説明

光学重合体の調製方法

【課題】本発明は高い屈折率、高いアッベ数および優れた物理特性を有する重合材料を提供する。
【解決手段】本発明は少なくとも2個のチオール基を有するポリチオールモノマー;およびイソシアネート、イソチオシアネートおよびこれらの組み合わせから選択される少なくとも2個の官能基を有するポリシアネートモノマー;の反応生成物であり、イソシアネート、イソチオシアネートおよびこれらの組み合わせから選択される少なくとも2個の官能基を有する少なくとも1種のポリシアネート反応体を含有する第1成分;および第1アミン、第2アミンおよびこれらの組み合わせから選択される少なくとも2個の官能基を有する少なくとも1種のポリアミン反応体を含有する第2成分;を重合する工程を包含する。また、本発明は本発明の方法により調製された重合体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、二成分有機組成物からの重合体の調製方法であって、その重合体が屈折率少なくとも1.6、アッベ数少なくとも33、および初期バーコル硬度少なくとも1を有するものに関する。さらに、本発明は、少なくとも2つのイソシアネートおよび/またはイソチオシアネート基を有する少なくとも1つのポリシアネート反応体を含むある種の二成分有機組成物と、少なくとも2つの1級および/または2級アミン基を有するポリアミンとの重合に関する。本発明は、重合体および光互変性物品にも関する。
【0002】
2.従来技術の記載
多くの有機重合性材料(例えばプラスチック)が、ガラスの代替物および置換物として、光学レンズ、光ファイバー、窓および自動車、船舶および航空機の透明体などの用途で発展している。本明細書で使用される「ガラス」の用語は、シリカベースの無機ガラスを意味する。これらの重合性材料は、ガラスと比較して、粉砕抵抗性、与えられる用途における軽重量性、成形容易性および着色容易性を含む利点を提供することができる。このような重合性材料の代表的な例として、ポリ(メタクリル酸メチル)、熱可塑性ポリカーボネートおよびポリ[ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)]が含まれる。
【0003】
多くの重合性材料の屈折率は、一般にガラスよりも低い。例えば、ポリ[ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)]の屈折率は約1.50であり、対して高係数ガラスは例えば1.60〜1.80の範囲を有し得る。視覚障害の度合いを補正する(例えば近視の補正)ためのレンズを製作する場合、より低い屈折率を有する重合性材料を使用すると、より高い屈折率を有する材料(例えば高係数ガラス)のものと比較してレンズの厚さが必要となる。必要とされる補正の度合いが実質的にひどい近視の場合は、低係数重合性材料から製作されるレンズは、かなりの厚さが必要となり得る。非常に厚いレンズは、高屈折率ガラスレンズから得られる同等の補正度合いと比べて、低い密度のレンズ材料の使用から得られる何れの利益を打ち消し得る。加えて、より厚い光学レンズは審美的に望まれない。
【0004】
1.50以上の屈折率を有する重合性材料が、芳香族モノマーおよびハロゲンおよび/または硫黄原子を含むモノマーから調製できることが知られている。レンズ(特に光学レンズ)を製作する材料は、これらの屈折率によって類別することができる。当業者に理解されるであろうが、一般に、低係数は1.50未満〜1.53の屈折係数を含み;中係数は1.54〜1.57の屈折係数を含み;そして高係数は一般に1.58以上の屈折係数を含む。高屈折率を有する重合性材料から調製されたレンズは、一般により低いアッベ数(nu値としても知られている)を有する。より低いアッベ数は、色分散のレベルの増加を示し、これは一般にレンズの縁またはその付近の光学的ひずみとして現われる。
【0005】
米国特許第5, 961, 889号(Jiang et al.)は、ポリチオール基を含む成分、ポリイソシアネート基を含む成分および/または多官能性ビニル基を含む成分から調製される光学ポリマー、レンズでの使用を開示している。開示されたポリマーは、通常、屈折率1.69未満、アッベ数35未満を有する。
【0006】
米国特許第5, 932, 681号(Herold et al.)は、イソシアネートまたはイソチオシアネートおよびポリチオールから調製される光学ポリマー、レンズ材料としての使用を開示している。開示されたポリマーは、屈折率少なくとも1.57およびアッベ数少なくとも33を有する。
【0007】
米国特許第5, 679, 756号(Zhu et al.)は、脂肪族ジイソシアネートとジチオールとを反応させて、チオウレタンプレポリマーを形成し、それからジイソシアネートおよびポリオールと反応させて調製する、熱可塑性チオウレタン-ウレタンコポリマーとして記載の光学ポリマーを開示している。記載のポリマーは、通常、屈折率1.57〜1.60、アッベ数35〜38を有する。
【0008】
上記の光学ポリマーは十分な屈折率および色分散を有するが、これらは眼鏡用の日々装着するレンズとしての使用にむくのに必要とされる衝撃抵抗度を必ずしも有していない。
【0009】
従って、新規な重合性材料(例えば重合体)であって、透明な重合体、特に光学レンズの調製に使用でき、高い屈折率および十分に高いアッベ数の組合せを有し、また低係数重合性材料のものと少なくとも同等および好ましくは良好な物理的性質(特に衝撃抵抗)を有するものを同定することは望ましいことである。
【0010】
関連出願の参照
本出願は、1999年11月18日出願の米国特許仮出願第60/166, 184号、表題「光学ポリマーの調製方法」の優先権主張出願である。
【0011】
発明の概要
本発明は、
(a)イソシアネート、イソチオシアネートおよびそれらの組合せから選択される少なくとも2官能基を有する、少なくとも1つのポリシアネート反応体であって、該ポリシアネート反応体が(i)少なくとも2つのチオール基を有するポリチオールモノマーと(ii)イソシアネート、イソチオシアネートおよびそれらの組合せから選択される、少なくとも2官能基を有するポリシアネートモノマーとの反応生成物であるものを含む、第1成分;および
(b)1級アミン、2級アミンおよびそれらの組合せから選択される少なくとも2官能基を有する少なくとも1つのポリアミン反応体を含む、第2成分;
を含む、二成分組成物の重合工程を包含する重合体の調製方法を提供する。
【0012】
本発明は、本発明の方法により調製される重合体も示す。
【0013】
本発明はさらに、本発明の重合体から調製され得る光互変性物品を示す。
【0014】
発明の詳細な記載
特記しない限り、本明細書で使用される、構成要素、反応条件などの全数値または数量に関する表現は、すべての場合に「約」の用語で修飾されると理解されるべきである。
【0015】
本発明は、
(a)イソシアネート、イソチオシアネートおよびそれらの組合せから選択される少なくとも2官能基を有する、少なくとも1つのポリシアネート反応体であって、該ポリシアネート反応体が、
(i) 少なくとも2つのチオール基を有するポリチオールモノマー;
(ii)イソシアネート、イソチオシアネートおよびそれらの組合せから選択される少なくとも2官能基を有するポリシアネートモノマー;および
(iii)必要に応じて、少なくとも2つの反応性水素基を有する反応性水素材料
の反応生成物であって、該反応性水素材料がポリオール、ヒドロキシル基およびチオール基の両方を有する材料、およびそれらの混合物から選択され、(i)、(ii)および(iii)の相対量が、(NCO+NCS)/(SH+OH)のモル当量比が1.0以上であるように選択されるものを含む、第1成分;および
(b)1級アミン、2級アミンおよびそれらの組合せから選択される少なくとも2官能基を有する、少なくとも1種のポリアミン反応体を含む、第2成分
を含む二成分組成物の重合工程を包含する重合体の調製方法を提供する。
第1成分および第2成分は、それらを重合させる場合、屈折率少なくとも1.6(例えば1.60〜1.74)、アッベ数少なくとも33、および初期バーコル硬度少なくとも1を有する重合体を提供するように選択される。屈折率は、米国標準試験法(American Standard Test Method:ASTM)番号D 542-95に従って測定する。アッベ数またはnu値は、適した計器、例えばBausch & Lomb ABBE-3L屈折計を使用して測定する。初期バーコル硬度(一般にゼロ秒バーコル硬度といわれる)はASTM番号D 2583-95に従って測定する。
【0016】
二成分組成物の第1成分のポリシアネート反応体は、イソシアネート(-NCO)、イソチオシアネート(-NCS)およびイソシアネート基とイソチオシアネート基の組合せから選択される、少なくとも2官能基を有する。本明細書で使用される「シアネート」の用語は、ブロックされていない(またはキャップされていない)イソシアネート基およびイソチオシアネート基であって、反応性水素基、例えばチオール、ヒドロキシルまたはアミン基と共有結合を形成することができるものをいう。
【0017】
ポリシアネート反応体は、ポリチオールモノマー、ポリシアネートモノマーおよび必要に応じて反応性水素材料(ポリオールまたはヒドロキシル基およびチオール基の両方を有する材料など)の反応生成物である。ポリシアネート反応体の調製で、ポリチオールモノマー、ポリシアネートモノマーおよび要すれば反応性水素材料の相対量は、(NCO+NCS)/(SH+OH)のモル当量比で1.0以上、例えば1.2:1.0〜4.0:1.0、または2.0:1.0〜3.0:1.0であるように選択される。
【0018】
二成分組成物の第1成分のポリシアネート反応体は、ウレタン結合(-NH-C(O)-O-)、チオウレタン結合(-NH-C(O)-S-)、チオカルバメート結合(-NH-C(S)-O-)、ジチオウレタン結合(-NH-C(S)-S-)およびそれらの組合せから選択される骨格結合を有する。ポリシアネート反応体の分子量は広範に変えることができ、例えば、数平均分子量(Mn)500〜15,000、または500〜5000を有するもの(ポリエチレン標準を用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定)などである。
【0019】
ポリシアネート反応体の調製に使用されるポリチオールモノマーは、少なくとも2つのチオール基を有し、脂肪族ポリチオール、環脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールおよびそれらの混合物から選択され得る。加えて、ポリチオールモノマーは、エーテル結合(-O-)、スルフィド結合(-S-)、ポリスルフィド結合(-Sx-、但しxは少なくとも2、例えば2〜4)およびこのような結合の組合せから選択される結合を含み得る。本明細書で使用される、「チオール」、「チオール基」、「メルカプト」または「メルカプト基」は、イソシアネート基と反応してチオウレタン結合(すなわち-NH-C(O)-S-)を、またはイソチオシアネート基と反応してジチオウレタン結合(すなわち-NH-C(S)-S-)を形成することができる-SH基をいう。
【0020】
ポリシアネート反応体の調製に使用し得るポリチオールモノマーの例として、限定するものではないが、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2,2'-チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパン トリス(2-メルカプトアセテート)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール、4-tert-ブチル-1,2-ベンゼンジチオール、4,4'-チオジベンゼンチオール、ベンゼンジチオール、エチレングリコールジ(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(2-メルカプトアセテート)およびポリ(エチレングリコール)ジ(3-メルカプトプロピオネート)が含まれる。ポリチオールモノマーの混合物もポリシアネート反応体の調製に使用され得る。
【0021】
ポリチオールモノマーは、以下の一般式Iで表されるポリチオールから選択してもよい:
【化1】

