光学式ナビゲーション装置
【課題】物体の動きを検知して、動きが民生用デジタル装置の特徴部を制御できるようにする光学式ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】装置20は、LED24、反射体26、および画像センサ34が取り付けられた基板22を備える。LED24から出た光は、楕円形の反射体26によって、LED24から出る光に対して透明な窓28に向けて送られてその窓28を通った後、ユーザの指から反射され、窓28を通って戻り、レンズ32を通って、画像センサ34上に至る。反射体26は、光を窓28に向けて斜めの角度(窓に垂直な角度から65〜70度の範囲)で送る位置にある。さらに、反射体26は、LED24の付近の大きな立体角に渡って光を集めるように湾曲している。反射体26の湾曲形状は楕円体の一部であっても良く、LED24を楕円体の焦点の一方に配置して、窓28を楕円体の他方の焦点に配置しても良い。
【解決手段】装置20は、LED24、反射体26、および画像センサ34が取り付けられた基板22を備える。LED24から出た光は、楕円形の反射体26によって、LED24から出る光に対して透明な窓28に向けて送られてその窓28を通った後、ユーザの指から反射され、窓28を通って戻り、レンズ32を通って、画像センサ34上に至る。反射体26は、光を窓28に向けて斜めの角度(窓に垂直な角度から65〜70度の範囲)で送る位置にある。さらに、反射体26は、LED24の付近の大きな立体角に渡って光を集めるように湾曲している。反射体26の湾曲形状は楕円体の一部であっても良く、LED24を楕円体の焦点の一方に配置して、窓28を楕円体の他方の焦点に配置しても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式ナビゲーション装置に関し、特に、物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置のディスプレイ上のカーソル位置を制御するためのポインティング装置が良く知られている。このような装置としては、外部マウス、トラックパッド、ジョイスティック、ポインティング・スティック、トラックボールなどが挙げられる。トラックボールが、機械式マウスをひっくり返してマウスは静止させたままでボールをユーザの手が動かすということから考案され得たのと同様に、指または他の物体の電子装置の表面上での動きに関するカーソル・ナビゲーションの実現も最近知られるようになった。これはたとえば、光学式マウスをひっくり返して、固定位置に保持し、光学センサ上でのユーザの指の動きを検知できるようにしたものである。
【0003】
このような装置は、光学式ジョイスティックまたは光学式フィンガー・ナビゲーション装置と言われる場合がある。
この背景に対して、この本明細書における教示は展開されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置が開示される。装置は、光を発する上面を有する光源と、光源に隣接して配置され、光源の上面の上方に位置し、光源からの光を集めて第1の方向に反射する湾曲した反射体と、反射体から第1の方向に配置された物体面であって、光源からの光に対して透明であり、反射体によって反射された光は物体面を通して送られ、物体面の上方に配置される物体によって光は反射されて物体面を通って戻ることができる、物体面と、物体面の下方に配置され、物体から反射された後に物体面を通って戻る光を集めて送るレンズであって、光は第2の方向に送られる、レンズと、レンズから第2の方向に配置され、物体から反射されレンズによって送られた光を受け取る画像センサと、を備える。
【0005】
光源は近赤外光を発しても良い。光源は、波長が850ナノメートル帯の光を発しても良い。
反射体は、回転させた円錐曲線の一部の形状を有していても良い。
【0006】
反射体は楕円体の一部の形状を有していても良く、光源を楕円体の焦点の1つに配置しても良い。
反射体は、反射コーティングが施された曲面からなっていても良い。
【0007】
曲面をプラスチック部材中に形成しても良い。物体面はポリカーボネート熱可塑性樹脂からなっていても良い。
装置はさらに、物体面とレンズとの間に配置された開口絞りを備えていても良い。レンズは、レンズの物体面の方を向く側にある第1のレンズ表面と、レンズの画像センサの方を向く側にある第2のレンズ表面とを備えていても良い。第1のレンズ表面は円錐面であっても良い。第2のレンズ表面は非球面であっても良い。第1のレンズ表面は円錐面であっても良く、第2のレンズ表面は非球面であっても良い。
【0008】
装置はさらに、画像センサを囲むハウジングを備え、光がハウジングの外側から画像センサへ進むことがレンズを通じてのみ可能となるようになっていても良い。装置はさらに、光源、反射体、および画像センサが取り付けられた基板を備えていても良い。装置はさらに、物体面がその一部である外部ハウジングを備えていても良い。外部ハウジングは基板に取り付けられていても良い。
【0009】
物体面は窓の1つの面であっても良く、窓およびレンズは両方とも、LEDのスペクトル領域で透過しLEDのスペクトル領域の外側の周辺光を阻止する材料から作製しても良い。
【0010】
窓およびレンズはそれぞれ、レキサン(Lexan)からなっていても良い。窓およびレンズはそれぞれ、他方とは異なる透過率曲線を有する材料からなり、窓およびレンズの組み合わせ透過率が、実質的に約770nmを下回るすべての波長の光において非常に低くなっていても良い。
【0011】
窓はレキサン121−21051を含んでいても良く、レンズはレキサン121−31142を含んでいても良く。第1の方向は物体面に垂直な方向に対する角度で、60〜75度の範囲、65〜70度の範囲、または約67度の範囲であっても良い。
【0012】
また、物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置が開示される。装置は、光を発する上面を有する光源と、光源に隣接して配置され、光源の上面の上方に位置し、光源からの光を集めて第1の方向に反射する湾曲した反射体であって、湾曲した反射体の形状は楕円体の一部であり、光源は楕円体の焦点の1つに配置される、反射体と、反射体から第1の方向に配置された窓を有する外部ハウジングであって、窓は光源からの光に対して透明であり、反射体によって反射された光が窓を通して送られ、物体が窓の上方に配置されたときに物体によって光は反射されて窓を通って戻ることができる、外部ハウジングと、窓の下方に配置されたレンズであって、物体から反射された後に窓を通って戻る光を集めて送り、光は第2の方向に送られる、レンズと、レンズから第2の方向に配置された画像センサであって、物体から反射されレンズによって送られる光を受け取る画像センサと、光源、反射体、および画像センサが取り付けられた基板と、基板と接触して基板とともに画像センサを囲む内部ハウジングであって、開口部が内部に形成され、開口部は、光がハウジングの外側から画像センサへ進むことが、レンズを通じてのみ可能となるようにレンズに対して配置されている、内部ハウジングと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光学式ナビゲーション装置の断面斜視図である。
【図2】図1の光学式ナビゲーション装置の断面正面図である。
