光学体、窓材、建具および日射遮蔽装置
【課題】入射角の変化による色調変化を抑制する。
【解決手段】反射層3の積層膜における各層の膜厚に応じて決定される比率αおよび比率βに対して、可視光線透過率、遮蔽係数、青み指標および赤み指標の条件を満足する領域を抽出する。この領域に含まれる比率αおよび比率βに基づき、反射層3の積層膜における各層の膜厚を決定する。
【解決手段】反射層3の積層膜における各層の膜厚に応じて決定される比率αおよび比率βに対して、可視光線透過率、遮蔽係数、青み指標および赤み指標の条件を満足する領域を抽出する。この領域に含まれる比率αおよび比率βに基づき、反射層3の積層膜における各層の膜厚を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、色調変化を抑制できる光学体、窓材、建具および日射遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高層ビル、住居などの建築用ガラスや車窓ガラスに太陽光の一部を吸収、または反射させる層が設けられるケースが増加している。これは地球温暖化防止を目的とした省エネルギー対策のひとつであり、太陽から注がれる光エネルギーが窓から屋内に入り、屋内温度が上昇することによりかかる冷房設備の負荷を軽減することを目的としている。太陽光から注がれる光エネルギーは、波長380〜780nmの可視領域と780〜2100nmの近赤外領域とが大きな比率を占めている。このうち後者の波長域における窓の透過率は、人間の視認性と無関係であるため、高透明性かつ高熱遮蔽性を有する窓としての性能を左右する重要な要素となる。
【0003】
可視領域の透明性を維持しながら近赤外線を遮蔽する方法としては、近赤外領域に高い反射率を有する光学体を窓ガラスに設ける方法がある。この方法については、反射層として光学多層膜を用いる技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような反射層は平面状のフィルムや窓ガラスに設けられるため、入射した太陽光を正反射させることしかできない。このため、上空から照射されて正反射された光は、屋外の別な建物や地面に到達し、吸収されて熱に変わり周囲の気温を上昇させる。これにより、このような反射層が窓全体に貼られたビルの周辺では、局所的な温度上昇が起こり、都市部ではヒートアイランドが増長されたり、反射光の照射面のみ芝生が生長しないなどの問題が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来は、平板上に多層膜を成膜することで熱線遮断膜の設計が行われていた。この従来の手法による多層膜設計を行った場合、多層膜界面における屈折率や、入射光線の界面に対する入射角が変化することで、設計スペクトルが最適値から逸脱して色調が変化し、青みや赤みを帯びてしまうという問題があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、入射角の変化による色調変化を抑制することができる光学体、窓材、建具および日射遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、第1の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(1)〜式(4)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(5)〜式(8)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(9)〜式(12)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0004β2+0.0053β+0.0065 ・・・(1)
α = -1×10-5β2+0.0007β+0.0066 ・・・(2)
α = -1×10-5β2+0.0005β+0.0119 ・・・(3)
α = 0.012114 ・・・(4)
α = -0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(5)
α = -3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(6)
α = -2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(7)
α = 0.010589 ・・・(8)
(β-0.5)/0.67 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(9)
(β-5.5)/3.75 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(10)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(11)
(β-0.8)/0.45 = (α-0.01161)/0.0008471 = (90-L)/10 ・・・(12)
【0008】
第2の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(5)〜式(8)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(13)〜式(16)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(17)〜式(20)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(5)
α = -3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(6)
α = -2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(7)
α = 0.010589 ・・・(8)
α = -0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α = -0.0002β2+0.0045β-0.0067 ・・・(14)
α = -4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α = 0.009403 ・・・(16)
(0.7-β)/0.2 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(17)
(β-4.4)/1.1 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(18)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(19)
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.00067768 = (100-L)/10 ・・・(20)
【0009】
第3の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(13)〜式(16)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(21)〜式(24)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(25)〜式(28)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α = -0.0002β2+0.0045β-0.0067 ・・・(14)
α = -4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α = 0.009403 ・・・(16)
α = -0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(21)
α = -0.0014β2+0.0191β-0.0422 ・・・(22)
α = -9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(23)
α = 0.007709 ・・・(24)
(β-0.6)/0.1 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(25)
(β-3.6)/0.8 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(26)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(27)
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(28)
【0010】
第4の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(21)〜式(24)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(29)〜式(32)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(33)〜式(36)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(21)
α = -0.0014β2+0.0191β-0.0422 ・・・(22)
α = -9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(23)
α = 0.007709 ・・・(24)
α = -0.0014β2+0.0136β-0.0027 ・・・(29)
β = 10132α2-241.39α+4.747 ・・・(30)
α = -0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(31)
α = 0.006523 ・・・(32)
(0.75-β)/0.15 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(33)
(3.65-β)/0.05 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(34)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(35)
(3.47-β)/2.57 = (α-0.00754)/0,00220246 = (140-L)/20 ・・・(36)
【0011】
第5の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(29)〜式(32)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(37)〜式(41)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(42)〜式(45)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0014β2+0.0136β-0.0027 ・・・(29)
β = 10132α2-241.39α+4.747 ・・・(30)
α = -0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(31)
α = 0.006523 ・・・(32)
α = -0.005β2+0.0273β-0.0145 ・・・(37)
α = 0.0043β2-0.0332β+0.07 ・・・(38)
β = 2.875 ・・・(39)
α = -0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(40)
α = 0.005676 ・・・(41)
(0.9-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(42)
(3.8-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(43)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(44)
(β-1.05)/2.42 = (0.00864-α)/0.00110123 = (160-L)/20 ・・・(45)
【0012】
第6の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(37)〜式(41)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが180nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(46)〜式(49)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(50)〜式(53)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.005β2+0.0273β-0.0145 ・・・(37)
α = 0.0043β2-0.0332β+0.07 ・・・(38)
β = 2.875 ・・・(39)
α = -0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(40)
α = 0.005676 ・・・(41)
α = -0.0103β2+0.047β-0.0322 ・・・(46)
α = 0.0093β2-0.0677β+0.1212 ・・・(47)
α = -0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(48)
α = 0.00498 ・・・(49)
(1.05-β)/0.15 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(50)
(β-2.75)/1.05 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(51)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(52)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471= (180-L)/20 ・・・(53)
【0013】
第1〜第6の発明では、比率αおよび比率βが所定の領域内に含まれるように、波長選択反射層における各層の膜厚を設定することにより、色調変化が抑制される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、入射角による色調変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図1Bは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。
【図2】図2は、光学フィルムに対して入射する入射光と、光学フィルムにより反射された反射光との関係を示す斜視図である。
【図3】図3A〜図3Cは、第1の光学層に形成された構造体の形状例を示す斜視図である。
【図4】図4Aは、第1の光学層に形成された構造体の形状例を示す斜視図である。図4Bは、図4Aに示す構造体が形成された第1の光学層を備える光学フィルムの一構成例を示す断面図である。
【図5】図5は、波長選択反射層の層構成の一例を示す略線図である。
【図6】図6Aは、3層目および5層目の高屈折率層が2層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Bは、3層目の高屈折率層が3層に分離し、5層目の高屈折率層が2層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Cは、3層目の高屈折率層が2層に分離し、5層目の高屈折率層が3層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Dは、1層目、3層目および5層目の高屈折率層が2層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Eは、1層目および5層目の高屈折率層が2層に分離し、3層目の高屈折率層が3層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Fは、1層目の高屈折率層が2層に分離し、3層目および5層目の高屈折率層が3層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。
【図7】図7A、図7Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。
【図8】図8A、図8Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。
【図9】図9Aは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。図9Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための平面図である。
【図10】図10は、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムを製造するための製造装置の一構成例を示す概略図である。
【図11】図11A〜図11Cは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図12】図12A〜図12Cは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図13】図13A〜図13Cは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図14】図14は、反射層の膜厚について説明するための図である。
【図15】図15は、各パラメータの条件を満足する膜厚を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】図16Aは、比率αおよび比率βに対する可視光線透過率の分布を示すα−β相関図である。図16Bは、比率αおよび比率βに対する遮蔽係数の分布を示すα−β相関図である。図16Cは、比率αおよび比率βに対する青み指標の分布を示すα−β相関図である。図16Dは、比率αおよび比率βに対する赤み指標の分布を示すα−β相関図である。図16Eは、図16A〜図16Dに示すα−β相関図をそれぞれ重ね合わせた状態のα−β相関図を示す。
【図17】図17は、総膜厚Lが80nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図18】図18は、総膜厚Lが90nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図19】図19は、総膜厚Lが100nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図20】図20は、総膜厚Lが120nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図21】図21は、総膜厚Lが140nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図22】図22は、総膜厚Lが160nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図23】図23は、総膜厚Lが180nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図24】図24は、総膜厚Lが80nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図25】図25は、総膜厚Lが90nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図26】図26は、総膜厚Lが100nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図27】図27は、総膜厚Lが120nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図28】図28は、総膜厚Lが140nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図29】図29は、総膜厚Lが160nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図30】図30は、総膜厚Lが180nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図31】図31は、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を3次元平面上にマッピングした略線図である。
【図32】図32Aは、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングした略線図である。図32Bは、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングした略線図である。
【図33】図33Aは、本発明の第1の実施形態の第1の変形例を示す断面図である。図33Bは、本発明の第1の実施形態の第2の変形例を示す断面図である。
【図34】図34Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第1の構成例を示す斜視図である。図34Bは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第2の構成例を示す斜視図である。図34Cは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第3の構成例を示す斜視図である。
【図35】図35Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第3の構成例を示す平面図である。図35Bは、図35Aに示した第1の光学層のB−B線に沿った断面図である。図35Cは、図35Aに示した第1の光学層のC−C線に沿った断面図である。
【図36】図36Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第4の構成例を示す平面図である。図36Bは、図36Aに示した第1の光学層のB−B線に沿った断面図である。図36Cは、図36Aに示した第1の光学層のC−C線に沿った断面図である。
【図37】図37Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第5の構成例を示す平面図である。図37Bは、図37Aに示した第1の光学層のB−B線に沿った断面図である。
【図38】図38Aは、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図38Bは、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムが備える第1の光学層の一構成例を示す斜視図である。
【図39】図39Aは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルムの第1の構成例を示す断面図である。図39Bは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルムの第2の構成例を示す断面図である。図39Cは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルムの第3の構成例を示す断面図である。
【図40】図40Aは、本発明の第5の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図40Bは、本発明の第5の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。
【図41】図41は、本発明の第6の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。
【図42】図42は、第7の実施形態に係るブラインド装置の一構成例を示す斜視図である。
【図43】図43Aは、スラットの第1の構成例を示す断面図である。図43Bは、スラットの第2の構成例を示す断面図である。
【図44】図44Aは、第8の実施形態に係るロールスクリーン装置の一構成例を示す斜視図である。図44Bは、スクリーン302の一構成例を示す断面図である。
【図45】図45Aは、第9の実施形態に係る障子の一構成例を示す斜視図である。図45Bは、障子の一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(構造体を1次元配列した例)
2.第2の実施形態(構造体を2次元配列した例)
3.第3の実施形態(ルーバ型の反射層の例)
4.第4の実施形態(光学フィルムに光散乱体を設けた例)
5.第5の実施形態(反射層を露出させた例)
6.第6の実施形態(自己洗浄効果層を備えた例)
7.第7の実施形態(ブラインド装置に光学フィルムを適用した例)
8.第8の実施形態(ロールスクリーン装置に光学フィルムを適用した例)
9.第9の実施形態(建具に光学フィルムを適用した例)
【0017】
<1.第1の実施形態>
[光学フィルムの構成]
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図1Bは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。光学体としての光学フィルム1は、いわゆる指向反射性能を有する光学フィルムである。図1Aに示すように、この光学フィルム1は、凹凸形状の界面を内部に有する光学層2と、この光学層2の界面に設けられた反射層3とを備える。光学層2は、凹凸形状の第1の面を有する第1の光学層4と、凹凸形状の第2の面を有する第2の光学層5とを備える。光学層内部の界面は、対向配置された凹凸形状の第1の面と第2の面とにより形成されている。具体的には、光学フィルムは、凹凸面を有する第1の光学層4と、第1の光学層の凹凸面上に形成された反射層3と、反射層3が形成された凹凸面を埋めるように、反射層3上に形成された第2の光学層5とを備える。光学フィルム1は、太陽光などの光が入射する入射面S1と、この入射面S1より入射した光のうち、光学フィルム1を透過した光が出射される出射面S2とを有する。光学フィルム1は、内壁部材、外壁部材、窓材、壁材などに適用して好適なものである。また、光学フィルム1は、ブラインド装置のスラット(日射遮蔽部材)、およびロールスクリーン装置のスクリーン(日射遮蔽部材)として用いても好適なものである。さらに、光学フィルム1は、障子などの建具(内装部材または外装部材)の採光部に設けられる光学体として用いても好適なものである。
【0018】
光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2の出射面S2に第1の基材4aをさらに備えるようにしてもよい。また、光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2の入射面S1に第2の基材5aをさらに備えるようにしてもよい。なお、このように第1の基材4a、および/または第2の基材5aを光学フィルム1に備える場合には、第1の基材4a、および/または第2の基材5aを光学フィルム1に備えた状態において、以下に示す透明性、および透過色などの光学特性を満たすことが好ましい。
【0019】
光学フィルム1が、必要に応じて貼合層6をさらに備えるようにしてもよい。この貼合層6は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、窓材10に貼り合わされる面に形成される。この貼合層6を介して、光学フィルム1は被着体である窓材10の屋内側または屋外側に貼り合わされる。貼合層6としては、例えば、接着剤を主成分とする接着層(例えば、UV硬化型樹脂、2液混合型樹脂)、または粘着剤を主成分とする粘着層(例えば、感圧粘着材(PSA:Pressure Sensitive Adhesive))を用いることができる。貼合層6が粘着層である場合、貼合層6上に形成された剥離層7をさらに備えることが好ましい。このような構成にすることで、剥離層7を剥離するだけで、貼合層6を介して窓材10などの被着体に対して光学フィルム1を容易に貼り合わせることができるからである。
【0020】
光学フィルム1が、第2の基材5aと、貼合層6および/または第2の光学層5の接合性を向上させる観点から、第2の基材5aと、貼合層6および/または第2の光学層5との間に、プライマー層(図示せず)をさらに備えるようにしてもよい。また、同様の箇所の接合性を向上させる観点から、プライマー層に代えて、またはプライマー層と共に、公知の物理的前処理を施すことが好ましい。公知の物理的前処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理などが挙げられる。
【0021】
光学フィルム1が、窓材10などの被着体に貼り合わされる入射面S1または出射面S2上、またはその面と反射層3との間に、バリア層(図示せず)をさらに備えるようにしてもよい。このようにバリア層を備えることで、入射面S1または出射面S2から反射層3への水分の拡散を低減し、反射層3に含まれる金属などの劣化を抑制することができる。したがって、光学フィルム1の耐久性を向上させることができる。
【0022】
光学フィルム1は、表面に耐擦傷性などを付与する観点から、ハードコート層8をさらに備えるようにしてもよい。このハードコート層8は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、窓材10などの被着体に貼り合わされる面とは反対側の面に形成することが好ましい。光学フィルム1の入射面S1に、防汚性などを付与する観点から、撥水性または親水性を有する層をさらに備えてもよい。このような機能を有する層は、例えば、光学層2上に直接備える、またはハードコート層8などの各種機能層上に備えるようにしてもよい。
【0023】
光学フィルム1は、光学フィルム1を窓材10などの被着体に容易に貼り合わせ可能にする観点からすると、可撓性を有することが好ましい。ここで、フィルムにはシートが含まれるものとする。すなわち、光学フィルム1には光学シートも含まれものとする。
【0024】
光学フィルム1は、透明性を有している。透明性としては、後述する透過像鮮明度の範囲を有するものであることが好ましい。第1の光学層4と第2の光学層5との屈折率差が、好ましくは0.010以下、より好ましくは0.008以下、さらに好ましくは0.005以下である。屈折率差が0.010を超えると、透過像がぼけて見える傾向がある。0.008を超え0.010以下の範囲であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。0.005を超え0.008以下の範囲であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。0.005以下であれば、回折パターンは殆ど気にならない。第1の光学層4および第2の光学層5のうち、窓材10などと貼り合わせる側となる光学層は、粘着剤を主成分としてもよい。このような構成とすることで、粘着材を主成分とする第1の光学層4、または第2の光学層5により光学フィルム1を窓材10などに貼り合わせることができる。なお、このような構成にする場合、粘着剤の屈折率差が上記範囲内であることが好ましい。
【0025】
第1の光学層4と第2の光学層5とは、屈折率などの光学特性が同じであることが好ましい。より具体的には、第1の光学層4と第2の光学層5とが、可視領域において透明性を有する同一材料、例えば同一樹脂材料からなることが好ましい。第1の光学層4と第2の光学層5とを同一材料により構成することで、両者の屈折率が等しくなるので、可視光の透明性を向上させることができる。ただし、同一材料を出発源としても、成膜工程における硬化条件などにより最終的に生成する層の屈折率が異なることがあるので、注意が必要である。これに対して、第1の光学層4と第2の光学層5とを異なる材料により構成すると、両者の屈折率が異なるので、反射層3を境界として光が屈折し、透過像がぼやける傾向がある。特に、遠くの電灯など点光源に近い物を観察すると回折パターンが顕著に観察される傾向がある。なお、屈折率の値を調整するために、第1の光学層4および/または第2の光学層5に添加剤を混入させてもよい。
【0026】
第1の光学層4と第2の光学層5は、可視領域において透明性を有することが好ましい。ここで、透明性の定義には2種類の意味があり、光の吸収がないことと、光の散乱がないことである。一般的に透明と言った場合に前者だけを指すことがあるが、第1の実施形態に係る光学フィルム1では両者を備えることが好ましい。現在利用されている再帰反射体は、道路標識や夜間作業者の衣服など、その表示反射光を視認することを目的としているため、例えば散乱性を有していても、下地反射体と密着していれば、その反射光を視認することができる。例えば、画像表示装置の前面に、防眩性の付与を目的として散乱性を有するアンチグレア処理をしても、画像は視認できるのと同一の原理である。しかしながら、第1の実施形態に係る光学フィルム1は、指向反射する特定の波長以外の光を透過する点に特徴を有しており、この透過波長を主に透過する透過体に接着し、その透過光を観察するため、光の散乱がないことが好ましい。但し、その用途によっては、第2の光学層5に意図的に散乱性を持たせることも可能である。
【0027】
光学フィルム1は、好ましくは、透過した特定波長以外の光に対して主に透過性を有する剛体、例えば、窓材10に粘着剤などを介して貼り合わせて使用される。窓材10としては、高層ビルや住宅などの建築用窓材、車両用の窓材などが挙げられる。建築用窓材に光学フィルム1を適用する場合、特に東〜南〜西向きの間のいずれかの向き(例えば南東〜南西向き)に配置された窓材10に光学フィルム1を適用することが好ましい。このような位置の窓材10に適用することで、より効果的に熱線を反射することができるからである。光学フィルム1は、単層の窓ガラスのみならず、複層ガラスなどの特殊なガラスにも用いることができる。また、窓材10は、ガラスからなるものに限定されるものではなく、透明性を有する高分子材料からなるものを用いてもよい。光学層2が、可視領域において透明性を有することが好ましい。このように透明性を有することで、光学フィルム1を窓ガラスなどの窓材10に貼り合せた場合、可視光を透過し、太陽光による採光を確保することができるからである。また、貼り合わせる面としてはガラスの内面のみならず、外面にも使用することができる。
【0028】
また、光学フィルム1は他の熱線カットフィルムと併用して用いることができ、例えば空気と光学フィルム1との界面(すなわち、光学フィルム1の最表面)に光吸収塗膜を設けることもできる。また、光学フィルム1は、ハードコート層、紫外線カット層、表面反射防止層などとも併用して用いることができる。これらの機能層を併用する場合、これらの機能層を光学フィルム1と空気との間の界面に設けることが好ましい。ただし、紫外線カット層については、光学フィルム1よりも太陽側に配置する必要があるため、特に室内の窓ガラス面に内貼り用として用いる場合には、該窓ガラス面と光学フィルム1の間に紫外線カット層を設けることが望ましい。この場合、窓ガラス面と光学フィルム1の間の貼合層中に、紫外線吸収剤を練りこんでおいてもよい。
【0029】
また、光学フィルム1の用途に応じて、光学フィルム1に対して着色を施し、意匠性を付与するようにしてもよい。このように意匠性を付与する場合、透明性を損なわない範囲で第1の光学層4および第2の光学層5の少なくとも一方が、可視領域における特定の波長帯の光を主として吸収する構成とすることが好ましい。
【0030】
図2は、光学フィルム1に対して入射する入射光と、光学フィルム1により反射された反射光との関係を示す斜視図である。光学フィルム1は、光Lが入射する入射面S1を有する。光学フィルム1は、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光Lのうち、特定波長帯の光L1を選択的に正反射(−θ、φ+180°)以外の方向に指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光L2を透過することが好ましい。また、光学フィルム1は、上記特定波長帯以外の光に対して透明性を有する。透明性としては、後述する透過像鮮明度の範囲を有するものであることが好ましい。但し、θ:入射面S1に対する垂線l1と、入射光Lまたは反射光L1とのなす角である。φ:入射面S1内の特定の直線l2と、入射光Lまたは反射光L1を入射面S1に射影した成分とのなす角である。ここで、入射面内の特定の直線l2とは、入射角(θ、φ)を固定し、光学フィルム1の入射面S1に対する垂線l1を軸として光学フィルム1を回転したときに、φ方向への反射強度が最大になる軸である(図3および図4参照)。但し、反射強度が最大となる軸(方向)が複数ある場合、そのうちの1つを直線l2として選択するものとする。なお、垂線l1を基準にして時計回りに回転した角度θを「+θ」とし、反時計回りに回転した角度θを「−θ」とする。直線l2を基準にして時計回りに回転した角度φを「+φ」とし、反時計回りに回転した角度φを「−φ」とする。
【0031】
選択的に指向反射する特定の波長帯の光、および透過させる特定の光は、光学フィルム1の用途により異なる。例えば、窓材10に対して光学フィルム1を適用する場合、選択的に指向反射する特定の波長帯の光は近赤外光であり、透過させる特定の波長帯の光は可視光であることが好ましい。具体的には、選択的に指向反射する特定の波長帯の光が、主に波長帯域780nm〜2100nmの近赤外線であることが好ましい。近赤外線を反射することで、光学体をガラス窓などの窓材に貼り合わせた場合に、建物内の温度上昇を抑制することができる。したがって、冷房負荷を軽減し、省エネルギー化を図ることができる。ここで、指向反射とは、正反射以外のある特定の方向への反射を有し、かつ、指向性を持たない拡散反射強度よりも十分に強いことを意味する。ここで、反射するとは、特定の波長帯域、例えば近赤外域における反射率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上であることを示す。透過するとは、特定の波長帯域、例えば可視光域における透過率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上であることを示す。
【0032】
光学フィルム1において、指向反射する方向φoが−90°以上、90°以下であることが好ましい。光学フィルム1を窓材10に貼った場合、上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を上空方向に戻すことができるからである。周辺に高い建物がない場合にはこの範囲の光学フィルム1が有用である。また、指向反射する方向が(θ、−φ)近傍であることが好ましい。近傍とは、好ましく(θ、−φ)から5度以内、より好ましくは3度以内であり、さらに好ましくは2度以内の範囲内のずれのことをいう。この範囲にすることで、光学フィルム1を窓材10に貼った場合、同程度の高さが立ち並ぶ建物の上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を他の建物の上空に効率良く戻すことができるからである。このような指向反射を実現するためには、例えば球面や双曲面の一部や三角錐、四角錘、円錐などの3次元構造体を用いることが好ましい。(θ、φ)方向(−90°<φ<90°)から入射した光は、その形状に基づいて(θo、φo)方向(0°<θo<90°、−90°<φo<90°)に反射させることができる。または、一方向に伸びた柱状体にすることが好ましい。(θ、φ)方向(−90°<φ<90°)から入射した光は、柱状体の傾斜角に基づいて(θo、−φ)方向(0°<θo<90°)に反射させることができる。
【0033】
光学フィルム1において、特定波長体の光の指向反射が、再帰反射近傍方向、すなわち、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光に対する、特定波長体の光の反射方向が、(θ、φ)近傍であることが好ましい。光学フィルム1を窓材10に貼った場合、上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を上空に戻すことができるからである。ここで近傍とは5度以内が好ましく、より好ましくは3度以内であり、さらに好ましくは2度以内である。この範囲にすることで、光学フィルム1を窓材10に貼った場合、上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を上空に効率良く戻すことができるからである。また、赤外線センサーや赤外線撮像のように、赤外光照射部と受光部が隣接している場合は、再帰反射方向は入射方向と等しくなければならないが、本発明のように特定の方向からセンシングする必要がない場合は、厳密に同一方向とする必要はない。
【0034】
光学フィルム1において、透過性を持つ波長帯に対する透過像鮮明度に関し、0.5mmの光学くしを用いたときの値が、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは75以上である。透過像鮮明度の値が50未満であると、透過像がぼけて見える傾向がある。50以上60未満であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。60以上75未満であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。75以上であれば、回折パターンは殆ど気にならない。更に0.125mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの光学くしを用いて測定した透過像鮮明度の値の合計値が、好ましくは230以上、より好ましくは270以上、さらに好ましくは350以上である。透過像鮮明度の合計値が230未満であると、透過像がぼけて見える傾向がある。230以上270未満であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。270以上350未満であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。350以上であれば、回折パターンは殆ど気にならない。ここで、透過像鮮明度の値は、スガ試験機製ICM−1Tを用いて、JIS K7105に準じて測定したものである。ただし、透過させたい波長がD65光源波長と異なる場合は、透過したい波長のフィルターを用いて校正した後に測定することが好ましい。
【0035】
光学フィルム1において、透過性を持つ波長帯に対するヘイズが、好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは2%以下である。ヘイズが6%を超えると、透過光が散乱され、曇って見えるためである。ここで、ヘイズは、村上色彩製HM−150を用いて、JIS K7136で規定される測定方法により測定したものである。ただし、透過させたい波長がD65光源波長と異なる場合は、透過したい波長のフィルターを用いて校正した後に測定することが好ましい。光学フィルム1の入射面S1、好ましくは入射面S1および出射面S2は、透過像鮮明度を低下させない程度の平滑性を有する。具体的には、入射面S1および出射面S2の算術平均粗さRaは、好ましくは0.08μm以下、より好ましくは0.06μm以下、さらに好ましくは0.04μm以下である。なお、上記算術平均粗さRaは、入射面の表面粗さを測定し、2次元断面曲線から粗さ曲線を取得し、粗さパラメータとして算出したものである。なお、測定条件はJIS B0601:2001に準拠している。以下に測定装置および測定条件を示す。
測定装置:全自動微細形状測定機 サーフコーダーET4000A(株式会社小坂研究所)
λc=0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ×5倍
データサンプリング間隔0.5μm
【0036】
光学フィルム1の透過色はなるべくニュートラルに近く、色付きがあるとしても涼しい印象を与える青、青緑、緑色などの薄い色調が好ましい。このような色調を得る観点からすると、入射面S1から入射し、光学層2および反射層3を透過し、出射面S2から出射される透過光および反射光の色度座標x、yは、例えばD65光源の照射に対しては、好ましくは0.20<x<0.35かつ0.20<y<0.40、より好ましくは、0.25<x<0.32かつ0.25<y<0.37、更に好ましくは0.30<x<0.32かつ0.30<y<0.35の範囲を満たすのが望ましい。更に、色調が赤みを帯びないためには、好ましくはy>x−0.02、より好ましくはy>xの関係を満たすのが望ましい。また、反射色調が入射角度によって変化すると、例えばビルの窓に適用された場合に、場所によって色調が異なったり、歩くと色が変化して見えるため好ましくない。このような色調の変化を抑制する観点からすると、5°以上60°以下の入射角度θで入射面S1または出射面S2から入射し、光学フィルム1により反射された正反射光の色座標xの差の絶対値、および色座標yの差の絶対値が、光学フィルム1の両主面のいずれにおいても、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、さらに好ましくは0.01以下である。このような反射光に対する色座標x、yに関する数値範囲の限定は、入射面S1、および出射面S2の両方の面において満たされることが望ましい。
【0037】
以下、光学フィルム1を構成する第1の光学層4、第2の光学層5、および反射層3について順次説明する。
【0038】
(第1の光学層、第2の光学層)
第1の光学層4は、例えば、反射層3を支持し、かつ保護するためのものである。第1の光学層4は、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、例えば、樹脂を主成分とする層からなる。第1の光学層4の両主面のうち、例えば、一方の面は平滑面であり、他方の面は凹凸面(第1の面)である。反射層3は該凹凸面上に形成される。
【0039】
第2の光学層5は、反射層3が形成された第1の光学層4の第1の面(凹凸面)を包埋することにより、反射層3を保護するためのものである。第2の光学層5は、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、例えば、樹脂を主成分とする層からなる。第2の光学層5の両主面のうち、例えば、一方の面は平滑面であり、他方の面は凹凸面(第2の面)である。第1の光学層4の凹凸面と第2の光学層5の凹凸面とは、互いに凹凸を反転した関係にある。
【0040】
第1の光学層4の凹凸面は、例えば、1次元配列された複数の構造体4cにより形成されている。第2の光学層5の凹凸面は、例えば、1次元配列された複数の構造体5cにより形成されている(図3、図4参照)。第1の光学層4の構造体4cと第2の光学層5の構造体5cとは、凹凸が反転している点のみが異なるので、以下では第1の光学層4の構造体4cについて説明する。
【0041】
光学フィルム1において、構造体4cのピッチPは、好ましくは5μm以上5mm以下、より好ましくは5μm以上250μm未満、さらに好ましくは20μm以上200μm以下である。構造体4cのピッチが5μm未満であると、構造体4cの形状を所望のものとすることが難しい上、反射層3の波長選択特性は一般的には急峻にすることが困難であるため、透過波長の一部を反射することがある。このような反射が起こると回折が生じて高次の反射まで視認されるため、透明性が悪く感じられる傾向がある。一方、構造体4cのピッチが5mmを超えると、指向反射に必要な構造体4cの形状を考慮した場合、必要な膜厚が厚くなりフレキシブル性が失われ、窓材10などの剛体に貼りあわせることが困難になる。また、構造体4cのピッチを250μm未満にすることにより、さらにフレキシブル性が増し、ロール・ツー・ロールでの製造が容易となり、バッチ生産が不要となる。窓などの建材に本発明の光学フィルム1を適用するためには、数m程度の長さが必要であり、バッチ生産よりもロール・ツー・ロールでの製造が適している。さらに、ピッチを20μm以上200μm以下とした場合には、より生産性が向上する。
【0042】
また、第1の光学層4の表面に形成される構造体4cの形状は1種類に限定されるものではなく、複数種類の形状の構造体4cを第1の光学層4の表面に形成するようにしてもよい。複数種類の形状の構造体4cを表面に設ける場合、複数種類の形状の構造体4cからなる所定のパターンが周期的に繰り返されるようにしてもよい。また、所望とする特性によっては、複数種類の構造体4cがランダム(非周期的)に形成されるようにしてもよい。
【0043】
図3A〜図3Cは、第1の光学層に形成された構造体の形状例を示す斜視図である。構造体4cは、一方向に延在された柱状の凹部であり、この柱状の構造体4cが一方向に向かって一次元配列されている。反射層3はこの構造体4c上に成膜させるため、反射層3の形状は、構造体4cの表面形状と同様の形状を有することになる。
【0044】
