説明

光学活性β−アミノニトリル化合物およびその対掌体アミド化合物の製造方法

【課題】医薬、農薬等の原料または合成中間体として有用な光学活性β−アミノニトリル化合物の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】ラセミ体若しくは低光学純度のβ−アミノニトリルアミド化合物に、不斉加水分解能力を有する酵素源を接触させることにより、光学活性β−アミノニトリルおよびその対掌対のアミド化合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬等の原料または中間体として有用な光学活性β−アミノニトリル化合物の製造方法に関する。光学活性β−アミノニトリル化合物は医薬農薬等の合成中間体として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
光学活性β−アミノニトリル化合物の製造方法としては、化学的方法と生化学的方法があげられる。
【0003】
光学活性β−アミノニトリル化合物の化学的製法としては、従来、光学活性アミノアルコールを原料として、アミノ基に保護基を導入した後、シアン化ナトリウムを用いてシアノ化する方法(J. Nat. Prod., 65, 29−31, (2002):非特許文献1)が報告されている。しかし、この方法は高価な光学活性アミノアルコールを原料とすること、またシアン化ナトリウムの安全性に問題があることから工業的に有利な方法であるとは言い難い。
【0004】
一方、生化学的方法は一般に温和な条件で反応を行なうことができ、ニトリルの加水分解など副反応を引き起こしにくいため、工業的に有利と考えられるが、生化学的製法による光学活性β−アミノニトリル化合物の製法に関しては今までに報告がない。
【0005】
【非特許文献1】
J. Nat. Prod., 65, 29−31, (2002)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、医薬農薬合成中間体として有用な光学活性β−アミノニトリル化合物を生化学的に効率よく製造するための新たな方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ラセミ体若しくは低光学純度のβ−アミノニトリルのアミド化合物を立体選択的に加水分解する活性を有する今までに報告例のない酵素源を発見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、一般式(I);
【0009】
【化4】

【0010】
(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基を示し、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数6〜14の複素環残基を示す。)で表されるアミド化合物に、不斉加水分解活性を有する酵素源を作用させることを特徴とする、一般式(II);
【0011】
【化5】

【0012】
(式中、R1は上記一般式(I)中で定義した通り。*は不斉点を示す。)で表される光学活性β−アミノニトリル化合物およびその対掌体アミド化合物の製造方法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の原料であるβ−アミノニトリルのアミド化合物は、一般式(I);
【0015】
【化6】

【0016】
で表される。前記式(I)において、R1は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルキニル基を示す。
【0017】
前記炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であっても良く、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、又はオクチル基等が挙げられる。前記炭素数1〜8のアルコキシ基としては、アルキル部分が上記アルキル基であるアルコキシ基が挙げられる。前記炭素数2〜8のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。前記炭素数2〜8のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基等が挙げられる。
【0018】
上記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は置換基を有していても良く、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0019】
1として、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基であり、最も好ましくはエチル基である。
【0020】
2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数6〜14の複素環残基を示す。
【0021】
上記アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基およびアルキニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、前記R1における例示と同様の基が挙げられる。炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数6〜14の複素環残基としては、ピリジル基等が挙げられる。
【0022】
なお、上記のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、および複素環残基は、置換基を有していても良く、置換基としては、前記R1において例示したものと同様の置換基が挙げられる。
【0023】