[式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、直鎖または分枝鎖アルキレン、環状アルキレン、フェニレンおよびC1-C9アルキル置換されたフェニレンから選択される。]。選択され得るR1およびR2の直鎖または分枝鎖アルキレンの例として、限定するものではないが、メチレン、エチレン、1,3-プロピレン、1,2-プロピレン、1,4-ブチレン、1,2-ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、オクタデシレンおよびイコシレン(icosylene)が含まれる。それぞれ選択され得るR1およびR2の環状アルキレンの例として、限定するものではないが、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン、およびそれらのアルキル置換された誘導体が含まれる。二価の結合基R1およびR2は、フェニレンおよびアルキル置換されたフェニレン(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびノニル置換されたフェニレン)から選択されてもよい。本発明の好ましい実施態様では、R1およびR2がそれぞれメチレンまたはエチレンである。
【0022】
一般式Iで表されるポリチオールは、反応混合物から水またはアルコールを同時除去するための強酸触媒(例えばメタンスルホン酸)存在下での、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(化学情報検索サービス機関(CAS)登録番号96-27-5)とチオール官能性カルボン酸またはカルボン酸エステルのエステル化またはエステル交換反応で調製できる。とりわけ好ましいポリチオールモノマーは、一般式Iに関してR1およびR2がそれぞれメチレンであるものである。
【0023】
本明細書で使用される、一般式Iに関して記載され示されるポリチオールモノマー(例えばチオグリセロールビス(2-メルカプトアセテート))は、任意の関連副産物オリゴマー種および未処理の出発原料を含むポリチオールモノマー組成物も含むことを意味する。例えば、過剰の塩基(例えばアンモニア水)を用いる、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールとチオール官能性カルボン酸(例えば2-メルカプト酢酸)とのエステル化で得られる反応混合物を洗浄する場合、チオール基の酸化カップリングが起こり得る。このような酸化カップリングで、ジスルフィド結合、すなわち-S-S-結合を有するオリゴマーポリチオール種の形成が生じ得る。
【0024】
ポリシアネート反応体の調製に使用されるポリチオールモノマーは、ジスルフィド結合を有するポリチオールオリゴマーであってよく、それは少なくとも2つのチオール基および硫黄を有するポリチオールモノマーの塩基性触媒の存在下での反応から調製される。ポリチオールモノマーと硫黄とのモル当量比はm〜(m-1)であり、mは2〜21の整数である。ポリチオールモノマーは、本明細書で前に列挙した例(例えば2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン)から選択することができる。使用される硫黄は、例えば結晶、コロイド状、粉体および硫黄華の形態で、そして少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の純度を有するものを使用することができる。
【0025】
副産物のオリゴマー種は、一般式Iaで示すことができる一般式Iのオリゴマーを含み得る:
【化2】

