光学的断面画像の線を消去するためのシステムおよび方法
【課題】 本発明は画像を生成するための装置、システム、及び方法を提供する。
【解決手段】 プロセッサが、複数の入力画像に基づいて第一の出力画像を生成し、アーチファクトがあればそれを第一の出力画像から除去して第二の出力画像を生成する。例えば、一実施形態において、プロセッサは画像の強度値に対するアーチファクトの影響を計算し、画像の強度値から計算された影響を減じる。別の実施形態においては、プロセッサは第一の出力画像に画像変換を適用することによって得られる変換データを表す変換画像の所定の部分を削除し、それにより変換データが変更されるとともに、該変更された変換データに基づいて非変換画像を生成することができる。
【解決手段】 プロセッサが、複数の入力画像に基づいて第一の出力画像を生成し、アーチファクトがあればそれを第一の出力画像から除去して第二の出力画像を生成する。例えば、一実施形態において、プロセッサは画像の強度値に対するアーチファクトの影響を計算し、画像の強度値から計算された影響を減じる。別の実施形態においては、プロセッサは第一の出力画像に画像変換を適用することによって得られる変換データを表す変換画像の所定の部分を削除し、それにより変換データが変更されるとともに、該変更された変換データに基づいて非変換画像を生成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的断面画像から線を消去するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元の物体の2次元画像を得ることは、例えば有機物の研究等で要求されることが多い。物体の撮像はしばしば顕微鏡を用いて行われる。画像の明瞭度は、特殊な2枚の2次元平面、すなわち3次元物体のスライスを撮像することによって改善される。
【0003】
従来のシステムは、3次元物体内の2枚の2次元平面の画像を、逆畳み込み、共焦点レーザー、及び光学セクショニングする等、いくつかの異なった方法で生成している。光学セクショニングの場合、従来のシステムは3次元画像内の特定の平面上にグリッドパターンを投影し、グリッドパターンが適合する画素のみから画像を構成する。平面は物体に対して選択されたものである。撮像される物体の平面は、選択された平面に対する物体の配置によって決まる。グリッドパターンは、ピーク光強度と最低光強度が所定の画素数毎に周期的に発生するような、画素で測定された正弦波として表すことができる可変光強度のパターンのことを指す。図1は、光学セクショニングを実行する従来のシステム、例えば顕微鏡の構成要素を示す図である。ランプ100は水平のグリッド102上に照射される光を放射し、この光は続いて、ビームスプリッタ104によって反射され、撮像される物体上にグリッドパターンとして照射される。グリッドパターンを含む、物体で反射された光は、カメラ106によって画像として捉えられる。この画像はプロセッサ108で処理され、出力画像が生成される。特に、プロセッサ108は、グリッドパターンが適合する画素のみから構成される出力画像を提供する。
【0004】
グリッドパターンを物体に投影することにより、物体の望ましい平面の画素ではない画素の消去が可能になる一方で、得られた画像に不要なグリッドパターンを追加することも可能になる。従って、グリッド102が複数の位置に動かされると、各位置で画像が得られ、それらの画像が組み合わされてグリッド線のない1つの画像が形成される。グリッドを動かすためには、ピエゾ効果により駆動されるアクチュエータ110が用いられる。ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110は入力電圧に応答する。この入力電圧は、例えばプロセッサ108によって生成する。ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110がグリッド102を動かす範囲は、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110に加えられる特殊な電圧によって決まる。グリッドパターンの特殊な強度が投影される物体の特定の部分は、グリッド102の位置によって決まる。ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110を動かし、3つの位置の間でグリッドを移動させる。その位置は、対応するグリッドパターンの合成強度が対応する正弦波として描かれるように設定され、正弦波上の特定のポイントは、3つのグリッドパターンの間で等しい位相差で、すなわち120°ずつ離れた0°、120°、及び240°の位相角だけずらされる。グリッド102の3つの各々の位置に対して、カメラ106は対応する画像を撮像する。図2に、互いの上に重ね合わされた3つの画像と、対応するグリッド線の強度のグラフを示す。
【0005】
各画素に対して、プロセッサ108は次の式を用いて3つの画像の各々から得られた値を合成する。
【0006】
【数1】
グリッドパターンは等しい角度120°だけ移相され、すなわち位相角は0°、120°、及び240°となるから、3つの画像内の特定の画素でのグリッドパターンの正弦波は互いにキャンセルし合い、つまり、それらの値は平均してゼロになる。さらに、広視野画像、すなわちグリッドパターンが焦点を結ばない部分は、I1−I2、I2−I3、及びI3−I1によってキャンセルされる。従って、3つの画像の合成によって算出されるIPの値は、グリッド線内の対応するポイントの値を含んでいない。従って、出力画像はグリッド線を含まない。
【0007】
ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110に加えられる電圧が、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110を適切な距離だけグリッド102を移動させ、グリッドパターンが120°だけ移相されることを保証するために、従来のシステムのいくつか、又はすべてが較正を必要としていた。この較正のために、滑らかな鏡のような、極めて一様な表面を持つ物体が撮像対象として挿入され、3つの画像が上述したように撮像される。位相が正しくない場合、グリッドパターン周波数の高調波であるアーチファクトが合成画像に現れる。従って、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110に加えられる電圧、及びその結果としての位相は繰り返し変化する。その各変化に対して、3つの画像が記録され、合成された画像内のアーチファクトの信号電力が高速フーリエ解析(FFT)を用いて測定される。その変化は信号電力がある閾値を下回るように算出されるまで、すなわち位相ずれがほぼ補正され、アーチファクトが十分に除去されたことを示すまで繰り返される。位相ずれがほぼ補正されたら、較正は完了とされる。
【0008】
この手順では、アーチファクトの解析のため、3つの画像の各組の画素値を合成することを要する。この手順は、通常45秒程度だが、5分かかることもあり得る。さらに、位相角は直接算出することができない。その代わりに、画像が所望の位相角であるインスタンスにほぼ相当する、すなわち、信号電力がアーチファクト信号の閾値以下に低下する位相角が求められる。しかし、この手順では所望の位相角を正確に求めることができない。さらに、アーチファクト信号が閾値以下に低下するインスタンスは、FFTを用いて正確に算出することができない。これは、特に信号電力を離散値で測定して信号の部分的電力しか測定できないFFTの低精度を考えれば、当然と言える。従って、このような従来の方法では、グリッド線及び/又はアーチファクトを画像から完全に消すことはできない。
【0009】
また、カメラ106によって返される画素値は、画像の強度に関しては不正確であることが多いので、アーチファクトの強度の測定は正しくないことが多い。従って、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110の較正は正確ではないということになる。
【0010】
さらに、較正手順の正確さに関係なく、3つの画像を合成することによって得られる出力画像はアーチファクトを含んでいることが多い。アーチファクトはグリッドパターンと同様に画像の強度において正弦波的に変化していることが多い。アーチファクトの正弦波的変化は必ずしもグリッドパターンと同じ周波数とは限らないが、通常はグリッドパターンの積であり、グリッドパターンの正弦波のある高調波である。アーチファクトの発生には多くの原因がある。原因の1つは部品、例えばピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110のような部品の不整合であり、この不整合によって画像間の画素値の強度に変化(グリッドパターン自体によって生ずる強度変化以外の変化)が生ずる。そのような強度の変化により、3つの画像が合成された時に、グリッドパターンの打ち消しが不可能になる。その他の要因がアーチファクトに影響することもある。
【0011】
さらに、3つの画像の合成がグリッド線の消去を可能にしたとしても、この手順は最適な画像を生成することはない。
【特許文献1】NEIL,M.,et al.,“Method of Obtaining Optical Sectioning by Using Structured Light in a Conventional Microscope”.Optics Letters(1997) volume22, number24,pp.1805−1807
【特許文献2】SCHAEFER,L.,et al.,“Structured illumination microscopy: artifact analysis and reduction utilizing a parameter optimization approach”.Jounal of Microscopy(2004) volume216,number2,pp.165−174
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、グリッド102の移動量を効率的に較正し、グリッド線又はアーチファクトのない最適な画像を提供するシステム及びその方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態は、撮像対象の物体に連続的に投影されるグリッドパターンの位相角を算出することによって光学セクショニングを通して画像を生成するための装置、コンピュータシステム、及び方法に関する。本発明の実施形態は、実際に記録される画素値の対数値又は近似的対数値である画素値に関連して設定又は算出されるグリッドパターンの位相角に基づいて画像を生成するための装置、コンピュータシステム、及び方法に関する。本発明の実施形態は、特に複数の画像の中で連続した各ペアの画像が異なった位相角で得られる時、すなわち直前の画像と同じ位相角の画像がない時、合成された3以上の画像を含む複数の画像の値に基づいて画像を生成するための装置、コンピュータシステム、及び方法に関する。ここで用いられる連続した画像は、記録する時間の連続性というよりもむしろ、グリッドパターンの位相角に関する連続性に関わるものである。本発明の実施形態は、光学セクショニングによって生成された出力画像からアーチファクトを消去するための装置、コンピュータシステム、及び方法に関する。
【0014】
コンピュータシステムは、一般的なコンピュータ言語で書かれたコンピュータプログラムを含むものとする。コンピュータシステムと本発明の方法を実行するために用いられるコンピュータ言語の例として、C及び/又はMATLABがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
位相角の直接計算
図3は、本発明の実施形態に基づく撮像システムの構成要素を示すブロック図である。図1で既に説明されている図3の要素には同じ参照番号を付与する。図3を参照すると、本発明の実施形態では、物体の画像を得るため、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110によってグリッド102を3つの異なった方向に動かすことができる。ここで、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ以外のアクチュエータも使用可能であることは言うまでもない。各位置は異なった位相角に対応している。3つの各々の位置に対して、カメラ106(例えばCCD(電荷結合素子)カメラ又はその他の一般的なカメラ)が、グリッド線を含む対応する画像を記録する。プロセッサ108は(これは他の適切なコンピュータプロセッサ又はそれらと同等な機能の素子でも構わない)記録された3つの画像に基づいて出力画像を生成する。プロセッサ108としては、適用可能なコンピューティング素子、例えばコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、携帯電話機、ハードドライブベースの装置、あるいはデータの送受信及び保存が可能な装置、の使用が可能である。
【0016】
3つのグリッド位置とそれらに対応する画像は、120°ずつずれたグリッド位相角に対応する画像に基づいて出力画像を生成するために用いられる。別の方法として、3つのグリッド位置とそれらに対応する画像が、位相が120°ずれていなくとも、各画素に対して3つの式、1つの画像につき1つの式を提供するために使用することも可能である。各式は画素値の成分に対応する3つの未知変数を含んでいる。各式はIn=Iw+Iccosφn+Issinφnで与えられる。式中Inは3つの画像のうち特定の画像nの画素値を、Iwは画素値の広視野成分を、φnは特定の画像nの位相角を、Icは同相成分を、そしてIsは直交成分をそれぞれ表している。3つの画像のそれぞれの位相角が算出されると、3つの未知数に対して3つの式が与えられるため、未知数Iw、Ic及びIsを計算することができる。
【0017】
プロセッサ108がその出力画像を生成する画像の組み合わせに基づいて記録された各画像に対して、システムは画像の位相角を算出することができる。位相角は、外部の物体に対するグリッド線の動きに関係なく、画像間の位相差に依存するものであるため、すなわち画像の位相は互いの関係だけで算出されるため、プロセッサ108は画像の1つ、例えば第一の画像に対して、対応するグリッド位置に関係なく、0°の位相角を割り当てることができる。次にプロセッサ108は残りの画像のそれぞれの位相角を計算する。これは0°の位相角が割り当てられた画像の位相からの位相ずれを表す。位相角を算出するための画像は、十分に一様な表面から反射された光から得ることができる。例えば、十分に一様な表面を持たない物体を撮像する場合、位相角を算出するために十分に一様な表面を持つ別の物体をカメラと撮像物体とを結ぶ線上に挿入する必要がある。
【0018】
本発明の実施形態において、プロセッサ108は、アクチュエータ110を較正し、位相角が、例えば0°、120°、及び240°のような所定の位相角に設定されるようにグリッド102を動かす。アクチュエータ110を較正するために、プロセッサ108はカメラ106に一連の画像を繰り返し記録させる。この一連の画像の各画像に対して、プロセッサ108はそれぞれの位相角を算出し、それらを所定の位相角と比較する。算出された実際の位相角と所定の位相角とのずれに基づいて、プロセッサ108はグリッド102を動かすためにアクチュエータ110に加えられる電圧に対応する新しい出力電圧を生成する。このサイクル、すなわちアクチュエータ110への電圧印加、一連の画像の取り込み、一連の画像の各画像の位相角の算出、算出された位相角と所定の位相角との比較、そして新しい電圧値の出力という一連の流れは、算出された位相角が所定の位相角と所定の許容誤差範囲内で一致するまで繰り返される。これらが許容誤差範囲内で一致すれば、プロセッサ108はこれ以上電圧値を変更する必要がなくなるため、較正が完了したと判断する。各サイクルに対してカメラ106によって記録された画像の位相角が直接算出されるため、較正を迅速に行うことができる。
【0019】
較正した後、プロセッサ108は、例えばユーザの指示に応じて、カメラ106に3つの画像を記録させ、次式に従って出力画像の各画素の値を設定することにより物体の出力画像を生成する。
【0020】
【数2】
図4は、本発明の実施形態に基づく、画像を得るためにプロセッサ108、カメラ106、及びアクチュエータ110によって実行される処理手順を示すフローチャートである。例えば、図4、図6、図12、及び図13の手順は、プロセッサ108、メモリ312、又は通常の技術的方法として知られる撮像システムのその他の部分に含まれているコンピュータが読み出せる記録媒体上にコンピュータが実行可能な命令として保存されるアルゴリズム、ソフトウェア、又は計算式を用いて実行することができる。コンピュータが読み出せる媒体としては、フロッピーディスク(商標)、光ディスク、デジタルビデオディスク、コンピュータディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)等がある。参照番号400で較正手順がスタートし、402でプロセッサ108がカメラ106に一連の画像、例えば3つの画像を記録するように指令を出す。404でカメラは一連の画像の記録を開始する。一連の画像の記録の間に、406でプロセッサ108はピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110に電圧を加える。この電圧に応じて、408でアクチュエータ110はグリッド102を動かす。画像を記録した後、410でカメラ106は記録した画像をプロセッサ108へ送る。カメラ106は画像を記録した後、各画像を個別に送信するか、あるいは1つにまとめて送信する。414でプロセッサ108は各画像の位相角を別々に算出する。416でプロセッサが、位相角が120°オフセットされていないと判断した場合、プロセッサ108は較正手順を継続する。そうでない場合は、プロセッサ108は418で較正手順を終了する。
【0021】
