光導波路デバイス、電子機器および光導波路デバイスの製造方法
【課題】 光導波路の交差部分および出力端の少なくとも一方で生じる光信号の損失を抑制するとともに、光導波路の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供する。
【解決手段】 光導波路デバイスの一態様は、光導波路が交差する光導波路配線と、光導波路の交差部分に配置され、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを備える。
【解決手段】 光導波路デバイスの一態様は、光導波路が交差する光導波路配線と、光導波路の交差部分に配置され、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路デバイス、電子機器および光導波路デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信機能を有する電子機器において、複数の光導波路を高密度で配線する必要が生じている。光導波路の配線では、同一平面上で別々の光導波路を交差させても光通信が可能であるが、上記の交差部分で別の光導波路への光の漏れ(交差損失)が発生する。例えば、マルチモード伝送系では、光導波路が直交する交差部分で1箇所当たり0.1dB〜1dB程度の損失が生じる。光導波路の交差数が多くなると、上記の損失の影響は無視しえないものとなる。
【0003】
また、光の漏れは、例えば、2つの光導波路を互いに接続する接続部でも発生する。例えば、2つの光導波路を互いに接続する接続部では、一方の光導波路から出射された光の一部が他方の光導波路に入射されずに外部に漏れる。すなわち、光を出射する出力端で結合損失が発生する。
【0004】
なお、光導波路の交差配線で上記の交差損失を抑制する構造も種々提案されている。一例として、光導波路の交差部分の周辺に低屈折領域を設けてスリットを入れる構造や、光導波路の交差部分の前後で光導波路を放物線状に拡幅する構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−87704号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】W.Bogaerts, et al:Optics letters, vol.32, N0.19,pp.2801−2803 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の光導波路を交差配線する場合、光導波路の交差部分で生じる光信号の損失が大きいと、通信時に符号誤りが生じやすくなる。また、光導波路の高密度配線を容易とする観点からは、光信号の損失を抑制する交差部分の構造を小さなサイズにすることが要請される。なお、光導波路の出力端で生じる光信号の損失が大きい場合も、通信時に符号誤りが生じやすくなる。
【0008】
上記事情に鑑み、光導波路の交差部分および出力端の少なくとも一方で生じる光信号の損失を抑制するとともに、光導波路の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の一観点によれば、光導波路が交差する光導波路配線と、光導波路の交差部分に配置され、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを備える光導波路デバイスが提供される。あるいは、光を出射する出射面を有する光導波路と、出射面側の端部に配置され、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを備える光導波路デバイスが提供される。
【0010】
発明の別の一観点によれば、光導波路デバイスを有する電子機器であって、光導波路デバイスは、光導波路が交差する光導波路配線と、光導波路の交差部分に配置され、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを備える電子機器が提供される。
【0011】
発明の別の一観点によれば、露光によって屈折率の変化する感光材料の層を形成し、光導波路が交差する光導波路配線と、光導波路の交差部分に、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを形成する光導波路デバイスの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
光導波路の交差部分および出力端の少なくとも一方で生じる光信号の損失を抑制するとともに、光導波路の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子機器の一態様であるブレードの一例を示す図である。
【図2】ブレードサーバ内部でのブレードとバックボードとの接続例を示す図である。
【図3】光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(1)を模式的に示す平面図である。
【図4】図3のA−A’断面を示す断面図である。
【図5】図3のB−B’断面を示す断面図である。
【図6】光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(2)を模式的に示す平面図である。
【図7】中継部とコアとの境界を非球面形状に形成した例を示す平面図である。
【図8】中継部とコアとの境界を疑似曲面で形成した例を示す平面図である。
【図9】光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(3)を模式的に示す平面図である。
【図10】図9のC−C’断面を示す断面図である。
【図11】図9のC−C’断面での光導波路配線層の屈折率分布の例を示す図である。
【図12】光導波路デバイスの製造方法の一例を模式的に示す図である。
【図13】光導波路デバイスの製造方法の別例を模式的に示す図である。
【図14】構成例(2)でのシミュレーション結果を示す図である。
【図15】実施例の概要を示す図である。
【図16】同一平面上で3つの光導波路が交差している場合の構成例を示す図である。
【図17】別の実施形態における光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例を模式的に示す平面図である。
【図18】図17に示した光導波路配線の概要を示す分解斜視図である。
【図19】図17に示した光導波路配線の変形例を示す平面図である。
【図20】図17に示した光導波路配線の別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、光導波路デバイスおよび電子機器の一実施形態として、ブレードサーバでの構成例を説明する。
【0015】
図1は、電子機器の一態様であるブレード(コンピュータユニット)100の一例を示している。ブレード100では、光導波路デバイスの一態様としての基板1に、各種の電子回路が搭載されている。例えば、基板1は、コンピュータの動作の中枢を担うLSI2と、光送受信器3と、4つの光コネクタ4とを有している。なお、光コネクタ4の数は、4つに限定されない。LSI2および光送受信器3は、電気配線5により電気的に接続されている。また、光送受信器3は、LSI2への入出力信号の光/電気変換を行う回路である。光送受信器3は、例えば、4組分の光送信チャネルおよび光受信チャネルを有している。
【0016】
また、光導波路デバイスとしての基板1には、光送受信器3と光コネクタ4とを接続する複数の光導波路6が配線されている。光送受信器3の光送信チャネルおよび光受信チャネルは、光導波路6によって1組ずつ異なる光コネクタ4に接続されている。なお、図1では、光送信チャネルの光導波路6はそれぞれ実線で示し、光受信チャネルの光導波路6はそれぞれ破線で示している。
【0017】
また、上記の光導波路6の配線は、いずれも基板1の同一平面に配置されている。よって、基板1の光導波路6は、同一平面で交差している。なお、一実施形態での光導波路配線の構成については後述する。
【0018】
図2は、ブレードサーバ内部でのブレード100とバックボード101との接続例を示している。ブレードサーバは、複数のブレード100を着脱可能に接続するバックボード101を有している。バックボード101は、ブレード100の各々の光コネクタ4と係合する光コネクタ(不図示)を有している。バックボード101は、例えば、光ファイバケーブルを用いた光配線102によって、異なるブレード100間や、ブレード100と外部機器(不図示)とを接続する。一実施形態のブレードサーバでは、ノードとなる複数のブレード100間を光配線102で接続することで、複数のLSI2による大規模計算を実行できる。なお、図2に示すブレードサーバも電子機器の一態様を構成する。
【0019】
図3は、光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(1)を模式的に示す平面図である。図3では、2つの光導波路6が交わる交差部分の周辺を拡大して示している。また、図3では、一方の光導波路6(より詳細には、コア14)に入射した光の光路を一点鎖線で模式的に示している。なお、図4は図3のA−A’断面を示し、図5は図3のB−B’断面を示している。
【0020】
図4および図5に示すように、光導波路デバイスでは、例えば、基板本体1aの上に下部クラッド層11が形成され、下部クラッド層11の上に光導波路配線層12が形成される。そして、光導波路配線層12の上に上部クラッド層13が形成される。また、図3−図5に示すように、光導波路配線層12には、光信号を導くコア14と、コア14の外側に形成されたクラッド15と、中継部16とがそれぞれ形成されている。コア14の延長方向と略直交する断面方向(図4)からみて、コア14は、例えば、略矩形状に形成されている。
【0021】
ここで、光導波路配線の構成例(1)では、下部クラッド層11、上部クラッド層13の厚さは、例えば、約20μmである。また、光導波路配線層12の厚さは、例えば、約35μmである。また、光導波路配線層12のコア14の幅は、例えば、約35μmである。
【0022】
また、図4に示すように、コア14の外周は、下部クラッド層11、上部クラッド層13、光導波路配線層12のクラッド15によって覆われている。また、下部クラッド層11、上部クラッド層13、光導波路配線層12のクラッド15は、それぞれコア14よりも屈折率が低い。よって、光導波路6へ入射する光は、全反射によりコア14に閉じこめられた状態で光導波路6を伝搬する。
【0023】
また、光導波路配線層12の中継部16は、光導波路6のコア14の交差部分に配置されている。中継部16の屈折率は、コア14よりも高い。すなわち、中継部16は、コア14よりも光学的に密である。よって、コア14から中継部16への入射光は、コア14と中継部16との境界面の法線に近づくように屈折する。光導波路配線の構成例(1)では、例えば、平面方向(図3)からみて、中継部16は、コア14の交差部分と略一致する形状に形成されている。光導波路配線の構成例(1)では、中継部16の屈折率は略均一である。
【0024】
一例として、光導波路配線の構成例(1)では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率を約1.70としてもよい。また、他の例として、光導波路配線の構成例(1)では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率を約1.65としてもよい。
【0025】
以下、光導波路配線の構成例(1)での作用を述べる。光導波路配線の構成例(1)では、光導波路6の交差部分にコア14よりも屈折率の高い中継部16が配置されている。コア14から中継部16への入射光は、コア14と中継部16との境界面の法線に近づくように屈折する。よって、上記の構成例(1)では、中継部16での屈折により、一方の光導波路6を伝搬する光が交差する他方の光導波路6に漏れることが抑制される(図3参照)。一例として、マルチモード伝送系では、伝播角の大きな高次モード光が交差する光導波路6に漏れにくくなる。これにより、光信号の交差損失が低減する。
【0026】
また、上記の構成例(1)では、中継部16のサイズをコア14の交差部分と略同じサイズにすることができる。一般に、50μm幅のコアを250μm間隔で配置する場合、コアの交差部分に設ける構造の幅は、コアの幅に対して5倍以下に抑えることが要請される。上記の構成例(1)では、コア14の幅の平方に近いサイズで中継部16を配置できるので、同一平面内において光導波路6を高密度で交差配線する場合にも中継部16を容易に実装できる。
【0027】
なお、以下の説明において、上記の光導波路配線の構成例(1)と共通の構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0028】
図6は、光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(2)を模式的に示す平面図である。図6では、一方の光導波路6に入射した光の光路を一点鎖線で模式的に示している。
【0029】
