説明

光学情報読取装置

【課題】汎用照明ユニットを使用するときに光学読取装置の電源回路を保護する。
【解決手段】機種情報を取得できない汎用照明ユニット122に流れる電流値を計測しながらLED80の点灯強度を高めるPWM制御が実行される(S102)。このPWM制御により変化する各点灯強度において、コンパレータ126は汎用照明ユニット122に流れる電流値を、所与の電流最大値と比較し、電流最大値を越えたときに電流検出の割り込みを発生させる(S104)。そして、割り込みが発生したときの点灯強度を最大照明強度としてバーコードリーダ2のメモリMに記憶する(S105)。割り込みが発生することなくPWM制御によりLED80の点灯強度を高めた結果、点灯強度が最大値に達したときには(S103)、このときの点灯強度を最大照明強度としてバーコードリーダ2のメモリMに記憶する(S105)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードやQRコードなどの光学情報を読み取るための光学情報読取装置に用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トレーサビリティ(traceability)が普及した今日、工場や物流拠点などに光学情報読取装置を設置して、製品や産品に付与されたバーコードなどの光学情報又は光学符号の解読が行われている。この種の光学情報読取装置は「バーコードリーダ」又は「コードリーダ」と呼ばれている。
【0003】
バーコードリーダはレーザ光、可視光、赤外光を光学情報に照射し、その反射光を光学読取素子(撮像素子)で取り込む。そして、この取り込んだ撮像画像から光学情報に記録されている情報の解析が行われる。
【0004】
バーコードリーダは、特許文献1に見られるように照明用LEDを備え、この照明用LEDで視野範囲を照明しながら光学情報の取り込みが行われる。ワークの表面性状や作業環境によってはバーコードリーダの内部照明では光学情報を読み取るのが難しい場合には、バーコードリーダとは別体の外部照明が用いられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−33465号公報
【特許文献2】特開平11−338966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バーコードリーダに接続可能な外部照明ユニットとして専用品をユーザに提供するにしても、専用の外部照明ユニットの種類は限定的であり、全てのユーザの要望に応じることは事実上不可能である。したがって、バーコードリーダの設計において、専用の外部照明ユニットだけでなく、汎用の外部照明ユニットも使用できるようにバーコードリーダを設計することはユーザにとって有意義である。
【0007】
専用の外部照明ユニットの場合、これを接続することでバーコードリーダは専用外部照明ユニットの機種に応じた点灯強度で専用外部照明ユニットを制御できるように設計するのは当然であるが、バーコードリーダが機種を特定できない汎用の外部照明ユニットの場合には、この汎用の外部照明ユニットの負荷を確認しないでバーコードリーダから汎用外部照明ユニットに電源を供給することは、バーコードリーダの電源容量を越えて汎用外部照明ユニットに電源を供給してしまう可能性があり、この場合にバーコードリーダの電源回路を破損してしまう虞がある。
【0008】
本発明の目的は、専用及び汎用の外部照明ユニットを接続可能であり且つ汎用の外部照明ユニットを接続したときに光学読取装置の電源回路を保護することのできる光学情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
接続された外部照明ユニットに電源を供給すると共に該外部照明ユニットの照明を制御しながらワークの光学情報を読み取る光学情報読取装置であって、
該光学情報読取装置は、機種情報が取得可能な専用外部照明ユニットと、機種情報が取得できない汎用外部照明ユニットが接続可能であり、
前記専用外部照明ユニットが接続された際に、該専用外部照明ユニットの機種を認識する機種認識手段と、
前記汎用外部照明ユニットが接続された際に、該汎用外部照明ユニットに流れる電流の値を計測する電流値計測手段と、
該電流値計測手段が計測した計測電流値と、予め規定した所与の電流値とに基づいて、接続された汎用外部照明ユニットの最大照明強度を設定する最大照明強度設定手段と、
前記専用外部照明ユニットが接続されているときには、前記機種認識手段が認識した機種情報に基づいて前記専用外部照明ユニットの照明を制御し、前記汎用外部照明ユニットが接続されたときには、前記最大照明強度設定手段により設定された最大照明強度以下の点灯強度となるように前記汎用外部照明ユニットの照明を制御する照明制御手段とを備えていることを特徴とする光学情報読取装置を提供することにより達成される。ここに、予め規定した所与の電流値の典型例は、光学情報読取装置の電源回路によって前記汎用外部照明ユニットに供給できる最大電流値である。
【0010】
本発明によれば、専用及び汎用の外部照明ユニットを接続可能であり、そして、汎用の外部照明ユニットを接続したときに、当該外部照明ユニットに流れる電流値と所与の電流値とに基づいて汎用外部照明ユニットの最大照明強度が設定されることから、光学読取装置の電源回路の能力を越えた点灯強度で汎用外部照明ユニットが駆動されるのを防止することができ、これにより、光学情報読取装置の電源回路の能力の範囲内で汎用外部照明ユニットに対して電源を供給することができる。
【0011】
本発明の他の目的、作用効果は以下の本発明の好ましい実施例の詳しい説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】バーコードリーダ・システムの全体構成図である。
【図2】光学情報読取装置であるバーコードリーダの斜視図である。
【図3】バーコードリーダの内部に配置される各種基板の配置を斜め前方から見た図である。
【図4】図3に関連した図であって、バーコードリーダの内部に配置される各種基板の配置を斜め後方から見た図である。
【図5】バーコードリーダに内蔵される各種基板の結線関係を説明するための図である。
【図6】バーコードリーダに内蔵されるシャーシと、このシャーシに組み付けられたメイン基板、電源基板、サブ基板の配置を説明するための図である。
【図7】シャーシに組み付けられる各種の要素を説明するための図である。
【図8】カメラモジュールを斜め後方から見た図である。
【図9】カメラモジュールを斜め前方から見た図である。
【図10】カメラモジュールの内部構造を説明するための概念図である。
【図11】カメラモジュールと各種基板の関係を示す図であり、この状態でバーコードリーダのメインケースに収容される。
【図12】図11と同様に、カメラモジュールと各種基板の関係を示す図であり、好ましい例として、電源基板、メイン基板の上に放熱部材である熱伝導ゴムを載置した例を示す図である。
【図13】図12に関連して、熱伝導ゴムが電源基板、メイン基板とメインケースとに当接した状態を説明するための図である。
【図14】メインケースから前方に延びる一対のロッド状の延長部分の前端面にLED基板(内部照明基板)を取り付け、また、延長部分に電源基板、メイン基板の前端を固定することを説明するための図である。
【図15】バーコードリーダのメインケース及びその開放した後端がリヤケースによって閉じられることを説明するための図であり、このリヤケースにコネクタ基板を固定した状態を示す分解斜視図である。
【図16】図15に図示の内蔵物を収容したメインケースの正面図である。
【図17】図16からカメラモジュールを取り除いた状態のメインケースの正面図である。
【図18】メインケースに固定されるカメラモジュールの焦点距離を調整する一つの手段を説明するための図である。
【図19】メインケースに固定されるカメラモジュールの光軸のズレを調整する一つの手段を説明するための図である。
【図20】外部照明ユニットをバーコードリーダに取り付けた状態を示す図である。
【図21】外部照明ユニットの分解斜視図である。
【図22】外部照明ユニットに内蔵されるLEDを搭載したLED基板の斜視図である。
【図23】外部照明ユニットに組み込まれる2枚の基板の取り付け関係を説明するための図である。
【図24】外部照明ユニットのアウターケースを構成するフロントケースとリヤケースのシール構造の一例を示す図である。
【図25】外部照明ユニットのアウターケースを構成するフロントケースとリヤケースのシール構造の他の例を示す図である。
