説明

光学測定装置

【課題】射出光学系部材と受光光学系部材との相対的な位置ずれを防止でき、測定精度を担保できる光学測定装置を提供する。
【解決手段】測定対象流体を透過した検査光に基づいて測定対象流体の特性を測定するものであって、測定対象流体が収容される又は流通する内部空間11を有し、内部空間11に検査光を透過させるための対向する一対の貫通孔12を設けるとともに各貫通孔12を透明部材14によって封止したセル10と、検査光が射出される光射出口51を有する射出光学系部材50と、内部空間11を透過した検査光を受光する光導入口51’を有する受光光学系部材50’と、セル10と前記各光学系部材50、50’との間に、検査光の光軸方向Lと直交する方向に対する所定範囲の相対移動が許容される隙間90を形成して該セル10及び各光学系部材50、50’を共通に支持するベース部材71とを具備するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体等の製造工程において、薬液等の測定対象流体に検査光を透過させて、測定対象流体の汚染度や濃度等の特性を測定する光学測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、エンジンオイルなどの流体の汚れを測定する場合、流体に検査光を照射して、その透過率によって汚染度を測定する方法が知られている。
【0003】
その具体例としては、特許文献1に示すように、検査光の射出口が設けられた射出光学系部材と、検査光の導入口が設けられた受光光学系部材とを、セルの対向する各面に取り付け、前記射出口から射出された検査光が、セルの窓を介して内部の流体を透過し、前記導入口で受光されるように構成したものがある。
【0004】
ところで、例えば、半導体ウェハを洗浄する洗浄薬液の汚染度を測定する場合などにおいては、セルにPTFE(テフロン(登録商標))樹脂などのような耐腐食性を有する素材を用いる必要がある。
【0005】
しかしながら、PTFEは温度変化に対する形状変化率が大きいため、上述したように、セルに射出光学系部材及び受光光学系部材を取り付けるような態様であると、例えば枚葉式半導体製造装置などのように、様々な温度の薬液が用いられる場合に、薬液毎の温度のちがいによってセルが変形し、射出光学系部材と受光光学系部材との光軸がずれるなどして、測定精度を担保できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−93598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる不具合を解決すべくなされたものであって、例えば半導体プロセスで用いられる薬液の汚染度を測定する場合など、セルに温度に対する形状変化率の大きい素材を用いざるを得ない場合でも、射出光学系部材と受光光学系部材との相対的な位置ずれを防止でき、測定精度を担保できる光学測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る光学測定装置は、測定対象流体を透過した検査光に基づいて当該測定対象流体の特性を測定するものであって、前記測定対象流体が収容される又は流通する内部空間を有し、該内部空間に検査光を透過させるための対向する一対の貫通孔を設けるとともに各貫通孔を透明部材によって気密又は液密に封止したセルと、前記検査光が射出される光射出口を有する射出光学系部材と、前記内部空間を透過した検査光を受光する光導入口を有する受光光学系部材と、前記セルと前記各光学系部材との間に、検査光の光軸方向と直交する方向に沿った所定範囲の相対移動が許容される隙間を形成して該セル及び各光学系部材を共通に支持するベース部材とを具備していることを特徴とするものである。
【0009】
このようなものであれば、ベース部材にセル及び各光学系部材を支持させるとともに、セルと各光学系部材との間に検査光の光軸方向と直交する方向に対する所定範囲の相対移動が許容される隙間を設けているので、セルが温度変化によって変形しても、各光学系部材に実質的な位置ずれが生じることはなく、光軸ずれを可及的に低減させて、測定精度を担保することができる。
【0010】
各光学系部材及びベース部材の熱変形を低減するためには、前記各光学系部材及びベース部材が、前記セルの主体構成部材よりも温度に対する形状変化率の小さい部材を主体として構成されたものが望ましい。
【0011】
ベース部材に対するセルの変形影響を可及的に小さくするためには、前記ベース部材が、前記セルの1面のみと接続されているものが望ましい。
【0012】
前記セルと前記ベース部材との間に、スペーサを介在させて、空隙を形成するようにしたものであれば、セルを流れる測定対象流体の熱をベース部材に伝えにくくでき、ベース部材の熱変形を低減でき、結果として、射出光学系部材と受光光学系部材との相対的な位置ずれをより効果的に防止することができる。
【0013】
迷光を防止するとともに、各光学系部材間の距離をできるだけ小さくしてコンパクト化を図るためには、前記透明部材が、前記貫通孔の内部に配置されており、前記各光学系部材が、先端に前記光射出口又は前記光導入口を形成した突出部を具備したものであり、前記突出部を、前記貫通孔における前記透明部材よりも表面側に嵌め込むとともに、該貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間に前記隙間が形成されるようにしたものが望ましい。
