光学系調整方法および装置
【課題】調整時間の短縮と調整精度の向上を図る。
【解決手段】光学系3の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを光学系3の像面で受光して得られる第1の出力対のずれ量を第1のずれ量として求め、光学系3の3つ以上の入射高のうち第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを光学系3の像面で受光して得られる第2の出力対のずれ量を第2のずれ量として求め、第1および第2のずれ量に基づいて光学系3の位置を調整する。
【解決手段】光学系3の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを光学系3の像面で受光して得られる第1の出力対のずれ量を第1のずれ量として求め、光学系3の3つ以上の入射高のうち第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを光学系3の像面で受光して得られる第2の出力対のずれ量を第2のずれ量として求め、第1および第2のずれ量に基づいて光学系3の位置を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学系の調整方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光学ブロックから構成される結像光学系の光学調整は、特定の光学ブロックの偏心量を微調整することによって行われている。つまり、調整対象の結像光学系により所定の位置にある点光源の像をイメージセンサー上に結像し、モニターに表示された点像ができる限りきれいになるように、結像光学系の特定の光学ブロックの位置を手動により動かして調整している。
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【非特許文献1】第4 光の鉛筆 鶴田 匡夫著 新技術コミュニケーションズ 1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の調整方法では、特定の光学ブロックをどの方向に動かしてよいのか解らないので、試行錯誤で動かしながら良い位置に収斂させているが、この方法では調整に時間がかかる上に、定量性がないので調整者ごとのバラツキがあり、品質が安定しないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1) 請求項1の発明は、光学系の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第1の出力対のずれ量を第1のずれ量として求め、前記光学系の3つ以上の入射高のうち前記第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第2の出力対のずれ量を第2のずれ量として求め、前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する光学系調整方法である。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の光学系調整方法において、前記第1の入射高対は、前記光学系の第1の入射高と該第1の入射高とは異なる第2の入射高との対であり、前記2つの入射高対は、前記第1および第2の入射高とは異なる第3の入射高と前記第2の入射高との対である。
(3) 請求項3の発明は、請求項2に記載の光学系調整方法において、前記第2の入射高は、前記光学系の光軸に対応する入射高である。
(4) 請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載の光学系調整方法において、前記第1および第3の入射高に対する前記第1および第2のずれ量を表示し、前記表示に基づいて前記光学系の位置を調整する。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学系調整方法において、前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置の調整量を求める。
(6) 請求項6の発明は、請求項5に記載の光学系調整方法において、前記第1および第2のずれ量を、前記光学系の入射高を変数とする該変数のべき乗を含む関数として求め、前記関数の偶数次の項の係数に基づいて前記調整量を求める。
(7) 請求項7の発明は、請求項3に記載の光学系調整方法において、前記第1および第2のずれ量に対する前記調整量の関係を予め記憶し、前記関係に基づいて前記調整量を求める。
(8) 請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学系調整方法において、複数波長の前記光線のそれぞれについて前記第1および第2のずれ量を求める。
(9) 請求項9の発明は、光学系の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第1の出力対のずれを第1のずれ量として測定するとともに、前記光学系の3つ以上の入射高のうち前記第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第2の出力対のずれを第2のずれ量として測定する測定手段と、前記測定手段による前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する調整手段とを備えた光学系調整装置である。
(10) 請求項10の発明は、第1および第2のマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイと、前記第1および第2のマイクロレンズのそれぞれに対して少なくとも3つの受光素子を設けて光束を受光する受光素子アレイと、前記第1のマイクロレンズに対応する前記少なくとも3つの受光素子のうち互いに異なる第1および第2の受光素子を選択するとともに、前記第2のマイクロレンズに対応する前記少なくとも3つの受光素子のうち前記第1および第2の受光素子に対応する第3および第4の受光素子を選択する選択手段と、光学系からの光束を前記第1の受光素子で受光して得られる出力と、前記光束を前記第3の受光素子で受光して得られる出力とに基づいて第1信号列とするとともに、前記光束を前記第2の受光素子で受光して得られる出力と、前記光束を前記第4の受光素子で受光して得られる出力とに基づいて第2信号列とし、前記第1信号列と前記第2信号列とのずれ量を測定する測定手段と、前記選択手段が選択する受光素子対を変更することにより、前記測定手段によって複数の前記ずれ量を求める制御手段と、前記複数のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する調整手段とを備えた光学系調整装置である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、容易に結像光学系を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は一実施の形態の結像光学系調整装置の構成を示す。一実施の形態の結像光学系調整装置1は、図2に示すように、チャート像表示装置2の表示面に表示されたチャート像からの光を調整対象の結像光学系3の異なる部分瞳を介して受光し、それらのチャート像のずれ量を検出して結像光学系3の球面収差を測定し、測定結果の球面収差に基づいて調整対象の結像光学系3の光学調整を行う。ここで、収差測定装置4により検出される像のズレ量は、部分瞳の中心を光線の入射高とする結像光学系3の横収差を表す。
【0007】
この一実施の形態では、調整対象の結像光学系3が第1光学ブロック3aと第2光学ブロック3bから構成されているものとし、第2光学ブロック3bの位置を調整して結像光学系3の光学調整を行う例を示す。
