説明

光学部材、表示装置用照明装置、表示装置、及びテレビ受信装置

【課題】被熱環境におかれた場合に、均一な光学特性を保持することが可能で、場合によっては接触音等の発生も防止ないし抑制することが可能な光学部材を提供する。
【解決手段】本発明の光学部材15は、光の拡散を行う光拡散シート31と、複数のレンズ34が配置されてなるレンズシート32と、を備え、前記光拡散シート31と前記レンズシート32とは、互いに貼り合わされてなり、前記光拡散シート31の線膨張係数α1と、前記レンズシート32の線膨張係数α2とが異なる値を示し、前記光拡散シート31及び前記レンズシート32のうち前記線膨張係数が小さいシート側に凸に湾曲していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材、表示装置用照明装置、表示装置、及びテレビ受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示パネルである液晶パネルと、液晶パネルの背面側に設置される外部光源であるバックライト装置とから構成される。このうち、バックライト装置には、複数本の線状光源(例えば冷陰極管)と、各冷陰極管から発せられる線状の光を面状に変換するための光学部材と、光学部材を支持する支持ピンが備えられている。従来、光学部材は、拡散板、拡散シート、レンズシート、及び反射型偏光板等が複数枚積層された構成とされている。しかしながら、このような構成では、出射光が表示に使われない方向に拡散され易く、光の利用効率が芳しくない、という問題があった。
【0003】
そこで、光の利用効率を改善した光学部材の一例として下記特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に記載の光学部材は、入射光を散乱する光散乱層と、当該光散乱層と固定され、光散乱層によって散乱された光を反射する光反射層と、当該光反射層と固定され、複数のレンズが配置されてなるレンズシートとが一体化された構成とされ、光反射層の一部を複数のレンズのおのおのにそれぞれ対応して設けられた複数の低屈折領域で貫通させてなるものとされている。
【0004】
当該光学部材によれば、光散乱層において散乱された光のうち、散乱角度が絞られた光のみを低屈折率領域からレンズに入射させることができる。さらに、レンズに入射されなかった光は、光反射層で反射されて光散乱層側に戻され、再び光散乱層で散乱された後、いずれはレンズに入射されることとなる。したがって、出射光の拡散範囲を制御することができ、光の利用効率を改善できるのである。
【特許文献1】特開2006−106197公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような光学部材を使用した場合、異なる材料からなる各層が一体化されているため、次のような問題が生じる場合がある。すなわち、各層は異なる材料からなるため、各層ごとに線膨張係数が異なることとなり、冷陰極管の点灯に伴う温度上昇に対して、互いに異なる延伸量で膨張し、光学部材全体として一方向への反りが生じる場合がある。
【0006】
例えば、光散乱層の線膨張係数が、レンズシートの線膨張係数よりも大きい場合には、当該光学部材は、冷陰極管を点灯すると、全体として光散乱層側(すなわち、冷陰極管側)に凸に反ることとなり、光学部材の表面にシワが発生する。特にこの場合、液晶パネル側に比べて、冷陰極管側は高温になり易いため、上記の反りはより顕著なものとなる。このようなシワが発生すると、その前面にある液晶パネルに影が映り、輝度が不均一になる場合があった。また、一方で、光学部材の反りに起因して、当該光学部材が他の構成部材と接触し、接触音(軋み音)発生等の不具合が生じる場合もあった。
【0007】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであって、被熱環境におかれた場合に均一な光学特性を保持することが可能で、場合によっては接触音等の発生も防止ないし抑制することが可能な光学部材を提供することを目的としている。また、本発明は、そのような光学部材を備えることにより照明輝度の均一性が高い表示装置用照明装置、さらに、そのような表示装置用照明装置を備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の光学部材は、光の拡散を行う光拡散シートと、複数のレンズが配置されてなるレンズシートと、を備え、前記光拡散シートと前記レンズシートとは、互いに貼り合わされてなり、前記光拡散シートの線膨張係数α1と、前記レンズシートの線膨張係数α2とが異なる値を示し、前記光拡散シート及び前記レンズシートのうち前記線膨張係数が小さいシート側に凸に湾曲していることを特徴とする。
【0009】