図6に示す構成例(2)は光導波路配線の構成例(1)の変形例である。構成例(2)では、中継部16は、光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成されている。例えば、平面方向(図6)からみて、中継部16の外縁は、コア14の交差部分に外接する円と略一致している。すなわち、平面方向(図6)からみて、光導波路6での中継部16とコア14との境界は、いずれもコア14側に向けて凸となる球面形状に形成される。よって、中継部16は、例えば、コア14側から中継部16に入射する光束を収束させる凸レンズとして作用する。
【0030】
このように、光導波路配線の構成例(2)では、中継部16およびコア14の境界の形状によって、中継部16は、コア14から入射する光を収束させる凸レンズとして作用する。したがって、上記の構成例(2)では、一方の光導波路6から中継部16に入射する光が中継部16で収束されるので、上記の構成例(1)と比べて、交差する光導波路6への光の漏れをより抑制できる。
【0031】
また、上記の構成例(2)の場合も、コア14の幅の平方に近いサイズで中継部16を配置できるので、同一平面内において光導波路6を高密度で交差配線する場合に中継部16を容易に実装できる。
【0032】
ここで、上記の光導波路配線の構成例(2)では、中継部16とコア14との境界が球面形状である例を説明した。しかし、中継部16とコア14との境界の形状は上記の例に限定されない。
【0033】
図7は、上記の構成例(2)の変形例として、中継部16とコア14との境界を非球面形状に形成した例を示している。また、図8は、上記の構成例(2)の変形例として、中継部16とコア14との境界を、複数の頂点間を直線で結んだ疑似曲面で形成した例を示している。上記の図7および図8の例は、いずれも中継部16の屈折率がコア14よりも高い。また、上記の図7および図8の例は、いずれも中継部16とコア14との境界がコア14側に向けて凸となる曲線状となっている。よって、上記の図7および図8に示す中継部16は、コア14から入射する光を収束させる凸レンズとして作用する。したがって、図7および図8に示す変形例は、図6に示す構成例(2)と略同様の効果を得ることができる。
【0034】
図9は、光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(3)を模式的に示す平面図である。図9では、一方の光導波路6に入射した光の光路を一点鎖線で模式的に示している。なお、図10は図9のC−C’断面を示している。
【0035】
光導波路配線の構成例(3)では、図6に示した構成例(2)と同様に、中継部16が光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成されている。
【0036】
また、光導波路配線の構成例(3)において、中継部16の中央部の屈折率は、中継部16の外縁部の屈折率よりも高くなっている。例えば、中継部16は、外縁から中央へ屈折率が高くなるように、屈折率の勾配を半径方向に有している。図9および図10では、中継部16の屈折率の変化を網掛けの濃淡で模式的に示している。なお、中継部16以外の領域(例えば、クラッド15)の網掛けの濃さは、中継部16の屈折率の変化を模式的に示す網掛けの濃淡とは関係ない。平面方向(図9)からみて、中継部16で屈折率の同じ領域は同心円状に分布するとともに、中継部16の中央に近い領域ほど屈折率は高くなる。
【0037】
図11は、図9のC−C’断面での光導波路配線層12の屈折率分布の例を示している。一例として、光導波路配線の構成例(3)での中継部16の屈折率分布は、中継部16の外縁の屈折率がコア14と略等しく、かつ、直線的な勾配で中継部16の外縁から中央へ屈折率が高くなる。なお、中継部16の屈折率分布は、屈折率の勾配が半径方向に階段状または非線形で変化するものであってもよい。
【0038】
一例として、光導波路配線の構成例(3)では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率の勾配を約1.67〜約1.70の範囲としてもよい。また、他の例として、光導波路配線の構成例(3)では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率の勾配を約1.62〜約1.65の範囲としてもよい。
【0039】
光導波路配線の構成例(3)では、中継部16およびコア14の境界の形状と、中継部16内での屈折率の勾配とによって、中継部16が、コア14から入射する光を収束させる凸レンズとして作用する。そのため、光導波路配線の構成例(3)では、上記の構成例(1)と比べて、交差する光導波路6への光の漏れをより抑制できる。
【0040】
また、光導波路配線の構成例(3)では、外縁から中央に屈折率が高くなるように中継部16内で屈折率の勾配がある。したがって、コア14から中継部16にかけて屈折率差の大きな箇所がなくなり、中継部16での光の反射が極めて少なくなる。よって、上記の構成例(3)では、中継部16での反射による光信号の損失を抑制できる。
【0041】
なお、光導波路配線の構成例(3)においても、上記の構成例(2)と同様に、同一平面内において光導波路6を高密度で交差配線する場合に中継部16を容易に実装できる。
【0042】
図12は、光導波路デバイスの製造方法の一例を模式的に示している。光導波路デバイスの製造方法の一例では、露光により屈折率が低下する感光性樹脂材料を使用して光導波路デバイスを製造する。例えば、特許第4146277号公報に開示されたポリシラン組成物を用いて光導波路デバイスを製造する。上記のポリシラン組成物は、分岐型ポリシラン化合物とシリコーン化合物とを重量比(分岐型ポリシラン化合物:シリコーン化合物)30:70〜80:20で含有する。また、上記のポリシラン組成物は、分岐型ポリシラン化合物およびシリコーン化合物の合計100重量部に対し、有機過酸化物を1〜30重量部の割合で含有する。上記のポリシラン組成物は、紫外線照射によりポリシランのSi−Si結合が切断されて、Si−O−Si結合を形成することで屈折率が低下する。
【0043】
例えば、上記のポリシラン組成物に対して高圧水銀ランプ(USH−500D)で波長365nmの光を約10J/cm2照射すると、屈折率(測定波長850nm)が約1.70から約1.65まで低下する。
【0044】
まず、図12(a)に示すように、基板本体1aに下部クラッド層11を形成する。例えばスピンコートにより、基板本体1a上に上記のポリシラン組成物を塗布する。そして、ポリシラン組成物を塗布した基板本体1aに、高圧水銀ランプで波長365nmの光を約10J/cm2照射する。その後、基板本体1aを約300℃で熱処理することで、基板本体1aに下部クラッド層11が形成される。例えば、下部クラッド層11の厚さは約20μmである。
【0045】
次に、図12(b)に示すように、下部クラッド層11の上に、例えば、スピンコートにより、上記のポリシラン組成物を塗布する。
【0046】
次に、図12(c)に示すように、下部クラッド層11の上に塗布されたポリシラン組成物に対して、光導波路配線のパターンを露光する。例えば、基板上のポリシラン組成物に対して、光導波路配線のパターンを形成したマスクを介して、高圧水銀ランプで波長365nmの光を約10J/cm2照射する。かかるフォトリソグラフィによって、光導波路配線のパターンが基板側に転写される。
【0047】
例えば、図12(c)に示すマスクでは、クラッド15の部分の透過率は約100%である。また、図12(c)に示すマスクでは、コア14の部分の透過率は約50%である。また、図12(c)に示すマスクでは、中継部16の形成部分(コア14の交差部分)には同心円状に濃淡が設けられる。例えば、中継部16に対応するマスク上の領域(以下、マスク上の中継部16の部分とも称する)は、透過率が直線的な勾配で中心部から外縁に向かうにつれて高くなるように形成される。マスク上の中継部16の部分では、例えば、中心部の透過率が約0%であり、外縁の透過率が約50%(コア14の部分と同じ透過率)である。
【0048】
次に、光導波路配線のパターンが転写された基板本体1aを約300℃で熱処理することで、光導波路配線層12を得る(図12(d)参照)。例えば、光導波路配線層12の厚さは約35μmである。
【0049】
次に、光導波路配線層12の上に上部クラッド層13を形成する(図12(e)参照)。上部クラッド層13の形成方法は、下部クラッド層11の形成方法(図12(a))とほぼ同様であるので重複説明を省略する。例えば、上部クラッド層13の厚さは約20μmである。
【0050】
以上により、上記の構成例(3)に対応する光導波路デバイスを得ることができる。図12に示す製造方法では、フォトリソグラフィによる簡易なプロセスで光導波路デバイスを製造できる。
【0051】
例えば、図12の製造方法で得た光導波路デバイスでは、クラッド15の屈折率は約1.65となり、コア14の屈折率は約1.67となり、中継部16の屈折率は約1.67〜約1.70となる。また、中継部16は、半径方向に屈折率の勾配を有しており、中継部16の中央部の屈折率(約1.70)は、中継部16の外縁部の屈折率(約1.67)よりも高くなっている。なお、図12に示す製造方法によれば、下部クラッド層11、光導波路配線層12、上部クラッド層13は、同一の感光性樹脂材料で形成される。すなわち、下部クラッド層11、上部クラッド層13、クラッド15、コア14、中継部16は、同一の感光性樹脂材料で形成される。
【0052】
図13は、光導波路デバイスの製造方法の別例を模式的に示している。光導波路デバイスの製造方法の別例では、露光により屈折率が上昇する感光性樹脂材料を使用して光導波路デバイスを製造する。例えば、脂環式エポキシ基を含むバインダに、エチレン性不飽和基を含む重合性モノマと、光重合開始剤および硬化剤とを添加した感光性樹脂材料(脂環式エポキシ組成物)を、光導波路デバイスの製造に用いればよい。上記の脂環式エポキシ組成物は、特開平9−157352公報の実施例1の開示に従って得ることができる。
【0053】
また、上記の脂環式エポキシ組成物は、紫外線照射により屈折率が上昇することが知られている。例えば、上記の脂環式エポキシ組成物に対して低圧UVランプ(UL06DG)で波長185nmの光を約1J/cm2照射すると、屈折率(測定波長850nm)が約1.60から約1.65まで上昇する。
【0054】
まず、図13(a)に示すように、基板本体1aに下部クラッド層11を形成する。例えば、スピンコートにより、基板本体1a上に上記の脂環式エポキシ組成物を塗布する。そして、脂環式エポキシ組成物を塗布した基板本体1aに、光を照射せずに約120℃で熱処理することで、基板本体1aに下部クラッド層11が形成される。例えば、下部クラッド層11の厚さは約20μmである。
【0055】
次に、図13(b)に示すように、下部クラッド層11の上に、例えば、スピンコートにより、上記の脂環式エポキシ組成物を塗布する。
【0056】
次に、図13(c)に示すように、下部クラッド層11の上に塗布された脂環式エポキシ組成物に対して、光導波路配線のパターンを露光する。例えば、基板上の脂環式エポキシ組成物に対して、光導波路配線のパターンを形成したマスクを介して、低圧UVランプで波長185nmの光を約1J/cm2照射する。かかるフォトリソグラフィによって、光導波路配線のパターンが基板側に転写される。
【0057】
例えば、図13(c)に示すマスクでは、クラッド15の部分の透過率は約0%である。また、図13(c)に示すマスクでは、コア14の部分の透過率は約50%である。また、図13(c)に示すマスクでは、中継部16の形成部分(コア14の交差部分)には同心円状に濃淡が設けられる。例えば、マスク上の中継部16の部分は、透過率が直線的な勾配で中心部から外縁に向かうにつれて低くなるように形成される。マスク上の中継部16の部分では、例えば、中心部の透過率が約100%であり、外縁の透過率が約50%(コア14の部分と同じ透過率)である。
【0058】
次に、光導波路配線のパターンが転写された基板本体1aを約120℃で熱処理することで、光導波路配線層12を得る(図13(d)参照)。例えば、光導波路配線層12の厚さは約35μmである。
【0059】
次に、光導波路配線層12の上に上部クラッド層13を形成する(図13(e)参照)。上部クラッド層13の形成方法は、下部クラッド層11の形成方法(図13(a))とほぼ同様であるので重複説明を省略する。例えば、上部クラッド層13の厚さは約20μmである。
【0060】
以上により、上記の構成例(3)に対応する光導波路デバイスを得ることができる。図13に示す製造方法では、フォトリソグラフィによる簡易なプロセスで光導波路デバイスを製造できる。
【0061】
例えば、図13の製造方法で得た光導波路デバイスでは、クラッド15の屈折率は約1.60となり、コア14の屈折率は約1.62となり、中継部16の屈折率は約1.62〜約1.65となる。また、中継部16は、半径方向に屈折率の勾配を有しており、中継部16の中央部の屈折率(約1.65)は、中継部16の外縁部の屈折率(約1.62)よりも高くなっている。なお、図13に示す製造方法によれば、下部クラッド層11、光導波路配線層12、上部クラッド層13は、同一の感光性樹脂材料で形成される。すなわち、下部クラッド層11、上部クラッド層13、クラッド15、コア14、中継部16は、同一の感光性樹脂材料で形成される。
【0062】
ここで、上記の構成例(2)の光導波路デバイスは、図12または図13の例とほぼ同様の方法で製造できる。図12の例により上記の構成例(2)の光導波路デバイスを製造する場合、マスク上で中継部16の位置の透過率を約50%より低い値で略均一にすればよい。同様に、図13の例により上記の構成例(2)の光導波路デバイスを製造する場合、マスク上で中継部16の位置の透過率を約50%より高い値で略均一にすればよい。
