説明

光学的情報読取装置

【課題】所定モードと消費電力を抑える省力モードとに切り替え可能な光学的情報読取装置において、動作状態から非動作状態への変化、又は非動作状態から動作状態への変化を、複雑な作業を伴うことなく精度高く検出し得る構成を提供する。
【解決手段】光学的情報読取装置1は、ケース2内に受光センサ23が収容された構成をなし、ケース2の一端側に情報コードからの反射光を受光センサ23に導く読取口5が形成されている。更に、ケース2の読取口5側に第1光量センサ61が設けられ、読取口5とは異なる側に第2光量センサ62が設けられており、第1光量センサ61によって検出された第1光量と、第2光量センサ62によって検出された第2光量とを比較した比較結果の変化に基づいて所定モード(第1モード)と省電力モード(第2モード)とを切り替えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコードリーダ等の光学的情報読取装置は、様々な電気部品を用いて構成されるものであり、一般的に省力化が課題とされている。この種の光学的情報読取装置の省力化を図る方法としては、例えば、読み取り操作を行わないときに照明光源をオフ状態若しくは間欠駆動状態としたり、或いはCPUをスリープ状態とするといった方法が用いられている。
【特許文献1】特開平7−55555
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように非動作状態となったことを検知して省力モードに移行する構成とすると、装置全体の省力化を図る上で好ましいが、非動作状態から動作状態への変化、又は動作状態から非動作状態への変化を迅速かつ正確に検出する必要があり、他方、その検出に際して複雑な作業を伴うことは作業性の面で好ましくない。
【0004】
従来においては、光学的情報読取装置の省力化に関し、このような要請に適切に応えうる構成は提供されておらず、現在、このような課題を効果的に解消しうる構成が求められている。
【0005】
なお、本発明に関連する技術として特許文献1のようなものがある。特許文献1は、上記課題を解決しようとするものではなく、本発明とは大きく異なるものであるが、特許文献1と本発明の差異等については後に詳述する。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、所定モードと消費電力を抑える省力モードとに切り替え可能な光学的情報読取装置において、動作状態から非動作状態への変化、又は非動作状態から動作状態への変化を、複雑な作業を伴うことなく精度高く検出し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、情報コードを撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記情報コードの画像に基づいてデコードを行うデコード手段と、前記撮像手段を収容すると共に、前記情報コードからの反射光を前記撮像手段に導く読取口が形成されたケースと、を備えた光学的情報読取装置であって、前記ケースの前記読取口側に取り付けられた第1光量検出手段と、前記ケースの前記読取口とは異なる側に取り付けられた第2光量検出手段と、前記第1光量検出手段によって検出された第1光量と、前記第2光量検出手段によって検出された第2光量とを比較する比較手段と、所定の第1モードと、前記第1モードのときよりも当該光学的情報読取装置の消費電力を抑える第2モードとを切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段は、前記比較手段の比較結果の変化に基づいて前記第1モードと前記第2モードとを切り替えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記ケースは、前記読取口が所定方向に向いた構成をなしており、前記第1光量検出手段は、前記読取口が向く側を下方側とし、それとは反対側を上方側としたときの前記ケースの下方側に配置され、前記第2光量検出手段は、前記第1光量検出手段よりも上方側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置において、前記第1光量検出手段は、前記ケース内における前記読取口から前記撮像手段に連通する導光路に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記撮像手段は、前記反射光を受光する受光センサを有してなり、前記第1光量検出手段は前記受光センサとは異なる受光素子によって構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記撮像手段は、前記反射光を受光する受光センサを有してなり、前記第1光量検出手段は前記受光センサによって兼用されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学的情報読取装置において、前記読取口に向けて照明光を照射する照明手段と、前記第1モードにおいて前記照明手段について第1の点灯制御を行い、前記第2モードにおいて、前記第1の点灯制御よりも消費電力を抑えた第2の点灯制御又は前記照明手段の点灯中止を行う点灯制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第2光量よりも前記第1光量のほうが大きい第1光量増加状態から、前記第1光量よりも前記第2光量のほうが大きい第2光量増加状態に変化したことを示す場合に、前記第2モードから前記第1モードに切り替えることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載の光学的情報読取装置において、前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第1光量増加状態から前記第2光量増加状態に変化したことを示し、かつ前記第2光量増加状態が一定時間維持された場合に、前記第2モードから前記第1モードに切り替えることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第1光量よりも前記第2光量のほうが大きい第2光量増加状態から、前記第2光量よりも前記第1光量のほうが大きい第1光量増加状態に変化したことを示し、かつ前記デコード手段によるデコード不成功期間が一定期間に達した場合に前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記撮像手段は、前記反射光を受光する複数の受光素子からなる受光センサを有し、前記第1光量検出手段は前記受光センサによって兼用されており、前記比較手段は、複数の前記受光素子の各受光光量の平均値を前記第1光量として、当該第1光量と前記第2光量とを比較することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第1光量よりも前記第2光量のほうが大きい第2光量増加状態から、前記第2光量よりも前記第1光量のほうが大きい第1光量増加状態に変化したことを示す場合に、前記第2モードから