説明

光学流体顕微鏡装置

光学流体顕微鏡装置が開示される。本装置は、表面を有する流体チャネルを有し、バクテリアまたはウイルスのような物体は、流体チャネルを通って流れることが可能である。流体チャネルの底部の光撮像要素は、物体を撮像するために使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、仮ではないものであり、2004年7月23日に受理され、「フルオロフォア配列基部の顕微鏡」の名称、2004年6月4日に受理され、「フルオロフォア配列基部の顕微鏡」の名称の、米国仮特許出願60/590,768、及び60/577,433の優先権を主張する。すべてのこれらの仮出願は、すべての目的のために、ここで参照によりその全体が組み入れられる。
【0002】
[政府支援の研究開発下でなされた発明の権利に関する声明]
該当なし
【0003】
微小流体工学の分野は、速く進展した。この進展は、微小流体回路の大規模集積化の発達、及び微小流体工学の生命科学研究への多数の応用に関連する。近時、光学顕微鏡が、基礎のマイクロスケールの流れ物理現象、同様に生物学対象を調査する手法として、微小流体研究に用いられる。それは、また、これらの集中微小流体システム内で実行される工程を調査するために使用される。通常、これらの装置は、生物学対象を分析するマクロスケールの基幹構成物(例えば容積顕微鏡、チップ読取器)に依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近接場走査光学顕微鏡(NSOMs)は、生物学対象を調査するために多数使用されている。NSOMsは、概略50nmの空間分解能で構造を光学的に解像する。NSOMは、NSOM検出部先端の端部の強く励起され、密閉された光学場を、対象試料の特定の位置を光学的に検出するために使用する。バクテリアは従来の光学顕微鏡により通常像が得られないので、NSOMは、バクテリアの輪郭を描くために特に有用である。走査電子顕微鏡のような他の高分解能撮像装置と比較して、NSOMは、試料の蛋白質や生化学物質の分布を蛍光により選択的に図描することができる。さらに、NSOM撮像方法は、非破壊のものであり、緩衝媒体中に浸積された生体存在物を撮像するために使用可能である。すべてのこれらの利点を考慮すれば、NSOMsは、バクテリアの型を区別するために、医療用途で広く使用されることが予想されるものである。しかし、このことについての刊行物のないことは、重大な技術障害がNSOMsを使用することに対して存在することを示す。1つのそのような障害は、NSOMにより高い処理量の撮像を実行することである。高い処理量の撮像は、検出部先端を対象生体存在物上をラスター走査することを必要とする。
【0005】
本発明の実施形態は、大量の光学器を使用するNSOMs及び従来の微小流体システムの改良物である装置に向けられる。
【0006】
本発明の実施形態は、光学流体顕微鏡装置またはOFM装置に向けられる。本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置は、NSOMsの分解能と同様の分解能を実現することができる。しかし、NSOMsと異なり、本発明の実施形態は、高い処理量の撮像のために使用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態は、表面を有する流体チャネルを有する基体、基体の光透過領域、光透過領域を通過する照明を提供するために用いられる照明源、照明源からの光透過領域を通過する光を受けるために用いられる光学検出部を備える光学流体顕微鏡装置に向けられる。
【0008】
本発明の他の実施形態は、表面を有する流体チャネルを有する基体、表面上または下方の複数の離間した発光領域、複数の離間した発光領域により生成された光を受けるために用いられる光学検出部を備える光学流体顕微鏡に向けられる。
【0009】
本発明の他の実施形態は、表面を有する流体チャネルを有する基体、表面上または下方の少なくとも1つの光撮像要素、少なくとも1つの光撮像要素により生成される光を受けるために用いられる光学検出部を備える光学流体顕微鏡装置に向けられる。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態の光学流体顕微鏡装置は、CCD(荷電結合素子)のようなオフザシェルフ検出器を使用可能である。オフザシェルフ線形CCD配列のパラメータに基づいて、バクテリアの100×100画素像が、本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置により、1ミリ秒のように短い時間フレーム内に取得可能である。本発明の実施形態では、また、多数の光学流体顕微鏡装置が、単一のチップ上で並列に作動可能である。
【0011】
本発明の実施形態の高速処理能力及び本発明の実施形態において多数の光学流体顕微鏡装置を使用する可能性は、本発明の実施形態がNSOMsより実質的に高い撮像処理量速度を有することを許容する。例えば、NSOM装置では、100×100画素像の取得時間は、概略10ミリ秒である。対照すると、単独の1000画素線形CCD配列に構成された並列に連続する10の光学流体顕微鏡装置は、NSOMが単独の画像を生成する時間で、100の100×100画素像を提供することができる。本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置の高処理量撮像能力及び高分解能は、それらを種々の医療用途に非常に適合させる。そのような用途は、異なるバクテリアの型の間で差異を生じさせることを含む。
【0012】
また、本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置は、従来の微小流体装置において生物学像を取得するために使用される大量の光学器(例えば対物レンズと複合顕微鏡構成の組)を省略する。従来の撮像システムと異なり、本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置は、携帯可能で小型である
【0013】
光学流体顕微鏡装置の製造方法及び使用方法が、また、開示される。
【0014】
本発明のこれらの及び他の実施形態は、以下にさらに詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面において、数字等が要素等を指定する。
【0016】
本発明の実施形態は、少なくとも流体チャネルの一部を規定する基体の光透過領域(例えば間隔をおいた孔)または離間した発光要素(例えば量子点)を使用可能な光学流体顕微鏡に向けられる。光透過領域または発光要素(他の要素と結合して)は、生物学実体のような流体チャネルを通過する実在物を撮像するために使用可能である。他の実施形態は、流体チャネルを規定する底壁の表面内または上に少なくとも1つの光撮像素子を有する光学流体顕微鏡装置に向けられる。光撮像要素は、孔のような1以上の光透過領域、量子点のような1以上の発光要素、反射列または密に隣接する量子点の列のような1以上の列構造の形態、または微小粒子のような1以上の光散乱体であってもよい。
【0017】
詳細に説明する実施形態で、細胞の撮像が説明される。しかし、本発明の実施形態はこれらに限定されないことが理解される。例えば、細胞ではなく、任意の好適な対象は、撮像可能である。対象は、化学または生物学実体であることができる。生物学実体の試料は、細胞全体、細胞部分、バクテリアまたはウイルスのような微小生物体、蛋白質のような細胞構成要素等を含む。また、マクロ分子のような化学実体は、本発明の実施形態により撮像可能である。
【0018】
I.光透過領域を用いる光学装置
【0019】
A.光透過領域を用いる例示の実施形態
【0020】
本発明の1つの実施形態は、光学流体顕微鏡装置に向けられる。光学流体顕微鏡装置は、少なくとも流体チャネルの一部を規定する基体を有する。光透過領域は、基体に存在し、そして基体は、流体チャネルの底部の表面に一致する表面を有することが可能である。照明源は、光透過領域を通過し、そして光学検出部により受けられる光を供給する。光学検出部は、照明源に関して表面の対向する側に配置され、光透過領域にそれぞれ対応付けられた離間した個別の光検出要素(例えば画素)を有することが可能である。光学流体顕微鏡装置は、従来の微小流体光学システムより非常に小型である。
【0021】
いくつかの実施形態では、光透過領域は、基体の部分を形成可能な不透明または準不透明層に規定されたミクロ孔またはナノ孔である。孔は、電子線リソグラフィを含む任意の好適な孔形成処理を用いて規定可能である。本発明の実施形態で、各孔(または光透過領域)は、概略5、1または0.5ミクロンより小さい大きさ(例えば直径)を有することができる。また、孔は、任意の好適な形状を有することが可能であり、円形、矩形等であり得る。
