光学的情報読取装置
【課題】液晶表示器を備えた光学的情報装置において、消費電力を効果的に抑えることができ、情報の読み取りも良好に行うことができる構成を提供する。
【解決手段】バーコードリーダ1は、液晶パネル10を備えた液晶表示器46と、バックライト光源25とを備えると共に、バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く第一状態と、出射光を読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる反射率可変手段50を有している。反射率可変手段50が第一状態に切り替えられたときには、バックライト光源25から発せられる出射光が液晶表示器46のバックライト光とされ、第二状態に切り替えられたときには、当該出射光が読取対象に対する照明光とされる。
【解決手段】バーコードリーダ1は、液晶パネル10を備えた液晶表示器46と、バックライト光源25とを備えると共に、バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く第一状態と、出射光を読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる反射率可変手段50を有している。反射率可変手段50が第一状態に切り替えられたときには、バックライト光源25から発せられる出射光が液晶表示器46のバックライト光とされ、第二状態に切り替えられたときには、当該出射光が読取対象に対する照明光とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示器を用いた光学的情報読取装置が提供されている。この種の光学的情報読取装置に用いられる液晶表示器は、液晶パネルの後方からバックライト光源を照射して表示する方式のものが一般的であり、その一例として、例えば特許文献1のような技術が提供されている。
【特許文献1】特開2004−30187公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、バーコードリーダ等の光学的情報読取装置では、バーコード等の識別コードを読み取る光学系と、液晶表示器とがそれぞれ別個独立して構成されており、識別コードに照明光を照射するための照明光源が、液晶表示器のバックライト光源とは別に設けられていた。このように2つの光源を設ける従来構成の場合、識別コードの読み取りと、液晶表示器による表示とを同時に実施できるという有用性はあるものの、消費電力やランニングコストの増大等の問題があり、また、光学的情報読取装置が電池によって駆動する携帯端末として構成される場合、電池の消耗を招きやすく、使用時間の短時間化、メンテナンスサイクルの短縮化といった問題もある。
【0004】
一方、特許文献1では、LCDを用いた表示部の発光光を利用して表示部の前面に配される像情報(バーコードなど)を読み取る技術が開示されている。この技術によれば、識別コードに照射する光と、LCDへのバックライト光とを単一の光源によって発生させることができるため、消費電力の削減を図ることができる。しかしながら、特許文献1の技術は、LCDを透過して漏洩した光を識別コードの照明光として用いるものであるため、識別コードの読み取りの際に、適切な照度を適切に確保しにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、液晶表示器を備えた光学的情報装置において、消費電力を効果的に抑えることができ、情報の読み取りも良好に行うことができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、読取対象からの反射光に基づいて前記読取対象の情報を読み取る光学的情報読取装置であって、液晶パネルを備えた液晶表示器と、光源と、前記光源から発せられる出射光を前記液晶パネル側に導く第一状態と、前記出射光を前記読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる切替手段と、前記切替手段の切り替えを制御する切替制御手段と、を備え、前記切替制御手段の制御により前記切替手段が前記第一状態に切り替えられたとき、前記光源から発せられる前記出射光が前記液晶表示器のバックライト光とされ、前記第二状態に切り替えられたとき、前記出射光が前記読取対象に対する照明光とされることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記切替手段は、前記光源からの前記出射光を透過させる透過状態と、前記透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置において、前記読取対象に対して光を出射する照明手段と、前記照明手段を制御する照明制御手段と、を備え、前記照明制御手段及び前記切替制御手段の制御により、前記光源からの前記出射光を、前記照明手段からの光に代えて、又は前記照明手段からの光と共に前記読取対象に照射することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、少なくとも前記照明手段に電力供給する電池と、前記電池の状態を検出する電池状態検出手段と、を備え、前記電池状態検出手段によって検出された前記電池の状態が所定の低レベル状態の場合、前記照明制御手段により、前記照明手段をオフする制御を行うと共に、前記切替制御手段により、前記出射光を前記照射対象側に案内するように前記切替手段を切り替える制御を行い、前記光源からの前記出射光によって前記照射対象を照射することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載の光学的情報読取装置において、周囲照度を検出する照度検出手段を備え、前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第一の照度以上である場合、光源制御手段により前記光源をオフにする制御、又は前記切替制御手段により前記切替手段を前記第一状態とする制御が行われ、前記照明手段からの光によって前記読取対象を照射することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、周囲照度を検出する照度検出手段を備え、前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第二の照度以上である場合、前記照明制御手段により前記照明手段をオフにする制御がなされると共に、前記切替制御手段により前記切替手段を前記第二状態とする制御が行われ、前記光源からの前記出射光によって前記読取対象を照射することを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、周囲照度を検出する照度検出手段を備え、前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第三の照度以上である場合、前記照明制御手段により前記照明手段をオフにする制御がなされると共に、光源制御手段により前記光源をオフにする制御、又は前記切替制御手段により前記切替手段を前記第一状態とする制御が行われることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記読取対象からの前記反射光を受光する受光センサを備えると共に、当該受光センサが前記照度検出手段として兼用されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記光源の発光色と、前記照明手段の発光色とが異なっており、
前記光源からの前記出射光が、前記照明手段からの光と共に前記読取対象に向けて照射されたとき、前記出射光と前記照明手段の光との重なる部分が、前記光源の発光色及び前記照明手段の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となることを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、請求項3から請求項9のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、当該光学的情報読取装置において、前記照明光が導出される読取口側を前方側、前記読取口とは反対の奥側を後方側とし、かつ、前記液晶表示器による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側とした場合、前記光源は、前記液晶表示器よりも後方側に設けられて前方側に前記出射光を出射する構成をなし、前記読取口は、前記液晶表示器に対して前方側かつ下方側に設けられており、前記切替手段は、前記第一状態において、前記出射光が少なくとも前方側に導かれるように設定され、前記第二状態において、前記出射光が前方側かつ下方側に導かれるように設定されることを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置において、前記光源を内部に収容するホルダを備え、前記ホルダは、前記光源からの前記出射光を、前記読取対象及び前記液晶パネルのいずれか一方側に導出するための第一導出口と、他方側に導出するための第二導出口と、が形成され、前記切替手段は、前記出射光を前記第一導出口から導出させる第一案内状態と、前記出射光を反射させて前記第二導出口側に導く第二案内状態とで切り替わる構成をなしており、更に、前記第二導出口から導出された前記出射光を前記他方側に案内する導光部材が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項12の発明は、請求項11に記載の光学的情報読取装置において、前記ホルダの内壁面が、前記出射光を反射する反射面とされていることを特徴とする。
【0018】
請求項13の発明は、請求項11又は請求項12のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、当該光学的情報読取装置において、前記照明光が導出される読取口側を前方側、前記読取口とは反対の奥側を後方側とし、かつ、前記液晶表示器による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側とした場合、前記光源は、前記液晶表示器の下方側に設けられ、前記読取口は、前記液晶表示器に対して少なくとも前方側に設けられており、前記切替手段は、前記第一状態において、前記出射光が上方側に導かれるように設定され、前記第二状態において、前記出射光が前方側に導かれるように設定されることを特徴とする。
【0019】
請求項14の発明は、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、当該光学的情報読取装置が、前記読取対象の読取動作を行う第一モードであるか、読取動作を行わない第二モードであるかを判断する判断手段を備え、前記判断手段によって前記第一モードと判断されたとき、前記光源から発せられる前記出射光が前記第二モードのときよりも明るく設定されるように、光源制御手段により前記光源が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明では、単一の光源から発せられる光をバックライト光としても、照明光としても利用できるため、消費電力を効果的に抑えることができる。また、切替手段によって、光源から発せられる出射光を液晶表示器のバックライト光とする第一状態と、読取対象に対する照明光とする第二状態とで切り替えることができるため、それぞれの状態において、照射対象物に対し適切な照度をもって光を照射できる。
【0021】
請求項2の発明では、切替手段が、光源からの出射光を透過させる透過状態と、透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段からなるため、装置構成の大型化、複雑化を伴うことなく光の切り替えを良好に行うことができる。
【0022】
請求項3の発明では、照明手段からの光のみによって読取対象に対する照明光を構成することもできるし、必要に応じて、光源からの光のみ、又は照明手段からの光と光源からの光の両方によって、照明光を構成することもできる。従って、照明光の設定の自由度が高まり、状況に応じて照明光の調整を好適に行うことができる。
【0023】
請求項4の発明では、電池の状態が所定の低レベル状態の場合に、照明手段をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように切替手段を切り替える制御を行い、光源からの出射光によって照射対象を照射する構成としている。電池が消耗した状態において消費電力を効果的に抑えることができ、使用時間の長時間化を図ることができる。
【0024】
請求項5のように、周囲照度が一定の照度(第一の照度)以上のときに、光源をオフ、又は切り替え手段を第一状態とする制御を行い、照明手段からの光によって読取対象を照射する構成とすれば、電力の効率的利用が可能となる。
【0025】
請求項6の発明では、照度検出手段によって検出された周囲照度が第二の照度以上である場合、照明制御手段により照明手段をオフにする制御がなされると共に、切替制御手段により切替手段を第二状態とする制御が行われ、光源からの出射光によって読取対象を照射する構成としている。このようにすれば、周囲照度がある程度の照度以上のときに、照明手段をオフして消費電力を抑えることができ、光源からの出射光による効率的な読み取りが可能となる。
【0026】
請求項7の発明では、照度検出手段によって検出された周囲照度が第三の照度以上である場合、照明制御手段により照明手段をオフにする制御がなされると共に、光源制御手段により光源をオフにする制御、又は切替制御手段により切替手段を第一状態とする制御が行われる構成としている。即ち、周囲の照度が確保されているときに、照明手段や光源からの光を用いずに読み取りを行うことができるため、消費電力の抑制効果が極めて高いものとなる。
【0027】
請求項8の発明では、受光センサが照度検出手段として兼用されているため、周囲照度を検出しうる構成を、部品点数の増大を伴うことなく実現できる。
【0028】
請求項9の発明では、光源からの出射光が、照明手段からの光と共に読取対象に向けて照射されたとき、出射光と照明手段の光との重なる部分が、光源の発光色及び照明手段の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となる。従って、出射光と照明手段の光との重なる部分に基づいて当該光学的情報読取装置を読取対象に対して適切な位置に設定しやすく、ひいては読取作業の容易化を効果的に図ることができる。
【0029】
請求項10の発明では、出射光を少なくとも前方側に導く状態と、出射光を前方側かつ下方側に導く状態とで切り替える構成を用いることにより、光源からの光を液晶表示器側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口側へ向かわせる第二状態とで切り替えうる構成を簡易かつ小型構成で実現できる。
【0030】
請求項11の発明では、光源をホルダによって安定的に保持できると共に、読み取りの際には光源からの出射光を読取対象側に良好に導くことができ、液晶表示の際には出射光を液晶表示器側に良好に導くことができる。従って、消費電力を効果的に抑えることができ、また、照明光及びバックライト光のいずれにおいても適切な光量を確保しやすいため、読取動作及び液晶表示をいずれも好適に実現できることとなる。
【0031】
請求項12の発明では、ホルダの内壁面が、出射光を反射する反射面とされているため、光源からの出射光が第一導出口或いは第二導出口にて導出されるまでの損失が効果的に抑えられる。
【0032】
請求項13の発明では、出射光を上方側に導く状態と、出射光を前方側に導く状態とに切り替える構成を用いることにより、光源からの光を液晶表示器側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口側へ向かわせる第二状態とで切り替えうる構成を簡易かつ小型構成にて実現できる。
【0033】
請求項14の発明では、読取動作の際には光源から発せられる出射光が明るく設定されるため読み取りを良好に行うことができる。また、読取動作を行わないときには、出射光の光量を抑えてバックライト光として用い、液晶表示を好適に行うと共に、消費電力の抑制を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の光学的情報読取装置の第1実施形態に係るバーコードリーダ1の要部を概念的に説明する説明図である。図2は、図1のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3は、反射率可変手段の構成を例示するものであり、図3(a)は、反射率可変手段が透過状態とされる例を示し、図3(b)は、反射状態とされる例を示している。図4は、図1のバーコードリーダ1における読取制御の流れを例示するフローチャートである。図5は、光源及び照明手段の設定処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、周囲照度と、光源及び照明手段の設定との関係を説明する説明図である。
【0035】