【図26】バーコードリーダに外部照明ユニットを組み付けるためのツールであるプレート部材の上端部を抽出した部分斜視図である。
【図27】プレート部材とバーコードリーダとの締結構造を説明するためにプレート部材の一部を抽出した部分斜視図である。
【図28】プレート部材に設けられた取付金具の変形例を示す図である。
【図29】図28に図示の取付金具の断面図である。
【図30】小径の専用外部照明ユニットをバーコードリーダに取り付けた状態の断面図である。
【図31】大径の専用外部照明ユニットをバーコードリーダに取り付けた状態の断面図である。
【図32】バーコードリーダに内蔵され且つ複数のLEDを面状に配列した面光源である内部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御可能であることを説明するための図であり、内部照明ユニットの正面図である。
【図33】大径の専用外部照明ユニットの正面図であり、この外部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御されることを説明するための図である。
【図34】小径の専用外部照明ユニットの正面図であり、この外部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御されることを説明するための図である。
【図35】内部照明ユニット及び外部照明ユニットに組み込まれたLED駆動回路の一例を示す図である。
【図36】内部照明ユニット及び外部照明ユニットの部分照明を制御するための系統図である。
【図37】内部照明ユニット及び外部照明ユニットに組み込まれたLED駆動回路のスイッチ機構の詳細を示す図である。
【図38】内部照明及び外部照明のLED駆動に関する「ブロック」「列」の概念を説明するための図である。
【図39】内部照明ユニット及び外部照明ユニットの部分照明に関する設定エリアの点灯制御に関連した全体系統図である。
【図40】バーコードリーダとの通信によって専用外部照明ユニットの点灯制御を実行するための全体系統図である。
【図41】汎用照明ユニットに電源を供給するバーコードリーダの電源保護回路と電源保護プログラムを説明するための図である。
【図42】汎用照明ユニットの機種を特定できないときの電源保護プログラムの一連の処理を示すフローチャートである。
【図43】汎用照明ユニットの機種と負荷をバーコードリーダの内部メモリ及びバーコードリーダ・システムの設定プログラムとで共有し合っていることを説明するための図である。
【図44】図41のコンパレータの代わりにADコンバータを用いて計算式により最大電流値を求めることのできる電源保護回路の変形例を説明するための図である。
【図45】図44のADコンバータを用いた電源保護プログラムの一連の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0014】
バーコードリーダ・システム(図1)
図1はバーコードリーダ・システムの概要を説明するための図である。図1を参照して、バーコードリーダ・システム1は、二次元情報読取装置であるバーコードリーダ2と、必要に応じてバーコードリーダ2に接続されるパーソナルコンピュータ3とを有し、バーコードリーダ2で撮像した画像をパーソナルコンピュータ3で確認しながら、このパーソナルコンピュータ3を使って各種の設定が行われる。バーコードリーダ・システム1には、更に、必要に応じてリング型の外部照明ユニット4がバーコードリーダ2に接続され、バーコードリーダ2の内部照明ユニット5と一緒になって又は内部照明ユニット5の動作を止めて外部照明ユニット4だけでワークを照明する。
【0015】
リング型の外部照明ユニット4は、このバーコードリーダ・システム1のための専用品であり、異なる種類の複数の外部照明ユニット4を用意するのが好ましい。勿論、外部照明ユニット4として専用品以外の照明ユニットを組み込むことも可能である。
【0016】
バーコードリーダ・システム1は、バーコード、QRコードなどの光学情報又は光学符号が印字又は刻印された商品あるいは物品を製造する工場では物品の搬送経路に設置され、バーコードリーダ2で商品又は物品に印字された光学情報に記録されている情報を読み取り、この情報をパーソナルコンピュータ3に転送して情報の解析が行われる。「光学情報読取装置」は一般的に“バーコードリーダ”又は“コードリーダ”を呼ばれており、ここでは“バーコードリーダ”という業界用語を使用する。
【0017】
また、図示の例では、図1に開示のように、パーソナルコンピュータ3に設定プログラムをインストールすることにより、このパーソナルコンピュータ3を使ってバーコードリーダ・システム1の各種の設定が行われる。勿論、バーコードリーダ2に例えばタッチパネル付き表示手段を設けて、この表示手段を使ってバーコードリーダ2、内部照明ユニット5(図3)及び/又は外部照明4(図20、図21)の設定作業ができるようにしてもよい。
【0018】
バーコードリーダ2(図2〜図19)
図2はバーコードリーダ2の外観を示す斜視図である。バーコードリーダ2は、断面多角形の形状のメインケース6と、メインケース6の前端に固定される円筒状のフロントケース7とを有し、この円筒状のフロントケース7に前述した内部照明ユニット5が内蔵されている。メインケース6は、図2などから分かるように略正方形の断面形状を備えているのが好ましい。
【0019】
バーコードリーダ2には互いに独立した複数の基板が内蔵されている。図3〜図5を参照して、バーコードリーダ2が備える複数の基板は次の通りである。
(1)メイン基板10:
メイン基板10には、CPU、メモリMが搭載され、画像をメモリMに転送してDSP(digital Signal Processor)で画像処理する。そして、メイン基板10のCPUで内部照明ユニット5を具備したバーコードリーダ2を制御し、また、外部照明ユニット4との通信を実行する。
(2)電源基板11:
バーコードリーダ2の電源を生成する。絶縁入出力回路が実装されている。
【0020】
(3)サブ基板12:
大容量メモリが搭載されており、この大容量メモリに取得画像や各種の設定が保存される。制限した大きさ及び形状のメイン基板10では、このメイン基板10に実装することのできなかった要素が実装される。
(4)CMOS基板13(受光基板):
CMOSイメージセンサ(光学読取素子)が実装され、画像を取得してメイン基板10に転送する。ポインタ用のLED40(図10)が搭載される。
【0021】
(5)LED基板14:
内部照明ユニット5を構成する円形開口14aを備えた円板状の基板であり、このLED基板14に複数の照明用LED80が実装され(後に説明する図32)、この複数の照明用LED80の点灯制御を実行する。複数の照明用LED80は、後に説明するバーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする複数の径の異なる同心円上に配列される。内部照明ユニット5(LED基板14)に実装された複数の照明用LED80は後に説明するようにエリア分けして点灯制御される。また、このLED基板14には、各エリアに属する複数の照明用LEDに定電流を供給する定電流回路が設けられる。
(6)コネクタ基板15:
外部電源、IO、RS232C、Ethernet(登録商標)、外部照明ユニット4との入出力のインターフェースを構成する基板である。なお、外部照明ユニット4には、電源基板11から電源が供給される。
【0022】
図3、図4を参照して、メイン基板10と電源基板11とは互いに対向して配置され、このメイン基板10と電源基板11の各々の側縁で挟まれた領域に、これらメイン基板10と電源基板11と直交するようにしてサブ基板12が配設されている。サブ基板12とメイン基板10の配置位置を互いに置換してもよい。メイン基板10、電源基板11、サブ基板12は、バーコードリーダ2は矩形断面のメインケース6の4つの側面のうち3つの側面に隣接し且つこの3つの側面の各々に沿って配設される。そして、このメイン基板10、電源基板11、サブ基板12で囲まれた空間にCMOS基板13が位置し、このCMOS基板13は各基板10〜12と直交する一つの鉛直面に配設される。また、このCMOS基板13と平行に且つCMOS基板13を挟んで互いに対峙してLED基板14とコネクタ基板15が位置決めされる。
【0023】
