電アクチュエーター70の第1電極54および第2電極64に印加する電圧を制御する。
【0064】
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、光源制御部41、測色センサー制御部42、および測色処理部43(分析処理部)などを備えて構成されている。
【0065】
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を出射させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長を透過させるよう、静電アクチュエーター70への印加電圧を設定する。
【0066】
測色処理部43は、測色センサー制御部42を制御して、エタロン5の反射膜間のギャップ寸法を変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部43は、受光器31から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光量を取得する。そして、測色処理部43は、上記により得られた各波長の受光量に基づいて、検査対象Aから反射された光の色度を算出する。
【0067】
このように、本実施形態の測色装置1は、受光器31に入射する光量の損失を低減することができるため、測定に必要な光量を確保することができる。このため、大容量の光源を用いることなく少ない光量においても分析が可能な測色装置1を提供することができる。
以上、第3実施形態では、電子機器として測色装置1を例示したが、その他、様々な分野に光学モジュール、電子機器を用いることができる。
例えば、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムとして用いることができる。このようなシステムとしては、例えば、エタロン(波長可変干渉フィルター)を用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器などのガス検出装置を例示できる。
[第4実施形態]
【0068】
以下、ガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
【0069】
図13は、光学モジュールを備えた電子機器としてのガス検出装置の一例を示す断面図である。
図14は、ガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図13に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、および排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、エタロン(波長可変干渉フィルター)5および受光素子(受光器)137を含む光学モジュール90Bと、検出された信号を処理し、光学モジュール90Bを制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を出射する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,135D,135Eと、により構成されている。
【0070】
また、図14に示すように、ガス検出装置100には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、エタロン5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149、および排出手段133を制御する排出ドライバー回路150などを備えている。
【0071】
次に、ガス検出装置100の動作について、以下に説明する。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
【0072】
そして、例えば利用者により操作パネル140が操作され、操作パネル140から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部144へ出力されると、まず、信号処理部144は、光源ドライバー回路145に光源作動の信号を出力して光源135Aを作動させる。光源135Aが駆動されると、光源135Aから単一波長で直線偏光の安定したレーザー光が出射される。また、光源135Aには、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、その情報が信号処理部144へ出力される。そして、信号処理部144は、光源135Aから入力された温度や光量に基づいて、光源135Aが安定動作していると判断すると、排出ドライバー回路150を制御して排出手段133を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口120Aから、吸引流路120B、センサーチップ110内、排出流路120C、排出口120Dへと誘導される。
【0073】
また、センサーチップ110は、金属ナノ構造体が複数組み込まれ、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ110では、レーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成され、この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光、およびレイリー散乱光が発生する。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光がエタロン5に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、エタロン5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光をエタロン5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
【0074】
なお、図13,14において、ラマン散乱光をエタロン5により分光して分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置100を例示したが、ガス検出装置として、ガス固有の吸光度を検出することでガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光学モジュールとして用いる。そして、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置100を本発明の電子機器とする。このような構成でも、本発明の光学モジュールを用いてガスの成分を検出することができる。
【0075】
また、特定物質の存在を検出するためのシステムとして、上記のようなガスの検出に限られず、近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や、食物や生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の、物質成分分析装置を例示できる。
[第5実施形態]
【0076】
次に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
【0077】
図15は、光学モジュールを利用した電子機器としての食物分析装置の構成を示すブロック図である。
この食物分析装置200は、検出器210と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を出射する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光するエタロン(波長可変干渉フィルター)5と、分光された光を検出する撮像部(受光器)213と、を備えている。このエタロン5と撮像部213とで光学モジュール90Cを構成している。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさの制御を実施する光源制御部221と、エタロン5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
【0078】
この食物分析装置200は、装置を駆動させると、光源制御部221により光源211が制御されて、光源211から測定対象物に光が照射される。そして、測定対象物で反射された光は、撮像レンズ212を通ってエタロン5に入射する。エタロン5は電圧制御部222の制御により所望の波長を分光可能な電圧が印加されており、分光された光が、例えばCCDカメラ等により構成される撮像部213で撮像される。また、撮像された光は分光画像として、記憶部225に蓄積される。また、信号処理部224は、電圧制御部222を制御してエタロン5に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
【0079】