構造体4cの形状としては、例えば、図3Aに示すプリズム形状、図3Bに示す、プリズムの稜線部に丸みを付与した形状、図3Cに示すレンチキュラー形状の反転形状、またはこれらの反転形状を挙げることができる。ここで、レンチキュラー形状とは、凸部の稜線に垂直な断面形状が円弧状もしくはほぼ円弧状、楕円弧状もしくはほぼ楕円弧、または放物線状もしくはほぼ放物線状の一部となっているものをいう。したがって、シリンドリカル形状もレンチキュラー形状に含まれる。なお、図3Bに示すように、稜線部分にはRがあっても良く、好ましくは曲率半径Rと構造体4cのピッチPの比R/Pが7%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下が好ましい。また、構造体4cの形状は、図3A〜図3Cに示した形状、またはこれらの反転形状に限定されるものではなく、トロイダル形状、双曲柱状、楕円柱状、多角柱状、自由曲面状としてもよい。また、プリズム形状、およびレンチキュラー形状の頂部を多角形状(例えば五角形状)の形状としてもよい。構造体4cをプリズム形状とする場合、プリズム形状の構造体4cの傾斜角度θは、例えば45°である。構造体4cは、窓材10に適用した場合に、上空から入射した光を反射して上空に多く戻す観点からは、傾斜角が45°以上傾斜した平面または曲面を有することが好ましい。このような形状にすることで、入射光はほぼ1回の反射で上空へ戻るため、反射層3の反射率がそれ程高く無くとも効率的に上空方向へ入射光を反射できると共に、反射層3における光の吸収を低減できるからである。
【0045】
また、図4Aに示すように、構造体4cの形状を、光学フィルム1の入射面S1または出射面S2に垂直な垂線l1に対して非対称な形状としてもよい。この場合、構造体4cの主軸lmが、垂線l1を基準にして構造体4cの配列方向aに傾くことになる。ここで、構造体4cの主軸lmとは、構造体断面の底辺の中点と構造体の頂点とを通る直線を意味する。地面に対して略垂直に配置された窓材10に光学フィルム1を貼る場合には、図4Bに示すように、構造体4cの主軸lmが、垂線l1を基準にして窓材10の下方(地面側)に傾いていることが好ましい。一般に窓を介した熱の流入が多いのは昼過ぎ頃の時間帯であり、太陽の高度が45°より高いことが多いため、上記形状を採用することで、これら高角度から入射する光を効率的に上方に反射できるからである。図4Aおよび図4Bでは、プリズム形状の構造体4cを垂線l1に対して非対称な形状とした例が示されている。なお、プリズム形状以外の構造体4cを垂線l1に対して非対称な形状としてもよい。例えば、コーナーキューブ体を垂線l1に対して非対称な形状としてもよい。
【0046】
第1の光学層4が、100℃での貯蔵弾性率の低下が少なく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異ならない樹脂を主成分としていることが好ましい。具体的には、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下であり、100℃での貯蔵弾性率が3×107Pa以上である樹脂を含んでいることが好ましい。なお、第1の光学層4は、1種類の樹脂で構成されているのが好ましいが、2種類以上の樹脂を含んでいてもよい。また、必要に応じて、添加剤が混入されていてもよい。
【0047】
このように100℃での貯蔵弾性率の低下が少なく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異ならない樹脂を主成分としていると、熱、または熱と加圧とを伴うプロセスが第1の光学層4の凹凸面(第1の面)を形成後に存在する場合でも、設計した界面形状をほぼ保つことができる。これに対して、100℃での貯蔵弾性率の低下が大きく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異なる樹脂を主成分としていると、設計した界面形状からの変形が大きくなり、光学フィルム1にカールが生じたりする。
【0048】
ここで、熱を伴うプロセスには、アニール処理などのように直接的に光学フィルム1またはその構成部材に対して熱を加えるようなプロセスのみならず、薄膜の成膜時、および樹脂組成物の硬化時などに、成膜面が局所的に温度上昇して間接的にそれらに対して熱を加えるようなプロセスや、エネルギー線照射により金型の温度が上昇し、間接的に光学フィルムに熱を加えるようなプロセスも含まれる。また、上述した貯蔵弾性率の数値範囲を限定することにより得られる効果は、樹脂の種類に特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、およびエネルギー線照射型樹脂のいずれでも得ることができる。
【0049】
第1の光学層4の貯蔵弾性率は、例えば以下のようにして確認することができる。第1の光学層4の表面が露出している場合には、その露出面の貯蔵弾性率を微小硬度計を用いて測定することにより確認することができる。また、第1の光学層4の表面に第1の基材4aなどが形成されている場合には、第1の基材4aなどを剥離して、第1の光学層4の表面を露出させた後、その露出面の貯蔵弾性率を微小硬度計を用いて測定することにより確認することができる。
【0050】
高温下での弾性率の低下を抑制する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂にあっては、側鎖の長さおよび種類などを調整する方法が挙げられ、熱硬化型樹脂、およびエネルギー線照射型樹脂にあっては、架橋点の量および架橋材の分子構造などを調整する方法が挙げられる。但し、このような構造変更によって樹脂材料そのものに求められる特性が損なわれないようにすることが好ましい。例えば、架橋剤の種類によっては室温付近での弾性率が高くなり、脆くなってしまったり、収縮が大きくなりフィルムが湾曲したり、カールしたりすることがあるので、架橋剤の種類を所望とする特性に応じて適宜選択することが好ましい。
【0051】
第1の光学層4が、結晶性高分子材料を主成分として含んでいる場合には、ガラス転移点が、製造プロセス中の最高温度より大きく、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が少ない樹脂を主成分としていることが好ましい。これに対して、ガラス転移点が、室温25℃以上、製造プロセス中の最高温度以下の範囲内にあり、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が大きい樹脂を用いると、製造プロセス中に、設計した理想的な界面形状を保持することが困難になる。
【0052】
第1の光学層4が、非晶性高分子材料を主成分として含んでいる場合には、融点が、製造プロセス中の最高温度より大きく、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が少ない樹脂を主成分としていることが好ましい。これに対して、融点が、室温25℃以上、製造プロセス中の最高温度以下の範囲内にあり、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が大きい樹脂を用いると、製造プロセス中に、設計した理想的な界面形状を保持することが困難になる。
【0053】
ここで、製造プロセス中の最高温度とは、製造プロセス中における第1の光学層4の凹凸面(第1の面)の最高温度を意味している。上述した貯蔵弾性率の数値範囲、およびガラス転移点の温度範囲は、第2の光学層5も満たしていることが好ましい。
【0054】
すなわち、第1の光学層4、および第2の光学層5の少なくとも一方が、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下である樹脂を含んでいることが好ましい。室温25℃において光学フィルム1に可撓性を付与することができるので、ロール・ツー・ロールでの光学フィルム1の製造が可能となるからである。
【0055】
第1の基材4a、および第2の基材5aは、例えば、透明性を有している。基材の形状としては、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、フィルム状を有することが好ましいが、特にこの形状に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aの材料としては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられるが、特にこれらの材料に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aの厚さは、生産性の観点から38〜100μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aは、エネルギー線透過性を有することが好ましい。これにより、後述するように、第1の基材4a、または第2の基材5aと反射層3との間に介在させたエネルギー線硬化型樹脂に対して、第1の基材4a、または第2の基材5a側からエネルギー線を照射し、エネルギー線硬化型樹脂を硬化させることができるからである。
【0056】
第1の光学層4、および第2の光学層5は、例えば、透明性を有する。第1の光学層4、および第2の光学層5は、例えば、樹脂組成物を硬化することにより得られる。樹脂組成物としては、製造の容易性の観点からすると、光または電子線などにより硬化するエネルギー線硬化型樹脂、または熱により硬化する熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。エネルギー線硬化型樹脂としては、光により硬化する感光性樹脂組成物が好ましく、紫外線により硬化する紫外線硬化型樹脂組成物が最も好ましい。樹脂組成物は、第1の光学層4、または第2の光学層5と反射層3との密着性を向上させる観点から、リン酸を含有する化合物、コハク酸を含有する化合物、ブチロラクトンを含有する化合物をさらに含有することが好ましい。リン酸を含有する化合物としては、例えばリン酸を含有する(メタ)アクリレート、好ましくはリン酸を官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。コハク酸を含有する化合物としては、例えば、コハク酸を含有する(メタ)アクリレート、好ましくはコハク酸を官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。ブチロラクトンを含有する化合物としては、例えば、ブチロラクトンを含有する(メタ)アクリレート、好ましくはブチロラクトンを官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。
【0057】
紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを含有している。また、紫外線硬化型樹脂組成物が、必要に応じて、光安定剤、難燃剤、レベリング剤および酸化防止剤などをさらに含有するようにしてもよい。
【0058】
アクリレートとしては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを用いることが好ましい。このモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどを用いることができる。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタアクリロイル基のいずれかを意味するものである。ここで、オリゴマーとは、分子量500以上60000以下の分子をいう。
【0059】
光重合開始剤としては、公知の材料から適宜選択したものを使用できる。公知の材料としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラキノン誘導体などを単独で、または併用して用いることができる。重合開始剤の配合量は、固形分中0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、光硬化性が低下し、実質的に工業生産に適さない。一方、10質量%を超えると、照射光量が小さい場合に、塗膜に臭気が残る傾向にある。ここで、固形分とは、硬化後のハードコート層12を構成する全ての成分をいう。具体的には例えば、アクリレート、および光重合開始剤などを固形分という。
【0060】
樹脂はエネルギー線照射や熱などによって構造を転写できるものが好ましく、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱可塑性樹脂など上述の屈折率の要求を満たすものであればどのような種類の樹脂を使用しても良い。
【0061】
硬化収縮を低減するために、オリゴマーを添加してもよい。硬化剤としてポリイソシアネートなどを含んでもよい。また、第1の光学層4、および第2の光学層5との密着性を考慮して水酸基やカルボキシル基、リン酸基を有するような単量体、多価アルコール類、カルボン酸、シラン、アルミ、チタンなどのカップリング剤や各種キレート剤などを添加しても良い。
【0062】
樹脂組成物が、架橋剤をさらに含んでいることが好ましい。この架橋剤としては、環状の架橋剤を用いることが特に好ましい。架橋剤を用いることで、室温での貯蔵弾性率を大きく変化させることなく、樹脂を耐熱化することができるからである。なお、室温での貯蔵弾性率が大きく変化すると、光学フィルム1が脆くなり、ロール・ツー・ロール工程などによる光学フィルム1の作製が困難となる。環状の架橋剤としては、例えば、ジオキサングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどを挙げることができる。
【0063】
第1の基材4a、または第2の基材5aは、第1の光学層4、または第2の光学層5より水蒸気透過率が低いことが好ましい。例えば、第1の光学層4をウレタンアクリレートのようなエネルギー線硬化型樹脂で形成する場合には、第1の基材4aを第1の光学層4より水蒸気透過率が低く、かつ、エネルギー線透過性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂により形成することが好ましい。これにより、入射面S1または出射面S2から反射層3への水分の拡散を低減し、反射層3に含まれる金属などの劣化を抑制することができる。したがって、光学フィルム1の耐久性を向上させることができる。なお、厚み75μmのPETの水蒸気透過率は、10g/m2/day(40℃、90%RH)程度である。
【0064】
第1の光学層4および第2の光学層5の少なくとも一方が、極性の高い官能基を含み、その含有量が第1の光学層4と第2の光学層5とで異なることが好ましい。第1の光学層4と第2の光学層5との両方が、リン酸化合物(例えば、リン酸エステル)を含み、第1の光学層4と第2の光学層5とにおける上記リン酸化合物の含有量が異なることが好ましい。リン酸化合物の含有量は、第1の光学層4と第2の光学層5とにおいて、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上異なることが好ましい。
【0065】
第1の光学層4、および第2の光学層5の少なくとも一方が、リン酸化合物を含む場合、反射層3は、リン酸化合物を含む第1の光学層4または第2の光学層5と接する面に、酸化物もしくは窒化物、酸窒化物を含むことが好ましい。反射層3は、リン酸化合物を含む第1の光学層4または第2の光学層5と接する面に、酸化亜鉛(ZnO)または酸化ニオブを含む層を有することが特に好ましい。これらの光学層と反射層3との密着性が向上するためである。また、反射層3がAg等の金属を含む場合に、腐食防止効果が高いからである。また、この反射層3は、Al、Gaなどのドーパントを含有していても良い。金属酸化物層をスパッタ法等で形成する場合に、膜質や平滑性が向上するからである。
【0066】
第1の光学層4、および第2の光学層5の少なくとも一方が、光学フィルム1や窓材10などに意匠性を付与する観点からすると、可視領域における特定の波長帯の光を吸収する特性を有することが好ましい。樹脂中に分散させる顔料は、有機系顔料および無機系顔料のいずれであってもよいが、特に顔料自体の耐候性が高い無機系顔料とすることが好ましい。具体的には、ジルコングレー(Co、NiドープZrSiO4)、プラセオジムイエロー(PrドープZrSiO4)、クロムチタンイエロー(Cr、SbドープTiO2またはCr、WドープTiO2)、クロムグリーン(Cr2O3など)、ピーコックブルー((CoZn)O(AlCr)2O3)、ビクトリアグリーン((Al、Cr)2O3)、紺青(CoO・Al2O3・SiO2)、バナジウムジルコニウム青(VドープZrSiO4)、クロム錫ピンク(CrドープCaO・SnO2・SiO2)、陶試紅(MnドープAl2O3)、サーモンピンク(FeドープZrSiO4)などの無機顔料、アゾ系顔料やフタロシアニン系顔料などの有機顔料が挙げられる。
【0067】
(反射層)
反射層は、例えば、入射角(θ、φ)で入射面に入射した光のうち、特定波長帯の光を指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光を透過する積層膜の波長選択反射層である。反射層3の平均層厚は、好ましくは20μm、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。反射層3の平均層厚が20μmを超えると、透過光が屈折する光路が長くなり、透過像が歪んで見える傾向がある。反射層の形成方法としては、例えば、スパッタ法、蒸着法、ディップコーティング法、ダイコーティング法などを用いることができる。
【0068】
積層膜は、例えば、赤外領域において反射率の高い金属層と、可視領域において金属層に対して屈折率が高く反射防止層として機能する高屈折率層とを交互に積層してなる、少なくとも5層構成とされた積層膜である。高屈折率層としては、光学透明層、または透明導電層を用いることができる。
【0069】
赤外領域において反射率の高い金属層は、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Cr、Ti、Pd、Co、Si、Ta、W、Mo、Geなどの単体、またはこれらの単体を2種以上含む合金を主成分とする。そして、実用性の面を考慮すると、これらのうちのAg系、Cu系、Al系、Si系またはGe系の材料が好ましい。また、金属層の材料として合金を用いる場合には、金属層は、AlCu、AlTi、AlCr、AlCo、AlNdCu、AlMgSi、AgBi、AgNdCu、AgPdCu、AgPdTi、AgCuTi、AgPdCa、AgPdMg、AgPdFe、AgまたはSiBなどを主成分とすることが好ましい。また、金属層の腐食を抑えるために、金属層に対してTi、Ndなどの材料を添加することが好ましい。特に、金属層の材料としてAgを用いる場合には、上記材料を添加することが好ましい。
【0070】
光学透明層は、可視領域において屈折率が高く反射防止層として機能する光学透明層である。光学透明層は、例えば酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタンなどの高誘電体を主成分とする。透明導電層は、例えば、ZnO系酸化物、インジウムドープ酸化錫などの主成分とする。なお、ZnO系酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)をドープした酸化亜鉛(GAZO)、Alをドープした酸化亜鉛(AZO)、およびガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(GZO)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0071】
また、積層膜に含まれる高屈折率層の屈折率は、1.7以上2.6以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.8以上2.6以下、更に好ましくは1.9以上2.6以下である。これにより、クラックが発生しない程度の薄い膜で可視光領域での反射防止が実現できるからである。ここで、屈折率は、波長550nmにおけるものである。高屈折率層は、例えば、金属の酸化物を主成分とする層である。金属の酸化物としては、層の応力を緩和し、クラックの発生を抑制する観点からすると、酸化亜鉛以外の金属酸化物を用いることが好ましい場合もある。特に、酸化ニオブ(例えば、五酸化ニオブ)、酸化タンタル(例えば、五酸化タンタル)、および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。高屈折率層の膜厚は、好ましくは10nm以上120nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上80nm以下である。膜厚が10nm未満であると、可視光が反射しやすくなる傾向がある。一方、膜厚が120を超えると、透過率の低下やクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0072】
図5は、反射層3の層構成の一例を示す。以下では、反射層3の出射面側から順に1層目、2層目、3層目、4層目および5層目と適宜称して説明する。1層目、3層目および5層目は、例えばGAZOを主成分とする高屈折率層であり、1層目および5層目の膜厚が略等しく形成されている。1層目および5層目の膜厚の差分は、2つの層のうちいずれか一方の層の膜厚に対して、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、さらに好ましくは3%以内である。また、2層目および4層目は、例えばAgNdCuを主成分とする金属層であり、膜厚が略等しく形成されている。2層目および4層目の膜厚の差分は、2つの層のうちいずれか一方の層の膜厚に対して、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、さらに好ましくは3%以内である。
【0073】
反射層3の層構成は、これに限られず、例えば、それぞれの高屈折率層が複数の層に分離して1つの層を形成するようにしてもよい。図6A〜図6Fは、高屈折率層が複数の層に分離して形成された反射層3の層構成の一例を示す。図6Aに示す例では、3層目および5層目の高屈折率層がZnOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離している。図6Bに示す例では、3層目の高屈折率層がGAZO、Nb2O5およびGAZOを主成分とした3層に分離し、5層目の高屈折率層がGAZOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離している。図6Cに示す例では、3層目の高屈折率層がZnOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離し、5層目の高屈折率層がZnO、Nb2O5およびZnOを主成分とした3層に分離している。
【0074】
また、図6Dに示す例では、1層目、3層目および5層目の高屈折率層がGAZOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離している。図6Eに示す例では、1層目および5層目の高屈折率層がGAZOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離し、3層目の高屈折率層がGAZO、Nb2O5およびGAZOを主成分とした3層に分離している。図6Fに示す例では、1層目の高屈折率層がGAZOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離し、3層目および5層目の高屈折率層がGAZO、Nb2O5およびGAZOを主成分とした3層に分離している。
【0075】
なお、積層膜は、無機材料からなる薄膜に限定されるものではなく、高分子材料からなる薄膜や高分子中に微粒子などを分散した層を積層して構成してもよい。また、これら光学透明層製膜時の下層金属の酸化劣化を防ぐ目的で、成膜する光学透明層の界面に数nm程度のTiなどの薄いバッファー層を設けてもよい。ここで、バッファー層とは、上層製膜時に、自らが酸化することで下層である金属層などの酸化を抑制するための層である。
【0076】
(色調変化の抑制)
この発明の実施形態では、青みや赤みなどの色調を示す指標値を設定し、この指標値を満足するように積層膜を形成することで、色調の変化を抑制している。この例では、色調に対する指標値として、青み指標および赤み指標を設定している。
【0077】
青み指標は、透過光が青みを帯びて見えるか否かを判断するための指標値である。青み指標値は、波長が620nm〜750nmの範囲における光源スペクトルと反射率と視感度とをそれぞれ乗じたものを積分した値を、光源スペクトルと視感度とを乗じたものを積分した値で除することで算出される。
【0078】
青み指標値は、好ましくは0.152未満、より好ましくは0.111未満であるのが望ましい。これは、青み指標値が0以上0.111未満の場合には、青みがほとんど気にならず、0.111以上0.152未満の場合には、外の明るさに依存するが、気にならない程度であるからである。一方、青み指標値が0.152以上0.2未満の場合には、特定の角度方向において、透過光がやや青みを帯びて見える傾向があり、0.2以上の場合には、特定の角度方向において、透過光が濃い青みを帯びて見える傾向がある。
【0079】
赤み指標は、透過光が赤みを帯びて見えるか否かを判断するための指標値である。赤み指標値は、青み指標値と同様に、波長が620nm〜750nmの範囲における光源スペクトルと反射率と視感度とをそれぞれ乗じたものを積分した値を、光源スペクトルと視感度とを乗じたものを積分した値で除することで算出される。
【0080】
赤み指標値は、好ましくは0.258未満、より好ましくは0.175未満であるのが望ましい。これは、赤み指標値が0以上0.175未満の場合には、赤みがほとんど気にならず、0.175以上0.258未満の場合には、外の明るさに依存するが、気にならない程度であるからである。一方、赤み指標値が0.258以上0.3未満の場合には、特定の角度方向において、透過光がやや赤みを帯びて見える傾向があり、0.3以上の場合には、特定の角度方向において、透過光が濃い赤みを帯びて見える傾向がある。
【0081】
(光学フィルムの機能)
図7A、図7Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。ここでは、例として、構造体の形状が傾斜角45°のプリズム形状である場合を例として説明する。図7Aに示すように、この光学フィルム1に入射した太陽光のうち近赤外線L1の一部は、入射した方向と同程度の上空方向に指向反射するのに対して、可視光L2は光学フィルム1を透過する。
【0082】
また、図7Bに示すように、光学フィルム1に入射し、反射層3の反射層面で反射された光は、入射角度に応じた割合で、上空反射する成分LAと、上空反射しない成分LBとに分離する。そして、上空反射しない成分LBは、第2の光学層4と空気との界面で全反射した後、最終的に入射方向とは異なる方向に反射する。
【0083】
光の入射角度をδ、第1の光学層4の屈折率をn、反射層3の反射率をRとすると、全入射成分に対する上空反射成分LAの割合xは以下の式(1)で表される。
x=(sin(45−δ’)+cos(45−δ’)/tan(45+δ’))/(sin(45−δ’)+cos(45−δ’))×R2 ・・・(1)
但し、δ’=sin-1(sinδ/n)
【0084】
上空反射しない成分LBの割合が多くなると、入射光が上空反射する割合が減少する。上空反射の割合を向上させるためには、反射層3の形状、すなわち、第1の光学層4の構造体4cの形状を工夫することが有効である。例えば、上空反射の割合を向上させるためには、構造体4cの形状は、図3Cに示すレンチキュラー形状、または図4に示す非対称な形状とすることが好ましい。このような形状にすることで、入射光と全く同じ方向に光を反射することはできなくても、建築用窓材などの上方向から入射した光を上方向に反射させる割合を多くすることが可能である。図3Cおよび図4に示す二つの形状は、図8Aおよび図8Bに示すように、反射層3による入射光の反射回数が1回で済むため、図7に示すような2回(もしくは3回以上)反射させる形状よりも、最終的な反射成分を多くすることが可能である。例えば、2回反射を利用する場合、反射層3のある波長に対する反射率を80%とすると、上空反射率は理論的には64%となるが、1回反射で済めば上空反射率は80%となる。
【0085】
図9は、柱状の構造体4cの稜線l3と、入射光Lおよび反射光L1との関係を示す。光学フィルム1は、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光Lのうち、特定波長帯の光L1を選択的に(θo、−φ)の方向(0°<θo<90°)に指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光L2を透過することが好ましい。このような関係を満たすことで、特定波長帯の光を上空方向に反射できるからである。但し、θ:入射面S1に対する垂線l1と、入射光Lまたは反射光L1とのなす角である。φ:入射面S1内において柱状の構造体4cの稜線l3と直交する直線とl2と、入射光Lまたは反射光L1を入射面S1に射影した成分とのなす角である。なお、垂線l1を基準にして時計回りに回転した角度θを「+θ」とし、反時計回りに回転した角度θを「−θ」とする。直線l2を基準にして時計回りに回転した角度φを「+φ」とし、反時計回りに回転した角度φを「−φ」とする。
【0086】
[光学フィルムの製造装置]
図10は、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムを製造するための製造装置の一構成例を示す概略図である。図10に示すように、この製造装置は、ラミネートロール41、42、ガイドロール43、塗布装置45、および照射装置46を備える。
【0087】
ラミネートロール41、42は、反射層付き光学層9と、第2の基材5aとをニップ可能に構成されている。ここで、反射層付き光学層9は、第1の光学層4の一主面上に反射層3を成膜したものである。なお、反射層付き光学層9として、第1の光学層4の反射層3が成膜された面と反対側の他主面上に第1の基材4aが形成されていてもよい。この例では、第1の光学層4の一主面上に反射層3が成膜され、他主面上に第1の基材4aが形成された場合が示されている。ガイドロール43は、帯状の光学フィルム1を搬送できるように、この製造装置内の搬送路に配置されている。ラミネートロール41、42およびガイドロール43の材質は特に限定されるものではなく、所望とするロール特性に応じてステンレスなどの金属、ゴム、シリコーンなどを適宜選択して用いることができる。
【0088】
塗布装置45は、例えば、コーターなどの塗布手段を備える装置を用いることができる。コーターとしては、例えば、塗布する樹脂組成物の物性などを考慮して、グラビア、ワイヤバー、およびダイなどのコーターを適宜使用することができる。照射装置46は、例えば、電子線、紫外線、可視光線、またはガンマ線などの電離線を照射する照射装置である。この例では、照射装置46として紫外線を照射するUVランプを用いた場合が図示されている。
【0089】
[光学フィルムの製造方法]
以下、図10〜図13を参照して、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例について説明する。なお、以下に示す製造プロセスの一部または全部は、生産性を考慮して、図10に示すようなロール・ツー・ロールにより行われることが好ましい。但し、金型の作製工程は除くものとする。
【0090】
まず、図11Aに示すように、例えばバイト加工またはレーザー加工などにより、構造体4cと同一の凹凸形状の金型、またはその金型の反転形状を有する金型(レプリカ)を形成する。次に、図11Bに示すように、例えば溶融押し出し法または転写法などを用いて、上記金型の凹凸形状をフィルム状の樹脂材料に転写する。転写法としては、型にエネルギー線硬化型樹脂を流し込み、エネルギー線を照射して硬化させる方法、樹脂に熱や圧力を加え、形状を転写する方法、または樹脂フィルムをロールから供給し、熱を加えながら型の形状を転写する方法(ラミネート転写法)などが挙げられる。これにより、図11Cに示すように、一主面に構造体4cを有する第1の光学層4が形成される。
【0091】
また、図11Cに示すように、第1の基材4a上に、第1の光学層4を形成するようにしてもよい。この場合には、例えば、フィルム状の第1の基材4aをロールから供給し、該基材上にエネルギー線硬化型樹脂を塗布した後に型に押し当て、型の形状を転写し、エネルギー線を照射して樹脂を硬化させる方法が用いられる。なお、樹脂は、架橋剤をさらに含んでいることが好ましい。室温での貯蔵弾性率を大きく変化させることなく、樹脂を耐熱化することができるからである。
【0092】
次に、図12Aに示すように、その第1の光学層4の一主面上に反射層3を成膜する。反射層3の成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、ウェットコーティング法、スプレーコーティング法などが挙げられ、これらの成膜方法から、構造体4cの形状などに応じて適宜選択することが好ましい。次に、図12Bに示すように、必要に応じて、反射層3に対してアニール処理31を施す。アニール処理の温度は、例えば100℃以上250℃以下の範囲内である。
【0093】
次に、図12Cに示すように、未硬化状態の樹脂22を反射層3上に塗布する。樹脂22としては、例えば、エネルギー線硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂などを用いることができる。エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線硬化樹脂が好ましい。次に、図13Aのように、樹脂22上に第2の基材5aを被せることにより、積層体を形成する。次に、図13Bに示すように、例えばエネルギー線32または加熱32により樹脂22を硬化させるとともに、積層体に対して圧力33を加える。エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。積算照射量は、樹脂の硬化特性、樹脂や基材11の黄変抑制などを考慮して適宜選択することが好ましい。積層体に加える圧力は、0.01MPa以上1MPa以下の範囲内であることが好ましい。0.01MPa未満であると、フィルムの走行性に問題が生じる。一方、1MPaを超えると、ニップロールとして金属ロールを用いる必要があり、圧力ムラが生じ易く好ましくない。以上により、図13Cに示すように、反射層3上に第2の光学層5が形成され、光学フィルム1が得られる。
【0094】
ここで、図10に示す製造装置を用いて、光学フィルム1の形成方法について具体的に説明する。まず、図示しない基材供給ロールから第2の基材5aを送出し、送出された第2の基材5aは、塗布装置45の下を通過する。次に、塗布装置45の下を通過する第2の基材5a状に、塗布装置45により電離線硬化樹脂44を塗布する。次に、電離線硬化樹脂44が塗布された第2の基材5aをラミネートロールに向けて搬送する。一方、図示しない光学層供給ロールから反射層付き光学層9を送出し、ラミネートロール41、42に向けて搬送する。
【0095】
次に、第2の基材5aと反射層付き光学層9との間に気泡が入らないように、搬入された第2の基材5aと反射層付き光学層9とをラミネートロール41、42により挟み合わせ、第2の基材5aに対して反射層付き光学層9をラミネートする。次に、反射層付き光学層9によりラミネートされた第2の基材5aを、ラミネートロール41の外周面に沿わせながら搬送するとともに、照射装置46により第2の基材5a側から電離線硬化樹脂44に電離線を照射し、電離線硬化樹脂44を硬化させる。これにより、第2の基材5aと反射層付き光学層9とが電離線硬化樹脂44を介して貼り合わされ、目的とする長尺の光学フィルム1が作製される。次に、作製された帯状の光学フィルム1を図示しない巻き取りロールにより巻き取る。これにより、帯状の光学フィルム1が巻回された原反が得られる。
【0096】
硬化した第1の光学層4は、上述の第2の光学層形成時のプロセス温度をt℃としたときに、(t−20)℃における貯蔵弾性率が3×107Pa以上であることが好ましい。ここで、プロセス温度tとは、例えば、ラミネートロール41の加熱温度である。第1の光学層4は、例えば、第1の基材4a上に設けられ、第1の基材4aを介してラミネートロール41に沿うように搬送されるため、実際に第1の光学層4にかかる温度は、経験的に(t−20)℃程度であることが分かっている。したがって、第1の光学層4の(t−20)℃における貯蔵弾性率を3×107Pa以上にすることにより、熱、または熱と加圧とにより光学層内部の界面の凹凸形状が変形することを抑制することができる。
【0097】
また、第1の光学層4は、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下であることが好ましい。これにより、室温において可撓性を光学フィルムに付与することができる。したがって、ロール・ツー・ロールなどの製造工程により光学フィルム1を作製することが可能となる。
【0098】
なお、プロセス温度tは、光学層または基材の使用樹脂の耐熱性を考慮すると、200℃以下であることが好ましい。ただし、耐熱性の高い樹脂を用いることにより、プロセス温度tを200℃以上に設定することも可能である。
【0099】
[反射層の膜厚の設定]
上述したように、青みおよび赤みの色調を示す青み指標値および赤み指標値は、反射層3の積層膜における各層の膜厚に応じて変化する。そこで、この発明の実施形態では、青み指標値および赤み指標値をパラメータとして、このパラメータの条件を満足するような積層膜の膜厚に設定する。
【0100】
また、この例では、青み指標および赤み指標に加えて、可視光線透過率および遮蔽係数をパラメータとして、積層膜の膜厚を設定する。可視光線透過率は、光の透過率を示すパラメータであり、好ましくは70%以上である。遮蔽係数は、熱を遮る効率を示すパラメータであり、好ましくは0.6以下である。可視光線透過率および遮蔽係数についても、青み指標および赤み指標と同様に、積層膜の膜厚に応じて変化する。
【0101】
各パラメータの条件を満足するような積層膜における各層の膜厚は、例えばシミュレーションにより算出することができる。例えば、膜厚に対する各パラメータの分布をシミュレーションにより求めることで、各パラメータの条件を満足する膜厚を設定することができる。
【0102】
シミュレーションを行う際には、反射層3の積層膜における各層の膜厚に応じて決定される比率αおよび比率βで規定する。比率αは、総高屈折率層の光学膜厚に対する総金属層の光学膜厚の比率を示す。比率βは、1層目の高屈折率層の光学膜厚に対する3層目の高屈折率層の光学膜厚の比率を示す。なお、光学膜厚は、幾何膜厚に対して屈折率を乗じることによって得られる膜厚を示す。
【0103】
積層膜の1層目および5層目の高屈折率層の光学膜厚をX1、3層目の高屈折率層の光学膜厚をX2とし、2層目および4層目の金属層の光学膜厚をYとした場合、光学膜厚での総膜厚L、比率αおよび比率βは、以下の式(2)〜式(4)で算出される。
L=X1+Y+X2+Y+X1 ・・・(2)
α=2Y/(2X1+X2) ・・・(3)
β=X2/X1 ・・・(4)
【0104】
上述した式(2)〜式(4)に基づき、総膜厚L、比率αおよび比率βを求めることにより、反射層3の積層膜における各層の、各パラメータの条件を満足する膜厚を設定することができる。
【0105】
なお、この発明の実施形態では、図14に示すように、第1の光学層4に形成された構造体4cの傾斜面に対して垂直な方向を、反射層3の積層膜の厚み方向と定義する。第1の光学層4の主面に対する構造体4cの傾斜面の角度をθとした場合、第1の光学層4の主面に対して垂直な方向の膜厚Aと、構造体4cの傾斜面に対して垂直な方向の膜厚Bとの間には、「A=B/cosθ」の関係が成立する。例えば、構造体4cの傾斜面の角度θが54°の場合、「A≒1.7B」となる。
【0106】
各パラメータの条件を満足する膜厚を決定する処理の流れの一例について、図15に示すフローチャートを参照して説明する。先ず、反射層3の積層膜における各層の膜厚を変化させた場合のシミュレーションを行うために、ステップS1〜ステップS5に示す条件を設定する。ステップS1では、積層膜の総膜厚Lを設定する。ステップS2では、積層膜に形成された形状の傾斜角度を設定する。ステップS3では、積層膜における各層の膜厚分布を設定する。ステップS4では、第1の光学層(形状層)および第2の光学層(包埋層)の屈折率を設定する。ステップS5では、比率αおよび比率βを入力する。
【0107】
ステップS6において、ステップS1〜ステップS5で設定された条件に基づきシミュレーションを行い、設定された比率αおよび比率βにおける各パラメータの値をそれぞれ算出する。ステップS7では、設定された比率αおよび比率βにおける可視光線透過率が算出される。ステップS8では、設定された比率αおよび比率βにおける遮蔽係数が算出される。ステップS9では、設定された比率αおよび比率βにおける青み指標が算出される。ステップS10では、設定された比率αおよび比率βにおける赤み指標が算出される。
【0108】
ステップS11において、比率αおよび比率βを変化させることにより各層の膜厚を変化させ、ステップS6〜ステップS10のシミュレーションを繰り返し行い、各パラメータの値をそれぞれ算出する。
【0109】
ステップS12では、ステップS7〜ステップS10で算出された各パラメータの値をα−β平面上にマッピングし、図16A〜図16Dに示すように、比率αおよび比率βに対する各パラメータの分布を示すα−β相関図を作成する。図16Aは、比率αおよび比率βに対する可視光線透過率の分布を示す。図16Bは、比率αおよび比率βに対する遮蔽係数の分布を示す。図16Cは、比率αおよび比率βに対する青み指標の分布を示す。図16Dは、比率αおよび比率βに対する赤み指標の分布を示す。
【0110】
次に、ステップS13において、図16A〜図16Dに示す各パラメータに対するα−β相関図に基づき、各パラメータの条件を満足する領域を抽出する。図16Bにおいて、網掛けで示す領域は、遮蔽係数の条件を満足しない領域を示している。図16Cにおいて、網掛けで示す領域は、青み指標の条件を満足しない領域を示している。図16Dにおいて、網掛けで示す領域は、赤み指標の条件を満足しない領域を示している。
【0111】
このように作成された、図16A〜図16Dに示すα−β相関図をそれぞれ重ね合わせることにより、各パラメータの条件を満足する領域が抽出される。図16Eは、図16A〜図16Dに示すα−β相関図をそれぞれ重ね合わせた状態を示す。図16Eでは、網掛けされた領域以外の領域が抽出される。この領域が各パラメータの条件を全て満足する領域となる。すなわち、各パラメータの条件を満足する領域は、各パラメータの条件を満足する領域と満足しない領域との境界線に囲まれた領域である。
【0112】
ステップS14では、この境界線を数式化する。例えば、境界線上の所定の値を抽出し、この値に基づき各パラメータの条件を満足する領域と満足しない領域との境界線の近似曲線を導出して、境界線を数式化する。これにより、各パラメータの条件を満足する領域を決定することができる。
【0113】
比率αおよび比率βに対する各パラメータの条件を満足する領域について、具体的に説明する。先ず、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合について、反射層3の総膜厚L毎に説明する。
【0114】
(L=80nm)
図17は、総膜厚Lが80nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。図17において、点「●」および点「▲」は、青み指標の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点を示す。また、点「■」は、赤み指標の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点を示す。図17において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。なお、以下の説明で用いられる図18〜図30についても、同様に表記する。
【0115】
α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(5)〜式(7)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0004β2+0.0053β+0.0065 ・・・(5)
α=−1×10-5β2+0.0007β+0.0066 ・・・(6)
α=−1×10-5β2+0.0005β+0.0119 ・・・(7)
【0116】
この場合、式(5)〜式(7)に示す近似曲線と、以下の式(8)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(8)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。これは、金属層の膜厚が5nm以下となると、金属層に用いられる材料の物性値が変化してしまい、シミュレーション値から乖離する可能性が増大してしまうからである。
α=0.012114 ・・・(8)
【0117】
(L=90nm)
図18は、総膜厚Lが90nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図18において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(9)〜式(11)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(9)
α=−3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(10)
α=−2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(11)
【0118】
この場合、式(9)〜式(11)に示す近似曲線と、以下の式(12)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(12)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.010589 ・・・(12)
【0119】
(L=100nm)
図19は、総膜厚Lが100nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図19において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(13)〜式(15)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α=−0.0002β2+0.0045β−0.0067 ・・・(14)
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
【0120】
この場合、式(13)〜式(15)に示す近似曲線と、以下の式(16)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(16)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.009403 ・・・(16)
【0121】
(L=120nm)
図20は、総膜厚Lが120nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図20において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(17)〜式(19)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(17)
α=−0.0014β2+0.0191β−0.0422 ・・・(18)
α=−9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(19)
【0122】
この場合、式(17)〜式(19)に示す近似曲線と、以下の式(20)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(20)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.007709 ・・・(20)
【0123】
(L=140nm)
図21は、総膜厚Lが140nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図21において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(21)〜式(23)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0014β2+0.0136β−0.0027 ・・・(21)
β=10132α2−241.39α+4.747 ・・・(22)
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
【0124】
この場合、式(21)〜式(23)に示す近似曲線と、以下の式(24)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(24)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.006523 ・・・(24)
【0125】
(L=160nm)
図22は、総膜厚Lが160nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図22において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(25)〜式(28)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.005β2+0.0273β−0.0145 ・・・(25)
α=0.0043β2−0.0332β+0.07 ・・・(26)
β=2.875 ・・・(27)
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