前記第1モードに切り替えることを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項11に記載の光学的情報読取装置において、前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第2光量増加状態から前記第1光量増加状態に変化したことを示し、かつ前記第1光量増加状態が一定時間維持された場合に前記第2モードから前記第1モードに切り替えることを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項1から請求項6、請求項11、請求項12のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第2光量よりも前記第1光量のほうが大きい第1光量増加状態から、前記第1光量よりも前記第2光量のほうが大きい第2光量増加状態に変化したことを示し、かつ前記デコード手段によるデコード不実施期間が一定期間に達した場合に前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明は、読取口側に第1光量検出手段が取り付けられ、読取口とは異なる側に第2光量検出手段が取り付けられている。更に、第1光量検出手段によって検出された第1光量と、第2光量検出手段によって検出された第2光量とを比較し、その比較結果の変化に基づいて第1モードと第2モード(第1モードのときよりも消費電力を抑えたモード)とを切り替えている。このようにすると、載置状態から把持状態、或いは把持状態から載置状態に変化したことを、2位置の光量比較結果の変化に基づいて迅速かつ的確に把握でき、その比較結果の変化をトリガとすることで、作業者に複雑な操作やこまめな操作を強いることなくモードを適切に切り替えることができる。
【0021】
なお、周囲光を検出し、その検出結果をバーコードリーダの制御に用いようとする従来技術として特許文献1のようなものがある。特許文献1の技術は、周囲光を検出するという点では本発明と類似するが、所定位置に入射する周囲光の光量を予め決められた値(所定値)と比較して周囲光変化を検出する構成であるため、本発明のように2位置の光量を比較して操作状態の変化を把握しようとする構成とは構成が大きく異なり、上記のような本発明特有の効果は得られない。
【0022】
また、特許文献1の技術では、周囲の明るさが異なる様々な場所で使用しにくいという問題がある。例えば、周囲光量が常に所定値以下となるような場所では周囲光変化が検出できず、使用場所に応じて上記所定値をその都度設定変更して対応しようとしても、設定作業の負担増大は避けられない。これに対し、本発明は、装置内の所定位置で得られる周囲光量を所定値と比較するのではなく、距離を隔てた2位置の光量を取得してその比較結果の変化をモード切替のトリガとしている。従って、明るさが異なる様々な場所において特別な設定変更作業を要することなく装置状態の変化(操作状態の変化)を迅速且つ的確に検出でき、モード切替を良好に行うことができる。
【0023】
請求項2の発明は、読取口が向く側を下方側とし、それとは反対側を上方側としたときのケースの下方側に第1光量検出手段が配置され、第2光量検出手段が第1光量検出手段よりも上方側に配置されている。このようにすると、ケース下方側を載置面に向けて載置する休止形態、或いはケース上方側を載置面に向けて載置する休止形態のいずれの場合においても、載置状態(休止状態)から把持状態へ変化したときに、第1光量と第2光量との比較結果が変化しやすくなる。従って、本発明に係る装置が作業者によって使用されようとする状態(把持状態)を迅速且つ的確に把握して、当該装置を第2モードから復帰させることができる。
【0024】
請求項3の発明は、読取口から撮像手段に連通する導光路に第1光量検出手段が設けられている。このように、導光路に第1光量検出手段を設けると、読取口の位置、向きに応じて第1光量が大きく変化しやすくなるため、装置が載置状態から把持状態に変化したときに第1光量と第2光量との比較結果がより一層変化しやすくなる。
【0025】
請求項4の発明は、撮像手段が受光センサを有し、第1光量検出手段がこの受光センサとは異なる受光素子によって構成されている。このようにすると、受光センサの動作状態に依存することなく第1光量を検出できる。
【0026】
請求項5の発明は、撮像手段が反射光を受光する受光センサを有し、第1光量検出手段がこの受光センサによって兼用されている。このようにすると、部品点数を抑えることができ、装置構成の簡素化を図りやすくなる。
【0027】
請求項6の発明は、第1モードにおいて照明手段に対し第1の点灯制御を行い、第2モードにおいて、第1の点灯制御よりも消費電力を抑えた第2の点灯制御又は照明手段の点灯中止を行うように構成されている。このようにすると、第1モードにおいて良好に読み取りを行うことができ、第2モードにおいては、効果的に省電力化を図ることができる。そして、このように定められる第1モード及び第2モードを、2つの光量検出手段の比較結果に基づいて適切なタイミングで切り替えることができ、読み取り作業性の向上、及び省電力化を共に良好に実現できる。
【0028】
請求項7の発明は、第1光量増加状態(第2光量よりも第1光量のほうが大きい状態)から、第2光量増加状態(第1光量よりも第2光量のほうが大きい状態)に変化した場合に第2モードから第1モードに切り替えている。このようにすると、読取口を上方側に向けて載置する休止方法が採られる場合に、休止状態(載置状態)から把持状態への変化を迅速且つ的確に検出でき、休止状態(載置状態)にある装置が使用者によって把持されたときに迅速に省電力モード(第2モード)から復帰できるようになる。
【0029】
請求項8の発明は、比較結果が第1光量増加状態から第2光量増加状態に変化したことを示し、かつ第2光量増加状態が一定時間維持された場合に、第2モードから第1モードに切り替えている。このようにすると、読取口を上方に向けて載置する休止方法が採られる場合において、載置状態のときにノイズ等の影響によって第1モードに復帰してしまうことを効果的に防止でき、より一層の省電力化を測ることができる。
【0030】
請求項9の発明は、比較結果が第2光量増加状態(第1光量よりも第2光量のほうが大きい状態)から第1光量増加状態(第2光量よりも第1光量のほうが大きい状態)に変化したことを示し、かつデコード手段によるデコード不成功期間が一定期間に達した場合に第1モードから第2モードに切り替えている。比較結果が上記のような結果となり、かつデコード不成功期間が一定期間に達した場合、読取口を上方に向けて載置された載置状態(休止状態)となった可能性が高く、このような場合に第2モードに切り替える構成とすれば、休止状態を迅速且つ適切に検出して省電力化を効果的に実現できる。
【0031】
請求項10の発明は、反射光を受光する複数の受光素子からなる受光センサを有し、第1光量検出手段がこの受光センサによって兼用されている。そして、複数の受光素子の各受光光量の平均値を第1光量として、当該第1光量と第2光量とを比較している。このようにすると、ノイズに起因する比較結果の変化を効果的に防ぐことができ、各光量検出手段の配置位置の光量変化をより適切に反映した比較結果を得ることができる。
