説明

光学的情報読取装置

【課題】光学的情報を固体撮像素子で撮像し、その電気信号を増幅手段によって増幅して画像データを取得する光学的情報読取装置において、暗ノイズに起因する画像ノイズを迅速且つ効果的に除去できる構成を提供する。
【解決手段】光学的情報読取装置1は、増幅手段の増幅率を変化させる変化手段と、その変化する各増幅率毎の暗ノイズデータを測定する測定手段と、測定手段によって測定された各増幅率毎の暗ノイズデータを記憶する記憶手段と、画像データのノイズを除去するノイズ除去手段とを備えている。ノイズ除去手段は、光学的情報の画像データを生成する際に、設定された増幅率に対応する暗ノイズデータを記憶手段から読み出し、その読み出された暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコードリーダ等の光学的情報読取装置では、光学的情報をCCDなどの固体撮像素子によって撮像し、固体撮像素子からの電気信号を増幅器で増幅した後に画像処理を行う構成が一般的である。この種の装置では、画像信号のノイズを効果的に除去しうる構成が望まれ、ノイズ除去に関する技術として例えば特許文献1のようなものが提供されている。
【特許文献1】特開平7−249097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記一般的構成(即ち、固体撮像素子からの電気信号を増幅器で増幅して画像データを取得する構成)を用いた場合、増幅器の増幅率が高くなると電気回路で生じる暗ノイズも高い増幅率で増幅され、暗ノイズに起因する画像ノイズが顕著となるという問題がある。このような画像ノイズは画像劣化を招き、読取不良の原因となるため、できる限り発生を抑える必要がある。なお、画像ノイズを除去すべく取得画像に対して高度な画像処理を行うことも考えられるが、この場合、処理時間の長時間化は避けられない。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、光学的情報を固体撮像素子で撮像し、その電気信号を増幅手段によって増幅して画像データを取得する光学的情報読取装置において、暗ノイズに起因する画像ノイズを迅速且つ効果的に除去できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、固体撮像素子と、前記固体撮像素子からの電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の増幅率を設定する増幅率設定手段と、前記増幅手段からの増幅信号に基づく画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段に取得される前記画像データのノイズを除去するノイズ除去手段と、を備えた光学的情報読取装置であって、前記増幅率設定手段で設定される前記増幅率を変化させる変化手段と、前記変化手段の制御によって変化する各増幅率毎の暗ノイズデータを測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された各増幅率毎の前記暗ノイズデータを記憶する記憶手段と、を備え、前記ノイズ除去手段は、光学的情報を前記固体撮像素子によって撮像して当該光学的情報の前記画像データを生成する際に、前記増幅率設定手段で設定された前記増幅率に対応する前記暗ノイズデータを前記記憶手段から読み出し、前記光学的情報の前記画像データに対してその読み出された前記暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行うことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記測定手段は、前記固体撮像素子の非撮像時において、当該固体撮像素子の複数の受光素子の各電気信号が増幅された各増幅信号に対し、前記変化手段の制御によって変化する各増幅率毎に所定の演算処理を行い、前記記憶手段は、各増幅率毎に前記所定の演算処理によって得られた演算データをそれぞれ前記暗ノイズデータとして記憶し、前記ノイズ除去手段は、前記読み取り動作を行う際に、前記増幅率設定手段で設定された前記増幅率に対応する前記演算データを前記記憶手段から読み出し、前記光学的情報の前記画像データに対してその読み出された前記演算データに基づく前記ノイズ除去処理を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の光学的情報読取装置において、前記測定手段は、前記非撮像時において、前記固定撮像素子を構成する全受光素子の全増幅信号に対し、前記各増幅率毎に前記所定の演算処理を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記固体撮像素子を構成する全受光素子のうちの一部が光遮蔽された光遮蔽素子として構成されており、前記測定手段は、各光遮蔽素子からの各電気信号が前記増幅手段によって増幅された各増幅信号に対し、前記変化手段の制御によって変化する各増幅率毎に所定の演算処理を行い、前記記憶手段は、各増幅率毎に前記所定の演算処理によって得られた演算データをそれぞれ前記暗ノイズデータとして記憶し、前記ノイズ除去手段は、前記読み取り動作を行う際に、前記増幅率設定手段で設定された前記増幅率に対応する前記演算データを前記記憶手段から読み出し、前記光学的情報の前記画像データに対して前記演算データに基づく前記ノイズ除去処理を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記所定の演算処理は、演算対象となる複数の前記増幅信号の平均値を算出する平均値算出処理であることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載の光学的情報読取装置において、前記増幅手段は、前記光学的情報を前記固体撮像素子によって撮像し読み取り動作を行う際に、前記固体撮像素子を構成する各