説明

光学装置、位置検出装置及び顕微鏡装置

【課題】コストの増加を招くことなく、被照明面を照明する際の照明条件の切り替えに有利な技術を提供する。
【解決手段】光源からの光で被照明面を照明する照明光学系と、前記被照明面を照明する際の照明条件を、第1条件に規定するための第1開口と、前記第1条件とは異なる第2条件に規定するための第2開口とを含み、前記照明光学系の瞳面に固定された開口絞りと、遮光領域を有する遮光板と、前記遮光板を駆動する駆動部と、を有し、前記駆動部は、前記照明条件を前記第1条件に設定する場合には、前記遮光領域が前記光源から前記第2開口を通して前記被照明面に至る第2経路を遮るように前記遮光板を位置決めし、前記照明条件を前記第2条件に設定する場合には、前記遮光領域が前記光源から前記第1開口を通して前記被照明面に至る第1経路を遮るように前記遮光板を位置決めすることを特徴とする光学装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、位置検出装置及び顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の高集積化及び微細化が進み、回路パターンの線幅は非常に小さくなってきているため、リソグラフィ工程においては、基板上に形成するパターン(レジストパターン)の更なる微細化が要求されている。このようなパターンの微細化を実現する技術として、紫外線よりも波長が短いEUV光(波長10nm〜15nm)を用いた露光装置(EUV露光装置)や荷電粒子線で基板に描画を行う描画装置(荷電粒子線描画装置)が知られている。なお、EUV光や荷電粒子線(電子線)は大気環境下では吸収されて減衰するため、EUV露光装置や荷電粒子線描画装置は真空チャンバに収納され、10−4〜10−5Pa程度又はそれを超える真空環境下に配置される。
【0003】
露光装置では、基板上の所定の位置に露光光を収束(結像)させることで、基板上にパターンを転写する。従って、微細なパターンを転写するためには、基板と露光光との位置合わせを高精度に行う必要がある。基板と露光光との位置合わせの際には、一般に、基板上のアライメントマークを検出することで基板の位置を検出している。
【0004】
アライメントマークの検出においては、マークからの光を高精度に検出するために、明視野検出(明視野照明)と暗視野検出(暗視野照明)の2種類のモードが用いられる。明視野検出は、照明光学系の開口数(NA)と投影光学系の開口数(NA)とを一致させ、主に、マーク(被検体)を透過する0次光を検出することでマークの明視野像を取得する方法である。一方、暗視野検出は、照明光学系のNAと結像光学系のNAとを意図的にずらし、マークで散乱や回折された2次光を検出することでマークの暗視野像を取得する方法である。明視野検出と暗視野検出とを切り替えながらアライメントマークの検出を行うことで、ウエハプロセスやマークの段差に起因する検出信号(アライメント信号)のS/N比の低下を抑え、誤検出や検出不可能となることを防止することが可能となる。明視野検出と暗視野検出との切り替えに関する技術については、従来から幾つか提案されている(特許文献1乃至3参照)。
【0005】
例えば、特許文献1には、照明光学系の開口絞りを切り替えてアライメントマークを検出する位置検出装置が開示されている。かかる位置検出装置では、ウエハプロセスやマークの段差に応じて、アクチュエータやモータなどの駆動装置を用いて明視野用開口絞りと暗視野用開口絞りとを切り替えている。
【0006】
特許文献2及び3には、試料(被検体)の形状や構造に応じて、明視野検出と暗視野検出とを切り替えて試料を観察する顕微鏡装置が開示されている。具体的には、特許文献2には、共通の絞り台の上に明視野検出用絞りと暗視野検出用絞りとを備えた透過電子顕微鏡が開示されている。かかる透過電子顕微鏡では、大気環境下に配置された駆動装置を介して、真空環境下に配置された試料と透過電子検出器との間の光軸上に明視野検出用絞り又は暗視野検出用絞りを配置している。また、特許文献3には、明視野照明用光源と暗視野照明用光源とを備え、いずれかの光源を用いることで明視野検出と暗視野検出とを切り替え可能な顕微鏡装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−87222号公報
【特許文献2】特開平7−169429号公報
【特許文献3】特開2001−154103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、EUV露光装置や荷電粒子線描画装置では、基板と露光光又は荷電粒子線との位置合わせに用いる位置検出装置も真空環境下に配置されるため、アクチュエータやモータなどの駆動装置が真空環境下で使用されることになる。例えば、特許文献1に開示された位置検出装置は、モータを用いて明視野検出用開口絞りと暗視野検出用開口絞りとを切り替えているため、真空環境下で使用する場合には、モータの発熱やアウトガスを考慮する必要がある。そこで、真空環境下で使用するモータなどの駆動装置は、発熱やアウトガスによる影響が小さい部材(材質)や接着剤で構成しなければならず、大気環境下で使用される駆動装置よりも性能が低下する傾向にある。従って、真空環境下で使用される駆動装置の駆動精度やストロークが不十分となり、明視野用開口絞りや暗視野用開口絞りを高精度に位置決めすることができず、アライメントマークの検出精度が低下してしまう(検出誤差が発生する)ことがある。また、大気環境下で使用される駆動装置と同等の性能を有するように真空環境下で使用される駆動装置を構成する場合には、製造コストが非常に高くなってしまう。
【0009】
