説明

光情報記録材料用組成物、およびそれから形成される光情報記録層を有する光情報記録媒体。

【課題】小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易な光情報記録媒体を提供する。
【解決手段】一般式(I−1):


[式中、構造単位M1は一般式(I−2):


で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位であり、構造単位A1は一般式(I−2)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位M1を0.1〜100モル%および構造単位A1を0〜99.9モル%含み、数平均分子量が10000より大きく、1000000以下であるベースポリマー(a)、ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)、および所望による架橋剤(c)を含有する光情報記録材料用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光情報記録材料用組成物、およびそれから形成される光情報記録層を有する光情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光情報記録媒体としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、及びBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと称する場合がある。)等の円盤状の光ディスクが普及している。
近年、このような光情報記録媒体には、大容量化が求められ、実際に、極めて大量のデータの記録が可能になっているが、さらなる大容量化が求められている。
上記のCD、DVD、およびBD等は、微細な記録マークをレーザー光で読み取ることを原理としているが、この記録マークは2次元方向に配列されている。これを、3次元方向に配列すれば、より大容量化が可能となる。このような技術として、特許文献1には、記録マークとしての空洞を3次元方向に配列した光情報記録媒体が提案されている。
また、光情報記録媒体の大容量化の別の方法として、2系統の光ビームを干渉させて記録媒体内に微小なホログラムを形成する記録媒体が提案されている(例えば、特許文献2)。
この記録媒体は、情報を再生する際に読出光を照射すると、媒体から再生光が戻るが、空洞からは再生光が戻らないことを利用として、情報としての値「0」または、値「1」のいずれが記録されているかを認識することを原理としている。この例のように、光処理によって、再生光が戻らない記録マークを形成する記録媒体またはその方式を、本明細書中、ネガ型のマイクロリフレクターと称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−176902号公報
【特許文献2】特許第3330854号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の光情報記録媒体は、記録マークとして空洞を用いているため、記録マークの高度な微細化は困難であり、また記録マークの形成のためには比較的大きなエネルギーの光が必要とされる。
一方、特許文献2の光情報記録媒体は、2系統の光ビームを使用するため、安定した情報の記録又は再生のために高度な制御が必要となるという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易な光情報記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のポリマーおよびドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体を用いることにによって、前記課題を解決できることを見出し、さらなる研究の結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、高感度、かつ三次元の記録を可能とする光情報記録材料用組成物、およびその媒体、またその記録方法等を提供するものである。
【0007】
第1発明に係る光情報記録材料用組成物は、
一般式(I−1):
【化1】

[式中、構造単位M1は一般式(I−2):
【化2】

(式中、XおよびXは同じかまたは異なり、HまたはFであり;
はH、F、CHまたはCFであり;
およびXは同じかまたは異なり、H、FまたはCFであり;
Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY(Yは、ヒドロキシル基、末端にヒドロキシル基を有する炭素数1〜10の1価の有機基、エチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基または水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数2〜100の1価の有機基、)が1〜3個結合している有機基であり;
aは0〜3の整数であり;
bおよびcは同じかまたは異なり、0または1である)
で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位であり、
構造単位A1は一般式(I−2)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]
で示され、
構造単位M1を0.1〜100モル%および構造単位A1を0〜99.9モル%含み、数平均分子量が10000より大きく、1000000以下であるベースポリマー(a)、
一般式(II−1):
【化3】

[式中、D、Dの両方または一方は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホニル基およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1個の置換基を有するヘテロ芳香族基であり、他方は炭素数1〜10のアルキル基、芳香族基またはヘテロ芳香族基であり;
およびRは同じかまたは異なり、炭素数1〜4のアルキル基であり;
およびRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり;および
およびRは同じかまたは異なり、メチル、p−メトキシフェニルまたは炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である。]
で表され、D、またはDを介して、Rfと連結していてもよいドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)、および
所望による架橋剤(c)(但し、ベースポリマー(a)が分子間で自己架橋性を有さない場合は、架橋剤(c)は、必須成分として含有される)を含有する。
当該光情報記録材料用組成物は、小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易な光情報記録媒体の製造を可能にする。
【0008】
第2発明に係る光情報記録材料用組成物は、第1の光情報記録材料用組成物であって、
一般式(II−1)で表されるアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)が、D、またはDを介して、Rfと連結している。
これにより、長期間、情報の保持が可能な光情報記録媒体の製造が可能になる。
第3発明に係る光情報記録材料用組成物は、第1発明または第2発明の光情報記録材料用組成物であって、
架橋剤(c)がカチオン性重合モノマーを含有する。
第4発明に係る光情報記録材料用組成物は、第1発明〜第3発明のいずれかの光情報記録材料用組成物であって、
ベースポリマー(a)が分子間で自己架橋性を有する。
第5発明に係る光情報記録材料用組成物は、第1発明〜第4発明のいずれかの光情報記録材料用組成物であって、
さらに、ラジカル性重合モノマー(d)を含有する。
第6発明に係る光情報記録材料用組成物は、第1発明〜第5発明のいずれかの光情報記録材料用組成物であって、
さらに光重合開始剤(e)を含有する。
【0009】
第7発明に係る光情報記録媒体は、
第1の基材と第2の基材の間に光情報記録層が狭持された光情報記録媒体であって、
該光情報記録層は、第1発明〜第6発明のいずれかの光情報記録材料用組成物から形成される光情報記録層である。
当該光情報記録媒体は、小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易である。
【0010】
第8発明に係る光情報記録方法は、
第7発明の光情報記録方法であって、光情報記録媒体の光情報記録層に、局所的に記録光を照射して、一般式(II−1)で表され、D、またはDを介して、Rfと連結していてもよいドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)を、
一般式(II−1’):
【化4】

(式中の記号は前記と同意義を表す。)
で表され、D1、またはD2を介して、Rfと連結していてもよいドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b’)に異性化させることにより屈折率が変化した部位を形成させることを特徴とする。
当該光情報記録方法によれば、小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易である。
第9発明に係る光情報記録方法は、第8発明の光情報記録方法であって、
前記記録光を、その局所的な照射位置を3次元方向に変化させながら照射することによって、前記屈折率が変化した部位が3次元方向に並ぶように形成されることを特徴とする。
これにより、大量の情報の記録が可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光情報記録材料用組成物によれば、小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易な光情報記録媒体が得られる。
本発明の光情報記録媒体は、小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の光情報記録媒体の構成を示す略線図である。
【図2】本発明の一実施形態の光情報記録方法の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
I.用語
本明細書中、「含フッ素」とは、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されていること、すなわちフッ化されていることを意味する。
本明細書中、「エーテル結合を有する」とは、単結合の一部または全部がエーテル結合に置き換えられていること(言い換えれば、エーテル結合が挿入されていること)を意味する。
本明細書中、「有機基」とは、炭素を有する基を意味する。本明細書中、特に限定の無い限り、「有機基」の炭素数は、好ましくは、1〜100である。
【0014】
II.光情報記録材料用組成物
本発明の光情報記録材料用組成物は、以下にそれぞれ説明するベースポリマー(a)、およびドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)を含有する。
【0015】
ベースポリマー(a)は、ノルボルナジエニル誘導体(b)を保持する働きを有する。
本発明の光情報記録材料用組成物中において、ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)は、ベースポリマー(a)に連結していてもよい。
本発明の光情報記録材料用組成物から形成される光情報記録層中のドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)は、記録光の照射を受けて異性化する。これによって、その周辺の屈折率が変化する(高くなる)。ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)が異性化していない部分に再生光を照射すると、再生光が戻ってくるが、このように屈折率が高くなった部分に再生光を照射しても再生光は戻ってこない。このことを利用して、情報としての値「0」または、値「1」のいずれかが記録されているかを認識することができる。
記録再生信号のノイズを低減させる観点から、ベースポリマー(a)としては、低い屈折率を有するポリマーが好ましい。
上述のことから理解されるように、本発明の光情報記録材料用組成物、およびそれから形成される光情報記録層を有する光情報記録媒体は、ネガ型のマイクロリフレクターに関する。
ところで、ネガ型のマイクロリフレクターの場合、2つの様式がある。
様式1では、光情報記録再生装置を用いて、光重合型フォトポリマー内の情報記録領域全体にわたって光の干渉縞を形成することによる初期化を行った上で、情報を記録する部位に対して局所的に光を照射することにより、当該記録部位におけるドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)を異性化させる。
このネガ型のマイクロリフレクターの場合、光情報記録再生装置は、情報を再生する際、読出光を照射した際に、ホログラムから再生光が戻り、ホログラムが局所的に異性化した部位からは再生光がほとんど戻らないことを基準に、情報としての値「0」または値「1」のどちらが記録されているかを認識することができる。
一方、様式2では、様式1のような干渉縞形成による初期化を行わずに、情報を記録する部位に局所的に光を照射することにより、当該記録部位におけるドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)を異性化させる。
このネガ型のマイクロリフレクターの場合、光情報記録再生装置は、情報を再生する際、読出光を照射した際に、局所的に異性化した部位とその周辺の屈折率差から生じる、反射光の戻り光強度の差を基準に、情報としての値「0」または値「1」のどちらが記録されているかを認識することができる。
本発明の光情報記録材料用組成物は、様式2のマイクロリフレクターに用いられるものである場合、架橋剤(c)を含有する。
この架橋剤(c)は、本発明の光情報記録材料用組成物から光情報記録層を形成する際に(すなわち、情報記録前の段階で)、ベースポリマー(a)を架橋する役割をもつ。
一方、本発明の光情報記録材料用組成物は、様式1のネガ型のマイクロリフレクターに用いられるものである場合、架橋剤(c)を含有しない。この場合、ベースポリマー(a)として、その分子間で自己架橋性を有するものを用いる。このようなベースポリマー(a)は、本発明の光情報記録材料用組成物から光情報記録層を形成する際に(すなわち、情報記録前の段階で)、架橋反応に付される。
また、本発明の光情報記録材料用組成物は、様式2のマイクロリフレクターに用いられるものである場合、好ましくはさらに、ラジカル性重合モノマー(d)を含有する。ラジカル性重合モノマー(d)を含有する光情報記録材料用組成物を硬化した後、干渉光を照射すると、干渉縞を生じさせることができる。これにより、記録層の光反射率を高め、情報読み取りのS/N比を高めることができる。
また、本発明の光情報記録材料用組成物は、様式2のマイクロリフレクターに用いられるものである場合、好ましくはさらに、光重合開始剤(e)を含有する。本発明で使用される光重合開始剤(e)とは、コヒーレンス性に優れた光に感光し、ラジカル性重合モノマー(d)の重合を開始させる化合物である。
以下に、本発明の光情報記録材料用組成物が含有する成分について、詳細に説明する。
【0016】
A.ベースポリマー(a)
本発明に用いられるベースポリマー(a)は、前記一般式(I−1)で示され、構造単位M1を0.1〜100モル%および構造単位A1を0〜99.9モル%含み、数平均分子量が10000より大きく、1000000以下である。
当該ベースポリマー(a)は、屈折率性が低いので、記録再生時に記録部位との屈折率差をより大きくすることにより、再生信号のノイズを低減することができる。
【0017】
1.構造単位M1
構造単位M1は、一般式(I−3):
【化5】

(式中、X〜X、Rf、a〜cは一般式(I−2)と同じである)
で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位である。
【0018】
の少なくとも1個はRfの末端に結合していることが好ましい。
【0019】
一般式(I−1)で示されるベースポリマーにおいて、構造単位M1はなかでもM1−1が好ましく、M1−1は、一般式(I−4):
【化6】

(式中、X〜X、Rf、aおよびcは一般式(I−2)と同じである)
で示される構造単位である。
【0020】
構造単位M1−1は、一般式(I−5):
【化7】

(式中、X〜X、Rf、aおよびcは一般式(I−2)と同じである)
で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位である。
【0021】
なお、一般式(I−5)で示される含フッ素不飽和化合物のなかで、一般式(I−6):
【化8】


