説明

光情報記録媒体及び光記録再生装置

【課題】カートリッジに収納できて記録容量をできるだけ多くすることができ、また、記録再生装置における位置決めが容易な光情報記録媒体を提供する。また、その光情報記録媒体に好適な光記録再生装置を提供する。
【解決手段】光情報記録媒体100は、位置決め用の基準孔113とアライメント孔114とを有する。このアライメント孔は、基準孔よりも大きく、例えば、楕円形或いは長円形をなしている。なお、記録媒体の形状は、外形およびその情報記録領域が方形状をなしている。さらに、記録再生装置の媒体引き出し部材がフックして光情報記録媒体を移動させることを可能にするための、係合部を有するようにしてもよい。上述の係合部の代わりに、或いはそれと共に、記録再生装置の媒体取り出し用のギア部材の歯車が噛み合い、ギア部材の回転により光情報記録媒体を移動させることを可能にするための、ギア部を有するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光情報記録媒体、及びそれに対して情報の記録再生を行うための光記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスク等の記録媒体に記録される情報の量は増大化の一途を辿っており、カートリッジ当りの容量はより大きいものが好まれる状況にある。また、記録再生装置を複数台組み合わせ、ライブラリ形式で記録再生装置の台数より更に多い複数巻のカートリッジに記録再生を行う装置が出現して来ている。これらライブラリ装置は従来テープ媒体を主に用いているが、テープ媒体の性質上データへのアクセスに時間がかかるという課題がある。一方、アクセス性に優れるCD、DVD、MOなど既存のデータ記録媒体は、コンピュータテープカートリッジとサイズが異なり、ハンドリングロボットを新作する必要が生じ、既存の設備が無駄となってしまうという欠点がある。
【0003】
そこで、近年では、テープカートリッジと同一サイズのカートリッジ内にCD、DVD、MO等のディスクメディアを収納し、アクセス性を確保すると同時に既存のハンドリングロボットを流用しようとする製品が出現して来ている。
【0004】
このようなCD、DVD、MO等のディスクメディアは、その性質上読み書きの間、常に回転している必要があり、また、回転の途中で或る信号が途切れ、ディスク上の位置情報を失ってしまうと、読み書きが出来ない状態となってしまう。従って、記録エリアはディスク形状(円形)であることが必要である。
【0005】
ところで、近年注目を浴びているホログラム記録媒体は、光の干渉、回折現象を利用した記録媒体であり、参照光と情報(又は信号)光と呼ばれる2つの光の干渉パターンを記録媒体内部に立体的に記録できる記録媒体である。そして、特許文献1は、カートリッジに収めたホログラム記録媒体について開示しており、カートリッジの開口部から情報の記録再生を実行している。
【0006】
【特許文献1】特開2006−178341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のCD、DVD、MO等のディスクメディアや特許文献1に開示されたホログラム記録媒体を収納する製品では、収納される記録媒体がディスク形状(円形)である必要があることから、通例方形状のカートリッジ内部に記録媒体で満たされない空間が生じてしまう。つまり、この空間には記録媒体が存在しないことになるため、記録容量向上のために、カートリッジ内部の空間全てを有効利用できていない。ホログラム記録媒体において、それを回転させずに記録再生動作を実行する場合には、記録媒体の形状をディスク状にする意味はない。また、ディスク形状の記録媒体の場合、方形状のカートリッジ内部にディスク状のメディアを収納させる必要があるため、多くの場合ディスクメディアをトレーに乗せて収納しており、カートリッジに収納できる記録媒体のサイズや枚数に制限を与えてしまっている。
【0008】
その一方で、ディスク形状をなしていないホログラム記録媒体の場合、位置出しに問題があり、動画等の連続的な情報の記録には必ずしも適したものとはなっていない。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、カートリッジに収納できて記録容量をできるだけ多くすることができ、また、記録再生装置における位置決めが容易な光情報記録媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明による光情報記録媒体は、位置決め用の基準孔とアライメント孔とを有する。このアライメント孔は、基準孔よりも大きく、例えば、楕円形或いは長円形をなしている。なお、記録媒体の形状は、外形およびその情報記録領域が方形状をなしている。