【0008】
結像光学系調整装置1は、収差測定装置4、調整信号作成装置5および位置調整装置6から構成されている。収差測定装置4は、結像光学系3の異なる部分瞳を介してチャート像を受光し、それらのチャート像のずれ量を検出して結像光学系3の球面収差を測定する。調整信号作成装置5は、収差測定装置4による測定結果に基づいて結像光学系3の調整信号を作成し、位置調整装置6へ出力する。位置調整装置6は、調整信号作成装置5からの調整信号にしたがって調整対象の結像光学系3の第2光学ブロック3bの位置を調整する。
【0009】
チャート像表示装置2は、測定対象の結像光学系3を挟んで結像光学系調整装置1の反対側に設置され、図3に示すような黒色のバーを並べたチャート(パターン)を表示する。チャートは、図3(a)に示すような1本線のエッジチャート、好ましくは図3(b)、(c)に示すような複数の境界を有する多本線のエッジチャートで、かつ、偽合焦を避けるために黒色バーの幅と配置間隔を変え、配列周期の変化があるチャートを用いるのが望ましい。
【0010】
図4は結像光学系調整装置1の収差測定装置4の構成を示し、(a)がその横断面図、(b)が結像光学系3側から見た正面図である。収差測定装置4は、複数のマイクロレンズ(例えばこの実施例ではL1〜L6)を一列に配列したマイクロレンズアレイ41と、複数の受光素子(例えばこの実施例ではS1〜S6)を一列に配列した受光素子アレイ42とを備え、結像光学系3から入射した光束を各マイクロレンズL1〜L6を介して各受光素子S1〜S6により受光する。なお、マイクロレンズおよび受光素子の個数はこの実施例に限定されない。また、受光素子S1〜S6は、この実施例では複数の受光部が縦8個、横8個のマトリクス状に配列された受光素子を例に上げて説明するが、受光素子内の受光部の数と配置はこの実施例に限定されない。
【0011】
ここで、図5を参照して像のズレ量の検出原理を説明する。説明を解りやすくするために、図5では、収差測定装置4が、5個のマイクロレンズL1〜L5が一列に配列されたマイクロレンズアレイと、5個の受光素子S1〜S5が一列に配列された受光素子アレイとを備えているものとして説明する。調整対象の結像光学系3の瞳面には、結像光学系3の光軸と交わる点を通る直線上に5個の部分瞳A、B、C、D、Eが設定されている。なお、部分瞳Cは結像光学系3の光軸との交点を中心とする部分瞳である。
【0012】
マイクロレンズL1〜L5のレンズ面(図5に破線で示す)を像ズレ検出面としたとき、各マイクロレンズL1〜L5のレンズ面に結像された像について考察する。結像光学系3の部分瞳Cを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部c(1)、c(2)、c(3)、c(4)、c(5)で受光される。ここで、結像光学系3の部分瞳Cを通過した光束による受光部c(1)、c(2)、c(3)、c(4)、c(5)の検出像を、{c(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。
【0013】
同様に、結像光学系3の部分瞳Aを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部a(1)、a(2)、a(3)、a(4)、a(5)で受光され、これらの受光部の検出像を{a(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。結像光学系3の部分瞳Bを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部b(1)、b(2)、b(3)、b(4)、b(5)で受光され、これらの受光部の検出像を{b(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。
【0014】
また、結像光学系3の部分瞳Dを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部d(1)、d(2)、d(3)、d(4)、d(5)で受光され、これらの受光部の検出像を{d(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。結像光学系3の部分瞳Eを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部e(1)、e(2)、e(3)、e(4)、e(5)で受光され、これらの受光部の検出像を{e(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。
【0015】
今、図6(a)に示すように、物点Oからの光束のうち結像光学系3の各入射高の位置A、B、C、D、Eに入手した光線が、像面Iにおいて、それぞれa、b、c、d、eの位置に入射するものとする。各位置A、B、D、Eに入射する光線の像面Iにおける入射位置a、b、d、eの、近軸のCに入射する光線の像面Iの入射位置cに対する位置ズレ量Sac、Sbc、Sdc、Secが横収差である。そして、この位置ズレ量Sac、Sbc、Sdc、Secを求めるために、図4、図5に示すような像ズレ検出装置を用いる。
【0016】
次に、像{c(i)}を基準にした像{a(i)}のズレ量Sacを演算する。同様に、像{c(i)}を基準にした像{b(i)}のズレ量Sbc、像{d(i)}のズレ量Sdc、像{e(i)}のズレ量Secをそれぞれ演算する。
【0017】
このような2像のズレ量は、例えば次のようにして求める。ここでは、2像に関する信号列を{a(i)}、{b(i)}(i=1、2、・・)として説明する。まず、2像に関する信号列{a(i)}、{b(i)}の相関量C(N)を次式により算出する。
C(N)=Σ|a(i)−b(i)| ・・・(1)
(1)式において、Σはi=pL〜qLの総和演算を表し、N=i−jが2像に関する信号列のシフト量、すなわち2像の像ズレ量である。離散的に求められた相関量C(N)に基づいて、三点内挿の手法により連続的な相関量の最小値を与えるシフト量(像ズレ量)Lを求める。ここで、シフト量Nのときの相関量をC0とし、シフト量(N−1)のときの相関量をCrとし、シフト(N+1)のときの相関量をCfとすると、シフト量(像ズレ量)Lは(2)式により求められる。
DL=0.5・(Cr−Cf),
E=max{Cf−C0、Cr−C0},
L=N+DL/E ・・・(2)
【0018】
このようにして算出された像ズレ量Sac、Sbc、Sdc、Secを並べれば、それぞれ部分瞳A、B、C、D、Eの中心を光線の入射高とする結像光学系3の横収差を表し、図6(b)に示すように部分瞳Cを基準にした場合の横収差図を描くことができる。なお、横収差図から縦収差図に書き直す方法は周知であり、説明を省略する。収差測定装置1のマイクロコンピューター(不図示)は、収差測定装置4により検出されたズレ量に基づいて結像光学系3の球面収差特性を演算する。
【0019】
このように、一実施の形態の収差測定装置4によれば、調整対象の結像光学系3の球面収差特性を簡便に測定することができ、しかも、収差測定装置4の受光素子アレイ42から出力される像信号をコンピューターを用いて演算処理するので、高速な測定が可能になる。
【0020】
なお、上述した実施例では結像光学系3の光軸上の部分瞳Cを基準にし、部分瞳Cと他の部分瞳A、B、D、Eとの間の像のズレ量Sac、Sbc、Sdc、Secを検出し、これらの像ズレ量に基づいて結像光学系3の球面収差を測定する例を示したが、隣接する部分瞳の間の像のズレ量が求められる部分瞳対の組み合わせにしたがって像ズレ量を求め、球面収差を測定してもよい。例えば図5に示す例では、部分瞳AとBの間の像ズレ量Sabと、部分瞳BとCの間の像ズレ量Sbcと、部分瞳CとDの間の像ズレ量Scdと、部分瞳DとEの間の像ズレ量Sdeとを求め、これらの像ズレ量に基づいて球面収差を測定してもよい。