(式中、X〜X、aおよびcは一般式(I−2)と同じ;Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY(Yは、ヒドロキシル基、末端にヒドロキシル基を有する炭素数1〜10の1価の有機基、エチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基、架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する有機基である)が1〜3個結合している有機基である)
で示される含フッ素不飽和化合物であって、Yが一般式(I−7):
−(O)−(C=O)−Y (I−7)
(式中、Yは末端に、ヒドロキシル基、またはエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜5のアルケニル基または含フッ素アルケニル基;nは0または1である)
で示される有機基である含フッ素不飽和化合物なども挙げられる。
【0022】
前記構造単位M1−1を含む重合体は、特に屈折率が低く、特にM1−1のホモポリマーやM1−1を増やした組成の重合体においても屈折率を低くすることができ、好ましいものである。
【0023】
さらに、M1−1のより好ましい具体例は構造単位M1−2であり、構造単位M1−2は、一般式(I−8):
【化9】

(式中、Rfは一般式(I−2)と同じである)
で示される構造単位である。
【0024】
構造単位M1−2は、一般式(I−9):
【化10】

(式中、Rfは一般式(I−2)と同じである)
で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位である。なお、一般式(I−9)で示される含フッ素不飽和化合物のなかで、一般式(I−10):
【化11】

(式中、Rf1’は一般式(I−6)と同じである)
で示される含フッ素不飽和化合物なども挙げられる。
【0025】
前記のM1−2は、屈折率を低くできるだけでなく、重合性が良好であり、特にホモ重合性、含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好であるため好ましい。
【0026】
(1)構造単位M1−3
また、M1のもう1つの好ましい具体例は構造単位M1−3であり、構造単位M1−3は、一般式(I−11):
【化12】

(式中、Rfは式(2)と同じである)
で示される構造単位である。
【0027】
構造単位M1−3は、一般式(I−12):
【化13】

(式中、Rfは式(2)と同じである)
で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位である。なお、一般式(I−12)で示される含フッ素不飽和化合物のうち、一般式(I−13):
【化14】

(式中、Rf1’は一般式(I−6)と同じである)
で示される含フッ素不飽和化合物なども挙げられる。
【0028】
前記M1−3は、屈折率を低くでき、また含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好である点で好ましい。
【0029】
一般式(I−1)で示されるベースポリマー(a)において、構造単位M1、M1−1、M1−2およびM1−3に含まれるYは、ヒドロキシル基、末端にヒドロキシル基を有する炭素数1〜10の1価の有機基、またはエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の有機基、架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する有機基である)が1〜3個結合している有機基である。
【0030】
つまり、Y中のヒドロキシル基は、下記で詳しく説明するドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)のD、またはDと結合して、ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)をベースポリマー(a)に連結する役割を有する。また、Y中のヒドロキシル基は、ウレタン反応、およびエポキシ反応、およびハイドロサイレーション反応などを起こす能力を有し、また炭素−炭素二重結合は重縮合反応や環化反応、付加反応などを起こす能力を有し、硬化(架橋)体を得ることができるものである。詳しくは、例えばラジカルやカチオン、アミド類の接触によって本発明のベースポリマー分子間で、またはベースポリマーと必要に応じて加えられる架橋剤との間で重合反応や縮合反応、付加反応を起こし、硬化(架橋)物を得ることができるものである。
この硬化は光情報記録材料用組成物を硬化させて、レーザー光の照射により光情報記録を行う光情報記録層を形成することに利用される。
中にヒドロキシル基を有するM1の比率は全M1に対して、好ましくは、1〜90モル%である。また、当該ヒドロキシ基に、ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)が結合しているM1の比率は、Y中にヒドロキシル基を有するM1に対して、好ましくは、10〜90モル%である。
一方、Y中に環状エーテル構造を有するM1の比率は全M1に対して、好ましくは、10〜90モル%である。
この硬化は、光情報記録の前段階の工程(すなわち、本発明の光情報記録媒体の製造の一工程)として必須の工程であるので、ベースポリマー(a)が、分子間で架橋性を有しない場合は、本発明の光情報記録材料用組成物は、架橋剤を必須の成分として含有する。
【0031】
一般式(I−1)で示されるベースポリマーにおいて、Yは好ましくは、一般式(I−14):
−(O)−(C=O)−Y (I−14)
(式中、Yは末端に、ヒドロキシル基またはエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜5のアルケニル基または含フッ素アルケニル基;oおよびpは同じかまたは異なり、0または1である)
で示され、Yは好ましくは、一般式(I−15):
−CX33=CX3435 (I−15)
(式中、X33はH、F、CHまたはCF;X34、X35は同じかまたは異なり、HまたはFである)
または、一般式(I−16):
―OH
で示され、ラジカルやカチオン、アミド類の接触による硬化反応性が高く好ましいものである。
【0032】
一般式(I−7)、(I−10)および(I−13)で示されるベースポリマー(a)におけるYは、前記Yと同様のものが好ましく挙げられる。
【0033】
およびYの好ましい具体例としては、例えば、−CH=CH、−CF=CH、−C(CH)=CH、−CF=CF、−C(CF)=CH、−CH=CHF、−CH−OCOCH=CH、−CH−OH、などが挙げられる。
【0034】
また、YおよびYの好ましい具体例としては、例えば、一般式(I−16):
−OCOCX33=CX3435 (I−16)
(式中、X33〜X35は一般式(I−15)と同じである)
式:−CH−OCOCH=CH
などがあげられ、特にラジカルの接触による硬化反応性がより高い点で好ましく、光硬化などにより容易に硬化物を得ることができる点で好ましい。
【0035】
前記YおよびYのより好ましい具体例としては、例えば、−OCOCH=CH、−OCOC(CH)=CH、−OCOCF=CH、−OCOC(CF)=CH、−OCOCF=CF、−CH−OCOCH=CHなどが挙げられる。
【0036】
その他、Yとしては、例えば、−CH=CH、−CHCH=CH、−OCHCH=CH、−OCH=CH、−OCF=CF、−COOCH=CH、−COOCHCH=CH、−CH(OH)CHOCOCX36=CH(X36:H、FまたはCH)、−CH(OCOCX37=CH)CHOCOCX38=CH(X37、X38:H、FまたはCH)、−CH(OH)CHOCHCH=CH、−CH(OCHCH=CH)CHOCHCH=CH、−CH−OCOCH=CHなども挙げられる。
【0037】
その他、Yとしては、−COCH=CH、−CH(OH)CHOCOCX39=CH(X39:H、FまたはCH)、−CH(OCOCX40=CH)CHOCOCX41=CH(X40、X41:H、FまたはCH)なども挙げられる。
【0038】
なかでも、−OCOCF=CH、−CH−OCOCH=CH、−CH−OHの構造を有するものが屈折率を低くでき、さらに硬化(架橋)反応性が特に高く効率よく硬化物を得ることができる点で好ましい。
【0039】
なお、本発明の光情報記録材料用組成物において、ベースポリマー(a)の側鎖末端をα―フルオロアクリレート類、またはアクリルイソシアネート類でアクリル変性したベースポリマーは、光重合開始剤由来のラジカルをトラップする機構を有しており、光記録時の暗反応を抑制することが可能である。
【0040】
一般式(I−1)で示されるベースポリマー(a)において、Rf、Rf、Y、Y、Y、Yを除く有機基の好ましいものは、特に官能基Y、Y、Yが1個の場合、炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。これらの有機基は含まれる炭素原子にフッ素原子が結合していればよく、一般に、炭素原子にフッ素原子と水素原子または塩素原子が結合した含フッ素アルキレン基、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であるが、フッ素原子をより多く含有する(フッ素含有率が高い)ものが好ましく、官能基を除く有機基の酸素原子を除く分子量に対し、フッ素含有率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくはパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を有するパーフルオロアルキレン基である。これらによって、ベースポリマーの屈折率を低くすることが可能となり、特に硬化物の硬度を高くする目的で硬化度(架橋密度)を高くしても屈折率を低く維持できるため好ましい。
【0041】
炭素数が大きすぎると、含フッ素アルキレン基の場合はドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)成分との相溶性を低下させたり、本発明の光情報記録媒体の透明性が低下することがあるので好ましくなく、一方、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の場合はポリマー自身やその硬化物の硬度や機械特性を低下させることがあるので、好ましくない。含フッ素アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20である。
【0042】
好ましい具体例としては、例えば、
【化15】

(X42、X43:FまたはCF;X44、X45:HまたはF;t+u+v:1〜30の整数;w:0または1;x、y:0または1)
などが挙げられる。
【0043】
本発明で使用するベースポリマー(a)を構成する構造単位M1の構造、ベースポリマー(a)の具体例について述べる。
【0044】
構造単位M1−2を与える単量体として好ましい具体例としては、例えば、CH=CFCFOCF(CF)Y、CH=CFCFOCF(CF)CH、CH=CFCFOCF(CF)CHOY、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)Y、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCHCHYCH、CH=CFCFO(CFCFO)CF、CH=CFCFO(CFCFO)CFCH、CH=CFCFO(CFCFCFO)CFCF、CH=CFCFO(CFCFCFO)CFCFCH、CH=CFCFO(CHCFCFO)CHCF、CH=CFCFO(CHCFCFO)CHCFCH、CH=CFCFO(CFCF、CH=CFCFO(CFCF(CF))CH(z:1〜30の整数)などがあげられ、より詳しくは、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCOCX46=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCHCH(OCOCX46=CH)CHOCOCX46=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCH=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCHCH(OCH=CH)OCH=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF=CF、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COOCH=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCHCH=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCHCH(OCHCH=CH)CHOCHCH=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CRfRfOCOCX46=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)C(CHCH=CHOCOCX46=CH(X46:H、CH、FまたはCF、Rf、Rf:炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、z:0〜30の整数)などが挙げられる。
【0045】
一般式(I−10)で示されるベースポリマー(a)としては、前記の構造単位M1−2を与える単量体の例示において、YをYに置き換えたものが、好ましい具体例として挙げられる。
【0046】
より詳しくは、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCOCX46=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCHCH(OCOCX46=CH)CHOCOCX46=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CRfRfOCOCX46=CH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)C(CHCH=CHOCOCX46=CH(X46、Rf、Rf、z:前記と同じ)などが挙げられる。
【0047】
構造単位M1−3を与える単量体として好ましい具体例としては、例えば、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCH、CF=CFOCFCFCHOCHCHCH、CF=CFOCFCFCHOCHCHYCH−Y、CF=CFO(CFCF(CF))α、CF=CFO(CFCF(CF)O)αCFCFCH、CF=CFO(CFCF(CF)O)αCFCFCHOCHCHYCH(α:1〜30)、CF=CFO(CF、CF=CFO(CFCH、CF=CFOCFCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCH、CF=CFOCFCFOCFCHOCHCHYCH、CF=CFOCFCFCHOCFCF、CF=CFOCFCFCHOCFCFCHなどが挙げられる。
【0048】
さらに詳しくは、
【化16】

【化17】

(Rf、Rf、X46:前記と同じ;β:0〜30;γ:1〜3)
などが挙げられる。
【0049】
一般式(I−13)のベースポリマー(a)としては、前記の構造単位M1−3を与える単量体の例示において、YをYに置き換えたものが、好ましい具体例として挙げられる。
【0050】
より詳しくは、
【化18】