このように、光拡散シートとレンズシートとを貼り合わせ、これらのうち線膨張係数が小さい側へ凸に湾曲した構成とすることにより、光学部材が被熱環境下におかれた場合には、当該光学部材の湾曲の変形量が小さくなり、均一な光学特性を保持することが可能となる。
被熱環境下においては、光拡散シートとレンズシートとの線膨張係数が異なると、線膨張係数が大きいシートは、線膨張係数が小さいシートに比してより大きく延伸する。ここで、両シートは互いに独立に延伸することができないため、湾曲のない平坦な構成の光学部材では、全体として、線膨張係数が小さいシートを内側にして(凹にして)反りを生じることとなる。このような反りが生じると光学部材にシワが発生し、例えば当該光学部材を照明装置に用いた場合、当該光学部材に生じたシワが影となって視認され、照明輝度の均一性を保持することができない場合がある。
【0010】
しかしながら、本発明によれば、予め線膨張係数が小さいシート側に凸に湾曲させた構成としているため、照明時に当該光学部材が熱を受けることによって生じる反りを相殺することが可能となる。すなわち、当該光学部材は、被熱環境下で線膨張係数が小さいシート側に凹に反っていくのに対し、予め反対方向に凸に湾曲した構成とされているため、照明時にはこの湾曲の変形量が小さくなって略平坦面をなすこととなり、均一な照明輝度を得ることが可能となる。
【0011】
また、本発明の光学部材において、前記光拡散シート及び前記レンズシートはともに四角形とされ、当該四角形の長辺方向及び短辺方向に沿って、前記線膨張係数が小さいシート側に凸に湾曲しているものとすることができる。
この場合、光学部材は、線膨張係数が小さいシート側に略球面状(ドーム状)に湾曲していることとなる。一方、当該光学部材が被熱環境におかれた場合に生じる反りは、線膨張係数が大きいシート側にドーム状をなす場合が多い。そこで、光学部材を、その長辺方向及び短辺方向に沿ってドーム状に湾曲させておくことにより、当該光学部材に生じ易い反りの形状と対称をなすこととなり、当該反りを相殺し易いものとすることが可能となる。
【0012】
また、前記光拡散シート及び前記レンズシートはともに四角形とされ、当該四角形の長辺方向に沿って、前記線膨張係数が小さいシート側に凸に湾曲しているものとすることができる。
この場合、光学部材は、線膨張係数が小さいシート側にアーチ状に湾曲していることとなる。すなわち、光学部材をその長辺方向に沿って湾曲したものとすると、当該光学部材の短辺は略直線状となり、この光学部材を照明装置に配設する場合に、短辺全体を把持することで、当該方向の反りを抑制することが可能となる。一方、長辺方向は、サイズ効果により反りの程度が大きくなり易いため、光学部材を当該長辺方向に沿って予め湾曲させておくことにより、その反りを相殺することが可能となる。
【0013】
次に、上記課題を解決するために、本発明の表示装置用照明装置は、光源と、前記光源の光出射側に配された上記光学部材と、を備えることを特徴とする。
このような表示装置用照明装置によると、均一性に優れた照明光を表示装置に対して供することが可能となる。
【0014】
また、本発明の表示装置用照明装置において、前記光源を収容し、光が出射する開口部を有したシャーシと、前記光源を前記シャーシに取り付けるための光源保持部材と、を備え、前記光学部材は、前記シャーシの開口部に取り付けられるとともに、前記光源から遠ざかる方向に凸に湾曲してなるものであり、前記光源保持部材には、前記光学部材を支持することが可能な支持部材が設けられているものとすることができる。
【0015】
この場合、光源を点灯すると、光源から遠ざかる方向に凸に湾曲していた光学部材が、当該湾曲方向と反対方向(すなわち、光源側)へ反りを生じることとなる。ここで、光学部材が支持部材を強く押圧すると、光学部材と支持部材との擦れによる軋み音が生じる場合がある。しかしながら、本発明によれば、光学部材は予め光源とは遠ざかる方向に湾曲しているため、光源の点灯により光学部材に反りが生じた場合も支持部材を強く押圧することがなく、軋み音を抑止することが可能となる。
さらに、例えば光学部材の反りの程度が非常に大きくなり、光学部材が光源側に凸に反り得る状態になった場合にも、支持部材と当接することで光源側への反りが抑制されるため、当該光学部材が光源に接触することを抑止することができる。
【0016】