【図3】図1の光学式ナビゲーション装置の部分的分解斜視図である。
【図4】図3よりもさらに分解された、図1の光学式ナビゲーション装置の部分的分解斜視図である。
【図5】図4よりもされに分解された、図1の光学式ナビゲーション装置の部分的分解斜視図である。
【図6】図1の光学式ナビゲーション装置の部分的分解斜視図であり、装置の最下部の上のドーム・スイッチを示す図である。
【図7】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の斜視図である。
【図8】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の斜視図である。
【図9】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の斜視図である。
【図10】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の側面図であり、LEDが発した複数の光線を示し、特に、光線の大部分が第1の一般的な方向に反射されている場合を示す図である。
【図11】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の平面図であり、LEDが発した複数の光線を示し、特に光線の大部分が第1の一般的な方向に反射されている場合を示す図である。
【図12】図1の光学式ナビゲーション装置の窓およびレンズの分光透過率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は、種々の変更および代替的な形態を受け入れる余地があるが、本発明の特定の実施形態を一例として図面において示し、本明細書において詳細に説明する。しかし本発明を、開示した特定の形態に限定することは意図されておらず、むしろ本発明は、請求項が規定する本発明の実施形態の変更、均等物、および代替案をすべて網羅するものであることを理解されたい。
【0015】
図1および図2に、光学式ナビゲーション装置20を示す。装置20は基板22を備え、基板22にLED24が取り付けられている。湾曲した反射体組立品26が、LED24から出た光を受け取って反射し、当該光を、装置20用の外部ハウジング30内に設けられた透明な窓28に向けて送る。ユーザの指(図示せず)を、窓28に対して置いて、光を、基板22に取り付けられた画像センサ34の上方に位置する対物レンズ32に向けて反射することができる。対物レンズ32は、基板22に取り付けられたホルダ・ハウジング36によって所定の位置に保持されている。ホルダ・ハウジング36は、光がレンズ32を通って画像センサ34へ進むことだけができるように、基板22とともに、画像センサ34を完全に囲んでいる。フレキシブル・プリント回路(flexible printed circuit:FPC)42が、LED24および画像センサ34に電気的に接続されており、これを図3に示す。
【0016】
基板22は任意の好適な基板であっても良いが、1つの好適な材料は硬質FPC(フレキシ・リジッドFPC(flexi−rigid FPC)として知られている場合もある。または硬質部分および軟質部分の両方を備える任意のFPCであっても良い)の硬質部分であっても良い。さらに、基板22は、FR4のような従来のPCBタイプの材料であっても良いし、または補強材が取り付けられたFPCとすることができる。基板22に対して硬質材料を用いることによって、LED24、反射体26、レンズ32、およびセンサ34の相対的な位置決めを維持することができる。加えて、光学式ナビゲーション装置を購入する会社によって以下のことが指定されても良い。すなわち、装置の最下部を硬質面にして、そこにドーム・スイッチ46(図6)または他の好適なスイッチを取り付けても良い。スイッチはたとえば、光学式ナビゲーション装置20を取り入れるべき民生用デジタル製品において必要とされる場合があるスイッチである。
【0017】
この装置20におけるLED24は、850nm帯で発光する赤外LEDであっても良い。同様に、窓28は、850nm帯の光に対しては透明で他の色の光は反射または吸収する材料であっても良い。このような材料の一例はポリカーボネート熱可塑性樹脂(polycarbonate resin thermoplastic)であり、たとえばレキサン(Lexan)TM121−21051である。この材料は、たまたま他の波長の光を主に吸収する材料である。LEDに対しておよび窓の通過帯域に対して任意の他の好適な色または波長を用いることができる。可視スペクトルの外側の波長を用いることに対して、いくつかの優位性がある場合がある。なぜならば、人口光および太陽光における光のほとんどが装置20に入ることを阻止することができるからである。装置20内に取り入れても良いLEDの一例は、ユニティ・オプト・テクノロジー(Unity Opto Technology)製のものである。LED24は、基板22にハンダ付けしても良いし、任意の他の好適な方法で取り付けても良い。
【0018】
反射体26は、その上に反射面40を伴う部分を有している。反射面40は、好適な反射コーティング(たとえば、アルミニウム、クロム、もしくはその他)、金属箔、またはその他を、反射体26上に形成された好適な曲面に施すことによって形成することができる。あるいは、反射面40を、好適な金属または他の好適な材料から構成することができる。反射体26は、反射体26が、LED24、レンズ32、およびセンサ34に対して正確かつ容易に位置付けられることを可能にする他の部分を有していても良い。あるいは、反射体26とレンズ・ホルダ・ハウジング36とを組み合わせて、単一のハウジング/反射体にしても良い。反射体26は任意の好適な材料からなっていても良い。反射体26を、プラスチックから形成して、軽量で、安価で、曲面が非常に特有の形状となるように形成可能とすることが望ましい場合がある。他の好適な材料から同様に形成しても良い。
【0019】
反射面40の形状は、LED24から多くの異なる方向に発せられた光線を集め、それら異なる光線を窓28の方向に送ることに役立つ。反射面40に対する好適な形状の一例は、楕円体(楕円をその主軸の周りに回転させたもの)の一部である。LED24を一般的に楕円の焦点の1つに配置することによって、反射体26によって反射された光線が一般的に、楕円の他方の焦点を通る(良く知られているように、焦点(foci)は楕円の主軸上の2つの特別な点であり、単数形の用語は焦点(focus)である)。反射体26の形状および位置、及び窓28の相対的な位置決めを設計することによって、反射面40を、楕円の他方の焦点が概ね窓28の上面(ユーザの指が置かれ得る場所)の付近にくるように構成することができる。この結果、窓28に送られて反射された光の多くは、潜在的に、指からの反射によるものとなる。一実施形態においては、楕円体の反射体26は曲率半径が0.605mmであり、円錐定数が−0.85である。
【0020】
LED、または反射体から出た光が、画像センサ34に対して斜めの角度から指に当たって、指の表面上のコントラストを増加させ、画像センサが指の表面形状(たとえばユーザの指紋)を撮像する能力が向上し得ることは、優位な場合がある。たとえば、光を一般的に、反射体26から、画像センサ34の中心軸(レンズ32を通過し窓28の表面に垂直である)から60〜75度の範囲の角度の円錐内で送っても良い。より具体的には、角度は、中心軸から65〜70度の範囲であっても良く、さらに具体的には67度の範囲であっても良い。LED24に対する反射体26の方向を、窓28を照明する光の均一性が最適になるように選択しても良い。