較正した後、プロセッサ108は、例えばユーザの指示に応じて出力画像を生成するため、420で画像生成手順を開始する。画像生成手順では、402から410がまず実行される。撮像される物体が画像の位相角を算出するための十分なデータを提供する場合は、402〜410の再実行は省略することができる。また、撮像される物体が、それ自体に鏡のような一様な表面を備えている場合、較正を撮像される物体を用いて行うことができる。従って、プロセッサ108は、画像生成手順の較正手順で用いられた画像データを使用することができる。さらに、たとえ撮像される物体が一様な表面を持っていないとしても、物体の画像から得られるデータが較正手順に十分であるということが起こり得る。各画像に対する角周波数(以下に詳述する)と位相角を計算することによって、計算結果が比較される。結果が十分に一致していれば、物体が十分なデータを提供していると、すなわち特定の性質を持つ較正スライドの撮像は省略できると見なすことができる。撮像される物体は位相角を算出するのに十分なデータを提供しないことが多いため、指定された物体の別の記録を用いて位相角を算出することも可能である。その場合、プロセッサ108は422で出力画像を生成するために各画素に対して以下の式を適用し、その値を424で出力する。画像はコンピュータスクリーン、プロジェクタ、及び/又はプリンタのような一般的な出力装置に出力される。
【0022】
【数3】
本発明の別の実施形態においては、較正は省略することができる。この実施形態によれば、プロセッサ108は、グリッド102の移動によって生じた画像の位相角を算出するため、十分に一様な表面を持つ物体の一連の画像をカメラに記録させる。プロセッサ108は算出された位相角をメモリ312に保存する。別の方法として、撮像される物体が一様な表面を持っているか、又は十分なデータが物体の画像から得られるような十分な詳細度を含んでいるなら、プロセッサ108は、画像の位相角を算出するだけのためにカメラの照準線に挿入される別の物体の以前の画像を使用することなく、撮像される物体の画像から画像の位相角を算出することができる。
【0023】
メモリ312に算出された位相角を保存した後、プロセッサ108は、例えばユーザの指示に応じて、カメラ106に画像を記録させ、出力画像の各画素の値を、保存されている位相角を行列式に代入し、行列式の解から得られた画素値のIc及びIs成分の値に設定することによって、物体の出力画像を生成する。上述したように、3つの画像の各々に対して、特定の画素値はIn=Iw+Iccosφn+Issinφnである。従って、特定の画素は次式で定義される。
【0024】
【数4】
変数Iw、Ic、及びIsを求めるために上の式を行列式の形で表現すると次式のようになる。
【0025】
【数5】
IcとIsが計算されると、プロセッサ108は、図5に示されているようにIcとIsが画素値の同相及び直交の関係にあるため、出力画像の画素値Ipを算出することができる。(IWは広視野画像である)。プロセッサ108は式
【0026】
【数6】
(ピタゴラスの定理)から画素値Ipを算出することができる。I1、I2、及びI3の値は物体に投影されたグリッド線に部分的に基づいてはいるが、Ipの値(成分Ic及びIsに基づいて算出される)は完全に物体に基づいており、物体上に投影されたグリッド線に基づくものではない。さらに、位相角が正確に、又はほぼ正確に算出されるため、前述の式によって算出された画素値Ipの組み合わせによって生成された画像にはアーチファクトが含まれていないことになる。
【0027】
図6は、図4と同様に、本発明の実施形態に基づく出力画像を得るための手順を、プロセッサ108、カメラ106、及びアクチュエータ110が実行する際のフローチャートである。図6において、図4で説明されたものと同じ要素には図4と同じ参照番号を付与する。本実施形態によると、較正は実行されず、位相角算出手順のみが実行される。従って、400と418は600と618で置き換えられ、416の判定は実行されない。420及び402〜410の再実行については、撮像される物体が上述のように画像の位相角を算出するための十分なデータを提供している場合には省略することができる。さらに、この実施形態の場合、120°の位相角オフセットを得るための較正は実行されないため、422は出力画像を生成するために次の式が適用される522で置き換えられる。
【0028】
【数7】
較正手順が実行される実施形態の場合にも、プロセッサ108で式
【0029】
【数8】
を用いて出力画像の画素を計算することができることは言うまでもない。また、第二の実施形態の場合でも、プロセッサ108が414で位相角が0°、120°、及び240°であると算出した場合には、次の式を用いて出力画像の画素を計算できることは言うまでもない。
【0030】
【数9】
従って、3つの画像の位相角を算出することによって、較正を迅速に実行させることができる。さらに、位相角を算出することによって、アクチュエータ110を一連の画像のグリッド線が所定の位相角になるように較正することなく、異なった位相角を持つ一連の画像に基づいて出力画像を生成することが可能である。
【0031】
本発明の実施形態を示す図4と図6において、プロセッサ108は、以下で説明するように、412で一連の画像のグリッド線の角周波数を算出し、一連の画像の位相角を画像の画素値と算出された周波数との相関に基づいて計算することができる。特に、本発明の一実施形態である図4において、412は算出された周波数の比較による品質管理のための較正手順の各繰り返し中に実行されるが、一方別の実施形態においては、周波数が判明すると再計算を行う必要がなくなるため、最初の繰り返し時以外は較正手順の各繰り返し中は省略することができる。周波数が固定されないことは言うまでもない。例えば、周波数は、レンズの位置に左右される反射された画像の倍率又は物体上に反射された光によって決まる。画素値と算出された周波数との相関によって位相角を計算するためには、周波数の算出を極めて正確に行う必要がある。例えば、周波数の算出にFFTを使用するのは適切ではない。本発明の実施形態においては、プロセッサ108は、FFTを用いて得られる離散値の結果以上に流動的な結果を提供する解析法として、当業者に認められているベイジアンスペクトル解析を用いて高精度に周波数を計算することができる。
【0032】
ベイジアンスペクトル解析を適用するためには、画像の信号データを集める必要がある。各信号は、画像の強さの正弦波的変化に関する式によって表すことができる。その式は、f(yi)=rcos(ωyi+φ)+cであり、式中rは絶対値(振幅)、ωは算出された角周波数、yは画素の位置、φは位相角、そしてcは画像の強度の平均値である。Yについて言えば、グリッド線の方向に依存する垂直方向又は水平方向いずれかの画素の座標である。例えば、グリッド102の方向は、グリッド線が画像上に水平方向に投影され、これによって垂直方向に画像の強度が変化するように設定することができる。この場合、画素座標は垂直方向内の座標となる。画像強度の正弦波的変化は式f(yi)=acosωyi+bsinωyi+cによって表すこともできる。式中aとbは量の余弦成分(cosine)と正弦成分(sine)である。上記の2つの式はよく似た形をしているが、前者の式は2つの未知数ωとφの両方だけを含んでいるのに対して、後者の式は2つの未知数の1つ、すなわちωしか含んでいない。従って、後者の式を使う場合、角周波数ωはベイズスペクトル分析(Bayesian Spectral Analysis)によって例えば以下のような方法で算出される。
【0033】
後者の式を複数のデータサンプル‘d’に適用すると、次の行列式が得られる。
【0034】
【数10】
こうして、行列を得ることができる。
【0035】
【数11】
線形係数と雑音の標準偏差は積分される。次に、行列Gを、データセットdが与えられた時に角周波数ωの考えられる値を算出するための次のベイジアンの式に適用することによって周波数が求められる。
【0036】
【数12】
ただし、Mは行列Gに含まれる行の数である。周波数を算出するには、複数画像の1つの画像サンプルがあれば十分である。しかし、2以上の画像のデータを入力することによって周波数の精度を高めることができる。
【0037】
本発明の一実施形態において、データ源として画像全体ではなく、画像の一部の細長い領域を使用することができる。例えば、グリッド線が画像上で水平に投影されていて、画像強度の変化を垂直方向に生じさせている場合、データ源として画像の垂直の細長い領域が使用される。細長い領域を使用することにより、画像全体を使用する場合よりも式に入力するデータの量は少なくなるが、グリッド線が撮像領域に対してある角度で投影され、これによって以下で説明されるようにデータ入力が非対称になるため、精度を高めることができる。
【0038】
本発明の別の実施形態においては、ベイズスペクトル分析への入力として使用するデータに、画像の画素のすべての値が使用される。
【0039】
また、別の実施形態においては、画素の各列(又はグリッド線が垂直方向に投影されている場合は画素の各行)が合計される。各列に対する画素値の合計
【0040】
【数13】
は、あたかもその合計値が1画素幅の縦長領域の実際の画素値、すなわち1列あたりの1つの値であるかのようにベイズスペクトル分析へのデータ入力として使用することができる。後述の2つの実施形態は、記録された画素値が雑音等のために不正確となり得る前述の実施形態よりも、高い精度で周波数を測定できる。従って、考慮される画素値の数が多いほど、周波数の計算はより正確になる。
【0041】
しかし、後の2つの実施形態については、グリッド線が撮像領域に対してある角度を持って投影されるような位置にグリッド102が置かれた場合、投影されたグリッドパターンによって生じた画像強度の正弦波的変化は、上述したように、同じ列に沿った画素に不均等に影響する。図7はこの現象を図で表したものである。図7は、グリッドパターン702がある角度を持って投影された撮像領域700を示している。選択された列704に関して、グリッドパターン702は、列704の異なった画素の値に不均等に影響を与える。例えば、画素2が影響を受けないのに対して、画素13は大きく影響される。従って、選択された列704の画素値が合計されるか、あるいは周波数算出のためのデータ入力と組み合わせて用いられる場合、得られた周波数は正確ではなくなる。
【0042】
従って、本発明の実施形態においては、グリッドパターンの周波数を算出する前に、グリッドパターンが撮像領域の横座標に平行になるように(又は、グリッド線が垂直方向に投影されている場合は横座標と直角になるように)画像を回転させる。グリッド線が横座標に対して投影される角度(α)を算出し、画像を−α回転させる。
【0043】
本発明の実施形態において、グリッド線が撮像領域の横座標に対して投影される角度(ラジアン)は、(a)画像の上に重畳され、撮像領域の横座標に対して45°と−45°の対称の角度で配置された2本の斜線に沿ってグリッドパターンの周波数を算出し、かつ(b)算出された周波数を次式に代入して計算することによって求めることができる。
【0044】
【数14】
斜線に沿って周波数を算出するためには、選択された斜線に沿った細長い領域の画素の値が上述の周波数計算式に入力される。例えば、それらの画素値はベイズスペクトル分析の式に入力される。
【0045】
例えば、図8には撮像領域700の横座標に対して45°で描かれた斜線801と、−45°で描かれた斜線802が示されている。グリッドパターンがある角度で配置された時、グリッド線の実際の周波数は斜線に沿って算出された周波数とは異なっていることがある。さらに、2本の斜線に沿って算出された周波数も異なっていることがある。例えば、図8内の実際のグリッド周波数を表す、実際の周波数線800に沿って算出されたグリッド線の周波数は、図8での測定単位に対して約0.5603である。しかし、斜線801と802に沿って測定されたグリッド線の周波数は、それぞれ測定単位に対して約1.1420及び0.6402である。
【0046】
【数15】
傾斜が正しく算出されると、システムと方法は上述の方法でグリッド線の周波数を算出することができる。
【0047】
周波数が算出されると、画像の位相角を算出することができる。画像の画素値については、acosωyi+bsinωyi+cの係数aとbは、画素値から算出された周波数への線形回帰を用いることによって推定値を求めることができる。aとbの推定値が求められると、画像の位相角は図9に示された関係により、(b/a)として計算される。単一画像の位相角の算出は、一連の画像の他の画像に関するデータを用いることなく行うことができる。例えば、図4、及び図6について、412と414は、カメラ106が各画像を記録した後すぐに各画像を転送したとしても、カメラ106から画像が受け取られると同時に実行が開始される。従って、その後の画像の記録を準備するためにアクチュエータ110がグリッド102を移動させる間に、及び/又はカメラ106がその後の画像を記録する間に、プロセッサ108がその前に記録された画像に対して手順412及び414を実行する。
【0048】
3以上の画像の使用
これまで詳細に論じたように、画像の生成手順は、各グリッド線が異なった位相角で投影されている場合に、一連の画像の対応する画素値の組み合わせに基づいて画素値を算出することによって実行される。本発明の実施形態においては、出力画像を生成するための一連の画像の中には、通常3つの画像が含まれているが、より高い品質を得るために、プロセッサ108は3以上の画像の画素値に基づいて出力画像を生成することができる。例えば、図10に示されるように位相角間のオフセットを小さくすることが可能である。図10は画像間の位相角のオフセットが30°の場合を示している。解りやすくするために、単一の画像の強度のみ、すなわち基準画像の強度変化のみが図示されている。破線は他の画像の強度のカーブがスタートする位置を表している。
【0049】
【数16】
上述した位相角の算出方法では、未知数はIw、Ic、及びIsのみであるため、3以上の一連の画像は未知数の数以上の式を提供する。式は雑音のために完全に一致しないことがある。従って、例えば最小二乗法による回帰分析がIw、Ic、及びIsの計算に用いられ、これによって信号の中に存在する雑音を抑えている。特に、以下のような最小二乗回帰の式を適用することができる。
【0050】
【数17】
この式は3つの画像しか用いられない場合でも適用できる。
【0051】
3以上の画像の中で連続した2つの画像の各ペアの位相角が同じ角度だけずれている場合、他の式を適用することができる。一連の画像の数(M)には関係なく、Iw、Ic、及びIsは次式によって計算される。
【0052】
【数18】
この式はM=3の場合にも適用できる。上記の2式のいずれかを用いてIcとIsが計算されると、Ipは次式を用いて計算することができる。
【0053】
【数19】
さらに、4つの画像が用いられ、これら4つの画像のうち連続した画像のペアの位相角が同じ角度だけずれている場合、Ipは次式を用いて計算することができる。
【0054】
【数20】
本発明の実施形態において、生成された画像の画素値は、最小二乗法を更新するための一般的な手順により最小二乗法を変更することによって、新たに得られる画像を説明するために再帰的に更新される。例えば、再帰的な最小二乗法の式は、Sherman−Morrisonの式又はWoodburyの式のような一般に用いられている式を含んでいる。従って、3つ又はそれ以上の画像の画素データに基づく画像が出力された後、ユーザはプロセッサ108にさらに明瞭な画像を生成するように指示することができる。それに応じて、プロセッサ108は新たに記録された画像(グリッドパターンを含む)を求め、既に計算されたIcとIsの値を、以前に使用された画像を用いて計算をやり直すことなく更新することができる。従って、更新が望ましい場合にも、以前に使用された画像を保存する必要はない。
【0055】
前処理−パラメータを推計するための画素データの変換
カメラ106から返された画像の画素値は画像強度において一様ではなく正弦波的に変化していることが多い。従って、特定の位相角を提供するためのアクチュエータ110の較正は、アーチファクトのFFT測定に基づくか、位相角の直接計算及び/又は式
【0056】
【数21】
に基づき出力画像を生成するための位相角の計算に基づくかに関係なく、カメラ106によって記録された画素値に基づく場合は不完全なものである。本発明の実施形態において、システムは、較正のため、又は位相角(及び/又は周波数)を算出するために用いられる各記録された画素値を、画素値の対数変換又は近似的対数変換によって求められた値で置き換えることができる。その結果として得られた値により、画像強度においてより一様な正弦波的変化がもたらされる。図11は変換されなかった画像と変換された画像との画像強度の正弦波的変化の違いを示している。非変換画像の画像強度を表すグラフ(a)内の正弦波の振幅があまり一様でないのに対して、変換された画像の画像強度を表すグラフ(b)内の正弦波の振幅はより一様である。
【0057】
変換に続いて、通常の較正、又は直接計算された位相角に基づく較正が実行される。また別の方法として、位相角は上述したように較正されずに計算されることもある。較正及び/又は位相角の計算に続いて、プロセッサ108は非変換画素値、すなわち記録された元の画素値に基づいて、上述した手順に従って出力画像を生成する。
【0058】
本発明の一実施形態においては、記録された画素値の変換のために、各画素値の対数値への簡単な変換が行われる。この実施形態によれば、画像強度が低い箇所で雑音が増幅される場所では逆の効果が現れ、画像強度の値を歪めることがある。また別の実施形態においては、各画素に対して逆双曲正弦関数
【0059】
【数22】
が使用され、式中xは記録された元の画像強度である。後者の関数は、大きな画素値の場合は関数log(x)を、e(自然対数)を底とする数値に近似するが、小さな画素値の場合は近似しない。この実施形態によれば、低い画像強度での雑音の増幅を避けることができる。画素値の変換は、画像内の強度の正弦波的変化の振幅を制御する関数を用いて実行することができることは言うまでもない。
【0060】
後処理−出力画像からのアーチファクトの除去