特許文献2に開示された透過電子顕微鏡では、駆動装置を大気環境下に配置するため、駆動装置からの発熱やアウトガスを考慮する必要はなく、大気環境下で使用される駆動装置を用いることができる。但し、真空チャンバの隔壁を介して、駆動装置と明視野検出用絞り及び暗視野検出用絞りとが接続されるため、隔壁部分の構成が複雑になり、駆動装置の性能が明視野検出用絞りや暗視野検出用絞りに十分に伝わらなくなる。その結果、駆動装置による明視野検出用絞りや暗視野検出用絞りの位置制御が不十分となり、真空環境下において明視野用開口絞りや暗視野用開口絞りを高精度に位置決めすることができず、透過電子顕微鏡の精度の低下を招いてしまう。
【0010】
特許文献3に開示された顕微鏡装置は、明視野照明用光源と暗視野照明用光源とを真空環境下に配置し、アクチュエータやモータなどの駆動装置を用いることなく、光源を切り替えているため、駆動装置からの発熱やアウトガスを考慮する必要がない。但し、半導体素子で構成された光源を真空環境下に配置すると、光源からの発熱やアウトガスによって、周辺部材の変形や汚染物質の付着などが生じることがあり、顕微鏡装置の精度の低下を招いてしまう。また、光源の切り替えで明視野検出と暗視野検出とを切り替える場合には、光学系(即ち、装置)の構成が複雑になってしまう。
【0011】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、コストの増加を招くことなく、被照明面を照明する際の照明条件の切り替えに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての光学装置は、光源からの光で被照明面を照明する照明光学系と、前記被照明面を照明する際の照明条件を、第1条件に規定するための第1開口と、前記第1条件とは異なる第2条件に規定するための第2開口とを含み、前記照明光学系の瞳面に固定された開口絞りと、遮光領域を有する遮光板と、前記遮光板を駆動する駆動部と、を有し、前記駆動部は、前記照明条件を前記第1条件に設定する場合には、前記遮光領域が前記光源から前記第2開口を通して前記被照明面に至る第2経路を遮るように前記遮光板を位置決めし、前記照明条件を前記第2条件に設定する場合には、前記遮光領域が前記光源から前記第1開口を通して前記被照明面に至る第1経路を遮るように前記遮光板を位置決めすることを特徴とする。
【0013】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、コストの増加を招くことなく、照明条件の切り替えに有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一側面としての照明装置の構成を示す図である。
【図2】従来の照明装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の一側面としての位置検出装置の構成を示す図である。
【図4】図3に示す位置検出装置を適用した露光装置の構成を示す図である。
【図5】図3に示す位置検出装置を適用した描画装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の一側面としての顕微鏡装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の一側面としての遮光板の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一側面としての照明装置100の構成を示す図である。照明装置100は、本実施形態では、被照明面をケーラー照明する光学装置である。ここで、ケーラー照明とは、被照明面に対して、照明むらのない照明を与える照明法である。但し、照明装置100は、照明法をケーラー照明に限定するものではなく、例えば、クリティカル照明を照明法として適用することも可能である。照明装置100は、光源1と、照明光学系2と、開口絞り3と、遮光板4と、駆動部5とを有する。また、本実施形態では、照明装置100は、例えば、真空チャンバなどに収納され、光源1、照明光学系2、開口絞り3、遮光板4及び駆動部5は、真空環境下に配置されている。
【0018】
照明光学系2は、光源1から射出された光を被照明面ISに導く、即ち、光源1からの光で被照明面ISを照明する光学系である。照明光学系2は、本実施形態では、コレクタレンズL1と、フィールドレンズL2と、ミラーMと、コンデンサレンズL3とを含む。開口絞り3は、照明光学系2の瞳面(本実施形態では、コンデンサレンズL3の入射側焦点位置(入射瞳面上))に固定され、被照明面ISを照明する際の照明条件を規定する。遮光板4は、照明光学系2の瞳面の近傍に配置され、開口絞り3を通過した光の一部を遮光する。駆動部5は、例えば、アクチュエータやモータで構成され、遮光板4を駆動する。駆動部5は、本実施形態では、照明光学系2の光軸に垂直な方向に遮光板4を駆動する。また、駆動部5は、発熱やアウトガスによる影響が小さい部材(材質)や接着剤を用いて、真空環境下で使用可能に構成されている。
【0019】
照明装置100において、光源1からの光は、コレクタレンズL1を通過して略平行な光となり、フィールドレンズL2に入射する。フィールドレンズL2で集光された光は、ミラーMで反射され、コンデンサレンズL3を介して、被照明面ISに導かれる。
【0020】
開口絞り3は、上述したように、照明光学系2の瞳面に固定されるため、照明光学系2において、光源1と開口絞り3とは、共役な位置関係となる。従って、開口絞り4は、フィールドレンズL2で集光された光の開口数を制御する(変化させる)ができる。なお、照明光学系2の瞳面の近傍に光彩絞りを別途配置して、かかる光彩絞りの絞り量を変えることで開口数を制御してもよい。また、被照明面ISと共役な位置に視野絞りを配置することで、照明光学系2の視野を制限することも可能である。
