説明

光学的増白剤を含む基材の蛍光マークインジケータ

【課題】印刷デバイスに対し物理的な修正なしで、及び、特別な材料及び媒体なしで取得できる蛍光透かし等のマークのインジケータを提供する。
【解決手段】蛍光マークインジケータは、光学的増白剤を含んでいる基材(用紙)と、第1のパターンを充填する第1のドットデザイン31と、第1のパターンに緊密に近接して基材上に画像として印刷された相補的なパターンを充填する第2のドットデザイン30とを有し、第1のドットデザインは、高い用紙覆い範囲を与える、重ならない原色着色剤で構成されて、基材蛍光の高い抑制特性を有し、第2のドットデザインは、相対的に低い用紙覆い範囲を生成するように配置される原色着色剤で構成され、通常光の下では第1のドットデザインと実質的に同様な平均色外観を有し、基材蛍光の低い抑制特性を有し、紫外線光源に露光されて得られる印刷画像は、蛍光マークOとして識別可能なパターンを生み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の実施形態において、一般に、基材、特に種々のプリンタ及び静電写真印刷環境において一般に使用されるような大部分の紙の基材(用紙)に見出される蛍光の有益な操作に関する。より具体的には、本明細書によって与えられる教示は、蛍光透かし(Fluorescence Watermark)の少なくとも1つの実現に関する。
【背景技術】
【0002】
文書のセキュリティを与え、さらに、デジタル生成文書にも適用可能な方法であることが最も望ましい、文書の偽造、不正改造、及び/又はコピーの検出を与える方法を有することが望まれる。こうした解決法は、さらに、システムの経費要求に対して最小の影響、並びに、デジタル処理及び印刷環境において最小の格納要求を有することが望ましい。さらに、この解決法は、印刷デバイスに対して物理的な修正なしで、及び、費用のかかる特別な材料及び媒体なしで取得できることが大いに望ましい。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5286286号明細書
【特許文献2】米国特許第5734752号明細書
【特許文献3】米国特許第5256192号明細書
【特許文献4】米国特許第5371126号明細書
【特許文献5】米国特許第6773549号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透かし入れ(Watermarking)は、デジタル文書のセキュリティを保証する一般的な方法である。費用、脆弱性、堅牢性等の異なるトレードオフをもって、多数の透かし入れ手法が存在する。1つの手法は、紫外線(UV)インクレンダリング(可視化)を用いて、通常の照明の下では見えないが、UV照明の下で明らかになる透かしをエンコードすることである。多くの場合、カレンシーノート(通用紙幣)で用いられる従来の手法は、特別な紫外線(UV)蛍光インクにより透かしをレンダリングし、次いで、標準的なUVランプを用いて、提供された文書における透かしの有無を識別するものである。かかる手法の一例は、米国特許第5,286,286号に見出すことができ、その教示の全体は本明細書に引用により組み入れられる。しかし、これらのインクは採用するのに費用がかかり、したがって、典型的には、オフセット印刷のシナリオにおいてのみ経済的に実行可能であるため、真に有用であるのは長期間の印刷実行においてのみである。さらに、これらの材料は、多くの場合、費用、利用可能性、又は物理的/化学的特性のために、標準的な電子写真式印刷システム又は固形インクプリンタのような他の非衝撃式印刷システムに組み込むことが困難である。このことは、次いで、一例に過ぎないが、換金可能クーポンのような可変データ印刷構成においてこれらを用いることに水を差す。
【0005】
デジタル透かし入れ(Digital Watermarking)によりコピー制御が与えられる文書を与えるための別の手法は、一例として、見たときには実質的に見えないデジタル再現可能文書における透かしを生成するための方法が示される米国特許第5,734,752号があり、この方法は、(1)文書上にグレイ画像を再現するのに適した第1の確率的スクリーンパターンを生成し、(2)前述の第1のパターンに関する少なくとも1つの確率的スクリーン記述を導出し、(3)第1の確率的スクリーンを含む文書を生成し、(4)確率的スクリーンの1つ又はそれ以上を含む第2の文書を組み合わせて生成し、これによって、第1及び第2の文書を重ね合わせた関係で配置することで、両方の文書を共に見ることを可能にし、各々の文書上の第1の確率的パターン間の相関は、第1のスクリーンが用いられる文書内のあらゆる場所に生じ、相関は、導出された確率的スクリーンが生じる領域では生じることがなく、その中に配置された画像は、導出された確率的スクリーンを用いることにより見えるようになる。
【0006】
上述の特許の開示は、引用により全体が本明細書に完全に組み入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の実施形態においては、光学的増白剤を含んでいる基材と、基材上に画像として印刷された第1のパターンを充填する第1のドットデザインとを含む蛍光マークインジケータが開示される。第1のドットデザインは、相対的に高い用紙覆い(カバー)範囲を与えるように配置される実質的に重ならない原色着色剤で構成され、得られた第1のドットデザインは、基材蛍光の高い抑制特性を有する。蛍光マークインジケータは、更に、印刷された第1のパターンに実質的に空間的に緊密に近接して基材上に画像として印刷された相補的なパターンを充填する第2のドットデザインを含む。第2のドットデザインは、相対的に低い用紙覆い範囲を生成するように配置される原色着色剤で構成され、通常光の下では第1のドットデザインと実質的に同様な平均色外観を有する。得られた第2のドットデザインは、基材蛍光の低い抑制特性を有し、紫外線光源に好適に露光された結果として得られる印刷された基材画像は、蛍光マークとして明らかな識別可能なパターンを生み出すようになる。