較正手順又は位相角算出の正確さには関係なく、3つ又はそれ以上の画像の組み合わせによって求められた出力画像はアーチファクトを含んでいることがある。このアーチファクトはグリッドパターンと似た、画像強度の正弦波的変化であることがある。アーチファクトの正弦波的変化はグリッドパターンの積であり、グリッドパターンの正弦波の高調波でもある。特に、アーチファクトの正弦波的変化はグリッドパターン周波数の3つの高調波内に存在すると仮定することができる。
【0061】
本発明の一実施形態におけるシステムと方法は、出力画像からのアーチファクトによって生ずる画像強度の正弦波的変化を取り除くことができる。
【0062】
本発明の一実施形態において、アーチファクトによる画像強度の正弦波的変化を表す正弦波を算出することができる。算出された正弦波は画像から差し引かれ、結果としてアーチファクトのない画像が得られる。出力画像の画素値は式Q=I+Bで表され、式中Qは画素値、Iは撮像された物体が影響する画素値の一部、そしてBはアーチファクトが影響する画素値の一部である。各画素値に対して、対応するBの値が算出され、これがQから差し引かれるとI、すなわちアーチファクトの影響を受けない画素値が得られる。
【0063】
上述したように、投影されたグリッドパターンによる画像強度の正弦波的変化は、式f(yi)=acosωyi+bsinωyi+cによって表される。同様に、B(列yでの画素値に影響するアーチファクト、垂直に投影されたグリッドパターンとアーチファクトを仮定)はa1cos(ωyi)+b1sin(ωyi)+a2cos(2ωyi)+b2sin(2ωyi)+a3cos(3ωyi)+b3sin(3ωyi)で表される。各cos/sinのセットはアーチファクトに対応する。アーチファクトは高調波1から3までの1つ又は複数であると仮定することができる。従って、このシステムと方法は、3つのcos/sinのセットを含んでいる上の式が画像内のアーチファクト(もしあれば)を表していると見なすことができる。
【0064】
従って、特定の列yiでの画素値は式Q(x,yi)=I(x,yi)+a1cos(ωyi)+b1sin(ωyi)+a2cos(2ωyi)+b2sin(2ωyi)+a3cos(3ωyi)+b3sin(3ωyi)で表すことができる。例えば、垂直方向の細長い領域に沿って画素をとれば、その画素値は次式で表すことができる。
【0065】
Q1=I1+a1cos(ω1)+b1sin(ω1)+a2cos(2ω1)+b2sin(2ω1)+a3cos(3ω1)+b3sin(3ω1);
Q2=I2+a1cos(ω2)+b1sin(ω2)+a2cos(2ω2)+b2sin(2ω2)+a3cos(3ω2)+b3sin(3ω2);
Q3=I3+a1cos(ω3)+b1sin(ω3)+a2cos(2ω3)+b2sin(2ω3)+a3cos(3ω3)+b3sin(3ω3);
…
Qn=In+a1cos(ωn)+b1sin(ωn)+a2cos(2ωn)+b2sin(2ωn)+a3cos(3ωn)+b3sin(3ωn)。
【0066】
これらの式は次のように行列式の形に書き直すことができる。
【0067】
【数23】
Iの値は正確な画素位置(x,y)によって決まる、このことはアーチファクトの結果である強度の正弦波的変化を算出するために重要ではない。従って、上記の行列式に対して、Iには列の位置とは無関係に1を乗じる。
【0068】
行列Gの各要素の値は、グリッドパターンの角周波数が算出されれば分かる。従って、システムと方法は、上述のように最初に角周波数を算出する。例えば、画素値はベイズスペクトル分析に入力される。これには、図8を参照して述べたように、横座標に平行で各列内の画素値の合計であるグリッドパターンを生成するための画像の回転も含まれる。位相角を算出するために角周波数が算出される一実施形態においては、例えば、較正中に以前に算出された周波数が角周波数の算出を再度行うことなく式に挿入される。また、角周波数が画像の後処理に先立って算出されない実施形態においては、システムと方法は後処理のために角周波数を算出する。この実施形態によれば、システムと方法は保存された入力画像の画素値を読み出し、グリッドパターンの角周波数を算出して、算出された周波数を行列Gに入力するが、出力画像の画素値も読み出し、行列qに入力する。
【0069】
(行列bの)a1、b1、a2、b2、a3、及びb3の値は、従って、回帰分析に上記の行列を入力することによって算出される。例えば、この行列Gを用いて次の最小二乗回帰式が適用される。
【0070】
【数24】
列あたり1つの画素サンプル(又はグリッドパターンが垂直線となっている場合は行あたりの)が上記の式で示されるが、列あたり(又は行あたり)の追加の画素サンプルが行列qに入力されれば、行列Gはそれに対応して追加の列を含むことになる。従って、行列Gの列が複数であれば、それらは同じωyi値である。
【0071】
行列bの値が算出されると、次式の値はb*Gによって算出される。
【0072】
a1cos(ω1)+b1sin(ω1)+a2cos(2ω1)+b2sin(2ω1)+a3cos(3ω1)+b3sin(3ω1);
a1cos(ω2)+b1sin(ω2)+a2cos(2ω2)+b2sin(2ω2)+a3cos(3ω2)+b3sin(3ω2);
a1cos(ω3)+b1sin(ω3)+a2cos(2ω3)+b2sin(2ω3)+a3cos(3ω3)+b3sin(3ω3);
…
a1cos(ωn)+b1sin(ωn)+a2cos(2ωn)+b2sin(2ωn)+a3cos(3ωn)+b3sin(3ωn)
これらの値は画素値に対するアーチファクトの影響である。列が異なればアーチファクトの影響に違いが出る理由、及び、従って列が異なれば式の値も異なる理由は、グリッドパターンが垂直方向に投影されている時、画像強度が垂直方向で正弦波的に変化することによる。
【0073】
これらの値が算出されると、上記の式の値は出力画像の画素値から差し引かれる。例えば、列1の各画素に対して、a1cos(ω1)+b1sin(ω1)+a2cos(2ω1)+b2sin(2ω1)+a3cos(3ω1)+b3sin(3ω1)の値が画素値から差し引かれる。正弦波の減算時に、システムと方法は、各列を回帰分析に入力する時に割り当てられたのと同じ列番号に割り当てる。例えば、回帰分析に対して撮像領域の最初の列にある画素が「row1」というラベルの列に割り当てられたとすれば、撮像領域の最初の列の画素からa1cos(ω1)+b1sin(ω1)+a2cos(2ω1)+b2sin(2ω1)+a3cos(3ω1)+b3sin(3ω1)の値が差し引かれる。さもなければ、各列から間違った値が差し引かれることになる。
【0074】
出力画像内のアーチファクトがグリッドパターンの3つの高調波以下で構成されることは起こり得るが、そのような場合はa1cos(ωi)+b1sin(ωi)+a2cos(2ωi)+b2sin(2ωi)+a3cos(3ωi)+b3sin(3ωi)のある部分が0となる。例えば、アーチファクトがグリッドパターンの第一高調波のみである場合、a2cos(2ωi)+b2sin(2ωi)+a3cos(3ωi)+b3sin(3ωi)の値は0である。
【0075】
本発明の一実施形態においては、3つの高調波が常に想定されている。この場合、回帰分析は0に等しいか極めて近いa2、b2、a3、及びb3の値をもたらす。
【0076】
本発明の別の実施形態においては、3高調波を想定する代わりに、アーチファクトを形成するグリッドパターン周波数の高調波の数が、高調波の数を算出する一般的な手順に基づいて最初に算出される。システムと方法はこの算出に基づいて行列の構成を変えることができる。例えば、アーチファクトがグリッドパターン周波数の2つの高調波の成分を含んでいるとすれば、上述の行列の構成ではなく、システムと方法は行列n×7の代わりに行列n×5Gを回帰分析に入力する。この行列は以下の構成となる。
【0077】
【数25】
この行列は、a3とb3の係数のペアは高調波の数の算出に基づいて0と仮定されるため、a3とb3の係数を算出しなくとも、係数a1、a2、b1、及びb2を算出するために用いられる。これにより、回帰分析は架空の第3の係数ペアに何の影響も与えないため、前の2つの係数ペアの算出精度を高めることが可能である。
【0078】
本発明の実施形態において、出力画像の狭い領域、例えば垂直方向の細長い領域が行列qの入力として用いられる。また別の方法として、画像のより大きな領域を使用することもできる。1つの特別な実施形態の場合、画素値の合計、例えばある列の画素値の合計が行列qの入力として使用される。また、本発明のある実施形態の場合、図8を参照して角周波数算出とグリッドパターンについて上述したように、出力画像はアーチファクトが(存在する場合)画像領域の横座標に平行になるように回転する。
【0079】
本発明の実施形態において、行列qに対して実際の出力画像の画素値を用いる代わりに、システムと方法は行列qに対して予め処理された出力画像の画素値を使用することができる。出力画像の画素値は、図11を参照して上述したように、画像強度のより一様な正弦波的変化に対する画素値の対数変換又は近似対数変換によって予め処理される。同様に、行列Gに対するグリッドパターンの角周波数を算出するため、入力画像の予め処理された画素値が入力画像の実際の画素値の代わりに用いられる。
【0080】
この実施形態によれば、出力画像に対するアーチファクトの影響(存在する場合)は、実際の出力画像の画素値からではなく、予め処理された出力画像の画素値から差し引かれる。減算した後、システムと方法は変更された実際の出力画像の画素値、すなわちアーチファクト(存在する場合)の除去によって変更された画素値を得るための逆対数変換の式に、予め処理され変更された画素値を入力する。
【0081】
図12は、本発明の実施形態に基づいて、例えばプロセッサ108によって出力画像からアーチファクトを除去するために実行される処理手順を表すフローチャートである。1202で、入力画像1200a及び出力画像1200bを含む画像1200は、予め処理された入力画像1203a及び画像強度においてより一様な正弦波的変化を持つ予め処理された出力画像1203bを含む、予め処理された出力画像1203に対して予め処理される。1204では、予め処理された画像1203は、それまで平行でなかったとすれば、入力画像1203aの投影されたグリッド線パターンと出力画像1203bのアーチファクトがそれぞれの撮像領域の横座標(水平方向のグリッド線の垂直なグリッドパターンを仮定)に平行になるように回転する。1206では、回転した入力画像1205a及び回転した出力画像1205bを含む回転した画像1205の列のいくつか又は全ての画素値(水平方向のグリッド線に垂直なグリッドパターンを仮定)を合計し、入力画像の画素行1207aと出力画像の画素行1207bを含む画素行1207を生成する。
【0082】
1206に続いて、1208と1210は、それぞれ独立して実行されるため、順番に行ってもよいし、同時に行ってもよい。1208では、入力画像のグリッドパターンの角周波数1209は入力画像の画素行1207aに基づいて算出される。1210では、アーチファクトを生成している高調波の数1211が出力画像の画素行1207bに基づいて算出される。
【0083】
1212では、予め処理された出力画像の画素値に対するアーチファクトの影響1213が、出力画像の画素行1207b(行列qに対する)、周波数1209(行列Gに対する)、及び高調波の数1211(行列Gに対する)に基づいて算出される。1214ではアーチファクトの影響1213が予め処理された出力画像1203bの画素値から差し引かれて、変更され、予め処理された出力画像1215が生成される。1216では、変更され、予め処理された出力画像1215に対して画像の事前処理の逆手順が実行され、変更された出力画像を生成する。これは事実上アーチファクト(存在する場合)が除去された出力画像1200bと同じである。
【0084】
アーチファクトの影響を計算し、出力画像の画素値からそれを減じることによって、出力画像からアーチファクトを取り除くという本発明の実施形態において、アーチファクトの除去は1202〜1206、1210及び1216の1つ、又はいくつか、又は全てを実行することなく、1208〜1214で実行される。例えば、予め処理された画素値及び/又は列の合計値ではなく、回転していない出力画像1200bの実際の画素値がq行列に対して用いられる。同様に、入力画像1200aのグリッドパターンの角周波数は、回転せず、予め処理されず、列の合計が行われていない、元の入力画像1200aに基づいて算出される。同様に、高調波の数1211を算出するための入力として、出力画像の画素行1207bの代わりに、予め処理されていない出力画像1200b、予め処理された出力画像1203b、又は予め処理されていない出力画像の画素行が用いられる。さらに、高調波1211の数を算出する代わりに、ある数、例えば3が仮定される。最後に、出力画像1200bが予め処理されない場合は、事前処理の逆手順は省略される。例えば、1214は変更された出力画像1217を生成する。
【0085】
さらに、本発明の実施形態において、アーチファクトを除去するために1208でグリッドパターン周波数を算出する代わりに、アーチファクト除去の手順に先立って算出されたグリッドパターン周波数が1208で求められる。
【0086】
本発明の別の実施形態において、光学セクショニング出力画像からアーチファクトを除去するためのシステムと方法は、所定の変換画像の場所である、出力画像の画像変換データ(以下、「変換画像」と言う)を表す画像の一部、すなわち所定の場所である、変換画像の一部を形成する画像変換データの一部を取り除くことができる。
【0087】
図13は、本発明の実施形態に基づき、例えばプロセッサ108によって、対応する変換画像を経由して出力画像からアーチファクトを除去するために実行される手順を示すフローチャートである。1300で画像変換が実行され、画像変換データが生成される。使用可能な典型的な画像変換法としてウェーブレット変換、離散コサイン変換(DCT)、離散サイン変換(DST)、高速フーリエ変換(FFT)、アダマール変換、ハートリー変換、及び離散ウェーブレット変換(DWT)等が挙げられる。DWTの例として、ハールウェーブレット(Haar Wavelet)及びドビッシーウェーブレット(Daubechies Wavelet)がある。
【0088】
1302では、画像変換データを表す変換画像が生成される。例えば、図14は複数の水平線のアーチファクト1402(そのいくつかは特別に処理される)を含む出力画像1400の例を示す。図15は、出力画像1400に画像変換を適用することによって生成された変換データを表す変換画像1500の例を示す。
【0089】
1304で、システムと方法は生成された変換画像の所定の部分を削除する。所定の部分は、出力画像の変換データを表す変換画像と同じように定義された領域である。所定の部分は、出力画像のアーチファクトでない要素と比較して、低い水平方向周波数と高い垂直方向周波数(グリッド線、アーチファクトが水平方向に投影される)となるように算出される出力画像の要素に対応する変換画像の一部である。アーチファクトではない画像の要素は、変換画像のその部分には現れないと仮定されている。特に、変換画像は、変換画像の画素の列番号が低くなるほど、画素が対応している画像の要素の垂直方向内の周波数が低くなり、変換画像の画素の行番号が低くなるほど、画素が対応する画像の要素の水平方向の周波数が低くなるような場所では、その部分は変換画像の左側から始まる連続した画素行のほぼ1〜2%の画素の少なくとも80%を含む。しかし、他の画素及び行の割合はアーチファクトの予測される周波数に依存して選択される。図15にはアーチファクト部分の例1502が示されている。アーチファクト部分の除去により、アーチファクト部分に対応するデータは0にセットされる。
【0090】
1306で、システムと方法は逆変換を実行し、変更された変換データに基づいて非変換画像を生成する。1306で生成された画像は、アーチファクトを除いて出力画像のそれと実質的に同じである。例えば、図16は、図14の出力画像1400に対応する変更された変換データによって生成される出力画像1600の例である。変更された出力画像1600は、図14に示されるアーチファクト1402を含んでいない。
【0091】
これまでの説明から、本発明は様々な態様で実施可能であることは明らかである。従って、本発明の実施形態を特定の例に関連して説明してきたが、図面、明細書、及び特許請求の範囲により、当業者にはその他の変更も容易に着想できるため、本発明の実施形態の範囲は、これら特定の例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】光学セクショニングを実行する従来の撮像システムの構成要素を表すブロック図である。
【図2】従来のシステムで記録された3つの画像の重畳とそれらのグリッドパターンの強度を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に基づく撮像システムの構成要素の例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に基づく、光学的断面画像を生成するための手順を示すフローチャート及びデータフロー図である。
【図5】本発明の実施形態に基づく、出力画像の画素値を算出するために用いられる出力画像画素値に対する画素値の同位相及び直交位相成分の関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に基づく、光学的断面画像により光学的断面画像を生成するための第2の手順を示すフローチャート及びデータフロー図である。
【図7】同じ画素列の画素に異なった影響を与えるグリッドパターンを持つ撮像領域の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に基づく、グリッドパターンの傾斜を算出するために用いられる周波数のセットを示す図である。
【図9】要素r、a、b及び位相角の関係を示し、a及びbはそれぞれある量の余弦及び正弦成分を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に基づく、出力画像を生成するために用いられる3以上の画像の位相角を示す図である。