【0011】
さらに、記録再生装置の媒体引き出し部材がフックして光情報記録媒体を移動させることを可能にするための、係合部を有するようにしてもよい。
【0012】
上述の係合部の代わりに、或いはそれと共に、記録再生装置の媒体取り出し用のギア部材の歯車が噛み合い、ギア部材の回転により光情報記録媒体を移動させることを可能にするための、ギア部を有するようにしてもよい。
【0013】
これら係合部やギア部は、記録媒体がカートリッジに複数枚収納される場合に有益である。つまり、カートリッジから所望の媒体を取り出す際に、記録再生装置(ドライブ)が有する媒体引き出し部材或いはギア部材が、係合部或いはギア部に作用して、所望の媒体をカートリッジから取り出すことができる。
【0014】
なお、本発明による光情報記録媒体を、上下基板の間にホログラム記録材料が充填されてなるホログラム記録媒体として構成してもよい。
【0015】
また、本発明による光記録再生装置は、位置決め用の基準孔とアライメント孔とを有する光情報記録媒体を載置し、基準孔とアライメント孔にそれぞれ嵌合する第1及び第2の位置決め用ピンを有する媒体載置部と、光ヘッドユニットと、光ヘッドユニットをX軸方向に移動させるための第1の移動手段と、光ヘッドユニットをY軸方向に移動させるための第2の移動手段と、を備える。そして、基準孔が嵌合する第1の位置決め用ピンの位置が原点であり、第1の位置決め用ピンと第2の位置決め用ピンとを結んだ直線がX軸を構成し、X軸と垂直な直線がY軸を構成する。
【0016】
光情報記録媒体はホログラム記録媒体であった場合、光ヘッドユニットは、光源と、光源と記録すべき情報から情報光を生成する情報光生成手段と、光源から参照光を生成する参照光生成手段と、情報記録時には、情報光と前記参照光とを干渉させながらホログラム記録媒体に照射し、情報再生時には参照光をホログラム記録媒体に照射するように光照射制御手段と、を備えている。
【0017】
また、複数の前記光情報記録媒体がカートリッジに収納される場合には、カートリッジから所望の光情報記録媒体を1枚取り出し、取り出された前記所望の光情報記録媒体を前記媒体載置部に載置するための手段を備える。
【0018】
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光情報記録媒体によれば、カートリッジに収納できて記録容量をできるだけ多くすることができ、また、記録再生装置における位置決めが容易となる。また、そのような光情報記録媒体に好適な光記録再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るホログラム記録媒体について、添付図面を参照にしながら具体的に説明する。なお、本発明による実施形態は本発明を実現する上での一例に過ぎず、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0021】
<ホログラム記録媒体の構造>
図1乃至4は、本実施形態(第1乃至第4の形態)に係るホログラム記録媒体100乃至103の構造を示す図である。図1乃至4において、ホログラム記録媒体100乃至103は、方形状或いは方形状に類似の形状をなしており、上基板110と下基板112(例えば、それぞれ厚さ1mm)によってホログラム記録材料を挟んで形成されたホログラム記録層111(例えば、厚さ1.5mm)を備えている。また、各ホログラム記録媒体100乃至103は、位置決め孔113及び114を有している。第1の位置決め孔113は円形で、後述の第1の位置決めピン204がピッタリ嵌合する大きさで構成されている。第2の位置決め孔114は楕円形或いは長円形で構成され、後述の第2の位置決めピン205がある程度の余裕を持って嵌合し、多少の位置ずれ(製造工程で形成された位置ずれ)を吸収できるようになっている。第1の位置決め孔は、ホログラム記録媒体100乃至103が記録再生装置にセットされた場合に、記録位置として原点となる基準穴である。また、第1の位置決め孔(基準孔)と第2の位置決め孔(アライメント孔)を結んでなる直線がX軸となり、それに垂直な直線がY軸として設定される。これにより、ホログラム記録媒体上の情報の記録位置を管理できるようになる。ホログラム記録媒体100は、他のホログラム記録媒体101乃至103とは異なり、係合部115もギア部116も有していない。従って、ホログラム記録媒体100は、カートリッジから取り出して用いるものではなく、例えば、ユーザが第1及び第2の位置決め孔を第1及び第2の位置決めピン204及び205に嵌めて、媒体を記録再生装置の記録再生位置に載置して用いるものである。