2として、好ましくはメチル基、プロピル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基であり、最も好ましくはイソプロピル基である。
【0024】
なお、前記式(I)においてR1が炭素数1〜4のアルキル基であり、R2が炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基であるアミド化合物、即ち、下記式(III);
【0025】
【化7】

【0026】
(式中、R3は炭素数2〜4のアルキル基、R4は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基を示す。)で表されるアミド化合物またはその塩は、文献未収載の新規化合物である。ラセミ体の前記アミド化合物(III)を本発明の方法で不斉加水分解して得られる光学活性なアミド化合物(III)も、言うまでもまく、新規化合物である。
【0027】
上記β−アミノニトリルのアミド化合物(I)は、ラセミ体であっても良く、また低光学純度のものであっても良い。ラセミ体β−アミノニトリルのアミド化合物(I)は、例えばUS5902883公報に記載の方法により、ラセミ体3−アミノペンタンニトリルに代表されるラセミ体β−アミノニトリル化合物を合成後、このものに酸無水物あるいは酸クロライドを公知の方法で反応させることにより得られる。
【0028】
本発明において使用する不斉加水分解活性をもつ酵素源は、前記式(I)に示されるラセミ体β−アミノニトリルのアミド化合物を不斉加水分解する能力を有すれば酵素種を問わないが、その中でもリパーゼ類、エステラーゼ類、プロテアーゼ類、アミダーゼ類、アシラーゼ類と称される酵素が特に有効である。
【0029】
そのような酵素源としては、特に制限はないが、代表的なものとして、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、ノカルディア(Nocardia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、キャンディダ(Candida)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、クラビスポラ(Clavispora)属 、デバリオマイセス(Debaryomyces)属 、ピキア(Pichia)属 、トリコスポロン(Trichosporon)属に属する微生物由来の酵素源があげられ、好ましくは、アルカリゲネス・ファエカリス(Alcaligenes faecalis)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacteriumammoniagenes)クレブシエラ・プランティコラ(Klebsiella planticola)、コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)、ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、キャンディダ・キャンタレリ(Candida cantarellii)、キャンディダ・カテヌラタ(Candida catenulata)、キャンディダ・グイリアモンディ(Candida guilliermondii)、キャンディダ・モギ(Candida mogii)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・ベルサティリス(Candida versatilis)、クリプトコッカス・フミコラス(Cryptococcus humicolus)、クリプトコッカス・ラウレンティ(Cryptococcus laurentii)、クラビスポラ・ルシタニエ(Clavispora lusitaniae)、デバリオマイセス・カルソニ(Debaryomyces carsonii)、デバリオマイセス・カステリ(Debaryomyces castellii)、ピキア・ブルトニ(Pichia burtonii)、ピキア・カルソニ(Pichia carsonii)、トロコスポロン・カタネウム(Trichosporon cutaneum)等の微生物に由来する酵素源である。
【0030】
より好ましくはアルカリゲネス・ファエカリス(Alcaligenes faecalis)IFO13111、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)IFO13263、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)IFO12612、クレブシエラ・プランティコラ(Klebsiella planticola)IFO3317、コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)IFO14136、ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)IFO13510、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)IFO3243、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)IFO3384、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO12320、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IAM1474、キャンディダ・キャンタレリ(Candida cantarellii)IFO1261、キャンディダ・カテヌラタ(Candida catenulata)IFO745、キャンディダ・グイリアモンディ(Candida guilliermondii)IFO454、キャンディダ・モギ(Candida