説明

光学式生体測定装置

【課題】薄型化が可能な構成を有する光学式生体測定装置を提供する。
【解決手段】生体の内部に入射させる光を出射する発光面LES1を有する光源部LS1、生体の内部に入射され、生体の内部を伝播した後に生体の外部に出射する光を受光する受光面LRS1を有し、受光面LRS1は、発光面LES1と平行する平面に沿う方向を向く受光部LR1と、光源部が出射する光の進行方向を変化させて光を生体の表面から生体の内部に入射させ、或いは光源部が出射し、生体の内部に入射され、生体の内部を伝播した後に生体の外部に出射する光の進行方向を変化させて光を受光面LES1に導く導光部材IS1とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学式生体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体を照明する光源部と、光源部から生体内部を伝播し生体表面から出射した光を受光する受光部と、生体表面を成形する成形部と、受光部が受光した受光量に基づき生体の生体情報を算出する演算部とを有する光式生体情報測定装置等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−237195号公報
【特許文献2】国際公開WO1989/008428号公報
【特許文献3】特開2003−310575号公報
【特許文献4】特開2003−210465号公報
【特許文献5】国際公開W02004/110273号公報
【特許文献6】特開平8−15142号公報
【特許文献7】特開2009−233285号公報
【特許文献8】特開2005−259361号公報
【特許文献9】特開2006−184890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薄型化が可能な構成を有する光学式生体測定装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
光学式生体測定装置は、生体の表面から生体の内部に入射させる光を出射する発光面を有する光源部を有する。光学式生体測定装置は更に、光源部の発光面が出射し、生体の表面から生体の内部に入射され、生体の内部を伝播した後に生体の表面から生体の外部に出射する光を受光する受光面を有する受光部を有する。又、受光部の受光面は、光源部の発光面と平行する平面に沿う方向を向き、受光部は受光面が受光する受光量に応じた値を有する信号を出力する。光学式生体測定装置は更に、光源部の発光面が出射する光の進行方向を変化させて光を生体の表面から生体の内部に入射させる導光部材を有する。或いは導光部材は、光源部の発光面が出射し、生体の表面から生体の内部に入射され、生体の内部を伝播した後に生体の表面から生体の外部に出射する光の進行方向を変化させて光を受光部の受光面に導く。尚、このように生体内を伝播する光を以下、伝播光と称する。
【発明の効果】
【0006】
受光部の受光面が光源部の発光面に平行な方向を向くようにすることにより、光源部の発光面或いは受光部の受光面を生体の表面の延在方向に向ける配置が可能になる。その結果、光源部の発光面に直交する長さが発光面に平行する長さよりも大きい場合、或いは受光部の受光面に直交する長さが受光面に平行する長さよりも大きい場合、光学的生体測定装置の薄型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】参考例の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部(LED)と受光部(PD)との配置関係を説明するための側面図である。
【図2】本発明の実施例1の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部(LED)と受光部(PD)との配置関係を説明するための側面図である。
【図3】本発明の実施例1の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部、受光部及び導光部材の配置の一例を示す側面図である。
【図4A】本発明の実施例2の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部、受光部及び導光部材の配置の一例を示す側面図である。
【図4B】本発明の実施例2の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部(LED)と受光部(PD)との配置関係を説明するための側面図(図4Aとは、光源部と受光部との配置関係が逆)である。
【図4C】本発明の実施例2の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部、受光部及び導光部材の配置の一例を示す底面図(図4Aとは、光源部と受光部との配置関係が逆)である。
【図4D】本発明の実施例2の光学式生体測定装置のセンサ部の導光板の機能について説明する側面図(図4Aとは、光源部と受光部との配置関係が逆)である。
【図5】本発明の実施例3の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部、受光部及び導光部材の配置の一例を示す側面図である。
【図6】本発明の実施例4の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部、受光部及び導光部材の配置の一例を示す側面図である。
【図7】本発明の実施例5の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部、受光部及び導光部材の配置の一例を示す側面図である。
【図8A】本発明の実施例2の光学式生体測定装置のセンサ部の機能について説明する側面図である。
【図8B】本発明の実施例6の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部、受光部及び導光部材の配置の一例及び機能について説明する側面図である。
【図9】本発明の各実施例の光学式生体測定装置のセンサ部の機能について説明する図である。
【図10A】本発明の各実施例の光学式生体測定装置の全体の構成の一例を示すブロック図である。
【図10B】図10Aに示される皮下脂肪厚算出部の機能について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施例につき詳細に説明する。
【0009】