(X46、Rf、Rf、β、γ:前記と同じ)
などが挙げられる。
【0051】
M1−2、M1−3以外に本発明のベースポリマー(a)の構造単位M1を構成する単量体の好ましい具体例としては、例えば、CF=CFCFORf、CF=CFCFORfCHCHCH、CF=CFRf、CF=CFRfCHCHCH、CH=CHRf、CH=CHRfCHCHCH、CH=CHORf、CH=CHORfCHCHCH(Rf:炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)などが挙げられる。
【0052】
より具体的には、例えば、CF=CFCFOCFCFCF、CF=CFCFOCFCFCFCH、CF=CFCFOCFCF(CF)Y、CF=CFCFOCFCF(CF)CH、CF=CFCFOCFCFCHOCHCHCH、CF=CFCF、CF=CFCFCH、CF=CFCFCHOCHCHCH、CH=CHCFCFCHCH、CH=CHCFCF、CH=CHCFCFCH、CH=CHCFCFCFCF、CH=CHCFCFCFCFCH、CH=CHCFCFCFCFCHOCHCHYCH、CH=CHOCHCFCF、CH=CHOCHCFCFCHなどが挙げられる。
【0053】
本発明の一般式(I−6)の含フッ素不飽和化合物について、一般式(I−10)および一般式(I−13)以外の含フッ素不飽和化合物としては、前記構造単位M1−2およびM1−3以外の構造単位M1を与える単量体の好ましい具体例のYをYに置き換えたものが同様に好ましい具体例として挙げられる。
【0054】
一般式(I−1)で示されるベースポリマー(a)において、構造単位A1は任意成分であり、構造単位M1、M1−1、M1−2またはM1−3と共重合し得る単量体であれば特に限定されず、目的とするベースポリマー(a)などに応じて適宜選択すればよい。
【0055】
例えば、つぎの構造単位が例示できる。
【0056】
(1)官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位(A1−1)
これらは、ベースポリマー(a)の屈折率を低く維持しながら、光情報記録感度の向上や記録データアーカイブ保存性や耐光性を付与できる点で好ましく、そのほか架橋性などの機能を付与できる点で好ましい。官能基を有する好ましい含フッ素エチレン性単量体の構造単位は、一般式(I−17):
【化19】

(式中、X、XおよびXは同じかまたは異なり、HまたはFであり;
はH、FまたはCFであり;
dは0〜2の整数であり;
eは0または1であり;
Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり;
は−OH、−CHOH、−COOH、カルボン酸誘導体、−SOH、スルホン酸誘導体、エポキシ基、シアノ基、オキセタニル基、不飽和エステル基、アミノ基、式:
【化20】

または式:
【化21】

である)で示される構造単位であり、なかでも、一般式(I−18):
【化22】

(式中、RfおよびZは一般式(I−17)と同じである)
で示される構造単位が好ましい。
【0057】
また、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロー2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)、
(CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH)、
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOH)、
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOH)、
(CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COOH、
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COOH、
(CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CN、
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CN、
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CN、
(CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)H、
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)H、
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)H、
(CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHCOOCH
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHCOOCH
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHCOOCH
(CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOCHCHOCH
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCHCHOCH
(CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOCHCHOCH
をはじめとし、CH=CFCFOCF(CF)Z、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)Z、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)Z、CH=CFCFOCHCF、CH=CFCFOCHCFCFOCF(CF)Z、CH=CFCFOCFCFOCF、CH=CFCFO(CFCFO)CFなどの含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位も好ましく挙げられる。
【0058】
また、一般式(I−19):
【化23】

(式中、RfおよびZは一般式(I−17)と同じである)
で示される構造単位も好ましく例示でき、より具体的には、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCH、CF=CFO(CF、CF=CFO(CFCH、CF=CFOCFCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCH、CF=CFOCFCFCHOCFCF、CF=CFOCFCFCHOCFCFCH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCH、CF=CFO(CF、CF=CFO(CFCH、CF=CFOCFCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCH、CF=CFOCFCFCHOCFCF、CF=CFOCFCFCHOCFCFCHなどの単量体から誘導される構造単位などが挙げられる。
【0059】
その他、官能基含有含フッ素エチレン性単量体としては、例えば、CF=CFCFORf、CF=CFRf、CH=CHRf、CH=CHORf(Rf:式(2)と同じ)などがあげられ、より具体的には、CF=CFCFOCFCFCF、CF=CFCFOCFCFCFCH、CF=CFCFOCFCF(CF)Z、CF=CFCFOCFCF(CF)CH、CF=CFCF、CF=CFCFCH、CH=CHCFCFCHCH、CH=CHCFCF、CH=CHCFCFCH、CH=CHCFCFCFCF、CH=CHCFCFCFCFCH、CH=CHOCHCFCF、CH=CHOCHCFCFCHなどが挙げられる。
【0060】
(2)官能基を含まない含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位(A1−2)
これらはベースポリマー(a)の屈折率を低く維持できる点で、またさらに光情報記録感度の向上や耐光性を付与できる点で好ましい。また単量体を選択することでベースポリマー(a)の粘度特性やガラス転移点などを調整でき、特に構造単位M1と共重合してガラス転移点を高くすることができ、好ましいものである。
【0061】
含フッ素エチレン性単量体の構造単位としては一般式(I−20):
【化24】

(式中、X10、X11、X13は同じかまたは異なり、HまたはFであり;
12はH、FまたはCF;f、gおよびhは同じかまたは異なり、0または1であり;
はH、FまたはClであり;
Rfは炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基である)
で示されるものが好ましい。
【0062】
具体例としては、例えば、CF=CF、CF=CH、CF=CFCl、CF=CFCF、CF=C(CF、CF=CFO(CFδF(δ:1〜5の整数)、CH=C(CF、CF=CFH、CF=CCl、CF=CFOCFCF(CF)OC、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)εCFHCF(ε:0〜10)、CH=CF(CFε(Zは一般式(I−20)と同じ、ε:1〜10)、CH=CHOCH(CFε(Zは一般式(I−20)と同じ、ε:1〜10)、CH=CHOCH(CFε(Zは一般式(I−20)と同じ、ε:1〜10)などの単量体から誘導される構造単位が好ましく挙げられる。
【0063】
(3)フッ素を有する脂肪族環状の構造単位(A1−3)
これらの構造単位を導入すると、透明性を高くでき、また、より低屈折率化が可能となり、さらに高ガラス転移点の含フッ素ポリマーが得られ、本発明の光情報記録媒体にさらなる高感度記録化が期待できる点で好ましい。
【0064】
含フッ素脂肪族環状の構造単位としては、一般式(I−21):
【化25】

(式中、X47、X48、X51、X52、X53およびX54は同じかまたは異なり、HまたはFであり;
49およびX50は同じかまたは異なり、H、F、ClまたはCFであり;
Rfは炭素数1〜10の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜10のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり;
n2は0〜3の整数であり;
n1、n3、n4およびn5は同じかまたは異なり、0または1である)
で示されるものが好ましい。
【0065】
例えば、一般式(I−22):
【化26】

(式中、Rf、X49、X50は前記と同じ)
で示される構造単位などが挙げられる。
【0066】
具体的には、
【化27】

【化28】

などが挙げられる。
【0067】
(4)フッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位(A1−4)
含フッ素ベースポリマーの屈折率を悪化(高屈折率化)させない範囲でフッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位を導入してもよい。
【0068】
それによって、モノマーとの相溶性がさらに向上したり、光重合開始剤や色素、添加剤、例えば増感剤、可塑剤、熱安定剤、光沢剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、連剤移動剤、ブリーチング剤や、必要に応じて添加する架橋剤との相溶性を改善できるので好ましい。
【0069】
非フッ素系エチレン性単量体の具体例としては、
αオレフィン類:
エチレン、プロピレン、ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
ビニルエーテル系またはビニルエステル系単量体:
CH=CHOR、CH=CHOCOR(R:炭素数1〜20の炭化水素基)など
アリル系単量体:
CH=CHCHCl、CH=CHCHOH、CH=CHCHCOOH、CH=CHCHBrなど
アリルエーテル系単量体:
CH=CHCHOR(R:炭素数1〜20の炭化水素基)、CH=CHCHOCHCHCOOH、CH=CHCHOCHCHOCH
【化29】

など
アクリル系またはメタクリル系単量体:
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類のほか、無水マレイン酸、マレイン酸、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、マレイン酸エステル類、
さらに、
【化30】

などが挙げられる。
【0070】
(5)脂環式単量体から誘導される構造単位(A1−5)
構造単位M1の共重合成分として、より好ましくは構造単位M1と前述の含フッ素エチレン性単量体または非フッ素エチレン性単量体(前述の(3)、(4))の構造単位に加えて、第3成分として脂環式単量体構造単位を導入してもよく、それによって高ガラス転移点化、高粘度化が図られるので好ましい。
【0071】
脂環式単量体の具体例としては、例えば、
【化31】

(式中:mは0〜3の整数、A、B、CおよびDは同じかまたは異なり、H、F、Cl、COOH、CHOHまたは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である)
で示されるノルボルネン誘導体、
【化32】

などの脂環式単量体や、これらに置換基を導入した誘導体などが挙げられる。
【0072】
ベースポリマー(a)において、構造単位M1(M1−1、M1−2、M1−3)と構造単位A1の組み合わせや組成比率は、前記の例示から目的とする用途、物性(特にガラス転移点、粘度など)、機能(記録感度、耐光性、透明性)などによって種々選択できる。
【0073】
ベースポリマー(a)においては、構造単位M1(M1−1、M1−2、M1−3)を必須成分として含むものであり、構造単位M1自体で屈折率を低く維持し、透明性を付与する機能と光情報記録媒体に光情報記録による屈折率差、透明性、記録感度、耐光性を付与できる機能をあわせもつという特徴をもつ。したがって本発明のベースポリマーである架橋性含フッ素ポリマーは、特にネガ型のマイクロリフレクターの様式2において、構造単位M1を多く含む組成、極端には構造単位M1のみ(100モル%)からなる重合体であっても前記物性を維持できる。さらに同時に硬化(架橋)密度の高い光情報記録媒体が得られ、高記録感度、耐光性、アーカイブ保存性に優れた光情報記録媒体が得られる点で好ましい。
【0074】
またさらに、本発明の構造単位M1と共重合可能な単量体の構造単位A1とからなる共重合体の場合、構造単位A1を前述の例示から選択することによって、さらに高粘度(高ガラス転移点)や透明性に優れる光情報記録媒体を与えるポリマーとすることができる。
【0075】
構造単位M1と構造単位A1との共重合体において、構造単位M1の含有比率は、ベースポリマー(a)を構成する全単量体に対し0.1モル%以上であればよいが、分子間の自己架橋により高粘度で高記録感度、耐光性に優れ、アーカイブ保存性に優れた光情報記録媒体を得るためには2.0モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上とすることが好ましい。
【0076】
また、本発明では、透明性を必要とするため、構造単位M1と構造単位A1の組合せが非晶性となり得る組合せと組成を有する架橋性含フッ素ポリマーであることが好ましい。
【0077】
一般式(I−1)で示されるベースポリマー(a)としては、なかでも、高記録感度を有しかつ高密度記録を狙いとする光情報記録組成物用の含フッ素ポリマーの好ましい形態としては、一般式(I−23):
【化33】

で示されるものが挙げられる。
【0078】
式(3)中の構造単位M1は、前述のヒドロキシル基、エチレン性炭素−炭素二重結合を側鎖に有する構造単位であり、式(M1−1)、(M1−2)、(M1−3)で示した前記の好ましい具体例と同様のものが適用できる。
【0079】
構造単位A2は、側鎖に官能基を有する含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位であり、詳しくは、一般式(I−24):
【化34】

(式中、X、XおよびXは同じかまたは異なり、HまたはF;XはH、FまたはCF;dは0〜2の整数;eは0または1;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Zは−OH、−CHOH、−COOH、カルボン酸誘導体、−SOH、スルホン酸誘導体、エポキシ基、シアノ基、オキセタニル基、不飽和エステル基またはアミノ基である)
で示される構造単位であり、前述の官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位A1の具体例が同様に好ましく適用できる。
【0080】
構造単位A3は、官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位であり、詳しくは、一般式(I−25):
【化35】