図1に示すバーコードリーダ1は、「光学的情報読取装置」の一例に相当するものであり、「読取対象」としてのバーコードB(図2参照)からの反射光に基づいて当該バーコードBの情報を読み取る構成をなすものである。まず、バーコードリーダ1の全体構成について説明する。
【0036】
バーコードリーダ1は、ケース3の内部に、図2に示す回路部20が収容されてなるものであり、この回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ43等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0037】
バーコードリーダ1の光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。図1、図2に示すように、投光光学系は、照明光源21や反射鏡24a,24bによって構成されており、このうちの照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明手段として機能している。本実施形態に係る照明光源21は、図1のように赤色のLED22とこのLED22の出射側に設けられるレンズ23とから構成されており、LED22は、図2に示す駆動回路29(例えば、駆動回路29は、制御回路40からの制御信号に応じて出力電流を調整する電流調整回路によって構成される)によって駆動される構成をなしている。このように構成される照明光源21は、例えば、図2のように、バーコードBが付された物体Rに向けて照明光Lfを照射する構成をなしている。なお、本実施形態では、後述するバックライト光源25も投光光学系を構成することとなるが、これについては後に詳述する。
【0038】
図2に示すように、受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、物体RやバーコードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるものである。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板26(図1)に実装されている。
【0039】
結像レンズ27は、外部から読取口19(図1)を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが、バーコードBにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0040】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ43、LED45、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。
【0041】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されて所定ゲインで増幅され、その後、A/D変換回路33に入力されることで、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード像画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0042】
制御回路40は、バーコードリーダ1全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるものである。この制御回路40は、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るものであり情報処理機能を有している。また、制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、トリガースイッチ43、LED45、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等と接続されている。これにより、例えば、トリガースイッチ43の監視や管理、LED45の点灯、非点灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、液晶表示器46の表示制御等を可能にしている。
【0043】
次に、本発明の特徴的構成について詳述する。
本実施形態に係るバーコードリーダ1では、照明光が導出される読取口19側を前方側、読取口19とは反対の奥側を後方側とし、かつ、液晶表示器46による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側としている。液晶表示器46を構成する液晶パネル10の後方側にバックライト光源25が配置されており、前方側に出射光を出射する構成をなしている。液晶パネル10は、公知の構成(例えば、液晶層が2枚のガラス板で挟まれてなり、かつその両側に2つの偏光板(垂直、水平)が配されてなる構成)のものであり、側方(本実施形態ではバーコードリーダ1の後方側)からバックライト光を照射するサイドライト方式とされている。
【0044】
図1に示すように、バーコードリーダ1には、上記バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く第一状態と、読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる反射率可変手段50が設けられている。図1に示すように、バックライト光源25からの出射直後の出射光が向かう延長上には液晶パネル10が配されており、反射率可変手段50は、液晶パネル10とバックライト光源25との間に設けられ、出射光の方向を二方向に切り替えうる構成となっている。
【0045】
反射率可変手段50は、電気的制御により、バックライト光源25からの出射光を透過する透過状態と、この透過状態よりも反射率の高い反射状態とで切り替わる構成となっており、具体的には、図3に示すように、吸収型偏光選択部材51と、透過偏光軸可変部53と、反射型変更選択部材52とを備えてなるものである。
【0046】
吸収型偏光選択部材51は、予め定めた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する方向の直線偏光成分を吸収する部材である。ここでは、入射した光のうち、第1の直線偏光成分は吸収して、第2の直線偏光成分は透過するように配置されている。
反射型偏光選択部材52は、予め定められた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する直線偏光成分を反射する部材である。ここでの反射型偏光選択部材52は、第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は反射する向きに配置している。
【0047】
透過偏光軸可変部53は、入射した直線偏光光が透過する際にその偏光軸を変化させる状態と、偏光軸を変化させない状態とを電気的な切替により選択できる構造を有する素子である。具体的には、液晶層56と、液晶層56に電圧を印加するための透明電極54、55とを含む液晶素子を用いている。透明電極54、55には、電圧のオンオフを切り替えうるスイッチ57が接続されている。このスイッチ57は、制御回路40からの制御信号に応じてオンオフが切り替えられるものであり、図3(a)のように、スイッチ57がオフ状態とされ、液晶層56に電圧が印加されない状態のときには、液晶層56は、入射した直線偏光の偏光軸を変化させる状態となる。一方、図3(b)のように、スイッチ57がオン状態となって透明電極54、55に電圧が印加されると、入射した直線偏光の偏光軸を変化させない状態となる。図3の例における液晶層56は、液晶分子56aの長軸が、電源オフのときに、透明電極54、55の間で連続的にねじれるように構成した、いわゆるツイストネマティック(TN)型液晶である。液晶層56の配向方向は、吸収型偏光選択部材51側から入射した第2の直線偏光を第1の直線偏光へ偏光させる方向に定めている。一方、図3(b)に示す電源オンのときには、液晶層56の液晶分子56aが、透明電極54、55に対して垂直に立った状態となり、入射した光の偏光軸を変化させない状態となる。
【0048】
本実施形態において、バックライト光源25側からの入射光は、吸収型偏光選択部材51を透過する際に、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過することとなる。第一状態では、吸収型偏光選択部材51を透過した第2の直線偏光は、透過偏光軸可変部53を透過する際に、第2の直線偏光から第1の直線偏光に変化する。これにより、偏光軸が反射型偏光選択部材52の透過偏光軸と一致するため、反射型偏光選択部材52で反射されることなく透過する。本実施形態では、バックライト光源25は、バーコードリーダ1における上方寄りの位置、かつ液晶表示器46よりも後方側に設けられ、前方側に出射光を出射する構成をなしており、上記のように反射率可変手段50が透過状態とされる第一状態においては、この出射光が前方側に導かれ、液晶パネル10内に入光することとなる。なお、図3では、反射率可変手段50での透過、反射の様子を説明するため、配置や構成、光の向きなどは概念的に示しているが、図3(a)のように反射率可変手段50が透過状態となる場合には、図1に示す液晶パネル10内に出射光が導かれ、後述の図3(b)のように反射状態となる場合には、図1の一点鎖線のように、下方側に反射されるようになっている。
【0049】
図3(b)のように、スイッチ57がオン状態に制御されると、吸収型偏光選択部材51において第2の直線偏光のみが透過する一方で、透過偏光軸可変部53では、入射した第2の直線偏光が、偏光状態を変化させることなく第2の直線偏光のまま透過し、反射型偏光選択部材52に至る。反射型偏光選択部材52の反射偏光軸は、第2の直線偏光の偏光軸と一致しているため、バックライト光源25からの入射光は反射型偏光選択部材52によって反射される。この反射した光は、再び透過偏光軸可変部53に入射し、第2の直線偏光のままこれを透過し、さらに吸収型偏光選択部材51も透過することなる。このようにして、バックライト光源25からの出射光が反射率可変手段50によって反射されることとなる。
【0050】
本実施形態では、図1に示すように、読取口19が、液晶表示器46に対して前方側かつ下方側に設けられており、反射率可変手段50が反射状態とされる第二状態においては、バックライト光源25から出射する出射光が、反射率可変手段50及び反射鏡24a、24bによって前方側かつ下方側に導かれ、読取口19を介して外側に出射される構成となっている(図1の一点鎖線参照)。
【0051】
このような構成とされるため、反射率可変手段50を第二状態に切り替えることで、バックライト光源25からの出射光をバーコードBに対する照明光とすることができ、当該出射光を、照明光源21からの光に代えて、又は照明光源21からの光と共にバーコードBに照射できるようになっている。一方、反射率可変手段50が第一状態に切り替えられると、バックライト光源25から発せられる出射光が液晶表示器46のバックライト光とされ、液晶表示を良好に行うことができる。
【0052】
次に、バーコードリーダ1における読取制御処理について説明する。
図4に示すように、本実施形態に係るバーコードリーダ1では、電源が投入されると、デフォルト状態として、バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く状態(第一状態)に設定する(S1)。次いで、当該バーコードリーダ1を、読み取りを行うモード(読取モード)とするか否かを判断する。読取モードとする場合には、S2においてYesに進み、S3の設定処理を行う。S2において読取モードとしないと判断される場合には、読取モードの指示がなされるまで当該読取制御処理は待機状態となる。S3の設定処理が終了した後、S4の読取動作を行い、読取動作が完了する場合にはS5にてYesに進み、完了しない場合にはS4の読取動作を継続することとなる。
【0053】
S3の設定処理は、例えば図5のような流れで行われる。
まずS10にてバーコードリーダ1の周囲照度を検出する。本実施形態では、バーコードBからの反射光を受光する受光センサ28(図2)が照度検出手段として兼用されており、この受光センサ28にて周囲照度を検出する。周囲照度の検出は、例えば、バックライト光源25及びLED22を共にオフしたときに受光センサ28に入光する光量を検出するといった方法等で行うことができる。本実施形態では、図6のように、検出された周囲照度に応じて、反射率可変手段50が透過状態及び反射状態のいずれかに設定され、かつ照明光源21がオン状態及びオフ状態のいずれかに設定されるようになっている。
【0054】
受光センサ28を用いて検出された周囲照度が第一の照度L1未満のときには、S20にてNoに進み、反射率可変手段50を反射状態に設定すると共に、照明光源21をオン状態に設定する(S30)。なお、この場合、後述する読取動作においては、バックライト光源25の出射光と照明光源21の光との両方によってバーコードBが照射されることとなる。なお、上述のように、反射率可変手段50の切り替えは、スイッチ57のオンオフによって制御可能とされており、スイッチ57のオンオフ制御を行う制御回路40が「切替制御手段」の一例に相当している。また、照明光源21のオンオフ制御も制御回路40によって行われるようになっており、この制御回路40は、「照明制御手段」の一例にも相当している。
【0055】
また、周囲照度が第一の照度L1以上のときには、S20にてYesに進み、さらに、周囲照度が第二の照度L2以上か否かを判断する。周囲照度が第二の照度L2未満の場合(即ち、周囲照度が第一の照度L1以上、第二の照度L2未満の場合)、反射率可変手段50を透過状態とし、照明光源21をオン状態に設定する(S50)。この場合、照明光源21の光によってバーコードBが照射され、バックライト光源25の光は読み取りに用いられずに液晶表示器46に用いられることとなる。
なお、S50では、反射率可変手段50を透過状態とし、照明光源21をオン状態に設定しているが、この設定に代えて、照明光源21をオン状態に設定すると共に、バックライト光源25をオフ状態に設定するようにしてもよい。この場合も、照明光源21の光によってバーコードBが照射され、バックライト光源25の光は読み取りに用いられないこととなる。なお、本実施形態では、制御回路40が、このような光源の制御を行う「光源制御手段」として機能する。
【0056】
また、周囲照度が第二の照度L2以上のときには、S40にてYesに進み、周囲照度が第三の照度L3以上か否かを判断する。周囲照度が第三の照度L3未満の場合(即ち、周囲照度が第二の照度L2以上、第三の照度L3未満の場合)、反射率可変手段50を反射状態に設定し、照明光源21をオフ状態に設定する(S70)。この場合、バックライト光源25からの出射光によってバーコードBを照射することとなる。
【0057】
また、周囲照度が第三の照度L3以上である場合、照明光源21をオフにする設定がなされると共に、反射率可変手段50を第一状態にする設定がなされる。この場合、バーコードBの読み取りに際してバックライト光源25及び照明光源21を用いず、周囲の外光によって読み取り対象が照らされ、読み取られることとなる。
なお、S80では、照明光源21をオフに設定し、かつ反射率可変手段50を第一状態に設定しているが、この設定に代えて、照明光源21をオフに設定すると共に、バックライト光源25をオフに設定するようにしてもよい。この場合も、バーコードBの読み取りに際してバックライト光源25及び照明光源21が用いられず、周囲の外光によって読み取り対象が照らされ、読み取られることとなる。
【0058】
なお、バックライト光源25及び照明光源21は、それぞれ種々の発光色のものを用いることができるが、本実施形態では、バックライト光源25の発光色と、照明光源21の発光色とが異なっており、バックライト光源25からの出射光が、照明光源21からの光と共にバーコードBに向けて照射されたとき、出射光と照明光源21の光との重なる部分が、バックライト光源25の発光色及び照明光源21の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となる。例えば、照明光源21の発光色を赤色とし、バックライト光源25の発光色を青色とした場合、バックライト光源21の出射光と照明光源21の光との重なる部分が、バックライト光源25の発光色及び照明光源21の発光色とは異なる混合色とされ、この混合色の光が照射される位置をバーコードB(図2)に合わせることで、読み取りを良好に行うことができる。
【0059】
以上のように、本実施形態の構成によれば、単一のバックライト光源25から発せられる光をバックライト光としても、照明光としても利用できるため、消費電力を効果的に抑えることができる。また、反射率可変手段50によって、バックライト光源25から発せられる出射光を液晶表示器46のバックライト光とする第一状態と、バーコードBに対する照明光とする第二状態とで切り替えることができるため、それぞれの状態において、照射対象物に対し適切な照度をもって光を照射できる。
【0060】
