説明

光学部品の保持治具、及び板基材

【課題】洗浄液中で光学部品を洗浄する際に光学部品が傾倒、回転する等、保持姿勢に変化が発生することにより、光学部品を洗浄槽外へ取り出して乾燥させる際に、洗浄液が光学部品の角隅部等に溜まった状態で固化することを防止することができる光学部品の保持治具を提供する。
【解決手段】少なくとも底辺31と、底辺の両端部から夫々起立する側端縁32とを備えた光学部品30を縦置き状態で保持する保持治具1であって、光学部品の底辺を2箇所で支持する2つの底辺支持部3と、該光学部品の両側端縁を夫々支持する2つの側端縁支持部5と、該2つの底辺支持部と該2つの側端縁支持部との間を連結する連結部10と、を一体的に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学部品を洗浄液によって洗浄してから乾燥させる工程中に光学部品を保持する保持治具の改良に関し、特に洗浄液が光学部品の角隅部等に溜まった状態で固化することを防止することができる光学部品の保持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
オプティカルローパスフィルタ(OLPF)等の光学フィルタ、レンズ、ミラー等々の光学部品を製造する工程中においては、光学部品にゴミが付着することを防止するために種々の措置が講じられる。具体的には、光学部品をポリッシュした際に発生する削り屑や、光学膜をコーティングした際に残留する不要な膜成分等を除去するために、各工程後に洗浄液中に光学部品を浸漬して洗浄を行うのが一般である。光学部品の洗浄に際しては、例えば洗浄治具に複数個の光学部品を保持した状態で超音波洗浄槽中の洗浄液(水、純水、アルコール液等)に浸漬した状態で超音波を印加して付着したゴミを除去する。
【0003】
図6(a)(b)及び(c)は従来の数珠棒式の保持部を備えた洗浄治具の概略構成を示す斜視図、超音波洗浄している状態を示す略図、及び乾燥工程を示す図である。
この洗浄治具100は、対向配置された2つの支持板101間にこれらの支持板と直交するように3本の数珠棒102を差し渡した構成を備えている。各数珠棒102はそろばんの構成と同じように、支持板101によって両端部を固定された軸部103と、軸部103に中心孔を挿通した複数の珠104と、から成り、珠104は軸部103により自由に回転するように支持されている。3本の数珠棒102の配置は図6(a)に示すように下側に一本の数珠棒102を配置し、残りの2本の数珠棒102は下側の数珠棒を頂点とした逆二等辺三角形を形成するように上側に水平に配置される。
隣接する珠間には溝があり、この溝内に光学部品105の端縁が入り込むように構成されているため、図6(a)に示すように矩形板状の光学部品105の底辺と左右両縦辺を各数珠棒102を構成する珠の溝内に嵌合させることによって光学部品105を垂直姿勢にて支持することができる。
【0004】
図6(b)は洗浄液111を満たした超音波洗浄槽110内に光学部品105を保持した洗浄治具100を浸漬した状態で、超音波を印加している状態を示している。回転自在な珠間の溝内に端縁を3点支持されただけの光学部品105は外力を受けると容易に位置ずれや傾倒(回転)を起こしやすい状態にある。このため、洗浄液中において超音波によって発生する気泡や洗浄液の液流を受けると、光学部品は揺動したり、振動し易くなり、図中に示すように傾き(回転)を起こす場合がある。光学部品に傾きがない状態で洗浄液中から取り出されて乾燥工程に供されると、垂直に保持された光学部品の水平な底辺から均等に洗浄液が落下して行くが、図6(c)に示すように光学部品が傾いた状態で乾燥が行われると、表面張力により最下端に位置する角隅部に洗浄液111aが溜まった状態で固化し易くなる。この光学部品が加工途中である場合は勿論、この洗浄工程を終了することにより完成状態となる場合においても、固化した洗浄液111aが一部に残った光学部品は後段の加工構成、或いはアッセンブリ工程において種々の問題を惹起する。