mogii)IFO436、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)IFO618、キャンディダ・ベルサティリス(Candida versatilis)IFO1228、クリプトコッカス・フミコラス(Cryptococcus humicolus)IFO1527、クリプトコッカス・ラウレンティ(Cryptococcus laurentii)IFO609、クラビスポラ・ルシタニエ(Clavispora lusitaniae)IFO1019、デバリオマイセス・カルソニ(Debaryomyces carsonii)IFO946、デバリオマイセス・カルソニ(Debaryomyces carsonii)IFO795、デバリオマイセス・カステリ(Debaryomyces castellii)IFO1359、ピキア・ブルトニ(Pichiaburtonii)IFO844、トロコスポロン・カタネウム(Trichosporon cutaneum)IFO1198に由来する酵素源である。
【0031】
最も好ましくは、コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)IFO14136、ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)IFO13510、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)IFO3423、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides) IFO3384に由来する酵素源である。
【0032】
これらの微生物は、財団法人発酵研究所(IFO)、あるいは東京大学応用微生物研究所微生物微細藻類総合センター(IAM)等から入手することができるが、自然界から分離することもできる。なお、これらの微生物に変異を生じさせてより本反応に有利な性質を有する株を得ることもできる。
【0033】
また、これらの微生物から単離した酵素遺伝子を通常の方法で各種宿主ベクター系に導入した遺伝子操作微生物の利用も可能である。
【0034】
本発明においては、酵素源として、上記微生物を適当な培地中で培養して得られる微生物培養液を使用できるほか、培養液の処理物を使用することもできる。該処理物としては、微生物培養液から遠心分離などの集菌操作によって得られる培養上清、微生物菌体、微生物菌体の破砕物、該破砕物より得られる無細胞抽出物、固定化菌体、精製された精製酵素、固定化酵素等が挙げられる。
【0035】
本発明においては、前記酵素源を通常1種類用いて不斉加水分解反応を実施するが、同様な能力を有する2種類以上のそれを混合して反応を行なうことも可能である。
【0036】
本発明においてこれらの微生物を培養するための培地としては、通常これらの微生物が生育し得るものであればいずれのものでも使用できる。炭素源としては、たとえばグルコース、シュークロース、マルトース等の糖類、酢酸、クエン酸、フマル酸等の有機酸あるいはその塩、エタノール、グリセロール等のアルコール類等を使用できる。窒素源としては、たとえば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、アミノ酸等の一般天然窒素源のほか、各種無機、有機酸アンモニウム塩等が使用できる。その他、無機塩、微量金属塩、ビタミン等が必要に応じて添加される。
【0037】
また、高い酵素活性を得るために、エステル結合あるいはアミド結合をもつ化合物、例えば前記式(I)で示されるβ−アミノニトリルのアミド化合物等を酵素産生の誘導物質として培地に添加することも有効である。
【0038】
微生物の培養は常法に従って行なえばよく、たとえば、pH4〜10、温度15〜45℃の範囲で6〜96時間培養するのが好ましい。
【0039】
本発明において、前記式(I)で示されるラセミ体β−アミノニトリルのアミド化合物の光学選択的加水分解による光学活性β−アミノニトリル化合物およびその対掌体アミド化合物の製造は以下の方法で行なうことができる。反応溶媒に基質である前記式(I)で示されるラセミ体β−アミノニトリルのアミド化合物を溶解もしくは懸濁する。また、基質を反応溶媒に添加する前にあるいは添加した後に触媒となる上記加水分解能力を有する酵素源を添加する。そして、反応温度、必要により反応pHを制御しながら反応を行う。
【0040】
反応液の基質濃度は0.01〜50重量%の間で特に制限は無いが、生産性を考慮すると0.1〜30質量%が好ましい。
【0041】
反応液の酵素濃度は、通常0.01〜50重量%であり、好ましくは0.05〜30質量%である。
【0042】
反応液のpHは、用いる酵素の至適pHに依存するが、一般的にはpH4〜11の範囲である。化学的加水分解による収率の低下およびラセミ化による光学純度の低下等抑制する観点からpH5〜9で行なうのが好ましい。加水分解が進行するに従いpHが変化するが、この場合は適当な中和剤、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、塩酸、等を添加して最適pHに調整することが望ましい。
【0043】
反応温度は5〜70℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。
【0044】
反応溶媒は、通常イオン交換水、緩衝液等の水性媒体を使用するが、有機溶媒を含んだ系でも反応を行なうことができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等ケトン系溶媒、その他アセトニトリル等を適宜使用できる。
【0045】
これらの有機溶媒を水への溶解度以上に加えて2相系で反応を行なうことも可能である。有機溶媒を反応系に共存させることで、選択率、変換率、収率などが向上する場合も多い。
【0046】
