説明

光屈曲シート

【課題】輝度低下や輝度ムラを生じずに光の向きを変えることができ、例えばエッジライト型バックライトにおいてプリズムシートの代わりに使用できる光屈曲シートの提供。
【解決手段】一方の層表面11aから入射した入射光の向きを変えて、他方の層表面11bから射出する光屈曲層11を備えた光屈曲シート10であって、光屈曲層11は、層表面11a,11bに交差する向きに互いに略平行に配置され、その一方の膜面14aで入射光を反射させる複数の光反射膜14と、該光反射膜14同士の間に配置された光透過層15とを有して形成され、光反射膜の他方の膜面には、遮光膜が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用のエッジライト型バックライトなどに好適に使用される光屈曲シートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートパソコンなどに使用される液晶ディスプレイは、通常、多数の液晶セルと偏光板などから構成される液晶パネルと、これを背面側から照らすバックライトとを備えて構成されている。
バックライトには、光源が液晶パネルの直下(背面側)に配置された直下型バックライトと、光源が液晶パネルの斜め下方に配置されたエッジライト型バックライトとがあり、より薄型化が求められる用途にはエッジライト型バックライトが使用される場合が多い。
【0003】
図6は、従来のエッジライト型バックライト50を備えた液晶ディスプレイ60の一例について、その要部を示すものであって、液晶パネル61の背面側に、くさび形の導光板62と、この導光板62の厚肉端部側に配置され、導光板62に向けて光を射出するLED、冷陰極管などの光源63の他、反射板64と、拡散フィルム65と、多数のプリズムが形成された上向きのプリズムシート66とを備えたエッジライト型バックライト50が配置されたものである。
この例の液晶ディスプレイ60においては、光源63から射出された光は導光板62の厚肉端部から入射し、導光板62の図中上面から拡散フィルム65に射出され、拡散フィルム65を通った後、プリズムシート66によって液晶パネル61に対して略垂直の向きとなるようにその向きが変えられ、液晶パネル61を背面側から照射するようになっている。
【0004】
ところが、プリズムシート66を使用して光の向きを変えた場合には、照射対象物である液晶パネル61に輝度ムラが生じてしまうという問題があった。
すなわち、図7に模式的に示すように、このようなプリズムシート66によれば、各プリズムに形成されている2つの斜面66a,66bで光を屈折させることができる。しかしながら実際には、入射する光は、その向きから、大部分が光源63から遠い側の斜面66aに当たって屈折し、光源63に近い側の斜面66bにはほとんど当たらない。そのため、液晶パネル61において、光源63から遠い側の斜面66aに対応する部分Aの輝度は高く、光源63に近い側の斜面66bに対応する部分Bの輝度は低くなるという輝度ムラが生じる。
【0005】
液晶パネル61の輝度ムラを解消するためには、プリズムシート66と液晶パネル61との間にも拡散フィルムを配置する方法がある。ところが、拡散フィルムを使用すると、不要な方向にまで光が拡散されてしまい、輝度が低下してしまうという新たな問題が生じた。
【0006】
また、プリズムシートとしては、各プリズムが下向きに形成されたものもあるが、このような下向きのプリズムシートを使用した場合でも、上述の上向きのプリズムシート66を使用した場合と同様に、光源から遠い側の斜面に当たる光と、光源に近い側の斜面に当たる光との比率が異なることに起因して、同様の輝度ムラの問題が生じる。
【0007】
このような問題を解消する方法としては、図8に示すように、反射層71と透明層72とが交互に設けられた特許文献1に開示の微細すだれ状シート70をプリズムシートの代わりに配置する方法も考えられる。このシート70を使用すると、液晶パネル61には、反射層71に反射された光がムラなく照射されると期待される。
【特許文献1】特開昭62−904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような微細すだれ状シートをプリズムシートの代わりに使用した場合、液晶パネルの輝度ムラは解消できたとしても、やはり輝度が低下してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、輝度低下や輝度ムラを生じずに光の向きを変えることができ、例えば、エッジライト型バックライトにおいてプリズムシートの代わりに好適に使用できる光屈曲シートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は鋭意検討した結果、特許文献1に記載の微細すだれ状シートでは、光が反射層で十分には反射せず、反射層を透過してしまうことが輝度低下の原因であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の光屈曲シートは、一方の層表面から入射した入射光の向きを変えて、他方の層表面から射出する光屈曲層を備えた光屈曲シートであって、前記光屈曲層は、前記層表面に交差する向きに互いに略平行に配置され、その一方の膜面で入射光を反射させる複数の光反射膜と、該光反射膜同士の間に配置された光透過層とを有して形成され、前記光反射膜の他方の膜面には、遮光膜が設けられていることを特徴とする。
