説明

光拡散反射フイルム

【課題】優れた正反射性及び拡散反射性を有し、その結果、高輝度で、しかも光源の近辺で輝線や輝点の発生が極めて少ない光拡散反射フイルムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の光拡散反射フイルムは、プラスチックフイルムの片面に、少なくとも、光拡散層、及び金属反射層が順次形成されている反射フイルムにおいて、(A)光拡散層が、樹脂からなる樹脂膜、及び透明微粒子からなるものである、(B)透明微粒子はその一部分が樹脂膜に埋め込まれ、残りの部分が樹脂膜から突出した状態となっている、(C)光拡散層中の樹脂膜の樹脂に対する透明微粒子の重量割合が3〜15重量%である、及び(D)金属反射層が、少なくとも、光拡散層の樹脂膜表面、及び樹脂膜から金属反射層側に突出している透明微粒子表面に形成されている、の4つの条件を全て満足するものである

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルのバックライトに使用する反射フイルムに関し、従来の反射フイルムと比べて、正反射性と拡散反射性の両方に優れ、その結果、高輝度で、しかも光源の近辺で輝線や輝点の発生が極めて少ない光拡散反射フイルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルのバックライトに使用する反射フイルムは、導光板の下方(導光板の上方に載置されている液晶表示装置側の反対面側)に載置され、バックライトの光源から発せられた光を、バックライトの導光板の上方(液晶表示装置側)に反射させる役割を果たすものである。
一般的に、ある角度で反射フイルムに入射した光(入射光)は反射フイルムで反射され、該反射された光(反射光)は、正反射する光(正反射光)と、正反射以外の様々な方向に拡散反射する光(拡散反射光)に大別できる。
従って、導光板の端部に設置されている光源から出た光が、導光板を通り、導光板下方の反射フイルムに到達した光(入射光)は、導光板に対して垂直方向から水平方向に近い方向まで様々な方向に反射されるが、このとき拡散反射光の割合が高いとバックライト全体が均一な輝度となり易い。
【0003】
そして、液晶パネルのバックライトに使用する従来の反射フイルムとして、平滑なプラスチックフイルム上に金属反射層が形成された金属反射フイルムが知られている。
上記金属反射フイルムは平滑なプラスチックフイルム上に金属反射層が形成されていたため、金属反射層も平滑になることから、正反射率(入射光に対する正反射光の割合)が高く正反射性に優れたものであり、その結果輝度も高いものであった(高輝度であった)。
しかし、光源に近い位置の輝度が光源から離れた位置の輝度より高くなる現象が極端に生じ、バックライト全体を均一な輝度にすることは全く困難であった。
上記現象は、光源が冷陰極管の場合には輝度が高い部分が線状になるいわゆる輝線となって、光源がLEDの場合には輝度が高い部分が点状になるいわゆる輝点となって現れた。
【0004】
一方、プラスチックフイルム上に白色顔料を混入した樹脂の薄膜をコーティングしたり、あらかじめ白色顔料をプラスチックフイルム中に混入したりした白色プラスチックフイルムである白色反射フイルムが知られている。
上記白色反射フイルムは、上記金属反射フイルムと比較して、拡散反射率(入射光に対する拡散反射光の割合)が高く拡散反射性に優れており、輝線や輝点の発生を防止できるものであったが、金属反射層が存在しないため正反射性が極端に悪く、その結果輝度が低くなるという欠点があった。
【0005】
そこで、上記金属反射フイルムや白色反射フイルムなどの従来の反射フイルムに比べて、輝線や輝点の発生が少なく、輝度をある程度高くした光拡散反射フイルムが提供された。
例えば、特許文献1には、基材シートと、該基材シートの上面に塗布されたビーズ層と、該ビーズ層の上面に蒸着された金属蒸着層とから構成されている反射シート材が記載されている。