反応は、通常、ラセミ体のアミド化合物(I)の半量程度が加水分解されるまで反応をおこなう。通常、1時間〜1週間、好ましくは1〜72時間であり、そのような時間で反応が終了する反応条件を選択することが好ましい。なお、求められる生成物の光学純度や収率に応じて、反応の初期段階で反応を中断したり、あるいは過剰に反応させてもよい。
【0047】
上記の反応により、前記式(I)で示されるβ−アミノニトリルのアミド化合物が立体選択的に加水分解され、光学活性β−アミノニトリル(II)および未反応の対掌体アミド化合物が生成する。生成した光学活性β−アミノニトリル(II)および未反応の対掌体アミド化合物は反応混合液から抽出、蒸留、再結晶、カラム分離など公知の方法によって単離することができる。
【0048】
例えばpHを酸性に調整後、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ヘキサン、オクタン、ベンゼン等の炭化水素類;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等一般的な溶媒により、生成した光学活性β−アミノニトリル(II)を水相に残存させたまま未反応の対掌体アミド化合物を選択的に抽出することができる。一方、生成した光学活性β−アミノニトリル(II)は、例えばpHを塩基性に調整後、同様に一般的な有機溶媒で抽出分離することができる。
【0049】
生成物の光学純度は必要に応じてアシル化等により誘導体に変換した後、光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、測定することができる。例えば、本反応により得られる光学活性3−アミノペンタンニトリルはベンゾイルクロライドでアシル化した後、光学分割カラム(ダイセル化学工業社製キラルセルOD)を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定することができる。
【0050】
未反応の対掌体アミド化合物は光学活性を維持したままアミド部分を通常の方法で加水分解することができ、上記反応で得られた光学活性β−アミノニトリル(II)とは逆の立体配置を有するβ−アミノニトリルに導くことができる。
【0051】
また、光学活性β−アミノニトリル(II)は光学活性を維持したままアミド化することができる。このようにアミド化して得られたアミド化合物を同基質として本発明の酵素反応を複数回繰り返すことにより、より光学純度の高い目的化合物を得ることも可能である。
【0052】
また、本発明により得られた光学活性β−アミノニトリル化合物は、その光学活性を維持したまま酸処理等によりニトリルを加水分解することにより、容易に光学活性β−アミノ酸カルボン酸アミド化合物およびβ−アミノ酸を製造することができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、「%」は特に断らない限り「重量%」を意味する。また、β−アミノニトリル化合物の分析は以下の条件にて実施した。
定量分析
ガスクロマトグラフィー
カラム:DB−624(J&W scientific社製)(0.53mmX30m)
検出:FID
カラム温度:170℃
注入温度:200℃
検出温度:200℃
キャリアーガス:ヘリウム(100kPa)
薄層クロマトグラフィー(TLC)
薄層プレート:TLCプレートシリカゲル60F254(メルク社製)
展開溶媒:n−ブタノール/酢酸/水=4/1/1
検出:ニンヒドリン
光学異性体分析
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
カラム:キラルセルOD(ダイセル化学工業社製)
移動相:n−ヘキサン/イソプロパノール=9/1
検出:UV254nm
カラム温度:室温
流速:1.0mL/分
【0054】
(実施例1)N−アセチル−3−アミノペンタンニトリルの製造方法
3−アミノペンタンニトリル9.8gとピリジン10.3gを塩化メチレン100mLに溶解させ、氷冷下、無水酢酸11.2gを滴下し、氷冷下で1時間、室温で4時間攪拌した。この反応液に2規定塩酸200mL加えた後、塩化メチレン相と水相に分液した。塩化メチレン相を2規定水酸化ナトリウム水溶液200mLで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗オイルを得た。このオイルを蒸留精製し、N−アセチル−3−アミノペンタンニトリル3.9gを得た。収率28%。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:4.04−3.98(1H,m),2.68(2H,dq),2.03(1H,s),1.65−1.72(2H,m),0.99(3H,t)。
赤外吸収スペクトルνcm-1:3288,2968,2934,2245,1651,1549,1375,1306,1138,1078,962,748,621,608。
【0055】
(実施例2)
表1記載の微生物を、ペプトン10g、肉エキス10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム3g(いずれも1L当たり)の組成からなる滅菌培地10ml(pH7.2)を入れた試験管に植菌し、30℃で2日間往復振盪しながら培養した。次に各試験管から培養液2mLをとり、遠心分離により菌体を回収後、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)1mLで1回洗浄した。菌体を100mMリン酸緩衝液(pH7.0)0.5mLに懸濁し、あらかじめラセミ体N−アセチル−3−アミノペンタンニトリル2.5mgをいれた試験管に加えて、30℃にて18時間振盪しながら反応した。反応液上清4μLを上記条件による薄層クロマトグラフィー上で展開させ、ニンヒドリンによる発色から生成した3−アミノペンタンニトリルを定量した。生成した光学活性3−アミノペンタンニトリルを塩基性条件下にてジニトロベンゾイルクロライドを作用させて誘導体化し、HPLCを用いて光学純度を分析した。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