【0022】
孔多数は、また、配列を形成する。配列は、1または2次元であることが可能である。例えば、いくつかの実施形態で、配列の孔は、流体チャネルの一方の横縁部から流体チャネルの他方の横縁部に延びる傾いた列を形成可能である。
【0023】
孔または光透過領域の任意の好適な数または密度は、本発明の実施形態で使用可能である。例えば、光学流体顕微鏡装置について概略10、50、100より多数の、または1000と同等の光透過領域が存在することができる。また、平方センチメートルについて10、50、100より多数の、または1000と同等の光透過領域がいくつかの実施形態で存在することができる。
【0024】
光透過領域と光学検出部とは、光学流体顕微鏡装置の「撮像部」を形成することが可能である。撮像部は、生物学対象のような、生物学または非生物学試料に存在する可能性のある実体物を撮像することができる。試料及びそこに含有される生物学対象は、光学流体顕微鏡装置の成形された上部部分に規定された基準光学流体集中装置を用いて撮像部に移送可能である。光学流体顕微鏡装置の成形された上部部分は、流体チャネルを規定することが可能であり、ポリ−(ジメチルシロキサン)(PDMS)材料を有することが可能である。電気運動または圧力が、試料を、光学流体顕微鏡装置の流体チャネルを介して、撮像部まで、そして通過して移動させることができる。生物学対象が撮像部を通過するとき、照明源から各光透過領域を通る光透過は、時間に対して変調される。光透過領域を通過する変調された光信号を用いて、撮像部を通過する対象物の像が、復元可能である。
【0025】
図1(a)は、本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置10の模式図を示す。光学流体顕微鏡装置10は、多層構造であり得る基体16を有する。基体は、その代わりに、他の実施形態で、単独の一体構造であることができる。しかし、図示された例では、基体16は、不透明または準不透明層19を有し、次にこれは、その中に光透過領域14を有する。透明保護層(示されない)は、不透明または準不透明層19を、光学流体顕微鏡装置の流体チャネル22を流れる流体から絶縁するために、追加的に不透明または準不透明層19を覆ってもよい。
【0026】
基体16は、流体チャネル22を規定または含むことが可能であり、基体16の表面16(a)は、流体チャネル22の底部の壁と一致可能である。作動中、流体チャネル22は、細胞20を含む流体をそこに流すことができる。微小ポンプ、動電装置及び他の装置(不図示の)は、流体を流体チャネル22を流通させるために使用可能である。
【0027】
流体チャネル22は、任意の好適な寸法を有することが可能である。例えば、いくつかの実施形態で、流体チャネル22の幅及び/又は高さは、それぞれ、10、5または1ミクロンより小さいことが可能である。
【0028】
基体16の光透過領域14は、好ましくは孔である。例えば、光透過領域14は、金のような金属層にエッチングされた孔であることが可能である。図示の例で、光透過領域14は、流体チャネル22の一方の横縁部から流体チャネル22の他方の横縁部に延びる対角線を形成する。他の実施形態では、光透過領域14は、流体チャネル22内の流れの方向に垂直に延びる配列または一次元の列の形態であることができる。
【0029】
照明源12は、表面16(a)の一方の側にある。照明源の好適な例は、白色光源、自然光、着色光源等を含む。照明源12は、流体チャネル22を通過する流体を通過する光を供給する。好適な照明源は、市場で入手可能である。
【0030】
光学検出部18は、表面16(a)の他方の側にある。光学検出部18は、電荷結合素子を有することが可能で、それぞれ光透過領域14に対応する離間した光検出要素の配列を有することが可能である。また、光学検出部18は、ダイオード配列の各ダイオードが1つの光透過領域14に対応するダイオード配列(例えば一次のまたは二次元のダイオード配列)である可能性がある。好適な光学検出部は、また、市場で入手可能である。
【0031】
示されるように、生物細胞20を含む流体は、流体チャネル22を通過することが可能である。細胞20が流体チャネル22を通過するとき、光透過領域14は、生物細胞20(または他の物体)を撮像するために使用可能である。例えば、図1(a)に示すように、細胞20を含む液体は、流体チャネル22を通過することが可能である。液体が流体チャネル22を通過するとき、照明源12からの光は、流体チャネル22を通過し、そして基体16の表面16(a)を照射する。細胞20により遮られない光は、実質的に変更されないで光透過領域14の一部を通過する。細胞20に移行する光は、遮られないことが可能、または、細胞20を通過する光に対して相当の範囲で相対的に変更可能である(例えば減少された強度、変更された波長等)。上記したように、光検出部18の個別の光検出要素(不図示の)は、それぞれ、光透過領域14と対応付けされることができる。検出部18の各個別の光検出要素は、時間に関してサンプリングされて、光検出要素により時間を通して受けられる光の変化は、細胞20を撮像するために使用可能である。この処理は、以下にさらに詳細に説明される。
【0032】
図2を参照して、参照番号34(a)は、微小流体装置で使用可能な微小流体チャネルシステムの模式線図を示す。参照番号34(b)は、参照番号34(a)に対応する微小流体チャネルシステムの一部のSEM(走査電子顕微鏡)像を示す。参照番号34(b)により示すように、光透過領域の列は、流体チャネルの横の一方の縁部から他方の横縁部に延びる。
【0033】
分岐した流体チャネル構成は、生物学対象を光透過領域を含む撮像部の中央に向けて「集中」するために使用可能である。例えば、生物学対象は、3つの上流の流体チャネルからなる参照番号34(a)により示される流体チャネルの中央を流れることが可能である。3つの流体チャネルは、単一の流体チャネルに収束し、生物学対象は、単一の流体チャネルの中央に限定されて留まることになる。このことは、生物学対象が、光透過領域上を通るとき、実質的に直線に移動することを確実にすることを助ける。
【0034】
本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置の動作は、図3(a)乃至3(d)に関連してさらに説明可能である。図3(a)は、本発明の実施形態の近接眺めからの光学装置の他の模式図である。図3(b)は、図3(a)の光学装置の流体チャネルの上面図である。図3(c)は、図3(a)に示される光学流体顕微鏡装置の側面図である。図3(d)は、本光学装置の各画素からの採集された時間跡を示し、ここで各画素は処理されて物体像を生成可能である。
【0035】
図3(a)乃至3(c)で示されるように、細胞20は、流体チャネル22を通過し、流体チャネル22を通過するとき光透過領域14を遮る。細胞20、または他の対象物は、一定の速度でチャネル22を流通する。動電または圧力装置(不図示の)は、細胞20が撮像部の中央に閉じ込められるように、細胞20を含む液体を流すことができる。図3(a)に示すように、光透過領域14は、傾けられ、流体チャネル22の一方の横縁部から流体チャネル22の他方の横縁部に延びる。光透過領域14を傾けることにより、流体チャネル22の各横方向の位置は、観測可能であり、細胞20の横端部を撮像するために使用可能である。他の実施形態で、光透過領域14は、流体チャネル22の壁に垂直な列である可能性がある。
【0036】
図3(c)に示すように、光検出部18は、多数の光透過領域14を有する不透明または準不透明層19下方にある。不透明または準不透明層19は、金膜(透明層に存在可能な)であることが可能であり、100ナノメータで、白色光透過について近似的に不透明であることが可能である(632.8ナノメータHe−Neレーザの金層の皮膜深さが概略12ナノメータ)。
【0037】
任意の好適な市場で入手可能な光検出部が、本発明の実施形態で使用可能である。光検出部18は、それぞれ光透過領域14に対応する多数の離間した光検出要素(例えば画素)を有する。動作中、光検出部18は、光透過領域14を通る照明源12からの実質的に変調された光を受けること、または受けないことが可能である。このことは、細胞20が光透過領域14を覆っているかどうかに依存する。光透過領域14を通って時間を通じて受けられた光信号の変化は、細胞20を撮像するために使用可能である。
【0038】
図解的に、図3(d)は、各光透過領域14下方の各光検出要素からの採集された時間跡を示す。より詳細には、検出部18の各光検出要素についての時間を通した出力が示される。光透過領域14(及びその対応付けられた光検出画素)の知られた相対位置と、光検出部18の離間した光検出要素から生成された時間跡とを用いて、物体像が、図3(d)に示すように形成可能である。