そして、信号処理部224は、記憶部225に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部225には、例えばスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されており、信号処理部224は、求めたスペクトルのデータを、記憶部225に記憶された食物に関する情報を基に分析し、検出対象に含まれる食物成分、およびその含有量を求める。また、得られた食物成分および含有量から、食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。さらに、画像内のスペクトル分布を分析することで、検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実施することができ、さらには、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
【0080】
また、図15において、食物分析装置200の例を示すが、略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば血液等の体液成分を測定する装置として、エチルアルコールを検知する装置とすれば、自動車運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置として用いることができる。また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
【0081】
さらには、本発明の光学モジュール、電子機器としては、以下のような装置に適用することができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられたエタロンにより特定波長の光を分光し、受光器で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
[第6実施形態]
【0082】
また、他の電子機器として、本発明の光学モジュールにより光を分光して、分光画像を撮像する分光カメラ、分光分析機などにも適用できる。このような電子機器としての分光カメラの一例として赤外線カメラが挙げられる。
図16は、分光カメラの構成を示す斜視図である。分光カメラ300は、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330とを備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、対物レンズ321、およびエタロン5を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。このエタロン5と撮像部330とで光学モジュール90Dを構成している。
このような分光カメラ300では、エタロン5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
【0083】
さらには、エタロンをバンドパスフィルターとして用いてもよく、例えば、発光素子が出射する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。
また、本発明の光学モジュールを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩などの認証装置にも適用できる。
【0084】
さらには、光学モジュールおよび電子機器を、濃度検出装置として用いることができる。この場合、エタロンにより、物質から出射された赤外エネルギー(赤外光)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
【0085】
上記に示すように、本発明の光学モジュール、および電子機器は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、エタロンは、上述のように、1つのデバイスで複数の波長を分光させることができるため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を精度よく実施することができる。したがって、複数デバイスにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、光学モジュールや電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用として好適に用いることができる。
【0086】
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更することができる。そして、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有するものにより可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…電子機器としての測色装置、2…光源装置、3…測色センサー、4…制御装置、5,6…エタロン、21…光源、22…レンズ、31…受光器、32…電圧制御部、41…光源制御部、42…測色センサー制御部、43…測色処理部、50…第1基板としての可動基板、51…可動部、52…薄肉部、53…第1反射膜、54…第1電極、55…接続パッド、56…引き出し電極、57…切り欠き部、60…第2基板としての固定基板、61…電極形成部、62…反射膜形成部、63…第2反射膜、64…第2電極、65…接続パッド、66…引き出し電極、67…接続パッド、68…溝部、69…支持部、70…静電アクチュエーター、71…接合膜、73…遮光膜、74…開口部、75(75a,75b)…中間膜、80…第1基板としての可動基板、81…可動部、82…薄肉部、83…第1反射膜、84…第1電極、85…第2基板としての固定基板、86…第2反射膜、87…第2電極、88…中間膜、89…受光器、90A,90B,90C,90D…光学モジュール、91A…光学モジュール、100…電子機器としてのガス検出装置、200…電子機器としての食物分析装置、300…電子機器としての分光カメラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の波長を有する光から特定の波長の光を取り出す光フィルターが知られている。
例えば、特許文献1には固定鏡と、この固定鏡に可変のギャップを有して配置される可動鏡を有し、ギャップに対応する特定の波長の光を選択して透過させるファブリペローフィルター(光フィルター)が開示されている。そして、光フィルターと、フィルターを透過した光の強度を検出する赤外検出器(受光器)とで光学モジュールが構成され、光学モジュールを用いて赤外分析装置などの電子機器を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−14641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、光学モジュールの受光器として、フォトダイオードなどの光電変換素子が用いられる。
このような受光器に入射する光量は、光フィルターから光が出射して受光器に到達するまでの間に光の反射などにより損失が生ずる。このため、受光器で受光する光量が小さい場合には、光を認識できないことや、光を電気エネルギーに変換する際にノイズレベルが拡大するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる光学モジュールは、複数の波長を含む第1光が入射する第1基板と、前記第1基板に対向し前記第1光から選択された波長帯域の第2光を透過する第2基板と、前記第1基板の前記第2基板と対向する面に配置され、前記第1光の光路上に形成された第1反射膜と、前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、前記第2基板の前記第1基板と対向する面と反対の面に配置され、前記第2基板を透過する前記第2光のうち、前記第2光の一部を透過させる開口部が形成された遮光膜と、前記遮光膜の前記開口部に埋められた透光性を有する中間膜と、前記遮光膜の前記開口部に対向して配置され、前記第2基板を透過した前記第2光を受光する受光面を有する受光器と、を備え、前記受光器の前記受光面が前記中間膜に密着していることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、選択された波長帯域の第2光が出射される第2基板に、開口部を有する遮光膜を有し、この開口部に中間膜が埋められ、中間膜と受光器の受光面が密着している。
このため、第2基板の光の出射面から受光器の受光面までの距離を短くすることができ、また、受光器を中間膜に密着させることで受光面を傾きなく配置することができる。よって、受光器に入射する光量の損失を低減することができ、測定に必要な光量を確保することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記第2基板の厚み方向の平面視で、前記受光器の前記受光面の大きさは、前記遮光膜の前記開口部の大きさより大きく形成され、前記受光面が前記開口部を覆うように配置されていることが望ましい。