また、ビーズ層が、樹脂からなるバインダーとビーズからなる旨、ビーズの粒径が1〜100μmが使用可能である旨、バインダーとビーズとの配合比(重量比)は、バインダー100重量部に対して、ビーズ50〜200重量部の範囲(バインダーに対するビーズの重量割合が50〜200重量%)が好ましい旨も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−27905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1記載の反射シート材には、以下に示す欠点があった。
(1)バインダーに対するビーズの重量割合が50〜200重量%であったため、拡散反射率が高く、優れた拡散反射性を有していたので、輝線や輝点の発生は少なかった。しかし、従来の金属反射フイルムと比べて正反射率が低く、バックライト全体の輝度が低くなるという欠点があり実用上大きな問題であった。
(2)ビーズの粒径が15μmを超える場合には、拡散反射性が悪くなり、その結果、輝線や輝点の発生を十分に抑えることができず、バックライト全体を均一な輝度にすることは困難であった。特に、光源がLEDであるバックライトに使用した場合には、輝点の発生が顕著であった。
以上の通り、正反射性と拡散反射性の両方に優れ、その結果、光源の近辺で輝線や輝点の発生が極めて少なく、しかも高輝度の(バックライト全体の輝度を実用上問題のない程度に高く維持できる)光拡散反射フイルムは存在しなかった。
【0008】
本発明は、上記全ての欠点を除去したものであり、優れた正反射性及び拡散反射性を有し、その結果、高輝度で、しかも光源の近辺で輝線や輝点の発生が極めて少ない光拡散反射フイルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明は、プラスチックフイルムの片面に、少なくとも、光拡散層、及び金属反射層が順次形成されている反射フイルムにおいて、下記条件(A)〜(D)を満足することを特徴とする光拡散反射フイルムである。
(A)光拡散層が、樹脂からなる樹脂膜、及び透明微粒子からなるものである
(B)透明微粒子はその一部分が樹脂膜に埋め込まれ、残りの部分が樹脂膜から金属反射層側に突出した状態となっている
(C)光拡散層中の樹脂膜の樹脂に対する透明微粒子の重量割合が3〜15重量%である
(D)金属反射層が、少なくとも、光拡散層の樹脂膜表面、及び樹脂膜から突出している透明微粒子表面に形成されている
[2]本発明は、金属反射層が、アルミニウム薄膜層、又は銀薄膜層である上記[1]記載の光拡散反射フイルムである。
[3]本発明は、金属反射層上に、樹脂薄膜層が形成されている上記[1]、又は[2]記載の光拡散反射フイルムである。
[4]本発明は、プラスチックフイルムの他の片面に、接着層を介して白色プラスチックフイルム、金属蒸着フイルム、又は他のプラスチックフイルムが形成されている上記[1]〜[3]何れかに記載の光拡散反射フイルムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光拡散反射フイルムは、上記の特徴を有するので下記の優れた効果を有するものとなる。
1.本発明の光拡散反射フイルムは、光拡散層中の樹脂膜の樹脂に対する透明微粒子の重量割合が3〜15重量%であるので、優れた正反射性及び拡散反射性を有する。その結果、高輝度で、しかも光源の近辺で輝線や輝点の発生が極めて少なくバックライト全体の輝度が均一であるため、特にバックライトの光源がLEDであっても実用上問題なく使用できる。
2.透明微粒子の粒径を15μm以下とした場合も、上記と同様の優れた効果を有する。
3.金属反射層を、アルミニウム薄膜層、又は銀薄膜層としておけば、より輝度が向上する。
4.また、金属反射層上に、樹脂薄膜層を形成しておけば、耐腐食性及び耐摩耗性がより向上する。