【0126】
この場合、式(25)〜式(28)に示す近似曲線と、以下の式(29)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(29)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.005676 ・・・(29)
【0127】
(L=180nm)
図23は、総膜厚Lが180nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図23において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(30)〜式(32)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0103β2+0.047β−0.0322 ・・・(30)
α=0.0093β2−0.0677β+0.1212 ・・・(31)
α=−0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(32)
【0128】
この場合、式(30)〜式(32)に示す近似曲線と、以下の式(33)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(33)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.00498 ・・・(33)
【0129】
次に、上述した可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、遮蔽係数をパラメータとした場合について、反射層3の総膜厚L毎に説明する。
【0130】
(L=80nm)
図24は、総膜厚Lが80nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。図24において、点「×」は、遮蔽係数の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点を示す。図24において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。なお、以下の説明で用いられる図25〜図30についても、同様に表記する。
【0131】
上述の式(5)〜式(7)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(34)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−6×10-6β2+0.0002β+0.0141 ・・・(34)
【0132】
この場合、式(5)〜式(7)、および式(34)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0133】
(L=90nm)
図25は、総膜厚Lが90nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づく場合のα−β相関図である。なお、図25において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(9)〜式(11)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(35)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−1×10-5β2+0.0002β+0.0125 ・・・(35)
【0134】
この場合、式(9)〜式(11)、および式(35)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0135】
(L=100nm)
図26は、総膜厚Lが100nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づく場合のα−β相関図である。なお、図26において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(13)〜式(15)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(36)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−3×10-5β2+0.0004β+0.0113 ・・・(36)
【0136】
この場合、式(13)〜式(15)、および式(36)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0137】
(L=120nm)
図27は、総膜厚Lが120nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。なお、図27において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(17)〜式(19)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(37)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−7×10-5β2+0.0007β+0.0097 ・・・(37)
【0138】
この場合、式(17)〜式(19)、および式(37)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0139】
(L=140nm)
図28は、総膜厚Lが140nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。なお、図28において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(21)〜式(23)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(38)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0001β2+0.0011β+0.0083 ・・・(38)
【0140】
この場合、式(21)〜式(23)、および式(38)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0141】
(L=160nm)
図29は、総膜厚Lが160nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。なお、図29において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(25)〜式(28)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(39)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0002β2+0.0016β+0.0067 ・・・(39)
【0142】
この場合、式(25)〜式(28)、および式(39)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0143】
(L=180nm)
図30は、総膜厚Lが180nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。なお、図30において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(30)〜式(32)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(40)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0003β2+0.0021β+0.0055 ・・・(40)
【0144】
この場合、式(30)〜式(32)、および式(40)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0145】
次に、総膜厚Lが特定の膜厚以外の場合における、各パラメータの条件を満足する領域を決定する方法について説明する。図31は、図17〜図23に示すα−β相関図に基づき決定された各パラメータの条件を満足する領域を、比率α、比率βおよび総膜厚Lを軸とした3次元平面上にマッピングしたものである。この例では、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合における、各パラメータの条件を満足する領域を示す。なお、各Lの値における、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)およびこれらの点の群から導出される近似曲線は、図31に各Lの値についてそれぞれ網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。
【0146】
図31に示すように、各パラメータの条件を満足する領域は、総膜厚Lに対して連続的であると考えられる。そこで、特定の総膜厚L以外の場合には、隣り合う特定の総膜厚Lにおける領域と、隣り合うそれぞれの領域の頂点を互いに結ぶ直線とに内包される領域を、各パラメータの条件を満足する領域とする。
【0147】
先ず、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとし、総膜厚Lを特定の総膜厚Lの間の値に設定した場合について説明する。
【0148】
(80nm≦L≦90nm)
総膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合、図17および図18に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(41)〜式(44)が導出される。
(β-0.5)/0.67 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(41)
(β-5.5)/3.75 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(42)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(43)
(β-0.8)/0.45 = (α-0.01161)/0.0008471 = (90-L)/10 ・・・(44)
【0149】
この場合、図17および図18に示す領域と、式(41)〜式(44)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0150】
(90nm≦L≦100nm)
総膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合、図18および図19に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(45)〜式(48)が導出される。
(0.7-β)/0.2 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(45)
(β-4.4)/1.1 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(46)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(47)
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.00067768 = (100-L)/10 ・・・(48)
【0151】
この場合、図18および図19に示す領域と、式(45)〜式(48)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0152】
(100nm≦L≦120nm)
総膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合、図19および図20に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(49)〜式(52)が導出される。
(β-0.6)/0.1 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(49)
(β-3.6)/0.8 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(50)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(51)
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(52)
【0153】
この場合、図19および図20に示す領域と、式(49)〜式(52)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0154】
(120nm≦L≦140nm)
総膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合、図20および図21に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(53)〜式(56)が導出される。
(0.75-β)/0.15 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(53)
(3.65-β)/0.05 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(54)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(55)
(3.47-β)/2.57 = (α-0.00754)/0,00220246 = (140-L)/20 ・・・(56)
【0155】
この場合、図20および図21に示す領域と、式(53)〜式(56)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0156】
(140nm≦L≦160nm)
総膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合、図21および図22に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(57)〜式(60)が導出される。
(0.9-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(57)
(3.8-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(58)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(59)
(β-1.05)/2.42 = (0.00864-α)/0.00110123 = (160-L)/20 ・・・(60)
【0157】
この場合、図21および図22に示す領域と、式(57)〜式(60)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0158】
(160nm≦L≦180nm)
総膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合、図22および図23に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(61)〜式(64)が導出される。
(1.05-β)/0.15 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(61)
(β-2.75)/1.05 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(62)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(63)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471= (180-L)/20 ・・・(64)
【0159】
この場合、図22および図23に示す領域と、式(61)〜式(64)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0160】
次に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、遮蔽係数をパラメータとし、総膜厚Lを特定の総膜厚Lの間の値に設定した場合について説明する。
【0161】
可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとした場合についても同様に、各パラメータの条件を満足する領域が総膜厚Lに対して連続的であると考えられる。したがって、隣り合う特定の総膜厚Lの値における領域と、隣り合うそれぞれの領域の頂点を互いに結ぶ直線とに内包される領域を、各パラメータの条件を満足する領域とする。
【0162】
(80nm≦L≦90nm)
総膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合、図24および図25に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(65)〜式(69)が導出される。
(β-0.8)/11.6 = (α-0.01161)/0.00398137 = (90-L)/10 ・・・(65)
(β-8.9)/10.4 = (α-0.01398)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(66)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(67)
(β-4.9)/16.1 = (α−0.01347)/0.00237188 = (90-L)/10 ・・・(68)
(β-4.9)/7.5 = (α−0.01347)/0.00211775 = (90-L)/10 ・・・(69)
【0163】
この場合、図24および図25に示す領域と、式(65)〜式(69)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0164】
(90nm≦L≦100nm)
総膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合、図25および図26に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(70)〜式(73)が導出される。
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.0067768 = (100-L)/10 ・・・(70)
(β-5.8)/3.1 = (α-0.01262)/0.00135536 = (100-L)/10 ・・・(71)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(72)
(β-2.8)/2.1 = (α-0.0122)/0.00127065 = (100-L)/10 ・・・(73)
【0165】
この場合、図25および図26に示す領域と、式(70)〜式(73)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0166】
(100nm≦L≦120nm)
総膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合、図26および図27に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(74)〜式(77)が導出される。
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(74)
(β-4)/1.8 = (α-0.01144)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(75)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(76)
(β-1.7)/1.1 = (α-0.01076)/0.00144007 = (120-L)/20 ・・・(77)
【0167】
この場合、図26および図27に示す領域と、式(74)〜式(77)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0168】
(120nm≦L≦140nm)
総膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合、図27および図28に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(78)〜式(81)が導出される。
(1-β)/0.1 = (α-0.00923)/0.00050826 = (140-L)/20 ・・・(78)
(β-3.3)/0.7 = (α-0.01042)/0.00101652 = (140-L)/20 ・・・(79)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(80)
(β-1.1)/0.6 = (α-0.0094)/0.00135536 = (140-L)/20 ・・・(81)
【0169】
この場合、図27および図28に示す領域と、式(78)〜式(81)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0170】
(140nm≦L≦160nm)
総膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合、図28および図29に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(82)〜式(85)が導出される。
(1.05-β)/0.05 = (α-0.00822)/0.00101652 = (160-L)/20 ・・・(82)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.00991)/0.00050826 = (160-L)/20 ・・・(83)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(84)
(β-1.05)/0.05 = (α-0.00864)/0.00076239 = (160-L)/20 ・・・(85)
【0171】
この場合、図28および図29に示す領域と、式(82)〜式(85)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0172】
(160nm≦L≦180nm)
総膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合、図29および図30に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(86)〜式(89)が導出される。
(1.15-β)/0.1 = (α-0.00754)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(86)
(β-2.55)/0.3 = (α-0.00889)/0.00101652 = (180-L)/20 ・・・(87)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(88)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471 = (180-L)/20 ・・・(89)
【0173】
この場合、図29および図30に示す領域と、式(86)〜式(89)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0174】
このように、総膜厚Lを設定し、網掛けで示す領域内の比率αおよび比率βとなるように各層の膜厚を設定することで、各パラメータの条件を満足する積層膜を作製することができる。
【0175】
上述では、特定の総膜厚L以外の場合における各パラメータの条件を満足する領域を、隣り合う特定の総膜厚Lにおける領域と、それぞれの頂点を互いに結ぶ直線とに内包される領域とするようにしているが、これはこの例に限られない。例えば、総膜厚Lが特定の値以外である場合における各パラメータの条件を満足する領域は、隣り合う特定の総膜厚Lの値における領域同士が重なり合う領域としてもよい。
【0176】
先ず、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合について説明する。図32Aは、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングしたものである。この例では、総膜厚Lが160nmおよび180nmの場合の領域を示す。
【0177】
図32Aに示すように、隣り合う特定の総膜厚Lにおける領域を同一平面上にマッピングすることにより、2つの領域が重なる領域が形成される。このとき、重なる領域を各パラメータの条件を満足する領域とすることができる。互いに重なる領域は、それぞれの領域を形成する近似曲線に基づき決定することができる。
【0178】
(80nm<L<90nm)
総膜厚Lが80nmを超え90nm未満である場合、図17および図18に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(8)、式(10)および式(11)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=0.012114 ・・・(8)
α=−3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(10)
α=−2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(11)
【0179】
(90nm<L<100nm)
総膜厚Lが90nmを超え100nm未満である場合、図18および図19に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(11)〜式(15)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(11)
α=0.010589 ・・・(12)
α=−0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α=−0.0002β2+0.0045β−0.0067 ・・・(14)
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
【0180】
(100nm<L<120nm)
総膜厚Lが100nmを超え120nm未満である場合、図19および図20に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(15)〜式(19)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α=0.009403 ・・・(16)
α=−0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(17)
α=−0.0014β2+0.0191β−0.0422 ・・・(18)
α=−9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(19)
【0181】
(120nm<L<140nm)
総膜厚Lが120nmを超え140nm未満である場合、図20および図21に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(20)〜式(23)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=0.007709 ・・・(20)
α=−0.0014β2+0.0136β−0.0027 ・・・(21)
β=10132α2−241.39α+4.747 ・・・(22)
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
【0182】
(140nm<L<160nm)
総膜厚Lが140nmを超え160nm未満である場合、図21および図22に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(23)〜式(28)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
α=0.006523 ・・・(24)
α=−0.005β2+0.0273β−0.0145 ・・・(25)
α=0.0043β2−0.0332β+0.07 ・・・(26)
β=2.875 ・・・(27)
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
【0183】
(160nm<L<180nm)
総膜厚Lが160nmを超え180nm未満である場合、図22および図23に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(28)〜式(32)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
α=0.005676 ・・・(29)
α=−0.0103β2+0.047β−0.0322 ・・・(30)
α=0.0093β2−0.0677β+0.1212 ・・・(31)
α=−0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(32)
【0184】
次に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、遮蔽係数をパラメータとした場合について説明する。図32Bは、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングしたものである。この例では、総膜厚Lが160nmおよび180nmの場合の領域を示す。
【0185】
図32Bに示すように、隣り合う特定の総膜厚Lにおける領域を同一平面上にマッピングすることにより、2つの領域が重なる領域が形成される。このとき、重なる領域を各パラメータの条件を満足する領域とすることができる。互いに重なる領域は、それぞれの領域を形成する近似曲線に基づき決定することができる。
【0186】
なお、総膜厚Lが80nmを超え90nm未満である場合には、図24および図25に示す各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングしても、互いに重なる領域が存在しないため、この方法による各パラメータの条件を満足する領域の決定を行うことができない。
【0187】
(90nm<L<100nm)
総膜厚Lが90nmを超え100nm未満である場合、図25および図26に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(11)、式(14)、式(15)および式(35)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(11)
α=−0.0002β2+0.0045β−0.0067 ・・・(14)
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α=−1×10-5β2+0.0002β+0.0125 ・・・(35)
【0188】
(100nm<L<120nm)
総膜厚Lが100nmを超え120nm未満である場合、図26および図27に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(15)、式(18)、式(19)および式(36)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α=−0.0014β2+0.0191β−0.0422 ・・・(18)
α=−9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(19)
α=−3×10-5β2+0.0004β+0.0113 ・・・(36)
【0189】
(120nm<L<140nm)
総膜厚Lが120nmを超え140nm未満である場合、図27および図28に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(19)、式(22)、式(23)および式(37)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(19)
β=10132α2−241.39α+4.747 ・・・(22)
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
α=−7×10-5β2+0.0007β+0.0097 ・・・(37)
【0190】
(140nm<L<160nm)
総膜厚Lが140nmを超え160nm未満である場合、図28および図29に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(23)、式(26)、式(28)および式(38)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
α=0.0043β2−0.0332β+0.07 ・・・(26)
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
β=2.875 ・・・(32)
α=−0.0001β2+0.0011β+0.0083 ・・・(38)
【0191】
(160nm<L<180nm)
総膜厚Lが160nmを超え180nm未満である場合、図29および図30に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(28)、式(30)、式(32)、式(39)および式(40)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
α=−0.0103β2+0.047β−0.0322 ・・・(30)
α=−0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(32)
α=−0.0002β2+0.0016β+0.0067 ・・・(39)
α=−0.0003β2+0.0021β+0.0055 ・・・(40)
【0192】
第1の実施形態によれば、反射層3の各層の膜厚に応じて決定される比率αおよび比率βに対する各パラメータの条件を満足する領域を決定し、比率αおよび比率βがこの領域内に含まれるように反射膜3の膜厚を設定することにより、色調変化を抑制することができる。
【0193】
<変形例>
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
【0194】
[第1の変形例]
図33Aは、本発明の第1の実施形態の第1の変形例を示す断面図である。図33Aに示すように、この第1の変形例に係る光学フィルム1は、凹凸形状の入射面S1を有している。この入射面S1の凹凸形状と、第1の光学層4の凹凸形状とは、例えば、両者の凹凸形状が対応するように形成されており、凸部の頂部と凹部の最下部との位置が一致している。入射面S1の凹凸形状は、第1の光学層4の凹凸形状よりもなだらかであることが好ましい。
【0195】
[第2の変形例]
図33Bは、本発明の第1の実施形態の第2の変形例を示す断面図である。図33Bに示すように、この第2の変形例に係る光学フィルム1では、反射層3が形成された第1の光学層4の凹凸面のうちの凸形状頂部の位置が、第1の光学層4の入射面S1とほぼ同一の高さとなるように形成されている。
【0196】
<2.第2の実施形態>
図34〜図37は、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムの構造体の構成例を示す。第2の実施形態において、第1の実施形態と対応する箇所には同一の符号を付す。第2の実施形態は、第1の光学層4の一主面に、構造体4cが2次元配列されている点において、第1の実施形態とは異なっている。2次元配列は、最稠密充填状態での2次元配列であることが好ましい。指向反射率を向上することができるからである。
【0197】
図34A〜図34Bに示すように、第1の光学層4の一主面には、例えば、柱状の構造体(柱状体)4cを直交配列することにより形成されている。具体的には、第1の方向に向かって配列された第1の構造体4cと、上記第1の方向とは直交する第2の方向に向かって配列された第2の構造体4cとが、互いの側面を貫通するように配列されている。柱状の構造体4cは、例えば、プリズム形状(図34A)、レンチキュラー形状(図34B)などの柱状、またはこれらの柱状の頂部を多角形状(例えば五角形状)とした形状(図34C)を有する凸部または凹部である。
【0198】
また、第1の光学層4の一主面に、例えば、球面状やコーナーキューブ状などの形状を有する構造体4cを最稠密充填状態で2次元配列することにより、正方稠密アレイ、デルタ稠密アレイ、六方稠密アレイなどの稠密アレイを形成するようにしてもよい。正方稠密アレイは、例えば図35A〜図35Cに示すように、四角形状(例えば正方形状)の底面を有する構造体4cを正方稠密状、すなわちマトリックス状(格子状)に配列させたものである。六方稠密アレイは、例えば図36A〜図36Cに示すように、六方形状の底面を有する構造体4cを六方稠密状に配列させたものである。デルタ稠密アレイは、例えば図37A〜図37Bに示すように、三角形状の底面を有する構造体4c(例えば三角錐)を最稠密充填状態で配列させたものである。
【0199】
構造体4cは、例えば、コーナーキューブ状、半球状、半楕円球状、プリズム状、シリンドリカル形状、自由曲面状、多角形状、円錐形状、多角錐状、円錐台形状、放物面状などの凸部または凹部である。構造体4cの底面は、例えば、円形状、楕円形状、または三角形状、四角形状、六角形状もしくは八角形状などの多角形状を有している。また、構造体4cのピッチP1、P2は、所望とする光学特性に応じて適宜選択することが好ましい。また、光学フィルム1の入射面に対して垂直な垂線に対して、構造体4cの主軸を傾ける場合、構造体4cの2次元配列のうちの少なくとも一方の配列方向に構造体4cの主軸を傾けるようにすることが好ましい。地面に対して略垂直に配置された窓材に光学フィルム1を貼る場合には、構造体4cの主軸が、垂線を基準にして窓材の下方(地面側)に傾いていることが好ましい。
【0200】
構造体4cがコーナーキューブ形状の場合、稜線Rが大きい場合は、上空に向けて傾けた方が良く、下方反射を抑制するという目的においては、地面側に向けて傾いている方が好ましい。太陽光線は、フィルムに対して斜めから入射するため、構造の奥まで光が入射しにくく、入射側の形状が重要となる。すなわち、稜線部分のRが大きい場合は、再帰反射光が減少してしまうため、上空に向けて傾けることでこの現象を抑制することができる。また、コーナーキューブ体では、反射面で3回反射することで再帰反射を実現するが、一部の光が2回反射により再帰反射以外の方向に漏れる。コーナーキューブを地面側に向けて傾けることで、この漏れ光を上空方向に多く戻すことができる。このように、形状や目的に応じてどちらの方向に傾けても良い。
【0201】
<3.第3の実施形態>
図38Aは、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。第3の実施形態は、光の入射面に対して傾斜した複数の反射層3を光学層2内に備え、これらの反射層3を互いに平行に配列している点において、第1の実施形態とは異なっている。
【0202】
図38Bは、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの構造体の一構成例を示す斜視図である。構造体4cは、一方向に延在された三角柱状の凸部であり、この柱状の構造体4cが一方向に向かって一次元配列されている。構造体4cの延在方向に垂直な断面は、例えば、直角三角形状を有する。構造体4cの鋭角側の傾斜面上に、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの、指向性を有する薄膜形成法により、反射層3が形成される。
【0203】
第3の実施形態によれば、複数の反射層3を光学層5内に平行に配列している。これにより、反射層3による反射回数を、コーナーキューブ形状やプリズム形状の構造体4cを形成した場合に比べて低減することができる。したがって、反射率を高くすることができ、かつ、反射層3による光の吸収を低減できる。
【0204】
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態は、特定波長の光を指向反射するのに対して、特定波長以外の光を散乱させる点において、第1の実施形態とは異なっている。光学フィルム1は、入射光を散乱する光散乱体を備えている。この散乱体は、例えば、光学層2の表面、光学層2の内部、および反射層3と光学層2との間のうち、少なくとも1箇所に設けられている。光散乱体は、好ましくは、反射層3と第1の光学層4との間、第1の光学層4の内部、および第1の光学層4の表面のうちの少なくとも一箇所に設けられている。光学フィルム1を窓材などの支持体に貼り合わせる場合、室内側および室外側のどちらにも適用可能である。光学フィルム1を室外側に対して貼り合わせる場合、反射層3と窓材などの支持体との間にのみ、特定波長以外の光を散乱させる光散乱体を設けることが好ましい。反射層3と入射面との間に光散乱体が存在すると、指向反射特性が失われてしまうからである。また、室内側に光学フィルム1を貼り合せる場合には、その貼り合わせ面とは反対側の出射面と、反射層3との間に光散乱体を設けることが好ましい。
【0205】
図39Aは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルム1の第1の構成例を示す断面図である。図39Aに示すように、第1の光学層4は、樹脂と微粒子11とを含んでいる。微粒子11は、第1の光学層4の主構成材料である樹脂とは異なる屈折率を有している。微粒子11としては、例えば有機微粒子および無機微粒子の少なくとも1種を用いることができる。また、微粒子11としては、中空微粒子を用いてもよい。微粒子11としては、例えば、シリカ、アルミナなどの無機微粒子、またはスチレン、アクリルやそれらの共重合体などの有機微粒子が挙げられるが、シリカ微粒子が特に好ましい。
【0206】
図39Bは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルム1の第2の構成例を示す断面図である。図39Bに示すように、光学フィルム1は、第1の光学層4の表面に光拡散層12をさらに備えている。光拡散層12は、例えば、樹脂と微粒子とを含んでいる。微粒子としては、第1の例と同様のものを用いることができる。
【0207】
図39Cは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルム1の第3の構成例を示す断面図である。図39Cに示すように、光学フィルム1は、反射層3と第1の光学層4との間に光拡散層12をさらに備えている。光拡散層12は、例えば、樹脂と微粒子とを含んでいる。微粒子としては、第1の例と同様のものを用いることができる。
【0208】
第4の実施形態によれば、赤外線などの特定波長帯の光を指向反射し、可視光などの特定波長対以外の光を散乱させることができる。したがって、光学フィルム1を曇らせて、光学フィルム1に対して意匠性を付与することができる。
【0209】
<5.第5の実施形態>
図40Aは、本発明の第5の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。第5の実施形態において、第1の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。図40Aに示すように、第5の実施形態に係る光学フィルム1は、光学層2aの凹凸面が樹脂材料などにより包埋されてはおらず、光学層2aの凹凸面上に形成された反射層3が露出している点において、第1の実施形態とは異なっている。光学フィルム1は、太陽光などの光が入射する凹凸形状の入射面S1と、この入射面S1より入射した光のうち、光学フィルム1を透過した光が出射される出射面S2とを有する。
【0210】
光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2aの出射面S2に基材2bをさらに備えるようにしてもよい。また、光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2aの出射面S2上、または基材2b上に、貼合層6、および剥離層7を備えるようにしてもよい。光学層2a、基材2bとしては、上述の第1の実施形態における第1の光学層4、基材4aと同様のものを用いることができる。
【0211】
図40Bは、本発明の第5の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。図40Bに示すように、光学フィルム1の入射面S2が、例えば、貼合層6を介して被着体10aに対して貼り合わされる。被着体10aとしては、窓材、ブラインド、ロールスクリーン、プリーツスクリーンなどが好ましい。
【0212】
第5の実施形態によれば、反射層3が形成された光学層2aの凹凸面を入射面S1としているので、入射する光の一部は入射面S1により散乱されるのに対して、散乱されなかった光の一部が光学フィルム1を透過する。したがって、入射光により光の明るさを感じることはできるが、不透明であるという光学フィルム1を得ることができる。このような特性を有するため光学フィルム1は、プライバシーが要求される内装部材、外装部材、および日射遮蔽部材など、より具体的には窓材、ブラインド、ロールスクリーン、およびプリーツスクリーンなどに適用して好適である。
【0213】
<6.第6の実施形態>
図41は、本発明の第6の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。第6の実施形態は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、被着体に貼り合わされる面とは反対側の露出面上に、洗浄効果を発現する自己洗浄効果層51をさらに備えている点において、第1の実施形態とは異なっている。自己洗浄効果層51は、例えば、光触媒を含んでいる。光触媒としては、例えば、TiO2を用いることができる。
【0214】
上述したように、光学フィルム1は入射光を半透過する点に特徴を有している。光学フィルム1を屋外や汚れの多い部屋などで使用する際には、表面に付着した汚れにより光が散乱され透過性および反射性が失われてしまうため、表面が常に光学的に透明であることが好ましい。そのため、表面が撥水性や親水性などに優れ、表面が自動的に洗浄効果を発現することが好ましい。
【0215】
第6の実施形態によれば、光学フィルム1が自己洗浄効果層51を備えているので、撥水性や親水性などを入射面に付与することができる。したがって、入射面に対する汚れなどの付着を抑制し、指向反射特性の低減を抑制できる。
【0216】
<7.第7の実施形態>
上述の第1の実施形態では、本発明を窓材などに適用する場合を例として説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、窓材以外の内装部材や外装部材などに適用することが可能である。また、本発明は壁や屋根などのように固定された不動の内装部材および外装部材のみならず、季節や時間変動などに起因する太陽光の光量変化に応じて、太陽光の透過量および/または反射量を内装部材または外装部材を動かして調整し、屋内などの空間に取り入れ可能な装置にも適用可能である。第7の実施形態では、このような装置の一例として、複数の日射遮蔽部材からなる日射遮蔽部材群の角度を変更することにより、日射遮蔽部材群による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置(ブラインド装置)について説明する。
【0217】
図42は、本発明の第7の実施形態に係るブラインド装置の一構成例を示す斜視図である。図42に示すように、日射遮蔽装置であるブラインド装置は、ヘッドボックス203と、複数のスラット(羽)202aからなるスラット群(日射遮蔽部材群)202と、ボトムレール204とを備える。ヘッドボックス203は、複数のスラット202aからなるスラット群202の上方に設けられている。ヘッドボックス203からラダーコード206、および昇降コード205が下方に向かって延びており、これらのコードの下端にボトムレール204が吊り下げられている。日射遮蔽部材であるスラット202aは、例えば、細長い矩形状を有し、ヘッドボックス203から下方に延びるラダーコード206により所定間隔で吊り下げ支持されている。また、ヘッドボックス203には、複数のスラット202aからなるスラット群202の角度を調整するためのロッドなどの操作手段(図示省略)が設けられている。
【0218】
ヘッドボックス203は、ロッドなどの操作手段の操作により応じて、複数のスラット202aからなるスラット群202を回転駆動することにより、室内などの空間に取り込まれる光量を調整する駆動手段である。また、ヘッドボックス203は、昇降操作コード207などの操作手段の適宜操作に応じて、スラット群202を昇降する駆動手段(昇降手段)としての機能も有している。
【0219】