【0032】
請求項11の発明は、比較結果が第2光量増加状態(第1光量よりも第2光量のほうが大きい状態)から第1光量増加状態(第2光量よりも第1光量のほうが大きい状態)に変化したことを示す場合に第2モードから第1モードに切り替えている。このようにすると、読取口を下方に向けた状態で載置する休止方法が採られる場合に、休止状態(載置状態)から把持状態への変化を迅速且つ的確に検出でき、休止状態(載置状態)にある装置が使用者によって把持されたときに迅速に省電力モード(第2モード)から復帰できるようになる。
【0033】
請求項12の発明は、比較結果が第2光量増加状態から第1光量増加状態に変化したことを示し、かつ第1光量増加状態が一定時間維持された場合に第2モードから第1モードに切り替えている。このようにすると、読取口を下方に向けて載置する休止方法が採られる場合において、載置状態のときにノイズ等の影響によって第1モードに復帰してしまうことを効果的に防止でき、より一層の省電力化を測ることができる。
【0034】
請求項13の発明は、比較結果が第1光量増加状態から第2光量増加状態に変化したことを示し、かつデコード手段によるデコード不実施期間が一定期間に達した場合に第1モードから第2モードに切り替えている。比較結果が上記のような結果となり、かつデコード不成功期間が一定期間に達した場合、読取口を下方に向けて載置された載置状態(休止状態)となった可能性が高く、このような場合に第2モードに切り替える構成とすれば、休止状態を迅速且つ適切に検出して省電力化を効果的に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る光学的情報読取装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に示す概略図である。図2は、図1の光学的情報読取装置の電気的構成を例示するブロック図である。図3は、図1の光学的情報読取装置で行なわれる読取処理の流れを例示するフローチャートである。図4(a)は、図1の光学的情報読取装置が使用されていない状態(休止状態)を概略的に例示する説明図であり、図4(b)は、その休止状態から把持状態に変化した様子を概略的に例示する説明図である。図5は、第1光量と第2光量とを比較した比較結果を制御回路が取得するための構成を概略的に例示するブロック図である。
【0036】
まず、図1、図2を参照して全体構成について説明する。
図1、図2に示す光学的情報読取装置1は、一次元コードや二次元コードを読み取る情報コードリーダとして構成されるものである。
【0037】
光学的情報読取装置1は、図1に示すケース2の内部に図2に示す回路部20が収容されてなるものである。ケース2は、上ケース2aと下ケース2bとが結合する形態で全体的に略長手状に構成されており、図1の例では長手方向一端側に照明光や反射光を導通させるための読取口5が形成されている。この読取口5は、ケース2内部と外部とを連通する開口部として構成されており、読取口5付近には、当該読取口5の開口を閉塞する防塵プレート(図示略)が設けられている。また、ケース2は、読取口5が形成される先端部側が、基板18が収容される回路収容部側に対して折れ曲がる形態をなしている。
【0038】
図2に示すように、光学的情報読取装置1は、主に、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示装置46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されている。なお、これらは、基板18に実装あるいはケース2内に内装されている。
【0039】
光学系は、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等から構成されている。照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、赤色のLED21a(図1)とこのLEDの出射側に設けられる集光レンズ(図示略)等によって構成されている。本実施形態では、受光センサ23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、読取口5(図1)を介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。この読取対象物Rは、例えば、包装容器や包装用紙あるいはラベルといった表示媒体に相当するもので、その表面には情報コードQとして例えば二次元コードが印刷されている。
【0040】
受光センサ23は、読取対象物Rや情報コードQに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の受光素子を配列したラインセンサやエリアセンサがこれに相当する。受光センサ23は、読取口5、反射鏡7、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光面23aにて受光する形態で基板18に実装されている。なお、受光センサ23は、「撮像手段」の一例に相当し、情報コードQを撮像するように機能する。
【0041】
フィルタ25は、反射光Lrの波長相当以下の光の通過を許容し、当該波長相当を超える光の通過を遮断し得る光学的なローパスフィルタで、読取口5(図1)と結像レンズ27との間に設けられている。これにより、反射光Lrの波長相当を超える不要な光が受光センサ23に入射することを抑制している。また、結像レンズ27は、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、本実施形態では、読取口5に入射する反射光Lrを集光し、受光センサ23の受光面23aに情報コードQのコード画像を結像するように構成されている。
【0042】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40及びメモリ35を中心として構成され、前述した光学系によって撮像された情報コードQの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。
【0043】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力され、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力され、当該メモリ35の画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0044】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0045】