また、「切替手段」が、バックライト光源25からの出射光を透過させる透過状態と、透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段50からなるため、装置構成の大型化、複雑化を伴うことなく光の切り替えを良好に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態の構成によれば、照明光源21からの光のみによってバーコードBに対する照明光を構成することもできるし、必要に応じて、バックライト光源25からの光のみ、又は照明光源21からの光とバックライト光源25からの光の両方によって、照明光を構成することもできる。従って、照明光の設定の自由度が高まり、状況に応じて照明光の調整を好適に行うことができる。
【0062】
また、周囲照度が一定の照度(第一の照度)以上のときに、バックライト光源25をオフ、又は切り替え手段を第一状態とする制御を行い、照明光源21からの光によってバーコードBを照射する構成としているため、電力の効率的利用が可能となる。
【0063】
また、周囲照度が第二の照度以上である場合に、照明光源21をオフにする制御がなされると共に、反射率可変手段50を第二状態とする制御が行われ、バックライト光源25からの出射光によってバーコードBを照射する構成としている。このようにすれば、周囲照度がある程度の照度以上のときに、照明光源21をオフして消費電力を抑えることができ、バックライト光源25からの出射光による効率的な読み取りが可能となる。
【0064】
また、周囲照度が第三の照度以上である場合、照明光源21をオフにする制御がなされると共に、バックライト光源25をオフにする制御、又は反射率可変手段50を第一状態とする制御が行われる構成としている。即ち、周囲の照度が確保されているときに、照明光源21やバックライト光源25からの光を用いずに読み取りを行うことができるため、消費電力の抑制効果が極めて高いものとなる。
【0065】
また、受光センサ28が「照度検出手段」として兼用されているため、周囲照度を検出しうる構成を、部品点数の増大を伴うことなく実現できる。
【0066】
また、バックライト光源25からの出射光が、照明光源21からの光と共にバーコードBに向けて照射されたとき、出射光と照明光源21の光との重なる部分が、バックライト光源25の発光色及び照明光源21の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となる。従って、出射光と照明光源21の光との重なる部分に基づいて当該バーコードリーダ1をバーコードBに対して適切な位置に設定しやすく、ひいては読取作業の容易化を効果的に図ることができる。
【0067】
また、出射光を少なくとも前方側に導く状態と、出射光を前方側かつ下方側に導く状態とに切り替えることによって、バックライト光源25からの光を液晶表示器46側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口側へ向かわせる第二状態とに簡易かつ容易に切り替えることができるようになっている。
【0068】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。なお、本実施形態では、電池60及びセンサ62を設けた点、及び設定処理(図4のS3)が第1実施形態と異なるが、それ以外については第1実施形態と同様(特に、図1、図3、図4については同一)である。よって、同様の点については、図1〜図4を適宜参照し、詳細な説明は省略する。
【0069】
本実施形態に係るバーコードリーダも、図1のように、照明光が導出される読取口19側を前方側、読取口19とは反対の奥側を後方側とし、かつ、液晶表示器46による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側としている。液晶表示器46を構成する液晶パネル10の後方側にバックライト光源25が配置されており、前方側に出射光を出射する構成をなしている。そして、図1に示すように、バーコードリーダ1には、上記バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く第一状態と、読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる反射率可変手段50(図3と同一のもの)が設けられている。図1に示すように、バックライト光源25からの出射直後の出射光が向かう延長上には液晶パネル10が配されており、反射率可変手段50は、液晶パネル10とバックライト光源25との間に設けられ、出射光の方向を二方向に切り替えうる構成となっている。
【0070】
本実施形態に係るバーコードリーダ1の読取制御処理は、図4と同様であり、電源が投入されると、デフォルト状態として、バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く状態(第一状態)に設定する(S1)。次いで、当該バーコードリーダ1を、読み取りを行うモード(読取モード)とするか否かを判断する。読取モードとする場合には、S2においてYesに進み、S3の設定処理を行う。S2において読取モードとしないと判断される場合には、読取モードの指示がなされるまで当該読取制御処理は待機状態となる。
【0071】
S3の設定処理は、第1実施形態と異なる方法でなされる。本実施形態では、図7に示すように、少なくとも照明光源21に電力供給する電池60と、電池60の状態を検出するセンサ62(センサ62は、電池状態検出手段の一例に相当する)とを備えており、このセンサ62での検出結果に応じて、照明光源21及びバックライト光源25を制御している。なお、本実施形態でも、制御回路40が、切替制御手段、照明制御手段、光源制御手段の一例に相当している。
【0072】
具体的には、電池60が、リチウムイオン充電池等の二次電池によって構成されており、センサ62(電池状態検出手段)によって検出された電池60の状態が所定の低レベル状態の場合、照明光源21をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように反射率可変手段50を切り替える制御(即ち、反射率可変手段50を、第二状態に切り替える制御)を行い、バックライト光源25からの出射光によって照射対象を照射する。
【0073】
「所定の低レベル状態」としては、様々な設定が考えられるが、例えば、「予め定められた閾値以下の低電圧状態」とする例が挙げられる。この場合、センサ62を、公知の電圧センサによって構成すれば、電池状態の検出を好適に実現できる。即ち、センサ62にて検出された電池60の電圧が閾値以下となった場合に、照明光源21をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように反射率可変手段50を切り替える制御(即ち、反射率可変手段50を、第二状態に切り替える制御)を行い、バックライト光源25からの出射光によって照射対象を照射する。
【0074】
また、「所定の低レベル状態」を、「予め定められた閾値以下の低充電容量状態」としてもよい。この場合、センサ62を公知の充電容量検出装置として構成し、センサ62によって検出された電池60の充電容量が閾値以下となった場合に、照明光源21をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように反射率可変手段50を切り替える制御(即ち、反射率可変手段50を、第二状態に切り替える制御)を行い、バックライト光源25からの出射光によって照射対象を照射する。
【0075】
以上のように、本実施形態の構成によれば、電池60の状態が「所定の低レベル状態」の場合に、照明光源21をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように反射率可変手段50を切り替える制御を行い、バックライト光源25からの出射光によって照射対象を照射する構成としているため、電池60が消耗した状態において消費電力を効果的に抑えることができ、使用時間の長時間化を図ることができる。
【0076】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係るバーコードリーダ100の要部を概念的に説明する説明図である。図9は、図8のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図10は、図8のバーコードリーダ100における読取制御の流れを例示するフローチャートである。なお、本実施形態では、図1の構成に代えて図8の構成を採用した点、図2の構成に代えて、図9の構成を採用した点、図4、図5の制御に代えて、図10の制御を採用した点が第1実施形態と異なっている。なお、図9の構成は、照明光源21に代えて照明手段121を設けた点、及びバックライト光源25を省略した点、及び液晶表示器146の構成が第1実施形態と異なり、それ以外の点は第1実施形態と同様である。よって、同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0077】
図8、図9に示すように、バーコードリーダ100も第1実施形態と同様に、バーコードB(読取対象)からの反射光に基づいて当該バーコードBの情報を読み取る光学的情報読取装置として構成されており、液晶パネル110を備えた液晶表示器146を備えている。液晶パネル110は、公知の積層構造を採るものであり、本実施形態では、図8のように液晶層111が2枚のガラス板112,113で挟まれてなり、その両側に偏光板(垂直)114と、偏光板(水平)115とが配された構成とされている。なお、ガラス板には透明電極が配されている。
【0078】
また、液晶表示器146は、側方からバックライト光を照射するサイドライト方式とされており、このバックライト光は、後述のLED122(LED122は「光源」の一例に相当する)から発せられる光によって構成される。具体的には導光部材170(後に詳述)によって導かれた光が導光板117内に進入し、反射板118によって反射されると共に、拡散板116によって拡散され、上方側(外部側)に照射されるようになっている。
【0079】
本実施形態のバーコードリーダ100は、照明手段121を保持するためのホルダ160が設けられており、このホルダ160には、照明手段121を構成するLED122が収容されている。なお、照明手段121は、このLED122とレンズ123とによって構成されており、レンズ123は、ホルダ160外に露出する形態で当該ホルダ160に固定されている。
【0080】
また、ホルダ160には、LED122からの出射光を、バーコードB側(一方側)に導出するための第一導出口161と、液晶パネル110側(他方側)に導出するための第二導出口162とが形成されている。そして、ホルダ160に形成された第二導出口162と、液晶パネル110との間には、第二導出口162から導出される出射光を液晶パネル110側(他方側)に案内する導光部材170が設けられている。導光部材170は、例えば導光板117と同様の材質(例えばアクリル材やポリカーボネイト材など)によって構成されており、ホルダ160内にその一端側が配されて、LED122から出射した光を取り込むと共に、ホルダ160内から進入した光(即ち、LED122からの出射光)が液晶パネル110側に導かれるように配置されている。なお、導光部材170の一方の端部側はホルダ160に固定(例えば接着テープやねじ等の締結部材を用いた固定)されており、他方の端部側は液晶パネル110側に固定(同様に、接着テープやねじ等の締結部材を用いた固定)されている。
【0081】
導光部材170における液晶パネル110側の端部は、液晶パネル110内に配されており、この液晶パネル110の内部には、当該端部から導出された光を反射して導光板117側に導くための反射部119が設けられている。反射部118は、導光板117と対向する第一反射部119aと、導光部材170の端部と対向する第二反射部119bとからなり、導光部材170から導出された光の少なくとも一部が反射部119の反射面で反射され、導光板117の側部から進入するようになっている。
【0082】
また本実施形態のバーコードリーダ100には、第1実施形態と同様の構成(図3参照)をなす、反射率可変手段50(切替手段)が設けられており、LED122から発せられる出射光を液晶パネル110側に導く反射状態(本実施形態では反射状態が「第一状態」に相当する)と、出射光をバーコードB側に導く透過状態(本実施形態では、透過状態が「第二状態」に相当する)と、で切り替わる構成をなしている。この反射率可変手段50は、LED122とレンズ123の間に(具体的には第一導出口161を閉塞する形態で)配されており、LED122からの出射光を第一導出口161から導出させる第一案内状態(即ち、透過状態)と、出射光を反射させて第二導出口162側に導く第二案内状態(即ち反射状態)とで切り替わる構成となっている。つまり、反射率可変手段50が第二案内状態(透過状態)となったときには、LED122からの光が当該反射率可変手段50を透過すると共にレンズ123を透過して外部に導かれ、バーコードBに光を照射しうることとなる。
【0083】
一方、反射率可変手段50が第一案内状態(反射状態)となったときには、LED122からの光が当該反射率可変手段50で反射されて、少なくともその一部が導光部材170内に進入することとなる。また、ホルダ160の内壁面165は、LED122からの直接の、又は間接的な出射光を反射する反射面とされており、LED122から直接照射される光、或いは反射率可変手段50で反射される光などが当該内壁面165で反射されて導光部材170に導かれやすくなっている。
【0084】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、図9に示す制御回路40が、反射率可変手段50の切り替えを制御する「切替制御手段」として機能している。この制御回路40の制御により反射率可変手段50が反射状態(第一状態)に切り替えられたときは、LED122から発せられる出射光が上述のように導光部材170によって導かれて液晶表示器146のバックライト光とされ、反射率可変手段50が透過状態(第二状態)に切り替えられたときは、LED122からの出射光がバーコードBに対する照明光とされる構成となっている。
【0085】
次に、バーコードリーダ100における読取制御処理について説明する。
図10に示すように、本実施形態に係るバーコードリーダ100では、電源が投入されると、デフォルト状態として、LED122から発せられる出射光を液晶パネル110側に導く状態(第一状態)に設定する(S1)。具体的には上述のように、制御回路40の制御により反射率可変手段50を反射状態に設定し、LED122からの光を導光部材170を介して液晶パネル110側に導くこととなる。
【0086】
次いで、LED122の照度を第一照度状態に設定する。この第一照度状態は、LED122が後述する第二照度状態よりも暗くなる状態であり、駆動回路29からLED122に与える出力電流を、後述する第二照度状態のときよりも抑えることで当該第一照度状態を実現する(S110)。なお、制御回路40から駆動回路29に対しては、当該第一照度状態とする旨の制御信号が与えられる。
【0087】
次いで、当該バーコードリーダ100を、読み取りを行うモード(読取モード)とするか否かを判断する。例えばユーザから読み取りを行う旨の指示(例えば、操作手段に対する所定操作)がなされ、読取モードとする場合には、S120においてYesに進み、S130の設定処理を行う。S120において読取モードとしないと判断される場合には、読取モードの指示がなされるまで当該読取制御処理は待機状態となる。
【0088】
S120にて読取モードにすると判断される場合には、LED122から発せられる出射光をバーコードB側に導く状態(第二状態)に設定する(S130)。具体的には上述のように、制御回路40の制御により反射率可変手段50を透過状態に設定し、LED122からの光をレンズ123を介してバーコードB側に導くこととなる。
【0089】
その後、S140にてLED122の照度を第二照度状態に設定する。この第二照度状態は、LED122が上述の第一照度状態よりも明るくなる状態であり、駆動回路29からLED122に与える出力電流を、上述の第一照度状態のときよりも大きく設定することで当該第二照度状態を実現する(S140)。なお、制御回路40から駆動回路29に対しては、当該第二照度状態とする旨の制御信号が与えられる。S140の設定が終了した後、S150の読取動作を行い、読取動作が完了する場合にはS160にてYesに進み、完了しない場合にはS150の読取動作を継続することとなる。
【0090】
本実施形態では、バーコードリーダ100が、読取動作を行う読取モードであるか(読取モードは「第一モード」に相当する)、読取動作を行わないモードであるか(読取モード以外のモードは第二モードに相当する)をS120にて判断しており、読取モード(即ち第一モード)と判断されたとき、LED122から発せられる出射光が、読取動作を行わないモード(即ち第二モード)のときよりも明るく設定されるように、LED122が制御される。なお、制御回路40は、判断手段、切替制御手段、照明制御手段、光源制御手段の一例に相当している。
【0091】