図43Aは、スラットの第1の構成例を示す断面図である。図43Aに示すように、スラット202は、基材211と、光学フィルム1とを備える。光学フィルム1は、基材211の両主面のうち、スラット群202を閉じた状態において外光が入射する入射面側(例えば窓材に対向する面側)に設けることが好ましい。光学フィルム1と基材211とは、例えば、接着層または粘着層などの貼合層により貼り合される。
【0220】
基材211の形状としては、例えば、シート状、フィルム状、および板状などを挙げることができる。基材211の材料としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空間に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来ロールスクリーンとして公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第6の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0221】
図43Bは、スラットの第2の構成例を示す断面図である。図43Bに示すように、第2の構成例は、光学フィルム1をスラット202aとして用いるものである。光学フィルム1は、ラダーコード205により支持可能であるとともに、支持した状態において形状を維持できる程度の剛性を有していることが好ましい。
【0222】
<8.第8の実施形態>
第8の実施形態では、日射遮蔽部材を巻き取る、または巻き出すことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置の一例であるロールスクリーン装置について説明する。
【0223】
図44Aは、本発明の第8の実施形態に係るロールスクリーン装置の一構成例を示す斜視図である。図44Aに示すように、日射遮蔽装置であるロールスクリーン装置301は、スクリーン302と、ヘッドボックス303と、芯材304とを備える。ヘッドボックス303は、チェーン205などの操作部を操作することにより、スクリーン302を昇降可能に構成されている。ヘッドボックス303は、その内部にスクリーンを巻き取り、および巻き出すための巻軸を有し、この巻軸に対してスクリーン302の一端が結合されている。また、スクリーン302の他端には芯材304が結合されている。スクリーン302は可撓性を有し、その形状は特に限定されるものではなく、ロールスクリーン装置301を適用する窓材などの形状に応じて選択することが好ましく、例えば矩形状に選ばれる。
【0224】
図44Bは、スクリーン302の一構成例を示す断面図である。図44Bに示すように、スクリーン302は、基材311と、光学フィルム1とを備え、可撓性を有していることが好ましい。光学フィルム1は、基材211の両主面のうち、外光を入射させる入射面側(窓材に対向する面側)に設けることが好ましい。光学フィルム1と基材311とは、例えば、接着層または粘着層などの貼合層により貼り合される。なお、スクリーン302の構成はこの例に限定されるものではなく、光学フィルム1をスクリーン302として用いるようにしてもよい。
【0225】
基材311の形状としては、例えば、例えば、シート状、フィルム状、および板状などを挙げることができる。基材311としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空間に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来ロールスクリーンとして公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第6の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0226】
<9.第9の実施形態>
第9の実施形態では、指向反射性能を有する光学体に採光部を備える建具(内装部材または外装部材)に対して本発明を適用した例について説明する。
【0227】
図45Aは、本発明の第9の実施形態に係る建具の一構成例を示す斜視図である。図45Aに示すように、建具401は、その採光部404に光学体402を備える構成を有している。具体的には、建具401は、光学体402と、光学体402の周縁部に設けられる枠材403とを備える。光学体402は枠材403により固定され、必要に応じて枠材403を分解して光学体402を取り外すことが可能である。建具401としては、例えば障子を挙げることができるが、本発明はこの例に限定されるものではなく、採光部を有する種々の建具に適用可能である。
【0228】
図45Bは、光学体の一構成例を示す断面図である。図44に示すように、光学体402は、基材411と、光学フィルム1とを備える。光学フィルム1は、基材411の両主面のうち、外光を入射させる入射面側(窓材に対向する面側)に設けられる。光学フィルム1と基材311とは、接着層または粘着層などの貼合層などにより貼り合される。なお、障子402の構成はこの例に限定されるものではなく、光学フィルム1を光学体402として用いるようにしてもよい。
【0229】
基材411は、例えば、可撓性を有するシート、フィルム、または基板である。基材411としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空欄に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来建具の光学体として公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第6の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0230】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0231】
以下の実施例では、反射層3の積層膜における各層の膜厚を変化させた場合の積層膜の光学特性をシミュレーションにより求めた。シミュレーションは、ORA(Optical Research Associates)社の光学シミュレーションソフト(Light Tools)を用い、下記のサンプル1−1〜サンプル7−5に示す積層膜に対して行い、比率αおよび比率βを変化させた場合の可視光線透過率、遮蔽係数、青み指標および赤み指標の値を求めた。
【0232】
(サンプル1−1)
まず、高屈折率層および金属層を積層し、5層構造とした積層膜を想定した。この積層膜の構成の詳細を以下に示す。
層構成:高屈折率層/金属層/高屈折率層/金属層/高屈折率層
総膜厚L:90nm
高屈折率層:
材料:GAZO
屈折率:1.936
1層目および5層目の幾何膜厚:6.73nm
3層目の膜厚:56.53nm
金属層:
材料:AgNdCu
屈折率:0.164
2層目および4層目の幾何膜厚:5.0nm
比率α:0.0121
比率β:8.4
【0233】
(サンプル1−2)
比率α:0.0138、比率β:12.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0234】
(サンプル1−3)
比率α:0.0138、比率β:17.9となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0235】
(サンプル1−4)
比率α:0.0155、比率β:17.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0236】
(サンプル1−5)
比率α:0.0172、比率β:14.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0237】
(サンプル2−1)
積層膜の総膜厚L:90nmとするとともに、比率α:0.0106、比率β:4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0238】
(サンプル2−2)
比率α:0.0123、比率β:10.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル2−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0239】
(サンプル2−3)
比率α:0.014、比率β:7.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル2−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0240】
(サンプル2−4)
比率α:0.0157、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル2−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0241】
(サンプル2−5)
比率α:0.0157、比率β:9となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル2−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0242】
(サンプル3−1)
積層膜の総膜厚L:100nmとするとともに、比率α:0.0095、比率β:4.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0243】
(サンプル3−2)
比率α:0.0122、比率β:6.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル3−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0244】
(サンプル3−3)
比率α:0.0129、比率β:4.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル3−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0245】
(サンプル3−4)
比率α:0.0129、比率β:7.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプ3−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0246】
(サンプル3−5)
比率α:0.0146、比率β:4.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル3−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0247】
(サンプル4−1)
積層膜の総膜厚L:120nmとするとともに、比率α:0.0094、比率β:3となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
(サンプル4−2)
比率α:0.0111、比率β:4.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル4−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0248】
(サンプル4−3)
比率α:0.0128、比率β:4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル4−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0249】
(サンプル4−4)
比率α:0.0128、比率β:5.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル4−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0250】
(サンプル4−5)
比率α:0.0145、比率β:3となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル4−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0251】
(サンプル5−1)
積層膜の総膜厚L:140nmとするとともに、比率α:0.0065、比率β:2.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0252】
(サンプル5−2)
比率α:0.0082、比率β:3.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル5−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0253】
(サンプル5−3)
比率α:0.0099、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル5−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0254】
(サンプル5−4)
比率α:0.0099、比率β:4.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル5−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0255】
(サンプル5−5)
比率α:0.0116、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル5−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0256】
(サンプル6−1)
積層膜の総膜厚L:160nmとするとともに、比率α:0.0057、比率β:2.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0257】
(サンプル6−2)
比率α:0.0074、比率β:3.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル6−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0258】
(サンプル6−3)
比率α:0.0091、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル6−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0259】
(サンプル6−4)
比率α:0.0108、比率β:1.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル6−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0260】
(サンプル6−5)
比率α:0.0125、比率β:3.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル6−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0261】
(サンプル7−1)
積層膜の総膜厚L:180nmとするとともに、比率α:0.005、比率β:1.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0262】
(サンプル7−2)
比率α:0.0067、比率β:3.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル7−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0263】
(サンプル7−3)
比率α:0.0101、比率β:2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル7−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0264】
(サンプル7−4)
比率α:0.0118、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル7−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0265】
(サンプル7−5)
比率α:0.0135、比率β:2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル7−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0266】
[シミュレーション結果]
サンプル1−1〜サンプル7−5に示す積層膜に対するシミュレーションの結果を表1に示す。
【0267】
【表1】
【0268】
表1から以下のことがわかる。
【0269】
(L=80nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル1−1、サンプル1−2およびサンプル1−4は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図17に示す領域内となる。サンプル1−3は、青み指標が条件を満足しないため、図17に示す領域外となる。サンプル1−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図17に示す領域外となる。
【0270】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル1−4は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図24に示す領域内となる。サンプル1−1およびサンプル1−2は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図24に示す領域外となる。
【0271】
(L=90nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル2−1およびサンプル2−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図18に示す領域内となる。サンプル2−2は、青み指標が条件を満足しないため、図18に示す領域外となる。サンプル2−4は、可視光線透過率、青み指標および赤み指標が条件を満足しないため、図18に示す領域外となる。サンプル2−5は、赤み指標が条件を満足しないため、図18に示す領域外となる。
【0272】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル2−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図25に示す領域内となる。サンプル2−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図25に示す領域外となる。
【0273】
(L=100nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル3−1およびサンプル3−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図19に示す領域内となる。サンプル3−2およびサンプル3−4は、青み指標が条件を満足しないため、図19に示す領域外となる。サンプル3−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図19に示す領域外となる。
【0274】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル3−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図26に示す領域内となる。サンプル3−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図26に示す領域外となる。
【0275】
(L=120nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル4−1およびサンプル4−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図20に示す領域内となる。サンプル4−2およびサンプル4−4は、青み指標が条件を満足しないため、図20に示す領域外となる。サンプル4−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図20に示す領域外となる。
【0276】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル4−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図27に示す領域内となる。サンプル4−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図27に示す領域外となる。
【0277】
(L=140nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル5−1およびサンプル5−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図21に示す領域内となる。サンプル5−2およびサンプル5−4は、青み指標が条件を満足しないため、図21に示す領域外となる。サンプル5−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図21に示す領域外となる。
【0278】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル5−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図28に示す領域内となる。サンプル5−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図28に示す領域外となる。
【0279】
(L=160nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル6−1およびサンプル6−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図22に示す領域内となる。サンプル6−2およびサンプル6−5は、青み指標が条件を満足しないため、図22に示す領域外となる。サンプル6−4は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図22に示す領域外となる。
【0280】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル6−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図29に示す領域内となる。サンプル6−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図29に示す領域外となる。
【0281】
(L=180nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル7−1およびサンプル7−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図23に示す領域内となる。サンプル7−2は、青み指標が条件を満足しないため、図23に示す領域外となる。サンプル7−4およびサンプル7−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図23に示す領域外となる。
【0282】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル7−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図30に示す領域内となる。サンプル7−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図30に示す領域外となる。
【0283】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0284】
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0285】
また、上述の実施形態の各構成は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0286】
また、上述の実施形態では、ブランインド装置、およびロールスクリーン装置の駆動方式が手動式である場合を例として説明したが、ブランインド装置、およびロールスクリーン装置の駆動方式を電動式としてもよい。
【0287】
また、上述の実施形態では、光学フィルムを窓材などの被着体に貼り合わせる構成を例として説明したが、窓材などの被着体を光学フィルムの第1の光学層、または第2の光学層自体とする構成を採用するようにしてもよい。これにより、窓材などの光学体に予め指向反射の機能を付与することができる。
【0288】
また、上述の実施形態では、光学体が光学フィルムである場合を例として説明したが、光学体の形状はフィルム状に限定されるものではなく、プレート状、ブロック状などでもよい。
【0289】
上述の実施形態では、本発明を窓材、建具、ブラインド装置のスラット、およびロールスクリーン装置のスクリーンなどの内装部材または外装部材に適用した場合を例として説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、上記以外の内装部材および外装部材にも適用可能である。
【0290】
本発明に係る光学体が適用される内装部材または外装部材としては、例えば、光学体自体により構成された内装部材または外装部材、指向反射体が貼り合わされた透明基材などにより構成された内装部材または外装部材などが挙げられる。このような内装部材または外装部材を室内の窓付近に設置することで、例えば、赤外線だけを屋外に指向反射し、可視光線を室内に取り入れることができる。したがって、内装部材または外装部材を設置した場合にも、室内照明の必要性が低減される。また、内装部材または外装部材による室内側への散乱反射も殆どないため、周囲の温度上昇も抑えることができる。また、視認性制御や強度向上など必要な目的に応じ、透明基材以外の貼り合わせ部材に適用することも可能である。
【0291】
また、上述の実施形態では、ブラインド装置、およびロールスクリーン装置に対して本発明を適用した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、室内または屋内に設置される種々の日射遮蔽装置に適用可能である。
【0292】
また、上述の実施形態では、日射遮蔽部材を巻き取る、または巻き出すことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置(例えばロールスクリーン装置)に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、日射遮蔽部材を折り畳むことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置に対しても本発明は適用可能である。このような日射遮蔽装置としては、例えば、日射遮蔽部材であるスクリーンを蛇腹状に折り畳むことで、入射光線の遮蔽量を調整するプリーツスクリーン装置を挙げることができる。
【0293】
また、上述の実施形態では、本発明を横型ブラインド装置(ベネシアンブラインド装置)に対して適用した例について説明したが、縦型ブラインド装置(バーチカルブラインド装置)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0294】
1 光学フィルム
2 光学層
3 反射層
4 第1の光学層
4a 第1の基材
5 第2の光学層
5a 第2の基材
6 貼合層
7 剥離層
8 ハードコート層
9 反射層付き光学層
S1 入射面
S2 出射面
【技術分野】
【0001】
この発明は、色調変化を抑制できる光学体、窓材、建具および日射遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高層ビル、住居などの建築用ガラスや車窓ガラスに太陽光の一部を吸収、または反射させる層が設けられるケースが増加している。これは地球温暖化防止を目的とした省エネルギー対策のひとつであり、太陽から注がれる光エネルギーが窓から屋内に入り、屋内温度が上昇することによりかかる冷房設備の負荷を軽減することを目的としている。太陽光から注がれる光エネルギーは、波長380〜780nmの可視領域と780〜2100nmの近赤外領域とが大きな比率を占めている。このうち後者の波長域における窓の透過率は、人間の視認性と無関係であるため、高透明性かつ高熱遮蔽性を有する窓としての性能を左右する重要な要素となる。
【0003】
可視領域の透明性を維持しながら近赤外線を遮蔽する方法としては、近赤外領域に高い反射率を有する光学体を窓ガラスに設ける方法がある。この方法については、反射層として光学多層膜を用いる技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような反射層は平面状のフィルムや窓ガラスに設けられるため、入射した太陽光を正反射させることしかできない。このため、上空から照射されて正反射された光は、屋外の別な建物や地面に到達し、吸収されて熱に変わり周囲の気温を上昇させる。これにより、このような反射層が窓全体に貼られたビルの周辺では、局所的な温度上昇が起こり、都市部ではヒートアイランドが増長されたり、反射光の照射面のみ芝生が生長しないなどの問題が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来は、平板上に多層膜を成膜することで熱線遮断膜の設計が行われていた。この従来の手法による多層膜設計を行った場合、多層膜界面における屈折率や、入射光線の界面に対する入射角が変化することで、設計スペクトルが最適値から逸脱して色調が変化し、青みや赤みを帯びてしまうという問題があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、入射角の変化による色調変化を抑制することができる光学体、窓材、建具および日射遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、第1の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(1)〜式(4)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(5)〜式(8)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(9)〜式(12)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0004β2+0.0053β+0.0065 ・・・(1)
α = -1×10-5β2+0.0007β+0.0066 ・・・(2)
α = -1×10-5β2+0.0005β+0.0119 ・・・(3)
α = 0.012114 ・・・(4)
α = -0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(5)
α = -3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(6)
α = -2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(7)
α = 0.010589 ・・・(8)
(β-0.5)/0.67 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(9)
(β-5.5)/3.75 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(10)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(11)
(β-0.8)/0.45 = (α-0.01161)/0.0008471 = (90-L)/10 ・・・(12)
【0008】
第2の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(5)〜式(8)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(13)〜式(16)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(17)〜式(20)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(5)
α = -3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(6)
α = -2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(7)
α = 0.010589 ・・・(8)
α = -0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α = -0.0002β2+0.0045β-0.0067 ・・・(14)
α = -4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α = 0.009403 ・・・(16)
(0.7-β)/0.2 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(17)
(β-4.4)/1.1 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(18)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(19)
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.00067768 = (100-L)/10 ・・・(20)
【0009】
第3の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(13)〜式(16)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(21)〜式(24)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(25)〜式(28)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α = -0.0002β2+0.0045β-0.0067 ・・・(14)
α = -4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α = 0.009403 ・・・(16)
α = -0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(21)
α = -0.0014β2+0.0191β-0.0422 ・・・(22)
α = -9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(23)
α = 0.007709 ・・・(24)
(β-0.6)/0.1 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(25)
(β-3.6)/0.8 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(26)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(27)
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(28)
【0010】
第4の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(21)〜式(24)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(29)〜式(32)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(33)〜式(36)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(21)
α = -0.0014β2+0.0191β-0.0422 ・・・(22)
α = -9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(23)
α = 0.007709 ・・・(24)
α = -0.0014β2+0.0136β-0.0027 ・・・(29)
β = 10132α2-241.39α+4.747 ・・・(30)
α = -0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(31)
α = 0.006523 ・・・(32)
(0.75-β)/0.15 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(33)
(3.65-β)/0.05 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(34)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(35)
(3.47-β)/2.57 = (α-0.00754)/0,00220246 = (140-L)/20 ・・・(36)
【0011】
第5の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(29)〜式(32)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(37)〜式(41)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(42)〜式(45)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.0014β2+0.0136β-0.0027 ・・・(29)
β = 10132α2-241.39α+4.747 ・・・(30)
α = -0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(31)
α = 0.006523 ・・・(32)
α = -0.005β2+0.0273β-0.0145 ・・・(37)
α = 0.0043β2-0.0332β+0.07 ・・・(38)
β = 2.875 ・・・(39)
α = -0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(40)
α = 0.005676 ・・・(41)
(0.9-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(42)
(3.8-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(43)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(44)
(β-1.05)/2.42 = (0.00864-α)/0.00110123 = (160-L)/20 ・・・(45)
【0012】
第6の発明は、光出射面を有する第1の光学層と、
第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、金属層全体の光学膜厚および高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、第1の光学層側および第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の高屈折率層の光学膜厚および1層目の高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(37)〜式(41)で囲まれた第1の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが180nmである場合に、比率αおよび比率βが下記式(46)〜式(49)で囲まれた第2の領域に含まれ、
波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合に、比率αおよび比率βが第1の領域、第2の領域および下記式(50)〜式(53)により内包される空間に含まれる光学体である。
α = -0.005β2+0.0273β-0.0145 ・・・(37)
α = 0.0043β2-0.0332β+0.07 ・・・(38)
β = 2.875 ・・・(39)
α = -0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(40)
α = 0.005676 ・・・(41)
α = -0.0103β2+0.047β-0.0322 ・・・(46)
α = 0.0093β2-0.0677β+0.1212 ・・・(47)
α = -0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(48)
α = 0.00498 ・・・(49)
(1.05-β)/0.15 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(50)
(β-2.75)/1.05 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(51)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(52)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471= (180-L)/20 ・・・(53)
【0013】
第1〜第6の発明では、比率αおよび比率βが所定の領域内に含まれるように、波長選択反射層における各層の膜厚を設定することにより、色調変化が抑制される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、入射角による色調変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図1Bは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。
【図2】図2は、光学フィルムに対して入射する入射光と、光学フィルムにより反射された反射光との関係を示す斜視図である。
【図3】図3A〜図3Cは、第1の光学層に形成された構造体の形状例を示す斜視図である。
【図4】図4Aは、第1の光学層に形成された構造体の形状例を示す斜視図である。図4Bは、図4Aに示す構造体が形成された第1の光学層を備える光学フィルムの一構成例を示す断面図である。
【図5】図5は、波長選択反射層の層構成の一例を示す略線図である。
【図6】図6Aは、3層目および5層目の高屈折率層が2層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Bは、3層目の高屈折率層が3層に分離し、5層目の高屈折率層が2層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Cは、3層目の高屈折率層が2層に分離し、5層目の高屈折率層が3層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Dは、1層目、3層目および5層目の高屈折率層が2層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Eは、1層目および5層目の高屈折率層が2層に分離し、3層目の高屈折率層が3層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。図6Fは、1層目の高屈折率層が2層に分離し、3層目および5層目の高屈折率層が3層に分離した波長選択反射層の一例を示す略線図である。
【図7】図7A、図7Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。
【図8】図8A、図8Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。
【図9】図9Aは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。図9Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための平面図である。
【図10】図10は、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムを製造するための製造装置の一構成例を示す概略図である。
【図11】図11A〜図11Cは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図12】図12A〜図12Cは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図13】図13A〜図13Cは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図14】図14は、反射層の膜厚について説明するための図である。
【図15】図15は、各パラメータの条件を満足する膜厚を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】図16Aは、比率αおよび比率βに対する可視光線透過率の分布を示すα−β相関図である。図16Bは、比率αおよび比率βに対する遮蔽係数の分布を示すα−β相関図である。図16Cは、比率αおよび比率βに対する青み指標の分布を示すα−β相関図である。図16Dは、比率αおよび比率βに対する赤み指標の分布を示すα−β相関図である。図16Eは、図16A〜図16Dに示すα−β相関図をそれぞれ重ね合わせた状態のα−β相関図を示す。
【図17】図17は、総膜厚Lが80nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図18】図18は、総膜厚Lが90nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図19】図19は、総膜厚Lが100nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図20】図20は、総膜厚Lが120nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図21】図21は、総膜厚Lが140nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図22】図22は、総膜厚Lが160nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図23】図23は、総膜厚Lが180nmの場合に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとしたα−β相関図である。
【図24】図24は、総膜厚Lが80nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図25】図25は、総膜厚Lが90nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図26】図26は、総膜厚Lが100nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図27】図27は、総膜厚Lが120nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図28】図28は、総膜厚Lが140nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図29】図29は、総膜厚Lが160nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図30】図30は、総膜厚Lが180nmの場合に、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとしたα−β相関図である。
【図31】図31は、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を3次元平面上にマッピングした略線図である。
【図32】図32Aは、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングした略線図である。図32Bは、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングした略線図である。
【図33】図33Aは、本発明の第1の実施形態の第1の変形例を示す断面図である。図33Bは、本発明の第1の実施形態の第2の変形例を示す断面図である。
【図34】図34Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第1の構成例を示す斜視図である。図34Bは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第2の構成例を示す斜視図である。図34Cは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第3の構成例を示す斜視図である。