以下に説明する本発明の各実施例による光学式生体測定装置は、生体(例えば人間の身体に含まれる腹部、腕部、脚部等)に関する情報(例えば皮下脂肪の厚さ)を測定する装置である。すなわち本発明の各実施例による光学式生体測定装置の一例は、光を用いて脂肪厚を求める脂肪厚測定装置である。上記光学式生体測定装置は、生体に光を入射させ、上記生体内の例えば脂肪層内で散乱し、或いは筋肉層の表面で吸収によって差し引かれ上記生体から戻ってくる光の光量に基づいて上記生体に関する情報を得る装置である。尚、上記生体内の例えば脂肪層内で散乱し、或いは筋肉層の表面で吸収によって差し引かれて上記生体から戻ってくる光を「戻り光」と称する場合がある。
【0010】
尚、測定する生体に関する情報は、皮下脂肪の厚さ以外に、上記生体に含まれる特定の物質の量(例えば水分量)であってもよい。ここで、生体内の物質によって、特定の波長の光が吸収される量が異なる。又、特定の物質によって吸収される光の量は、使用する光の波長によって異なる。例えば波長650nm以下の可視光はヘモグロビンによって多く吸収され、波長1100nm以上の光は水によって多く吸収される。又、メラニンは広い帯域で安定して吸収する。すなわち、生体内の物質により、各波長の光に対する吸光特性(伝播光の減衰量)が異なる。この性質を利用し、異なる複数の波長の光を生体に入射させ、夫々の波長の光を入射させた場合の生体からの戻り光の光量を測定し、測定結果を分析する。このようにして生体内の特定の物質の量を測定することができる。
【0011】
本発明の各実施例による光学式生体測定装置を皮下脂肪の厚さを測定する用途に使用する場合、使用する光の波長として、例えば810nmを使用することができる。上記の如く波長650nm以下の可視光はヘモグロビンによって多く吸収され、波長1100nm以上の光は水によって多く吸収される。これに対し、この中間の650〜1100nmの光は生体組織内での透過率が高く、生体組織を傷つけることなく深部に到達することができることから「光の窓」と呼ばれている。又、波長975nmの光は水分による吸収が高いため、波長975nm以上の波長は避けることが望ましい。したがって上記の如く、本発明の各実施例による光学式生体測定装置を皮下脂肪の厚さを測定する用途に使用する場合、使用する光の波長として、例えば810nmを使用することができる。尚、810nmを含む700〜1500nm程度の波長の光は近赤外光と称されることがある。
【0012】
図1,図2とともに、実施例1の光学式生体測定装置における光源部と受光部との配置関係について説明する。ここで光源部は生体に対し入射させる光を発光する装置であり、例えばLED(Light Emitting Diode)である。受光部は光源部が発光し、上記生体に入射され、生体の内部を伝播した後に生体から出射する光を受光し、受光量に応じた信号を出力する装置であり、例えばPD(Photo Diode)である。
【0013】
図1は参考例の光学式生体測定装置における光源部と受光部との配置関係を示す図である。図1の例では、光源部LS1と受光部LR1とが、夫々発光面LES1、受光面LRS1を図中、下方向に向けて配置される。尚、図1の例の場合、光学式生体測定装置は、光源部LS1の発光面LES1及び受光部LR1の受光面LRS1を、夫々、測定対象である生体の表面(図示を省略)に接触させて使用される。すなわち図1の例では、光源部LS1の発光面LES1から出射された光が生体の表面から生体の内部に入射される。入射された光のうち、生体内の例えば脂肪層で散乱し、或いは筋肉層で反射されて生体の表面から生体の外部に出射された戻り光が受光部LR1の受光面LRS1で受光される。ここで光源部LS1の発光面LES1と直交する方向の長さはL11であり、発光面LES1と平行な方向の長さはL12であり、L11>L12とする。
【0014】
図2は本発明の実施例1の光学式生体測定装置における光源部と受光部との配置関係を示す図である。図2の実施例1では、光源部LS1は発光面LES1を図中、右方向に向け、受光部LR1は受光面LRS1を図中、下方向に向けて配置される。すなわち図2の実施例1では、光源部LS1の発光面LES1が、受光部LR1の受光面LRS1と直交するように光源部LS1と受光部LR1とを配置する。尚、図2の実施例1の光学式生体測定装置は、光源部LS1の発光面LES1を測定対象である生体の表面(図示を省略)の延在方向に向け、受光部LR1の受光面LRS1を上記生体の表面に接触させて使用される。すなわち図2の実施例1では、光源部LS1の発光面LES1から出射された光は、後述する導光部材によって進行方向が図中、下方向に変化されて生体の表面に入射される。入射された光のうち、生体内の例えば脂肪層で散乱し、或いは筋肉層で吸収され差し引かれた光、戻り光が、受光部LR1の受光面LRS1で受光される。ここでも光源部LS1の発光面LES1と直交する方向の長さはL11であり、発光面LES1と平行な方向の長さはL12であり、L11>L12とする。
【0015】
図2の実施例1の光学式生体測定装置によれば、上記の如く、光源部LS1の発光面LES1を、受光部LR1の受光面LRS1と直交するように光源部LS1と受光部LR1とを配置する。ここで上記の如く、光源部LS1の発光面LES1と直交する方向の長さはL11であり、発光面LES1と平行な方向の長さはL12であり、L11>L12である。図1の参考例の配置の場合には光源部LS1の高さはL11であるのに対し、図2の実施例1の配置の場合には光源部LS1の高さはL12である。上記の如くL11>L12であるため、図2の実施例1の配置の方が、光源部LS1の高さを低くすることができ、光学的生体測定装置において、光源部LS1の部分の高さを低減し得る。
【0016】
図3は上記した実施例1の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部、受光部及び導光部材の配置の一例を示す側面図である。
【0017】
図3中、実施例1の光学式生体測定装置のセンサ部における光源部LS1は、上記の如くLEDであり、例えば上記の如く、810nmの波長の光を発光する。上記センサ部における受光部LR1は、上記の如くPDであり、上記810nmの波長の光を受光し、受光量に応じた電圧(出力信号)を出力する。
【0018】
又、上記センサ部における導光部材IS1の材質は、光源部LS1の発光面LES1が発光(出射)した光を通過させることができる材質、例えばポリカーボネートとされる。又、導光部材IS1は、光源部LS1の発光面LES1が発光(出射)した光を屈折或いは反射することにより進行方向を変化させ、図3中、下方向に出射する機能を有する。
【0019】
ここで図3に示す光学式生体測定装置のセンサ部における光源部LS1,受光部LR1及び導光部材IS1は生体の表面に載置されて使用される。図3に示す如く、上記生体は、表皮及び真皮L1、脂肪層L2及び筋肉層L3を有する。図3中、表皮及び真皮L1の上部の表面が、上記生体の表面である。
【0020】