【0021】
外部ハウジング30を(基板22と接触させたときに)、光がハウジングの外側から内側へ進むことが窓28を通る以外は起きないように、形成しても良い。窓の寸法は6mm×6×0.6mmであっても良い。ハウジング30を、基板20に、任意の好適な接着剤またはエポキシを介して取り付けても良い。
【0022】
レンズ・ホルダ・ハウジング36(内部ハウジングと言っても良い)を、任意の好適な材料から構成しても良い。レンズ・ホルダ・ハウジング36を、プラスチックから形成して、軽量で、安価で、非常に特有の形状に形成可能とすることが望ましい場合がある。他の好適な材料から形成しても良い。一例では、図3〜5に示すように、レンズ・ホルダ・ハウジング36は、反射体26とレンズ32との相対的な位置決めを正確に制御するために反射体26内に形成された円形の開口部50とはまり合う脚48のような特徴部を備えていても良い。反射体26をさらに、レンズ・ホルダ・ハウジング36に、好適な接着剤またはエポキシを介して、および好適な硬化プロセスを用いて(たとえば、ヒート・ステーキングまたは超音波溶着を介して)取り付けても良い。さらに、レンズ・ホルダ・ハウジング36が、内部に形成された開口部52を備えていて、開口部52を通してLED24の一部が収容され、および/または開口部52を、LEDから出た光24が反射体26に向かう途中で通過するようになっていても良い。レンズ・ホルダ・ハウジング36には、凹領域を含んでいてよく、凹領域は、ハウジング36を基板22に取り付けたときに、レンズ・ホルダ・ハウジングの最上部に形成された円形開口部54を通る以外の光が、画像センサ34が収容された凹領域内に入ることを妨げるものである。レンズ32は、レンズ・ホルダ・ハウジング36によって所定の位置に保持され、開口部54を通って入る任意の光がレンズ32を通過するようになっている。開口部54は、光が画像センサ34に向かう際に通過する開口絞りとして機能しても良い。さらにハウジング36は、前述した特徴部のそれぞれを有していても良く、同時に、LED24および反射体26から出た光による窓の照明を遮らない(または窓に影を形成しない)ようになっていても良い。ハウジング36を、任意の好適な接着剤またはエポキシ(エポキシを硬化させるための高温または低温処理を含んでいても良い)を介して、基板20に取り付けても良い。
【0023】
レンズ32は、ユーザの指から反射された光を画像センサ34上にフォーカスすることができる任意の好適なレンズであっても良い。レンズ32を、レンズ・ホルダ・ハウジング36のさらなる凹領域内に収容しても良い。たとえば、レンズ32をハウジング36に、UV硬化されたエポキシまたは接着剤を用いて取り付けることができる(あるいは、ハウジング36内にネジ山配置を介してネジで取り付けることができる)。一実施形態においては、レンズ32は、その物体側に円錐面を備え、その像側に非球面を備えている。この実施形態においては、レンズを、吸収バージョンの光学ポリマー(たとえばレキサンTM121−31142)から構成しても良いが、任意の他の好適な材料を用いることもできる。以下の表1に、レンズのこの実施形態についてのさらなる詳細が含まれている。
【0024】
【表1】
光学式ナビゲーション装置20または他の同様の装置において用いても良い画像センサ34の一例は、STマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)製のST VD5376であるが、任意の他の好適な画像センサを代わりに用いることができる。画像センサ34は、その上面に活性領域(active area)を有し、内部に種々の処理要素を有して画像処理機能(たとえば装置20に対するユーザの指の動きを検出するためのアルゴリズム)を実行しても良い。画像センサ34は、基板22にハンダ付けしても良いし、任意の他の好適な方法で取り付けても良い。
【0025】
図3〜6に示すように、種々の他の電気部品44も、基板22にハンダ付けしても良い(または任意の他の好適な方法で取り付けても良い)。これらには、LED24および/または画像センサ34の動作にとって必要とされる場合がある能動および受動素子の両方が含まれていても良い。
【0026】
図9および10に、LED24が発した光線60の大部分が、どのように反射体26によって窓28に向けて第1の方向に送られるかを示す。光線60の一部については、反射体26から反射されていないか、または窓28の上面の所望の領域以外の方向に反射されているが、ほとんどの光線はその方向に送られていることが分かる。
【0027】
図12に3つの透過率曲線対波長を示す。第1の曲線100は窓28の透過率対波長である。図に示すように、窓28の透過率は、約700nmより上で約90%であり、約660nmより下では、窓28の透過率は非常に低いが、400nm帯の領域は別で、そこでは透過率が急上昇して40%を少し超えている。第2の曲線102はレンズ32の透過率対波長である。図に示すように、レンズ32の透過率は、約800nmより上で約90%であり、約770nmより下では、レンズ32の透過率は非常に低いが、領域500nm帯の領域は別で、透過率が急上昇してほぼ10%になっている。窓28およびレンズ32の、組み合わせまたは直列接続の(cascaded)透過率104を曲線104で示す。透過率104は、約820nmより上で80%を少し超えており、約770nmより下で透過率は非常に低い。図に示すように、2つの異なる材料を窓28およびレンズ32に対して選択し、2つの異なる材料は低い方の波長において異なるスパイクを有することで、2つの光学部品28および32の組み合わせ透過率は、LED24から発した波長より下で非常に低いものになる。このことは、装置20の外側からの迷光が画像センサ34に届かないようにするのに役立つ。
【0028】
本明細書において開示された装置20の主な優位性の1つは、装置が満足する体積および寸法の厳しい制約である。具体的には、FPC42は考慮に入れないで、装置20は、6.5mm×6.5mm×2.24mm以下の範囲の体積内に収まる場合がある。これは、従来技術の光導波管およびプリズムを用いたのでは、(許容できる性能で)容易に行なうことはできず、一つには楕円体の反射体26を用いることによって実現される。この体積制約内にある装置においてライトパイプ(light pipe)の使用を試みるには、LEDから出た光をレンズによってコリメートしてライトパイプ内に送る必要があり得ることが分かった。たとえこの追加の光学素子を用いても、ライトパイプ内に内部全反射が生じるということに加え、窓28の上面での目標とする1.2mm×1.2mm領域の照明が不均一であるという問題があった。
【0029】
比較として、楕円体の反射体を用いる本明細書に記載した装置では、LEDに対してより大きい立体角に渡る集光力が実現され、光の大部分の向きを変えて斜めの束にした後、束は窓を貫通してユーザの指の方へ向かうことができ、適度に均一に照明された視野で指を照明し、LEDおよび画像センサを体積制約内に配置することが可能になる。
【0030】