【図35】図35Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第3の構成例を示す平面図である。図35Bは、図35Aに示した第1の光学層のB−B線に沿った断面図である。図35Cは、図35Aに示した第1の光学層のC−C線に沿った断面図である。
【図36】図36Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第4の構成例を示す平面図である。図36Bは、図36Aに示した第1の光学層のB−B線に沿った断面図である。図36Cは、図36Aに示した第1の光学層のC−C線に沿った断面図である。
【図37】図37Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムにおける第1の光学層の第5の構成例を示す平面図である。図37Bは、図37Aに示した第1の光学層のB−B線に沿った断面図である。
【図38】図38Aは、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図38Bは、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムが備える第1の光学層の一構成例を示す斜視図である。
【図39】図39Aは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルムの第1の構成例を示す断面図である。図39Bは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルムの第2の構成例を示す断面図である。図39Cは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルムの第3の構成例を示す断面図である。
【図40】図40Aは、本発明の第5の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図40Bは、本発明の第5の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。
【図41】図41は、本発明の第6の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。
【図42】図42は、第7の実施形態に係るブラインド装置の一構成例を示す斜視図である。
【図43】図43Aは、スラットの第1の構成例を示す断面図である。図43Bは、スラットの第2の構成例を示す断面図である。
【図44】図44Aは、第8の実施形態に係るロールスクリーン装置の一構成例を示す斜視図である。図44Bは、スクリーン302の一構成例を示す断面図である。
【図45】図45Aは、第9の実施形態に係る障子の一構成例を示す斜視図である。図45Bは、障子の一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(構造体を1次元配列した例)
2.第2の実施形態(構造体を2次元配列した例)
3.第3の実施形態(ルーバ型の反射層の例)
4.第4の実施形態(光学フィルムに光散乱体を設けた例)
5.第5の実施形態(反射層を露出させた例)
6.第6の実施形態(自己洗浄効果層を備えた例)
7.第7の実施形態(ブラインド装置に光学フィルムを適用した例)
8.第8の実施形態(ロールスクリーン装置に光学フィルムを適用した例)
9.第9の実施形態(建具に光学フィルムを適用した例)
【0017】
<1.第1の実施形態>
[光学フィルムの構成]
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図1Bは、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。光学体としての光学フィルム1は、いわゆる指向反射性能を有する光学フィルムである。図1Aに示すように、この光学フィルム1は、凹凸形状の界面を内部に有する光学層2と、この光学層2の界面に設けられた反射層3とを備える。光学層2は、凹凸形状の第1の面を有する第1の光学層4と、凹凸形状の第2の面を有する第2の光学層5とを備える。光学層内部の界面は、対向配置された凹凸形状の第1の面と第2の面とにより形成されている。具体的には、光学フィルムは、凹凸面を有する第1の光学層4と、第1の光学層の凹凸面上に形成された反射層3と、反射層3が形成された凹凸面を埋めるように、反射層3上に形成された第2の光学層5とを備える。光学フィルム1は、太陽光などの光が入射する入射面S1と、この入射面S1より入射した光のうち、光学フィルム1を透過した光が出射される出射面S2とを有する。光学フィルム1は、内壁部材、外壁部材、窓材、壁材などに適用して好適なものである。また、光学フィルム1は、ブラインド装置のスラット(日射遮蔽部材)、およびロールスクリーン装置のスクリーン(日射遮蔽部材)として用いても好適なものである。さらに、光学フィルム1は、障子などの建具(内装部材または外装部材)の採光部に設けられる光学体として用いても好適なものである。
【0018】
光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2の出射面S2に第1の基材4aをさらに備えるようにしてもよい。また、光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2の入射面S1に第2の基材5aをさらに備えるようにしてもよい。なお、このように第1の基材4a、および/または第2の基材5aを光学フィルム1に備える場合には、第1の基材4a、および/または第2の基材5aを光学フィルム1に備えた状態において、以下に示す透明性、および透過色などの光学特性を満たすことが好ましい。
【0019】
光学フィルム1が、必要に応じて貼合層6をさらに備えるようにしてもよい。この貼合層6は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、窓材10に貼り合わされる面に形成される。この貼合層6を介して、光学フィルム1は被着体である窓材10の屋内側または屋外側に貼り合わされる。貼合層6としては、例えば、接着剤を主成分とする接着層(例えば、UV硬化型樹脂、2液混合型樹脂)、または粘着剤を主成分とする粘着層(例えば、感圧粘着材(PSA:Pressure Sensitive Adhesive))を用いることができる。貼合層6が粘着層である場合、貼合層6上に形成された剥離層7をさらに備えることが好ましい。このような構成にすることで、剥離層7を剥離するだけで、貼合層6を介して窓材10などの被着体に対して光学フィルム1を容易に貼り合わせることができるからである。
【0020】
光学フィルム1が、第2の基材5aと、貼合層6および/または第2の光学層5の接合性を向上させる観点から、第2の基材5aと、貼合層6および/または第2の光学層5との間に、プライマー層(図示せず)をさらに備えるようにしてもよい。また、同様の箇所の接合性を向上させる観点から、プライマー層に代えて、またはプライマー層と共に、公知の物理的前処理を施すことが好ましい。公知の物理的前処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理などが挙げられる。
【0021】
光学フィルム1が、窓材10などの被着体に貼り合わされる入射面S1または出射面S2上、またはその面と反射層3との間に、バリア層(図示せず)をさらに備えるようにしてもよい。このようにバリア層を備えることで、入射面S1または出射面S2から反射層3への水分の拡散を低減し、反射層3に含まれる金属などの劣化を抑制することができる。したがって、光学フィルム1の耐久性を向上させることができる。
【0022】
光学フィルム1は、表面に耐擦傷性などを付与する観点から、ハードコート層8をさらに備えるようにしてもよい。このハードコート層8は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、窓材10などの被着体に貼り合わされる面とは反対側の面に形成することが好ましい。光学フィルム1の入射面S1に、防汚性などを付与する観点から、撥水性または親水性を有する層をさらに備えてもよい。このような機能を有する層は、例えば、光学層2上に直接備える、またはハードコート層8などの各種機能層上に備えるようにしてもよい。
【0023】
光学フィルム1は、光学フィルム1を窓材10などの被着体に容易に貼り合わせ可能にする観点からすると、可撓性を有することが好ましい。ここで、フィルムにはシートが含まれるものとする。すなわち、光学フィルム1には光学シートも含まれものとする。
【0024】
光学フィルム1は、透明性を有している。透明性としては、後述する透過像鮮明度の範囲を有するものであることが好ましい。第1の光学層4と第2の光学層5との屈折率差が、好ましくは0.010以下、より好ましくは0.008以下、さらに好ましくは0.005以下である。屈折率差が0.010を超えると、透過像がぼけて見える傾向がある。0.008を超え0.010以下の範囲であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。0.005を超え0.008以下の範囲であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。0.005以下であれば、回折パターンは殆ど気にならない。第1の光学層4および第2の光学層5のうち、窓材10などと貼り合わせる側となる光学層は、粘着剤を主成分としてもよい。このような構成とすることで、粘着材を主成分とする第1の光学層4、または第2の光学層5により光学フィルム1を窓材10などに貼り合わせることができる。なお、このような構成にする場合、粘着剤の屈折率差が上記範囲内であることが好ましい。
【0025】
第1の光学層4と第2の光学層5とは、屈折率などの光学特性が同じであることが好ましい。より具体的には、第1の光学層4と第2の光学層5とが、可視領域において透明性を有する同一材料、例えば同一樹脂材料からなることが好ましい。第1の光学層4と第2の光学層5とを同一材料により構成することで、両者の屈折率が等しくなるので、可視光の透明性を向上させることができる。ただし、同一材料を出発源としても、成膜工程における硬化条件などにより最終的に生成する層の屈折率が異なることがあるので、注意が必要である。これに対して、第1の光学層4と第2の光学層5とを異なる材料により構成すると、両者の屈折率が異なるので、反射層3を境界として光が屈折し、透過像がぼやける傾向がある。特に、遠くの電灯など点光源に近い物を観察すると回折パターンが顕著に観察される傾向がある。なお、屈折率の値を調整するために、第1の光学層4および/または第2の光学層5に添加剤を混入させてもよい。
【0026】
第1の光学層4と第2の光学層5は、可視領域において透明性を有することが好ましい。ここで、透明性の定義には2種類の意味があり、光の吸収がないことと、光の散乱がないことである。一般的に透明と言った場合に前者だけを指すことがあるが、第1の実施形態に係る光学フィルム1では両者を備えることが好ましい。現在利用されている再帰反射体は、道路標識や夜間作業者の衣服など、その表示反射光を視認することを目的としているため、例えば散乱性を有していても、下地反射体と密着していれば、その反射光を視認することができる。例えば、画像表示装置の前面に、防眩性の付与を目的として散乱性を有するアンチグレア処理をしても、画像は視認できるのと同一の原理である。しかしながら、第1の実施形態に係る光学フィルム1は、指向反射する特定の波長以外の光を透過する点に特徴を有しており、この透過波長を主に透過する透過体に接着し、その透過光を観察するため、光の散乱がないことが好ましい。但し、その用途によっては、第2の光学層5に意図的に散乱性を持たせることも可能である。
【0027】
光学フィルム1は、好ましくは、透過した特定波長以外の光に対して主に透過性を有する剛体、例えば、窓材10に粘着剤などを介して貼り合わせて使用される。窓材10としては、高層ビルや住宅などの建築用窓材、車両用の窓材などが挙げられる。建築用窓材に光学フィルム1を適用する場合、特に東〜南〜西向きの間のいずれかの向き(例えば南東〜南西向き)に配置された窓材10に光学フィルム1を適用することが好ましい。このような位置の窓材10に適用することで、より効果的に熱線を反射することができるからである。光学フィルム1は、単層の窓ガラスのみならず、複層ガラスなどの特殊なガラスにも用いることができる。また、窓材10は、ガラスからなるものに限定されるものではなく、透明性を有する高分子材料からなるものを用いてもよい。光学層2が、可視領域において透明性を有することが好ましい。このように透明性を有することで、光学フィルム1を窓ガラスなどの窓材10に貼り合せた場合、可視光を透過し、太陽光による採光を確保することができるからである。また、貼り合わせる面としてはガラスの内面のみならず、外面にも使用することができる。
【0028】
また、光学フィルム1は他の熱線カットフィルムと併用して用いることができ、例えば空気と光学フィルム1との界面(すなわち、光学フィルム1の最表面)に光吸収塗膜を設けることもできる。また、光学フィルム1は、ハードコート層、紫外線カット層、表面反射防止層などとも併用して用いることができる。これらの機能層を併用する場合、これらの機能層を光学フィルム1と空気との間の界面に設けることが好ましい。ただし、紫外線カット層については、光学フィルム1よりも太陽側に配置する必要があるため、特に室内の窓ガラス面に内貼り用として用いる場合には、該窓ガラス面と光学フィルム1の間に紫外線カット層を設けることが望ましい。この場合、窓ガラス面と光学フィルム1の間の貼合層中に、紫外線吸収剤を練りこんでおいてもよい。
【0029】
また、光学フィルム1の用途に応じて、光学フィルム1に対して着色を施し、意匠性を付与するようにしてもよい。このように意匠性を付与する場合、透明性を損なわない範囲で第1の光学層4および第2の光学層5の少なくとも一方が、可視領域における特定の波長帯の光を主として吸収する構成とすることが好ましい。
【0030】
図2は、光学フィルム1に対して入射する入射光と、光学フィルム1により反射された反射光との関係を示す斜視図である。光学フィルム1は、光Lが入射する入射面S1を有する。光学フィルム1は、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光Lのうち、特定波長帯の光L1を選択的に正反射(−θ、φ+180°)以外の方向に指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光L2を透過することが好ましい。また、光学フィルム1は、上記特定波長帯以外の光に対して透明性を有する。透明性としては、後述する透過像鮮明度の範囲を有するものであることが好ましい。但し、θ:入射面S1に対する垂線l1と、入射光Lまたは反射光L1とのなす角である。φ:入射面S1内の特定の直線l2と、入射光Lまたは反射光L1を入射面S1に射影した成分とのなす角である。ここで、入射面内の特定の直線l2とは、入射角(θ、φ)を固定し、光学フィルム1の入射面S1に対する垂線l1を軸として光学フィルム1を回転したときに、φ方向への反射強度が最大になる軸である(図3および図4参照)。但し、反射強度が最大となる軸(方向)が複数ある場合、そのうちの1つを直線l2として選択するものとする。なお、垂線l1を基準にして時計回りに回転した角度θを「+θ」とし、反時計回りに回転した角度θを「−θ」とする。直線l2を基準にして時計回りに回転した角度φを「+φ」とし、反時計回りに回転した角度φを「−φ」とする。
【0031】
選択的に指向反射する特定の波長帯の光、および透過させる特定の光は、光学フィルム1の用途により異なる。例えば、窓材10に対して光学フィルム1を適用する場合、選択的に指向反射する特定の波長帯の光は近赤外光であり、透過させる特定の波長帯の光は可視光であることが好ましい。具体的には、選択的に指向反射する特定の波長帯の光が、主に波長帯域780nm〜2100nmの近赤外線であることが好ましい。近赤外線を反射することで、光学体をガラス窓などの窓材に貼り合わせた場合に、建物内の温度上昇を抑制することができる。したがって、冷房負荷を軽減し、省エネルギー化を図ることができる。ここで、指向反射とは、正反射以外のある特定の方向への反射を有し、かつ、指向性を持たない拡散反射強度よりも十分に強いことを意味する。ここで、反射するとは、特定の波長帯域、例えば近赤外域における反射率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上であることを示す。透過するとは、特定の波長帯域、例えば可視光域における透過率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上であることを示す。
【0032】
光学フィルム1において、指向反射する方向φoが−90°以上、90°以下であることが好ましい。光学フィルム1を窓材10に貼った場合、上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を上空方向に戻すことができるからである。周辺に高い建物がない場合にはこの範囲の光学フィルム1が有用である。また、指向反射する方向が(θ、−φ)近傍であることが好ましい。近傍とは、好ましく(θ、−φ)から5度以内、より好ましくは3度以内であり、さらに好ましくは2度以内の範囲内のずれのことをいう。この範囲にすることで、光学フィルム1を窓材10に貼った場合、同程度の高さが立ち並ぶ建物の上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を他の建物の上空に効率良く戻すことができるからである。このような指向反射を実現するためには、例えば球面や双曲面の一部や三角錐、四角錘、円錐などの3次元構造体を用いることが好ましい。(θ、φ)方向(−90°<φ<90°)から入射した光は、その形状に基づいて(θo、φo)方向(0°<θo<90°、−90°<φo<90°)に反射させることができる。または、一方向に伸びた柱状体にすることが好ましい。(θ、φ)方向(−90°<φ<90°)から入射した光は、柱状体の傾斜角に基づいて(θo、−φ)方向(0°<θo<90°)に反射させることができる。
【0033】
光学フィルム1において、特定波長体の光の指向反射が、再帰反射近傍方向、すなわち、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光に対する、特定波長体の光の反射方向が、(θ、φ)近傍であることが好ましい。光学フィルム1を窓材10に貼った場合、上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を上空に戻すことができるからである。ここで近傍とは5度以内が好ましく、より好ましくは3度以内であり、さらに好ましくは2度以内である。この範囲にすることで、光学フィルム1を窓材10に貼った場合、上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を上空に効率良く戻すことができるからである。また、赤外線センサーや赤外線撮像のように、赤外光照射部と受光部が隣接している場合は、再帰反射方向は入射方向と等しくなければならないが、本発明のように特定の方向からセンシングする必要がない場合は、厳密に同一方向とする必要はない。
【0034】
光学フィルム1において、透過性を持つ波長帯に対する透過像鮮明度に関し、0.5mmの光学くしを用いたときの値が、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは75以上である。透過像鮮明度の値が50未満であると、透過像がぼけて見える傾向がある。50以上60未満であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。60以上75未満であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。75以上であれば、回折パターンは殆ど気にならない。更に0.125mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの光学くしを用いて測定した透過像鮮明度の値の合計値が、好ましくは230以上、より好ましくは270以上、さらに好ましくは350以上である。透過像鮮明度の合計値が230未満であると、透過像がぼけて見える傾向がある。230以上270未満であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。270以上350未満であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。350以上であれば、回折パターンは殆ど気にならない。ここで、透過像鮮明度の値は、スガ試験機製ICM−1Tを用いて、JIS K7105に準じて測定したものである。ただし、透過させたい波長がD65光源波長と異なる場合は、透過したい波長のフィルターを用いて校正した後に測定することが好ましい。
【0035】
光学フィルム1において、透過性を持つ波長帯に対するヘイズが、好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは2%以下である。ヘイズが6%を超えると、透過光が散乱され、曇って見えるためである。ここで、ヘイズは、村上色彩製HM−150を用いて、JIS K7136で規定される測定方法により測定したものである。ただし、透過させたい波長がD65光源波長と異なる場合は、透過したい波長のフィルターを用いて校正した後に測定することが好ましい。光学フィルム1の入射面S1、好ましくは入射面S1および出射面S2は、透過像鮮明度を低下させない程度の平滑性を有する。具体的には、入射面S1および出射面S2の算術平均粗さRaは、好ましくは0.08μm以下、より好ましくは0.06μm以下、さらに好ましくは0.04μm以下である。なお、上記算術平均粗さRaは、入射面の表面粗さを測定し、2次元断面曲線から粗さ曲線を取得し、粗さパラメータとして算出したものである。なお、測定条件はJIS B0601:2001に準拠している。以下に測定装置および測定条件を示す。
測定装置:全自動微細形状測定機 サーフコーダーET4000A(株式会社小坂研究所)
λc=0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ×5倍
データサンプリング間隔0.5μm
【0036】
光学フィルム1の透過色はなるべくニュートラルに近く、色付きがあるとしても涼しい印象を与える青、青緑、緑色などの薄い色調が好ましい。このような色調を得る観点からすると、入射面S1から入射し、光学層2および反射層3を透過し、出射面S2から出射される透過光および反射光の色度座標x、yは、例えばD65光源の照射に対しては、好ましくは0.20<x<0.35かつ0.20<y<0.40、より好ましくは、0.25<x<0.32かつ0.25<y<0.37、更に好ましくは0.30<x<0.32かつ0.30<y<0.35の範囲を満たすのが望ましい。更に、色調が赤みを帯びないためには、好ましくはy>x−0.02、より好ましくはy>xの関係を満たすのが望ましい。また、反射色調が入射角度によって変化すると、例えばビルの窓に適用された場合に、場所によって色調が異なったり、歩くと色が変化して見えるため好ましくない。このような色調の変化を抑制する観点からすると、5°以上60°以下の入射角度θで入射面S1または出射面S2から入射し、光学フィルム1により反射された正反射光の色座標xの差の絶対値、および色座標yの差の絶対値が、光学フィルム1の両主面のいずれにおいても、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、さらに好ましくは0.01以下である。このような反射光に対する色座標x、yに関する数値範囲の限定は、入射面S1、および出射面S2の両方の面において満たされることが望ましい。
【0037】
以下、光学フィルム1を構成する第1の光学層4、第2の光学層5、および反射層3について順次説明する。
【0038】
(第1の光学層、第2の光学層)
第1の光学層4は、例えば、反射層3を支持し、かつ保護するためのものである。第1の光学層4は、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、例えば、樹脂を主成分とする層からなる。第1の光学層4の両主面のうち、例えば、一方の面は平滑面であり、他方の面は凹凸面(第1の面)である。反射層3は該凹凸面上に形成される。
【0039】
第2の光学層5は、反射層3が形成された第1の光学層4の第1の面(凹凸面)を包埋することにより、反射層3を保護するためのものである。第2の光学層5は、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、例えば、樹脂を主成分とする層からなる。第2の光学層5の両主面のうち、例えば、一方の面は平滑面であり、他方の面は凹凸面(第2の面)である。第1の光学層4の凹凸面と第2の光学層5の凹凸面とは、互いに凹凸を反転した関係にある。
【0040】
第1の光学層4の凹凸面は、例えば、1次元配列された複数の構造体4cにより形成されている。第2の光学層5の凹凸面は、例えば、1次元配列された複数の構造体5cにより形成されている(図3、図4参照)。第1の光学層4の構造体4cと第2の光学層5の構造体5cとは、凹凸が反転している点のみが異なるので、以下では第1の光学層4の構造体4cについて説明する。
【0041】
光学フィルム1において、構造体4cのピッチPは、好ましくは5μm以上5mm以下、より好ましくは5μm以上250μm未満、さらに好ましくは20μm以上200μm以下である。構造体4cのピッチが5μm未満であると、構造体4cの形状を所望のものとすることが難しい上、反射層3の波長選択特性は一般的には急峻にすることが困難であるため、透過波長の一部を反射することがある。このような反射が起こると回折が生じて高次の反射まで視認されるため、透明性が悪く感じられる傾向がある。一方、構造体4cのピッチが5mmを超えると、指向反射に必要な構造体4cの形状を考慮した場合、必要な膜厚が厚くなりフレキシブル性が失われ、窓材10などの剛体に貼りあわせることが困難になる。また、構造体4cのピッチを250μm未満にすることにより、さらにフレキシブル性が増し、ロール・ツー・ロールでの製造が容易となり、バッチ生産が不要となる。窓などの建材に本発明の光学フィルム1を適用するためには、数m程度の長さが必要であり、バッチ生産よりもロール・ツー・ロールでの製造が適している。さらに、ピッチを20μm以上200μm以下とした場合には、より生産性が向上する。
【0042】
また、第1の光学層4の表面に形成される構造体4cの形状は1種類に限定されるものではなく、複数種類の形状の構造体4cを第1の光学層4の表面に形成するようにしてもよい。複数種類の形状の構造体4cを表面に設ける場合、複数種類の形状の構造体4cからなる所定のパターンが周期的に繰り返されるようにしてもよい。また、所望とする特性によっては、複数種類の構造体4cがランダム(非周期的)に形成されるようにしてもよい。
【0043】
図3A〜図3Cは、第1の光学層に形成された構造体の形状例を示す斜視図である。構造体4cは、一方向に延在された柱状の凹部であり、この柱状の構造体4cが一方向に向かって一次元配列されている。反射層3はこの構造体4c上に成膜させるため、反射層3の形状は、構造体4cの表面形状と同様の形状を有することになる。
【0044】
構造体4cの形状としては、例えば、図3Aに示すプリズム形状、図3Bに示す、プリズムの稜線部に丸みを付与した形状、図3Cに示すレンチキュラー形状の反転形状、またはこれらの反転形状を挙げることができる。ここで、レンチキュラー形状とは、凸部の稜線に垂直な断面形状が円弧状もしくはほぼ円弧状、楕円弧状もしくはほぼ楕円弧、または放物線状もしくはほぼ放物線状の一部となっているものをいう。したがって、シリンドリカル形状もレンチキュラー形状に含まれる。なお、図3Bに示すように、稜線部分にはRがあっても良く、好ましくは曲率半径Rと構造体4cのピッチPの比R/Pが7%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下が好ましい。また、構造体4cの形状は、図3A〜図3Cに示した形状、またはこれらの反転形状に限定されるものではなく、トロイダル形状、双曲柱状、楕円柱状、多角柱状、自由曲面状としてもよい。また、プリズム形状、およびレンチキュラー形状の頂部を多角形状(例えば五角形状)の形状としてもよい。構造体4cをプリズム形状とする場合、プリズム形状の構造体4cの傾斜角度θは、例えば45°である。構造体4cは、窓材10に適用した場合に、上空から入射した光を反射して上空に多く戻す観点からは、傾斜角が45°以上傾斜した平面または曲面を有することが好ましい。このような形状にすることで、入射光はほぼ1回の反射で上空へ戻るため、反射層3の反射率がそれ程高く無くとも効率的に上空方向へ入射光を反射できると共に、反射層3における光の吸収を低減できるからである。
【0045】
また、図4Aに示すように、構造体4cの形状を、光学フィルム1の入射面S1または出射面S2に垂直な垂線l1に対して非対称な形状としてもよい。この場合、構造体4cの主軸lmが、垂線l1を基準にして構造体4cの配列方向aに傾くことになる。ここで、構造体4cの主軸lmとは、構造体断面の底辺の中点と構造体の頂点とを通る直線を意味する。地面に対して略垂直に配置された窓材10に光学フィルム1を貼る場合には、図4Bに示すように、構造体4cの主軸lmが、垂線l1を基準にして窓材10の下方(地面側)に傾いていることが好ましい。一般に窓を介した熱の流入が多いのは昼過ぎ頃の時間帯であり、太陽の高度が45°より高いことが多いため、上記形状を採用することで、これら高角度から入射する光を効率的に上方に反射できるからである。図4Aおよび図4Bでは、プリズム形状の構造体4cを垂線l1に対して非対称な形状とした例が示されている。なお、プリズム形状以外の構造体4cを垂線l1に対して非対称な形状としてもよい。例えば、コーナーキューブ体を垂線l1に対して非対称な形状としてもよい。
【0046】
第1の光学層4が、100℃での貯蔵弾性率の低下が少なく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異ならない樹脂を主成分としていることが好ましい。具体的には、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下であり、100℃での貯蔵弾性率が3×107Pa以上である樹脂を含んでいることが好ましい。なお、第1の光学層4は、1種類の樹脂で構成されているのが好ましいが、2種類以上の樹脂を含んでいてもよい。また、必要に応じて、添加剤が混入されていてもよい。
【0047】
このように100℃での貯蔵弾性率の低下が少なく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異ならない樹脂を主成分としていると、熱、または熱と加圧とを伴うプロセスが第1の光学層4の凹凸面(第1の面)を形成後に存在する場合でも、設計した界面形状をほぼ保つことができる。これに対して、100℃での貯蔵弾性率の低下が大きく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異なる樹脂を主成分としていると、設計した界面形状からの変形が大きくなり、光学フィルム1にカールが生じたりする。
【0048】
ここで、熱を伴うプロセスには、アニール処理などのように直接的に光学フィルム1またはその構成部材に対して熱を加えるようなプロセスのみならず、薄膜の成膜時、および樹脂組成物の硬化時などに、成膜面が局所的に温度上昇して間接的にそれらに対して熱を加えるようなプロセスや、エネルギー線照射により金型の温度が上昇し、間接的に光学フィルムに熱を加えるようなプロセスも含まれる。また、上述した貯蔵弾性率の数値範囲を限定することにより得られる効果は、樹脂の種類に特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、およびエネルギー線照射型樹脂のいずれでも得ることができる。
【0049】
第1の光学層4の貯蔵弾性率は、例えば以下のようにして確認することができる。第1の光学層4の表面が露出している場合には、その露出面の貯蔵弾性率を微小硬度計を用いて測定することにより確認することができる。また、第1の光学層4の表面に第1の基材4aなどが形成されている場合には、第1の基材4aなどを剥離して、第1の光学層4の表面を露出させた後、その露出面の貯蔵弾性率を微小硬度計を用いて測定することにより確認することができる。
【0050】
高温下での弾性率の低下を抑制する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂にあっては、側鎖の長さおよび種類などを調整する方法が挙げられ、熱硬化型樹脂、およびエネルギー線照射型樹脂にあっては、架橋点の量および架橋材の分子構造などを調整する方法が挙げられる。但し、このような構造変更によって樹脂材料そのものに求められる特性が損なわれないようにすることが好ましい。例えば、架橋剤の種類によっては室温付近での弾性率が高くなり、脆くなってしまったり、収縮が大きくなりフィルムが湾曲したり、カールしたりすることがあるので、架橋剤の種類を所望とする特性に応じて適宜選択することが好ましい。
【0051】
第1の光学層4が、結晶性高分子材料を主成分として含んでいる場合には、ガラス転移点が、製造プロセス中の最高温度より大きく、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が少ない樹脂を主成分としていることが好ましい。これに対して、ガラス転移点が、室温25℃以上、製造プロセス中の最高温度以下の範囲内にあり、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が大きい樹脂を用いると、製造プロセス中に、設計した理想的な界面形状を保持することが困難になる。
【0052】
第1の光学層4が、非晶性高分子材料を主成分として含んでいる場合には、融点が、製造プロセス中の最高温度より大きく、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が少ない樹脂を主成分としていることが好ましい。これに対して、融点が、室温25℃以上、製造プロセス中の最高温度以下の範囲内にあり、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が大きい樹脂を用いると、製造プロセス中に、設計した理想的な界面形状を保持することが困難になる。
【0053】
ここで、製造プロセス中の最高温度とは、製造プロセス中における第1の光学層4の凹凸面(第1の面)の最高温度を意味している。上述した貯蔵弾性率の数値範囲、およびガラス転移点の温度範囲は、第2の光学層5も満たしていることが好ましい。
【0054】
すなわち、第1の光学層4、および第2の光学層5の少なくとも一方が、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下である樹脂を含んでいることが好ましい。室温25℃において光学フィルム1に可撓性を付与することができるので、ロール・ツー・ロールでの光学フィルム1の製造が可能となるからである。
【0055】
第1の基材4a、および第2の基材5aは、例えば、透明性を有している。基材の形状としては、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、フィルム状を有することが好ましいが、特にこの形状に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aの材料としては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられるが、特にこれらの材料に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aの厚さは、生産性の観点から38〜100μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aは、エネルギー線透過性を有することが好ましい。これにより、後述するように、第1の基材4a、または第2の基材5aと反射層3との間に介在させたエネルギー線硬化型樹脂に対して、第1の基材4a、または第2の基材5a側からエネルギー線を照射し、エネルギー線硬化型樹脂を硬化させることができるからである。
【0056】
第1の光学層4、および第2の光学層5は、例えば、透明性を有する。第1の光学層4、および第2の光学層5は、例えば、樹脂組成物を硬化することにより得られる。樹脂組成物としては、製造の容易性の観点からすると、光または電子線などにより硬化するエネルギー線硬化型樹脂、または熱により硬化する熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。エネルギー線硬化型樹脂としては、光により硬化する感光性樹脂組成物が好ましく、紫外線により硬化する紫外線硬化型樹脂組成物が最も好ましい。樹脂組成物は、第1の光学層4、または第2の光学層5と反射層3との密着性を向上させる観点から、リン酸を含有する化合物、コハク酸を含有する化合物、ブチロラクトンを含有する化合物をさらに含有することが好ましい。リン酸を含有する化合物としては、例えばリン酸を含有する(メタ)アクリレート、好ましくはリン酸を官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。コハク酸を含有する化合物としては、例えば、コハク酸を含有する(メタ)アクリレート、好ましくはコハク酸を官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。ブチロラクトンを含有する化合物としては、例えば、ブチロラクトンを含有する(メタ)アクリレート、好ましくはブチロラクトンを官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。
【0057】
紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを含有している。また、紫外線硬化型樹脂組成物が、必要に応じて、光安定剤、難燃剤、レベリング剤および酸化防止剤などをさらに含有するようにしてもよい。
【0058】
アクリレートとしては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを用いることが好ましい。このモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどを用いることができる。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタアクリロイル基のいずれかを意味するものである。ここで、オリゴマーとは、分子量500以上60000以下の分子をいう。
【0059】
光重合開始剤としては、公知の材料から適宜選択したものを使用できる。公知の材料としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラキノン誘導体などを単独で、または併用して用いることができる。重合開始剤の配合量は、固形分中0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、光硬化性が低下し、実質的に工業生産に適さない。一方、10質量%を超えると、照射光量が小さい場合に、塗膜に臭気が残る傾向にある。ここで、固形分とは、硬化後のハードコート層12を構成する全ての成分をいう。具体的には例えば、アクリレート、および光重合開始剤などを固形分という。
【0060】
樹脂はエネルギー線照射や熱などによって構造を転写できるものが好ましく、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱可塑性樹脂など上述の屈折率の要求を満たすものであればどのような種類の樹脂を使用しても良い。
【0061】
硬化収縮を低減するために、オリゴマーを添加してもよい。硬化剤としてポリイソシアネートなどを含んでもよい。また、第1の光学層4、および第2の光学層5との密着性を考慮して水酸基やカルボキシル基、リン酸基を有するような単量体、多価アルコール類、カルボン酸、シラン、アルミ、チタンなどのカップリング剤や各種キレート剤などを添加しても良い。
【0062】
樹脂組成物が、架橋剤をさらに含んでいることが好ましい。この架橋剤としては、環状の架橋剤を用いることが特に好ましい。架橋剤を用いることで、室温での貯蔵弾性率を大きく変化させることなく、樹脂を耐熱化することができるからである。なお、室温での貯蔵弾性率が大きく変化すると、光学フィルム1が脆くなり、ロール・ツー・ロール工程などによる光学フィルム1の作製が困難となる。環状の架橋剤としては、例えば、ジオキサングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどを挙げることができる。
【0063】
第1の基材4a、または第2の基材5aは、第1の光学層4、または第2の光学層5より水蒸気透過率が低いことが好ましい。例えば、第1の光学層4をウレタンアクリレートのようなエネルギー線硬化型樹脂で形成する場合には、第1の基材4aを第1の光学層4より水蒸気透過率が低く、かつ、エネルギー線透過性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂により形成することが好ましい。これにより、入射面S1または出射面S2から反射層3への水分の拡散を低減し、反射層3に含まれる金属などの劣化を抑制することができる。したがって、光学フィルム1の耐久性を向上させることができる。なお、厚み75μmのPETの水蒸気透過率は、10g/m2/day(40℃、90%RH)程度である。
【0064】
第1の光学層4および第2の光学層5の少なくとも一方が、極性の高い官能基を含み、その含有量が第1の光学層4と第2の光学層5とで異なることが好ましい。第1の光学層4と第2の光学層5との両方が、リン酸化合物(例えば、リン酸エステル)を含み、第1の光学層4と第2の光学層5とにおける上記リン酸化合物の含有量が異なることが好ましい。リン酸化合物の含有量は、第1の光学層4と第2の光学層5とにおいて、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上異なることが好ましい。
【0065】
第1の光学層4、および第2の光学層5の少なくとも一方が、リン酸化合物を含む場合、反射層3は、リン酸化合物を含む第1の光学層4または第2の光学層5と接する面に、酸化物もしくは窒化物、酸窒化物を含むことが好ましい。反射層3は、リン酸化合物を含む第1の光学層4または第2の光学層5と接する面に、酸化亜鉛(ZnO)または酸化ニオブを含む層を有することが特に好ましい。これらの光学層と反射層3との密着性が向上するためである。また、反射層3がAg等の金属を含む場合に、腐食防止効果が高いからである。また、この反射層3は、Al、Gaなどのドーパントを含有していても良い。金属酸化物層をスパッタ法等で形成する場合に、膜質や平滑性が向上するからである。
【0066】
第1の光学層4、および第2の光学層5の少なくとも一方が、光学フィルム1や窓材10などに意匠性を付与する観点からすると、可視領域における特定の波長帯の光を吸収する特性を有することが好ましい。樹脂中に分散させる顔料は、有機系顔料および無機系顔料のいずれであってもよいが、特に顔料自体の耐候性が高い無機系顔料とすることが好ましい。具体的には、ジルコングレー(Co、NiドープZrSiO4)、プラセオジムイエロー(PrドープZrSiO4)、クロムチタンイエロー(Cr、SbドープTiO2またはCr、WドープTiO2)、クロムグリーン(Cr2O3など)、ピーコックブルー((CoZn)O(AlCr)2O3)、ビクトリアグリーン((Al、Cr)2O3)、紺青(CoO・Al2O3・SiO2)、バナジウムジルコニウム青(VドープZrSiO4)、クロム錫ピンク(CrドープCaO・SnO2・SiO2)、陶試紅(MnドープAl2O3)、サーモンピンク(FeドープZrSiO4)などの無機顔料、アゾ系顔料やフタロシアニン系顔料などの有機顔料が挙げられる。
【0067】
(反射層)
反射層は、例えば、入射角(θ、φ)で入射面に入射した光のうち、特定波長帯の光を指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光を透過する積層膜の波長選択反射層である。反射層3の平均層厚は、好ましくは20μm、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。反射層3の平均層厚が20μmを超えると、透過光が屈折する光路が長くなり、透過像が歪んで見える傾向がある。反射層の形成方法としては、例えば、スパッタ法、蒸着法、ディップコーティング法、ダイコーティング法などを用いることができる。
【0068】
積層膜は、例えば、赤外領域において反射率の高い金属層と、可視領域において金属層に対して屈折率が高く反射防止層として機能する高屈折率層とを交互に積層してなる、少なくとも5層構成とされた積層膜である。高屈折率層としては、光学透明層、または透明導電層を用いることができる。
【0069】
赤外領域において反射率の高い金属層は、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Cr、Ti、Pd、Co、Si、Ta、W、Mo、Geなどの単体、またはこれらの単体を2種以上含む合金を主成分とする。そして、実用性の面を考慮すると、これらのうちのAg系、Cu系、Al系、Si系またはGe系の材料が好ましい。また、金属層の材料として合金を用いる場合には、金属層は、AlCu、AlTi、AlCr、AlCo、AlNdCu、AlMgSi、AgBi、AgNdCu、AgPdCu、AgPdTi、AgCuTi、AgPdCa、AgPdMg、AgPdFe、AgまたはSiBなどを主成分とすることが好ましい。また、金属層の腐食を抑えるために、金属層に対してTi、Ndなどの材料を添加することが好ましい。特に、金属層の材料としてAgを用いる場合には、上記材料を添加することが好ましい。
【0070】
光学透明層は、可視領域において屈折率が高く反射防止層として機能する光学透明層である。光学透明層は、例えば酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタンなどの高誘電体を主成分とする。透明導電層は、例えば、ZnO系酸化物、インジウムドープ酸化錫などの主成分とする。なお、ZnO系酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)をドープした酸化亜鉛(GAZO)、Alをドープした酸化亜鉛(AZO)、およびガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(GZO)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0071】
また、積層膜に含まれる高屈折率層の屈折率は、1.7以上2.6以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.8以上2.6以下、更に好ましくは1.9以上2.6以下である。これにより、クラックが発生しない程度の薄い膜で可視光領域での反射防止が実現できるからである。ここで、屈折率は、波長550nmにおけるものである。高屈折率層は、例えば、金属の酸化物を主成分とする層である。金属の酸化物としては、層の応力を緩和し、クラックの発生を抑制する観点からすると、酸化亜鉛以外の金属酸化物を用いることが好ましい場合もある。特に、酸化ニオブ(例えば、五酸化ニオブ)、酸化タンタル(例えば、五酸化タンタル)、および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。高屈折率層の膜厚は、好ましくは10nm以上120nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上80nm以下である。膜厚が10nm未満であると、可視光が反射しやすくなる傾向がある。一方、膜厚が120を超えると、透過率の低下やクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0072】
図5は、反射層3の層構成の一例を示す。以下では、反射層3の出射面側から順に1層目、2層目、3層目、4層目および5層目と適宜称して説明する。1層目、3層目および5層目は、例えばGAZOを主成分とする高屈折率層であり、1層目および5層目の膜厚が略等しく形成されている。1層目および5層目の膜厚の差分は、2つの層のうちいずれか一方の層の膜厚に対して、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、さらに好ましくは3%以内である。また、2層目および4層目は、例えばAgNdCuを主成分とする金属層であり、膜厚が略等しく形成されている。2層目および4層目の膜厚の差分は、2つの層のうちいずれか一方の層の膜厚に対して、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、さらに好ましくは3%以内である。
【0073】
反射層3の層構成は、これに限られず、例えば、それぞれの高屈折率層が複数の層に分離して1つの層を形成するようにしてもよい。図6A〜図6Fは、高屈折率層が複数の層に分離して形成された反射層3の層構成の一例を示す。図6Aに示す例では、3層目および5層目の高屈折率層がZnOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離している。図6Bに示す例では、3層目の高屈折率層がGAZO、Nb2O5およびGAZOを主成分とした3層に分離し、5層目の高屈折率層がGAZOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離している。図6Cに示す例では、3層目の高屈折率層がZnOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離し、5層目の高屈折率層がZnO、Nb2O5およびZnOを主成分とした3層に分離している。