制御回路40は、光学的情報読取装置1全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるものであり、情報処理機能を有している。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)が接続されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、通信インタフェース48等が接続されている。また、通信インタフェース48には、光学的情報読取装置1の上位システムに相当するホストコンピュータHSTなどを接続することができる。
なお、本実施形態では、制御回路40が「デコード手段」の一例に相当し、受光センサ23(撮像手段)によって撮像された情報コードQの画像に基づいてデコードを行う機能を有する。
【0046】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、電池49からの駆動電力の供給や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0047】
次に、本実施形態の特徴的構成について説明する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置1は、図1に示すようにケース2内に上述の受光センサ23が収容されており、ケース2の一端側には、情報コードQ(図2)からの反射光を受光センサ23に導く上述の読取口5が形成されている。更に、このように構成されるケース2の読取口5側に第1光量センサ61が設けられており、読取口5とは異なる側に第2光量センサ62が設けられている。なお、本実施形態で用いられる第1光量センサ61は、撮像手段を構成する上記受光センサ23とは異なる受光素子によって構成されており、受光センサ23の動作状態に関係なく周囲の光量を検出し得る構成をなしている。
【0048】
第1光量センサ61、第2光量センサ62は、いずれもフォトダイオード等の受光素子によって構成されており、第1光量センサ61は、ケース2の下方側に配置され、第2光量センサ62は、第1光量センサ61よりも上方側に配置されている。なお、明細書全体を通し、ケース2の長手方向を前後方向とし、当該前後方向において読取口が設けられる側を前方側それとは反対側を後方側と定義する。また、長手方向と直交する直交方向に関して読取口が向く側を下方側、当該直交方向においてその下方側とは反対側を上方側を定義する。なお、図1の例では、ケース2の長手方向(前後方向)をX軸方向とし、直交方向(上下方向)をY軸方向として示している。なお、図1の例では、読取口5が横長の開口形態をなしており、その読取口5の長手方向(図1では紙面直交方向)を幅方向とし、当該幅方向及びケース2の長手方向(X軸方向)のいずれにも直交する方向が上下方向とされている。
【0049】
このように定めたとき、第1光量センサ61は、ケース2の下方側に配置され、第2光量センサ62は、第1光量センサ61よりも上方側に配置されており、ケース2上方からの光が第2光量センサ62に受光されやすく、ケース2下方からの光が第1光量センサ61に受光されやすくなっている。
【0050】
また、第1光量センサ61は、ケース2内における読取口5から撮像手段に連通する導光路6に設けられており、読取口5を介して入射する外光を受光する構成をなしている。なお、図1の構成において、照明光源21と第1光量センサ61との間に照明光源21からの光を遮る遮光部を設けるようにしてもよい(例えば一点鎖線63のように配置)。
【0051】
本実施形態に係る光学的情報読取装置1は、上述した構成で第1光量センサ61及び第2光量センサ62が設けられており、第1光量センサ61にて検出された第1光量と、第2光量センサ62にて検出された第2光量との比較結果の変化に基づいてモードの切替を行なうように構成されている。以下の説明では、このようなモード切替制御等について詳述する。
【0052】
図3に示す読取処理は、上記特徴的構成を利用して行なわれるものであり、当該処理開始に伴い、まず照明光源21を点灯する点灯制御を行う(S1)。ここでは、S1の処理開始時に照明光源21が消灯状態であったときには照明光源21の点灯を開始し、S1の処理開始時に既に照明光源21が点灯している場合には、その点灯を継続する。S1の後には画像取得処理を行い(S2)、その取得された画像についてデコード処理を行う(S3)。
【0053】
その後、S3のデコード処理においてデコードが成功したか否かを判断する(S4)。デコードが成功した場合にはS4にてYesに進み、デコード結果出力処理を行う(S9)。S9の後にはS1に戻ってS1以降の処理を繰り返す。
【0054】
一方、S4においてデコードが失敗したと判断された場合にはS4にてNoに進み、一定期間デコードが成功していないか否か(即ちデコード不成功期間が一定期間に達したか否か)を判断する(S5)。デコード不成功期間のカウント開始時点は、当該読取処理開始時点又は前回のデコード成功時点のいずれか遅い時点であり、このカウント開始時点からカウントしたデコード不成功期間が一定期間に達している場合にはS5にてYesに進む。一方、S5においてデコード不成功期間が一定期間に達していないと判断される場合にはS5にてNoに進み、S1以降の処理を繰り返す。なお、デコード不成功期間のカウントは、タイマ回路を設けて行ってもよく、制御回路40内のCPUによって行ってもよい。
【0055】
S5にてYesに進む場合、第1光量センサ61で検出された光量(第1光量)よりも第2光量センサ62で検出された光量(第2光量)のほうが大きい第2光量増加状態から第2光量よりも第1光量のほうが大きい第1光量増加状態に変化したか否か、及びその第1光量増加状態が一定時間以上維持されたか否かを判断する(S6)。
【0056】
本実施形態に係る光学的情報読取装置1は、図4(b)のように読取口5を読取対象物R側に向けて使用されるものであるため、使用時には、図4(b)矢印にて示すように照明光(工場や店舗などの照明光)や太陽光(屋外や太陽光が入射しやすい場所で使用する場合)が第2光量センサ62側に入射しやすく、一方の第1光量センサ61は、読取対象物Rと対向すると共に当該読取対象物Rとは反対側をケース2によって覆われる格好となる。従って、使用時には、第2光量センサ62で検出される第2光量のほうが、第1光量センサ61で検出される第1光量よりも大きくなる。
【0057】
一方、不使用時に、図4(a)のように読取口5を載置面70と反対側に向けて載置されると、第2光量センサ62が載置面70と対向し且つケース2によって覆われた格好となり、第1光量センサ61側には図4(a)の矢印にて示すように照明光(工場や店舗などの照明光)や太陽光(屋外や太陽光が入射しやすい場所で使用する場合)が入射しやすくなる。このため、図4(a)のように載置される不使用時には、第1光量センサ61で検出される第1光量のほうが、第2光量センサ62で検出される第2光量よりも大きくなる。本発明では、このような使用形態に着目し、S6において第2光量増加状態から第1光量増加状態に変化したか否かを判断することで、光学的情報読取装置1が載置状態(休止状態)とされたか否かを判断している。
【0058】