図3中、上記の如く導光部材IS1から下方向に出射した光は生体の表面から生体の内部に入射される。生体の内部に入射された光は表皮及び真皮L1を透過して脂肪層L2に至り、脂肪層L2内で散乱し、筋肉層L3に吸収され、或いは筋肉層L3で反射される。脂肪層L2内で散乱し、或いは筋肉層L3で反射された光のうちの一部の光SC1は、受光部LR1の受光面LRS1に入射され受光される。
【0021】
ここで脂肪層L2が薄いと、生体の内部に入射された光のうち、筋肉層L3で吸収される光の比率が多くなり、その結果伝播光の減衰量が多くなり、受光部LR1の受光面LRS1に受光される光量が少なくなる。逆に、脂肪層L2が厚いと、生体の内部に入射された光のうち、筋肉層L3で吸収される光の比率が少なくなり、その結果、その結果伝播光の減衰量が少なくなり、受光部LR1の受光面LRS1に受光される光量が多くなる。したがって脂肪層L2の厚さが大きいほど受光部LR1の受光面LRS1で受光される受光量が多くなり(後述する図10B参照)、この性質を利用して生体の脂肪層L2の厚さを測定することができる。
【0022】
又、図3中、光源部LS1の発光面LES1から導光部材IS1に入射された光のうち、光B1の進行方向は、入射時は図示の如く斜め右上方向である。光B1は導光部材IS1へ入射後、導光部材IS1が有する屈折面RR1で屈折されて進行方向がほぼ水平右方向に変化し、次に導光部材IS1が有する反射面RL1で反射されて図3中、進行方向が下方向に変化し、出射位置I1から生体の内部(L1→L2)へ入射される。
【0023】
同様に、光源部LS1の発光面LES1から導光部材IS1に入射された光のうち、光B2の進行方向は、入射時は図示の如く斜め右下方向である。光B2は導光部材IS1へ入射後、導光部材IS1が有する反射面RL0で反射されて斜め右上方向に進行方向が変化し、その後導光部材IS1が有する屈折面RR2で屈折されて進行方向がほぼ水平右方向に変化する。光B2は次に導光部材IS1が有する反射面RL2で反射されて図3中、進行方向が下方向に変化し、出射位置I2から生体の内部(L1→L2)へ入射される。
【0024】
このように光B1及び光B2が夫々2個所の出射位置I1,I2から生体の内部(L1→L2)へ入射されることにより、1個所の出射位置のみから生体の内部(L1→L2)へ入射される場合に比べ、生体の内部(L1→L2)へ入射される光量が多くなる。その結果、生体の内部(L1,L2)を伝播した後に受光部LR1の受光面LRS1に至り受光される光量が多くなり、脂肪層L2の厚さの差異に応じた受光部LR1からの出力信号の電圧差が大きくなる。よって実施例1による光学式生体測定装置における生体の脂肪層L2の厚さの測定感度が向上する(図9とともに後述する)。上記出射位置I1,I2は夫々擬似光源と見なすことができ、図3の場合、2個所の出射位置I1,I2に対応し、擬似光源が2個存在することになる。
【0025】
ここで導光部材IS1に上記屈折面RR1,RR2,及び反射面RL1,RL2を形成する方法について説明する。第1の方法は、図3に示す如く、導光部材IS1を形成する透明材料の表面に楔形の切り欠きを複数個設けることにより、隣接する切り欠きの間にプリズムを形成する。そして、各切り欠き(プリズム)の表面を、屈折面RR1,RR2,或いは反射面RL1,RL2として使用する方法である(特許文献8の図2参照)。
【0026】
第2の方法は、導光部材IS1を形成する透明材料にパルスレーザ光を照射或いは集光して照射することにより、透明材料の内部に屈折率が異なる領域を形成する。そして、形成された屈折率が異なる領域を、屈折面RR1,RR2,或いは反射面RL1,RL2として使用する方法である(特許文献9参照)。尚、上記第1及び第2の方法は、以下に説明する各実施例において使用される導光部材の全てについて同様に適用することができる。
【0027】
又、導光部材IS1は、例えば実施例1の光学式生体測定装置を携帯電話機内に設けるような場合、携帯電話機のイルミネーションを兼ねるようにすることができる。この場合、図3中、携帯電話機100の内部に光学式生体測定装置の光源部LS1,受光部LR1及び導光部材IS1が設けられる。そして、光学式生体測定装置が脂肪層L2の厚さの測定等に使用されない場合、出射位置I1,I2から光B1,B2が携帯電話機100の外部に出射されることにより、導光部材IS1がイルミネーションとして機能する。
【0028】
又、この場合、光源部LS1は、発光面LES1と対向する側の実装面が、携帯電話機100の内部に設けられた配線基板P1に実装される。同様に受光部LR1は、受光面LRS1と対向する側の実装面が、携帯電話機100の内部に設けられた配線基板P2に実装される。又、導光部材IS1は、携帯電話機100の内部に設けられた配線基板P3に実装される。又、導光部材IS1及び受光部LR1の図3における下面は直接測定対象の生体の表皮及び真皮(L1)に接するように露出されるが、それ以外の部分は携帯電話機100の外壁W1によって覆われる。このように光学式生体測定装置を携帯電話機に設ける場合、少なくとも携帯電話機を光学式生体測定装置として使用する場面では、携帯電話機自体を光学式生体測定装置と見なすこともできる。この点は以下に述べる各実施例においても同様である。
【0029】
ここで、光源部LS1であるLEDは、図1,図2とともに上記したように、発光面LES1と直交する方向に沿う長さL11が、発光面LES1に沿う長さL12より長い(L11>L12)。そして実施例1の光学式生体測定装置の場合、図3に示すように、光源部LS1の発光面LES1が、受光部LR1の受光面LRS1に平行な方向(図3中、右方向)を向くように光源部LS1が配置され且つ、受光部LR1の受光面LRS1が測定対象の生体の表皮及び真皮(L1)に面する。すなわち光源部LS1の長手方向が測定対象の生体の延在方向と一致し、光学式生体測定装置を携帯電話機100に設ける場合、同時に、携帯電話機100の外表面の延在方向とも一致する。図3(図2)のような配置では、図1のような配置に比べ、光源部LS1の、図3中、上下方向に沿う高さが低い。その結果、実施例1の光学式生体測定装置では、センサ部中、光源部LS1及び導光部材IS1の部分を薄型化できる。光源部LS1及び導光部材IS1の部分を薄型化は、光学式生体測定装置を携帯電話機100に設ける場合、携帯電話機100の設計の自由度を向上させ、携帯電話機100の薄型化に貢献する。
【0030】
又、図3に示す実施例1の光学式生体測定装置によれば、導光部材IS2に設ける屈折面RR1,RR2、反射面RL1,RL2の位置、個数を自由に選定でき、その結果、上記擬似光源を任意の位置に任意の個数設けることができる。
【0031】