【0008】
更に、本明細書の実施形態においては、光学的増白剤を含んでいる基材と、基材上に画像として印刷された第1のパターンを充填する第1のドットデザインとを含む蛍光マークインジケータが開示される。第1のドットデザインは、相対的に高い用紙覆い(カバー)範囲を与えるように配置される、少なくともイエローの着色剤を含む実質的に重ならない着色剤で構成され、得られた第1のドットデザインは、基材の蛍光の高い抑制特性を有する。蛍光マークインジケータは、さらに、印刷された第1のパターンに実質的に空間的に緊密に近接して基材上に画像として印刷された相補的なパターンを充填する第2のドットデザインを含む。第2のドットデザインは、イエローの量が最小にされた着色剤で構成され、得られた第2のドットデザインは、基材蛍光の低い抑制特性を有し、紫外線光源に好適に露光された結果として得られる印刷された基材画像は、蛍光マークとして明らかな識別可能なパターンを生み出すようになる。
【0009】
さらに、本明細書の実施形態においては、光学的増白剤を含んでいる基材と、基材上に画像として印刷された第1のドットデザインパターンとを含む蛍光マークインジケータが開示される。第1のドットデザインパターンは、少なくともイエローの着色剤を含む実質的に重ならない着色剤で構成され、得られた第1のドットデザインパターンは、基材蛍光の高い抑制特性を有する。蛍光マークインジケータは、さらに、印刷された第1のドットデザインパターンに実質的に空間的に緊密に近接して基板上の画像として印刷された第2のドットデザインパターンを含む。第2のドットデザインパターンは、少なくともブラックの着色剤を含み且つイエローの量が最小にされた着色剤で構成され、得られた第2のドットデザインパターンは、基材蛍光の低い抑制特性を有し、紫外線光源に好適に露光された結果として得られる印刷された基材画像は、蛍光マークとして明らかな識別可能なパターンを生み出すようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本開示の一般的な理解のために、図面を参照する。図面においては、全体を通して同じ符号が同じ要素を示すのに用いられる。以下の用語が説明に用いられる。
【0011】
「データ」という用語は、本明細書においては、情報を示す又は含む物理信号を指す。物理的な光のパターン又は前述の物理的な光を表わすデータの集合としての「画像」は、文字、言葉、及びテキスト並びに図形のような他の特徴を含むことができる。「デジタル画像」は、拡大解釈され、デジタルデータの集合により表わされる画像である。画像は、その各々が画像である「セグメント」に分割することができる。画像のセグメントは、画像全体まで又は画像全体を含むどのような大きさであってもよい。本明細書に用いられる「画像オブジェクト」又は「オブジェクト」という用語は、当該技術分野においては「セグメント」という用語と一般に等価なものとして考慮され、本明細書においては相互に交換可能に採用することができる。一方の用語又は他方の用語が、他方のものより狭い又は広いと考えられる場合には、本明細書に与えられる及び特許請求される教示は、別の方法により特許請求の範囲内で特に制限されていない限り、より広く定められた定義用語に向けられる。
【0012】
物理的な光を表わすデータで構成されるデジタル画像においては、データの各々の素子は、当該技術分野においては一般的に用いられ、画素を指す「ピクセル」と呼ばれる。各々のピクセルは位置及び値を有する。各々のピクセル値は画像の「バイナリ形態」においてはビット、画像の「グレイスケール形態」においてはグレイスケール値、又は、画像の「色座標形態」においては一組の色空間座標であり、色座標形態の各々は、画像を定義する二次元アレイである。画像の部分に関連するデータの項目上で動作するときには、動作は「画像処理」を実行する。「コントラスト」は、項目、データ点などの間の視覚的差分を示すのに用いられる。これは、色の差分として又は輝度の差分又はその両方として測定することができる。デジタルカラー印刷システムは、画像データを受け入れ、この画像データを基材上にレンダリングするのに適した装置構成である。
【0013】
以下において、明瞭にする目的のために、以下の用語の定義がここで与えられる。
「着色剤」:染料、顔料、又は色を材料に付与するのに用いられる他の薬剤。殆どの着色トナーのような着色剤は、吸収及び散乱という2つの主要な物理現象によって、入射照明から受け取る光のスペクトルパワー分布を変更することにより、色を付与する。色は、残りの光の透過が可能である状態の、入射光のスペクトル選択的な吸収及び散乱により生成される。例えば、シアン、マゼンタ及びイエローの着色剤はそれぞれ、長い波長、中間の波長、短い波長を、スペクトル領域において選択的に吸収する。殆どの着色トナーのような幾つかの着色剤は、透過モードで動作可能な染料により色を付与する。他の好適な着色剤は、反射モードにおいて動作することができる。本明細書における説明の目的のためであり限定するものではないが、着色剤は、基本的な減法混色のC、M、Y、K(シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック)の原色の1つであるものとされ、液体インク、固体インク、染料として製剤で又は静電写真トナーとして実現することができる。