【0063】
あるいは、脂環式エポキシ組成物を用いて、上記の構成例(2)の光導波路デバイスを製造する場合、図13(c)において、フォトリソグラフィによりコア14のパターンのみを予め露光してもよい。その後、屈折率が上昇したコア14の交差部分に対して、中継部16の形状に収束させたビームを照射して中継部16を形成してもよい。
【0064】
なお、図3、図7、図8に示す光導波路デバイスを製造する場合、上記の構成例(2)の製造方法において、マスク上の中継部16の部分の形状を変化させればよい。
【0065】
図14は、構成例(2)でのシミュレーション結果を示している。なお、図14は、光が伝搬されるコア14に交差するコア14の本数(交差本数)と光損失(交差損失)との関係を示している。図の横軸は交差本数を示し、縦軸は交差損失(単位はdB)を示している。図中の四角形は、光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成された中継部16を有する構成例(2)のシミュレーション結果を示している。また、図中の円形は、中継部16が形成されない単純交差により配線された比較例を示している。以下にシミュレーション条件を示す。
【0066】
シミュレーション手法は、光線追跡法である。シミュレーションモデルは、3次元空間内のチャネル導波路である。各コア14の断面は、いずれも幅35μm×厚さ35μmの矩形状である。光が伝搬されるコア14に交差するコア14の間隔は、250μmである。クラッド15の屈折率は1.63であり、コア14の屈折率は1.67である。また、構成例(2)の中継部16の屈折率は、1.70である。
【0067】
構成例(2)および比較例とも、交差損失は、交差本数(交差部の数)の増加にともない、増加する。構成例(2)では、交差部1箇所当たりの損失は、約0.10dBである。一方、比較例では、交差部1箇所当たりの損失は、約0.18dBである。このように、構成例(2)では、交差部1箇所当たりの損失は、比較例(中継部16なし)に比べて低減する。
【0068】
図15は、実施例の概要を示している。まず、実施例1について説明する。実施例1では、図12に示す製造方法にしたがって、φ4インチのSiウエハ上に評価用の光導波路配線を形成している。実施例1の光導波路配線は、一本のコア14(配線長約20mm)の中心部約5mmの範囲に、約0.25mm間隔で20本のコア14がそれぞれ直交するパターンである。各コア14の断面は、いずれも幅約35μm×厚さ約35μmの矩形状である。コア14の交差部分にはそれぞれ中継部16が形成されている。クラッド15の屈折率は約1.65であり、コア14の屈折率は約1.67である。中継部16の屈折率の勾配は約1.67〜約1.70の範囲である。
【0069】
なお、比較例1Aおよび比較例1Bは、実施例1の比較例である。例えば、比較例1Aは、中継部16がない点を除いて実施例1と同じ構成の光導波路配線である。また、比較例1Bは、交差のない直線光導波路(幅約35μm×厚さ約35μm)である。なお、比較例1Aおよび比較例1Bは、いずれも実施例1と同じ製造工程下で形成されている。
【0070】
実施例1、比較例1Aおよび比較例1Bの各評価サンプルは、ダイシングソーで基板を約20mm角に切り出すことで得られる。そして、各評価サンプルでの光損失は、例えば、パワーメータを用いて測定される。各評価サンプルの入射側では、コア径φ50μmのGI型石英ファイバをバットジョイントで接続して光源の光を導入する。光源には、波長850nmのLED光を用いている。一方、各評価サンプルの出射側では、コア径φ100μmのGI型石英ファイバを介して、パワーメータが接続される(図15参照)。
【0071】
パワーメータでの測定の結果では、実施例1の評価サンプルでの損失は約3.3dBである。一方、比較例1Aの評価サンプルでの損失は約9.6dBであり、比較例1Bの評価サンプルでの損失は約1.0dBである。したがって、比較例1Aでの交差部1箇所当たりの損失は約0.43dBである。なお、実施例1での交差部1箇所当たりの損失は約0.12dBである。このように、実施例1では、交差部1箇所当たりの損失は、比較例1Aに比べて低減する。
【0072】
次に、実施例2について説明する。実施例2では、図13に示す製造方法にしたがって、上記の実施例1と同形状の評価サンプルを形成している。また、比較例2Aの評価サンプル(比較例1Aに対応)と、比較例2Bの評価サンプル(比較例1Bに対応)とを、それぞれ実施例2と同じ製造工程下で形成している。
【0073】
そして、実施例1と同じ測定条件により、実施例2、比較例2Aおよび比較例2Bの各評価サンプルでの光損失を測定している。パワーメータでの測定の結果では、実施例2の評価サンプルでの損失は約4.5dBである。一方、比較例2Aの評価サンプルでの損失は約10.6dBであり、比較例2Bの評価サンプルでの損失は約2.4dBである。したがって、比較例2Aでの交差部1箇所当たりの損失は約0.41dBである。なお、実施例2での交差部1箇所当たりの損失は約0.11dBである。このように、実施例2では、交差部1箇所当たりの損失は、比較例1Aに比べて低減する。
【0074】
ここで、比較例1Aおよび比較例2Aでの交差部1箇所当たりの損失(約0.43dB、約0.41dB)が図14に示した比較例の結果(約0.18dB)に比べて大きいのは、評価サンプルの加工精度によるものと考えられる。例えば、シミュレーションでは、交差部周辺のコア14は、理想的な形状(例えば、交差部のコア14の角が90度)である。これに対し、評価サンプルでは、交差部のコア14の角が90度に形成されずに、光が漏れやすい形状になっていると考えられる。なお、実施例1および実施例2では、比較例1Aおよび比較例2Aとそれぞれ同じ製造工程下で形成されたにもかかわらず、交差部1箇所当たりの損失が低減される。すなわち、この実施形態では、例えば、図12および図13に示した簡易なプロセスで、交差部1箇所当たりの損失を低減した光導波路デバイスを製造できる。
【0075】
なお、上記の実施形態では光導波路6(より詳細には、コア14)が略直交している構成例を説明した。しかし、光導波路6が他の角度で交差している場合にも、上記実施形態の中継部16の構成を応用できることはいうまでもない。
【0076】
また、上記の実施形態では2つの光導波路6が交差する場合の構成例を説明した。しかし、光導波路6が3つ以上交差している場合にも、上記実施形態の中継部16の構成を応用することができる。一例として、図16は、同一平面上で3つの光導波路6が交差している場合の構成例を示している。図16の例では、中継部16の構成は上記の構成例(2)と同じである。なお、3つ以上の光導波路6を1点で立体的に交差させる場合には、中継部16を球状に形成すればよい。
【0077】
また、図3、図7、図8の各例においても、上記の構成例(3)と同様に、中継部16に屈折率の勾配を付与してもよい。上記の場合において、中継部16の中央部の屈折率は、中継部16の外縁部の屈折率よりも高くしてもよい。上記の場合において、中継部16で屈折率の異なる部分が同心状に配置されてもよい。
【0078】
以上、この実施形態では、光導波路デバイスは、光導波路6の交差部分に配置された中継部16を有している。したがって、この実施形態では、中継部16で光を屈折させることができ、交差する別の光導波路6への光の漏れを抑制できる。また、この実施形態では、例えば、光導波路6を拡幅する場合と比べて、中継部16のサイズを比較的小さくできる。この結果、この実施形態では、光導波路6の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供できる。
【0079】
図17は、別の実施形態における光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例を模式的に示す平面図である。なお、図17は、光導波路6の出力端周辺を拡大して示している。また、図17では、光導波路6を伝搬する光の光路を一点鎖線で模式的に示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態の光導波路デバイスは、光導波路6の出力端に配置された中継部16を有している。その他の構成は、上述した実施形態と同じである。また、この実施形態の光導波路デバイスが搭載される電子機器は、上述した実施形態と同じである。なお、この実施形態では、中継部16は、光導波路6の交差部分に配置されてもよいし、光導波路6の交差部分に配置されなくてもよい。また、この実施形態では、光導波路配線は、光導波路6が交差する交差部分を含んで形成されてもよいし、光導波路6を交差させずに形成されてもよい。
【0080】
光導波路6の出力端は、光を出射する側の端部(図18に示す出射面20側の端部)であり、例えば、図1に示した光コネクタ4内に形成される。そして、光導波路6の出力端は、例えば、図2に示したバックボード101の光コネクタ内に形成された光導波路103に、マッチングオイル等を介して接続される。
【0081】
中継部16は、例えば、コア14側から中継部16に入射する光束を収束させる。なお、中継部16は、中継部16で収束させた光束が光導波路103に接続される出力端の面(例えば、図18に示す出射面20)に到達するまでに発散しないように、出力端に配置される。例えば、中継部16は、光導波路103に接続される出力端の面と中継部16との距離D1が中継部16の幅D2以下になるように、出力端に配置される。
【0082】
すなわち、光導波路6は、光信号を導くコア14と、コア14の外側に形成されたクラッド15と、光信号を出射する出力端に配置された中継部16とを有している。なお、中継部16の屈折率は、コア14よりも高く、略均一である。一例として、図17に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率を約1.70としてもよい。また、他の例として、図17に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率を約1.65としてもよい。
【0083】
また、例えば、平面方向(図17)からみて、中継部16の外縁は、コア14に内接する円と略一致している。すなわち、平面方向(図17)からみて、光導波路6での中継部16とコア14との境界は、いずれもコア14側に向けて凸となる球面形状に形成される。よって、中継部16は、例えば、コア14側から中継部16に入射する光束を収束させる凸レンズとして作用する。したがって、この実施形態では、出力端に配置された中継部16で光が収束されるので、出力端から出射される光の漏れを抑制できる。すなわち、図17の例では、光導波路6と光導波路103とを接続する接続部で発生する結合損失が抑制される。また、この実施形態では、コア14の幅の平方に近いサイズで中継部16を配置できるので、例えば、図1に示した光コネクタ4内に中継部16を容易に実装できる。
【0084】
ここで、中継部16の形状(平面方向からみた形状)は、図17の例(球面形状)に限定されない。例えば、中継部16の形状(平面方向からみた形状)は、図7および図8に示した形状(コア14側に向けて凸となる形状)でもよい。
【0085】
図18は、図17に示した光導波路配線の概要を示す分解斜視図である。光導波路6は、例えば、基板本体1aの上に形成された下部クラッド層11と、下部クラッド層11の上に形成された光導波路配線層12と、光導波路配線層12の上に形成された上部クラッド層13とを有している。例えば、下部クラッド層11および上部クラッド層13の厚さは、約20μmである。また、光導波路配線層12の厚さは、例えば、約35μmである。
【0086】
光導波路配線層12には、光信号を導くコア14と、コア14の外側に形成されたクラッド15と、中継部16とがそれぞれ形成されている。コア14の延長方向と略直交する断面方向からみて、コア14は例えば略矩形状に形成されている。光導波路配線層12のコア14の幅は、例えば、約35μmである。また、光を出射する出射面20から中継部16までの距離D1は、例えば、中継部16の幅D2以下である。
【0087】
図18に示すように、コア14の外周は、下部クラッド層11、上部クラッド層13、光導波路配線層12のクラッド15によって覆われている。下部クラッド層11、上部クラッド層13、光導波路配線層12のクラッド15は、それぞれコア14よりも屈折率が低い。よって、光導波路6へ入射する光は、全反射によりコア14に閉じこめられた状態で光導波路6を伝搬する。
【0088】
図19は、図17に示した光導波路配線の変形例を示す平面図である。図19では、光導波路6を伝搬する光の光路を一点鎖線で模式的に示している。図19の例では、平面方向からみて、中継部16の中央部の屈折率は、中継部16の外縁部の屈折率よりも高くなっている。その他の構成は、図17および図18に示した光導波路6の構成と同じである。例えば、中継部16は、光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成されている。なお、図19では、中継部16の屈折率の変化を網掛けの濃淡で模式的に示している。なお、中継部16以外の領域(例えば、クラッド15)の網掛けの濃さは、中継部16の屈折率の変化を模式的に示す網掛けの濃淡とは関係ない。