5.本発明の光拡散反射フイルムを、プラスチックフイルムの他の片面に、接着層を介して他のプラスチックフイルムを形成したものとしておけば、該プラスチックフイルムが支持体となって、反射フイルム全体のこしが強くなり、いわゆるモアレの発生を防止することが可能となる。また、本発明の光拡散反射フイルムを、プラスチックフイルムの他の片面に、接着層を介して白色プラスチックフイルム、又は金属蒸着フイルムを形成したものとしておけば、モアレの発生を防止することが可能となるばかりか、本発明の光拡散反射フイルムの輝度がより向上する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の光拡散反射フイルムは、プラスチックフイルムの片面に、少なくとも、光拡散層、及び金属反射層が順次形成されている反射フイルムにおいて、(A)光拡散層が、樹脂からなる樹脂膜、及び透明微粒子からなるものである、(B)透明微粒子はその一部分が樹脂膜に埋め込まれ、残りの部分が樹脂膜から突出した状態となっている、(C)光拡散層中の樹脂膜の樹脂に対する透明微粒子の重量割合が3〜15重量%である、及び(D)金属反射層が、少なくとも、光拡散層の樹脂膜表面、及び樹脂膜から金属反射層側に突出している透明微粒子表面に形成されている、の4つの条件を全て満足するものである。
そして、本発明の光拡散反射フイルムは、金属反射層側を導光板側にして使用しても、プラスチックフイルム側(プラスチックフイルムの他の片面に、接着層を介して他のプラスチックフイルムが形成されている場合は、他のプラスチックフイルム側)を導光板側にして使用しても構わないが、金属反射層側を導光板側にして使用すれば輝度がより向上するので好ましい。
【0012】
本発明の光拡散反射フイルムに使用するプラスチックフイルムは、従来から反射フイルムに使用されているプラスチックフイルムであれば特に問題はなく、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリエチレンナフタレートフイルム、ポリプロピレンフイルム、アクリルフイルム、ポリカーボネートフイルム、フッ素フイルム等が使用できる。
中でも、耐熱性や強度の点からポリエチレンテレフタレートフイルムが特に好ましい。
【0013】
プラスチックフイルムの厚さは、大よそ25〜245μmである。
【0014】
本発明の光拡散反射フイルムに形成する光拡散層は、後述する金属反射層とともに、本発明の光拡散反射フイルムに優れた正反射性及び拡散反射性を付与する役割を果たすものである。
具体的には、本発明の光拡散反射フイルムの全反射率(正反射率と拡散反射率の合計)が90%以上であり、かつ5度正反射率(入射角5度の光の正反射率)が40〜80%、好ましくは50〜65%であれば、上記役割を十分に果たすとともに、その結果、本発明の光拡散反射フイルムが、高輝度で、しかも光源の近辺で輝線や輝点の発生が極めて少ないなどの前記本発明の優れた効果を発揮することができる。
尚、一般的に輝度の値は、導光板の形状やバックライトの構成等の条件が変わると変化してしまうため、該条件が同一である場合には相対評価の指標としては意味があるものの、該条件が異なる場合に輝度の絶対値を比較してもあまり意味をなさない。
そこで、本発明の光拡散反射フイルムの輝度の絶対値に替わる値として、比較的、輝度と相関関係があり、しかもバックライトの構成等の条件による影響を受けず光拡散反射フイルム自体を評価するものである5度正反射率と全反射率の値を、本発明の効果を発揮できるか否かの評価の目安とした。
そして、本発明の光拡散反射フイルムが、高輝度で、しかも光源の近辺で輝線や輝点の発生が極めて少ないなどの本発明の優れた効果を発揮するには、5度正反射率が40〜80%の範囲内で、全反射率の値を90%以上とするのが好ましいことがわかった。
尚、上記の輝度と全反射率との相関関係は、5度正反射率が概ね40〜80%の範囲内である場合に比較的成立し易いものである。
【0015】
光拡散層は、樹脂からなる樹脂膜、及び透明微粒子からなるものであり(条件(A)、透明微粒子はその一部分が樹脂膜に埋め込まれ、残りの部分が樹脂膜から突出した状態となっている(条件(B))。
尚、光拡散層の全ての透明微粒子が上記条件(B)を満足していなければならないわけではなく、本発明の効果を得られる範囲内で、全部が樹脂膜に埋め込まれている透明微粒子が存在していてももちろん構わない。
光拡散層の有する優れた正反射性及び拡散反射性は、主に、透明微粒子の樹脂膜から突出した部分が大きな役割を果たす。
そのため、樹脂膜から突出した透明微粒子の数が少ない場合や、仮に樹脂膜から突出した透明微粒子の数が多くあってもそのほとんどが樹脂膜からわずかにしか突出していない場合は、光拡散層ひいては本発明の光拡散反射フイルムに優れた拡散反射性及び正反射性を付与することが難しい。