又、図6とともに後述する実施例4のように導光部材を複数並べて相互に貼り合わせて設ける構成とすることにより、複数の導光部材に対応させて複数の光源部を狭ピッチで配置することもできる。その結果、上記の如く導光部材をイルミネーションとしても使用することが可能となる。又、上記複数の光源部の波長を相互に異ならせることにより、上記の如く生体内の物質により吸光特性が異なる性質を利用し、光学式生体測定装置に、皮下脂肪以外の生体内の物質に関する情報を同時に取得する機能を持たせることも可能である。
【0032】
次に図4A,4B,4C,4Dとともに、実施例2の光学式生体測定装置について説明する。
【0033】
実施例2の光学式生体測定装置は上述した実施例1の光学式生体測定装置と同様の原理を使用している。実施例2の場合も、実施例1と同様に、図4A,4Bに示す如く、光源部LS2の発光面LES2が、受光素子LR2の受光面LRS2に平行な方向(図4A,4B中、下方向)を向くように光源部LS1が配置される。しかしながら実施例1と異なり、光源部LS2の発光面LES2が測定対象の生体の表皮及び真皮(L1)に面する。すなわち実施例2の場合、受光部LR2の長手方向が測定対象の生体の延在方向と一致し、又、光学式生体測定装置を携帯電話機100Aに設ける場合、同時に、携帯電話機100Aの外表面の延在方向とも一致する。図4Bに示す如く、受光部LR2の受光面LRS2に直交する長さL21は、受光面LRS2に沿う長さL22より長い(L21>L22)。その結果、図4A,4Bのような配置とすることにより、図1のような配置に比べ、受光部LR2の、図4A,4B中、上下方向に沿う高さが低い。その結果、実施例2の光学式生体測定装置では、センサ部中、受光部LR2及び導光部材IS2の部分を薄型化できる。受光部LR2及び導光部材IS2の部分を薄型化は、光学式生体測定装置を携帯電話機100Aに設ける場合、携帯電話機100Aの設計の自由度を向上させ、携帯電話機100Aの薄型化に貢献する。
【0034】
尚、実施例2の光学式生体測定装置における光源部LS2及び受光部LR2は、夫々上記した実施例1の光学式生体測定装置における光源部LS1及び受光部LR1と同様の構成を有するものとすることができる。
【0035】
図4A,4Bに示す実施例2の光学式生体測定装置の場合、光源部LS2の発光面LES2から発光された光は直接、測定対象の生体へ入射され(L1→L2)、その後は実施例1の場合同様、入射された光は脂肪層L2で散乱し、筋肉層L3に吸収され、或いは筋肉層L3で反射される。脂肪層L2内で散乱し、或いは筋肉層L3で反射された光のうちの一部の光SC2が生体の表面から生体の外部に出射し、生体の表面に接している導光部材IS2の、図4A中、下側の表面から導光部材IS2の内部に入射される。尚、生体から出射する光は、ほぼ生体の表皮及び真皮L1の外表面に垂直な方向(法線方向)に出射する。
【0036】
このようにして導光部材IS2の内部に入射された伝播光のうち、出射位置E1で入射された光B11は、図4Aに示す如く上方向に進行した後、導光部材IS2が有する反射面RL11で反射されてほぼ水平左方向に進行する。光B11はその後、導光部材IS2が有する屈折面RR11で屈折されて斜め左下方向に進行し、次に導光部材IS2が有する反射面RL01で反射されて斜め左上方向に進行し、受光部LR2の受光面LRS2に至り、受光される。
【0037】
同様に、導光部材IS2の内部に入射された光のうち、出射位置E2で入射された光B12は、図4Aに示す如く上方向に進行した後、導光部材IS2が有する反射面RL12で反射されてほぼ水平左方向に進行する。光B12はその後、導光部材IS2が有する屈折面RR12で屈折されて斜め左下方向に進行し、受光部LR2の受光面LRS2に至り、受光される。
【0038】
図4Aに示す実施例2の光学式生体測定装置における導光部材IS2は、上述した実施例1の光学式生体測定装置における導光部材IS1と同様の材質を使用して同様の製造方法で製造することができる。又、上記導光部材IS2の反射面RL11,RL12及び屈折面RR11,RR12も、上記導光部材IS1の反射面RL1,RL1及び屈折面RR2,RR2と同様の方法(上記第1或いは第2の方法)で形成することが可能である。
【0039】
又、実施例2の光学式生体測定装置を携帯電話機100Aに設ける場合、図4A中、携帯電話機100Aの内部に光学式生体測定装置の光源部LS2,受光部LR2及び導光部材IS2が設けられる。この場合、受光部LR2は、受光面LRS2と対向する側の実装面が、携帯電話機100Aの内部に設けられた配線基板P1Aに実装される。同様に光源部LS2は、発光面LES2と対向する側の実装面が、携帯電話機100Aの内部に設けられた配線基板P2Aに実装される。又、導光部材IS2は、携帯電話機100Aの内部に設けられた配線基板P3Aに実装される。又、導光部材IS2及び光源部LS2の図4Aにおける下面は直接測定対象の生体の表皮及び真皮(L1)に接するように露出されるが、それ以外の部分は携帯電話機100Aの外壁W1Aによって覆われる。
【0040】
図4Cは、図4A,4Bとともに上述した実施例2による光学式生体測定装置のセンサ部に含まれる光源部LS2,受光部LR2及び導光部材IS2の底面図を示す。図4C中、光源部LS2の発光面LES2から手前側に発光された光は生体(図4Cでは図示を省略)の内部に入射される。そして生体内の脂肪層L2内で散乱し、或いは筋肉層L3で反射された光のうちの一部が生体の表面から出射して導光部材IS2に入射される。導光部材IS2に入射された光は図4Aとともに上述したように導光部材IS2の反射面RL11,RL12及び屈折面RR11,RR12で反射及び屈折されて進行方向が変化され、受光部LR2の受光面LRS2に至り、受光される。尚、図4C中、光源部LS2の発光面LES2は、例えば縦横2mm×2mmの正方形とすることができる。又、光源部LS2の中心から受光部LR2迄の距離Dは、例えば20mmとすることができる。又、導光部材IS2の、受光部LR2の受光面LRS2に平行な面(図4Cの紙面に直交する面)に沿う断面積は、受光部LR2の受光面LRS2の面積の4倍以上とすることが望ましい。
【0041】
図4Dは、図4A〜4Cとともに上述した実施例2の光学式生体測定装置が有する導光部材IS2の基本原理を説明するための図であり、説明の便宜上、上記導光部材IS2とは異なる構成を有する導光部材ISXの側面図を使用して説明する。図4D中、生体(図4Dでは図示を省略)内の脂肪層内で散乱し、或いは筋肉層で吸収によって差し引かれた光のうちの一部が生体の表面から出射して出射位置E1X,E2Xにて導光部材ISXに入射される。導光部材IS2に入射された光B1X,B2Xは、導光部材ISXが有する反射面RL1X,RL2Xにより夫々反射されて進行方向が図4D中、上方向から斜め右下方向に変化され、受光部の受光面LRSXに至り、受光される。
【0042】