また、本実施形態では、第1光量センサ61の出力値と第2光量センサ62の出力値とを比較器65(コンパレータ等)によって比較しており、その比較結果を制御回路40を構成するCPU40aに出力している。例えば、第1光量センサ61の出力値が第2光量センサ62の出力値を上回る場合(即ち第1光量が第2光量よりも大きい場合)に比較器65からHレベル信号が出力され、第2光量センサ62の出力値が第1光量センサ61の出力値を上回る場合(即ち第2光量が第1光量よりも大きい場合)にLレベル信号が出力される構成の場合、S6では、Hレベル信号が一定時間以上継続したか否かを判断することで、第1光量増加状態が一定時間以上継続したか否かを判断することとなる。
【0059】
S6において、第1光量増加状態が一定時間以上維持されたと判断される場合には、S6にてYesに進み、照明光源21を消灯し、読取処理を停止状態に設定する(S7)。このとき、制御回路40のCPUをスリープ状態(例えば、CPUを間欠駆動させたり、或いはCPUのクロック周波数を小さくすることでCPUの動作電力を抑える状態)としてもよい。
【0060】
本実施形態では、S1の処理開始後からS7の処理開始前までの間、制御回路40の制御によって照明光源21の点灯を持続させており、この点灯持続制御が「第1の点灯制御」に相当している。一方、S6にてYesに進むときには、S7にて照明光源21の点灯中止を行い、省電力化を図っている。
【0061】
また、本実施形態では、S1の処理開始後からS7の処理開始前までの状態が第1モードに相当しており、S7の処理開始後からS1の処理開始前までの状態が第2モードに相当している。なお、S7の処理は、第1モードから第2モードに切り替える処理に相当し、S1の処理は第2モードから第1モードに切り替える処理に相当する。
【0062】
このように、本実施形態では、S5においてデコード不成功期間が一定期間に達したと判断され、S6において比較器65(比較手段)による比較結果が、第2光量増加状態から第1光量増加状態に変化したと判断され、その第1光量増加状態が一定時間以上継続したと判断される場合に第1モードから第2モードに切り替えている。
【0063】
S7の後には、第1光量増加状態(第2光量センサ62で検出された第2光量よりも第1光量センサ61で検出された第1光量のほうが大きい状態)から、第2光量増加状態(第1光量よりも第2光量のほうが大きい状態)に変化したか否か、及びその第2光量増加状態が一定時間以上維持されたか否かを判断する(S8)。
【0064】
上述したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置1は、不使用時に、図4(a)のように載置されやすく、使用時には、図4(b)のように読取口5を読取対象物R側に向けて使用されるため、図4(a)のような不使用状態から図4(b)のような使用状態に変化したときには、第2光量センサ62で検出される第2光量のほうが、第1光量センサ61で検出される第1光量よりも大きくなる。本発明では、このような使用形態に着目し、S8において第1光量増加状態から第2光量増加状態に変化したか否かを判断することで、光学的情報読取装置1が使用状態(把持状態)とされたか否かを判断している。
【0065】
S8において第2光量増加状態が一定時間以上維持されと判断される場合には、S8にてYesに進み、S1に戻って照明光源21を点灯する処理を行い、S1以降の処理を繰り返す。一方、第2光量増加状態が一定時間以上維持されない場合にはS8Noの待機処理を繰り返す。なお、S6の「一定時間」とS8の「一定時間」は同程度であってもよく、異なっていてもよい。
【0066】
本実施形態では、比較器65が「比較手段」の一例に相当し、第1光量センサ61によって検出された第1光量と、第2光量センサによって検出された第2光量とを比較する機能を有する。
【0067】
また、本実施形態では、図3の処理を実行する制御回路40が「切替手段」の一例に相当し、比較器65(比較手段)による比較結果の変化に基づいて、所定の第1モードと、第1モードのときよりも当該光学的情報読取装置の消費電力を抑える第2モードとを切り替える機能を有する。
【0068】
また、本実施形態では、制御回路40が「点灯制御手段」の一例に相当し、第1モードにおいて照明光源21について第1の点灯制御を行い、第2モードにおいて照明光源21の点灯中止を行うように機能する。
【0069】
本実施形態の構成によれば、例えば以下のような効果を奏する。
本実施形態の光学的情報読取装置1では、読取口5側に第1光量センサ61が取り付けられ、読取口5とは異なる側に第2光量センサ62が取り付けられている。更に、第1光量センサ61によって検出された第1光量と、第2光量センサ62によって検出された第2光量とを比較し、その比較結果の変化に基づいて第1モードと第2モード(第1モードのときよりも消費電力を抑えたモード)とを切り替えている。このようにすると、載置状態から把持状態、或いは把持状態から載置状態に変化したことを、2位置の光量比較結果の変化に基づいて迅速かつ的確に把握でき、その比較結果の変化をトリガとすることで、作業者に複雑な操作やこまめな操作を強いることなくモードを適切に切り替えることができる。
【0070】
また、ケース2の長手方向と直交する方向に関し、読取口5が向く側を下方側とし、それとは反対側を上方側としたとき、ケース2の下方側に第1光量センサ61が配置され、第2光量センサ62が第1光量センサ61よりも上方側に配置されている。このようにすると、ケース2下方側を載置面に向けて載置する休止形態、或いはケース2上方側を載置面に向けて載置する休止形態のいずれの場合においても、載置状態(休止状態)から把持状態へ変化したときに、第1光量と第2光量との比較結果が変化しやすくなる。従って、本発明に係る装置が作業者によって使用されようとする状態(把持状態)を迅速且つ的確に把握して、当該装置を第2モードから復帰させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、読取口5から受光センサ23(撮像手段)に連通する導光路6に第1光量センサ61が設けられている。このように、導光路6に第1光量センサ61を設けると、読取口5の位置、向きに応じて第1光量が大きく変化しやすくなるため、装置が載置状態から把持状態に変化したときに第1光量と第2光量との比較結果がより一層変化しやすくなる。
【0072】
また、本実施形態では、第1光量センサ61が受光センサ23とは異なる受光素子によって構成されている。このようにすると、受光センサ23の動作状態に依存することなく第1光量を検出でき、例えば、制御回路40のCPUがスリープ状態となっている場合であっても第1光量と第2光量の比較を良好に行うことができる。
【0073】
また、第1モードにおいて照明光源21に対し第1の点灯制御を行い、第2モードにおいて照明光源21の点灯中止を行うように構成されている。このようにすると、第1モードにおいて良好に読み取りを行うことができ、第2モードにおいては、効果的に省電力化を図ることができる。そして、このように定められる第1モード及び第2モードを、2つの光量センサの比較結果に基づいて適切なタイミングで切り替えることができ、読み取り作業性の向上、及び省電力化を共に良好に実現できる。
【0074】