図5は、上述した各基板10〜15の接続関係を説明するための図である。メイン基板10は、電源基板11と第1のFFC20(Flexible Flat Cable)で接続され、サブ基板12と第2のFFC21で接続され、CMOS基板13とFPC(Flexible Printed Circuit)22で接続され、内部照明ユニット4LED基板14と第3のFFC23で接続され、コネクタ基板15と第1のハーネス24で接続されている。電源基板11は、また、内部照明ユニット5のLED基板14と第2のハーネス25で接続され、LED基板14に実装された照明用LEDを発光させるための電源が電源基板11からLED基板14に供給される。電源基板11とコネクタ基板15は、2本のハーネス26、27とFFC28で接続されている。
【0024】
図5を再び参照して、メイン基板10と電源基板11とが略同じ大きさ及び形状を有している点に注目すべきである。換言すれば、メイン基板10は、電源基板11と略同じ大きさ及び形状となるように設計され、この制約のためにメイン基板10に搭載できなかった電子部品がサブ基板12に搭載される。
【0025】
図6、図7を参照して、メイン基板10、電源基板11、サブ基板12、CMOS基板13は、樹脂成型品であるシャーシ30に組み付けられる。シャーシ30は、図7から最も良く分かるように、メインケース6の断面形状とほぼ相似形の略正方形の断面形状を有するボックス形状を有し、このボックス形状の一つの側面30aを閉塞し、他の5つの面を開放した形態を有している。メイン基板10、電源基板11、サブ基板12は、開放した3つの側面10b〜10dに夫々配設される。樹脂成型品のシャーシ30は前後に開放しており、その一端開口30fからカメラモジュール32が挿入され(図7)、シャーシ30の中に挿入されたカメラモジュール32は、その周囲にメイン基板10、電源基板11、サブ基板12が位置し、これらメイン基板10、電源基板11、サブ基板12によってカメラモジュール32が包囲された状態になる。
【0026】
図8、図9を参照して、カメラモジュール32は、アルミニウムなどのダイキャスト品からなるカメラホルダ35を有し、このカメラホルダ35は、矩形断面のホルダ本体35aと、ホルダ本体35aの互いに対向する側面から前方に且つ互いに平行に延びる一対のアーム35bと、一対のアーム35bの前端から互いに離れる方向に延びる一対の取付部35cとを有している。ホルダ本体35aには、後方に向けて開放した後端面にCMOS基板13が複数のネジ37によって固定される(図8)。
【0027】
メイン基板10と電源基板11の位置決めのために、シャーシ30には6つの爪38が一体成形されており(図7)、この6つの爪38を使ってメイン基板10と、これに対向する電源基板11が、シャーシ30の開放した互いに対向する2つの側面30b、30dの夫々に位置決めされる。メイン基板10には爪38を受け入れる切り欠き10aが形成されている(図7)。電源基板11にも同様に切り欠き11aが形成されている(図3)。図7を参照して、矩形のサブ基板12は、対角線上の角隅部に一対の透孔12a、12bを有し、この一対の透孔12a、12bに対応してシャーシ30にも一対の透孔30g(一方の透孔は作図上の理由から図面には現れていない)が形成され、これら透孔12a、12b、30gを整合させることによりサブ基板12はシャーシ30にネジ止めされる。
【0028】
ポインタ用LEDの配置(図10)
カメラモジュール32は円筒状のレンズ組立体36を有し、このレンズ組立体36はカメラホルダ35の一対のアーム35b、35bの間に配設されている。図10を参照して、ホルダ本体35aの後端開口には、CMOS基板13がネジ37(図8)を使って固定される。CMOS基板13には、一対のポインタ用LED40、40が搭載されている。このポインタ用LED40に関連して、ホルダ本体35aには、各ポインタ用LED40の直ぐ前方に拡散シート41が配設されている。2つのポインタ用LED40の光は、夫々、拡散シート41を通じて且つレンズ組立体36を通じて前方に照射され、バーコードリーダ2の視野範囲の中の互いに離間した2点を指し示す。図10の参照符合43は光学読取素子であるCMOSイメージセンサを示し、光学読取素子43はCMOS基板13に実装されている。
【0029】
ポインタ用LED40をカメラモジュール32に内蔵させたことにより、光学読取素子43とポインタ用LED40との相対位置を一定に保つのが容易になると共にバーコードリーダ2を小型化するのが容易になる。特に、ポインタ用LED40がバーコードリーダ2のレンズ組立体36を光学読取素子43と共用することによって、ポインタ用LED40のための専用のレンズが不要となるためバーコードリーダ2の小型化が容易である。
【0030】
カメラモジュール32は、光学読取素子(撮像素子)43とレンズ組立体36との間の距離が従来との対比で非常に大きく、高い分解能でバーコードやQRコードなどの光学情報を超微小な領域まで読み取ることができるという特徴を有している。このように従来との対比で長さ寸法が大きいカメラモジュール32をバーコードリーダ2の中に収容するとき、上述した基板配置に注目すべきである。すなわち、カメラモジュール32をメイン基板10、電源基板11、サブ基板12で囲むという技術的思想を導入することで、バーコードリーダ2を小型化しつつ長尺のカメラモジュール32をアウターケースの中に収容することができる。
【0031】
ちにみに、カメラモジュール32のスペックは次のとおりである。
(1)光学倍率:0.6〜1.0倍(実施例では、0.823倍);
(2)視野範囲:7.5mm×4.8mm〜4.5mm×2.9mm(実施例では、5.5mm×3.5mm);
(3)光学読取素子から先端のレンズまでの距離:35mm以上(実施例では40mm)。
【0032】
図11は、シャーシ30に基板10、11、12及びカメラモジュール32を組み付けた組立体の斜視図である。図12は、メイン基板10、電源基板11の上に、夫々、クッション性を備え且つ優れた熱伝導性を備えた放熱部材として熱伝導ゴム45を設置した状態を示す。バーコードリーダ2の放熱性に関して必要があれば、図12に例示した態様で熱伝導ゴム45を添設した状態で矩形断面のメインケース6(図2)に収容される(図13)。
【0033】
伝熱性に優れた金属材料からなる多角形断面のメインケース6の異なる側面に隣接し且つこれに沿ってメイン基板10と電源基板11を配置したことにより、これらメイン基板10及び電源基板11の熱を外部に放出し易くなると共に、このメイン基板10と電源基板11で囲まれた空間にカメラモジュール32を収容することができるため、バーコードリーダ2の一層の小型化が可能である。特に、メイン基板10、電源基板11とメインケース6との間に熱伝導ゴム45のような放熱部材を介在させることで放熱効率を高めることができ、この観点からもバーコードリーダ2の一層の小型化が可能になる。
【0034】
図13及び図15の参照符合46はリヤケースを示し、メインケース6の後端開口に脱着可能に装着されてメインケース6を閉塞する。リヤケース46にはコネクタ基板15が取付けられており、このコネクタ基板15はリヤケース46にネジ47を使って固定される(図15)。バーコードリーダ2のアウターケースを構成するメインケース6、フロントケース7、リヤケース46は、例えばメインケース6を熱伝導に優れた金属材料、例えばアルミニウムなどの伝熱性材料から作られるのがよい。
【0035】
図6を参照して、メイン基板10及び電源基板11には、その前端幅狭部に夫々透孔50、51を有する。バーコードリーダ2のメインケース6は、円筒状のフロントケース7の内部まで前方に且つ互いに平行に延びるロッド状の一対の延長部分6aを有する(図15)。
【0036】
メインケース6の前端部を抽出した図14を参照して、メインケース6の一対の延長部分6aには、メイン基板10及び電源基板11の前端幅狭部の透孔50、51に関連した透孔52、53が形成され、この透孔52、53に挿入したネジ54を使ってメイン基板10及び電源基板11がメインケース6(延長部分6a)に固定される。これにより、シャーシ30の3つの爪38で位置決めされたメイン基板10、電源基板11は、その各々が、メインケース6の前方に延びる延長部分6aに1本のネジ54によって固定される。換言すれば、この合計2本のネジ54によってシャーシ30がメインケース6に固定された状態となる。ネジ54を締結する作業及びネジ54を取り外す作業を容易にするために、メイン基板10の透孔50及び電源基板11の透孔51に、ネジ54が螺着するナット55を実装するのが好ましい。メインケース6の一対のロッド状の延長部分6aには、また、その前端面にリング状のLED基板14がネジ60を使って固定される。このリング状のLED基板14がレンズ組立体36の周囲に配置され、LED基板14に搭載された複数の照明用LED80によって、レンズ組立体36の外周側に位置するリング状の且つ複数のLED80を面状に配列した面光源が形成される。