【0021】
照明装置100では、明視野照明用の開口と、明視野照明用の開口とを含む開口絞り3と、明視野照明及び暗視野照明のそれぞれに対応した光を通過させる開口領域と、それ以外の光を遮光する遮光領域とを含む遮光板4とを用いて、照明条件を切り替える。図1(a)は、照明条件が明視野照明に設定された状態の照明装置100を示しており、図1(b)は、照明条件が暗視野照明に設定された状態の照明装置100を示している。
【0022】
まず、開口絞り3や遮光板4などの詳細を説明する前に、図2を参照して、従来の照明装置1000において、開口絞り1100の位置ずれによって、被照明面ISを照明する際の照明精度が低下する理由について説明する。図2(a)は、照明条件が明視野照明に設定された状態の照明装置1000を示しており、図2(b)は、照明条件が暗視野照明に設定された状態の照明装置1000を示している。照明装置1000は、照明装置100と同様に、例えば、真空チャンバなどに収納され、光源1、照明光学系2、開口絞り1100及び駆動部1200は、真空環境下に配置されている。
【0023】
照明装置1000は、照明装置100と比較して、遮光板4を有しておらず、開口絞り3の代わりに開口絞り1100を有する点が異なる。また、照明装置1000は、遮光板4を駆動する駆動部5ではなく、開口絞り1100を駆動する駆動部1200を有する点も異なる。照明装置1000では、照明装置100と同様に、光源1からの光は、照明光学系2を介して、被照明面ISに導かれる。
【0024】
照明装置1000において照明条件を切り替える際には、図2(a)及び図2(b)に示すように、駆動部1200で開口絞り1100を駆動して、明視野照明用絞り領域1110又は暗視野用絞り領域1120を照明光学系2の光軸上に位置決めする。
【0025】
図2(c)は、照明装置1000の開口絞り1100の構成を示す図である。開口絞り1100は、照明条件を明視野照明に規定するための開口部1112及び遮光部1114を含む明視野用絞り領域1110と、照明条件を暗視野照明に規定するための開口部1122及び遮光部1124を含む暗視野用絞り領域1120とを有する。従って、光源1からの光(照明光学系2の光軸)に対して、明視野用絞り領域1110又は暗視野用絞り領域1120を高精度に位置決めすれば、照明精度を低下させることなく、照明条件を切り替えることができる。
【0026】
但し、駆動部1200は、真空環境下で使用可能とするために、発熱やアウトガスによる影響が小さい部材(材質)や接着剤で構成されており、大気環境下と比較して、開口絞り1100を高精度に駆動することが難しい。従って、光源1からの光に対して明視野用絞り領域1110や暗視野用絞り領域1120を位置決めする際に位置ずれが生じ、フィールドレンズL2で集光された光の開口数のずれに起因して照明精度が低下してしまう。
【0027】
このように、真空環境下に配置された駆動部を用いて開口絞りを切り替える場合には、かかる駆動部の性能に起因して開口絞りの位置合わせにずれが生じ、照明精度が低下することになる。そこで、本実施形態の照明装置100では、上述したように、開口絞り3と遮光板4とを用いて、照明条件を切り替えている。具体的には、高い位置決め精度が必要とされる開口絞り3を照明光学系2の瞳面に固定し、開口絞り3よりも必要とされる位置決め精度が低い遮光板4を駆動することで、照明精度を低下させることなく、照明条件を切り替えることを可能としている。
【0028】
図1(c)は、開口絞り3の構成を示す図である。開口絞り3は、図1(c)に示すように、照明条件を明視野照明(第1条件)に規定するための明視野用開口(第1開口)32と、照明条件を暗視野照明(第1条件とは異なる第2条件)に規定するための暗視野用開口(第2開口)34とを含む。また、開口絞り3は、上述したように、照明光学系2の瞳面に固定され、光源1からの光(照明光学系2の光軸)に対して、高精度に位置決めされている。
【0029】
図1(d)は、遮光板4の構成を示す図である。遮光板4は、図1(d)に示すように、明視野用領域(第1領域)42と、暗視野用領域(第2領域)44とを有する。明視野用領域42は、明視野用開口領域(第1開口領域)42aと遮光領域(第1遮光領域)42bとを含み、暗視野用領域44は、暗視野用開口領域(第2開口領域)44aと遮光領域(第2遮光領域)44bとを含む。
【0030】
駆動部5は、照明条件を設定する際に、遮光板4を駆動して明視野用領域42又は暗視野用領域44を位置決めする。例えば、照明条件を明視野照明に設定する際には、駆動部5は、開口絞り3に対して、明視野用領域42を位置決めする。具体的には、明視野用開口領域42aが光源1から明視野用開口32を通して被照明面ISに至る第1経路を遮断せず、遮光領域42bが光源1から暗視野用開口34を通して被照明面ISに至る第2経路を遮断するように明視野用領域42を位置決めする。この際、本実施形態では、遮光板4は、開口絞り3よりも被照明面側に配置されているため、明視野用開口領域42aは明視野用開口32を通過した光を通過させ、遮光領域42bは暗視野用開口34を通過した光を遮光する。
【0031】
また、照明条件を暗視野照明に設定する際には、駆動部5は、開口絞り3に対して、暗視野用領域44を位置決めする。具体的には、暗視野用開口領域44aが光源1から暗視野用開口34を通して被照明面ISに至る第2経路を遮断せず、遮光領域44bが光源1から明視野用開口32を通して被照明面ISに至る第1経路を遮断するように暗視野用領域44を位置決めする。この際、暗視野用開口領域44aは暗視野用開口34を通過した光を通過させ、遮光領域44bは明視野用開口32を通過した光を遮光する。