【0022】
また、図2に示す第2の形態のホログラム記録媒体101は、図1のホログラム記録媒体100の構成に加えて、後述の媒体引き出し部材202が係合して媒体を後述のカートリッジ200から引き出すための係合部(フック部)115をさらに備えている。係合部115の形状は、図2に示す形状に限定されるものではないが、媒体引き出し部材202の形状との組み合わせにおいて、スムーズにホログラム記録媒体101を引き出せるような形状が望ましい。従って、ホログラム記録媒体101は、媒体引き出し部材を有する記録再生装置対応のホログラム媒体ということになる。なお、第1及び第2の位置決め孔の設置位置は、図2に示された位置に限られるものではない。
【0023】
さらに、図3に示す第3の形態のホログラム記録媒体102は、図1のホログラム記録媒体100の構成に加えて、後述のギア部材207が噛合するギア部116を側面に備えている。このギア部116にギア部材207が噛合することによって、カートリッジ200からホログラム記録媒体102を取り出すことができるようになっている。従って、ホログラム記録媒体102は、ギア部材を有する記録再生装置対応のホログラム媒体ということになる。
【0024】
図4に示す第4の形態のホログラム記録媒体103は、図2のホログラム記録媒体101の構成に加えて、後述のギア部材207が噛合するギア部116を側面に備えている。このギア部116にギア部材207が噛合することによって、カートリッジ200からホログラム記録媒体102を取り出すことができるようになっている。また、ホログラム記録媒体103は、媒体引き出し部材202によってもカートリッジ200から取り出すことができるようになっている。
【0025】
<ローディングシーケンス>
図5A乃至Dは、ホログラム記録媒体101又は103のローディングシーケンスを示す図である。図6A乃至Kは、ホログラム記録媒体102又は103のローディングシーケンスを示す図である。なお、アンロードのシーケンスは、単にローディングシーケンスの逆の動作になるので、ここではその説明は省略した。
【0026】
(1)図5の場合について
複数枚のホログラム記録媒体101又は103が収納されたカートリッジ200が記録再生装置に装着されると、カートリッジ蓋201が機構的に或いはモータ等の電気的動作によって開口する。また、媒体取り出しガイド部203のガイド口の高さと取り出し対象のホログラム記録媒体との高さを合わせるために、カートリッジ200が例えば図示しない昇降手段によって上下に移動する。高さ合わせ動作が終わると、媒体引き出し部材202がカートリッジ200の開口部まで伸びて行く。そして、媒体引き出し部材202の先端部が係合部115に係合し、ホログラム記録媒体101又は103が媒体取り出しガイド部203に完全に載置されるまで、当該媒体を引き出す(図5A)。なお、図5Aの状態を横から見た図が図5Bである。
【0027】
続いて、図示しないガイド部移動機構が、ホログラム記録媒体101又は103を載置した媒体取り出しガイド部203を記録再生位置まで移動させる(図5C)。なお、図5Cの状態を横からみた図が図5Dである。図5C又はDの状態においては、第1及び第2の位置決め孔113及び114は、それぞれ第1及び第2の位置決めピン204及び205に嵌合している。これにより、ホログラム記録媒体101又は103は、所定の情報記録再生位置に固定される。また、上述のように、原点、X軸及びY軸が決るので、ホログラム記録媒体101又は103における情報の記録位置を管理することができる。
【0028】
(2)図6の場合について