従って、光拡散層中の透明微粒子の大半は、粒径の1/2〜1/3程度が樹脂膜に埋め込まれているのが好ましい。
言い換えると、樹脂膜の厚さは後述する透明微粒子の粒径の1/2〜1/3程度の厚さであるのが好ましい。
樹脂膜の厚さが透明微粒子の粒径の1/3より薄いと透明微粒子が光拡散層から脱落してしまい好ましくなく、1/2より厚いと透明微粒子が樹脂膜から突出した部分が相対的に少なくなり、本発明の光拡散反射フイルムが優れた拡散反射性及び正反射性を有するものとならないので好ましくない。
【0016】
樹脂膜に使用する樹脂は、透明微粒子をプラスチックフイルムに固定するバインダーの役割を果たすものである。
樹脂膜に使用する樹脂は上記役割を果たすことができるものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂を単独で、あるいは混合したものが使用できる。
【0017】
光拡散層に使用する透明微粒子は、球状やラグビーボール状等の形状である、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂からなる透明樹脂微粒子、ケイ素酸化物等の透明無機酸化物微粒子、透明ガラス微粒子等が使用できる。
【0018】
透明微粒子の粒径は、1〜15μmが好ましい。
粒径が1μmより小さいと、5度正反射率が40%未満となり、バックライト全体の輝度が低くなるなど実用上問題が生じるので好ましくない。
粒径が15μmより大きいと、5度正反射率が80%を超えて拡散反射性が悪くなり、その結果、輝線や輝点の発生を防止することが困難となるので好ましくない。
【0019】
また、光拡散層は、光拡散層中の樹脂膜の樹脂に対する透明微粒子の重量割合が3〜15重量%である(条件(C))。
重量割合が3重量%未満であると、5度正反射率が80%を超えて拡散反射性が悪くなり、その結果、輝線や輝点の発生を防止することが困難となるので好ましくない。
重量割合が15重量%を超えると、5度正反射率が40%未満となり、バックライト全体の輝度が低くなるなど実用上問題が生じるので好ましくない。
【0020】
光拡散層は、樹脂に透明微粒子を混入した塗料を、プラスチックフイルム面上に、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等の従来公知のコーティング方法で形成できる。
尚、光拡散層を上記の方法で形成した場合、樹脂膜から突出している透明微粒子のうち一部の透明微粒子の表面に樹脂膜の樹脂が極薄く形成されていたり、樹脂膜から突出している透明微粒子の表面の一部分に樹脂膜の樹脂が極薄く形成されている状態の透明微粒子が存在する場合があるが、本発明の効果を得られる範囲内であれば、このような状態の透明微粒子が存在していてももちろん構わない。
【0021】
本発明の光拡散反射フイルムに形成する金属反射層は、導光板の下方に漏れた光を上方に反射する役割を果たすものである。
金属反射層は、金属薄膜層からなり、従来から反射フイルムの金属反射層として使用されている金属薄膜層が使用でき、銀薄膜層からなる銀反射層、アルミニウム薄膜層からなるアルミニウム反射層等が使用できる。
【0022】
金属反射層の厚さは、上記金属反射層の役割を果たせる範囲で適宜決定すればよく、金属の種類により多少異なるが、大よそ50〜150nmが好ましい。
【0023】
金属反射層の形成方法は、抵抗加熱方式や誘導加熱方式による真空蒸着法、スパッタ蒸着法、EB蒸着法、CVD法等の従来公知の方法が使用できる。
【0024】
また、金属反射層の腐食防止及び耐磨耗性を目的に、金属反射層上に樹脂からなる樹脂薄膜層が形成されていても構わない。
樹脂薄膜層に使用する樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂が使用でき、腐食防止、正反射性、拡散反射性等の点から、樹脂薄膜層の厚さは1〜5μmが好ましい。
【0025】
樹脂薄膜層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等の従来公知のコーティング方法が使用できる。