「着色剤混合物」:C、M、Y、K着色剤の特定の組み合わせ。
「蛍光マーク」:通常光(可視光)の下では相対的に判読できないが、UV光の下では判読できる特性を有する、画像に埋め込まれた透かし(Watermark)。
【0014】
セキュリティマークに関し、特に偽造を阻止する技術として採用される紫外線光源と組み合わせて蛍光材料インクを使用することに関しては、印刷産業において定着した理解がある。各々の教示が引用によって本明細書に組み入れられる、例えば、米国特許第3,611,430号、米国特許第4,186,020号、及び、米国特許第5、256、192号を参照されたい。しかし、特にデジタル印刷環境においては、複雑さ及び費用がより低く、さらに一般的な消耗品のみを用いて同じ利益を与える技術に対する手法が長い間必要とされたままである。本明細書においては、以下で、紙で成る基材(用紙)に見出される蛍光特性を、その上に適用されるトナーによりどのように好適にマスクして紫外線光の下で見ることができる区別できる画像をレンダリング(可視化)し、それにも関わらず、別の場合である通常光の下では観察者の注意をそらすことができるかに関する教示が与えられる。
【0015】
図1は、観察者10の人間の目が、むき出し(bare:裸)の紙等の基材(用紙)20の反射特性と、同じ基材20の上に付着された好適に選択された着色剤又は着色剤混合物30のパッチ25の反射特性に、どのように反応するかを示す。破線の矢印40として示される記号「I」は、光源50から向けられた入射光を表わす。破線矢印60として示される記号「R」は、通常の反射を示し、実線矢印として示される記号「F」は、光源50からの入射光におけるUV成分により引き起こされた基材20からの放射蛍光(光線)を表わす。
【0016】
図1に見られるように、入射光40が基材20の開放区域に当たると、両方同じ量の通常光反射並びに放射蛍光を与える。しかし、入射光40が好適に選択され付着された着色剤混合物30のパッチ25に当たったときには、選択される着色剤又は着色剤混合物に応じて、通常の反射60と比較すると大幅に少ない放射蛍光70が与えられることになる。大幅に少ない放射蛍光を与える好適に選択された着色剤30の一例は、静電写真、インクジェット、及びワックスをベースとする印刷装置において採用されるイエローのトナーである。しかし、代替的技術においては、基材20の放射蛍光をそれほど強く抑制しない、例えば、シアン又はマゼンタの着色剤のような他の着色剤又は着色剤混合物を選択して、レンダリングすることができる。
【0017】
図2は、光波長と正規化されたラジアンス/反射率との関係のグラフを提供する。ここでのスペクトルデータは、典型的な基材を、純粋なUV光により照射された光のブースの中に配置し、Photoresearch PR705分光測光器により反射ラジアンスを測定することにより取得された。参考として、図はさらに、非蛍光硫酸バリウム拡散リフレクタからのスペクトルラジアンスも含む。蛍光スペクトルは、そのエネルギーのほとんどを短い(又は「青い」)波長に有することがはっきりとわかる。図2に見ることができるように、(ここでの実線の軌跡線により表わされるように)蛍光基材のラジアンスを調べることにより、典型的な白い基材20の正規化されたラジアンスのピークは、およそ436ナノメートルにおいてピークになる。OBA(光学的増白剤:具体的には蛍光増白剤)は、用紙をより白くするように白紙の製造に一般に採用され、紙の「白さ」又は「明るさ」に対応する量で見出される。例えば、米国特許第3,900,608号、米国特許第5,371,126号、及び米国特許第6,773,549号を参照されたい。実際、紙は、現在、多くの場合、その光沢を数値で示すことにより市販されている。事実上、すべてのゼログラフィ基材は、いくらかの量のOBAを含む。実際、他の着色紙基材は、異なる量で同様の特性を示すことが見出されることに気付くべきである。特にイエローの紙は、多数の白紙基材に匹敵することが経験的に見出されている。
【0018】
蛍光基材とは対照的に、(図2の点線により示される)固体イエロー着色剤は、およそ492ナノメートルより下の範囲においては、紙基材において蛍光発光する光ついて、非常に低いラジアンス/反射率を与える。実際上、蛍光発光基材上に付着されるイエローの着色剤は、そのように付着された基材の蛍光発光をマスクする。基準点として、拡散リフレクタに対する応答に気付かれたい(図2において破線で示される)。上述のように、他の着色剤に対する応答は、イエローの着色剤のものとは異なる。UVマスキング、及び知覚される相対的な輝度特性に関するC、M、Y、並びにK着色剤の近似比較品質のリストが以下の表に与えられる。

【0019】
上述の説明される教示を好適に採用したときには、本明細書に教示されるように、一般的な消耗材のみを用いるUVベースの透かし入れ技術が呈される。この技術は、以下の観察に基づくものである。1)デジタル印刷に用いられる一般的な基材は、蛍光を引き起こす光学的増白剤(蛍光増白剤)を含む。2)標準的な着色剤は、UV誘起放出の効果的なブロッカーとして作用し、イエローの着色剤は一般的に最強の抑制剤になる。3)イエローの着色剤はUV誘起放出の強力な抑制剤になるのに加えて、さらに、通常の照明下では非常に低い輝度コントラストを示す。これは、イエローは、可視スペクトルのブルーのレジームにおいて吸収し、ブルーは、知覚される輝度に対しては大幅に寄与しないためである。
【0020】