【0039】
対象が光透過領域14上を通るとき、これを通過する光の特性は、相当の範囲で変更される。実際、各光透過領域14は、近接場光学顕微鏡(NSOM)の検出部先端のように、または二重焦点顕微鏡のピンホールとして機能する。このため、本発明の実施形態は、高い感度を有する。
【0040】
各光透過領域と対応付けられる時間跡は、撮像される対象の輪郭と、その光学特性とに依存している。例えば、予め定められた時間周期で予め定められた位置における低い強度に対応する画素出力は、流体チャネルの特定の位置の物体の幅に関するデータを提供する。各画素についてのデータは、コンピュータを用いて処理されて物体の像を形成可能である。この例で、細胞20は、流体チャネル22中、そして検出部の画素上、そして光透過領域14上を通るとき、直線に移動する。
【0041】
本発明の実施形態は、多数の利点を有する。本発明の実施形態は、高い分解能を提供し、製作するのに高価でなく、小さい試料容量を使用し、見易く、高い処理量を有する。本発明の実施形態は、マッチ箱のように小さいことが可能であり、高い処理量の操作が可能であり、大量生産し易い。従来の大量の顕微鏡の代替として、それらは、製作するのが容易で高価でなく、それらは小型である。本発明の実施形態は、副次波長分解領域に届くことが可能であり、そのため、微小のバクテリア及びウイルスの光学オンチップ撮像の新規な分野を開く。異なるウイルスまたはバクテリアのタイプを撮像して識別するための高い処理量の方法は、生物学及び医療の使用について、重要かつ便利である。
【0042】
B.光学流体顕微鏡装置の製造方法
【0043】
本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置は、任意の好適な方法で製作可能である。本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置の例示の製作方法は、図4(a)乃至4(e)を参照して説明可能である。エッチング、積層、及び軟リソグラフィを含む広く知られた工程の任意の好適な組合せは、本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置を製作するために使用可能である。
【0044】
撮像配列の作成は、図4(a)に示され、始めに金層34(概略100ナノメータ厚さ)をガラス板32の透明の表面に蒸着することにより開始する。ガラス板32は、代わりに、いくつかの他の透明層であることが可能である。金層34は、代わりに、任意の他の好適な不透明または準不透明層であることが可能である。
【0045】
図4(b)に示されるように、次にポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)レジスト層36が金層34上に吐出され、通常の電子線リソグラフィがPMMA抵抗36に孔のパターンを形成するために使用される。PMMAレジスト36の代わりに、任意の他の好適なタイプのフォトレジストが使用可能である。
【0046】
図4(c)に示されるように、現像後、金層34は、ウェットエッチングされ、これにより撮像孔39を規定する。その代わりに、ドライエッチング処理が、撮像孔39を形成するために使用可能である。
【0047】
他の実施形態で、エッチングは使用される必要がない。例えば、レーザアブレーション処理は、孔39を形成するために使用されることができる。この場合、フォトレジスト層は、孔39を形成することを必要とされない。
【0048】
図4(d)に示されるように、残るPMMA層36は、次に除去され、そして、撮像部を光学流体顕微鏡装置の流体部から電気的及び機械的に絶縁するように作用する新規のPMMA膜37(概略200ナノメータ厚さ)で置換される。代替に、PMMA膜37の代わりに、異なるタイプの不透明または準不透明絶縁材料が使用可能である。
【0049】
新規のPMMA膜37、先のPMMA層36、及び光学流体顕微鏡装置に形成される任意の他の層は、任意の好適な工程を用いて堆積可能である。例示の工程は、ローラ被覆、スピン被覆、気相堆積等を含む。
【0050】
最後の組立段階で、図4(e)に示されるように、PDMS(ポリジメチルシロキサン)構造40が予備形成され、次いでPMMA膜37に結合される。次に、アクセス孔(不図示の)が、流体の入口及び出口を形成するために、PDMS(ポリジメチルシロキサン)構造40に穿孔される。PDMS構造37は、軟リソグラフィ手法(当該分野で広く知られた)を用いて形成可能であり、次いで概略30分間空気プラズマに曝される。PDMS層40とPMMA膜37とは、互いに積層可能である。組み立て後、80℃の後ベークが、光学流体顕微鏡装置の種々の構成要素の間の結合強度を改良することを助けるために使用可能である。
【0051】
また、図4(e)に示されるように、次に、離間した光検出要素43(a)を有する検出器43は、接着剤または他の好適な結合機構を用いて、ガラス板32と装着されて本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置を形成する。上記のように、光検出器43は、市場で入手可能な部品である。
【0052】
好適な電子部品(不図示の)は、装着された検出器と接続可能である。そのような電子部品は、画像処理ソフトウェア、異なる生物学実体を識別するためのソフトウェア、信号処理ソフトウェア、及び電子部品等を有することが可能である。当業者は、どのタイプの電子部品が、本光学流体顕微鏡装置の撮像部からの像を形成するために使用可能であるかを理解する。さらに、任意の信号処理または他のソフトウェアに関連する機能を実行するためのコンピュータコードは、当業者により作成可能である。任意の好適なプログラミング言語のコンピュータコードは、C、C++、Pascal等を含む。
【0053】
C.孔配置及び分解能
【0054】
上記のように、例示の光学流体顕微鏡装置において、不透明の金層の孔を通過する光の透過は、不透明層直下にある直線CCDまたは光ダイオード配列のような検出部により観測される。この配置は、光学流体顕微鏡装置を、小型に、かつ大量の光学器をなくする。各孔及び各孔を通る光の透過は、単単のCCDまたは光ダイオードに、それぞれ像描可能である。例えば、孔の相互間隔は、この間隔が、市場で入手可能な検出器(例えばDalsa tall pixel sensor IL−C6−2048のような直線走査センサ)の離間した光検出要素の間隔と同一であるように概略13ミクロンの次数であり得る。
【0055】
流れ方向に垂直なy方向の画素分解能rは、この方向の隣接する孔の間隔に依存する。金層を介してエッチングされた単位幅当たりの孔が増すと、以下の式(1)により定義される実現可能な分解能は高くなる。
【数1】


ここで、nは孔の数に等しく、wはチャネル幅である。例えば、チャネル幅が40μmである場合、流体チャネル全体にわたる40の孔があるとすると、y方向の画素寸法は、1ミクロンであることになる。x(流れ)方向では、画素寸法は、式(2)により定義されるように、光学測定ユニットの取得率と対象の有効速度とにより定められる(すなわち、x方向の分解能は、対象の移動速度u×画素取得速度Δtに等しい)。
【数2】


例えば、対象の流れ速度が100ミクロン毎秒であり、検出部の読取率が1KHzである場合、x方向の最大分解能は、概略0.1ミクロンに等しいことになる。
【0056】
光学流体顕微鏡装置の感度は、各孔を通って透過された光の全量に依存する。不透明層が完全な伝導性であると仮定すると、孔寸法(S)の2つの異なる領域が計算される。それらは以下のようである。
>λ、大孔限界−
この領域では、有効透過面積Aは、単純に、孔の物理断面積に等しい。
<λ、小孔限界−
この領域では、孔が無限小に薄いと仮定して、Bethe(Bethe HA、「小孔による回折理論」、物理学レビュー、66、163(1944))は、有効透過面積は、ピンホール直径の6次に比例することを示した。
【0057】
最近の著作で、De Abajo(F.de Abajo、2002、「金属膜の単独の円筒孔を通る光透過」、Optics Express、vol.10、pp.1475−1484)は、透過は、孔深さの関数としてさらに指数的に減衰されることを観測した。これらの2つの効果を組み合わせて、有効透過面積は、次のように表されることができる。
【数3】


この式は、De Abajoが報告したシミュレーションデータと良好に一致する。しかし、光学流体顕微鏡装置性能をより有効に評価する目的のために、材料の有限の伝導度及び従って光学シミュレーション時の応答が考慮される必要がある。画素休止時間τ(またフレーム率の逆数に等しい)の間の全透過光量子計数が与えられる。
【数4】