【0009】
この構成によれば、遮光膜の開口部を覆うように受光器の受光面が配置されることから、開口部から出射された光を逃すことなく受光器の受光面で受けることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記中間膜の屈折率をn1、前記第2基板の屈折率をn2、としたときに、
【数1】
の条件を満たすことが望ましい。
【0011】
この構成によれば、上式の条件を満たすことで中間膜を設けずに空気層に出射する場合よりも、界面での反射を低下させることができ、受光器に入射する光量の損失を低減することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記第2基板がガラスで形成され、前記中間膜がSiO2膜であることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、中間膜がSiO2膜であることから、第2基板の材質であるガラスと同等の屈折率を有し、ガラスと中間膜との界面での光の反射を防止することができる。よって、受光器に入射する光量の損失を低減することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記第2基板がシリコンで形成され、前記中間膜がTiO2膜であることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、第2基板の材質がシリコンで形成され、中間膜がTiO2膜である。
光が赤外光の場合、シリコンの基板およびTiO2膜の中間膜を赤外線が透過することができる。そして、シリコンとTiO2膜の屈折率が近いため、基板と中間膜の界面での反射が小さくなり、受光器に入射する光量の損失を低減することが可能である。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる光学モジュールにおいて、前記第1基板に設けられ、前記第1反射膜が設けられた可動部と、前記第1基板に設けられ、前記可動部よりも厚みが薄く形成された薄肉部と、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、前記第2基板に設けられ、前記第1電極とギャップを介して対向する第2電極と、を備えたことが望ましい。
【0017】
この構成によれば、第1基板に可動部と薄肉部を備えたダイヤフラムを備え、第1基板と第2基板にそれぞれ第1電極と第2電極が設けられている。
このように、第1基板はダイヤフラムを有し、第1電極と第2電極の間に電圧を印加することで静電力が働き、薄肉部が撓み、可動部が変位できるように構成され、反射膜間のギャップ寸法を変更することができる。そして、このギャップ寸法に応じた波長の光を分光することができ、数種類の分光を可能とする光学モジュールを提供できる。
【0018】
[適用例7]本適用例にかかる電子機器は、複数の波長を含む第1光が入射する第1基板と、前記第1基板に対向し前記第1光から選択された波長帯域の第2光を透過する第2基板と、前記第1基板の前記第2基板と対向する面に配置され、前記第1光の光路上に形成された第1反射膜と、前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、前記第2基板の前記第1基板と対向する面と反対の面に配置され、前記第2基板を透過する前記第2光のうち、前記第2光の一部を透過させる開口部が形成された遮光膜と、前記遮光膜の前記開口部を埋める透光性を有する中間膜と、前記遮光膜の前記開口部に対向して配置され、前記第2基板を透過した前記第2光を受光する受光面を有する受光器と、前記受光器から得られる信号に基づき前記光の光特性を分析する分析処理部と、を備え、前記受光器の前記受光面が前記中間膜に密着していることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、受光器に入射する光量の損失を低減することができるため、測定に必要な光量を確保することができる。このため、大容量の光源を用いることなく少ない光量においても分析が可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の光学モジュールの構成を示す平面図。
【図2】第1実施形態の光学モジュールの構成を示す断面図。
【図3】第1実施形態にかかるエタロンの可動基板の構成を示す平面図。
【図4】第1実施形態にかかるエタロンの固定基板の構成を示す平面図。
【図5】第1実施形態にかかるエタロンの固定基板の構成を示す平面図。
【図6】第1実施形態にかかるガラスで形成された固定基板から出射する光において、中間層(中間膜)の屈折率と反射率との関係を示すグラフ。
【図7】中間膜の屈折率と固定基板の屈折率との関係を示すグラフ。
【図8】第1実施形態における固定基板に中間膜を設ける工程を示す部分断面図。
【図9】第2実施形態の光学モジュールの構成を示す断面図。
【図10】第2実施形態にかかるシリコンとTiO2の屈折率と波長との関係を示すグラフ。
【図11】第2実施形態にかかるシリコンで形成された固定基板から出射する光において、中間層(中間膜)の屈折率と反射率との関係を示すグラフ。
【図12】第3実施形態における電子機器としての測色装置の構成を示すブロック図。
【図13】第4実施形態における電子機器としてのガス検出装置の構成を示す断面図。
【図14】第4実施形態におけるガス検出装置の回路ブロック図。
【図15】第5実施形態における電子機器としての食物分析装置の構成を示すブロック図。
【図16】第6実施形態における電子機器としての分光カメラの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の寸法の割合を適宜変更している。
[第1実施形態]
【0022】
以下、第1実施形態の光学モジュールを図面に基づいて説明する。本実施形態では可視光の分光を行う光学モジュールについて説明する。
図1は本実施形態の光学モジュールの構成を示す平面図である。図2は図1のA−A断線に沿う断面図である。図3は可動基板の構成を示す平面図であり、固定基板と対向する面を表している。図4は固定基板の構成を示す平面図であり、可動基板と対向する面を表している。図5は固定基板の可動基板と対向する面とは反対の面を表す平面図である。
【0023】
(光学モジュールの構成)
図1、図2に示すように、光学モジュール90Aは波長可変干渉フィルター(以下、エタロンと呼ぶことがある)5と、遮光膜73と、中間膜75と、受光器31とを備えている。
エタロン5は、平面視で正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。このエタロン5は、図2に示すように、可動基板(第1基板)50および固定基板(第2基板)60を備えている。
これらの可動基板50および固定基板60は、それぞれ例えば、石英ガラスなどの基材からなり、板状の基材をエッチングすることにより形成されている。なお、可動基板50および固定基板60の材料として、他に、ソーダガラス、結晶性ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスを用いることができる。
そして、エタロン5は、可動基板50および固定基板60が接合されて一体に構成される。この接合には、可動基板50および固定基板60に設けられた接合膜71が結合することにより行われ、接合膜71として、ポリオルガノシロキサンを主材料としたプラズマ重合膜が採用されている。
【0024】
可動基板50は、図2、図3に示すように、正方形状の板状基材を用い、例えば、厚みが200μmの基材の一面をエッチングにより加工することで形成される。
この可動基板50は、正方形状の四隅を切り欠いた切り欠き部57が形成されている。この切り欠き部57は、後述する固定基板60の電極パッド65,67が露出するように設けられている。そして、可動基板50には、基板中央を中心とする円柱状の可動部51と、その周りに可動部51を保持する薄肉部52と、が形成されている。
薄肉部52は、固定基板60と対向する面とは反対の面に円環状の凹部が形成され、可動部51の厚みより薄くなるように形成されている。
【0025】
このように、可動基板50はダイヤフラム構造を持ち、可動部51が可動基板50の厚み方向に移動しやすいように構成されている。
そして、可動基板50の固定基板60に対向する面は基材の平面を利用し、エッチング加工された面を有していない。
【0026】
可動基板50の固定基板60と対向する面には、第1反射膜53、第1電極54、引き出し電極56および電極パッド55が形成されている。