【図11a】変形しない画像強度の正弦波的変化と、本発明の実施形態に基づいて変形された画像強度の正弦波的変化との違いを示す図である。
【図11b】変形しない画像強度の正弦波的変化と、本発明の実施形態に基づいて変形された画像強度の正弦波的変化との違いを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に基づく、アーチファクトを表す正弦波の減算によってアーチファクトを除去する手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態に基づく、画像圧縮データを変更することによってアーチファクトを除去する手順を示すフローチャートである。
【図14】光学セクショニングによって生成されるアーチファクトを含む画像の例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に基づいて生成される圧縮画像の例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に基づく、光学的断面画像からアーチファクトを除去することによって生成される画像の例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的断面画像から線を消去するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元の物体の2次元画像を得ることは、例えば有機物の研究等で要求されることが多い。物体の撮像はしばしば顕微鏡を用いて行われる。画像の明瞭度は、特殊な2枚の2次元平面、すなわち3次元物体のスライスを撮像することによって改善される。
【0003】
従来のシステムは、3次元物体内の2枚の2次元平面の画像を、逆畳み込み、共焦点レーザー、及び光学セクショニングする等、いくつかの異なった方法で生成している。光学セクショニングの場合、従来のシステムは3次元画像内の特定の平面上にグリッドパターンを投影し、グリッドパターンが適合する画素のみから画像を構成する。平面は物体に対して選択されたものである。撮像される物体の平面は、選択された平面に対する物体の配置によって決まる。グリッドパターンは、ピーク光強度と最低光強度が所定の画素数毎に周期的に発生するような、画素で測定された正弦波として表すことができる可変光強度のパターンのことを指す。図1は、光学セクショニングを実行する従来のシステム、例えば顕微鏡の構成要素を示す図である。ランプ100は水平のグリッド102上に照射される光を放射し、この光は続いて、ビームスプリッタ104によって反射され、撮像される物体上にグリッドパターンとして照射される。グリッドパターンを含む、物体で反射された光は、カメラ106によって画像として捉えられる。この画像はプロセッサ108で処理され、出力画像が生成される。特に、プロセッサ108は、グリッドパターンが適合する画素のみから構成される出力画像を提供する。
【0004】
グリッドパターンを物体に投影することにより、物体の望ましい平面の画素ではない画素の消去が可能になる一方で、得られた画像に不要なグリッドパターンを追加することも可能になる。従って、グリッド102が複数の位置に動かされると、各位置で画像が得られ、それらの画像が組み合わされてグリッド線のない1つの画像が形成される。グリッドを動かすためには、ピエゾ効果により駆動されるアクチュエータ110が用いられる。ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110は入力電圧に応答する。この入力電圧は、例えばプロセッサ108によって生成する。ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110がグリッド102を動かす範囲は、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110に加えられる特殊な電圧によって決まる。グリッドパターンの特殊な強度が投影される物体の特定の部分は、グリッド102の位置によって決まる。ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110を動かし、3つの位置の間でグリッドを移動させる。その位置は、対応するグリッドパターンの合成強度が対応する正弦波として描かれるように設定され、正弦波上の特定のポイントは、3つのグリッドパターンの間で等しい位相差で、すなわち120°ずつ離れた0°、120°、及び240°の位相角だけずらされる。グリッド102の3つの各々の位置に対して、カメラ106は対応する画像を撮像する。図2に、互いの上に重ね合わされた3つの画像と、対応するグリッド線の強度のグラフを示す。
【0005】
各画素に対して、プロセッサ108は次の式を用いて3つの画像の各々から得られた値を合成する。
【0006】
【数1】
グリッドパターンは等しい角度120°だけ移相され、すなわち位相角は0°、120°、及び240°となるから、3つの画像内の特定の画素でのグリッドパターンの正弦波は互いにキャンセルし合い、つまり、それらの値は平均してゼロになる。さらに、広視野画像、すなわちグリッドパターンが焦点を結ばない部分は、I1−I2、I2−I3、及びI3−I1によってキャンセルされる。従って、3つの画像の合成によって算出されるIPの値は、グリッド線内の対応するポイントの値を含んでいない。従って、出力画像はグリッド線を含まない。
【0007】
ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110に加えられる電圧が、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110を適切な距離だけグリッド102を移動させ、グリッドパターンが120°だけ移相されることを保証するために、従来のシステムのいくつか、又はすべてが較正を必要としていた。この較正のために、滑らかな鏡のような、極めて一様な表面を持つ物体が撮像対象として挿入され、3つの画像が上述したように撮像される。位相が正しくない場合、グリッドパターン周波数の高調波であるアーチファクトが合成画像に現れる。従って、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110に加えられる電圧、及びその結果としての位相は繰り返し変化する。その各変化に対して、3つの画像が記録され、合成された画像内のアーチファクトの信号電力が高速フーリエ解析(FFT)を用いて測定される。その変化は信号電力がある閾値を下回るように算出されるまで、すなわち位相ずれがほぼ補正され、アーチファクトが十分に除去されたことを示すまで繰り返される。位相ずれがほぼ補正されたら、較正は完了とされる。
【0008】
この手順では、アーチファクトの解析のため、3つの画像の各組の画素値を合成することを要する。この手順は、通常45秒程度だが、5分かかることもあり得る。さらに、位相角は直接算出することができない。その代わりに、画像が所望の位相角であるインスタンスにほぼ相当する、すなわち、信号電力がアーチファクト信号の閾値以下に低下する位相角が求められる。しかし、この手順では所望の位相角を正確に求めることができない。さらに、アーチファクト信号が閾値以下に低下するインスタンスは、FFTを用いて正確に算出することができない。これは、特に信号電力を離散値で測定して信号の部分的電力しか測定できないFFTの低精度を考えれば、当然と言える。従って、このような従来の方法では、グリッド線及び/又はアーチファクトを画像から完全に消すことはできない。
【0009】
また、カメラ106によって返される画素値は、画像の強度に関しては不正確であることが多いので、アーチファクトの強度の測定は正しくないことが多い。従って、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110の較正は正確ではないということになる。
【0010】
さらに、較正手順の正確さに関係なく、3つの画像を合成することによって得られる出力画像はアーチファクトを含んでいることが多い。アーチファクトはグリッドパターンと同様に画像の強度において正弦波的に変化していることが多い。アーチファクトの正弦波的変化は必ずしもグリッドパターンと同じ周波数とは限らないが、通常はグリッドパターンの積であり、グリッドパターンの正弦波のある高調波である。アーチファクトの発生には多くの原因がある。原因の1つは部品、例えばピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110のような部品の不整合であり、この不整合によって画像間の画素値の強度に変化(グリッドパターン自体によって生ずる強度変化以外の変化)が生ずる。そのような強度の変化により、3つの画像が合成された時に、グリッドパターンの打ち消しが不可能になる。その他の要因がアーチファクトに影響することもある。
【0011】
さらに、3つの画像の合成がグリッド線の消去を可能にしたとしても、この手順は最適な画像を生成することはない。
【特許文献1】NEIL,M.,et al.,“Method of Obtaining Optical Sectioning by Using Structured Light in a Conventional Microscope”.Optics Letters(1997) volume22, number24,pp.1805−1807
【特許文献2】SCHAEFER,L.,et al.,“Structured illumination microscopy: artifact analysis and reduction utilizing a parameter optimization approach”.Jounal of Microscopy(2004) volume216,number2,pp.165−174
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、グリッド102の移動量を効率的に較正し、グリッド線又はアーチファクトのない最適な画像を提供するシステム及びその方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態は、撮像対象の物体に連続的に投影されるグリッドパターンの位相角を算出することによって光学セクショニングを通して画像を生成するための装置、コンピュータシステム、及び方法に関する。本発明の実施形態は、実際に記録される画素値の対数値又は近似的対数値である画素値に関連して設定又は算出されるグリッドパターンの位相角に基づいて画像を生成するための装置、コンピュータシステム、及び方法に関する。本発明の実施形態は、特に複数の画像の中で連続した各ペアの画像が異なった位相角で得られる時、すなわち直前の画像と同じ位相角の画像がない時、合成された3以上の画像を含む複数の画像の値に基づいて画像を生成するための装置、コンピュータシステム、及び方法に関する。ここで用いられる連続した画像は、記録する時間の連続性というよりもむしろ、グリッドパターンの位相角に関する連続性に関わるものである。本発明の実施形態は、光学セクショニングによって生成された出力画像からアーチファクトを消去するための装置、コンピュータシステム、及び方法に関する。
【0014】
コンピュータシステムは、一般的なコンピュータ言語で書かれたコンピュータプログラムを含むものとする。コンピュータシステムと本発明の方法を実行するために用いられるコンピュータ言語の例として、C及び/又はMATLABがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
位相角の直接計算
図3は、本発明の実施形態に基づく撮像システムの構成要素を示すブロック図である。図1で既に説明されている図3の要素には同じ参照番号を付与する。図3を参照すると、本発明の実施形態では、物体の画像を得るため、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110によってグリッド102を3つの異なった方向に動かすことができる。ここで、ピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ以外のアクチュエータも使用可能であることは言うまでもない。各位置は異なった位相角に対応している。3つの各々の位置に対して、カメラ106(例えばCCD(電荷結合素子)カメラ又はその他の一般的なカメラ)が、グリッド線を含む対応する画像を記録する。プロセッサ108は(これは他の適切なコンピュータプロセッサ又はそれらと同等な機能の素子でも構わない)記録された3つの画像に基づいて出力画像を生成する。プロセッサ108としては、適用可能なコンピューティング素子、例えばコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、携帯電話機、ハードドライブベースの装置、あるいはデータの送受信及び保存が可能な装置、の使用が可能である。
【0016】
3つのグリッド位置とそれらに対応する画像は、120°ずつずれたグリッド位相角に対応する画像に基づいて出力画像を生成するために用いられる。別の方法として、3つのグリッド位置とそれらに対応する画像が、位相が120°ずれていなくとも、各画素に対して3つの式、1つの画像につき1つの式を提供するために使用することも可能である。各式は画素値の成分に対応する3つの未知変数を含んでいる。各式はIn=Iw+Iccosφn+Issinφnで与えられる。式中Inは3つの画像のうち特定の画像nの画素値を、Iwは画素値の広視野成分を、φnは特定の画像nの位相角を、Icは同相成分を、そしてIsは直交成分をそれぞれ表している。3つの画像のそれぞれの位相角が算出されると、3つの未知数に対して3つの式が与えられるため、未知数Iw、Ic及びIsを計算することができる。
【0017】
プロセッサ108がその出力画像を生成する画像の組み合わせに基づいて記録された各画像に対して、システムは画像の位相角を算出することができる。位相角は、外部の物体に対するグリッド線の動きに関係なく、画像間の位相差に依存するものであるため、すなわち画像の位相は互いの関係だけで算出されるため、プロセッサ108は画像の1つ、例えば第一の画像に対して、対応するグリッド位置に関係なく、0°の位相角を割り当てることができる。次にプロセッサ108は残りの画像のそれぞれの位相角を計算する。これは0°の位相角が割り当てられた画像の位相からの位相ずれを表す。位相角を算出するための画像は、十分に一様な表面から反射された光から得ることができる。例えば、十分に一様な表面を持たない物体を撮像する場合、位相角を算出するために十分に一様な表面を持つ別の物体をカメラと撮像物体とを結ぶ線上に挿入する必要がある。
【0018】
本発明の実施形態において、プロセッサ108は、アクチュエータ110を較正し、位相角が、例えば0°、120°、及び240°のような所定の位相角に設定されるようにグリッド102を動かす。アクチュエータ110を較正するために、プロセッサ108はカメラ106に一連の画像を繰り返し記録させる。この一連の画像の各画像に対して、プロセッサ108はそれぞれの位相角を算出し、それらを所定の位相角と比較する。算出された実際の位相角と所定の位相角とのずれに基づいて、プロセッサ108はグリッド102を動かすためにアクチュエータ110に加えられる電圧に対応する新しい出力電圧を生成する。このサイクル、すなわちアクチュエータ110への電圧印加、一連の画像の取り込み、一連の画像の各画像の位相角の算出、算出された位相角と所定の位相角との比較、そして新しい電圧値の出力という一連の流れは、算出された位相角が所定の位相角と所定の許容誤差範囲内で一致するまで繰り返される。これらが許容誤差範囲内で一致すれば、プロセッサ108はこれ以上電圧値を変更する必要がなくなるため、較正が完了したと判断する。各サイクルに対してカメラ106によって記録された画像の位相角が直接算出されるため、較正を迅速に行うことができる。
【0019】
較正した後、プロセッサ108は、例えばユーザの指示に応じて、カメラ106に3つの画像を記録させ、次式に従って出力画像の各画素の値を設定することにより物体の出力画像を生成する。
【0020】
【数2】
図4は、本発明の実施形態に基づく、画像を得るためにプロセッサ108、カメラ106、及びアクチュエータ110によって実行される処理手順を示すフローチャートである。例えば、図4、図6、図12、及び図13の手順は、プロセッサ108、メモリ312、又は通常の技術的方法として知られる撮像システムのその他の部分に含まれているコンピュータが読み出せる記録媒体上にコンピュータが実行可能な命令として保存されるアルゴリズム、ソフトウェア、又は計算式を用いて実行することができる。コンピュータが読み出せる媒体としては、フロッピーディスク(商標)、光ディスク、デジタルビデオディスク、コンピュータディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)等がある。参照番号400で較正手順がスタートし、402でプロセッサ108がカメラ106に一連の画像、例えば3つの画像を記録するように指令を出す。404でカメラは一連の画像の記録を開始する。一連の画像の記録の間に、406でプロセッサ108はピエゾ効果で駆動されるアクチュエータ110に電圧を加える。この電圧に応じて、408でアクチュエータ110はグリッド102を動かす。画像を記録した後、410でカメラ106は記録した画像をプロセッサ108へ送る。カメラ106は画像を記録した後、各画像を個別に送信するか、あるいは1つにまとめて送信する。414でプロセッサ108は各画像の位相角を別々に算出する。416でプロセッサが、位相角が120°オフセットされていないと判断した場合、プロセッサ108は較正手順を継続する。そうでない場合は、プロセッサ108は418で較正手順を終了する。
【0021】