[式中、R1およびR2は上記のとおりであり、nおよびmは独立して0〜21の整数であり、n+mは少なくとも1である。]。一般式Iaは、オリゴマー化が、一般構造Iの任意のチオール基間でジスルフィド連結(bond)形成を介して生じ得ることを明らかにしている。全ての可能性は示されていないが、一般構造Iaは、一般構造Iから形成できる任意の可能なオリゴマーを示すことを意味する。
【0026】
ジスルフィド結合を有するポリチオールオリゴマーの調製に使用される塩基性触媒は、アンモニア、アミンおよびそれらの混合物から選択され得る。アミンの例として、限定するものではないが、アルキルアミン(例えばエチルアミンおよびn-ブチルアミン)、ジアルキルアミン(例えばジエチルアミン)、トリアルキルアミン(例えばトリエチルアミン)、モルホリン、置換モルホリン、ピペリジンおよび置換ピペリジンが含まれる。塩基性触媒は、通常、反応初期に存在するポリチオールモノマーのモルに対して0.001〜1.0モル%、例えば0.01〜0.1モル%の量で存在する。塩基性触媒は、ポリチオールモノマーおよび硫黄に加えて、反応容器に一緒に入れてもよいし、また、ポリチオールモノマーと硫黄の添加後に、反応容器に加えてもよい。
【0027】
ジスルフィド結合を有するポリチオールオリゴマーの合成は、溶媒、例えばハロゲン化炭化水素(クロロホルムなど)、脂肪族炭化水素(ヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエンなど)およびエーテル(テトラヒドロフランなど)の存在下で行なわれ得る。ポリチオールオリゴマーは、室温〜溶媒の沸点の範囲の温度、例えば室温〜120℃、で調製することができる。本発明に有用なジスルフィド結合を有するポリチオールオリゴマーの調製は、米国特許第5,961,889号に詳記されており、その記載は全体を参照して本明細書に導入されている。
【0028】
本発明の実施態様で、ジスルフィド結合を有するポリチオールオリゴマーは、以下の一般式IIで表されるものから選択され得る:
【化3】

[式中、nは1〜21の整数である。]。一般式IIで表されるポリチオールオリゴマーは、本明細書で前に記載したように、塩基性触媒の存在下での、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン(2,5-dimeracaptomethyl-1,4-dithiane)と硫黄との反応から調製することができる。
【0029】
第1成分(a)のポリシアネート反応体の調製に使用されるポリシアネートモノマー(a)(ii)は、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート、少なくとも2つのイソチオシアネート基を有するイソチオシアネート、およびイソシアネート基とイソチオシアネート基の両方を有するポリシアネートから選択され得る。選択され得るポリシアネートモノマー(a)(ii)のポリイソシアネートの分類として、限定するものではないが:脂肪族ポリイソシアネート;エチレン性不飽和ポリイソシアネート;脂環式ポリイソシアネート;イソシアネート基が芳香族環に直接結合していない芳香族ポリイソシアネート、例えばα,α'-キシレンジイソシアネート;イソシアネート基が芳香族環に直接結合した芳香族ポリイソシアネート、例えばベンゼンジイソシアネート;スルフィド結合を含む脂肪族ポリイソシアネート;スルフィド結合またはジスルフィド結合を含む芳香族ポリイソシアネート;スルホン結合を含む芳香族ポリイソシアネート;スルホン酸エステル型ポリイソシアネート、例えば4-メチル-3-イソシアナトベンゼンスルホニル-4'-イソシアナト-フェノールエステル;芳香族スルホン酸アミド型ポリイソシアネート;硫黄を含むヘテロ環状ポリイソシアネート、例えばチオフェン-2,5-ジイソシアネート;これらの分類に属するポリイソシアネートのハロゲン化、アルキル化、アルコキシル化、ニトロ化、カルボジイミド変性、ウレア変性およびビウレット変性した誘導体;およびこれらの分類に属するポリイソシアネートの二量化または三量化生成物が含まれる。スルフィド結合を含む脂肪族ポリシアネートモノマー、同様にモノマーの骨格中に1またはそれ以上の硫黄原子を有する他のポリシアネートモノマーが特に好ましい。特に好ましい、硫黄を含むポリシアネートモノマーは、一般式(III)のものである:
【化4】