本発明の実施形態を、図面および前述の説明において例示し詳細に説明してきたが、このような例示および説明は、例として考えるべきであり、限定的な性質ではない。たとえば、前述した特定の実施形態は、他の説明した実施形態と結合可能であっても良く、および/または他の方法で配置しても良い(たとえば、プロセス要素を他の順序で行なっても良い)。したがって、例示的な実施形態およびその変形のみを図示して説明してきたことを理解されたい。
【符号の説明】
【0031】
20…光学式ナビゲーション装置、22…基板、24…LED、26…反射体、28…窓、30…外部ハウジング、32…レンズ、34…画像センサ、36…レンズ・ホルダ・ハウジング
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式ナビゲーション装置に関し、特に、物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置のディスプレイ上のカーソル位置を制御するためのポインティング装置が良く知られている。このような装置としては、外部マウス、トラックパッド、ジョイスティック、ポインティング・スティック、トラックボールなどが挙げられる。トラックボールが、機械式マウスをひっくり返してマウスは静止させたままでボールをユーザの手が動かすということから考案され得たのと同様に、指または他の物体の電子装置の表面上での動きに関するカーソル・ナビゲーションの実現も最近知られるようになった。これはたとえば、光学式マウスをひっくり返して、固定位置に保持し、光学センサ上でのユーザの指の動きを検知できるようにしたものである。
【0003】
このような装置は、光学式ジョイスティックまたは光学式フィンガー・ナビゲーション装置と言われる場合がある。
この背景に対して、この本明細書における教示は展開されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置が開示される。装置は、光を発する上面を有する光源と、光源に隣接して配置され、光源の上面の上方に位置し、光源からの光を集めて第1の方向に反射する湾曲した反射体と、反射体から第1の方向に配置された物体面であって、光源からの光に対して透明であり、反射体によって反射された光は物体面を通して送られ、物体面の上方に配置される物体によって光は反射されて物体面を通って戻ることができる、物体面と、物体面の下方に配置され、物体から反射された後に物体面を通って戻る光を集めて送るレンズであって、光は第2の方向に送られる、レンズと、レンズから第2の方向に配置され、物体から反射されレンズによって送られた光を受け取る画像センサと、を備える。
【0005】
光源は近赤外光を発しても良い。光源は、波長が850ナノメートル帯の光を発しても良い。
反射体は、回転させた円錐曲線の一部の形状を有していても良い。
【0006】
反射体は楕円体の一部の形状を有していても良く、光源を楕円体の焦点の1つに配置しても良い。
反射体は、反射コーティングが施された曲面からなっていても良い。
【0007】
曲面をプラスチック部材中に形成しても良い。物体面はポリカーボネート熱可塑性樹脂からなっていても良い。
装置はさらに、物体面とレンズとの間に配置された開口絞りを備えていても良い。レンズは、レンズの物体面の方を向く側にある第1のレンズ表面と、レンズの画像センサの方を向く側にある第2のレンズ表面とを備えていても良い。第1のレンズ表面は円錐面であっても良い。第2のレンズ表面は非球面であっても良い。第1のレンズ表面は円錐面であっても良く、第2のレンズ表面は非球面であっても良い。
【0008】
装置はさらに、画像センサを囲むハウジングを備え、光がハウジングの外側から画像センサへ進むことがレンズを通じてのみ可能となるようになっていても良い。装置はさらに、光源、反射体、および画像センサが取り付けられた基板を備えていても良い。装置はさらに、物体面がその一部である外部ハウジングを備えていても良い。外部ハウジングは基板に取り付けられていても良い。
【0009】
物体面は窓の1つの面であっても良く、窓およびレンズは両方とも、LEDのスペクトル領域で透過しLEDのスペクトル領域の外側の周辺光を阻止する材料から作製しても良い。
【0010】
窓およびレンズはそれぞれ、レキサン(Lexan)からなっていても良い。窓およびレンズはそれぞれ、他方とは異なる透過率曲線を有する材料からなり、窓およびレンズの組み合わせ透過率が、実質的に約770nmを下回るすべての波長の光において非常に低くなっていても良い。
【0011】
窓はレキサン121−21051を含んでいても良く、レンズはレキサン121−31142を含んでいても良く。第1の方向は物体面に垂直な方向に対する角度で、60〜75度の範囲、65〜70度の範囲、または約67度の範囲であっても良い。
【0012】
また、物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置が開示される。装置は、光を発する上面を有する光源と、光源に隣接して配置され、光源の上面の上方に位置し、光源からの光を集めて第1の方向に反射する湾曲した反射体であって、湾曲した反射体の形状は楕円体の一部であり、光源は楕円体の焦点の1つに配置される、反射体と、反射体から第1の方向に配置された窓を有する外部ハウジングであって、窓は光源からの光に対して透明であり、反射体によって反射された光が窓を通して送られ、物体が窓の上方に配置されたときに物体によって光は反射されて窓を通って戻ることができる、外部ハウジングと、窓の下方に配置されたレンズであって、物体から反射された後に窓を通って戻る光を集めて送り、光は第2の方向に送られる、レンズと、レンズから第2の方向に配置された画像センサであって、物体から反射されレンズによって送られる光を受け取る画像センサと、光源、反射体、および画像センサが取り付けられた基板と、基板と接触して基板とともに画像センサを囲む内部ハウジングであって、開口部が内部に形成され、開口部は、光がハウジングの外側から画像センサへ進むことが、レンズを通じてのみ可能となるようにレンズに対して配置されている、内部ハウジングと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光学式ナビゲーション装置の断面斜視図である。
【図2】図1の光学式ナビゲーション装置の断面正面図である。
【図3】図1の光学式ナビゲーション装置の部分的分解斜視図である。
【図4】図3よりもさらに分解された、図1の光学式ナビゲーション装置の部分的分解斜視図である。
【図5】図4よりもされに分解された、図1の光学式ナビゲーション装置の部分的分解斜視図である。
【図6】図1の光学式ナビゲーション装置の部分的分解斜視図であり、装置の最下部の上のドーム・スイッチを示す図である。
【図7】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の斜視図である。
【図8】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の斜視図である。
【図9】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の斜視図である。
【図10】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の側面図であり、LEDが発した複数の光線を示し、特に、光線の大部分が第1の一般的な方向に反射されている場合を示す図である。