【0005】
特許文献1、2には光学部品を洗浄液と超音波を用いて洗浄する方法が開示されているが、上記の如き洗浄治具を用いた場合に光学部品に洗浄液が残留して固化するという問題を解決する手段については開示されていない。
【特許文献1】特開2003−75626公報
【特許文献2】特開2003−10797公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように従来の洗浄治具にあっては、保持した光学部品が洗浄液中において位置ずれや傾倒(回転)し易いため、洗浄槽から取り出した光学部品を垂直に保持して乾燥する際に洗浄液が光学部品の一部に残留して固化し易いという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、洗浄液中で光学部品を洗浄する際に光学部品が傾倒、回転する等、保持姿勢に変化が発生することにより、光学部品を洗浄槽外へ取り出して乾燥させる際に、洗浄液が光学部品の角隅部等に溜まった状態で固化することを防止することができる光学部品の保持治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学部品の保持治具は、少なくとも底辺と、該底辺の両端部から夫々起立する側端縁とを備えた光学部品を縦置き状態で保持する保持治具であって、前記光学部品の底辺を2箇所で支持する2つの底辺支持部と、該光学部品の両側端縁を夫々支持する2つの側端縁支持部と、該2つの底辺支持部と該2つの側端縁支持部との間を連結する連結部と、を一体的に備えていることを特徴とする。
光学部品はその底辺を左右均等の位置にある底辺支持部によって確実に支持される一方で、両側端縁を側端縁支持部により抑えられることにより洗浄中における上方への浮動や横方向への位置ずれや回転を防止される。このため、洗浄槽から取り出した時点での傾き、位置ずれ等がなくなり、洗浄液は光学部品の底辺から確実に排出されて残留することがない。
【0008】
また、本発明の光学部品の保持治具では、前記各底辺支持部は、起立した姿勢に保持された底辺支持板であり、該各底辺支持板と交叉する姿勢にある前記光学部品の底辺を支持する凹所を該各底辺支持板の上端縁に沿って備え、前記各側端縁支持部は、前記連結部から前記光学部品の両側端縁に向けて突出した側端縁支持板と、各側端縁支持板の先端縁に突設されて各側端縁を挟持する挟持部材と、を備えていることを特徴とする。
光学部品の側端縁を抑える手段として挟持部材を用い、側端縁を挟み込むことによって光学部品の上下動、左右動を抑制することができる。挟持手段として弾性変形する手段を用いれば光学部品に対する緩衝機能を更に発揮させて洗浄時の衝撃から保護することができる。
【0009】
また、本発明の光学部品の保持治具では、前記各底辺支持部は、起立した姿勢に保持された底辺支持板であり、該各底辺支持板と交叉する姿勢にある前記光学部品の底辺を支持する凹所を該各底辺支持板の上端縁に沿って備え、前記各側端縁支持部は、前記連結部から前記光学部品の両側端縁に向けて突出した側端縁支持板であり、該各側端縁支持板の先端縁には該各側端縁を挟持する切欠きが形成されていることを特徴とする。
側端縁支持板に設けた切欠きによって光学部品の側端縁を支持することにより、光学部品の揺動、遊動を確実に防止できるばかりでなく、保持治具の構成をシンプル化することができる。
【0010】
また、本発明の板基材は、所要箇所を屈曲させることによって上記保持治具を形成する矩形平板状の板基材であって、前記板基材の対向する2つの端縁に夫々前記凹所を有した底辺支持部を備え、前記板基材の長手方向中央部に開口部を備え、該開口部の対向する2つの内縁に前記挟持部材、又は前記切欠きを備え、前記開口部と前記底辺支持部との間に前記連結部を備えたことを特徴とする。
上記保持治具は一枚の板基材に予め底辺支持部、開口部、挟持部材等、及び連結部を加工しておき、この板基材を所要の折り曲げ線に沿って折り曲げることにより容易に形成することができる。
【0011】