第1反射膜53は光の反射特性と透過特性とを有し、可動部51に円形状に設けられている。第1反射膜53の材料として、AgまたはAg合金が用いられる。なお、第1反射膜53は50nmの厚みに形成されている。
【0027】
第1電極54は可動部51に設けられ、第1反射膜53を取りまくように円環状に形成されている。
そして、第1電極54は引き出し電極56を介して、可動基板50の四隅のうちの一つの隅部に形成された電極パッド55に接続されている。
第1電極54、引き出し電極56および電極パッド55は導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
【0028】
そして、可動基板50には、後述する固定基板60に形成された支持部69と対応する位置に接合膜71が設けられている。
【0029】
固定基板60は、厚みが例えば500μmの基材をエッチング加工して形成される。この固定基板60には、図2、図4に示すように、エッチングにより固定基板60の中央を中心とする円形の凹部が設けられ、中央部に反射膜形成部62、その周りに同心円状に電極形成部61が形成されている。電極形成部61は反射膜形成部62より深くエッチングされ、円柱状の反射膜形成部62が突出した形状となっている。
また、電極形成部61の外縁には、可動基板50との接合において可動基板50を支持する支持部69が形成されている。支持部69は凹部を形成するエッチング加工が施されずに残った部分であり、基材の厚みを有している。そして、支持部69の可動基板50と対向する面には接合膜71が設けられている。
【0030】
反射膜形成部62の上には第1反射膜53に対向する第2反射膜63が形成されている。この第2反射膜63は光の反射特性と透過特性とを有し、AgやAg合金などの金属膜により50nmの厚みで形成されている。
【0031】
電極形成部61には、第1電極54に対向する第2電極64が形成されている。第2電極64は平面視で第2反射膜63を取り巻くように円環状に形成されている。そして、電極形成部61と同じ深さにエッチッグされた溝部68が、固定基板60の対角となる2つの角部に向かって形成されている。一方の溝部68には第2電極64に接続された引き出し電極66と、引き出し電極66に接続された電極パッド65が形成されている。この電極パッド65は、可動基板50の電極パッド55と対角となるように配置されている。また、他方の溝部68には、電極パッド65と対角となる位置に電極パッド67のみが形成されている。
第2電極64、引き出し電極66および電極パッド65は導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
【0032】
可動基板50と固定基板60とが接合された状態では、第1反射膜53と第2反射膜63、および第1電極54と第2電極64とがギャップを介して対向配置されている。そして、第1電極54と第2電極64とにより静電アクチュエーター70が構成され、この静電アクチュエーター70を用いて第1反射膜53と第2反射膜63との間のギャップ寸法の調整が行われる。
また、可動基板50の電極パッド55は、固定基板60の電極パッド67とAgペーストなどの導電性部材にて接続され、固定基板60側から第1電極54および第2電極64への電気的接続を可能としている。
【0033】
なお、エタロン5は、第1電極54と第2電極64との距離が第1反射膜53と第2反射膜63との距離より大きく形成されている。例えば、第1電極54と第2電極64の間に電圧を印加しない初期状態において、第1電極54と第2電極64との距離が1μm、第1反射膜53と第2反射膜63との距離(ギャップ寸法)が0.5μmに設定されている。このため、第1電極54と第2電極64との間のギャップ寸法が微小となったときに急激に引っ張る力が増加するプルイン現象を抑制する構成となっている。
【0034】
また、図2に示すように、固定基板60の可動基板50と対向する面とは反対の面に、遮光膜73が形成されている。
遮光膜73はCr膜、Cr/Au膜などの金属膜で形成され、第2反射膜63と対向する位置に膜が形成されていない開口部74が設けられている。このため、開口部74は、遮光膜73から凹んだ形状となっている。
開口部74は、図2、図5に示すように円形に形成され、開口部74の大きさは、第2反射膜63を透過する光のうち有効な光を透過するように、第2反射膜63よりも少し小さく形成されている。
そして、Cr膜、Cr/Au膜などの金属膜が形成された部分では、エタロン5の可動基板50側から入射する光は透過することがなく、開口部74からのみ、光が透過される。
【0035】
そして、遮光膜73の開口部74の凹みを埋め、遮光膜73の表面を覆う中間膜75が形成されている。中間膜75としては、透光性を有するSiO2膜が用いられている。
さらに、この中間膜75に密着して光を受光する受光器31が設けられている。受光器31は遮光膜73の開口部74に対向して、受光器31の受光面31aが中間膜75に密着して配置されている。このように、中間膜75はエタロン5と受光器31との間に設けられている。
受光器31の受光面31aは平面で形成され、開口部74よりも大きく、開口部74より出射された光を逃すことなく受光できるように配置される。受光器31はフォトダイオード、CCD(Charge Coupled Device)などの光電変換素子により構成されている。
【0036】
(光学モジュールの動作)
次に、上記の構成の光学モジュール90Aの動作について説明する(図2参照)。
エタロン5は、第1反射膜53と第2反射膜63との間のギャップを変更することができる。静電アクチュエーター70において、第1電極54と第2電極64の間に電圧を印加すると、両者間に静電力が働く。可動基板50はダイヤフラム構造を有しているため、静電力が働くと薄肉部52が撓んで可動部51が固定基板60に近づくように変位する。このようにして、第1電極54と第2電極64の間に印加する電圧を変えることで反射膜間のギャップを調整して、所望の反射膜間ギャップを得ることができる。
そして、所望の反射膜間のギャップを保持した状態において、第1光(可視光)L1が可動基板50の中央部に入射すると、可動基板50および第1反射膜53を透過する。透過した第1光L1は第1反射膜53と第2反射膜63の間で反射を繰り返し、反射膜間ギャップに対応した波長帯域の第2光L2が第2反射膜63を透過する。第2反射膜63を透過した第2光L2は固定基板60を透過し、遮光膜73の開口部74から特定波長帯域の光がエタロン5から出射される。
エタロン5から出射された第2光L2は、中間膜75を透過して受光器31の受光面31aに入射する。
【0037】
(固定基板の界面にける光の反射)
ここで、光の特性として、2つの物質の間を光が通過する際に、その物質の屈折率の違いからその界面にて光が反射する性質がある。
このことから、本実施形態の場合、エタロン5から出射する光は、その界面において光が反射することになる。
固定基板から出射する光が通過する物質の屈折率をn1、固定基板の屈折率をn2、とすると、界面での反射率Rは、式(1)で表される。
R=(n1−n2)2/(n1+n2)2 ・・・(1)
【0038】
従来の光学モジュールでは、エタロンから出射する光は空気層を通って受光器に入射する構造である。このため、ガラスで形成された固定基板から空気層に光が通過する場合、空気の屈折率n1=1.0、ガラスの屈折率n2=1.5、とすると、式(1)から、界面での反射率R=0.04となる。つまり、固定基板から空気層へ出射する光の4%が界面で反射して、通過する光量が減少することになる。
【0039】
図6はガラスで形成された固定基板から出射する光において、中間膜の屈折率と反射率との関係を示すグラフである。
本実施形態における中間膜75はSiO2膜で形成されていることから、SiO2膜の屈折率n1=1.5であり、固定基板におけるガラスと屈折率に違いがないため、界面の反射率はほぼ0である。このため、固定基板から出射する光は損失なく受光器の受光面に入射することができる。
また、ガラスで形成された固定基板と空気との界面では、上述のように反射率R=0.04であり、ガラスで形成された固定基板と接する中間膜の屈折率n1が、1.00<n1<2.25、の範囲内にあれば、空気よりも小さな反射率が得られる。つまり、この範囲内の屈折率の材料を中間膜に選ぶことで、固定基板から出射する光は空気の場合に比べて、少ない損失で受光器の受光面に入射させることができる。
【0040】
さらに、(1)式より、下記の(2)式の条件を満たすときに、中間膜がないときと比べて界面の反射を低減することができる。
【0041】
【数2】
この式(2)の関係をグラフ化したのが図7であり、斜線の部分が条件を満たす領域である。このグラフから、中間膜の屈折率n1と固定基板の屈折率n2が、この斜線の領域にあれば、中間膜がない場合よりも界面の反射を低下させることが可能である。
【0042】
(中間膜の形成方法)
次に、中間膜の形成方法について説明する。
図8は本実施形態における固定基板に中間膜を設ける工程の一例を示す部分断面図である。