図5の場合と同様に、複数枚のホログラム記録媒体102又は103が収納されたカートリッジ200が記録再生装置に装着されると、カートリッジ蓋201が機構的に或いはモータ等の電気的動作によって開口する。また、媒体取り出しガイド部203のガイド口の高さと取り出し対象のホログラム記録媒体との高さを合わせるために、カートリッジ200が例えば図示しない昇降手段によって上下に移動する。高さ合わせ動作が終わると、モータ駆動部206によってギア部材207が回転する。このギア部材207の歯車部分はホログラム記録媒体102又は103のギア部116に噛み合う。そして、ギア部材207が回転するに従い、取り出し対象のホログラム記録媒体102又は103がカートリッジ200から取り出される(図6A)。図6Aは取り出し途中の様子を示しており、図6Bは図6Aの状態を横から見た図であり、図6Cは図6Aの状態を真上から見た図である。また、図6Dは、ギア部材207とギア部116とが噛み合った状態を示している。なお、ギア部材を反対側にもう一つ設け、さらに、ホログラム記録媒体の両側面に設けるようにしてもよい。この場合、よりスムーズに媒体をカートリッジから取り出せる可能性がある。
【0029】
ギア部材207がさらに回転し続けると、ホログラム記録媒体102又は103が媒体取り出しガイド部203に完全に載置される。その状態になるとモータ駆動部206の動作が終了し、それによってギア部材207の回転が止まる。これにより、媒体の送り出し動作が終了する(図6E)。図6Fは図6Eの状態を横から見た図であり、図6Gは図6Eの状態を真上から見た図である。また、図6Hは、図6Eの状態におけるギア部材207とギア部116との噛合状態を示す図である。ギア部材207とギア部116とがこの状態にあれば、媒体取り出しガイド部203を移動することができる。
【0030】
続いて、図示しないガイド部移動機構が、ホログラム記録媒体102又は103を載置した媒体取り出しガイド部203を記録再生位置まで移動させる(図6I)。なお、図6Iの状態を横からみた図が図6Jである。また、図6Iの状態を真上から見た図が図6Kである。図6I乃至Kの状態においては、第1及び第2の位置決め孔113及び114は、それぞれ第1及び第2の位置決めピン204及び205に嵌合している。これにより、ホログラム記録媒体102又は103は、所定の情報記録再生位置に固定される。また、上述のように、原点、X軸及びY軸が決るので、ホログラム記録媒体102又は103における情報の記録位置を管理することができる。
【0031】
<ホログラム記録媒体と光ヘッドとの位置関係>
図7は、ホログラム記録媒体100(101乃至103でも同様)が記録再生位置に載置されたときの、媒体100と光ヘッドユニット12との位置関係を示す図である。
【0032】
上述のように、ホログラム記録媒体100が記録再生位置にあるときには、第1の位置決め孔が第1の位置決めピンに嵌り、第2の位置決め孔が第2の位置決めピンに嵌っている。そして、第1の位置決めピンが原点を構成し、第1及び第2の位置決めピンを結んだ直線がX軸を構成する。また、X軸に垂直に、原点から伸びる直線がY軸となる。ホログラム記録においては、記録スポットの大きさは予め決められており、かつホログラム記録媒体100の記録領域の大きさも予め分かっているので、原点とX及びY軸が決れば、記録スポットの位置を管理することができる。
【0033】
光ヘッドユニット12は駆動部を有し、矢印A方向に移動可能なように第1のシャフト301に取り付けられている。また、第1のシャフトはその両端にそれぞれ駆動部を含むジョイント部303及び304を有し、それらジョイント部303及び304は、矢印B方向に移動可能なように第2のシャフト302(一対のシャフト)に取り付けられている。第1のシャフト301はX軸と平行に設けられ、第2のシャフト302はY軸に平行に設けられている。
【0034】
以上のような構成を採ることにより、光ヘッドユニット12はホログラム記録媒体100の任意の箇所にアクセスすることができる。従って、ホログラム記録媒体100の記録領域に効率よくかつ無駄なく情報を記録することができる。
【0035】
<ホログラム記録再生装置の構成、及び記録再生動作の概略>
図8は、ホログラム記録再生装置300の概略構成を示すブロック図である。図8において、ホログラム記録再生装置300は、レーザ光源1、コリメータレンズ2、第1ビームスプリッタ4A、第2ビームスプリッタ4B、空間光変調器5、2次元撮像素子6、記録光と再生光兼用の対物レンズ7、参照光用の対物レンズ8、プリズム9、反射ミラー10、およびフォーカスアクチュエータ11、記録再生されるデータ信号の処理を行う記録再生信号処理部30、コントローラI/F36および、記録すべきユーザデータを作成するパソコン等の上位装置37とを備える。パソコン37から与えられたユーザデータは、コントローラI/F36を介して、記録再生信号処理部30の記憶部35に記録される。記憶部35は、RAMなどの高速アクセス可能な半導体素子を用いることが好ましい。