次に、上記課題を解決するために、本発明の表示装置は、上記表示装置用照明装置と、前記表示装置用照明装置の光出射側に配される表示パネルと、を備えることを特徴とする。表示パネルとしては、例えば一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶パネルを用いて液晶表示装置を好適に実現することができる。また、このような表示装置を備えるテレビ受信装置においては、高品質の表示を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光学部材によると、被熱環境におかれた場合に均一な光学特性を保持することが可能で、場合によっては接触音等の発生も防止ないし抑制することが可能となる。また、本発明の表示装置用照明装置によると、そのような光学部材を用いてなるため、照明輝度の均一性に優れた照明光を表示装置に対して供することが可能となる。また、本発明の表示装置及びテレビ受信装置によると、そのような表示装置用照明装置を用いてなるため、高い表示品質を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を図1ないし図7によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置10を備えるテレビ受信装置TVについて例示する。
図1は本実施形態のテレビ受信装置の概略構成を示す分解斜視図、図2は図1のテレビ受信装置が備える液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図、図3は図2の液晶表示装置のA−A線断面図、図4は図2の液晶表示装置のB−B線断面図、図5は図2の液晶表示装置に備わる光学部材のA−A線拡大断面図、図6は図2の液晶表示装置に備わる光学部材のB−B線拡大断面図、図7はその光学部材の作用効果を説明する図である。
【0019】
本実施形態に係るテレビ受信装置TVは、図1に示すように、液晶表示装置(表示装置)10と、当該液晶表示装置10を挟むようにして収容する表裏両キャビネットCa,Cbと、電源Pと、チューナーTと、スタンドSとを備えて構成される。液晶表示装置10は、全体として横長の方形をなし、図2に示すように、表示パネルである液晶パネル11と、外部光源であるバックライト装置(表示装置用照明装置)12とを備え、これらがベゼル13などにより一体的に保持されるようになっている。
【0020】
次に、液晶表示装置10を構成する液晶パネル11及びバックライト装置12について説明する(図2ないし図4参照)。
液晶パネル(表示パネル)11は、一対のガラス基板が所定のギャップを隔てた状態で貼り合わせられるとともに、両ガラス基板間に液晶が封入された構成とされる。一方のガラス基板には、互いに直交するソース配線とゲート配線とに接続されたスイッチング素子(例えばTFT)と、そのスイッチング素子に接続された画素電極等が設けられ、他方のガラス基板には、対向電極と、R(赤色),G(緑色),B(青色)等の各着色部が所定配列で配置されたカラーフィルタ等が設けられている。
【0021】
バックライト装置12は、いわゆる直下型のバックライト装置であって、液晶パネル11のパネル面(すなわち表示面)の背面直下に、当該パネル面に沿って線状光源(ここでは高圧放電管として冷陰極管(光源)17を用いている)を複数具備した構成となっている。
【0022】
より詳細には、バックライト装置12は、上面側に開口部14aを有する略箱型をなすシャーシ14と、シャーシ14の開口部14aを覆うようにして取り付けられる複数の光学部材15と、これら光学部材15をシャーシ14に保持するためのフレーム16とを備える。さらに、シャーシ14内には、冷陰極管17と、冷陰極管17群の両端部を一括して覆うランプホルダ18と、冷陰極管17をシャーシ14に取り付けるためのランプクリップ(光源保持部材)20とが配設されている。なお、当該バックライト装置12においては、冷陰極管17よりも光学部材15側が光出射側となっている。
【0023】
ランプクリップ20は、クリップ状の光源保持部材として機能し、合成樹脂製(例えばポリカーボネート製)とされている。このランプクリップ20には、冷陰極管17を直接保持するための光源保持部21とともに、後に詳述する光学部材15を支持することが可能な支持ピン(支持部材)22が突設されている。
【0024】
また、シャーシ14は、金属製の板金からなり、当該シャーシ14のうち、冷陰極管17の光出射側とは反対側に光反射シート19が配設され、これにより光反射面が形成されている。このような光反射シート19を含むシャーシ14により、冷陰極管17から出射された光を光学部材15側に反射させることが可能となっている。
【0025】
光学部材15は、線状光源である各冷陰極管17から発せられる線状の光を面状に変換するとともに、その光を液晶パネル11における有効表示領域に向けて方向付ける等の機能を有する。この光学部材15は、液晶パネル11やシャーシ14と同様に横長の四角形に形成されており、図3及び図4に示すように、その長辺方向を冷陰極管17の軸線方向(B−B線方向)と同じくするとともに、その短辺方向を冷陰極管17の並列方向(A−A線方向)と同じくして配設されている。さらに、光学部材15は、その短辺方向及び長辺方向に沿って、液晶パネル11側(冷陰極管17から遠ざかる方向)に凸に湾曲している。
【0026】