固定基板60の製造工程において、第2反射膜63を形成した後に、第2反射膜63を形成した面とは反対の面に遮光膜73を成膜する。図8(a)に示すように、遮光膜73はCr膜、Cr/Au膜などを蒸着、スパッタリングなどにより成膜し、開口部74を形成する部分の膜をエッチングして除去する。
次に、図8(b)に示すように、遮光膜73の開口部74を埋める中間膜75aを成膜する。中間膜75aとしてはSiO2膜が用いられ、メタルマスクを用いて蒸着、スパッタリングなどにより遮光膜73と同じ膜厚に形成する。
さらに、図8(c)に示すように、遮光膜73および中間膜75aの上に中間膜75bを成膜する。中間膜75bとしては中間膜75aと同じ材料が用いられ、SiO2膜を蒸着、スパッタリングなどにより形成する。
【0043】
このように、中間膜75を2段階で形成することで、中間膜の平坦性を確保することができ、図8(d)に示すように、後工程における受光器31の配置において、受光器31と中間膜75との密着性を向上させることができる。
【0044】
なお、図8(b)に示す状態で、中間膜75bを設けずに、受光器を中間膜75aに密着して配置しても良い。
また、中間膜75と受光器31の受光面は密着していれば良く、治具などを用いて受光器31を保持して中間膜75に密着させても良い。さらに、中間膜75に受光器31を接着してもよい。接着には、例えば受光器31の受光面にSiO2膜を形成して、この面と中間膜75とを熱などを加えて結合させてもよい。
また、本実施形態では反射膜間のギャップを変更できる波長可変干渉フィルターを用いた光学モジュールを例示したが、反射膜間のギャップを固定とする干渉フィルターを用いても実施が可能である。
【0045】
(第1実施形態の作用効果)
以上、本実施形態によれば以下の効果を有する。
本実施形態の光学モジュールは、光が出射される固定基板60に開口部74を有する遮光膜73を有し、この開口部74に中間膜75が充填され、中間膜75と受光器31の受光面31aが密着している。
このため、固定基板60の光の出射面から受光器31の受光面31aまでの距離を短くすることができ、また、受光器31を中間膜75に密着させることで受光器31の受光面31aを傾きなく配置することができる。よって、受光器31に入射する光量の損失を低減することができ、測定に必要な光量を確保することができる。
【0046】
また、遮光膜73の開口部74より大きな受光面31aを有する受光器31が配置されることから、開口部74から出射された光を逃すことなく受光器31の受光面31aで受けることができる。
さらに、固定基板60の材質をガラス、中間膜75の材質をSiO2とすることで、中間膜75と固定基板60とが同等の屈折率とすることができ、固定基板60と中間膜75との界面での光の反射を防止することができる。よって、受光器31に入射する光量の損失を低減することができる。
[第2実施形態]
【0047】
次に、第2実施形態として、赤外光を分光する光学モジュールについて説明する。本実施形態は、第1実施形態と同じ構成要素を有し、可動基板と固定基板の材質がシリコンであること、および中間膜の材質がTiO2であることが異なる。
【0048】
(光学モジュールの構成)
図9は光学モジュールの構成を示す断面図である。
光学モジュール91Aは、エタロン6と、遮光膜73と、中間膜88と、受光器89とを備えている。
エタロン6は、可動基板(第1基板)80および固定基板(第2基板)85を備えている。これらの可動基板80および固定基板85は、それぞれシリコンの基材からなり、板状の基材をエッチングすることにより形成されている。
そして、エタロン6は、可動基板80および固定基板85が接合されて一体に構成される。この接合には、可動基板80および固定基板85に設けられたプラズマ重合膜である接合膜71による結合、または陽極接合などの手法により接合される。
【0049】
可動基板80は、基材の一面をエッチングにより加工することで形成される。
この可動基板80には、基板中央を中心とする円柱状の可動部81と、その周りに可動部81を保持する薄肉部82と、が形成されている。
薄肉部82は、固定基板85と対向する面とは反対の面に円環状の凹部が形成され、可動部81の厚みより薄くなるように形成されている。
このように、可動基板80はダイヤフラム構造を持ち、可動部81が可動基板80の厚み方向に移動しやすいように構成されている。
【0050】
可動基板80の固定基板85と対向する面には、第1反射膜83、第1電極84が形成されている。
第1反射膜83は光の反射特性と透過特性とを有し、第2反射膜86と対向する可動部81に円形状に設けられている。第1反射膜83として誘電体多層膜が用いられる。
【0051】
第1電極84は可動部81に設けられている。この第1電極84は第1反射膜83を取りまくように、円環状に形成されている。
第1電極84は導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
【0052】
固定基板85は、基材をエッチング加工して形成される。この固定基板85には、第1反射膜83に対向する第2反射膜86が形成されている。この第2反射膜86は光の反射特性と透過特性とを有し、誘電体多層膜で形成されている。
また、固定基板85には、第1電極84に対向する第2電極87が形成されている。
第2電極87は導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
【0053】
可動基板80と固定基板85とが接合された状態では、第1反射膜83と第2反射膜86、および第1電極84と第2電極87とがギャップを介して対向配置されている。そして、第1電極84と第2電極87とにより静電アクチュエーター70が構成され、第1反射膜83と第2反射膜86との間のギャップ寸法の調整が行われる。
【0054】
また、固定基板85の可動基板80と対向する面とは反対の面に、遮光膜73が形成されている。
遮光膜73はCr膜、Cr/Au膜などの金属膜で形成され、第2反射膜86と対向する位置にCr膜、Cr/Au膜などの膜が形成されていない開口部74が設けられている。このため、Cr膜、Cr/Au膜などの金属膜が形成された部分では光は透過することがなく、開口部74から光が透過される。
開口部74は円形に形成され、開口部74の大きさは、第2反射膜86を透過する光のうち有効な光を透過するように、第2反射膜86よりも少し小さく形成されている。
【0055】
そして、遮光膜73の開口部74を埋め、遮光膜73を覆う中間膜88が形成されている。中間膜88としては、透光性を有するTiO2膜が用いられている。
さらに、この中間膜88に密着して光を受光する受光器89が設けられている。受光器89は遮光膜73の開口部74に対向して、受光器89の受光面89aが中間膜88に密着して配置されている。受光器89の受光面89aは平面で形成され、開口部74よりも大きく、開口部74より出射された光を逃すことなく受光できるように配置される。受光器89はフォトダイオード、CCDなどの光電変換素子を備えて構成されている。
【0056】
(光学モジュールの動作)
第1実施形態と同様に、第1電極84と第2電極87の間に印加する電圧を変えることで反射膜間のギャップ寸法を調整して、所望の反射膜間ギャップを得ることができる。
そして、所望の反射膜間のギャップを保持した状態において、第1光(赤外光)L3が可動基板80の中央部に入射すると、可動基板80および第1反射膜83を透過する。透過した第1光L3は第1反射膜83と第2反射膜86の間で反射を繰り返し、反射膜間ギャップ寸法に対応した波長帯域の第2光L4が第2反射膜86を透過する。第2反射膜86を透過した第2光L4は固定基板85を透過し、遮光膜73の開口部74から特定波長の光がエタロン6から出射される。
エタロン6から出射された第2光L4は、中間膜88を透過して受光器89の受光面89aに入射する。
【0057】
(固定基板の界面にける光の反射)
上記で説明した本実施形態にかかるエタロン6においても、エタロン6から出射する光は、屈折率の違いから、その界面において光が反射する。
図10は、シリコン(Si)とTiO2の屈折率と波長との関係を示すグラフである。グラフからわかるように、シリコン(Si)およびTiO2の屈折率は進行する光の波長により変化し、波長が長くなるに従い徐々に屈折率が低くなる傾向にある。
【0058】
ここでは、赤外光として波長が900nmの場合について考察する。
例えば、シリコンで形成された固定基板から空気層に赤外光が通過する場合、空気の屈折率n1=1.0、シリコンの屈折率n2=3.7、とすると、前述の式(1)から、界面での反射率R=0.33となる。つまり、固定基板から出射する光の33%が界面で反射して、通過する光量が減少することになる。
本実施形態における中間膜88はTiO2膜で形成されていることから、光の波長が900nmのときTiO2膜の屈折率n1=2.77であり、式(1)から反射率を求めると、R=0.021、となる。つまり、固定基板85から出射する光の2.1%が界面で反射する。