【0021】
上述した一実施の形態では、複数のマイクロレンズを一列に配列したマイクロレンズアレイと、複数の受光素子を一列に配列した受光素子アレイを用いた像ズレ検出装置4の実施例を示したが、図7に示すように、複数のマイクロレンズを二次元状に配列したマイクロレンズアレイと、複数の受光素子を二次元状に配列した受光素子アレイを用いて像ズレ量を検出するようにしてもよい。図7に示す変形例では、複数のマイクロレンズと複数の受光素子を偶数列と奇数列で互いに違いに並べ(偶数列と奇数列でマイクロレンズの横方向のピッチの半分だけずらして並べる)、二次元配列を形成している。この場合、チャート回転装置などにより図3(b)、(c)に示すようにチャートの方向を切り換えれば、結像光学系3の複数の方向における球面収差を測定することができる。
【0022】
また、図8に示すように、偶数列の受光素子列51で求めた像ズレ量と、これと同一の瞳対に関して奇数列の受光素子列52で求めた像ズレ量とを平均し、瞳対を変えながらそれぞれの瞳対に対する平均ズレ量を求めて球面収差を測定することによって、さらに収差の測定精度を向上させることができる。さらに、図9に示すように、偶数行の受光素子行53で求めた像ズレ量と、これと同一の瞳対に関して奇数行の受光素子列54で求めた像ズレ量とを平均し、瞳対を変えながらそれぞれの瞳対に対する平均ズレ量を求めて球面収差を測定することによって、縦方向(図8の検出方向から90度回転させた方向)においてさらに収差の測定精度を向上させることができる。
【0023】
さらに、図10に示すように、赤R、緑G、青Bなどの特定波長の光源を有する照明装置21によりチャート面を照明すれば、特定波長における結像光学系3の球面収差特性を測定することができる。さらに、ディスプレイ上にチャートを表示し、これを回転させたり、色を変えたりすれば、簡易的にチャートを表示することができる。
【0024】
ここで、マイクロレンズアレイと受光素子アレイを用いて結像光学系の特性を測定する方法として、結像光学系の瞳面の波面収差を測定する方法が知られている。これは、結像光学系の瞳面の波面収差を測定するために、瞳面近傍もしくはこれと等価な位置に二次元マイクロレンズアレイを配置するとともに、その背後に二次元受光素子アレイを配置し、二次元受光素子アレイ上の点像の位置から各マイクロレンズに入射する光線の方向を検出し、これにより瞳面における波面を検出するものである。この方法は瞳面における波面を検出する方式である。
【0025】
これに対し本願発明に関わる収差測定方法は、結像面近傍に配置されたマイクロレンズアレイと受光素子アレイを用いて像のズレ量を検出し、像ズレ量に基づいて結像光学系の収差を測定するものであり、波面を測定する上記従来のものとはまったく異なるものである。
【0026】
また、従来から、結像光学系の球面収差を測定する方法が知られており、図11を参照してこの測定方法を説明する。入射高hで結像光学系100に入射する光線101が、結像光学系100の焦点面近傍において光軸102に垂直な第1面103に入射してできる第1点像104と、第1面から少し離れた光軸102に垂直な第2面105に入射してできる第2点像106とを求め、第1点像104の重心と第2点像106の重心とを結ぶ直線が光軸と交わる位置z(h)を求め、光線の入射高hを順次変更して位置z(h)を求め、入射高hに対する位置z(h)をプロットして結像光学系の球面収差を測定する。
【0027】
しかしながら、上述した従来の収差測定方法はすべて手作業で行わなければならず、非常に煩雑で工数がかかるという問題がある。これに対し上述した一実施の形態の収差測定方法によれば、簡便かつ短時間で光学系の球面収差を測定することができる。
【0028】
収差測定装置4により結像光学系3の横収差を測定した後、調整信号作成装置5により複数の像ズレ量から収差の対称性に関する物理量を計算し、この収差対称性に関する物理量に基づいて結像光学系3の第2光学ブロック3b(図1参照)を調整するための調整信号を作成する。
【0029】
図12および図13は収差測定装置4から得られた収差特性f(x)の一例を示し、横軸xは像高を、縦軸yが像ズレ量を表す。図12に示すように、収差特性f(x)が原点(図2に示す像ズレ検出面と結像光学系3の光軸との交点)に関して点対称である場合は、収差は光軸に関して対象であり、これ以上の調整は不要である。一方、図13に示すように、収差特性f(x)が原点に関して点対称でない場合には、収差は光軸に関して対象ではない。したがって、結像光学系3の調整対象の第2光学ブロック3bの位置を調整し、収差特性が図12に示す特性になるようにしなければならない。以下に、いくつかの調整方法を説明する。
【0030】
《第1の調整方法》
まず、収差測定装置4から得られた収差特性f(x)を像高xの“べき乗”に展開した係数を求める。f(0)=0の条件で収差特性f(x)を表現しているとすると、収差特性f(x)は次のように表される。
f(x)=a1・x+a2・x2+a3・x3+a4・x4+a5・x5+・・・ ・・・(3)
(3)式において、xの1次の項はデフォーカス量に関する量を表すので無視する。xの1次項以外の奇数次の項は原点に関して点対称な成分を表すので、光軸に関する収差対称性については問題ない。
【0031】
結像光学系3に偏芯があるとxの偶数次の項の係数a2、a4、・・が0にならない。この第1の調整方法において、収差特性に関する物理量とは、収差特性f(x)を像高xのべき乗に展開したときのxの偶数次の項の係数a2、a4、・・、あるいはこれらの係数の線形結合である。
【0032】
調整信号作成装置5は、像高xの偶数次の項の係数a2、a4、・・が0になる調整信号、換言すれば収差特性f(x)を図12に示すような原点に関して点対称にするための調整信号、つまり収差特性f(x)を光軸に関して対象とするための調整信号を生成し、位置調整装置6へ送る。位置調整装置6は、この調整信号にしたがって結像光学系3の第2光学ブロック3bの位置を調整する。収差測定装置4は位置調整装置6による調整後の収差を測定して収差特性f(x)を出力し、調整信号作成装置5は新しい収差特性f(x)に基づいて調整信号を生成する。つまり、結像光学系3の収差特性f(x)が図12に示す理想的な特性になるようにフィードバック制御を行う。
【0033】
なお、計算もしくは実験により上述した収差対称性に関する物理量を調整量に変換する変換テーブルを予め作成しておき、この変換テーブルを用いて調整量を決定すれば、効率的な調整が可能である。
【0034】
《第2の調整方法》
この第2の調整方法では、調整信号作成装置5が、図14に示すような収差特性に対する調整量を表すテーブルを予め内蔵メモリ(不図示)に記憶しており、このテーブルデータから収差測定装置4により測定された収差特性に近い収差特性を検索し、検索結果の収差特性に対応する調整量にしたがって位置調整装置6により調整を行う。
【0035】
完全に調整された結像光学系の収差特性をg5(x)として記録し、この収差特性g5(x)の場合の調整量をd5=0として記録する。この状態から調整量d6=Δだけ位置調整したときに測定された収差特性をg6(x)とし、収差特性g6(x)と調整量d6を対応づけて記録する。同様に、調整量をd7=2Δとしたときに測定された収差特性をg7(x)として記録し、調整量をd8=3Δとしたときに測定された収差特性をg8(x)として記録する。また、調整量をd4=−Δとしたときに測定された収差特性をg4(x)として記録し、調整量をd5=−2Δとしたときに測定された収差特性をg5(x)として記録し、調整量をd6=−3Δとしたときに測定された収差特性をg6(x)として記録する。このようにして図14に示す収差特性と調整量のテーブルを作成し、調整信号生成装置5の内蔵メモリに記憶する。