なお、バーコードリーダ100では、照明光が導出される読取口側(図8の+X側)を前方側、読取口とは反対の奥側(図8の−X側)を後方側とし、かつ、液晶表示器110による表示側(図8の+Y側)を上方側、表示側とは反対側(図8の−Y側)を下方側としており、「光源」に相当するLED122は、液晶表示器146の下方側に設けられている。「切替手段」に相当する反射率可変手段50は、第一状態において、LEDからの出射光が上方側に導かれるように設定(具体的には、LED122からの出射光がレンズ123側に向かわずに、直接又は反射率可変手段50や内壁面165を介して間接的に導光部材170内に導かれ、当該導光部材170によって上方側に導かれるように設定)される。また、第二状態においては、LED122からの出射光が前方側に導かれるように透過状態に設定される。なお、図8では、読取口の図示は省略しているが、例えば、レンズ123の前方側(+X側)、もしくは前方側かつ下方側(+X側かつ−Y側)に配する構成とすることができる。
【0092】
以上のように、本実施形態の構成によれば、単一のLED122から発せられる光をバックライト光としても、照明光としても利用できるため、消費電力を効果的に抑えることができる。また、反射率可変手段50によって、LED122から発せられる出射光を液晶表示器46のバックライト光とする第一状態と、バーコードBに対する照明光とする第二状態とで切り替えることができるため、それぞれの状態において、照射対象物に対し適切な照度をもって光を照射できる。
【0093】
特に、従来では、液晶表示器のバックライト光源と読取用の照明光源とを別々に構成していたため、部品点数が多くなると共に、両光源にそれぞれ駆動電流が必要であり、消費電力量が増える傾向にあったが、本実施形態の構成では、単一の光源によって両機能を実現しているため、消費電力量を効果的に抑えることができる。なお、本実施形態では、第二状態においてLED122からの光を読取口側(即ちバーコード側)に導くようにしているが、このときに第一導出口161から導出されずに導光部材170側に漏洩する光を液晶表示器146のバックライト光とする構成であってもよい。
【0094】
また、「切替手段」が、LED122からの出射光を透過させる透過状態と、透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段50からなるため、装置構成の大型化、複雑化を伴うことなく光の切り替えを良好に行うことができる。
【0095】
さらに、「光源」に相当するLED122をホルダ160によって安定的に保持できると共に、読み取りの際にはLED122からの出射光を読取対象側に良好に導くことができ、液晶表示の際には出射光を液晶表示器146側に良好に導くことができる。従って、消費電力を効果的に抑えることができ、また、照明光及びバックライト光のいずれにおいても適切な光量を確保しやすいため、、読取動作及び液晶表示をいずれも好適に実現できることとなる。
【0096】
また、ホルダ160の内壁面165が、出射光を反射する反射面とされているため、LED122からの出射光が第一導出口161或いは第二導出口162にて導出されるまでの損失が効果的に抑えられる。
【0097】
また、LED122からの出射光を上方側に導く状態と、出射光を前方側に導く状態とに切り替える構成を用いているため、LED122からの光を液晶表示器146側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口側へ向かわせる第二状態とで切り替えうる構成を簡易かつ小型構成にて実現できる。
【0098】
また、読取動作の際にはLED122から発せられる出射光が明るく設定されるため読み取りを良好に行うことができる。また、読取動作を行わないときには、LED122の出射光の光量を抑えてバックライト光として用いているため、液晶表示を好適に行うと共に、消費電力の抑制を図ることができる。
【0099】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0100】
上記実施形態では、反射率可変手段50によって切替手段を構成したが、切替手段の構成はこの例に限られない。例えば、図8の構成に代えて、図11のような構成を用いてもよい。図11の構成は、切替手段以外は第三実施形態の構成であり、図11の例では、「切替手段」の一例として変位可能なシャッタ部材250を用いている。このシャッタ部材250は、アクチュエータ251(図11では破線で図示)に駆動されることで、第一導出口161を閉塞する第一変位(図11の実線位置)と、開放する第二変位(図11の一点鎖線250'の位置)とに切り替わるものであり、かつ壁面252が反射面とされるものである。アクチュエータ251は、制御回路40の制御に応じてシャッタ部材250を第一変位と第二変位とに変化させうるものであれば様々なものを適用でき、その一例としては、ステッピングモータやソレノイド機構などが上げられる。この場合、シャッタ部材250が第一変位とされる状態が「第一状態」に相当し、第三実施形態において反射率可変手段50が反射状態となる場合と同様に、LED122から発せられる出射光が液晶パネル110側に導かれることとなる。また、シャッタ部材250が第二変位とされる状態が「第二状態」に相当し、第三実施形態において反射率可変手段50が透過状態となる場合と同様に、LED122から発せられる出射光がレンズ123側に導かれ、ひいてはバーコード側に導かれることとなる。
【0101】
また、図1の構成に代えて、同様のシャッタ部材を用いるようにしてもよい。図12ではその一例を示しており、図12(a)の構成は、反射率可変手段50(図1)に代えて反射面352を有するシャッタ部材350を設けた点のみが図1と異なっている。この例では、シャッタ部材350が、図11と同様のアクチュエータ351によって駆動され、図12(b)に示す第一状態と、図12(c)に示す第二状態とに変位しうる構成となっており、第一状態(即ち、第一変位)では、バックライト光源25からの出射光がシャッタ部材350によって反射されずに液晶パネル10側に導かれることとなる。また、第二状態(即ち第二変位)では、バックライト光源25からの光がシャッタ部材350の反射面352にて反射されて図12(a)の一点鎖線のように読取口19側に導かれることとなる。
【0102】
また、第3実施形態では、周囲照度の検出について触れてはいないが、図8、図9の構成についても、周囲照度を検出する構成とし、周囲照度に応じて読み取りの際のLED122の設定を変更するようにしてもよい。例えば、第3実施形態では、読取モードの際には一律に第二照度状態に設定していたが(図10のS140参照)、このように周囲照度を検出する場合、周囲照度が一定の閾値を超える明るい場合に、第一照度状態のまま読取動作を行うといった制御も可能である。
【0103】
また、第3実施形態でも、第2実施形態と同様に電池状態を検出する構成とし、電池状態に応じて読み取りの際のLED122の設定を変更するようにしてもよい。例えば、第3実施形態では、読取モードの際に一律に第二照度状態に設定していたが(図10のS140参照)、このように電池状態を検出する場合、電池状態が所定の低レベル状態(例えば、電池容量が一定の閾値以下の状態等)の場合においては、第一照度状態のまま読取動作を行い、省力化を図るといった制御も可能である。
【0104】
また、第1実施形態では、受光センサ28を「照度検出手段」として兼用していたが、受光センサ28とは別に照度センサを設け、この照度センサによって周囲照度を検出する構成としてもよい。
【0105】
また、第1実施形態では、バックライト光源25の前方側に液晶パネル110を配置し、反射率可変手段50により、バックライト光源25からの出射光を前方側に導く状態と、当該出射光を前方側かつ下方側に導く状態とで切り替える構成を採用し、バックライト光源25からの光を液晶表示器46側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口19側へ向かわせる第二状態とで切り替えていたが、配置構成はこれに限定されない。例えば、バックライト光源25を液晶表示器46の後方側かつ下方側に配置し、バックライト光源25と液晶表示器46との間において、液晶表示器46の後方側かつ下方側に反射率可変手段50を配置してもよい。この場合、第一状態において、出射光が前方側かつ上方側に導かれ、第二状態において、出射光が前方側かつ下方側に導かれるように反射率可変手段50を構成することで、液晶表示器46側への案内と、読取口19側への案内とを好適に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、本発明の光学的情報読取装置の第1実施形態に係るバーコードリーダ1の要部を概念的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、反射率可変手段の構成を例示するものであり、図3(a)は、反射率可変手段が透過状態とされる例を示し、図3(b)は、反射状態とされる例を示すものである。
【図4】図4は、図1のバーコードリーダ1における読取制御の流れを例示するフローチャートである。
【図5】図5は、光源及び照明手段の設定処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図6は、周囲照度と、光源及び照明手段の設定との関係を説明する説明図である。
【図7】図7は、第2実施形態のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図8】図8は、第3実施形態に係るバーコードリーダ100の要部を概念的に説明する説明図である。
【図9】図9は、図8のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図10】図10は、図8のバーコードリーダ100における読取制御の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図11は、図8の別例を示す説明図である。
【図12】図12は、図1の別例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0107】
1,100…バーコードリーダ(光学的情報読取装置)
10…液晶パネル
21…照明光源(照明手段)
25…バックライト光源(光源)
28…受光センサ(照度検出手段)
40…制御回路(切替制御手段、照明制御手段、光源制御手段、判断手段)
50…反射率可変手段(切替手段)
60…電池
62…センサ(電池状態検出手段)
122…LED(光源)
160…ホルダ
161…第一導出口
162…第二導出口
170…導光部材
B…バーコード(読取対象)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示器を用いた光学的情報読取装置が提供されている。この種の光学的情報読取装置に用いられる液晶表示器は、液晶パネルの後方からバックライト光源を照射して表示する方式のものが一般的であり、その一例として、例えば特許文献1のような技術が提供されている。
【特許文献1】特開2004−30187公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、バーコードリーダ等の光学的情報読取装置では、バーコード等の識別コードを読み取る光学系と、液晶表示器とがそれぞれ別個独立して構成されており、識別コードに照明光を照射するための照明光源が、液晶表示器のバックライト光源とは別に設けられていた。このように2つの光源を設ける従来構成の場合、識別コードの読み取りと、液晶表示器による表示とを同時に実施できるという有用性はあるものの、消費電力やランニングコストの増大等の問題があり、また、光学的情報読取装置が電池によって駆動する携帯端末として構成される場合、電池の消耗を招きやすく、使用時間の短時間化、メンテナンスサイクルの短縮化といった問題もある。
【0004】
一方、特許文献1では、LCDを用いた表示部の発光光を利用して表示部の前面に配される像情報(バーコードなど)を読み取る技術が開示されている。この技術によれば、識別コードに照射する光と、LCDへのバックライト光とを単一の光源によって発生させることができるため、消費電力の削減を図ることができる。しかしながら、特許文献1の技術は、LCDを透過して漏洩した光を識別コードの照明光として用いるものであるため、識別コードの読み取りの際に、適切な照度を適切に確保しにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、液晶表示器を備えた光学的情報装置において、消費電力を効果的に抑えることができ、情報の読み取りも良好に行うことができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、読取対象からの反射光に基づいて前記読取対象の情報を読み取る光学的情報読取装置であって、液晶パネルを備えた液晶表示器と、光源と、前記光源から発せられる出射光を前記液晶パネル側に導く第一状態と、前記出射光を前記読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる切替手段と、前記切替手段の切り替えを制御する切替制御手段と、を備え、前記切替制御手段の制御により前記切替手段が前記第一状態に切り替えられたとき、前記光源から発せられる前記出射光が前記液晶表示器のバックライト光とされ、前記第二状態に切り替えられたとき、前記出射光が前記読取対象に対する照明光とされることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記切替手段は、前記光源からの前記出射光を透過させる透過状態と、前記透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置において、前記読取対象に対して光を出射する照明手段と、前記照明手段を制御する照明制御手段と、を備え、前記照明制御手段及び前記切替制御手段の制御により、前記光源からの前記出射光を、前記照明手段からの光に代えて、又は前記照明手段からの光と共に前記読取対象に照射することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、少なくとも前記照明手段に電力供給する電池と、前記電池の状態を検出する電池状態検出手段と、を備え、前記電池状態検出手段によって検出された前記電池の状態が所定の低レベル状態の場合、前記照明制御手段により、前記照明手段をオフする制御を行うと共に、前記切替制御手段により、前記出射光を前記照射対象側に案内するように前記切替手段を切り替える制御を行い、前記光源からの前記出射光によって前記照射対象を照射することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載の光学的情報読取装置において、周囲照度を検出する照度検出手段を備え、前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第一の照度以上である場合、光源制御手段により前記光源をオフにする制御、又は前記切替制御手段により前記切替手段を前記第一状態とする制御が行われ、前記照明手段からの光によって前記読取対象を照射することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、周囲照度を検出する照度検出手段を備え、前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第二の照度以上である場合、前記照明制御手段により前記照明手段をオフにする制御がなされると共に、前記切替制御手段により前記切替手段を前記第二状態とする制御が行われ、前記光源からの前記出射光によって前記読取対象を照射することを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、周囲照度を検出する照度検出手段を備え、前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第三の照度以上である場合、前記照明制御手段により前記照明手段をオフにする制御がなされると共に、光源制御手段により前記光源をオフにする制御、又は前記切替制御手段により前記切替手段を前記第一状態とする制御が行われることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記読取対象からの前記反射光を受光する受光センサを備えると共に、当該受光センサが前記照度検出手段として兼用されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記光源の発光色と、前記照明手段の発光色とが異なっており、