受光素子からの各受光信号を増幅し、前記ノイズ除去手段は、前記読み取り動作を行う際に、前記各受光信号が前記増幅手段によって増幅されたときの各増幅値から前記平均値を差し引く減算処理を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記光学的情報の読取処理を行う読取モードと、前記光学的情報の前記読取処理を行わない待機モードとを切り替える切替手段を備え、前記切替手段によって前記待機モードに切り替えられているときに、前記測定手段による前記暗ノイズデータの測定が行われ且つ当該暗ノイズデータが前記記憶手段に記憶されることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記読取モードが終了する毎に前記測定手段による前記暗ノイズデータの測定が行われ、且つ前記記憶手段に記憶される前記暗ノイズデータが更新されることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、固体撮像素子と、前記固体撮像素子からの電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の増幅率を設定変更可能な増幅率設定手段と、前記増幅手段からの増幅信号に基づく画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段に取得される前記画像データのノイズを除去するノイズ除去手段と、を備えた光学的情報読取装置であって、前記固体撮像素子を構成する全受光素子のうちの一部が光遮蔽された光遮蔽素子として構成され、前記画像データ取得手段は、前記固体撮像素子における前記光遮蔽素子以外の領域からの前記電気信号に基づく前記画像データを取得し、前記ノイズ除去手段は、光学的情報の読取動作時に、前記光遮蔽素子からの電気信号に基づき、前記増幅率設定手段にて設定されている前記増幅率に対応する暗ノイズデータを測定する測定手段を備え、前記読取動作時に、前記画像データ取得手段によって取得される前記光遮蔽素子以外の領域の前記画像データに対し、前記測定手段にて測定された前記暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、増幅率設定手段で設定される増幅率を変化させ、その変化する各増幅率毎の暗ノイズデータを測定し、それぞれ記憶している。このようにすると、各増幅率毎の暗ノイズデータを実際に測定し、保存しておくことができ、精度の高い暗ノイズデータを以後の処理に役立てることができる。また、光学的情報を固体撮像素子によって撮像して当該光学的情報の画像データを生成する際に、増幅率設定手段で設定された増幅率に対応する暗ノイズデータを記憶手段から読み出し、光学的情報の画像データに対してその読み出された暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行っている。このようにすると、読み取り時に用いられる増幅率に対応した暗ノイズデータを迅速に読み出してノイズ除去処理を行うことができ、暗ノイズに起因する画像ノイズを迅速且つより適切に除去できる。
【0015】
請求項2の発明は、固体撮像素子の非撮像時に実測された各増幅信号に対して所定の演算処理を行うことで暗ノイズデータを取得しており、このようにすると、より高精度でかつ信頼性の高い暗ノイズデータを簡易に取得できる。
【0016】
請求項3の発明は、非撮像時において、各増幅率ごとに、全受光素子の全増幅信号に対して所定の演算処理を行っている。このようにすると、非撮像時における全受光素子の全増幅信号を反映した暗ノイズデータを取得でき、より一層データの信頼性を高めることができる。
【0017】
請求項4の発明は、変化する増幅率毎に、各光遮蔽素子からの各電気信号が増幅された各増幅信号に対して所定の演算処理を行っている。そして、増幅率ごとに、上記所定の演算処理によって得られた演算データをそれぞれ暗ノイズデータとして記憶している。このようにすると、固体撮像素子における撮像に用いない領域を効果的に利用して暗ノイズデータを実際に測定し、保存しておくことができ、精度の高い暗ノイズデータを以後の処理に役立てることができる。
【0018】
請求項5の発明は、「所定の演算処理」として、演算対象となる複数の増幅信号の平均値を算出する「平均値算出処理」を用いており、このようにすれば、複数の増幅信号を適切に反映した暗ノイズデータを取得できる。
【0019】
請求項6の発明は、読み取り動作を行う際に、各受光信号が増幅手段によって増幅されたときの各増幅値から平均値を差し引く減算処理を行うように構成されている。このようにすると、読み取り時の各増幅値から、暗ノイズ成分とすべき適切値(読み取り時の増幅率に対応した平均値)を迅速に差し引くことができる。
【0020】
請求項7の発明は、待機モードに切り替えられているときに、暗ノイズデータの測定が行われ、記憶手段に記憶されるように構成されている。このようにすると、待機期間を利用して暗ノイズデータを予め蓄積しておくことができ、読み取り時に暗ノイズデータを測定する負担を低減できる。
【0021】
請求項8の発明は、読取モードが終了する毎に暗ノイズデータの測定が行われ、且つ記憶手段に記憶される暗ノイズデータが更新されるように構成されている。このようにすると、より最新の暗ノイズデータを蓄積しておくことができ、読み取り時の環境により適したノイズ除去処理を行うことができる。
【0022】