【0036】
収差測定装置4により調整対象の結像光学系3の収差特性f(x)が測定されたら、テーブルデータの収差特性gi(i=1、2、・・)と測定した収差特性f(x)との差Ciを演算する。
Ci=Σ|gi(x)−f(x)| ・・・(4)
(4)式において、xは結像光学系の光軸中心からの入射光の光線の入射高(像高)であり、x=1,2,3,・・・である。Σはxの離散的な値に関する和を表す。データテーブル上のすべての収差特性giに対して(4)式により差Ciを演算し、最小値を示す差Ciに対応する調整量diを採用する。位置調整装置6は、採用された調整量diだけ結像光学系3の第2光学ブロック3bの位置を調整する。
【0037】
なお、補間により真の最小値を示す収差特性giと調整量diを演算してもよい。また、(4)式においてデフォーカス量が同じ条件で横収差を比較する必要があるので、測定した収差特性f(x)を上記(3)式に展開した場合の1次の項の係数a1と、テーブルデータgi(x)を次式のようにべき乗に展開した場合の1次の項の係数b1とが同じになるように、収差特性の検出位置をそろえる必要がある。
gi(x)=b1・x+b2・x2+b3・x3+b4・x4+・・・ ・・・(5)
これには色々な方法が考えられるが、(5)式の1次項の係数b1が(3)式の1次項の係数a1に等しくなる位置に収差検出面を調整し、a1をb1に置換して比較すればよい。
【0038】
なお、上述した実施の形態とそれらの変形例において、実施の形態どうし、または実施の形態と変形例とのあらゆる組み合わせが可能である。例えば図7〜図9により説明したように、結像光学系の球面収差を複数の方向において測定し、それらの方向ごとに光学調整を行うようにしてもよい。
【0039】
上述した実施の形態とその変形例によれば以下のような作用効果を奏することができる。まず、(1)短時間で正確に結像光学系を調整することができる。また、(2)正確な調整量を決定することができる。さらに、(3)簡易的に短時間で光学調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一実施の形態の収差測定装置の構成を示す
【図2】収差の測定原理を説明するための図
【図3】チャート例を示す図
【図4】収差測定装置の構成を示す図
【図5】像ズレ量の検出方法を説明するための図
【図6】横収差の測定結果を示す図
【図7】複数のマイクロレンズと受光素子を二次元状に配列した像ズレ検出装置を示す図
【図8】マイクロレンズと受光素子を二次元配列した像ズレ検出装置による変形例の像ズレ検出方法を説明するための図
【図9】マイクロレンズと受光素子を二次元配列した像ズレ検出装置による他の変形例の像ズレ検出方法を説明するための図
【図10】チャート像表示装置の変形例を示す図
【図11】従来の光学系の球面収差測定方法を説明するための図
【図12】光軸に関して対象な収差特性の例を示す図
【図13】光軸に関して対象でない収差特性の例を示す図
【図14】収差特性に対する調整量のテーブルを示す図
【符号の説明】
【0041】
1;結像光学系調整装置、2;チャート像表示装置、3;結像光学系、3a;第1光学ブロック、3b;第2光学ブロック、4;収差測定装置、5;調整信号作成装置、6;位置調整装置、41;マイクロレンズアレイ、42;受光素子アレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は光学系の調整方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光学ブロックから構成される結像光学系の光学調整は、特定の光学ブロックの偏心量を微調整することによって行われている。つまり、調整対象の結像光学系により所定の位置にある点光源の像をイメージセンサー上に結像し、モニターに表示された点像ができる限りきれいになるように、結像光学系の特定の光学ブロックの位置を手動により動かして調整している。
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【非特許文献1】第4 光の鉛筆 鶴田 匡夫著 新技術コミュニケーションズ 1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の調整方法では、特定の光学ブロックをどの方向に動かしてよいのか解らないので、試行錯誤で動かしながら良い位置に収斂させているが、この方法では調整に時間がかかる上に、定量性がないので調整者ごとのバラツキがあり、品質が安定しないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1) 請求項1の発明は、光学系の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第1の出力対のずれ量を第1のずれ量として求め、前記光学系の3つ以上の入射高のうち前記第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第2の出力対のずれ量を第2のずれ量として求め、前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する光学系調整方法である。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の光学系調整方法において、前記第1の入射高対は、前記光学系の第1の入射高と該第1の入射高とは異なる第2の入射高との対であり、前記2つの入射高対は、前記第1および第2の入射高とは異なる第3の入射高と前記第2の入射高との対である。
(3) 請求項3の発明は、請求項2に記載の光学系調整方法において、前記第2の入射高は、前記光学系の光軸に対応する入射高である。
(4) 請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載の光学系調整方法において、前記第1および第3の入射高に対する前記第1および第2のずれ量を表示し、前記表示に基づいて前記光学系の位置を調整する。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学系調整方法において、前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置の調整量を求める。
(6) 請求項6の発明は、請求項5に記載の光学系調整方法において、前記第1および第2のずれ量を、前記光学系の入射高を変数とする該変数のべき乗を含む関数として求め、前記関数の偶数次の項の係数に基づいて前記調整量を求める。
(7) 請求項7の発明は、請求項3に記載の光学系調整方法において、前記第1および第2のずれ量に対する前記調整量の関係を予め記憶し、前記関係に基づいて前記調整量を求める。
(8) 請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学系調整方法において、複数波長の前記光線のそれぞれについて前記第1および第2のずれ量を求める。
(9) 請求項9の発明は、光学系の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第1の出力対のずれを第1のずれ量として測定するとともに、前記光学系の3つ以上の入射高のうち前記第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第2の出力対のずれを第2のずれ量として測定する測定手段と、前記測定手段による前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する調整手段とを備えた光学系調整装置である。