このように、中間膜88としてTiO2膜を設けることで、固定基板85から出射する光は空気の場合に比べて、大きく光の反射を低減させることができ、光の損失を減らして受光器89の受光面89aに入射させることができる。
【0059】
図11はシリコンで形成された固定基板から出射する光において、中間膜の屈折率と反射率との関係を示すグラフである。ここでは、赤外光として波長が900nm、シリコンの屈折率n2=3.7とした場合のデータである。
シリコンで形成された固定基板と空気との界面では、上述のように反射率R=0.33であり、シリコンで形成された固定基板と接する中間膜の屈折率n1が、1.00<n1<13.7、の範囲内にあれば、空気よりも小さな反射率が得られる。つまり、この範囲内の屈折率の材料を中間膜に選ぶことで、固定基板から出射する光は空気の場合に比べて、少ない損失で受光器の受光面に入射させることができる。
[第3実施形態]
【0060】
次に、上記第1実施形態で説明した光学モジュールを使用した、電子機器としての測色装置を例にとって説明する。
図12は測色装置の構成を示すブロック図である。
測色装置1は、検査対象Aに光を照射する光源装置2と、測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備える。
この測色装置1は、検査対象Aに光源装置2から光を照射し、検査対象Aから反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度を分析して測定する装置である。
【0061】
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図12には1つのみ図示)を備え、検査対象Aに対して白色光を出射する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から出射された光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって出射する。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Aが発光部材である場合、光源装置2を設けずに測色装置を構成してもよい。
【0062】
測色センサー3は、エタロン(波長可変干渉フィルター)5と、静電アクチュエーターに印加する電圧を制御し、エタロン5で透過させる光の波長を変える電圧制御部32と、エタロン5を透過した光を受光する受光器31と、を備える。受光器31は第1実施形態で説明したように、エタロン5に中間膜を介して密着して配置されている。このように、エタロン5と受光器31とで光学モジュール90Aを構成している。
また、測色センサー3は、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、エタロン5に導光する光学レンズ(図示せず)を備えている。そして、この測色センサー3は、光学レンズに入射した検査対象光をエタロン5で所定波長帯域の光に分光し、分光した光が受光器31にて受光される。
受光器31は、フォトダイオードなどの光電変換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光器31は制御装置4に接続され、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0063】
電圧制御部32は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、静電アクチュエーター70の第1電極54および第2電極64に印加する電圧を制御する。
【0064】
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、光源制御部41、測色センサー制御部42、および測色処理部43(分析処理部)などを備えて構成されている。
【0065】
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を出射させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長を透過させるよう、静電アクチュエーター70への印加電圧を設定する。
【0066】
測色処理部43は、測色センサー制御部42を制御して、エタロン5の反射膜間のギャップ寸法を変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部43は、受光器31から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光量を取得する。そして、測色処理部43は、上記により得られた各波長の受光量に基づいて、検査対象Aから反射された光の色度を算出する。
【0067】
このように、本実施形態の測色装置1は、受光器31に入射する光量の損失を低減することができるため、測定に必要な光量を確保することができる。このため、大容量の光源を用いることなく少ない光量においても分析が可能な測色装置1を提供することができる。
以上、第3実施形態では、電子機器として測色装置1を例示したが、その他、様々な分野に光学モジュール、電子機器を用いることができる。
例えば、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムとして用いることができる。このようなシステムとしては、例えば、エタロン(波長可変干渉フィルター)を用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器などのガス検出装置を例示できる。
[第4実施形態]
【0068】
以下、ガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
【0069】
図13は、光学モジュールを備えた電子機器としてのガス検出装置の一例を示す断面図である。
図14は、ガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図13に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、および排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、エタロン(波長可変干渉フィルター)5および受光素子(受光器)137を含む光学モジュール90Bと、検出された信号を処理し、光学モジュール90Bを制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を出射する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,135D,135Eと、により構成されている。
【0070】
また、図14に示すように、ガス検出装置100には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、エタロン5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149、および排出手段133を制御する排出ドライバー回路150などを備えている。
【0071】
次に、ガス検出装置100の動作について、以下に説明する。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
【0072】
そして、例えば利用者により操作パネル140が操作され、操作パネル140から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部144へ出力されると、まず、信号処理部144は、光源ドライバー回路145に光源作動の信号を出力して光源135Aを作動させる。光源135Aが駆動されると、光源135Aから単一波長で直線偏光の安定したレーザー光が出射される。また、光源135Aには、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、その情報が信号処理部144へ出力される。そして、信号処理部144は、光源135Aから入力された温度や光量に基づいて、光源135Aが安定動作していると判断すると、排出ドライバー回路150を制御して排出手段133を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口120Aから、吸引流路120B、センサーチップ110内、排出流路120C、排出口120Dへと誘導される。
【0073】