請求項9の発明は、光学的情報の読取動作時に、光遮蔽素子からの電気信号に基づき、設定されている増幅率に対応する暗ノイズデータを測定している。このようにすると、読取時の増幅率に対応する暗ノイズデータをリアルタイムで測定でき、読取時現在の環境に適した精度高い暗ノイズデータを取得できるようになる。更に、光遮蔽素子以外の領域から得られる画像データに対し、測定された暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行うことができ、暗ノイズに起因する画像ノイズをより適切にかつ迅速に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図2は、図1の光学的情報読取装置の一部のブロック図である。図3は、図1の光学的情報読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。図4は、平均値算出処理、減算処理等をFPGA(Field Programmable Gate Array)で行なう場合のFPGA内の機能ブロック図である。また、図5は、固体撮像素子を構成する各受光素子を概略的に説明する説明図であり、図6は、蓄積される暗ノイズデータのデータ構成を概略的に説明する説明図である。なお、図1では、図2で示す一部のラインを省略して示している。
【0024】
まず、光学的情報読取装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、光学的情報読取装置1は、一次元コード、二次元コードなどの情報コードQ(光学的情報)を読み取る情報コードリーダとして構成され、主に、照明光源21、固体撮像素子23、フィルタ25、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示装置46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されている。なお、これらは、図示しないケース内に収容されている。
【0025】
光学系は、照明光源21、固体撮像素子23、フィルタ25、結像レンズ27等から構成されている。照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、本実施形態では赤色のLED21a(図2)とこのLEDの出射側に設けられるレンズ(図示略)とから構成されている。本実施形態では、固体撮像素子23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、上記ケースに形成された読取口(図示略)を介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。この読取対象物Rは、例えば、包装容器や包装用紙あるいはラベルといった表示媒体に相当するもので、その表面には情報コードQとして例えば二次元コードが印刷されている。
【0026】
固体撮像素子23は、読取対象物Rや情報コードQに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD(Charge Coupled Device)等の受光素子を2次元に配列したエリアセンサ(C−MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)が、これに相当する。この固体撮像素子23の受光面23aは、例えばケース外から読取口を介して外観可能に位置しており、固体撮像素子23は、結像レンズ27を介して入射する入射光をこの受光面23aで受光可能に図略のプリント配線板に実装されている。
【0027】
フィルタ25は、反射光Lrの波長相当以下の光の通過を許容し、当該波長相当を超える光の通過を遮断し得る光学的なローパスフィルタで、上記読取口(図示略)と結像レンズ27との間に設けられている。これにより、反射光Lrの波長相当を超える不要な光が固体撮像素子23に入射することを抑制している。また、結像レンズ27は、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、本実施形態では、読取口(図示略)に入射する反射光Lrを集光し、固体撮像素子23の受光面23aに情報コードQのコード画像を結像するように構成されている。
【0028】
マイコン系は、増幅回路(以下、AMPとも称する)31、A/D変換回路(以下、ADCとも称する)33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40及びメモリ35を中心として構成され、前述した光学系によって撮像された情報コードQの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。
なお、本実施形態では、増幅回路31が「増幅手段」の一例に相当し、固体撮像素子23からの電気信号を増幅する機能を有する。
【0029】
光学系の固体撮像素子23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力され、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力され、当該メモリ35の画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、固体撮像素子23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0030】
メモリ35は、半導体メモリ装置として構成され、ROM(図2に示すFlashROM35a等)やRAM(図2に示すSDRAM35b等)などによって構成されている。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、固体撮像素子23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
なお、制御回路40及びメモリ35は、「画像データ取得手段」の一例に相当し、増幅回路31(増幅手段)からの増幅信号に基づく画像データを取得するように機能する。
【0031】
制御回路40は、光学的情報読取装置1全体を制御可能なマイコンで、図2に示すCPU40aやFPGA40bを備え、更に、システムバス、入出力インタフェース等を有している。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、通信インタフェース48等が制御回路40に接続されている。なお、通信インタフェース48には、光学的情報読取装置1の上位システムに相当するホストコンピュータHSTなどを接続できるようになっている。