【0036】
記録再生信号処理部30は、主として、ユーザデータを一時記憶する記憶部35、与えられたユーザデータを符号化し、誤り訂正符号を生成する誤り訂正符号化部34、符号化されたユーザデータを空間光変調器5へ与える形式のデータに変換する変調部33、2次元撮像素子6から得た再生データを復調する復調部31、復調されたデータに対して誤り訂正復号化処理をする誤り訂正復号化部32によって構成される。
【0037】
レーザ光源1は、たとえば半導体レーザ素子からなり、記録モードあるいは再生モードにおいて所定波長のレーザビームを出射するものである。このレーザ光源1からは、レーザビームがガウス分布状の光強度分布をもって出射される。レーザビームの光強度は、光束密度に比例する。コリメータレンズ2は、レーザ光源1から出射したレーザビームを平行ビームに変換するものである。このコリメータレンズ2から平行ビームとして出射されるレーザビームもまた、ガウス分布状の光強度分布をもつ。出射された平行ビームは、第1のビームスプリッタ4Aに入射され、2つの方向に分離される。
【0038】
第1のビームスプリッタ4Aは、コリメータレンズ2から出射されたレーザビームを受け、このレーザビームを空間光変調器5に向かうホログラム記録用の情報光18と、これとは別の光路を経て対物レンズ8へと向かう参照光19とに分離する。第2のビームスプリッタ4Bは、空間光変調器5から対物レンズ7へと情報光18を透過させる一方、記録媒体100から対物レンズ7を通して戻ってくる再生光を受け、この再生光を2次元撮像素子6へと導く。
【0039】
空間光変調器5は、たとえば液晶表示装置あるいはDMD(Deformable Mirror Device)からなり、記録モード時にのみ使用される。この空間光変調器5は、第1のビームスプリッタ4Aを経て導かれてくる光強度分布が均一な情報光を2次元的な情報を表す情報光(2次元情報光)18に変調するものである。
【0040】
また、この情報光18は、記録再生信号処理部30の変調部33から与えられたユーザデータに対応する分布を持つ光である。
【0041】
2次元撮像素子6は、たとえばCCDエリアセンサあるいはCMOSエリアセンサからなり、主として再生モード時に使用される。この2次元撮像素子6は、受光した再生光をデジタル信号に変換することにより、記録媒体100の記録層にホログラムとして記録された2次元的な情報を取り出す部分である。
【0042】
取り出された2次元情報であるデジタル信号は、記録再生信号処理部30の復調部31へ送られる。
【0043】
記録光・再生光兼用の対物レンズ7および参照光用の対物レンズ8およびプリズム9は、光ヘッドユニット12に一体化されており、参照光用の対物レンズ8は、記録光・再生光兼用の対物レンズ7に対して所定角度をなすように配置されている。この参照光用の対物レンズ8には、第1のビームスプリッタ4Aから反射ミラー10およびプリズム9を介して参照光19が導かれてくる。
【0044】
ヘッドユニット12は、一方の対物レンズ7を通る情報光と他方の対物レンズ8を通る参照光とが記録媒体100の記録層23において互いに干渉するように、フォーカスアクチュエータ11によって記録媒体の厚み方向に変位させられる。
【0045】
フォーカスアクチュエータ11は、電磁コイルなどで構成され、2つの光束(情報光18、参照光19)の干渉を調整する駆動手段である。たとえば、角度多重の場合は、対物レンズ8を駆動し、媒体に対する参照光19の入射角度を調整するものである。
【0046】
なお、各記録スポットの情報の管理に関して、ホログラム記録媒体100の適当な場所に図示しない半導体チップメモリを取り付け、図示しない非接触型半導体読み取り装置(RFID装置)によって各記録スポットの位置情報及び識別情報を読み出したり、書き込むようにしてもよい。この方法を用いれば、ホログラム記録媒体100を感光させずに各記録スポットの情報を管理することができるので、記録領域を最大限に活用することができる。
【0047】