光学部材15の構成は、図5及び図6に示すように、拡散シート(光拡散シート)31とレンズシート32とが互いに貼り合わされた構成とされている。このうち、拡散シート31は、入射光の拡散を行うものであって、透光性を有するポリスチレンからなる基材を有し、その内部には光を散乱させる光散乱粒子が分散配合された構成とされている。なお、本実施形態ではポリスチレンからなる基材を用いるものとしたが、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の合成樹脂から好適に選択することが可能である。
【0027】
レンズシート32は、集光に異方性をもたせるべく(つまり所定方向の光を選択的に集光するべく)、ポリエチレンテレフタラートからなる透光性基材33上に、複数の凸シリンドリカルレンズ34が並列配置されてなるレンズ部35を有して構成されている。本実施形態では、レンズ部35はアクリル製とされている。この場合の凸シリンドリカルレンズ34は、半円柱状の凸レンズが基材長辺方向に延在しており、短辺方向に並列配置された構成となっている。なお、本実施形態ではポリエチレンテレフタラートからなる透光性基材33を用いるものとしたが、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の合成樹脂から好適に選択することが可能である。
【0028】
また、拡散シート31とレンズシート32との間には、各凸シリンドリカルレンズ34の境界部と平面視重畳する位置に選択的に配された反射層36がストライプ状に形成されている。なお、隣り合う反射層36の間の部分、つまり凸シリンドリカルレンズ34の焦点位置と平面視重畳する位置には、透光部37が形成されている。すなわち、反射層36及び透光部37は、それぞれが凸シリンドリカルレンズ34の長手方向と略平行な所定幅の筋状をなしており、全体としてストライプ状をなしている。
【0029】
反射層36は、各凸シリンドリカルレンズ34の谷部を中心とした所定幅の領域に形成されるのに対し、透光部37は各凸シリンドリカルレンズ34の頂点を中心とした所定幅の領域に形成されている。当該反射層36は、例えば白色の酸化チタン微粒子が分散混入された樹脂基材等からなる。一方、透光部37は空気層とされており、その屈折率が拡散シート31やレンズシート32とは相異している。なお、凸シリンドリカルレンズ34の配列周期(レンズピッチ)及び反射層36の配列周期(反射層ピッチ)は、ほぼ同じに設定されており、例えば140μm程度とされている。
【0030】
図2及び図3に戻り、冷陰極管17は、線状光源の一種であり、その軸方向をシャーシ14の長辺方向と一致させた姿勢でシャーシ14内に取り付けられており、複数本が互いの軸を略平行にし、かつ互いの間に所定の間隔を空けた状態で並べられている。
【0031】
各冷陰極管17から照射された光は、光学部材15の透光部37を通過すると、そのまま凸シリンドリカルレンズ34に入射して、その指向性が液晶パネル11の有効表示領域に向けて方向付けられつつ出射される。一方、透光部37を通過しない光は、反射層36で反射されて冷陰極管17側に戻り、光反射シート19等によって再度光学部材15側に出射されるものとされており、透光部37を通過するまで反射を繰り返すことで、光の再利用を図る構成となっている。
【0032】
ところで、上記した光学部材15は、拡散シート31が冷陰極管17側、レンズシート32が液晶パネル11側とされて、当該液晶表示装置10に配設される。ここで、本実施形態では、拡散シート31の線膨張係数α1は7×10−5mm/℃である一方、レンズシート32の線膨張係数α2は2×10−5mm/℃であり、レンズシート32の線膨張係数α2の方が小さい値を示す。つまり、当該光学部材15の略球面状(ドーム状)の湾曲は、線膨張係数が小さい値を示すレンズシート32側に凸とされていることとなる。
【0033】
上記態様にて湾曲する光学部材15は、例えば、予め湾曲させておいた拡散シート31に、別途湾曲させておいたレンズシート32を貼付することにより得られる。また、異なる手法として、予め湾曲させておいた拡散シート31を準備し、これにレンズシート32を貼付する際に、当該レンズシート32の表裏で温度勾配をかけながら拡散シート31の湾曲に倣って貼付する等の手法を採用することができる。
【0034】
以上の構成による本実施形態に係る液晶表示装置10及びテレビ受信装置TVによると、以下のような作用効果が奏される。
本実施形態に係る液晶表示装置10に備わる光学部材15は、拡散シート31とレンズシート32とが貼り合わされた構成とされ、当該拡散シート31と当該レンズシート32のうち線膨張係数が小さいレンズシート32側に凸に湾曲したものとされている。
このような構成によれば、液晶表示装置10の冷陰極管17を点灯することで、当該光学部材15が被熱環境におかれることになった場合に、その湾曲の変形量が小さくなり、均一な光学特性を保持することが可能となる。
【0035】
