説明

光沢インクジェット記録用紙

【課題】本発明は、プリンタ通紙時に記録面に搬送傷がつきにくく、なおかつ、インク吸収性、印字濃度、適正な印字面積率を得られる良好なインクの浸透・拡散の特性を有し、インクジェット記録適性が優れ、生産性に優れた光沢インクジェット記録用紙である。
【解決手段】透気性基材上に、少なくとも1層のインクジェット記録層と、顔料、水溶性接着剤および離型剤を含有する光沢発現層を有し、該光沢発現層がキャスト法により形成された塗工層である、キャスト型光沢インクジェット記録用紙において、該光沢発現層に隣接するインクジェット記録層が、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種、顔料、接着剤、並びにインク定着剤を含有し、且つ、該光沢発現層の乾燥塗工量が0.1乃至5g/mであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク吸収性、記録濃度などのインクジェット記録適性が優れた光沢インクジェット記録用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
微細なノズルから射出したインクの液滴を被記録用紙表面上に付着させて画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、高速記録が可能であること、フルカラー画像の形成が容易であること及び記録コストが他の印刷方式に比べて安価であるという利点がある。このため、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年では、インクジェットプリンタの高精細化・高速化の改良により、デジタルカメラ等による写真画像の出力を目的とする一般家庭ユーザへの普及が進んでいる。写真画像を出力されたインクジェット記録用紙の品質を銀塩方式の写真に近づけるために、インクジェット記録用紙には、優れた表面光沢・外観とともに、発色の鮮明さ、色の濃さ(深み)、精細さなど高い画質が求められる。
【0003】
銀塩方式の写真の品質に近い記録画像を目的とした、高い光沢性を有するインクジェット記録用紙の製造において、キャスト仕上げはインクジェット記録用紙に高光沢を付与するための重要な手段である。このキャスト仕上げにおいては、キャストドラム等の塗工乾燥装置から記録用紙を剥離させる、離型性は重要な性能である。記録用紙がスムーズに離型せず、塗工層の一部がキャストドラム等の塗工装置上に堆積して汚染すると、連続的なキャスト仕上げが出来なくなる。即ち、塗工を中断して塗工装置から汚れを除去する作業が必要となり生産性が著しく低下するという問題を生じる。それ故、キャスト仕上げを行う光沢発現層においては優れた離型性を実現することは重要な課題である。
【0004】
一方、一般家庭ユーザへの普及に伴い、プリンタの設置効率の向上が求められている。設置面積を小さくする解決策の一つとして、プリンタ下部の給紙トレイに記録面を下向きに記録用紙を置き、裏面からピックアップした該記録用紙をプリンタ内部で反転させ、記録面を上向きに送りながら印刷する給紙方法が採用されている。この給紙方式は、記録用紙がプリンタ内部で反転する様子をアルファベットの「C」の字に例えてC型給紙方式等と呼ばれることがある。これに対して、従来の、プリンタ背面からの給紙方法はJ型給紙方式等と呼称され、区別されている。
C型給紙方式のプリンタは、プリンタ内部の狭い給紙経路内で記録用紙を反転させる必要があり、印刷面にプリンタの給紙経路によって擦過傷がつくという問題(搬送傷)が発生し易い。特に、銀塩方式の写真の品質に近い記録画像を目的とした、高い光沢性を有するインクジェット記録用紙の場合には、搬送傷が発生すると非常に目立ち易く問題になる。
【0005】
インクジェットプリンタの高速化に対応するためには、高いインク吸収性が要求される。
インク吸収性の優れたインクジェット記録用紙に印字を行なうと、用紙表面に着弾したインク滴は大きく滲んだり拡がったりすることなく、真円形を保った状態で用紙に吸収・定着されてドットが形成される。しかしながら、インク滴の滲みや拡がりが不足すると、インク滴によるドット径が小さくなりすぎる。その結果、ドットの間隔が開きすぎ、印字の面積率が過小となり、中間調印字の記録濃度が低下したり、色調がずれたりする場合がある。そこで、高いインク吸収性を維持しつつ、記録用紙に打ち込まれたインク滴の拡がりを適度に調節することは、写真調の高精度の印字を行う上で重要な課題である。
最表の塗工層をキャストコーティングによって仕上げて、高光沢のインクジェット記録用紙とする場合、加熱した鏡面ドラムから記録用紙を離型するために使用される離型剤の作用によって、打ち込まれたインクの浸透・拡散が抑えられて、ドット径が小さくなりすぎるという問題がある。
これに対して、インクジェット記録層に粒子径の大きい顔料を使用したり、親水性の高い材料を使用したりすることにより、インク滴は拡がり易くなる傾向があり、高いインク吸収性を保ちつつ、印字の面積率を大きくすることが出来る。しかしながら、その反面、粒子径の大きい顔料を使用すると、塗工層内での光の散乱が増加し、また、インクジェット記録層の親水性が高くなりすぎると、インクの色が沈み込む傾向があるため、記録濃度は低下するという問題がある。更に、粒子径の大きい顔料を使用すると、記録用紙の光沢度を高め難いという問題もある。
高光沢の写真調の記録用紙については、高いインク吸収性を維持しつつ、記録用紙に打ち込まれたインク滴の拡がりを適度に調節するという課題を解決するために、界面活性剤の使用などが提案されている。
【0006】
特許文献1では、アニオン系界面活性剤を含有する塗工液によりキャスト塗工層を設け、インクの深さ方向と横方向の広がりをコントロールすることが提案されている。最表層であるキャスト塗工層に界面活性剤を添加することで、インク滴が用紙表面に着弾した時点の着弾面積を調節することが出来ると考えられる。しかしながら、アニオン系界面活性剤を含有するキャスト塗工層用塗工液にカチオン系の材料が含有されると、凝集を生じて安定な塗工液とすることは出来ないため、カチオン性の化合物を含有してインクを定着する機能を有する、インクジェット記録層中でのインク滴の浸透・拡散を調節することはできず、目的の印字面積率を得るために、インク滴の拡がりを充分にコントロールすることはできなかった。
【0007】
特許文献2では、用紙の少なくとも片面に界面活性剤が塗布されたインクジェット記録用紙が提案されている。インク受理層形成後に界面活性剤を塗布することや、インク受理層中にカチオン性またはノニオン性の界面活性剤を使用することが記載されている。しかしながら、ここにはキャスト処理による高光沢のインクジェット記録用紙については全く記載されておらず、キャスト処理における生産性や、搬送傷のような、表面に光沢発現層を有するインクジェット記録用紙についての種々の問題については対応していないため、必ずしも満足出来るものではなかった。
【0008】
特許文献3では、光沢発現層にノニオン性のフッ素系界面活性剤を含むインクジェット記録用紙が提案されている。最表層である光沢発現層に界面活性剤を添加してドット径を制御する方法では、インク滴が用紙表面に着弾した時点の着弾面積を調節することは出来ても、インク滴の記録層中の浸透・拡散を調節することはできず、インク滴の拡がりを充分にコントロールし、満足できる印字面積率を得ることはできなかった。
【0009】
特許文献4は、最外側インクジェット記録層とこれに隣接する内側インクジェット記録層の両層に離型剤を含有することにより、鏡面ドラムへの適度な接着性と離型性を実現して高光沢、表面平滑と連続的な操業性を得ている。離型剤として使用される種々の材料は、記録層中でインクの浸透を抑制し、ドット径を小さくする事はできるが、ドットを拡大することは記載されておらず、目的どおりの印字ドットの拡がりに制御し、満足できる印字面積率を得ることはできなかった。
【0010】
特許文献5では、HLB値が10乃至20のポリオキシエチレンアルキルアミノエーテルをキャストコート法により形成したインク受理層に含む高光沢インクジェット記録用キャストコート紙が提案され、離型性や光沢が向上することが記載されている。特許文献5の0027段にはポリオキシエチレンアルキルアミンが記載されており、インク受理層塗料中に含有、或いは、キャストコート処理液中に含有させてインク受理層表面から浸透吸収される。即ち、特許文献5ではポリオキシアルキルアミンがインクジェット記録用紙の最表層に含有される。
また、光沢発現層の下層であるインクジェット記録層中でのインク滴の拡がりをコントロールすることについて、特許文献5には何ら示唆も記載もされていない。
【0011】
特許文献6は、下層にインク吸収層、その上にインク受容層を有するインクジェット記録用紙の製造方法であり、インク吸収層上に界面活性剤と架橋剤を含有する架橋剤含有液を塗布し、その上にインク受容層を塗布してキャスト法により仕上げを施すことが記載されている。ここで界面活性剤の目的は架橋剤含有液をインク吸収層上に均一に塗布することである。またインクジェットインクとの親和性に言及しているが、インク吸収層中のインクの浸透・拡散を調節することや、ドット径を制御することは記載されていない。
【0012】
以上のように、高光沢でありながらプリンタ通紙時に記録面に擦過傷がつきにくく、インク吸収性や記録濃度等のインクジェット記録特性に優れた光沢インクジェット記録用紙が求められている実情において、高光沢、良好なインクジェット記録適性、生産性の良好なインクジェット記録用紙は種々提案されてきたが、すべてを満足することは出来ていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−286161号公報
【特許文献2】特開平11−277894号公報
【特許文献3】特開2001−96908号公報
【特許文献4】特開2002−337446号公報
【特許文献5】特開2005−238819号公報