ここでhc/λは1つの単光量子が保持するエネルギーであり、Iは照明強度であり、そしてεはCCDカメラの量子効率である。
【0058】
主要なノイズ源は、光量子計数ノイズ(ショットノイズ)及び受信部ノイズ(nτ)を含む。従って、感度は次のように表されることができる。
【数5】


このため、ミクロン基準の分解能及び30dBの感度を有する物体の撮像が、自然光照明の使用により、容易に実行可能である。第1に、副次波長分解能は、所望の分解限界で単純にy方向の隣接する孔の間隔をあけることにより光学流体顕微鏡装置で実現可能である。孔は、x方向に数十ミクロンで離間されているので、その透過寄与は、CCDカメラ上でそれぞれから識別可能であろう。現在のナノ製造技術は、数十ナノメータ以内の分解能を有するエッチングパターンの形成を可能にする。100ナノメータ以下の分解能を有する光学流体顕微鏡装置が製作可能である。
【0059】
D.対象の微小流体移送
【0060】
ミクロ及びナノ尺度で、流体の流れ及び微粒子の移送は、多数の異なる手法を用いて実行可能であり、そのうちの最も普及しているものは、従来の圧力駆動流れ、動電移送、電気濡れを介した離間した液滴の転位、または熱毛管現象手法を含む。
【0061】
電子線リソグラフィにより形成される像特性が20ナノメータと同等に小さく作成可能である一方、光学流体顕微鏡の最高分解能は、対象の垂直及び水平閉じ込め安定性により制限される可能性がある。物理閉じ込めは、より小さい対象(<0.5ミクロン)について数百ナノメータの次数のチャネル寸法を表すことになる可能性があるチャネル寸法が、撮像される対象の寸法の次数であることを要求する。
【0062】
電気浸透移送は、電気二重層を有する外部から印加された電場の相互作用から発生する。電気二重層は、界面(この場合固−液界面)近傍の、非ゼロ荷電密度の非常に薄い領域であり、通常、荷電種の表面吸着と、全体の電気中性を維持するように生じる溶液中での局所自由イオンの再配置との結果物である。それは、表面駆動効果であるので、動電速度は、近似的にチャネル寸法に依存している。そのため、電気浸透移送は、物理閉じ込め及び最終的に所望される撮像範囲のためにより有利である。
【0063】
物理閉じ込めに加えて、対象の流体閉じ込めは、最終の撮像安定性のために同等に好ましい。多数の研究者は、ブラウン粒子動力学を研究し、剪断流れ内の粒子は、粒子に作用する種々の流体力学の力が釣り合う特定の位置に移動する傾向があることを示した。ここで説明されるもののような低縦横比の微小チャネルシステムの圧力駆動流れについて、対象を、チャネルの上部または下部表面のいずれかから中点(すなわち2つの平衡位置がある)までの距離の概略40%の位置に閉じ込めるのに役立つ垂直方向の強い剪断力勾配が存在する。しかし、水平方向では、いかなる有効な速度勾配が存在せず(すなわち、低縦横比のチャネルで、水平方向の放物の速度概略が非常に弱い傾向がある)、従って対象が始めにチャネル内に集束された後、対象をブラウン拡散に抗して安定化するいかなる機構も存在しない。微小流体装置における電気浸透移動度の局部改良の最近の進展は、速度概略の調整、従って垂直及び水平方向両方のブラウン運動に抗して閉じ込めるための単一の剪断平衡位置を形成することを許容することができる。そのような調整は、従来の圧力駆動流れでは実行が難しい。これらの効果に関連するブラウン運動の効果及び方法は、以下にさらに詳細に検討される。
【0064】
動電駆動微小流体装置は、図2に示されている。図2に見られるように、2つの側枝からの流体は、集中力として作用する。中央のチャネルは、上流の集中により撮像部の中央に閉じ込められた生物学対象を包含する。流体に印加される電圧を動的に調整することにより、生物学対象は、より速く移動されて検出領域に入ることができるが、検出領域を通過するとき、水平方向についてのより多数の画素情報を取得する目的のために、より遅く移動可能である。上記のように、不透明または準不透明層(例えば穿孔された金層)は、PMMAの薄層により電気ポートから絶縁される。PMMA層及びPDMSチャネルは、より気密な密閉及び良好な流れ特性のために酸素プラズマで処理される。像取得のための適切な速度で生物学対象を移動するため、本発明の実施形態は、対象移送チャネルで50Vより高くない、集中チャネルで30Vより低くない電圧勾配を必要とする。
【0065】
E.例示の実験結果
【0066】
上述したように、図3に図解されるように、透過時間跡のすべての情報を用いて、撮像する対象の幾何輪郭は、再構成可能である。撮像された生物学対象は、Carolina biological supplyにより提供されたクラミドモナスであった。クラミドモナスは、単独の細胞にされた2鞭毛の緑藻である。それは、形状が概略円形であり、概略10乃至20ミクロンの範囲の直径を有する。それは、有利に発展した手法により転換可能な明確に定義された遺伝質を有するので、研究手段として通常のものになった数個の核種を含有する。これらの開始実験で、図1に示されるものと同様のOFM構成が使用された。各孔を介した透過度変化は、Olympus IX−71転置顕微鏡に装着された8ビットSonyXCD−X710ファイアワイアCCDカメラにより記録された。
【0067】
図5は、単一のクラミドモナス細胞がその上を通過するときの2つの隣接する孔の透過変化を示す。10の連続した画像フレームが、それから各孔からの画素情報が抽出されるコンピュータプログラムに逐次流される。孔を通る光透過は、撮像領域を横断して流れる対象に動的に応答しないことが図5から理解可能である。より多数のフレームが速く採集される場合、より詳細の画素情報が取得可能であり、結果として生物学試料の2次元像が再生成可能である。
【0068】
図6(a)は、光学流体顕微鏡装置の透過像を示す。孔は、見られるより小さい(0.5ミクロン)。図6(b)は、隣接する孔による閉塞時間跡を示す。図6(c)は、クラミドモナスの顕微鏡像。図6(d)は、クラミドモナスの光学流体顕微鏡像を示す予備データを示す。
【0069】
F.ブラウン運動
【0070】
光学流体顕微鏡装置で用いられる撮像方法は、孔配列を越える対象物体の流れは、直線かつ偏らないで全軌跡を持続する。直線の軌跡からの任意の偏差は、処理された物体像を歪ませる可能性がある。
【0071】
実現可能な像分解能は、その軌跡に沿った物体の実際の偏差により制限される。予定されない物体の軌跡変更は、温度勾配、大部分のシステムの振動及びブラウン運動により発生される可能性がある。始めの2つは、注意深いシステム設計により最小にされることが可能である一方、ブラウン運動を直接防止するために使用可能なものはほとんどない。
【0072】
粘度ηの流体における直径Lの球形の粒子の時間尺度tでの、一次元に沿った二乗平均偏差√<x>が与えられる。
【数6】


ここで、kは、ボルツマン定数であり、Tはシステム温度である。室温の水に流れる直径10ミクロンの物体は、概略10ミリ秒の時間周期の間に、1次元で29ナノメータの平均の偏りを受けることになる。また、ブラウン運動が作用する回転が存在する。しかし、回転の相対量及びその分解能に関する影響は、直進のブラウン運動の偏り効果とは対照的に小さい。
【0073】
偏りの粒子寸法についての逆依存は、ブラウン運動の実現可能な分解能について低下させる影響が、物体が小さくなると増加することを示す。実際、30ナノメータの分解能及び10kHzの列走査取得率を有する光学流体顕微鏡装置は、4ミクロン大の微生物を撮像するために使用されるとき、70ナノメータの像分解能を有する100×100画素像を実現することが予測可能である。高い分解能光学流体顕微鏡装置が、ブラウン運動により明確に影響されるような人造物ではない相対的に大きい生体実在物を撮像するために使用されるとき、光学流体顕微鏡装置は、容易にその期待分解能を実現可能である。
【0074】
ブラウン運動に帰することができる移動する人造物を補正する方法を実験的に研究し、評価することが可能である。方法は、対象物体が検出部配列を通過するとき対象物体の移動の偏りを追跡することが可能な追跡システムを光学流体顕微鏡装置に組み込むことを含む。
【0075】
図7は、光透過領域を追跡することを含む例示の実施形態を示す。図7で、光透過領域42の追跡組は、撮像部光透過領域44と重ねられることが可能である。この例で、追跡光透過領域42は、それぞれ5または6の孔の同一の集合体を有し、通常、流体チャネル22の中央に沿って向いている。対照して、撮像部光透過領域44は、流体チャネル22の一方の壁から流体チャネル22の他方の壁に延びる光透過領域の傾けられた配列を形成する。照明源(不図示の)及び検出部(不図示の)の構成は、以前に説明した実施形態におけるものであり得る。
【0076】