【0014】
前記貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間に、弾性リングを介在させているものであれば、配管の壁を透過して漏れ出た物質などの周辺雰囲気に存在する物質による透明部材の汚れを防止することができる。
【0015】
前記セルが、前記内部空間を有したセル本体と、前記セル本体よりも温度に対する形状変化率が小さい部材を主体として構成され、セルの光軸に直交する各面に取り付けられた一対の押さえ部材と、前記セル本体よりも温度に対する形状変化率が小さい部材を主体として構成され、前記各押さえ部材をそれらの離間距離が実質的に変動しないように連結する連結部材とを具備したものであってもよい。このようなものであれば、セル本体の変形によって透明部材間の距離が変わり、測定精度に影響がでることを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
従って、本発明によれば、例えば半導体プロセスで用いられる薬液の汚染度を測定する場合など、セルに温度に対する形状変化率の大きい素材を用いざるを得ない場合でも、射出光学系部材と受光光学系部材との相対的な位置ずれを防止でき、測定精度を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態における光学測定装置の斜視図。
【図2】同実施形態における光学測定装置の縦断面図。
【図3】同実施形態における光学測定装置の分解斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態における光学測定装置の側面図。
【図5】同実施形態における光学測定装置のA−A線断面図。
【図6】同実施形態における光学測定装置のB−B線断面図
【図7】本発明の第3実施形態における光学測定装置の横断面図。
【図8】本発明の第4実施形態における光学測定装置の斜視図。
【図9】同実施形態における光学測定装置の側面図。
【図10】同実施形態における光学測定装置のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態に係る光学測定装置100について、図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る光学測定装置100は、半導体ウェハを洗浄する洗浄薬液である測定対象流体に検査光を照射して、測定対象流体を透過した検査光に基づいて、測定対象流体の汚染度を測定するものである。具体的にこの光学測定装置100は、図1に示すように、測定対象流体が流通するフロータイプのセル10と、セル10を流れる測定対象流体に検査光を射出する射出光学系部材50と、セル10を流れる測定対象流体を透過した検査光を受光する受光光学系部材50’と、セル10及び各光学系部材50、50’を支持する支持枠体70とを具備している。
【0020】
各部を詳述する。セル10は、図2及び図3に示すように、セル本体13を主体構成部材とした中空の概略ブロック体状をなすものである。このセル本体13は、中空の概略直方体状をなすものであり、その対向する壁面には、その内部空間11に連通する流入ポート21及び流出ポートが開口させてある。この流入ポート21及び流出ポートには、図1に示すように、測定対象流体を流出入させる配管Tが接続されており、測定対象流体は、流入ポート21からセル本体13の内部空間11に導入されて、流出ポートから導出される。一方、このセル本体13の別の対向壁面(以下、透過孔形成面13aともいう)には、検査光を透過させる検査光透過孔20がそれぞれ開口している。検査光は、一方の検査光透過孔20からセル本体13の内部空間11に導入されて、他方の検査光透過孔20から導出される。
【0021】
このセル10には、さらに前記検査光透過孔20をふさぐための、概略円板状の透明板14(請求項での透明部材に相当する)が設けてある。より具体的には、検査光透過孔20の内部には段部20aが設けられており、その段部20aに透明板14がOリング17を介して押圧密着させられる。さらに、透明板14を押圧するために、押さえ部材16及びスペーサリング15が設けてある。押さえ部材16は、検査光透過孔20よりも大きい概略矩形板状をなすものであり、光軸方向Lに貫通する第1の孔16aを有する。押さえ部材16は、セル本体13の透過孔形成面13aに取り付けられて、検査光透過孔20に収容されたスペーサリング15を介して、透明板14を押圧するとともに、セル本体13の透過孔形成面13aを押圧する。また、各押さえ部材16は、連結部材80であるボルトによって、それらの距離が実質的に変動しないように連結されている。
【0022】
このようにして構成されたセル10には、対向する一対の貫通孔12が形成される。より詳しくは、貫通孔12は、セル10の内部空間11と連通して、セル10における検査光の光軸方向Lと直交する一対の対向面(以下、貫通孔形成面10aともいう)にそれぞれ開口している。この貫通孔12は、押さえ部材16の第1の孔16aと、スペーサリング15の内径の孔である第2の孔15aとからなるものであり、内部空間11側に向かうにつれ段階的に狭くなるすり鉢形状をなす。
【0023】