【0032】
このように、本実施形態の照明装置100では、遮光板4を駆動して、開口絞り3に対して明視野用領域42又は暗視野用領域44を位置決めすることで、照明条件を切り替えることができる。
【0033】
駆動部5を用いて駆動する遮光板4の位置決め精度について説明する。上述したように、遮光板4は、開口絞り3の明視野用開口32及び暗視野用開口34のうちいずれか一方を通過した光を通過させ、他方を通過した光を遮光する機能を実現する必要がある。そこで、遮光板4の明視野用開口領域42aの大きさは、開口絞り3の明視野用開口32の大きさよりも大きく、遮光板4の暗視野用開口領域44aの大きさは、開口絞り3の暗視野用開口34の大きさよりも大きくなるように構成されている。これにより、遮光板4を駆動する際に必要となる位置決め精度を、従来の照明装置1000における開口絞り1100を駆動する際に必要となる位置決め精度よりも低くすることができる。従って、大気環境下で使用される駆動部と比べて、駆動部5の性能(駆動精度やストローク)が低い場合であっても、駆動部5は、遮光板4に必要とされる位置決め精度で遮光板4を位置決めすることができる。
【0034】
このように、本実施形態では、照明条件を規定するための複数の開口を含む開口絞り3を固定し(駆動せず)、かかる複数の開口のうちいずれか一方を通過した光を通過させる開口領域を含む遮光板4を駆動する。従って、フィールドレンズL2で集光された光の開口数のずれが低減され、照明精度を低下させることなく、照明条件を切り替えることができる。
【0035】
開口絞り3と遮光板4との配置関係について説明する。上述したように、開口絞り3は、照明光学系2の瞳面に配置(固定)され、遮光板4は、開口絞り3よりも被照明面側の開口絞り3の近傍に配置されている。開口絞り3を配置する位置と遮光板4を配置する位置とが異なる理由は、照明条件の切り替えにおいて開口絞り3が実現する機能と遮光板4が実現する機能との違いにある。本実施形態においては、照明光学系2の瞳面に固定された開口絞り3で明視野照明に対応する光及び暗視野照明に対応する光を通過させ、遮光板4で明視野照明に対応する光及び暗視野照明に対応する光のうち一方の光を遮光する。ここで、例えば、開口絞り3を照明光学系2の瞳面以外の位置に配置した場合には、開口絞り3を通過する光の開口角を十分に制限することができないため、明視野照明に対応する光及び暗視野照明に対応する光を被照明面ISに導くことができない。従って、開口絞り3は、開口角を制限するために、照明光学系2の瞳面に配置しなければならない。
【0036】
一方、遮光板4は、明視野照明に対応する光及び暗視野照明に対応する光のうち一方の光を遮光することができれば、照明光学系2の瞳面に配置する必要はない。例えば、遮光板4を照明光学系2の瞳面から光軸方向にずれた位置に配置して、開口絞り3を通過した明視野照明に対応する光及び暗視野照明に対応する光のうち一方の光を遮光してもよい。
【0037】
但し、遮光板4を配置する位置の照明光学系2の瞳面からのずれ量は、開口絞り3の明視野用開口32及び暗視野用開口34の大きさ、遮光板4の明視野用開口領域42a及び暗視野用開口領域44aの大きさ及び光の開口数に基づいて決定する。ここで、開口絞り3の明視野用開口32の外径をr1、開口絞り3の暗視野用開口34の内径をr2、遮光板4の明視野用開口領域42aの外径をR1、遮光板4の暗視野用開口領域44aの内径をR2とする。また、開口絞り3を通過した光と照明光学系2の光軸とのなす角度をθとする。この場合、遮光板4を配置する位置の照明光学系2の瞳面からのずれ量Xは、以下の式(1)及び(2)を満たさなければならない。
【0038】
X<(r2−R1)/2×tanθ ・・・(1)
X<(R2−r1)/2×tanθ ・・・(2)
【0039】
式(1)及び(2)を満たすことで、遮光板4は、開口絞り3を通過した明視野照明に対応する光及び暗視野照明に対応する光のうち一方の光を遮光し、他方の光を通過させることができる。
【0040】
また、照明装置100においては、配置スペースの制約などによって、開口絞り3及び遮光板4のそれぞれを照明光学系2の瞳面及びその近傍に配置することが困難となる場合もある。このような場合には、照明光学系2の複数の瞳面のうち、1つの瞳面に開口絞り3を配置(固定)し、他の瞳面又はその近傍に遮光板4を配置すればよい。従って、照明装置100において、開口絞り3は、照明光学系2の瞳面に配置され、遮光板4は、照明光学系2の瞳面の近傍、或いは、瞳面と共役な位置(及びその近傍)に配置される。
【0041】
このように、本実施形態の照明装置100では、遮光板4を用いて、開口絞り3の明視野用開口32及び暗視野用開口34を通過した光のうち、いずれか一方の光を通過させ、他方の光を遮光することで、照明条件を切り替える。換言すれば、高い位置決め精度が必要となる開口絞り3を駆動することなく、開口絞り3よりも必要とされる位置決め精度が低い遮光板4を駆動することで、照明条件を切り替える。従って、大気環境下で使用される駆動部よりも性能が低い駆動部5を用いても、照明精度を低下させることなく、照明条件を切り替えることができる。また、大気環境下で使用される駆動部と同等の性能を有するように駆動部5を構成する必要がないため、コストの増加を抑えることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、遮光板4は、開口絞り3よりも被照明面側に配置されているが、開口絞り3よりも光源側に配置されていてもよい。この場合、照明条件を明視野照明に設定する際には、明視野用開口領域42aは、光源1からの光のうち明視野用開口32に到達する光を通過させ、遮光領域42bは、光源1からの光のうち暗視野用開口34に到達する光を遮光する。また、照明条件を暗視野照明に設定する際には、暗視野用開口領域44aは、光源1からの光のうち暗視野用開口34に到達する光を透過させ、遮光領域44bは、光源1からの光のうち明視野用開口32に到達する光を遮光する。