追跡光透過領域42を用いて、物体が孔配列を越えて流れるとき、光透過領域42の各追跡部により物体20の横の偏りを追跡することが可能である。追跡部は、チャネルの中央に同一に配置されるので、光透過領域42の隣接する組にわたる任意の信号ドリフトは、物体のy方向の実質の移動量に対応付け可能である。この移動量情報は、光学流体顕微鏡装置を用いて形成される任意の像を変更するために使用可能である。光透過領域22の追跡組の間での物体20の到達時間の変化は、物体のx方向の実質の移動量に対応付け可能である。
【0077】
光学流体顕微鏡装置の性能は、追跡組が使用される場合、改良されることを予想可能である。ブラウン運動人造物と関連付けられる分解能の不確かさは、使用される追跡組の数の平方根に応じて減少されるはずである(追跡組が規則的に配置されることを仮定すると)。追跡システムを有する光学流体顕微鏡装置の構築及び実施は、簡単である。
【0078】
G.光透過領域及び蛍光発光を用いる実施形態
【0079】
本発明のいくつかの実施形態は、物体を撮像するために、光透過領域と蛍光発光を使用する。これらの実施形態の背景として、厚い不透明または準不透明の伝導層の孔は、零モードの伝搬についてのカットオフ波長より短い波長の光のみを有効に透過するであろう。より長い波長の光は、殆ど有効には透過されない。この透過特性の近似式は、有効透過面積の関数として与えられる。
【数7】


ここで、λは波長であり、dは伝導層厚さであり、sは孔の直径である。この式は、上述された。十分に厚い伝導層について、伝達は、λがs/.586を超えるとき、非常に急激に低下する。「d」が大きい場合、透過曲線は、階段関数のように見えるであろう。
【0080】
物体の同時の蛍光発光撮像及び透過撮像を実行する手法は、試料を適切な励起光場(波長λexで)で照射することを含む。試料内部のフルオロフォアは、吸光して、異なる波長λ;λ>λexで再発光することになる。均一の照明場を仮定すると、波長λexでの透過は、物体の透過像を投射し、一方、試料からの蛍光発光パターンは、物体の蛍光像を投射する。2つの蛍光発光及び透過撮像モードを用いて、より正確な物体像が生成可能である。
【0081】
図8を参照して、一対の交互の孔の列214を有する光学流体顕微鏡装置を用いることにより、2つの像を取得することが可能である。第1列の孔211(または組)の孔寸法は、孔212が2つの波長λ、λexの光を透過するように選択可能である。第2列の孔212の孔寸法は、第2列の孔が波長λexの波長の光のみを透過するように選択可能である。孔211,212の列は、各対の孔が、チャネルの壁からの同一の横方向の配置にあるように調整可能であり、その結果、これらの孔は、物体を越えて同一の列に質問する。次に、第2列の孔211による透過は、流体チャネルを通過する物体20の透過顕微鏡像を生成するために使用可能である。物体の蛍光発光像は、第1列の孔211と第2列の孔212による透過の差をとることにより、生成可能である。照明源(不図示の)及び検出部(不図示の)の構成は、以前に説明した実施形態におけるものであり得る。
【0082】
H.光学流体顕微鏡装置の応用
【0083】
本発明の実施形態に係る光学流体顕微鏡装置を用いるシステムの模式図は、図9(a)乃至9(c)に示される。任意のこれまで説明した光学流体顕微鏡装置は、図9(a)乃至9(c)に示されたもののようなシステムに使用可能である。
【0084】
図9(a)に示すように、システムは、血液細胞の識別及び計数を実行することが可能な血液示差ユニットとして使用される。システムは、多数の流体入口(例えば「試料入」及び「試薬入」により指定されるような、及び多数の流体出口(例えば「廃棄出」により指定されるような)を有する。示されるように、混合変更部、及び3つの直列の光学流体顕微鏡装置が存在する。光学流体顕微鏡装置に至る出口は、「試料入」流体入口に戻り供給される単独の循環流れに集束される。図9(b)は、流体部がシステムへ移行するときの流体部を示す。図9(c)は、流体が流体流れ中の試料に循環されて戻るときの作動時の流体部を示す。
【0085】
例示の操作手順は、以下のようである。第1に、関連する血液試料及び示差試薬が、混合チャンバ内に流される。用いられる示差試薬は、重要な血液画分に基づいて変更可能であり、赤色血液細胞の溶解試薬、化学着色剤(Chlorazole Blackのような)、定着試薬または希釈剤を含むことが可能である。相対的に大容量(〜1マイクロリットル)の血液試料及び試薬がこの段階で使用されるので、流れは、圧力駆動または動電的に作動可能である。第2に、混合物は、混合し反応する十分な時間周期を許容される(概略10秒)。その後、第3に、混合物は、電気運動により、光学流体顕微鏡装置をわたって移動される。提示された流れチャネルは、大きさが20ミクロンであり、各光学流体顕微鏡装置は、500ナノメータの分解能を有するように構成されることになる。光学流れ率は、概略6.0ミリメータ毎秒であろう。
【0086】
各光学流体顕微鏡装置は、装置と対応するCCD配列の間に帯域通過フィルタを組み入れるように製作可能である。帯域通過フィルタは、可視スペクトルの合理性のある部分を画定するため、500乃至550nm、550乃至600nm、600乃至650nm、及び650乃至700nmの分離を提供することができる。フィルタの特性は、最も関連するスペクトル成分に基づいて、再調整可能である。
【0087】
図示された実施形態で、予測撮像速度は、1.6ミリ秒毎に1細胞である。各細胞についての取得された多スペクトル像データは、手動または自動プログラムにより処理される。処理された情報は、互いから細胞を識別するために使用可能であり、処理された細胞は、その後、補正容器で補正出力電圧を偏向することにより、適当な収集部または廃棄容器に導かれることが可能である。
【0088】
追加の処理段階として、任意の所与の選別された血液画分は、所望の画分をシステムの入力部に単純に導くことにより全システムを通って再処理可能である。そして、この画分は、異なる示差試薬と混合され、撮像され、この画分の異なる成分をさらに区分するため、または全体としてこの画分についてより多くの情報を収集するため、再選別される。選別された画分を殆どまたは全く損失なく再処理する能力は、微小流体基準の細胞選別器だけのものである(通常従来の細胞血球計算システムは再処理のために構成されていない)。この利点は、多段階処理を用いる細胞を選別する将来の応用例についての重要な要因になるであろう。
【0089】
細胞識別及び選別の速度は、市販の血液示差ユニット(200ミリ秒毎に1細胞の速度で細胞を処理する)の速度と同等である。しかし、本発明の実施形態の処理速度は、同一のチップ上で同時に作動しているシステムの数を単純に増加することによる大きさの次数だけ、有効に増加可能である。さらに、本発明の実施形態は、選別に関して、より精密で正確である。より詳細には、本発明の実施形態は、細胞群と好中球群の識別、及び核にされた赤色血液細胞の計数について、市販の血液示差ユニットを能力が越えることが可能である。
【0090】
本発明の実施形態の光学流体顕微鏡装置は、潜在的に、血液の循環腫瘍細胞(CTC)を同定するために使用可能である。循環腫瘍細胞(CTC)は、通常、その細胞または核構造の映像検査に基づいて識別されて分類されるので、光学流体顕微鏡基準の細胞選別システムは、自動化されたCTC細胞計数のために使用可能である。光学流体顕微鏡装置撮像方法は、オンチップ撮像システムとしての微小流体基準の流れ血球測定器への組み込みから、尿中の異なるバクテリアのタイプの識別及び計数のための高処理量の分析システムとしての使用にわたる幅広い種類の応用で有用であろう。
【0091】
II.発光要素を用いた光学流体装置
【0092】
従来の光学顕微鏡で、最大の実現可能な分解能は、レイリー則により規定されるように、理論的にλ/2に制限され、ここでλは光の対応する光学波長である。(また、上述した孔基準の方法は、λ/2限界より大きい分解能を許容することが注記される。)近接場顕微鏡、引き込み光量子顕微鏡(entangled photon microscopy)、誘導放出減損(STED)顕微鏡、及び構造照明顕微鏡(structured illumination microscopy)のような新規な手法の使用により、この限定をある程度まで乗り越えることが可能である。しかし、計算費用、システム複雑性、及び光学出力要求特性は、所望の分解能の関数として指数的に上昇する。
【0093】