【0037】
図17は、メインケース6を正面から見た図である。メインケース6は、その前端面に左右一対の取付座62を有し、この一対の取付座62を使ってカメラモジュール32がメインケース6に固定される。図16は、メインケース6の中にカメラモジュール32を内蔵させた状態の正面図である、図17は、カメラモジュール32を取り除いた状態で描いたメインケース6の正面図である。
【0038】
金属成型品であるメインケース6にカメラモジュール32を固定することで、カメラモジュール32をシャーシ30に固定するのに比べてカメラモジュール32の位置決め精度を高めて視野範囲の位置決め精度を高めることができる。
【0039】
バーコードリーダ2が内蔵する主要な基板、つまり電源基板10、メイン基板12などと、レンズ組立体36を含むカメラモジュール32とをシャーシに組み付けた組立体をアウターケース(メインケース6)に内蔵させる構成を採用したことにより、複数種類のカメラモジュール32を用意することで同じアウターケースを使って複数種類のバーコードリーダ2をユーザに提供することができる。また、異なる種類のカメラモジュール32に対して、同一の電源基板10やメイン基板12などを採用し且つ同じアウターケースを使ってバーコードリーダ2を製造することができる。
【0040】
前述したカメラモジュール32の左右一対の取付部35cがメインケース6の左右一対の取付座62に着座され、4本のネジ63を使って各取付部35cが、対応する取付座62に固定される(図16)。
【0041】
上述したメインケース6の取付座62と、カメラモジュール32の取付部35cとの間にスペーサ65が介装される(図18)。このスペーサ65として、厚さ寸法の異なる複数種類のスペーサ65を予め用意しておくことで、又は同じ厚み寸法のスペーサ65を単数又は複数重ねることでバーコードリーダ2の焦点距離のバラツキを調整するのがよい。また、厚さ寸法の異なる複数の種類のスペーサ65を使い分けてバーコードリーダ2の焦点距離を異ならせることで、共通の同じアウターケースを共用しつつ焦点距離のことなるバーコードリーダ2をユーザに提供することができる。また、厚さ寸法の異なる複数種類のスペーサ65を用意し、この厚さ寸法の異なるスペーサ65を用いてカメラモジュール32の光軸が正規の光軸となるようにカメラモジュール32の光軸調整を行うのがよい(図19)。
【0042】
専用外部照明ユニット4(図20〜図31)
図20は、バーコードリーダ2に専用の外部照明ユニット4を装着した状態を示し、参照符号70は、バーコードリーダ2と外部照明ユニット4とを接続するケーブルを示す。外部照明ユニット4にはバーコードリーダ2から電源が供給される。
【0043】
リング状の外形形状を備えた外部照明ユニット4は円形の外形輪郭を有し、その中心に円形開口4aを備え、この円形開口4aの中心とバーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸とが一致するようにバーコードリーダ2が位置決めされる。このバーコードリーダ2の位置決めのためにスタンド71が用意される。スタンド71は、後に詳しく説明するように、外部照明ユニット4の背面にボルト止めされる一対のプレート部材72と、このプレート部材72の任意の高さ位置にバーコードリーダ2を定置させるための取付金具73とで構成されている。
【0044】
先ず、外部照明ユニット4の構造について図21を参照して説明する。図21は外部照明ユニット4の分解斜視図である。外部照明ユニット4は、リング状の円筒形状のフロントケース75と、リヤケース76とからなるアウターケースの内部に、LED基板77と回路基板78とがスタックコネクタ79及び図示を省略した第1のスペーサを介して積層した状態で収容されている。
【0045】
リング状の円筒形状のフロントケース75の断面リング状の形状とほぼ同じ大きさのリング状のLED基板77には複数の照明用LED80が実装されている。このリング状のLED基板77とほぼ同じ大きさであるのが好ましいリング状の回路基板78には、LED駆動回路の他に、外部照明ユニット4に搭載された複数のLED80の点灯を制御すると共にバーコードリーダ2との通信を制御するCPU、メモリM(図1)が実装されている。図23を参照して、LED基板77と回路基板78とは電気的に接続されるのは勿論であるが、これらLED基板77と回路基板78とは上述した第1のスペーサ(図示せず)によって相互に固定され、また、LED基板77は第2のスペーサ81によってリヤケース76に固定される。換言すると、回路基板78はLED基板77を介してリヤケース76に固定される。
【0046】
特にフロントケース75に、後に説明するフレネルレンズ102(図30)を採用したときに、LED基板77の照明用LED80とフロントケース75との相対的な位置決めが重要となる。図23の例であれば、LED基板77がリヤケース76を介してフロントケース75に位置決めされるため、これによりフロントケース75とLED基板77とが相対的に位置決めされるだけでなく、LED基板77、回路基板78の組み付け作業が容易である。
【0047】
変形例として、LED基板77と回路基板78の設置構造に関し、回路基板78をLED基板77を介在させることなく直接的にリヤケース76にスペーサを介して固定するようにしてもよい。また、回路基板78をリヤケース76にスペーサを介して固定すると共にこの回路基板78にLED基板77を他のスペーサを介して固定するようにしてもよい。
【0048】
上述したように、円筒状フロントケース75の後端の断面円形の形状を変えることなく、フロントケース75の後端開口に挿入する形式のリヤケース76を採用した上で図24、図25のシール構造を採用することでLED基板77の最大限の基板面積を確保しつつ耐油防水機能を備えた外部照明ユニット4を製造することができる。換言すると、フロントケース75や、このフロントケース75に収容したLED基板77の周囲の形状が円形以外の異形の形状であると、これによって外形輪郭が円形のLED基板77の直径を小さく設定せざるを得なくなってしまう。
【0049】
図24、図25は、リング状の円筒形状のフロントケース75の後端開口にリヤケース76を嵌入する形式で外部照明ユニット4のアウターケースを構成した場合に、図24に示すように、リヤケース76の周面に接着剤85を塗布してフロントケース75に嵌入する又はフロントケース75に接着剤85を塗布した後にリング状の円板形状のリヤケース76を嵌入する、フロントケース75にリヤケース76を嵌入した後に、その隙間に接着剤85やシール剤を充填する等によりフロントケース75とリヤケース76との間の隙間に接着剤85やシール剤を介在させることで、この接着剤85やシール剤でアウターケースのシール性を確保するようにしてもよい。また、この場合に、必要に応じてネジ86を使って両者75、76を固定してもよい。
【0050】
図25を参照して、フロントケース75とリヤケース76との間にパッキン87を介装して、このパッキン87によってシール性を確保するようにしてもよい。
【0051】
専用外部照明ユニット4の位置決め機構(図26〜図29)
図26〜図27は前述したスタンド71(図20)の詳細図である。図20、図26を参照して外部照明ユニット4の背面且つ中心円形開口4aに隣接した箇所から起立する長方形の形状の一対のプレート部材72は、中心円形開口4aの直径方向に互いに対峙した状態で平行に延びている。
【0052】
プレート部材72は、上下方向に延びるガイドスリット72aを有し、また、このガイドスリット72aと平行にサブスリット72bを少なくとも一本有している。
【0053】
取付金具73は、プレート部材72を横断し且つプレート部材72の両側縁と係合する左右の折り返し部73aを備えた形態を有し、そしてバネ性を具備している。この取付金具73の中心部位にネジ74が好ましくは脱落不能に取り付けられている。
【0054】
ネジ74は一対のプレート部材72の間に配置されたバーコードリーダ2のネジ穴89(図15、図27)に螺合される。バーコードリーダ2は、プレート部材72のガイドスリット72aに受け入れられる突出ピン90を備えている(図2、図15)。突出ピン90は、バーコードリーダ2のメインケース6の互いに対向する側面に、夫々、2つ設けられ、この2本の突出ピン90を結ぶラインは、バーコードリーダ2の光軸と平行である。より詳しくは、突出ピン90は、矩形断面のメインケース6の互いに対向する側面の各々に2本設けられ、この2本の突出ピン90は、メインケース6の側面の一端部と他端部に配置されている。また、取付金具73のネジ74を受け入れるネジ穴89は、メインケース6の前端部(フロントケース7側の端部)に形成されている。