【0089】
中継部16は、例えば、外縁から中央へ屈折率が高くなるように、屈折率の勾配を半径方向に有している。平面方向(図19)からみて、中継部16で屈折率の同じ領域は同心円状に分布するとともに、中継部16の中央に近い領域ほど屈折率は高くなる。例えば、光導波路配線層12の屈折率分布は、図11と同じ(直線的な勾配)である。なお、中継部16の屈折率分布は、屈折率の勾配が半径方向に階段状または非線形で変化するものであってもよい。
【0090】
一例として、図19に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率の勾配を約1.67〜約1.70の範囲としてもよい。また、他の例として、図19に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率の勾配を約1.62〜約1.65の範囲としてもよい。
【0091】
図19に示した構成では、中継部16およびコア14の境界の形状と、中継部16内での屈折率の勾配とによって、中継部16が、コア14から入射する光を収束させる凸レンズとして作用する。そのため、図19に示した構成では、図17に示した構成と比べて、出力端から出射される光の漏れをより抑制できる。
【0092】
また、図19に示した構成では、外縁から中央に屈折率が高くなるように中継部16内で屈折率の勾配がある。したがって、コア14から中継部16にかけて屈折率差の大きな箇所がなくなり、中継部16での光の反射が極めて少なくなる。よって、中継部16での反射による光信号の損失が抑制される。
【0093】
図20は、図17に示した光導波路配線の別の変形例を示す平面図である。図20では、光導波路6を伝搬する光の光路を一点鎖線で模式的に示している。図20の例では、中継部16は、図18に示した出射面20に接して配置されている。さらに、中継部16の形状(平面方向からみた形状)は、コア14側に向けて凸となる略半円である。その他の構成は、図17および図18に示した光導波路6の構成と同じである。例えば、中継部16の屈折率は略均一である。
【0094】
一例として、図20に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率を約1.70としてもよい。また、他の例として、図20に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率を約1.65としてもよい。
【0095】
ここで、図17−図20に示した光導波路デバイスは、図12または図13の例とほぼ同様の方法で製造できる。なお、図12および図13に示した製造方法によれば、下部クラッド層11、光導波路配線層12、上部クラッド層13は、同一の感光性樹脂材料で形成される。すなわち、下部クラッド層11、上部クラッド層13、クラッド15、コア14、中継部16は、同一の感光性樹脂材料で形成される。
【0096】
図12の例により図17に示した光導波路デバイスを製造する場合、マスク上の中継部16の部分を、光導波路6の出力端に対応する位置に、透過率を約50%より低い値で略均一に形成すればよい。同様に、図13の例により図17に示した光導波路デバイスを製造する場合、マスク上の中継部16の部分を、光導波路6の出力端に対応する位置に、透過率を約50%より高い値で略均一に形成すればよい。
【0097】
また、例えば、図19に示した光導波路デバイスを製造する場合、図12または図13に示した製造方法において、マスク上の中継部16の部分を光導波路6の出力端に対応する位置に形成すればよい。また、例えば、図20に示した光導波路デバイスは、図17に示した光導波路デバイスと同様の製造方法で、マスク上の中継部16の部分の形状および位置を変化させることにより製造できる。
【0098】
なお、図17−図20に示した実施形態では、光を出射する出射面20から中継部16までの距離D1が中継部16の幅D2以下である例を説明した。しかし、光を出射する出射面20から中継部16までの距離D1は、出射面20の外縁方向に漏れる光を低減できれば、中継部16の幅D2より大きくてもよい。
【0099】
また、図17−図20に示した実施形態では、平面方向からみた中継部16がコア14に内接する例を説明した。しかし、中継部16は、平面方向からみて、コア14の幅より大きく形成されてもよい。
【0100】
また、図17−図19に示した実施形態では、中継部16が光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成される例を説明した。しかし、中継部16は、球状に形成されてもよい。同様に、図20に示した中継部16は、半球状に形成されてもよい。
【0101】
また、図20の例においても、図19の例と同様に、中継部16に屈折率の勾配を付与してもよい。例えば、図20の例において、図19の中継部16を略半円形状にした中継部16が図20の中継部16の代わりに配置されてもよい。
【0102】
以上、この実施形態では、光導波路デバイスは、光導波路6の出力端に配置された中継部16を有している。したがって、この実施形態では、中継部16で光を屈折させることができ、出力端から出射される光の漏れを抑制できる。すなわち、この実施形態では、結合損失を抑制できる。また、この実施形態では、例えば、光導波路6を拡幅する場合と比べて、中継部16のサイズを比較的小さくできる。この結果、この実施形態では、光導波路6の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供できる。
【0103】
以上の実施形態において説明した発明を整理して、付記として開示する。
(付記1)
光導波路が交差する光導波路配線と、
前記光導波路の交差部分に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記2)
付記1に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路での前記中継部と前記コアとの境界が、前記コア側に向けて凸となる曲線状に形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記3)
付記1または付記2に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記中継部の中央部の屈折率は、前記中継部の外縁部の屈折率よりも高いことを特徴とする光導波路デバイス。
(付記4)
付記1から付記3のいずれか1項に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路は、前記コアの外周を覆うとともに前記コアよりも屈折率が低いクラッドをさらに含み、
前記コア、前記クラッドおよび前記中継部が同一の材料で形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記5)
光を出射する出射面を有する光導波路と、
前記出射面側の端部に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記6)
付記5に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路での前記中継部と前記コアとの境界が、前記コア側に向けて凸となる曲線状に形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記7)
付記5または付記6に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記中継部の中央部の屈折率は、前記中継部の外縁部の屈折率よりも高いことを特徴とする光導波路デバイス。
(付記8)
付記5から付記7のいずれか1項に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記出射面から前記中継部までの距離は、前記中継部の幅以下であることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記9)
付記5から付記8のいずれか1項に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路は、前記コアの外周を覆うとともに前記コアよりも屈折率が低いクラッドをさらに含み、
前記コア、前記クラッドおよび前記中継部が同一の材料で形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記10)
光導波路デバイスを有する電子機器であって、
前記光導波路デバイスは、
光導波路が交差する光導波路配線と、
前記光導波路の交差部分に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
(付記11)
光導波路デバイスを有する電子機器であって、
前記光導波路デバイスは、
光を出射する出射面を有する光導波路と、
前記出射面側の端部に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
(付記12)
露光によって屈折率の変化する感光材料の層を形成し、
光導波路が交差する光導波路配線と、前記光導波路の交差部分に、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを、前記感光材料の層を露光することにより形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
(付記13)
付記12に記載の光導波路デバイスの製造方法において、
前記光導波路配線と前記中継部とは、局所的に光透過率が異なるマスクを用いて前記感光材料の層を露光することで形成されることを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
(付記14)
露光によって屈折率の変化する感光材料の層を形成し、
光を出射する出射面を有する光導波路と、前記光導波路の前記出射面側の端部に、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを、前記感光材料の層を露光することにより形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
(付記15)
付記14に記載の光導波路デバイスの製造方法において、
前記光導波路と前記中継部とは、局所的に光透過率が異なるマスクを用いて前記感光材料の層を露光することで形成されることを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【0104】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…基板;1a…基板本体;2…LSI;3…光送受信器;4…光コネクタ;5…電気配線;6…光導波路;11…下部クラッド層;12…光導波路配線層;13…上部クラッド層;14…コア;15…クラッド;16…中継部;20…出射面;100…ブレード;101…バックボード;102…光配線;103…光導波路
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路デバイス、電子機器および光導波路デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信機能を有する電子機器において、複数の光導波路を高密度で配線する必要が生じている。光導波路の配線では、同一平面上で別々の光導波路を交差させても光通信が可能であるが、上記の交差部分で別の光導波路への光の漏れ(交差損失)が発生する。例えば、マルチモード伝送系では、光導波路が直交する交差部分で1箇所当たり0.1dB〜1dB程度の損失が生じる。光導波路の交差数が多くなると、上記の損失の影響は無視しえないものとなる。
【0003】
また、光の漏れは、例えば、2つの光導波路を互いに接続する接続部でも発生する。例えば、2つの光導波路を互いに接続する接続部では、一方の光導波路から出射された光の一部が他方の光導波路に入射されずに外部に漏れる。すなわち、光を出射する出力端で結合損失が発生する。
【0004】
なお、光導波路の交差配線で上記の交差損失を抑制する構造も種々提案されている。一例として、光導波路の交差部分の周辺に低屈折領域を設けてスリットを入れる構造や、光導波路の交差部分の前後で光導波路を放物線状に拡幅する構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−87704号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】W.Bogaerts, et al:Optics letters, vol.32, N0.19,pp.2801−2803 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の光導波路を交差配線する場合、光導波路の交差部分で生じる光信号の損失が大きいと、通信時に符号誤りが生じやすくなる。また、光導波路の高密度配線を容易とする観点からは、光信号の損失を抑制する交差部分の構造を小さなサイズにすることが要請される。なお、光導波路の出力端で生じる光信号の損失が大きい場合も、通信時に符号誤りが生じやすくなる。
【0008】