前記光反射膜は、金属薄膜からなり、前記光透過層は、前記金属薄膜を支持するための支持層と、該支持層に一体化された光透過層本体との2層からなることが好ましい。
本発明の光屈曲シートは、液晶ディスプレイ用のエッジライト型バックライトへの使用に好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輝度低下や輝度ムラを生じずに光の向きを変えることができ、例えば、エッジライト型バックライトにおいてプリズムシートの代わりに好適に使用できる光屈曲シートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、光屈曲層11と、その両面に設けられた第1の保護層12および第2の保護層13とから構成された本発明の一例の光屈曲シート10を概略的に示すものである。
この例の光屈曲シート10は、図1(b)に示すように、第1の保護層12を透過し、光屈曲層11にその一方の層表面(入射面)11aから入射角βで入射した入射光の向きを変えて、他方の層表面(射出面)11bから射出するものであって、射出光は第2の保護層13を透過して光屈曲シート10から出て、例えば、第2の保護層13に対向するように配置された図示略の液晶パネルなどを照射可能になっている。
【0013】
第1の保護層12および第2の保護層13は、光屈曲層11を保護するためのものであって、その材料には、透明性の高い熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用される。樹脂のなかでも、保護層単体としての全光線透過率が70%以上となるようなものが好適に使用され、具体的には、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられるが、透明性と耐熱性の点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、シクロオレフィンポリマー)、セルロース系樹脂が好ましく、中でもポリカーボネート樹脂およびポリエステル系樹脂がより好ましい。
【0014】
各保護層12,13の厚さには特に制限はないが、薄すぎると十分な保護機能が得られず、厚いほど全光線透過率が低下することから、0.01〜0.5mmが好ましく、0.1〜0.2mmがより好ましい。
【0015】
なお、本明細書における「全光線透過率」の値は、JIS K 7361−1に準じて測定されたものである。
【0016】
光屈曲層11は、複数の光反射膜14と複数の光透過層15とを交互に有して形成されている。
光反射膜14は、光屈曲層11の層表面11a,11bに対して、図中αの交差角(入射面11aおよび射出面11bに直交する線(法線)に対しての角度)で交差する向きに、互いに略平行、かつ、一定間隔で配置されていて、その一方の膜面(以下、反射面という場合もある。)14aで入射光を反射させるものである。光反射膜14は、光を効果的に反射させる必要があるため、蒸着法、メッキ法などの方法で形成された金属薄膜からなることが好ましい。金属の種類としては、アルミニウム、銀、ニッケル、インジウム、クロム、亜鉛などが好適に使用できる。金属薄膜の厚さには特に制限はないが、蒸着法、メッキ法で形成されるものであれば、通常、10nm〜1μmである。
【0017】
光透過層15は、光反射膜14同士の間に設けられ、反射面14aでの反射前後の光を透過させるものである。光透過層15には、先に例示した保護層12,13に好適に使用される透明性の高い樹脂を同様に使用できる。
光透過層15は、単層でも多層でもよいが、光反射膜14が蒸着法やメッキ法などで形成された金属薄膜からなる場合には、良好な金属薄膜を形成しやすいことから、図2に拡大して示すように、金属薄膜からなる光反射膜14をその反射面14a側で支持する支持層15aと、この支持層15aに一体化された光透過層本体15bとの2層構造とすることが好ましい。光透過層15をこのような2層構造とする場合には、詳しくは後述するように、支持層15aとなる樹脂シートを用意し、その一方の面に、金属薄膜を蒸着法、メッキ法などで形成し、その後、他方の面に光透過層本体15bをなす樹脂を一体化させる方法により、光透過層15と金属薄膜からなる光反射膜14とを形成できる。このような方法で形成される金属薄膜は平面度が高く、光をより均一な方向に反射できる。
【0018】