【特許文献6】特開2008−143138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者は、階調印字において適正な印字面積率が得られることが、優れた光沢インクジェット記録用紙として重要な技術的課題であることを認識し、特に、本発明の様に、顔料を含有する薄い光沢発現層を有するインクジェット記録用紙として目的のインク滴の拡がりを得るためには、最表の光沢発現層に隣接し、インクを定着する機能を有するインクジェット記録層中のインク滴の浸透・拡散を調節することが重要であることを見出した。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、プリンタ給紙時に記録面に搬送傷がつきにくく、なおかつ、インク吸収性、印字濃度、適正な印字面積率を得られる良好なインクの浸透・拡散の特性を有し、インクジェット記録適性が優れ、生産性に優れた光沢インクジェット記録用紙である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、写真調の高光沢のインクジェット記録用紙において、顔料、接着剤および離型剤を含有する光沢発現層を薄い塗膜層として形成し、さらに光沢発現層の内側に隣接するインクジェット記録層に、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物または高級脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物を含有することによって、キャスト処理時の離型性を損なうこと無く乾燥負荷が軽減され、生産性が大幅に向上するのみならず、インク吸収性に優れ、搬送傷のような、表面に光沢発現層を有するインクジェット記録用紙についての種々の問題が改善され、なおかつ、用紙表面に着弾したインク滴が、該インクジェット記録層内において適度に拡散することで、印字ドットの拡がりが制御され、充分な印字面積率を得ることが出来るインクジェット記録用紙が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明の光沢インクジェット記録用紙は、
(1)透気性基材上に、少なくとも1層のインクジェット記録層と、顔料、水溶性接着剤および離型剤を含有する光沢発現層を有し、該光沢発現層がキャスト法により形成された塗工層である、光沢インクジェット記録用紙において、該光沢発現層に隣接するインクジェット記録層が、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種、顔料、接着剤、並びにインク定着剤を含有し、且つ、該光沢発現層の乾燥塗工量が0.1乃至5g/mであることを特徴とする光沢インクジェット記録用紙である。
【0017】
本発明はさらに下記を、好ましい態様として包含する。
(2)インクジェット記録層に含まれる脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物及び/または脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物に付加されているエチレンオキサイドユニットの数が3以上25以下である、(1)の光沢インクジェット記録用紙。
(3)インクジェット記録層が、顔料として気相法シリカの二次凝集体を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の光沢インクジェット記録用紙。
(4)光沢発現層が、顔料としてコロイド状粒子を含有することを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれかに記載の光沢インクジェット記録用紙。
(5)光沢発現層が、顔料としてカチオン性のコロイド状粒子を含有することを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれかに記載の光沢インクジェット記録用紙。
(6)光沢発現層に含まれる水溶性接着剤が、ポリビニルアルコール類またはゼラチン類であることを特徴とする、(1)乃至(5)のいずれかに記載の光沢インクジェット記録用紙
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の光沢インクジェット記録用紙は、透気性基材上に、少なくとも1層のインクジェット記録層と、顔料、水溶性接着剤および離型剤を含有する光沢発現層を有し、該光沢発現層がキャスト法により形成された塗工層である、光沢インクジェット記録用紙において、該光沢発現層に隣接するインクジェット記録層が、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種、顔料、接着剤、並びにインク定着剤を含有し、且つ、該光沢発現層の乾燥塗工量が0.1乃至5g/mであることを特徴とする光沢インクジェット記録用紙である。
【0019】
<基材>
本実施の形態のインクジェット記録用紙に用いられる基材としては、キャスト法による光沢発現層を形成するため、透気性の基材を使用する。このような透気性基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、紙基材、透気性を有する樹脂フィルムまたはシート材を使用することが好ましい。とりわけ、優れた透気性、記録用紙としての取り扱い易さ、および廃棄の容易さ等の面から紙基材を使用することが好ましい。
上記紙基材は、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される公知の紙基材より適宜選択使用することが出来る。例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙が挙げられる。なお、紙基材は酸性紙、中性紙の区別に関しても適宜用いることが出来る。
【0020】
〔紙基材〕
本発明で用いられる紙基材は、木材パルプを主成分とし、必要に応じて填料、各種助剤等が添加されたものなどが使用できる。木材パルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができる。特に、針葉樹および広葉樹のクラフトパルプ、あるいはこれらクラフトパルプを漂白した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKPと称す)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKPと称す)が好ましく用いられる。
また、これらのパルプは、例えば、パルプ漂白工程で塩素分子以外の塩素化合物を使用したECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、パルプ漂白工程で化合物を含め塩素元素を一切使用しないTCF(Total Chlorine Free)パルプを用いることが出来る。
【0021】
これらのパルプは、叩解機による処理の度合である叩解度を調節し、紙力、抄紙適性等を調整することが出来る。パルプの叩解度(フリーネス(C.S.F.:Canadian Standard Freeness)JIS−P8121)の値は特に限定しないが、250乃至550mlの範囲が好ましく用いられる。
【0022】
紙基材に添加される填料は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、合成ゼオライト、シリカ、酸化チタン、タルク等が好ましく用いられる。中でも軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、合成ゼオライトは多孔質のためインクジェットプリンタから吐出されたインク中の溶媒を吸収する能力に優れているために好ましく、その中でも、焼成カオリン、軽質炭酸カルシウムは白色度が高い紙支持体が得られ、インクジェット記録用紙の光沢感も高まるので好ましい。
紙支持体中の填料の含有率(灰分)は、20質量%以下が好ましい。この範囲であれば、平滑度、透気度、紙力や剛性のバランスがとれ、光沢度や写像性、剛性のバランスに優れたインクジェット記録用紙が得られやすくなる。
【0023】
紙基材に添加される助剤としては、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等が挙げられる。
上記サイズ剤としては、公知のサイズ剤を適宜使用することが出来、例えば、強化ロジン、アルケニル無水コハク酸等が用いられる。
また、このサイズ剤の定着剤として硫酸バンド、定着歩留まり向上剤として澱粉等がサイズ剤に併用されて用いられる。
【0024】
紙基材は、サイズプレスなどによる表面処理も適宜施されたものを用いることが出来る。表面処理の目的は、サイズ度の調節、紙力の増強、平滑化等であり、サイズプレスによる方法が好ましく用いられる。紙基材の表面処理は、その目的に応じて澱粉類、ポリビニルアルコール類、サイズ剤、各種顔料等、公知公用の材料が用いられ、サイズプレス処理液などに含有される。
紙基材のステキヒトサイズ度(JIS−P8122)は特に限定されるものではないが、好ましくは1乃至300秒程度に調節される。紙支持体のサイズ度を1秒以上にすると、塗工時の皺といった操業上の障害発生を防止し、また、印字されたインクの溶媒によって紙支持体が膨潤して発生する記録体の波打ち(コックリング)を軽減させる効果がある。一方、紙支持体のサイズ度が300秒以下であると、記録体としてのインク吸収性を高めることが出来るため好ましい。
【0025】
紙基材は長網抄紙機など、公知の装置・方法により製造されたものを適宜用いることが出来る。
紙基材の坪量は、特に限定されないが、20乃至400g/m程度が好ましく、厚さは、特に限定されないが、用途に応じて20μm乃至500μmの範囲で適宜選択される。
紙基材の王研式透気度(JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2)は10乃至1000秒の範囲で選択され、10乃至700秒の範囲がより好ましい。20乃至350秒の範囲であるとさらに好ましい。