上記事情に鑑み、光導波路の交差部分および出力端の少なくとも一方で生じる光信号の損失を抑制するとともに、光導波路の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の一観点によれば、光導波路が交差する光導波路配線と、光導波路の交差部分に配置され、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを備える光導波路デバイスが提供される。あるいは、光を出射する出射面を有する光導波路と、出射面側の端部に配置され、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを備える光導波路デバイスが提供される。
【0010】
発明の別の一観点によれば、光導波路デバイスを有する電子機器であって、光導波路デバイスは、光導波路が交差する光導波路配線と、光導波路の交差部分に配置され、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを備える電子機器が提供される。
【0011】
発明の別の一観点によれば、露光によって屈折率の変化する感光材料の層を形成し、光導波路が交差する光導波路配線と、光導波路の交差部分に、光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを形成する光導波路デバイスの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
光導波路の交差部分および出力端の少なくとも一方で生じる光信号の損失を抑制するとともに、光導波路の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子機器の一態様であるブレードの一例を示す図である。
【図2】ブレードサーバ内部でのブレードとバックボードとの接続例を示す図である。
【図3】光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(1)を模式的に示す平面図である。
【図4】図3のA−A’断面を示す断面図である。
【図5】図3のB−B’断面を示す断面図である。
【図6】光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(2)を模式的に示す平面図である。
【図7】中継部とコアとの境界を非球面形状に形成した例を示す平面図である。
【図8】中継部とコアとの境界を疑似曲面で形成した例を示す平面図である。
【図9】光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(3)を模式的に示す平面図である。
【図10】図9のC−C’断面を示す断面図である。
【図11】図9のC−C’断面での光導波路配線層の屈折率分布の例を示す図である。
【図12】光導波路デバイスの製造方法の一例を模式的に示す図である。
【図13】光導波路デバイスの製造方法の別例を模式的に示す図である。
【図14】構成例(2)でのシミュレーション結果を示す図である。
【図15】実施例の概要を示す図である。
【図16】同一平面上で3つの光導波路が交差している場合の構成例を示す図である。
【図17】別の実施形態における光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例を模式的に示す平面図である。
【図18】図17に示した光導波路配線の概要を示す分解斜視図である。
【図19】図17に示した光導波路配線の変形例を示す平面図である。
【図20】図17に示した光導波路配線の別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、光導波路デバイスおよび電子機器の一実施形態として、ブレードサーバでの構成例を説明する。
【0015】
図1は、電子機器の一態様であるブレード(コンピュータユニット)100の一例を示している。ブレード100では、光導波路デバイスの一態様としての基板1に、各種の電子回路が搭載されている。例えば、基板1は、コンピュータの動作の中枢を担うLSI2と、光送受信器3と、4つの光コネクタ4とを有している。なお、光コネクタ4の数は、4つに限定されない。LSI2および光送受信器3は、電気配線5により電気的に接続されている。また、光送受信器3は、LSI2への入出力信号の光/電気変換を行う回路である。光送受信器3は、例えば、4組分の光送信チャネルおよび光受信チャネルを有している。
【0016】
また、光導波路デバイスとしての基板1には、光送受信器3と光コネクタ4とを接続する複数の光導波路6が配線されている。光送受信器3の光送信チャネルおよび光受信チャネルは、光導波路6によって1組ずつ異なる光コネクタ4に接続されている。なお、図1では、光送信チャネルの光導波路6はそれぞれ実線で示し、光受信チャネルの光導波路6はそれぞれ破線で示している。
【0017】
また、上記の光導波路6の配線は、いずれも基板1の同一平面に配置されている。よって、基板1の光導波路6は、同一平面で交差している。なお、一実施形態での光導波路配線の構成については後述する。
【0018】
図2は、ブレードサーバ内部でのブレード100とバックボード101との接続例を示している。ブレードサーバは、複数のブレード100を着脱可能に接続するバックボード101を有している。バックボード101は、ブレード100の各々の光コネクタ4と係合する光コネクタ(不図示)を有している。バックボード101は、例えば、光ファイバケーブルを用いた光配線102によって、異なるブレード100間や、ブレード100と外部機器(不図示)とを接続する。一実施形態のブレードサーバでは、ノードとなる複数のブレード100間を光配線102で接続することで、複数のLSI2による大規模計算を実行できる。なお、図2に示すブレードサーバも電子機器の一態様を構成する。
【0019】
図3は、光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(1)を模式的に示す平面図である。図3では、2つの光導波路6が交わる交差部分の周辺を拡大して示している。また、図3では、一方の光導波路6(より詳細には、コア14)に入射した光の光路を一点鎖線で模式的に示している。なお、図4は図3のA−A’断面を示し、図5は図3のB−B’断面を示している。
【0020】
図4および図5に示すように、光導波路デバイスでは、例えば、基板本体1aの上に下部クラッド層11が形成され、下部クラッド層11の上に光導波路配線層12が形成される。そして、光導波路配線層12の上に上部クラッド層13が形成される。また、図3−図5に示すように、光導波路配線層12には、光信号を導くコア14と、コア14の外側に形成されたクラッド15と、中継部16とがそれぞれ形成されている。コア14の延長方向と略直交する断面方向(図4)からみて、コア14は、例えば、略矩形状に形成されている。
【0021】
ここで、光導波路配線の構成例(1)では、下部クラッド層11、上部クラッド層13の厚さは、例えば、約20μmである。また、光導波路配線層12の厚さは、例えば、約35μmである。また、光導波路配線層12のコア14の幅は、例えば、約35μmである。
【0022】
また、図4に示すように、コア14の外周は、下部クラッド層11、上部クラッド層13、光導波路配線層12のクラッド15によって覆われている。また、下部クラッド層11、上部クラッド層13、光導波路配線層12のクラッド15は、それぞれコア14よりも屈折率が低い。よって、光導波路6へ入射する光は、全反射によりコア14に閉じこめられた状態で光導波路6を伝搬する。
【0023】
また、光導波路配線層12の中継部16は、光導波路6のコア14の交差部分に配置されている。中継部16の屈折率は、コア14よりも高い。すなわち、中継部16は、コア14よりも光学的に密である。よって、コア14から中継部16への入射光は、コア14と中継部16との境界面の法線に近づくように屈折する。光導波路配線の構成例(1)では、例えば、平面方向(図3)からみて、中継部16は、コア14の交差部分と略一致する形状に形成されている。光導波路配線の構成例(1)では、中継部16の屈折率は略均一である。
【0024】
一例として、光導波路配線の構成例(1)では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率を約1.70としてもよい。また、他の例として、光導波路配線の構成例(1)では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率を約1.65としてもよい。
【0025】
以下、光導波路配線の構成例(1)での作用を述べる。光導波路配線の構成例(1)では、光導波路6の交差部分にコア14よりも屈折率の高い中継部16が配置されている。コア14から中継部16への入射光は、コア14と中継部16との境界面の法線に近づくように屈折する。よって、上記の構成例(1)では、中継部16での屈折により、一方の光導波路6を伝搬する光が交差する他方の光導波路6に漏れることが抑制される(図3参照)。一例として、マルチモード伝送系では、伝播角の大きな高次モード光が交差する光導波路6に漏れにくくなる。これにより、光信号の交差損失が低減する。
【0026】
また、上記の構成例(1)では、中継部16のサイズをコア14の交差部分と略同じサイズにすることができる。一般に、50μm幅のコアを250μm間隔で配置する場合、コアの交差部分に設ける構造の幅は、コアの幅に対して5倍以下に抑えることが要請される。上記の構成例(1)では、コア14の幅の平方に近いサイズで中継部16を配置できるので、同一平面内において光導波路6を高密度で交差配線する場合にも中継部16を容易に実装できる。
【0027】
なお、以下の説明において、上記の光導波路配線の構成例(1)と共通の構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0028】
図6は、光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(2)を模式的に示す平面図である。図6では、一方の光導波路6に入射した光の光路を一点鎖線で模式的に示している。
【0029】
図6に示す構成例(2)は光導波路配線の構成例(1)の変形例である。構成例(2)では、中継部16は、光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成されている。例えば、平面方向(図6)からみて、中継部16の外縁は、コア14の交差部分に外接する円と略一致している。すなわち、平面方向(図6)からみて、光導波路6での中継部16とコア14との境界は、いずれもコア14側に向けて凸となる球面形状に形成される。よって、中継部16は、例えば、コア14側から中継部16に入射する光束を収束させる凸レンズとして作用する。
【0030】
このように、光導波路配線の構成例(2)では、中継部16およびコア14の境界の形状によって、中継部16は、コア14から入射する光を収束させる凸レンズとして作用する。したがって、上記の構成例(2)では、一方の光導波路6から中継部16に入射する光が中継部16で収束されるので、上記の構成例(1)と比べて、交差する光導波路6への光の漏れをより抑制できる。
【0031】
また、上記の構成例(2)の場合も、コア14の幅の平方に近いサイズで中継部16を配置できるので、同一平面内において光導波路6を高密度で交差配線する場合に中継部16を容易に実装できる。
【0032】
ここで、上記の光導波路配線の構成例(2)では、中継部16とコア14との境界が球面形状である例を説明した。しかし、中継部16とコア14との境界の形状は上記の例に限定されない。
【0033】
図7は、上記の構成例(2)の変形例として、中継部16とコア14との境界を非球面形状に形成した例を示している。また、図8は、上記の構成例(2)の変形例として、中継部16とコア14との境界を、複数の頂点間を直線で結んだ疑似曲面で形成した例を示している。上記の図7および図8の例は、いずれも中継部16の屈折率がコア14よりも高い。また、上記の図7および図8の例は、いずれも中継部16とコア14との境界がコア14側に向けて凸となる曲線状となっている。よって、上記の図7および図8に示す中継部16は、コア14から入射する光を収束させる凸レンズとして作用する。したがって、図7および図8に示す変形例は、図6に示す構成例(2)と略同様の効果を得ることができる。
【0034】
図9は、光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例(3)を模式的に示す平面図である。図9では、一方の光導波路6に入射した光の光路を一点鎖線で模式的に示している。なお、図10は図9のC−C’断面を示している。
【0035】
光導波路配線の構成例(3)では、図6に示した構成例(2)と同様に、中継部16が光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成されている。
【0036】
また、光導波路配線の構成例(3)において、中継部16の中央部の屈折率は、中継部16の外縁部の屈折率よりも高くなっている。例えば、中継部16は、外縁から中央へ屈折率が高くなるように、屈折率の勾配を半径方向に有している。図9および図10では、中継部16の屈折率の変化を網掛けの濃淡で模式的に示している。なお、中継部16以外の領域(例えば、クラッド15)の網掛けの濃さは、中継部16の屈折率の変化を模式的に示す網掛けの濃淡とは関係ない。平面方向(図9)からみて、中継部16で屈折率の同じ領域は同心円状に分布するとともに、中継部16の中央に近い領域ほど屈折率は高くなる。