【0074】
また、図6Dに示す例では、1層目、3層目および5層目の高屈折率層がGAZOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離している。図6Eに示す例では、1層目および5層目の高屈折率層がGAZOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離し、3層目の高屈折率層がGAZO、Nb2O5およびGAZOを主成分とした3層に分離している。図6Fに示す例では、1層目の高屈折率層がGAZOおよびNb2O5を主成分とした2層に分離し、3層目および5層目の高屈折率層がGAZO、Nb2O5およびGAZOを主成分とした3層に分離している。
【0075】
なお、積層膜は、無機材料からなる薄膜に限定されるものではなく、高分子材料からなる薄膜や高分子中に微粒子などを分散した層を積層して構成してもよい。また、これら光学透明層製膜時の下層金属の酸化劣化を防ぐ目的で、成膜する光学透明層の界面に数nm程度のTiなどの薄いバッファー層を設けてもよい。ここで、バッファー層とは、上層製膜時に、自らが酸化することで下層である金属層などの酸化を抑制するための層である。
【0076】
(色調変化の抑制)
この発明の実施形態では、青みや赤みなどの色調を示す指標値を設定し、この指標値を満足するように積層膜を形成することで、色調の変化を抑制している。この例では、色調に対する指標値として、青み指標および赤み指標を設定している。
【0077】
青み指標は、透過光が青みを帯びて見えるか否かを判断するための指標値である。青み指標値は、波長が620nm〜750nmの範囲における光源スペクトルと反射率と視感度とをそれぞれ乗じたものを積分した値を、光源スペクトルと視感度とを乗じたものを積分した値で除することで算出される。
【0078】
青み指標値は、好ましくは0.152未満、より好ましくは0.111未満であるのが望ましい。これは、青み指標値が0以上0.111未満の場合には、青みがほとんど気にならず、0.111以上0.152未満の場合には、外の明るさに依存するが、気にならない程度であるからである。一方、青み指標値が0.152以上0.2未満の場合には、特定の角度方向において、透過光がやや青みを帯びて見える傾向があり、0.2以上の場合には、特定の角度方向において、透過光が濃い青みを帯びて見える傾向がある。
【0079】
赤み指標は、透過光が赤みを帯びて見えるか否かを判断するための指標値である。赤み指標値は、青み指標値と同様に、波長が620nm〜750nmの範囲における光源スペクトルと反射率と視感度とをそれぞれ乗じたものを積分した値を、光源スペクトルと視感度とを乗じたものを積分した値で除することで算出される。
【0080】
赤み指標値は、好ましくは0.258未満、より好ましくは0.175未満であるのが望ましい。これは、赤み指標値が0以上0.175未満の場合には、赤みがほとんど気にならず、0.175以上0.258未満の場合には、外の明るさに依存するが、気にならない程度であるからである。一方、赤み指標値が0.258以上0.3未満の場合には、特定の角度方向において、透過光がやや赤みを帯びて見える傾向があり、0.3以上の場合には、特定の角度方向において、透過光が濃い赤みを帯びて見える傾向がある。
【0081】
(光学フィルムの機能)
図7A、図7Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。ここでは、例として、構造体の形状が傾斜角45°のプリズム形状である場合を例として説明する。図7Aに示すように、この光学フィルム1に入射した太陽光のうち近赤外線L1の一部は、入射した方向と同程度の上空方向に指向反射するのに対して、可視光L2は光学フィルム1を透過する。
【0082】
また、図7Bに示すように、光学フィルム1に入射し、反射層3の反射層面で反射された光は、入射角度に応じた割合で、上空反射する成分LAと、上空反射しない成分LBとに分離する。そして、上空反射しない成分LBは、第2の光学層4と空気との界面で全反射した後、最終的に入射方向とは異なる方向に反射する。
【0083】
光の入射角度をδ、第1の光学層4の屈折率をn、反射層3の反射率をRとすると、全入射成分に対する上空反射成分LAの割合xは以下の式(1)で表される。
x=(sin(45−δ’)+cos(45−δ’)/tan(45+δ’))/(sin(45−δ’)+cos(45−δ’))×R2 ・・・(1)
但し、δ’=sin-1(sinδ/n)
【0084】
上空反射しない成分LBの割合が多くなると、入射光が上空反射する割合が減少する。上空反射の割合を向上させるためには、反射層3の形状、すなわち、第1の光学層4の構造体4cの形状を工夫することが有効である。例えば、上空反射の割合を向上させるためには、構造体4cの形状は、図3Cに示すレンチキュラー形状、または図4に示す非対称な形状とすることが好ましい。このような形状にすることで、入射光と全く同じ方向に光を反射することはできなくても、建築用窓材などの上方向から入射した光を上方向に反射させる割合を多くすることが可能である。図3Cおよび図4に示す二つの形状は、図8Aおよび図8Bに示すように、反射層3による入射光の反射回数が1回で済むため、図7に示すような2回(もしくは3回以上)反射させる形状よりも、最終的な反射成分を多くすることが可能である。例えば、2回反射を利用する場合、反射層3のある波長に対する反射率を80%とすると、上空反射率は理論的には64%となるが、1回反射で済めば上空反射率は80%となる。
【0085】
図9は、柱状の構造体4cの稜線l3と、入射光Lおよび反射光L1との関係を示す。光学フィルム1は、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光Lのうち、特定波長帯の光L1を選択的に(θo、−φ)の方向(0°<θo<90°)に指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光L2を透過することが好ましい。このような関係を満たすことで、特定波長帯の光を上空方向に反射できるからである。但し、θ:入射面S1に対する垂線l1と、入射光Lまたは反射光L1とのなす角である。φ:入射面S1内において柱状の構造体4cの稜線l3と直交する直線とl2と、入射光Lまたは反射光L1を入射面S1に射影した成分とのなす角である。なお、垂線l1を基準にして時計回りに回転した角度θを「+θ」とし、反時計回りに回転した角度θを「−θ」とする。直線l2を基準にして時計回りに回転した角度φを「+φ」とし、反時計回りに回転した角度φを「−φ」とする。
【0086】
[光学フィルムの製造装置]
図10は、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムを製造するための製造装置の一構成例を示す概略図である。図10に示すように、この製造装置は、ラミネートロール41、42、ガイドロール43、塗布装置45、および照射装置46を備える。
【0087】
ラミネートロール41、42は、反射層付き光学層9と、第2の基材5aとをニップ可能に構成されている。ここで、反射層付き光学層9は、第1の光学層4の一主面上に反射層3を成膜したものである。なお、反射層付き光学層9として、第1の光学層4の反射層3が成膜された面と反対側の他主面上に第1の基材4aが形成されていてもよい。この例では、第1の光学層4の一主面上に反射層3が成膜され、他主面上に第1の基材4aが形成された場合が示されている。ガイドロール43は、帯状の光学フィルム1を搬送できるように、この製造装置内の搬送路に配置されている。ラミネートロール41、42およびガイドロール43の材質は特に限定されるものではなく、所望とするロール特性に応じてステンレスなどの金属、ゴム、シリコーンなどを適宜選択して用いることができる。
【0088】
塗布装置45は、例えば、コーターなどの塗布手段を備える装置を用いることができる。コーターとしては、例えば、塗布する樹脂組成物の物性などを考慮して、グラビア、ワイヤバー、およびダイなどのコーターを適宜使用することができる。照射装置46は、例えば、電子線、紫外線、可視光線、またはガンマ線などの電離線を照射する照射装置である。この例では、照射装置46として紫外線を照射するUVランプを用いた場合が図示されている。
【0089】
[光学フィルムの製造方法]
以下、図10〜図13を参照して、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例について説明する。なお、以下に示す製造プロセスの一部または全部は、生産性を考慮して、図10に示すようなロール・ツー・ロールにより行われることが好ましい。但し、金型の作製工程は除くものとする。
【0090】
まず、図11Aに示すように、例えばバイト加工またはレーザー加工などにより、構造体4cと同一の凹凸形状の金型、またはその金型の反転形状を有する金型(レプリカ)を形成する。次に、図11Bに示すように、例えば溶融押し出し法または転写法などを用いて、上記金型の凹凸形状をフィルム状の樹脂材料に転写する。転写法としては、型にエネルギー線硬化型樹脂を流し込み、エネルギー線を照射して硬化させる方法、樹脂に熱や圧力を加え、形状を転写する方法、または樹脂フィルムをロールから供給し、熱を加えながら型の形状を転写する方法(ラミネート転写法)などが挙げられる。これにより、図11Cに示すように、一主面に構造体4cを有する第1の光学層4が形成される。
【0091】
また、図11Cに示すように、第1の基材4a上に、第1の光学層4を形成するようにしてもよい。この場合には、例えば、フィルム状の第1の基材4aをロールから供給し、該基材上にエネルギー線硬化型樹脂を塗布した後に型に押し当て、型の形状を転写し、エネルギー線を照射して樹脂を硬化させる方法が用いられる。なお、樹脂は、架橋剤をさらに含んでいることが好ましい。室温での貯蔵弾性率を大きく変化させることなく、樹脂を耐熱化することができるからである。
【0092】
次に、図12Aに示すように、その第1の光学層4の一主面上に反射層3を成膜する。反射層3の成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、ウェットコーティング法、スプレーコーティング法などが挙げられ、これらの成膜方法から、構造体4cの形状などに応じて適宜選択することが好ましい。次に、図12Bに示すように、必要に応じて、反射層3に対してアニール処理31を施す。アニール処理の温度は、例えば100℃以上250℃以下の範囲内である。
【0093】
次に、図12Cに示すように、未硬化状態の樹脂22を反射層3上に塗布する。樹脂22としては、例えば、エネルギー線硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂などを用いることができる。エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線硬化樹脂が好ましい。次に、図13Aのように、樹脂22上に第2の基材5aを被せることにより、積層体を形成する。次に、図13Bに示すように、例えばエネルギー線32または加熱32により樹脂22を硬化させるとともに、積層体に対して圧力33を加える。エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。積算照射量は、樹脂の硬化特性、樹脂や基材11の黄変抑制などを考慮して適宜選択することが好ましい。積層体に加える圧力は、0.01MPa以上1MPa以下の範囲内であることが好ましい。0.01MPa未満であると、フィルムの走行性に問題が生じる。一方、1MPaを超えると、ニップロールとして金属ロールを用いる必要があり、圧力ムラが生じ易く好ましくない。以上により、図13Cに示すように、反射層3上に第2の光学層5が形成され、光学フィルム1が得られる。
【0094】
ここで、図10に示す製造装置を用いて、光学フィルム1の形成方法について具体的に説明する。まず、図示しない基材供給ロールから第2の基材5aを送出し、送出された第2の基材5aは、塗布装置45の下を通過する。次に、塗布装置45の下を通過する第2の基材5a状に、塗布装置45により電離線硬化樹脂44を塗布する。次に、電離線硬化樹脂44が塗布された第2の基材5aをラミネートロールに向けて搬送する。一方、図示しない光学層供給ロールから反射層付き光学層9を送出し、ラミネートロール41、42に向けて搬送する。
【0095】
次に、第2の基材5aと反射層付き光学層9との間に気泡が入らないように、搬入された第2の基材5aと反射層付き光学層9とをラミネートロール41、42により挟み合わせ、第2の基材5aに対して反射層付き光学層9をラミネートする。次に、反射層付き光学層9によりラミネートされた第2の基材5aを、ラミネートロール41の外周面に沿わせながら搬送するとともに、照射装置46により第2の基材5a側から電離線硬化樹脂44に電離線を照射し、電離線硬化樹脂44を硬化させる。これにより、第2の基材5aと反射層付き光学層9とが電離線硬化樹脂44を介して貼り合わされ、目的とする長尺の光学フィルム1が作製される。次に、作製された帯状の光学フィルム1を図示しない巻き取りロールにより巻き取る。これにより、帯状の光学フィルム1が巻回された原反が得られる。
【0096】
硬化した第1の光学層4は、上述の第2の光学層形成時のプロセス温度をt℃としたときに、(t−20)℃における貯蔵弾性率が3×107Pa以上であることが好ましい。ここで、プロセス温度tとは、例えば、ラミネートロール41の加熱温度である。第1の光学層4は、例えば、第1の基材4a上に設けられ、第1の基材4aを介してラミネートロール41に沿うように搬送されるため、実際に第1の光学層4にかかる温度は、経験的に(t−20)℃程度であることが分かっている。したがって、第1の光学層4の(t−20)℃における貯蔵弾性率を3×107Pa以上にすることにより、熱、または熱と加圧とにより光学層内部の界面の凹凸形状が変形することを抑制することができる。
【0097】
また、第1の光学層4は、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下であることが好ましい。これにより、室温において可撓性を光学フィルムに付与することができる。したがって、ロール・ツー・ロールなどの製造工程により光学フィルム1を作製することが可能となる。
【0098】
なお、プロセス温度tは、光学層または基材の使用樹脂の耐熱性を考慮すると、200℃以下であることが好ましい。ただし、耐熱性の高い樹脂を用いることにより、プロセス温度tを200℃以上に設定することも可能である。
【0099】
[反射層の膜厚の設定]
上述したように、青みおよび赤みの色調を示す青み指標値および赤み指標値は、反射層3の積層膜における各層の膜厚に応じて変化する。そこで、この発明の実施形態では、青み指標値および赤み指標値をパラメータとして、このパラメータの条件を満足するような積層膜の膜厚に設定する。
【0100】
また、この例では、青み指標および赤み指標に加えて、可視光線透過率および遮蔽係数をパラメータとして、積層膜の膜厚を設定する。可視光線透過率は、光の透過率を示すパラメータであり、好ましくは70%以上である。遮蔽係数は、熱を遮る効率を示すパラメータであり、好ましくは0.6以下である。可視光線透過率および遮蔽係数についても、青み指標および赤み指標と同様に、積層膜の膜厚に応じて変化する。
【0101】
各パラメータの条件を満足するような積層膜における各層の膜厚は、例えばシミュレーションにより算出することができる。例えば、膜厚に対する各パラメータの分布をシミュレーションにより求めることで、各パラメータの条件を満足する膜厚を設定することができる。
【0102】
シミュレーションを行う際には、反射層3の積層膜における各層の膜厚に応じて決定される比率αおよび比率βで規定する。比率αは、総高屈折率層の光学膜厚に対する総金属層の光学膜厚の比率を示す。比率βは、1層目の高屈折率層の光学膜厚に対する3層目の高屈折率層の光学膜厚の比率を示す。なお、光学膜厚は、幾何膜厚に対して屈折率を乗じることによって得られる膜厚を示す。
【0103】
積層膜の1層目および5層目の高屈折率層の光学膜厚をX1、3層目の高屈折率層の光学膜厚をX2とし、2層目および4層目の金属層の光学膜厚をYとした場合、光学膜厚での総膜厚L、比率αおよび比率βは、以下の式(2)〜式(4)で算出される。
L=X1+Y+X2+Y+X1 ・・・(2)
α=2Y/(2X1+X2) ・・・(3)
β=X2/X1 ・・・(4)
【0104】
上述した式(2)〜式(4)に基づき、総膜厚L、比率αおよび比率βを求めることにより、反射層3の積層膜における各層の、各パラメータの条件を満足する膜厚を設定することができる。
【0105】
なお、この発明の実施形態では、図14に示すように、第1の光学層4に形成された構造体4cの傾斜面に対して垂直な方向を、反射層3の積層膜の厚み方向と定義する。第1の光学層4の主面に対する構造体4cの傾斜面の角度をθとした場合、第1の光学層4の主面に対して垂直な方向の膜厚Aと、構造体4cの傾斜面に対して垂直な方向の膜厚Bとの間には、「A=B/cosθ」の関係が成立する。例えば、構造体4cの傾斜面の角度θが54°の場合、「A≒1.7B」となる。
【0106】
各パラメータの条件を満足する膜厚を決定する処理の流れの一例について、図15に示すフローチャートを参照して説明する。先ず、反射層3の積層膜における各層の膜厚を変化させた場合のシミュレーションを行うために、ステップS1〜ステップS5に示す条件を設定する。ステップS1では、積層膜の総膜厚Lを設定する。ステップS2では、積層膜に形成された形状の傾斜角度を設定する。ステップS3では、積層膜における各層の膜厚分布を設定する。ステップS4では、第1の光学層(形状層)および第2の光学層(包埋層)の屈折率を設定する。ステップS5では、比率αおよび比率βを入力する。
【0107】
ステップS6において、ステップS1〜ステップS5で設定された条件に基づきシミュレーションを行い、設定された比率αおよび比率βにおける各パラメータの値をそれぞれ算出する。ステップS7では、設定された比率αおよび比率βにおける可視光線透過率が算出される。ステップS8では、設定された比率αおよび比率βにおける遮蔽係数が算出される。ステップS9では、設定された比率αおよび比率βにおける青み指標が算出される。ステップS10では、設定された比率αおよび比率βにおける赤み指標が算出される。
【0108】
ステップS11において、比率αおよび比率βを変化させることにより各層の膜厚を変化させ、ステップS6〜ステップS10のシミュレーションを繰り返し行い、各パラメータの値をそれぞれ算出する。
【0109】
ステップS12では、ステップS7〜ステップS10で算出された各パラメータの値をα−β平面上にマッピングし、図16A〜図16Dに示すように、比率αおよび比率βに対する各パラメータの分布を示すα−β相関図を作成する。図16Aは、比率αおよび比率βに対する可視光線透過率の分布を示す。図16Bは、比率αおよび比率βに対する遮蔽係数の分布を示す。図16Cは、比率αおよび比率βに対する青み指標の分布を示す。図16Dは、比率αおよび比率βに対する赤み指標の分布を示す。
【0110】
次に、ステップS13において、図16A〜図16Dに示す各パラメータに対するα−β相関図に基づき、各パラメータの条件を満足する領域を抽出する。図16Bにおいて、網掛けで示す領域は、遮蔽係数の条件を満足しない領域を示している。図16Cにおいて、網掛けで示す領域は、青み指標の条件を満足しない領域を示している。図16Dにおいて、網掛けで示す領域は、赤み指標の条件を満足しない領域を示している。
【0111】
このように作成された、図16A〜図16Dに示すα−β相関図をそれぞれ重ね合わせることにより、各パラメータの条件を満足する領域が抽出される。図16Eは、図16A〜図16Dに示すα−β相関図をそれぞれ重ね合わせた状態を示す。図16Eでは、網掛けされた領域以外の領域が抽出される。この領域が各パラメータの条件を全て満足する領域となる。すなわち、各パラメータの条件を満足する領域は、各パラメータの条件を満足する領域と満足しない領域との境界線に囲まれた領域である。
【0112】
ステップS14では、この境界線を数式化する。例えば、境界線上の所定の値を抽出し、この値に基づき各パラメータの条件を満足する領域と満足しない領域との境界線の近似曲線を導出して、境界線を数式化する。これにより、各パラメータの条件を満足する領域を決定することができる。
【0113】
比率αおよび比率βに対する各パラメータの条件を満足する領域について、具体的に説明する。先ず、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合について、反射層3の総膜厚L毎に説明する。
【0114】
(L=80nm)
図17は、総膜厚Lが80nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。図17において、点「●」および点「▲」は、青み指標の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点を示す。また、点「■」は、赤み指標の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点を示す。図17において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。なお、以下の説明で用いられる図18〜図30についても、同様に表記する。
【0115】
α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(5)〜式(7)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0004β2+0.0053β+0.0065 ・・・(5)
α=−1×10-5β2+0.0007β+0.0066 ・・・(6)
α=−1×10-5β2+0.0005β+0.0119 ・・・(7)
【0116】
この場合、式(5)〜式(7)に示す近似曲線と、以下の式(8)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(8)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。これは、金属層の膜厚が5nm以下となると、金属層に用いられる材料の物性値が変化してしまい、シミュレーション値から乖離する可能性が増大してしまうからである。
α=0.012114 ・・・(8)
【0117】
(L=90nm)
図18は、総膜厚Lが90nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図18において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(9)〜式(11)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(9)
α=−3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(10)
α=−2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(11)
【0118】
この場合、式(9)〜式(11)に示す近似曲線と、以下の式(12)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(12)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.010589 ・・・(12)
【0119】
(L=100nm)
図19は、総膜厚Lが100nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図19において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(13)〜式(15)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α=−0.0002β2+0.0045β−0.0067 ・・・(14)
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
【0120】
この場合、式(13)〜式(15)に示す近似曲線と、以下の式(16)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(16)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.009403 ・・・(16)
【0121】
(L=120nm)
図20は、総膜厚Lが120nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図20において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(17)〜式(19)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(17)
α=−0.0014β2+0.0191β−0.0422 ・・・(18)
α=−9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(19)
【0122】
この場合、式(17)〜式(19)に示す近似曲線と、以下の式(20)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(20)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.007709 ・・・(20)
【0123】
(L=140nm)
図21は、総膜厚Lが140nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図21において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(21)〜式(23)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0014β2+0.0136β−0.0027 ・・・(21)
β=10132α2−241.39α+4.747 ・・・(22)
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
【0124】
この場合、式(21)〜式(23)に示す近似曲線と、以下の式(24)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(24)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.006523 ・・・(24)
【0125】
(L=160nm)
図22は、総膜厚Lが160nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図22において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(25)〜式(28)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.005β2+0.0273β−0.0145 ・・・(25)
α=0.0043β2−0.0332β+0.07 ・・・(26)
β=2.875 ・・・(27)
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
【0126】
この場合、式(25)〜式(28)に示す近似曲線と、以下の式(29)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(29)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.005676 ・・・(29)
【0127】
(L=180nm)
図23は、総膜厚Lが180nmの場合における、可視光線透過率、青み指標および赤み指標の条件に基づくα−β相関図である。なお、図23において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。α−β相関図にプロットされた各パラメータの境界線上の点に基づき、以下の式(30)〜式(32)に示す各パラメータにおける境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0103β2+0.047β−0.0322 ・・・(30)
α=0.0093β2−0.0677β+0.1212 ・・・(31)
α=−0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(32)
【0128】
この場合、式(30)〜式(32)に示す近似曲線と、以下の式(33)に示す直線とに囲まれた、網掛けで示す領域が各パラメータの条件を満足する領域となる。式(33)は、金属層の膜厚が5nm以下となるのを防ぐために設定される。
α=0.00498 ・・・(33)
【0129】
次に、上述した可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、遮蔽係数をパラメータとした場合について、反射層3の総膜厚L毎に説明する。
【0130】
(L=80nm)
図24は、総膜厚Lが80nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。図24において、点「×」は、遮蔽係数の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点を示す。図24において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。なお、以下の説明で用いられる図25〜図30についても、同様に表記する。
【0131】
上述の式(5)〜式(7)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(34)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−6×10-6β2+0.0002β+0.0141 ・・・(34)
【0132】
この場合、式(5)〜式(7)、および式(34)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0133】
(L=90nm)
図25は、総膜厚Lが90nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づく場合のα−β相関図である。なお、図25において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(9)〜式(11)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(35)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−1×10-5β2+0.0002β+0.0125 ・・・(35)
【0134】
この場合、式(9)〜式(11)、および式(35)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0135】
(L=100nm)
図26は、総膜厚Lが100nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づく場合のα−β相関図である。なお、図26において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(13)〜式(15)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(36)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−3×10-5β2+0.0004β+0.0113 ・・・(36)
【0136】
この場合、式(13)〜式(15)、および式(36)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0137】
(L=120nm)
図27は、総膜厚Lが120nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。なお、図27において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(17)〜式(19)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(37)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−7×10-5β2+0.0007β+0.0097 ・・・(37)
【0138】
この場合、式(17)〜式(19)、および式(37)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0139】
(L=140nm)
図28は、総膜厚Lが140nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。なお、図28において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(21)〜式(23)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(38)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0001β2+0.0011β+0.0083 ・・・(38)
【0140】
この場合、式(21)〜式(23)、および式(38)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0141】
(L=160nm)
図29は、総膜厚Lが160nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。なお、図29において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(25)〜式(28)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(39)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0002β2+0.0016β+0.0067 ・・・(39)
【0142】
この場合、式(25)〜式(28)、および式(39)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0143】
(L=180nm)
図30は、総膜厚Lが180nmの場合における、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数の条件に基づくα−β相関図である。なお、図30において、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)は、網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。上述の式(30)〜式(32)に示す境界線の近似曲線に加えて、α−β相関図にプロットされた遮蔽係数の境界線上の点に基づき、以下の式(40)に示す境界線の近似曲線が導出される。
α=−0.0003β2+0.0021β+0.0055 ・・・(40)
【0144】
この場合、式(30)〜式(32)、および式(40)に示す近似曲線に囲まれた、網掛けで示す領域が全てのパラメータの条件を満足する領域となる。
【0145】
次に、総膜厚Lが特定の膜厚以外の場合における、各パラメータの条件を満足する領域を決定する方法について説明する。図31は、図17〜図23に示すα−β相関図に基づき決定された各パラメータの条件を満足する領域を、比率α、比率βおよび総膜厚Lを軸とした3次元平面上にマッピングしたものである。この例では、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合における、各パラメータの条件を満足する領域を示す。なお、各Lの値における、可視光線透過率の条件を満足する領域と満足しない領域との境界線上の所定の点(α,β)およびこれらの点の群から導出される近似曲線は、図31に各Lの値についてそれぞれ網掛けで示す領域の外側となるので、図示を省略している。
【0146】
図31に示すように、各パラメータの条件を満足する領域は、総膜厚Lに対して連続的であると考えられる。そこで、特定の総膜厚L以外の場合には、隣り合う特定の総膜厚Lにおける領域と、隣り合うそれぞれの領域の頂点を互いに結ぶ直線とに内包される領域を、各パラメータの条件を満足する領域とする。
【0147】
先ず、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとし、総膜厚Lを特定の総膜厚Lの間の値に設定した場合について説明する。
【0148】
(80nm≦L≦90nm)
総膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合、図17および図18に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(41)〜式(44)が導出される。
(β-0.5)/0.67 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(41)
(β-5.5)/3.75 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(42)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(43)
(β-0.8)/0.45 = (α-0.01161)/0.0008471 = (90-L)/10 ・・・(44)
【0149】
この場合、図17および図18に示す領域と、式(41)〜式(44)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0150】
(90nm≦L≦100nm)
総膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合、図18および図19に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(45)〜式(48)が導出される。
(0.7-β)/0.2 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(45)
(β-4.4)/1.1 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(46)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(47)
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.00067768 = (100-L)/10 ・・・(48)
【0151】
この場合、図18および図19に示す領域と、式(45)〜式(48)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0152】
(100nm≦L≦120nm)
総膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合、図19および図20に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(49)〜式(52)が導出される。
(β-0.6)/0.1 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(49)
(β-3.6)/0.8 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(50)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(51)
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(52)
【0153】
この場合、図19および図20に示す領域と、式(49)〜式(52)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0154】
(120nm≦L≦140nm)
総膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合、図20および図21に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(53)〜式(56)が導出される。
(0.75-β)/0.15 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(53)
(3.65-β)/0.05 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(54)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(55)
(3.47-β)/2.57 = (α-0.00754)/0,00220246 = (140-L)/20 ・・・(56)
【0155】
この場合、図20および図21に示す領域と、式(53)〜式(56)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0156】
(140nm≦L≦160nm)
総膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合、図21および図22に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(57)〜式(60)が導出される。
(0.9-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(57)
(3.8-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(58)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(59)
(β-1.05)/2.42 = (0.00864-α)/0.00110123 = (160-L)/20 ・・・(60)
【0157】
この場合、図21および図22に示す領域と、式(57)〜式(60)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0158】
(160nm≦L≦180nm)
総膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合、図22および図23に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(61)〜式(64)が導出される。
(1.05-β)/0.15 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(61)
(β-2.75)/1.05 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(62)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(63)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471= (180-L)/20 ・・・(64)
【0159】
この場合、図22および図23に示す領域と、式(61)〜式(64)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0160】
次に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、遮蔽係数をパラメータとし、総膜厚Lを特定の総膜厚Lの間の値に設定した場合について説明する。
【0161】
可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとした場合についても同様に、各パラメータの条件を満足する領域が総膜厚Lに対して連続的であると考えられる。したがって、隣り合う特定の総膜厚Lの値における領域と、隣り合うそれぞれの領域の頂点を互いに結ぶ直線とに内包される領域を、各パラメータの条件を満足する領域とする。
【0162】
(80nm≦L≦90nm)
総膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合、図24および図25に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(65)〜式(69)が導出される。
(β-0.8)/11.6 = (α-0.01161)/0.00398137 = (90-L)/10 ・・・(65)
(β-8.9)/10.4 = (α-0.01398)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(66)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(67)
(β-4.9)/16.1 = (α−0.01347)/0.00237188 = (90-L)/10 ・・・(68)
(β-4.9)/7.5 = (α−0.01347)/0.00211775 = (90-L)/10 ・・・(69)
【0163】
この場合、図24および図25に示す領域と、式(65)〜式(69)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0164】
(90nm≦L≦100nm)
総膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合、図25および図26に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(70)〜式(73)が導出される。
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.0067768 = (100-L)/10 ・・・(70)
(β-5.8)/3.1 = (α-0.01262)/0.00135536 = (100-L)/10 ・・・(71)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(72)
(β-2.8)/2.1 = (α-0.0122)/0.00127065 = (100-L)/10 ・・・(73)
【0165】
この場合、図25および図26に示す領域と、式(70)〜式(73)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0166】
(100nm≦L≦120nm)
総膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合、図26および図27に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(74)〜式(77)が導出される。
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(74)
(β-4)/1.8 = (α-0.01144)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(75)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(76)
(β-1.7)/1.1 = (α-0.01076)/0.00144007 = (120-L)/20 ・・・(77)
【0167】
この場合、図26および図27に示す領域と、式(74)〜式(77)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0168】
(120nm≦L≦140nm)
総膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合、図27および図28に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(78)〜式(81)が導出される。
(1-β)/0.1 = (α-0.00923)/0.00050826 = (140-L)/20 ・・・(78)
(β-3.3)/0.7 = (α-0.01042)/0.00101652 = (140-L)/20 ・・・(79)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(80)
(β-1.1)/0.6 = (α-0.0094)/0.00135536 = (140-L)/20 ・・・(81)
【0169】
この場合、図27および図28に示す領域と、式(78)〜式(81)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0170】
(140nm≦L≦160nm)
総膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合、図28および図29に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(82)〜式(85)が導出される。