紙基材の透気度は、10秒未満であると、インクジェット記録層用塗工液が紙基材からなる基材に過剰に浸透する虞があるため、10秒以上であることが好ましい。一方、透気度が高く、基材の透気性が乏しくなると、キャスト法による光沢発現層形成時に鏡面ドラムに圧接して乾燥する際、操業性が低下する虞がある。このため、紙基材の透気度としては1000秒を超えないものが選ばれる。好ましくは700秒以下であり、キャスト法による光沢発現層形成の操業性の点からは350秒以下であると有利である。
【0026】
<塗工層>
本実施の形態の光沢インクジェット記録用紙は、基材上に設けられた少なくとも1層のインクジェット記録層と、このインクジェット記録層上に設けられ、この記録用紙の最表部を形成する光沢発現層とからなる、少なくとも2層の塗工層を有する。
塗工層を3層以上設ける場合、基材上に、インク溶媒を吸収させたり、インク溶媒の基材への到達を防止させたりするための下塗層を設け、該下塗層を介してインクジェット記録層を設けることが出来る。また、該下塗層にはインク溶媒とともにインク色材が基材に到達させるのを防止する目的で、カチオン性化合物などのインク定着剤を含有することも出来る。
【0027】
〔インクジェット記録層〕
このインクジェット記録層は、顔料と、これを保持する接着剤を含み、少なくとも光沢発現層に隣接するインクジェット記録層には脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種を含有する。さらにインク中の染料や顔料をよりよく定着させるためにカチオン性のインク定着剤を含有することが好ましい。
【0028】
(顔料)
本発明のインクジェット記録層に使用する顔料は、特に限定されないが、気相法シリカ、湿式法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイダルシリカ等の非晶質シリカ、ギブサイトおよびベーマイト等のアルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カオリン、焼成カオリン、セピオライト、天然ゼオライト、人工ゼオライトおよび合成ゼオライト等のゼオライト類や、合成スメクタイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト類およびそれらを含有するベントナイト等の粘土類、クレー、焼成クレー、軽質炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の公知の無機白色顔料を例示することが出来る。特に、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる、多孔質の二次微細粒子が好ましく用いられる。さらに、これらの顔料のなかでもシリカは特に好ましく、シリカを使用する場合は、カチオン性化合物と混合して形成するシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を粉砕分散した二次微細粒子として用いることが出来る。このカチオン性化合物およびシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子はインク中の染料や顔料を定着させる作用を有し、詳しくはインク定着剤の項で説明する。
上記のような、二次微細粒子の粒子径は、特に限定するものではないが、中位粒子径10nm乃至3μmであり、好ましくは中位粒子径10nm乃至500nmの範囲である。中位粒子径は10nm以上であれば、充分なインク吸収性を得ることが出来る。また、中位粒子径として3μm以下の大きさであれば、塗工液に含有して均一な塗工層を設けることが出来る。特に、500nm以下であれば、塗膜の透明性が良好で印字濃度が高く、平滑性も良好であり好ましい。インクジェット記録層の良好な平滑性は、上に設ける光沢発現層の塗工量の不要の増加を防ぐことが出来、結果として、インク吸収性や良好な生産性のために有効である。
一次粒子径5nm乃至50nmの気相法シリカは解砕によって比較的容易に粒子径の小さな二次微細粒子の分散体が得られるため、特に好ましい。このような気相法シリカの二次粒子径としては、中位粒子径10nm乃至500nmの範囲、更に好ましくは10nm乃至300nmのものが用いられる。
【0029】
ここでいう中位粒子径は、上記二次微細粒子の粒子径を示すために用いる、動的光散乱法に基づく装置を使用して測定した数基準の粒子径分布の中央値粒子径である。本発明者らは「動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500型(株式会社堀場製作所製)」を使用したが、測定原理が同じであれば、装置のモデルが異なっても、ほぼ同じ値が得られる。
一次粒子の大きさを示す方法としては、一次粒子を電子顕微鏡(TEM,SEM)で観察して調べ、三軸平均粒子径、定方向径、若しくは相当径など、種々の粒子径が提案されている。本発明で使用する二次微細粒子を構成する一次粒子は、顔料の種類によって様々の形状があるが、例えば、視野の定方向に平行な、粒子の輪郭で囲まれた面積を二等分する線分の長さで与えられるマーチン径などの定方向径は、個々の粒子の方向に無作為に計測した値によって、粒子の各軸方向の形状を統計的に示すことが出来るため好ましく用いられる。本発明に使用される二次微細粒子を構成する一次粒子の大きさとしては、平均マーチン径として5nm乃至50nm程度が好ましい。
【0030】
本発明のインクジェット記録層には、上記の二次微細粒子以外に、通常の記録用紙などに使用される公知の顔料から1種以上の適宜選択して、本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。これらの併用できる顔料としては、気相法シリカ、湿式法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイダルシリカ等の非晶質シリカ、ギブサイトおよびベーマイト等のアルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カオリン、焼成カオリン、セピオライト、天然ゼオライト、人工ゼオライトおよび合成ゼオライト等のゼオライト類や、合成スメクタイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト類およびそれらを含有するベントナイト等の粘土類、クレー、焼成クレー、軽質炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土等の無機白色顔料、並びにポリスチレン樹脂系プラスチックピグメント、尿素樹脂系有機顔料やベンゾグアナミン樹脂系有機顔料等の有機白色顔料等の公知の白色顔料等を例示することが出来る。
【0031】
(接着剤)
インクジェット記録層に用いる接着剤としては、水分散性接着剤、水溶性接着剤を単独、或いは併用することが可能である。水分散性接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系重合体樹脂等が挙げられる。この中で、アクリル系樹脂およびウレタン系樹脂は、得られる塗膜のインク吸収性および透明性の面で特に好ましく用いられる。これらの水分散性接着剤は、単独または2種以上を併用して用いることが出来る。
【0032】
水溶性接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0033】
これらの接着剤の中でも表面強度の点からポリビニルアルコールを用いることが好ましい。ポリビニルアルコールは鹸化度や重合度により性状が異なる。
鹸化度が75乃至90%の部分鹸化ポリビニルアルコールを使用すると、塗工層の可撓性が優れ、塗工層が強く曲げられたような場合にも塗工層の割れを防止するのに非常に効果的であり好ましく用いられる。一方、鹸化度が95%以上の高鹸化度ポリビニルアルコール、更には98%以上の完全鹸化ポリビニルアルコールは塗工層の強度の点で有利であるだけでなく、不完全鹸化ポリビニルアルコールに較べて塗料の泡立ち傾向が小さいため好ましい。インクジェット記録層の接着剤としては、目的に応じて鹸化度を選択、或いは適宜併用することが好ましい。
【0034】
また、ポリビニルアルコールの重合度としては3500以上であることが好ましく、3500乃至5000の範囲が特に好ましい。重合度が3500以上であると充分なインクジェット記録層塗膜の強度が得られ、塗膜のひび割れを効果的に防止し、断裁時の紙粉の発生も防止することが出来る。一方、重合度が5000以下であれば、インク吸収性を充分に保ちながら、溶液や塗料粘度が高くなりすぎることが無く取扱性が良好で塗工液の調製が容易である。
【0035】
インクジェット記録層に使用される接着剤の配合量は、使用する接着剤にもよるが、一般的には顔料100質量部に対して7乃至50質量部であることが好ましく、より好ましい範囲としては10乃至40質量部である。配合量を増すと塗膜強度向上する一方、インクの吸収性は低下する傾向がある。
【0036】
(インク定着剤)
インクジェット記録層にはインク定着剤を含有し、インク中の色材を定着して印字画像に耐水性を付与することが出来る。
通常、インクジェット記録に供されるインク色材はアニオン性であるため、インク定着剤としてはカチオン性樹脂若しくは、カチオン性界面活性剤や多価金属塩化合物等の低分子カチオン性化合物が用いられる。高い記録濃度が得られることから、カチオン性樹脂が好ましく使用され、インクジェット記録用紙に用いられるインク定着剤として、種々のカチオン性樹脂が公知である。本発明においてもこれらの材料を使用することが出来る。
【0037】