(実施例3)
表2記載の微生物を、グルコース40g、酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも1L当たり)の組成からなる滅菌培地10ml(pH7.0)を入れた試験管に植菌し、30℃で2日間往復振盪しながら培養した。次に試験管から培養液1.5mLをとり、遠心分離により菌体を回収後、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)1mLで1回洗浄した。菌体を100mMリン酸緩衝液(pH7.0)0.5mLに懸濁し、あらかじめラセミ体N−アセチル−3−アミノペンタンニトリル2.5mgをいれた試験管に加えて、30℃にて18時間振盪しながら反応した。生成した光学活性3−アミノペンタンニトリルを実施例1と同様の方法で分析した。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
(実施例4)N−ブチリル−3−アミノペンタンニトリルの製造方法
3−アミノペンタンニトリル9.8gとピリジン10.3gを塩化メチレン100mLに溶解させ、氷冷下、無水酪酸17.4gを滴下し、氷冷下で1時間、室温で4時間攪拌した。反応終了後、2規定塩酸200mLで3回、2規定水酸化ナトリウム水溶液200mLで3回、飽和食塩水200mLで1回洗浄した。洗浄した反応生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、粗オイルを得た。このオイルを蒸留精製し、N−ブチリル−3−アミノペンタンニトリル8.4gを得た。収率50%。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:4.01−4.05(1H,m),2.68(2H,dq),2.19(2H,t),1.61−1.72(2H×2,m),0.95−1.01(3H×2,m)。
赤外吸収スペクトルνcm-1:3277,2966,2245,1647,1551,1458,1288,1215,1138,957,895。
【0060】
(実施例5)N−ヘキサノイル−3−アミノペンタンニトリルの製造方法
3−アミノペンタンニトリル9.8gとピリジン10.3gを塩化メチレン100mLに溶解させ、氷冷下、無水カプロン酸23.6gを滴下し、氷冷下で1時間、室温で4時間攪拌した。反応終了後、2規定塩酸200mLで3回、2規定水酸化ナトリウム水溶液200mLで3回、飽和食塩水200mLで1回洗浄した。洗浄した反応生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、N−ヘキサノイル−3−アミノペンタンニトリル18.4gを得た。収率94%。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:4.00−4.05(1H,m),2.68(2H,dq),2.20(2H,t),1.61−1.72(2H×2,m),1.31−1.35(2Hx2,m),0.89−1.01(3H×2,m)。
赤外吸収スペクトルνcm-1:3290,2961,2932,2359,2249,1647,1541,1460。
【0061】
(実施例6)N−イソブチリル−3−アミノペンタンニトリルの製造方法
3−アミノペンタンニトリル9.8gとピリジン10.3gを塩化メチレン100mLに溶解させ、氷冷下、無水イソ酪酸17.4gを滴下し、氷冷下で1時間、室温で4時間攪拌した。反応終了後、2規定塩酸200mLで3回、2規定水酸化ナトリウム水溶液200mLで3回、飽和食塩水200mLで1回洗浄した。洗浄した反応生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、N−イソブチリル−3−アミノペンタンニトリル17.5gを得た。収率89%。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:3.98−4.03(1H,m),2.68(2H,dq),2.36−2.43(1H,m),1.66−1.73(2H,m),1.28−1.16(3H×2,m),0.99(3H,t)。
赤外吸収スペクトルνcm-1:3286,2974,2245,1651,1541,1263,1242,1136,1095,951,721。
【0062】
(実施例7)N−イソペンタノイル−3−アミノペンタンニトリルの製造方法3−アミノペンタンニトリル9.8gとピリジン10.3gを塩化メチレン100mLに溶解させ、氷冷下、無水イソ吉草酸20.5gを滴下し、氷冷下で1時間、室温で4時間攪拌した。反応終了後、2規定塩酸200mLで3回、2規定水酸化ナトリウム水溶液200mLで3回、飽和食塩水200mLで1回洗浄した。洗浄した反応生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、N−イソペンタノイル−3−アミノペンタンニトリル15.0gを得た。収率82%。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:4.00−4.07(1H,m),2.68(2H,dq),2.05−2.15(1H×1,2H×1,m),1.61−1.74(2H,m),0.96−1.01(3H×3,m)。
赤外吸収スペクトルνcm-1:3279,2959,2245,1645,1553,1371,1306,1259,1221,1140,727,609。
【0063】
(実施例8)N−ピバロイル−3−アミノペンタンニトリルの製造方法