較正した後、プロセッサ108は、例えばユーザの指示に応じて出力画像を生成するため、420で画像生成手順を開始する。画像生成手順では、402から410がまず実行される。撮像される物体が画像の位相角を算出するための十分なデータを提供する場合は、402〜410の再実行は省略することができる。また、撮像される物体が、それ自体に鏡のような一様な表面を備えている場合、較正を撮像される物体を用いて行うことができる。従って、プロセッサ108は、画像生成手順の較正手順で用いられた画像データを使用することができる。さらに、たとえ撮像される物体が一様な表面を持っていないとしても、物体の画像から得られるデータが較正手順に十分であるということが起こり得る。各画像に対する角周波数(以下に詳述する)と位相角を計算することによって、計算結果が比較される。結果が十分に一致していれば、物体が十分なデータを提供していると、すなわち特定の性質を持つ較正スライドの撮像は省略できると見なすことができる。撮像される物体は位相角を算出するのに十分なデータを提供しないことが多いため、指定された物体の別の記録を用いて位相角を算出することも可能である。その場合、プロセッサ108は422で出力画像を生成するために各画素に対して以下の式を適用し、その値を424で出力する。画像はコンピュータスクリーン、プロジェクタ、及び/又はプリンタのような一般的な出力装置に出力される。
【0022】
【数3】
本発明の別の実施形態においては、較正は省略することができる。この実施形態によれば、プロセッサ108は、グリッド102の移動によって生じた画像の位相角を算出するため、十分に一様な表面を持つ物体の一連の画像をカメラに記録させる。プロセッサ108は算出された位相角をメモリ312に保存する。別の方法として、撮像される物体が一様な表面を持っているか、又は十分なデータが物体の画像から得られるような十分な詳細度を含んでいるなら、プロセッサ108は、画像の位相角を算出するだけのためにカメラの照準線に挿入される別の物体の以前の画像を使用することなく、撮像される物体の画像から画像の位相角を算出することができる。
【0023】
メモリ312に算出された位相角を保存した後、プロセッサ108は、例えばユーザの指示に応じて、カメラ106に画像を記録させ、出力画像の各画素の値を、保存されている位相角を行列式に代入し、行列式の解から得られた画素値のIc及びIs成分の値に設定することによって、物体の出力画像を生成する。上述したように、3つの画像の各々に対して、特定の画素値はIn=Iw+Iccosφn+Issinφnである。従って、特定の画素は次式で定義される。
【0024】
【数4】
変数Iw、Ic、及びIsを求めるために上の式を行列式の形で表現すると次式のようになる。
【0025】
【数5】
IcとIsが計算されると、プロセッサ108は、図5に示されているようにIcとIsが画素値の同相及び直交の関係にあるため、出力画像の画素値Ipを算出することができる。(IWは広視野画像である)。プロセッサ108は式
【0026】
【数6】
(ピタゴラスの定理)から画素値Ipを算出することができる。I1、I2、及びI3の値は物体に投影されたグリッド線に部分的に基づいてはいるが、Ipの値(成分Ic及びIsに基づいて算出される)は完全に物体に基づいており、物体上に投影されたグリッド線に基づくものではない。さらに、位相角が正確に、又はほぼ正確に算出されるため、前述の式によって算出された画素値Ipの組み合わせによって生成された画像にはアーチファクトが含まれていないことになる。
【0027】
図6は、図4と同様に、本発明の実施形態に基づく出力画像を得るための手順を、プロセッサ108、カメラ106、及びアクチュエータ110が実行する際のフローチャートである。図6において、図4で説明されたものと同じ要素には図4と同じ参照番号を付与する。本実施形態によると、較正は実行されず、位相角算出手順のみが実行される。従って、400と418は600と618で置き換えられ、416の判定は実行されない。420及び402〜410の再実行については、撮像される物体が上述のように画像の位相角を算出するための十分なデータを提供している場合には省略することができる。さらに、この実施形態の場合、120°の位相角オフセットを得るための較正は実行されないため、422は出力画像を生成するために次の式が適用される522で置き換えられる。
【0028】
【数7】
較正手順が実行される実施形態の場合にも、プロセッサ108で式
【0029】
【数8】
を用いて出力画像の画素を計算することができることは言うまでもない。また、第二の実施形態の場合でも、プロセッサ108が414で位相角が0°、120°、及び240°であると算出した場合には、次の式を用いて出力画像の画素を計算できることは言うまでもない。
【0030】
【数9】
従って、3つの画像の位相角を算出することによって、較正を迅速に実行させることができる。さらに、位相角を算出することによって、アクチュエータ110を一連の画像のグリッド線が所定の位相角になるように較正することなく、異なった位相角を持つ一連の画像に基づいて出力画像を生成することが可能である。
【0031】
本発明の実施形態を示す図4と図6において、プロセッサ108は、以下で説明するように、412で一連の画像のグリッド線の角周波数を算出し、一連の画像の位相角を画像の画素値と算出された周波数との相関に基づいて計算することができる。特に、本発明の一実施形態である図4において、412は算出された周波数の比較による品質管理のための較正手順の各繰り返し中に実行されるが、一方別の実施形態においては、周波数が判明すると再計算を行う必要がなくなるため、最初の繰り返し時以外は較正手順の各繰り返し中は省略することができる。周波数が固定されないことは言うまでもない。例えば、周波数は、レンズの位置に左右される反射された画像の倍率又は物体上に反射された光によって決まる。画素値と算出された周波数との相関によって位相角を計算するためには、周波数の算出を極めて正確に行う必要がある。例えば、周波数の算出にFFTを使用するのは適切ではない。本発明の実施形態においては、プロセッサ108は、FFTを用いて得られる離散値の結果以上に流動的な結果を提供する解析法として、当業者に認められているベイジアンスペクトル解析を用いて高精度に周波数を計算することができる。
【0032】
ベイジアンスペクトル解析を適用するためには、画像の信号データを集める必要がある。各信号は、画像の強さの正弦波的変化に関する式によって表すことができる。その式は、f(yi)=rcos(ωyi+φ)+cであり、式中rは絶対値(振幅)、ωは算出された角周波数、yは画素の位置、φは位相角、そしてcは画像の強度の平均値である。Yについて言えば、グリッド線の方向に依存する垂直方向又は水平方向いずれかの画素の座標である。例えば、グリッド102の方向は、グリッド線が画像上に水平方向に投影され、これによって垂直方向に画像の強度が変化するように設定することができる。この場合、画素座標は垂直方向内の座標となる。画像強度の正弦波的変化は式f(yi)=acosωyi+bsinωyi+cによって表すこともできる。式中aとbは量の余弦成分(cosine)と正弦成分(sine)である。上記の2つの式はよく似た形をしているが、前者の式は2つの未知数ωとφの両方だけを含んでいるのに対して、後者の式は2つの未知数の1つ、すなわちωしか含んでいない。従って、後者の式を使う場合、角周波数ωはベイズスペクトル分析(Bayesian Spectral Analysis)によって例えば以下のような方法で算出される。
【0033】
後者の式を複数のデータサンプル‘d’に適用すると、次の行列式が得られる。
【0034】
【数10】
こうして、行列を得ることができる。
【0035】
【数11】
線形係数と雑音の標準偏差は積分される。次に、行列Gを、データセットdが与えられた時に角周波数ωの考えられる値を算出するための次のベイジアンの式に適用することによって周波数が求められる。
【0036】
【数12】
ただし、Mは行列Gに含まれる行の数である。周波数を算出するには、複数画像の1つの画像サンプルがあれば十分である。しかし、2以上の画像のデータを入力することによって周波数の精度を高めることができる。
【0037】
本発明の一実施形態において、データ源として画像全体ではなく、画像の一部の細長い領域を使用することができる。例えば、グリッド線が画像上で水平に投影されていて、画像強度の変化を垂直方向に生じさせている場合、データ源として画像の垂直の細長い領域が使用される。細長い領域を使用することにより、画像全体を使用する場合よりも式に入力するデータの量は少なくなるが、グリッド線が撮像領域に対してある角度で投影され、これによって以下で説明されるようにデータ入力が非対称になるため、精度を高めることができる。
【0038】
本発明の別の実施形態においては、ベイズスペクトル分析への入力として使用するデータに、画像の画素のすべての値が使用される。
【0039】
また、別の実施形態においては、画素の各列(又はグリッド線が垂直方向に投影されている場合は画素の各行)が合計される。各列に対する画素値の合計
【0040】
【数13】
は、あたかもその合計値が1画素幅の縦長領域の実際の画素値、すなわち1列あたりの1つの値であるかのようにベイズスペクトル分析へのデータ入力として使用することができる。後述の2つの実施形態は、記録された画素値が雑音等のために不正確となり得る前述の実施形態よりも、高い精度で周波数を測定できる。従って、考慮される画素値の数が多いほど、周波数の計算はより正確になる。
【0041】
しかし、後の2つの実施形態については、グリッド線が撮像領域に対してある角度を持って投影されるような位置にグリッド102が置かれた場合、投影されたグリッドパターンによって生じた画像強度の正弦波的変化は、上述したように、同じ列に沿った画素に不均等に影響する。図7はこの現象を図で表したものである。図7は、グリッドパターン702がある角度を持って投影された撮像領域700を示している。選択された列704に関して、グリッドパターン702は、列704の異なった画素の値に不均等に影響を与える。例えば、画素2が影響を受けないのに対して、画素13は大きく影響される。従って、選択された列704の画素値が合計されるか、あるいは周波数算出のためのデータ入力と組み合わせて用いられる場合、得られた周波数は正確ではなくなる。
【0042】
従って、本発明の実施形態においては、グリッドパターンの周波数を算出する前に、グリッドパターンが撮像領域の横座標に平行になるように(又は、グリッド線が垂直方向に投影されている場合は横座標と直角になるように)画像を回転させる。グリッド線が横座標に対して投影される角度(α)を算出し、画像を−α回転させる。
【0043】
本発明の実施形態において、グリッド線が撮像領域の横座標に対して投影される角度(ラジアン)は、(a)画像の上に重畳され、撮像領域の横座標に対して45°と−45°の対称の角度で配置された2本の斜線に沿ってグリッドパターンの周波数を算出し、かつ(b)算出された周波数を次式に代入して計算することによって求めることができる。
【0044】
【数14】
斜線に沿って周波数を算出するためには、選択された斜線に沿った細長い領域の画素の値が上述の周波数計算式に入力される。例えば、それらの画素値はベイズスペクトル分析の式に入力される。
【0045】
例えば、図8には撮像領域700の横座標に対して45°で描かれた斜線801と、−45°で描かれた斜線802が示されている。グリッドパターンがある角度で配置された時、グリッド線の実際の周波数は斜線に沿って算出された周波数とは異なっていることがある。さらに、2本の斜線に沿って算出された周波数も異なっていることがある。例えば、図8内の実際のグリッド周波数を表す、実際の周波数線800に沿って算出されたグリッド線の周波数は、図8での測定単位に対して約0.5603である。しかし、斜線801と802に沿って測定されたグリッド線の周波数は、それぞれ測定単位に対して約1.1420及び0.6402である。
【0046】
【数15】
傾斜が正しく算出されると、システムと方法は上述の方法でグリッド線の周波数を算出することができる。
【0047】
周波数が算出されると、画像の位相角を算出することができる。画像の画素値については、acosωyi+bsinωyi+cの係数aとbは、画素値から算出された周波数への線形回帰を用いることによって推定値を求めることができる。aとbの推定値が求められると、画像の位相角は図9に示された関係により、(b/a)として計算される。単一画像の位相角の算出は、一連の画像の他の画像に関するデータを用いることなく行うことができる。例えば、図4、及び図6について、412と414は、カメラ106が各画像を記録した後すぐに各画像を転送したとしても、カメラ106から画像が受け取られると同時に実行が開始される。従って、その後の画像の記録を準備するためにアクチュエータ110がグリッド102を移動させる間に、及び/又はカメラ106がその後の画像を記録する間に、プロセッサ108がその前に記録された画像に対して手順412及び414を実行する。
【0048】
3以上の画像の使用
これまで詳細に論じたように、画像の生成手順は、各グリッド線が異なった位相角で投影されている場合に、一連の画像の対応する画素値の組み合わせに基づいて画素値を算出することによって実行される。本発明の実施形態においては、出力画像を生成するための一連の画像の中には、通常3つの画像が含まれているが、より高い品質を得るために、プロセッサ108は3以上の画像の画素値に基づいて出力画像を生成することができる。例えば、図10に示されるように位相角間のオフセットを小さくすることが可能である。図10は画像間の位相角のオフセットが30°の場合を示している。解りやすくするために、単一の画像の強度のみ、すなわち基準画像の強度変化のみが図示されている。破線は他の画像の強度のカーブがスタートする位置を表している。
【0049】
【数16】
上述した位相角の算出方法では、未知数はIw、Ic、及びIsのみであるため、3以上の一連の画像は未知数の数以上の式を提供する。式は雑音のために完全に一致しないことがある。従って、例えば最小二乗法による回帰分析がIw、Ic、及びIsの計算に用いられ、これによって信号の中に存在する雑音を抑えている。特に、以下のような最小二乗回帰の式を適用することができる。
【0050】
【数17】
この式は3つの画像しか用いられない場合でも適用できる。
【0051】
3以上の画像の中で連続した2つの画像の各ペアの位相角が同じ角度だけずれている場合、他の式を適用することができる。一連の画像の数(M)には関係なく、Iw、Ic、及びIsは次式によって計算される。
【0052】
【数18】
この式はM=3の場合にも適用できる。上記の2式のいずれかを用いてIcとIsが計算されると、Ipは次式を用いて計算することができる。
【0053】
【数19】
さらに、4つの画像が用いられ、これら4つの画像のうち連続した画像のペアの位相角が同じ角度だけずれている場合、Ipは次式を用いて計算することができる。
【0054】
【数20】
本発明の実施形態において、生成された画像の画素値は、最小二乗法を更新するための一般的な手順により最小二乗法を変更することによって、新たに得られる画像を説明するために再帰的に更新される。例えば、再帰的な最小二乗法の式は、Sherman−Morrisonの式又はWoodburyの式のような一般に用いられている式を含んでいる。従って、3つ又はそれ以上の画像の画素データに基づく画像が出力された後、ユーザはプロセッサ108にさらに明瞭な画像を生成するように指示することができる。それに応じて、プロセッサ108は新たに記録された画像(グリッドパターンを含む)を求め、既に計算されたIcとIsの値を、以前に使用された画像を用いて計算をやり直すことなく更新することができる。従って、更新が望ましい場合にも、以前に使用された画像を保存する必要はない。
【0055】
前処理−パラメータを推計するための画素データの変換
カメラ106から返された画像の画素値は画像強度において一様ではなく正弦波的に変化していることが多い。従って、特定の位相角を提供するためのアクチュエータ110の較正は、アーチファクトのFFT測定に基づくか、位相角の直接計算及び/又は式
【0056】
【数21】
に基づき出力画像を生成するための位相角の計算に基づくかに関係なく、カメラ106によって記録された画素値に基づく場合は不完全なものである。本発明の実施形態において、システムは、較正のため、又は位相角(及び/又は周波数)を算出するために用いられる各記録された画素値を、画素値の対数変換又は近似的対数変換によって求められた値で置き換えることができる。その結果として得られた値により、画像強度においてより一様な正弦波的変化がもたらされる。図11は変換されなかった画像と変換された画像との画像強度の正弦波的変化の違いを示している。非変換画像の画像強度を表すグラフ(a)内の正弦波の振幅があまり一様でないのに対して、変換された画像の画像強度を表すグラフ(b)内の正弦波の振幅はより一様である。
【0057】
変換に続いて、通常の較正、又は直接計算された位相角に基づく較正が実行される。また別の方法として、位相角は上述したように較正されずに計算されることもある。較正及び/又は位相角の計算に続いて、プロセッサ108は非変換画素値、すなわち記録された元の画素値に基づいて、上述した手順に従って出力画像を生成する。
【0058】
本発明の一実施形態においては、記録された画素値の変換のために、各画素値の対数値への簡単な変換が行われる。この実施形態によれば、画像強度が低い箇所で雑音が増幅される場所では逆の効果が現れ、画像強度の値を歪めることがある。また別の実施形態においては、各画素に対して逆双曲正弦関数
【0059】
【数22】
が使用され、式中xは記録された元の画像強度である。後者の関数は、大きな画素値の場合は関数log(x)を、e(自然対数)を底とする数値に近似するが、小さな画素値の場合は近似しない。この実施形態によれば、低い画像強度での雑音の増幅を避けることができる。画素値の変換は、画像内の強度の正弦波的変化の振幅を制御する関数を用いて実行することができることは言うまでもない。
【0060】
後処理−出力画像からのアーチファクトの除去