前記光源からの前記出射光が、前記照明手段からの光と共に前記読取対象に向けて照射されたとき、前記出射光と前記照明手段の光との重なる部分が、前記光源の発光色及び前記照明手段の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となることを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、請求項3から請求項9のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、当該光学的情報読取装置において、前記照明光が導出される読取口側を前方側、前記読取口とは反対の奥側を後方側とし、かつ、前記液晶表示器による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側とした場合、前記光源は、前記液晶表示器よりも後方側に設けられて前方側に前記出射光を出射する構成をなし、前記読取口は、前記液晶表示器に対して前方側かつ下方側に設けられており、前記切替手段は、前記第一状態において、前記出射光が少なくとも前方側に導かれるように設定され、前記第二状態において、前記出射光が前方側かつ下方側に導かれるように設定されることを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置において、前記光源を内部に収容するホルダを備え、前記ホルダは、前記光源からの前記出射光を、前記読取対象及び前記液晶パネルのいずれか一方側に導出するための第一導出口と、他方側に導出するための第二導出口と、が形成され、前記切替手段は、前記出射光を前記第一導出口から導出させる第一案内状態と、前記出射光を反射させて前記第二導出口側に導く第二案内状態とで切り替わる構成をなしており、更に、前記第二導出口から導出された前記出射光を前記他方側に案内する導光部材が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項12の発明は、請求項11に記載の光学的情報読取装置において、前記ホルダの内壁面が、前記出射光を反射する反射面とされていることを特徴とする。
【0018】
請求項13の発明は、請求項11又は請求項12のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、当該光学的情報読取装置において、前記照明光が導出される読取口側を前方側、前記読取口とは反対の奥側を後方側とし、かつ、前記液晶表示器による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側とした場合、前記光源は、前記液晶表示器の下方側に設けられ、前記読取口は、前記液晶表示器に対して少なくとも前方側に設けられており、前記切替手段は、前記第一状態において、前記出射光が上方側に導かれるように設定され、前記第二状態において、前記出射光が前方側に導かれるように設定されることを特徴とする。
【0019】
請求項14の発明は、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、当該光学的情報読取装置が、前記読取対象の読取動作を行う第一モードであるか、読取動作を行わない第二モードであるかを判断する判断手段を備え、前記判断手段によって前記第一モードと判断されたとき、前記光源から発せられる前記出射光が前記第二モードのときよりも明るく設定されるように、光源制御手段により前記光源が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明では、単一の光源から発せられる光をバックライト光としても、照明光としても利用できるため、消費電力を効果的に抑えることができる。また、切替手段によって、光源から発せられる出射光を液晶表示器のバックライト光とする第一状態と、読取対象に対する照明光とする第二状態とで切り替えることができるため、それぞれの状態において、照射対象物に対し適切な照度をもって光を照射できる。
【0021】
請求項2の発明では、切替手段が、光源からの出射光を透過させる透過状態と、透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段からなるため、装置構成の大型化、複雑化を伴うことなく光の切り替えを良好に行うことができる。
【0022】
請求項3の発明では、照明手段からの光のみによって読取対象に対する照明光を構成することもできるし、必要に応じて、光源からの光のみ、又は照明手段からの光と光源からの光の両方によって、照明光を構成することもできる。従って、照明光の設定の自由度が高まり、状況に応じて照明光の調整を好適に行うことができる。
【0023】
請求項4の発明では、電池の状態が所定の低レベル状態の場合に、照明手段をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように切替手段を切り替える制御を行い、光源からの出射光によって照射対象を照射する構成としている。電池が消耗した状態において消費電力を効果的に抑えることができ、使用時間の長時間化を図ることができる。
【0024】
請求項5のように、周囲照度が一定の照度(第一の照度)以上のときに、光源をオフ、又は切り替え手段を第一状態とする制御を行い、照明手段からの光によって読取対象を照射する構成とすれば、電力の効率的利用が可能となる。
【0025】
請求項6の発明では、照度検出手段によって検出された周囲照度が第二の照度以上である場合、照明制御手段により照明手段をオフにする制御がなされると共に、切替制御手段により切替手段を第二状態とする制御が行われ、光源からの出射光によって読取対象を照射する構成としている。このようにすれば、周囲照度がある程度の照度以上のときに、照明手段をオフして消費電力を抑えることができ、光源からの出射光による効率的な読み取りが可能となる。
【0026】
請求項7の発明では、照度検出手段によって検出された周囲照度が第三の照度以上である場合、照明制御手段により照明手段をオフにする制御がなされると共に、光源制御手段により光源をオフにする制御、又は切替制御手段により切替手段を第一状態とする制御が行われる構成としている。即ち、周囲の照度が確保されているときに、照明手段や光源からの光を用いずに読み取りを行うことができるため、消費電力の抑制効果が極めて高いものとなる。
【0027】
請求項8の発明では、受光センサが照度検出手段として兼用されているため、周囲照度を検出しうる構成を、部品点数の増大を伴うことなく実現できる。
【0028】
請求項9の発明では、光源からの出射光が、照明手段からの光と共に読取対象に向けて照射されたとき、出射光と照明手段の光との重なる部分が、光源の発光色及び照明手段の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となる。従って、出射光と照明手段の光との重なる部分に基づいて当該光学的情報読取装置を読取対象に対して適切な位置に設定しやすく、ひいては読取作業の容易化を効果的に図ることができる。
【0029】
請求項10の発明では、出射光を少なくとも前方側に導く状態と、出射光を前方側かつ下方側に導く状態とで切り替える構成を用いることにより、光源からの光を液晶表示器側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口側へ向かわせる第二状態とで切り替えうる構成を簡易かつ小型構成で実現できる。
【0030】
請求項11の発明では、光源をホルダによって安定的に保持できると共に、読み取りの際には光源からの出射光を読取対象側に良好に導くことができ、液晶表示の際には出射光を液晶表示器側に良好に導くことができる。従って、消費電力を効果的に抑えることができ、また、照明光及びバックライト光のいずれにおいても適切な光量を確保しやすいため、読取動作及び液晶表示をいずれも好適に実現できることとなる。
【0031】
請求項12の発明では、ホルダの内壁面が、出射光を反射する反射面とされているため、光源からの出射光が第一導出口或いは第二導出口にて導出されるまでの損失が効果的に抑えられる。
【0032】
請求項13の発明では、出射光を上方側に導く状態と、出射光を前方側に導く状態とに切り替える構成を用いることにより、光源からの光を液晶表示器側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口側へ向かわせる第二状態とで切り替えうる構成を簡易かつ小型構成にて実現できる。
【0033】
請求項14の発明では、読取動作の際には光源から発せられる出射光が明るく設定されるため読み取りを良好に行うことができる。また、読取動作を行わないときには、出射光の光量を抑えてバックライト光として用い、液晶表示を好適に行うと共に、消費電力の抑制を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の光学的情報読取装置の第1実施形態に係るバーコードリーダ1の要部を概念的に説明する説明図である。図2は、図1のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3は、反射率可変手段の構成を例示するものであり、図3(a)は、反射率可変手段が透過状態とされる例を示し、図3(b)は、反射状態とされる例を示している。図4は、図1のバーコードリーダ1における読取制御の流れを例示するフローチャートである。図5は、光源及び照明手段の設定処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、周囲照度と、光源及び照明手段の設定との関係を説明する説明図である。
【0035】
図1に示すバーコードリーダ1は、「光学的情報読取装置」の一例に相当するものであり、「読取対象」としてのバーコードB(図2参照)からの反射光に基づいて当該バーコードBの情報を読み取る構成をなすものである。まず、バーコードリーダ1の全体構成について説明する。
【0036】
バーコードリーダ1は、ケース3の内部に、図2に示す回路部20が収容されてなるものであり、この回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ43等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0037】
バーコードリーダ1の光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。図1、図2に示すように、投光光学系は、照明光源21や反射鏡24a,24bによって構成されており、このうちの照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明手段として機能している。本実施形態に係る照明光源21は、図1のように赤色のLED22とこのLED22の出射側に設けられるレンズ23とから構成されており、LED22は、図2に示す駆動回路29(例えば、駆動回路29は、制御回路40からの制御信号に応じて出力電流を調整する電流調整回路によって構成される)によって駆動される構成をなしている。このように構成される照明光源21は、例えば、図2のように、バーコードBが付された物体Rに向けて照明光Lfを照射する構成をなしている。なお、本実施形態では、後述するバックライト光源25も投光光学系を構成することとなるが、これについては後に詳述する。
【0038】
図2に示すように、受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、物体RやバーコードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるものである。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板26(図1)に実装されている。
【0039】
結像レンズ27は、外部から読取口19(図1)を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが、バーコードBにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0040】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ43、LED45、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。
【0041】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されて所定ゲインで増幅され、その後、A/D変換回路33に入力されることで、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード像画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0042】
制御回路40は、バーコードリーダ1全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるものである。この制御回路40は、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るものであり情報処理機能を有している。また、制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、トリガースイッチ43、LED45、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等と接続されている。これにより、例えば、トリガースイッチ43の監視や管理、LED45の点灯、非点灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、液晶表示器46の表示制御等を可能にしている。
【0043】
次に、本発明の特徴的構成について詳述する。
本実施形態に係るバーコードリーダ1では、照明光が導出される読取口19側を前方側、読取口19とは反対の奥側を後方側とし、かつ、液晶表示器46による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側としている。液晶表示器46を構成する液晶パネル10の後方側にバックライト光源25が配置されており、前方側に出射光を出射する構成をなしている。液晶パネル10は、公知の構成(例えば、液晶層が2枚のガラス板で挟まれてなり、かつその両側に2つの偏光板(垂直、水平)が配されてなる構成)のものであり、側方(本実施形態ではバーコードリーダ1の後方側)からバックライト光を照射するサイドライト方式とされている。
【0044】
図1に示すように、バーコードリーダ1には、上記バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く第一状態と、読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる反射率可変手段50が設けられている。図1に示すように、バックライト光源25からの出射直後の出射光が向かう延長上には液晶パネル10が配されており、反射率可変手段50は、液晶パネル10とバックライト光源25との間に設けられ、出射光の方向を二方向に切り替えうる構成となっている。
【0045】
反射率可変手段50は、電気的制御により、バックライト光源25からの出射光を透過する透過状態と、この透過状態よりも反射率の高い反射状態とで切り替わる構成となっており、具体的には、図3に示すように、吸収型偏光選択部材51と、透過偏光軸可変部53と、反射型変更選択部材52とを備えてなるものである。
【0046】
吸収型偏光選択部材51は、予め定めた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する方向の直線偏光成分を吸収する部材である。ここでは、入射した光のうち、第1の直線偏光成分は吸収して、第2の直線偏光成分は透過するように配置されている。
反射型偏光選択部材52は、予め定められた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する直線偏光成分を反射する部材である。ここでの反射型偏光選択部材52は、第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は反射する向きに配置している。
【0047】
透過偏光軸可変部53は、入射した直線偏光光が透過する際にその偏光軸を変化させる状態と、偏光軸を変化させない状態とを電気的な切替により選択できる構造を有する素子である。具体的には、液晶層56と、液晶層56に電圧を印加するための透明電極54、55とを含む液晶素子を用いている。透明電極54、55には、電圧のオンオフを切り替えうるスイッチ57が接続されている。このスイッチ57は、制御回路40からの制御信号に応じてオンオフが切り替えられるものであり、図3(a)のように、スイッチ57がオフ状態とされ、液晶層56に電圧が印加されない状態のときには、液晶層56は、入射した直線偏光の偏光軸を変化させる状態となる。一方、図3(b)のように、スイッチ57がオン状態となって透明電極54、55に電圧が印加されると、入射した直線偏光の偏光軸を変化させない状態となる。図3の例における液晶層56は、液晶分子56aの長軸が、電源オフのときに、透明電極54、55の間で連続的にねじれるように構成した、いわゆるツイストネマティック(TN)型液晶である。液晶層56の配向方向は、吸収型偏光選択部材51側から入射した第2の直線偏光を第1の直線偏光へ偏光させる方向に定めている。一方、図3(b)に示す電源オンのときには、液晶層56の液晶分子56aが、透明電極54、55に対して垂直に立った状態となり、入射した光の偏光軸を変化させない状態となる。
【0048】