【0032】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0033】
次に、図3を参照して光学的情報読取装置1で行なわれる読取処理について説明する。
図3に示す読取処理は、例えば電源投入をトリガとして開始されるものであり、当該処理開始後にはまずトリガスイッチ(図示略)がオンされたか否かを判断する処理を行う(S1)。トリガスイッチは、光学的情報の読取処理を行う読取モードと光学的情報の読取処理を行わない待機モードとを切替可能なスイッチであり、トリガスイッチがオフ状態のときにはS1からS8に進み、S8以降の待機モード処理を行う。一方、トリガスイッチがオン状態のときにはS1からS2に進みS2以降の読取モード処理を行う。
なお、制御回路40は、「切替手段」の一例に相当し、読取モードと待機モードとを切り替えるように機能する。
【0034】
S8以降の待機モード処理では、まず、固体撮像素子23の電子シャッタを閉じた状態に設定する処理が行われる(S8)。電子シャッタを閉じた状態とする設定がなされている場合には、固体撮像素子23を構成する各受光素子23bの光電変換を停止する制御(各受光素子23bの電荷蓄積を停止する制御)が行われる。なお、本実施形態では、固体撮像素子23の電子シャッタを閉じる設定がなされた状態(各受光素子23bから露光に応じた電荷出力を行わない状態)が「非撮像時」に相当する。
【0035】
その後、増幅回路31で用いる増幅率を設定する(S9)。本実施形態では、増幅回路31で用いる増幅率として、複数の増幅率が予め用意されており、S9では増幅回路31で用いる増幅率をそれら複数の増幅率の内のいずれかに設定する。S9で増幅率が設定されると、増幅回路31は、その設定された増幅率で固体撮像素子23からの電気信号を増幅することとなる。
なお、本実施形態では、制御回路40が「増幅率設定手段」の一例に相当し、増幅回路31(増幅手段)の増幅率を設定するように機能する。また、制御回路40は、「変化手段」の一例に相当し、一旦設定された増幅率を変化させる機能を有する。
【0036】
その後、画像取得を開始する(S10)。画像取得開始後には、固体撮像素子23の電子シャッタを閉じた状態(各受光素子23bの電荷蓄積が抑えられた状態)で各受光素子23bから得られる各電気信号を増幅回路31で増幅し、それら各増幅信号を図2に示すFPGA40bに入力する。
【0037】
S10の後には、演算対象となる複数の増幅信号(即ち、FPGA40bに入力される各増幅信号)に対し所定の演算処理を行う(S11)。本実施形態では、この「所定の演算処理」として、複数の増幅信号に基づいて平均値を算出する平均値算出処理を行っている。
【0038】
具体的には、各受光素子23bの各電気信号に応じた各増幅信号をFPGA40bに順次入力し、FPGA40bでは、固体撮像素子23を構成する全受光素子からの全増幅信号に対し平均値算出処理(所定の演算処理)を行う。図4の例では、FPGA40b内において、各受光素子23bからの各増幅信号が順々に移動平均処理部61に入力され、全増幅信号についての移動平均値が生成される。
なお、本実施形態では、制御回路40が「測定手段」の一例に相当し、変化する各増幅率毎の暗ノイズデータを測定するように機能する。
【0039】
そして、S11で生成した移動平均値を、直近のS9で設定した増幅率に対応する暗ノイズデータとして暗ノイズデータレジスタ63に記憶する(S12)。なお、本実施形態では、暗ノイズデータレジスタ63が「記憶手段」に相当し、「測定手段」によって測定されたた各増幅率毎の暗ノイズデータを記憶するように機能する。
【0040】
その後、予め用意された全ての増幅率についてS10〜S12の処理を行ったか否かを判断し(S13)、S10〜S12の処理が行われていない増幅率が残っている場合にはS13にてNoに進み、S1及びS8以降の処理を繰り返す。一方、予め用意された全ての増幅率についてS10〜S12の処理が行われている場合にはS13にてYesに進む。
【0041】
このように本実施形態では、予め用意された複数の増幅率の各々についてS10〜S12の処理を行い、各増幅率毎に全増幅信号の移動平均値(暗ノイズデータ)を生成して蓄積している。各移動平均値(暗ノイズデータ)は、図6に示すように各移動平均値を求めたときの増幅率と対応付けて記憶される。
【0042】
S13にてYesに進む場合には、増幅回路31で用いる増幅率を次の条件に設定し(S14)、トリガスイッチがオン状態であるか判断する処理を行う(S15)。S15においてトリガスイッチがオン状態であると判断される場合にはS15からS2に進む。なお、図3の例では、S15においてトリガスイッチが所定時間オフ状態と判断されるときにS10以降の処理を繰り返すようにしている。
【0043】
次に、読取モード時の動作について説明する。S1にてトリガスイッチがオン状態であると判断された場合にはS2に進み、電子シャッターを作動許可状態に設定する(S2)。そして、読み取りの際に増幅回路31で用いる増幅率を、予め定められた複数の増幅率のうちのいずれかに設定する(S3)。
【0044】
その後、画像取得を開始する(S4)。画像取得が開始されると、固定撮像素子23の各受光素子23bに蓄積された電荷に応じた各電気信号が増幅回路31に順次入力され、S3で設定された増幅率でそれぞれ増幅される。そして、それら各増幅信号がFPGA40bに順次入力される。
【0045】