ここで光B1Xが反射面RL1Xで反射される際、反射面RL1Xに沿う平面H1及びその法線V1と光B1Xの進行方向との関係は以下の通りである。すなわち、反射面RL1Xに入射する光B1Xと平面H1とのなす角度θ2と、反射面RL1Xで反射された光B1Xと平面H1とのなす角度θ2とは等しい。法線V1と光B1Xとの角度についても同様である。
【0043】
又、光B2Xが反射面RL2Xで反射される際、反射面RL2Xに沿う平面H2及びその法線V2と光B2Xの進行方向との関係は以下の通りである。すなわち、反射面RL2Xに入射する光B2Xと法線V2とのなす角度θ1と、反射面RL2Xで反射された光B2Xと法線V2とのなす角度θ1とは等しい。平面H2と光B2Xとの角度についても同様である。
【0044】
次に図5とともに、実施例3の光学式生体測定装置のセンサ部に含まれる光源部、受光部及び導光部材の構成について説明する。尚、図5の実施例3の光学式生体測定装置は、図3とともに上述した実施例1の光学式生体測定装置と同様の構成を有し、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0045】
図5の光学式生体測定装置(実施例3)が図3の光学式生体測定装置(実施例1)と異なる点は、遮光部材OC1が設けられる点である。図5に示すように遮光部材OC1は導光部材IS1の下側の表面、すなわち測定対象の生体の表皮及び真皮(L1)に面する表面を覆うように取り付けられる(例えば光学接着剤や光学用基材レス両面粘着テープ等の各種接着部材によって貼り付けられる)。遮光部材OC1は、光源部LS1から光B1,B2等が発光され、導光部材IS1で進行方向が変化されて測定対象の生体の内部(L1→L2)に入射される際、所定の入射位置I1,I2以外の位置からの入射を防止する機能を果たす。上記機能の実現のため、遮光部材OC1は、導光部材IS1の上記下側の表面を覆う板形状を有し、上記所定の入射位置I1,I2に対応する部分に開口部OP1,OP2が夫々設けられる。
【0046】
遮光部材OC1のうち、開口部OP1,OP2は光源部LS1が発光する光を透過する構成、すなわち例えば開口の構成を有し、開口部OP1,OP2以外の板状の部分は上記光を通さない(遮光する)材質で形成される。遮光部材OC1のうち開口部OP1,OP2以外の板状の部分は、例えばシリコン或いはABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)の板材の表面を塗装或いは金属メッキすることにより製造することができる。又、開口部OP1,OP2は各々、例えば2mm直径の円形或いは2mm×2mmのサイズの正方形の開口とすることができる。
【0047】
又、上記各実施例同様、光源部LS1は、発光面LES1と対向する側の実装面が、携帯電話機100Bの内部に設けられた配線基板P1Bに実装される。同様に受光部LR1は、受光面LRS1と対向する側の実装面が、携帯電話機100Bの内部に設けられた配線基板P2Bに実装される。又、導光部材IS1は、携帯電話機100Bの内部に設けられた配線基板P3Bに実装される。又、遮光部材OC1及び受光部LR1の図5における下面は直接測定対象の生体の表皮及び真皮(L1)に接するように露出されるが、それ以外の部分は携帯電話機100Bの外壁W1Bによって覆われる。
【0048】
上述した図5の実施例3の光学式生体測定装置によれば、遮光部材OC1を設けることにより、光源部LS1から光が発光され、導光部材IS1を介して測定対象の生体の内部に入射される際、所定の入射位置以外の位置からの入射を防止することができる。その結果、例えば導光部材IS1に傷があるような場合であって、傷の存在により意図せぬ光が所定の入射位置以外の位置から生体の内部に入射される可能性があっても、上記意図せぬ光の測定対象の生体への入射が防止される。よって光学式生体測定装置の測定精度を向上することができる。
【0049】
又、図5の実施例3の光学式生体測定装置によれば、実施例1の場合同様、上記の如く、導光部材IS1をイルミネーションとしても使用することができる。
【0050】
次に図6とともに、実施例4の光学式生体測定装置について説明する。実施例4の光学式生体測定装置では、図6に示されるように、導光部材を2個、上下に重ねて設け、2個の導光部材の夫々につき、光源部を夫々設ける。各導光部材IS1A,IS11は、図3とともに上述した実施例1の導光部材IS1と同様の構成及び機能を有し、夫々、対応する光源部LS1,LS11の発光面LES1,LES11から発光される光の進行方向を変化させる。このようにして導光部材IS1A,IS11は、夫々、光源部LS1,IS11から発光された光の進行方向を、図6中、下方向に向け、導光部材IS1Aの下面に面する測定対象の生体(図示を省略)の内部に光を入射させる。このようにして光源部LS1,IS11から発光され生体の内部に入射された光の一部は上記実施例1の場合同様、生体内の脂肪層内で散乱し、或いは筋肉層で反射され、生体の表面から出射して受光部LR1の受光面LRS1に至り、受光される。
【0051】
図6の実施例4の光学式生体測定装置によれば、実施例1の場合同様、上記の如く、導光部材IS1A,IS11をイルミネーションとしても使用することができる。又、光源部LS1,IS11の夫々が発光する光の波長を互いに異ならせることができる。その結果、上記の如く、測定対象の生体内の物質により各波長の光に対する吸光特性が異なる性質を利用し、光学式生体測定装置に、皮下脂肪以外の生体内の物質に関する情報を同時に取得する機能を持たせることが可能となる。
【0052】
尚、図6中、光源部LS1から発光された光B1,B2は、夫々、導光部材IS1Aが有する屈折面RR1,反射面RL1,反射面RL0,屈折面RR2及び反射面RL2によって、進行方向が変化されて、入射位置I1,I2で測定対象の生体の内部に入射される。同様に、上側の光源部LS11から発光された光B21,B22は、夫々、導光部材IS11が有する屈折面RR21,反射面RL21,反射面RL00,屈折面RR22及び反射面RL22によって、進行方向が変化される。そして、進行方向が変化された光は、入射位置I21,I22で下側の導光部材IS1Aに入射された後、そのまま導光部材IS1Aを透過し、測定対象の生体の内部に入射される。
【0053】
又、図6の実施例4の場合、光源部LS1、LS11は、夫々の発光面LES1、LES11と対向する側の実装面が、携帯電話機100Cの内部に設けられた配線基板P1Cに実装される。同様に受光部LR1は、受光面LRS1と対向する側の実装面が、携帯電話機100Cの内部に設けられた配線基板P2Cに実装される。又、2個の導光部材IS1A,IS11は、相互に接着剤等により張り合わされ、携帯電話機100Cの内部に設けられた配線基板P3Cに実装される。又、導光部材IS11及び受光部LR1の図6における下面は直接測定対象の生体の表皮及び真皮(L1、図6では図示を省略)に接するように露出されるが、それ以外の部分は携帯電話機100Cの外壁W1Cによって覆われる。