(式中、X10、X11およびX13は同じかまたは異なり、HまたはF;X12はH、FまたはCF;f、gおよびhは同じかまたは異なり、0または1;ZはH、FまたはCl;Rfは炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基である)
で示される構造単位が好ましい。
【0081】
構造単位M1、A2およびA3のそれぞれの存在比率は、M1=0〜90モル%、A2=0〜100モル%およびA3=0〜99.9モル%であり、かつM1+M2=0.1〜100モル%であるのが好ましい。構造単位M1が少なすぎると、光情報記録後の収縮が大きくなったり、耐光性が不充分になる傾向にある。A2が少なすぎると、光情報記録材料用組成物中の各化合物との相溶性、記録感度などが不足する傾向にある。A3が少なすぎると、透明性が不足する傾向がある。
【0082】
これら構造単位M1、A2、A3からなるベースポリマー(a)は、構造単位M1の架橋性部位により光情報記録媒体などに高記録感度を有しかつ高密度記録と耐光性を付与できる。また構造単位A2の官能基により、光情報記録材料用組成物中の各化合物との相溶性、記録感度を付与できる。さらに構造単位A3により、光情報記録材料用組成物および媒体に対してさらなる良好な透明性を付与できる。
【0083】
ベースポリマー(a)の分子量は、例えば数平均分子量において10000より大きく、1000000以下の範囲から選択できるが、好ましくは20000〜500000、特に20000〜150000の範囲から選ばれるものが好ましい。
【0084】
分子量が低すぎると、光情報記録層の形成後であっても低粘度であり、ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)がベースポリマー(a)に連結していない場合において、特に、アーカイバル保存性に欠けやすい。分子量が高すぎると、光情報記録材料用組成物中の各化合物との相溶性、記録感度が悪くなったり、特にディスク形成時に成膜性やレベリング性が悪くなりやすい。
【0085】
ベースポリマー(a)は、構造単位M1の種類、含有率、必要に応じて用いられる共重合構造単位A1の種類によって種々決定できるが、ベースポリマー(a)自体の屈折率が1.45以下であることが好ましく、さらには1.40以下、特には1.38以下であることが好ましい。基板や下地の種類によって変化するが、これら低屈折率を維持し、硬化(架橋)が可能であることで、光情報記録材料用組成物および媒体のベースポリマーとして好ましいものとなり得る。
ベースポリマー(a)は、屈折率が低いので、ノルボルナジエニル誘導体(b)の異性化による屈折率の変化の検出を妨げない。また、ノルボルナジエニル誘導体(b)との適当な相溶性を有するので、本発明の光情報記録材料用組成物の調製を容易にする。
【0086】
本発明で使用するベースポリマー(a)は、他にも、一般式(I−26):
【化36】

で示されるものも挙げられる。
【0087】
式(6)に示したベースポリマー(a)において、構造単位M2の具体例としては、前に述べた構造単位M1の具体例のそれぞれに対応する、炭素−炭素二重結合を含む部位YをOH基を含む部位Yに入れかえた構造のものや、一般式(I−29):
【化37】

(式中、X22およびX23は同じかまたは異なり、いずれもH、F、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6の含フッ素アルキル基である)
で示される架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数2〜100の有機基や、一般式(I−30):
【化38】

(式中、Qは炭素数3〜100の単環構造、複環構造または複素環構造の水素原子が前記X22またはX23で置換されていてもよい1価または2価の有機基である)
で示される架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数3〜100の有機基や、一般式(I−31):
【化39】

(式中、X24〜X28は同じかまたは異なり、いずれもH、F、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6の含フッ素アルキル基である)
で示される架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数3〜100の有機基や、一般式(I−32):
【化40】

(式中、X29〜X32は同じかまたは異なり、いずれもH、F、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6の含フッ素アルキル基である)
で示される架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数3〜100の有機基で置換したものも好ましく利用できる。また、構造単位A4は、前述の構造単位A1〜A3と同様のものが好ましく利用できる。
【0088】
本発明で使用するベースポリマー(a)としては、前記であげたもの以外にも、架橋部位を有するものを使用し、さらに、例えばネガ型のマイクロリフレクターにおける様式2において、本発明の光情報記録材料用組成物が、該架橋部位と熱により架橋反応する多官能性不飽和化合物を含有することもできる。
【0089】
このような架橋部位を有するベースポリマー(a)と多官能性不飽和化合物の組み合わせとしては、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物とアミノ基を有する化合物、カルボジイミド基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物、不飽和エステル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物、不飽和エステル基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、ビニル基を有する化合物とシリコンヒドリド基を有する化合物、カチオン系反応基を有する化合物とカチオン系反応基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種の組み合わせを有するベースポリマー(a)と多官能性不飽和化合物の組み合わせとして適時選択して用いることができ、さらには前記組み合わせの中で温和な条件で重合または架橋させることが出来るイソシアネート基を有する多官能性不飽和化合物と水酸基を有するベースポリマー(a)との組み合わせがより好ましい。
【0090】
本発明で使用できるイソシアネート基を有する多官能性不飽和化合物としては、とくに制限はなく用いることができるが、光記録を保持、また記録感度を向上するためには、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能性不飽和化合物がより好ましく、このようなイソシアネート基を有する化合物の具体的なものとしては、例えば、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチル−オクタン、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、ベンゼン−1,3,5−トリイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ビス(イソシアナートトリル)フェニルメタン、ジメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルぺンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルぺンタンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、イソホロンジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネート−1,5−ジメチルナフタレン、ω,ω’−ジイソシアネート−n−プロピルビフェニル、1,3−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、1,1’−ジナフチル−2,2’−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジエトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネートなどがあげられ、さらに前記の各イソシアネート化合物の2量体または3量体のアダクト体(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの2モルのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート2モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート3モルのアダクトなど)、これらのイソシアネートの中から選ばれる互いに異なる2種以上のイソシアネート同士のアダクト体、およびこれらのイソシアネートと2価または3価のポリアルコール(例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパンなど)とのアダクト体(例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクトなど)などが挙げられる。なお、これらのイソシアネート化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
なお、光情報記録材料用組成物で構成した記録層を積層した光情報記録媒体に情報を全て記録し、この記録し終えた状態で用いられる光情報記録媒体は、CDやDVD同様に蛍光灯下、窓辺または放置される環境温度が種々多様となる可能性が有る。従って、種々の条件で記録層の着色を抑えるものが好ましく、このように着色を抑える為には、イソシアネート基を有する化合物の中でも、脂肪族系のイソシアネート化合物がより好ましい。
【0092】
本発明では、例えばネガ型のマイクロリフレクターにおける様式2において、イソシアネート基を有する化合物を使用する場合、イソシアネート基を有する化合物の自己架橋でバインダーを形成させても良いが、バインダー形成を温和な条件下で行わせる為には、上で詳述したイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を分子内に有する化合物との架橋反応によりバインダー形成するのが好ましく、このようなイソシアネート化合物と反応しうる化合物としては、例えば分子内に水酸基を有する化合物、一級または二級アミノ基を有する化合物さらにはエナミン構造を有する化合物などをあげることが出来る。しかしながら、本発明の光情報記録材料用組成物で構成した記録層を積層した光情報記録媒体に情報を全て記録し、この記録し終えた状態で用いられる光情報記録媒体の着色を抑える為には、上述の化合物の中でイソシアネート化合物と反応しうる化合物として水酸基を有するベースポリマー(a)が好ましく、さらにはアルコール性水酸基を分子内に1個以上有するベースポリマー(a)がより好ましい。
【0093】
このように分子内にアルコール性水酸基を1個以上有するベースポリマー(a)の構造単位としては、例えば、(I−33):
【化41】

(式中、Rfは一般式(I−17)と同じである)
で示される構造単位が好ましい。
【0094】
より具体的には、CH=CFCFOCF(CF)OH、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)OH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)OH、CH=CFCFOCHCFOH、CH=CFCFOCHCFCFOCF(CF)OH、CH=CFCFOCFCFOCFOH、CH=CFCFO(CFCFO)CFOH、CH=CFCFOCF(CF)CHOH、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOHなどの含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位が好ましく挙げられる。
【0095】
また、一般式(I−34)::
【化42】

(式中、Rfは一般式(I−17)と同じである)
で示される構造単位も好ましく例示でき、より具体的には、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCHOH、CF=CFO(CFOH、CF=CFO(CFCHOH、CF=CFOCFCFOCFOH、CF=CFOCFCFOCFCHOH、CF=CFOCFCFCHOCFCFOH、CF=CFOCFCFCHOCFCFCHOH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCHOH、CF=CFO(CFOH、CF=CFO(CFCHOH、CF=CFOCFCFOCFOH、CF=CFOCFCFOCFCHOH、CF=CFOCFCFCHOCFCFOH、CF=CFOCFCFCHOCFCFCHOHなどの単量体から誘導される構造単位などが挙げられる。
【0096】
その他、官能基含有含フッ素エチレン性単量体としては、例えば、CF=CFCFORfOH、CF=CFRfOH、CH=CHRfOH、CH=CHORfOH(Rf:式(2)と同じ)などがあげられ、より具体的には、CF=CFCFOCFCFCFOH、CF=CFCFOCFCFCFCHOH、CF=CFCFOCFCF(CF)OH、CF=CFCFOCFCF(CF)CHOH、CF=CFCFOH、CF=CFCFCHOH、CH=CHCFCFCHCHOH、CH=CHCFCFOH、CH=CHCFCFCHOH、CH=CHCFCFCFCFOH、CH=CHCFCFCFCFCHOH、CH=CHOCHCFCFOH、CH=CHOCHCFCFCHOHなどが挙げられる。
【0097】
以上詳述したベースポリマー(a)のなかでも、CH=CFCFOCF(CF)CHOH、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH、CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)CHOHが好ましい。
【0098】
本発明の光情報記録材料用組成物において、ベースポリマー(a)の屈折率は、屈折率差をより大きくし、かつ記録感度や記録密度を向上させる点から、1.350〜1.385が好ましく、1.360〜1.370がより好ましい。
【0099】
本発明の光情報記録材料用組成物において、ベースポリマー(a)の含有量は、記録感度や多重記録性および記録密度の向上、さらに耐光性の点から、20〜80質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましい。
上記で説明したベースポリマー(a)は、国際公開2008/123302号パンフレット、および国際公開2008/123302号パンフレット等に記載の方法などの、公知の方法に準じて製造することができる。
【0100】
B.ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)
ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)は、
一般式(II−1)
【化43】

[式中、D、Dの両方または一方は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホニル基およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1個の置換基を有するヘテロ芳香族基であり、他方は炭素数1〜10のアルキル基、芳香族基またはヘテロ芳香族基であり;
およびRは同じかまたは異なり、炭素数1〜4のアルキル基であり;
およびRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり;および
およびRは同じかまたは異なり、メチル、p−メトキシフェニルまたは炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である。]
で表され、D、またはDを介して、Rfと連結していてもよい。
本明細書中、当該ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)を、単にNBD誘導体(b)と称する場合がある。
当該NBD誘導体(b)は、所定の波長(例、約405nm)のレーザー光(記録光)によって、一般式(II−1’)
【化44】