S4の後にはノイズ除去処理が行われる。このノイズ除去処理では、S3で設定された増幅率に対応する暗ノイズデータ(S3で設定された増幅率に対応する上記平均値)を記憶手段から読み出し、FPGA40bに入力される各増幅信号が示す値から、その読み出された暗ノイズデータが示す値(平均値)を差し引く減算処理を行う。具体的には、図4のように、撮像条件セレクタ62により現在の増幅率に対応する暗ノイズデータが暗ノイズデータレジスタ63から読み出され、減算器65に入力される。他方、この減算器65には、増幅回路31からの各増幅信号が順次入力されるようになっており、この減算器65は、各増幅信号が示す値から暗ノイズデータが示す値を減算した各減算信号をSDRAM35bに順次出力する。そして、SDRAM35bに蓄積される各減算信号の集まりがノイズ除去後の画像データとなる。
なお、本実施形態では、制御回路40が「ノイズ除去手段」の一例に相当し、画像データ取得手段に取得される画像データのノイズを除去する機能を有する。
【0046】
S5の処理の後には、S5で生成された画像データ(即ち、ノイズ除去後の画像データ)について読み取り(デコード処理)を行い(S6)、得られたデコード結果を所定対象(外部装置等)に送信する処理を行う(S7)。
【0047】
なお、S3における増幅率の設定は、ユーザが任意に設定できるようにしてもよく、予め用意された複数の増幅率を所定の順序で切り替えて設定するように構成してもよい。予め用意された複数の増幅率を所定の順序で切り替えて用いる場合、例えば、S6でデコードが失敗したときにS3に戻り、次の増幅率に設定するように増幅率を順次切り替えるようにすればよい。
【0048】
なお、上記説明では、S10〜S12の処理をハードウェア的に行う例を示したが、これらの処理をソフトウェア的に行ってもよい。この場合、S10において、上述の電子シャッタを閉じた状態における全増幅信号を取得してメモリ35に記憶しておき、S11において、それら全増幅信号の平均値をソフトウェア処理によって求め、S12において、その求められた平均値を、直近のS9で設定された増幅率に対応する暗ノイズデータとしてメモリ35に記憶するように、S10、S11、S12を若干変更すればよい。なお、この場合も、S11の平均値算出処理を変化する各増幅率毎に行うようにすれば、図6と同様に、各増幅率と各増幅率に対応する平均値(暗ノイズデータ)とを対応付けて蓄積しておくことができる。
この場合、S2以降の読取モード処理については、S4において全受光素子からの電気信号が増幅回路31で増幅された全増幅信号を画像データとしてメモリ35に一旦蓄積しておき、それら画像データを構成する各画素値(各増幅信号が示す値)から上記平均値(暗ノイズデータ)をそれぞれ減算する処理を全画素について行い、得られたノイズ除去後の画像データ(即ち各画素値から暗ノイズデータが減算された画像データ)についてS6のデコード処理を行うように、S4、S5、S6を若干変更すればよい。
【0049】
本実施形態の構成によれば、例えば、以下のような効果を奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置1では、増幅率設定手段で設定される増幅率を変化させ、その変化する各増幅率毎の暗ノイズデータを測定し、それぞれ記憶している。このようにすると、各増幅率毎の暗ノイズデータを実際に測定し、保存しておくことができ、精度高い暗ノイズデータを以後の処理に役立てることができる。また、光学的情報を固体撮像素子23によって撮像して当該光学的情報の画像データを生成する際に、増幅率設定手段で設定された増幅率に対応する暗ノイズデータを暗ノイズデータレジスタ63(記憶手段)から読み出し、光学的情報の画像データに対してその読み出された暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行っている。このようにすると、読み取り時に用いられる増幅率に対応した暗ノイズデータを迅速に読み出してノイズ除去処理を行うことができ、暗ノイズに起因する画像ノイズを迅速且つより適切に除去できる。
【0050】
また、固体撮像素子23の非撮像時に実測された各増幅信号に対して所定の演算処理を行うことで暗ノイズデータを取得しており、このようにすると、より高精度でかつ信頼性の高い暗ノイズデータを簡易に取得できる。
【0051】
また、固体撮像素子23の非撮像時において各増幅率ごとに、全受光素子の全増幅信号に対して所定の演算処理を行っている。このようにすると、非撮像時における全受光素子の全増幅信号を反映した暗ノイズデータを取得でき、より一層データの信頼性を高めることができる。
【0052】
また、「所定の演算処理」として、演算対象となる複数の増幅信号の平均値を算出する「平均値算出処理」を用いており、このようにすれば、複数の増幅信号を適切に反映した暗ノイズデータを取得できる。
【0053】
また、読み取り動作を行う際に、各受光信号が増幅回路31(増幅手段)によって増幅されたときの各増幅値から上記平均値を差し引く減算処理を行っている。このようにすると、読み取り時の各増幅値から、暗ノイズ成分とすべき適切値(読み取り時の増幅率に対応した平均値)を迅速に差し引くことができる。
【0054】
また、本実施形態では、待機モードに切り替えられているときに、S11にて暗ノイズデータの測定が行われ、その測定された暗ノイズデータがS12にて暗ノイズデータレジスタ63(記憶手段)に記憶されるようになっている。このようにすると、待機期間を利用して暗ノイズデータを予め蓄積しておくことができ、読み取り時に暗ノイズデータを測定する負担を低減できる。
【0055】
また、読取モードが終了する毎(即ち、S2〜S7の処理が終了し、その後、S1にてトリガスイッチがオフ状態と判断されたとき)に暗ノイズデータの測定が行われ、且つ記憶手段に記憶される暗ノイズデータが更新されるように構成されている。このようにすると、より最新の暗ノイズデータを蓄積しておくことができ、読み取り時の環境により適したノイズ除去処理を行うことができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図7(a)は、第2実施形態で用いられる固体撮像素子を概略的に説明する説明図であり、図7(b)は、その一部を拡大して示す拡大図である。なお、本実施形態の光学的情報読取装置は、ハードウェア構成については、図1、図2と同様であるため、図1、図2で示す各部品についての詳細な説明は省略し、適宜図1、図2を参照して説明することとする。