【図11】図1の光学式ナビゲーション装置の選択部分の平面図であり、LEDが発した複数の光線を示し、特に光線の大部分が第1の一般的な方向に反射されている場合を示す図である。
【図12】図1の光学式ナビゲーション装置の窓およびレンズの分光透過率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は、種々の変更および代替的な形態を受け入れる余地があるが、本発明の特定の実施形態を一例として図面において示し、本明細書において詳細に説明する。しかし本発明を、開示した特定の形態に限定することは意図されておらず、むしろ本発明は、請求項が規定する本発明の実施形態の変更、均等物、および代替案をすべて網羅するものであることを理解されたい。
【0015】
図1および図2に、光学式ナビゲーション装置20を示す。装置20は基板22を備え、基板22にLED24が取り付けられている。湾曲した反射体組立品26が、LED24から出た光を受け取って反射し、当該光を、装置20用の外部ハウジング30内に設けられた透明な窓28に向けて送る。ユーザの指(図示せず)を、窓28に対して置いて、光を、基板22に取り付けられた画像センサ34の上方に位置する対物レンズ32に向けて反射することができる。対物レンズ32は、基板22に取り付けられたホルダ・ハウジング36によって所定の位置に保持されている。ホルダ・ハウジング36は、光がレンズ32を通って画像センサ34へ進むことだけができるように、基板22とともに、画像センサ34を完全に囲んでいる。フレキシブル・プリント回路(flexible printed circuit:FPC)42が、LED24および画像センサ34に電気的に接続されており、これを図3に示す。
【0016】
基板22は任意の好適な基板であっても良いが、1つの好適な材料は硬質FPC(フレキシ・リジッドFPC(flexi−rigid FPC)として知られている場合もある。または硬質部分および軟質部分の両方を備える任意のFPCであっても良い)の硬質部分であっても良い。さらに、基板22は、FR4のような従来のPCBタイプの材料であっても良いし、または補強材が取り付けられたFPCとすることができる。基板22に対して硬質材料を用いることによって、LED24、反射体26、レンズ32、およびセンサ34の相対的な位置決めを維持することができる。加えて、光学式ナビゲーション装置を購入する会社によって以下のことが指定されても良い。すなわち、装置の最下部を硬質面にして、そこにドーム・スイッチ46(図6)または他の好適なスイッチを取り付けても良い。スイッチはたとえば、光学式ナビゲーション装置20を取り入れるべき民生用デジタル製品において必要とされる場合があるスイッチである。
【0017】
この装置20におけるLED24は、850nm帯で発光する赤外LEDであっても良い。同様に、窓28は、850nm帯の光に対しては透明で他の色の光は反射または吸収する材料であっても良い。このような材料の一例はポリカーボネート熱可塑性樹脂(polycarbonate resin thermoplastic)であり、たとえばレキサン(Lexan)TM121−21051である。この材料は、たまたま他の波長の光を主に吸収する材料である。LEDに対しておよび窓の通過帯域に対して任意の他の好適な色または波長を用いることができる。可視スペクトルの外側の波長を用いることに対して、いくつかの優位性がある場合がある。なぜならば、人口光および太陽光における光のほとんどが装置20に入ることを阻止することができるからである。装置20内に取り入れても良いLEDの一例は、ユニティ・オプト・テクノロジー(Unity Opto Technology)製のものである。LED24は、基板22にハンダ付けしても良いし、任意の他の好適な方法で取り付けても良い。
【0018】
反射体26は、その上に反射面40を伴う部分を有している。反射面40は、好適な反射コーティング(たとえば、アルミニウム、クロム、もしくはその他)、金属箔、またはその他を、反射体26上に形成された好適な曲面に施すことによって形成することができる。あるいは、反射面40を、好適な金属または他の好適な材料から構成することができる。反射体26は、反射体26が、LED24、レンズ32、およびセンサ34に対して正確かつ容易に位置付けられることを可能にする他の部分を有していても良い。あるいは、反射体26とレンズ・ホルダ・ハウジング36とを組み合わせて、単一のハウジング/反射体にしても良い。反射体26は任意の好適な材料からなっていても良い。反射体26を、プラスチックから形成して、軽量で、安価で、曲面が非常に特有の形状となるように形成可能とすることが望ましい場合がある。他の好適な材料から同様に形成しても良い。
【0019】
反射面40の形状は、LED24から多くの異なる方向に発せられた光線を集め、それら異なる光線を窓28の方向に送ることに役立つ。反射面40に対する好適な形状の一例は、楕円体(楕円をその主軸の周りに回転させたもの)の一部である。LED24を一般的に楕円の焦点の1つに配置することによって、反射体26によって反射された光線が一般的に、楕円の他方の焦点を通る(良く知られているように、焦点(foci)は楕円の主軸上の2つの特別な点であり、単数形の用語は焦点(focus)である)。反射体26の形状および位置、及び窓28の相対的な位置決めを設計することによって、反射面40を、楕円の他方の焦点が概ね窓28の上面(ユーザの指が置かれ得る場所)の付近にくるように構成することができる。この結果、窓28に送られて反射された光の多くは、潜在的に、指からの反射によるものとなる。一実施形態においては、楕円体の反射体26は曲率半径が0.605mmであり、円錐定数が−0.85である。
【0020】
LED、または反射体から出た光が、画像センサ34に対して斜めの角度から指に当たって、指の表面上のコントラストを増加させ、画像センサが指の表面形状(たとえばユーザの指紋)を撮像する能力が向上し得ることは、優位な場合がある。たとえば、光を一般的に、反射体26から、画像センサ34の中心軸(レンズ32を通過し窓28の表面に垂直である)から60〜75度の範囲の角度の円錐内で送っても良い。より具体的には、角度は、中心軸から65〜70度の範囲であっても良く、さらに具体的には67度の範囲であっても良い。LED24に対する反射体26の方向を、窓28を照明する光の均一性が最適になるように選択しても良い。
【0021】
外部ハウジング30を(基板22と接触させたときに)、光がハウジングの外側から内側へ進むことが窓28を通る以外は起きないように、形成しても良い。窓の寸法は6mm×6×0.6mmであっても良い。ハウジング30を、基板20に、任意の好適な接着剤またはエポキシを介して取り付けても良い。
【0022】