(1.05-β)/0.05 = (α-0.00822)/0.00101652 = (160-L)/20 ・・・(82)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.00991)/0.00050826 = (160-L)/20 ・・・(83)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(84)
(β-1.05)/0.05 = (α-0.00864)/0.00076239 = (160-L)/20 ・・・(85)
【0171】
この場合、図28および図29に示す領域と、式(82)〜式(85)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0172】
(160nm≦L≦180nm)
総膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合、図29および図30に示す各パラメータの条件を満足する領域における頂点の情報に基づき、以下の式(86)〜式(89)が導出される。
(1.15-β)/0.1 = (α-0.00754)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(86)
(β-2.55)/0.3 = (α-0.00889)/0.00101652 = (180-L)/20 ・・・(87)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(88)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471 = (180-L)/20 ・・・(89)
【0173】
この場合、図29および図30に示す領域と、式(86)〜式(89)に示す直線とに内包される空間が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
【0174】
このように、総膜厚Lを設定し、網掛けで示す領域内の比率αおよび比率βとなるように各層の膜厚を設定することで、各パラメータの条件を満足する積層膜を作製することができる。
【0175】
上述では、特定の総膜厚L以外の場合における各パラメータの条件を満足する領域を、隣り合う特定の総膜厚Lにおける領域と、それぞれの頂点を互いに結ぶ直線とに内包される領域とするようにしているが、これはこの例に限られない。例えば、総膜厚Lが特定の値以外である場合における各パラメータの条件を満足する領域は、隣り合う特定の総膜厚Lの値における領域同士が重なり合う領域としてもよい。
【0176】
先ず、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合について説明する。図32Aは、可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングしたものである。この例では、総膜厚Lが160nmおよび180nmの場合の領域を示す。
【0177】
図32Aに示すように、隣り合う特定の総膜厚Lにおける領域を同一平面上にマッピングすることにより、2つの領域が重なる領域が形成される。このとき、重なる領域を各パラメータの条件を満足する領域とすることができる。互いに重なる領域は、それぞれの領域を形成する近似曲線に基づき決定することができる。
【0178】
(80nm<L<90nm)
総膜厚Lが80nmを超え90nm未満である場合、図17および図18に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(8)、式(10)および式(11)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=0.012114 ・・・(8)
α=−3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(10)
α=−2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(11)
【0179】
(90nm<L<100nm)
総膜厚Lが90nmを超え100nm未満である場合、図18および図19に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(11)〜式(15)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(11)
α=0.010589 ・・・(12)
α=−0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α=−0.0002β2+0.0045β−0.0067 ・・・(14)
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
【0180】
(100nm<L<120nm)
総膜厚Lが100nmを超え120nm未満である場合、図19および図20に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(15)〜式(19)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α=0.009403 ・・・(16)
α=−0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(17)
α=−0.0014β2+0.0191β−0.0422 ・・・(18)
α=−9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(19)
【0181】
(120nm<L<140nm)
総膜厚Lが120nmを超え140nm未満である場合、図20および図21に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(20)〜式(23)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=0.007709 ・・・(20)
α=−0.0014β2+0.0136β−0.0027 ・・・(21)
β=10132α2−241.39α+4.747 ・・・(22)
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
【0182】
(140nm<L<160nm)
総膜厚Lが140nmを超え160nm未満である場合、図21および図22に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(23)〜式(28)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
α=0.006523 ・・・(24)
α=−0.005β2+0.0273β−0.0145 ・・・(25)
α=0.0043β2−0.0332β+0.07 ・・・(26)
β=2.875 ・・・(27)
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
【0183】
(160nm<L<180nm)
総膜厚Lが160nmを超え180nm未満である場合、図22および図23に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(28)〜式(32)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
α=0.005676 ・・・(29)
α=−0.0103β2+0.047β−0.0322 ・・・(30)
α=0.0093β2−0.0677β+0.1212 ・・・(31)
α=−0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(32)
【0184】
次に、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、遮蔽係数をパラメータとした場合について説明する。図32Bは、可視光線透過率、青み指標、赤み指標および遮蔽係数をパラメータとした場合の、各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングしたものである。この例では、総膜厚Lが160nmおよび180nmの場合の領域を示す。
【0185】
図32Bに示すように、隣り合う特定の総膜厚Lにおける領域を同一平面上にマッピングすることにより、2つの領域が重なる領域が形成される。このとき、重なる領域を各パラメータの条件を満足する領域とすることができる。互いに重なる領域は、それぞれの領域を形成する近似曲線に基づき決定することができる。
【0186】
なお、総膜厚Lが80nmを超え90nm未満である場合には、図24および図25に示す各パラメータの条件を満足する領域を同一平面上にマッピングしても、互いに重なる領域が存在しないため、この方法による各パラメータの条件を満足する領域の決定を行うことができない。
【0187】
(90nm<L<100nm)
総膜厚Lが90nmを超え100nm未満である場合、図25および図26に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(11)、式(14)、式(15)および式(35)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(11)
α=−0.0002β2+0.0045β−0.0067 ・・・(14)
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α=−1×10-5β2+0.0002β+0.0125 ・・・(35)
【0188】
(100nm<L<120nm)
総膜厚Lが100nmを超え120nm未満である場合、図26および図27に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(15)、式(18)、式(19)および式(36)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α=−0.0014β2+0.0191β−0.0422 ・・・(18)
α=−9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(19)
α=−3×10-5β2+0.0004β+0.0113 ・・・(36)
【0189】
(120nm<L<140nm)
総膜厚Lが120nmを超え140nm未満である場合、図27および図28に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(19)、式(22)、式(23)および式(37)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(19)
β=10132α2−241.39α+4.747 ・・・(22)
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
α=−7×10-5β2+0.0007β+0.0097 ・・・(37)
【0190】
(140nm<L<160nm)
総膜厚Lが140nmを超え160nm未満である場合、図28および図29に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(23)、式(26)、式(28)および式(38)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(23)
α=0.0043β2−0.0332β+0.07 ・・・(26)
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
β=2.875 ・・・(32)
α=−0.0001β2+0.0011β+0.0083 ・・・(38)
【0191】
(160nm<L<180nm)
総膜厚Lが160nmを超え180nm未満である場合、図29および図30に示す各パラメータの条件を満足する領域に基づき、以下の式(28)、式(30)、式(32)、式(39)および式(40)で囲まれる領域が、各パラメータの条件を満足する領域となる。
α=−0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(28)
α=−0.0103β2+0.047β−0.0322 ・・・(30)
α=−0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(32)
α=−0.0002β2+0.0016β+0.0067 ・・・(39)
α=−0.0003β2+0.0021β+0.0055 ・・・(40)
【0192】
第1の実施形態によれば、反射層3の各層の膜厚に応じて決定される比率αおよび比率βに対する各パラメータの条件を満足する領域を決定し、比率αおよび比率βがこの領域内に含まれるように反射膜3の膜厚を設定することにより、色調変化を抑制することができる。
【0193】
<変形例>
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
【0194】
[第1の変形例]
図33Aは、本発明の第1の実施形態の第1の変形例を示す断面図である。図33Aに示すように、この第1の変形例に係る光学フィルム1は、凹凸形状の入射面S1を有している。この入射面S1の凹凸形状と、第1の光学層4の凹凸形状とは、例えば、両者の凹凸形状が対応するように形成されており、凸部の頂部と凹部の最下部との位置が一致している。入射面S1の凹凸形状は、第1の光学層4の凹凸形状よりもなだらかであることが好ましい。
【0195】
[第2の変形例]
図33Bは、本発明の第1の実施形態の第2の変形例を示す断面図である。図33Bに示すように、この第2の変形例に係る光学フィルム1では、反射層3が形成された第1の光学層4の凹凸面のうちの凸形状頂部の位置が、第1の光学層4の入射面S1とほぼ同一の高さとなるように形成されている。
【0196】
<2.第2の実施形態>
図34〜図37は、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムの構造体の構成例を示す。第2の実施形態において、第1の実施形態と対応する箇所には同一の符号を付す。第2の実施形態は、第1の光学層4の一主面に、構造体4cが2次元配列されている点において、第1の実施形態とは異なっている。2次元配列は、最稠密充填状態での2次元配列であることが好ましい。指向反射率を向上することができるからである。
【0197】
図34A〜図34Bに示すように、第1の光学層4の一主面には、例えば、柱状の構造体(柱状体)4cを直交配列することにより形成されている。具体的には、第1の方向に向かって配列された第1の構造体4cと、上記第1の方向とは直交する第2の方向に向かって配列された第2の構造体4cとが、互いの側面を貫通するように配列されている。柱状の構造体4cは、例えば、プリズム形状(図34A)、レンチキュラー形状(図34B)などの柱状、またはこれらの柱状の頂部を多角形状(例えば五角形状)とした形状(図34C)を有する凸部または凹部である。
【0198】
また、第1の光学層4の一主面に、例えば、球面状やコーナーキューブ状などの形状を有する構造体4cを最稠密充填状態で2次元配列することにより、正方稠密アレイ、デルタ稠密アレイ、六方稠密アレイなどの稠密アレイを形成するようにしてもよい。正方稠密アレイは、例えば図35A〜図35Cに示すように、四角形状(例えば正方形状)の底面を有する構造体4cを正方稠密状、すなわちマトリックス状(格子状)に配列させたものである。六方稠密アレイは、例えば図36A〜図36Cに示すように、六方形状の底面を有する構造体4cを六方稠密状に配列させたものである。デルタ稠密アレイは、例えば図37A〜図37Bに示すように、三角形状の底面を有する構造体4c(例えば三角錐)を最稠密充填状態で配列させたものである。
【0199】
構造体4cは、例えば、コーナーキューブ状、半球状、半楕円球状、プリズム状、シリンドリカル形状、自由曲面状、多角形状、円錐形状、多角錐状、円錐台形状、放物面状などの凸部または凹部である。構造体4cの底面は、例えば、円形状、楕円形状、または三角形状、四角形状、六角形状もしくは八角形状などの多角形状を有している。また、構造体4cのピッチP1、P2は、所望とする光学特性に応じて適宜選択することが好ましい。また、光学フィルム1の入射面に対して垂直な垂線に対して、構造体4cの主軸を傾ける場合、構造体4cの2次元配列のうちの少なくとも一方の配列方向に構造体4cの主軸を傾けるようにすることが好ましい。地面に対して略垂直に配置された窓材に光学フィルム1を貼る場合には、構造体4cの主軸が、垂線を基準にして窓材の下方(地面側)に傾いていることが好ましい。
【0200】
構造体4cがコーナーキューブ形状の場合、稜線Rが大きい場合は、上空に向けて傾けた方が良く、下方反射を抑制するという目的においては、地面側に向けて傾いている方が好ましい。太陽光線は、フィルムに対して斜めから入射するため、構造の奥まで光が入射しにくく、入射側の形状が重要となる。すなわち、稜線部分のRが大きい場合は、再帰反射光が減少してしまうため、上空に向けて傾けることでこの現象を抑制することができる。また、コーナーキューブ体では、反射面で3回反射することで再帰反射を実現するが、一部の光が2回反射により再帰反射以外の方向に漏れる。コーナーキューブを地面側に向けて傾けることで、この漏れ光を上空方向に多く戻すことができる。このように、形状や目的に応じてどちらの方向に傾けても良い。
【0201】
<3.第3の実施形態>
図38Aは、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。第3の実施形態は、光の入射面に対して傾斜した複数の反射層3を光学層2内に備え、これらの反射層3を互いに平行に配列している点において、第1の実施形態とは異なっている。
【0202】
図38Bは、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの構造体の一構成例を示す斜視図である。構造体4cは、一方向に延在された三角柱状の凸部であり、この柱状の構造体4cが一方向に向かって一次元配列されている。構造体4cの延在方向に垂直な断面は、例えば、直角三角形状を有する。構造体4cの鋭角側の傾斜面上に、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの、指向性を有する薄膜形成法により、反射層3が形成される。
【0203】
第3の実施形態によれば、複数の反射層3を光学層5内に平行に配列している。これにより、反射層3による反射回数を、コーナーキューブ形状やプリズム形状の構造体4cを形成した場合に比べて低減することができる。したがって、反射率を高くすることができ、かつ、反射層3による光の吸収を低減できる。
【0204】
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態は、特定波長の光を指向反射するのに対して、特定波長以外の光を散乱させる点において、第1の実施形態とは異なっている。光学フィルム1は、入射光を散乱する光散乱体を備えている。この散乱体は、例えば、光学層2の表面、光学層2の内部、および反射層3と光学層2との間のうち、少なくとも1箇所に設けられている。光散乱体は、好ましくは、反射層3と第1の光学層4との間、第1の光学層4の内部、および第1の光学層4の表面のうちの少なくとも一箇所に設けられている。光学フィルム1を窓材などの支持体に貼り合わせる場合、室内側および室外側のどちらにも適用可能である。光学フィルム1を室外側に対して貼り合わせる場合、反射層3と窓材などの支持体との間にのみ、特定波長以外の光を散乱させる光散乱体を設けることが好ましい。反射層3と入射面との間に光散乱体が存在すると、指向反射特性が失われてしまうからである。また、室内側に光学フィルム1を貼り合せる場合には、その貼り合わせ面とは反対側の出射面と、反射層3との間に光散乱体を設けることが好ましい。
【0205】
図39Aは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルム1の第1の構成例を示す断面図である。図39Aに示すように、第1の光学層4は、樹脂と微粒子11とを含んでいる。微粒子11は、第1の光学層4の主構成材料である樹脂とは異なる屈折率を有している。微粒子11としては、例えば有機微粒子および無機微粒子の少なくとも1種を用いることができる。また、微粒子11としては、中空微粒子を用いてもよい。微粒子11としては、例えば、シリカ、アルミナなどの無機微粒子、またはスチレン、アクリルやそれらの共重合体などの有機微粒子が挙げられるが、シリカ微粒子が特に好ましい。
【0206】
図39Bは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルム1の第2の構成例を示す断面図である。図39Bに示すように、光学フィルム1は、第1の光学層4の表面に光拡散層12をさらに備えている。光拡散層12は、例えば、樹脂と微粒子とを含んでいる。微粒子としては、第1の例と同様のものを用いることができる。
【0207】
図39Cは、本発明の第4の実施形態に係る光学フィルム1の第3の構成例を示す断面図である。図39Cに示すように、光学フィルム1は、反射層3と第1の光学層4との間に光拡散層12をさらに備えている。光拡散層12は、例えば、樹脂と微粒子とを含んでいる。微粒子としては、第1の例と同様のものを用いることができる。
【0208】
第4の実施形態によれば、赤外線などの特定波長帯の光を指向反射し、可視光などの特定波長対以外の光を散乱させることができる。したがって、光学フィルム1を曇らせて、光学フィルム1に対して意匠性を付与することができる。
【0209】
<5.第5の実施形態>
図40Aは、本発明の第5の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。第5の実施形態において、第1の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。図40Aに示すように、第5の実施形態に係る光学フィルム1は、光学層2aの凹凸面が樹脂材料などにより包埋されてはおらず、光学層2aの凹凸面上に形成された反射層3が露出している点において、第1の実施形態とは異なっている。光学フィルム1は、太陽光などの光が入射する凹凸形状の入射面S1と、この入射面S1より入射した光のうち、光学フィルム1を透過した光が出射される出射面S2とを有する。
【0210】
光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2aの出射面S2に基材2bをさらに備えるようにしてもよい。また、光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2aの出射面S2上、または基材2b上に、貼合層6、および剥離層7を備えるようにしてもよい。光学層2a、基材2bとしては、上述の第1の実施形態における第1の光学層4、基材4aと同様のものを用いることができる。
【0211】
図40Bは、本発明の第5の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。図40Bに示すように、光学フィルム1の入射面S2が、例えば、貼合層6を介して被着体10aに対して貼り合わされる。被着体10aとしては、窓材、ブラインド、ロールスクリーン、プリーツスクリーンなどが好ましい。
【0212】
第5の実施形態によれば、反射層3が形成された光学層2aの凹凸面を入射面S1としているので、入射する光の一部は入射面S1により散乱されるのに対して、散乱されなかった光の一部が光学フィルム1を透過する。したがって、入射光により光の明るさを感じることはできるが、不透明であるという光学フィルム1を得ることができる。このような特性を有するため光学フィルム1は、プライバシーが要求される内装部材、外装部材、および日射遮蔽部材など、より具体的には窓材、ブラインド、ロールスクリーン、およびプリーツスクリーンなどに適用して好適である。
【0213】
<6.第6の実施形態>
図41は、本発明の第6の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。第6の実施形態は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、被着体に貼り合わされる面とは反対側の露出面上に、洗浄効果を発現する自己洗浄効果層51をさらに備えている点において、第1の実施形態とは異なっている。自己洗浄効果層51は、例えば、光触媒を含んでいる。光触媒としては、例えば、TiO2を用いることができる。
【0214】
上述したように、光学フィルム1は入射光を半透過する点に特徴を有している。光学フィルム1を屋外や汚れの多い部屋などで使用する際には、表面に付着した汚れにより光が散乱され透過性および反射性が失われてしまうため、表面が常に光学的に透明であることが好ましい。そのため、表面が撥水性や親水性などに優れ、表面が自動的に洗浄効果を発現することが好ましい。
【0215】
第6の実施形態によれば、光学フィルム1が自己洗浄効果層51を備えているので、撥水性や親水性などを入射面に付与することができる。したがって、入射面に対する汚れなどの付着を抑制し、指向反射特性の低減を抑制できる。
【0216】
<7.第7の実施形態>
上述の第1の実施形態では、本発明を窓材などに適用する場合を例として説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、窓材以外の内装部材や外装部材などに適用することが可能である。また、本発明は壁や屋根などのように固定された不動の内装部材および外装部材のみならず、季節や時間変動などに起因する太陽光の光量変化に応じて、太陽光の透過量および/または反射量を内装部材または外装部材を動かして調整し、屋内などの空間に取り入れ可能な装置にも適用可能である。第7の実施形態では、このような装置の一例として、複数の日射遮蔽部材からなる日射遮蔽部材群の角度を変更することにより、日射遮蔽部材群による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置(ブラインド装置)について説明する。
【0217】
図42は、本発明の第7の実施形態に係るブラインド装置の一構成例を示す斜視図である。図42に示すように、日射遮蔽装置であるブラインド装置は、ヘッドボックス203と、複数のスラット(羽)202aからなるスラット群(日射遮蔽部材群)202と、ボトムレール204とを備える。ヘッドボックス203は、複数のスラット202aからなるスラット群202の上方に設けられている。ヘッドボックス203からラダーコード206、および昇降コード205が下方に向かって延びており、これらのコードの下端にボトムレール204が吊り下げられている。日射遮蔽部材であるスラット202aは、例えば、細長い矩形状を有し、ヘッドボックス203から下方に延びるラダーコード206により所定間隔で吊り下げ支持されている。また、ヘッドボックス203には、複数のスラット202aからなるスラット群202の角度を調整するためのロッドなどの操作手段(図示省略)が設けられている。
【0218】
ヘッドボックス203は、ロッドなどの操作手段の操作により応じて、複数のスラット202aからなるスラット群202を回転駆動することにより、室内などの空間に取り込まれる光量を調整する駆動手段である。また、ヘッドボックス203は、昇降操作コード207などの操作手段の適宜操作に応じて、スラット群202を昇降する駆動手段(昇降手段)としての機能も有している。
【0219】
図43Aは、スラットの第1の構成例を示す断面図である。図43Aに示すように、スラット202は、基材211と、光学フィルム1とを備える。光学フィルム1は、基材211の両主面のうち、スラット群202を閉じた状態において外光が入射する入射面側(例えば窓材に対向する面側)に設けることが好ましい。光学フィルム1と基材211とは、例えば、接着層または粘着層などの貼合層により貼り合される。
【0220】
基材211の形状としては、例えば、シート状、フィルム状、および板状などを挙げることができる。基材211の材料としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空間に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来ロールスクリーンとして公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第6の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0221】
図43Bは、スラットの第2の構成例を示す断面図である。図43Bに示すように、第2の構成例は、光学フィルム1をスラット202aとして用いるものである。光学フィルム1は、ラダーコード205により支持可能であるとともに、支持した状態において形状を維持できる程度の剛性を有していることが好ましい。
【0222】
<8.第8の実施形態>
第8の実施形態では、日射遮蔽部材を巻き取る、または巻き出すことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置の一例であるロールスクリーン装置について説明する。
【0223】
図44Aは、本発明の第8の実施形態に係るロールスクリーン装置の一構成例を示す斜視図である。図44Aに示すように、日射遮蔽装置であるロールスクリーン装置301は、スクリーン302と、ヘッドボックス303と、芯材304とを備える。ヘッドボックス303は、チェーン205などの操作部を操作することにより、スクリーン302を昇降可能に構成されている。ヘッドボックス303は、その内部にスクリーンを巻き取り、および巻き出すための巻軸を有し、この巻軸に対してスクリーン302の一端が結合されている。また、スクリーン302の他端には芯材304が結合されている。スクリーン302は可撓性を有し、その形状は特に限定されるものではなく、ロールスクリーン装置301を適用する窓材などの形状に応じて選択することが好ましく、例えば矩形状に選ばれる。
【0224】
図44Bは、スクリーン302の一構成例を示す断面図である。図44Bに示すように、スクリーン302は、基材311と、光学フィルム1とを備え、可撓性を有していることが好ましい。光学フィルム1は、基材211の両主面のうち、外光を入射させる入射面側(窓材に対向する面側)に設けることが好ましい。光学フィルム1と基材311とは、例えば、接着層または粘着層などの貼合層により貼り合される。なお、スクリーン302の構成はこの例に限定されるものではなく、光学フィルム1をスクリーン302として用いるようにしてもよい。
【0225】
基材311の形状としては、例えば、例えば、シート状、フィルム状、および板状などを挙げることができる。基材311としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空間に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来ロールスクリーンとして公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第6の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0226】
<9.第9の実施形態>
第9の実施形態では、指向反射性能を有する光学体に採光部を備える建具(内装部材または外装部材)に対して本発明を適用した例について説明する。
【0227】
図45Aは、本発明の第9の実施形態に係る建具の一構成例を示す斜視図である。図45Aに示すように、建具401は、その採光部404に光学体402を備える構成を有している。具体的には、建具401は、光学体402と、光学体402の周縁部に設けられる枠材403とを備える。光学体402は枠材403により固定され、必要に応じて枠材403を分解して光学体402を取り外すことが可能である。建具401としては、例えば障子を挙げることができるが、本発明はこの例に限定されるものではなく、採光部を有する種々の建具に適用可能である。
【0228】
図45Bは、光学体の一構成例を示す断面図である。図44に示すように、光学体402は、基材411と、光学フィルム1とを備える。光学フィルム1は、基材411の両主面のうち、外光を入射させる入射面側(窓材に対向する面側)に設けられる。光学フィルム1と基材311とは、接着層または粘着層などの貼合層などにより貼り合される。なお、障子402の構成はこの例に限定されるものではなく、光学フィルム1を光学体402として用いるようにしてもよい。
【0229】
基材411は、例えば、可撓性を有するシート、フィルム、または基板である。基材411としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空欄に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来建具の光学体として公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第6の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0230】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0231】
以下の実施例では、反射層3の積層膜における各層の膜厚を変化させた場合の積層膜の光学特性をシミュレーションにより求めた。シミュレーションは、ORA(Optical Research Associates)社の光学シミュレーションソフト(Light Tools)を用い、下記のサンプル1−1〜サンプル7−5に示す積層膜に対して行い、比率αおよび比率βを変化させた場合の可視光線透過率、遮蔽係数、青み指標および赤み指標の値を求めた。
【0232】
(サンプル1−1)
まず、高屈折率層および金属層を積層し、5層構造とした積層膜を想定した。この積層膜の構成の詳細を以下に示す。
層構成:高屈折率層/金属層/高屈折率層/金属層/高屈折率層
総膜厚L:90nm
高屈折率層:
材料:GAZO
屈折率:1.936
1層目および5層目の幾何膜厚:6.73nm
3層目の膜厚:56.53nm
金属層:
材料:AgNdCu
屈折率:0.164
2層目および4層目の幾何膜厚:5.0nm
比率α:0.0121
比率β:8.4
【0233】
(サンプル1−2)
比率α:0.0138、比率β:12.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0234】
(サンプル1−3)
比率α:0.0138、比率β:17.9となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0235】
(サンプル1−4)
比率α:0.0155、比率β:17.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0236】
(サンプル1−5)
比率α:0.0172、比率β:14.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0237】
(サンプル2−1)
積層膜の総膜厚L:90nmとするとともに、比率α:0.0106、比率β:4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0238】
(サンプル2−2)
比率α:0.0123、比率β:10.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル2−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0239】
(サンプル2−3)
比率α:0.014、比率β:7.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル2−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0240】
(サンプル2−4)
比率α:0.0157、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル2−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0241】
(サンプル2−5)
比率α:0.0157、比率β:9となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル2−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0242】
(サンプル3−1)
積層膜の総膜厚L:100nmとするとともに、比率α:0.0095、比率β:4.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0243】
(サンプル3−2)
比率α:0.0122、比率β:6.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル3−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0244】
(サンプル3−3)
比率α:0.0129、比率β:4.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル3−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0245】
(サンプル3−4)
比率α:0.0129、比率β:7.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプ3−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0246】
(サンプル3−5)
比率α:0.0146、比率β:4.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル3−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0247】
(サンプル4−1)
積層膜の総膜厚L:120nmとするとともに、比率α:0.0094、比率β:3となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
(サンプル4−2)
比率α:0.0111、比率β:4.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル4−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0248】
(サンプル4−3)
比率α:0.0128、比率β:4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル4−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0249】
(サンプル4−4)
比率α:0.0128、比率β:5.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル4−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0250】
(サンプル4−5)
比率α:0.0145、比率β:3となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル4−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0251】
(サンプル5−1)
積層膜の総膜厚L:140nmとするとともに、比率α:0.0065、比率β:2.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0252】
(サンプル5−2)
比率α:0.0082、比率β:3.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル5−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0253】
(サンプル5−3)
比率α:0.0099、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル5−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0254】
(サンプル5−4)
比率α:0.0099、比率β:4.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル5−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0255】
(サンプル5−5)
比率α:0.0116、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル5−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0256】
(サンプル6−1)
積層膜の総膜厚L:160nmとするとともに、比率α:0.0057、比率β:2.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0257】
(サンプル6−2)
比率α:0.0074、比率β:3.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル6−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0258】
(サンプル6−3)
比率α:0.0091、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル6−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0259】
(サンプル6−4)
比率α:0.0108、比率β:1.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル6−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0260】
(サンプル6−5)
比率α:0.0125、比率β:3.2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル6−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0261】
(サンプル7−1)
積層膜の総膜厚L:180nmとするとともに、比率α:0.005、比率β:1.8となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル1−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0262】
(サンプル7−2)
比率α:0.0067、比率β:3.4となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル7−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0263】
(サンプル7−3)
比率α:0.0101、比率β:2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル7−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0264】
(サンプル7−4)
比率α:0.0118、比率β:1.6となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル7−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0265】
(サンプル7−5)
比率α:0.0135、比率β:2となるように各層の膜厚を変化させる以外はサンプル7−1と同様にして、積層膜を想定した。
【0266】
[シミュレーション結果]
サンプル1−1〜サンプル7−5に示す積層膜に対するシミュレーションの結果を表1に示す。
【0267】
【表1】
【0268】
表1から以下のことがわかる。
【0269】
(L=80nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル1−1、サンプル1−2およびサンプル1−4は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図17に示す領域内となる。サンプル1−3は、青み指標が条件を満足しないため、図17に示す領域外となる。サンプル1−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図17に示す領域外となる。
【0270】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル1−4は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図24に示す領域内となる。サンプル1−1およびサンプル1−2は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図24に示す領域外となる。
【0271】
(L=90nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル2−1およびサンプル2−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図18に示す領域内となる。サンプル2−2は、青み指標が条件を満足しないため、図18に示す領域外となる。サンプル2−4は、可視光線透過率、青み指標および赤み指標が条件を満足しないため、図18に示す領域外となる。サンプル2−5は、赤み指標が条件を満足しないため、図18に示す領域外となる。
【0272】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル2−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図25に示す領域内となる。サンプル2−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図25に示す領域外となる。
【0273】
(L=100nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル3−1およびサンプル3−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図19に示す領域内となる。サンプル3−2およびサンプル3−4は、青み指標が条件を満足しないため、図19に示す領域外となる。サンプル3−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図19に示す領域外となる。
【0274】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル3−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図26に示す領域内となる。サンプル3−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図26に示す領域外となる。
【0275】
(L=120nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル4−1およびサンプル4−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図20に示す領域内となる。サンプル4−2およびサンプル4−4は、青み指標が条件を満足しないため、図20に示す領域外となる。サンプル4−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図20に示す領域外となる。
【0276】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル4−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図27に示す領域内となる。サンプル4−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図27に示す領域外となる。
【0277】
(L=140nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル5−1およびサンプル5−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図21に示す領域内となる。サンプル5−2およびサンプル5−4は、青み指標が条件を満足しないため、図21に示す領域外となる。サンプル5−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図21に示す領域外となる。
【0278】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル5−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図28に示す領域内となる。サンプル5−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図28に示す領域外となる。
【0279】