セル10を構成する各部材の材質面についていうと、セル本体13及びスペーサリング15は耐腐蝕性を有するPTFE(テフロン(登録商標))樹脂を用いて形成されている。これに対し、押さえ部材16、ボルト80にはセル本体13よりも温度に対する形状変化率が小さい部材が用いられており、ここでは、押さえ部材16にはポリフェニレンスルファイド樹脂(以下、PPS樹脂ともいう)が用いられ、ボルト80にはステンレスが用いられている。また、透明板14はサファイヤからなる。
【0024】
射出光学系部材50は、セル10の貫通孔形成面10aの一方の面に対向して配置され、セル10の内部空間11に検査光を射出するものである。射出光学系部材50は、図2及び図3に示すように、概略矩形板状をなす本体ブロック52と、本体ブロック52のセル10と対向する面(以下、突出部形成面50aともいう)に設けられた、先端に光射出口51を形成した概略円筒形状をなす突出部53と、突出部形成面50aの裏面に設けられた、光伝達手段である光ファイバ55を取り付けるための取付ポート54とを具備している。その取付ポート54からは、本体ブロック52を光軸方向Lに貫通して、光射出口51まで達する光ファイバ保持孔57が延びている。光ファイバ保持孔57には、図示しない光源と接続された光ファイバ55が挿通されている。光ファイバ55から射出された光を平行化するために、突出部53の内部には、凸面側をセル10の内部空間11に向けた平凸レンズ56が取り付けられている。なお、本体ブロック52、突出部53、及び取付ポート54は、セル本体13よりも温度に対する形状変化率の小さい部材であるPPS樹脂を用いて形成される。
【0025】
受光光学系部材50’は、セル10の貫通孔形成面10aの他方の面に対向して配置され、セル10の内部空間11を透過した検査光を光導入口51’を介して受光するものである。受光光学系部材50’は、図2に示すように、射出光学系部材50と対称な形状であるので、詳細な説明を省略する。なお、受光光学系部材50’の各符号は、対応する射出光学系部材50の符号にダッシュをつけたものである。
【0026】
支持枠体70は、ベース部材71及び天板部材72を具備している。ベース部材71は、概略矩形板状をなし、セル10及び各光学系部材50、50’を共通に支持するものであり、より詳しくは、セル10及び各光学系部材50、50’における、検査光の光軸方向L及び測定対象流体の流れ方向Fと平行な一対の対向面(以下、枠体取付面10b、50b、50b’ともいう)の一方の面のみと、例えばボルトによって接続されるものである。また、天板部材72は、概略矩形板状をなし、各光学系部材50、50’における枠体取付面50b、50b’の他方の面と、例えばボルトによって接続されるものである。ベース部材71及び天板部材72は、セル本体13よりも温度に対する形状変化率の小さい部材であるPPS樹脂を用いて形成される。
【0027】
しかして、この実施形態では、支持枠体70によって、セル10及び各光学系部材50、50’が支持された状態において、セル10と各光学系部材50、50’との間に、検査光の光軸方向Lと直交する方向に沿った相対移動が許容される隙間90が形成されるようにしている。各光学系部材50、50’の突出部53、53’は、セル10の貫通孔12における透明板14よりも表面側にはめこまれることとなる。隙間90の形成位置について、より詳細に言えば、隙間90は、セル10の貫通孔12の内周面と、各光学系部材50、50’の突出部53、53’の外周面との間に形成される。隙間90の大きさについて言えば、例えば光学測定装置100の仕様温度範囲内の測定対象流体を測定する場合において、温度の影響によりセル10が変形して、セル10及び各光学系部材50、50’が相対移動しても、セル10及び各光学系部材50、50’が直接接しない程度の大きさに設定されている。
【0028】
さらに、本実施形態においては、セル10と各光学系部材50、50’との間に、検査光の光軸方向Lに沿った相対移動が許容される隙間90が形成されるようにしており、セル10と各光学系部材50、50’が直接接しないようにしてある。その隙間90は、セル10の各貫通孔形成面10aと、各光学系部材50、50’の各突出部形成面50a、50a’との間に形成されている。なお、セル10と天板部材72とは離間しており、言い換えれば、セル10の枠体取付面10b間の距離は、各光学系部材50、50’の枠体取付面50b、50b’間の距離よりも小さく設定されている。
【0029】
また、突出部53、53’は、その先端に向かうにつれ段階的に細くなる先細り形状である。突出部53、53’の外周面には、弾性リング81が取り付けられる円環溝が形成されている。弾性リング81は、図2に示すように、セル10の貫通孔12の内周面と突出部53、53’の外周面との間に介在しており、セル10と突出部53、53’とを気密及び液密に封止する。
【0030】
本実施形態によれば、ベース部材71にセル10及び各光学系部材50、50’を支持させるとともに、セル10と各光学系部材50、50’との間に検査光の光軸方向Lと直交する方向に対する所定範囲の相対移動が許容される隙間90を設けているので、セル10が温度変化によって変形しても、各光学系部材50、50’に実質的な位置ずれが生じることはなく、光軸ずれを可及的に低減させて、測定精度を担保することができる。
【0031】