本実施形態において、バックライト光源25側からの入射光は、吸収型偏光選択部材51を透過する際に、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過することとなる。第一状態では、吸収型偏光選択部材51を透過した第2の直線偏光は、透過偏光軸可変部53を透過する際に、第2の直線偏光から第1の直線偏光に変化する。これにより、偏光軸が反射型偏光選択部材52の透過偏光軸と一致するため、反射型偏光選択部材52で反射されることなく透過する。本実施形態では、バックライト光源25は、バーコードリーダ1における上方寄りの位置、かつ液晶表示器46よりも後方側に設けられ、前方側に出射光を出射する構成をなしており、上記のように反射率可変手段50が透過状態とされる第一状態においては、この出射光が前方側に導かれ、液晶パネル10内に入光することとなる。なお、図3では、反射率可変手段50での透過、反射の様子を説明するため、配置や構成、光の向きなどは概念的に示しているが、図3(a)のように反射率可変手段50が透過状態となる場合には、図1に示す液晶パネル10内に出射光が導かれ、後述の図3(b)のように反射状態となる場合には、図1の一点鎖線のように、下方側に反射されるようになっている。
【0049】
図3(b)のように、スイッチ57がオン状態に制御されると、吸収型偏光選択部材51において第2の直線偏光のみが透過する一方で、透過偏光軸可変部53では、入射した第2の直線偏光が、偏光状態を変化させることなく第2の直線偏光のまま透過し、反射型偏光選択部材52に至る。反射型偏光選択部材52の反射偏光軸は、第2の直線偏光の偏光軸と一致しているため、バックライト光源25からの入射光は反射型偏光選択部材52によって反射される。この反射した光は、再び透過偏光軸可変部53に入射し、第2の直線偏光のままこれを透過し、さらに吸収型偏光選択部材51も透過することなる。このようにして、バックライト光源25からの出射光が反射率可変手段50によって反射されることとなる。
【0050】
本実施形態では、図1に示すように、読取口19が、液晶表示器46に対して前方側かつ下方側に設けられており、反射率可変手段50が反射状態とされる第二状態においては、バックライト光源25から出射する出射光が、反射率可変手段50及び反射鏡24a、24bによって前方側かつ下方側に導かれ、読取口19を介して外側に出射される構成となっている(図1の一点鎖線参照)。
【0051】
このような構成とされるため、反射率可変手段50を第二状態に切り替えることで、バックライト光源25からの出射光をバーコードBに対する照明光とすることができ、当該出射光を、照明光源21からの光に代えて、又は照明光源21からの光と共にバーコードBに照射できるようになっている。一方、反射率可変手段50が第一状態に切り替えられると、バックライト光源25から発せられる出射光が液晶表示器46のバックライト光とされ、液晶表示を良好に行うことができる。
【0052】
次に、バーコードリーダ1における読取制御処理について説明する。
図4に示すように、本実施形態に係るバーコードリーダ1では、電源が投入されると、デフォルト状態として、バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く状態(第一状態)に設定する(S1)。次いで、当該バーコードリーダ1を、読み取りを行うモード(読取モード)とするか否かを判断する。読取モードとする場合には、S2においてYesに進み、S3の設定処理を行う。S2において読取モードとしないと判断される場合には、読取モードの指示がなされるまで当該読取制御処理は待機状態となる。S3の設定処理が終了した後、S4の読取動作を行い、読取動作が完了する場合にはS5にてYesに進み、完了しない場合にはS4の読取動作を継続することとなる。
【0053】
S3の設定処理は、例えば図5のような流れで行われる。
まずS10にてバーコードリーダ1の周囲照度を検出する。本実施形態では、バーコードBからの反射光を受光する受光センサ28(図2)が照度検出手段として兼用されており、この受光センサ28にて周囲照度を検出する。周囲照度の検出は、例えば、バックライト光源25及びLED22を共にオフしたときに受光センサ28に入光する光量を検出するといった方法等で行うことができる。本実施形態では、図6のように、検出された周囲照度に応じて、反射率可変手段50が透過状態及び反射状態のいずれかに設定され、かつ照明光源21がオン状態及びオフ状態のいずれかに設定されるようになっている。
【0054】
受光センサ28を用いて検出された周囲照度が第一の照度L1未満のときには、S20にてNoに進み、反射率可変手段50を反射状態に設定すると共に、照明光源21をオン状態に設定する(S30)。なお、この場合、後述する読取動作においては、バックライト光源25の出射光と照明光源21の光との両方によってバーコードBが照射されることとなる。なお、上述のように、反射率可変手段50の切り替えは、スイッチ57のオンオフによって制御可能とされており、スイッチ57のオンオフ制御を行う制御回路40が「切替制御手段」の一例に相当している。また、照明光源21のオンオフ制御も制御回路40によって行われるようになっており、この制御回路40は、「照明制御手段」の一例にも相当している。
【0055】
また、周囲照度が第一の照度L1以上のときには、S20にてYesに進み、さらに、周囲照度が第二の照度L2以上か否かを判断する。周囲照度が第二の照度L2未満の場合(即ち、周囲照度が第一の照度L1以上、第二の照度L2未満の場合)、反射率可変手段50を透過状態とし、照明光源21をオン状態に設定する(S50)。この場合、照明光源21の光によってバーコードBが照射され、バックライト光源25の光は読み取りに用いられずに液晶表示器46に用いられることとなる。
なお、S50では、反射率可変手段50を透過状態とし、照明光源21をオン状態に設定しているが、この設定に代えて、照明光源21をオン状態に設定すると共に、バックライト光源25をオフ状態に設定するようにしてもよい。この場合も、照明光源21の光によってバーコードBが照射され、バックライト光源25の光は読み取りに用いられないこととなる。なお、本実施形態では、制御回路40が、このような光源の制御を行う「光源制御手段」として機能する。
【0056】
また、周囲照度が第二の照度L2以上のときには、S40にてYesに進み、周囲照度が第三の照度L3以上か否かを判断する。周囲照度が第三の照度L3未満の場合(即ち、周囲照度が第二の照度L2以上、第三の照度L3未満の場合)、反射率可変手段50を反射状態に設定し、照明光源21をオフ状態に設定する(S70)。この場合、バックライト光源25からの出射光によってバーコードBを照射することとなる。
【0057】
また、周囲照度が第三の照度L3以上である場合、照明光源21をオフにする設定がなされると共に、反射率可変手段50を第一状態にする設定がなされる。この場合、バーコードBの読み取りに際してバックライト光源25及び照明光源21を用いず、周囲の外光によって読み取り対象が照らされ、読み取られることとなる。
なお、S80では、照明光源21をオフに設定し、かつ反射率可変手段50を第一状態に設定しているが、この設定に代えて、照明光源21をオフに設定すると共に、バックライト光源25をオフに設定するようにしてもよい。この場合も、バーコードBの読み取りに際してバックライト光源25及び照明光源21が用いられず、周囲の外光によって読み取り対象が照らされ、読み取られることとなる。
【0058】
なお、バックライト光源25及び照明光源21は、それぞれ種々の発光色のものを用いることができるが、本実施形態では、バックライト光源25の発光色と、照明光源21の発光色とが異なっており、バックライト光源25からの出射光が、照明光源21からの光と共にバーコードBに向けて照射されたとき、出射光と照明光源21の光との重なる部分が、バックライト光源25の発光色及び照明光源21の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となる。例えば、照明光源21の発光色を赤色とし、バックライト光源25の発光色を青色とした場合、バックライト光源21の出射光と照明光源21の光との重なる部分が、バックライト光源25の発光色及び照明光源21の発光色とは異なる混合色とされ、この混合色の光が照射される位置をバーコードB(図2)に合わせることで、読み取りを良好に行うことができる。
【0059】
以上のように、本実施形態の構成によれば、単一のバックライト光源25から発せられる光をバックライト光としても、照明光としても利用できるため、消費電力を効果的に抑えることができる。また、反射率可変手段50によって、バックライト光源25から発せられる出射光を液晶表示器46のバックライト光とする第一状態と、バーコードBに対する照明光とする第二状態とで切り替えることができるため、それぞれの状態において、照射対象物に対し適切な照度をもって光を照射できる。
【0060】
また、「切替手段」が、バックライト光源25からの出射光を透過させる透過状態と、透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段50からなるため、装置構成の大型化、複雑化を伴うことなく光の切り替えを良好に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態の構成によれば、照明光源21からの光のみによってバーコードBに対する照明光を構成することもできるし、必要に応じて、バックライト光源25からの光のみ、又は照明光源21からの光とバックライト光源25からの光の両方によって、照明光を構成することもできる。従って、照明光の設定の自由度が高まり、状況に応じて照明光の調整を好適に行うことができる。
【0062】
また、周囲照度が一定の照度(第一の照度)以上のときに、バックライト光源25をオフ、又は切り替え手段を第一状態とする制御を行い、照明光源21からの光によってバーコードBを照射する構成としているため、電力の効率的利用が可能となる。
【0063】
また、周囲照度が第二の照度以上である場合に、照明光源21をオフにする制御がなされると共に、反射率可変手段50を第二状態とする制御が行われ、バックライト光源25からの出射光によってバーコードBを照射する構成としている。このようにすれば、周囲照度がある程度の照度以上のときに、照明光源21をオフして消費電力を抑えることができ、バックライト光源25からの出射光による効率的な読み取りが可能となる。
【0064】
また、周囲照度が第三の照度以上である場合、照明光源21をオフにする制御がなされると共に、バックライト光源25をオフにする制御、又は反射率可変手段50を第一状態とする制御が行われる構成としている。即ち、周囲の照度が確保されているときに、照明光源21やバックライト光源25からの光を用いずに読み取りを行うことができるため、消費電力の抑制効果が極めて高いものとなる。
【0065】
また、受光センサ28が「照度検出手段」として兼用されているため、周囲照度を検出しうる構成を、部品点数の増大を伴うことなく実現できる。
【0066】
また、バックライト光源25からの出射光が、照明光源21からの光と共にバーコードBに向けて照射されたとき、出射光と照明光源21の光との重なる部分が、バックライト光源25の発光色及び照明光源21の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となる。従って、出射光と照明光源21の光との重なる部分に基づいて当該バーコードリーダ1をバーコードBに対して適切な位置に設定しやすく、ひいては読取作業の容易化を効果的に図ることができる。
【0067】
また、出射光を少なくとも前方側に導く状態と、出射光を前方側かつ下方側に導く状態とに切り替えることによって、バックライト光源25からの光を液晶表示器46側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口側へ向かわせる第二状態とに簡易かつ容易に切り替えることができるようになっている。
【0068】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。なお、本実施形態では、電池60及びセンサ62を設けた点、及び設定処理(図4のS3)が第1実施形態と異なるが、それ以外については第1実施形態と同様(特に、図1、図3、図4については同一)である。よって、同様の点については、図1〜図4を適宜参照し、詳細な説明は省略する。
【0069】
本実施形態に係るバーコードリーダも、図1のように、照明光が導出される読取口19側を前方側、読取口19とは反対の奥側を後方側とし、かつ、液晶表示器46による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側としている。液晶表示器46を構成する液晶パネル10の後方側にバックライト光源25が配置されており、前方側に出射光を出射する構成をなしている。そして、図1に示すように、バーコードリーダ1には、上記バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く第一状態と、読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる反射率可変手段50(図3と同一のもの)が設けられている。図1に示すように、バックライト光源25からの出射直後の出射光が向かう延長上には液晶パネル10が配されており、反射率可変手段50は、液晶パネル10とバックライト光源25との間に設けられ、出射光の方向を二方向に切り替えうる構成となっている。
【0070】
本実施形態に係るバーコードリーダ1の読取制御処理は、図4と同様であり、電源が投入されると、デフォルト状態として、バックライト光源25から発せられる出射光を液晶パネル10側に導く状態(第一状態)に設定する(S1)。次いで、当該バーコードリーダ1を、読み取りを行うモード(読取モード)とするか否かを判断する。読取モードとする場合には、S2においてYesに進み、S3の設定処理を行う。S2において読取モードとしないと判断される場合には、読取モードの指示がなされるまで当該読取制御処理は待機状態となる。
【0071】
S3の設定処理は、第1実施形態と異なる方法でなされる。本実施形態では、図7に示すように、少なくとも照明光源21に電力供給する電池60と、電池60の状態を検出するセンサ62(センサ62は、電池状態検出手段の一例に相当する)とを備えており、このセンサ62での検出結果に応じて、照明光源21及びバックライト光源25を制御している。なお、本実施形態でも、制御回路40が、切替制御手段、照明制御手段、光源制御手段の一例に相当している。
【0072】
具体的には、電池60が、リチウムイオン充電池等の二次電池によって構成されており、センサ62(電池状態検出手段)によって検出された電池60の状態が所定の低レベル状態の場合、照明光源21をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように反射率可変手段50を切り替える制御(即ち、反射率可変手段50を、第二状態に切り替える制御)を行い、バックライト光源25からの出射光によって照射対象を照射する。
【0073】
「所定の低レベル状態」としては、様々な設定が考えられるが、例えば、「予め定められた閾値以下の低電圧状態」とする例が挙げられる。この場合、センサ62を、公知の電圧センサによって構成すれば、電池状態の検出を好適に実現できる。即ち、センサ62にて検出された電池60の電圧が閾値以下となった場合に、照明光源21をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように反射率可変手段50を切り替える制御(即ち、反射率可変手段50を、第二状態に切り替える制御)を行い、バックライト光源25からの出射光によって照射対象を照射する。
【0074】
また、「所定の低レベル状態」を、「予め定められた閾値以下の低充電容量状態」としてもよい。この場合、センサ62を公知の充電容量検出装置として構成し、センサ62によって検出された電池60の充電容量が閾値以下となった場合に、照明光源21をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように反射率可変手段50を切り替える制御(即ち、反射率可変手段50を、第二状態に切り替える制御)を行い、バックライト光源25からの出射光によって照射対象を照射する。
【0075】
以上のように、本実施形態の構成によれば、電池60の状態が「所定の低レベル状態」の場合に、照明光源21をオフする制御を行うと共に、出射光を照射対象側に案内するように反射率可変手段50を切り替える制御を行い、バックライト光源25からの出射光によって照射対象を照射する構成としているため、電池60が消耗した状態において消費電力を効果的に抑えることができ、使用時間の長時間化を図ることができる。