【0055】
バネ性を備えた取付金具73のネジ74を緩めて一対のプレート部材72の所望の高さ位置にバーコードリーダ2を位置決めしたら、ネジ74をねじ込むことで、取付金具73をプレート部材72に密着させることによりバーコードリーダ2はプレート部材72に固定される。これに加えて、バーコードリーダ2の側面(例えばリヤケース46)にねじ穴92(図2、図15)を設け、このねじ穴92に螺号する第2のネジ93を使ってプレート部材72とバーコードリーダ2とを締結するようにしてもよい(図20)。この第2のネジ93はプレート部材72のサブスリット72bに配置される。これにより、バーコードリーダ2の互いに対向する側面が、上下方向及び幅方向に離間して位置する2本のネジ74、93によって各プレート部材72に固定される。
【0056】
図20から最も良く分かるように、ガイドスリット72aはプレート部材72の長手方向の一端部から他端部まで一直線に且つバーコードリーダ2の光軸と平行に延びている。これにより、バーコードリーダ2の光軸を一定に保ちながらバーコードリーダ2の高さ位置を調整することができる。
【0057】
サブスリット72bはガイドスリット72aと平行に延びているが、サブスリット72bの下端はプレート部材72の長手方向中間部分で終わっている。このようにサブスリット72bの下端をプレート部材72の高さ方向中間部分で終端させることにより、次の利点がある。バーコードリーダ2の高さ位置を調整するために、取付金具73の第1のネジ74及びサブスリット72bに挿入した第2のネジ93を共に緩めたときに、基本的には、取付金具73のバネ性によってバーコードリーダ2は、ユーザがバーコードリーダ2を上げ下げしない限りその位置を保つが、何らかの原因でバーコードリーダ2から手を話した瞬間にバーコードリーダ2が大きく下降してバーコードリーダ2が損傷するのを防止することができる。このバーコードリーダ2の落下規制は、サブスリット72bの下端を比較的高い位置で終わらせる設定が行われているからであり、バーコードリーダ2に螺着した第2のネジ93がサブスリット72bの下端で係止することにより、このサブスリット74bの下端がストッパとして機能してバーコードリーダ2が過度に落下してしまうのを回避することができる。
【0058】
図28、図29は、変形例の取付金具100の変形例を示す。取付金具100は、左右の折り返し部73aの中間部分に上方に延びた後に反転して下方に延びる自由端部101を有し、この自由端部101に第1のネジ74がネジホルダ74aによって脱落不能に取り付けられている。この変形例の取付金具100によれば、第1のネジ74がバーコードリーダ2から完全に離脱したとしても、この第1ネジ74が取付金具100から不用意に脱落してしまうのを回避することができる。
【0059】
専用外部照明ユニット4の種類(図30、図31)
図30、図31は、バーコードリーダ2に外部照明ユニット4を取り付けた状態を示し、図30は、比較的LED80の数が少ない小径の第1種類の外部照明ユニット4Aを示し、図31は、比較的LED80の数が多い大径の第2種類の外部照明ユニット4Bを示す。この第1、第2の種類の外部照明ユニット4A、4Bを用意したときには、ユーザはバーコードリーダ・システム1を設置する環境などによって第1、第2の外部照明4A、4Bを使い分けることができる。この機種情報は、外部照明ユニット4のメモリM(図1)に記憶され、バーコードリーダ2に接続されたときには、バーコードリーダ2は、外部照明ユニット4のメモリMに記憶されている機種情報を取り込むことで該外部照明ユニット4を認識し、これにより外部照明ユニット4との接続設定が実行される。
【0060】
照明用LED80の数が比較的少ない小径の外部照明ユニット4Aでは、フロントケース75の透光部分にフレネルレンズ102を有し(図30)、このフレネルレンズ102によって、小径の外部照明ユニット4Aに搭載される照明用LED80を傾斜させることなく真下に向けて配置しながら、照明用LED80の光をバーコードリーダ2の視野範囲に収めることができる。照明用LED80を真下に向けて配置できることから、小径の外部照明ユニット4Aの照明用LED80の実装密度を高めることができる。これに対して、LED80の数が比較的多い大径の外部照明ユニット4Bでは、各照明用LED80がバーコードリーダ2の視野範囲に指向して傾いた状態でLED基板77に実装されている。
【0061】
内部照明ユニット5の部分照明(図32)
図32は、バーコードリーダ2に内蔵されるLED基板14の平面図である。リング状のLED基板14には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた3つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする複数の径の異なる同心円上に配列されている。
【0062】
リング状LED基板14は、円周方向に等間隔に4つのブロックに区分され、各ブロックを半径方向に2つに区分することにより形成される合計8つのエリアを単位に部分照明される。具体的には、最外周の1列が90°間隔で4つの領域に区分されている。これを外周第1エリアAEout1、外周第2エリアAEout2、外周第3エリアAEout3、外周第4エリアAEout4で図示してある。最内周及び中間の2列が90°間隔で4つの領域に区分されている。これを内周第1エリアAEin1、内周第2エリアAEin2、内周第3エリアAEin3、内周第4エリアAEin4で図示してある。各エリアAEout1〜out4、in1〜in4の各々のエリアに属するLED80は、各エリアで均一に分布するように位置決めされている。
【0063】
内部照明ユニット5の区分エリアAEout1〜out4、AEin1〜in4の各々を単位に照明を制御することができる。このエリアに区分した点灯制御には、LED80の発光量の制御を含んでもよい。
【0064】
大径の外部照明ユニット4Bの部分照明(図33)
図33は、外部照明ユニット4のLED基板77の平面図であり、より詳しくは大径の外部照明ユニット4BのLED基板77が図示されている。リング状のLED基板77には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた4つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする径の異なる4つの同心円上に配列されている。
【0065】
大径の外部照明ユニット4Bでは、円周方向に等間隔に8つのブロックに区分され、各ブロックを半径方向に4つに区分することにより形成される合計32のエリアを単位に部分照明するように設定されている。具体的には、リング状LED基板77は、最外周の1列が45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外周第1エリアAEout1〜外周第8エリアAEout8で図示してある。次の一列も45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外側中間第1エリアAEmid1〜外側中間第8エリアAEmid8で図示してある。次の一列も45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外側中間第9エリアAEmid9〜外側中間第16エリアAEmid16で図示してある。最内周の一列45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを内周第1エリアAEin1〜内周第8エリアAEin8で図示してある。この大径の外部照明ユニット4Bにあっても合計32のエリアの各々を単位に照明を制御することができる。外部照明ユニット4Bにあっても、各エリア毎にLED80の発光量の制御を実行することができる。
【0066】
小径の外部照明ユニット4Aの部分照明(図34)
図34は、小径の外部照明ユニット4AのLED基板77の平面図である。リング状のLED基板77には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた3つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする径の異なる3つの同心円上に配列されている。