このようなカチオン性樹脂としては、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、(ロ)ポリビニルアミン系カチオン性化合物、(ハ)ジシアンジアマイド−ポリエチレンアミン重縮合体などのベンゾグアナミン系カチオン性樹脂、(ニ)第2級または第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル系重合体、またはそれらとアクリルアマイドとの共重合体、(ホ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヘ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−SO共重合体、(ト)アリルアミン塩の共重合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO共重合体、(リ)ジアリルアミン−アクリルアマイド共重合体、(ヌ)ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合体、(ル)ジシアンジアマイド−ホルムアルデヒド重縮合体などのジシアンジアマイド誘導体カチオン性化合物、(ヲ)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(ワ)ポリビニルアミジン系カチオン性化合物、(カ)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等が挙げられる。本発明においては、これらのインク定着剤を単独または2種以上を併用して用いることが出来る。
【0038】
(シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子)
上記のようなインク定着剤は、インクジェット記録層中に顔料、接着剤等とともに混合されて使用することも出来るが、シリカ微粒子顔料とともに凝集体二次粒子を形成させ、シリカ−カチオン性化合物凝集体粒子として用いられることが好ましい。
シリカ微粒子の分散液はカチオン性化合物を混合されると凝集する傾向があり、生成したシリカ−カチオン性化合物凝集体は、粉砕・分散によって中位粒子径10nm乃至3μmのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の分散液とされ、インクジェット記録層用塗工液に用いることが出来る。
シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子に用いられるシリカとしては、平均マーチン径が5乃至50nmの一次粒子よりなる気相法シリカが好ましい。本発明の好ましいインクジェット記録層用塗工液では、気相法シリカの一次粒子はカチオン性化合物とともに凝集し、シリカ−カチオン性化合物凝集体として中位粒子径10nm乃至3μmの二次粒子を形成している。
【0039】
シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の製造方法の概略を説明する。
カチオン性化合物の添加量としては、気相法シリカ100質量部に対して、1乃至30質量部、好ましくは5乃至20質量部の範囲で調節される。
気相法シリカ分散液にカチオン性化合物を添加し混合すると、増粘した凝集体分散液が得られる。
このシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を粉砕・分散し、微粒子化する方法としては、機械的手段で強い力を加えるブレーキング・ダウン法(塊状原料を細分化する方法)が採用される。このような機械的手段としては、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、擂解機(オングミル)、サンドグラインダなどのビーズミル、ナノマイザ(商品名)などの高圧ホモジナイザー、ホモミキサ等の高速回転ミル、超音波ホモジナイザーを挙げることができる。
【0040】
上記、シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、顔料およびインク定着剤として、1種単独、あるいは2種以上を併用することが出来、良好な透明性、表面強度、平滑性ならびにインクの吸収性、発色性、耐候性、耐水性等を有するインクジェット記録層を得ることができる。
【0041】
(脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物および脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物)
本発明のインクジェット記録層には、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物および脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物より選ばれた少なくとも一種が含有される。
脂肪族アミン類のエチレンオキサイド付加物としては、N−ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン等が例示される。また、アルキル鎖は植物(例えばヤシ)由来、動物(例えば牛脂)由来のものであっても良く、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪アミン、ポリオキシエチレン牛脂肪アミン等が例示される。
【0042】
脂肪酸アマイド類のエチレンオキサイド付加物としては、ラウリン酸ジエタノールアマイド、オレイン酸ジエタノールアマイド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド、牛脂肪酸ジエタノールアマイド、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアマイド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アマイド等が例示される。
【0043】
上記のような脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物或いは脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物に付加されているエチレンオキサイドユニットの数により、これらの材料の親水性の度合が変化する。好ましいエチレンオキサイドユニットの数は3以上25以下の範囲が好ましい。より好ましくは5以上20以下である。
エチレンオキサイドユニットの数が3以上であれば、適度な親水性によって、インク吸収を損なうことが無くドット径が小さくなりすぎることを防ぐ。一方、エチレンオキサイドユニットの数が25以下であれば、インクジェット記録層内でのインクの浸み込みが過度になって印字濃度が低下することも無く、光沢発現層をキャスト処理する際に、光沢発現層の塗工液の浸み込みを適度に抑制することが出来、また、品質や生産性の安定の観点からも好ましい。
これら本発明の化合物を、最表の光沢発現層に隣接するインクジェット記録層に含有することにより、打ち込まれたインク滴は適度に拡散したドットとなる。この理由は必ずしも定かではないが、インクジェット記録に使用されるインクの濡れ性、インクの色材成分がインクとともに拡散して定着されるまでの挙動などのインクに関わる要因と、これらの化合物のドットを拡げる性質やドットのにじみを抑える性質に加えて、本発明の化合物のインクジェット記録層中での分布・挙動などの要因が、互いに関連し合い、適正な印字面積率の印字記録が得られるものと考えられる。
脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物或いは脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物の添加量は対顔料100質量部あたり、3乃至30質量部、好ましくは5乃至20質量部である。
【0044】
インクジェット記録層には、さらに、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加することが出来る。また、インクジェット記録層中には、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。
【0045】
(インクジェット記録層の形成方法)
インクジェット記録層は、多孔質の微細顔料を含有する塗工液を塗布、乾燥して形成するが、このような塗工液は乾燥の過程で塗工層の塗膜がひび割れを起こし易いという問題がある。そこで、インクジェット記録層を形成するためには、例えば、インクジェット記録層用塗工液を塗布すると同時に、または、インクジェット記録層用塗工液を塗布した塗液層の乾燥途中で、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、塗工液を増粘または架橋させ、成膜して製造することが有効である。
必ずしもこれらに限定されるものではないが、具体的には、下記(A)乃至(C)に挙げる方法を例示することが出来る。これらの方法は適宜採用することができる。
【0046】
(A)電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含有し、塗工の直後に、または、塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、電子線照射して塗液層を増粘(ハイドロゲルを形成)させる方法、
(B)インクジェット記録層が接着剤を含有する塗液であり、塗工の直後に、または、塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、接着剤との架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法、
(C)例えば接着剤として感温性高分子化合物(特開2003−40916号公報に記載された一定温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す)を含有させ、塗工の直後に塗液層温度を低下させることによって塗液層を増粘させる方法、
等が例示できる。
上記(A)及び(B)の方法で塗工層を形成する場合、接着剤としては、上記の、インクジェット記録用紙用として使用される公知の接着剤を使用することができる。
【0047】