(L=160nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル6−1およびサンプル6−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図22に示す領域内となる。サンプル6−2およびサンプル6−5は、青み指標が条件を満足しないため、図22に示す領域外となる。サンプル6−4は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図22に示す領域外となる。
【0280】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル6−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図29に示す領域内となる。サンプル6−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図29に示す領域外となる。
【0281】
(L=180nm)
可視光線透過率、青み指標および赤み指標をパラメータとした場合、サンプル7−1およびサンプル7−3は、各パラメータの条件を満足するため、設定された比率αおよび比率βが図23に示す領域内となる。サンプル7−2は、青み指標が条件を満足しないため、図23に示す領域外となる。サンプル7−4およびサンプル7−5は、可視光線透過率および赤み指標が条件を満足しないため、図23に示す領域外となる。
【0282】
また、可視光線透過率、青み指標および赤み指標に加えて、さらに遮蔽係数をパラメータとした場合、サンプル7−3は、遮蔽係数の条件についても満足するため、設定された比率αおよび比率βが図30に示す領域内となる。サンプル7−1は、遮蔽係数の条件を満足しないため、図30に示す領域外となる。
【0283】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0284】
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0285】
また、上述の実施形態の各構成は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0286】
また、上述の実施形態では、ブランインド装置、およびロールスクリーン装置の駆動方式が手動式である場合を例として説明したが、ブランインド装置、およびロールスクリーン装置の駆動方式を電動式としてもよい。
【0287】
また、上述の実施形態では、光学フィルムを窓材などの被着体に貼り合わせる構成を例として説明したが、窓材などの被着体を光学フィルムの第1の光学層、または第2の光学層自体とする構成を採用するようにしてもよい。これにより、窓材などの光学体に予め指向反射の機能を付与することができる。
【0288】
また、上述の実施形態では、光学体が光学フィルムである場合を例として説明したが、光学体の形状はフィルム状に限定されるものではなく、プレート状、ブロック状などでもよい。
【0289】
上述の実施形態では、本発明を窓材、建具、ブラインド装置のスラット、およびロールスクリーン装置のスクリーンなどの内装部材または外装部材に適用した場合を例として説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、上記以外の内装部材および外装部材にも適用可能である。
【0290】
本発明に係る光学体が適用される内装部材または外装部材としては、例えば、光学体自体により構成された内装部材または外装部材、指向反射体が貼り合わされた透明基材などにより構成された内装部材または外装部材などが挙げられる。このような内装部材または外装部材を室内の窓付近に設置することで、例えば、赤外線だけを屋外に指向反射し、可視光線を室内に取り入れることができる。したがって、内装部材または外装部材を設置した場合にも、室内照明の必要性が低減される。また、内装部材または外装部材による室内側への散乱反射も殆どないため、周囲の温度上昇も抑えることができる。また、視認性制御や強度向上など必要な目的に応じ、透明基材以外の貼り合わせ部材に適用することも可能である。
【0291】
また、上述の実施形態では、ブラインド装置、およびロールスクリーン装置に対して本発明を適用した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、室内または屋内に設置される種々の日射遮蔽装置に適用可能である。
【0292】
また、上述の実施形態では、日射遮蔽部材を巻き取る、または巻き出すことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置(例えばロールスクリーン装置)に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、日射遮蔽部材を折り畳むことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置に対しても本発明は適用可能である。このような日射遮蔽装置としては、例えば、日射遮蔽部材であるスクリーンを蛇腹状に折り畳むことで、入射光線の遮蔽量を調整するプリーツスクリーン装置を挙げることができる。
【0293】
また、上述の実施形態では、本発明を横型ブラインド装置(ベネシアンブラインド装置)に対して適用した例について説明したが、縦型ブラインド装置(バーチカルブラインド装置)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0294】
1 光学フィルム
2 光学層
3 反射層
4 第1の光学層
4a 第1の基材
5 第2の光学層
5a 第2の基材
6 貼合層
7 剥離層
8 ハードコート層
9 反射層付き光学層
S1 入射面
S2 出射面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(1)〜式(4)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(5)〜式(8)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(9)〜式(12)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0004β2+0.0053β+0.0065 ・・・(1)
α = -1×10-5β2+0.0007β+0.0066 ・・・(2)
α = -1×10-5β2+0.0005β+0.0119 ・・・(3)
α = 0.012114 ・・・(4)
α = -0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(5)
α = -3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(6)
α = -2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(7)
α = 0.010589 ・・・(8)
(β-0.5)/0.67 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(9)
(β-5.5)/3.75 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(10)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(11)
(β-0.8)/0.45 = (α-0.01161)/0.0008471 = (90-L)/10 ・・・(12)
【請求項2】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(5)〜式(8)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(13)〜式(16)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(17)〜式(20)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(5)
α = -3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(6)
α = -2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(7)
α = 0.010589 ・・・(8)
α = -0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α = -0.0002β2+0.0045β-0.0067 ・・・(14)
α = -4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α = 0.009403 ・・・(16)
(0.7-β)/0.2 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(17)
(β-4.4)/1.1 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(18)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(19)
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.00067768 = (100-L)/10 ・・・(20)
【請求項3】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(13)〜式(16)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(21)〜式(24)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(25)〜式(28)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α = -0.0002β2+0.0045β-0.0067 ・・・(14)
α = -4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α = 0.009403 ・・・(16)
α = -0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(21)
α = -0.0014β2+0.0191β-0.0422 ・・・(22)
α = -9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(23)
α = 0.007709 ・・・(24)
(β-0.6)/0.1 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(25)
(β-3.6)/0.8 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(26)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(27)
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(28)
【請求項4】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(21)〜式(24)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(29)〜式(32)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(33)〜式(36)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(21)
α = -0.0014β2+0.0191β-0.0422 ・・・(22)
α = -9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(23)
α = 0.007709 ・・・(24)
α = -0.0014β2+0.0136β-0.0027 ・・・(29)
β = 10132α2-241.39α+4.747 ・・・(30)
α = -0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(31)
α = 0.006523 ・・・(32)
(0.75-β)/0.15 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(33)
(3.65-β)/0.05 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(34)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(35)
(3.47-β)/2.57 = (α-0.00754)/0,00220246 = (140-L)/20 ・・・(36)
【請求項5】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(29)〜式(32)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(37)〜式(41)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(42)〜式(45)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0014β2+0.0136β-0.0027 ・・・(29)
β = 10132α2-241.39α+4.747 ・・・(30)
α = -0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(31)
α = 0.006523 ・・・(32)
α = -0.005β2+0.0273β-0.0145 ・・・(37)
α = 0.0043β2-0.0332β+0.07 ・・・(38)
β = 2.875 ・・・(39)
α = -0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(40)
α = 0.005676 ・・・(41)
(0.9-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(42)
(3.8-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(43)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(44)
(β-1.05)/2.42 = (0.00864-α)/0.00110123 = (160-L)/20 ・・・(45)
【請求項6】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(37)〜式(41)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが180nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(46)〜式(49)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(50)〜式(53)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.005β2+0.0273β-0.0145 ・・・(37)
α = 0.0043β2-0.0332β+0.07 ・・・(38)
β = 2.875 ・・・(39)
α = -0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(40)
α = 0.005676 ・・・(41)
α = -0.0103β2+0.047β-0.0322 ・・・(46)
α = 0.0093β2-0.0677β+0.1212 ・・・(47)
α = -0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(48)
α = 0.00498 ・・・(49)
(1.05-β)/0.15 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(50)
(β-2.75)/1.05 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(51)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(52)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471= (180-L)/20 ・・・(53)
【請求項7】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(1)〜式(3)および下記式(54)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(5)〜式(7)および下記式(55)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(56)〜式(60)により内包される空間に含まれる請求項1に記載の光学体。
α = -6×10-6β2+0.0002β+0.0141 ・・・(54)
α = -1×10-5β2+0.0002β+0.0125 ・・・(55)
(β-0.8)/11.6 = (α-0.01161)/0.00398137 = (90-L)/10 ・・・(56)
(β-8.9)/10.4 = (α-0.01398)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(57)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(58)
(β-4.9)/16.1 = (α−0.01347)/0.00237188 = (90-L)/10 ・・・(59)
(β-4.9)/7.5 = (α−0.01347)/0.00211775 = (90-L)/10 ・・・(60)
【請求項8】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(5)〜式(7)および下記式(55)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(13)〜式(15)および下記式(61)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(62)〜式(65)により内包される空間に含まれる請求項2に記載の光学体。
α = -1×10-5β2+0.0002β+0.0125 ・・・(55)
α = -3×10-5β2+0.0004β+0.0113 ・・・(61)
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.0067768 = (100-L)/10 ・・・(62)
(β-5.8)/3.1 = (α-0.01262)/0.00135536 = (100-L)/10 ・・・(63)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(64)
(β-2.8)/2.1 = (α-0.0122)/0.00127065 = (100-L)/10 ・・・(65)
【請求項9】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(13)〜式(15)および下記式(61)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(21)〜式(23)および下記式(66)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(67)〜式(70)により内包される空間に含まれる請求項3に記載の光学体。
α = -3×10-5β2+0.0004β+0.0113 ・・・(61)
α = -7×10-5β2+0.0007β+0.0097 ・・・(66)
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(67)
(β-4)/1.8 = (α-0.01144)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(68)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(69)
(β-1.7)/1.1 = (α-0.01076)/0.00144007 = (120-L)/20 ・・・(70)
【請求項10】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(21)〜式(23)および下記式(66)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(29)〜式(31)および下記式(71)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(72)〜式(75)により内包される空間に含まれる請求項4に記載の光学体。
α = -7×10-5β2+0.0007β+0.0097 ・・・(66)
α = -0.0001β2+0.0011β+0.0083 ・・・(71)
(1-β)/0.1 = (α-0.00923)/0.00050826 = (140-L)/20 ・・・(72)
(β-3.3)/0.7 = (α-0.01042)/0.00101652 = (140-L)/20 ・・・(73)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(74)
(β-1.1)/0.6 = (α-0.0094)/0.00135536 = (140-L)/20 ・・・(75)
【請求項11】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(29)〜式(31)および下記式(71)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(37)〜式(40)および下記式(76)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(77)〜式(80)により内包される空間に含まれる請求項5に記載の光学体。
α = -0.0001β2+0.0011β+0.0083 ・・・(71)
α = -0.0002β2+0.0016β+0.0067 ・・・(76)
(1.05-β)/0.05 = (α-0.00822)/0.00101652 = (160-L)/20 ・・・(77)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.00991)/0.00050826 = (160-L)/20 ・・・(78)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(79)
(β-1.05)/0.05 = (α-0.00864)/0.00076239 = (160-L)/20 ・・・(80)
【請求項12】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(37)〜式(40)および下記式(76)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが180nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(46)〜式(48)および下記式(81)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(82)〜式(85)により内包される空間に含まれる請求項6に記載の光学体。
α = -0.0002β2+0.0016β+0.0067 ・・・(76)
α = -0.0003β2+0.0021β+0.0055 ・・・(81)
(1.15-β)/0.1 = (α-0.00754)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(82)
(β-2.55)/0.3 = (α-0.00889)/0.00101652 = (180-L)/20 ・・・(83)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(84)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471 = (180-L)/20 ・・・(85)
【請求項13】
上記第1の光学層は、凹凸面を有し、
上記波長選択反射層は、上記凹凸面上に形成され、
上記第2の光学層は、上記凹凸面を埋めるように上記波長選択反射層上に形成される請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項14】
1層目および5層目の上記高屈折率層の膜厚が略等しい請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項15】
2層目および4層目の上記金属層の膜厚が略等しい請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項16】
上記高屈折率層および上記金属層の屈折率は、光の波長が550nmである場合の屈折率である請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項17】
上記高屈折率層は、上記金属層に対して高屈折率を有する請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項18】
上記高屈折率層の屈折率が、1.7以上2.6以下である請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項19】
上記高屈折率層は、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化チタンおよび酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
上記金属層は、Ag合金からなる請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学体を備える窓材。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学体を採光部に備える建具。
【請求項22】
日射を遮蔽する1または複数の日射遮蔽部材を備え、
上記日射遮蔽部材が、請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学体を備える日射遮蔽装置。
【請求項1】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(1)〜式(4)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(5)〜式(8)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(9)〜式(12)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0004β2+0.0053β+0.0065 ・・・(1)
α = -1×10-5β2+0.0007β+0.0066 ・・・(2)
α = -1×10-5β2+0.0005β+0.0119 ・・・(3)
α = 0.012114 ・・・(4)
α = -0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(5)
α = -3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(6)
α = -2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(7)
α = 0.010589 ・・・(8)
(β-0.5)/0.67 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(9)
(β-5.5)/3.75 = (α-0.01059)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(10)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(11)
(β-0.8)/0.45 = (α-0.01161)/0.0008471 = (90-L)/10 ・・・(12)
【請求項2】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(5)〜式(8)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(13)〜式(16)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(17)〜式(20)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0002β2+0.0039β+0.0087 ・・・(5)
α = -3×10-5β2+0.0014β+0.0038 ・・・(6)
α = -2×10-5β2+0.0006β+0.0112 ・・・(7)
α = 0.010589 ・・・(8)
α = -0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α = -0.0002β2+0.0045β-0.0067 ・・・(14)
α = -4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α = 0.009403 ・・・(16)
(0.7-β)/0.2 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(17)
(β-4.4)/1.1 = (α-0.0094)/0.00118594 = (100-L)/10 ・・・(18)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(19)
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.00067768 = (100-L)/10 ・・・(20)
【請求項3】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(13)〜式(16)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(21)〜式(24)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(25)〜式(28)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0002β2+0.0055β+0.0057 ・・・(13)
α = -0.0002β2+0.0045β-0.0067 ・・・(14)
α = -4×10-5β2+0.001β+0.0099 ・・・(15)
α = 0.009403 ・・・(16)
α = -0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(21)
α = -0.0014β2+0.0191β-0.0422 ・・・(22)
α = -9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(23)
α = 0.007709 ・・・(24)
(β-0.6)/0.1 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(25)
(β-3.6)/0.8 = (α-0.00771)/0.0016942 = (120-L)/20 ・・・(26)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(27)
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(28)
【請求項4】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(21)〜式(24)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(29)〜式(32)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(33)〜式(36)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0003β2+0.0074β+0.0033 ・・・(21)
α = -0.0014β2+0.0191β-0.0422 ・・・(22)
α = -9×10-5β2+0.0015β+0.0084 ・・・(23)
α = 0.007709 ・・・(24)
α = -0.0014β2+0.0136β-0.0027 ・・・(29)
β = 10132α2-241.39α+4.747 ・・・(30)
α = -0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(31)
α = 0.006523 ・・・(32)
(0.75-β)/0.15 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(33)
(3.65-β)/0.05 = (α-0.00652)/0.00118594 = (140-L)/20 ・・・(34)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(35)
(3.47-β)/2.57 = (α-0.00754)/0,00220246 = (140-L)/20 ・・・(36)
【請求項5】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(29)〜式(32)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(37)〜式(41)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(42)〜式(45)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.0014β2+0.0136β-0.0027 ・・・(29)
β = 10132α2-241.39α+4.747 ・・・(30)
α = -0.0001β2+0.002β+0.0074 ・・・(31)
α = 0.006523 ・・・(32)
α = -0.005β2+0.0273β-0.0145 ・・・(37)
α = 0.0043β2-0.0332β+0.07 ・・・(38)
β = 2.875 ・・・(39)
α = -0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(40)
α = 0.005676 ・・・(41)
(0.9-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(42)
(3.8-β)/0.15 = (α-0.00568)/0.0008471 = (160-L)/20 ・・・(43)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(44)
(β-1.05)/2.42 = (0.00864-α)/0.00110123 = (160-L)/20 ・・・(45)
【請求項6】
光出射面を有する第1の光学層と、
上記第1の光学層上に形成された波長選択反射層と、
上記波長選択反射層上に形成された、光入射面を有する第2の光学層と
を備え、
上記波長選択反射層は、高屈折率層と金属層とが交互に積層された、少なくとも5層構成とされ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、上記金属層全体の光学膜厚および上記高屈折率層全体の光学膜厚の比率αと、上記第1の光学層側および上記第2の光学層側のいずれか一方から見て3層目の上記高屈折率層の光学膜厚および1層目の上記高屈折率層の光学膜厚の比率βとが下記式(37)〜式(41)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが180nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが下記式(46)〜式(49)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(50)〜式(53)により内包される空間に含まれる光学体。
α = -0.005β2+0.0273β-0.0145 ・・・(37)
α = 0.0043β2-0.0332β+0.07 ・・・(38)
β = 2.875 ・・・(39)
α = -0.0001β2+0.0025β+0.0062 ・・・(40)
α = 0.005676 ・・・(41)
α = -0.0103β2+0.047β-0.0322 ・・・(46)
α = 0.0093β2-0.0677β+0.1212 ・・・(47)
α = -0.0003β2+0.0036β+0.0046 ・・・(48)
α = 0.00498 ・・・(49)
(1.05-β)/0.15 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(50)
(β-2.75)/1.05 = (α-0.005)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(51)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(52)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471= (180-L)/20 ・・・(53)
【請求項7】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(1)〜式(3)および下記式(54)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(5)〜式(7)および下記式(55)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが80nm以上90nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(56)〜式(60)により内包される空間に含まれる請求項1に記載の光学体。
α = -6×10-6β2+0.0002β+0.0141 ・・・(54)
α = -1×10-5β2+0.0002β+0.0125 ・・・(55)
(β-0.8)/11.6 = (α-0.01161)/0.00398137 = (90-L)/10 ・・・(56)
(β-8.9)/10.4 = (α-0.01398)/0.00152478 = (90-L)/10 ・・・(57)
(β-10.4)/10.6 = (α-0.01516)/0.00067768 = (90-L)/10 ・・・(58)
(β-4.9)/16.1 = (α−0.01347)/0.00237188 = (90-L)/10 ・・・(59)
(β-4.9)/7.5 = (α−0.01347)/0.00211775 = (90-L)/10 ・・・(60)
【請求項8】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(5)〜式(7)および下記式(55)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(13)〜式(15)および下記式(61)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが90nm以上100nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(62)〜式(65)により内包される空間に含まれる請求項2に記載の光学体。
α = -1×10-5β2+0.0002β+0.0125 ・・・(55)
α = -3×10-5β2+0.0004β+0.0113 ・・・(61)
(1-β)/0.2 = (α-0.01093)/0.0067768 = (100-L)/10 ・・・(62)
(β-5.8)/3.1 = (α-0.01262)/0.00135536 = (100-L)/10 ・・・(63)
(β-6.5)/3.9 = (α-0.01432)/0.0008471 = (100-L)/10 ・・・(64)
(β-2.8)/2.1 = (α-0.0122)/0.00127065 = (100-L)/10 ・・・(65)
【請求項9】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(13)〜式(15)および下記式(61)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(21)〜式(23)および下記式(66)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが100nm以上120nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(67)〜式(70)により内包される空間に含まれる請求項3に記載の光学体。
α = -3×10-5β2+0.0004β+0.0113 ・・・(61)
α = -7×10-5β2+0.0007β+0.0097 ・・・(66)
(β-0.9)/0.1 = (α-0.00974)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(67)
(β-4)/1.8 = (α-0.01144)/0.00118594 = (120-L)/20 ・・・(68)
(β-4.25)/2.25 = (α-0.0133)/0.00101652 = (120-L)/20 ・・・(69)
(β-1.7)/1.1 = (α-0.01076)/0.00144007 = (120-L)/20 ・・・(70)
【請求項10】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(21)〜式(23)および下記式(66)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(29)〜式(31)および下記式(71)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが120nm以上140nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(72)〜式(75)により内包される空間に含まれる請求項4に記載の光学体。
α = -7×10-5β2+0.0007β+0.0097 ・・・(66)
α = -0.0001β2+0.0011β+0.0083 ・・・(71)
(1-β)/0.1 = (α-0.00923)/0.00050826 = (140-L)/20 ・・・(72)
(β-3.3)/0.7 = (α-0.01042)/0.00101652 = (140-L)/20 ・・・(73)
(β-3.3)/0.95 = (α-0.01245)/0.0008471 = (140-L)/20 ・・・(74)
(β-1.1)/0.6 = (α-0.0094)/0.00135536 = (140-L)/20 ・・・(75)
【請求項11】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(29)〜式(31)および下記式(71)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(37)〜式(40)および下記式(76)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが140nm以上160nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(77)〜式(80)により内包される空間に含まれる請求項5に記載の光学体。
α = -0.0001β2+0.0011β+0.0083 ・・・(71)
α = -0.0002β2+0.0016β+0.0067 ・・・(76)
(1.05-β)/0.05 = (α-0.00822)/0.00101652 = (160-L)/20 ・・・(77)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.00991)/0.00050826 = (160-L)/20 ・・・(78)
(β-2.85)/0.45 = (α-0.01203)/0.00042355 = (160-L)/20 ・・・(79)
(β-1.05)/0.05 = (α-0.00864)/0.00076239 = (160-L)/20 ・・・(80)
【請求項12】
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(37)〜式(40)および下記式(76)で囲まれた第1の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが180nmである場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記式(46)〜式(48)および下記式(81)で囲まれた第2の領域に含まれ、
上記波長選択反射層全体の幾何膜厚Lが160nm以上180nm以下である場合に、上記比率αおよび上記比率βが上記第1の領域、上記第2の領域および下記式(82)〜式(85)により内包される空間に含まれる請求項6に記載の光学体。
α = -0.0002β2+0.0016β+0.0067 ・・・(76)
α = -0.0003β2+0.0021β+0.0055 ・・・(81)
(1.15-β)/0.1 = (α-0.00754)/0.00067768 = (180-L)/20 ・・・(82)
(β-2.55)/0.3 = (α-0.00889)/0.00101652 = (180-L)/20 ・・・(83)
(β-2.4)/0.45 = (α-0.01177)/0.00025413 = (180-L)/20 ・・・(84)
(1.2-β)/0.15 = (α-0.00856)/0.00008471 = (180-L)/20 ・・・(85)
【請求項13】
上記第1の光学層は、凹凸面を有し、
上記波長選択反射層は、上記凹凸面上に形成され、
上記第2の光学層は、上記凹凸面を埋めるように上記波長選択反射層上に形成される請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項14】
1層目および5層目の上記高屈折率層の膜厚が略等しい請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項15】
2層目および4層目の上記金属層の膜厚が略等しい請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項16】
上記高屈折率層および上記金属層の屈折率は、光の波長が550nmである場合の屈折率である請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項17】
上記高屈折率層は、上記金属層に対して高屈折率を有する請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項18】
上記高屈折率層の屈折率が、1.7以上2.6以下である請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項19】
上記高屈折率層は、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化チタンおよび酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
上記金属層は、Ag合金からなる請求項1〜6のいずれかに記載の光学体。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学体を備える窓材。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学体を採光部に備える建具。
【請求項22】
日射を遮蔽する1または複数の日射遮蔽部材を備え、
上記日射遮蔽部材が、請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学体を備える日射遮蔽装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図16】
【公開番号】特開2011−203716(P2011−203716A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11094(P2011−11094)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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