【0043】
また、本実施形態の照明装置100においては、遮光板4が明視野用開口領域42aと暗視野用開口領域44aを有する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、開口領域を有していない遮光板を用いて、開口絞り3を通過した明視野照明に対応する光及び暗視野照明に対応する光のうち一方の光を遮光してもよい。
【0044】
図7は、遮光板4の別の構成を示す図である。図7(a)は、それぞれ独立した駆動部(不図示)を有する2つの遮光板(第1遮光板)110a及び110bを用いて、光源1からの光のうち明視野用開口32に到達する光を透過させ、暗視野用開口34に到達する光を遮光する場合の構成を示している。これにより、図1(d)に示す遮光板4の明視野用領域42の代わりに、開口領域を有していない2つの遮光板110a及び110bを駆動する構成においても、明視野照明を実現することができる。
【0045】
図7(b)は、開口領域を有していない遮光板(第2遮光板)120を用いて、光源1からの光のうち暗視野用開口34に到達する光を透過させ、明視野用開口32に到達する光を遮光する場合の構成を示している。これにより、図1(d)に示す遮光板4の暗視野用領域44の代わりに、開口領域を有していない遮光板120を用いる構成においても、暗視野照明を実現することができる。なお、光を透過する透過板に、光源1からの光のうち明視野用開口32に到達する光のみを遮光する遮光領域を設けた遮光板を用いる構成においても、同様に、暗視野照明を実現できることは言うまでもない。
【0046】
このように、いずれの遮光板を用いた場合でも、高い位置決め精度が必要となる開口絞り3を駆動させることなく照明条件を切り替えることができる。
【0047】
<第2の実施形態>
図3は、本発明の一側面としての位置検出装置200の構成を示す図である。位置検出装置200は、光源61からの光で基板SB(に形成されたマークMK)を照明する照明光学系60と、マークMKからの光を検出部75(検出面75a)に結像する結像光学系70とを備え、被検体としての基板SB(マークMK)の位置を検出する。
【0048】
照明光学系60は、開口絞り3と、遮光板4と、駆動部5と、照明レンズ62、63及び66と、ミラーM2と、リレーレンズ67と、偏光ビームスプリッタ68と、λ/4板70と、対物レンズ71とを含む。また、結像光学系70は、対物レンズ71と、λ/4板70と、検出系開口絞り69と、偏光ビームスプリッタ68と、結像レンズ74とを含む。
【0049】
位置検出装置200において、光源61からの光は、照明レンズ62及び63を介して、基板SBと共役な位置に配置された開口絞り3に到達する。この際、開口絞り3での光束径は、光源61での光束径よりも十分に小さいものとなる。開口絞り3を通過した光は、遮光板4、照明レンズ66、ミラーM2及びリレーレンズ67を通過して、偏光ビームスプリッタ68に導かれる。偏光ビームスプリッタ68は、Y軸方向に平行なP偏光の光を透過し、X軸に平行なS偏光の光を反射する。偏光ビームスプリッタ68を透過したP偏光の光は、検出系開口絞り69を介して、λ/4板70に導かれる。λ/4板70を通過して円偏光に変換された光は、対物レンズ71を介して、基板SBに形成されたマークMKをケーラー照明する。
【0050】
マークMKで反射、回折、散乱された光は、対物レンズ71及びλ/4板70を通過して円偏光からS偏光に変換され、検出系開口絞り69に到達する。ここで、マークMKからの光の偏光状態は、マークMKを照明した円偏光の光とは逆回りの円偏光となる。換言すれば、マークMKを照明した光の偏光状態が右回りの円偏光であれば、マーク72からの光の偏光状態は左回りの円偏光となる。また、検出系開口絞り69の絞り量を変えることで、マークMKからの光の開口数を制御することができる。検出系開口絞り69を通過した光は、偏光ビームスプリッタ68で反射され、結像レンズ74を介して、検出部75に導かれる。従って、基板SBに形成されたマークMKの像が検出部75の検出面75aに形成される。
【0051】
本実施形態の位置検出装置200では、遮光板4を用いて、開口絞り3の明視野用開口32及び暗視野用開口34を通過した光のうち、いずれか一方の光を通過させ、他方の光を遮光する。例えば、開口絞り3に対して遮光板4の明視野用領域42を位置決めした場合、遮光板4は、開口絞り3の明視野用開口32を通過した光を通過させ、開口絞り3の暗視野用開口34を通過した光を遮光する。これにより、基板SBに形成されたマークMKの明視野像を検出部75で検出することができる。また、開口絞り3に対して遮光板4の暗視野用領域44を位置決めした場合、遮光板4は、開口絞り3の暗視野用開口34を通過した光を通過させ、開口絞り3の明視野用開口32を通過した光を遮光する。これにより、基板SBに形成されたマークMKの暗視野像を検出部75で検出することができる。
【0052】