【0037】
図11は、図9のC−C’断面での光導波路配線層12の屈折率分布の例を示している。一例として、光導波路配線の構成例(3)での中継部16の屈折率分布は、中継部16の外縁の屈折率がコア14と略等しく、かつ、直線的な勾配で中継部16の外縁から中央へ屈折率が高くなる。なお、中継部16の屈折率分布は、屈折率の勾配が半径方向に階段状または非線形で変化するものであってもよい。
【0038】
一例として、光導波路配線の構成例(3)では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率の勾配を約1.67〜約1.70の範囲としてもよい。また、他の例として、光導波路配線の構成例(3)では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率の勾配を約1.62〜約1.65の範囲としてもよい。
【0039】
光導波路配線の構成例(3)では、中継部16およびコア14の境界の形状と、中継部16内での屈折率の勾配とによって、中継部16が、コア14から入射する光を収束させる凸レンズとして作用する。そのため、光導波路配線の構成例(3)では、上記の構成例(1)と比べて、交差する光導波路6への光の漏れをより抑制できる。
【0040】
また、光導波路配線の構成例(3)では、外縁から中央に屈折率が高くなるように中継部16内で屈折率の勾配がある。したがって、コア14から中継部16にかけて屈折率差の大きな箇所がなくなり、中継部16での光の反射が極めて少なくなる。よって、上記の構成例(3)では、中継部16での反射による光信号の損失を抑制できる。
【0041】
なお、光導波路配線の構成例(3)においても、上記の構成例(2)と同様に、同一平面内において光導波路6を高密度で交差配線する場合に中継部16を容易に実装できる。
【0042】
図12は、光導波路デバイスの製造方法の一例を模式的に示している。光導波路デバイスの製造方法の一例では、露光により屈折率が低下する感光性樹脂材料を使用して光導波路デバイスを製造する。例えば、特許第4146277号公報に開示されたポリシラン組成物を用いて光導波路デバイスを製造する。上記のポリシラン組成物は、分岐型ポリシラン化合物とシリコーン化合物とを重量比(分岐型ポリシラン化合物:シリコーン化合物)30:70〜80:20で含有する。また、上記のポリシラン組成物は、分岐型ポリシラン化合物およびシリコーン化合物の合計100重量部に対し、有機過酸化物を1〜30重量部の割合で含有する。上記のポリシラン組成物は、紫外線照射によりポリシランのSi−Si結合が切断されて、Si−O−Si結合を形成することで屈折率が低下する。
【0043】
例えば、上記のポリシラン組成物に対して高圧水銀ランプ(USH−500D)で波長365nmの光を約10J/cm2照射すると、屈折率(測定波長850nm)が約1.70から約1.65まで低下する。
【0044】
まず、図12(a)に示すように、基板本体1aに下部クラッド層11を形成する。例えばスピンコートにより、基板本体1a上に上記のポリシラン組成物を塗布する。そして、ポリシラン組成物を塗布した基板本体1aに、高圧水銀ランプで波長365nmの光を約10J/cm2照射する。その後、基板本体1aを約300℃で熱処理することで、基板本体1aに下部クラッド層11が形成される。例えば、下部クラッド層11の厚さは約20μmである。
【0045】
次に、図12(b)に示すように、下部クラッド層11の上に、例えば、スピンコートにより、上記のポリシラン組成物を塗布する。
【0046】
次に、図12(c)に示すように、下部クラッド層11の上に塗布されたポリシラン組成物に対して、光導波路配線のパターンを露光する。例えば、基板上のポリシラン組成物に対して、光導波路配線のパターンを形成したマスクを介して、高圧水銀ランプで波長365nmの光を約10J/cm2照射する。かかるフォトリソグラフィによって、光導波路配線のパターンが基板側に転写される。
【0047】
例えば、図12(c)に示すマスクでは、クラッド15の部分の透過率は約100%である。また、図12(c)に示すマスクでは、コア14の部分の透過率は約50%である。また、図12(c)に示すマスクでは、中継部16の形成部分(コア14の交差部分)には同心円状に濃淡が設けられる。例えば、中継部16に対応するマスク上の領域(以下、マスク上の中継部16の部分とも称する)は、透過率が直線的な勾配で中心部から外縁に向かうにつれて高くなるように形成される。マスク上の中継部16の部分では、例えば、中心部の透過率が約0%であり、外縁の透過率が約50%(コア14の部分と同じ透過率)である。
【0048】
次に、光導波路配線のパターンが転写された基板本体1aを約300℃で熱処理することで、光導波路配線層12を得る(図12(d)参照)。例えば、光導波路配線層12の厚さは約35μmである。
【0049】
次に、光導波路配線層12の上に上部クラッド層13を形成する(図12(e)参照)。上部クラッド層13の形成方法は、下部クラッド層11の形成方法(図12(a))とほぼ同様であるので重複説明を省略する。例えば、上部クラッド層13の厚さは約20μmである。
【0050】
以上により、上記の構成例(3)に対応する光導波路デバイスを得ることができる。図12に示す製造方法では、フォトリソグラフィによる簡易なプロセスで光導波路デバイスを製造できる。
【0051】
例えば、図12の製造方法で得た光導波路デバイスでは、クラッド15の屈折率は約1.65となり、コア14の屈折率は約1.67となり、中継部16の屈折率は約1.67〜約1.70となる。また、中継部16は、半径方向に屈折率の勾配を有しており、中継部16の中央部の屈折率(約1.70)は、中継部16の外縁部の屈折率(約1.67)よりも高くなっている。なお、図12に示す製造方法によれば、下部クラッド層11、光導波路配線層12、上部クラッド層13は、同一の感光性樹脂材料で形成される。すなわち、下部クラッド層11、上部クラッド層13、クラッド15、コア14、中継部16は、同一の感光性樹脂材料で形成される。
【0052】
図13は、光導波路デバイスの製造方法の別例を模式的に示している。光導波路デバイスの製造方法の別例では、露光により屈折率が上昇する感光性樹脂材料を使用して光導波路デバイスを製造する。例えば、脂環式エポキシ基を含むバインダに、エチレン性不飽和基を含む重合性モノマと、光重合開始剤および硬化剤とを添加した感光性樹脂材料(脂環式エポキシ組成物)を、光導波路デバイスの製造に用いればよい。上記の脂環式エポキシ組成物は、特開平9−157352公報の実施例1の開示に従って得ることができる。
【0053】
また、上記の脂環式エポキシ組成物は、紫外線照射により屈折率が上昇することが知られている。例えば、上記の脂環式エポキシ組成物に対して低圧UVランプ(UL06DG)で波長185nmの光を約1J/cm2照射すると、屈折率(測定波長850nm)が約1.60から約1.65まで上昇する。
【0054】
まず、図13(a)に示すように、基板本体1aに下部クラッド層11を形成する。例えば、スピンコートにより、基板本体1a上に上記の脂環式エポキシ組成物を塗布する。そして、脂環式エポキシ組成物を塗布した基板本体1aに、光を照射せずに約120℃で熱処理することで、基板本体1aに下部クラッド層11が形成される。例えば、下部クラッド層11の厚さは約20μmである。
【0055】
次に、図13(b)に示すように、下部クラッド層11の上に、例えば、スピンコートにより、上記の脂環式エポキシ組成物を塗布する。
【0056】
次に、図13(c)に示すように、下部クラッド層11の上に塗布された脂環式エポキシ組成物に対して、光導波路配線のパターンを露光する。例えば、基板上の脂環式エポキシ組成物に対して、光導波路配線のパターンを形成したマスクを介して、低圧UVランプで波長185nmの光を約1J/cm2照射する。かかるフォトリソグラフィによって、光導波路配線のパターンが基板側に転写される。
【0057】
例えば、図13(c)に示すマスクでは、クラッド15の部分の透過率は約0%である。また、図13(c)に示すマスクでは、コア14の部分の透過率は約50%である。また、図13(c)に示すマスクでは、中継部16の形成部分(コア14の交差部分)には同心円状に濃淡が設けられる。例えば、マスク上の中継部16の部分は、透過率が直線的な勾配で中心部から外縁に向かうにつれて低くなるように形成される。マスク上の中継部16の部分では、例えば、中心部の透過率が約100%であり、外縁の透過率が約50%(コア14の部分と同じ透過率)である。
【0058】
次に、光導波路配線のパターンが転写された基板本体1aを約120℃で熱処理することで、光導波路配線層12を得る(図13(d)参照)。例えば、光導波路配線層12の厚さは約35μmである。
【0059】
次に、光導波路配線層12の上に上部クラッド層13を形成する(図13(e)参照)。上部クラッド層13の形成方法は、下部クラッド層11の形成方法(図13(a))とほぼ同様であるので重複説明を省略する。例えば、上部クラッド層13の厚さは約20μmである。
【0060】
以上により、上記の構成例(3)に対応する光導波路デバイスを得ることができる。図13に示す製造方法では、フォトリソグラフィによる簡易なプロセスで光導波路デバイスを製造できる。
【0061】
例えば、図13の製造方法で得た光導波路デバイスでは、クラッド15の屈折率は約1.60となり、コア14の屈折率は約1.62となり、中継部16の屈折率は約1.62〜約1.65となる。また、中継部16は、半径方向に屈折率の勾配を有しており、中継部16の中央部の屈折率(約1.65)は、中継部16の外縁部の屈折率(約1.62)よりも高くなっている。なお、図13に示す製造方法によれば、下部クラッド層11、光導波路配線層12、上部クラッド層13は、同一の感光性樹脂材料で形成される。すなわち、下部クラッド層11、上部クラッド層13、クラッド15、コア14、中継部16は、同一の感光性樹脂材料で形成される。
【0062】
ここで、上記の構成例(2)の光導波路デバイスは、図12または図13の例とほぼ同様の方法で製造できる。図12の例により上記の構成例(2)の光導波路デバイスを製造する場合、マスク上で中継部16の位置の透過率を約50%より低い値で略均一にすればよい。同様に、図13の例により上記の構成例(2)の光導波路デバイスを製造する場合、マスク上で中継部16の位置の透過率を約50%より高い値で略均一にすればよい。
【0063】
あるいは、脂環式エポキシ組成物を用いて、上記の構成例(2)の光導波路デバイスを製造する場合、図13(c)において、フォトリソグラフィによりコア14のパターンのみを予め露光してもよい。その後、屈折率が上昇したコア14の交差部分に対して、中継部16の形状に収束させたビームを照射して中継部16を形成してもよい。
【0064】
なお、図3、図7、図8に示す光導波路デバイスを製造する場合、上記の構成例(2)の製造方法において、マスク上の中継部16の部分の形状を変化させればよい。
【0065】
図14は、構成例(2)でのシミュレーション結果を示している。なお、図14は、光が伝搬されるコア14に交差するコア14の本数(交差本数)と光損失(交差損失)との関係を示している。図の横軸は交差本数を示し、縦軸は交差損失(単位はdB)を示している。図中の四角形は、光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成された中継部16を有する構成例(2)のシミュレーション結果を示している。また、図中の円形は、中継部16が形成されない単純交差により配線された比較例を示している。以下にシミュレーション条件を示す。
【0066】
シミュレーション手法は、光線追跡法である。シミュレーションモデルは、3次元空間内のチャネル導波路である。各コア14の断面は、いずれも幅35μm×厚さ35μmの矩形状である。光が伝搬されるコア14に交差するコア14の間隔は、250μmである。クラッド15の屈折率は1.63であり、コア14の屈折率は1.67である。また、構成例(2)の中継部16の屈折率は、1.70である。
【0067】
構成例(2)および比較例とも、交差損失は、交差本数(交差部の数)の増加にともない、増加する。構成例(2)では、交差部1箇所当たりの損失は、約0.10dBである。一方、比較例では、交差部1箇所当たりの損失は、約0.18dBである。このように、構成例(2)では、交差部1箇所当たりの損失は、比較例(中継部16なし)に比べて低減する。
【0068】
図15は、実施例の概要を示している。まず、実施例1について説明する。実施例1では、図12に示す製造方法にしたがって、φ4インチのSiウエハ上に評価用の光導波路配線を形成している。実施例1の光導波路配線は、一本のコア14(配線長約20mm)の中心部約5mmの範囲に、約0.25mm間隔で20本のコア14がそれぞれ直交するパターンである。各コア14の断面は、いずれも幅約35μm×厚さ約35μmの矩形状である。コア14の交差部分にはそれぞれ中継部16が形成されている。クラッド15の屈折率は約1.65であり、コア14の屈折率は約1.67である。中継部16の屈折率の勾配は約1.67〜約1.70の範囲である。
【0069】