[式中、R10およびR11は独立してC1-C3アルキルである。]。
【0030】
選択され得るポリシアネートモノマー(a)(ii)の脂肪族ポリイソシアネートの例として、限定するものではないが、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2'-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアナト-5-(イソシアナトメチル)オクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、2-イソシアナトプロピル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート、リジンジイソシアネートメチルエステルおよびリジントリイソシアネートメチルエステルが含まれる。
【0031】
エチレン性不飽和ポリイソシアネートの例として、限定するものではないが、ブテンジイソシアネートおよび1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネートが含まれる。選択され得るポリシアネートモノマー(a)(ii)の脂環式ポリイソシアネートとして、限定するものではないが、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)-2,2-プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)-1,2-エタン、2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-5-イソシアナトメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-6-イソシアナトメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-5-イソシアナトメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-6-イソシアナトメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタンが含まれる。
【0032】
イソシアネート基が芳香族環に直接結合していない芳香族ポリイソシアネートの例として、限定するものではないが、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、α,α,α',α'-テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネートおよび2,5-ジ(イソシアナトメチル)フランが含まれる。選択され得るポリシアネートモノマー(a)(ii)のイソシアネート基が芳香族環に直接結合した芳香族ポリイソシアネートとして、限定するものではないが、フェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、オルト-トルイジンジイソシアネート、オルト-トリリジン(tolylidine)ジイソシアネート、オルト-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(3-メチル-4-イソシアナトフェニル)メタン、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3'-ジメトキシ-ビフェニル-4,4'-ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、重合性4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4'-トリイソシアネート、4-メチルジフェニルメタン-3,5,2',4',6'-ペンタイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)-1,3-プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネートおよびジクロロカルバゾールジイソシアネートが含まれる
【0033】
選択され得るポリシアネートモノマー(a)(ii)の、スルフィド結合を含む脂肪族ポリイソシアネートとして、限定するものではないが、チオジエチルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、ジチオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルホンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオジプロピルジイソシアネートおよびジシクロヘキシルスルフィド-4,4'-ジイソシアネートが含まれる。スルフィド結合またはジスルフィド結合を含む芳香族ポリイソシアネートの例として、限定するものではないが、ジフェニルスルフィド-2,4'-ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド-4,4'-ジイソシアネート、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4-イソシアナトメチルベンゼン)-スルフィド、ジフェニルジスルフィド-4,4'-ジイソシアネート、2,2'-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5'-ジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5'-ジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフェニルジスルフィド-6,6'-ジイソシアネート、4,4'-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5'-ジイソシアネート、3,3'-ジメトキシジフェニルジスルフィド-4,4'-ジイソシアネートおよび4,4'-ジメトキシジフェニルジスルフィド-3,3'-ジイソシアネートが含まれる。
【0034】
選択され得るポリシアネートモノマー(a)(ii)の、スルホン結合を含む芳香族ポリイソシアネートとして、限定するものではないが、ジフェニルスルホン-4,4'-ジイソシアネート、ジフェニルスルホン-3,3'-ジイソシアネート、ベンジジンスルホン-4,4'ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン-4,4'-ジイソシアネート、4-メチルジフェニルメタンスルホン-2,4'-ジイソシアネート、4,4'-ジメトキシジフェニルスルホン-3,3'-ジイソシアネート、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジイソシアナトジベンジルスルホン、4,4'-ジメチルジフェニルスルホン-3,3'-ジイソシアネート、4,4'-ジ-tert-ブチルジフェニルスルホン-3,3'-ジイソシアネートおよび4,4'-ジクロロジフェニルスルホン-3,3'-ジイソシアネートが含まれる。
【0035】
ポリシアネート反応体の調製に使用され得る芳香族スルホン酸アミド型ポリイソシアネートの例として、限定するものではないが、4-メチル-3-イソシアナト-ベンゼンスルホニルアニリド-3'-メチル-4'-イソシアネート、ジベンゼンスルホニルエチレンジアミン-4,4'-ジイソシアネート、4,4'-メトキシベンゼンスルホニル-エチレンジアミン-3,3'-ジイソシアネートおよび4-メチル-3-イソシアナト-ベンゼン-スルホニルアニリド-4-エチル-3'-イソシアネートが含まれる。
【0036】
選択され得るポリシアネートモノマー(a)(ii)のポリイソチオシアネートの分類として、限定するものではないが:脂肪族ポリイソチオシアネート;脂環式 ポリイソチオシアネート、例えばシクロヘキサンジイソチオシアネート;イソチオシアネート基が芳香族環に直接結合していない芳香族ポリイソチオシアネート、例えばα,α'-キシレンジイソチオシアネート;イソチオシアネート基が芳香族環に直接結合している芳香族ポリイソチオシアネート、例えばフェニレンジイソチオシアネート;ヘテロ環状ポリイソチオシアネート、例えば2,4,6-トリイソチオシアナト-1,3,5-トリアジンおよびチオフェン-2,5-ジイソチオシアネート;カルボニルポリイソチオシアネート;スルフィド結合を含む脂肪族ポリイソチオシアネート、例えばチオビス(3-イソチオシアナトプロパン);これらのイソチオシアネート基に加えて硫黄原子を含む芳香族ポリイソチオシアネート;これらの分類に属するポリイソチオシアネートの、ハロゲン化、アルキル化、アルコキシル化、ニトロ化、カルボジイミド変性、ウレア変性およびビウレット変性された誘導体;およびこれらの分類に属するポリイソチオシアネートの二量化または三量化生成物が含まれる。
【0037】
選択され得るポリシアネートモノマー(a)(ii)の脂肪族ポリイソチオシアネートの例として、限定するものではないが、1,2-ジイソチオシアナトエタン、1,3-ジイソチオシアナトプロパン、1,4-ジイソチオシアナトブタンおよび1,6-ジイソチオシアナトヘキサンが含まれる。芳香族環に直接結合したイソチオシアネート基を有する芳香族ポリイソチオシアネートの例として、限定するものではないが、1,2-ジイソチオシアナトベンゼン、1,3-ジイソチオシアナトベンゼン、1,4-ジイソチオシアナトベンゼン、2,4-ジイソチオシアナトトルエン、2,5-ジイソチオシアナト-m-キシレン、4,4'-ジイソチオシアナト-1,1'-ビフェニル、1,1'-メチレンビス(4-イソチオシアナトベンゼン)、1,1'-メチレンビス(4-イソチオシアナト-2-メチルベンゼン)、1,1'-メチレンビス(4-イソチオシアナト-3-メチルベンゼン)、1,1'-(1,2-エタン-ジイル)ビス(4-イソチオシアナトベンゼン)、4,4'-ジイソチオシアナトベンゾフェネノン(benzophenenone)、4,4'-ジイソチオシアナト-3,3'-ジメチルベンゾフェノン、ベンズアニリド-3,4'-ジイソチオシアネート、ジフェニルエーテル-4,4'-ジイソチオシアネートおよびジフェニルアミン-4,4'-ジイソチオシアネートが含まれる。
【0038】