また、このように光透過層15を2層構造とする場合には、支持層15aは、その単体としての全光線透過率が70%以上であることが好ましい。このような観点から、支持層15aに使用される樹脂シートとしては、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる樹脂シートが好ましく、特に、曲げ弾性率の点から、ポリエステル系樹脂シートが好ましい。
【0019】
光透過層本体15bには、光透過層本体15b単体としての全光線透過率が75%以上、好ましくは85%以上となるような樹脂が好適に使用でき、保護層12,13に好適に使用されるものと同様のものを使用できるが、なかでもシリコーン樹脂が好ましく、特に耐熱性の点でシリコーンゴムが好ましい。
なお、第1の保護層12、第2の保護層13、支持層15a、光透過層本体15bには、同じ種類の樹脂を使用してもよいし、異なる種類の樹脂を使用してもよい。
【0020】
そして、この光屈曲シート10においては、図2に示すように、各光反射膜14の他方の膜面(以下、裏面という場合もある。)14bに、白色塗料が塗工された遮光膜16が設けられている。
このような遮光膜16を設けることにより、入射光の一部が光反射膜14を透過してしまう現象を抑制でき、反射面14aにおける入射光の反射率を高めることができる。その結果、輝度低下を生じることなく光の向きを変えることが可能な光屈曲シート10を提供することができる。
【0021】
このような遮光膜16は、白色フィラーとバインダーと溶媒とを含有する塗工液を光反射膜14の裏面14bに塗布することで形成される。
白色フィラーとしては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが使用できる。また、これらは平均粒径が0.1〜5μmであるものが好ましい。バインダーとしては、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂など、各種熱可塑性樹脂や、熱硬化性または紫外線硬化性樹脂などを適宜使用できる。溶媒としては、例えば、炭化水素系、エステル系、ケトン系、アルコール系、多価アルコール誘導体系などの各種溶媒が使用できる。
【0022】
遮光膜16の厚さ(遮光膜16の膜面に対して略垂直方向の厚み)は適宜設定できるが、遮光膜16が設けられた光反射膜14の単体での全光線透過率が0.1%以下となる程度の厚さとされることが好ましく、通常、1〜10μmである。このような範囲であれば、反射率を効果的に向上させることができるとともに、光屈曲層11全体に占める遮光膜16の割合が大きくなりすぎず、得られる光屈曲シート10は、輝度低下をより抑制しつつ光の向きを変えることができる。
【0023】
このような光反射膜14と遮光膜16と光透過層15とを有して形成される光屈曲層11の厚さ(光屈曲シートの厚さ方向の厚み)Dには特に制限はないが、0.05〜0.5mmの範囲が好ましい。光屈曲層11の厚さがこのような範囲であれば、得られる光屈曲シート10の厚さも適当な範囲となり、取扱性が良好であるとともに、薄型のエッジライト型バックライトにも好適に使用できる光屈曲シート10とすることができる。
【0024】
光反射膜14の交差角αは、光の入射角βと光透過層15の屈折率nから、以下の式(1)により決定される。なお、下記式(1)における右辺の分母は1になっているが、これは空気の屈折率である。
sinβ/sin2α=n/1・・・(1)
また、隣り合う光反射膜14の反射面14a間の距離L、厚さDなどの条件も、光の入射角βなどに応じて適宜設定できるが、例えば距離Lが小さすぎると、反射面14aで反射した光が隣りの光反射膜14の遮光膜16に当たってしまい、射出面11bから図中上方向に透過しなくなる。よって、距離L、厚さDなどは、この光屈曲シート10を第1または第2の保護層12,13側から平面視した場合、隣り合う光反射膜14が重なり合わないように設定することが重要である。反対に、距離Lが大きすぎると、入射した光が光反射膜14に当たらず、通り抜ける可能性がある。
【0025】
図3は、図1の光屈曲シート10が使用されたエッジライト型バックライト20を備えた液晶ディスプレイ30の一例について、その要部の構成を模式的に示すものである。
この例では、液晶パネル31の背面側に配置されたエッジライト型バックライト20は、くさび形の導光板21と、この導光板21の厚肉端部側に配置されたLED、冷陰極管などの光源22を備え、さらに、導光板21の背面側に配置された反射板23と、正面側に配置された拡散フィルム24と、拡散フィルム24と液晶パネル31との間に配置された図1の光屈曲シート10とを備えている。
【0026】
このような液晶ディスプレイ30においては、光源22から射出された光は導光板21の厚肉端部から入射し、導光板21の図中上面から射出され、拡散フィルム24を通った後、光屈曲シート10に入射する。そして、光屈曲シート10に入射した入射光は、第1の保護層12を透過して光屈曲層11に入射した後、光透過層15を透過して光反射膜14の反射面14aで反射された後、光屈曲層11から射出され、第2の保護層13を透過して、液晶パネル31を照射する。