また、上述のように参照光を用いて位置情報ピット群を読み出す(サーボ)ようにしているが、これに限られるものではない。例えば、レーザ光源1とは別に位置情報ピット群を読み出し動作専用のレーザ光源を用いることも可能である。例えば、記録再生用には青色波長レーザを用い、サーボ用には赤色波長のレーザを用いると、記録材料として青色レーザにのみ反応するようなものの場合には、サーボ動作の際に記録材料への影響を抑えることができる。
【0048】
続いて、記録再生動作についてさらに説明する。記録モードの場合、光源1から出射したレーザビームは、コリメータレンズ2、第1のビームスプリッタ4A、空間光変調器5、第2のビームスプリッタ4B、対物レンズ7を順次経ることにより、情報光18として記録媒体100に照射される。また、光源1から出射したレーザビームは、コリメータレンズ2、第1のビームスプリッタ4A、反射ミラー10、プリズム9、対物レンズ8を順次経ることにより、記録媒体100の記録層23で上記情報光18と干渉するように参照光として照射される。ホログラム記録媒体100においては、空間光変調器5により2次元情報光として変調された情報光18と参照光19とが光学的に干渉する結果、2次元的な情報を含むホログラムが記録される。
【0049】
再生モードの場合、第1のビームスプリッタ4Aから対物レンズ8を経て参照光のみが記録媒体100に照射される。記録媒体の照射部位では、情報光および参照光の干渉によって記録されたホログラムに基づく再生光が生じ、この再生光が対物レンズ7および第2のビームスプリッタ4Bを通して2次元撮像素子6に受光される。これにより、ホログラム記録媒体100にホログラムとして記録された情報が再生される。
【0050】
<まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態によるホログラム記録媒体は、位置決め用の基準孔とアライメント孔とを有する。このアライメント孔は、基準孔よりも大きく、例えば、楕円形或いは長円形をなしている。なお、記録媒体の形状は、外形およびその情報記録領域が方形状をなすのが望ましい。ただし、方形状に限定されるものではなく、円形等他の形状を排除する趣旨ではない。以上のように、これら2つの孔により位置決めを容易に行うことができるようになる。また、基準孔とアライメント孔の形状が異なるため、記録媒体の裏表の判断が容易である。
【0051】
さらに、記録再生装置の媒体引き出し部材がフックして光情報記録媒体を移動させることを可能にするための、係合部を有するようにしてもよい。上述の係合部の代わりに、或いはそれと共に、記録再生装置の媒体取り出し用のギア部材の歯車が噛み合い、ギア部材の回転により光情報記録媒体を移動させることを可能にするための、ギア部を有するようにしてもよい。このような構成を採ることにより、カートリッジに収納されたホログラム記録媒体を取り出すための機構を簡単な構成(部品点数も少ない)で実現することができるようになる。
【0052】
また、光記録再生装置は、位置決め用の基準孔とアライメント孔とを有する光情報記録媒体を載置し、基準孔とアライメント孔にそれぞれ嵌合する第1及び第2の位置決め用ピンを有する媒体載置部と、光ヘッドユニットと、光ヘッドユニットをX軸方向に移動させるための第1の移動手段と、光ヘッドユニットをY軸方向に移動させるための第2の移動手段と、を備える。そして、基準孔が嵌合する第1の位置決め用ピンの位置が原点であり、第1の位置決め用ピンと第2の位置決め用ピンとを結んだ直線がX軸を構成し、X軸と垂直な直線がY軸を構成する。このようにすることにより、簡単に記録位置を管理することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明によるホログラム記録媒体(1)の外観を示す図である。
【図2】本発明によるホログラム記録媒体(2)の外観を示す図である。
【図3】本発明によるホログラム記録媒体(3)の外観を示す図である。
【図4】本発明によるホログラム記録媒体(4)の外観を示す図である。
【図5A】ホログラム記録媒体の取り出しシーケンス1を示す図(1)である。
【図5B】図5Aの状態を横から見た側面図である。
【図5C】ホログラム記録媒体の取り出しシーケンス1を示す図(2)である。
【図5D】図5Cの状態を横から見た側面図である。
【図6A】ホログラム記録媒体の取り出しシーケンス2を示す図(1)である。
【図6B】図6Aの状態を横から見た側面図である。
【図6C】図6Aの状態を真上から見た上面図である。
【図6D】図6Aの状態において、ギア部材とギア部とが噛み合った様子を示す図である。
【図6E】ホログラム記録媒体の取り出しシーケンス2を示す図(2)である。