(10) 請求項10の発明は、第1および第2のマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイと、前記第1および第2のマイクロレンズのそれぞれに対して少なくとも3つの受光素子を設けて光束を受光する受光素子アレイと、前記第1のマイクロレンズに対応する前記少なくとも3つの受光素子のうち互いに異なる第1および第2の受光素子を選択するとともに、前記第2のマイクロレンズに対応する前記少なくとも3つの受光素子のうち前記第1および第2の受光素子に対応する第3および第4の受光素子を選択する選択手段と、光学系からの光束を前記第1の受光素子で受光して得られる出力と、前記光束を前記第3の受光素子で受光して得られる出力とに基づいて第1信号列とするとともに、前記光束を前記第2の受光素子で受光して得られる出力と、前記光束を前記第4の受光素子で受光して得られる出力とに基づいて第2信号列とし、前記第1信号列と前記第2信号列とのずれ量を測定する測定手段と、前記選択手段が選択する受光素子対を変更することにより、前記測定手段によって複数の前記ずれ量を求める制御手段と、前記複数のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する調整手段とを備えた光学系調整装置である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、容易に結像光学系を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は一実施の形態の結像光学系調整装置の構成を示す。一実施の形態の結像光学系調整装置1は、図2に示すように、チャート像表示装置2の表示面に表示されたチャート像からの光を調整対象の結像光学系3の異なる部分瞳を介して受光し、それらのチャート像のずれ量を検出して結像光学系3の球面収差を測定し、測定結果の球面収差に基づいて調整対象の結像光学系3の光学調整を行う。ここで、収差測定装置4により検出される像のズレ量は、部分瞳の中心を光線の入射高とする結像光学系3の横収差を表す。
【0007】
この一実施の形態では、調整対象の結像光学系3が第1光学ブロック3aと第2光学ブロック3bから構成されているものとし、第2光学ブロック3bの位置を調整して結像光学系3の光学調整を行う例を示す。
【0008】
結像光学系調整装置1は、収差測定装置4、調整信号作成装置5および位置調整装置6から構成されている。収差測定装置4は、結像光学系3の異なる部分瞳を介してチャート像を受光し、それらのチャート像のずれ量を検出して結像光学系3の球面収差を測定する。調整信号作成装置5は、収差測定装置4による測定結果に基づいて結像光学系3の調整信号を作成し、位置調整装置6へ出力する。位置調整装置6は、調整信号作成装置5からの調整信号にしたがって調整対象の結像光学系3の第2光学ブロック3bの位置を調整する。
【0009】
チャート像表示装置2は、測定対象の結像光学系3を挟んで結像光学系調整装置1の反対側に設置され、図3に示すような黒色のバーを並べたチャート(パターン)を表示する。チャートは、図3(a)に示すような1本線のエッジチャート、好ましくは図3(b)、(c)に示すような複数の境界を有する多本線のエッジチャートで、かつ、偽合焦を避けるために黒色バーの幅と配置間隔を変え、配列周期の変化があるチャートを用いるのが望ましい。
【0010】
図4は結像光学系調整装置1の収差測定装置4の構成を示し、(a)がその横断面図、(b)が結像光学系3側から見た正面図である。収差測定装置4は、複数のマイクロレンズ(例えばこの実施例ではL1〜L6)を一列に配列したマイクロレンズアレイ41と、複数の受光素子(例えばこの実施例ではS1〜S6)を一列に配列した受光素子アレイ42とを備え、結像光学系3から入射した光束を各マイクロレンズL1〜L6を介して各受光素子S1〜S6により受光する。なお、マイクロレンズおよび受光素子の個数はこの実施例に限定されない。また、受光素子S1〜S6は、この実施例では複数の受光部が縦8個、横8個のマトリクス状に配列された受光素子を例に上げて説明するが、受光素子内の受光部の数と配置はこの実施例に限定されない。
【0011】
ここで、図5を参照して像のズレ量の検出原理を説明する。説明を解りやすくするために、図5では、収差測定装置4が、5個のマイクロレンズL1〜L5が一列に配列されたマイクロレンズアレイと、5個の受光素子S1〜S5が一列に配列された受光素子アレイとを備えているものとして説明する。調整対象の結像光学系3の瞳面には、結像光学系3の光軸と交わる点を通る直線上に5個の部分瞳A、B、C、D、Eが設定されている。なお、部分瞳Cは結像光学系3の光軸との交点を中心とする部分瞳である。
【0012】
マイクロレンズL1〜L5のレンズ面(図5に破線で示す)を像ズレ検出面としたとき、各マイクロレンズL1〜L5のレンズ面に結像された像について考察する。結像光学系3の部分瞳Cを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部c(1)、c(2)、c(3)、c(4)、c(5)で受光される。ここで、結像光学系3の部分瞳Cを通過した光束による受光部c(1)、c(2)、c(3)、c(4)、c(5)の検出像を、{c(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。
【0013】
同様に、結像光学系3の部分瞳Aを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部a(1)、a(2)、a(3)、a(4)、a(5)で受光され、これらの受光部の検出像を{a(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。結像光学系3の部分瞳Bを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部b(1)、b(2)、b(3)、b(4)、b(5)で受光され、これらの受光部の検出像を{b(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。
【0014】
また、結像光学系3の部分瞳Dを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部d(1)、d(2)、d(3)、d(4)、d(5)で受光され、これらの受光部の検出像を{d(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。結像光学系3の部分瞳Eを通過した光束に関して、マイクロレンズL1、L2、L3、L4、L5のレンズ面にできた像に寄与する光は、各受光素子S1、S2、S3、S4、S5の受光部e(1)、e(2)、e(3)、e(4)、e(5)で受光され、これらの受光部の検出像を{e(i)}(i=1,2,3,4,5)で表す。
【0015】
今、図6(a)に示すように、物点Oからの光束のうち結像光学系3の各入射高の位置A、B、C、D、Eに入手した光線が、像面Iにおいて、それぞれa、b、c、d、eの位置に入射するものとする。各位置A、B、D、Eに入射する光線の像面Iにおける入射位置a、b、d、eの、近軸のCに入射する光線の像面Iの入射位置cに対する位置ズレ量Sac、Sbc、Sdc、Secが横収差である。そして、この位置ズレ量Sac、Sbc、Sdc、Secを求めるために、図4、図5に示すような像ズレ検出装置を用いる。
【0016】
次に、像{c(i)}を基準にした像{a(i)}のズレ量Sacを演算する。同様に、像{c(i)}を基準にした像{b(i)}のズレ量Sbc、像{d(i)}のズレ量Sdc、像{e(i)}のズレ量Secをそれぞれ演算する。
【0017】