このように、本実施形態の位置検出装置200では、高い位置決め精度が必要となる開口絞り3を駆動することなく、開口絞り3よりも必要とされる位置決め精度が低い遮光板4を駆動することで、照明条件を切り替えている。従って、大気環境下で使用される駆動部よりも性能が低い駆動部5を用いても、照明精度を低下させることなく、照明条件を切り替えることができるため、マークMKの検出精度の低下を低減することができる。換言すれば、位置検出装置200は、マークMKの検出精度を低下させることなく、基板SBやマークMKの位置を高精度に検出することができる。また、大気環境下で使用される駆動部と同等の性能を有するように駆動部5を構成する必要がないため、コストの増加を抑えることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、開口絞り3、遮光板4及び駆動部5は、照明光学系60に含まれているが、結像光学系70に含まれていてもよい。この場合、遮光板4を用いて、開口絞り3の明視野用開口32及び暗視野用開口34を通過した光のうち、いずれか一方の光を通過させ、他方の光を遮光することで、マークMKからの光を検出部75(検出面75a)で検出する際の検出条件を切り替える。換言すれば、高い位置決め精度が必要となる開口絞り3を駆動することなく、開口絞り3よりも必要とされる位置決め精度が低い遮光板4を駆動することで、検出条件を切り替えることが可能となる。
【0054】
例えば、検出条件を明視野検出に設定する際には、駆動部5は、開口絞り3に対して、明視野用領域42を位置決めする。具体的には、明視野用開口領域42aがマークMKから明視野用開口32を通して検出面75aに至る経路を遮断せず、遮光領域42bがマークMKから暗視野用開口34を通して検出面75aに至る経路を遮断するように明視野用領域42を位置決めする。これにより、基板SBに形成されたマークMKの明視野像を検出部75で検出することができる。
【0055】
また、検出条件を暗視野検出に設定する際には、駆動部5は、開口絞り3に対して、暗視野用領域44を位置決めする。具体的には、暗視野用開口領域44aがマークMKから暗視野用開口34を通して検出面75aに至る経路を遮断せず、遮光領域44bがマークMKから明視野用開口32を通して検出面75aに至る経路を遮断するように暗視野用領域44を位置決めする。これにより、基板SBに形成されたマークMKの暗視野像を検出部75で検出することができる。
【0056】
以下、位置検出装置200を適用した露光装置及び描画装置について説明する。
【0057】
図4は、位置検出装置200を適用した露光装置400の構成を示す図である。露光装置400は、10nm〜15nm程度の波長を有するEUV(Extreme Ultra Violet)光を用いて、レチクルのパターンを基板(ウエハなど)に転写するリソグラフィ装置である。
【0058】
露光装置400は、光源部401と、照明光学系402と、レチクルステージ403と、投影光学系404と、基板ステージ405と、真空チャンバ406とを有する。真空チャンバ406は、照明光学系402、レチクルステージ403、投影光学系404及び基板ステージ405を収納する。また、真空チャンバ406の内部の圧力は、10−4Pa〜10−5Paに維持される。
【0059】
光源部401は、ターゲット供給部407と、励起用パルスレーザ照射部408と、集光レンズ409とを含む。光源部401では、励起用パルスレーザ照射部408からのパルスレーザを、集光レンズ409を介して、ターゲット供給部407から真空チャンバ406に供給されたターゲット材に照射して、EUV光を放射するプラズマ410を生成する。
【0060】
照明光学系402は、多層膜ミラーや斜入射ミラーなどを含む複数のミラー411と、オプティカルインテグレータ412と、アパーチャ413とを含む。照明光学系402は、プラズマ410から放射されたEUV光を集光し、レチクルステージ403に保持されたレチクル415を照明する。
【0061】
投影光学系404は、複数のミラー416と、アパーチャ422とを含み、レチクル415で反射されたEUV光を、基板ステージ405に保持された基板418に投影する。
【0062】
露光装置400において、レチクル415と基板418との位置合わせや基板418の上の複数のショット領域間の位置合わせを行うために、位置検出装置200を適用することが可能である。位置検出装置200は、上述したように、基板418の位置や基板418の上のショット領域の位置を高精度に検出することができる。従って、露光装置400は、レチクル415と基板418との位置合わせや基板418の上の複数のショット領域間の位置合わせを高精度に行うことができるため、レチクル415のパターンを基板418に高精度に転写することができる。
【0063】
図5は、位置検出装置200を適用した描画装置500の構成を示す図である。描画装置500は、荷電粒子線(電子線)を用いて基板にパターンを描画するリソグラフィ装置である。
【0064】
描画装置500は、電子銃521と、荷電粒子光学系501と、荷電粒子線を検出する検出系524と、基板506を保持する基板ステージ502と、真空チャンバ550とを有する。真空チャンバ550は、電子銃521、荷電粒子光学系501、検出系524及び基板ステージ502を収納する。荷電粒子光学系501は、電子銃521からの荷電粒子線を収束する荷電粒子レンズ522と、荷電粒子線を偏向する偏向器523とを含む。
【0065】
描画装置500において、荷電粒子線と基板506との位置合わせや基板506の上の複数のショット領域間の位置合わせを行うために、位置検出装置200を適用することが可能である。位置検出装置200は、上述したように、基板506の位置や基板506の上のショット領域の位置を高精度に検出することができる。従って、描画装置500は、荷電粒子線と基板506との位置合わせや基板506の上の複数のショット領域間の位置合わせを高精度に行うことができるため、基板506にパターンを高精度に描画することができる。
【0066】
<第3の実施形態>