また、センサーチップ110は、金属ナノ構造体が複数組み込まれ、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ110では、レーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成され、この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光、およびレイリー散乱光が発生する。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光がエタロン5に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、エタロン5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光をエタロン5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
【0074】
なお、図13,14において、ラマン散乱光をエタロン5により分光して分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置100を例示したが、ガス検出装置として、ガス固有の吸光度を検出することでガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光学モジュールとして用いる。そして、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置100を本発明の電子機器とする。このような構成でも、本発明の光学モジュールを用いてガスの成分を検出することができる。
【0075】
また、特定物質の存在を検出するためのシステムとして、上記のようなガスの検出に限られず、近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や、食物や生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の、物質成分分析装置を例示できる。
[第5実施形態]
【0076】
次に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
【0077】
図15は、光学モジュールを利用した電子機器としての食物分析装置の構成を示すブロック図である。
この食物分析装置200は、検出器210と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を出射する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光するエタロン(波長可変干渉フィルター)5と、分光された光を検出する撮像部(受光器)213と、を備えている。このエタロン5と撮像部213とで光学モジュール90Cを構成している。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさの制御を実施する光源制御部221と、エタロン5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
【0078】
この食物分析装置200は、装置を駆動させると、光源制御部221により光源211が制御されて、光源211から測定対象物に光が照射される。そして、測定対象物で反射された光は、撮像レンズ212を通ってエタロン5に入射する。エタロン5は電圧制御部222の制御により所望の波長を分光可能な電圧が印加されており、分光された光が、例えばCCDカメラ等により構成される撮像部213で撮像される。また、撮像された光は分光画像として、記憶部225に蓄積される。また、信号処理部224は、電圧制御部222を制御してエタロン5に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
【0079】
そして、信号処理部224は、記憶部225に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部225には、例えばスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されており、信号処理部224は、求めたスペクトルのデータを、記憶部225に記憶された食物に関する情報を基に分析し、検出対象に含まれる食物成分、およびその含有量を求める。また、得られた食物成分および含有量から、食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。さらに、画像内のスペクトル分布を分析することで、検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実施することができ、さらには、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
【0080】
また、図15において、食物分析装置200の例を示すが、略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば血液等の体液成分を測定する装置として、エチルアルコールを検知する装置とすれば、自動車運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置として用いることができる。また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
【0081】
さらには、本発明の光学モジュール、電子機器としては、以下のような装置に適用することができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられたエタロンにより特定波長の光を分光し、受光器で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
[第6実施形態]
【0082】
また、他の電子機器として、本発明の光学モジュールにより光を分光して、分光画像を撮像する分光カメラ、分光分析機などにも適用できる。このような電子機器としての分光カメラの一例として赤外線カメラが挙げられる。
図16は、分光カメラの構成を示す斜視図である。分光カメラ300は、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330とを備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、対物レンズ321、およびエタロン5を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。このエタロン5と撮像部330とで光学モジュール90Dを構成している。
このような分光カメラ300では、エタロン5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
【0083】
さらには、エタロンをバンドパスフィルターとして用いてもよく、例えば、発光素子が出射する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。
また、本発明の光学モジュールを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩などの認証装置にも適用できる。
【0084】
さらには、光学モジュールおよび電子機器を、濃度検出装置として用いることができる。この場合、エタロンにより、物質から出射された赤外エネルギー(赤外光)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
【0085】
上記に示すように、本発明の光学モジュール、および電子機器は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、エタロンは、上述のように、1つのデバイスで複数の波長を分光させることができるため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を精度よく実施することができる。したがって、複数デバイスにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、光学モジュールや電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用として好適に用いることができる。
【0086】