【0026】
さらに、本発明の光拡散反射フイルムを、プラスチックフイルムの他の片面に、接着層を介して他のプラスチックフイルムを形成したものとしておけば、該プラスチックフイルムが支持体となって、反射フイルム全体のこしが強くなり、いわゆるモアレの発生を防止することが可能となる。また、本発明の光拡散反射フイルムを、プラスチックフイルムの他の片面に、接着層を介して白色プラスチックフイルム、又は金属蒸着フイルムを形成したものとしておけば、モアレの発生を防止することが可能となるばかりか、本発明の光拡散反射フイルムの輝度がより向上する。
上記他のプラスチックフイルムとしては、前記したプラスチックフイルムと同様のものが使用できる。
上記白色プラスチックフイルムとしては、例えばプラスチックフイルム上に白色顔料を混入した樹脂の薄膜をコーティングしたもの、あらかじめ白色顔料をプラスチックフイルム中に混入したものが挙げられる。
また、上記金属蒸着フイルムとしては、例えばプラスチックフイルム上に銀薄膜層やアルミニウム薄膜層等を真空蒸着法等の公知の方法で形成したものが挙げられる。
【0027】
上記接着層としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂からなる接着層が使用できる。
上記接着層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等公知の方法が使用できる。
【0028】
プラスチックフイルムの片面に、光拡散層、及び金属反射層が順次形成されている本発明の光拡散反射フイルムの他の片面に、接着層を介して白色プラスチックフイルム、金属蒸着フイルム、又は他のプラスチックフイルムを形成する方法としては、プラスチックフイルムの他の片面に接着層を形成した後、白色プラスチックフイルム、金属蒸着フイルム、又は他のプラスチックフイルムを接着層面と貼り合わせる方法、あるいは白色プラスチックフイルム、金属蒸着フイルム、又は他のプラスチックフイルムに接着層を形成した後、上記光拡散反射フイルムの他の片面と貼り合わせる方法が使用できる。
【実施例】
【0029】
[実施例1〜3]
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、ポリエステル・ポリウレタン系樹脂に、ウレタン系樹脂からなる粒径6μmの透明微粒子を、ポリエステル・ポリウレタン系樹脂に対してそれぞれ、3重量%、7重量%、15重量%混入したものを、グラビアコート法でコーティングして、ポリエステル・ポリウレタン系樹脂に対する透明微粒子の重量割合がそれぞれ3重量%、7重量%、15重量%である光拡散層を形成し、該各々の光拡散層の上に、金属反射層として厚さ80nmの銀薄膜層を真空蒸着法にて形成し、さらに、該銀薄膜層上に、ウレタン系樹脂をグラビアコート法でコーティングして、厚さ3μmの樹脂薄膜層を形成し、実施例1〜3の本発明の光拡散反射フイルムを得た。
【0030】
[比較例1〜3]
実施例1〜3の光拡散層に替えて、ポリエステル・ポリウレタン系樹脂に対する透明微粒子の重量割合をそれぞれ、1重量%、40重量%、80重量%とした光拡散層を形成したこと以外は、実施例1〜3と同様にして、比較例1〜3の光拡散反射フイルムを得た。
【0031】
[参考例1]
実施例1〜3の光拡散層に替えて、透明微粒子を混入しなかった光拡散層を形成したこと以外は、実施例1〜3と同様にして、参考例1の金属反射フイルムをそれぞれ得た。
[参考例2]
実施例1〜3の本発明の光拡散反射フイルムに替えて、厚さ100μmの白色顔料が混入された白色ポリエチレンテレフタレートフイルムからなる白色反射フイルムを使用した。
【0032】
実施例1〜3の本発明の光拡散反射フイルム、比較例1〜3の光拡散反射フイルム、参考例1の金属反射フイルム、及び参考例2の白色反射フイルムについて、以下に示す評価試験を行って性能を比較した。
【0033】
<全反射率測定試験>
(評価試料)実施例1〜3の本発明の光拡散反射フイルム、比較例1〜3の光拡散反射フイルム、参考例1の金属反射フイルム、及び参考例2の白色反射フイルムをそれぞれ、縦50mm、横50mmに切り取ったものを1枚ずつ準備して試料とした。