また、第1光量増加状態(第2光量よりも第1光量のほうが大きい状態)から、第2光量増加状態(第1光量よりも第2光量のほうが大きい状態)に変化した場合に第2モードから第1モードに切り替えている。このようにすると、読取口5を上方側に向けて載置する休止方法が採られる場合に、休止状態(載置状態)から把持状態への変化を迅速且つ的確に検出でき、休止状態(載置状態)にある装置が使用者によって把持されたときに迅速に省電力モード(第2モード)から復帰できるようになる。
【0075】
また、本実施形態では、第2光量増加状態が一定時間維持された場合に第2モードから第1モードに切り替えるようにしている。このようにすると、読取口5を上方に向けて載置する休止方法が採られる場合において、載置状態のときにノイズ等の影響によって第1モードに復帰してしまうことを効果的に防止でき、より一層の省電力化を測ることができる。
【0076】
また、本実施形態では、比較器65による比較結果が第2光量増加状態(第1光量よりも第2光量のほうが大きい状態)から第1光量増加状態(第2光量よりも第1光量のほうが大きい状態)に変化したことを示し、かつデコード不成功期間が一定期間に達した場合に第1モードから第2モードに切り替えている。比較結果が上記のような結果となり、かつデコード不成功期間が一定期間に達した場合、読取口5を上方に向けて載置された載置状態(休止状態)となった可能性が高く、このような場合に第2モードに切り替える構成とすれば、休止状態を迅速且つ適切に検出して省電力化を効果的に実現できる。
【0077】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態に係る光学的情報読取装置にて行なわれる読取処理の流れを例示するフローチャートである。また、図7(a)は、第2実施形態に係る光学的情報読取装置の不使用状態(休止状態)を概略的に例示する説明図であり、図7(b)は、その休止状態から把持状態に変化した様子を概略的に例示する説明図である。
【0078】
本実施形態に係る光学的情報読取装置は、ハードウェア構成は図1、図2、図5で示した構成と同様であり、ソフトウェア処理が第1実施形態と異なっている。よって、ハードウェア構成をについては、適宜図1、図2、図5を参照し、詳細な説明は省略する。
【0079】
第2実施形態の光学的情報読取装置では、図6のような流れで読取処理が行われる。この読取処理では、まずS21にて照明光源21の点灯処理を行い、その後S22にて画像取得処理を行う。そして、そのS22で取得された画像についてデコード処理を行う(S23)。なお、S21〜S23の処理は、第1実施形態のS1〜S3(図3)の処理と同様である。
【0080】
その後、S24のデコード処理においてデコードが成功したか否かを判断し、成功した場合にはS29の出力処理を行なう。なお、S24の判断処理、S29の出力処理も、それぞれ第1実施形態のS4の判断処理、S9の出力処理と同様である。また、S24にてNoに進む場合には、デコード不成功期間が一定期間に達したか否かを判断する(S25)。このS25の判断処理も、第1実施形態のS5の判断処理と同様である。
【0081】
S25にてYesに進む場合、第2光量センサ62で検出された光量(第2光量)よりも第1光量センサ61で検出された光量(第1光量)のほうが大きい第1光量増加状態から、第1光量よりも第2光量のほうが大きい第2光量増加状態に変化したか否か、及びその第2光量増加状態が一定時間以上維持されたか否かを判断する(S26)。
【0082】
本実施形態に係る光学的情報読取装置は、不使用時に、図7(a)のように読取口5を載置面70側に向けて載置されると、第1光量センサ61が載置面70と対向し且つケース2によって覆われた格好となり、第2光量センサ62側には、図7(a)の矢印にて示すように照明光(工場や店舗などの照明光)や太陽光(屋外や太陽光が入射しやすい場所で使用する場合)が入射しやすくなる。このため、図7(a)のように載置される不使用時には、第2光量センサ62で検出される第2光量のほうが、第1光量センサ61で検出される第1光量よりも大きくなる。本発明では、このような使用形態に着目し、S26において第1光量増加状態から第2光量増加状態に変化したか否かを判断することで、光学的情報読取装置1が載置状態(休止状態)とされたか否かを判断している。
【0083】
なお、使用時には、光学的情報読取装置が様々な姿勢となるため、瞬間的に第2光量増加状態に変化することもありうる。従って、上記一定時間をある程度長くしたり、或いは第2光量が第1光量を一定値以上上回り、かつその上回る期間が一定時間に達した場合にS26にてYesに進むようにしてもよい。
【0084】
S26において、第2光量増加状態が一定時間以上維持されたと判断される場合にはYesに進み、照明光源21を消灯し、読取処理を停止状態に設定する(S27)。なお、S27の処理は、第1実施形態のS7(図3)と同様であり、このとき、制御回路40のCPUをスリープ状態(例えば、CPUを間欠駆動させたり、或いはCPUのクロック周波数を小さくすることでCPUの動作電力を抑える状態)としてもよい。
【0085】
なお、本実施形態では、S21の処理開始後からS27の処理開始前までの間、制御回路40の制御によって照明光源21の点灯を持続させており、この点灯持続制御が「第1の点灯制御」に相当している。一方、S26にてYesに進むときには、S27にて照明光源21の点灯中止を行い、省電力化を図っている。
【0086】
また、本実施形態では、S21の処理開始後からS27の処理開始前までの状態が第1モードに相当しており、S27の処理開始後からS21の処理開始前までの状態が第2モードに相当している。なお、S27の処理は、第1モードから第2モードに切り替える処理に相当し、S21の処理は第2モードから第1モードに切り替える処理に相当する。
【0087】
このように、本実施形態では、S25においてデコード不成功期間が一定期間に達したと判断され、S26において、比較器65(比較手段)による比較結果が第1光量増加状態から第2光量増加状態に変化したと判断され、その第2光量増加状態が一定時間以上継続したと判断される場合に第1モードから第2モードに切り替えている。
【0088】
S27の後には、比較器65の比較結果が第2光量増加状態から第1光量増加状態に変化したか否か、及びその第1光量増加状態が一定時間以上維持されたか否かを判断する(S28)。
【0089】
本実施形態に係る光学的情報読取装置1は、図7(a)のように載置された不使用状態(載置状態)から、作業者によって把持される把持状態に変化し、図7(b)のように読取口5が明るい方に向けられたとき(或いは第2光量センサ62が暗いほうに向けられたとき)、第1光量センサ61で検出される第1光量のほうが、第2光量センサ62で検出される第2光量よりも大きくなる。従って、本実施形態では、S28において第2光量増加状態から第1光量増加状態に変化したか否かを判断することで、光学的情報読取装置1が使用状態(把持状態)とされたか否かを判断している。
【0090】