【0057】
また、本実施形態の光学的情報読取装置でも、固体撮像素子23と、固体撮像素子23からの電気信号を増幅する増幅回路31(増幅手段)と、増幅回路31からの増幅信号に基づく画像データを記憶するメモリ35とが設けられており、このメモリ35と制御回路40とが「画像データ取得手段」として機能している。更に、制御回路40は「増幅率設定手段」「ノイズ除去手段」「変化手段」「測定手段」として機能している。
【0058】
本実施形態の光学的情報読取装置で行われる読取処理は、全体として図3と同様の流れで行われ、一部の処理の具体的内容が第1実施形態と若干異なっている。従って、以下では、図3を参照しつつ読取処理を説明することとする。なお、以下の例では、ノイズ除去処理や減算処理などをソフトウェア処理によって行なっているが、第1実施形態のようにハードウェア回路で行なうこともできる点を先に述べておく。
【0059】
図3に示すように、読取処理開始に伴い、まずトリガスイッチがオン状態であるか否かを判断する判断処理を行う(S1)。S1の処理は第1実施形態と同様であり、トリガスイッチがオフ状態と判断された場合には、第1実施形態と同様のS8、S9の処理を行う。
【0060】
その後、画像取得処理を行う(S10)。本実施形態では、S10の画像取得処理において、固体撮像素子23における光遮蔽された領域の画像データを取得する。
本実施形態で用いられる固体撮像素子23は、図7に示すように、全受光素子のうちの一部(図7の例では、左端部の領域AR)が光遮蔽された光遮蔽素子123として構成されている。これら光遮蔽素子123は、遮光膜によって被覆され、オプティカルブラック(OB)として構成されており、光が当らない状態での電気信号を出力する構成をなしている。S10では、このように構成される光遮蔽素子123からの各電気信号が増幅回路31によって増幅された各増幅信号を取得している。
【0061】
S10の画像取得処理の後には、S10で得られた各増幅信号(光遮蔽素子123からの電気信号を増幅した増幅信号)に基づく所定の演算処理を行う(S11)。このS11では、各光遮蔽素子123からの各電気信号が増幅回路31によって増幅された各増幅信号に対し平均値算出処理を行っている。なお、この平均値算出処理は、図4で説明した移動平均処理と同様の処理であってもよく、ソフトウェア処理などであってもよい。
【0062】
そして、S11で得られた平均値(暗ノイズデータ)を、直近のS9で設定された増幅率と対応付けてメモリ35に記憶する(S12)。なお、この場合、メモリ35が「記憶手段」に相当し、「測定手段」によって測定された各増幅率毎の暗ノイズデータを記憶するように機能する。
【0063】
S12の後には、予め用意された複数の増幅率全てについてS10〜S12の処理が行われたか否かを判断し、行なわれていない場合には、S1、S8以降の処理を繰り返す。なお、それら繰り返されるS9〜S12の処理では、S9で設定された増幅率に対応する平均値(暗ノイズデータ)が取得、記憶され、このようにして、増幅率毎の平均値(暗ノイズデータ)が順次蓄積される。
【0064】
読取モード処理については、第1実施形態と同様のS2、S3の処理を行なった後、S4において、全受光素子からの電気信号が増幅回路31で増幅された全増幅信号を画像データとして取得する。そして、S5では、S3で設定された増幅率に対応する平均値(暗ノイズデータ)をメモリ35から読み出し、S4で取得された画像データを構成する各画素値(各増幅信号が示す値)からその読み出した平均値をそれぞれ減算する処理を全画素について行う。そして、得られたノイズ除去後の画像データ(即ち各画素値から暗ノイズデータが減算された画像データ)についてS6のデコード処理を行う。
【0065】
本実施形態に係る光学的情報読取装置では、変化する増幅率毎に、各光遮蔽素子123からの各電気信号が増幅された各増幅信号に対して所定の演算処理を行っている。そして、増幅率ごとに、上記所定の演算処理によって得られた演算データをそれぞれ暗ノイズデータとして記憶している。このようにすると、固体撮像素子23における撮像に用いない領域を効果的に利用して暗ノイズデータを実際に測定し、保存しておくことができ、精度高い暗ノイズデータを以後の処理に役立てることができる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態で用いられるFPGA内の機能ブロック図である。なお、本実施形態の光学的情報読取装置は、ハードウェア構成については、図1、図2と同様であるため、図1、図2で示す各部品についての詳細な説明は省略し、適宜図1、図2を参照して説明することとする。
【0067】
また、本実施形態の光学的情報読取装置でも、図1に示すように、固体撮像素子23と、固体撮像素子23からの電気信号を増幅する増幅回路31(増幅手段)と、増幅回路31からの増幅信号を記憶するメモリ35とが設けられている。制御回路40及びメモリ35は、「画像データ取得手段」の一例に相当し、固体撮像素子23における光遮蔽素子123以外の領域からの電気信号に基づく画像データを取得する機能を有する。また、制御回路40は「増幅率設定手段」として機能している。
【0068】
また、固体撮像素子の構成は第2実施形態と同様であり、図7に示すように、固体撮像素子23を構成する全受光素子23bのうちの一部が光遮蔽された光遮蔽素子123として構成されている。
【0069】
本実施形態の光学的情報読取装置で行われる読取処理は、図3を若干変更した流れで行われるため、図3を参照しつつ説明する。なお、本実施形態ではS8〜S15の処理が行われないようになっている点が図3と大きく異なっている。
【0070】