(式中の記号は前記と同意義を表す。)
で表され、D、またはDを介して、Rfと連結していてもよいドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b’)に異性化し、当該分子の屈折率が変化する。この性質により、光情報記録を担う。
本明細書中、当該ドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b’)を、単にNBD誘導体(b’)と称する場合がある。
NBD誘導体(b’)は、熱を加えることによって、NBD誘導体(b)に異性化するので、本発明の光情報記録媒体は、光情報を容易に消去して、再使用することができる。
上述のように、NBD誘導体(b)は、D、またはDを介して、ベースポリマー(a)のRfと連結していてもよい。
1、D2の両方または一方(すなわち、D1およびD2の少なくとも一方)は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホニル基およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1個の置換基(X)を有する芳香族基、または同じく少なくとも1個の置換基(X)を有するヘテロ芳香族基である。これらの置換基(X)は、高分子化合物の有する他の官能基と反応してエステル、エーテル、アミド、アミンなどの結合に変換し得て、高分子化合物へのアンカーとなり得る。
【0101】
芳香族基としては、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、チオキシフェニル、ビフェニル、アントラニルなどが挙げられる。
【0102】
ヘテロ芳香族基としては、チエニル、フリル、ピロリル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリルなどのヘテロ原子(硫黄原子、窒素原子、酸素原子)を1〜2個含む単環、二環または三環式のヘテロ芳香族基が挙げられる。
【0103】
1、D2のいずれか一方のみが上記置換基(X)を有する芳香族基またはヘテロ芳香族基である場合には、D1、D2のうちの他方は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、芳香族基またはヘテロ芳香族基である。
【0104】
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどの炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
【0105】
アルケニル基としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなどの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
【0106】
アルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、デシニルなどの炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられる。
【0107】
芳香族基としては、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、チオキシフェニル、ビフェニル、アントラニルなどが挙げられる。
【0108】
ヘテロ芳香族基としては、チエニル、フリル、ピロリル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリルなどのヘテロ原子(硫黄原子、窒素原子、酸素原子)を1〜2個含む単環、二環または三環式のヘテロ芳香族基が挙げられる。
【0109】
一般式(II−1)において、RおよびRは同じかまたは異なり、CH、p−メトキシフェニル、または炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である。このようなペルフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、n−ヘプタフルオロプロピル、イソヘプタフルオロプロピル、n−ノナフルオロブチル、イソノナフルオロブチル、sec−ノナフルオロブチル、tert−ノナフルオロブチルなどの炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基が挙げられる。
【0110】
一般式(II−1)において、R1、R2、R3、R4は同じかまたは異なり、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、芳香族基またはヘテロ芳香族基である。ただし、R1、R2は同時に水素ではない。
【0111】
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0112】
アルケニル基としては、ビニル、プロペニル、ブテニルなどの炭素数2〜4のアルケニル基が挙げられる。
【0113】
アルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニルなどの炭素数2〜4のアルキニル基が挙げられる。
【0114】
芳香族基としては、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、チオキシフェニル、ビフェニル、アントラニルなどが挙げられる。
【0115】
ヘテロ芳香族基としては、チエニル、フリル、ピロリル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリルなどのヘテロ原子(硫黄原子、窒素原子、酸素原子)を1〜2個含む単環、二環または三環式のヘテロ芳香族基が挙げられる。
上記で説明したNBD誘導体(b)は、特許第41611578号公報等に記載の公知の方法によって製造することができる。
NBD誘導体(b)とベースポリマー(a)との連結は、例えば、一般式(1)で表されるノルボルナジエニル誘導体(DまたはDはカルボキシル基)のDまたはDがカリウム塩のものを、ベースポリマー(a)の側鎖末端水酸基の水素原子が塩素で置換されたベースポリマー(a)と付加反応させ、ノルボルナジエニル誘導体がエステル結合により結合させることによって行うことができる。
【0116】
C.架橋剤(c)
【0117】
当該架橋剤(c)は
【化45】

(式中、X22およびX23は同じかまたは異なり、H、F、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6の含フッ素アルキル基である)
で示される架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数2〜100の有機基や、一般式(I−30):
【化46】

(式中、Qは炭素数3〜100の単環構造、複環構造または複素環構造の水素原子が前記X22またはX23で置換されていてもよい1価または2価の有機基である)
で示される架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数3〜100の有機基を有するものなども使用できる。その具体例としては、例えば、
一般式(I−31):
【化47】

(式中、X24〜X28は同じかまたは異なり、H、F、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6の含フッ素アルキル基である)
で示される架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数3〜100の有機基や、一般式(I−32):
【化48】

(式中、X29〜X32は同じかまたは異なり、H、F、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6の含フッ素アルキル基である)
で示される架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数3〜100の有機基)が1〜を有するものなども使用することができる。その具体例としては、例えば、さらに、具体例として以下が挙げられる。
【化49】

(RはHまたはCH;Rf6cは炭素数1〜200の2価以上の含フッ素有機基)、
【化50】

(nは1〜8の整数)、
【化51】

(Rは炭素数3〜20の2価の有機基;RおよびRは同じかまたは異なり、HまたはC;nは2〜100の整数)で示されるオリゴマーなどが挙げられる。
そのほかに、例えば、アジピン酸ジグリシジルエステル、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1,2,5,6−ジエポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、1,2,7,8−ジエポキシオクタンなどが挙げられる。
【0118】
D.ラジカル性重合モノマー(d)]
本発明で使用するラジカル性重合モノマー(d)としては、後述する光重合開始剤(e)から発生した活性種により重合を開始するラジカル性重合モノマー(d1)が好ましい。
【0119】
このようなラジカル性重合モノマー(d)の具体例としては、フルオロアクリロイル基を有する化合物が挙げられる。フルオロアクリロイル基を有する具体例として以下が挙げられる。
【0120】
【化52】

(XはH、CHまたはF、Rfは炭素数2〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される化合物が好ましい。
【0121】
具体的には、
【化53】

などが挙げられる。
【0122】
そのほかに、例えば、
【化54】

(Rfは、炭素数1〜40の含フッ素アルキル基である)、
【化55】

(Rfは、炭素数1〜40の含フッ素アルキル基である)、
【化56】

(Rfは、炭素数1〜40の含フッ素アルキル基またはエーテル結合を含む含フッ素アルキル基、RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基である)、
【化57】

(Rf’は、炭素数1〜40の含フッ素アルキル基またはエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基である)、
【化58】

(Rf’は、炭素数1〜40の含フッ素アルキル基またはエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基である)、
【化59】

(Rf’は、炭素数1〜40の含フッ素アルキル基またはエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基、RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基である)、
などの一般式で示される含フッ素多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタクリレート基またはα−フルオロアクリレート基に置き換えた構造のものが好ましく挙げられる。
【0123】
そのほかに、例えば、
スチレンα−メチルスチレン、
2−ブロモスチレン、酢酸ビニル、メチルビニルケトン、アクリロニトリル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、アクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、フェニルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、エチレンオキシドフェノールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシドアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシドジアクリレート、エチレンオキシドテトラブロモビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシドビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシドビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、プロピレンオキシドトリメチロールプロパントリアクリレート、ウレタンアクリレート、ε−カプロラクトン酸トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコール400ジアクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エチレンオキシドトリブロモフェニルアクリレート、フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、2−メチル−2アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルアクリレート、フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−(9−カルバゾリル)エチルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、イソボニルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2,3−ジブロムプロピルアクリレート、2−(トリシクロ[5,2,102.6]ジブロモデシルチオ)エチルアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレンジチオグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、S−(1−ナフチルメチル)チオアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、N−アクリロイルモルホリン、α−シアノアクリル酸メチル、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタン、ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、2,3−ナフタリンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、4,5−フェナントレンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、ジフェン酸(2−メタクリロキシエチル)モノエステル、ジフェン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、1,3−ビス[2−アクリロキシ−3−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)プロポキシ]ベンゼン、ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)スルホン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、
(メタ)アクリル酸とジオールとのエステル基を有する化合物としては、具体的には、下記化学式:
【化60】

(化学式中、q及びpは同一又は異なり0〜6であってq+p=2〜6となる数、R及びRは同一又は異なり水素原子又はメチル基)が挙げられる。
q+pが5であると、より好ましい。具体的には、
9,9−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジメチル)フルオレン、
9,9−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、および
9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン
などが挙げられる。
【0124】
さらに、ジアリルフタレートモノマーである、
【化61】