なお、比較例1Aおよび比較例1Bは、実施例1の比較例である。例えば、比較例1Aは、中継部16がない点を除いて実施例1と同じ構成の光導波路配線である。また、比較例1Bは、交差のない直線光導波路(幅約35μm×厚さ約35μm)である。なお、比較例1Aおよび比較例1Bは、いずれも実施例1と同じ製造工程下で形成されている。
【0070】
実施例1、比較例1Aおよび比較例1Bの各評価サンプルは、ダイシングソーで基板を約20mm角に切り出すことで得られる。そして、各評価サンプルでの光損失は、例えば、パワーメータを用いて測定される。各評価サンプルの入射側では、コア径φ50μmのGI型石英ファイバをバットジョイントで接続して光源の光を導入する。光源には、波長850nmのLED光を用いている。一方、各評価サンプルの出射側では、コア径φ100μmのGI型石英ファイバを介して、パワーメータが接続される(図15参照)。
【0071】
パワーメータでの測定の結果では、実施例1の評価サンプルでの損失は約3.3dBである。一方、比較例1Aの評価サンプルでの損失は約9.6dBであり、比較例1Bの評価サンプルでの損失は約1.0dBである。したがって、比較例1Aでの交差部1箇所当たりの損失は約0.43dBである。なお、実施例1での交差部1箇所当たりの損失は約0.12dBである。このように、実施例1では、交差部1箇所当たりの損失は、比較例1Aに比べて低減する。
【0072】
次に、実施例2について説明する。実施例2では、図13に示す製造方法にしたがって、上記の実施例1と同形状の評価サンプルを形成している。また、比較例2Aの評価サンプル(比較例1Aに対応)と、比較例2Bの評価サンプル(比較例1Bに対応)とを、それぞれ実施例2と同じ製造工程下で形成している。
【0073】
そして、実施例1と同じ測定条件により、実施例2、比較例2Aおよび比較例2Bの各評価サンプルでの光損失を測定している。パワーメータでの測定の結果では、実施例2の評価サンプルでの損失は約4.5dBである。一方、比較例2Aの評価サンプルでの損失は約10.6dBであり、比較例2Bの評価サンプルでの損失は約2.4dBである。したがって、比較例2Aでの交差部1箇所当たりの損失は約0.41dBである。なお、実施例2での交差部1箇所当たりの損失は約0.11dBである。このように、実施例2では、交差部1箇所当たりの損失は、比較例1Aに比べて低減する。
【0074】
ここで、比較例1Aおよび比較例2Aでの交差部1箇所当たりの損失(約0.43dB、約0.41dB)が図14に示した比較例の結果(約0.18dB)に比べて大きいのは、評価サンプルの加工精度によるものと考えられる。例えば、シミュレーションでは、交差部周辺のコア14は、理想的な形状(例えば、交差部のコア14の角が90度)である。これに対し、評価サンプルでは、交差部のコア14の角が90度に形成されずに、光が漏れやすい形状になっていると考えられる。なお、実施例1および実施例2では、比較例1Aおよび比較例2Aとそれぞれ同じ製造工程下で形成されたにもかかわらず、交差部1箇所当たりの損失が低減される。すなわち、この実施形態では、例えば、図12および図13に示した簡易なプロセスで、交差部1箇所当たりの損失を低減した光導波路デバイスを製造できる。
【0075】
なお、上記の実施形態では光導波路6(より詳細には、コア14)が略直交している構成例を説明した。しかし、光導波路6が他の角度で交差している場合にも、上記実施形態の中継部16の構成を応用できることはいうまでもない。
【0076】
また、上記の実施形態では2つの光導波路6が交差する場合の構成例を説明した。しかし、光導波路6が3つ以上交差している場合にも、上記実施形態の中継部16の構成を応用することができる。一例として、図16は、同一平面上で3つの光導波路6が交差している場合の構成例を示している。図16の例では、中継部16の構成は上記の構成例(2)と同じである。なお、3つ以上の光導波路6を1点で立体的に交差させる場合には、中継部16を球状に形成すればよい。
【0077】
また、図3、図7、図8の各例においても、上記の構成例(3)と同様に、中継部16に屈折率の勾配を付与してもよい。上記の場合において、中継部16の中央部の屈折率は、中継部16の外縁部の屈折率よりも高くしてもよい。上記の場合において、中継部16で屈折率の異なる部分が同心状に配置されてもよい。
【0078】
以上、この実施形態では、光導波路デバイスは、光導波路6の交差部分に配置された中継部16を有している。したがって、この実施形態では、中継部16で光を屈折させることができ、交差する別の光導波路6への光の漏れを抑制できる。また、この実施形態では、例えば、光導波路6を拡幅する場合と比べて、中継部16のサイズを比較的小さくできる。この結果、この実施形態では、光導波路6の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供できる。
【0079】
図17は、別の実施形態における光導波路デバイスでの光導波路配線の構成例を模式的に示す平面図である。なお、図17は、光導波路6の出力端周辺を拡大して示している。また、図17では、光導波路6を伝搬する光の光路を一点鎖線で模式的に示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態の光導波路デバイスは、光導波路6の出力端に配置された中継部16を有している。その他の構成は、上述した実施形態と同じである。また、この実施形態の光導波路デバイスが搭載される電子機器は、上述した実施形態と同じである。なお、この実施形態では、中継部16は、光導波路6の交差部分に配置されてもよいし、光導波路6の交差部分に配置されなくてもよい。また、この実施形態では、光導波路配線は、光導波路6が交差する交差部分を含んで形成されてもよいし、光導波路6を交差させずに形成されてもよい。
【0080】
光導波路6の出力端は、光を出射する側の端部(図18に示す出射面20側の端部)であり、例えば、図1に示した光コネクタ4内に形成される。そして、光導波路6の出力端は、例えば、図2に示したバックボード101の光コネクタ内に形成された光導波路103に、マッチングオイル等を介して接続される。
【0081】
中継部16は、例えば、コア14側から中継部16に入射する光束を収束させる。なお、中継部16は、中継部16で収束させた光束が光導波路103に接続される出力端の面(例えば、図18に示す出射面20)に到達するまでに発散しないように、出力端に配置される。例えば、中継部16は、光導波路103に接続される出力端の面と中継部16との距離D1が中継部16の幅D2以下になるように、出力端に配置される。
【0082】
すなわち、光導波路6は、光信号を導くコア14と、コア14の外側に形成されたクラッド15と、光信号を出射する出力端に配置された中継部16とを有している。なお、中継部16の屈折率は、コア14よりも高く、略均一である。一例として、図17に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率を約1.70としてもよい。また、他の例として、図17に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率を約1.65としてもよい。
【0083】
また、例えば、平面方向(図17)からみて、中継部16の外縁は、コア14に内接する円と略一致している。すなわち、平面方向(図17)からみて、光導波路6での中継部16とコア14との境界は、いずれもコア14側に向けて凸となる球面形状に形成される。よって、中継部16は、例えば、コア14側から中継部16に入射する光束を収束させる凸レンズとして作用する。したがって、この実施形態では、出力端に配置された中継部16で光が収束されるので、出力端から出射される光の漏れを抑制できる。すなわち、図17の例では、光導波路6と光導波路103とを接続する接続部で発生する結合損失が抑制される。また、この実施形態では、コア14の幅の平方に近いサイズで中継部16を配置できるので、例えば、図1に示した光コネクタ4内に中継部16を容易に実装できる。
【0084】
ここで、中継部16の形状(平面方向からみた形状)は、図17の例(球面形状)に限定されない。例えば、中継部16の形状(平面方向からみた形状)は、図7および図8に示した形状(コア14側に向けて凸となる形状)でもよい。
【0085】
図18は、図17に示した光導波路配線の概要を示す分解斜視図である。光導波路6は、例えば、基板本体1aの上に形成された下部クラッド層11と、下部クラッド層11の上に形成された光導波路配線層12と、光導波路配線層12の上に形成された上部クラッド層13とを有している。例えば、下部クラッド層11および上部クラッド層13の厚さは、約20μmである。また、光導波路配線層12の厚さは、例えば、約35μmである。
【0086】
光導波路配線層12には、光信号を導くコア14と、コア14の外側に形成されたクラッド15と、中継部16とがそれぞれ形成されている。コア14の延長方向と略直交する断面方向からみて、コア14は例えば略矩形状に形成されている。光導波路配線層12のコア14の幅は、例えば、約35μmである。また、光を出射する出射面20から中継部16までの距離D1は、例えば、中継部16の幅D2以下である。
【0087】
図18に示すように、コア14の外周は、下部クラッド層11、上部クラッド層13、光導波路配線層12のクラッド15によって覆われている。下部クラッド層11、上部クラッド層13、光導波路配線層12のクラッド15は、それぞれコア14よりも屈折率が低い。よって、光導波路6へ入射する光は、全反射によりコア14に閉じこめられた状態で光導波路6を伝搬する。
【0088】
図19は、図17に示した光導波路配線の変形例を示す平面図である。図19では、光導波路6を伝搬する光の光路を一点鎖線で模式的に示している。図19の例では、平面方向からみて、中継部16の中央部の屈折率は、中継部16の外縁部の屈折率よりも高くなっている。その他の構成は、図17および図18に示した光導波路6の構成と同じである。例えば、中継部16は、光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成されている。なお、図19では、中継部16の屈折率の変化を網掛けの濃淡で模式的に示している。なお、中継部16以外の領域(例えば、クラッド15)の網掛けの濃さは、中継部16の屈折率の変化を模式的に示す網掛けの濃淡とは関係ない。
【0089】
中継部16は、例えば、外縁から中央へ屈折率が高くなるように、屈折率の勾配を半径方向に有している。平面方向(図19)からみて、中継部16で屈折率の同じ領域は同心円状に分布するとともに、中継部16の中央に近い領域ほど屈折率は高くなる。例えば、光導波路配線層12の屈折率分布は、図11と同じ(直線的な勾配)である。なお、中継部16の屈折率分布は、屈折率の勾配が半径方向に階段状または非線形で変化するものであってもよい。
【0090】
一例として、図19に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率の勾配を約1.67〜約1.70の範囲としてもよい。また、他の例として、図19に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率の勾配を約1.62〜約1.65の範囲としてもよい。
【0091】
図19に示した構成では、中継部16およびコア14の境界の形状と、中継部16内での屈折率の勾配とによって、中継部16が、コア14から入射する光を収束させる凸レンズとして作用する。そのため、図19に示した構成では、図17に示した構成と比べて、出力端から出射される光の漏れをより抑制できる。
【0092】
また、図19に示した構成では、外縁から中央に屈折率が高くなるように中継部16内で屈折率の勾配がある。したがって、コア14から中継部16にかけて屈折率差の大きな箇所がなくなり、中継部16での光の反射が極めて少なくなる。よって、中継部16での反射による光信号の損失が抑制される。
【0093】
図20は、図17に示した光導波路配線の別の変形例を示す平面図である。図20では、光導波路6を伝搬する光の光路を一点鎖線で模式的に示している。図20の例では、中継部16は、図18に示した出射面20に接して配置されている。さらに、中継部16の形状(平面方向からみた形状)は、コア14側に向けて凸となる略半円である。その他の構成は、図17および図18に示した光導波路6の構成と同じである。例えば、中継部16の屈折率は略均一である。
【0094】
一例として、図20に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.65とし、コア14の屈折率を約1.67とし、中継部16の屈折率を約1.70としてもよい。また、他の例として、図20に示した構成では、クラッド15の屈折率を約1.60とし、コア14の屈折率を約1.62とし、中継部16の屈折率を約1.65としてもよい。
【0095】
ここで、図17−図20に示した光導波路デバイスは、図12または図13の例とほぼ同様の方法で製造できる。なお、図12および図13に示した製造方法によれば、下部クラッド層11、光導波路配線層12、上部クラッド層13は、同一の感光性樹脂材料で形成される。すなわち、下部クラッド層11、上部クラッド層13、クラッド15、コア14、中継部16は、同一の感光性樹脂材料で形成される。
【0096】