3−アミノペンタンニトリル9.8gとピリジン10.3gを塩化メチレン100mLに溶解させ、氷冷下、ピバリン酸クロライド13.3gを滴下し、氷冷下で1時間、室温で4時間攪拌した。反応終了後、2規定塩酸200mLで3回、2規定水酸化ナトリウム水溶液200mLで3回、飽和食塩水200mLで1回洗浄した。洗浄した反応生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、N−ピバロイル−3−アミノペンタンニトリル14.7gを得た。収率81%。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:3.95−4.03(1H,m),2.68(2H,dq),1.68−1.76(2H,m),1.22−1.27(3H×3,m),0.99(3H,t)。
赤外吸収スペクトルνcm-1:3329,2962,2251,1636,1533,1364,1304,1223,1132,1078,891,681。
【0064】
(実施例9)N−ベンゾイル−3−アミノペンタンニトリルの製造方法
3−アミノペンタンニトリル9.8gとピリジン10.3gを塩化メチレン100mLに溶解させ、氷冷下、ベンゾイルクロライド15.5gを滴下し、氷冷下で1時間、室温で4時間攪拌した。反応終了後、2規定塩酸200mLで3回、2規定水酸化ナトリウム水溶液200mLで3回、飽和食塩水200mLで1回洗浄した。洗浄した反応生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、N−ベンゾイル−3−アミノペンタンニトリル18.6gを得た。収率92%。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:7.44−7.79(5H,m),4.20−4.28(1H,m),2.81(2H,dq),1.78−1.86(2H,m),1.07(3H,t)。
赤外吸収スペクトルνcm-1:3230,2972,2251,1637,1529,1313,1076,700。
【0065】
(実施例10)
表3記載の微生物を、実施例2と同様に培養した。各培養液10mLをとり、遠心分離により菌体を回収後、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)2mLで1回洗浄した。菌体を100mMリン酸緩衝液(pH7.0)1mLに懸濁し、あらかじめ表3記載の基質37.5μmolをいれた試験管に加えて、30℃にて19〜45時間振盪しながら反応した。生成した光学活性3−アミノペンタンニトリルを実施例1と同様の方法で分析した。結果を表3に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
(実施例11)
ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula) IFO13510株を、ペプトン20g、肉エキス10g、酵母エキス5g、グルコース10g、塩化ナトリウム3g、アデカノール1滴(いずれも1L当たり)、の組成からなる滅菌培地400ml(pH7.2)を入れた坂口フラスコに植菌し、29℃で2日間往復振盪しながら培養した。培養液を遠心分離し、菌体を回収後、200mMリン酸緩衝液(pH7.0)100mLで1回洗浄した。菌体を200mMリン酸緩衝液(pH7.0)40mLに懸濁し、菌体懸濁液とした。あらかじめ基質であるラセミ体N−イソブチリル−3−アミノペンタンニトリル357μmolをいれた試験管に菌体懸濁液3mL加えて、30℃にて25時間振盪しながら反応した。反応液100μLをとり、これに2N水酸化ナトリウム100μL、酢酸エチル1mLを加えて十分攪拌し、遠心分離した後、その酢酸エチル相をガスクロマトグラフィーおよびHPLCを用いて分析したところ、変換率26%で98.2%e.e.の()−3−アミノペンタンニトリルが生成していた。
【0068】
(実施例12)
ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula) IFO13510株を、実施例11と同様に培養し、菌体懸濁液を調製した。あらかじめ基質であるラセミ体N−イソブチリル−3−アミノペンタンニトリル7.13mmolをいれた坂口フラスコに菌体懸濁液30mL加えて、30℃にて64時間振盪しながら反応した。この反応液に2N塩酸を加えてpH5とし、酢酸エチル30mLを加えて十分攪拌し、遠心分離した後、その酢酸エチル相を除いた。これに2N水酸化ナトリウムを加えてpH10とした後、酢酸エチル90mLを用いて抽出した。抽出溶媒を無水硫酸ナトリウムで脱水後、蒸留にて精製を行ない、3−アミノペンタンニトリル139mgを取得した。これをガスクロマトグラフィーおよびHPLCを用いて光学純度を分析したところ、R体で97.9%e.e.であった。
【0069】
(実施例13)
実施例11記載の液体培地4Lを10L容のジャーファーメンターに入れて殺菌後、これに実施例11記載の培養方法で得られるノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)IFO13510の培養液40mLを無菌的に接種し、通気0.5vvm、温度28℃、攪拌数260rpmにて56時間培養した。得られた培養液から菌体を回収し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)1.5Lに懸濁した。あらかじめラセミ体N−イソブチリル−3−アミノペンタンニトリル30gをいれた5L容のジャーファーメンターに上記菌体懸濁液を加え、30℃で26時間攪拌しながら反応を行なった。反応終了後、15%硫酸を加えてpH4に調整後、反応液に対して2.5倍容量の塩化メチレンを用いた抽出操作を2回行ない、N−イソブチリル−3−アミノペンタンニトリルを回収した。水相を30%水酸化ナトリウムを用いてpH11に調整後、反応液に対して2.5倍容量の塩化メチレンを用いた抽出操作を3回行ない、3−アミノペンタンニトリルを回収した。それぞれの抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下にて溶媒を留去し、3−アミノペンタンニトリル5.8g、およびN−イソブチリル−3−アミノペンタンニトリル18.1gを取得した。得られた3−アミノペンタンニトリルをベンゾイルクロライドで誘導体化後、HPLCにて光学純度を分析したところ、R体98.2%e.e.であった。1H−NMR δ(CDCl3):0.98(3H,t),1.43−1.63(2H,m),2.42(2H,dq),2.92−3.08(1H,m)。