図6は、本発明の一側面としての顕微鏡装置600の構成を示す図である。顕微鏡装置600は、本実施形態では、透過電子顕微鏡として具現化され、被検体としての試料620を観察する。但し、顕微鏡装置600は、透過電子顕微鏡に限定されるものではなく、照明条件や検出条件を切り替えながら試料620を観察する顕微鏡に適用可能である。
【0067】
顕微鏡装置600は、電子線を発生する電子銃601と、試料620を装着した試料ホルダ621とを有する。また、顕微鏡装置600は、電子銃601からの電子線を試料620に照射する照射系602と、試料620を透過した電子線を検出部622(検出面622a)に導く検出系603とを有する。
【0068】
照射系602は、収束レンズ612と、球面収差補正レンズ614と、伝達レンズ系(転送レンズ系)615とを含む。伝達レンズ系615は、照射系602の光軸に沿って配置された第1伝達レンズ615a、第2伝達レンズ615b及び第3伝達レンズ615cで構成されている。また、検出系603は、開口絞り3と、遮光板4と、駆動部5と、対物レンズ616と、検出部622とを含む。電子銃601からの電子線は高いエネルギーを有するため、照射系602及び検出系603における各レンズは磁界型レンズであるとよい。但し、絶縁耐圧が許容される場合には、照射系602及び検出系603における各レンズは静電型レンズであってもよい。
【0069】
顕微鏡装置600において、電子銃601からの電子線は、収束レンズ612、球面収差補正レンズ614及び伝達レンズ系615を介して、試料620の上に収束する。試料620を透過した電子線は、開口絞り3、遮光板4及び対物レンズ616を介して、検出部622で検出される。
【0070】
顕微鏡装置600における試料620の明視野像及び暗視野像の観察について説明する。本実施形態の顕微鏡装置600では、遮光板4を用いて、試料620を透過した電子線の一部(明視野検出に対応する電子線又は暗視野検出に対応する電子線)を通過させて検出部622に導く。
【0071】
例えば、開口絞り3に対して遮光板4の明視野用領域42を位置決めした場合、遮光板4は、開口絞り3の明視野用開口32を通過した電子線を通過させ、開口絞り3の暗視野用開口34を通過した電子線を遮光する。従って、試料620を透過した電子線(非散乱電子線)と、試料620に衝突してエネルギーを失って試料620を透過した電子線(非弾性散乱電子線)が検出部622で検出される。これは、非散乱電子線及び非弾性散乱電子線は、試料620への入射角(照射角)に応じた小さな散乱角(一般には、約10mrad以下)で透過するからである。このようにして、試料620の明視野像が検出部622で検出される。
【0072】
また、開口絞り3に対して遮光板4の暗視野用領域44を位置決めした場合、遮光板4は、開口絞り3の暗視野用開口34を通過した光を通過させ、開口絞り3の明視野用開口32を通過した光を遮光する。従って、非散乱電子線や非弾性散乱電子線は遮光され、エネルギーを失わずに試料620を透過した電子線(弾性散乱電子線)が検出部622で検出される。これは、弾性散乱電子の散乱角が非散乱電子線や非弾性散乱電子線よりも大きいからである。このようにして、試料620の暗視野像が検出部622で検出される。
【0073】
本実施形態の顕微鏡装置600では、高い位置決め精度が必要となる開口絞り3を駆動することなく、開口絞り3よりも必要とされる位置決め精度が低い遮光板4を駆動することで、試料620を透過した光を検出部622で検出する際の検出条件を切り替えている。従って、大気環境下で使用される駆動部よりも性能が低い駆動部5を用いても、検出部622での検出精度を低下させることなく、検出条件を切り替えることができるため、試料620の観察精度の低下を低減することができる。また、大気環境下で使用される駆動部と同等の性能を有するように駆動部5を構成する必要がないため、コストの増加を抑えることができる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光で被照明面を照明する照明光学系と、
前記被照明面を照明する際の照明条件を、第1条件に規定するための第1開口と、前記第1条件とは異なる第2条件に規定するための第2開口とを含み、前記照明光学系の瞳面に固定された開口絞りと、
遮光領域を有する遮光板と、
前記遮光板を駆動する駆動部と、
を有し、
前記駆動部は、
前記照明条件を前記第1条件に設定する場合には、前記遮光領域が前記光源から前記第2開口を通して前記被照明面に至る第2経路を遮るように前記遮光板を位置決めし、
前記照明条件を前記第2条件に設定する場合には、前記遮光領域が前記光源から前記第1開口を通して前記被照明面に至る第1経路を遮るように前記遮光板を位置決めすることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記遮光板は、第1遮光領域と、第2遮光領域とを有し、
前記駆動部は、
前記照明条件を前記第1条件に設定する場合には、前記第1遮光領域が前記第2経路を遮るように前記遮光板を位置決めし、
前記照明条件を前記第2条件に設定する場合には、前記第2遮光領域が前記第1経路を遮るように前記遮光板を位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記遮光板は、第1開口領域と前記第1遮光領域とを含む第1領域と、第2開口領域と前記第2遮光領域とを含む第2領域とを有し、
前記遮光板は、前記開口絞りよりも前記被照明面側に配置され、
前記照明条件を前記第1条件に設定する際には、前記第1開口領域は前記第1開口を通過した光を通過させ、前記第1遮光領域は前記第2開口を通過した光を遮光し、