および
【化62】

が挙げられる。
【0125】
また、
2,4−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、シクロヘキセンオキシド、エトキシ化プロピレングリコール700ジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ジメタクリレート、デンドリマー(2世代)アクリレート、および前記におけるアクリレートをメタクリレートに変えた化合物などが挙げられる。
ラジカル性重合モノマー(d)は、例示したこれらに限定されるものではなく、ラジカル重合性化合物としては、記録感度や多重記録性の点から、9,9−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)フルオレン、ジアリルフタレートモノマー、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ポリプロピレングリコール700ジアクリレート、α−フルオロアクリロイル基またはアクリロイル基を有するものが好ましい。
【0126】
なお、ラジカル性重合モノマー(d)としては、耐光性や保存安定性の点から、多官能性モノマーが好ましい。
【0127】
本発明の光情報記録材料用組成物において、ラジカル性重合モノマー(d)の分子量は、記録感度や収縮率、多重記録性の点から、50以上が好ましく、100以上がより好ましい。また、ラジカル性重合モノマー(d1)の分子量は、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましい。
【0128】
本発明の光情報記録材料用組成物において、ラジカル性重合モノマー(d)の屈折率は、屈折率差や記録感度または多重記録性の点から、1.40〜1.70が好ましく、1.45〜1,68がより好ましい。
【0129】
また、ラジカル性重合モノマー(d)の屈折率は、得られる光情報記録媒体の屈折率変調度を大きくするために、ベースポリマー(a)と後述する光重合開始剤(c)や必要に応じて可塑剤との混合物の平均屈折率よりも高いことが必要である。
【0130】
本発明の光情報記録材料用組成物において、ラジカル性重合モノマー(d)の含有量は、記録感度や記録安定性、および多重記録性の点から、10〜90質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましい。
【0131】
さらに、ラジカル性重合モノマー(d)は、例示したこれらの単独使用に限定されるものではなく、2種以上選択して用いることも可能である。
【0132】
特にラジカル性重合モノマー(d)同士の組み合わせとしては、α−フルオロアクリロイル基またはアクリロイル基を有するラジカル性重合モノマーとメタクリロイル基またはビニル基を有するラジカル性重合モノマーの組み合わせ、さらにα−フルオロアクリロイル基またはアクリロイル基を有するラジカル性重合モノマーと、メタクリロイル基またはビニル基を有するラジカル性重合モノマーとラジカル性重合モノマーの組み合わせ、などが挙げられるが、特に記録感度や収縮率、および多重記録性を両立する点から、α−フルオロアクリロイル基またはアクリロイル基を有するラジカル性重合モノマーとメタクリロイル基またはビニル基を有するラジカル性重合モノマーの組み合わせ、が好ましい。
【0133】
ラジカル性重合モノマー(d)としては、上述したにも、記録感度や多重記録性の向上の点から、通常可塑剤を添加して使用することが好ましい。
【0134】
可塑剤としては、例えば、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルフタレ一ト、ジオクチルフタレートに代表されるフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ジエチルサクシネートに代表される脂肪族二塩基酸エステル類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートに代表される正リン酸エステル類;グリセリルトリアセテート、2−エチルヘキシルアセテートに代表される酢酸エステル類;トリフェニルホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイトに代表される亜リン酸エステル類等の不活性化合物、酢酸−2−エトキシエチルが例示される。
【0135】
また、以下の式(35):
(CHCHO)ζ (35)
(式中、RおよびRは、同じかまたは異なり、炭素数1〜5のアルキル基、水酸基またはアセチル基;ζは1〜5の整数である)
で示されるアルキレングリコールアルキルエーテルも使用できる。
【0136】
使用できるアルキレングリコールアルキルエーテルの代表的なものとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコ一ルジプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸セロソルブ、エチレングリコールジアセチルエーテル、エチレングリコールモノアセチルエーテル、ジエチレングリコールジアセチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセチルエーテル、トリエチレングリコールジアセチルエーテル、トリエチレングリコールモノアセチルエーテルなどが例示される。
【0137】
また、重量平均分子量が10,000以下であるポリエチレングリコールもしくはシリコーンオイルを用いることもできる。
【0138】
可塑剤としては、その屈折率がベースポリマー(a)の屈折率と比較して、極力近いものを選択するのが好ましい。
【0139】
可塑剤は前記例示化合物を単独で用いても2種以上の組み合わせで用いてもよい。可塑剤は、例示したこれらに限定されるものではなく、特に記録感度や収縮率の点から、酢酸2−エトキシエチル、ジエチルセバケート、ジエチルアジペート、ジブチルセバケートが好ましい。
【0140】
本発明の光情報記録材料用組成物において、可塑剤の分子量は、組成物の粘度や記録感度、収縮率さらに多重記録性の点から、100〜1000が好ましく、200〜800がより好ましい。
【0141】
本発明の光情報記録材料用組成物において、可塑剤の屈折率は、記録感度、多重記録性の点から、1.40〜1.50が好ましく、1.42〜1.45がより好ましい。
【0142】
本発明の光情報記録材料用組成物において、可塑剤の含有量は、組成物の粘度や記録感度、収縮率さらに多重記録性の点から、10〜80質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。
【0143】
本発明で使用される光重合開始剤(e)とは、コヒーレンス性に優れた光に感光し、ラジカル性重合モノマー(d)の重合を開始させる化合物である。
【0144】
光重合開始剤(e)としては、He−Ne(波長633nm)、Ar(波長515、488nm)、Nd−YAGまたはNd:YVO4(波長532nm)、He−Cd(波長442nm)、AlGaNまたはInGaN(波長405±5nm)、YAG3倍波(波長355nm)などのレーザー光を吸収してラジカルを発生するものが好適である。
【0145】
光重合開始剤(e)として使用できる光ラジカル重合開始剤として、例えば米国特許第4766055号、同第4868092号、同第4965171号、特開昭54−151024号公報、特開昭58−15503号公報、特開昭58−29803号公報、特開昭59−189340号公報、特開昭60−76735号公報、特開平1−28715号公報、および「プロシーディングス・オブ・コンフェレンス・オン・ラジエーション・キュアリング・エイジア(PROCEEDINGS OF CONFERENCE ON RADIATION CURING ASIA)」(P.461〜477、1988年)などに記載されている公知な開始剤が使用できるが、この限りではない。光重合開始剤(e)として使用できる、光ラジカル重合開始剤の具体例として、例えば、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類、または2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類、有機過酸化物類が挙げられる。高い感光性が必要とされる場合は、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。
【0146】
前記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、例えば、ジフェニルヨードニウム、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4’−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネートなどが例示される。
【0147】
また、2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、安息香酸−4−[4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−メチルエステル、安息香酸−4−[4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]、1,3,5−トリアジン−2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]、1,3,5−トリアジン−2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)、1,3,5−トリアジン−2−[4−(メチルチオ)フェニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)、ADEKA社製の光重合開始剤であるN−1606などが例示される。
【0148】
また、有機過酸化物類の具体例としては、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、「3,3−ビスメトキシカルボニル−4,4−ビス−tert−ブチルペルオキシカルボニルベンゾフェノン、3,4−ビスメトキシカルボニル−4,3−ビス−tert−ブチルペルオキシカルボニルベンゾフェノン、4,4−ビスメトキシカルボニル−3,3−ビス−tert−ブチルペルオキシカルボニルベンゾフェノン」混合物、ジ−tert−ブチルペルオキシイソフタレイト、ベンゾフェノンなどが例示される。
【0149】
さらに、光重合開始剤(e)のうち、重合開始剤として作用する化合物の例として、例えば、前記光重合開始剤の他、チタノセン化合物、モノアシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイドとα−ヒドロキシケトンとの組合せなどが挙げられる。
【0150】
その他、光重合開始剤(e)のうち、例えば、鉄アレーン錯体などが挙げられる。光重合開始剤(e)として、これらの1種を使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらは主として近紫外から可視域の範囲に吸収極大波長を有する化合物である。
【0151】
チタノセン化合物として公知のチタノセン化合物が全て使用できる。例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報に記載のチタノセン化合物が挙げられる。具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−クロロ−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−フェニル−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((2,5−ジメチル−1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス−(2,4−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((3−トリメチルシリル−2,5−ジメチル−1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((2,5−ビス(モルホリノメチル)−1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−4−((2,5−ジメチル−1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−メチル−4−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1−メチル−2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(6−(9−カルバゾル−9−イル)ヘキシル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(3−(4,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−1−インドル−1−イル)プロピル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((アセチルアミノ)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(プロピオニルアミノ)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(4−(ビバロイルアミノ)ブチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(2,2−ジメチルペンタノイルアミノ)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(3−(ベンゾイルアミノ)プロピル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(N−アリルメチルスルホニルアミノ)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1−ピル−1−イル)フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
【0152】
モノアシルホスフィンオキサイドとして、公知のモノアシルホスフィンオキサイドが全て使用できる。例えば、特公昭60−8047号公報、特公昭63−4077号公報に記載のモノアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、イソブチリル−チルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2−エチルヘキサノイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p−トルイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、o−トルイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4−ジメチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、p−三級ブチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−エチルヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、o−トルイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、p−三級ブチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、3−ピリジルカルボニル−ジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−フェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイル−ビス−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、p−トルイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、4−(三級ブチル)−ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、テレフタロイル−ビス−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、バーサトイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、1−メチル−シクロヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、ADEKA社製の光重合開始剤であるSP−246などが挙げられる。ビスアシルホスフィンオキサイドとして公知のビスアシルホスフィンオキサイドが全て使用できる。例えば、特開平3−101686号公報、特開平5−345790号公報、特開平6−298818号公報に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−クロルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0153】
α−ヒドロキシケトンとして、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンなどが挙げられる。
【0154】
鉄アレーン錯体として、例えば、フェロセン、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)、(η−トルエン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)、(η−クメン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)、(η−ナフタレン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)、(η−アントラセン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)、(η−ピレン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)などのクロリド、ブロミド、スルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネートなど、およびこれら化合物の配位子上に1またはそれ以上の置換基を有する誘導体などが挙げられる。その他、ADEKA社製の光重合開始剤であるN−1919、N−1717などが挙げられる。その他、2,4−ジエチルチオキサントン、テトラブチルアンモニウムブチルトリ−4−tert―ブチルフェニルボラートが挙げられる。
【0155】
本発明の光情報記録材料用組成物において、光重合開始剤(e)の含有量は、1〜20重量%(特に2〜10重量%)が好ましい。光重合開始剤(e)は、使用する干渉縞露光工程に応じて、あるいは必要に応じて行なわれる後露光工程における重合開始剤としても作用させてよい。
【0156】
色素増感剤は、一般に光を吸収する成分であり、光重合開始剤(e)を増感するためにこれら光重合開始剤(e)と色素増感剤の組み合わせ等が好ましく使用される。色素増感剤として、可視レーザー光を吸収させるために色素のような有色化合物が用いられる場合が多い。
【0157】
色素増感剤は、可視領域の光に吸収を示すものであればよく、前記以外に、例えば、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、キサンチン誘導体、チオキサンテン誘導体、アクリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、ケトクマリン誘導体、キノロン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、チアジン系色素、さらにスクアリリウム誘導体、および含金属スクアリリウム誘導体なども使用可能であり、更には、「色素ハンドブック」(大河原信他編、講談社、1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他門、シーエムシー1983年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編、シーエムシー、1986年)に記載される光増感色素も用いることができる。また、最終的な記録層に無色透明性が要求される場合は、色素増感剤として、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報に記載されているようなシアニン系色素を使用するのが好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、本発明における後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することで記録層中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な記録層を得ることができる。
【0158】
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3’−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2’−チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3’,9−ジエチル−2,2’−チアカルボシアニンベタイン、3,3’,9−トリエチル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3’−カルボキシメチル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’,9−トリエチル−2,2’−(4,5,4’,5’−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−[[3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン]メチル]−3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチル−2,2’−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’−ジエチル−2,2’−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3’−カルボキシメチル−5’−クロロ−2,2’−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5’−ジフェニル−9−エチル−3,3’−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩、ADEKA社製の光増感色素であるYT−245、GPX−102、TY−235があげられ、これらの1種以上を使用してよい。
【0159】
また、最終的に得られる記録層が無色透明でなくてよい場合には、特開平6−184311号公報、特開平6−317907号公報、特表2000−511302号公報に記載されるようなアセン系色素、または特開昭63−180946号に記載されるようなクマリン系色素を使用することができる。
【0160】
アセン系色素の具体例としては、アントラセン、9−アントラセンメタノール、1,4−ジメトキシアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9−フェノキシメチルアントラセン、9,10−ビス(n−ブチルエチニル)アントラセン、9,10−ビス(n−トリメチルシリルエチニル)アントラセン、1,8−ジメトキシ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、5,12−ビス(フェニルエチニル)−ナフタセンなどが挙げられる。これらの化合物は、アルゴンイオンレーザーからの514nm、およびYAGレーザーからの倍波532nmの光に対して、光重合開始剤を増感させる効果を有する。1,8−ジメトキシ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、5,12−ビス(フェニルエチニル)−ナフタセンが、増感剤として好ましく使用できる。
【0161】
クマリン系色素およびケトクマリン系色素の具体例としては、例えば、7−ジメチルアミノ−3−(2−テノイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(2−フロイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(2−テノイル)クマリン、7−ピロリジニル−3−(2−テノイル)クマリン、7−ピロリジニル−3−(2−ベンゾフロイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジメチルアミノシンナミリデンアセチル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノシンナミリデンアセチル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジフェニルアミノシンナミリデンアセチル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(2−ベンゾフロイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−[3−(9−ジュロリジル)アクリロイル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’カルボニルビス−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3−カルベトキシ−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−べンゾチアゾリル)−7−ジオクチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンジミダゾリル)−7−ジエチルアミノ)クマリン、10[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オンなどが挙げられる。
【0162】
べ一ススチリル誘導体としては、例えば、2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ベンゾチアゾール、2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ナフト[1,2−d]チアゾール、2−[(m−ヒドロキシ−p−メトキシ)スチリル]ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
【0163】
メロシアニン誘導体としては、例えば、3−エチル−5−[(3−エチル−2−(3H)−べンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−チオキソ−4−オキサゾリジノン−5−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−3−エチル−2−チオキソ−4−オキサゾリジノンなどが挙げられる。
【0164】
さらに、スクアリリウム誘導体、および含金属スクアリリウム誘導体は、300nm〜530nmという短い波長領域に、レーザー光による記録再生に適した光学定数を有しているため、短波長レーザーによる記録再生用光学記録媒体に使用する色素増感剤として極めて有用である。
【0165】
例えば、スクアリリウム化合物である、3−ヒドロキシ−4−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−シクロブタ−3−エン−1,2−ジオンのメタノール中での極大吸収波長(以下、「λmax」と略記する)を測定した結果(日立ハイテクノロジーズ、U−3500)330nmであり、λmaxにおける質量吸光係数は75.4l・g−1cm−1であった。
【0166】
また、示差熱分析(セイコーインスツルメンツ、TG/DTA6300)の結果、分解点430℃であった。さらに、得られたこのスクアリリウム化合物をテトラフルオロプロパノールに溶解し、2wt%にし、平坦なポリカーボネート製円盤上にスピンコート法により薄膜を形成した結果、この塗布膜の吸収スペクトルはλmaxは350nm(透過法)であった。
【0167】
このスクアリリウム化合物、およびそのニッケル錯体である金属スクアリリウム化合物は300〜530nmの波長領域に光吸収を持ち、かつ、高い質量吸光係数を有している。
【0168】
スクアリリウム化合物の具体例としては、3−ヒドロキシ−4−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン、3−アミノ−4−〔2,6−ジメチル−3−(2−フェニル−プロピキシ)−フェニル〕−シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン、N−〔2−(3−エトキシ−5−フルオロ−フェニル)3,4−ジオキソ−シクロブタ−1−エニル〕−C,C,C−トリフルオロ−メタンスルホンアミドがあり、さらに、これら含金属スクアリリウムの具体例としては、3−ヒドロキシ−4−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン−ニッケル錯体(含金属スクアリリウム化合物)、3−アミノ−4−〔2,6−ジメチル−3−(2−フェニル−プロピキシ)−フェニル〕−シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン−亜鉛錯体、N−〔2−(3−エトキシ−5−フルオロ−フェニル)3,4−ジオキソ−シクロブタ−1−エニル〕−C,C,C−トリフルオロ−メタンスルホンアミド−コバルト錯体がある。
【0169】
有機過酸化物−色素増感剤の組み合わせの具体例としては、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンまたは、「3,3−ビスメトキシカルボニル−4,4−ビス−tert−ブチルペルオキシカルボニルベンゾフェノン、3,4−ビスメトキシカルボニル−4,3−ビス−tert−ブチルペルオキシカルボニルベンゾフェノン、4,4−ビスメトキシカルボニル−3,3−ビス−tert−ブチルペルオキシカルボニルベンゾフェノン」混合物、またはジ−tert−ブチルペルオキシイソフタレイトと、日本感光色素研究所社製の光増感色素(色素増感剤)であるNKX653、NKX3883、NKX188150、NKX1253、NKX1595、NKX1658、NKX1695、NK4256、NK1886、NK1473、NK1474、NK4795、NK4276、NK4278、NK91、NK1046、NK1237、NK1420、NK1538、NK3590などとの組み合わせが好ましい。
【0170】
2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類−色素増感剤の組み合わせの具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、または2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、または2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、と日本感光色素研究所社製の光増感色素(色素増感剤)であるNKX653、NKX3883、NKX188150、NKX1253、NKX1595、NKX1658、NKX1695、NK4256、NK1886、NK1473、NK1474、NK4795、NK4276、NK4278、NK91、NK1046、NK1237、NK1420、NK1538、NK3590などとの組み合わせが好ましい。
【0171】
また、ビスイミダゾール誘導体として保土谷化学社製「B−CIM」と、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等の連鎖移動剤と、前記の色素増感剤との組み合わせも好適に利用できる。
【0172】
カルボニル化合物−色素増感剤の組み合わせの具体例としては、ベンジル−ミヒラケトン、ベンジル−アクリジンイエロー等が挙げられる。また、アミン化合物と組み合わせる色素増感剤としては、脱カルボキシル化ローズベンガルが好ましい。ボレート化合物と組み合わせる色素増感剤としては、シアニン類、イソシアニン類、プソイドシアニン類などのシアニン系色素が好ましい。
【0173】
本発明の光情報記録材料用組成物において、色素増感剤の含有量は、記録感度、多重記録性、収縮率の点から、0.01〜15重量%(特に0.03〜10重量%)の量で含まれるのが好ましい。
【0174】
さらに、本発明の光情報媒体の記録層に用いられる組成物には、光増感剤を使用しても良い。
光増感剤としては、ミヒラーズケトン、アクリジンイエロー、メロシアニン、メチレンブルー、カンファーキノン、エオシン、2,5−ビス〔(4−ジエチルアミノ)−2−メチルベンジリデン〕シクロペンタノン、脱カルボキシル化ローズベンガルなどが好適に使用される。
このほか、本発明の光情報記録材料用組成物およびその媒体には、添加剤、例えば可塑剤、熱安定剤、光沢剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、連剤移動剤、ブリーチング剤や、必要に応じて超微粒子を添加することが好ましい。
【0175】
超微粒子として使用できる、超微粒子の具体例として、例えば無機化合物微粒子やコロイドゾルとしては特に限定されないが、屈折率が1.70以下の無機酸化物が好ましい。
【0176】
具体的にはコロイダルシリカ(屈折率1.45)、コロイダルジルコニア(屈折率1.55)などの超微粒子やコロイドゾルが望ましい。超微粒子やコロイドゾルの粒径(体積平均粒径)については、低屈折率材料の透明性を確保するために可視光の波長に比べて充分に小さいことが望ましい。具体的には100nm以下、特に10nm以下が好ましい。
【0177】
微粒子の体積平均粒径は、レーザー回析散乱法を用いた粒度分布測定装置を用いて(例えば、マイクロトラック社製の粒度分布測定装置9320HRAなど)、エタノールなどの有機溶剤に分散させて室温にて測定する。
【0178】
無機化合物微粒子を使用する際は、組成物中での分散安定性、材料中での干渉縞安定性などを低下させないために、あらかじめ有機分散媒中に分散した有機ゾルの形態で使用するのが望ましい。さらに、組成物中において、無機化合物微粒子の分散安定性を向上させるために、あらかじめ無機微粒子化合物の表面を各種カップリング剤などを用いて修飾することができる。各種カップリング剤としては、例えば有機置換された珪素化合物;アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモンまたはこれらの混合物などの金属アルコキシド;有機酸の塩;配位性化合物と結合した配位化合物などが挙げられる。
【0179】
さらにこのほか、本発明の光情報記録材料用組成物およびその媒体には、添加剤、例えば重合非収縮材料、および膨張材料、劣化防止剤、増量やブロッキング防止などの体質顔料や樹脂などの充填剤、界面活性剤、消泡剤、レべりング剤、チクソトロピー性付与剤を必要に応じて適宜添加しても良い。
【0180】
重合非収縮材料、および膨張材料としては、下記等が例示される。
本発明の光情報記録材料用組成物およびその媒体の製造方法において、その硬化時体積収縮率は15%以下である。ここで、「硬化時体積収縮率」とは、重合性のラジカル性重合モノマーを含む硬化前の光情報記録材料用組成物の液体比重をD1とし、硬化後の固体比重をD2とすると、以下の式にて与えられる値である。
[(D2−D1)/D2]×100
【0181】
一般に、多数の重合性モノマーは、ラジカル重合反応やカチオン重合反応を経て高分子化または硬化した際に、分子間の距離が短くなるため、体積収縮を起こすことが知られている。
【0182】
これに反して、環状エーテル類の開環重合における硬化に伴う体積収縮率は比較的小さいので、本発明において好ましく使用できる。
【0183】
複数の環状エーテル構造を1分子中に有する化合物は、重合に伴い体積が膨張するものもあり、これらの化合物も本発明において使用できる。例えば、エポキシ化合物のスピロオルトエステルは、重合前の分子間の相互作用が大きいため高密度であり、開環重合を経て硬化しても分子間の距離の変化は少ないか、または膨張することが知られている(例えば、「特公昭61−038931」、「開環重合による精密高分子設計」、高田十志和、木原伸浩、高分子化工、47巻11号(1998年)pp.482−488;「スピロ化合物を活用する機能性高分子合成」、遠藤剛、高田十志和、石油学会誌、32巻、5号(1989年)、pp.237−247参照)。
【0184】
本発明においては、記録層のマトリクスの材料としてエポキシ化合物のスピロオルトエステルを用いているので、その重合時の体積変化を抑えることができ、基板の反りや記録層の剥がれを防ぐことができる。
【0185】
また、エポキシ化合物のスピロオルトエステルとしては、エポキシ化合物とラクトンとの反応により合成されるものを好適に用いることができる。これらの化合物は合成が比較的容易である。
【0186】
エポキシ化合物の例としては、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、2,3−エポキシ−1−プロパノール、スチレンオキサイド、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、N−グリシジルフタルイミド、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサンおよびエポキシプロポキシプロピル末端のポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0187】
ラクトンとしては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、γ−パルミトラクトン、γ−ステアロラクトン、クロトラクトン、α−アンゲリカラクトン、β−アンゲリカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、クマリン、下記一般式(1)で表される大環状ラクトンなどが挙げられる。
【化63】