また、本発明の光学部品の保持治具は、少なくとも底辺と、該底辺の両端部から夫々起立する側端縁とを備えた光学部品を縦置き状態で保持する保持治具であって、前記光学部品の底辺を少なくとも2箇所で支持する少なくとも2つの底辺支持部と、該光学部品の両側端縁を夫々支持する2つの側端縁支持部と、該各底辺支持部と該各側端縁支持部の長手方向両端部を支持する連結部と、を備えたことを特徴とする。
底辺支持部、側端縁支持部を連結部を介して連結することにより保持治具を形成するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の光学部品の保持治具は、前記連結部に対して、前記各底辺支持部と前記各側端縁支持部は夫々着脱自在に組み付けられていることを特徴とする。
底辺支持部、側端縁支持部を連結部に対して着脱自在に構成することにより、光学部品のサイズ、形状の相違に対応して異なった底辺支持部、或いは側端縁支持部を交換使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)(b)及び(c)は本発明の一実施形態に係る光学部品の保持治具の外観斜視図、光学部品を保持した状態を示す要部断面斜視図、及び洗浄状態を示す図である。
この光学部品の保持治具1は、予め所定形状に成型されたステンレス等の金属板材(板基材)を曲げ加工して製造され、少なくとも底辺31と、底辺の両端部から夫々起立する側端縁32とを備えた光学部品30を縦置き状態で複数枚平行な姿勢で並列して保持する手段である。
【0014】
保持治具1は、光学部品30の底辺31を2箇所で支持する2つの底辺支持部2と、光学部品30の両側端縁32を夫々支持する2つの側端縁支持部5と、2つの底辺支持部2と2つの側端縁支持部5との間を連結する連結部10と、を一体的に備えている。最上面には開口部21が設けられ、開口部21の前後両端側には連結片22が位置している。また、連結部10には気泡や液流を光学部品面に供給し易くするための開口10aが形成されている。
各底辺支持部2は、起立した姿勢に保持された細幅帯状の板から成る底辺支持板3であり、2つの底辺支持板3は所定の間隔を隔てて平行に対向配置されている。2つの底辺支持板3と交叉(直交)する姿勢で底辺31上に立設される光学部品30の底辺31を支持する複数の凹所3aを各底辺支持板3の上端縁に沿って備えている。2つの底辺支持板3の上端縁上に形成される各凹所3aの形状、及びピッチは同じであり、各凹所の位置関係は対応しあっている。従って、2つの底辺支持板3上の夫々対応した位置にある2つの凹所3a内に一つの光学部品の底辺を嵌合することによって光学部品は水平、且つ垂直な姿勢で2点支持されることとなる。
【0015】
各側端縁支持部5は、左右2つの連結部10から光学部品30の両側端縁32に向けて夫々突出した側端縁支持板6と、各側端縁支持板6の先端縁から突設されて各側端縁32を挟持する挟持部材7と、を備えている。挟持部材7は金属、或いは樹脂等からなる部材であり、二股に分岐した先端部内に光学部品の側端縁32を挟圧保持するように構成されている。挟持部材7は薄板材を略Y字状に成型した構成を備えた弾性体であり、バネ力を発揮して光学部品の両側端縁を弾性的に安定して保持できるように構成されている。各挟持部材7はその下方に位置する各凹所3aと対応する上下位置関係となるように配置されている。
【0016】
従って例えば図1(b)に示したような矩形の板状光学部品30を保持する場合には、2つの底辺支持部2の上端縁に夫々設けた凹所3a内に光学部品30の底辺31を嵌合させることによって2点支持する一方で、光学部品30の両側端縁32については、該各凹所3aと対応する位置にある2つの挟持部材7の二股の先端部内に挟んで保持する。このため、光学部品30を凹所3aと挟持部材7によって垂直に支持することができる。
【0017】