副次波長分解能を有する実体物の像を費用効果のある方法で提供することができる他の実施形態が開示される。これらの実施形態は、フルオロフォア配列または格子を使用し、そこで、各配列点または格子点は、狭くかつ配列または格子の他のフルオロフォアと別異の蛍光またはラマン発光スペクトルを有するフルオロフォアを有することになる。好適なフルオロフォアは、量子点を有する。量子点は、別異の狭い発光スペクトルを有して構成可能であり、強く小型の蛍光放出器である。量子点は、市場で入手可能であり、以下の例示の刊行物に記載される:J.K.Jaiswal、H.Mattoussi、J.M.Mauro、S.M.Simon、量子点生体共役物を用いた生細胞の長期の多色撮像、ネイチャーバイオテクノロジー21、47(1月、2003);M.Dahan、T.Laurance、F.Pinaud、D.S.Chemla、A.P.Alivisatos、M.Sauer、S.Weiss、コロイドの量子点の使用による時間通過制御された生物学撮像、オプティクスレターズ26、825(2001)。本発明の実施形態が、量子点を用いて説明される一方、本発明の実施形態は、量子点に限定されない。
【0094】
光生成要素を用いる本発明の実施形態についての多数の潜在的な応用がある。例えば、本発明の実施形態は、その種類を同定する方法のようなバクテリアまたはウイルス形状を画する手段として、大きい蛋白質形状を画する手段として、癌性細胞を同定する方法としての細胞核の形状を測定し、取得する手段として、細胞の屈折率概略を測定する手段、及び製造、組立及び産出時の品質制御または他の目的のために小さい物体の形状を識別する手段として、使用可能である。
【0095】
発光要素を有する例示の光学流体顕微鏡装置は、図10(a)に示される。図10(a)で、量子点62の格子は、基体の表面16(a)内に埋め込まれ、または表面上に存在する。各量子点62は、他の量子点62のものと別異の蛍光発光スペクトルを有する。図10(a)に示されるように、物体20は、量子点62の格子上にあり、量子点62を用いて撮像される。
【0096】
量子点62は、概略10ナノメータの次数の大きさを有し、隣接する量子点の間隔は、10ナノメータと同等に小さいことが可能である。他の格子間隔及び量子点の他の間隔は、本発明の他の実施形態で使用可能である。
【0097】
物体20の形状及び寸法を撮像するため、物体20は、量子点62の格子上に配置され、照明源(不図示の)からの均一の照明を受ける。物体20下方にある量子点62は、殆ど照明を受けず、そのため殆ど蛍光発光しないことになる。
【0098】
格子全体からの蛍光を採集して市場で入手可能なスペクトロメータ(または他の検出器)の使用によりスペクトルを分光により分解することにより、どの量子点62が覆われているかを判別することが可能である。例えば、量子点62の位置と、量子点62に対応付けられるそれぞれの蛍光発光ペクトルとは、知られている。スペクトロメータを用いて、コンピュータは、どの蛍光スペクトルがスペクトロメータにより受けられたかを判別可能であり、結果として、どの特定の格子点が物体20により覆われているかを判別可能である。このことから、物体20の形状は、量子点62の間隔のみに限定される分解能で、得られることが可能である。
【0099】
量子点の格子を作成する代わりに、顕微鏡の代替構成は、別異の量子点62の直線配列が用いられるものであることが可能である。量子点62は、表面16(a)上または下方にある。このことは、図10(b)に示される。図10(b)で、別異の量子点62は、物体20の流れの方向に垂直に延びる一列に配置される。以前に説明した実施形態におけるように、時間に対して量子点62の蛍光スペクトルを測定してどの量子点62が覆われているかを判別することが可能である。この例で、物体20は、量子点62の配列を越えて流体チャネル22を流通する。その時、時間変更される蛍光スペクトルは、物体20の形状を判別するのに十分なデータを提供するために処理可能である。
【0100】
図10(a)及び10(b)に示される光学流体顕微鏡装置の検出器及び照明源の配列は、変更可能である。2つの例示の構成は、図11(a)及び11(b)に示される。図11(a)及び11(b)は、本発明の実施形態の側面の模式図である。図11(a)及び11(b)で、数字等は要素等を指定する。
【0101】
図11(a)で、照明源420は、予め定められた第1の波長の光を供給可能である。第1の波長430の光は、基体410(a)上または内部に配置された量子点62を励起可能であり、その結果、第2の波長431の光がこの量子点62により提供される。第2の波長431の光は、検出器430により受けることが可能である。細胞20が量子点62を通過するとき、細胞は、第1の波長20の光を遮りまたは変調し、その結果、量子点62から発せられた光は、検出器430により前に受けられた第2の波長431の光と異なる。この例で、照明源420及び光学検出器430が、量子点62及び基体410(a)の上方にあるので、基体410(a)は、透明、または半透明、または不透明であることが可能である。
【0102】
図11(b)は、異なる構成を有する他の実施形態を示す。この実施形態で、検出器430は、基体410(b)下方にある。この実施形態で、基体410(b)は、透明または半透明であり、その結果、第2の波長431の光は、それを通って検出器430に移ることができる。
【0103】
さもなければ、さらに他の実施形態は、基体410(a)、410(b)が、透明または半透明である場合、照明源420は、代替的に、基体410(a)、410(b)の下面にあることが可能である。検出器430は、基体410(a)、410(b)上方または下方に配置されることが可能である。
【0104】
微小流体チャネルを有する代替の顕微鏡は、組み立て可能である。これは、図12に示されている。量子点62は、基板22上に2以上の列62(a)の組64で配置される。各列62は、同様の別異の量子点62を有し、そして、各列は、他の列62と異なる発光スペクトルを有するであろう。各組64の向きは、異なることが可能である。図14に示される実施形態で、蛍光スペクトルは、閉止がまだ加えられていることを判別するために、測定可能である。この場合、特定のスペクトル帯での蛍光減少の程度は、特定の列の量子点が物体により覆われる範囲の指標である。
【0105】
一つの組の列を用いた測定をした後、物体20は、次の組64の量子点列まで流れる。移送は、物体20の向きが動かされないように実行される。処理は、すべての列の組64について繰り返される。コンピュータ断層撮影計算を列の組64について実行することにより、物体20の形状を判別可能である。
【0106】
図12における構成は、以前の構成に対する利点を有する。例えば、N×N格子上の物体20の形状は、Nの別異の型の量子点を使用により見出すことが可能である。上述した前の実施形態で、同一の分解能は、Nの別異の型の量子点の使用を要求する。
【0107】
図13及び14を参照して、物体が非常に透明であって、量子点からの発光を十分に減少させるため量子点からの十分な量の励起光場を閉塞しない場合、本発明の実施形態は、代替的に、消失性の励起場の使用に依存することが可能である。
【0108】
励起光場70は、基体の流体チャネル22の表面16(a)上または下方の量子点62に向けられる。励起光場は、ガラスチャネル界面上でのその入射角が臨界角を超えるように考慮して調整される。この状態で、指数的に崩壊する消失性の場を除いて、非常に僅かの光学励起場は、量子点62に到達し、量子点62は、蛍光発光しないかまたは非常に弱く蛍光発光する。チャネルを流れる液体媒体より高い屈折率を有する物体が、励起光場70の経路に交差することになる場合、屈折率の変化が見られる。
【0109】
図14により明確に示されるように、物体20の存在により形成される新たな屈折率が、臨界角をより大きい値に変更するのに十分に実質的に高い場合、そのとき、光学励起場は、今度は、流体チャネル22内の伝搬場82になる。伝搬場82は、その後、物体20下方の量子点62を励起することが可能であり、撮像システム122(光学フィルタを含む)及び検出器124は、量子点62により生成された光を受けることができる。この実施形態で、特定の配列格子点からの蛍光信号は、その格子点の特定の量子点62が閉塞されていることを示す。
【0110】
図13及び14を参照して説明される光学流体顕微鏡装置は、他の目的のために使用可能である。例えば、それらは、物体20の屈折率概略を質問するために使用可能である。励起光場の入射角を変更し、透過が物体20を通る伝搬波になるときを判別することにより、その屈折率概略を正確に測定可能である。
【0111】
図15は、本発明の実施形態のさらに他の光学流体顕微鏡装置を示す。実施形態は、段の列パターンで配置された量子点を使用する。隣接する列と対応付けされる蛍光信号の差は、物体上の特定の位置に帰することが可能である。
【0112】
図15に示されるもののような光学流体顕微鏡装置は、また、量子点の列の代わりに、スリット(示されない)を用いて実施可能である。スリットが十分狭く、これらが底部から照射される場合、消失性の場は、基板の上部に形成される。与えられたスリット領域上方の物体の流れは、消失性の波を伝搬波に向ける。全体の透過を測定することにより、説明した量子点手法を用いて取得されたものと同様の情報の組を判別可能である。