この際、この光屈曲シート10においては、光反射膜14の裏面14bに遮光膜16が設けられているため、入射光を高い反射率を反射でき、液晶パネル31には輝度低下が生じない。
また、ここで光屈曲シート10における交差角αや距離Lなどを上述したように設定することにより、輝度低下の問題だけでなく、輝度ムラの問題も生じない。
【0027】
以上説明したような光屈曲シート10は、例えば次のように製造することができる。
まず、光透過層15の支持層15aを構成する材料として樹脂シートを用意し、その片面に、図4に示すように、蒸着法、メッキ法などで金属薄膜からなる光反射膜14を形成する。ついで、形成された光反射膜14に、白色フィラーとバインダーとを少なくとも含有する塗工液を塗布して、遮光膜16を形成し、支持層15a、光反射膜14、遮光膜16が順次形成された中間積層体40を製造する。
そして、このような工程を繰り返し、多数の中間積層体40を製造する。
【0028】
ついで、図5に示すように、1つの中間積層体40の支持層15aの露出面(光反射膜14が形成されていない側の面)に、光透過層本体15bを形成するための熱硬化型の液状のシリコーン樹脂を塗布してから別の中間積層体40を貼り合わせ、加熱および加圧することを繰り返し、複数の中間積層体40が光透過層本体15bを介して一体化したブロック体41を形成する。
このブロック体41は、遮光膜16、光反射膜14、支持層15a、光透過層本体15bからなる積層パターンが繰り返されたものである。また、ここで1つの中間積層体40の厚さと、これに塗布されたシリコーン樹脂の硬化後の厚さとの合計が、光反射膜14間の距離Lに相当する。
【0029】
ついで、このブロック体41を所定の角度で、かつ、所定の間隔となるように、図中、一点鎖線で示すようにスライスすることにより、光屈曲層11が得られる。ここでの所定の角度が図1の交差角αに相当し、所定の間隔が図1のDに相当する。
そして、得られた光屈曲層11の両面に、第1の保護層12および第2の保護層13をとなる樹脂シートを熱硬化型接着剤などで接着し、一体化することにより、光屈曲シート10が得られる。
【0030】
なお、樹脂シートを硬化型接着剤で接着して各保護層12,13を形成する場合には、接着剤として、硬化後における光線透過率が高いものを使用することが好ましい。具体的には、硬化後の接着剤層単体の全光線透率が65%以上であるものが好ましく、80%以上がより好ましい。このような接着剤としては、硬化後に透明性を有する熱硬化型接着剤、多液反応型接着剤、紫外線硬化型接着剤等が挙げられ、具体的にはエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、メラミン系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤等を好適に用いることができる。
【0031】
以上説明したように、このような光屈曲シート10によれば、入射光を効果的に反射させ、輝度低下や輝度ムラ生じずに、照射対象物を照射することができるため、液晶ディスプレイ用のエッジライト型バックライト20において、プリズムシートの代わりに好適に使用できる。また、このような光屈曲シート10を使用すると、輝度ムラが生じないことから、光屈曲シート10と液晶パネル31との間に別途拡散フィルムを設ける必要もなく、より薄型で、不要な方向への光の拡散のない高輝度のエッジライト型バックライト20を提供することができる。
【0032】
なお、以上の例では、光屈曲シート10における光透過層15として支持層15aと光透過層本体15bとからなる2層構造のものを示したが、2層構造には限定されず、1層でもよいし、必要があれば3層以上としてもよい。
さらに、光屈曲層11を保護する観点からは、その両面に第1の保護層12と第2の保護層13とが設けられていることが好ましいが、必ずしも設けられなくてもよいし、さらには、光屈曲層11の作用に悪影響を与えない範囲内で、他の層が設けられていてもよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例]
図1〜2に示すような光屈曲シート10を次のようにして製造した。
まず、支持層15aを構成する材料として厚さ25μmのポリエステルシート(商品名:コスモシャイン、東洋紡(株)製、全光線透過率90%)を用意し、その片面に、蒸着法でアルミニウム薄膜からなる厚さ1000Åの光反射膜14を形成した。
ついで、この光反射膜14に、白色フィラーとして二酸化チタン(平均粒径0.3μm)を含有する塗工液(商品名:スクリーンプロセスインキ「SS66−000」シリーズ、東洋インキ製造(株)製)を塗布して、厚さ3μmの遮光膜16を形成し、遮光膜16、光反射膜14、支持層15aが順次形成された中間積層体40を製造した。