【0067】
リング状LED基板77は、最外周の1列が45°間隔で8つの領域に区分されている。これを外周第1エリアAEout1〜外周第8エリアAEout8で図示してある。中間の一列も45°間隔で8つの領域に区分されている。これを外側中間第1エリアAEmid1〜外側中間第8エリアAEmid8で図示してある。内周の一列も45°間隔で8つの領域に区分されている。これを内周第1エリアAEin1〜内周第8エリアAEin8で図示してある。この小径の外部照明ユニット4Aにあっても合計24のエリアに分けて部分照明を設定することができる。このエリアに区分した点灯制御には、LED80の発光量の制御を含んでもよい。なお、部分照明として設定したエリアを単位に照明用LED80による照明の色を異ならせるようにしてもよい。
【0068】
外部照明ユニット4のLED駆動回路(図35)
図35はLED駆動回路の一部を示す。図示のLED駆動回路は、各エリア毎にLED80を点灯させると共に、各エリアに属する複数の照明用LED80に定電流を供給することができる。
【0069】
例えば、図34の小径外側照明ユニット4Aについて説明すると、リング状LED基板77を周方向に45°間隔で区分した8つの領域を「ブロック」と呼ぶ。例えば、外周第1エリアAEout1、中間第1エリアAEmid1、内周第1エリアAEin1が第1ブロックを構成する。各ブロック毎にブロックスイッチ105と定電流回路106が設けられている。ブロックスイッチ105をONすると、当該ブロックに属する複数のLED80に電圧を印加できる状態になる。各列の複数のLED80には、各ブロック毎にこれをバイパスする列スイッチ107が設けられ、この列スイッチ107と並列に照明用LED80の群が直列に接続されている。なお、図35には、各円周列の照明用LED80が一個しか図示されていないが、これは線図を簡素化したという理由に過ぎず、各列スイッチ107と並列に接続された照明用LED80は直列に複数存在していると理解されたい。
【0070】
各ブロックに属する各列は直列に接続され、そして、各列には、上述した列スイッチ107が並列に接続されている。
【0071】
したがって、任意の列スイッチ107をOFFすることにより該当するブロック且つ該当する列に属する複数のLED80に定電流が供給される。このLED駆動回路を外部照明ユニット4Aが備えることにより、各ブロックの各列を単位に部分照明のエリアを任意設定することができる。
【0072】
また、各ブロック毎に定電流回路106を設けたことで、例えば同じブロックでの第1〜第3の円周列の照明LED80に流れる電流を一定に維持することができる。換言すると、定電流回路106無しでは、例えば第2、第3の円周列の照明LED80を点灯しているときに第1の円周列の照明LED80をOFFからONにスイッチすると、第2、第3の円周列の照明LED80に印加する電圧が変化して、第2、第3の照明LED80を流れる電流が変化して明るさが変化してしまう。
【0073】
別の言い方で説明すると、ブロックスイッチ105をON/OFFしても、他のブロックに属する照明用LED80の発光量は変化しない。各ブロックは互いに並列に電源に接続されているからである。しかし、列スイッチ107をON/OFFすると、当該ブロックで点灯するLED80の数が変化してしまい、これに伴ってLED80の明るさが変化してしまう。
【0074】
このことは、部分照明の点灯パターンを設定するときに、ワークに対する最適な光の当て方を探るうえで、LED80の明るさの変動要因を極力排除するのが望ましい。定電流回路105はこのことを企図して各ブロックに設けてある。これにより、点灯パターンの設定作業を行うときに、点灯パターンを変えたときに部分照明するための点灯するエリアでのLED80の輝度の均一化及び輝度の一定性を確保することで最適な点灯パターンを見出すのが容易になる。なお、大径の外部照明ユニット4B及び内部照明ユニット4Bについても同様に図35のLED駆動回路を採用することができる。
【0075】
内部照明ユニット5及び外部照明ユニット4の部分照明(図36)
外部照明ユニット4から電源が供給される内部照明ユニット5及び外部照明ユニット4は、共に、複数のLEDを面状に配列した面光源であるが、この面光源を周方向且つ半径方向に幾つかのエリアに区分して各エリアを単位に部分照明することが可能であり、どのエリアを点灯し、どのエリアを点灯しないかの点灯パターンをユーザが任意に設定することができる。全てのエリアの点灯を含む点灯パターンはPC3を使ってユーザが予め登録することができ、ユーザが設定した点灯パターンは、バーコードリーダ2のメモリM及び外部照明ユニット4が接続されているときには、この外部照明ユニット4のメモリMに記憶される。この点灯制御には、照明用LED80の発光量の制御が含まれる。なお、図36においても、上述した図35と同様に、各円周列の照明用LED80が一個しか図示されていないが、これは線図を簡素化したという理由に過ぎず、各列スイッチ107と並列に接続された照明用LED80は直列に複数存在していると理解されたい。
【0076】
図1を参照して説明したように、外部照明ユニット4はCPUの制御手段を具備している。したがって、図36に図示するように、各ブロックスイッチ105及び各円周列の列スイッチ107を外部照明ユニット4のCPUで制御することにより、周方向且つ半径方向に区分した部分照明エリアを設定したときには、このエリアを単位にLED80の点灯制御が実行される。
【0077】
スイッチ機構の詳細(図37)
図37は、図35、図36に見られるブロックスイッチ105及び列スイッチ107の詳細を示す。図37から分かるように、ブロックスイッチ105及び列スイッチ107は、スイッチ素子としてトランジスタ109が採用されている。図37では図示を省略したが、LED駆動回路にあっても各ブロック毎に定電流回路106が組み込まれていると理解されたい。
【0078】
変形例として、各ブロックに属する複数の照明用LED80の各々にスイッチを設けて、このスイッチを制御することで任意のエリア毎に点灯させることも可能である。他の変形例として、定電流回路106の電流値を制御してもよい。具体的には、列スイッチ107のON/OFF切り替えによって各ブロックにおける照明用LED80の点灯数が変化する。そして、照明用LED80の点灯数が変化すると、外部照明ユニット4や内部照明ユニット5の全体としての明るさが変化してしまう。この明るさの変化を抑制するのに、定電流回路106の電流値を列スイッチ107のON/OFFに応答して変化させて、外部照明ユニット4や内部照明ユニット5の全体としての明るさが等しくなるように制御するのがよい。例えば外周側の列スイッチ107をON、内周側の列スイッチ107をOFFして内周側の照明用LED80を消灯させたときに、この消灯した内周側の照明用LED80の分、外周側の照明用LED80の明るさが大きくなるように制御してもよい。
【0079】
更なる変形例として、列スイッチ107のみならずブロックスイッチ105のON/OFF切り替えに応答して、定電流回路106の電流値を変化させるようにしてもよい。このブロックスイッチ105の切り替えに応答したLED80の明るさの制御は、点灯させるブロックの数が少なくなるほど、点灯LED80の明るさが大きくなるように制御し、逆に、点灯させるブロックの数が多くなるほど、点灯LED80の明るさを小さくなるように制御することにより外部照明ユニット4や内部照明ユニット5の全体としての明るさが等しくなるように制御するのがよい。この点灯LED80の明るさの制御は、上述したように定電流回路106の電流値を変化させることにより行うことができる。
【0080】
ここに、実施例の図35、図36に図示の回路では、各ブロック回路に同一の定電流回路106が設けられ、各ブロックに流れる電流の値が所定の電流値となるように制御される点に注目すべきである。この回路によれば、一のエリアのLED80が明るく、他のエリアのLED80が相対的に暗いという局所的な明暗が発生しない。これに加えて、点灯させる列の数やブロックの数によっても明るさを変動させる制御を行った場合には、点灯している全てのLED80は定電流回路106によって同時に明るさが変化するため、各エリアの明るさは同じである。
【0081】
外部照明ユニット4及び内部照明ユニット5の点灯制御エリア(図38、図39)