また、セル10と各光学系部材50、50’との間に、検査光の光軸方向Lの隙間90が形成されているので、セル10の温度変形の影響をさらに受けにくくでき、各光学系部材50、50’の光軸ずれをさらに低減することができる。さらに、セル10の貫通孔12と、各光学系部材50、50’の突出部53、53’とが、セル10の内部空間11に近づくにつれて段階的に細くなる先細り形状に形成されているので、迷光の侵入をより効果的に防止することができる。そして、押さえ部材16やスペーサリング15を取り替えることによって、測定対象流体の温度等に応じて、貫通孔12の形状を変えることができる。加えて言えば、セル本体13と、スペーサリング15とは、温度に対する形状変化率が同じ部材で構成されているので、セル本体13が熱の影響を受け、スペーサリング15が収容される検査光透過孔20が変形した場合であっても、スペーサリング15も同様に熱変形するので、スペーサリング15が、押さえ部材16からの押圧力を透明板14に伝える状態を保つことができ、貫通孔12を気密及び液密に封止した状態を保つことができる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態に係る光学測定装置100を、図4〜6に基づいて説明する。支持枠体70は、概略矩形板状をなす一対のベース部材71を具備している。各ベース部材71は、セル10及び各光学系部材50、50’における枠体取付面10b、50b、50b’に対向して配置される。図4に示すように、ベース部材71と各光学系部材50、50’とは、ベース部材71同士の距離が変わらず、かつ各光学系部材50、50’に対して動かないように、例えばボルト(図示しない)によって固定される。これに対し、図6に示すように、ベース部材71とセル10とは、それらの間に、スペーサ82を介在させて、空隙83を形成した状態で取り付けられる。より具体的に言えば、スペーサ82は、ベース部材71の一面から突出する凸部であり、ここでは、ベース部材71のめねじ孔71aに螺合するとともに、そのベース部材71を貫通するボルトの先端部である。そのボルトの先端部がセル10の枠体取付面10bを押圧することによって、各ベース部材71がセル10を挟んで支持する。他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施形態によれば、セル10とベース部材71との間に、スペーサ82を介在させて、空隙83を形成するようにしているので、セル10を流れる測定対象流体の熱を、ベース部材71に伝えにくくでき、ベース部材71の熱変形を低減でき、結果として、ベース部材71が支持する射出光学系部材50と受光光学系部材50’との相対的な位置ずれをより効果的に防止することができる。
【0034】
さらに、本発明の第3実施形態に係る光学測定装置100を、図7に基づいて説明する。この第3実施形態では、第2実施形態と同様にセル10とベース部材71との間に空隙83が形成されるが、それらは、第2実施形態とは別の様態で接続される。具体的には、セル10とベース部材71とは、接続部材84(ここではボルト)によって接続され、その接続部材84は、ベース部材71のめねじ孔ではない挿通孔71bを貫通し、セル10のめねじ孔10cに取り付けられる軸部84aと、ベース部材71をセル10の枠体取付面10bに向かって押圧する頭部84bとを有する。軸部84aはまた、セル10とベース部材71との間に介在する、概略リング形状をなすスペーサ82を貫通する。この状態において、セル10とベース部材71との間には空隙83が形成される。他の構成は、上述した第2実施形態と同様なので、同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
本実施形態によれば、接続部材84によってベース部材71とセル10とが接続されるので、一対のベース部材71を用いることもできるし、1つのベース部材71によって、セル10と各光学系部材50、50’を共通に支持することもできる。
【0036】
本発明の第4実施形態に係る光学測定装置100を、図8〜10に基づいて説明する。第4実施形態は、他の実施形態とセル10とベース部材71との取り付け方の点で異なる。図8に示すように、セル10は一対のベース部材71の間に挟まれており、一対のベース部材71同士は、接続部材85(ここではボルト)によって接続されている。図10に示すように、接続部材85の軸部85aは、一方のベース部材71のめねじ孔ではない挿通孔71cと、セル10のめねじ孔ではない挿通孔10dとを貫通し、他方のベース部材71のめねじ孔71dに螺合する。接続部材85の頭部85bは、一方のベース部材71を他方のベース部材71に向かって押圧する。これにより、一対のベース部材71がセル10を挟み込んで押圧する。
【0037】
さらに、接続部材の軸部85aは、セル10と各ベース部材71との間に介在する、概略リング形状をなすスペーサ82を貫通する。これにより、セル10とベース部材71との間に空隙83が形成される。他の構成は、上述した第2実施形態と同様なので、同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
なお、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。例えば、本実施形態においては、測定対象流体が内部空間を流通するもの(フロータイプのセル)としたが、バッチ処理での測定に用いるために、測定対象流体が内部空間に収容されるもの(バッチタイプのセル)としてもよい。