較正手順又は位相角算出の正確さには関係なく、3つ又はそれ以上の画像の組み合わせによって求められた出力画像はアーチファクトを含んでいることがある。このアーチファクトはグリッドパターンと似た、画像強度の正弦波的変化であることがある。アーチファクトの正弦波的変化はグリッドパターンの積であり、グリッドパターンの正弦波の高調波でもある。特に、アーチファクトの正弦波的変化はグリッドパターン周波数の3つの高調波内に存在すると仮定することができる。
【0061】
本発明の一実施形態におけるシステムと方法は、出力画像からのアーチファクトによって生ずる画像強度の正弦波的変化を取り除くことができる。
【0062】
本発明の一実施形態において、アーチファクトによる画像強度の正弦波的変化を表す正弦波を算出することができる。算出された正弦波は画像から差し引かれ、結果としてアーチファクトのない画像が得られる。出力画像の画素値は式Q=I+Bで表され、式中Qは画素値、Iは撮像された物体が影響する画素値の一部、そしてBはアーチファクトが影響する画素値の一部である。各画素値に対して、対応するBの値が算出され、これがQから差し引かれるとI、すなわちアーチファクトの影響を受けない画素値が得られる。
【0063】
上述したように、投影されたグリッドパターンによる画像強度の正弦波的変化は、式f(yi)=acosωyi+bsinωyi+cによって表される。同様に、B(列yでの画素値に影響するアーチファクト、垂直に投影されたグリッドパターンとアーチファクトを仮定)はa1cos(ωyi)+b1sin(ωyi)+a2cos(2ωyi)+b2sin(2ωyi)+a3cos(3ωyi)+b3sin(3ωyi)で表される。各cos/sinのセットはアーチファクトに対応する。アーチファクトは高調波1から3までの1つ又は複数であると仮定することができる。従って、このシステムと方法は、3つのcos/sinのセットを含んでいる上の式が画像内のアーチファクト(もしあれば)を表していると見なすことができる。
【0064】
従って、特定の列yiでの画素値は式Q(x,yi)=I(x,yi)+a1cos(ωyi)+b1sin(ωyi)+a2cos(2ωyi)+b2sin(2ωyi)+a3cos(3ωyi)+b3sin(3ωyi)で表すことができる。例えば、垂直方向の細長い領域に沿って画素をとれば、その画素値は次式で表すことができる。
【0065】
Q1=I1+a1cos(ω1)+b1sin(ω1)+a2cos(2ω1)+b2sin(2ω1)+a3cos(3ω1)+b3sin(3ω1);
Q2=I2+a1cos(ω2)+b1sin(ω2)+a2cos(2ω2)+b2sin(2ω2)+a3cos(3ω2)+b3sin(3ω2);
Q3=I3+a1cos(ω3)+b1sin(ω3)+a2cos(2ω3)+b2sin(2ω3)+a3cos(3ω3)+b3sin(3ω3);
…
Qn=In+a1cos(ωn)+b1sin(ωn)+a2cos(2ωn)+b2sin(2ωn)+a3cos(3ωn)+b3sin(3ωn)。
【0066】
これらの式は次のように行列式の形に書き直すことができる。
【0067】
【数23】
Iの値は正確な画素位置(x,y)によって決まる、このことはアーチファクトの結果である強度の正弦波的変化を算出するために重要ではない。従って、上記の行列式に対して、Iには列の位置とは無関係に1を乗じる。
【0068】
行列Gの各要素の値は、グリッドパターンの角周波数が算出されれば分かる。従って、システムと方法は、上述のように最初に角周波数を算出する。例えば、画素値はベイズスペクトル分析に入力される。これには、図8を参照して述べたように、横座標に平行で各列内の画素値の合計であるグリッドパターンを生成するための画像の回転も含まれる。位相角を算出するために角周波数が算出される一実施形態においては、例えば、較正中に以前に算出された周波数が角周波数の算出を再度行うことなく式に挿入される。また、角周波数が画像の後処理に先立って算出されない実施形態においては、システムと方法は後処理のために角周波数を算出する。この実施形態によれば、システムと方法は保存された入力画像の画素値を読み出し、グリッドパターンの角周波数を算出して、算出された周波数を行列Gに入力するが、出力画像の画素値も読み出し、行列qに入力する。
【0069】
(行列bの)a1、b1、a2、b2、a3、及びb3の値は、従って、回帰分析に上記の行列を入力することによって算出される。例えば、この行列Gを用いて次の最小二乗回帰式が適用される。
【0070】
【数24】
列あたり1つの画素サンプル(又はグリッドパターンが垂直線となっている場合は行あたりの)が上記の式で示されるが、列あたり(又は行あたり)の追加の画素サンプルが行列qに入力されれば、行列Gはそれに対応して追加の列を含むことになる。従って、行列Gの列が複数であれば、それらは同じωyi値である。
【0071】
行列bの値が算出されると、次式の値はb*Gによって算出される。
【0072】
a1cos(ω1)+b1sin(ω1)+a2cos(2ω1)+b2sin(2ω1)+a3cos(3ω1)+b3sin(3ω1);
a1cos(ω2)+b1sin(ω2)+a2cos(2ω2)+b2sin(2ω2)+a3cos(3ω2)+b3sin(3ω2);
a1cos(ω3)+b1sin(ω3)+a2cos(2ω3)+b2sin(2ω3)+a3cos(3ω3)+b3sin(3ω3);
…
a1cos(ωn)+b1sin(ωn)+a2cos(2ωn)+b2sin(2ωn)+a3cos(3ωn)+b3sin(3ωn)
これらの値は画素値に対するアーチファクトの影響である。列が異なればアーチファクトの影響に違いが出る理由、及び、従って列が異なれば式の値も異なる理由は、グリッドパターンが垂直方向に投影されている時、画像強度が垂直方向で正弦波的に変化することによる。
【0073】
これらの値が算出されると、上記の式の値は出力画像の画素値から差し引かれる。例えば、列1の各画素に対して、a1cos(ω1)+b1sin(ω1)+a2cos(2ω1)+b2sin(2ω1)+a3cos(3ω1)+b3sin(3ω1)の値が画素値から差し引かれる。正弦波の減算時に、システムと方法は、各列を回帰分析に入力する時に割り当てられたのと同じ列番号に割り当てる。例えば、回帰分析に対して撮像領域の最初の列にある画素が「row1」というラベルの列に割り当てられたとすれば、撮像領域の最初の列の画素からa1cos(ω1)+b1sin(ω1)+a2cos(2ω1)+b2sin(2ω1)+a3cos(3ω1)+b3sin(3ω1)の値が差し引かれる。さもなければ、各列から間違った値が差し引かれることになる。
【0074】
出力画像内のアーチファクトがグリッドパターンの3つの高調波以下で構成されることは起こり得るが、そのような場合はa1cos(ωi)+b1sin(ωi)+a2cos(2ωi)+b2sin(2ωi)+a3cos(3ωi)+b3sin(3ωi)のある部分が0となる。例えば、アーチファクトがグリッドパターンの第一高調波のみである場合、a2cos(2ωi)+b2sin(2ωi)+a3cos(3ωi)+b3sin(3ωi)の値は0である。
【0075】
本発明の一実施形態においては、3つの高調波が常に想定されている。この場合、回帰分析は0に等しいか極めて近いa2、b2、a3、及びb3の値をもたらす。
【0076】
本発明の別の実施形態においては、3高調波を想定する代わりに、アーチファクトを形成するグリッドパターン周波数の高調波の数が、高調波の数を算出する一般的な手順に基づいて最初に算出される。システムと方法はこの算出に基づいて行列の構成を変えることができる。例えば、アーチファクトがグリッドパターン周波数の2つの高調波の成分を含んでいるとすれば、上述の行列の構成ではなく、システムと方法は行列n×7の代わりに行列n×5Gを回帰分析に入力する。この行列は以下の構成となる。
【0077】
【数25】
この行列は、a3とb3の係数のペアは高調波の数の算出に基づいて0と仮定されるため、a3とb3の係数を算出しなくとも、係数a1、a2、b1、及びb2を算出するために用いられる。これにより、回帰分析は架空の第3の係数ペアに何の影響も与えないため、前の2つの係数ペアの算出精度を高めることが可能である。
【0078】
本発明の実施形態において、出力画像の狭い領域、例えば垂直方向の細長い領域が行列qの入力として用いられる。また別の方法として、画像のより大きな領域を使用することもできる。1つの特別な実施形態の場合、画素値の合計、例えばある列の画素値の合計が行列qの入力として使用される。また、本発明のある実施形態の場合、図8を参照して角周波数算出とグリッドパターンについて上述したように、出力画像はアーチファクトが(存在する場合)画像領域の横座標に平行になるように回転する。
【0079】
本発明の実施形態において、行列qに対して実際の出力画像の画素値を用いる代わりに、システムと方法は行列qに対して予め処理された出力画像の画素値を使用することができる。出力画像の画素値は、図11を参照して上述したように、画像強度のより一様な正弦波的変化に対する画素値の対数変換又は近似対数変換によって予め処理される。同様に、行列Gに対するグリッドパターンの角周波数を算出するため、入力画像の予め処理された画素値が入力画像の実際の画素値の代わりに用いられる。
【0080】
この実施形態によれば、出力画像に対するアーチファクトの影響(存在する場合)は、実際の出力画像の画素値からではなく、予め処理された出力画像の画素値から差し引かれる。減算した後、システムと方法は変更された実際の出力画像の画素値、すなわちアーチファクト(存在する場合)の除去によって変更された画素値を得るための逆対数変換の式に、予め処理され変更された画素値を入力する。
【0081】
図12は、本発明の実施形態に基づいて、例えばプロセッサ108によって出力画像からアーチファクトを除去するために実行される処理手順を表すフローチャートである。1202で、入力画像1200a及び出力画像1200bを含む画像1200は、予め処理された入力画像1203a及び画像強度においてより一様な正弦波的変化を持つ予め処理された出力画像1203bを含む、予め処理された出力画像1203に対して予め処理される。1204では、予め処理された画像1203は、それまで平行でなかったとすれば、入力画像1203aの投影されたグリッド線パターンと出力画像1203bのアーチファクトがそれぞれの撮像領域の横座標(水平方向のグリッド線の垂直なグリッドパターンを仮定)に平行になるように回転する。1206では、回転した入力画像1205a及び回転した出力画像1205bを含む回転した画像1205の列のいくつか又は全ての画素値(水平方向のグリッド線に垂直なグリッドパターンを仮定)を合計し、入力画像の画素行1207aと出力画像の画素行1207bを含む画素行1207を生成する。
【0082】
1206に続いて、1208と1210は、それぞれ独立して実行されるため、順番に行ってもよいし、同時に行ってもよい。1208では、入力画像のグリッドパターンの角周波数1209は入力画像の画素行1207aに基づいて算出される。1210では、アーチファクトを生成している高調波の数1211が出力画像の画素行1207bに基づいて算出される。
【0083】
1212では、予め処理された出力画像の画素値に対するアーチファクトの影響1213が、出力画像の画素行1207b(行列qに対する)、周波数1209(行列Gに対する)、及び高調波の数1211(行列Gに対する)に基づいて算出される。1214ではアーチファクトの影響1213が予め処理された出力画像1203bの画素値から差し引かれて、変更され、予め処理された出力画像1215が生成される。1216では、変更され、予め処理された出力画像1215に対して画像の事前処理の逆手順が実行され、変更された出力画像を生成する。これは事実上アーチファクト(存在する場合)が除去された出力画像1200bと同じである。
【0084】
アーチファクトの影響を計算し、出力画像の画素値からそれを減じることによって、出力画像からアーチファクトを取り除くという本発明の実施形態において、アーチファクトの除去は1202〜1206、1210及び1216の1つ、又はいくつか、又は全てを実行することなく、1208〜1214で実行される。例えば、予め処理された画素値及び/又は列の合計値ではなく、回転していない出力画像1200bの実際の画素値がq行列に対して用いられる。同様に、入力画像1200aのグリッドパターンの角周波数は、回転せず、予め処理されず、列の合計が行われていない、元の入力画像1200aに基づいて算出される。同様に、高調波の数1211を算出するための入力として、出力画像の画素行1207bの代わりに、予め処理されていない出力画像1200b、予め処理された出力画像1203b、又は予め処理されていない出力画像の画素行が用いられる。さらに、高調波1211の数を算出する代わりに、ある数、例えば3が仮定される。最後に、出力画像1200bが予め処理されない場合は、事前処理の逆手順は省略される。例えば、1214は変更された出力画像1217を生成する。
【0085】
さらに、本発明の実施形態において、アーチファクトを除去するために1208でグリッドパターン周波数を算出する代わりに、アーチファクト除去の手順に先立って算出されたグリッドパターン周波数が1208で求められる。
【0086】
本発明の別の実施形態において、光学セクショニング出力画像からアーチファクトを除去するためのシステムと方法は、所定の変換画像の場所である、出力画像の画像変換データ(以下、「変換画像」と言う)を表す画像の一部、すなわち所定の場所である、変換画像の一部を形成する画像変換データの一部を取り除くことができる。
【0087】
図13は、本発明の実施形態に基づき、例えばプロセッサ108によって、対応する変換画像を経由して出力画像からアーチファクトを除去するために実行される手順を示すフローチャートである。1300で画像変換が実行され、画像変換データが生成される。使用可能な典型的な画像変換法としてウェーブレット変換、離散コサイン変換(DCT)、離散サイン変換(DST)、高速フーリエ変換(FFT)、アダマール変換、ハートリー変換、及び離散ウェーブレット変換(DWT)等が挙げられる。DWTの例として、ハールウェーブレット(Haar Wavelet)及びドビッシーウェーブレット(Daubechies Wavelet)がある。
【0088】
1302では、画像変換データを表す変換画像が生成される。例えば、図14は複数の水平線のアーチファクト1402(そのいくつかは特別に処理される)を含む出力画像1400の例を示す。図15は、出力画像1400に画像変換を適用することによって生成された変換データを表す変換画像1500の例を示す。
【0089】
1304で、システムと方法は生成された変換画像の所定の部分を削除する。所定の部分は、出力画像の変換データを表す変換画像と同じように定義された領域である。所定の部分は、出力画像のアーチファクトでない要素と比較して、低い水平方向周波数と高い垂直方向周波数(グリッド線、アーチファクトが水平方向に投影される)となるように算出される出力画像の要素に対応する変換画像の一部である。アーチファクトではない画像の要素は、変換画像のその部分には現れないと仮定されている。特に、変換画像は、変換画像の画素の列番号が低くなるほど、画素が対応している画像の要素の垂直方向内の周波数が低くなり、変換画像の画素の行番号が低くなるほど、画素が対応する画像の要素の水平方向の周波数が低くなるような場所では、その部分は変換画像の左側から始まる連続した画素行のほぼ1〜2%の画素の少なくとも80%を含む。しかし、他の画素及び行の割合はアーチファクトの予測される周波数に依存して選択される。図15にはアーチファクト部分の例1502が示されている。アーチファクト部分の除去により、アーチファクト部分に対応するデータは0にセットされる。
【0090】
1306で、システムと方法は逆変換を実行し、変更された変換データに基づいて非変換画像を生成する。1306で生成された画像は、アーチファクトを除いて出力画像のそれと実質的に同じである。例えば、図16は、図14の出力画像1400に対応する変更された変換データによって生成される出力画像1600の例である。変更された出力画像1600は、図14に示されるアーチファクト1402を含んでいない。
【0091】
これまでの説明から、本発明は様々な態様で実施可能であることは明らかである。従って、本発明の実施形態を特定の例に関連して説明してきたが、図面、明細書、及び特許請求の範囲により、当業者にはその他の変更も容易に着想できるため、本発明の実施形態の範囲は、これら特定の例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】光学セクショニングを実行する従来の撮像システムの構成要素を表すブロック図である。
【図2】従来のシステムで記録された3つの画像の重畳とそれらのグリッドパターンの強度を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に基づく撮像システムの構成要素の例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に基づく、光学的断面画像を生成するための手順を示すフローチャート及びデータフロー図である。
【図5】本発明の実施形態に基づく、出力画像の画素値を算出するために用いられる出力画像画素値に対する画素値の同位相及び直交位相成分の関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に基づく、光学的断面画像により光学的断面画像を生成するための第2の手順を示すフローチャート及びデータフロー図である。
【図7】同じ画素列の画素に異なった影響を与えるグリッドパターンを持つ撮像領域の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に基づく、グリッドパターンの傾斜を算出するために用いられる周波数のセットを示す図である。
【図9】要素r、a、b及び位相角の関係を示し、a及びbはそれぞれある量の余弦及び正弦成分を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に基づく、出力画像を生成するために用いられる3以上の画像の位相角を示す図である。