レンズ・ホルダ・ハウジング36(内部ハウジングと言っても良い)を、任意の好適な材料から構成しても良い。レンズ・ホルダ・ハウジング36を、プラスチックから形成して、軽量で、安価で、非常に特有の形状に形成可能とすることが望ましい場合がある。他の好適な材料から形成しても良い。一例では、図3〜5に示すように、レンズ・ホルダ・ハウジング36は、反射体26とレンズ32との相対的な位置決めを正確に制御するために反射体26内に形成された円形の開口部50とはまり合う脚48のような特徴部を備えていても良い。反射体26をさらに、レンズ・ホルダ・ハウジング36に、好適な接着剤またはエポキシを介して、および好適な硬化プロセスを用いて(たとえば、ヒート・ステーキングまたは超音波溶着を介して)取り付けても良い。さらに、レンズ・ホルダ・ハウジング36が、内部に形成された開口部52を備えていて、開口部52を通してLED24の一部が収容され、および/または開口部52を、LEDから出た光24が反射体26に向かう途中で通過するようになっていても良い。レンズ・ホルダ・ハウジング36には、凹領域を含んでいてよく、凹領域は、ハウジング36を基板22に取り付けたときに、レンズ・ホルダ・ハウジングの最上部に形成された円形開口部54を通る以外の光が、画像センサ34が収容された凹領域内に入ることを妨げるものである。レンズ32は、レンズ・ホルダ・ハウジング36によって所定の位置に保持され、開口部54を通って入る任意の光がレンズ32を通過するようになっている。開口部54は、光が画像センサ34に向かう際に通過する開口絞りとして機能しても良い。さらにハウジング36は、前述した特徴部のそれぞれを有していても良く、同時に、LED24および反射体26から出た光による窓の照明を遮らない(または窓に影を形成しない)ようになっていても良い。ハウジング36を、任意の好適な接着剤またはエポキシ(エポキシを硬化させるための高温または低温処理を含んでいても良い)を介して、基板20に取り付けても良い。
【0023】
レンズ32は、ユーザの指から反射された光を画像センサ34上にフォーカスすることができる任意の好適なレンズであっても良い。レンズ32を、レンズ・ホルダ・ハウジング36のさらなる凹領域内に収容しても良い。たとえば、レンズ32をハウジング36に、UV硬化されたエポキシまたは接着剤を用いて取り付けることができる(あるいは、ハウジング36内にネジ山配置を介してネジで取り付けることができる)。一実施形態においては、レンズ32は、その物体側に円錐面を備え、その像側に非球面を備えている。この実施形態においては、レンズを、吸収バージョンの光学ポリマー(たとえばレキサンTM121−31142)から構成しても良いが、任意の他の好適な材料を用いることもできる。以下の表1に、レンズのこの実施形態についてのさらなる詳細が含まれている。
【0024】
【表1】
光学式ナビゲーション装置20または他の同様の装置において用いても良い画像センサ34の一例は、STマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)製のST VD5376であるが、任意の他の好適な画像センサを代わりに用いることができる。画像センサ34は、その上面に活性領域(active area)を有し、内部に種々の処理要素を有して画像処理機能(たとえば装置20に対するユーザの指の動きを検出するためのアルゴリズム)を実行しても良い。画像センサ34は、基板22にハンダ付けしても良いし、任意の他の好適な方法で取り付けても良い。
【0025】
図3〜6に示すように、種々の他の電気部品44も、基板22にハンダ付けしても良い(または任意の他の好適な方法で取り付けても良い)。これらには、LED24および/または画像センサ34の動作にとって必要とされる場合がある能動および受動素子の両方が含まれていても良い。
【0026】
図9および10に、LED24が発した光線60の大部分が、どのように反射体26によって窓28に向けて第1の方向に送られるかを示す。光線60の一部については、反射体26から反射されていないか、または窓28の上面の所望の領域以外の方向に反射されているが、ほとんどの光線はその方向に送られていることが分かる。
【0027】
図12に3つの透過率曲線対波長を示す。第1の曲線100は窓28の透過率対波長である。図に示すように、窓28の透過率は、約700nmより上で約90%であり、約660nmより下では、窓28の透過率は非常に低いが、400nm帯の領域は別で、そこでは透過率が急上昇して40%を少し超えている。第2の曲線102はレンズ32の透過率対波長である。図に示すように、レンズ32の透過率は、約800nmより上で約90%であり、約770nmより下では、レンズ32の透過率は非常に低いが、領域500nm帯の領域は別で、透過率が急上昇してほぼ10%になっている。窓28およびレンズ32の、組み合わせまたは直列接続の(cascaded)透過率104を曲線104で示す。透過率104は、約820nmより上で80%を少し超えており、約770nmより下で透過率は非常に低い。図に示すように、2つの異なる材料を窓28およびレンズ32に対して選択し、2つの異なる材料は低い方の波長において異なるスパイクを有することで、2つの光学部品28および32の組み合わせ透過率は、LED24から発した波長より下で非常に低いものになる。このことは、装置20の外側からの迷光が画像センサ34に届かないようにするのに役立つ。
【0028】
本明細書において開示された装置20の主な優位性の1つは、装置が満足する体積および寸法の厳しい制約である。具体的には、FPC42は考慮に入れないで、装置20は、6.5mm×6.5mm×2.24mm以下の範囲の体積内に収まる場合がある。これは、従来技術の光導波管およびプリズムを用いたのでは、(許容できる性能で)容易に行なうことはできず、一つには楕円体の反射体26を用いることによって実現される。この体積制約内にある装置においてライトパイプ(light pipe)の使用を試みるには、LEDから出た光をレンズによってコリメートしてライトパイプ内に送る必要があり得ることが分かった。たとえこの追加の光学素子を用いても、ライトパイプ内に内部全反射が生じるということに加え、窓28の上面での目標とする1.2mm×1.2mm領域の照明が不均一であるという問題があった。
【0029】
比較として、楕円体の反射体を用いる本明細書に記載した装置では、LEDに対してより大きい立体角に渡る集光力が実現され、光の大部分の向きを変えて斜めの束にした後、束は窓を貫通してユーザの指の方へ向かうことができ、適度に均一に照明された視野で指を照明し、LEDおよび画像センサを体積制約内に配置することが可能になる。
【0030】
本発明の実施形態を、図面および前述の説明において例示し詳細に説明してきたが、このような例示および説明は、例として考えるべきであり、限定的な性質ではない。たとえば、前述した特定の実施形態は、他の説明した実施形態と結合可能であっても良く、および/または他の方法で配置しても良い(たとえば、プロセス要素を他の順序で行なっても良い)。したがって、例示的な実施形態およびその変形のみを図示して説明してきたことを理解されたい。
【符号の説明】
【0031】
20…光学式ナビゲーション装置、22…基板、24…LED、26…反射体、28…窓、30…外部ハウジング、32…レンズ、34…画像センサ、36…レンズ・ホルダ・ハウジング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置であって、該装置は、
上面を有する光源であって、前記上面から光が発せられる、前記光源と、
前記光源に隣接して配置され、かつ前記光源の上面の上方に位置し、前記光源からの光を集めて第1の方向に反射する湾曲した反射体と、