【0034】
ついで、この中間積層体40の支持層15aの露出面に、光透過層本体15bを形成するための熱硬化型の液状のシリコーン樹脂(商品名:KE1825、信越化学工業(株))を75μmの厚みになるように塗布してから、別途製造した中間積層体40をこれに貼り合わせ、120℃の条件で加熱した。なお、別途測定した光透過層本体15b単体での全光線透過率は85%であった。
【0035】
以上の工程を繰り返して、遮光膜16、光反射膜14、支持層15a、光透過層本体15bからなる積層パターンが繰り返されたブロック体41を製造し、ついで、このブロック体41を交差角αが20°となるように180μm間隔でスライスし、厚さDが180μmの光屈曲層11を製造した。なお、この光屈曲層11における距離Lは62μmであった。
その後、得られた光屈曲層11の両面に、熱硬化型の液状のシリコーン樹脂(商品名:KE1825、信越化学工業(株))を塗布後、厚さ0.2mmのポリカポリカーボネートシート(全光線透過率88%)を貼り合わせ、120℃の条件で加熱し、光屈曲層11に第1の保護層12と第2の保護層13とを設けた。
【0036】
このようにして得られた光屈曲シート10を用いて、図3に示すように、エッジライト型バックライト20を構成した。そして、第1の保護層12に対して、入射角βが65°である光を入射させ、第2の保護層12から射出させ、射出光の輝度を輝度計BM−9((株)トプコンテクノハウス製)により測定した。
その結果、輝度は 6000cd/mであり、輝度ムラも観測されなかった。
【0037】
[比較例1]
光屈曲シート10の代わりに、下向きのプリズムシート(商品名:ダイヤアート、三菱レイヨン(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にしてエッジライト型バックライトを構成し、同様にして射出光の輝度を測定した。その結果、輝度は実施例1の輝度の67%程度であるとともに、筋状の輝度ムラも観測された。
【0038】
[比較例2]
光屈曲シート10の代わりに、特許文献1に記載の微細すだれ状シートを使用した以外は実施例1と同様にしてエッジライト型バックライトを構成し、同様にして射出光の輝度を測定した。その結果、輝度は実施例1の輝度の80%程度であり、低輝度であった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の光屈曲シートの一例を示す(a)斜視図と、(b)断面図である。
【図2】図1の光屈曲シートの拡大断面図である。
【図3】図1の光屈曲シートを備えた液晶ディスプレイの要部を示す概略構成図である。
【図4】図1の光屈曲シートの製造方法を説明する説明図である。
【図5】図1の光屈曲シートの製造方法を説明する説明図である。
【図6】従来の液晶ディスプレイの要部を示す概略構成図である。
【図7】図6の液晶ディスプレイに使用されたプリズムシートの作用を説明する説明図である。
【図8】微細すだれ状シートの作用を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0040】
10 光屈曲シート
11 光屈曲層
11a 光屈曲層の一方の層表面(入射面)
11b 光屈曲層の他方の層表面(射出面)
14 光反射膜
14a 光反射膜の一方の膜面(反射面)
14b 光反射膜の他方の膜面(裏面)
15 光透過層
15a 支持層
15b 光透過層本体
16 遮光膜
20 エッジライト型バックライト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の層表面から入射した入射光の向きを変えて、他方の層表面から射出する光屈曲層を備えた光屈曲シートであって、
前記光屈曲層は、前記層表面に交差する向きに互いに略平行に配置され、その一方の膜面で入射光を反射させる複数の光反射膜と、該光反射膜同士の間に配置された光透過層とを有して形成され、
前記光反射膜の他方の膜面には、遮光膜が設けられていることを特徴とする光屈曲シート。
【請求項2】
前記光反射膜は、金属薄膜からなり、
前記光透過層は、前記金属薄膜を支持するための支持層と、該支持層に一体化された光透過層本体との2層からなることを特徴とする請求項1に記載の光屈曲シート。
【請求項3】
液晶ディスプレイ用のエッジライト型バックライトに使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の光屈曲シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−178775(P2007−178775A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378032(P2005−378032)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】