図12の例により図17に示した光導波路デバイスを製造する場合、マスク上の中継部16の部分を、光導波路6の出力端に対応する位置に、透過率を約50%より低い値で略均一に形成すればよい。同様に、図13の例により図17に示した光導波路デバイスを製造する場合、マスク上の中継部16の部分を、光導波路6の出力端に対応する位置に、透過率を約50%より高い値で略均一に形成すればよい。
【0097】
また、例えば、図19に示した光導波路デバイスを製造する場合、図12または図13に示した製造方法において、マスク上の中継部16の部分を光導波路6の出力端に対応する位置に形成すればよい。また、例えば、図20に示した光導波路デバイスは、図17に示した光導波路デバイスと同様の製造方法で、マスク上の中継部16の部分の形状および位置を変化させることにより製造できる。
【0098】
なお、図17−図20に示した実施形態では、光を出射する出射面20から中継部16までの距離D1が中継部16の幅D2以下である例を説明した。しかし、光を出射する出射面20から中継部16までの距離D1は、出射面20の外縁方向に漏れる光を低減できれば、中継部16の幅D2より大きくてもよい。
【0099】
また、図17−図20に示した実施形態では、平面方向からみた中継部16がコア14に内接する例を説明した。しかし、中継部16は、平面方向からみて、コア14の幅より大きく形成されてもよい。
【0100】
また、図17−図19に示した実施形態では、中継部16が光導波路配線層12と略同じ厚さの円筒形状に形成される例を説明した。しかし、中継部16は、球状に形成されてもよい。同様に、図20に示した中継部16は、半球状に形成されてもよい。
【0101】
また、図20の例においても、図19の例と同様に、中継部16に屈折率の勾配を付与してもよい。例えば、図20の例において、図19の中継部16を略半円形状にした中継部16が図20の中継部16の代わりに配置されてもよい。
【0102】
以上、この実施形態では、光導波路デバイスは、光導波路6の出力端に配置された中継部16を有している。したがって、この実施形態では、中継部16で光を屈折させることができ、出力端から出射される光の漏れを抑制できる。すなわち、この実施形態では、結合損失を抑制できる。また、この実施形態では、例えば、光導波路6を拡幅する場合と比べて、中継部16のサイズを比較的小さくできる。この結果、この実施形態では、光導波路6の高密度配線に適した光導波路デバイスを提供できる。
【0103】
以上の実施形態において説明した発明を整理して、付記として開示する。
(付記1)
光導波路が交差する光導波路配線と、
前記光導波路の交差部分に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記2)
付記1に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路での前記中継部と前記コアとの境界が、前記コア側に向けて凸となる曲線状に形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記3)
付記1または付記2に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記中継部の中央部の屈折率は、前記中継部の外縁部の屈折率よりも高いことを特徴とする光導波路デバイス。
(付記4)
付記1から付記3のいずれか1項に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路は、前記コアの外周を覆うとともに前記コアよりも屈折率が低いクラッドをさらに含み、
前記コア、前記クラッドおよび前記中継部が同一の材料で形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記5)
光を出射する出射面を有する光導波路と、
前記出射面側の端部に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記6)
付記5に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路での前記中継部と前記コアとの境界が、前記コア側に向けて凸となる曲線状に形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記7)
付記5または付記6に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記中継部の中央部の屈折率は、前記中継部の外縁部の屈折率よりも高いことを特徴とする光導波路デバイス。
(付記8)
付記5から付記7のいずれか1項に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記出射面から前記中継部までの距離は、前記中継部の幅以下であることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記9)
付記5から付記8のいずれか1項に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路は、前記コアの外周を覆うとともに前記コアよりも屈折率が低いクラッドをさらに含み、
前記コア、前記クラッドおよび前記中継部が同一の材料で形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
(付記10)
光導波路デバイスを有する電子機器であって、
前記光導波路デバイスは、
光導波路が交差する光導波路配線と、
前記光導波路の交差部分に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
(付記11)
光導波路デバイスを有する電子機器であって、
前記光導波路デバイスは、
光を出射する出射面を有する光導波路と、
前記出射面側の端部に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
(付記12)
露光によって屈折率の変化する感光材料の層を形成し、
光導波路が交差する光導波路配線と、前記光導波路の交差部分に、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを、前記感光材料の層を露光することにより形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
(付記13)
付記12に記載の光導波路デバイスの製造方法において、
前記光導波路配線と前記中継部とは、局所的に光透過率が異なるマスクを用いて前記感光材料の層を露光することで形成されることを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
(付記14)
露光によって屈折率の変化する感光材料の層を形成し、
光を出射する出射面を有する光導波路と、前記光導波路の前記出射面側の端部に、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを、前記感光材料の層を露光することにより形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
(付記15)
付記14に記載の光導波路デバイスの製造方法において、
前記光導波路と前記中継部とは、局所的に光透過率が異なるマスクを用いて前記感光材料の層を露光することで形成されることを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【0104】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…基板;1a…基板本体;2…LSI;3…光送受信器;4…光コネクタ;5…電気配線;6…光導波路;11…下部クラッド層;12…光導波路配線層;13…上部クラッド層;14…コア;15…クラッド;16…中継部;20…出射面;100…ブレード;101…バックボード;102…光配線;103…光導波路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路が交差する光導波路配線と、
前記光導波路の交差部分に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路での前記中継部と前記コアとの境界が、前記コア側に向けて凸となる曲線状に形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記中継部の中央部の屈折率は、前記中継部の外縁部の屈折率よりも高いことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路は、前記コアの外周を覆うとともに前記コアよりも屈折率が低いクラッドをさらに含み、
前記コア、前記クラッドおよび前記中継部が同一の材料で形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項5】
光を出射する出射面を有する光導波路と、
前記出射面側の端部に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記中継部の中央部の屈折率は、前記中継部の外縁部の屈折率よりも高いことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記出射面から前記中継部までの距離は、前記中継部の幅以下であることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項8】
光導波路デバイスを有する電子機器であって、
前記光導波路デバイスは、
光導波路が交差する光導波路配線と、
前記光導波路の交差部分に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
露光によって屈折率の変化する感光材料の層を形成し、
光導波路が交差する光導波路配線と、前記光導波路の交差部分に、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを、前記感光材料の層を露光することにより形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の光導波路デバイスの製造方法において、
前記光導波路配線と前記中継部とは、局所的に光透過率が異なるマスクを用いて前記感光材料の層を露光することで形成されることを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【請求項1】
光導波路が交差する光導波路配線と、
前記光導波路の交差部分に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路での前記中継部と前記コアとの境界が、前記コア側に向けて凸となる曲線状に形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記中継部の中央部の屈折率は、前記中継部の外縁部の屈折率よりも高いことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路は、前記コアの外周を覆うとともに前記コアよりも屈折率が低いクラッドをさらに含み、
前記コア、前記クラッドおよび前記中継部が同一の材料で形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項5】
光を出射する出射面を有する光導波路と、
前記出射面側の端部に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記中継部の中央部の屈折率は、前記中継部の外縁部の屈折率よりも高いことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の光導波路デバイスにおいて、
前記出射面から前記中継部までの距離は、前記中継部の幅以下であることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項8】
光導波路デバイスを有する電子機器であって、
前記光導波路デバイスは、
光導波路が交差する光導波路配線と、
前記光導波路の交差部分に配置され、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
露光によって屈折率の変化する感光材料の層を形成し、
光導波路が交差する光導波路配線と、前記光導波路の交差部分に、前記光導波路のコアよりも屈折率が高い中継部とを、前記感光材料の層を露光することにより形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の光導波路デバイスの製造方法において、
前記光導波路配線と前記中継部とは、局所的に光透過率が異なるマスクを用いて前記感光材料の層を露光することで形成されることを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−227439(P2011−227439A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226240(P2010−226240)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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