【0070】
また、N−イソブチリル−3−アミノペンタンニトリルの光学純度を下記条件で分析したところ、S体61.2%e.e.であった。
[キャピラリーガスクロマトグラフィー分析条件]
カラム:ASTEC社製Chiraldex G−TA(20m×0.25mm)
検出:FID、カラム温度:130℃、注入温度:200℃、検出温度:200℃、キャリアーガス:ヘリウム(140kPa)。
【0071】
【発明の効果】 本発明は、不斉加水分解活性を有する酵素源を作用させて、β−アミノニトリルのアミド化合物を立体選択的に加水分解させることにより、光学活性β−アミノニトリル化合物および対掌体アミド化合物を効率よく製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I);
【化1】

(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基を示し、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数6〜14の複素環残基を示す。)で表されるアミド化合物に、不斉加水分解活性を有する酵素源を作用させることを特徴とする、一般式(II);
【化2】

(式中、R1は上記一般式(I)中で定義した通り。*は不斉点を示す。)で表される光学活性β−アミノニトリル化合物およびその対掌体アミド化合物の製造方法。
【請求項2】
2がメチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ピバロイル基、フェニル基である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
2がイソプロピル基である請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
1が炭素数1〜4のアルキル基である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
1がエチル基である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
酵素源がアルカリゲネス(Alcaligenes)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、ノカルディア(Nocardia)属 、ロドコッカス(Rhodococcus)属、キャンディダ(Candida)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、クラビスポラ(Clavispora)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、ピキア(Pichia)属、トリコスポロン(Trichosporon)属からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の培養液またはその処理物である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
酵素源がアルカリゲネス・ファエカリス(Alcaligenes faecalis)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)クレブシエラ・プランティコラ(Klebsiella planticola)、コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)、ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、キャンディダ・キャンタレリ(Candida cantarellii)、キャンディダ・カテヌラタ(Candida catenulata)、キャンディダ・グイリアモンディ(Candida guilliermondii)、キャンディダ・モギ(Candida mogii)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・ベルサティリス(Candida versatilis)、クリプトコッカス・フミコラス(Cryptococcus humicolus)、クリプトコッカス・ラウレンティ(Cryptococcus laurentii)、クラビスポラ・ルシタニエ(Clavispora lusitaniae)、デバリオマイセス・カルソニ(Debaryomyces carsonii)、デバリオマイセス・カステリ(Debaryomyces castellii)、ピキア・ブルトニ(Pichia burtonii)、ピキア・カルソニ(Pichia carsonii)、トロコスポロン・カタネウム(Trichosporon cutaneum)からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の培養液またはその処理物である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