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更することができる。そして、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有するものにより可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…電子機器としての測色装置、2…光源装置、3…測色センサー、4…制御装置、5,6…エタロン、21…光源、22…レンズ、31…受光器、32…電圧制御部、41…光源制御部、42…測色センサー制御部、43…測色処理部、50…第1基板としての可動基板、51…可動部、52…薄肉部、53…第1反射膜、54…第1電極、55…接続パッド、56…引き出し電極、57…切り欠き部、60…第2基板としての固定基板、61…電極形成部、62…反射膜形成部、63…第2反射膜、64…第2電極、65…接続パッド、66…引き出し電極、67…接続パッド、68…溝部、69…支持部、70…静電アクチュエーター、71…接合膜、73…遮光膜、74…開口部、75(75a,75b)…中間膜、80…第1基板としての可動基板、81…可動部、82…薄肉部、83…第1反射膜、84…第1電極、85…第2基板としての固定基板、86…第2反射膜、87…第2電極、88…中間膜、89…受光器、90A,90B,90C,90D…光学モジュール、91A…光学モジュール、100…電子機器としてのガス検出装置、200…電子機器としての食物分析装置、300…電子機器としての分光カメラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長を含む第1光が入射する第1基板と、
前記第1基板に対向し前記第1光から選択された波長帯域の第2光を透過する第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板と対向する面に配置され、前記第1光の光路上に形成された第1反射膜と、
前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、
前記第2基板の前記第1基板と対向する面と反対の面に配置され、前記第2基板を透過する前記第2光のうち、前記第2光の一部を透過させる開口部が形成された遮光膜と、
前記遮光膜の前記開口部に埋められた透光性を有する中間膜と、
前記遮光膜の前記開口部に対向して配置され、前記第2基板を透過した前記第2光を受光する受光面を有する受光器と、を備え、
前記受光器の前記受光面が前記中間膜に密着していることを特徴とする光学モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光学モジュールにおいて、
前記第2基板の厚み方向の平面視で、前記受光器の前記受光面の大きさは、前記遮光膜の前記開口部の大きさより大きく形成され、前記受光面が前記開口部を覆うように配置されていることを特徴とする光学モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学モジュールにおいて、
前記中間膜の屈折率をn1、前記第2基板の屈折率をn2、としたときに、
【数1】
の条件を満たすことを特徴とする光学モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の光学モジュールにおいて、
前記第2基板がガラスで形成され、
前記中間膜がSiO2膜であることを特徴とする光学モジュール。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光学モジュールにおいて、
前記第2基板がシリコンで形成され、
前記中間膜がTiO2膜であることを特徴とする光学モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学モジュールにおいて、
前記第1基板に設けられ、前記第1反射膜が設けられた可動部と、
前記第1基板に設けられ、前記可動部よりも厚みが薄く形成された薄肉部と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、
前記第2基板に設けられ、前記第1電極とギャップを介して対向する第2電極と、
を備えたことを特徴とする光学モジュール。
【請求項7】
複数の波長を含む第1光が入射する第1基板と、
前記第1基板に対向し前記第1光から選択された波長帯域の第2光を透過する第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板と対向する面に配置され、前記第1光の光路上に形成された第1反射膜と、
前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、
前記第2基板の前記第1基板と対向する面と反対の面に配置され、前記第2基板を透過する前記第2光のうち、前記第2光の一部を透過させる開口部が形成された遮光膜と、
前記遮光膜の前記開口部を埋める透光性を有する中間膜と、
前記遮光膜の前記開口部に対向して配置され、前記第2基板を透過した前記第2光を受光する受光面を有する受光器と、
前記受光器から得られる信号に基づき前記光の光特性を分析する分析処理部と、を備え、
前記受光器の前記受光面が前記中間膜に密着していることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の波長を含む第1光が入射する第1基板と、
前記第1基板に対向し前記第1光から選択された波長帯域の第2光を透過する第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板と対向する面に配置され、前記第1光の光路上に形成された第1反射膜と、
前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、
前記第2基板の前記第1基板と対向する面と反対の面に配置され、前記第2基板を透過する前記第2光のうち、前記第2光の一部を透過させる開口部が形成された遮光膜と、
前記遮光膜の前記開口部に埋められた透光性を有する中間膜と、
前記遮光膜の前記開口部に対向して配置され、前記第2基板を透過した前記第2光を受光する受光面を有する受光器と、を備え、
前記受光器の前記受光面が前記中間膜に密着していることを特徴とする光学モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光学モジュールにおいて、
前記第2基板の厚み方向の平面視で、前記受光器の前記受光面の大きさは、前記遮光膜の前記開口部の大きさより大きく形成され、前記受光面が前記開口部を覆うように配置されていることを特徴とする光学モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学モジュールにおいて、
前記中間膜の屈折率をn1、前記第2基板の屈折率をn2、としたときに、
【数1】
の条件を満たすことを特徴とする光学モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の光学モジュールにおいて、
前記第2基板がガラスで形成され、
前記中間膜がSiO2膜であることを特徴とする光学モジュール。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光学モジュールにおいて、
前記第2基板がシリコンで形成され、
前記中間膜がTiO2膜であることを特徴とする光学モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学モジュールにおいて、
前記第1基板に設けられ、前記第1反射膜が設けられた可動部と、
前記第1基板に設けられ、前記可動部よりも厚みが薄く形成された薄肉部と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、
前記第2基板に設けられ、前記第1電極とギャップを介して対向する第2電極と、
を備えたことを特徴とする光学モジュール。
【請求項7】
複数の波長を含む第1光が入射する第1基板と、
前記第1基板に対向し前記第1光から選択された波長帯域の第2光を透過する第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板と対向する面に配置され、前記第1光の光路上に形成された第1反射膜と、
前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、
前記第2基板の前記第1基板と対向する面と反対の面に配置され、前記第2基板を透過する前記第2光のうち、前記第2光の一部を透過させる開口部が形成された遮光膜と、
前記遮光膜の前記開口部を埋める透光性を有する中間膜と、
前記遮光膜の前記開口部に対向して配置され、前記第2基板を透過した前記第2光を受光する受光面を有する受光器と、
前記受光器から得られる信号に基づき前記光の光特性を分析する分析処理部と、を備え、
前記受光器の前記受光面が前記中間膜に密着していることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図6】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−55223(P2013−55223A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192535(P2011−192535)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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