図1(c)は複数枚の光学部品30を垂直姿勢で保持した保持治具1を超音波洗浄槽35内の洗浄液36中に浸漬して、超音波を印加することにより洗浄している状態を示している。光学部品30はその底辺31を2つの凹所3a内に嵌合して水平に支持されている一方で、両側端縁32は挟持部材7の二股に分岐した先端部内で挟まれた状態で左右両方向から弾性的に抑えられて垂直姿勢を維持しているため、超音波の印加によって洗浄液中に発生する液流、気泡を受けたとしても光学部品は揺動、回転、振動等することがない。つまり、保持治具1により保持された光学部品は常に図示した姿勢(底辺が水平で面が垂直な姿勢)を維持することができる。
従って、従来の数珠式の保持治具により保持された光学部品の場合のように角隅部が下方に突出した状態で洗浄後の乾燥工程に供される結果として該角隅部に溜まった洗浄液が固化して光学部品の特性に悪影響を及ぼしたり、実機へのアッセンブリ工程において問題を惹起することがなくなる。
【0018】
なお、図1に示した保持治具1は単品であり、この保持治具1を横方向に多数連結することによって更に多数の光学部品を洗浄、乾燥に供することが可能となる。
また、図示の例では矩形板状の光学部品を支持する例を示したが、これは一例であり、多様な形状、多様なサイズを備えた光学部品に応じて底辺支持部2(凹所3a)と側端縁支持部5と連結部10の形状、サイズ、位置関係を種々変更することにより、多様な光学部品の保持手段としてバリエーションを持たせることができる。
光学部品30は複数の光学部品個片をシート状に連結したウェハ(母材)であってもよいし、個々の光学部品個片であってもよい。
【0019】
次に、図2はこの保持治具を製造する際に使用する板基材の構成説明図である。
前述のようにこの保持治具1は、予め所定形状に成型された一枚のステンレス等の金属板材(板基材)を曲げ加工して製造される。具体的には、矩形平板状の金属板材20を(1)〜(4)で示した折り曲げ箇所(折り曲げ線)に沿って所要方向に所要角度だけ屈曲させることにより図1に示した如き保持治具を形成することができる。
長方形の金属板材20は、その対向する2つの端縁に夫々複数の凹所3aを有した底辺支持板3を備えると共に、その長手方向中央部には矩形の開口部21を備え、開口部21の対向する2つの内縁21aには挟持部材7を突設している。更に、開口部21と底辺支持板3との間に連結部10を備えている。従って、図2において、最も外側に位置する2つの折り曲げ箇所(1)を夫々90度の角度で谷折りし、内側の2つの折り曲げ箇所(2)を夫々90度に谷折りし、更に内側の2つの折り曲げ箇所(3)と中央の折り曲げ箇所(4)を夫々90度を超えた鈍角にて谷折りすることにより図1に示した如き櫓形状の保持治具を形成することができる。
【0020】
なお、折り曲げ部(3)において側端縁支持板6を水平となるように90度屈曲させてもよい。
前述のように、多様な形状、多様なサイズを備えた光学部品に応じて、金属板材20の底辺支持部2(凹所3a)と側端縁支持部5と連結部10の形状、サイズ、位置関係を種々変更することにより、多様な光学部品の保持手段としてバリエーションを持たせることができる。
【0021】
次に、図3は本発明の保持治具の変形例の構成を示す一部断面斜視図であり、図1の実施形態に係る保持治具と同一部分には同一符号を付してある。
この実施形態に係る保持治具1が図1の保持治具と異なる点は、各側端縁支持部5の構成にある。本実施形態における側端縁支持部5は、各側端縁支持板6の先端縁に形成した切欠き部8から構成されている。各切欠き部8はその下方に位置する各凹所3aと対応する上下位置関係となるように構成されており、各切欠き部8内に光学部品30の両側端縁32を嵌合支持するものである。
図3の実施形態に係る保持治具1を製造する際に使用する金属板材の構成は、図2に示した金属板材とほぼ同等であり、図2中の挟持部材7に代えて切欠き部8を用いた点が異なるのみである。
【0022】