【図11a】変形しない画像強度の正弦波的変化と、本発明の実施形態に基づいて変形された画像強度の正弦波的変化との違いを示す図である。
【図11b】変形しない画像強度の正弦波的変化と、本発明の実施形態に基づいて変形された画像強度の正弦波的変化との違いを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に基づく、アーチファクトを表す正弦波の減算によってアーチファクトを除去する手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態に基づく、画像圧縮データを変更することによってアーチファクトを除去する手順を示すフローチャートである。
【図14】光学セクショニングによって生成されるアーチファクトを含む画像の例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に基づいて生成される圧縮画像の例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に基づく、光学的断面画像からアーチファクトを除去することによって生成される画像の例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力画像に基づいて第一の出力画像を生成するステップと、
第一の出力画像に基づいて第二の出力画像を生成するステップとを含み、第二の出力画像は第一の出力画像からアーチファクトを除去したものであることを特徴とする、画像生成方法。
【請求項2】
第一の出力画像の画像強度値に対するアーチファクトの影響を算出するステップをさらに含み、
第二の出力画像の生成が、前記画像強度の値から前記アーチファクトの影響を減じるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記画像強度値が画素強度値である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記アーチファクトの影響が水平方向と垂直方向のいずれかの方向で正弦波的に変化する、請求項2記載の方法。
【請求項5】
アーチファクトの影響を算出するステップが、正弦波的変化を表す式の係数値を算出するステップを含み、
前記減じるステップが、
前記算出された係数を前記式に入力することによって式の値を算出するステップと、
前記式の値を前記画像強度値から減じるステップとを含み、前記式の値が画素列と画素行のいずれかの間で変化する、請求項5記載の方法。
【請求項6】
前記アーチファクトが前記入力画像の少なくとも1つのグリッドパターンのm個の高調波によって形成され、
前記式がa1cos(ωy)+b1sin(ωy)+…amcos(mωy)+bmsin(mωy)であり、式中、a1…am及びb1…bmは前記係数、ωは前記グリッドパターンの角周波数、及びyは画素列の番号の1つであり、これは各画素列、及び画素行の番号に対して異なり、各画素値行に対しても異なる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記係数が以下の行列Q、b及びGに回帰分析を適用することによって算出される、請求項6記載の方法。
【数1】
【請求項8】
前記係数が、式b=(GTG)-1GT(式中GTはGの転置行列)を適用した最小二乗法による回帰分析を用いて算出される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第一の出力画像の画像画素値を、第一の出力画像での画像強度の正弦波的変化の振幅を制御するために変換するステップをさらに含み、前記正弦波的変化は前記アーチファクトを表しており、
前記変換された値は前記回帰分析のためにサンプリングされ、
前記影響は前記変換された値から差し引かれ、かつ
第二の出力画像を生成するステップが、前記画像強度値から前記影響を差し引いた後、前記画像画素値の逆変換を実行するステップをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
第一の出力画像の前記画像画素値が、それぞれの対数値に変換される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
第一の出力画像の画像画素値が(q’/2)に逆双曲正弦関数を適用することによって変換される(ただし、q’は非変換画素値を表す。)、請求項9記載の方法。
【請求項12】
第一の出力画像の撮像領域に関して第一の出力画像内の前記アーチファクトの傾斜を算出するステップと、
前記傾斜を打ち消すために第一の出力画像を回転させるステップと、
第一の出力画像の複数の画素列の各々に対して、前記列の画素値を合計するステップと、
前記列の画素値の合計を前記回帰分析に入力するステップとをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項13】
前記角周波数はベイズスペクトル分析によって算出される、請求項6記載の方法。
【請求項14】
前記角周波数は、次式を適用することによって算出される、請求項13記載の方法。
【数2】
【請求項15】
前記入力画像の少なくとも1つの画像画素値を、前記入力画像の少なくとも1つでの画像強度の正弦波的変化の振幅を制御するために変換するステップをさらに含み、前記正弦波的変化は前記グリッドパターンを表し、前記変換された値は前記ベイジアンスペクトラム解析に入力される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記入力画像の少なくとも1つの前記画像画素値はそれぞれの対数値に変換される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記入力画像の少なくとも1つの画像画素値が(q’/2)に逆双曲正弦関数を適用することによって変換される(ただし、q’は非変換画素値を表す。)、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記入力画像の少なくとも1つの撮像領域に関して、前記グリッドパターンの傾斜を算出するステップと、
前記傾斜を打ち消すために前記入力画像の少なくとも1つを回転させるステップと、
前記入力画像の少なくとも1つの複数の画素列の各々に対して、前記列の画素値を合計するステップと、
前記列の画素値の合計を前記ベイズスペクトル分析に入力するステップとを含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記グリッドパターンは前記複数の入力画像の各々に含まれており、
第一の出力画像を生成するステップは、
前記複数の入力画像を記録するステップと、
前記角周波数ωを計算するステップと、
前記入力画像の少なくとも1つに対して、前記計算された角周波数ωに基づいて前記入力画像のグリッドパターンの位相角を計算するステップと、
第一の出力画像の各画素に対して、少なくとも1つの計算された前記位相角に従い、かつ前記複数の入力画像の対応する画素値に基づいて値を計算するステップとを含み、
前記方法は、前記計算された角周波数ωを保存するステップと、
前記式の前記値を算出するために前記保存された角周波数ωを読み出すステップとをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項20】
前記複数の入力画像を記録するステップと、
各入力画像の記録の間にグリッドパターンを生成するグリッドを移動させるアクチュエータを較正するステップと、
前記アクチュエータの較正中に前記角周波数ωを計算するステップとを含む、請求項6記載の方法。
【請求項21】
前記高調波の数mを算出するステップを含む、請求項6記載の方法。
【請求項22】
前記高調波の数mは予め3に設定されている、請求項6記載の方法。
【請求項23】
第二の出力画像を生成するステップは、
第一の出力画像に画像変換を適用して変換データを得るステップと、
所定の部分の消去によって変更されている前記変換データを表す変換画像の前記所定の部分を消去するステップと、
前記変更された変換データに基づいて非変換画像を生成するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記非圧縮画像を生成する前記ステップは、逆画像変換を適用するステップを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記画像変換は、ウェーブレット変換、離散コサイン変換(DCT)、離散サイン変換(DST)、離散ウェーブレット変換(DWT)、高速フーリエ変換(FFT)、アダマール変換、ハートリー変換、ハールウェーブレット、ドビッシーウェーブレットのいずれかである、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記所定の部分は、前記変換画像の連続した画素行の左端のほぼ1%〜2%の画素の最低約80%を含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
第一の出力画像は光学セクショニングによって生成される、請求項1記載の方法。
【請求項28】
プロセッサによって実行され、実行されるとプロセッサに画像生成方法を実行させる命令を保存しているコンピュータ読取可能媒体であって、前記画像生成方法は、
複数の入力画像に基づいて第一の出力画像を生成するステップと、
第一の出力画像に基づいて、アーチファクトを除去した第一の出力画像と同じ第二の出力画像を生成するステップとを含む、コンピュータ読取可能媒体。
【請求項29】
複数の入力画像を記録するカメラと、
前記複数の入力画像に基づいて第一の出力画像を生成し、第一の出力画像からアーチファクトを除去して第二の出力画像を生成するように構成されているプロセッサとを備える撮像装置。
【請求項30】
前記プロセッサは、第一の出力画像の画像強度値に与える前記アーチファクトの影響を算出し、
第二の出力画像を生成するために、前記画像強度値から前記影響を減じるように構成されている、請求項29記載の撮像装置。
【請求項31】
前記画像強度値が画素強度値である、請求項30記載の撮像装置。
【請求項32】
前記影響は水平方向と垂直方向のいずれかの方向で正弦波的に変化する、請求項30記載の撮像装置。
【請求項33】
前記プロセッサは、前記影響を算出するため、前記正弦波的変化を表す式の係数値を算出し、前記式の値は1つの画素列と画素行の間で変化し、
前記画像強度値から前記影響を減じるために、前記式に前記算出された係数を挿入することによって前記式の値を算出し、前記画像強度値から前記式の値を減じるように設定されている、請求項32記載の撮像装置。
【請求項34】
前記アーチファクトは前記入力画像の少なくとも1つのグリッドパターンのm個の高調波によって形成され、
前記式はa1cos(ωy)+b1sin(ωy)+…amcos(mωy)+bmsin(mωy)であり、式中a1…am及びb1…bmは前記係数、ωは前記グリッドパターンの角周波数、及びyは画素列の番号の1つであり、これは各画素列、及び画素行の番号に対して異なり、各画素値行に対しても異なる、請求項33記載の撮像装置。
【請求項35】
前記係数が以下の行列Q、b及びGに回帰分析を適用することによって算出される、請求項34記載の撮像装置。
【数3】
【請求項36】
前記係数が式b=(GTG)-1GT(式中GTはGの転置行列)を適用した最小二乗法による回帰分析を用いて算出される、請求項35の撮像装置。
【請求項37】
前記プロセッサは、第一の出力画像の画像画素値を、第一の出力画像での画像強度の正弦波的変化の振幅を制御するように構成され、前記正弦波的変化は前記アーチファクトを表しており、
前記変換された値は前記回帰分析のためにサンプリングされ、
前記影響は前記変換された値から差し引かれ、かつ
第二の出力画像を生成するステップは、前記画像強度値から前記影響を差し引いた後、前記画像画素値の逆変換を実行するステップをさらに含む、請求項35記載の撮像装置。
【請求項38】
第一の出力画像の画像画素値がそれぞれの対数値に変換される、請求項37記載の撮像装置。
【請求項39】
第一の出力画像の画像画素値が(q’/2)に逆双曲正弦関数を適用することによって変換される(ただし、q’は非変換画素値を表す。)、請求項37記載の撮像装置。
【請求項40】
前記プロセッサは、第一の出力画像の撮像領域に関して第一の出力画像内の前記アーチファクトの傾斜を算出し、
前記傾斜を打ち消すために第一の出力画像を回転させ、
第一の出力画像の複数の画素列の各々に対して、前記列の画素値を合計し、
前記列の画素値の合計を前記回帰分析に入力するように構成されている、請求項35記載の撮像装置。
【請求項41】
前記角周波数がベイズスペクトル分析によって算出される、請求項34記載の撮像装置。
【請求項42】
前記角周波数が、次式を適用することによって算出される、請求項41記載の撮像装置。
【数4】
【請求項43】
前記プロセッサは、前記入力画像の少なくとも1つの画像画素値を、前記入力画像の少なくとも1つでの画像強度の正弦波的変化の振幅を制御するために変換するように構成され、
前記正弦波的変化は前記グリッドパターンを表し、
前記変換された値は前記ベイジアンスペクトラム解析に入力される、請求項41記載の撮像装置。
【請求項44】
前記入力画像の少なくとも1つの前記画像画素値はそれぞれの対数値に変換される、請求項43記載の撮像装置。
【請求項45】
前記入力画像の少なくとも1つの画像画素値が(q’/2)に逆双曲正弦関数を適用することによって変換される(ただし、q’は非変換画素値を表す。)、請求項43記載の撮像装置。
【請求項46】
前記プロセッサは、前記入力画像の少なくとも1つの撮像領域に関して、前記グリッドパターンの傾斜を算出し、
前記傾斜を打ち消すために前記入力画像の少なくとも1つを回転させ、
前記入力画像の少なくとも1つの複数の画素列の各々に対して、前記列の画素値を合計し、
前記列の画素値の合計を前記ベイズスペクトル分析に入力するように構成されている、請求項41記載の撮像装置。
【請求項47】
前記グリッドパターンは前記複数の入力画像の各々に含まれており、
第一の出力画像を生成は、
前記複数の入力画像の記録と、
前記角周波数ωの計算と、
前記入力画像の少なくとも1つに対する、前記計算された角周波数ωに基づいた前記入力画像のグリッドパターンの位相角の計算と、
第一の出力画像の各画素に対する、少なくとも1つの計算された前記位相角に従い、かつ複数の入力画像の対応する画素値に基づいた値の計算とを含み、
前記プロセッサは、前記計算された角周波数ωを保存し、前記式の前記値を算出するために前記保存された角周波数ωを読み出すように構成されている、請求項34記載の撮像装置。
【請求項48】
ランプと、
前記ランプの光によって前記グリッドパターンが形成されるグリッドと、
各入力画像の記録の間に前記グリッドを移動させるアクチュエータとをさらに備える撮像装置であって、
前記プロセッサは、前記アクチュエータを較正し、前記アクチュエータの前記較正中に前記角周波数ωを計算するように構成されている、請求項34記載の撮像装置。
【請求項49】
前記プロセッサは、前記高調波の数mを算出するように構成されている、請求項34記載の撮像装置。
【請求項50】
前記高調波の数mは予め3に設定されている、請求項34記載の撮像装置。
【請求項51】
第二の出力画像を生成するために、前記プロセッサは、
第一の出力画像に画像変換を適用して変換データを求め、
所定の部分の消去によって変更されている前記変換データを表す変換画像の前記所定の部分を消去し、
前記変更された変換データに基づいて非変換画像を生成するように構成されている、請求項29記載の撮像装置。
【請求項52】
前記非圧縮画像の生成は、逆画像変換の適用を含む、請求項51記載の撮像装置。
【請求項53】
前記画像変換は、ウェーブレット変換、離散コサイン変換(DCT)、離散サイン変換(DST)、離散ウェーブレット変換(DWT)、高速フーリエ変換(FFT)、アダマール変換、ハートリー変換、ハールウェーブレット、ドビッシーウェーブレットのいずれかである、請求項51記載の撮像装置。
【請求項54】
前記所定の部分は、前記変換画像の連続した画素行の左端のほぼ1%〜2%の画素の最低約80%を含む、請求項51記載の撮像装置。
【請求項55】
第一の出力画像は光学セクショニングによって生成される、請求項29記載の撮像装置。
【請求項56】
撮像面上の複数の入力画像を記録するカメラと、
グリッドと、
前記各入力画像が対応する位相角で対応するグリッドパターンを含むように前記撮像面上にグリッドパターンを投影する、前記グリッドで光を発するランプと、
各入力画像の記録の間に、前記複数の入力画像のうち少なくとも2つの画像の前記グリッドパターンが異なった位相角となるように前記グリッドを移動させるアクチュエータと、
前記複数の入力画像の各々に対して、画像のグリッドパターンの位相角を計算し、
第一の出力画像の各画素に対して、前記複数の入力画像の各々の対応する画素値と計算された位相角に従って値を計算することによって、第一の出力画像を生成し、
第一の出力画像に含まれているアーチファクトを除去することによって、第二の出力画像を生成するように構成されているプロセッサとを備え、
前記アーチファクトは、
(a)第一の出力画像の画像強度値に対する前記アーチファクトの影響を算出し、前記画像強度値から前記影響を減じること、又は
(b)第一の出力画像に画像変換を適用して変換データを求め、所定の部分の消去によって変更されている前記変換データを表す変換画像の前記所定の部分を消去し、前記変更された変換データに基づいて非変換画像を生成すること、のいずれかの方法によって除去されることを特徴とする、光学的断面撮像システム。
【請求項1】
複数の入力画像に基づいて第一の出力画像を生成するステップと、
第一の出力画像に基づいて第二の出力画像を生成するステップとを含み、第二の出力画像は第一の出力画像からアーチファクトを除去したものであることを特徴とする、画像生成方法。
【請求項2】
第一の出力画像の画像強度値に対するアーチファクトの影響を算出するステップをさらに含み、