接着剤との架橋性を有する化合物としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤が使用できる。ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、ホウ酸およびホウ砂などのホウ素含有化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。中でも、ホウ素含有化合物は、増粘またはゲル化が速かに進行するため特に好ましい。
【0048】
ホウ素含有化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。具体例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムは、塗料を適度に増粘させて塗工適性を向上させる効果があるために好ましく用いられる。
好ましいホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物の種類及びポリビニルアルコールの重合度によるが、基材の片面に0.01乃至2.0g/m含有されることが好ましい。含有量が2.0g/m以下であることにより、親水性接着剤との架橋密度が高くなりすぎず、塗膜強度を良好なものにできる。一方、含有量が0.01g/m以上であることにより、親水性接着剤との架橋が強まり、塗料のゲル化を促進して塗膜がひび割れしにくいものとなる。
【0049】
インクジェット記録層は、例えば、(B1)架橋剤を予め基材或いは下層に塗布・含浸させておき、その上にインクジェット記録層用塗液を塗布する、(B2)インクジェット記録層用塗液に架橋剤を配合しておき塗布する、または、(B3)インクジェット記録層用塗液を塗布後、架橋剤を塗布する等の方法により形成することが出来る。特に、(B1)架橋剤を予め塗布しておく方法は、増粘またはゲル化の発生を均一にし易いため、好ましく用いられる。
【0050】
インクジェット記録層の乾燥固形分塗工量は、特に限定するものではないが、2乃至100g/mが好ましい。塗工量が2g/m以上であることにより、高精細・高速のプリンタにおけるインク吸収性が充分なものとなり、塗工量が100g/m以下であれば塗膜のひび割れが起こりにくくなる。より好ましい塗工量の範囲としては、5乃至50g/mである。
【0051】
本発明のインクジェット記録用紙は、インクジェット記録層を2層以上設けることもできる。インクジェット記録層を2層以上設ける場合には、各層の組成は同じでも良いし、異なっていても良いが、光沢発現層に隣接する、少なくとも最表のインクジェット記録層には、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種、顔料、接着剤、並びにインク定着剤が含有される。
【0052】
インクジェット記録層を形成するための塗工装置としては、ロールコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、スライドビードコーターおよびカーテンコーター等の各種公知の塗工装置を用いることが出来る。
スライドビードコーターなどを用い、複数のインクジェット記録層を同時に塗工することもできる。2層以上のインクジェット記録層を塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法が好ましく用いられる。
電子線照射を施して複数のインクジェット記録層を設ける場合には、(1)塗工、電子線照射、乾燥を逐次繰り返してもよいし、(2)1層を塗工して電子線照射後、次の層を塗工した後乾燥してもよく、或いは、(3)多層を同時に塗工し、電子線照射を行うこともできる。
また、この塗工したインクジェット記録層には、必要に応じてスーパーカレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施しても良い。
【0053】
〔光沢発現層〕
本発明のインクジェット記録用紙は、上記のインクジェット記録層上に光沢発現層が形成されている。該光沢発現層はインクジェット記録用紙の最表面にあって、後述するキャスト処理が施されて光沢面となる光沢発現性を有している。
本発明の光沢発現層は顔料、水溶性接着剤および離型剤を含有する、乾燥塗工量が0.1乃至5g/m2の塗工層である。光沢発現層の乾燥膜厚としては0.05乃至3μm程度の薄さが好ましい。光沢発現層はキャスト処理を施すことにより、優れた光沢を発現するが、斯うした光沢発現層は、生産性に優れ、鮮明な画像を得ることが出来、本発明の目的を確実にする。
【0054】
(顔料)
光沢発現層に含有される顔料としては、一般にインクジェット記録用紙に使用される各種公知の顔料から適宜選択して用いることが出来る。該顔料がコロイド状粒子であると、より好ましい。
【0055】
(コロイド状粒子)
光沢発現層のコロイド状粒子は、水中に懸濁分散してコロイドを形成する無機粒子或いは有機粒子であり、微小で均一なコロイド状粒子を含有することにより、光沢発現層は均一で高い光沢性を得ることが出来る。
該コロイド状粒子として、例えば、コロイダルシリカ、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやコロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、或いは特公昭47−26959号公報に開示されているようなコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子等の無機粒子、ポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン等の有機粒子が挙げられる。
好ましいコロイド状粒子の例としては、コロイダルシリカ、或いは無定形シリカを保護コロイド形成能力のある水溶性化合物の存在下で解砕・分散したものを挙げることができる。光沢発現性の点からは粒子径の均一なコロイダルシリカが好ましい。特に限定するものではないが、本発明の光沢発現層に使用するコロイド状粒子の、好ましい一次粒子径としては、5nm乃至100nmであり、10nm乃至3μmの中位粒子径を有する一次粒子又は二次粒子分散体として好ましく使用される。二次粒子分散体を形成する無定形シリカとしては、一次粒子径が小さく解砕の困難なゲル法シリカよりも、一次粒子径の比較的大きい沈降法シリカ或いは気相法シリカは、容易に解砕できるため好ましく、特に気相法シリカは解砕によって比較的容易に粒子径の小さなコロイド状の二次粒子分散体が得られるため好ましく使用される。本発明の光沢発現層には、これらの顔料を2種以上併用しても良い。
光沢発現層の一次粒子径、二次粒子径についても、前記インクジェット記録層に使用される顔料の粒子径と同様の方法によって測定することが出来る。
【0056】
保護コロイド或いは界面活性剤などの分散剤によって各種イオン性のコロイド状粒子分散体を得ることが出来るが、分散質であるコロイド状粒子等の顔料と接着剤その他の助剤等は、通常、同じイオン性の材料を組み合わせることで安定な塗工液とすることが出来る。カチオン性コロイド状粒子は粒子表面が正に帯電しておりインクを定着させる機能を有するため、本発明においては好ましく使用される。カチオン性コロイド粒子としては、例えば、ギブサイト、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやその水和物のコロイド状粒子、またはコロイダルシリカ或いは無定形シリカよりなるコロイド状シリカの粒子表面をアルミナ、カチオン性界面活性剤、又はカチオン性樹脂等の保護コロイドを作る能力のあるカチオン性水溶性化合物によって処理し、カチオン性コロイド状シリカとしたものも好ましく使用することが出来る。
【0057】
(水溶性接着剤)
光沢発現層には、顔料等をインクジェット記録層上に固着させる目的で、水溶性接着剤が含有される。光沢発現層の水溶性接着剤として、ポリビニルアルコール類またはゼラチンを使用すると、特に、搬送傷を防止する効果が高く好ましい。特にC型給紙方式のプリンタにおける搬送傷の問題を大幅に改善させることが出来る。この理由は定かではないが、これらの接着剤は顔料粒子に対する接着力が強固で、傷つき難い塗膜を形成するためと考えられる。また、これらの水溶性接着剤は光沢を向上させる効果もあるが、過剰の添加はインク吸収を阻害する虞がある。
【0058】
光沢発現層の接着剤として水分散性接着剤を併用することも出来る。
この水分散性接着剤は、特に限定するものではないが、例えば、上記インクジェット記録層に用いた各種接着剤のうち水分散性接着剤のなかから、単独または2種類以上を適宜選択し、上記水溶性接着剤と併用することが出来る。
接着剤の配合量は、顔料100質量部に対して1乃至200質量部、より好ましくは2乃至20質量部である。接着剤の配合量が1質量部以上であれば、光沢発現層の固着力によって塗工層の欠落を防止でき、200質量部以下であればインク吸収性が損なわれること無くインクジェット記録適性を得ることが出来る。
光沢発現層中の顔料粒子がカチオン性である場合や、光沢発現層中にインク定着剤を配合する場合は、カチオン性の接着剤を使用することが好ましい。
【0059】
(離型剤)
光沢発現層に含有される離型剤は、一般に使用される各種公知の材料から適宜選択して用いることが出来る。特に限定するものではないが、離型剤としては、ポリエチレン、変性ポリエチレンなどの炭化水素系化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アンモニウム塩、高級脂肪酸アマイド、高級脂肪酸グリセライドやリン脂質などの高級脂肪酸エステル類、高級脂肪族アルコール類、高級脂肪族エーテルなどの油脂類、高級脂肪族アミンまたはその塩、高級脂肪族第4級アンモニウム塩、ワックス類、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などを適宜選択して使用することが出来る。光沢発現層への離型剤の過剰な添加は、インクの吸収を阻害することがある。また、逆に浸透を過度にする場合もある。
【0060】