本明細書に教示される技術は、以下の着色剤マスクパターンを見出すことによって実施する。すなわち、前記の着色剤マスクパターンは、同じ様なR(通常反射)を生成し、したがって、通常光の下では互いを区別することが困難であり、さらに、非常に異なるF(放射蛍光光線)を与え、したがって、UV光の下では互いに高いコントラストを表示する着色剤マスクパターンである。1つの例示的な実施形態においては、このことは、イエローの着色剤混合物のパターンを、緊密に近接した理想的な候補のかく乱パターンと組み合わせて、情報を典型的な基材上に印刷された文書に埋め込むものとなる。通常光の下で見たときには、イエローの透かしパターンをかく乱パターンから視覚的に分離することが困難である。UV光の下で見たときには、イエロー着色剤混合物のパターンは、蛍光基材に対して高コントラストを示すという事実のために、透かしが明らかになる。この技術は、一般的な基材及び着色剤に過ぎないため、短時間実行(short-run)/カスタマイズされたデジタル印刷環境のセキュリティマーキングを保証するための費用効果のある方法である。さらに、広範囲の種類にわたるUV光源があり、その多数は廉価で携帯可能なものであるため、現場(フィールド)における蛍光マークの検出を容易で利便性のあるものにする。
【0021】
提案される技術は、蛍光放出が特別なインクを適用することにより加えられるのではなく、基材からの蛍光放出は、イエロー又は何らかの他の着色剤、又は着色剤混合物を用いて減少又は抑制される点で、通常のオフセット手法とは区別できるものである。この意味において、本明細書において説明される技術は、既存の方法と論理的に逆のものであり、すなわち、蛍光材料を文書の部分に加える代わりに、基材の蛍光効果の選択的な抑制又はマスキングが採用される。
【0022】
イエロー着色剤により誘起されるコントラストを定量化するために、XEROX(登録商標)DocuColor12(商標)プリンタにおいて用いられる固体イエロー対普通の基材に対して幾つかの輝度測定が行われた。2つの基材が選択される。基材1は大量の蛍光増白剤を含み、基材2は非常に少量の蛍光増白剤を含む。輝度測定は、i)D50、ii)UV、iii)ブルーのフィルタをもつD50、という3つの発光体の下で行われた。後者は、ブルーチャネルを用いて、イエロー着色剤における情報を抽出する既知の実施を表わすことを意図するものであった。輝度比Ywhite/Yyellowは、イエロー着色剤により示されるコントラスト又はダイナミックレンジの単純な尺度として用いられた。データは、以下の表において要約される。

【0023】
前記表のデータから幾つかの観察をすることができる。1)蛍光基材上のイエローから出力されるコントラストは、昼光からUV照明に切り換わるときに一桁増加する。このことは、イエローが蛍光基材上で効果的な透かしとして働き、UV光は「透かしキー」として用いることができることを示唆する。2)UV照明のみの下では、基材の蛍光は、結果として得られるコントラストにおいて重要な役割を果たす。これは、前記表の2行目で証明される。したがって、基材は、提案される透かし入れプロセスに寄与するものであり、すなわち、ユーザが間違った種類の基材上に文書を不正に再現した場合には、透かしの可視性は影響を受けることになり、3)UV光の下で蛍光基材により実現されたコントラストは、標準的なブルーのフィルタにより実現されたものの約2倍になる。このことは、蛍光をベースとする手法は、可視スペクトルのみからのデータを用いる標準的な手法よりはるかに効果的であるとすることができる。
【0024】
図3は、上述の主要な教示の適用に対する説明を与える。図3においては、着色剤混合物−1が選択され、本例では英数字記号「O」として構成されるパッチ区域33に適用される。さらに、着色剤混合物2が選択され、パッチ区域33に実質的に空間的に緊密に近接してパッチ区域32に適用され、それによって、パッチ区域33の周りにバックグラウンド(背景)をもたらす。両方の着色剤混合物−1及び混合物−2は、それぞれ、好適に選択された着色剤又は着色剤混合物31及び30で構成される。
【0025】
各々の着色剤混合物31又は30は、単一のCMYK着色剤又はいずれかのCMYK着色剤混合物とすることができる。しかし、これら両方は、同じ単一の着色剤又は着色剤混合物で構成されるものではない。実際、例えば、一実施形態においては、着色剤31は、着色剤混合物30に対して選択されたものより高い蛍光抑制を与えるように選択される。しかし、好ましい構成においては、着色剤混合物30及び31は、通常光の下で、それらの平均色において互いに緊密にマッチ(整合)し、同時に、平均蛍光抑制において異なるように最適に選択される。したがって、通常の照明の下では、区域32は人間の観察者には、一定の又は準一定の色に見え、UV照明区域32の下では、着色剤混合物30及び31により表わされる2つの区別できる区域に分離されて、明瞭な視覚的コントラストを示すように見える。当業者であれば、着色剤30及び31を交換することは、単に、例えば、暗い背景上の明るいテキストは、明るい背景上の暗いテキストに変化するようなコントラストの反転をもたらし、この反転は、図面に明確に示されていなくても、さらに別の実施形態として考慮されることが理解されることに気付くべきである。
【0026】
例えば、およそ50%のグレイスケールのグレイ着色剤混合物を、ブラックの着色剤のハーフトーンのみで実現できる。このことは、次いで、十分なシアン及びマゼンタと混合された高い量のイエローとマッチした同様なおよそ50%のグレイスケールのグレイ着色剤混合物を生み出すことができる。しかし、所与のイエロー着色剤の高含量により、このマッチした混合物は、はるかに高いUVの吸収又は固有の基材蛍光の抑制を与える。したがって、これにより、現れるときは通常の視認照明の下でかなり同一に近く、それにもかかわらず、UV照明の下ではかなり異なって現れる、2つの着色剤混合物を実現することができる。