【0054】
尚、図6の実施例4では2個の導光部材IS1A,IS11は上下に(鉛直方向)に隣接して並べられている。しかしながら、この例に限られず、2個の導光部材IS1A,IS11に夫々対応する2個の導光部材を水平方向(図6の紙面に直交する方向)に隣接させて並べる構成とすることも可能である。2個の導光部材を鉛直方向に並べるか水平方向に並べるかは、例えば、導光部材を含む光学式生体測定装置を搭載する携帯電話機等における搭載スペースによって決定することができる。更に、隣接して並べる導光部材の個数も、上記の例における2個に限られず、3個以上とすることができる。その場合、光源部も対応して3個以上設けることができる。
【0055】
次に図7とともに、実施例5の光学式生体測定装置について説明する。実施例5の光学式生体測定装置は、図3とともに上述した実施例1の光学式生体測定装置と同様の構成を有し、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。又、実施例5で使用される導光部材IS3は、実施例1で使用される導光部材IS1と同様の材質により同様の製造方法で製造することができる。
【0056】
図7の光学式生体測定装置では、導光部材IS3の屈折面RR3及び反射面RL3が以下のように形成される。すなわち導光部材IS3の屈折面RR3及び反射面RL3は、光源部LS1から発光された光の進行方向を変化させて測定対象の生体(図7では図示を省略)の内部に入射させる際、生体の表面に対し、図7に示す如く、傾斜させて入射させるように形成される。すなわち、導光部材IS3で光B3の進行方向が変化されて生体の内部に入射位置I3で入射される際、生体の表面の鉛直方向に対し、傾斜して入射される。傾斜の方向は、図7に示す如く、光が生体に近づくにつれて受光部LS1に近づく方向である。すなわち、生体の内部に入射される光は、一定の角度をなして受光部LR1へ向くように傾斜される。その結果、例えば仮に光源部LS1として比較的発光量が小さいLEDを使用するような場合でも、測定対象の生体の内部で散乱し或いは反射した光が受光部LR1に届きやすくなる。
【0057】
図7の構成の場合、光源部SL1が発光した光B3が導光部材IS3の屈折面RR3で屈折されてほぼ水平右方向に進行し、その後導光部材IS3の反射面RL4で反射されて斜め右下方向に進行し、入射位置I3で測定対象の生体の内部へ入射される。
【0058】
又、図7の構成の場合、光源部LS1は、発光面LES1と対向する側の実装面が、携帯電話機100Dの内部に設けられた配線基板P1Dに実装される。同様に受光部LR1は、受光面LRS1と対向する側の実装面が、携帯電話機100Dの内部に設けられた配線基板P2Dに実装される。又、導光部材IS3は、携帯電話機100Dの内部に設けられた配線基板P3Dに実装される。又、導光部材IS3及び受光部LR1の図7における下面は直接測定対象の生体の表皮及び真皮(L1、図7では図示を省略)に接するように露出されるが、それ以外の部分は携帯電話機100Dの外壁W1Dによって覆われる。
【0059】
次に図8A,8Bとともに、実施例6の光学式生体測定装置について、上述した実施例2の光学式生体測定装置と対比しながら説明する。
【0060】
図8Aは、図4Aとともに上述した実施例2の光学式生体測定装置の光源部LS2,受光部LR2及び導光部材IS2の配置の一例を示す側面図である。図8Aの場合、図4Aとともに上述の如く、光源部LS2から発光された光は、測定対象の生体の内部に入射(L1→L2)され、脂肪層L2内で散乱し、或いは筋肉層L3で反射される。上記入射された光のうちの一部の光SC11,SC12が、出射位置E1,E2にて生体から出射し(光B11,B12)、夫々導光部材IS2の反射面RL11,屈折面RR11,反射面RL01、反射面RL12,屈折面RR12によって、進行方向が変化される。光B11,B12は、このように進行方向が変化されて受光部LR2の受光面LRS2に導かれ、受光される。
【0061】
図8Bは実施例6の光学式生体測定装置の光源部LS2,受光部LR2及び導光部材IS2の配置の一例を示す側面図である。図8Bの実施例6が図4A,8Aとともに上述した実施例2と異なる点は、図5とともに上述した実施例3同様、遮光部材OC2を有する点である。他の部分は実施例2と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0062】
図8Bに示すように遮光部材OC2は導光部材IS2の下側の表面、すなわち測定対象の生体の表皮及び真皮L1に面する表面を覆うように取り付けられる(例えば接着剤等によって貼り付けられる)。遮光部材OC2は、光源部LS2から発光されて測定対象の生体に入射(L1→L2)された伝播光のうちの一部が生体から出射して導光部材IS3に入射される際、所定の出射位置E1,E2以外の位置での導光部材IS3への入射を防止する機能を果たす。上記機能の実現のため、遮光部材OC2は、導光部材IS2の上記下側の表面を覆う板形状を有し、上記所定の出射位置E1,E2に対応する部分に開口部OP21,OP22がそれぞれ設けられる。遮光部材OC2のうち、開口部OP21,OP22は光源部LS2が発光する光を透過する構成、すなわち例えば開口の構成を有し、開口部OP21,OP22以外の板状の部分は上記光を通さない(遮光する)材質で形成される。遮光部材OC2のうち開口部OP21,OP22以外の板状の部分は、例えばシリコン或いはABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)の板材の表面を塗装或いは金属メッキすることにより製造することができる。又、開口部OP21,OP22は各々、例えば2mm直径の円形或いは2mm×2mmのサイズの正方形の開口とすることができる。
【0063】
又、上記各実施例同様、光源部LS2は、発光面LES2と対向する側の実装面が、携帯電話機100Eの内部に設けられた配線基板P1Eに実装される。同様に受光部LR2は、受光面LRS2と対向する側の実装面が、携帯電話機100Eの内部に設けられた配線基板P2Eに実装される。又、導光部材IS2は、携帯電話機100Eの内部に設けられた配線基板P3Eに実装される。又、導光部材IS2及び光源部LS2の図8Bにおける下面は直接測定対象の生体の表皮及び真皮(L1)に接するように露出されるが、それ以外の部分は携帯電話機100Eの外壁W1Eによって覆われる。
【0064】