(評価方法)自記分光光度計(日立製作所社製 U4000)にて、上記各試料の全反射率を(参考例2以外の試料については樹脂薄膜層側から)測定した。
(評価結果)表1
【0034】
<5度正反射率測定試験>
(評価試料)実施例1〜3の本発明の光拡散反射フイルム、比較例1〜3の光拡散反射フイルム、参考例1の金属反射フイルム、及び参考例2の白色反射フイルムをそれぞれ、縦50mm、横50mmに切り取ったものを1枚ずつ準備して試料とした。
(評価方法)自記分光光度計(日立製作所社製 U4000)にて、上記各試料の5度正反射率を(参考例2以外の試料については樹脂薄膜層側から)測定した。
(評価結果)表1
【0035】
<輝点評価試験>
(評価試料)実施例1〜3の本発明の光拡散反射フイルム、比較例1〜3の光拡散反射フイルム、参考例1の金属反射フイルム、及び参考例2の白色反射フイルムをそれぞれ、縦70mm、横40mmに切り取ったものを1枚ずつ準備して試料とした。
(評価方法)
縦70mm、横40mmで、一方の横の端面に光源として6個のLEDが等間隔に配列されたバックライトユニット(反射フイルム/導光板/光拡散フイルム)の反射フイルムの位置に、上記各試料を組み込み(参考例2以外の試料については樹脂薄膜層側が導光板側になるように組み込み)、光拡散フイルム側から目視により評価し、輝点が全く見えないものを◎、輝点が若干見えるものを○、輝点が見えるものを×とした。
尚、◎、○であれば実用上問題がない。
(評価結果)表1
【0036】
【表1】

【0037】
[実施例4〜10]
実施例1〜3の光拡散層に替えて、ポリエステル・ポリウレタン系樹脂に対する透明微粒子の重量割合を10重量%とし、かつ該透明微粒子の粒径をそれぞれ、1μm、2μm、3μm、6μm、8μm、12μm、15μmとした光拡散層を形成したこと以外は、実施例1〜3と同様にして、実施例4〜10の本発明の光拡散反射フイルムを得た。
【0038】
[比較例4〜6]
実施例4〜10の光拡散層に替えて、透明微粒子の粒径をそれぞれ、0.5μm、20μm、25μmとした光拡散層を形成したこと以外は、実施例4〜10と同様にして、比較例4〜6の光拡散反射フイルムを得た。
【0039】
実施例4〜10の本発明の光拡散反射フイルム、及び比較例4〜6の光拡散反射フイルムについて、上記と同様の評価試験を行って性能を比較した。
評価結果を表2に示す(参考例1、2も併記する)。
【0040】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフイルムの片面に、少なくとも、光拡散層、及び金属反射層が順次形成されている反射フイルムにおいて、下記条件(A)〜(D)を満足することを特徴とする光拡散反射フイルム。
(A)光拡散層が、樹脂からなる樹脂膜、及び透明微粒子からなるものである
(B)透明微粒子はその一部分が樹脂膜に埋め込まれ、残りの部分が樹脂膜から突出した状態となっている
(C)光拡散層中の樹脂膜の樹脂に対する透明微粒子の重量割合が3〜15重量%である
(D)金属反射層が、少なくとも、光拡散層の樹脂膜表面、及び樹脂膜から金属反射層側に突出している透明微粒子表面に形成されている
【請求項2】
金属反射層が、アルミニウム薄膜層、又は銀薄膜層である請求項1記載の光拡散反射フイルム。
【請求項3】
金属反射層上に、樹脂薄膜層が形成されている請求項1、又は2記載の光拡散反射フイルム。
【請求項4】
プラスチックフイルムの他の片面に、接着層を介して白色プラスチックフイルム、金属蒸着フイルム、又は他のプラスチックフイルムが形成されている請求項1〜3何れかに記載の光拡散反射フイルム。

【公開番号】特開2011−197220(P2011−197220A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62132(P2010−62132)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000156042)株式会社麗光 (33)
【Fターム(参考)】