前記反射体から前記第1の方向に配置された物体面であって、該物体面は前記光源からの光に対して透明であり、前記反射体によって反射された光は、前記物体面を通して送られ、前記物体面の上方に配置される物体によって反射されて前記物体面を通って戻ることが可能である、前記物体面と、
前記物体面の下方に配置され、前記物体から反射された後に前記物体面を通って戻る光を集めて第2の方向に送るレンズと、
前記レンズから前記第2の方向に配置され、前記物体から反射され前記レンズによって送られた光を受け取る画像センサと
を備える装置。
【請求項2】
前記光源は近赤外光を発する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光源は、850ナノメートルの波長帯の光を発する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記反射体は、回転させた円錐断面の一部の形状を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記反射体は楕円体の一部の形状を有し、前記光源は前記楕円体の焦点の1つに配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記反射体は、反射コーティングが施された曲面からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記曲面はプラスチック部材に形成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記物体面はポリカーボネート熱可塑性樹脂からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記物体面と前記レンズとの間に配置された開口絞りをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記レンズは、前記物体面の方を向く前記レンズの側にある第1のレンズ表面と、前記画像センサの方を向く前記レンズの側にある第2のレンズ表面とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のレンズ表面は円錐面である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のレンズ表面は非球面である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のレンズ表面は円錐面であり、前記第2のレンズ表面は非球面である、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記画像センサを囲むハウジングであって、光が該ハウジングの外側から前記画像センサへ進むことを、前記レンズを通じてのみ可能にする前記ハウジングを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記光源、前記反射体、および前記画像センサが取り付けられた基板をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
外部ハウジングであって、前記物体面が前記外部ハウジングの一部である、前記外部ハウジングをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記外部ハウジングは基板に取り付けられている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記物体面は窓の1つの面であり、前記窓および前記レンズは両方とも、LEDのスペクトル領域で透過し前記LEDのスペクトル領域の外側で周辺光を阻止する材料から作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記窓および前記レンズはそれぞれ、レキサンからなる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記窓および前記レンズはそれぞれ、他方とは異なる透過率曲線を有する材料からなり、前記窓および前記レンズの組み合わせ透過率が、約770nmを下回る実質的にすべての波長の光において非常に低くなっている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記窓はレキサン121−21051を含み、前記レンズはレキサン121−31142を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の方向は、前記物体面に垂直な方向に対する角度で、60〜75度の範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の方向は、前記物体面に垂直な方向に対する角度で、65〜70度の範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の方向は、前記物体面に垂直な方向に対する角度で、約67度の範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置であって、該装置は、
上面を有する光源であって、前記上面から光が発せられる、前記光源と、
前記光源に隣接して配置され、前記光源の上面の上方に位置し、前記光源からの光を集めて第1の方向に反射する湾曲した反射体であって、該湾曲した反射体は楕円体の一部の形状を有し、前記光源は前記楕円体の焦点の1つに配置される、前記反射体と、
前記反射体から前記第1の方向に配置された窓を有する外部ハウジングであって、前記窓は前記光源からの光に対して透明であり、前記反射体によって反射された光は、前記窓を通して送られ、物体が前記窓の上方に配置されたときに前記物体によって反射されて前記窓を通って戻ることができる、前記外部ハウジングと、
前記窓の下方に配置され、前記物体から反射された後に窓を通って戻る光を集めて第2の方向に送るレンズと、
前記レンズから前記第2の方向に配置された画像センサであって、前記物体から反射され前記レンズによって送られる光を受け取る画像センサと、
前記光源、前記反射体、および前記画像センサが取り付けられた基板と、
前記基板と接触して、該基板とともに前記画像センサを囲む内部ハウジングであって、該内部ハウジングは、内部に形成される開口部を有し、該開口部は、光が前記ハウジングの外側から前記画像センサへ進むことが、前記レンズを通じてのみ可能となるように、前記レンズに対して配置されている、前記内部ハウジングと
を備える装置。
【請求項26】
前記外部ハウジングは前記基板に取り付けられている、請求項25に記載の装置。
【請求項1】
物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置であって、該装置は、
上面を有する光源であって、前記上面から光が発せられる、前記光源と、
前記光源に隣接して配置され、かつ前記光源の上面の上方に位置し、前記光源からの光を集めて第1の方向に反射する湾曲した反射体と、
前記反射体から前記第1の方向に配置された物体面であって、該物体面は前記光源からの光に対して透明であり、前記反射体によって反射された光は、前記物体面を通して送られ、前記物体面の上方に配置される物体によって反射されて前記物体面を通って戻ることが可能である、前記物体面と、
前記物体面の下方に配置され、前記物体から反射された後に前記物体面を通って戻る光を集めて第2の方向に送るレンズと、