このような2像のズレ量は、例えば次のようにして求める。ここでは、2像に関する信号列を{a(i)}、{b(i)}(i=1、2、・・)として説明する。まず、2像に関する信号列{a(i)}、{b(i)}の相関量C(N)を次式により算出する。
C(N)=Σ|a(i)−b(i)| ・・・(1)
(1)式において、Σはi=pL〜qLの総和演算を表し、N=i−jが2像に関する信号列のシフト量、すなわち2像の像ズレ量である。離散的に求められた相関量C(N)に基づいて、三点内挿の手法により連続的な相関量の最小値を与えるシフト量(像ズレ量)Lを求める。ここで、シフト量Nのときの相関量をC0とし、シフト量(N−1)のときの相関量をCrとし、シフト(N+1)のときの相関量をCfとすると、シフト量(像ズレ量)Lは(2)式により求められる。
DL=0.5・(Cr−Cf),
E=max{Cf−C0、Cr−C0},
L=N+DL/E ・・・(2)
【0018】
このようにして算出された像ズレ量Sac、Sbc、Sdc、Secを並べれば、それぞれ部分瞳A、B、C、D、Eの中心を光線の入射高とする結像光学系3の横収差を表し、図6(b)に示すように部分瞳Cを基準にした場合の横収差図を描くことができる。なお、横収差図から縦収差図に書き直す方法は周知であり、説明を省略する。収差測定装置1のマイクロコンピューター(不図示)は、収差測定装置4により検出されたズレ量に基づいて結像光学系3の球面収差特性を演算する。
【0019】
このように、一実施の形態の収差測定装置4によれば、調整対象の結像光学系3の球面収差特性を簡便に測定することができ、しかも、収差測定装置4の受光素子アレイ42から出力される像信号をコンピューターを用いて演算処理するので、高速な測定が可能になる。
【0020】
なお、上述した実施例では結像光学系3の光軸上の部分瞳Cを基準にし、部分瞳Cと他の部分瞳A、B、D、Eとの間の像のズレ量Sac、Sbc、Sdc、Secを検出し、これらの像ズレ量に基づいて結像光学系3の球面収差を測定する例を示したが、隣接する部分瞳の間の像のズレ量が求められる部分瞳対の組み合わせにしたがって像ズレ量を求め、球面収差を測定してもよい。例えば図5に示す例では、部分瞳AとBの間の像ズレ量Sabと、部分瞳BとCの間の像ズレ量Sbcと、部分瞳CとDの間の像ズレ量Scdと、部分瞳DとEの間の像ズレ量Sdeとを求め、これらの像ズレ量に基づいて球面収差を測定してもよい。
【0021】
上述した一実施の形態では、複数のマイクロレンズを一列に配列したマイクロレンズアレイと、複数の受光素子を一列に配列した受光素子アレイを用いた像ズレ検出装置4の実施例を示したが、図7に示すように、複数のマイクロレンズを二次元状に配列したマイクロレンズアレイと、複数の受光素子を二次元状に配列した受光素子アレイを用いて像ズレ量を検出するようにしてもよい。図7に示す変形例では、複数のマイクロレンズと複数の受光素子を偶数列と奇数列で互いに違いに並べ(偶数列と奇数列でマイクロレンズの横方向のピッチの半分だけずらして並べる)、二次元配列を形成している。この場合、チャート回転装置などにより図3(b)、(c)に示すようにチャートの方向を切り換えれば、結像光学系3の複数の方向における球面収差を測定することができる。
【0022】
また、図8に示すように、偶数列の受光素子列51で求めた像ズレ量と、これと同一の瞳対に関して奇数列の受光素子列52で求めた像ズレ量とを平均し、瞳対を変えながらそれぞれの瞳対に対する平均ズレ量を求めて球面収差を測定することによって、さらに収差の測定精度を向上させることができる。さらに、図9に示すように、偶数行の受光素子行53で求めた像ズレ量と、これと同一の瞳対に関して奇数行の受光素子列54で求めた像ズレ量とを平均し、瞳対を変えながらそれぞれの瞳対に対する平均ズレ量を求めて球面収差を測定することによって、縦方向(図8の検出方向から90度回転させた方向)においてさらに収差の測定精度を向上させることができる。
【0023】
さらに、図10に示すように、赤R、緑G、青Bなどの特定波長の光源を有する照明装置21によりチャート面を照明すれば、特定波長における結像光学系3の球面収差特性を測定することができる。さらに、ディスプレイ上にチャートを表示し、これを回転させたり、色を変えたりすれば、簡易的にチャートを表示することができる。
【0024】
ここで、マイクロレンズアレイと受光素子アレイを用いて結像光学系の特性を測定する方法として、結像光学系の瞳面の波面収差を測定する方法が知られている。これは、結像光学系の瞳面の波面収差を測定するために、瞳面近傍もしくはこれと等価な位置に二次元マイクロレンズアレイを配置するとともに、その背後に二次元受光素子アレイを配置し、二次元受光素子アレイ上の点像の位置から各マイクロレンズに入射する光線の方向を検出し、これにより瞳面における波面を検出するものである。この方法は瞳面における波面を検出する方式である。
【0025】
これに対し本願発明に関わる収差測定方法は、結像面近傍に配置されたマイクロレンズアレイと受光素子アレイを用いて像のズレ量を検出し、像ズレ量に基づいて結像光学系の収差を測定するものであり、波面を測定する上記従来のものとはまったく異なるものである。
【0026】
また、従来から、結像光学系の球面収差を測定する方法が知られており、図11を参照してこの測定方法を説明する。入射高hで結像光学系100に入射する光線101が、結像光学系100の焦点面近傍において光軸102に垂直な第1面103に入射してできる第1点像104と、第1面から少し離れた光軸102に垂直な第2面105に入射してできる第2点像106とを求め、第1点像104の重心と第2点像106の重心とを結ぶ直線が光軸と交わる位置z(h)を求め、光線の入射高hを順次変更して位置z(h)を求め、入射高hに対する位置z(h)をプロットして結像光学系の球面収差を測定する。
【0027】
しかしながら、上述した従来の収差測定方法はすべて手作業で行わなければならず、非常に煩雑で工数がかかるという問題がある。これに対し上述した一実施の形態の収差測定方法によれば、簡便かつ短時間で光学系の球面収差を測定することができる。
【0028】
収差測定装置4により結像光学系3の横収差を測定した後、調整信号作成装置5により複数の像ズレ量から収差の対称性に関する物理量を計算し、この収差対称性に関する物理量に基づいて結像光学系3の第2光学ブロック3b(図1参照)を調整するための調整信号を作成する。
【0029】
図12および図13は収差測定装置4から得られた収差特性f(x)の一例を示し、横軸xは像高を、縦軸yが像ズレ量を表す。図12に示すように、収差特性f(x)が原点(図2に示す像ズレ検出面と結像光学系3の光軸との交点)に関して点対称である場合は、収差は光軸に関して対象であり、これ以上の調整は不要である。一方、図13に示すように、収差特性f(x)が原点に関して点対称でない場合には、収差は光軸に関して対象ではない。したがって、結像光学系3の調整対象の第2光学ブロック3bの位置を調整し、収差特性が図12に示す特性になるようにしなければならない。以下に、いくつかの調整方法を説明する。
【0030】
《第1の調整方法》
まず、収差測定装置4から得られた収差特性f(x)を像高xの“べき乗”に展開した係数を求める。f(0)=0の条件で収差特性f(x)を表現しているとすると、収差特性f(x)は次のように表される。
f(x)=a1・x+a2・x2+a3・x3+a4・x4+a5・x5+・・・ ・・・(3)
(3)式において、xの1次の項はデフォーカス量に関する量を表すので無視する。xの1次項以外の奇数次の項は原点に関して点対称な成分を表すので、光軸に関する収差対称性については問題ない。
【0031】
結像光学系3に偏芯があるとxの偶数次の項の係数a2、a4、・・が0にならない。この第1の調整方法において、収差特性に関する物理量とは、収差特性f(x)を像高xのべき乗に展開したときのxの偶数次の項の係数a2、a4、・・、あるいはこれらの係数の線形結合である。