図8Bとともに上述した実施例6の光学式生体測定装置によれば、遮光部材OC2を設け、光源部LS2から発光されて測定対象の生体に入射された光のうちの戻り光が生体から出射されて導光部材IS2に入射される際、所定の出射位置以外からの入射を防止することができる。その結果、例えば仮に導光部材IS2に傷がある場合であって、傷の存在により、所定の出射位置E1,E2以外から導光部材IS2に入射された意図せぬ光が受光部LR2に導かれるような場合であっても、上記意図せぬ光が受光部LR2に導かれることを防止し得る。よって光学式生体測定装置の測定精度を向上することができる。
【0065】
次に図9とともに、上記各実施例の光学式生体測定装置において、皮下脂肪の厚さを測定する際の測定精度を向上させる方法について説明する。図9の横軸は測定対象の生体を伝播光が伝播する水平距離(mm)を示し、縦軸は受光部が出力する信号の電圧値(出力電圧(V))を示す。尚、図9に示す数値はあくまで説明のための例示であり、各実施例が上記数値によって限定されることはない。図9に示す如く、測定対象の脂肪層L2の厚さ(T=8(mm)、T=12(mm)、及びT=40(mm))の相違により、同一の水平距離において、出力電圧が異なる。より具体的には、ある水平距離において、脂肪層L2が厚いほど、出力電圧が大きい。よって出力電圧から脂肪層L2の厚さを得ることができる。
【0066】
又、上記各実施例では、上記の如く、複数の入射位置I1,I2にて測定対象の生体に光を入射させ、或いは複数の出射位置E1,E2にて測定対象の生体から光を出射させて測定に使用する。すなわち、相互に異なる複数の入射位置I1,I2にて測定対象の生体に光を入射させ、或いは相互に異なる複数の出射位置E1,E2にて測定対象の生体から光を出射させて測定に使用する。その結果、測定対象の生体を伝播光が伝播する水平距離が相互に異なる複数の測定結果を合計した値を示す出力信号を受光部から得ることができる。
【0067】
すなわち、例えば図3のような構成において、仮に入射位置I1で測定対象の生体L1〜L3に光が入射され、受光部LR1の受光面LRS1に到るまでに生体内を伝播する水平距離を30mmとする。同様に入射位置I2で測定対象の生体に光が入射され、受光部LR1の受光面LRS1に到るまでに生体内を伝播する水平距離を20mmとする。この場合、入射位置I1,I2の夫々で入射された光は夫々受光部LR1の受光面LRS1に到達して受光される。その際の受光量は入射位置I1,I2の夫々で入射された光の合計の受光量である。
【0068】
例えば図9中、測定対象の脂肪層L2の厚さがT=40(mm)であったとすると、上記の如く伝播の水平距離が30mmの場合、出力電圧は略0.3Vであり、伝播の水平距離が20mmの場合、出力電圧は略1.2Vである。したがってこの場合、合計の受光量を示す出力電圧として、略1.5V(0.3+1.2=1.5)が得られる。同様に脂肪層L2の厚さがT=12(mm)であったとすると、上記の如く伝播の水平距離が30mmの場合、出力電圧は略0.2Vであり、伝播の水平距離が20mmの場合、出力電圧は略0.8Vである。したがってこの場合、合計の受光量を示す出力電圧として、略1.0V(0.2+0.8=1.0)が得られる。その結果、両者の差分は略0.5V(1.5−1.0=0.5)となり、伝播の水平距離が30mmの場合の差分0.1V(0.3−0.2=0.1)、伝播の水平距離が20mmの場合の差分0.4V(1.2−0.8=0.4)の各々に比し、明らかに拡大されている。
【0069】
このようにして、各実施例では、複数の異なる水平距離を伝播する伝播光の合計の受光量を使用して測定を行うため、脂肪層L2の厚さの差分に対して得られる出力電圧の差分を拡大することができ、皮下脂肪厚測定の差異のS/N(Signal/Noise)比を向上できる。
【0070】
次に図10A,10Bとともに、上記した各実施例による光学式生体測定装置の全体構成の一例につき説明する。
【0071】
各実施例の光学式生体測定装置は、大略、センサ部10と、皮下脂肪厚算出装置20と、出力部31とを有する。センサ部10は、発光制御部11,発光部12及び受光部13を有する。ここで発光部11は上記光源部LS1,LS2,LS11の各々を意味し、受光部13は、上記受光部LR1、LR2の各々を意味する。上記各実施例の説明において説明したように、発光部12から測定対象の生体L1〜L3に対し発光された光の生体からの戻り光が受光部13で受光される。発光制御部11は、発光部11(例えばLED)に供給する電流値を制御することにより、発光部11の発光量を制御する。
【0072】
皮下脂肪厚算出装置20は、データ記憶部21,データ信頼性判定部22,皮下脂肪厚算出部23及び皮下脂肪厚判定部24を有する。データ記憶部21は受光部13から出力される受光量に応じた電圧を有する出力信号の電圧値を記憶する。
【0073】
データ信頼性判定部22は、発光制御部11を制御し、まず、第1ステップにおいて、発光部12が発光しない状態を形成する。発光部12が発光しない状態において、受光部13の受光量を示す出力信号の電圧値がデータ記憶部21に記憶され、データ信頼性判定部22がデータ記憶部21から記憶された電圧値を読み出し、読み出した電圧値が所定の閾値以下か否かを判定する。この判定によりデータ信頼性判定部22は、受光部13の受光面が測定対象の生体L1〜L3の表面に接していることを確認する。仮に受光部13の受光面が生体の表面から離れていた場合、太陽光や部屋の照明器具の照明光等が受光部12に受光され、発光部12が発光しない状態であっても、あたかも発光部12が発光した状態における如くの受光量が得られる。その結果受光部12の出力信号の電圧値が上記閾値を超えることになり、受光部13の受光面が生体の表面から離れている状態を検出することができる。このように受光部13の受光面が生体の表面から離れていた場合には正確な測定ができないため、例えば出力部31を介して外部にエラー出力を行う。
【0074】
他方、上記第1ステップでデータ信頼性判定部22がデータ記憶部21から記憶された電圧値を読み出した電圧値が所定の閾値以下であった場合、次の第2ステップを実行する。第2ステップでは、データ信頼性判定部22は発光制御部11を制御することにより、発光部12の発光量を段階的に一定の増加率で増加させる(多段型の発光動作)。その結果、段階的に増加される発光部12の各発光量に応じた受光量を示す受光部13の出力信号の電圧値がデータ記憶部21に記憶される。
【0075】
次に第3ステップにて、第1ステップ同様、データ信頼性判定部22は発光制御部11を制御し、発光部12が発光しない状態を形成し、第1ステップと同様の方法にて、受光部13の受光面が測定対象の生体の表面に接していることを確認する。この場合も第1ステップ同様、データ記憶部21から記憶された電圧値を読み出した電圧値が所定の閾値以下であった場合、データ信頼性判定部22は、例えば出力部31を介して外部にエラー出力を行う。