離型剤は加熱した鏡面ドラムなどから記録用紙を離型するために使用されるが、最表の光沢発現層の離型剤の量が多いと、離型性は良いものの、打ち込まれたインクの浸透・拡散、或いは吸収が抑えられ、インクが吸収され難くなったり、ドット径が小さくなりすぎたりするという問題を生じることがある。このため、使用量は必要最小限に留めることが好ましいが、本発明においては、特定のインクジェット記録層を光沢発現層に隣接することにより、インクの拡がりを確保するために光沢発現層中の離型剤の効果が抑制されること無く、安定した離型性を得ることが容易になる。例えば本発明において変性ポリエチレンを使用する場合、好ましい配合量は、コロイド状粒子100質量部に対し2乃至30質量部、特に好ましい配合量は3乃至15質量部である。
【0061】
(その他添加剤)
また、本発明の光沢発現層には、必要に応じてインク定着剤、分散剤、架橋剤、増粘剤(流動変性剤)、消泡剤、耐水化剤(印刷適性向上剤)、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保存性改良剤、蛍光増白剤および/又は着色剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。これらの添加剤は、その目的に応じて、各種公知の材料から適宜選択して用いることが出来る。
【0062】
光沢発現層用塗工液のイオン性は特に限定されず、アニオン性、カチオン性或いはノニオン性の塗工液として適宜材料を選ぶことが出来る。
光沢発現層にインク定着剤を使用する場合、上述のインクジェット記録層に使用するインク定着剤と同様な材料を使用することが出来るが、光沢発現層用塗工液がカチオン性となるので、コロイド状粒子などの顔料は、カチオン性の分散体を用いることが好ましい。また、接着剤や離型剤或いはその他の添加剤についてもカチオン性またはノニオン性の材料と組み合わせることが好ましい。また、後述する光沢化処理として、リウェットキャスト法などを用いる場合には、上記の添加剤のうち、分散剤、消泡剤、着色剤、蛍光染料、帯電防止剤、防腐剤等のいずれか1種以上をリウェット処理用再湿潤液に含有し、適宜使用することが出来る。
【0063】
(乾燥塗工量)
本発明の光沢発現層の乾燥塗工量は、光沢性、印字濃度、インク吸収性および生産性の点から0.1乃至5g/mの範囲である。乾燥膜厚としては、0.05乃至3μmの範囲であり、下記光沢化処理によって、JIS−Z−8741による15%以上の高い20°光沢度を得ることが可能である。即ち、乾燥塗工量が0.1g/m以上であれば、充分な光沢性や印字濃度を得ることができ、5g/m以下とすることにより、充分なインク吸収性を保って画像鮮明性の低下を防止するとともに、乾燥負荷の増加を抑えて、生産性の制約も防止出来る。
なお、光沢発現層の塗工量を抑え、膜厚を薄くする上で、内に隣接するインクジェット記録層の性状も重要である。特に、本発明のインクジェット記録層に使用する顔料は、中位粒子径10nm乃至3μmの多孔質の二次微細粒子が好ましく用いられ、さらに好ましい凝集体微粒子としては、10nm乃至500nmの範囲である。500nm以下であれば、塗膜の透明性を維持して印字濃度の低下や平滑性の不足を防止し、その上に設ける光沢発現層の塗工量の不要の増加を防ぐことが出来、結果として、インク吸収性や良好な生産性のために有効である。
【0064】
(光沢化処理)
本発明のインクジェット記録用紙は、光沢発現層を有するとともに、キャスト法によって光沢化処理を施されたものである。光沢発現層用塗工液の塗工には、ブレードコーター、ブラシコータ−、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター等、各種公知の塗工方法を使用することが出来る。
光沢化処理は、ある程度の光沢であればスーパーカレンダーによっても行うこともできるが、本発明の高い光沢を有するインクジェット記録用紙は、キャスト法による光沢化処理を用いる。
【0065】
キャスト法は、湿潤で塑性変形する状態の塗工層表面を、鏡面ドラム(鏡面仕上げした金属ドラム、キャストドラム)、鏡面仕上げした金属板、プラスチックシートやフィルム等に圧接し、塗工層の乾燥とともに、塗工層表面に鏡面を写し取り、平滑で光沢のある塗工層表面を得る方法を総称する。
本発明の光沢化処理に用いるキャスト法としては、加熱した鏡面ドラムを使用して鏡面光沢のある塗工層表面を得る方法やフィルム転写方式を採用することができる。
【0066】
加熱した鏡面ドラムを使用する方法としては、例えば、
(イ)光沢発現層用塗工液を塗工し、該塗工液が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、
(ロ)光沢発現層用塗工液を塗工、乾燥して設けた光沢発現層を、その上に再湿潤処理液を塗布して再湿潤させ、該光沢発現層が湿潤状態のうちに、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)、
(ハ)基材上の最表塗工層をゲル化してゲル状塗工層とし、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ゲル化キャスト法)、
(二)加熱された鏡面ドラムに直接最表塗工層用塗工液を塗工し、乾燥させて鏡面ドラム上に該最表塗工層を形成した後、基材上に上記鏡面ドラムを圧接し、上記最表塗工層を転写させて仕上げる方法(プレキャスト法)、
を挙げることができる。ここで使用する鏡面ドラムの温度は、特に限定するものではないが、例えば50乃至150℃、好ましくは70乃至120℃である。
【0067】
また、キャスト処理の方法として、下記のようなフィルム転写方式を採用することもできる。
(ホ)最表塗工層用塗工液を基材上に塗工して、該塗工液が湿潤状態にある間に平滑な金属板、フィルム或いはシートを重ね、乾燥した後、該金属板、フィルム或いはシートを剥離する方法、
(ヘ)平滑な金属板、フィルム或いはシート上に最表塗工層用塗工液を塗工して、貼り合せようとする基材面をある程度湿潤状態にした状態で、その基材面に圧接、乾燥後、該金属板、フィルム或いはシートを剥離する方法、
【0068】
加熱した鏡面ドラムを用いるキャスト法は、基材の耐熱性が求められるが、フィルム転写法では必ずしもこのような制約はない。一方、加熱した鏡面ドラムを用いるキャスト法は、フィルム転写法に較べて、表面平滑性の優れた記録用紙が得やすく、生産性やコストの点でも有利である。
本発明で使用するキャスト処理方法は、上記の方法のうち、いずれを用いても良いが、品質と生産性に優れる、加熱した鏡面ドラムを用いるキャスト法が好ましい。特にウェットキャスト法は、これを使用することにより、とりわけ均一な光沢発現層を形成することが出来、印字濃度が高く、光沢の優れたインクジェット記録用紙を得ることが出来るため好ましく用いられる。
【0069】
<裏面層>
本発明のインクジェット記録用紙は、インクジェット記録層および光沢発現層を設けない基材上の他の一方の面(裏面)には裏面層を設け、写真の風合いやインクジェット記録用紙のカール防止及び搬送性などを改良することが出来る。
このような裏面層としては、特に限定するものではなく、例えば、澱粉やポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物、アクリル系樹脂エマルション、スチレン−ブタジエン共重合体エマルションやシリコーン系樹脂エマルションなどの水分散性樹脂、またはポリオレフィン系樹脂などの熱溶融性樹脂よりなる塗工層やラミネート被覆層、有機または無機の公知の顔料および接着剤よりなる塗工層等として設けることが出来る。
これらの裏面層には、その目的に応じて、各種公知の添加剤を含有することも出来る。
【0070】
さらに、裏面にインクジェット記録用紙や他の記録用紙を貼り合わせて両面記録用紙としたり、裏面に粘着剤層を形成してラベルとしたり、磁気カードやICカードの表面に貼り合わせてカードとしたりなど、公知の手段を施すことができる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
また、以下に示す実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ水を除く固形分の「質量部」および「質量%」を示す。
【0072】
[紙基材]
木材パルプ(LBKP;ろ水度400mlCSF)100部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、エンゲルハード社製)5部、市販サイズ剤0.05部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量180g/mの紙基材を製造した。
【0073】
[下塗層塗工液]
水に分散剤(商品名:アロンSD−10、東亞合成(株)製)を0.5部、消泡剤(商品名:ノプコ1407K、サン・ノプコ(株)製)を0.05部、カチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC700M、分子量30万、ハイモ(株)製)10部を添加し、更に無定形シリカ(商品名:サイロジェットP407、中位粒子径7μm、グレースジャパン(株)製)100部を添加・分散した。これに加熱・溶解した変性ポリビニルアルコール樹脂(商品名:R−1130、(株)クラレ製)10部を添加し、蛍光増白剤(商品名:ホワイテックスBP−S、住友化学(株)製)を2部、紫色着色料(商品名:DC−Violet XRN、大日精化(株)製)0.1部、青色着色料(商品名:DC−Blue XB、大日精化(株)製)0.05部を添加し、固形分濃度20%の下塗層塗工液を調製した。
[硼砂液]
水に硼砂(商品名:硼砂、シオノギ製薬(株)製)100部と濡れ剤(商品名:レオックス2160C、ライオン(株)製)0.05部を混合・攪拌し、固形分濃度4%の硼砂液を調製した。
[カチオン性シリカ微粒子]
中位粒子径1.0μmの気相法シリカ(商品名:エアロジルA300、平均一次粒子径 約8nm、日本アエロジル社製)を用い、ホモミキサにより分散した後、中位粒子径が50nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカの水分散液を調製した。