【0113】
発光要素を有する光学流体顕微鏡装置は、任意の好適な方法で製作可能である。1つの例で、図15に示される顕微鏡構成を作成するため、フォトリソグラフィ及びエッチング処理が、基体(例えば基板)に必要な列をエッチングするために使用可能である。各伝導性の列は、その後、選択的に荷電可能であり、逆に荷電される別異でない量子点を含有する溶液は、量子点を列にわたって流すことにより選択された線に吸着するために作成可能である。その後、量子点の荷電された列への接着は、接着された基板を被覆することにより、永久に形成可能である。そして、この処理は、異なる伝導性の列及び別異でない量子点の異なる組を用いて、完全な列の組が完成されるまで繰り返される。量子点配列格子の分解能は、実行可能なリソグラフィエッチング分解能により限定されるだけである。
【0114】
他の手法で、微細な針先端作動部システムが使用可能である。この手法で、単独の格子点の形成は、量子点とエポキシのような担体の混合物を使用する。次に、空乏の針先端は、混合物中に浸積され、混合物の単独滴を落とすために基板上の正確な場所に移動される。次に、この処理は、全格子が完成されるまで、異なる量子点−エポキシ混合物について繰り返される。量子点格子の分解能は、特定の場所に移動する針先端の実現可能な忠実度により限定されるだけである。
【0115】
量子点は、概略10ナノメータの発光線幅を有して作成される。蛍光が観測されることができる利用可能な発光スペクトルが概略300ナノメータであると仮定すると、このことは、30の異なる量子点を区別して検出することが可能であることを示す。この状態で、図10に示される顕微鏡構成に示される格子寸法は、5×5より大きくなることはできない。異なるスペクトロメータが、格子の異なる小区分に供せられる場合、より大きい格子寸法は、実現可能である。この構成で、最も高い格子密度は、5×5小格子を(1/2波長)×(1/2波長)の面積に等しくすることにより与えられる。より密な格子配列は、スペクトロメータの光学器集合物により適切に分解されることができない。従って、このことは、この顕微鏡構成により実現可能な分解能は、概略100ナノメータであることを示す。
【0116】
最後に、実現可能な分解能は、利用可能な別異の量子点の型の数の直接の関数である可能性がある。そのため、一様のより狭い発光帯域幅を用いて量子点を調製することが非常に好ましい。このことの代替として、蛍光共鳴エネルギー移動分光法(またはいくつかの関連する現象)が使用可能である。例えば、色素対が作成可能であり、ここで色素対の一方の構成要素は、吸光し、他方は、発光する。吸収可能な構成要素は狭い吸収帯域幅を有し、発光可能な構成要素は狭い発光成分を有するように作成可能である。別異の吸収可能波長及び発光可能波長を有するこれらの色素対の異なる並べ替え可能な組合せにより、非常に多数の劣化しない色素型を生成することが可能である。
【0117】
III.他の光学流体装置の実施形態
【0118】
図16は、さらに他の光学流体顕微鏡装置の実施形態を示す。この実施形態で、基板22は、別異の量子点またはナノ粒子の傾斜された直線配列が埋め込まれる。量子点88の間の水平離隔、距離u112は、調整されて、配列がCCDカメラまたは他の撮像装置上に結像されるとき、2つの別異の点を互いから分解することが可能であるように、十分大きい。距離uは、一対一の撮像を実行する場合、CCDカメラの画素寸法と等しいかまたは大きいことが可能である。距離v110は、この顕微鏡の分解能を設定し、そのため、可能な限度で小さいことが可能である。理想的に、それは、含まれるナノ粒子の寸法に等しい。
【0119】
物体20は、流体チャネル22を通って流れ、各量子点88からの蛍光スペクトルは、撮像CCDカメラ(示されない)上で観測される。表面16(a)が透明の基体の部分を形成する場合、CCDカメラは、表面16(a)下方に装着可能である。さもなければ、物体20を上方から撮像することが可能である。しかし、このことは、最初の入力光線の内部反射光がCCDにより検出されないことを確実にすることに関するある程度の考慮を要求する。量子点88は、十分離れて配置されるので、各量子点88は、CCDの画素に明確に対応付けられることになる。物体20の形状は、量子点88を越える移行時に、変更されないと仮定すると、CCD信号の時間跡からその形状を判別することが可能である。
【0120】
これまでの顕微鏡構成は、副次波長空間情報をスペクトル符号する手法として考案された可能性があるのに対し、この方法は、副次波長空間情報を上記波長空間情報に空間符号する手法として解釈可能である。
【0121】
この手法に関連する2つの明確な利点がある。第1に、フルオロフォアは、別異でなけれならない必要はない。量子点の配列全体は、別異でないことが可能である。このことは、装置の製作工程を簡単にする。別異の量子点の必要はない。別異の量子点の要求を省略することは、他のコントラスト機構の使用を許容する。1つのコントラスト機構は、ナノ粒子の使用を含む。ナノ粒子は、その物理断面積と比較して増大された散乱断面積を有する。ナノ粒子が量子点に置き換えて使用される場合、その散乱信号は、量子点から生成される蛍光信号の代わりに使用可能である。
【0122】
概略の計算として、10ナノメータの分解能を要求し、物体が、1ミクロン大である場合、少なくとも1ミリメータ長さである(10ミクロン画素寸法CCD上の一対一撮像、u=10ミクロン、v=10ナノメータを仮定する)微小流体チャネルが使用可能である。
【0123】
図17を参照して、他の構成が示される。この構成は、上述した実施形態の一部に類似する。間隔を置かれた格子に別個の量子点を埋め込む代わりに、流体チャネル22の底面16(a)に量子点160の列を配置することが可能である。量子点160の列は、検出部(不図示の)の離間した光検出要素上に図描する異なる部分152、154を有することが可能である。
【0124】
図17における実施形態は、基体にトレンチを生成してその後量子点をトレンチに付着させることにより形成可能である。量子点列の各部分がCCDの単独の画素に図描する限り、この実施形態の分解性能は、これまでの実施形態と同等である。また、光散乱するナノ粒子は、他の実施形態での量子点に置き換えて使用可能であることが注記される。
【0125】
図17に示される実施形態は、利点を有する。第1に、これまでの実施形態と比較すると、信号を誘因するより多数のフルオロフォアまたは量子点による非常により大きい信号が存在する。第2に、図17に示される実施形態は、製作が簡単である。フルオロフォアの列の埋め込みは、フルオロフォアを一様に離間した配置より簡単であるはずである。
【0126】
図18は、図17の構成の他の変形例である構成を示す。この場合、透過または反射列178は、光学流体顕微鏡装置の基体全体にわたる。反射または透過信号は、同様にして、CCDまたは他の検出器上に結像される。列178の異なる部分174、176は、流体チャネル22を形成する表面16(a)下方にあることが可能な検出器の離間した光検出要素に対応可能である。物体20の形状を判別するため検出器からの信号の処理は、これまで説明した実施形態におけるものと同様である。この実施形態は、製作が簡単である。
【0127】
また、さらに他の実施形態が可能である。例えば、H.J.Lezec、A.Degiron、E.Davaux、R.A.Linke、L.Martin−Moreno、F.J.Garcia−Vidal、T.W.Ebbesen、副次波長の開口からのビーム光、サイエンス297、820(2002)に記載されたもののような、周期構成のブルズアイ環パターンの透過孔の組を使用することが可能である。適切に構成されたパターンの孔は、光を小さい発散角で有効に透過することが可能である。
【0128】
ここで用いられた用語及び表記は、限定の用語ではなく説明の用語として使用され、そのような用語及び表記の使用についての、示され、説明された特徴の均等物、またはその一部を除外するいかなる目的はなく、種々の応用が、クレームされた発明の範囲内で可能であることが理解される。
【0129】
さらに、本発明の1以上の実施形態の1以上の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の他の実施形態の1以上の特徴と組み合わせられることが可能である。
【0130】
上述されたすべての特許、特許出願、刊行物、及び記載は、ここで、すべての目的のためにその全体が、参照により組み入れられる。先行技術であると認められるものではない。
【0131】
「1つの」または「この」の記載は、特に逆に示されない限り、「1以上の」を意味することを予定される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の実施形態に係る光学流体顕微鏡装置の一部の構成要素の概略の斜視図を示す。