上記作用効果について、図5及び図7を用いて以下に説明する。
冷陰極管17の非点灯時には、液晶表示装置10内は常温環境にあり、光学部材15は、図5に示すように、線膨張係数が小さいレンズシート32側に凸に湾曲している。これに対し、冷陰極管17を点灯すると、液晶表示装置10内の温度が上昇し、光学部材15は被熱環境におかれることとなる。この場合に、レンズシート32に比して拡散シート31の線膨張係数は大きいため、拡散シート31はレンズシート32よりも大きく延伸する。さらに、拡散シート31は冷陰極管17に近い側に配されているため、より高温となり易く、拡散シート31とレンズシート32との延伸量の差異はより顕著になる。ここで、拡散シート31とレンズシート32とは、互いに貼り合わされており、それぞれ独立に延伸することができないため、光学部材15には熱膨張係数が大きい(すなわち延伸量が大きい)拡散シート31側に凸に反りを生じる力が働くこととなる。
その結果、予め線膨張係数が小さいレンズシート32側に凸に湾曲していた光学部材15(図5参照)は、図7に示すように、その湾曲量が小さくなって略平坦面をなすものとなる。これにより、冷陰極管17の点灯時、つまり映像が表示されているときには、光学部材15は均一な光学特性を有する状態となるため、液晶パネル11の全体に亘って均一に光照射することが可能となる。ここでいう均一な光学特性を有する状態とは、具体的には、光学部材15と、液晶パネル11或いは冷陰極管17との間の距離が、当該光学部材15面内において均一となることをいう。
【0036】
また、本実施形態では、拡散シート31及びレンズシート32は四角形とされ、その長辺方向及び短辺方向に沿って、線膨張係数が小さいレンズシート32側に凸に湾曲しているものとされている。
この場合、光学部材15は、線膨張係数が小さいレンズシート32側に略球面状(ドーム状)に湾曲していることとなる。これに対し、当該光学部材15が被熱環境におかれた場合に生じる反りは、線状膨係数の大きい拡散シート側にドーム状をなす場合が多い。そこで、光学部材15を、その長辺方向及び短辺方向に沿ってドーム状に湾曲させておくことにより、当該光学部材15に生じ易い反りの形状と対称をなすこととなり、この反りを相殺して略平坦面を形成し易いものとすることが可能となる。
【0037】
また、本実施形態では、光学部材15は冷陰極管17から遠ざかる方向に凸に湾曲してなり、シャーシ14に備わるランプクリップ20には、当該光学部材15を支持することが可能な支持ピン22が設けられている。
このように、光学部材15を予め冷陰極管17から遠ざかる方向に凸に湾曲させることにより、冷陰極管17の点灯により光学部材15に反りが生じた場合にも支持ピン22を強く押圧することがない。その結果、光学部材15と支持ピン22との擦れにより生じる軋み音を抑止することが可能となる。
さらに、例えば光学部材15の反りの程度が非常に大きくなり、当該光学部材15が冷陰極管17側に凸に反り得る状態になった場合にも、支持ピン22と当接することでその反りが抑制されるため、当該光学部材15が冷陰極管17に接触することを抑止することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
(1)上記した実施形態では、光学部材15をその長辺方向及び短辺方向に沿って湾曲した構成としたが、長辺方向に沿ってのみ線膨張係数が小さいシート側へ凸に湾曲した構成としても良い。
この場合、光学部材は、線膨張係数が小さいシート側にアーチ状に湾曲していることとなる。すなわち、光学部材をその長辺方向に沿って湾曲したものとすると、当該光学部材の短辺は略直線状となり、この光学部材をバックライト装置12に配設する場合に、短辺全体を把持することで、当該方向の反りを抑制することが可能となる。一方、長辺方向は、サイズ効果により反りの程度が大きくなり易いため、光学部材を当該長辺方向に沿って予め湾曲させておくことにより、その反りを相殺することが可能となる。
【0040】
(2)上記した実施形態では、レンズシート32の線膨張係数α2が拡散シートの線膨張係数α1よりも小さく、光学部材15をレンズシート32側(つまり液晶パネル11側)へ凸に湾曲するものとしたが、例えば図8及び図9に示すような態様としても良い。すなわち、拡散シート41の線膨張係数α1がレンズシート42の線膨張係数α2よりも小さいものとされ、当該拡散シート41と当該レンズシート42とを貼り合わせてなる光学部材40は、拡散シート41側(つまり冷陰極管17側)へ凸に湾曲しているものとしても良い。
【0041】
(3)上記した実施形態では、拡散シート31とレンズシート32との間に反射層36を介在させる構成としたが、当該反射層36は必ずしも設けなくとも良い。ただし、この反射層36を所定位置に設けることにより、光学部材15は光の再利用を図ることができ、バックライト装置12の照明輝度向上に寄与しているため、反射層36を設ける構成の方がより好ましい。