この保持治具1により光学部品を支持する際に、光学部品30は底辺31を2つの凹所3a内に嵌合して支持されている一方で、両側端縁32については2つの切欠き部8内により挟まれた状態で左右両方向から抑えられているため、超音波の印加によって洗浄液中に発生する液流、気泡を受けたとしても光学部品は揺動、回転、振動等することがない。つまり、保持治具1により保持された光学部品は常に図示した姿勢(底辺が水平な姿勢)を維持することができる。
従って、一つの角隅部が下方に突出した状態で洗浄後の乾燥工程に供されることがなくなり、いずれかの角隅部に溜まった洗浄液が固化して光学部品の特性に悪影響を及ぼしたり、実機へのアッセンブリ工程において問題を惹起することがなくなる。
また、挟持部材7に代えて切欠き部8を形成したことにより、金属板材20の構成をシンプル化することが可能となる。
【0023】
次に、図4は本発明の他の実施形態に係る保持治具の全体構成を示す斜視図であり、図5(a)(b)及び(c)はその構成を示す正面図、平面図、及び側面図である。
この実施形態に係る保持治具40は、少なくとも底辺31と、底辺31の両端部から夫々起立する側端縁32と、を備えた光学部品30を、縦置き状態で保持する保持治具である。
この保持治具40は、光学部品30の底辺31を少なくとも2箇所で支持する少なくとも2つの底辺支持板(底辺支持部)41と、光学部品の両側端縁32を夫々支持する2つの側端縁支持板(側端縁支持部)45と、各底辺支持板41と各側端縁支持板45の長手方向両端部を支持する連結部50と、を少なくとも備えている。この例では各連結部50に設けたスリット内に底辺支持板41、及び側端縁支持板45の両端を嵌合することにより固定しているが、固定方法はどのような方法であってもよい。更に、前後の連結部50の左右両端部間には連結側板51が差し渡されてボルト等の固定手段52により固定されている。
【0024】
前後の連結部50には洗浄液の流通性を高めるための穴50aが形成されると共に、連結側板51にも穴51aが形成されている。
各底辺支持板41は隣接する2つの底辺支持板41を一組としており、各底辺支持板41の上端縁に沿って所定のピッチにて形成した凹所41aによって一つの光学部品30の底辺を2点支持する。このため、光学部品の底辺は水平姿勢を維持される。また、側端縁支持板45は下方に位置する底辺支持板41と対応して配置されており、各側端縁支持板45の内側端縁に沿って所定のピッチにて凹所45aが形成されている。上下位置関係にある各凹所41aと凹所45aは一枚の光学部品30を垂直姿勢で支持できるように構成されている。
【0025】
この実施形態にかかる保持治具40にあっては、支持する光学部品30の形状、サイズの違いに応じて、底辺支持板41間の間隔、側端縁支持板45間の間隔を変更したり、或いは使用する底辺支持板41、及び側端縁支持板45を交換できるように、前後の連結部50に上下位置や角度の異なる底辺支持板用のスリットや、ボルト穴を設けておき、着脱自在に構成することが好ましい。
【0026】
この保持治具40により光学部品30を支持する際に、光学部品は底辺を2つの凹所41a内に嵌合して支持されている一方で、両側端縁については2つの凹所45a内により挟まれた状態で左右両方向から抑えられているため、超音波の印加によって洗浄液中に発生する液流、気泡を受けたとしても光学部品は揺動、回転、振動等することがない。つまり、保持治具40により保持された光学部品は常に図示した姿勢(底辺が水平な姿勢)を維持することができる。
【0027】
従って、一つの角隅部が下方に突出した状態で洗浄後の乾燥工程に供されることがなくなり、いずれかの角隅部に溜まった洗浄液が固化して光学部品の特性に悪影響を及ぼしたり、実機へのアッセンブリ工程において問題を惹起することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)(b)及び(c)は本発明の一実施形態に係る光学部品の保持治具の外観斜視図、光学部品を保持した状態を示す要部断面斜視図、及び洗浄状態を示す図である。
【図2】本発明の保持治具を製造する際に使用する板基材の構成説明図である。