この読取処理では、まず、図3と同様の判断処理(S1)を行い、トリガスイッチがオン状態であるか否かを判断する。S1の処理は基本的には第1実施形態と同様であるが、トリガスイッチがオフ状態と判断される場合に待機状態となる点が第1実施形態と異なっている。
【0071】
S1にてトリガスイッチがオン状態であると判断された場合にはS2に進み、電子シャッターを作動許可状態に設定する(S2)。そして、読み取りの際に増幅回路31で用いる増幅率を、予め定められた複数の増幅率のうちのいずれかに設定する(S3)。
【0072】
そして、画像取得を開始する(S4)。画像取得が開始されると、固定撮像素子23の各受光素子23bに蓄積された電荷に応じた各電気信号が増幅回路31に順次入力され、S3で設定された増幅率でそれぞれ増幅されることとなる。
【0073】
S4の後にはノイズ除去処理が行われる。このノイズ除去処理では、まず、光遮蔽素子123(図7)からの各電気信号に応じた各増幅信号をFPGA40bに順次入力し、FPGA40bでは、全光遮蔽素子からの全増幅信号に対し平均値算出処理を行う。図8の例では、FPGA40b内において、各光遮蔽素子123からの各増幅信号が順々に移動平均処理部361に入力され、全増幅信号についての移動平均値が生成されるようになっている。
なお、本実施形態では、制御回路40が「測定手段」の一例に相当し、光学的情報の読取動作時に、光遮蔽素子123からの電気信号に基づき、上記「増幅率設定手段」にて設定されている増幅率に対応する暗ノイズデータを測定するように機能する。
【0074】
全光遮蔽素子123からの全増幅信号に基づいて生成された移動平均値は、暗ノイズデータとして暗ノイズデータレジスタ362に一時記憶される。その後、光遮蔽素子123以外の領域の受光素子23bからの各電気信号を増幅した各増幅信号をFPGAに順次入力させ、各増幅信号が示す値から、暗ノイズデータが示す値(平均値)を差し引く減算処理を行う。具体的には、図8のように、暗ノイズデータレジスタ362から減算器363に暗ノイズデータ(移動平均値)が入力され、増幅回路31からの各増幅信号(光遮蔽素子123以外の領域の受光素子23からの各電気信号を増幅した各増幅信号)も順次入力される。そして、減算器363は、各増幅信号が示す値から暗ノイズデータが示す値を減算した各減算信号をSDRAM35bに順次出力する。そして、SDRAM35bに蓄積される各減算信号の集まりがノイズ除去後の画像データとなる。
なお、本実施形態では、制御回路40が「ノイズ除去手段」の一例に相当し、読取動作時に、上記「画像データ取得手段」によって取得される光遮蔽素子123以外の領域の画像データに対し、上記「測定手段」にて測定された暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行うように機能する。
【0075】
なお、S6以降は第1実施形態と同様であり、S5で生成された画像データ(即ち、ノイズ除去後の画像データ)について読み取り(デコード処理)を行い(S6)、得られたデコード結果を所定対象(外部装置等)に送信する処理を行う(S7)。
【0076】
本実施形態の構成によれば、例えば以下のような効果を奏する。
本実施形態では、光学的情報の読取動作時に、光遮蔽素子123からの電気信号に基づき、設定されている増幅率に対応する暗ノイズデータを測定している。このようにすると、読取時の増幅率に対応する暗ノイズデータをリアルタイムで測定でき、読取時現在の環境に適した精度の高い暗ノイズデータを取得できるようになる。更に、光遮蔽素子123以外の領域から得られる画像データに対し、測定された暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行うことができ、暗ノイズに起因する画像ノイズをより適切にかつ迅速に除去できる。
【0077】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0078】
第1実施形態では、固体撮像素子23を構成する全受光素子からの全増幅信号に基づく平均値(ノイズ除去データ)を算出していたが、一部の受光素子からの各電気信号を増幅した各増幅信号をそれぞれ取得し、これら増幅信号についての平均値を暗ノイズデータとして蓄積するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図2】図2は、図1の光学的情報読取装置の一部のブロック図である。
【図3】図3は、図1の光学的情報読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4は、平均値算出処理、減算処理等をFPGAで行なう場合のFPGA内の機能ブロック図である。
【図5】図5は、固体撮像素子を構成する各受光素子を概略的に説明する説明図である。
【図6】図6は、蓄積される暗ノイズデータのデータ構成を概略的に説明する説明図である。
【図7】図7(a)は、第2実施形態で用いられる固体撮像素子を概略的に説明する説明図であり、図7(b)はその一部を拡大して説明する説明図である。
【図8】図8は、第3実施形態で用いられるFPGA内の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
1…光学的情報読取装置
23…固体撮像素子
23b…受光素子
31…増幅回路(増幅手段)
35…メモリ(画像データ取得手段、記憶手段)
40…制御回路(画像データ取得手段、増幅率設定手段、ノイズ除去手段、変化手段、測定手段、切替手段) 63…暗ノイズデータレジスタ(記憶手段)
123…光遮蔽素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子と、
前記固体撮像素子からの電気信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段の増幅率を設定する増幅率設定手段と、