前記10質量%水分散液100質量部に、インク定着剤として5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC700M)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、中位粒子径が0.10μmのカチオン性シリカ微粒子の10質量%水分散液を調製した。
【0074】
(実施例1)
【0075】
[インクジェット記録層塗工液a]
カチオン性シリカ微粒子100部に、接着剤としてポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−145、重合度4500、ケン化度99%、(株)クラレ製)10部、消泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サン・ノプコ(株)製)0.1部、ポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−202、エチレンオキサイドユニット数=2、日本油脂(株)製)5部、濡れ剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル(商品名:レオックス2008C、ライオン(株)製)5部を混合・攪拌し、固形分濃度12%のインクジェット記録層塗工液aを調製した。
[光沢発現層塗工液a]
水にコロイド状粒子としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−L、平均粒子径:45nm、日産化学(株)製)100部、接着剤としてアクリル系樹脂(商品名:サイビノールE67、サイデン化学(株)製)10部、カチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC700M)10部を含有する組成液を混合し、さらに水溶性接着剤としてゼラチン(商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)製)5部、離型剤として変性ポリエチレンエマルション(商品名:ペルトールN856、日新化学研究所(株)製)5部を添加・混合し、固形分濃度5%の光沢発現層用塗工液aを調製した。
【0076】
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
紙基材の一方の面側に、下塗層塗工液を乾燥後の塗工量が8g/mになるように塗工・乾燥し下塗層を設けた。
該下塗層上に、硼砂液を乾燥後の塗工量が1g/mとなるように塗工・乾燥し、この表面にインクジェット記録層塗工液aを乾燥後の重量が8g/mとなるように塗工・乾燥し、インクジェット記録層を設けた。
該インクジェット記録層上に光沢発現層塗工液aを塗工した後、直ちに表面温度が95℃の鏡面ドラムに圧接して乾燥し、剥離させて光沢インクジェット記録用紙を作製した。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は1g/mであった。
【0077】
(実施例2)
[インクジェット記録層塗工液b]
実施例1において、インクジェット記録層塗工液aのポリオキシエチレンステアリルアミンをポリオキシエチレンオレイルアミン(商品名:ナイミーンO−205、エチレンオキサイドユニット数=5、日本油脂(株)製)5部とした以外は光沢発現層塗工液aと様にして、光沢発現層塗工液bを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液aをインクジェット記録層塗工液bに変更した以外は実施例1と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0078】
(実施例3)
[インクジェット記録層塗工液c]
実施例1において、インクジェット記録層塗工液aのポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−202)をポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−210、エチレンオキサイドユニット数=10、日本油脂(株)製)を5部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(商品名:レオックス2008C)を0部とした以外はインクジェット記録層塗工液aと同様にして、インクジェット記録層塗工液cを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液aをインクジェット記録層塗工液cに変更した以外は実施例1と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0079】
(実施例4)
[インクジェット記録層塗工液d]
実施例3において、インクジェット記録層塗工液cのポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−210)をポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−220、エチレンオキサイドユニット数=20、日本油脂(株)製)5部とした以外はインクジェット記録層塗工液cと同様にして、インクジェット記録層塗工液dを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液aをインクジェット記録層塗工液dに変更した以外は実施例1と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0080】
(実施例5)
[インクジェット記録層塗工液e]
実施例3において、インクジェット記録層塗工液cのポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−210)をポリオキシエチレン牛脂アルキルアミン(商品名:ナイミーンT2−230、エチレンオキサイドユニット数=30、日本油脂(株)製)5部とした以外はインクジェット記録層塗工液cと同様にして、インクジェット記録層塗工液eを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液aをインクジェット記録層塗工液eに変更した以外は実施例1と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0081】
(実施例6)
[インクジェット記録層塗工液f]
実施例1において、インクジェット記録層塗工液aのポリオキシエチレンステアリルアミンをヤシ油脂肪酸ジエタノールアマイド(商品名:スタホームF、エチレンオキサイドユニット数=2、日本油脂(株)製)5部とした以外はインクジェット記録層塗工液aと同様にして、インクジェット記録層塗工液fを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液aをインクジェット記録層塗工液fに変更した以外は実施例1と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0082】
(実施例7)
[光沢発現層塗工液b]
実施例3において、光沢発現層塗工液aのゼラチン(商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)製)に替えてポリビニルアルコール(商品名:クラレポバールPVA−117、重合度1700、鹸化度99%、(株)クラレ製)を5部とした以外は光沢発現層塗工液aと同様にして、光沢発現層塗工液bを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液bに変更した以外は実施例3と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0083】
(実施例8)
[インクジェット記録層塗工液g]
実施例3において、インクジェット記録層塗工液cのポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−210)の添加量を15部にした以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録層塗工液gを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液cをインクジェット記録層塗工液gに変更した以外は実施例1と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0084】
(実施例9)
[インクジェット記録層塗工液h]
実施例7において、インクジェット記録層塗工液cのポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−210)の代わりに、ポリオキシエチレンラウリルアミン(商品名:ナイミーンS−L207、エチレンオキサイドユニット数=7、日本油脂(株)製)5部添加した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録層塗工液hを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液cをインクジェット記録層塗工液hに変更した以外は実施例7と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0085】
(実施例10)
[光沢発現層塗工液c]
実施例3において、光沢発現層塗工液aに、更に水溶性接着剤としてポリビニルアルコール樹脂(商品名:クラレポバールPVA−117)を5部添加した以外は実施例3と同様にして、光沢発現層塗工液cを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液cに変更した以外は実施例3と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
(実施例11)
[光沢発現層塗工液a−2]