【0027】
更に、当業者であれば、これは、通常の視認照明の下で、2つの異なる着色剤混合物から同じ色応答を再現するための条件等色(メタメリズム:物理的には違う色が同じ色に見えること)の意図的な活用として取り上げることができることが理解される。混合物は、それらの平均蛍光抑制において十分に異なるように最適化されるが、別の場合には、通常の室内照明の下では、緊密な条件等色である。
【0028】
上述の手法は効果的なものであるが、それにもかかわらず、時には、意識的に認識している、そして、注意している、又はこうした蛍光マークを予測している観察者は、UV光源なしで、見分けることができる。このことは、例えば、元の意図されていたデザインのイルミナント(発光物)からの偏り、基材特性の変化、プリンタの不正確さ/ドリフトによる不正なマッチ(不整合)、及び/又は、固有の校正限度による、不正なマッチにより生じることがある。本明細書において以下で説明されるのは、例示的なドットデザインのモザイクアレイを採用することにより、蛍光マークをますます困難なものにし、さらに、肉眼では、必要なUV光源なしでは識別できないようにするさらに別の技術である。
【0029】
以下にさらに詳細に説明するように、コントーン値ではなく、原色(C、M、Y、K)ドットパターンを直接最適化するUV暗号化機構が提供される。これは、通常の照明の下で色をマッチさせ、UV光の下では可視コントラストを示す能力において、以前の方法及び上述の方法に比べて著しい単純さ及び改善を生み出す。各々のパターンは、固体の重ならない原色C、M、Y、K及びむき出しの紙のモザイクを含む。通常光の下でこれらのパターンの色を予測する第1の実験モデルが導出される。UV光の下での輝度を予測する第2の実験モデルが導出される。1つの例示的な手法において、UV輝度は、むき出しの用紙の部分的な区域の覆い(カバー)範囲のみを考慮することにより予測される。かかるモデルは、パターンの対を定めて色の差分を最小にし、UVコントラストを最大にする最適化ルーチンに与えられる。
【0030】
図4から図9は、さらに別の例示的な実施形態の説明を与える。ここでの構成は、蛍光マークのあらゆる普段通りの観察を、通常の観察者により識別するのをより困難にすることが意図される。このことは、コントーン値に基づく手法ではなく、使用されるモザイクに配置される2つの異なる直接最適化された原色(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)ドットパターンを導入することによりもたらされる結果として実現される。このことは、実施の単純さにおける著しい改善、並びに、通常の照明の下でマッチした色を一貫して与え、UV光の下では可視コントラストを示す能力における上述の方法に対して改善を生み出す。
【0031】
図4は、概略的に、1つのこうしたソリッド(べた部分)で重ならない(C、M、Y、K)ドットとむき出しの紙(P)のモザイクを示す。ドット410のアレイ400が配置される。アレイパターンは、例示的な目的のために、3×3の9つのセル構成としてのみ示されるが、当業者であれば、この反復アレイは、例えば、区域30のパッチ区域部分がパッチ区域32又はパッチ区域33になるように、必要に応じて、所与のパッチ区域を充填するように拡大しても収縮してもよいことが自明である。ドット410には、相対的に大きい区域比率のシアン420、マゼンタ430、及びイエロー440が与えられ、ブラック部分はなく、結果として、これに対応して、むき出しの紙区域は少なくなっている。むき出しの紙区域は、ここでは、組み合わされたシアン420、マゼンタ430及びイエロー440の区域を差し引いた、線引きしたボックス450内の区域として定義される。
【0032】
同じグレイスケール値を有するが、明らかに異なる着色剤の混合を有する図5のドット510は、これと対照的である。ここで、510においてイエロー(Y)がないことに気付かれたい。さらに、ブラック(K)が導入されたこと及び相対的に大きい量であることに気付かれたい。ドット510のシアン(C)420区域及びマゼンタ(M)430区域は、ここでは覆い範囲区域の相対比率において大いに減少されている。空のむき出し紙区域(P)も、ここでは、結果として、はるかに大きくなっている。
【0033】
したがって、図4のドット410は、紙基材のUV蛍光を最小にする又は抑制し、図5のドット510は、最小用紙覆い範囲により及びイエロー440がないことにより、所与の基材に対して最高レベルのUV蛍光を可能にする。それにもかかわらず。これらの2つのドットデザインは、通常の室内照明の下では、肉眼では同じように見え、同じグレイスケールであるように示される。所望のUV識別可能パターンにより駆動されるように、図3の着色剤混合物1及び2により行われたように、これらの2つの好適なデザインされたドット410及び510の間で入れ替える又は切り換えることにより、これらを実質的に緊密に、空間的に近接させてパッチ区域32及び33に配置して、蛍光マークは、UV光の下では実行可能であるが、通常の室内照明では実行可能ではないようにレンダリングできるようになる。ドット410及び510のデザインに対する例示的な手法が続く。
【0034】
ドットパターンのデザインを開始するために、最初に、C、M、Y、K、P(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、及び紙)が4つの着色剤及びむき出しの紙の部分的な区域の覆い範囲を示すことにし、これらは、以下の制約を満たすようにされる。
【0035】
C+M+Y+K+P=1・・・・(1a)
0≦C,M,Y,K,P≦1・・(1b)