【0188】
エポキシ化合物のスピロオルトエステルは、ラクトンとBF3OEt3などの触媒を塩化メチレンや四塩化炭素などに溶解し、反応速度を制御しながら、エポキシ化合物を適当な溶媒に溶かした溶液を滴下して反応させる。このときの反応温度は一般に0〜30℃の範囲である。ラクトンとエポキシ化合物の仕込み比は、通常、エポキシ基1当量に対してラクトン1当量以上の割合である。
【0189】
エポキシ化合物とラクトンを反応させて得られるスピロオルトエステルの例としては、下記の化合物が挙げられる。化合物(2)はビスフェノールAのグリシジルエーテルとγ−ブチロラクトンとを反応させることにより得られる。化合物(3)は脂環式エポキシとε−カプロラクトンとを反応させることにより得られる。
【化64】

【0190】
スピロオルトエステルの開環重合反応を促すために、カチオン重合促進剤を添加することが好ましい。カチオン重合促進剤としては公知のスルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩などのオニウム塩、アルミシラノール錯体などが挙げられる。
【0191】
特公昭62−15083に開示されているように、エポキシ化合物とラクトンとから合成されるスピロオルトエステルは、有機酸硬化剤によっても開環重合するので、スピロオルトエステルと有機酸硬化剤とを併用してマトリクスを形成してもよい。有機酸硬化剤の例としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物などが挙げられる。
【0192】
硬化時間を短縮するために、必要に応じて硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、三級アミン、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物およびその誘導体などが挙げられる。具体的にはトリエタノールアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザジシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、ピコリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、DBUのフェノール塩、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタイミダゾールなどが挙げられる。三フッ化ホウ素アミン錯体、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリルおよびその誘導体、メラミンとその誘導体、アミンイミドなどの触媒を使用してもよい。
【0193】
また、架橋剤(c)の酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのブレンステッド型の有機酸、または1−ナフチルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルメチルp−メトキシカルボニルオキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートなどのルイス酸等が挙げられる。
架橋剤(c)は、光情報記録材料用組成物を基材の間に峡持された光記録媒体を通常、初期化前、および記録前に熱反応により、処理され架橋させることが可能である。
【0194】
光情報記録媒体の製造方法の好ましい一実施形態としては、本発明の光情報記録材料用組成物を、透明支持体中に注入する方法が挙げられる。透明支持体中に注入する方法としては、具体的には、できあがった記録層の両側に透明支持体が設けられるように、2枚一組の透明支持体(第1の基材と第2の基材)を配置しておき、2枚の透明支持体の間に光情報記録材料用組成物を注入する方法、箱状の透明支持体に注入孔を設けておき、ここから光情報記録材料用組成物を注入する方法、または、箱状の透明支持体(第1の基材)の一面を開放しておき、光情報記録材料用組成物を注入または滴下してから、開放した一面に透明支持体(第2の基材)を被せて封じる方法が挙げられる。
【0195】
以下、図面に基づいて本発明に係る光ディスク(光情報記録媒体の一例)について具体的に説明する。図1は、第1の実施形態に係る光ディスクを模式的に表した断面図である。光ディスク1には、ホログラフィによりデジタル情報が記録される。光ディスク1の形状は平板状であり、第1の基盤2および第2の基盤3の間に、スペーサ4を挟み込んでいる。第1の基盤2、第2の基盤3、およびスペーサ4によって形成される空間に、光情報記録材料用組成物が注入される。光情報記録材料用組成物は、特定の波長の光(例、532nm)を照射することにより、硬化して、記録層5を形成する。
記録層5
【0196】
[情報の記録]
光情報記録方式として、マイクロリフレクター記録方式、マイクロホログラム記録方式、偏光コリニアホログラム記録(コアキシャル記録を含む)方式、参照光入射角多重型ホログラム記録(ポリトピック記録を含む)方式などがあるが、本発明の光情報記録材料用組成物を記録媒体として使用する場合は、高精度のサーボ制御が不要となり構成を簡易化できる当該ネガ型マイクロリフレクター方式が好ましい。
本発明の光情報記録方法は、
架橋されていてもよい含フッ素ポリマー(A)、及び光又は熱に暴露されることによって異性化して光屈折率が変化する化合物(B)が共有結合し、かつ光情報記録層を有する光情報記録媒体を用意し、
前記光情報記録層の内部に、記録光を照射する
ことを特徴とする。
本発明の光情報記録方法は、本発明の光情報記録媒体の光情報記録層に、局所的に記録光(レーザー光)を照射して、上述のNBD誘導体(b)を、上述のNBD誘導体(b’)に異性化させることにより、屈折率が変化した部位を形成させることに基づく。
この際、前記記録光を、その局所的な照射位置を3次元方向に変化させながら照射することによって、前記屈折率が変化した部位が3次元方向に並ぶように形成される。
【0197】
以下に図1、および図2を参照して、本発明の光情報記録媒体の一態様における情報記録方法をより詳細に説明する。
光情報記録媒体1に対して情報を記録する場合、光情報記録再生装置7は、光源6から照射した記録用の光ビームL1を、対物レンズ8によって、記録層5内に集光する。記録層5の集光位置近傍は、NBD誘導体(b)の異性化により、屈折率が変化したスポット(以下、記録マークと称する)が生じる。これによって、情報が記録される。このとき、集光位置を、x方向、y方向(図面の奥行き方向)及びz方向の位置を制御することにより、3次元方向に記録マークを配列することができる。
【0198】
[情報の再生]
一方、光情報記録媒体1に対して情報を読み出す場合、光情報記録再生装置7は、光情報記録媒体1から情報を読み出す際、光源6から照射した読出用の光ビームL2を、対物レンズ8によって、記録層5内に集光する。このとき、集光位置を、x方向、y方向(図面の奥行き方向)及びz方向の位置を制御することにより、読み出し位置を決定できる。
光情報記録媒体1から戻ってくる光ビームL3、対物レンズ8及びビームスプリッタ9等を介して当該戻り光ビームL3を受光素子10により検出する。
【0199】
本発明の光情報記録媒体の基材としては、透明性を有するものであり、具体的には、ガラス、石英、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポリオレフィン、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリイミドなどの樹脂が例示される。
【0200】
記録光源には、可視レーザー光、例えば中心波長407nmの青紫色LDに外部共振器をつけたAlGaNまたはInGaN(波長405±5nm)などを用いる。
【実施例】
【0201】
以下に、本発明を合成例、実施例によって更に詳細に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0202】
[測定方法]
本発明の各種物性の測定は以下の方法で行った。
(1)NMR
NMR測定装置:BRUKER社製
1H−NMR測定条件:400MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
(2)IR
PERKIN ELMER社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定。
(3)数平均(重量平均)分子量:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC−8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF−801を1本、GPC KF−802を1本、GPC KF−806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定したデータより算出する。
【0203】
合成例1(フルオロエーテル含有含フッ素重合体の合成)
撹拌装置および温度計を備えた500mlのガラス製四ツ口フラスコに、以下の化学式で表されるパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)