【図6F】図6Eの状態を横から見た側面図である。
【図6G】図6Eの状態を真上から見た上面図である。
【図6H】図6Eの状態において、ギア部材とギア部とが噛み合った様子を示す図である。
【図6I】ホログラム記録媒体の取り出しシーケンス2を示す図(3)である。
【図6J】図6Iの状態を横から見た側面図である。
【図6K】図6Iの状態を真上から見た上面図である。
【図7】ホログラム記録媒体が記録再生動作にある様子を示す図である。
【図8】ホログラム記録媒体に対して情報記録再生を行うためのホログラム記録再生装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
100乃至103・・・ホログラム記録媒体
110、112・・・基板
111・・・ホログラム記録層
113・・・基準孔(第1の位置決め孔)
114・・・アライメント孔(第2の位置決め孔)
200・・・カートリッジ
300・・・ホログラム記録情報再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光情報記録に好適な光情報記録媒体であって、
位置決め用の基準孔とアライメント孔とを有し、
前記アライメント孔は、前記基準孔よりも大きいことを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項2】
前記光情報記録媒体の外形およびその情報記録領域が方形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
【請求項3】
さらに、記録再生装置の媒体引き出し部材がフックして前記光情報記録媒体を移動させることを可能にするための、係合部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光情報記録媒体。
【請求項4】
さらに、記録再生装置の媒体取り出し用のギア部材の歯車が噛み合い、前記ギア部材の回転により前記光情報記録媒体を移動させることを可能にするための、ギア部を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項5】
前記光情報記録媒体は、上下基板の間にホログラム記録材料が充填されてなるホログラム記録媒体であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項6】
光情報記録媒体に対して情報の記録又は再生動作を実行する、光記録再生装置であって、
位置決め用の基準孔とアライメント孔とを有する光情報記録媒体を載置し、前記基準孔とアライメント孔にそれぞれ嵌合する第1及び第2の位置決め用ピンを有する媒体載置部と、
光ヘッドユニットと、
前記光ヘッドユニットをX軸方向に移動させるための第1の移動手段と、
前記光ヘッドユニットをY軸方向に移動させるための第2の移動手段と、を備え、
前記基準孔が嵌合する前記第1の位置決め用ピンの位置が原点であり、前記第1の位置決め用ピンと第2の位置決め用ピンとを結んだ直線がX軸を構成し、X軸と垂直な直線がY軸を構成することを特徴とする光記録再生装置。
【請求項7】
前記光情報記録媒体はホログラム記録媒体であり、
前記光ヘッドユニットは、
光源と、
前記光源と記録すべき情報から情報光を生成する情報光生成手段と、
前記光源から参照光を生成する参照光生成手段と、
情報記録時には、前記情報光と前記参照光とを干渉させながら前記ホログラム記録媒体に照射し、情報再生時には前記参照光を前記ホログラム記録媒体に照射するように光照射制御手段と、
を備えることを特徴とする光記録再生装置。
【請求項8】
複数の前記光情報記録媒体がカートリッジに収納され、
さらに、前記カートリッジから所望の光情報記録媒体を1枚取り出し、取り出された前記所望の光情報記録媒体を前記媒体載置部に載置するための手段を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の光記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−110613(P2009−110613A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283195(P2007−283195)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】