【図3】本発明の保持治具の変形例の構成を示す一部断面斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る保持治具の全体構成を示す斜視図である。
【図5】(a)(b)及び(c)は図4の保持治具の構成を示す正面図、平面図、及び側面図である。
【図6】(a)(b)及び(c)は従来の数珠棒式の保持部を備えた洗浄治具の概略構成を示す斜視図、超音波洗浄している状態を示す略図、及び乾燥工程を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1…保持治具、2…底辺支持部、3…底辺支持板、3a…凹所、5…側端縁支持部、6…側端縁支持板、7…挟持部材、10…連結部、20…金属板材、21…開口部、21a…内縁、22…連結片、30…光学部品、31…底辺、32…側端縁、35…超音波洗浄槽、36…洗浄液、40…保持治具、41…底辺支持板、41a…凹所、45…側端縁支持板、45a…凹所、50…連結部、50a…穴、51…連結側板、51a…穴、52…固定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底辺と、該底辺の両端部から夫々起立する側端縁とを備えた光学部品を縦置き状態で保持する保持治具であって、
前記光学部品の底辺を2箇所で支持する2つの底辺支持部と、該光学部品の両側端縁を夫々支持する2つの側端縁支持部と、該2つの底辺支持部と該2つの側端縁支持部との間を連結する連結部と、を一体的に備えていることを特徴とする光学部品の保持治具。
【請求項2】
前記各底辺支持部は、起立した姿勢に保持された底辺支持板であり、該各底辺支持板と交叉する姿勢にある前記光学部品の底辺を支持する凹所を該各底辺支持板の上端縁に沿って備え、
前記各側端縁支持部は、前記連結部から前記光学部品の両側端縁に向けて突出した側端縁支持板と、各側端縁支持板の先端縁に突設されて各側端縁を挟持する挟持部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品の保持治具。
【請求項3】
前記各底辺支持部は、起立した姿勢に保持された底辺支持板であり、該各底辺支持板と交叉する姿勢にある前記光学部品の底辺を支持する凹所を該各底辺支持板の上端縁に沿って備え、
前記各側端縁支持部は、前記連結部から前記光学部品の両側端縁に向けて突出した側端縁支持板であり、該各側端縁支持板の先端縁には該各側端縁を挟持する切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品の保持治具。
【請求項4】
所要箇所を屈曲させることによって請求項2、又は3に記載の保持治具を形成する矩形平板状の板基材であって、
前記板基材の対向する2つの端縁に夫々前記凹所を有した底辺支持部を備え、
前記板基材の長手方向中央部に開口部を備え、該開口部の対向する2つの内縁に前記挟持部材、又は前記切欠きを備え、
前記開口部と前記底辺支持部との間に前記連結部を備えたことを特徴とする板基材。
【請求項5】
少なくとも底辺と、該底辺の両端部から夫々起立する側端縁とを備えた光学部品を縦置き状態で保持する保持治具であって、
前記光学部品の底辺を少なくとも2箇所で支持する少なくとも2つの底辺支持部と、該光学部品の両側端縁を夫々支持する2つの側端縁支持部と、該各底辺支持部と該各側端縁支持部の長手方向両端部を支持する連結部と、を備えたことを特徴とする光学部品の保持治具。
【請求項6】
前記連結部に対して、前記各底辺支持部と前記各側端縁支持部は夫々着脱自在に組み付けられていることを特徴とする請求項5に記載の光学部品の保持治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−222776(P2007−222776A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46387(P2006−46387)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】