【0032】
調整信号作成装置5は、像高xの偶数次の項の係数a2、a4、・・が0になる調整信号、換言すれば収差特性f(x)を図12に示すような原点に関して点対称にするための調整信号、つまり収差特性f(x)を光軸に関して対象とするための調整信号を生成し、位置調整装置6へ送る。位置調整装置6は、この調整信号にしたがって結像光学系3の第2光学ブロック3bの位置を調整する。収差測定装置4は位置調整装置6による調整後の収差を測定して収差特性f(x)を出力し、調整信号作成装置5は新しい収差特性f(x)に基づいて調整信号を生成する。つまり、結像光学系3の収差特性f(x)が図12に示す理想的な特性になるようにフィードバック制御を行う。
【0033】
なお、計算もしくは実験により上述した収差対称性に関する物理量を調整量に変換する変換テーブルを予め作成しておき、この変換テーブルを用いて調整量を決定すれば、効率的な調整が可能である。
【0034】
《第2の調整方法》
この第2の調整方法では、調整信号作成装置5が、図14に示すような収差特性に対する調整量を表すテーブルを予め内蔵メモリ(不図示)に記憶しており、このテーブルデータから収差測定装置4により測定された収差特性に近い収差特性を検索し、検索結果の収差特性に対応する調整量にしたがって位置調整装置6により調整を行う。
【0035】
完全に調整された結像光学系の収差特性をg5(x)として記録し、この収差特性g5(x)の場合の調整量をd5=0として記録する。この状態から調整量d6=Δだけ位置調整したときに測定された収差特性をg6(x)とし、収差特性g6(x)と調整量d6を対応づけて記録する。同様に、調整量をd7=2Δとしたときに測定された収差特性をg7(x)として記録し、調整量をd8=3Δとしたときに測定された収差特性をg8(x)として記録する。また、調整量をd4=−Δとしたときに測定された収差特性をg4(x)として記録し、調整量をd5=−2Δとしたときに測定された収差特性をg5(x)として記録し、調整量をd6=−3Δとしたときに測定された収差特性をg6(x)として記録する。このようにして図14に示す収差特性と調整量のテーブルを作成し、調整信号生成装置5の内蔵メモリに記憶する。
【0036】
収差測定装置4により調整対象の結像光学系3の収差特性f(x)が測定されたら、テーブルデータの収差特性gi(i=1、2、・・)と測定した収差特性f(x)との差Ciを演算する。
Ci=Σ|gi(x)−f(x)| ・・・(4)
(4)式において、xは結像光学系の光軸中心からの入射光の光線の入射高(像高)であり、x=1,2,3,・・・である。Σはxの離散的な値に関する和を表す。データテーブル上のすべての収差特性giに対して(4)式により差Ciを演算し、最小値を示す差Ciに対応する調整量diを採用する。位置調整装置6は、採用された調整量diだけ結像光学系3の第2光学ブロック3bの位置を調整する。
【0037】
なお、補間により真の最小値を示す収差特性giと調整量diを演算してもよい。また、(4)式においてデフォーカス量が同じ条件で横収差を比較する必要があるので、測定した収差特性f(x)を上記(3)式に展開した場合の1次の項の係数a1と、テーブルデータgi(x)を次式のようにべき乗に展開した場合の1次の項の係数b1とが同じになるように、収差特性の検出位置をそろえる必要がある。
gi(x)=b1・x+b2・x2+b3・x3+b4・x4+・・・ ・・・(5)
これには色々な方法が考えられるが、(5)式の1次項の係数b1が(3)式の1次項の係数a1に等しくなる位置に収差検出面を調整し、a1をb1に置換して比較すればよい。
【0038】
なお、上述した実施の形態とそれらの変形例において、実施の形態どうし、または実施の形態と変形例とのあらゆる組み合わせが可能である。例えば図7〜図9により説明したように、結像光学系の球面収差を複数の方向において測定し、それらの方向ごとに光学調整を行うようにしてもよい。
【0039】
上述した実施の形態とその変形例によれば以下のような作用効果を奏することができる。まず、(1)短時間で正確に結像光学系を調整することができる。また、(2)正確な調整量を決定することができる。さらに、(3)簡易的に短時間で光学調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一実施の形態の収差測定装置の構成を示す
【図2】収差の測定原理を説明するための図
【図3】チャート例を示す図
【図4】収差測定装置の構成を示す図
【図5】像ズレ量の検出方法を説明するための図
【図6】横収差の測定結果を示す図
【図7】複数のマイクロレンズと受光素子を二次元状に配列した像ズレ検出装置を示す図
【図8】マイクロレンズと受光素子を二次元配列した像ズレ検出装置による変形例の像ズレ検出方法を説明するための図
【図9】マイクロレンズと受光素子を二次元配列した像ズレ検出装置による他の変形例の像ズレ検出方法を説明するための図
【図10】チャート像表示装置の変形例を示す図
【図11】従来の光学系の球面収差測定方法を説明するための図
【図12】光軸に関して対象な収差特性の例を示す図
【図13】光軸に関して対象でない収差特性の例を示す図
【図14】収差特性に対する調整量のテーブルを示す図
【符号の説明】
【0041】
1;結像光学系調整装置、2;チャート像表示装置、3;結像光学系、3a;第1光学ブロック、3b;第2光学ブロック、4;収差測定装置、5;調整信号作成装置、6;位置調整装置、41;マイクロレンズアレイ、42;受光素子アレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第1の出力対のずれ量を第1のずれ量として求め、
前記光学系の3つ以上の入射高のうち前記第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第2の出力対のずれ量を第2のずれ量として求め、
前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整することを特徴とする光学系調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光学系調整方法において、
前記第1の入射高対は、前記光学系の第1の入射高と該第1の入射高とは異なる第2の入射高との対であり、前記2つの入射高対は、前記第1および第2の入射高とは異なる第3の入射高と前記第2の入射高との対であることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光学系調整方法において、
前記第2の入射高は、前記光学系の光軸に対応する入射高であることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の光学系調整方法において、
前記第1および第3の入射高に対する前記第1および第2のずれ量を表示し、前記表示に基づいて前記光学系の位置を調整することを特徴とする光学系調整方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学系調整方法において、
前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置の調整量を求めることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項6】
請求項5に記載の光学系調整方法において、
前記第1および第2のずれ量を、前記光学系の入射高を変数とする該変数のべき乗を含む関数として求め、
前記関数の偶数次の項の係数に基づいて前記調整量を求めることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項7】