前記増幅手段からの増幅信号に基づく画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段に取得される前記画像データのノイズを除去するノイズ除去手段と、
を備えた光学的情報読取装置であって、
前記増幅率設定手段で設定される前記増幅率を変化させる変化手段と、
前記変化手段の制御によって変化する各増幅率毎の暗ノイズデータを測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された各増幅率毎の前記暗ノイズデータを記憶する記憶手段と、
を備え、
前記ノイズ除去手段は、光学的情報を前記固体撮像素子によって撮像して当該光学的情報の前記画像データを生成する際に、前記増幅率設定手段で設定された前記増幅率に対応する前記暗ノイズデータを前記記憶手段から読み出し、前記光学的情報の前記画像データに対してその読み出された前記暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行うことを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記固体撮像素子の非撮像時において、当該固体撮像素子の複数の受光素子の各電気信号が増幅された各増幅信号に対し、前記変化手段の制御によって変化する各増幅率毎に所定の演算処理を行い、
前記記憶手段は、各増幅率毎に前記所定の演算処理によって得られた演算データをそれぞれ前記暗ノイズデータとして記憶し、
前記ノイズ除去手段は、前記読み取り動作を行う際に、前記増幅率設定手段で設定された前記増幅率に対応する前記演算データを前記記憶手段から読み出し、前記光学的情報の前記画像データに対してその読み出された前記演算データに基づく前記ノイズ除去処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記非撮像時において、前記固定撮像素子を構成する全受光素子の全増幅信号に対し、前記各増幅率毎に前記所定の演算処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記固体撮像素子を構成する全受光素子のうちの一部が光遮蔽された光遮蔽素子として構成されており、
前記測定手段は、各光遮蔽素子からの各電気信号が前記増幅手段によって増幅された各増幅信号に対し、前記変化手段の制御によって変化する各増幅率毎に所定の演算処理を行い、
前記記憶手段は、各増幅率毎に前記所定の演算処理によって得られた演算データをそれぞれ前記暗ノイズデータとして記憶し、
前記ノイズ除去手段は、前記読み取り動作を行う際に、前記増幅率設定手段で設定された前記増幅率に対応する前記演算データを前記記憶手段から読み出し、前記光学的情報の前記画像データに対して前記演算データに基づく前記ノイズ除去処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記所定の演算処理は、演算対象となる複数の前記増幅信号の平均値を算出する平均値算出処理であることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記増幅手段は、前記光学的情報を前記固体撮像素子によって撮像し読み取り動作を行う際に、前記固体撮像素子を構成する各受光素子からの各受光信号を増幅し、
前記ノイズ除去手段は、前記読み取り動作を行う際に、前記各受光信号が前記増幅手段によって増幅されたときの各増幅値から前記平均値を差し引く減算処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記光学的情報の読取処理を行う読取モードと、前記光学的情報の前記読取処理を行わない待機モードとを切り替える切替手段を備え、
前記切替手段によって前記待機モードに切り替えられているときに、前記測定手段による前記暗ノイズデータの測定が行われ且つ当該暗ノイズデータが前記記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記読取モードが終了する毎に前記測定手段による前記暗ノイズデータの測定が行われ、且つ前記記憶手段に記憶される前記暗ノイズデータが更新されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
固体撮像素子と、
前記固体撮像素子からの電気信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段の増幅率を設定変更可能な増幅率設定手段と、
前記増幅手段からの増幅信号に基づく画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段に取得される前記画像データのノイズを除去するノイズ除去手段と、
を備えた光学的情報読取装置であって、
前記固体撮像素子を構成する全受光素子のうちの一部が光遮蔽された光遮蔽素子として構成され、
前記画像データ取得手段は、前記固体撮像素子における前記光遮蔽素子以外の領域からの前記電気信号に基づく前記画像データを取得し、
前記ノイズ除去手段は、
光学的情報の読取動作時に、前記光遮蔽素子からの電気信号に基づき、前記増幅率設定手段にて設定されている前記増幅率に対応する暗ノイズデータを測定する測定手段を備え、
前記読取動作時に、前記画像データ取得手段によって取得される前記光遮蔽素子以外の領域の前記画像データに対し、前記測定手段にて測定された前記暗ノイズデータに基づくノイズ除去処理を行うことを特徴とする光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−117745(P2010−117745A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288344(P2008−288344)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】