【0076】
第3ステップでデータ記憶部21から記憶された電圧値を読み出した電圧値が所定の閾値以下であった場合、データ信頼性判定部22は第4ステップを実行する。第4ステップでデータ信頼性判定部22は、第2ステップにおける多段型の発光動作でデータ記憶部21に記憶された各発光量に応じた受光量を示す電圧値の中から、所定の発光量に応じた受光量を示す電圧値を読み出し、読み出した電圧値を皮下脂肪厚算出部23に出力する。
【0077】
皮下脂肪厚算出部23は、データ信頼性判定部22から出力された電圧値に基づき、測定対象の生体の脂肪層L2の厚さ(皮下脂肪厚)を、図10Bとともに後述する方法によって算出する。皮下脂肪厚判定部24は、皮下脂肪厚算出部23で算出された脂肪層L2の厚さの値が、予め予測された範囲内の値か否かを判定する。算出された脂肪層L2の厚さの値が予め予測された範囲外であれば、皮下脂肪厚判定部24は出力部31に対し、エラー出力を行う。算出された脂肪層L2の厚さの値が予め予測された範囲内であれば、皮下脂肪厚判定部24は出力部31に対し、算出された脂肪層L2の厚さの値を出力する。出力部31は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置であり、皮下脂肪厚判定部24が出力した値を、表示出力し、或いは上記の如くエラー出力を行う。
【0078】
次に図10Bとともに、皮下脂肪厚算出部23による脂肪層L2の厚さの算出方法について説明する。図10Bは、発光部12の発光量が上記所定の発光量に応じた受光部13の受光量を示す出力信号の電圧値(受光量[V])と、測定対象の生体の脂肪層L2の厚さ(算出脂肪厚[mm])との関係を示すグラフ(曲線)である。図10Bに示される如く、受光部13の受光量を示す出力信号の電圧値が大きいほど、測定対象の生体の脂肪層L2の厚さが大きいことになり、図10Bのグラフは、例えば関数式y=a×Ln(x)+bで表すことができる。上記関数式中、yは測定対象の生体の脂肪層L2の厚さ(算出脂肪厚[mm])を示し、xは受光部13の受光量を示す出力信号の電圧値(受光量[V])を示す。したがって皮下脂肪厚算出部23は、図10Bのグラフ或いは上記関数式を使用し、データ信頼性判定部22から出力される、所定の発光量に応じた受光部13の受光量を示す出力信号の電圧値(受光量[V])から、測定対象の生体の脂肪層L2の厚さ(算出脂肪厚[mm])を得ることができる。
【符号の説明】
【0079】
LS1,LS2,LS11 光源部(発光部)
LES1,LES2,LES11 発光面
LR1,LR2 受光部
LRS1,LRS2、LRSX 受光面
IS1,IS2,IS3,IS1A,IS11 導光部材(導光部)
RL0,RL1,RL2,RL3,RL01,RL11,RL12,RL21,RL22,RL1X,RL2X 反射面
RR1,RR2,RR3,RR11,RR12,RR21,RR22 屈折面
B1,B2,B3,B11,B12,B21,B22,B1X,B2X 光(伝播光)
I1,I2 所定の入射位置
E1,E2 所定の出射位置
L1 表皮及び真皮(測定対象の生体)
L2 脂肪層(測定対象の生体)
L3 筋肉層(測定対象の生体)
10 センサ部
11 発光制御部
12 発光部(光源部)
13 受光部
20 皮下脂肪厚算出装置(演算部)
21 データ記憶部
22 データ信頼性判定部
23 皮下脂肪厚算出部
24 皮下脂肪厚判定部
31 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に入射する光を発光する発光面を有する光源部と、
前記光源部の発光面が出射し、前記生体の表面から前記生体の内部に入射され、前記生体の内部を伝播した後に前記生体の表面から前記生体の外部に出射する光を受光する受光面であって、前記光源部の発光面に平行な方向を向く受光面を有し、前記受光面が受光する受光量に応じた値を有する信号を出力する受光部と、
前記光源部の発光面から出射され前記受光部の受光面に受光されるまでの光の経路上において、前記光の進行方向を変化させる導光部と、
を有する光学式生体測定装置。
【請求項2】
前記導光部は前記生体を伝播し外部に出射する光の進行方向を変化させて前記光を前記受光部の受光面に導く第1の導光部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光学式生体測定装置。
【請求項3】
前記導光部は前記光源部の発光面が出射する光の進行方向を変化させて前記光を前記生体の表面から前記生体の内部に導く第2の導光部を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式生体測定装置。
【請求項4】
前記導光部は、前記光を反射することにより前記光の進行方向を変化させる反射面、及び前記光を屈折させることにより前記光の進行方向を変化させる屈折面のうちの少なくとも一方を有する、請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の光学式生体測定装置。
【請求項5】
前記第2の導光部は、前記光源部の発光面が出射する光の進行方向を変化させて、複数の入射位置で前記光を前記生体の表面から前記生体の内部に入射させる、ことを特徴とする請求項3に記載の光学式生体測定装置。
【請求項6】
前記第1の導光部は、前記光源部の発光面が出射し、前記生体の表面から前記生体の内部に入射され、前記生体の内部を伝播した後に複数の出射位置で前記生体の表面から前記生体の外部に出射する光の進行方向を変化させて、前記光を前記受光部の受光面に導く、ことを特徴とする請求項2に記載の光学式生体測定装置。
【請求項7】
前記光源部は波長が異なる複数の光源部を有し、
前記導光部は複数の導光部材を有し、前記複数の導光部材は前記複数の光源部の夫々について設けられ、
前記複数の光源部のうちの一の光源部の発光面が出射した光は、前記一の光源部について設けられた前記複数の導光部材のうちの一の導光部材により進行方向が変化されて前記生体の表面から前記生体の内部に入射され、前記生体の内部を伝播した後に前記生体の表面から前記生体の外部に出射した光が前記受光部の受光面に受光されることを特徴とする、請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の光学式生体測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図3】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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