【0042】
(4)上記した実施形態では、光源として冷陰極管17を使用した場合を示したが、例えば熱陰極管等、他の種類の光源を用いたものも本発明に含まれる。
【0043】
(5)上記した実施形態では、液晶表示装置10のスイッチング素子としてTFTを用いたが、TFT以外のスイッチング素子(例えば薄膜ダイオード(TFD))を用いた液晶表示装置にも適用可能であり、カラー表示する液晶表示装置以外にも、白黒表示する液晶表示装置にも適用可能である。
【0044】
(6)上記した実施形態では、表示パネルとして液晶パネル11を用いた液晶表示装置10を例示したが、他の種類の表示パネルを用いた表示装置にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るテレビ受信装置の概略構成を示す分解斜視図。
【図2】図1のテレビ受信装置が備える液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図。
【図3】図2の液晶表示装置のA−A線断面図。
【図4】図2の液晶表示装置のB−B線断面図。
【図5】図2の液晶表示装置が備える光学部材のA−A線拡大断面図。
【図6】図2の液晶表示装置が備える光学部材のB−B線拡大断面図。
【図7】光学部材の作用効果を説明する図。
【図8】光学部材の一変形例を示す短辺方向拡大断面図。
【図9】光学部材の一変形例を示す長辺方向拡大断面図。
【符号の説明】
【0046】
10…液晶表示装置(表示装置)、11…液晶パネル(表示パネル)、12…バックライト装置(表示装置用照明装置)、14…シャーシ、14a…シャーシの開口部、15…光学部材、17…冷陰極管(光源)、20…ランプクリップ(光源保持部材)、22…支持ピン(支持部材)、31…拡散シート(光拡散シート)、32…レンズシート、34…凸シリンドリカルレンズ(レンズ)、TV…テレビ受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の拡散を行う光拡散シートと、複数のレンズが配置されてなるレンズシートと、を備え、
前記光拡散シートと前記レンズシートとは、互いに貼り合わされてなり、
前記光拡散シートの線膨張係数α1と、前記レンズシートの線膨張係数α2とが異なる値を示し、
前記光拡散シート及び前記レンズシートのうち前記線膨張係数が小さいシート側に凸に湾曲していることを特徴とする光学部材。
【請求項2】
前記光拡散シート及び前記レンズシートはともに四角形とされ、当該四角形の長辺方向及び短辺方向に沿って、前記線膨張係数が小さいシート側に凸に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記光拡散シート及び前記レンズシートはともに四角形とされ、当該四角形の長辺方向に沿って、前記線膨張係数が小さいシート側に凸に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項4】
光源と、前記光源の光出射側に配された請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光学部材と、を備えることを特徴とする表示装置用照明装置。
【請求項5】
前記光源を収容し、光が出射する開口部を有したシャーシと、
前記光源を前記シャーシに取り付けるための光源保持部材と、を備え、
前記光学部材は、前記シャーシの開口部に取り付けられるとともに、前記光源から遠ざかる方向に凸に湾曲してなるものであり、
前記光源保持部材には、前記光学部材を支持することが可能な支持部材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置用照明装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の表示装置用照明装置と、前記表示装置用照明装置の光出射側に配される表示パネルと、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルは、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶パネルであることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の表示装置を備えることを特徴とするテレビ受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−116097(P2009−116097A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289841(P2007−289841)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】