【0076】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係るバーコードリーダ100の要部を概念的に説明する説明図である。図9は、図8のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図10は、図8のバーコードリーダ100における読取制御の流れを例示するフローチャートである。なお、本実施形態では、図1の構成に代えて図8の構成を採用した点、図2の構成に代えて、図9の構成を採用した点、図4、図5の制御に代えて、図10の制御を採用した点が第1実施形態と異なっている。なお、図9の構成は、照明光源21に代えて照明手段121を設けた点、及びバックライト光源25を省略した点、及び液晶表示器146の構成が第1実施形態と異なり、それ以外の点は第1実施形態と同様である。よって、同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0077】
図8、図9に示すように、バーコードリーダ100も第1実施形態と同様に、バーコードB(読取対象)からの反射光に基づいて当該バーコードBの情報を読み取る光学的情報読取装置として構成されており、液晶パネル110を備えた液晶表示器146を備えている。液晶パネル110は、公知の積層構造を採るものであり、本実施形態では、図8のように液晶層111が2枚のガラス板112,113で挟まれてなり、その両側に偏光板(垂直)114と、偏光板(水平)115とが配された構成とされている。なお、ガラス板には透明電極が配されている。
【0078】
また、液晶表示器146は、側方からバックライト光を照射するサイドライト方式とされており、このバックライト光は、後述のLED122(LED122は「光源」の一例に相当する)から発せられる光によって構成される。具体的には導光部材170(後に詳述)によって導かれた光が導光板117内に進入し、反射板118によって反射されると共に、拡散板116によって拡散され、上方側(外部側)に照射されるようになっている。
【0079】
本実施形態のバーコードリーダ100は、照明手段121を保持するためのホルダ160が設けられており、このホルダ160には、照明手段121を構成するLED122が収容されている。なお、照明手段121は、このLED122とレンズ123とによって構成されており、レンズ123は、ホルダ160外に露出する形態で当該ホルダ160に固定されている。
【0080】
また、ホルダ160には、LED122からの出射光を、バーコードB側(一方側)に導出するための第一導出口161と、液晶パネル110側(他方側)に導出するための第二導出口162とが形成されている。そして、ホルダ160に形成された第二導出口162と、液晶パネル110との間には、第二導出口162から導出される出射光を液晶パネル110側(他方側)に案内する導光部材170が設けられている。導光部材170は、例えば導光板117と同様の材質(例えばアクリル材やポリカーボネイト材など)によって構成されており、ホルダ160内にその一端側が配されて、LED122から出射した光を取り込むと共に、ホルダ160内から進入した光(即ち、LED122からの出射光)が液晶パネル110側に導かれるように配置されている。なお、導光部材170の一方の端部側はホルダ160に固定(例えば接着テープやねじ等の締結部材を用いた固定)されており、他方の端部側は液晶パネル110側に固定(同様に、接着テープやねじ等の締結部材を用いた固定)されている。
【0081】
導光部材170における液晶パネル110側の端部は、液晶パネル110内に配されており、この液晶パネル110の内部には、当該端部から導出された光を反射して導光板117側に導くための反射部119が設けられている。反射部118は、導光板117と対向する第一反射部119aと、導光部材170の端部と対向する第二反射部119bとからなり、導光部材170から導出された光の少なくとも一部が反射部119の反射面で反射され、導光板117の側部から進入するようになっている。
【0082】
また本実施形態のバーコードリーダ100には、第1実施形態と同様の構成(図3参照)をなす、反射率可変手段50(切替手段)が設けられており、LED122から発せられる出射光を液晶パネル110側に導く反射状態(本実施形態では反射状態が「第一状態」に相当する)と、出射光をバーコードB側に導く透過状態(本実施形態では、透過状態が「第二状態」に相当する)と、で切り替わる構成をなしている。この反射率可変手段50は、LED122とレンズ123の間に(具体的には第一導出口161を閉塞する形態で)配されており、LED122からの出射光を第一導出口161から導出させる第一案内状態(即ち、透過状態)と、出射光を反射させて第二導出口162側に導く第二案内状態(即ち反射状態)とで切り替わる構成となっている。つまり、反射率可変手段50が第二案内状態(透過状態)となったときには、LED122からの光が当該反射率可変手段50を透過すると共にレンズ123を透過して外部に導かれ、バーコードBに光を照射しうることとなる。
【0083】
一方、反射率可変手段50が第一案内状態(反射状態)となったときには、LED122からの光が当該反射率可変手段50で反射されて、少なくともその一部が導光部材170内に進入することとなる。また、ホルダ160の内壁面165は、LED122からの直接の、又は間接的な出射光を反射する反射面とされており、LED122から直接照射される光、或いは反射率可変手段50で反射される光などが当該内壁面165で反射されて導光部材170に導かれやすくなっている。
【0084】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、図9に示す制御回路40が、反射率可変手段50の切り替えを制御する「切替制御手段」として機能している。この制御回路40の制御により反射率可変手段50が反射状態(第一状態)に切り替えられたときは、LED122から発せられる出射光が上述のように導光部材170によって導かれて液晶表示器146のバックライト光とされ、反射率可変手段50が透過状態(第二状態)に切り替えられたときは、LED122からの出射光がバーコードBに対する照明光とされる構成となっている。
【0085】
次に、バーコードリーダ100における読取制御処理について説明する。
図10に示すように、本実施形態に係るバーコードリーダ100では、電源が投入されると、デフォルト状態として、LED122から発せられる出射光を液晶パネル110側に導く状態(第一状態)に設定する(S1)。具体的には上述のように、制御回路40の制御により反射率可変手段50を反射状態に設定し、LED122からの光を導光部材170を介して液晶パネル110側に導くこととなる。
【0086】
次いで、LED122の照度を第一照度状態に設定する。この第一照度状態は、LED122が後述する第二照度状態よりも暗くなる状態であり、駆動回路29からLED122に与える出力電流を、後述する第二照度状態のときよりも抑えることで当該第一照度状態を実現する(S110)。なお、制御回路40から駆動回路29に対しては、当該第一照度状態とする旨の制御信号が与えられる。
【0087】
次いで、当該バーコードリーダ100を、読み取りを行うモード(読取モード)とするか否かを判断する。例えばユーザから読み取りを行う旨の指示(例えば、操作手段に対する所定操作)がなされ、読取モードとする場合には、S120においてYesに進み、S130の設定処理を行う。S120において読取モードとしないと判断される場合には、読取モードの指示がなされるまで当該読取制御処理は待機状態となる。
【0088】
S120にて読取モードにすると判断される場合には、LED122から発せられる出射光をバーコードB側に導く状態(第二状態)に設定する(S130)。具体的には上述のように、制御回路40の制御により反射率可変手段50を透過状態に設定し、LED122からの光をレンズ123を介してバーコードB側に導くこととなる。
【0089】
その後、S140にてLED122の照度を第二照度状態に設定する。この第二照度状態は、LED122が上述の第一照度状態よりも明るくなる状態であり、駆動回路29からLED122に与える出力電流を、上述の第一照度状態のときよりも大きく設定することで当該第二照度状態を実現する(S140)。なお、制御回路40から駆動回路29に対しては、当該第二照度状態とする旨の制御信号が与えられる。S140の設定が終了した後、S150の読取動作を行い、読取動作が完了する場合にはS160にてYesに進み、完了しない場合にはS150の読取動作を継続することとなる。
【0090】
本実施形態では、バーコードリーダ100が、読取動作を行う読取モードであるか(読取モードは「第一モード」に相当する)、読取動作を行わないモードであるか(読取モード以外のモードは第二モードに相当する)をS120にて判断しており、読取モード(即ち第一モード)と判断されたとき、LED122から発せられる出射光が、読取動作を行わないモード(即ち第二モード)のときよりも明るく設定されるように、LED122が制御される。なお、制御回路40は、判断手段、切替制御手段、照明制御手段、光源制御手段の一例に相当している。
【0091】
なお、バーコードリーダ100では、照明光が導出される読取口側(図8の+X側)を前方側、読取口とは反対の奥側(図8の−X側)を後方側とし、かつ、液晶表示器110による表示側(図8の+Y側)を上方側、表示側とは反対側(図8の−Y側)を下方側としており、「光源」に相当するLED122は、液晶表示器146の下方側に設けられている。「切替手段」に相当する反射率可変手段50は、第一状態において、LEDからの出射光が上方側に導かれるように設定(具体的には、LED122からの出射光がレンズ123側に向かわずに、直接又は反射率可変手段50や内壁面165を介して間接的に導光部材170内に導かれ、当該導光部材170によって上方側に導かれるように設定)される。また、第二状態においては、LED122からの出射光が前方側に導かれるように透過状態に設定される。なお、図8では、読取口の図示は省略しているが、例えば、レンズ123の前方側(+X側)、もしくは前方側かつ下方側(+X側かつ−Y側)に配する構成とすることができる。
【0092】
以上のように、本実施形態の構成によれば、単一のLED122から発せられる光をバックライト光としても、照明光としても利用できるため、消費電力を効果的に抑えることができる。また、反射率可変手段50によって、LED122から発せられる出射光を液晶表示器46のバックライト光とする第一状態と、バーコードBに対する照明光とする第二状態とで切り替えることができるため、それぞれの状態において、照射対象物に対し適切な照度をもって光を照射できる。
【0093】
特に、従来では、液晶表示器のバックライト光源と読取用の照明光源とを別々に構成していたため、部品点数が多くなると共に、両光源にそれぞれ駆動電流が必要であり、消費電力量が増える傾向にあったが、本実施形態の構成では、単一の光源によって両機能を実現しているため、消費電力量を効果的に抑えることができる。なお、本実施形態では、第二状態においてLED122からの光を読取口側(即ちバーコード側)に導くようにしているが、このときに第一導出口161から導出されずに導光部材170側に漏洩する光を液晶表示器146のバックライト光とする構成であってもよい。
【0094】
また、「切替手段」が、LED122からの出射光を透過させる透過状態と、透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段50からなるため、装置構成の大型化、複雑化を伴うことなく光の切り替えを良好に行うことができる。
【0095】
さらに、「光源」に相当するLED122をホルダ160によって安定的に保持できると共に、読み取りの際にはLED122からの出射光を読取対象側に良好に導くことができ、液晶表示の際には出射光を液晶表示器146側に良好に導くことができる。従って、消費電力を効果的に抑えることができ、また、照明光及びバックライト光のいずれにおいても適切な光量を確保しやすいため、、読取動作及び液晶表示をいずれも好適に実現できることとなる。
【0096】
また、ホルダ160の内壁面165が、出射光を反射する反射面とされているため、LED122からの出射光が第一導出口161或いは第二導出口162にて導出されるまでの損失が効果的に抑えられる。
【0097】
また、LED122からの出射光を上方側に導く状態と、出射光を前方側に導く状態とに切り替える構成を用いているため、LED122からの光を液晶表示器146側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口側へ向かわせる第二状態とで切り替えうる構成を簡易かつ小型構成にて実現できる。
【0098】
また、読取動作の際にはLED122から発せられる出射光が明るく設定されるため読み取りを良好に行うことができる。また、読取動作を行わないときには、LED122の出射光の光量を抑えてバックライト光として用いているため、液晶表示を好適に行うと共に、消費電力の抑制を図ることができる。
【0099】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0100】
上記実施形態では、反射率可変手段50によって切替手段を構成したが、切替手段の構成はこの例に限られない。例えば、図8の構成に代えて、図11のような構成を用いてもよい。図11の構成は、切替手段以外は第三実施形態の構成であり、図11の例では、「切替手段」の一例として変位可能なシャッタ部材250を用いている。このシャッタ部材250は、アクチュエータ251(図11では破線で図示)に駆動されることで、第一導出口161を閉塞する第一変位(図11の実線位置)と、開放する第二変位(図11の一点鎖線250'の位置)とに切り替わるものであり、かつ壁面252が反射面とされるものである。アクチュエータ251は、制御回路40の制御に応じてシャッタ部材250を第一変位と第二変位とに変化させうるものであれば様々なものを適用でき、その一例としては、ステッピングモータやソレノイド機構などが上げられる。この場合、シャッタ部材250が第一変位とされる状態が「第一状態」に相当し、第三実施形態において反射率可変手段50が反射状態となる場合と同様に、LED122から発せられる出射光が液晶パネル110側に導かれることとなる。また、シャッタ部材250が第二変位とされる状態が「第二状態」に相当し、第三実施形態において反射率可変手段50が透過状態となる場合と同様に、LED122から発せられる出射光がレンズ123側に導かれ、ひいてはバーコード側に導かれることとなる。
【0101】
また、図1の構成に代えて、同様のシャッタ部材を用いるようにしてもよい。図12ではその一例を示しており、図12(a)の構成は、反射率可変手段50(図1)に代えて反射面352を有するシャッタ部材350を設けた点のみが図1と異なっている。この例では、シャッタ部材350が、図11と同様のアクチュエータ351によって駆動され、図12(b)に示す第一状態と、図12(c)に示す第二状態とに変位しうる構成となっており、第一状態(即ち、第一変位)では、バックライト光源25からの出射光がシャッタ部材350によって反射されずに液晶パネル10側に導かれることとなる。また、第二状態(即ち第二変位)では、バックライト光源25からの光がシャッタ部材350の反射面352にて反射されて図12(a)の一点鎖線のように読取口19側に導かれることとなる。
【0102】
また、第3実施形態では、周囲照度の検出について触れてはいないが、図8、図9の構成についても、周囲照度を検出する構成とし、周囲照度に応じて読み取りの際のLED122の設定を変更するようにしてもよい。例えば、第3実施形態では、読取モードの際には一律に第二照度状態に設定していたが(図10のS140参照)、このように周囲照度を検出する場合、周囲照度が一定の閾値を超える明るい場合に、第一照度状態のまま読取動作を行うといった制御も可能である。
【0103】
また、第3実施形態でも、第2実施形態と同様に電池状態を検出する構成とし、電池状態に応じて読み取りの際のLED122の設定を変更するようにしてもよい。例えば、第3実施形態では、読取モードの際に一律に第二照度状態に設定していたが(図10のS140参照)、このように電池状態を検出する場合、電池状態が所定の低レベル状態(例えば、電池容量が一定の閾値以下の状態等)の場合においては、第一照度状態のまま読取動作を行い、省力化を図るといった制御も可能である。
【0104】
また、第1実施形態では、受光センサ28を「照度検出手段」として兼用していたが、受光センサ28とは別に照度センサを設け、この照度センサによって周囲照度を検出する構成としてもよい。
【0105】
また、第1実施形態では、バックライト光源25の前方側に液晶パネル110を配置し、反射率可変手段50により、バックライト光源25からの出射光を前方側に導く状態と、当該出射光を前方側かつ下方側に導く状態とで切り替える構成を採用し、バックライト光源25からの光を液晶表示器46側へ向かわせる第一状態と、当該光を読取口19側へ向かわせる第二状態とで切り替えていたが、配置構成はこれに限定されない。例えば、バックライト光源25を液晶表示器46の後方側かつ下方側に配置し、バックライト光源25と液晶表示器46との間において、液晶表示器46の後方側かつ下方側に反射率可変手段50を配置してもよい。この場合、第一状態において、出射光が前方側かつ上方側に導かれ、第二状態において、出射光が前方側かつ下方側に導かれるように反射率可変手段50を構成することで、液晶表示器46側への案内と、読取口19側への案内とを好適に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、本発明の光学的情報読取装置の第1実施形態に係るバーコードリーダ1の要部を概念的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、反射率可変手段の構成を例示するものであり、図3(a)は、反射率可変手段が透過状態とされる例を示し、図3(b)は、反射状態とされる例を示すものである。