S28において第1光量増加状態が一定時間以上維持されと判断される場合には、S28にてYesに進み、S21に戻って照明光源21を点灯する処理を行い、S21以降の処理を繰り返す。一方、第1光量増加状態が一定時間以上維持されない場合にはS28Noの待機処理を繰り返す。なお、S26の「一定時間」とS28の「一定時間」は同程度であってもよく、異なっていてもよい。
【0091】
なお、本実施形態でも、照明光源21(図2)が「照明手段」の一例に相当し、受光センサ23(図2)が「撮像手段」の一例に相当し、第1光量センサ61、第2光量センサ62がそれぞれ「第1光量検出手段」「第2光量検出手段」の一例に相当する。また、制御回路40が、「デコード手段」「比較手段」「切替手段」「点灯制御手段」の一例に相当し、比較器65(図5)が、「比較手段」の一例に相当する。
【0092】
本実施形態の構成によれば、例えば以下のような効果を奏する。
本実施形態では、比較器65(図5)による比較結果が第2光量増加状態(第1光量よりも第2光量のほうが大きい状態)から第1光量増加状態(第2光量よりも第1光量のほうが大きい状態)に変化したことを示す場合に第2モードから第1モードに切り替えている。このようにすると、図7(a)のように読取口5を下方に向けた状態で載置する休止方法が採られる場合に、休止状態(載置状態)から把持状態(図7(b)参照)への変化を迅速且つ的確に検出でき、休止状態(載置状態)にある装置が使用者によって把持されたときに迅速に省電力モード(第2モード)から復帰できるようになる。
【0093】
また、本実施形態では、第1光量増加状態が一定時間維持された場合に第2モードから第1モードに切り替えている。このようにすると、読取口5を下方に向けて載置する休止方法が採られる場合において、載置状態のときにノイズ等の影響によって第1モードに復帰してしまうことを効果的に防止でき、より一層の省電力化を測ることができる。
【0094】
また、本実施形態では、比較器65(図5)による比較結果が第1光量増加状態から第2光量増加状態に変化したことを示し、かつデコード不実施期間が一定期間に達した場合に第1モードから第2モードに切り替えている。比較結果が上記のような結果となり、かつデコード不成功期間が一定期間に達した場合、読取口5を下方に向けて載置された載置状態(休止状態)となった可能性が高く、このような場合に第2モードに切り替える構成とすれば、休止状態を迅速且つ適切に検出して省電力化を効果的に実現できる。
【0095】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に示す概略図である。なお、本実施形態は、第1光量センサ61を省略した点及び受光センサ23を第2光量検出手段として兼用している点が第1実施形態及び第2実施形態とハードウェア的に異なる。なお、ソフトウェア処理は、図3のような読取処理を行うようにしてもよく、図6のような読取処理を行うようにしてもよいが、以下の説明では、代表例として、図3の読取処理を行なう場合について詳述する。
【0096】
本実施形態の光学的情報読取装置300によって図3の読取処理を行なう場合でも、第1実施形態と同様にS1〜S5、S9の処理が行われる。一方、S6の判断処理を行なう場合には、受光センサ23によって検出された光量を第1光量とし、その第1光量と第2光量センサ62によって検出された第2光量とを比較する。そして、その比較結果に基づいて、第1光量よりも第2光量のほうが大きい第2光量増加状態から第2光量よりも第1光量のほうが大きい第1光量増加状態に変化したか否か、及びその第1光量増加状態が一定時間以上維持されたか否かを判断する(S6)。即ち、本実施形態では、受光センサ23が撮像手段としての機能と、第1光量検出手段としての機能とを有しており、S6では、受光センサ23を第1光量検出手段として機能させて判断処理を行っている。具体的には、受光センサ23を構成する複数の受光素子の各受光光量の平均値を第1光量として、当該第1光量と第2光量とを比較する。
【0097】
S6において、第1光量増加状態が一定時間以上維持されたと判断される場合には、S6にてYesに進み、S7の処理を行う。なお、S7の処理は第1実施形態と同様である。
【0098】
S7の後には、第1光量増加状態から第2光量増加状態に変化したか否か、及びその第2光量増加状態が一定時間以上維持されたか否かを判断する(S8)。このときにも、受光センサ23を第1光量検出手段として機能させ、受光センサ23を構成する複数の受光素子の各受光光量の平均値を第1光量として、当該第1光量と第2光量とを比較し、第2光量が第1光量を上回る状態が一定時間以上持続したか否か(即ち、第2光量増加状態が一定時間以上持続したか否か)を判断する。なお、第2光量増加状態が一定時間以上持続したと判断される場合にはS8にてYesに進み、第1実施形態と同様にS1以降の処理を繰り返す。一方、第2光量増加状態が一定時間以上持続していないときにはS8Noの待機処理を繰り返す。
【0099】
本実施形態では、第1光量検出手段が受光センサ23によって兼用されているため、部品点数を抑えることができ、装置構成の簡素化を図りやすくなる。また、受光センサ23を構成する複数の受光素子の各受光光量の平均値を第1光量として、当該第1光量と第2光量とを比較している。このようにすると、ノイズに起因する比較結果の変化を効果的に防ぐことができ、各光量検出手段の配置位置の光量変化をより適切に反映した比較結果を得ることができる。
【0100】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0101】
上記実施形態では、第2モードにおいて照明光源21の点灯中止を行っているが、第2モードにおいて第1モードのときの照明光源21の点灯制御(第1の点灯制御)よりも消費電力を抑えた第2の点灯制御を行うようにしてもよい。第2の点灯制御としては、第1の点灯制御のときより照明光源21を駆動する駆動電流を抑えるようにしてもよく、照明光源21を定期的に点灯する間欠駆動を行うようにしてもよい。
【0102】
上記実施形態では、第1光量センサ61と第2光量センサ62とをそれぞれ異なる側に配置する一例を示したが、配置形態はこれに限られない。例えば、図1の構成において、第1光量センサ61を導光路6における読取口5付近(図1の符号61'参照)に配置するように変更してもよく、ケース2の外面における第2光量センサ62が設けられた一方面側とは反対面側に設けるように変更してもよい(図1の符号61"参照)。第2光量センサ62も様々な場所に配置でき、例えば、図1の構成において、第2光量センサ62を読取口5付近の外面(符号62'参照)に配置するように変更してもよく、把持部付近に配置するように変更してもよい(符号62"参照)。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に示す概略図である。
【図2】図2は、図1の光学的情報読取装置の電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】図3は、図1の光学的情報読取装置で行なわれる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4(a)は、図1の光学的情報読取装置が使用されていない状態(休止状態)を概略的に例示する説明図であり、図4(b)は、その休止状態から把持状態に変化した様子を概略的に例示する説明図である。