【図2】本発明の実施形態に係る光学流体顕微鏡装置の作動実施形態の上面図の写真を示す。写真において、光学流体顕微鏡装置の流体チャネルの幅は約44ミクロンである。光学流体顕微鏡装置の模式図が、また、写真の左に示される。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態に係る近接斜視の眺めからの光学流体顕微鏡装置の他の模式図である。 図3(b)は、図3(a)に示す光学流体顕微鏡装置の流体チャネルの上面図の模式図である。流体チャネルの底部の光透過領域は、その壁に関して傾いた列を形成する。 図3(c)は、図3(a)に示す光学流体顕微鏡装置の側面図の模式図である。 図3(d)は、光学流体顕微鏡装置の各光検出要素からの採集された時間跡を示し、ここで各光検出要素は、物体像を生成するために使用可能な出力を生成することができる。
【図4】図4(a)乃至4(e)は、作成時の光学流体顕微鏡装置の断面図を示す。
【図5】光学流体顕微鏡装置の顕微鏡像と時間に対する透過強度の2つのグラフを示す。左のグラフは、第1の対応する矢印により示される左側の孔を介した透過強度の変化を示す。右のグラフは、第2の対応する矢印により示される右側の孔を介した強度変化を示す。
【図6】図6(a)は、光学流体顕微鏡装置の上部を臨む透過像を示す。光学流体顕微鏡装置の光透過領域は、孔(直径が約0.5ミクロン)の形態である。 図6(b)は、本発明の実施形態に係る光学流体顕微鏡装置の隣接する孔による閉塞時間跡を示す。 図6(c)は、クラモイドモナスの顕微鏡像を示す。 図6(d)は、クラモイドモナスの光学流体顕微鏡装置像を示す予備データを示す。
【図7】光学流体顕微鏡装置の長さに沿った散在された基準孔配列の組を示す。
【図8】本発明の実施形態に係る他の光学流体顕微鏡装置を示す。この実施形態で、2つの大きさを有する光透過領域が、光学流体顕微鏡装置で使用される。
【図9】図9(a)乃至9(c)は、光学流体顕微鏡装置を使用するシステムの模式図を示す。これらの図は、種々の操作段階の血液示差ユニットを示す。作動している要素が示される。図9(a)は、試料が試薬と混合される注入及び混合部を示す。図9(b)は、混合物が異なる透過光学フィルタを有する直列の光学流体顕微鏡装置により撮像される光学流体顕微鏡装置測定部を示す。図9(c)は、分析物の任意の与えられた画分が異なる試薬と再混合され、次いで再分析される再処理部を示す。
【図10】図10(a)は、本発明の実施形態に係る他の光学流体顕微鏡装置の上部平面図を示す。この実施形態で、流体チャネルの孔の代わりに、別異の量子点が、細胞のような生物学実体を撮像するために使用される。 図10(b)は、本発明の実施形態に係る光学流体顕微鏡装置の他の実施形態を上面図から示す。量子点は、配列ではなく一列である。
【図11】図11(a)及び11(b)は、図10(a)及び10(b)に示すもののような実施形態のための例示の照明源及び検出部構成を示す。
【図12】量子点を用いる本発明の他の実施形態の上面図を示す。この実施形態で、量子点の2次元配列は、流体チャネルにあり、それらは互いに関して異なって方向が定められる。
【図13】図10(b)に示す光学流体顕微鏡装置の概略の斜視図を示す。
【図14】量子点を用いる光学流体顕微鏡装置の側面図を示す。
【図15】量子点を用いる本発明の他の実施形態の上面図を示す。この実施形態では、量子点は、列に配置され、列は互いに関して傾けられる。
【図16】量子点を用いる本発明の他の実施形態の上面図を示す。この実施形態の量子点は、先行の実施形態より長い間隔で離れて配置される。
【図17】量子点を用いる本発明の他の実施形態の上面図を示す。この例の量子点は、対角線の形態である。
【図18】薄く透明なまたは反射可能なトレンチ構造が基板に形成された実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する流体チャネルを有する基体と、
基体の光透過領域と、
前記光透過領域を通過する照明を供給するために用いられる照明源と、
前記照明源からの前記光透過領域を通過する光を受けるために用いられる光学検出部と、を備える光学流体顕微鏡装置。
【請求項2】
前記表面は、流体チャネルの底部である、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項3】
前記光透過領域は、孔である、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項4】
前記光学検出部は、荷電結合素子である、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項5】
前記光学検出部は、複数の離間した光検出要素を有し、
前記光検出要素は、それぞれ、前記光透過領域に対応する、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項6】
前記流体チャネルは、概略1ミクロンより小さい幅を有する底部を有する、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項7】
前記光透過領域は、光学的に透明の材料を有する、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項8】
孔の前記配列は、前記表面の第1の側部から前記表面の第2の側部に延びる、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項9】
光透過領域の前記配列は、第1の配列の光透過領域であり、前記光学装置は、第2の配列の光透過領域を有し、
前記第2の配列の光透過領域は、基準点を形成する、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項10】
前記表面は、底壁の一部であり、
前記光学検出部は、前記底壁に装着される、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項11】
光透過領域の前記配列は、傾いた列を形成する、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項12】
照明源は、白色光を供給する、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項13】
前記基体は、高分子材料を有する、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項14】
細胞を有する流体を前記流体チャネルを通して流通させる、請求項1に記載の光学流体顕微鏡装置の使用方法。
【請求項15】
表面を有する流体チャネルを有する基体と、
前記表面上または下方の複数の離間した発光領域と、
前記複数の離間した発光領域により生成された光を受けるために用いられる光学検出部と、を備える光学流体顕微鏡装置。
【請求項16】
前記発光領域は、量子点を有する、請求項15に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項17】
前記複数の離間した発光領域は、2次元配列の形態である、請求項15に記載の光学流体顕微鏡装置。
【請求項18】
細胞を有する流体を前記流体チャネルを通して流通させる、請求項15に記載の光学流体顕微鏡装置の使用方法。
【請求項19】
表面を有する流体チャネルを有する基体と、
前記表面上または下方の少なくとも1つの光撮像要素と、
前記少なくとも1つの光撮像要素により生成された光を受けるために用いられる光学検出部と、を備える光学流体顕微鏡装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光撮像要素は、対角線の形態である、請求項19に記載の光学流体顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−501999(P2008−501999A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515164(P2007−515164)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/016876
【国際公開番号】WO2005/121749
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(305053547)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (18)
【Fターム(参考)】