請求項3に記載の光学系調整方法において、
前記第1および第2のずれ量に対する前記調整量の関係を予め記憶し、
前記関係に基づいて前記調整量を求めることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学系調整方法において、
複数波長の前記光線のそれぞれについて前記第1および第2のずれ量を求めることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項9】
光学系の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第1の出力対のずれを第1のずれ量として測定するとともに、前記光学系の3つ以上の入射高のうち前記第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第2の出力対のずれを第2のずれ量として測定する測定手段と、
前記測定手段による前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する調整手段とを備えたことを特徴とする光学系調整装置。
【請求項10】
第1および第2のマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイと、
前記第1および第2のマイクロレンズのそれぞれに対して少なくとも3つの受光素子を設けて光束を受光する受光素子アレイと、
前記第1のマイクロレンズに対応する前記少なくとも3つの受光素子のうち互いに異なる第1および第2の受光素子を選択するとともに、前記第2のマイクロレンズに対応する前記少なくとも3つの受光素子のうち前記第1および第2の受光素子に対応する第3および第4の受光素子を選択する選択手段と、
光学系からの光束を前記第1の受光素子で受光して得られる出力と、前記光束を前記第3の受光素子で受光して得られる出力とに基づいて第1信号列とするとともに、前記光束を前記第2の受光素子で受光して得られる出力と、前記光束を前記第4の受光素子で受光して得られる出力とに基づいて第2信号列とし、前記第1信号列と前記第2信号列とのずれ量を測定する測定手段と、
前記選択手段が選択する受光素子対を変更することにより、前記測定手段によって複数の前記ずれ量を求める制御手段と、
前記複数のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する調整手段とを備えたことを特徴とする光学系調整装置。
【請求項1】
光学系の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第1の出力対のずれ量を第1のずれ量として求め、
前記光学系の3つ以上の入射高のうち前記第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第2の出力対のずれ量を第2のずれ量として求め、
前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整することを特徴とする光学系調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光学系調整方法において、
前記第1の入射高対は、前記光学系の第1の入射高と該第1の入射高とは異なる第2の入射高との対であり、前記2つの入射高対は、前記第1および第2の入射高とは異なる第3の入射高と前記第2の入射高との対であることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光学系調整方法において、
前記第2の入射高は、前記光学系の光軸に対応する入射高であることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の光学系調整方法において、
前記第1および第3の入射高に対する前記第1および第2のずれ量を表示し、前記表示に基づいて前記光学系の位置を調整することを特徴とする光学系調整方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学系調整方法において、
前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置の調整量を求めることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項6】
請求項5に記載の光学系調整方法において、
前記第1および第2のずれ量を、前記光学系の入射高を変数とする該変数のべき乗を含む関数として求め、
前記関数の偶数次の項の係数に基づいて前記調整量を求めることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項7】
請求項3に記載の光学系調整方法において、
前記第1および第2のずれ量に対する前記調整量の関係を予め記憶し、
前記関係に基づいて前記調整量を求めることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学系調整方法において、
複数波長の前記光線のそれぞれについて前記第1および第2のずれ量を求めることを特徴とする光学系調整方法。
【請求項9】
光学系の3つ以上の入射高のうちの2つの入射高を第1の入射高対とし、該第1の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第1の出力対のずれを第1のずれ量として測定するとともに、前記光学系の3つ以上の入射高のうち前記第1の入射高対とは異なる第2の入射高対から入射する一対の光線のそれぞれを前記光学系の像面で受光して得られる第2の出力対のずれを第2のずれ量として測定する測定手段と、
前記測定手段による前記第1および第2のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する調整手段とを備えたことを特徴とする光学系調整装置。
【請求項10】
第1および第2のマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイと、
前記第1および第2のマイクロレンズのそれぞれに対して少なくとも3つの受光素子を設けて光束を受光する受光素子アレイと、
前記第1のマイクロレンズに対応する前記少なくとも3つの受光素子のうち互いに異なる第1および第2の受光素子を選択するとともに、前記第2のマイクロレンズに対応する前記少なくとも3つの受光素子のうち前記第1および第2の受光素子に対応する第3および第4の受光素子を選択する選択手段と、
光学系からの光束を前記第1の受光素子で受光して得られる出力と、前記光束を前記第3の受光素子で受光して得られる出力とに基づいて第1信号列とするとともに、前記光束を前記第2の受光素子で受光して得られる出力と、前記光束を前記第4の受光素子で受光して得られる出力とに基づいて第2信号列とし、前記第1信号列と前記第2信号列とのずれ量を測定する測定手段と、
前記選択手段が選択する受光素子対を変更することにより、前記測定手段によって複数の前記ずれ量を求める制御手段と、
前記複数のずれ量に基づいて前記光学系の位置を調整する調整手段とを備えたことを特徴とする光学系調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−85628(P2010−85628A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253583(P2008−253583)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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