二成分組成物の第1成分のポリシアネート反応体の調製に使用され得るカルボニルポリイソチオシアネートとして、限定するものではないが、ヘキサンジオール(dioyl)ジイソチオシアネート、ノナンジオール(nonaedioyl)ジイソチオシアネート、カルボニックジイソチオシアネート、1,3-ベンゼンジカルボニルジイソチオシアネート、1,4-ベンゼンジカルボニルジイソチオシアネートおよび(2,2'-ビピリジン)-4,4'-ジカルボニルジイソチオシアネートが含まれる。本発明で使用され得る、イソチオシアネート基に加えて硫黄原子を含む芳香族ポリイソチオシアネートの例として、限定するものではないが、1-イソチオシアナト-4-[(2-イソチオシアナト)スルホニル]ベンゼン、チオビス(4-イソチオシアナトベンゼン)、スルホニルビス(4-イソチオシアナトベンゼン)、スルフィニルビス(4-イソチオシアナトベンゼン)、ジチオビス(4-イソチオシアナトベンゼン)、4-イソチオシアナト-l-[(4-イソチオシアナトフェニル)-スルホニル]-2-メトキシベンゼン、4-メチル-3-イソチオシアナトベンゼン-スルホニル-4'-イソチオシアネートフェニルエステルおよび4-メチル-3-イソチオシアナトベンゼン-スルホニルアニリド-3'-メチル-4'-イソチオシアネートが含まれる。
【0039】
二成分組成物の第1成分のポリシアネート反応体の調製に使用されるポリシアネートモノマー(a)(ii)は、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ環状の、イソシアネート基およびイソチオシアネート基の両方を含むポリシアネートモノマーから、またはそれらのイソチオシアネート基に加えて硫黄原子を含むものから選択され得る。このような化合物の例として、限定するものではないが、1-イソシアナト-3-イソチオシアナトプロパン、1-イソシアナト-5-イソチオシアナトペンタン、1-イソシアナト-6-イソチオシアナトヘキサン、イソシアナトカルボニルイソチオシアネート、1-イソシアナト-4-イソチオシアナトシクロヘキサン、1-イソシアナト-4-イソチオシアナトベンゼン、4-メチル-3-イソシアナト-1-イソチオシアナトベンゼン、2-イソシアナト-4,6-ジイソチオシアナト-1,3,5-トリアジン、4-イソシアナト-4'-イソチオシアナト-ジフェニルスルフィドおよび2-イソシアナト-2'-イソチオシアナトジエチルジスルフィドが含まれる。
【0040】
二成分組成物の第1成分のポリシアネート反応体は、必要に応じて、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオール、ヒドロキシル基とチオール基の両方を有する材料、およびそれらの混合物から選択される反応性水素材料(a)(iii)から調製され得る。本明細書で使用される「反応性水素材料」は、イソシアネート基およびイソチオシアネート基と共有結合を形成することができる反応性水素基を有する材料を意味する。
【0041】
選択され得る必要に応じての反応性水素材料(a)(iii)のポリオールの分類として、限定するものではないが:直鎖または分枝鎖アルカンポリオール、例えば1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール;ポリアルキレングリコール類、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよび高級ポリアルキレングリコール(数平均分子量例えば200〜2,000グラム/モルを有するポリエチレングリコールなど);環状アルカンポリオール類、例えばシクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノールおよびシクロヘキサンジエタノール;芳香族ポリオール類、例えばジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ヒドロキシベンジルアルコールおよびジヒドロキシトルエン;ビスフェノール類、例えば4,4'-イソプロピリデンジフェノール;4,4'-オキシビスフェノール、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'-チオビスフェノール、フェノールフタレイン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4'-(1,2-エテンジイル)ビスフェノールおよび4,4'-スルホニルビスフェノール;ハロゲン化ビスフェノール類、例えば4,4'-イソプロピリデンビス(2,6-ジブロモフェノール)、4,4'-イソプロピリデンビス(2,6-ジクロロフェノール)および4,4'-イソプロピリデンビス(2,3,5,6-テトラクロロフェノール);アルコキシル化ビスフェノール類、例えば1〜70アルコキシル基(例えばエトキシ、プロポキシ、α-ブトキシおよびβ-ブトキシ基)を有するアルコキシル化4,4'-イソプロピリデンジフェノール;および対応するビスフェノールの水素化により調製できるビスシクロヘキサノール、例えば4,4'-イソプロピリデン-ビスシクロヘキサノール、4,4'-オキシビスシクロヘキサノール、4,4'-チオビスシクロヘキサノールおよびビス(4-ヒドロキシシクロヘキサノール)メタンが含まれる。
【0042】
本発明のある実施態様として、選択される必要に応じての反応性水素材料(a)(iii)のポリオールが、2またはそれ以上のヒドロキシ基を有するポリウレタンプレポリマーである。本発明に有用なヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマーは、上記の任意のポリオールおよび適したポリイソシアネートから選択できる。ヒドロキシ基とイソシアネート基のモル当量比を選択して、実質的に遊離イソシアネート基を有さないヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマーを製造することができる。ヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマーの調製に適したポリイソシアネートの例として、本明細書で前に列挙したものが含まれる。選択される必要に応じての反応性水素材料(a)(iii)のヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマーは、通常、数平均分子量(Mn)50,000未満、好ましくは20,000未満、より好ましくは10,000未満グラム/モルを有する(ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定)。
【0043】
選択される必要に応じての反応性水素材料(a)(iii)のヒドロキシル基とチオール基の両方を有する材料の例として、限定するものではないが、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、グリセリンビス(2-メルカプトアセテート)、グリセリンビス(3-メルカプトプロピオネート)、1-ヒドロキシ-4-メルカプトシクロヘキサン、2,4-ジメルカプトフェノール、2-メルカプトヒドロキノン、4-メルカプトフェノール、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、1,2-ジメルカプト-1,3-ブタンジオール、トリメチロールプロパンビス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールビス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールトリス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールモノ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルトリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1-ヒドロキシエチルチオ-3-メルカプトエチルチオベンゼン、4-ヒドロキシ-4'-メルカプトジフェニルスルホン、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3-メルカプトプロピオネート)およびヒドロキシエチルチオメチルトリス(メルカプトエチルチオ)メタンが含まれる。
【0044】
ポリチオールモノマー(a)(i)、ポリシアネートモノマー(a)(ii)および要すれば反応性水素材料(a)(iii)の反応は、適した触媒の存在下で行なわれる。適した触媒の分類として、限定するものではないが、ターシャリーアミン(トリエチルアミンなど)および有機金属化合物(ジブチルスズジラウレート)が含まれる。ポリシアネート反応体の調製に使用され得る触媒の他の例は以下で列挙する。触媒をポリシアネート反応体の調製に使用する場合、それらは通常、(a)(i)、(a)(ii)および(a)(iii)の総重量に対して、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満の量で存在する。
【0045】
二成分組成物の第2成分(b)のポリアミン反応体は、脂肪族ポリアミン、環脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミンおよびそれらの混合物から選択され得る。ポリアミン反応体は、1級アミン(-NH2)、2級アミン(-NH-)およびそれらの組合せから選択される、少なくとも2つの官能基を有する。好ましくは、ポリアミン反応体は少なくとも2つの1級アミン基を有する。
【0046】
ポリアミン反応体は、任意のエチレンアミンの族(例えばエチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ピペラジン、すなわちジエチレンジアミン(DEDA)、および2-アミノ-1-エチルピペラジン)から選択され得る。ポリアミン反応体は、また、C1-C3ジアルキルトルエンジアミンの1またはそれ以上の異性体、3,5-ジメチル-2,4-トルエンジアミン、3,5-ジメチル-2,6-トルエンジアミン、3,5-ジエチル-2,4-トルエンジアミン、3,5-ジエチル-2,6-トルエンジアミン、3,5-ジイソプロピル-2,4-トルエンジアミン、3,5-ジイソプロピル-2,6-トルエンジアミンおよびそれらの混合物など、から選択され得る。選択され得るポリアミン反応体のポリアミンの別の例として、限定するものではないが、メチレンジアニリンおよびトリメチレングリコールジ(パラ-アミノベンゾエート)が含まれる。
【0047】
本発明のある実施態様として、ポリアミン反応体は一般に、以下の一般構造(IV-VI)を有するものとして記載できる:
【化5】