上述したように外部照明ユニット4と内部照明ユニット5とは部分点灯が可能である。上述したブロックスイッチ105と列スイッチ107を図38、図39を参照して詳細に説明すると、図38から分かるように、「ブロック」という用語はリング状の面光源を周方向に分割した領域を意味している。次に「列」という用語は、各ブロックに属する照明LED80のうち、共通の同心円上に属する照明LED80を意味している。したがって、図38を参照して第1ブロックの第1列は、「ブロック1」に属する複数の照明LED80のうち、最外周に位置する照明LED80の群を意味することになる。
【0082】
前述したように、各ブロックに属する複数の照明LED80への電源供給は、先ずブロックスイッチ105によって制御される。このことを前提として各列に属する複数の照明LED80への電源供給は列スイッチ107によって制御される。したがって、上述して第1ブロックの第1列のLED80を点灯するには、第1ブロックのブロックスイッチ105がONであることを前提として、第1列の列スイッチ107をONにすることで実現できる。
【0083】
なお、「列」に関し、例えば図38に図示の「列2」「列3」を1つの列として取り扱ってもよい。すなわち、同じブロックに属する複数の列を1つの列として取り扱ってもよい。
【0084】
前述した部分点灯制御において、例えば第1ブロックの第2列と第3列とで1つの部分点灯エリアとして設定するには、第1ブロックのブロックスイッチ105がONであることを前提として、第2列と第3列の2つの列スイッチ107を共にONにすることで実現できる。従って、上述したように、周方向に分割した各ブロックと各ブロックに属する各列毎にスイッチ105、107を設け、これらの組み合わせによって、外部照明ユニット4及び内部照明ユニット5の部分点灯エリアを自在に設定することができる。
【0085】
また、前述したように、照明LED80の駆動回路において、各ブロック毎に定電流回路106が組み込まれ(図35)、好ましくは、各列毎に定電流回路106が更に組み込まれている(図36)。この定電流回路106によって、各エリアで作られる面光源の輝度を各エリアの全域での均一に維持することができる。
【0086】
外部照明ユニット4の照明制御(図1、図40)
図1を参照して、専用の外部照明ユニット4の機種情報は、当該外部照明ユニット4のメモリM及びバーコードリーダ2のメモリMに記憶されている。また、パーソナルコンピュータ3を使って設定された単数又は複数の点灯パターンは、バーコードリーダ2及び外部照明ユニット4のメモリMに夫々記憶されている。
【0087】
バーコードリーダ2と外部照明ユニット4は共にCPU(プロセッサ)を有しており、相互に通信が可能である。外部照明ユニット4は、バーコードリーダ2からの指令を受けて外部照明ユニット4のCPUによって照明用LED80の制御が実行され、バーコードリーダ2によって指定された点灯パターンを外部照明ユニット4のメモリMを参照することで外部照明ユニット4の部分照明が行われる。
【0088】
このように、CPUを内蔵した外部照明ユニット4は、この外部照明ユニット4に設けられたメモリMに、予め登録された単数又は複数の点灯パターンを記憶しておくことで、バーコードリーダ2から点灯指令信号を外部照明ユニット4に供給するだけで、外部照明ユニット4は複数の点灯パターンを実行することが可能になる。勿論、この点灯パターンの制御にはLED80の発光量の制御も含まれる。
【0089】
図40を参照して、パーソナルコンピュータ3(図1)によって設定された照明点灯パターン(部分点灯及び全面点灯を含む)の設定情報はバーコードリーダ2のメモリ202に記憶されており、バーコードリーダ2によって認識可能な外部照明ユニット4をバーコードリーダ2に接続したときには、点灯パターンの情報がバーコードリーダ2から外部照明ユニット4に転送され、この外部照明ユニット4のメモリ216に記憶される。
【0090】
外部照明ユニット4のCPU214は、バーコードリーダ2のCPU200との間の通信204、212により、外部照明ユニット4のメモリ216に記憶された設定情報に基づいて点灯箇所及び光量の制御が行われる。なお、点灯箇所の制御は、前述したブロックスイッチ105及び列スイッチ107(図35、図36)をON/OFF制御することにより実行される。また光量制御は前述した定電流回路106(図35)の電流量を制御することにより実行される。
【0091】
その後は、バーコードリーダ2からの照明点灯トリガを外部照明ユニット4のLEDドライバ218が受け付けて照明LED80のON/OFFの切り替えが行われる。
【0092】
このように点灯パターンの設定情報を外部照明ユニット4のメモリ216に記憶させることで、その後は簡単なトリガ信号だけで外部照明ユニット208の複雑な点灯パターンを実行させることができる。
【0093】
なお、図40に図示した例は、外部照明ユニット4が、機種情報を記憶したメモリ216を有し、この外部照明ユニット4の機種情報を通信によってバーコードリーダ2が認識する例であるが、外部照明ユニット4が機種情報を記憶したメモリ216を有していなくても、バーコードリーダ2側で外部照明ユニット4の機種を認識させることのできる手法を採用してもよい。具体的に例示すれば、外部照明ユニット4とバーコードリーダ2との接続構造(例えばバーコードリーダ2に接続されたピンの配置など)を挙げることができる。
【0094】
バーコードリーダ2に接続されることが予期される外部照明ユニット4には、機種情報を記憶したメモリ216を備えた照明ユニットの他に、上記のバーコードリーダ2側で機種を認識できる照明ユニットを含まれる。つまり、バーコードリーダ2が、これに接続された照明ユニットとの間の通信によって当該照明ユニットの機種情報を取得する場合と、照明ユニット側は機種情報を所有していないものの、照明ユニットをバーコードリーダ2に接続することでバーコードリーダ2が当該照明ユニットの機種を認識できる場合の双方をバーコードリーダ2に接続されることが予想される外部照明ユニット4と定義できる。
【0095】
全てのユーザの要求を満足させるだけの専用の外部照明ユニット4のラインアップは事実上困難である。このことからバーコードリーダ2は任意の外部照明ユニットが接続されることを想定して設計されている。接続された外部照明ユニットの機種をバーコードリーダ2が認識できない場合の問題として、この外部照明ユニットの負荷を確認することができないため、バーコードリーダ2に過電流が流れて電源が破損してしまう虞がある。この明細書では、バーコードリーダ2が機種を認識できない外部照明ユニットを「汎用照明ユニット」と呼び、これに対してバーコードリーダ2が機種を認識できる外部照明ユニットを上述した「専用外部照明ユニット4」と呼ぶこととする。
【0096】
汎用照明ユニット対策
汎用照明ユニットをバーコードリーダ2に接続するために変換ケーブルが用意され、この変換ケーブルを介して汎用照明ユニットがバーコードリーダ2に接続される。バーコードリーダ2は変換ケーブルが接続されると汎用照明確認用の信号が変換ケーブル内でループバックされ、汎用照明認識用の端子でループバック信号が認識されると、バーコードリーダ2は汎用照明ユニットが接続されたと認識する。汎用照明ユニットの接続を認識する他の方法として、汎用照明ユニットを認識するための専用の端子を設けること無しに、通信により外部照明ユニットの機種情報を取得できないときには、汎用照明ユニットが接続されたと認識するようにしてもよい。後に説明するように、汎用照明ユニットを流れる電流値を計測し、この計測した電流値に基づいてバーコードリーダ2の電源を破損させることなく汎用照明ユニットの点灯させることのできる最大照明強度を決定することができる。
【0097】
バーコードリーダ2は、電源保護回路120と電源保護プログラム121とを有するのが好ましい(図41)。電源保護プログラム121は、スイッチ124で汎用照明ユニット122のPWM制御を行って汎用照明ユニット122の点灯強度を変化させ、汎用照明ユニット122を流れる電流をアンプ125で増幅して、この値が、予め規定した所与の値(最大値)以上になったことをコンパレータ126で検知し、このときの点灯強度を最大照明強度としてバーコードリーダ2のメモリ202(図40)に記憶する。この汎用照明ユニット122には、専用の外部照明ユニット4と同様に、バーコードリーダ2から電源が供給される。上記の予め規定した所与の最大値の典型例は、バーコードリーダ2の電源が供給可能な最大電流値であるが、これに限定されない。例えば、バーコードリーダ2の電源が供給可能な最大電流値に余裕代を設けた電流値であってもよい。
【0098】
汎用照明ユニットの制御例(図42)