【図5】図5は、第1光量と第2光量とを比較した比較結果を制御回路が取得するための構成を概略的に例示するブロック図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る光学的情報読取装置にて行なわれる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】図7(a)は、第2実施形態に係る光学的情報読取装置の不使用状態(休止状態)を概略的に例示する説明図であり、図7(b)は、その休止状態から把持状態に変化した様子を概略的に例示する説明図である。
【図8】図8は、第3実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0104】
1,300…光学的情報読取装置
2…ケース
5…読取口
6…導光路
21…照明光源(照明手段)
23…受光センサ(撮像手段)
40…制御回路(デコード手段、比較手段、切替手段、点灯制御手段)
61…第1光量センサ(第1光量検出手段)
62…第2光量センサ(第2光量検出手段)
65…比較器(比較手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記情報コードの画像に基づいてデコードを行うデコード手段と、
前記撮像手段を収容すると共に、前記情報コードからの反射光を前記撮像手段に導く読取口が形成されたケースと、
を備えた光学的情報読取装置であって、
前記ケースの前記読取口側に取り付けられた第1光量検出手段と、
前記ケースの前記読取口とは異なる側に取り付けられた第2光量検出手段と、
前記第1光量検出手段によって検出された第1光量と、前記第2光量検出手段によって検出された第2光量とを比較する比較手段と、
所定の第1モードと、前記第1モードのときよりも当該光学的情報読取装置の消費電力を抑える第2モードとを切り替える切替手段と、
を備え、
前記切替手段は、前記比較手段の比較結果の変化に基づいて前記第1モードと前記第2モードとを切り替えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記読取口が所定方向に向いた構成をなしており、
前記第1光量検出手段は、前記読取口が向く側を下方側とし、それとは反対側を上方側としたときの前記ケースの下方側に配置され、前記第2光量検出手段は、前記第1光量検出手段よりも上方側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記第1光量検出手段は、前記ケース内における前記読取口から前記撮像手段に連通する導光路に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、前記反射光を受光する受光センサを有してなり、
前記第1光量検出手段は前記受光センサとは異なる受光素子によって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、前記反射光を受光する受光センサを有してなり、
前記第1光量検出手段は前記受光センサによって兼用されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記読取口に向けて照明光を照射する照明手段と、
前記第1モードにおいて前記照明手段について第1の点灯制御を行い、前記第2モードにおいて、前記第1の点灯制御よりも消費電力を抑えた第2の点灯制御又は前記照明手段の点灯中止を行う点灯制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第2光量よりも前記第1光量のほうが大きい第1光量増加状態から、前記第1光量よりも前記第2光量のほうが大きい第2光量増加状態に変化したことを示す場合に、前記第2モードから前記第1モードに切り替えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第1光量増加状態から前記第2光量増加状態に変化したことを示し、かつ前記第2光量増加状態が一定時間維持された場合に、前記第2モードから前記第1モードに切り替えることを特徴とする請求項7に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第1光量よりも前記第2光量のほうが大きい第2光量増加状態から、前記第2光量よりも前記第1光量のほうが大きい第1光量増加状態に変化したことを示し、かつ前記デコード手段によるデコード不成功期間が一定期間に達した場合に前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項10】
前記撮像手段は、前記反射光を受光する複数の受光素子からなる受光センサを有し、
前記第1光量検出手段は前記受光センサによって兼用されており、
前記比較手段は、複数の前記受光素子の各受光光量の平均値を前記第1光量として、当該第1光量と前記第2光量とを比較することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項11】
前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第1光量よりも前記第2光量のほうが大きい第2光量増加状態から、前記第2光量よりも前記第1光量のほうが大きい第1光量増加状態に変化したことを示す場合に、前記第2モードから前記第1モードに切り替えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項12】
前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第2光量増加状態から前記第1光量増加状態に変化したことを示し、かつ前記第1光量増加状態が一定時間維持された場合に前記第2モードから前記第1モードに切り替えることを特徴とする請求項11に記載の光学的情報読取装置。
【請求項13】
前記切替手段は、前記比較手段による前記比較結果が、前記第2光量よりも前記第1光量のほうが大きい第1光量増加状態から、前記第1光量よりも前記第2光量のほうが大きい第2光量増加状態に変化したことを示し、かつ前記デコード手段によるデコード不実施期間が一定期間に達した場合に前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする請求項1から請求項6、請求項11、請求項12のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−108349(P2010−108349A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281198(P2008−281198)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】