実施例1において、光沢発現層塗工液aの塗料濃度5%を、希釈水を減らして塗料濃度10%として光沢発現層塗工液a−2を調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液a−2に変更した以外は実施例3と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は3g/mであった。
【0086】
(比較例1)
[インクジェット記録層塗工液i]
実施例3において、インクジェット記録層塗工液cのポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−210)の添加量を0部にした以外は実施例3と同様にして、光沢発現層塗工液iを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液cをインクジェット記録層塗工液iに変更した以外は実施例1と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0087】
(比較例2)
[インクジェット記録層塗工液j]
実施例3において、インクジェット記録層塗工液cのポリオキシエチレンステアリルアミン(商品名:ナイミーンS−210)の添加量を0部にし、ポリエチレングリコール(商品名:ポリエチレングリコール200、キシダ化学(株)製)を15部添加した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録層塗工液jを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
インクジェット記録層塗工液cをインクジェット記録層塗工液jに変更した以外は実施例1と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
【0088】
(比較例3)
[光沢発現層塗工液d]
実施例1において、光沢発現層塗工液aのゼラチン(商品名:G−0667K)の添加量を0部にした以外は実施例1と同様にして、光沢発現層塗工液dを調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液dに変更した以外は実施例3と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。
(比較例4)
[光沢発現層塗工液a−3]
実施例1において、光沢発現層塗工液aの塗料濃度5%を、希釈水を減らして塗料濃度18%として光沢発現層塗工液a−3を調製した。
[光沢インクジェット記録用紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液a−3に変更した以外は実施例3と同様にして、光沢インクジェット記録用紙を得た。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は6g/mであった。
【0089】
【表1】

<評価方法>
以上、実施例1乃至11および比較例1乃至4の光沢インクジェット記録用紙を表1の様に作成し、インク吸収性、記録画像の鮮明性、プリンタ給紙時の耐傷性、光沢性、及び生産性について、下記に示す方法で評価し、その結果を表2に示した。
なお、記録画像の鮮明性の評価は、記録画像の色濃度を測定することにより行った。
インクジェットプリンタには、キヤノン(株)製、品名:PIXUS iP−4200、印字モード:光沢紙、標準モードを用いた。
【0090】
「光沢性」
20度鏡面光沢度は、JIS−P8741に準拠し、村上色彩技術研究所製デジタル光沢計(GM−26D)を使用して、記録用紙表面を入反射角度20度の光沢度を測定、下記の5段階にて評価した。
5:光沢度40%以上で極めて優れた光沢。
4:光沢度30%以上、40%未満で優れた光沢。
3:光沢度15%以上、30%未満で実用上問題ない光沢。
2:光沢度5%以上、15%未満で光沢が低く、実用上問題のあるレベル。
1:光沢度5%未満で光沢が低く、実用不可。
【0091】
「インク吸収性(印字斑)」
光沢インクジェット記録用紙に、インクジェットプリンタPIXUS iP4200を使用してシアン色と黄色インクを重ねた緑色ベタ印字を行い、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察し、下記の5段階にて評価した。
5:印字斑は全く見られない。
4:印字斑は少し見られるが、実用上問題ないレベル。
3:印字斑やや多いが、実用上問題ないレベル。
2:印字斑が多く、実用上問題のあるレベル。
1:印字斑が非常に多く、実用不可。
なお、印字斑は、先に打ち込まれたインクが、光沢インクジェット記録用紙の塗工層に完全に吸収されないうちに、次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、濃度の不均一として顕著に現れるものである。
【0092】
「印字の面積率」
光沢インクジェット記録用紙に、インクジェットプリンタPIXUS iP4200を使用してシアン色で20%濃度の印字を行い、画像処理式印刷網点評価装置(品名:ドットアナライザDA−6000、王子計測機器(株)製)を用いて印字の面積率を測定した。
35%以上: ドットが拡がり過ぎ、滲んで不鮮明になる。
27乃至35%:実用上問題ない。
25乃至27%:ドット間の隙間が空き、色調が白っぽくなる。
25%以下: ドット間の隙間が空き過ぎ、色調のズレが実用上問題になる。
【0093】
「記録画像の鮮明性(印字濃度)」
光沢インクジェット記録用紙に、印字設定を、用紙:光沢紙、印字品質:きれいモード、カラーマッチング:しないに設定した、インクジェットプリンタPIXUS iP4200を使用して黒色インクでベタ印字し、その色濃度を反射濃度計(品名:GretagMacbeth RD−19I、グレタグマクベスAG製)で測定した。
鮮明性を下記の5段階にて評価した
5:極めて優れた鮮明性。
4:優れた鮮明性。
3:実用上問題ない鮮明性。
2:鮮明性が低く、実用上問題のあるレベル。
1:鮮明性が低く、実用不可。
【0094】
「生産性」
光沢インクジェット記録用紙の最表層を塗工した後、90℃に加熱した鏡面ドラムに圧着し光沢処理を施し、6秒後に、鏡面ドラムから光沢インクジェット記録用紙を剥がし、ドラム鏡面表面へのインクジェット記録用紙の塗工層の残留を下記の基準で評価した。
5:ドラム表面に残留は全く無い。離型性に非常に優れ、生産性が極めて高い。
4:ドラム表面に残留はほとんど無い。離型性に優れ、生産性が高い。
3:ドラム表面への残留がややみられるが通常に生産できる。
2:ドラム表面への残留が多く見られ、記録用紙の塗工層の一部欠落が視認できる。
離型性が劣り、生産性が劣る。
1:ドラム表面に塗工層が付着し、記録用紙の塗工層が欠落する。
離型性に非常に劣り、生産性が極めて劣る。
【0095】
「プリンタ給紙時の耐傷性」
光沢インクジェット記録用紙をインクジェットプリンタPIXUS iP4300下部の給紙トレイに印刷面を下向きにセットし、プリンタ内部で記録用紙を回転させて印刷面を上向きにしてから印刷する給紙方法(C型給紙)により、記録用紙全面に、黒ベタでの印字を行った後、印字部表面の傷を目視で観察、評価した。
5:傷は全く見られない。
4:傷は少し見られるが、実用上問題ないレベル。
3:傷がやや多いが、実用上問題ないレベル。
2:傷が多く、実用上問題のあるレベル。
1:傷が非常に多く、実用に耐えないレベル。
【0096】
【表2】

表2から明らかなように、本実施例の光沢インクジェット記録用紙は、インク吸収性が良好で、充分な印字の面積率と印字の鮮明性を両立し、プリンタ給紙時の耐傷性が良好で光沢性、生産性にも優れている。
これに対し、比較例は、いずれかの評価項目で少なくとも実用上問題となるレベルと評
価されることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透気性基材上に、少なくとも1層のインクジェット記録層と、顔料、水溶性接着剤および離型剤を含有する光沢発現層を有し、該光沢発現層がキャスト法により形成された塗工層である、光沢インクジェット記録用紙において、
該光沢発現層に隣接するインクジェット記録層が、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種、顔料、接着剤、並びにインク定着剤を含有し、且つ、該光沢発現層の乾燥塗工量が0.1乃至5g/mであることを特徴とする光沢インクジェット記録用紙。
【請求項2】
インクジェット記録層に含まれる脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物及び/または脂肪酸アマイドのエチレンオキサイド付加物に付加されているエチレンオキサイドユニットの数が3以上25以下である、請求項1に記載の光沢インクジェット記録用紙。
【請求項3】
インクジェット記録層が、顔料として気相法シリカの二次凝集体を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の光沢インクジェット記録用紙。
【請求項4】
光沢発現層が、顔料としてコロイド状粒子を含有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の光沢インクジェット記録用紙。
【請求項5】
光沢発現層が、顔料としてカチオン性のコロイド状粒子を含有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の光沢インクジェット記録用紙。
【請求項6】
光沢発現層に含まれる水溶性接着剤が、ポリビニルアルコールまたはゼラチンであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の光沢インクジェット記録用紙。

【公開番号】特開2011−759(P2011−759A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144223(P2009−144223)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】