【図4】図4は、図1のバーコードリーダ1における読取制御の流れを例示するフローチャートである。
【図5】図5は、光源及び照明手段の設定処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図6は、周囲照度と、光源及び照明手段の設定との関係を説明する説明図である。
【図7】図7は、第2実施形態のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図8】図8は、第3実施形態に係るバーコードリーダ100の要部を概念的に説明する説明図である。
【図9】図9は、図8のバーコードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図10】図10は、図8のバーコードリーダ100における読取制御の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図11は、図8の別例を示す説明図である。
【図12】図12は、図1の別例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0107】
1,100…バーコードリーダ(光学的情報読取装置)
10…液晶パネル
21…照明光源(照明手段)
25…バックライト光源(光源)
28…受光センサ(照度検出手段)
40…制御回路(切替制御手段、照明制御手段、光源制御手段、判断手段)
50…反射率可変手段(切替手段)
60…電池
62…センサ(電池状態検出手段)
122…LED(光源)
160…ホルダ
161…第一導出口
162…第二導出口
170…導光部材
B…バーコード(読取対象)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象からの反射光に基づいて前記読取対象の情報を読み取る光学的情報読取装置であって、
液晶パネルを備えた液晶表示器と、
光源と、
前記光源から発せられる出射光を前記液晶パネル側に導く第一状態と、前記出射光を前記読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる切替手段と、
前記切替手段の切り替えを制御する切替制御手段と、
を備え、
前記切替制御手段の制御により前記切替手段が前記第一状態に切り替えられたとき、前記光源から発せられる前記出射光が前記液晶表示器のバックライト光とされ、前記第二状態に切り替えられたとき、前記出射光が前記読取対象に対する照明光とされることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記切替手段は、前記光源からの前記出射光を透過させる透過状態と、前記透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段からなることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記読取対象に対して光を出射する照明手段と、
前記照明手段を制御する照明制御手段と、
を備え、
前記照明制御手段及び前記切替制御手段の制御により、前記光源からの前記出射光を、前記照明手段からの光に代えて、又は前記照明手段からの光と共に前記読取対象に照射することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
少なくとも前記照明手段に電力供給する電池と、
前記電池の状態を検出する電池状態検出手段と、
を備え、
前記電池状態検出手段によって検出された前記電池の状態が所定の低レベル状態の場合、
前記照明制御手段により、前記照明手段をオフする制御を行うと共に、
前記切替制御手段により、前記出射光を前記照射対象側に案内するように前記切替手段を切り替える制御を行い、前記光源からの前記出射光によって前記照射対象を照射することを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
周囲照度を検出する照度検出手段を備え、
前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第一の照度以上である場合、
光源制御手段により前記光源をオフにする制御、又は前記切替制御手段により前記切替手段を前記第一状態とする制御が行われ、
前記照明手段からの光によって前記読取対象を照射することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
周囲照度を検出する照度検出手段を備え、
前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第二の照度以上である場合、
前記照明制御手段により前記照明手段をオフにする制御がなされると共に、
前記切替制御手段により前記切替手段を前記第二状態とする制御が行われ、
前記光源からの前記出射光によって前記読取対象を照射することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
周囲照度を検出する照度検出手段を備え、
前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第三の照度以上である場合、
前記照明制御手段により前記照明手段をオフにする制御がなされると共に、
光源制御手段により前記光源をオフにする制御、又は前記切替制御手段により前記切替手段を前記第一状態とする制御が行われることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記読取対象からの前記反射光を受光する受光センサを備えると共に、当該受光センサが前記照度検出手段として兼用されていることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記光源の発光色と、前記照明手段の発光色とが異なっており、
前記光源からの前記出射光が、前記照明手段からの光と共に前記読取対象に向けて照射されたとき、前記出射光と前記照明手段の光との重なる部分が、前記光源の発光色及び前記照明手段の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となることを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項10】
当該光学的情報読取装置において、前記照明光が導出される読取口側を前方側、前記読取口とは反対の奥側を後方側とし、かつ、前記液晶表示器による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側とした場合、
前記光源は、前記液晶表示器よりも後方側に設けられて前方側に前記出射光を出射する構成をなし、
前記読取口は、前記液晶表示器に対して前方側かつ下方側に設けられており、
前記切替手段は、前記第一状態において、前記出射光が少なくとも前方側に導かれるように設定され、前記第二状態において、前記出射光が前方側かつ下方側に導かれるように設定されることを特徴とする請求項3から請求項9のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項11】
前記光源を内部に収容するホルダを備え、
前記ホルダは、前記光源からの前記出射光を、前記読取対象及び前記液晶パネルのいずれか一方側に導出するための第一導出口と、他方側に導出するための第二導出口と、が形成され、
前記切替手段は、前記出射光を前記第一導出口から導出させる第一案内状態と、前記出射光を反射させて前記第二導出口側に導く第二案内状態とで切り替わる構成をなしており、
更に、前記第二導出口から導出された前記出射光を前記他方側に案内する導光部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項12】
前記ホルダの内壁面が、前記出射光を反射する反射面とされていることを特徴とする請求項11に記載の光学的情報読取装置。
【請求項13】
当該光学的情報読取装置において、前記照明光が導出される読取口側を前方側、前記読取口とは反対の奥側を後方側とし、かつ、前記液晶表示器による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側とした場合、
前記光源は、前記液晶表示器の下方側に設けられ、
前記読取口は、前記液晶表示器に対して少なくとも前方側に設けられており、
前記切替手段は、前記第一状態において、前記出射光が上方側に導かれるように設定され、前記第二状態において、前記出射光が前方側に導かれるように設定されることを特徴とする請求項11又は請求項12のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項14】
当該光学的情報読取装置が、前記読取対象の読取動作を行う第一モードであるか、読取動作を行わない第二モードであるかを判断する判断手段を備え、
前記判断手段によって前記第一モードと判断されたとき、前記光源から発せられる前記出射光が前記第二モードのときよりも明るく設定されるように、光源制御手段により前記光源が制御されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項1】
読取対象からの反射光に基づいて前記読取対象の情報を読み取る光学的情報読取装置であって、
液晶パネルを備えた液晶表示器と、
光源と、
前記光源から発せられる出射光を前記液晶パネル側に導く第一状態と、前記出射光を前記読取対象側に導く第二状態と、で切り替わる切替手段と、
前記切替手段の切り替えを制御する切替制御手段と、
を備え、
前記切替制御手段の制御により前記切替手段が前記第一状態に切り替えられたとき、前記光源から発せられる前記出射光が前記液晶表示器のバックライト光とされ、前記第二状態に切り替えられたとき、前記出射光が前記読取対象に対する照明光とされることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記切替手段は、前記光源からの前記出射光を透過させる透過状態と、前記透過状態よりも反射率の高い反射状態と、で切り替わる反射率可変手段からなることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記読取対象に対して光を出射する照明手段と、
前記照明手段を制御する照明制御手段と、
を備え、
前記照明制御手段及び前記切替制御手段の制御により、前記光源からの前記出射光を、前記照明手段からの光に代えて、又は前記照明手段からの光と共に前記読取対象に照射することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
少なくとも前記照明手段に電力供給する電池と、
前記電池の状態を検出する電池状態検出手段と、
を備え、
前記電池状態検出手段によって検出された前記電池の状態が所定の低レベル状態の場合、
前記照明制御手段により、前記照明手段をオフする制御を行うと共に、
前記切替制御手段により、前記出射光を前記照射対象側に案内するように前記切替手段を切り替える制御を行い、前記光源からの前記出射光によって前記照射対象を照射することを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
周囲照度を検出する照度検出手段を備え、
前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第一の照度以上である場合、
光源制御手段により前記光源をオフにする制御、又は前記切替制御手段により前記切替手段を前記第一状態とする制御が行われ、
前記照明手段からの光によって前記読取対象を照射することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
周囲照度を検出する照度検出手段を備え、
前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第二の照度以上である場合、
前記照明制御手段により前記照明手段をオフにする制御がなされると共に、
前記切替制御手段により前記切替手段を前記第二状態とする制御が行われ、
前記光源からの前記出射光によって前記読取対象を照射することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
周囲照度を検出する照度検出手段を備え、
前記照度検出手段によって検出された前記周囲照度が第三の照度以上である場合、
前記照明制御手段により前記照明手段をオフにする制御がなされると共に、
光源制御手段により前記光源をオフにする制御、又は前記切替制御手段により前記切替手段を前記第一状態とする制御が行われることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記読取対象からの前記反射光を受光する受光センサを備えると共に、当該受光センサが前記照度検出手段として兼用されていることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記光源の発光色と、前記照明手段の発光色とが異なっており、
前記光源からの前記出射光が、前記照明手段からの光と共に前記読取対象に向けて照射されたとき、前記出射光と前記照明手段の光との重なる部分が、前記光源の発光色及び前記照明手段の発光色とは異なる混合色とされ、読取位置の目安となることを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項10】
当該光学的情報読取装置において、前記照明光が導出される読取口側を前方側、前記読取口とは反対の奥側を後方側とし、かつ、前記液晶表示器による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側とした場合、
前記光源は、前記液晶表示器よりも後方側に設けられて前方側に前記出射光を出射する構成をなし、
前記読取口は、前記液晶表示器に対して前方側かつ下方側に設けられており、
前記切替手段は、前記第一状態において、前記出射光が少なくとも前方側に導かれるように設定され、前記第二状態において、前記出射光が前方側かつ下方側に導かれるように設定されることを特徴とする請求項3から請求項9のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項11】
前記光源を内部に収容するホルダを備え、
前記ホルダは、前記光源からの前記出射光を、前記読取対象及び前記液晶パネルのいずれか一方側に導出するための第一導出口と、他方側に導出するための第二導出口と、が形成され、
前記切替手段は、前記出射光を前記第一導出口から導出させる第一案内状態と、前記出射光を反射させて前記第二導出口側に導く第二案内状態とで切り替わる構成をなしており、
更に、前記第二導出口から導出された前記出射光を前記他方側に案内する導光部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項12】
前記ホルダの内壁面が、前記出射光を反射する反射面とされていることを特徴とする請求項11に記載の光学的情報読取装置。
【請求項13】
当該光学的情報読取装置において、前記照明光が導出される読取口側を前方側、前記読取口とは反対の奥側を後方側とし、かつ、前記液晶表示器による表示側を上方側、表示側とは反対側を下方側とした場合、
前記光源は、前記液晶表示器の下方側に設けられ、
前記読取口は、前記液晶表示器に対して少なくとも前方側に設けられており、
前記切替手段は、前記第一状態において、前記出射光が上方側に導かれるように設定され、前記第二状態において、前記出射光が前方側に導かれるように設定されることを特徴とする請求項11又は請求項12のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項14】
当該光学的情報読取装置が、前記読取対象の読取動作を行う第一モードであるか、読取動作を行わない第二モードであるかを判断する判断手段を備え、
前記判断手段によって前記第一モードと判断されたとき、前記光源から発せられる前記出射光が前記第二モードのときよりも明るく設定されるように、光源制御手段により前記光源が制御されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−287647(P2008−287647A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134072(P2007−134072)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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