酵素源がアルカリゲネス・ファエカリス(Alcaligenes faecalis)IFO13111、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)IFO13263、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)IFO12612、クレブシエラ・プランティコラ(Klebsiella planticola)IFO3317、コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)IFO14136、ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)IFO13510、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)IFO3423、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)IFO3384、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO12320、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IAM1474、キャンディダ・キャンタレリ(Candida cantarellii)IFO1261、キャンディダ・カテヌラタ(Candida catenulata)IFO745、キャンディダ・グイリアモンディ(Candida guilliermondii)IFO454、キャンディダ・モギ(Candida mogii)IFO436、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)IFO618、キャンディダ・ベルサティリス(Candida versatilis)IFO1228、クリプトコッカス・フミコラス(Cryptococcus humicolus)IFO1527、クリプトコッカス・ラウレンティ(Cryptococcus laurentii)IFO609、クラビスポラ・ルシタニエ(Clavispora lusitaniae)IFO1019、デバリオマイセス・カルソニ(Debaryomyces carsonii)IFO946、デバリオマイセス・カルソニ(Debaryomycescarsonii)IFO795、デバリオマイセス・カステリ(Debaryomyces castellii)IFO1359、ピキア・ブルトニ(Pichia burtonii)IFO844、トロコスポロン・カタネウム(Trichosporon cutaneum)IFO1198からなる群から選択された1種類以上の微生物の菌体、培養液、それらの処理物、および/またはこれら微生物から得られる酵素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
酵素源がコリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ノカルディア属(Nocardia)からなる群から選択された1種類以上の微生物の菌体、培養液、それらの処理物、および/またはこれら微生物から得られる酵素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
酵素源が、コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)、ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の培養液またはその処理物ある請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
酵素源がコリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)IFO14136、ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)IFO13510、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)IFO3243、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)IFO3384からなる群から選択されされる少なくとも1種の微生物の培養液またはその処理物である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
酵素源がノカルディア・グロベルーラ(Nocardiagloberula)IFO13510の培養液またはその処理物である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
酵素源として微生物菌体を用いることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
一般式(III);
【化3】

(式中、R3は炭素数2〜4のアルキル基、R4は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基を示す。)で表されるアミド化合物またはその塩。
【請求項15】
4がメチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ピバロイル基、フェニル基である請求項14記載のアミド化合物またはその塩。
【請求項16】
3がエチル基である請求項14〜15のいずれかに記載のアミド化合物またはその塩。
【請求項17】
光学活性体である請求項14〜16のいずれかに記載のアミド化合物またはその塩。

【公開番号】特開2006−21999(P2006−21999A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−47363(P2003−47363)
【出願日】平成15年2月25日(2003.2.25)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】