【0048】
特に好ましい構造として、以下の一般式VII-XXで表される1またはそれ以上のジアミンが含まれる:
【化6】

【化7】

【化8】

[式中、R3およびR4は、それぞれ独立してC1-C3アルキルであり、R5は、水素およびハロゲン(例えば塩素および臭素)から選択される。]。一般式VIIで表されるジアミンは、一般に、4,4'-メチレン-ビス(ジアルキルアニリン)として記載される。一般式VIIで表されるジアミンの特定の例として、限定するものではないが、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)および4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジエチル-3-クロロアニリン)が含まれる。一般式VIIで表される好ましいジアミンは、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジエチル-3-クロロアニリン)である。
【0049】
本発明の方法による二成分組成物の重合は、例えばインペラーまたは押出機を使用して、第1成分と第2成分を共に混合する;必要に応じて組合せた混合物を脱気する;必要に応じて混合物を型に加える;そして型と混合物をある時間中加熱することにより達成され得る。。利用できる熱硬化サイクルは、例えば使用する成分の反応性およびモル比、何れの触媒(類)の存在によって変えてもよい。通常、熱硬化サイクルは、二成分組成物の組合せた混合物の、室温から200℃までの高さでの、0.5時間〜72時間の加熱を含む。
【0050】
2成分組成物に用いうる触媒には、たとえば、第3アミン、たとえば、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンおよびN,N−ジメチルベンジルアミン、および有機金属化合物、たとえば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテートおよびスズオクトエートなどが含まれる。第3アミンの追加の例は米国特許第5,693,738号第10欄第6〜38行に列挙されており、これらの開示はここに参照として含める。触媒として有用な有機金属化合物の追加の例は、米国特許第5,631,339号第4欄第26〜46行に列挙されており、この開示はここに参照として含める。使用する場合、典型的には、触媒は2成分組成物の第1および第2成分を組み合わせる前に第2成分中に組込まれる。触媒の量は、典型的には、組み合された第1および第2成分の合計重量を基準にして5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下までである。
【0051】
2成分組成物の第1および第2成分は、典型的には、0.5〜3.0、好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2の(NCO+NCS)基と(−NH2+−NH−)基とのモル当量比を提供するのに十分な量で一緒に重合される。
【0052】
本発明の方法で重合される2成分有機組成物には種々の従来の添加剤を含有させてよい。このような添加剤には、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外光吸収剤、離型剤、静的(光互変性でない)染料、顔料および柔軟化添加剤、たとえばアルコキシル化フェノールベンゾエートおよびポリ(アルキレングリコール)ジベンゾエートが含まれる。黄変に対する耐性を増大させるために、2成分有機組成物に耐黄変性添加剤、たとえば、3−メチル−2−ブテノール、オルガノピロカーボネートおよびトリフェニルホスファイト(CAS登録第101−02−0号)を添加してもよい。典型的には、このような添加剤は2成分組成物中に、第1および第2成分を組み合わせた合計重量を基準にして10重量%以下、好ましくは5重量%以下、そしてより好ましくは3重量%以下の量で存在する。このような従来の添加剤は組成物の第1または第2成分のいずれかに添加してよいが、典型的には、これらは第1成分のイソシアネートまたはイソチオシアネート基との悪い相互作用の可能性を最小限にするために第2成分へ含められる。
【0053】
本発明の方法により調製される重合体は固体、好ましくは透明であり、たとえば光学または眼用用途に適している。本発明の重合体は、少なくとも1.6、好ましくは少なくとも1.63およびより好ましくは少なくとも1.65の屈折率、十分に高いアッベ数、たとえば少なくとも33、好ましくは少なくとも35のアッベ数、少なくとも1のゼロ秒バーコル硬度、および良好な耐衝撃性を有する。2成分組成物の第1および第2成分を含有する反応物および化合物は、それからの重合体が上述のような特性を有するように選択され、そしてそうなるような量で組み合される。本発明の方法により調製される固体物品には、平面および眼用レンズのような光学レンズ、サンレンズ、窓、自動車用透明体、たとえばエルウインドシールド、サイドライトおよびバックライト、および飛行機用透明体、などが含まれるがこれらに限定されない。
【0054】
光互変性物品、たとえば、レンズを調製するのに用いる場合は、重合体は、マトリックスに組込まれる光互変性物質を活性化する電磁スペクトルの部分、すなわち、光互変性物質の着色または開放形態を提供する紫外(UV)光の波長およびそのUV活性化形態、すなわち開放形態における光互変性物質の吸収極大波長を含む可視スペクトルの部分に対して透明であるべきである。本発明の重合体と共に用いうる光互変性物質には、このような重合体の中に組み込み、たとえば、溶解、分散または拡散することができる有機光互変性化合物または物質が含まれる。
【0055】
本発明の光互変性物品を形成するのに用いることが意図される有機光互変性物質の第1の群は、590ナノメーター以上の可視範囲たとえば、590〜700ナノメートルの活性化吸収極大を有するものである。このような材料は、典型的には、適当な溶媒またはマトリックス中で紫外光に露出された場合に青、青味緑、または青味紫の色を示す。本発明に有用なこのような物質の例には、スピロ(インドリン)ナフトオキサジンおよびスピロ(インドリン)ベンズオキサジンが含まれるがこれらに限定されない。このような光互変性物質の他の例は公開された文献に記載されている。たとえば、米国特許第3,562,172号;同第3,578,602号;同第4,215,010号;同第4,342,668号;同第5,405,958号;同第4,637,698号;同第4,931,219号;同第4,816,584号;同第4,880,667号;同第4,818,096号を参照のこと。また、たとえば日本国特許公報62/195383号、および、Techniques in Chemistry、第III巻、「ホトクロミズム」、チャプター3、Glenn H.Brown編、ジョン・ワイレイ・アンド・サンズ社、ニューヨーク、1971年のテキストを参照のこと。
【0056】
本発明の光互変性物品を形成するのに使用するために意図される有機光互変性物質の第2の群は、400〜500ナノメートルの可視範囲の内に少なくとも一つの吸収極大、好ましくは二つの吸収極大を有するものである。このような材料は、典型的には、適当な溶媒またはマトリックス中で紫外光に露出された場合に黄橙色を示す。このような化合物には、ある種のクロメン、すなわち、ベンゾピランおよびナフトピランが含まれる。このようなクロメンの多くは公開された文献、たとえば、米国特許第3,567,605号;同第4,826,977号;同第5,066,818号;同第4,826,977号;同第5,066,818号;同第5,466,398号;同第5,384,077号;同第5,238,931号;および同第5,274,132号に記載されている。
【0057】
本発明の光互変性物品を形成するために用いることが意図される有機光互変性物質の第3の群は、400〜500ナノメートルの可視範囲に吸収極大を有し、500〜700ナノメートルの可視範囲にもう一つの吸収極大を有するものである。典型的には、これらの材料は適当な溶媒またはマトリックス中で紫外光に露出された場合に黄/茶ないし紫/灰にわたる色を示す。これらの物質の例には、ある種のベンゾピラン化合物、ピラン環の2位に置換基を有し、ベンゾピランのベンゼン部分を縮合したベンゾチエノまたはベンブフラノ環のような置換もしくは無置換複素環を有するある種のベンゾピラン化合物が含まれる。このような材料は米国特許第5,429,774号の主題である。
【0058】
その他の意図される光互変性物質は、光互変性有機金属ジチゾネート、すなわち、(アリールアゾ)チオホルミックアリールヒドラジネート、たとえば米国特許第3,361,706号に記載されている水銀ジチゾネートである。フルギドおよびフルギミド、たとえば米国特許第4,931,220号第20欄第5行〜第21欄第38行に記載されている3−フリルおよび3−チエニルフルギドおよびフルギミド。
【0059】
上述の特許に記載された光互変性物質に関する開示は、ここに参照として含める。本発明の光互変性物品は、所望により一種の光互変性物質または光互変性物質の混合物を含有してもよい。光互変性物質の混合物は中間灰または褐色に近いようなある種の活性化された色を達成するために用いられてよい。
【0060】
ここに記載されたそれぞれの光互変性物質は、その化合物の混合物が塗布または組み込まれる重合体が所望の色、たとえば、フイルターを通さない太陽光で活性化された場合に灰色または褐色のシェード、すなわち、活性化された光互変性物質によって与えられる可能な限り中間色に近い色のような実質的に中間色を示すような量および比率(混合物が用いられる場合)で用いてよい。用いられる上述の光互変性物質の相対量はこのような化合物の活性種の色の相対強度、および望まれる最終的な色に一部依存して変化する。
【0061】
ここで説明する光互変性化合物または物質は当業界で説明される種々の方法によって重合体に塗布されるかまたは組み込まれる。このような方法には、その物質を重合体中に溶解させるか分散させることが含まれる。たとえば、光互変性物質の熱溶液中に重合体を浸漬するか、または熱移動によって光互変性物質を重合体の中に吸収させる。重合体の隣接する層の間に分離した層、たとえばポリマーフィルムの一部として光互変性物質を提供する。重合体の表面上に位置させた被覆または被覆の一部として光互変性物質を塗布する。「吸収」または「吸収する」の用語は、光互変性物質が単独で重合体中に浸透すること、光互変性物質が多孔性ポリマー中に溶媒に助けられて移動吸収すること、気相、およびその他のこのような移転機構、を含む意味であることが意図される。吸収方法の一例には、光互変性物品を光互変性物質で被覆し、光互変性物品の表面を加熱し、その後光互変性物品の表面から残された被覆を除去する方法が含まれる。
【0062】
重合体に塗布されるか組込まれる光互変性物質またはそれらを含む組成物の量は、活性化によって裸眼で認識可能な光互変効果を提供するのに十分な量で用いられる限り、重要でない。一般に、このような量は光互変量として記載される。使用される特定量は、それらの照射において望まれる色の強度および光互変性物質を組み込むか塗布するのに用いる方法にしばしば依存する。典型的には、塗布または組み込まれる光互変性物質が多いほど色強度が高くなる。一般に、光互変性光学重合体に組み込まれるか塗布される光互変性物質の合計量は、その光互変性物質が組込まれ塗布される表面の平方センチメートル当り0.15〜0.35ミリグラムの範囲である。
【0063】
光互変性物質は、その組成物が重合、たとえば注型硬化される前に2成分有機組成物へ添加されてよいことも考慮されるべきである。しかしながら、そのような場合は、光互変性物質は、たとえば、存在しうる開始剤および/または第1および第2成分のイソシアネート、イソチオシアネートおよびアミン基との潜在的な不利な相互作用に対して耐性であることが好ましい。このような不利な相互作用によって、たとえばそれらが開放または閉鎖形態のいずれかで補足されることにより光互変性物質の不活性化が生じうる。また、光互変性物質は、光互変性顔料および金属酸化物に包封された光互変性物質を含んでよい。これらの内の後者は米国特許第4,166,043号および同第4,467,170号に記載されている。米国特許第4,931,220号に記載されているような、有機重合体のマトリックス中に十分包封された有機光互変性物質が硬化前に本発明の2成分組成物中に組み込まれてよい。光互変性物質が硬化前に本発明の2成分有機組成物に添加される場合は、典型的には、それらは第1および第2成分が混合される前の第2成分中に組込まれる。
【0064】
実施例1
チオグリセロールビス(2−メルカプトアセテート)は本発明の好ましいポリチオールモノマーであり、一般式Iに関してR1およびR2はそれぞれメチレンである。以下の成分からチオグリセロールビス(2−メルカプトアセテート)を調製した。
【0065】
【表1】