【0036】
本明細書に教示されるドットデザインに対する付加的な制約は、C、M、Y、Kドット間に空間的な重なりがないことである。当業者であれば明らかであるように、上述の制約を満たすようにすることができる幾多の空間構成があることに気付かれたい。1つのこうしたデザインパターンの実施形態は、連続する充填(filling)ベクトルのハーフトーン化手法である。この方法により、ハーフトーン化セルの中心において開始し、周辺部に徐々に異動して、その部分的な区域カバー範囲に応じて、一度に1つの着色剤を充填する。
【0037】
このドットデザインパターンの実施形態は、図6の符号600においてK(650)だけを用いて、又は、610において着色剤C(640)、M(630)及びY(620)の組み合わせを用いて、2つの同一サイズのセル600及び610がレンダリングされる図6に示され、この単純化された図においては、上述のように、両方共、通常照明の下では同一の視覚的刺激を生み出し、UV照明の下では大幅に異なる応答を生み出す。
【0038】
したがって、図7に例として示されるように2つの異なるセルデザインを選択する又は切り換えることにより、ここで、UVマークをエンコードできる。ここでは、背景パターンは、背景セル710で構成され、所望の画像信号は、フォアグラウンドセル(手前側のセル)700で構成される。この図7の例における所望の画像信号は「+」記号である。標準的な照明条件の下では、「+」記号を線引きする5つのフォアグラウンドセル700は見ることができない。しかし、UV照明の下では、5つのフォアグラウンドセル700は、著しく異なって現れ、この場合には、背景セル710から形成される周囲のパッチより「明るく」現れる。
【0039】
各々のセルの内側の着色剤CMYKの正確な分布は、図8及び図9に与えられる表示により説明される。ドットセルの充填順序は、デジタル印刷の当業者には周知の標準的なハーフトーン手順に従うことに気付くべきである。1つのこうした充填順序は図8aに示され、これは、6×6の反復セルを囲み、素子/ピクセル16までの番号付けにより示される充填順序はクラスタ化されるため、一般に37レベルの0度のクラスタスクリーンと呼ばれる。例示のために、方程式(1a)による低いUV着色剤の組み合わせは、6つのシアンピクセル、4つのマゼンタピクセル、及び3つのイエローピクセルで構成されると仮定する。示される充填順序と組み合わせて、シアンをマゼンタの前に、イエローの前に充填するという任意の慣習を用いて、図8bに示すセルが得られる。理想化された場合においては、図8において実現される同じ色は、図8Cに示すように、代わりに3つのブラックピクセル、3つのシアンピクセル、及び1つのマゼンタピクセルで実現することができる。さらに、同様な色の結果は、その位置にシアン及びマゼンタを重ね合わせて、ブルーピクセル802を与えることにより、シアン800及びマゼンタ801のピクセル成分を交換することによって実現することができ、図8dに示すピクセル分布をもたらすことができる。
【0040】
正確な充填順序及びブルー又は他の二次的な色の使用、すなわち、原色着色剤の組み合わせは、実際の目標印刷デバイスにより経験的に支配される関数であることを認識することは重要である。100%の最大着色剤覆い範囲をもつ印刷デバイスにおいて、図8cの構造体が用いられ、200%の最大着色剤覆い範囲をもつ印刷デバイスにおいては、図8dの構造体が用いられる。セルの大きさ、区域のカバー範囲、及び充填順序に対する経験的な選択に関する特定の出力デバイスに対する物理的な要求は、ハーフトーン化の当業者にとって周知のデザイン決定事項であり、したがって、本明細書に教示され説明される付加的な着色剤要求に容易に適用される。
【0041】
図9aは、上述の充填機構の単純化されたものを示し、ここでは、着色剤は互いに個々に充填され、各々の着色剤は、セルのそれ自体の象限から始まっている。9より多い数は隣接するセルに突出するため省かれているが、それにもかかわらず、実際の実施においては、すべての着色剤は、この例におけるように、36のピクセル位置が充填されることができる。この構造体の利点は、異なる着色剤間のどの境界線も最小になることである。異なる素子間の境界線は、多くの場合、非線形成及び不安定性の原因になるため、このことは、いくつかの印刷システムにおいて有用とすることができる。しかし、さらに当業者には明らかであるように、外形全体の不規則性における増加の不利点がある。図9bは、上述の図4の例示的なドット410と同じだけ基材のUV蛍光を抑制するための象限充填ドットデザインの表示の一例を与える。対応して、図9cは、上述の図5の例示的なドット510と同じだけ基材のUV蛍光を可能にする象限充填ドットデザインのような表示の一例を与える。
【0042】
上述の重なりがないドット機構において、通常光の下で任意のCMYKPの組み合わせの平均色(例えば、CIELAB)を予測する経験的モデルを導出することができる。制約1a及び1bを満たす高密度の色パッチ目標が印刷され測定される。(制約1a及び1bを満たすが、同じ空間ドット機構により構築された)任意のCMYKPの組み合わせの色は、いずれかの既知のフィッティング又は回帰技術により目標訓練サンプルから予測することができる。距離と重み付けの回帰が1つの例示的な実施形態において用いられた。重なりのない制約は、使用可能なCMYKの組み合わせの達成可能な色空間を大いに制限し、したがって、特徴付け問題を単純化する。
【0043】