【化65】

を300gと
HCFC−225を126g入れ、さらに、重合開始剤 t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV)を10.08g入れ、充分に窒素置換を行ったのち、窒素気流下70℃で12時間撹拌を行ったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンで溶解させたものをノルマルヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体 80.6gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は9000、重量平均分子量は22000であった。
次に、撹拌装置を備えた500mlのガラス製四ツ口フラスコに、ジエチルエーテル 200mlを入れ、そこに前記重合体 30gとナトリウムハイドライド 38.4gを加えてパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネナトリウムアルコラート)を合成した。
さらに、撹拌装置を備えた別の500mlのガラス製四ツ口フラスコに、ジエチルエーテル 200mlを入れ、下記の化学式で表されるドナーアクセプター型ノルボルナジエン誘導体(b−1) 53.1gと塩化チオニル 19.04gを加えて、ドナーアクセプター型ノルボルナジエン誘導体(b−1)のカルボキシル基を酸クロライド変性した。
【0204】
[ドナーアクセプター型ノルボルナジエン誘導体(b−1)(以下、単にNBD誘導体(b−1)と称する場合がある。)]

【化66】


[式中、
はCOOH、DはCHであり、
およびRはCHであり、
およびRはHであり、
およびRは同一または異なり、メチル、またはp−メトキシフェニルである。]
【0205】
そして、撹拌装置を備えた別の500mlのガラス製四ツ口フラスコに、ジエチルエーテル 200mlを入れ、前記パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネナトリウムアルコラート) 68.8gとドナーアクセプター型ノルボルナジエンカルボキシルクロライド 58.6g、さらにPtCFCHOH 1g存在下にて室温にて12時間、付加反応させた。
その後、水を加えて塩を分離し、NBD誘導体(b−1)がベースポリマー(a)とエステル結合により結合したノルボルナジエニル変性ベースポリマー 80gが得られた。
H-NMR (CDCl3): δ1.16-1.42(m, 6H, CH3 at bridge in NBD), 3.00-4.62(m, 2H, CH in NBD)、1707nm (νC=O)
【0206】
実施例1
合成例1で得られたノルボルナジエニル変性ベースポリマー 3gに、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート 2g、さらに光重合開始剤 2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン 0.15g、クマリン系色素 10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン 0.005gを加えて、均一な感光液を調製した。
さらに、感光液を532nmに対して反射防止処理された厚さ1.2mmの一対のガラス基板(30×30mm角)にに厚さ400μmのスペーサーを用いて挟み込み、光情報記録媒体を調製した。
ネガ型のマイクロリフレクター(様式1)において、光情報記録媒体に記録する前に、予め光情報記録領域全体にわたり光の干渉縞を形成し、当該干渉縞を記録することにより初期化を行った。その時の条件は、光源波長532nm、光強度3mW/cm、初期化時間120sとした。
次に、光情報記録再生装置が、情報を記録する部位に対して光源が405nmの局所的な光を集光することにより、当該記録部位におけるNBD誘導体(b)を異性化させた。
このネガ型のマイクロリフレクターの場合、光情報記録再生装置は、情報を再生する際、読出光を照射した際に、ホログラムから再生光が戻り、ホログラムが局所的に異性化した部位からは再生光がほとんど戻らないことを基準に、情報としての値「1」が記録されているかを認識することができた。
【0207】
実施例2
合成例1で得られたノルボルナジエニル変性ベースポリマー 3gに、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート2g、さらに光重合開始剤 2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン 0.15g、クマリン系色素 10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン 0.005gを加えて、均一な感光液を調製した。
さらに、感光液を532nmに対して反射防止処理された厚さ1.2mmの一対のガラス基板(30×30mm角)に厚さ400μmのスペーサーを用いて挟み込み、光情報記録媒体を調製した。
ネガ型のマイクロリフレクター(様式2)において、光情報記録媒体に記録する前に、予め干渉縞を記録する初期化工程を行わずに直接記録した。
次に、光情報記録再生装置が、情報を記録する部位に対して光源が405nmの局所的な光を集光することにより、当該記録部位におけるNBD誘導体(b)を異性化させた。
このネガ型のマイクロリフレクターの場合、光情報記録再生装置は、情報を再生する際、読出光を照射した際に、局所的に異性化した部位とその周辺の屈折率差から生じる、反射光の戻り光強度の差を基準に、情報としての値「1」が記録されているかを認識することができた。
【0208】
実施例3
合成例1に記載のNBD誘導体(b−1)1.3gと、合成例1で得られたベースポリマー1.5gに、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート 2g、さらに光重合開始剤 2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン 0.15g、クマリン系色素 10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン 0.005gを加えて、均一な感光液を調製した。
さらに、感光液を、532nmに対して反射防止処理された厚さ1.2mmの一対のガラス基板(30×30mm角)に厚さ400μmのスペーサーを用いて挟み込み、光情報記録媒体を調製した。
ネガ型のマイクロリフレクター(様式1)において、光情報記録媒体に記録する前に、予め光情報記録領域全体にわたり光の干渉縞を形成し、当該干渉縞を記録することにより初期化を行った。その時の条件は、光源波長532nm、光強度3mW/cm、初期化時間120sとした。
次に、光情報記録再生装置が、情報を記録する部位に対して光源が405nmの局所的な光を集光することにより、当該記録部位におけるNBD誘導体(b)を異性化させた。
このネガ型のマイクロリフレクターの場合、光情報記録再生装置は、情報を再生する際、読出光を照射した際に、ホログラムから再生光が戻り、ホログラムが局所的に異性化した部位からは再生光がほとんど戻らないことを基準に、情報としての値「1」が記録されているかを認識することができた。
【0209】
実施例4
合成例1に記載のNBD誘導体(b−1)1.3gと
合成例1で得られたベースポリマー1.5gに、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート2g、さらに光重合開始剤 2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン 0.15g、クマリン系色素 10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン 0.005gを加えて、均一な感光液を調製した。
さらに、感光液を、532nmに対して反射防止処理された厚さ1.2mmの一対のガラス基板(30×30mm角)にに厚さ400μmのスペーサーを用いて挟み込み、光情報記録媒体を調製した。
ネガ型のマイクロリフレクター(様式2)において、光情報記録媒体に記録する前に、予め干渉縞を記録する初期化工程を行わずに直接記録した。
次に、光情報記録再生装置が、情報を記録する部位に対して光源が405nmの局所的な光を集光することにより、当該記録部位におけるNBD誘導体(b)を異性化させた。
このネガ型のマイクロリフレクターの場合、光情報記録再生装置は、情報を再生する際、読出光を照射した際に、局所的に異性化した部位とその周辺の屈折率差から生じる、反射光の戻り光強度の差を基準に、情報としての値「1」が記録されているかを認識することができた。
【産業上の利用可能性】
【0210】
本発明の光情報記録材料用組成物は、小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易な光情報記録媒体の製造に用いることができる。
本発明の光情報記録媒体は、小さなエネルギーの光によって、極めて微細な記録マークの形成が可能であり、かつ安定した情報の記録又は再生が容易である。
【符号の説明】
【0211】
1 光情報記録媒体
2 第1の基板
3 第2の基板
4 スペーサ
5 記録層
6 光源
7 光情報記録再生装置
8 対物レンズ
9 ビームスプリッタ
10 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I−1):
【化1】

[式中、構造単位M1は一般式(I−2):
【化2】

(式中、XおよびXは同じかまたは異なり、HまたはFであり;
はH、F、CHまたはCFであり;
およびXは同じかまたは異なり、H、FまたはCFであり;
Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY(Yは、ヒドロキシル基、末端にヒドロキシル基を有する炭素数1〜10の1価の有機基、エチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基または水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい架橋性環状エーテル構造を1〜5個有する炭素数2〜100の1価の有機基、)が1〜3個結合している有機基であり;
aは0〜3の整数であり;
bおよびcは同じかまたは異なり、0または1である)
で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位であり、
構造単位A1は一般式(I−2)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]
で示され、
構造単位M1を0.1〜100モル%および構造単位A1を0〜99.9モル%含み、数平均分子量が10000より大きく、1000000以下であるベースポリマー(a)、
一般式(II−1):
【化3】

[式中、D、Dの両方または一方は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホニル基およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1個の置換基を有するヘテロ芳香族基であり、他方は炭素数1〜10のアルキル基、芳香族基またはヘテロ芳香族基であり;
およびRは同じかまたは異なり、炭素数1〜4のアルキル基であり;
およびRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり;および
およびRは同じかまたは異なり、メチル、p−メトキシフェニルまたは炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である。]
で表され、D、またはDを介して、Rfと連結していてもよいドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)、および
所望による架橋剤(c)(但し、ベースポリマー(a)が分子間で自己架橋性を有さない場合は、架橋剤(c)は、必須成分として含有される)を含有する
光情報記録材料用組成物。
【請求項2】
一般式(II−1)で表されるアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)が、D、またはDを介して、Rfと連結している請求項1に記載の光情報記録材料用組成物。
【請求項3】
架橋剤(c)がカチオン性重合モノマーを含有する請求項1または2に記載の光情報記録材料用組成物。
【請求項4】
ベースポリマー(a)が分子間で自己架橋性を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光情報記録材料用組成物。
【請求項5】
さらに、ラジカル性重合モノマー(d)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光情報記録材料用組成物。
【請求項6】
さらに光重合開始剤(e)を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の光情報記録材料用組成物。
【請求項7】
第1の基材と第2の基材の間に光情報記録層が狭持された光情報記録媒体であって、該光情報記録層が請求項1〜6のいずれか1項に記載の光情報記録材料用組成物から形成される光情報記録層である光情報記録媒体。
【請求項8】
請求項7に記載の光情報記録媒体の光情報記録層に、局所的に記録光を照射して、一般式(II−1)で表され、D、またはDを介して、Rfと連結していてもよいドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b)を、
一般式(II−1’):
【化4】

(式中の記号は前記と同意義を表す。)
で表され、D1、またはD2を介して、Rfと連結していてもよいドナーアクセプター型ノルボルナジエニル誘導体(b’)に異性化させることにより屈折率が変化した部位を形成させることを特徴とする光情報記録方法。
【請求項9】
前記記録光を、その局所的な照射位置を3次元方向に変化させながら照射することによって、前記屈折率が変化した部位が3次元方向に並ぶように形成されることを特徴とする請求項8に記載の光情報記録方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−237621(P2010−237621A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88399(P2009−88399)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】