図42は、バーコードリーダ2に接続された外部照明ユニットの機種が特定できない場合つまり汎用照明ユニット122の場合の電源保護プログラム121の処理を説明するためのフローチャートである。汎用照明ユニット122は、最大照明強度は汎用照明ユニット毎に規定されているが、この汎用照明ユニット122の機種を特定できないときには、バーコードリーダ2の電源回路を保護するために、予めバーコードリーダ2のメモリM(図40の参照符合202)に予め登録されている点灯強度の最大値を越えないように最大照明強度を設定して、この設定した最大照明強度を超えないようにしながら汎用照明ユニット122への電源供給が行われる。これによりバーコードリーダ2の電源回路を保護しつつ当該汎用照明ユニット112の光量制御を実行することができる。
【0099】
図42を参照して、汎用照明ユニット122をバーコードリーダ2に接続すると、この汎用照明ユニット122の機種情報の取得処理が行われ(S100)、機種情報が取得できなかったときには、汎用照明ユニット122が接続されたと認識する(S101)。汎用照明ユニット122の接続が確認されると、この汎用照明ユニット122に流れる電流値を計測しながら照明LED80の点灯強度を段階的に高めるPWM制御が実行され(図41、S102)、このPWM制御により変化する各点灯強度において、コンパレータ126は汎用照明ユニット122に流れる電流値を、予め定められた電流最大値と比較し、電流最大値を越えたときに電流検出の割り込みを発生させる(S104)。上記電流最大値はバーコードリーダ2から供給可能な最大の電流値に基づいて規定される。上記S014で割り込みが発生すると、電流保護プログラムは、このときの点灯強度を最大照明強度としてバーコードリーダ2のメモリM(図40の参照符合202)に記憶する(S105)。コンパレータ126による割り込みが発生することなくPWM制御により照明LED80の点灯強度を段階的に高めた結果、上記のステップS103で点灯強度が最大値(最大点灯強度)に達したときには、上記ステップS105に進んで、このときの点灯強度を最大照明強度として決定してバーコードリーダ2のメモリMに記憶される(S105)。
【0100】
図43を参照して、専用の外部照明ユニット4の場合は、バーコードリーダ2は外部照明ユニットの機種情報を取得し、次いでパーソナルコンピュータ3に機種情報を送信する。パーソナルコンピュータ3の設定プログラムは、専用の外部照明ユニット4の機種情報に対応した設定画面(点灯パターンや点灯強度の設定)を表示する。一方、汎用照明ユニット122の場合は、バーコードリーダ2は機種情報を取得できない。しかし、上述した方法により最大照明強度情報を計測により取得することができるため、バーコードリーダ2のメモリMに最大照明強度を記憶させることができる。パーソナルコンピュータ3の設定プログラムは、バーコードリーダ2のメモリMに記憶された最大照明強度を送信し、パーソナルコンピュータ3の設定プログラムは、取得した最大照明強度情報に対応した設定画面を表示する。このように、汎用照明ユニット122が接続されている場合でも、ユーザは設定が可能な最大照明強度を設定画面上で確認することができるため、電源が破損してしまうような大きな点灯強度の設定情報を作成することを未然に防止することができる。
【0101】
図44は、コンパレータ126(図41)の代わりにADコンバータ128を用いて計算式により最大照明強度を算出する変形例を示す。ADコンバータ128は汎用照明ユニット122に流れる電流値をデジタル信号に変換し、電源保護プログラムは以下の式1に基づいて最大照明強度を求めることができる。
【0102】
式1) 最大照明強度={点灯強度×供給可能な電流値}/計測電流値
【0103】
図45は、上記変形例の場合の最大照明強度を算出するためのフローチャートである。ステップS200とS201は図42のS100、S101と同じであるので、その説明を省略する。この図45に示す変形例では、PWM制御を行わずに、規定の点灯強度で汎用照明ユニット122を駆動する。続いて、汎用照明ユニット122に流れる電流値をADコンバータでデジタル信号に変換し、電源保護プログラムはデジタル信号に基づいて電流値を計測する(S203)。次いで、電流保護プログラムは、上記の式1に従って最大照明強度を算出する。この変形例によれば、PWM制御を用いることなく、規定の点灯強度で汎用照明ユニット122を駆動し、また、デジタル信号に基づいて演算により最大照明強度を算出することができ、この値はパーソナルコンピュータ3の設定プログラムに登録される。
【産業上の利用可能性】
【0104】
バーコードやQRコードなどの光学情報を読み取るために汎用の外部照明ユニットを使用するときに、この汎用照明ユニットへの電源供給に適用される。
【符号の説明】
【0105】
1 バーコードリーダ・システム
2 バーコードリーダ(光学情報読取装置)
3 パーソナルコンピュータ(PC)
4 外部照明ユニット
5 バーコードリーダに内蔵される内部照明ユニット
10 バーコードリーダのメイン基板
M メイン基板に搭載されたメモリ
13 CMOS基板(受光基板)
32 カメラモジュール
36 レンズ組立体
43 光学読取素子(撮像素子:CMOS)
77 外部照明ユニットのLED基板
78 外部照明ユニットの回路基板
80 照明用LED
120 電源保護回路
121 電源保護プログラム
122 汎用照明ユニット
126 コンパレータ
128 ADコンバータ(コンパレータに関する置換部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された外部照明ユニットに電源を供給すると共に該外部照明ユニットの照明を制御しながらワークの光学情報を読み取る光学情報読取装置であって、
該光学情報読取装置は、機種情報が取得可能な専用外部照明ユニットと、機種情報が取得できない汎用外部照明ユニットが接続可能であり、
前記専用外部照明ユニットが接続された際に、該専用外部照明ユニットの機種を認識する機種認識手段と、
前記汎用外部照明ユニットが接続された際に、該汎用外部照明ユニットに流れる電流の値を計測する電流値計測手段と、
該電流値計測手段が計測した計測電流値と、予め規定した所与の電流値とに基づいて、接続された汎用外部照明ユニットの最大照明強度を設定する最大照明強度設定手段と、
前記専用外部照明ユニットが接続されているときには、前記機種認識手段が認識した機種情報に基づいて前記専用外部照明ユニットの照明を制御し、前記汎用外部照明ユニットが接続されたときには、前記最大照明強度設定手段により設定された最大照明強度以下の点灯強度となるように前記汎用外部照明ユニットの照明を制御する照明制御手段とを備えていることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記最大照明強度設定手段は、前記汎用外部照明ユニットの点灯強度を段階的に高め、前記電流値計測手段が前記所与の電流値と同一となったときの点灯強度を前記最大照明強度として設定する、請求項1に記載の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記最大照明強度設定手段は、前記汎用外部照明ユニットに対する点灯強度を段階的に高めた結果、前記電流値計測手段が計測した計測電流値が前記所与の電流値と同一になる前に前記点灯強度が前記最大照明強度となったときには、当該点灯強度を最大照明強度として設定する、請求項2に記載の光学情報読取装置。
【請求項4】
前記最大照明強度設定手段は、所定の点灯強度で前記汎用外部照明ユニットを点灯させ、そのときの前記電流値計測手段による計測電流値をデジタル信号として取得し、前記所定の点灯強度と、取得したデジタル信号と、前記最大電流値とに基づいて前記最大照明強度を算出して該最大照明強度を設定する、請求項1に記載の光学情報読取装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記専用外部照明ユニットが接続されていると前記機種認識手段が認識したときには、該機種認識手段が認識した機種情報に基づいて点灯パターン及び点灯強度の制御を実行する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2012−64177(P2012−64177A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210252(P2010−210252)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】