次に、UV光の下での任意のCMYKPの組み合わせに対する輝度を予測する第2のモデルが導出される。異なる程度の精巧さ及び精度をもつ幾つかのUVモデル化技術が以前に導出された。しかし、最近の実験は、高い紙区域の覆い範囲(例えば、P>0.5)をもつ、重ならない原色ドットデザインパターンにおいては、紙の覆い範囲自体は、UV輝度の非常に良好な一次近似であることを明らかにした。この近似は、C、M、Y、及びKの着色剤は全て、紙の蛍光の100%を吸収することを効果的に仮定する。別の解釈は、着色剤のいずれかの対の間の輝度における差分は、いずれかの着色剤とむき出しの紙との間の差分に比べると、無視できるほどのものであると仮定される。この仮定は、UV特徴付けプロセスを大いに単純化して、高価で面倒なUV光の下での印刷されたサンプルの測定をなくし、したがって、例示的な実施形態において用いられる。
【0044】
紙区域のカバー範囲がUV光の下での輝度について十分に正確な近似をもたらさない状況においては、予測の精度と要求される費用及び労働との間の中間のトレードオフ(妥協点)を与える他の近似を導出することができる。代替的な実施形態においては、UV光の下での輝度は、固体のC、M、Y、Kパッチ及びむき出しの紙についてのみ測定される。次いで、単純なプリンタのモデルを用いて、任意のCMYKの組み合わせに対するUV輝度を予測する。プリンタのモデルは、固体のC、M、Y、Kの輝度測定の重み付けられた平均として、輝度全体を予測する。重みは、C、M、Y、Kの部分的な区域カバー範囲量から導出され、これは次いで、既知の技術を用いて、入力C、M、Y、Kデジタル量から見積もることができる。(その教示が本明細書に引用により組み入れられる「Digital Color Imaging Handbook」Gaurav Sharma,Editor;第5章を参照されたい。)デジタル計数と結果として得られる区域のカバー範囲との間の関係は、多くの場合、機械的及び光学的ドットのゲインを含む種々の要因による非線形関数である。単一着色剤のランプの色測定から非線形関数を導出することが慣例である。目標は、UV光の下で行う測定数を最小にすることであるため、代替的な解決法は、これらは視認イルミナントに関して不変である物理的な量であるという仮定で、通常光について導出された特徴付けから区域のカバー範囲を見積もることである。
【0045】
前述の手法により、UV光の下では5つの放射測定だけが必要とされることに気付かれたい。さらに、固体色の測定は、通常、ある期間にわたり、及びハーフトーン間並びに他の画像形成及びマーキングパラメータ間で安定している。その結果、これらの測定は、一度だけ行えばよく、各々のプリンタに格納される。
【0046】
通常光及びUV光の下で色を予測するための上述のモデルを有すると、最後の作業は、色の差分を最小にし、UVの明度の差分を最大にするための述べられた目的を実現するドットパターンの対を求めることである。例えば、こうした一対のパターンをP1及びP2として示す。最初に、P1は、以下の制約(2)及び(3)のように、1a及び1bを満たす着色剤の組み合わせになるように定める。
【0047】
P>0.5・・・(2)
K>0.1、又は min(C,M,Y)(C,M,Yの最小値である)>0.1 (3)
【0048】
制約(2)は、紙区域のカバー範囲を信頼できるUV輝度のインジケータとして用いることができるように含まれる。制約(3)は、UVコントラストが、ほとんどが紙区域のカバー範囲における差分により取得され、次いで、純粋なKとC、M、Yの組み合わせのトレードオフによりもたらされるという直感に基づいて選ばれる。
【0049】
C1の選択が与えられると、ここで、色のマッチ及びUVコントラストの述べられた目標を満たすようにP2を導出する。このことは、2つの二重最適化問題の1つとして表現することができる。
i)通常の色差分(すなわち、CIE LAB ΔE)をしきい値より大きいUV明度差分により最小にする
ii)UV明度差分をしきい値より小さいCIE LAB ΔEにより最大にする
1つの例示的な手法においては、両方の方策が実行され、2つの解決法のうちの良い方が選択される(すなわち、ΔE差分が小さい方及び/又はUV明度差分が大きい方)。
【0050】
さらに別の実施形態においては、純粋な原色着色剤CMYKが、付加的なNeugebauerの原色レッド、グリーン、及びブルーにより増強されて、それにしたがって、上述の制約公式1aを修正する。基材UV蛍光の抑制が高い第1のもの及び基材UV蛍光の抑制が低い第2のものである上述の2つの着色剤の組み合わせは、ここで、上述のように基材UV蛍光の高い抑制を選択することにより見出すことができ、基材UV蛍光の低い抑制は、通常の照明の下での2つの着色剤の組み合わせの間の差分が、用途のために定義されたしきい値より下であるという維持された要求の下で、純粋な着色剤C、M、Yを、好ましくはNeugebauerの原色レッド、グリーン、及びブルーと最大に交換するように修正される。
【0051】
上述の実施形態は、ドットデザインパターンを生成するための1つの方法(すなわち、連続充填)だけを説明するが、多数の他の変形も想定することができる。この手法をハーフトーンスクリーンデザインに拡大して、蛍光マークを、少なくとも選択された色領域における画像に埋め込むようにすることができる。更に、原色が他のいわゆるNeugebauer原色を含むように拡大する(すなわち、レッド、グリーン、ブルー等を加える)ことにより、加えられる複雑さを犠牲にしても、最適化における付加的な自由度が与えられる。最後に、かく乱パターンを提案される機構に加えて、通常光の下で観察される色の差異を減少させることができる。
【0052】