【0039】
また、各光学系部材は、光源及び光射出口の間や、受光素子及び光導入口の間に光伝達手段である光ファイバを介在させるものとしたが、光伝達手段を介さず、各光学系部材に光源又は受光素子を取り付けるようにしてもよい。
【0040】
各光学系部材は、セル本体よりも温度に対する形状変化率の小さい部材を主体として構成すればよく、各本体ブロックがそのような部材によって構成されていればよい。
【0041】
スペーサは、例えばベース部材から突出する凸部や、ベース部材及びセルと別体で設けられた部材であるとしたが、セルから突出する凸部であってもよいし、それらを適宜組み合わせてもよい。また、接続部材はボルトであるとしたが、軸部と頭部を有する概略ボルト形状をなすものであればよい。
【0042】
セルの貫通孔と、各光学系部材の突出部とは、セルの内部空間に近づくにつれて連続的に狭まるとともに、1又は複数の段が形成された階段形状をなすものとしたが、セルの内部空間に近づくにつれて広がるものであってもよい。また、貫通孔及び突出部のいずれか一方が段形状をなし、他方はテーパ状をなすものとしてもよい。さらに、段形状ではなく、貫通孔及び突出部の間に介在し、又はいずれか少なくとも一方から突出する遮光部を設けてもよい。要は、貫通孔及び突出部の間に形成される隙間が、セルの外部空間及び内部空間を直線状に貫通しないように、折れ曲がって形成されたり、貫通孔及び突出部の間に形成される隙間を通る光の光路を遮るように、遮光部を設けたりしたものであればよい。その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0043】
100・・・光学測定装置
10・・・セル
11・・・内部空間
12・・・貫通孔
13・・・セル本体
14・・・透明板
50・・・射出光学系部材
51・・・光射出口
50’・・・受光光学系部材
51’・・・光導入口
71・・・ベース部材
80・・・連結部材
81・・・弾性リング
90・・・隙間
L・・・光軸
F・・・測定対象流体の流れ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象流体を透過した検査光に基づいて当該測定対象流体の特性を測定するものであって、
前記測定対象流体が収容される又は流通する内部空間を有し、該内部空間に検査光を透過させるための対向する一対の貫通孔を設けるとともに各貫通孔を透明部材によって気密又は液密に封止したセルと、
前記検査光が射出される光射出口を有する射出光学系部材と、
前記内部空間を透過した検査光を受光する光導入口を有する受光光学系部材と、
前記セルと前記各光学系部材との間に、検査光の光軸方向と直交する方向に沿った所定範囲の相対移動が許容される隙間を形成して該セル及び各光学系部材を共通に支持するベース部材とを具備していることを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
前記各光学系部材及びベース部材が、前記セルの主体構成部材よりも温度に対する形状変化率の小さい部材を主体として構成された請求項1記載の光学測定装置。
【請求項3】
前記ベース部材が、前記セルの1面のみと接続されている請求項1又は2記載の光学測定装置。
【請求項4】
前記セルと前記ベース部材との間に、スペーサを介在させて、空隙を形成するようにした請求項1又は2記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記透明部材が、前記貫通孔の内部に配置されており、
前記各光学系部材が、先端に前記光射出口又は前記光導入口を形成した突出部を具備したものであり、
前記突出部を、前記貫通孔における前記透明部材よりも表面側に嵌め込むとともに、該貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間に前記隙間が形成されるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の光学測定装置。
【請求項6】
前記貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間に、弾性リングを介在させている請求項1乃至5のいずれかに記載の光学測定装置。
【請求項7】
前記セルが、前記内部空間を有したセル本体と、
前記セル本体よりも温度に対する形状変化率が小さい部材を主体として構成され、セルにおける光軸に直交する各面に取り付けられた一対の押さえ部材と、
前記セル本体よりも温度に対する形状変化率が小さい部材を主体として構成され、前記各押さえ部材をそれらの離間距離が実質的に変動しないように連結する連結部材とを具備したものである請求項1乃至6のいずれかに記載の光学測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−32381(P2012−32381A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110692(P2011−110692)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】