(a)アンモニア5重量%の水溶液。
【0066】
仕込み1の成分を、磁気撹拌機、熱電対、温度フィードバック制御装置に連結された加熱マントル、および真空蒸留塔を備えた5リットル丸底フラスコに加えた。5〜10ミリメートル水銀に減圧し、反応混合物を70℃に加熱し、4〜5時間保つた。その間に、蒸留塔から水が収集された。
【0067】
蒸留塔から収集される水がなくなった時に、反応混合物を室温に冷却し、モーター駆動撹拌羽根、熱電対および水冷ジャケットを備えた6リットル丸底フラスコに移した。この混合物に仕込み2を加え、30〜45分間、10〜20℃の発熱を伴ないながら撹拌した。室温まで冷やしながら、反応混合物を放置して上部にアンモニア相を蓄積させた。これはピペットで吸引して除去した。残された下部の層をそれぞれ2リットルの脱イオン水で2、3回洗浄した。洗浄した層から水を真空ストリップして、1995グラムのチオグリセロールビス(2−メルカプトアセテート)を、1.5825の屈折率を有する黄味油状物の形態で得た。
【0068】
実施例2および3
ポリイソシアネートを、ポリチオール(実施例2)、またはポリオール(実施例3)と共に80℃で2時間混合し、粘性液体プレポリマー第1成分を得た。暖かいプレポリマー第1成分を素早く撹拌し、ジアミン第2成分をこれに加えた。この混合物を数秒間撹拌した後に、この混合物を2枚の平坦なガラスモールドの間に即座に充填した。満たされたモールドを120℃に加熱してその温度を16時間保ち、プラスチックシートを得た。これらの実施例で用いたポリイソシアネートはα,α’−キシレンジイソシアネート(XDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H−MDI)である。ジチオールおよびポリオールは、2,2’−チオジエタンチオール(DMDS)、およびトーン(Tone)ポリオール32B8(UC32B8)である。トーンポリオールはユニオン・カーバイド・コーポレイション、ダンブリー、コネチカットより得られる。ポリアミン第2成分はジエチルトルエンジアミン(DETDA)である。これらの実施例で用いた各成分の特定のモル組成およびモル比は表1にまとめた。各実施例について測定した物理特性は表2にまとめた。
【0069】
実施例4
0.6当量のH−MDIと1当量のDMDSとを90℃で1時間撹拌することにより第1成分を調製した。撹拌しながら、この第1成分に0.6当量のXDIを加えた。混合物をさらに1.5時間撹拌して、粘性のプレポリマーを得た。この暖かいプレポリマーに0.25当量のDATDAを加えた。数秒間撹拌した後に、得られた混合物を2枚の平坦なガラスモールドの間に充填した。満たされたモールドを120℃に加熱し、その温度に16時間保ち、プラスチックシートを得た。
【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

1B&Lアッベ屈折計を用いて測定(AR)
2偏光顕微鏡を用いて測定(PLM)
【0072】
実施例では、本発明の重合体について、優れた高い屈折率、高いアッベ数および硬度(耐衝撃性)が示された。
【0073】
本発明は好ましい実施態様に関連して説明されてきた。詳細な説明をより理解することによって明白な改変および変更が可能である。ここに添付される請求の範囲または均等の範囲に含まれている限り、このようなすべての改変および変更は含まれるものとして発明が構成されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)少なくとも2個のチオール基を有するポリチオールモノマー;および
(ii)少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートモノマー;
の反応生成物であり、少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリシアネート反応体を含有する第1成分;および
(b)少なくとも2個の第1アミンを有する少なくとも1種のポリアミン反応体を含有する第2成分;
を含有する2成分組成物を重合する工程を包含し、前記ポリチオールモノマーが、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,2’−チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、4−ter−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、4,4’−チオジベンゼンチオール、ベンゼンジチオール、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(2−メルカプトアセテート)およびポリ(エチレングリコール)ジ(3−メルカプトプロピオネート)、式
【化1】

[式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖アルキレン、環状アルキレン、フェニレンおよびC1〜C9アルキル置換フェニレンである。]
で示されるポリチオール、および該ポリチオールのオリゴマーおよび該ポリチオールのモノマーの混合物からなる群から選択され、前記ポリイソシアネートモノマーが、α,α’−キシレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、オルト−トルイジンジイソシアネート、オルト−トリリジンジイソシアネート、オルト−トリレンジイソシアネートおよび4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらポリイソシアネートモノマーの混合物からなる群から選択され、かつ第2成分のポリアミン反応体が、エチレンジアミン、C1〜C3ジアルキルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、トリメチレングリコールジ(パラ−アミノベンゾエート)、式(A)
【化2】

で示されるジアミン、式(B)
【化3】

で示されるジアミン、式(C)
【化4】

で示されるジアミンからなる群から選択されることを特徴とする、重合体を調製する方法。
【請求項2】
前記第1成分が、
(iii)少なくとも2個の反応性水素基を有する反応性水素材料であって、ポリオールおよびヒドロキシル基およびチオール基の両方を有する材料からなる群から選択される反応性水素材料、
をさらに含有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1成分中の(i)および(ii)の相対量が、(NCO+NCS)/(SH)のモル当量比が1.0を上回るように選択される請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1成分中の(i)、(ii)および(iii)の相対量が、(NCO+NCS)/(SH+OH)のモル当量比が1.0を上回るように選択される請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記第1成分および前記第2成分が、それらが重合された場合に得られる重合体が少なくとも1.6の屈折率、少なくとも33のアッベ数、および少なくとも1の初期バーコル硬度を有するように選択される請求項1記載の方法。
【請求項6】
(i)、(ii)および(iii)の相対量が、(NCO+NCS)/(SH+OH)のモル当量比が1.2:1.0〜4.0:1.0になるように選択される請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記ポリチオールオリゴマーがジスルフィド結合を有し、塩基性触媒の存在下でポリチオールモノマーと硫黄とを反応させることによって調製される請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記ポリチオールオリゴマーが、式
【化5】

[式中、nは1〜21の整数である。]
で示される請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ポリチオールオリゴマーが、式
【化6】

[式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖アルキレン、環状アルキレン、フェニレンおよびC1〜C9アルキル置換フェニレンから選択され、nおよびmは、独立して、n+mが少なくとも1になるような0〜21の整数である。]
で示される請求項1記載の方法。
【請求項10】
式(A)のジアミンが、式
【化7】