上述の説明で提供されるのは、肉眼で、通常光の下では判読できないが、UV光の下では判読可能な特性を有する、画像に埋め込まれる透かしである。この蛍光マークは、光学的増白剤を含む基材と、基材上の画像として印刷された第1のドットデザインパターンとを含む。第1のドットデザインパターンは、特徴として基材蛍光の高い抑制特性を有する。第2のドットデザインパターンは、特徴として基材蛍光の低い抑制を示し、第1の着色剤混合物のドットデザインパターンに空間的に緊密に近接して印刷されて、結果としてもたらされる、紫外線光源に好適に露光されるレンダリングされた基材は、蛍光マークとして明らかな識別可能パターンを生み出す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】結果としてもたらされる、基材から観察可能な光及びその上の着色剤パッチを概略的に示す。
【図2】ソリッド(べた部分)のイエロー着色剤、蛍光基材、及び拡散リフレクタの波長の関数としての、正規化されたラジアンス及び反射率のグラフを示す。
【図3】例示的な英数字文字のレンダリングにおいて適用された着色剤又は着色剤混合物を使用する1つの手法を示す図である。
【図4】所与のグレイスケールレベルに対する基材蛍光の抑制を最大にするドットデザインの概略図である。
【図5】図4のものとマッチするグレイスケールレベルに対する基材蛍光の抑制を最小にするドットデザインの概略図である。
【図6】各々が同じグレイスケールレベルにおいて、CMYを使用する一方のものは基材蛍光の抑制を最小にし、Bを使用する他方のものは基材蛍光の抑制を最大にする、2つの概略的なドットデザインの概略図である。
【図7】図6のドットデザインを採用して「+」記号を提供する図である。
【図8】ドット充填順序パターン及び3つの例示的な着色剤充填の概略図である。
【図9】代替的な象限ドット充填順序パターン、及びその象限ドット充填順序に基づく2つの着色剤充填例の概略図である。
【符号の説明】
【0054】
10:観察者
20:むき出しの紙基材
25:パッチ
30:着色剤混合物
50:光源
I:入射光
R:通常反射
F:放射蛍光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的増白剤を含んでいる基材と、
前記基材上に、画像として印刷された第1のパターンを充填する第1のドットパターンであって、相対的に高い用紙覆い範囲を与えるように配置された実質的に重ならない原色着色剤で構成されてその結果、基材の蛍光に対して高い抑制特性を有する前記第1のドットデザインと、
印刷された前記第1のパターンに空間的に実質的に緊密に近接して前記基材上に画像として印刷された相補的なパターンを充填する第2のドットデザインとを包含し、
前記第2のドットデザインは、相対的に低い用紙覆い範囲を生成するように配置される原色着色剤で構成され、通常光の下では前記第1のドットデザインと実質的に同様な平均色外観を有し、得られた前記第2のドットデザインは、基材の蛍光に対して低い抑制特性を有し、紫外線光源に好適に露光された結果として得られる前記印刷された基材画像は、蛍光マークとして明らかな識別可能なパターンを生み出す、
ことを特徴とする蛍光マークインジケータ。
【請求項2】
前記第1のドットデザイン及び前記第2のドットデザインの着色剤混合物は、通常の照明の下では緊密な条件等色上でマッチしているが、紫外線光の下でのその応答は視覚的に区別できるままである、ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光マークインジケータ。
【請求項3】
光学的増白剤を含んでいる基材と、
前記基材上に画像として印刷された第1のパターンを充填する第1のドットデザインであって、相対的に高い用紙覆い範囲を与えるように配置される、少なくともイエローの着色剤を含む実質的に重ならない着色剤で構成されてその結果、基材の蛍光に対して高い抑制特性を有する、前記第1のドットデザインと、
前記印刷された第1のパターンに実質的に空間的に緊密に近接して前記基材上に画像として印刷された相補的なパターンを充填する第2のドットデザインであって、イエローの量が最小にされた着色剤で構成される前記第2のドットデザインとを含み、得られた前記第2のドットデザインは、基材の蛍光に対して低い抑制特性を有し、紫外線光源に好適に露光された結果として得られる印刷された基材画像は、蛍光マークとして明らかな識別可能なパターンを生み出す、
ことを特徴とする蛍光マークインジケータ。
【請求項4】
光学的増白剤を含んでいる基材と、
前記基材上に画像として印刷される第1のドットパターンであって、少なくともイエローの着色剤を含む実質的に重ならない着色剤で構成される前記第1のドットデザインパターンとを含み、得られた前記第1のドットデザインパターンは、基材の蛍光に対して高い抑制特性を有しており、
更に、前記印刷された第1のドットデザインパターンに空間的に実質的に緊密に近接して前記基材上に画像として印刷される第2のドットパターンを含み、前記第2のドットパターンは、少なくともブラックの着色剤を含み且つイエローの量が最小にされた着色剤で構成され、得られた前記第2のドットデザインパターンは、基材の蛍光に対して低い抑制特性を有し、紫外線光源に好適に露光された結果として得られる印刷された基材画像は、蛍光マークとして明らかな識別可能なパターンを生み出す、
ことを特徴とする蛍光マークインジケータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−296580(P2008−296580A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134532(P2008−134532)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】