前記照明条件を前記第2条件に設定する際には、前記第2開口領域は前記第2開口を通過した光を通過させ、前記第2遮光領域は前記第1開口を通過した光を遮光することを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記遮光板は、第1開口領域と前記第1遮光領域とを含む第1領域と、第2開口領域と前記第2遮光領域とを含む第2領域とを有し、
前記遮光板は、前記開口絞りよりも前記光源側に配置され、
前記照明条件を前記第1条件に設定する際には、前記第1開口領域は、前記光源からの光のうち前記第1開口に到達する光を通過させ、前記第1遮光領域は、前記光源からの光のうち前記第2開口に到達する光を遮光し、
前記照明条件を前記第2条件に設定する際には、前記第2開口領域は、前記光源からの光のうち前記第2開口に到達する光を通過させ、前記第2遮光領域は、前記光源からの光のうち前記第1開口に到達する光を遮光することを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記第1開口領域の大きさは、前記第1開口の大きさよりも大きく、
前記第2開口領域の大きさは、前記第2開口の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項3又は4のうちいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記遮光板は、第1遮光領域を有する第1遮光板と、第2遮光領域を有する第2遮光板とを有し、
前記駆動部は、
前記照明条件を前記第1条件に設定する場合には、前記第1遮光領域が前記第2経路を遮るように前記第1遮光板を位置決めし、
前記照明条件を前記第2条件に設定する場合には、前記第2遮光領域が前記第1経路を遮るように前記第2遮光板を位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項7】
前記照明光学系、前記開口絞り、前記遮光板及び前記駆動部は、真空環境下に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記第1条件は、明視野照明であり、
前記第2条件は、暗視野照明であることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項9】
光源からの光で被検体を照明する照明光学系と、前記被検体からの光を検出面に結像する結像光学系とを備え、前記被検体の位置を検出する位置検出装置であって、
前記照明光学系は、
前記被検体を照明する際の照明条件を、第1条件に規定するための第1開口と、前記第1条件とは異なる第2条件に規定するための第2開口とを含み、前記照明光学系の瞳面に固定された開口絞りと、
第1開口領域と第1遮光領域とを含む第1領域と、第2開口領域と第2遮光領域とを含む第2領域とを有する遮光板と、
前記遮光板を駆動する駆動部と、
を有し、
前記駆動部は、
前記照明条件を前記第1条件に設定する際には、前記第1開口領域が前記光源から前記第1開口を通して前記被検体に至る第1経路を遮断せず、前記第1遮光領域が前記光源から前記第2開口を通して前記被検体に至る第2経路を遮断するように前記第1領域を位置決めし、
前記照明条件を前記第2条件に設定する際には、前記第2開口領域が前記第2経路を遮断せず、前記第2遮光領域が前記第1経路を遮断するように前記第2領域を位置決めすることを特徴とする位置検出装置。
【請求項10】
光源からの光で被検体を照明する照明光学系と、前記被検体からの光を検出面に結像する結像光学系とを備え、前記被検体の位置を検出する位置検出装置であって、
前記結像光学系は、
前記被検体からの光を前記検出面で検出する際の検出条件を、第1条件に規定するための第1開口と、前記第1条件とは異なる第2条件に規定するための第2開口とを含み、前記結像光学系の瞳面に固定された開口絞りと、
第1開口領域と第1遮光領域とを含む第1領域と、第2開口領域と第2遮光領域とを含む第2領域とを有する遮光板と、
前記遮光板を駆動する駆動部と、
を有し、
前記駆動部は、
前記検出条件を前記第1条件に設定する際には、前記第1開口領域が前記被検体から前記第1開口を通して前記検出面に至る第1経路を遮断せず、前記第1遮光領域が前記被検体から前記第2開口を通して前記検出面に至る第2経路を遮断するように前記第1領域を位置決めし、
前記検出条件を前記第2条件に設定する際には、前記第2開口領域が前記第2経路を遮断せず、前記第2遮光領域が前記第1経路を遮断するように前記第2領域を位置決めすることを特徴とする位置検出装置。
【請求項11】
被検体に電子線を照射する照射系と、前記被検体を透過した電子線を検出面に導く検出系とを備え、前記被検体を観察する顕微鏡装置であって、
前記検出系は、
前記被検体を透過した電子線を前記検出面で検出する際の検出条件を、第1条件に規定するための第1開口と、前記第1条件とは異なる第2条件に規定するための第2開口とを含み、前記検出系の瞳面に固定された開口絞りと、
第1開口領域と第1遮光領域とを含む第1領域と、第2開口領域と第2遮光領域とを含む第2領域とを有する遮光板と、
前記遮光板を駆動する駆動部と、
を有し、
前記駆動部は、
前記検出条件を前記第1条件に設定する際には、前記第1開口領域が前記被検体から前記第1開口を通して前記検出面に至る第1経路を遮断せず、前記第1遮光領域が前記被検体から前記第2開口を通して前記検出面に至る第2経路を遮断するように前記第1領域を位置決めし、
前記検出条件を前記第2条件に設定する際には、前記第2開口領域が前記第2経路を遮断せず、前記第2遮光領域が前記第1経路を遮断するように前記第2領域を位置決めすることを特徴とする顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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