[式中、R3およびR4は、それぞれ独立してC1〜C3アルキルであり、そしてR5は水素およびハロゲンから選択される。]、
およびこれらジアミンの混合物からなる群の1種以上から選択される請求項1記載の方法。
【請求項11】
式(B)のジアミンが、式
【化8】

[式中、R3およびR4は、それぞれ独立してC1〜C3アルキルであり、そしてR5は水素またはハロゲンから選択される。]、
およびこれらジアミンの混合物からなる群の1種以上から選択される請求項1記載の方法。
【請求項12】
式(C)のジアミンが、式
【化9】

[式中、R3およびR4は、それぞれ独立してC1〜C3アルキルであり、そしてR5は水素およびハロゲンから選択される。]、
およびこれらジアミンの混合物からなる群の1種以上から選択される請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記2成分組成物に触媒を添加する工程をさらに包含する請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記触媒が第3アミンおよび有機金属化合物からなる群から選択される請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第1成分と前記第2成分とを混合して混合物とする工程をさらに包含する請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記第1成分を脱ガスする工程をさらに包含する請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記第2成分を脱ガスする工程をさらに包含する請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記混合物をモールドに添加する工程をさらに包含する請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記モールドと、その中の第1成分および第2成分の混合物とを加熱する工程をさらに包含する請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記加熱工程が前記モールドおよび前記混合物を200℃までの温度で0.5〜72時間の間加熱する工程をさらに包含する請求項19記載の方法。
【請求項21】
(a)(i)少なくとも2個のチオール基を有するポリチオールモノマー;および
(ii)少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリシアネートモノマー;
の反応生成物であり、少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリシアネート反応体を含有する第1成分;および
(b)少なくとも2個の第1アミンを有する少なくとも1種のポリアミン反応体を含有する第2成分;
を含有し、前記ポリチオールモノマーが、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,2’−チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、4−ter−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、4,4’−チオジベンゼンチオール、ベンゼンジチオール、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(2−メルカプトアセテート)およびポリ(エチレングリコール)ジ(3−メルカプトプロピオネート)、式
【化10】

[式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖アルキレン、環状アルキレン、フェニレンおよびC1〜C9アルキル置換フェニレンである。]
で示されるポリチオール、および該ポリチオールのオリゴマーおよび該ポリチオールのモノマーの混合物からなる群から選択され、前記ポリイソシアネートモノマーが、α,α’−キシレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、オルト−トルイジンジイソシアネート、オルト−トリリジンジイソシアネート、オルト−トリレンジイソシアネートおよび4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらポリイソシアネートモノマーの混合物からなる群から選択され、かつ第2成分のポリアミン反応体が、エチレンジアミン、C1〜C3ジアルキルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、トリメチレングリコールジ(パラ−アミノベンゾエート)、式(A)
【化11】

で示されるジアミン、式(B)
【化12】

で示されるジアミン、式(C)
【化13】

で示されるジアミンからなる群から選択される2成分組成物を重合することにより調製される重合体。
【請求項22】
前記第1成分が、
(iii)少なくとも2個の反応性水素基を有する反応性水素材料であって、ポリオールおよびヒドロキシル基およびチオール基の両方を有する材料からなる群から選択される反応性水素材料、
をさらに含有する請求項21記載の重合体。
【請求項23】
前記第1成分中の(i)および(ii)の相対量が、(NCO+NCS)/(SH)のモル当量比が1.0を上回るように選択される請求項21記載の重合体。
【請求項24】
前記第1成分中の(i)、(ii)および(iii)の相対量が、(NCO+NCS)/(SH+OH)のモル当量比が1.0を上回るように選択される請求項22記載の重合体。
【請求項25】
前記第1成分および前記第2成分が、それらが重合された場合に得られる重合体が少なくとも1.6の屈折率、少なくとも33のアッベ数、および少なくとも1の初期バーコル硬度を有するように選択される請求項21記載の重合体。
【請求項26】
(i)、(ii)および(iii)の相対量が、(NCO+NCS)/(SH+OH)のモル当量比が1.2:1.0〜4.0:1.0になるように選択される請求項24記載の重合体。
【請求項27】
前記ポリチオールオリゴマーがジスルフィド結合を有し、塩基性触媒の存在下でポリチオールモノマーと硫黄とを反応させることによって調製される請求項21記載の重合体。
【請求項28】
前記ポリチオールオリゴマーが、式
【化14】

[式中、nは1〜21の整数である。]
で示される請求項21記載の重合体。
【請求項29】
前記ポリチオールオリゴマーが、式
【化15】

[式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖アルキレン、環状アルキレン、フェニレンおよびC1〜C9アルキル置換フェニレンから選択され、nおよびmは、独立して、n+mが少なくとも1になるような0〜21の整数である。]
で示される請求項21記載の重合体。
【請求項30】
式(A)のジアミンが、式
【化16】

[式中、R3およびR4は、それぞれ独立してC1〜C3アルキルであり、そしてR5は水素およびハロゲンから選択される。]、
およびこれらジアミンの混合物からなる群の1種以上から選択される請求項21記載の重合体。
【請求項31】
式(B)のジアミンが、式
【化17】

[式中、R3およびR4は、それぞれ独立してC1〜C3アルキルであり、そしてR5は水素またはハロゲンから選択される。]、
およびこれらジアミンの混合物からなる群の1種以上から選択される請求項21記載の重合体。
【請求項32】
式(C)のジアミンが、式
【化18】

[式中、R3およびR4は、それぞれ独立してC1〜C3アルキルであり、そしてR5は水素およびハロゲンから選択される。]、
およびこれらジアミンの混合物からなる群の1種以上から選択される請求項21記載の重合体。
【請求項33】
重合を促進するために前記2成分組成物に触媒が添加される請求項21記載の重合体。
【請求項34】
前記触媒が第3アミンおよび有機金属化合物からなる群から選択される請求項33記載の重合体。
【請求項35】
重合が前記第1成分と前記第2成分とを混合して混合物とする工程を包含する請求項21記載の重合体。
【請求項36】
重合が前記第1成分を脱ガスする工程を包含する請求項21記載の重合体。
【請求項37】
重合が前記第2成分を脱ガスする工程を包含する請求項21記載の重合体。
【請求項38】
重合が前記混合物をモールドに添加する工程を包含する請求項35記載の重合体。
【請求項39】
重合が前記モールドと、その中の第1成分および第2成分の混合物とを加熱する工程を包含する請求項38記載の重合体。
【請求項40】
前記加熱工程が前記モールドおよび前記混合物を200℃までの温度で0.5〜72時間の間加熱する工程をさらに包含する請求項39記載の重合体。
【請求項41】
請求項21記載の重合体、および光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外光吸収剤、離型剤、静的(光互変性でない)染料、顔料および柔軟化添加剤、および黄変防止剤、およびこれら添加剤の混合物からなる群から選択される添加剤を含有する重合体組成物。
【請求項42】
前記添加剤が、前記2成分組成物の10重量%までの量で該2成分組成物中に存在する請求項41記載の重合体組成物。

【公開番号】特開2008−13781(P2008−13781A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258679(P2007−258679)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【分割の表示】特願2001−538995(P2001−538995)の分割
【原出願日】平成12年11月18日(2000.11.18)
【出願人】(399074983)ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド (60)
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
【Fターム(参考)】