前記レンズから前記第2の方向に配置され、前記物体から反射され前記レンズによって送られた光を受け取る画像センサと
を備える装置。
【請求項2】
前記光源は近赤外光を発する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光源は、850ナノメートルの波長帯の光を発する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記反射体は、回転させた円錐断面の一部の形状を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記反射体は楕円体の一部の形状を有し、前記光源は前記楕円体の焦点の1つに配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記反射体は、反射コーティングが施された曲面からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記曲面はプラスチック部材に形成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記物体面はポリカーボネート熱可塑性樹脂からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記物体面と前記レンズとの間に配置された開口絞りをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記レンズは、前記物体面の方を向く前記レンズの側にある第1のレンズ表面と、前記画像センサの方を向く前記レンズの側にある第2のレンズ表面とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のレンズ表面は円錐面である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のレンズ表面は非球面である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のレンズ表面は円錐面であり、前記第2のレンズ表面は非球面である、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記画像センサを囲むハウジングであって、光が該ハウジングの外側から前記画像センサへ進むことを、前記レンズを通じてのみ可能にする前記ハウジングを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記光源、前記反射体、および前記画像センサが取り付けられた基板をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
外部ハウジングであって、前記物体面が前記外部ハウジングの一部である、前記外部ハウジングをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記外部ハウジングは基板に取り付けられている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記物体面は窓の1つの面であり、前記窓および前記レンズは両方とも、LEDのスペクトル領域で透過し前記LEDのスペクトル領域の外側で周辺光を阻止する材料から作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記窓および前記レンズはそれぞれ、レキサンからなる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記窓および前記レンズはそれぞれ、他方とは異なる透過率曲線を有する材料からなり、前記窓および前記レンズの組み合わせ透過率が、約770nmを下回る実質的にすべての波長の光において非常に低くなっている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記窓はレキサン121−21051を含み、前記レンズはレキサン121−31142を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の方向は、前記物体面に垂直な方向に対する角度で、60〜75度の範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の方向は、前記物体面に垂直な方向に対する角度で、65〜70度の範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の方向は、前記物体面に垂直な方向に対する角度で、約67度の範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
物体の動きに基づいてカーソルを移動させるように動作可能な光学式ナビゲーション装置であって、該装置は、
上面を有する光源であって、前記上面から光が発せられる、前記光源と、
前記光源に隣接して配置され、前記光源の上面の上方に位置し、前記光源からの光を集めて第1の方向に反射する湾曲した反射体であって、該湾曲した反射体は楕円体の一部の形状を有し、前記光源は前記楕円体の焦点の1つに配置される、前記反射体と、
前記反射体から前記第1の方向に配置された窓を有する外部ハウジングであって、前記窓は前記光源からの光に対して透明であり、前記反射体によって反射された光は、前記窓を通して送られ、物体が前記窓の上方に配置されたときに前記物体によって反射されて前記窓を通って戻ることができる、前記外部ハウジングと、
前記窓の下方に配置され、前記物体から反射された後に窓を通って戻る光を集めて第2の方向に送るレンズと、
前記レンズから前記第2の方向に配置された画像センサであって、前記物体から反射され前記レンズによって送られる光を受け取る画像センサと、
前記光源、前記反射体、および前記画像センサが取り付けられた基板と、
前記基板と接触して、該基板とともに前記画像センサを囲む内部ハウジングであって、該内部ハウジングは、内部に形成される開口部を有し、該開口部は、光が前記ハウジングの外側から前記画像センサへ進むことが、前記レンズを通じてのみ可能となるように、前記レンズに対して配置されている、前記内部ハウジングと
を備える装置。
【請求項26】
前記外部ハウジングは前記基板に取り付けられている、請求項25に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−113560(P2011−113560A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190783(P2010−190783)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(508176957)フレクストロニクス エイピー エルエルシー (21)
【氏名又は名称原語表記】FLEXTRONICS AP,LLC
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(508176957)フレクストロニクス エイピー エルエルシー (21)
【氏名又は名称原語表記】FLEXTRONICS AP,LLC
【Fターム(参考)】
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