第二の出力画像の生成が、前記画像強度の値から前記アーチファクトの影響を減じるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記画像強度値が画素強度値である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記アーチファクトの影響が水平方向と垂直方向のいずれかの方向で正弦波的に変化する、請求項2記載の方法。
【請求項5】
アーチファクトの影響を算出するステップが、正弦波的変化を表す式の係数値を算出するステップを含み、
前記減じるステップが、
前記算出された係数を前記式に入力することによって式の値を算出するステップと、
前記式の値を前記画像強度値から減じるステップとを含み、前記式の値が画素列と画素行のいずれかの間で変化する、請求項5記載の方法。
【請求項6】
前記アーチファクトが前記入力画像の少なくとも1つのグリッドパターンのm個の高調波によって形成され、
前記式がa1cos(ωy)+b1sin(ωy)+…amcos(mωy)+bmsin(mωy)であり、式中、a1…am及びb1…bmは前記係数、ωは前記グリッドパターンの角周波数、及びyは画素列の番号の1つであり、これは各画素列、及び画素行の番号に対して異なり、各画素値行に対しても異なる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記係数が以下の行列Q、b及びGに回帰分析を適用することによって算出される、請求項6記載の方法。
【数1】
【請求項8】
前記係数が、式b=(GTG)-1GT(式中GTはGの転置行列)を適用した最小二乗法による回帰分析を用いて算出される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第一の出力画像の画像画素値を、第一の出力画像での画像強度の正弦波的変化の振幅を制御するために変換するステップをさらに含み、前記正弦波的変化は前記アーチファクトを表しており、
前記変換された値は前記回帰分析のためにサンプリングされ、
前記影響は前記変換された値から差し引かれ、かつ
第二の出力画像を生成するステップが、前記画像強度値から前記影響を差し引いた後、前記画像画素値の逆変換を実行するステップをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
第一の出力画像の前記画像画素値が、それぞれの対数値に変換される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
第一の出力画像の画像画素値が(q’/2)に逆双曲正弦関数を適用することによって変換される(ただし、q’は非変換画素値を表す。)、請求項9記載の方法。
【請求項12】
第一の出力画像の撮像領域に関して第一の出力画像内の前記アーチファクトの傾斜を算出するステップと、
前記傾斜を打ち消すために第一の出力画像を回転させるステップと、
第一の出力画像の複数の画素列の各々に対して、前記列の画素値を合計するステップと、
前記列の画素値の合計を前記回帰分析に入力するステップとをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項13】
前記角周波数はベイズスペクトル分析によって算出される、請求項6記載の方法。
【請求項14】
前記角周波数は、次式を適用することによって算出される、請求項13記載の方法。
【数2】
【請求項15】
前記入力画像の少なくとも1つの画像画素値を、前記入力画像の少なくとも1つでの画像強度の正弦波的変化の振幅を制御するために変換するステップをさらに含み、前記正弦波的変化は前記グリッドパターンを表し、前記変換された値は前記ベイジアンスペクトラム解析に入力される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記入力画像の少なくとも1つの前記画像画素値はそれぞれの対数値に変換される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記入力画像の少なくとも1つの画像画素値が(q’/2)に逆双曲正弦関数を適用することによって変換される(ただし、q’は非変換画素値を表す。)、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記入力画像の少なくとも1つの撮像領域に関して、前記グリッドパターンの傾斜を算出するステップと、
前記傾斜を打ち消すために前記入力画像の少なくとも1つを回転させるステップと、
前記入力画像の少なくとも1つの複数の画素列の各々に対して、前記列の画素値を合計するステップと、
前記列の画素値の合計を前記ベイズスペクトル分析に入力するステップとを含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記グリッドパターンは前記複数の入力画像の各々に含まれており、
第一の出力画像を生成するステップは、
前記複数の入力画像を記録するステップと、
前記角周波数ωを計算するステップと、
前記入力画像の少なくとも1つに対して、前記計算された角周波数ωに基づいて前記入力画像のグリッドパターンの位相角を計算するステップと、
第一の出力画像の各画素に対して、少なくとも1つの計算された前記位相角に従い、かつ前記複数の入力画像の対応する画素値に基づいて値を計算するステップとを含み、
前記方法は、前記計算された角周波数ωを保存するステップと、
前記式の前記値を算出するために前記保存された角周波数ωを読み出すステップとをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項20】
前記複数の入力画像を記録するステップと、
各入力画像の記録の間にグリッドパターンを生成するグリッドを移動させるアクチュエータを較正するステップと、
前記アクチュエータの較正中に前記角周波数ωを計算するステップとを含む、請求項6記載の方法。
【請求項21】
前記高調波の数mを算出するステップを含む、請求項6記載の方法。
【請求項22】
前記高調波の数mは予め3に設定されている、請求項6記載の方法。
【請求項23】
第二の出力画像を生成するステップは、
第一の出力画像に画像変換を適用して変換データを得るステップと、
所定の部分の消去によって変更されている前記変換データを表す変換画像の前記所定の部分を消去するステップと、
前記変更された変換データに基づいて非変換画像を生成するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記非圧縮画像を生成する前記ステップは、逆画像変換を適用するステップを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記画像変換は、ウェーブレット変換、離散コサイン変換(DCT)、離散サイン変換(DST)、離散ウェーブレット変換(DWT)、高速フーリエ変換(FFT)、アダマール変換、ハートリー変換、ハールウェーブレット、ドビッシーウェーブレットのいずれかである、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記所定の部分は、前記変換画像の連続した画素行の左端のほぼ1%〜2%の画素の最低約80%を含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
第一の出力画像は光学セクショニングによって生成される、請求項1記載の方法。
【請求項28】
プロセッサによって実行され、実行されるとプロセッサに画像生成方法を実行させる命令を保存しているコンピュータ読取可能媒体であって、前記画像生成方法は、
複数の入力画像に基づいて第一の出力画像を生成するステップと、
第一の出力画像に基づいて、アーチファクトを除去した第一の出力画像と同じ第二の出力画像を生成するステップとを含む、コンピュータ読取可能媒体。
【請求項29】
複数の入力画像を記録するカメラと、
前記複数の入力画像に基づいて第一の出力画像を生成し、第一の出力画像からアーチファクトを除去して第二の出力画像を生成するように構成されているプロセッサとを備える撮像装置。
【請求項30】
前記プロセッサは、第一の出力画像の画像強度値に与える前記アーチファクトの影響を算出し、
第二の出力画像を生成するために、前記画像強度値から前記影響を減じるように構成されている、請求項29記載の撮像装置。
【請求項31】
前記画像強度値が画素強度値である、請求項30記載の撮像装置。
【請求項32】
前記影響は水平方向と垂直方向のいずれかの方向で正弦波的に変化する、請求項30記載の撮像装置。
【請求項33】
前記プロセッサは、前記影響を算出するため、前記正弦波的変化を表す式の係数値を算出し、前記式の値は1つの画素列と画素行の間で変化し、
前記画像強度値から前記影響を減じるために、前記式に前記算出された係数を挿入することによって前記式の値を算出し、前記画像強度値から前記式の値を減じるように設定されている、請求項32記載の撮像装置。
【請求項34】
前記アーチファクトは前記入力画像の少なくとも1つのグリッドパターンのm個の高調波によって形成され、
前記式はa1cos(ωy)+b1sin(ωy)+…amcos(mωy)+bmsin(mωy)であり、式中a1…am及びb1…bmは前記係数、ωは前記グリッドパターンの角周波数、及びyは画素列の番号の1つであり、これは各画素列、及び画素行の番号に対して異なり、各画素値行に対しても異なる、請求項33記載の撮像装置。
【請求項35】
前記係数が以下の行列Q、b及びGに回帰分析を適用することによって算出される、請求項34記載の撮像装置。
【数3】
【請求項36】
前記係数が式b=(GTG)-1GT(式中GTはGの転置行列)を適用した最小二乗法による回帰分析を用いて算出される、請求項35の撮像装置。
【請求項37】
前記プロセッサは、第一の出力画像の画像画素値を、第一の出力画像での画像強度の正弦波的変化の振幅を制御するように構成され、前記正弦波的変化は前記アーチファクトを表しており、
前記変換された値は前記回帰分析のためにサンプリングされ、
前記影響は前記変換された値から差し引かれ、かつ
第二の出力画像を生成するステップは、前記画像強度値から前記影響を差し引いた後、前記画像画素値の逆変換を実行するステップをさらに含む、請求項35記載の撮像装置。
【請求項38】
第一の出力画像の画像画素値がそれぞれの対数値に変換される、請求項37記載の撮像装置。
【請求項39】
第一の出力画像の画像画素値が(q’/2)に逆双曲正弦関数を適用することによって変換される(ただし、q’は非変換画素値を表す。)、請求項37記載の撮像装置。
【請求項40】
前記プロセッサは、第一の出力画像の撮像領域に関して第一の出力画像内の前記アーチファクトの傾斜を算出し、
前記傾斜を打ち消すために第一の出力画像を回転させ、
第一の出力画像の複数の画素列の各々に対して、前記列の画素値を合計し、
前記列の画素値の合計を前記回帰分析に入力するように構成されている、請求項35記載の撮像装置。
【請求項41】
前記角周波数がベイズスペクトル分析によって算出される、請求項34記載の撮像装置。
【請求項42】
前記角周波数が、次式を適用することによって算出される、請求項41記載の撮像装置。
【数4】
【請求項43】
前記プロセッサは、前記入力画像の少なくとも1つの画像画素値を、前記入力画像の少なくとも1つでの画像強度の正弦波的変化の振幅を制御するために変換するように構成され、
前記正弦波的変化は前記グリッドパターンを表し、
前記変換された値は前記ベイジアンスペクトラム解析に入力される、請求項41記載の撮像装置。
【請求項44】
前記入力画像の少なくとも1つの前記画像画素値はそれぞれの対数値に変換される、請求項43記載の撮像装置。
【請求項45】
前記入力画像の少なくとも1つの画像画素値が(q’/2)に逆双曲正弦関数を適用することによって変換される(ただし、q’は非変換画素値を表す。)、請求項43記載の撮像装置。
【請求項46】
前記プロセッサは、前記入力画像の少なくとも1つの撮像領域に関して、前記グリッドパターンの傾斜を算出し、
前記傾斜を打ち消すために前記入力画像の少なくとも1つを回転させ、
前記入力画像の少なくとも1つの複数の画素列の各々に対して、前記列の画素値を合計し、
前記列の画素値の合計を前記ベイズスペクトル分析に入力するように構成されている、請求項41記載の撮像装置。
【請求項47】
前記グリッドパターンは前記複数の入力画像の各々に含まれており、
第一の出力画像を生成は、
前記複数の入力画像の記録と、
前記角周波数ωの計算と、
前記入力画像の少なくとも1つに対する、前記計算された角周波数ωに基づいた前記入力画像のグリッドパターンの位相角の計算と、
第一の出力画像の各画素に対する、少なくとも1つの計算された前記位相角に従い、かつ複数の入力画像の対応する画素値に基づいた値の計算とを含み、
前記プロセッサは、前記計算された角周波数ωを保存し、前記式の前記値を算出するために前記保存された角周波数ωを読み出すように構成されている、請求項34記載の撮像装置。
【請求項48】
ランプと、
前記ランプの光によって前記グリッドパターンが形成されるグリッドと、
各入力画像の記録の間に前記グリッドを移動させるアクチュエータとをさらに備える撮像装置であって、
前記プロセッサは、前記アクチュエータを較正し、前記アクチュエータの前記較正中に前記角周波数ωを計算するように構成されている、請求項34記載の撮像装置。
【請求項49】
前記プロセッサは、前記高調波の数mを算出するように構成されている、請求項34記載の撮像装置。
【請求項50】
前記高調波の数mは予め3に設定されている、請求項34記載の撮像装置。
【請求項51】
第二の出力画像を生成するために、前記プロセッサは、
第一の出力画像に画像変換を適用して変換データを求め、
所定の部分の消去によって変更されている前記変換データを表す変換画像の前記所定の部分を消去し、
前記変更された変換データに基づいて非変換画像を生成するように構成されている、請求項29記載の撮像装置。
【請求項52】
前記非圧縮画像の生成は、逆画像変換の適用を含む、請求項51記載の撮像装置。
【請求項53】
前記画像変換は、ウェーブレット変換、離散コサイン変換(DCT)、離散サイン変換(DST)、離散ウェーブレット変換(DWT)、高速フーリエ変換(FFT)、アダマール変換、ハートリー変換、ハールウェーブレット、ドビッシーウェーブレットのいずれかである、請求項51記載の撮像装置。
【請求項54】
前記所定の部分は、前記変換画像の連続した画素行の左端のほぼ1%〜2%の画素の最低約80%を含む、請求項51記載の撮像装置。
【請求項55】
第一の出力画像は光学セクショニングによって生成される、請求項29記載の撮像装置。
【請求項56】
撮像面上の複数の入力画像を記録するカメラと、
グリッドと、
前記各入力画像が対応する位相角で対応するグリッドパターンを含むように前記撮像面上にグリッドパターンを投影する、前記グリッドで光を発するランプと、
各入力画像の記録の間に、前記複数の入力画像のうち少なくとも2つの画像の前記グリッドパターンが異なった位相角となるように前記グリッドを移動させるアクチュエータと、
前記複数の入力画像の各々に対して、画像のグリッドパターンの位相角を計算し、
第一の出力画像の各画素に対して、前記複数の入力画像の各々の対応する画素値と計算された位相角に従って値を計算することによって、第一の出力画像を生成し、
第一の出力画像に含まれているアーチファクトを除去することによって、第二の出力画像を生成するように構成されているプロセッサとを備え、
前記アーチファクトは、
(a)第一の出力画像の画像強度値に対する前記アーチファクトの影響を算出し、前記画像強度値から前記影響を減じること、又は
(b)第一の出力画像に画像変換を適用して変換データを求め、所定の部分の消去によって変更されている前記変換データを表す変換画像の前記所定の部分を消去し、前記変更された変換データに基づいて非変換画像を生成すること、のいずれかの方法によって除去されることを特徴とする、光学的断面撮像システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図4】
【図6】
【図11a】
【図11b】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図4】
【図6】
【図11a】
【図11b】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−538480(P2009−538480A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512240(P2009−512240)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/069325
【国際公開番号】WO2007/137213
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(598041463)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・コーポレイション (43)
【住所又は居所原語表記】800 Centennial Avenue, P.O.Box 1327,Piscataway,New Jersey 08855−1327,United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/069325
【国際公開番号】WO2007/137213
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(598041463)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・コーポレイション (43)
【住所又は居所原語表記】800 Centennial Avenue, P.O.Box 1327,Piscataway,New Jersey 08855−1327,United States of America
【Fターム(参考)】
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